説明

産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造

【課題】カウンターウエイトを取り外したり、移動させたりすることなく、ディーゼル・パティキュレート・フィルターの着脱を容易に行えるようにする。
【解決手段】フォークリフトにおいてエンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼル・パティキュレート・フィルター6を取り付けるための取付構造である。フォークリフトは、車両本体と、その前方に配置された荷役操作部と、車両本体の後部に配置され、6を収容するカウンターウエイト4とを備えており、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6は、カウンターウエイト4内に設けられた架台に着脱可能に取り付けられている。カウンターウエイト4には、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6が上下方向に通過し得る大きさの開口部4aが貫通形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトやショベルローダのような、カウンターウエイトを備えた産業車両のためのディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造において、その構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両において、例えばフォークリフトやショベルローダのような車両は、荷役作業を行うための作業装置を車両前方に備えるとともに、荷役作業時の車両のバランスを保つためのカウンターウエイトを車両後部に備えており、カウンターウエイトは、一般に、車体フレームにボルト締め等により固定されている。また、エンジン式の産業車両においては、エンジンからの排気ガスが排出されるマフラーは、カウンターウエイトの内部に収容されている。
【0003】
マフラーは通常、定期的なメンテナンスを必要としないが、マフラーその他のエンジン周辺部品のメンテナンスを行う際、前記従来の構造では、メンテナンスの度に大重量のカウンターウエイトを車体フレームから取り外す必要があり、非常に面倒である。
【0004】
そこで、特開平1−317879号公報や特開平4−148797号公報に示すように、カウンターウエイトを車体フレームに対して水平方向にまたは前後方向に回動可能に支持させた構造のものが提案されている。
【0005】
この場合、メンテナンスの際には、カウンターウエイトを水平方向または前後方向に回動させることで、カウンターウエイトの内部が外側に露出することになるので、カウンターウエイトを車体フレームからいちいち取り外す必要がなくなり、メンテナンス性が向上する。
【0006】
しかしながら、この場合においても、カウンターウエイトを車体フレームに係止するためのピンを着脱する操作や、重量物のカウンターウエイトを回動する操作が別途必要であり、メンテナンス性を向上させるにも、限界がある。
【0007】
その一方、2011年より始まる第4次排出ガス規制に適合させるべく、産業車両の各メーカーは、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集してこれを排気ガス中から除去するためのディーゼル・パティキュレート・フィルター(Diesel Particulate Filter)を標準部品としてエンジンの排気系に取り付ける必要性に迫られている。
【0008】
粒子状物質のうち、ディーゼル・パティキュレート・フィルターの使用中に当該ディーゼル・パティキュレート・フィルター内に溜まる黒煙(スス)については、高温の排気ガスを用いて燃焼させることが可能であるが、ディーゼル・パティキュレート・フィルター内に堆積されるアッシュと呼ばれる不灰分に関しては、高温の排気ガスでも燃焼しないため、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを車両の外に取り出し、別の装置を用いて除去処理を行う必要ある。
【0009】
そこで、実開平5−89823号公報や特開2004−218570号公報に示すように、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを車体フレームに着脱可能に取り付けた構造のものが提案されている。
【0010】
しかしながら、これらいずれの公報においても、産業車両のカウンターウエイトとの関連での記載はなく、着脱自在なディーゼル・パティキュレート・フィルターを産業車両のカウンターウエイトに対してどのように設けるかの観点からは一切記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この場合に、上述した特開平1−317879号公報や特開平4−148797号公報に示すような回動可能なカウンターウエイトを着脱可能なディーゼル・パティキュレート・フィルターに組み合わせることも考えられるが、この場合でも、ウンターウエイトを車体フレームに係止するためのピンを着脱する操作や、重量物のカウンターウエイトを回動する操作が別途必要であり、メンテナンス性を向上させるにも、限界がある。
【0012】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、カウンターウエイトを取り外したり、移動させたりすることなく、ディーゼル・パティキュレート・フィルターの着脱が容易な取付構造を提供することにある。別の言い方をすれば、本発明は、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのメンテナンス性を向上させようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明に係る産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造は、産業車両においてエンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼル・パティキュレート・フィルターを取り付けるための取付構造である。当該産業車両は、車両本体と、その前方に配置される作業装置と、車両本体の後部に配置され、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを収容するカウンターウエイトとを備えている。ディーゼル・パティキュレート・フィルターは、車両本体の後部に設けられた架台に着脱可能に取り付けられており、カウンターウエイトには、ディーゼル・パティキュレート・フィルターが上下方向に通過し得る大きさの上下方向の開口部が貫通形成されている。
【0014】
請求項1の発明によれば、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのメンテナンスの際には、カウンターウエイトに貫通形成された上下方向の開口部を利用して、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを車両外部に取り出すようにすればよい。また、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを車両内部に戻す場合も、同様にカウンターウエイトの上下方向の開口部を利用すればよい。
【0015】
この場合には、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのメンテナンスの際に、カウンターウエイトを取り外したり、カウンターウエイトを移動させたりすることなく、ディーゼル・パティキュレート・フィルターの着脱を行えるので、ディーゼル・パティキュレート・フィルターの着脱が容易になる。これにより、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのメンテナンス性を向上できる。
【0016】
請求項2の発明では、請求項1において、ディーゼル・パティキュレート・フィルターが、架台にネジ止め固定されている。
【0017】
この場合には、ネジによって、ディーゼル・パティキュレート・フィルターが架台に着脱可能に設けられている。
【0018】
請求項3の発明では、請求項1または2において、ディーゼル・パティキュレート・フィルターが、防振ゴムを介して架台の上に設けられている。
【0019】
請求項4の発明では、請求項2において、カウンターウエイトの後面には、前後方向の開口部が形成されており、当該開口部にネジが臨んでいる。
【0020】
この場合には、カウンターウエイトの後面に形成された開口部からネジの取外し作業および締付け作業を行うことができ、メンテナンス時の作業性を向上できる。
【0021】
請求項5の発明では、請求項1において、ディーゼル・パティキュレート・フィルターが、車両本体の後部において左右いずれかの側に偏倚して配置されている。
【0022】
この場合には、エンジンの排気管が車両本体の左右いずれかの側に偏倚して配置されている場合に、当該排気管に対してディーゼル・パティキュレート・フィルターを最短経路で配管できるようになる。
【0023】
請求項6の発明では、請求項1において、開口部がカウンターウエイトの車両幅方向中央部に配置されている。
【0024】
請求項7の発明では、請求項1において、開口部には、当該開口部を閉塞するための蓋体が着脱自在に設けられており、蓋体には、ディーゼル・パティキュレート・フィルターに接続されるマフラーが挿通している。
【0025】
この場合、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのメンテナンス時には、カウンターウエイトの開口部に設けられた蓋体を取り外すことで、当該開口部からディーゼル・パティキュレート・フィルターの着脱を行える。
【0026】
請求項8の発明では、請求項7において、蓋体の内側面に、導風用のリブが形成されている。
【0027】
この場合には、蓋体の内側面に形成されたリブを利用して、空気の流れをディーゼル・パティキュレート・フィルター後方に整流させて導くことができる。
【0028】
請求項9の発明では、請求項8において、蓋体が、エンジン冷却用の空気の流れを車両後方に導くためのリアシュラウドとして機能している。
【0029】
この場合には、蓋体の内側面に形成されたリブを利用して、エンジン冷却用の空気の流れを車両後方に導くことができる。
【0030】
請求項10の発明では、請求項1において、当該産業車両がフォークリフトまたはショベルローダである。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明に係る産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造によれば、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのメンテナンスの際には、カウンターウエイトに貫通形成された上下方向の開口部を利用して、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを車両外部に取り出すようにすればよく、また、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを車両内部に戻す場合も、同様にカウンターウエイトの上下方向の開口部を利用すればよい。これにより、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのメンテナンスの際には、カウンターウエイトを取り外したり、カウンターウエイトを移動させたりする必要がなく、ディーゼル・パティキュレート・フィルターの着脱を容易に行えるようになる。その結果、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのメンテナンス性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例によるディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造を採用するフォークリフトの側面概略図である。
【図2】前記フォークリフト(図1)のカウンターウエイトの平面概略図であって、上部開口に蓋体が取り付けられた状態を示している。
【図3】前記カウンターウエイト(図2)において蓋体を取り外した状態を示す平面概略図である。
【図4】前記カウンターウエイト(図2)の内部に収容されたディーゼル・パティキュレート・フィルターおよびその周辺装置の斜視概略図である。
【図5】図4の車両後方側から見た正面図である。
【図6】図4の縦断面概略図である。
【図7】前記ディーゼル・パティキュレート・フィルター(図4)の着脱動作を説明するための図である。
【図8】前記蓋体(図2)の変形例を示す斜視概略図である。
【図9】(a)は前記蓋体(図8)の平面図、(b)はその正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図7は、本発明の一実施例によるディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造を説明するための図である。ここでは、産業車両としてフォークリフトを例にとって説明する。
【0034】
図1に示すように、フォークリフト1は、車両本体2と、その前方に配置されたフォーク等の作業装置3と、車両本体2の後部に配置されたカウンターウエイト4とを備えている。
【0035】
カウンターウエイト4には、図2に示すように、その上面パネル4Aの車両幅方向(図2左右方向)中央部分に開口部4aが貫通形成されており、開口部4aには、該開口部4aを閉塞するための蓋体5がネジ等により着脱自在に取り付けられている。蓋体5には、貫通孔5aが形成されており、該貫通孔5aには、マフラー40が挿通して上方に延びている。
【0036】
カウンターウエイト4の内部には、図3に示すように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(Diesel Particulate Filter)6が設けられている。ディーゼル・パティキュレート・フィルター6は、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集してこれを排気ガス中から除去するためのものである。ディーゼル・パティキュレート・フィルター6の排気ガス導入側には、エンジン側に接続される排気管60が接続されており、排気ガス導出側には、マフラー40の一端が接続されている。カウンターウエイト4の開口部4aは、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6が当該開口部4aを上下方向に通過し得る大きさに設定されている。また、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6は、車両の左右いずれかの側(この例では右側)に偏倚して配置されている。このため、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6は、カウンターウエイト4の開口部4aに対してオフセットされている。
【0037】
なお、図3中、参照符号7はラジエータを示しており、ラジエータ7には、エンジンを冷却するための冷却水が貯留されている。また、参照符号8はファンシュラウドを示している。ファンシュラウド8は、ファンにより発生した気流をラジエータ7に導くことによりラジエータ7を冷却するための導風装置である。
【0038】
ディーゼル・パティキュレート・フィルター6は、図4に示すように、エンジン10の車両後方側に配置されており、上述したように、エンジン10から延びる排気管60が接続されている。この例では、エンジン10の排気管60がエンジン10の右側から延びており、また、上述したように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6が車両の右側に配置されているため、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6とエンジン10との間の配管を最短距離で行える。
【0039】
ディーゼル・パティキュレート・フィルター6は、架台61、62の上に設けられている。架台61、62は、図5に示すように、車両幅方向(同図左右方向)に延びる一対のベース板から構成されており、各架台61、62は、車両前後方向(同図紙面垂直方向)に所定の間隔を隔てて配設されている(図4参照)。
【0040】
ディーゼル・パティキュレート・フィルター6は、各架台61、62の上にアングルプレートのような取付金具63を介して取り付けられている。取付金具63の上部は、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6の底部に固定されており、下部は、架台61、62に対して取付ネジ64によりネジ止め固定されている。図4、図5中、参照符号65は取付ネジ64に螺合するナットである。取付ネジ64は、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6の着脱時にその脱落を防止するために、架台61、62に溶接等により固着されていてもよい。また、取付金具63に形成される取付ネジ挿入用の孔は、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6の取付時の位置決めを容易にするために、長孔でもよい。なお、図4および図5には、取付金具63として、3個のアングルプレートが設けられた例が示されているが、アングルプレートは2個でもよく、また4個以上でもよい。
【0041】
各取付金具63と各架台61、62との間において取付ネジ64の周りには、防振ゴム66が装着されている。このように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6が防振ゴム66の上にマウントされていることにより、車両走行時の振動がディーゼル・パティキュレート・フィルター6に直接伝搬するのが防止されている。なお、この防振ゴム66は必須の部材ではない。
【0042】
また、カウンターウエイト4の後面パネル4Bには、前後方向の開口部4bが貫通形成されており(図6参照)、該開口部4bには、取付ネジ64およびナット65が臨んでいる(図5二点鎖線参照)。
【0043】
次に、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6のメンテナンス時の作業について説明する。
メンテナンス時には、作業者が、カウンターウエイト4の上面パネル4Aの開口部4aを閉塞している蓋体5を開け、蓋体5を開口部4aから取り外す。これにより、カウンターウエイト4の上面パネル4Aは、開口部4aが露出している状態になる(図3参照)。この状態から、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6に接続されている排気管60を外すとともに、ナット65を緩めて外す。なお、ナット65のうちの一部は、蓋体5を開ける前に、カウンターウエイト4の後面パネル4Bの開口部4bから取り外すことも可能である(図5参照)。
【0044】
次に、クレーン等を用いて、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6を少し吊り上げ、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6の底部の取付金具63を取付ネジ64のネジ部から抜く。この状態から、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6を車両の左側に若干量移動させて(図7参照)、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6を開口部4aの真下の位置に移動させる。次に、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6を上方に移動させ、開口部4aを通って車両の外部に吊り出して降ろす。そして、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6内に堆積していたアッシュ等の除去処理やフィルターの交換作業を行う。
【0045】
処理終了後は、再び、クレーン等を用いてディーゼル・パティキュレート・フィルター6を吊り上げ、カウンターウエイト4の上面パネル4Aの開口部4aからカウンターウエイト4内にディーゼル・パティキュレート・フィルター6を導入するとともに、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6を若干量車両の右側に移動させて、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6の取付金具63の孔の位置を取付ネジ64のネジ部の位置に合わせる。この状態から、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6を下方に移動させて、取付金具63の孔に取付ネジ64のネジ部を挿入し、その後、ネジ部にナット65を装着して締め付ける。次に、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6に排気管60を取り付けるとともに、開口部4aに蓋体5を取り付ける。このようにして、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6のメンテナンス作業が完了する。
【0046】
この場合には、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6のメンテナンス時に、カウンターウエイト4に貫通形成された上下方向の開口部4aを利用して、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6を車両外部に取り出すようにすればよく、また、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6を車両内部に戻す場合も、同様にカウンターウエイト4の上下方向の開口部4aを利用すればよい。これにより、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6のメンテナンスの際に、カウンターウエイト4を取り外したり、カウンターウエイト4を移動させたりする必要がなく、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6の着脱を容易に行えるようになる。その結果、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6のメンテナンス性を向上できる。
【0047】
しかも、本実施例によるディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造においては、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6に接続されるマフラー40をカウンターウエイト4の上方に配設するようにしたので、マフラー40およびその周辺のメンテナンス作業も容易になる。
【0048】
また、マフラー40をカウンターウエイト4の上方に配設したことで、図6に示すように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6の下方に内部空間が形成されており、この内部空間を利用して、車両前方(同図右方)から導入される外気を車両後方(同図左方)に移動させて(同図中矢印参照)、カウンターウエイト4の後面パネル4Bの開口部4bから車両外部に導出できるようになる。
【0049】
このとき、ディーゼル・パティキュレート・フィルター6の上方の内部空間にも外気の流れを通すことは可能であるが、これをより効果的に行えるように、蓋体5の内面に導風用のリブを設けるようにしてもよい。
【0050】
図8および図9は、このようなリブを備えた蓋体5の変形例を示している。これらの図に示すように、蓋体5は、左右の側板5A、5B、天板5Cおよび背板5Dから構成されており、前面および底面が開放している。そして、背板5Dをエンジン側(つまり車両前側)に配置した状態でカウンターウエイト4内部に収容されている(図6参照)。
【0051】
蓋体5の側板5A、5Bには、車両前後方向(図9(b)紙面垂直方向)に延びる板状のリブ(整流板)50、51がそれぞれ設けられている。蓋体5の天板5Cには、実質的に車両前後方向に延びる3本のリブ52、53、54(整流板)が所定の間隔で設けられている。中央のリブ52は、車両前後方向に沿っている。両側のリブ53、54は、車両後方側(図9(a)下側)に向かうにしたがい、徐々に中央のリブ52に接近するように内側に傾斜して配設されている(図8、図9(a)参照)。これにより、車両前方から導入された外気を整流させつつ車両後方に送ることができるようになる(図9矢印参照)。この場合、蓋体5は、エンジン冷却用の空気の流れを車両後方に整流させて導くリアシュラウドとして機能している。
【0052】
<他の適用例>
前記実施例では、本発明によるディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造がフォークリフトに適用された例を示したが、本発明はその他の産業車両(例えばショベルローダ)にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、カウンターウエイトを備えたフォークリフトやショベルローダ等の産業車両に適している。
【符号の説明】
【0054】
1: フォークリフト
10: エンジン

2: 車両本体

3: 作業装置

4: カウンターウエイト
4A: 上面パネル
4a: 開口部
4B: 後面パネル
4b: 開口部
40: マフラー

5: 蓋体
50〜54: リブ

6: ディーゼル・パティキュレート・フィルター
61、62: 架台
64: 取付ネジ
66: 防振ゴム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開平1−317879号公報(第1図参照)
【特許文献2】特開平4−148797号公報(第1図参照)
【特許文献3】実開平5−89823号公報(図1参照)
【特許文献4】特開2004−218570号公報(図1参照)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両においてエンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼル・パティキュレート・フィルターを取り付けるための取付構造であって、
当該産業車両が、車両本体と、その前方に配置される作業装置と、前記車両本体の後部に配置され、前記ディーゼル・パティキュレート・フィルターを収容するカウンターウエイトとを備えており、
前記ディーゼル・パティキュレート・フィルターは、前記車両本体の後部に設けられた架台に着脱可能に取り付けられるとともに、前記カウンターウエイトには、前記ディーゼル・パティキュレート・フィルターが上下方向に通過し得る大きさの上下方向の開口部が貫通形成されている、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記ディーゼル・パティキュレート・フィルターが、前記架台にネジ止め固定されている、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ディーゼル・パティキュレート・フィルターが、防振ゴムを介して前記架台の上に設けられている、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。
【請求項4】
請求項2において、
前記カウンターウエイトの後面には、前後方向の開口部が形成されており、前記開口部に前記ネジが臨んでいる、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。
【請求項5】
請求項1において、
前記ディーゼル・パティキュレート・フィルターが、前記車両本体の前記後部において左右いずれかの側に偏倚して配置されている、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。
【請求項6】
請求項1において、
前記開口部が前記カウンターウエイトの車両幅方向中央部に配置されている、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。
【請求項7】
請求項1において、
前記開口部には、当該開口部を閉塞するための蓋体が着脱自在に設けられており、前記蓋体には、前記ディーゼル・パティキュレート・フィルターに接続されるマフラーが挿通している、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。
【請求項8】
請求項7において、
前記蓋体の内側面には、導風用のリブが形成されている、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。
【請求項9】
請求項8において、
前記蓋体が、エンジン冷却用の空気の流れを車両後方に導くためのリアシュラウドとして機能している、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。
【請求項10】
請求項1において、
当該産業車両がフォークリフトまたはショベルローダである、
ことを特徴とする産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−106836(P2012−106836A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256862(P2010−256862)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】