説明

生理活性薬を含有する植込み型リング

生理活性薬を含む植込み型オープンリング型医療装置およびその装置を使って疾患を治療する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生理活性薬を含有する植込み型リングおよびこれを使って疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療薬を投与して内臓および血管系の疾患を治療する従来の方法は、治療薬を全身または局所に送達することによる方法であった。全身に送達する方法は、治療薬を離れた部位に投与し、次いでその薬剤が患者の身体のいたるところに、勿論、血管系の罹患内臓または罹患領域にも移行する方法である。全身送達法は、主として以下の2方法すなわち、治療薬を消化管に導入する方法(腸内投与)、または治療薬を血管系内に導入する方法(非経口投与)すなわち治療薬を静脈もしくは動脈中への注射などで直接に、もしくは治療薬を筋肉もしくは骨髄中への注射などで間接的に導入する方法で実行される。これら各ルートによる送達は、いわゆるADMET要因:吸収(absorption)、分布(distribution)、代謝(mtabolism)、排泄(excretion)および毒性(toxicity)の影響を強く受ける。腸内投与の場合、化合物の、溶解性、胃の酸性環境での安定性および腸壁を透過する性能などの要因がすべて、薬の吸収度したがってその生物学的利用率に影響する。非経口送達の場合、酵素による分解性、親油性/親水性分配係数およびタンパク質結合性などの要因が、薬剤の生物学的利用率に影響する。
【0003】
その他に、局所送達法があるが、これは治療薬を罹患部位に直接投与するステップを含む方法である。この場合、薬剤は特に治療部位に直接投与されるので、上記ADMET要因は、全身投与法ほど重要ではない。したがって、初回投与量は、治療有効量またはそれにごく近い量であればよい。局所に送達される治療薬のうちいくらかは、時間の経過とともに、より広い領域にわたって拡散するが、これは局所送達法が意図することではなく、上記拡散した薬剤の濃度は通常、治療濃度より低く、すなわち低すぎて治療効果がない。局所送達法は目的とする治療部位だけを標的にしているので、内臓の罹患領域の周囲のまだ罹患していない領域にまで広がった疾患の原因となる要因のいくつかが十分な治療を受けることができずその結果疾患が再発する可能性がある。
【0004】
局所送達法の場合のように上記ADMET要因は重要性が低いが、同時に、全身送達法によって提供される広い適用範囲がいくらか維持されるように、疾患を治療するのに使用できる装置と方法は有益である。本発明はそのような装置と方法を提供するものである。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、第一端部と第二端部を有するオープンリング型装置本体およびその装置本体の表面に付着させたか、その装置本体の構造中に組み込んだかまたはその装置本体中の細孔内に配置した一種以上の生理活性薬を含む植込み型医療装置に関する。
【0006】
一態様において、上記オープンリング型装置本体の第一端部と第二端部は重なり合っている。別の態様では、このオープンリング型装置本体の第一端部と第二端部は重なり合っていない。
【0007】
各種態様において、上記装置本体は、ニチノール、生物分解性材料、ポリマー材料およびこれらの組合せを含む群から選択される材料で構成されている。
【0008】
各種態様において、上記装置本体は、ポリマー材料とニチノール製コアで構成されている。
【0009】
各種態様において、本発明の植込み型医療装置は、さらに、二つ以上のオープンリング型装置本体を含んでいる。
【0010】
各種態様において、本発明の植込み型医療装置は、さらに、オープンリング型装置本体が圧縮された状態で入っている分解性ケーシングを含んでいる。そのケーシングは、10秒〜10分間以内に分解可能である。
【0011】
各種態様において、本発明の植込み型医療装置は、さらに、一つのテザー(tether:繋ぎ)を有し、上記オープンリング型装置本体がそのテザーを取り囲んでいる。各種態様において、そのオープンリング型装置本体は、そのテザーの遠位端部に連結された球形部材に隣接している。一実施態様では、その球形部材は生物分解性である。
【0012】
各種態様において、本発明の植込み型医療装置は、さらに、複数のテザーを有し、一つのオープンリング型装置がそれら各テザーを囲みかつ一つの球形部材に隣接している。各種実施態様において、本発明の植込み型医療装置は、少なくとも一つのテザーを取り囲む二つ以上のオープンリング型装置を備えている。別の実施態様では、上記二つ以上のオープンリング型装置は各々、独立して、上記テザーに連結された一つの球形部材に隣接している。
【0013】
本発明の別の態様は疾患を治療または予防する方法に関する。この方法は、圧縮された状態でカテーテルの遠位端部に配置された本発明の植込み型医療装置を提供し、そのカテーテルを、患者の疾患部位の上流の血管中に挿入し、次いでその装置を患者の血流中に展開して、その装置を、配置されている血管の周囲まで拡張させるステップを含んでいる。
【0014】
各種態様において、上記装置を展開するステップは、圧縮された植込み型医療装置が配置されている長手方向に向けられた円筒形部材を有するプランジャーを使って実施される。
【0015】
各種態様において、治療すべき疾患は血管の疾患である。その治療すべき疾患が血管の疾患の場合、その疾患は、じゅく状硬化症、再狭窄症、不安定なプラーク(vulnerable plaque)または末梢動脈の疾患であり得る。
【0016】
各種態様において、治療すべき疾患は、癌、冠状動脈の疾患、腎臓の疾患、肝臓の疾患、呼吸器の疾患、感染症および自己免疫疾患を含む群から選択される。
【0017】
本発明の別の態様は、疾患を治療または予防する方法に関する。この方法は、カテーテルの遠位端部に配置されている本発明の植込み型医療装置を提供し、そのカテーテルを患者の疾患部位の上流の血管中に挿入し、上記装置を、患者の血流中に展開して血流方向に移動させて疾患部位またはその近くに配置し、一方、上記テザーの近位端部はカテーテルに作動可能に連結したままに保持し、次いでそのテザーを回収するステップを含んである。
【0018】
各種態様において、治療すべき疾患は血管の疾患である。その治療すべき疾患が血管の疾患の場合、その疾患は、じゅく状硬化症、再狭窄症、不安定なプラークまたは末梢動脈の疾患であり得る。
【0019】
各種態様において、治療すべき疾患は、癌、冠状動脈の疾患、腎臓の疾患、肝臓の疾患、呼吸器の疾患、感染症および自己免疫疾患を含む群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】Aは、本発明の植込み型医療装置が配置された血管の断面図を示し、本発明の植込み型医療装置のオープンリング型装置の両端部が重なり合って配置されているものを示す。Bは、本発明の植込み型医療装置が配置された血管の断面図を示し、本発明の植込み型医療装置のオープンリング型装置の両端部が重なり合わずに配置されているものを示す。
【図2】医療装置が、カテーテル内で圧縮された状態で、プランジャーの円筒形部材上に配置されているのを示す血管の断面図を示す。血管中で完全に展開された医療装置も示す。
【図3】球形部材に隣接する本発明の装置を示す血管網を示し、球形部材と本発明の装置はともに分解性ケーシング中に入っている。本発明の装置を通じて、球形部材からカテーテルまで走行するテザーも示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
諸定義:
本明細書で単数を使用する場合は、特に断らない限り複数と単数を含む。すなわち「a」と「the」は、その単語が修飾するものが一つまたは二つ以上であることを意味する。例えば、用語「a bioactive agent」には、一種、二種などの生理活性薬が含まれている。
【0022】
用語「植込み型医療装置」は、本明細書で使用する場合は、外科もしくは内科で患者の身体中に、または医療介入法でナチュラルオリフィス中に完全にもしくは部分的に導入されるタイプの装置であって、導入後、導入部位に残留させることを目的とするどんなタイプの装置をも意味する。植え込む期間は、ほぼ永久的であり、すなわち、患者の残りの寿命の期間、その器具が生分解するまで、または物理的に取り出されるまで、定位置に保持する期間である。現在、本発明に使用するのに好ましい植込み型医療装置としては、患者の身体中の特定の治療部位または治療領域に生理活性薬を領域送達または局所送達するために使用できるオープンリング型装置本体がある。
【0023】
用語「装置本体」は、本明細書で使用する場合、外表面に、装置自体が製造されている材料と異なる材料のコーティングまたは層が全く塗布されていない、完全に成形された植込み型医療装置を意味する。
【0024】
用語「オープンリング型装置本体」は、本明細書で使用する場合、そのリングの両端が連結されていないほぼ円形の装置本体を意味する。本発明には、両端部が重なり合っているか、または重なり合っていないリングが含まれている。用語「オープンリング型装置本体」、「装置本体」および「リング」は、特に断らない限り、相互に交換して使用できる。
【0025】
用語「〜の表面に付着させた」は本明細書で使用する場合、生理活性薬が装置本体の外表面に共有結合されているかまたは非共有結合されていることを意味する。
【0026】
用語「〜の構造中に組み込んだ」は本明細書で使用する場合、生理活性薬が、装置本体を形成する材料中に包封されていることを意味する。
【0027】
用語「細孔内に配置した」は本明細書で使用する場合、生理活性薬が、装置本体の一部である細孔または孔の中に配置されていることを意味する。
【0028】
用語「テザー」は本明細書で使用する場合、可撓性でかつ本発明の構成要素に直接または間接的に連結できるストリングなどのどのような接続機構をも意味する。
【0029】
用語「操作可能に連結された」は本明細書で使用する場合、テザーが、本発明の生物分解性球形部材、生物分解性ケーシングまたは本発明の装置本体に直接または間接的な手段で取り付けられていることを意味する。例えば、テザーは、テザー自体の一部分によって上記ケーシングの表面または球形部材に直接取り付けることができる。あるいは、装置本体は、テザーを取り囲んでいてもよく、この場合、装置本体は、テザーに、間接的に取り付けられている。
【0030】
用語「ケーシング」は本明細書で使用する場合、本発明の装置本体を完全におよび本発明の球形部材を場合により収容する材料を意味する。このケーシングは、非常に生物分解性でかつ生物溶解性なので、装置本体が血管系の標的部位に配置されると数秒間〜数分間以内に分解または溶解されて、中に入っている装置本体を標的部位内に放出する。ケーシングは、生体内で展開した後、10秒間〜10分間以内に分解することが好ましい。生物分解性で生物溶解性の材料の例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、多糖類、チロシン系ポリカーボネート類、および両親媒性ブロックコポリマー類たとえばポリエチレングリコール−ポリ乳酸がある。その他にも、適切な生物分解性材料が当業者に知られている。
【0031】
用語「生物分解性」は、本明細書で使用する場合、用語「分解される」、「侵食される」および「吸収される」と同様に、相互に交換して使用され(特に断らない限り)、血液などの体液および酵素など血液の成分に暴露されたときに分解されたりまたは吸収され、ならびに身体によって徐々に再吸収、吸収および/または排泄される物質を意味する。
【0032】
用語「球形部材」は、本明細書で使用する場合、テザーの遠位端部に取り付けられたほぼ球形の端部部材であって、その上に、展開中のリング型装置本体を、配置できる部材である。この部材は、生物分解性、生物溶解性または生物安定性(biostable)である。生物分解性、生物溶解性および生物安定性の材料の例は、以下に記述されているが、その他にも当業者に知られているものがある。
【0033】
用語「患者」は、本明細書で使用する場合、生理活性薬の投与によって利益を受ける生物を意味する。詳しくは、患者は、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ヤギまたはヒトなどの哺乳類を意味する。
【0034】
用語「治療」は、本明細書で使用する場合、疾患に罹患していることが分かっているかまたは罹患している疑いがある患者に、治療に有効な量の生理活性薬を投与することを意味する。
【0035】
用語「治療に有効な量」は、本明細書で使用する場合、患者が罹患していることが分かっているかまたは罹患している疑いがある疾患について、患者の健康と福祉に対して、疾患に有効なまたは疾患を軽減できる有益な効果を有する生理活性薬の量を意味する。治療に有効な量は、単一のボーラス(bolus)、断続的なボーラスのチャージ、短期間、中間期間または長期間にわたる徐放性製剤またはこれらの組合せで投与される。
【0036】
用語、疾患に罹患していることが「分かっている」は、本明細書で使用する場合、まず第一に、比較的容易に観察できるかまたは診断できる症状を意味する。そのような疾患の一例は、限定されないが、じゅく状硬化症であり、これは患者の動脈が間歇的に狭くなる疾患である。一方、再狭窄は、その後期では、じゅく状硬化症のように比較的容易に診断することができるかまたは直接観察できるが、初期段階ではそうではない。したがって、患者は、外科手術を行なってじゅく状硬化症の病巣を治療した後のある時点において、再狭窄に冒されている「疑いがある」かまたは冒されやすい。
【0037】
用語「生理活性薬」は、本明細書で使用する場合、用語「治療薬」と相互に交換して使用できる。本発明の生理活性薬は、抗再狭窄薬、抗増殖薬、抗炎症薬、抗腫瘍薬、細胞分裂阻害薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン薬、抗トロンビン薬、細胞増殖抑制薬、抗生物質、抗アレルギー薬、抗酵素薬、血管新生薬、細胞保護薬、心臓保護薬、増殖薬、ABC A1アゴニスト、抗酸化剤、またはこれらの組合せである。
【0038】
抗増殖薬の例としては、限定されないが、アクチノマイシン類、タキソール、ドセタキセル(docetaxel)、パクリタキセル、ラパマイシン、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシンもしくは40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン、エベロリムス(everolimus)、ビオリムス(biolimus)、ペルフェニドン(perfenidone)およびこれらの誘導体、類似体、プロドラッグ、コドラッグ(co−drug)、ならびにこれらの組合せがある。
【0039】
抗炎症薬の例としては、ステロイド系と非ステロイド系(NSAID)の抗炎症薬があり、限定されないが下記のものがある。すなわち、例えば、クロベタソール(clobetasol)、アルクロフェナック、アルクロメタゾンジプロピオネート(alclomethasone dipropionate)、アルゲストンアセトニド(algestone acetonide)、αアミラーゼ、アムシナファル(amcinafal)、アムシナフィド(amcinafide)、アムフェナックナトリウム(amfenac sodium)、塩酸アミプリロース(amiprilose hydrochloride)、アナキンラ(anakinra)、アニロラック(anirolac)、アンチトラザフェン(antitrazafen)、アパゾン、バルサラジド二ナトリウム(balsalazide disodium)、ベンダザック、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、塩酸ベンジダミン、ブロメライン類、ブロペラモール(broperamole)、ブデソニド(budesonide)、カルプロフェン(carprofen)、シクロプロフェン(cicloprofen)、シンタゾン(cintazone)、クリプロフェン、クロベタソールプロピオネート(clobetasol propionate)、クロベタゾンブチレート(clobetasone butyrate)、クロピラック(clopirac)、クロチカゾンプロピオネート(cloticasone propionate)、コルメタゾンアセテート(cormethasone acetate)、コルトドクソン(cortodoxone)、デフラザコン(deflazacon)、デゾニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾンジプロピオネート、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフロラゾンジアセテート(diflorasone diacetate)、ジフルミドンナトリウム(diflumidone sodium)、ジフルニサール、ジフルプレドネート(difluprednate)、ジフタロン(diftalone)、ジメチルスルホキシド、ドロシノニド(drocinonide)、エンドリゾン(endrysone)、エンリモマブ(enlimomab)、エノリカムナトリウム(enolicam sodium)、エピリゾール、エトドラック(etodolac)、エトフェナメート(etofenamate)、フェルビナック(felbinac)、フェナモール(fenamole)、フェンブフェン、フェンクロフェナック(fenclofenac)、フェンクロラック(fenclorak)、フェンドサル(fendosal)、フェンピパロン(fenpipalone)、フェンチアザック(fentiazac)、フラザロン(flazalone)、フルアザコルト(fluazacort)、フルフェナム酸、フルミゾール(flumizole)、フルニソリドアセテート(flunisonide acetate)、フルニキシン(flunixin)、フルニキシンメグルミン(flunixin meglumine)、フルオコルチンブチル(fluocortin butyl)、フルオロメトロンアセテート、フルクアゾン(fluquazone)、フルルビプロフェン、フルレトフェン(fluretofen)、フルチカゾンプロピオネート(fluticasone propionate)、フラプロフェン(furaprofen)、フロブフェン(furobufen)、ハルシノニド、ハロベタソールプロピオネート(halobetsol propionate)、ハロプレドンアセテート(halopredone acetate)、イブフェナック、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロフェンピコノール、イロニダップ(ilonidap)、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、インドプロフェン(indoprofen)、インドキソール(indoxole)、イントラゾール(intrazole)、イソフルプレドネアセテート(isoflupredone acetate)、イソキセパック(isoxepac)、イソキシカム(isoxicam)、ケトプロフェン、塩酸ロフェミゾール(lofemizole hydrochloride)、ロモキシカム(lomoxicam)、ロテプレドノールエタボネート(loteprednol etabonate)、メクロフェナム酸ナトリウム(meclofenamate sodium)、メクロフェナム酸、メクロリゾンジブチレート(meclorisone dibutyrate)、メフェナム酸、メサラミン(mesalamine)、メセクラゾン(meseclazone)、メチルプレドニゾロンスルエプタネート(methylprednisolone suleptanate)、モミフルメート(momiflumate)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキソール(naproxol)、ニマゾン(nimazone)、オルサラジンナトリウム(olsalazine sodium)、オルゴテイン(olgotein)、オルパノキシン(orpanoxin)、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、塩酸パラニリン(paranyline hydrochloride)、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、フェンブタゾンナトリウムグリセレート(phenbutazone sodium glycerate)、ピルフェニドン(pirfenidone)、ピロキシカム(piroxicam)、ピロキシカムケイ皮酸(piroxicam cinnamate)、ピロキシカムオーラミン(piroxicam olamine)、ピルプロフェン、プレドナゼート(prednazate)、プリフェロン(prefelone)、プロドリック酸(prodolic acid)、プロクアゾン(proquazone)、プロキサゾール(proxazole)、クエン酸プロキサゾール(proxazole citrate)、リメキソロン(rimexolone)、ロマザリット(romazarit)、サルコレックス(salcolex)、サルナセジン(salnacedin)、サルサレート(sasalate)、サングイナリウムクロリド(sanguinarium chlodide)、セクラゾン(seclazone)、セルメタシン(sermetacin)、スドキシカム(sudoxicam)、スリンダク、スプロフェン、タルメタシン(talmetacin)、タルニフルメート(talniflumate)、タロサレート(talosalate)、テブフェロン(tebufelone)、テミダップ(temidap)、テニダップナトリウム(tenidap sodium)、テノキシカム(tenoxicam)、テシカム(tesicam)、テシミド(tesimide)、テトリダミン(tetrydamine)、チオピナック(tiopinac)、チクソコルトールピバレート(tixocortol pivalate)、トルメチン、トルメチンナトリウム、トリクロニド(triclonide)、トリフルミデート(triflumidate)、ジドメタシン(zidometacin)、ゾメピラックナトリウム、アスピリン(アセチルサリチル酸)、サリチル酸、コルチコステロイド類、グルココルチコイド類、タクロリムス、ピメクロリムス(pimecrolimus)、ならびにこれらの誘導体、類似体、プロドラッグ、コドラッグおよび上記の組合せがある。
【0040】
抗腫瘍薬および細胞分裂阻害薬の例としては、限定されないが、パクリタキセル、ドセタキセル(docetaxel)、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシンおよびマイトマイシンがある。
【0041】
抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン薬および抗トロンビン薬の例としては、限定されないが、ヘパリンナトリウム、低分子量のヘパリン類、ヘパリノイド類、ヒルジン、アルガトロバン(argatroban)、フォルスコリン、バピプロスト(vapiprost)、プロスタサイクリン、プロスタサイクリンデキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体ンタゴニスト抗体、組換えヒルジンとトロンビン、トロンビン阻害薬たとえばAniomax e、カルシウムチャネル遮断薬類たとえばニフェジピン、コルヒチン、魚油(ω3−脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト類、ロバスタチン(lovastatin)、モノクローナル抗体たとえば血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に対して特異的な抗体類、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害薬類、プロスタグランジン阻害薬類、スラミン、セロトニン阻害薬類、ステロイド類、チオプロテアーゼ阻害薬類、トリアゾールピリミジリン、一酸化窒素もしくは一酸化窒素ドナー類、スーパーオキシドジムスターゼ類、スーパーオキシドジムスターゼミメティック、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)ならびにこれらの誘導体、類似体、プロドラッグ、コドラッグおよび上記の組合せがある。
【0042】
細胞増殖抑制薬または抗増殖性薬の例としては、限定されないが、アンギオペプチン(angiopeptin)、アンギオテンシン変換酵素阻害薬類たとえばカプトプリル、シラザプリル(cilazapril)もしくはリシノプリル(lisinopril)、カルシウムチャネル遮断薬類たとえばニフェピジン、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト類、魚油(ω3−脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト類、ロバスタチン(lovastatin)、モノクローナル抗体たとえば限定されないが血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に対して特異的な抗体類、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害薬類、プロスタグランジン阻害薬類、スラミン、セロトニン阻害薬類、ステロイド類、チオプロテアーゼ阻害剤類、トリアゾールピリミジリン(PDGFアンタゴニスト)および一酸化窒素がある。
【0043】
抗アレルギー薬の例としては、限定されないが、ペルミロラストカリウム(permirolast potassium)がある。
【0044】
本発明の生理活性薬として使用できる他の化合物としては、限定されないが、αインターフェロン、遺伝子組換え上皮細胞類、デキサメタゾン、相補DNAに結合して転写を阻害するアンチセンス分子類およびリボザイム類、抗体類、受容体リガンド類、酵素類、接着ペプチド類、血液凝固因子類、血液凝固阻害薬または血塊溶解薬たとえばストレプトキナーゼおよび組織プラスミノーゲン活性化薬類、免疫化に対する抗原類、ホルモン類および増殖因子類、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチド類およびリボザイム類および遺伝子治療に使用するレトロウイルスベクター類;抗ウイルス薬類;鎮痛薬類とその組合せ;食欲抑制薬類;駆虫薬類;関節炎治療薬類、抗喘息薬類;抗痙攣薬類;抗欝薬類;抗利尿薬類;下痢止め薬類;抗ヒスタミン薬類;抗ミグレイン(antimigrain)製剤類;制吐薬類;抗パーキンソン症候群薬類;鎮痒薬類;抗精神病薬;解熱剤類;鎮痙薬類;抗コリン作動薬類;交感神経作用薬類;キサンチン誘導体類;心臓血管用製剤類たとえばカルシウムチャネル遮断薬類、β遮断薬類例えばピンドロールおよび不整脈治療薬類;血圧降下薬類;利尿薬類;冠状動脈、末梢血管および脳血管の拡張薬類;中枢神経系刺激剤類、充血除去薬類を含む咳もしくは風邪用製剤類;睡眠薬類;免疫抑制薬類;筋弛緩剤類、副交感神経遮断薬類;精神刺激薬類;鎮静剤類;精神安定剤類;天然リポタンパク質類もしくは遺伝子組換えリポタンパク質類;ならびにこれらの誘導体、類似体、プロドラッグ、コドラッグおよび上記の組合せがある。
【0045】
その他の生理活性薬としては、コルチコステロイド、エベロリムス(everolimus)、ゾタロリムス(zotarolimus)、シロリムス(sirolimus)およびその誘導体;パクリタキセル;ビオリムス A9;ビスホスホネート;ApoA1;変異ApoA1;ApoA1ミラノ;ApoA1疑似ペプチド;ABC A1アゴニスト;抗炎症薬、;抗増殖薬;抗血管新生薬;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤およびメタロプロテイナーゼの組織阻害剤がある。
【0046】
本発明は、第一端部および第二端部、ならびにリングの表面に付着させたか、リングの構造中に組み込んだかまたはリングの細孔中に配置した一種もしくは二種以上の生理活性薬を有するリングを含む植込み型医療装置に関する。植込み型医療装置の表面に付着させるか、同医療装置の構造中に組み込むかまたは同医療装置の細孔中に配置する方法は、当業者には公知である。
【0047】
本発明のリングは、圧縮することができてその後元の形態に拡張できる性能を有する材料で、必ず形成されている。リングの材料の例としては、ニチノール、生物分解性材料、ポリマー材料およびその組合せがある。現在選好されているリングの材料としては、ニチノール製コアを有するポリマー材料がある。上記ポリマー材料は、生理活性薬を有効に充填することができ次いで放出することができ、一方上記ニチノール製コアはリングを有効に圧縮しその後拡張させることができる。
【0048】
本発明のポリマー材料は、一般に生体適合性ポリマーであり、そして生物分解性または生物安定性でかつ疎水性または親水性であり得る。
【0049】
用語「生体適合性の」は、本発明で使用する場合、無傷の合成された状態、およびその分解された状態すなわち分解生成物がともに、生体組織に対して、非毒性かまたは少なくとも毒性が最小限であり;生体組織を損傷しないかまたは損傷しても少なくとも最小限で回復可能であり;および/または生体組織中で免疫反応を起こさないかまたは起こっても最小限であり制御可能であるポリマーを意味する。
【0050】
生体適合性で生体安定性のポリマーとしては、限定されないが、パリレン、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコシド)、ポリ(1−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエステルアミド、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)、コポリ(エーテル−エステル)類(例えばPEO/PLA)、ポリホスファゼン類、ポリウレタン類、シリコーン類、ポリエステル類、ポリオレフィン類、ポリイソブチレンおよびエチレン−αオレフィンコポリマー類、ポリアクリル酸塩類以外のアクリルポリマー類とアクリルコポリマー類、ハロゲン化ビニルポリマー類とハロゲン化ビニルコポリマー類(例えばポリ塩化ビニル)、ポリビニルエーテル類(例えばポリビニルメチルエーテル)、ポリハロゲン化ビニリデン類(例えばポリ塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン類、ポリビニル芳香族類(例えばポリスチレン)、ポリビニルエステル類(例えばポリ酢酸ビニル)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー類、ABS樹脂類、ポリアミド類(例えばナイロン66およびポリカプロラクタム)、チロシン系ポリカーボネート類を含むポリカーボネート類、ポリオキシメチレン類、ポリイミド類、ポリエーテル類、ポリウレタン類、レーヨン、三酢酸レーヨン、フラーレン類および脂質類がある。
【0051】
生体適合性で生物分解性のポリマーとしては、限定されないが、天然産のポリマー類、例えば限定されないがコラーゲン、キトサン、アルギネート、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース系誘導体類、デンプン類、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸ヘパリン、グリコサミノグリカン類、多糖類およびエラスチンがある。
【0052】
生体適合性で生物分解性の合成ポリマーとしては、限定されないが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリ酸無水物類、ポリビニルアルコールおよびポリ(エステル−アミド)類がある。
【0053】
用語「合成ポリマー」は、本発明で使用する場合、実験室で完全に製造されたポリマーを意味し、一方、用語「半合成ポリマー」は、本明細書で使用する場合、実験室で化学的に修飾された天然産ポリマーを意味する。合成ポリマーの例としては、限定されないが、ポリホスファジン類、ポリリン酸エステル類、ポリリン酸エステルウレタン、ポリヒドロキシ酸類、ポリヒドロキシアルカノエート類、ポリ酸無水物類、ポリエステル類、ポリオルトエステル類、ポリアミノ酸類、ポリオキシメチレン類、ポリ(エステル−アミド)類およびポリイミド類がある。
【0054】
本発明のリングは、カテーテル中または本発明のケーシング中に配置されているとき効果的に圧縮することができかつ展開されたのち血管の周囲まで拡張できるように、必ずオープン構造でなければならない。図1のAとBは、展開された状態の本発明のリングを示す。図1のAは両端部が重なり合って血管内に配置されているオープンリングを示し、一方図1のBは両端部が重なり合わずに血管内に配置されているオープンリングを示す。各場合に、上記リングが製造されている自己拡張性材料は、上記リングを、自然に拡張させて、血管の周囲に適合させることができる。
【0055】
本発明の別の態様は、生理活性薬を含有する本発明のリングを使用して、疾患を治療または予防する方法に関する。その方法は、リングを圧縮し次にそのリングをカテーテルの遠位端部に配置し、そのカテーテルを患者の血管の疾患部位の上流に挿入し、次いで上記リングを患者の上記血流中で展開させるステップを含み、そのときリングは、配置されている血管の周囲まで拡張している
【0056】
リングを展開する好ましい方法は、圧縮された植込み型医療装置が上に配置されている長手方向に向けられた円筒形部材を有する展開プランジャーを使用するステップを含んでいる。
【0057】
図2は本発明の上記態様を示す。リング200が、カテーテル210内で圧縮されて、展開プランジャー230の長手方向に向いた円筒形部材220の上に配置されている。カテーテル210は、血管240中に挿入され次いでリング200はプランジャー230によって血管240中に展開されて血管240の周囲まで拡張する。図2は、血管240の周囲に沿って配置されて、血管240を通過する血液の流れを妨げない拡張状態のリング250も示している。リング200は、例えば血流方向の「下流」で、または医師の要求に対応して「上流」様態で展開してもよいと解すべきである。
【0058】
上記リングが展開されると、そのリングの表面に付着させたか、リングの構造中に組み入れられたかまたはリングの細孔中に配置された生理活性薬は、血管壁中または血流中に拡散されて、疾患を局所治療する手段を提供する。具体的な態様における治療すべき疾患は、血管の疾患であるが、この疾患としては、限定されないが、じゅく状硬化症、再狭窄、不安定なプラークまたは末梢動脈の疾患がある。
【0059】
血管の疾患は、現在、本発明の組成物および方法の好ましい標的であるが、その他の多数の疾患、例えば、限定されないが、癌、冠状動脈の疾患、腎臓の疾患、肝臓の疾患、呼吸器の疾患、感染症および自己免疫疾患も予防または治療できると考えられる。
【0060】
癌は、悪性新生物なので、潜在的に分裂する細胞で構成されている事実上どの組織にも起こりうる大グループの疾患に関連している。癌の基本的特性は、増殖に対する制御が減退することによって発現する細胞の伝播性異常、および侵入性の増殖と転移による宿主に対する生命にかかわる重大な影響をもたらす機能である。
【0061】
冠状動脈の疾患は、じゅく状硬化症によって冠状動脈が狭窄する疾患であり、十分に重篤な場合、心筋層(心臓の筋肉)への血液の流れを制限するか、または最も重篤な場合、上記流れを完全に閉塞する。
【0062】
呼吸器疾患は、肺が適正に作動しないので、呼吸が阻害される疾患である。呼吸器疾患の例としては、限定されないが、喘息、結核、嚢胞性線維症および肺炎がある。
【0063】
腎臓の疾患は、腎臓の機能を冒す疾患または障害であり、例えば、限定されないが、急性腎炎症候群、アテローム塞栓性腎疾患、慢性腎炎、腎臓癌、グッドパスチャー症候群、間質性腎炎およびループス腎炎がある。
【0064】
肝臓の疾患は、肝臓の機能を冒す疾患であり、例えば、限定されないが、肝炎(A型、B型、C型、D型または自己免疫性の肝炎)、肝臓癌および肝硬変がある。
【0065】
感染症は、微生物、例えば、限定されないが、細菌、ウイルス、プリオン、真菌、アメーバまたは原生動物などによって伝播される疾患である。一般に、感染症は、実際伝染性なので、一個体から別の個体に伝播して、その別の個体に重篤な疾病を起こす。
【0066】
自己免疫疾患は、例えば、限定されないが、橋本甲状腺炎、糖尿病、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、多発性硬化症、重症筋無力症およびグレーブス病などの異常な免疫応答を含む疾患と障害(および類縁の疾患と障害)である。
【0067】
本発明の別の態様では、本発明のリングは圧縮されて、分解性ケーシング中に収納されている。適切なケーシングの材料としては、生物分解性、生物溶解性および生物適合性のポリマー材料があり、先に述べたとおりである。装置を収納する方法は、当業者には公知である。本発明のこの態様では、その分解性ケーシングには球形部材も入っており、その球形部材は、生物分解性または生物安定性で、テザーの遠位端部に直接取り付けられている。適切な生物分解性でかつ生物安定性の材料は先に述べてある。本発明のこの態様では、分解性ケーシングは、球形部材に隣接していてもよい。
【0068】
図3は本発明のこの態様を示す。球形部材320が、ケーシング350内のテザー330の遠位端部に接続されている。リング300がテザー330を取り囲み、リング300は、生体内で展開されると、血管を通じて、球形部材320からカテーテル310まで走行する。球形部材320は、ケーシング350が分解すると、リング300が血管340の周囲に沿って配置されるようにリング300を配向させる働きをする。
【0069】
本発明の別の態様は、上記生物分解性ケーシング中に収納されているリングを使って、疾患を治療または予防する方法に関する。この方法は、上記収納されているリングすなわち装置を、カテーテルの遠位端部に配置し、そのカテーテルを、患者の疾患部位の上流の血管中に挿入し、次いでその装置を患者の血流中に展開して、装置を、血流の方向に移動させるステップを含んでいる。取り付けられたテザーを使って、上記収納されたリングを疾患部位またはその近くに配置することができ、一方テザーの近位端部は、作動可能に、カテーテルに結合されたままである。図3はこの態様の一実施態様を示す。分解性ケーシングの材料は、装置が疾患部位の上流に配置されるようになるまで十分な時間を要するが、長期間にわたって血流を閉塞しないよう十分迅速に分解するように選択されるものと解すべきである。
【0070】
収納されたリング360が疾患部位の上流に配置されると、ケーシング350は分解する。この期間中、球形部材320に隣接しているリング300は、ケーシング350が分解するにつれてゆっくりと拡張し始める。ケーシング350が完全に分解したならば、リング300は、血管340の周囲に完全に合致するまで拡張する。そのとき、球形部材320は、テザー330によってカテーテル310中に引き戻すことができるかまたはそれ自体分解する。いずれにしろ、テザー330はカテーテル310中に引き戻される。
【0071】
血管の疾患がこれらの方法の現在好ましい標的であるが、他の疾患も治療または予防を容易に行なえると考えられ、先に記述した通りである。
【0072】
複数のリングと複数のテザーが、本発明のどの上記態様でも同時に使用することができ、本発明に含まれていると解すべきである。実に、各種態様において、本発明の植込み型医療装置は、複数のテザーを備え、一つのオープンリング型装置が各テザーを取り囲みかつ一つの球形部材に隣接している。他の態様では、本発明の植込み型医療装置は、二つ以上のオープンリング型装置をそなえ、それらリングは少なくとも一つのテザーを取り囲んでいる。この態様では、上記二つ以上のオープンリング型装置は各々、個々に、テザーに結合された一つの球形部材に隣接して、「紐を通した数珠」の形状を形成する。
【0073】
複数のリングを単一のケース中に使用するときは、そのセグメントは、リングの端縁が重なり合うように、オープンエンド型でもよい。あるいは、これらリングは、拡張すると、互いに分離するような形状でもよい。
【0074】
本発明のいくつかの具体的な実施態様を示し説明してきたが、本発明のより広い態様において本発明から逸脱することなく変更と変形を実施できることは当業者には明らかである。したがって、本出願の特許請求の範囲は、その範囲内に、本発明の真の精神と範囲に属するこれらすべての変更と変形例を包含している。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端部および第二端部を有するオープンリング型装置本体と、
前記装置本体の表面に付着させた、前記装置本体の構造中に組み込んだ、または前記本体中の細孔内に配置した、一種以上の生物活性薬と、
を含む、植込み型医療装置。
【請求項2】
前記オープンリング型装置本体の前記第一端部および前記第二端部が重なり合っている、請求項1に記載の植込み型医療装置。
【請求項3】
前記オープンリング型装置本体の前記第一端部および前記第二端部が重なり合っていない、請求項1に記載の植込み型医療装置。
【請求項4】
前記オープンリング型装置本体が、ニチノール、生物分解性材料、ポリマー材料およびこれらの組合せからなる群から選択された材料で構成されている、請求項1に記載の植込み型医療装置。
【請求項5】
前記オープンリング型装置本体がポリマー材料およびニチノール製コアで構成されている、請求項4に記載の植込み型医療装置。
【請求項6】
二つ以上のオープンリング型装置本体をさらに備えている、請求項1に記載の植込み型医療装置。
【請求項7】
前記オープンリング型装置本体が圧縮された状態で収容されている分解性ケーシングをさらに備えている、請求項1に記載の植込み型医療装置。
【請求項8】
前記ケーシングが10秒〜10分間以内に分解する、請求項7に記載の植込み型医療装置。
【請求項9】
テザーをさらに備え、該テザーを前記オープンリング型装置本体が取り囲んでいる、請求項7に記載の植込み型医療装置。
【請求項10】
前記オープンリング型装置本体が、前記テザーの遠位端部に連結された球形部材に隣接している、請求項9に記載の植込み型医療装置。
【請求項11】
前記球形部材が生物分解性である、請求項10に記載の植込み型医療装置。
【請求項12】
複数のテザーをさらに備え、一つのオープンリング型装置が前記テザーの各々を取り囲みかつ球形部材に隣接している、請求項9に記載の植込み型医療装置。
【請求項13】
さらに、少なくとも一つの前記テザーを取り囲む二つ以上のオープンリング型装置を備えている、請求項12に記載の植込み型医療装置。
【請求項14】
前記二つ以上のオープンリング型装置が、各々、個々に、前記テザーに連結された球形部材に隣接している、請求項13に記載の植込み型医療装置。
【請求項15】
圧縮された状態でカテーテルの遠位端部に配置された請求項1に記載の植込み型医療装置を提供するステップと、
前記カテーテルを、患者の疾患部位の上流の血管中に挿入するステップと、
前記植込み型医療装置を患者の血流中に展開して、該植込み型医療装置を、その植込み型医療装置が配置されている血管の周囲まで拡張させるステップと、
を含む、疾患を治療または防止する方法。
【請求項16】
前記植込み型医療装置を展開する前記ステップが、圧縮された前記植込み型医療装置が配置されている長手方向向きの円筒形部材を有するプランジャーを使用する工程を含んでいる、請求項15に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−502404(P2010−502404A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527612(P2009−527612)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/078035
【国際公開番号】WO2008/031097
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】