説明

画像保護シート

【課題】 塵や埃等の異物が付着しにくく、皴が入りにくく、印画物の画像品位を低下させずにその保存性を高め得る画像保護シートを提供すること。
【解決手段】 基材2上に転写層3を有する転写シート4と、該転写層3の表面3aの全域を被覆するカバーシート5とを具備し、該カバーシート5は、該転写シート4の該転写層3側の周端部の一部に形成された接合部6に接合されており、該カバーシート5と該転写シート4との間に印画物Pを挿入可能になしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式、電子写真方式、熱転写方式等により作製された印画物の画像を保護するための画像保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
画像保護シートとしては、従来から、基材上に熱転写性の樹脂層(転写層)を設けた構成のものが知られている。斯かる構成の画像保護シートを該転写層の表面と印画物の画像面とが対向するように重ね合わせ、この状態で両者を加熱加圧して該転写層を該画像面に接着させた後、該基材を剥離することにより、該転写層が該画像面に熱転写され、画像面が転写層で被覆された印画物が得られる(例えば、特許文献1及び2参照)。このようないわゆるオーバーコート処理を施された印画物は、画像面を被覆する転写層により画像堅牢性に優れており、長期保存が可能である。
【特許文献1】特開2002−264266号公報
【特許文献2】特開2003−211841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の画像保護シートは、静電気等により塵や埃等の異物が付着し易く、使用前に上記転写層の表面に付着した異物が、転写後の該転写層と印画物の画像面との間に混入することによって、オーバーコート処理された印画物の画像品位が著しく低下するという問題があった。また、このような異物の混入があると、該異物の周辺に気泡が形成されることによって、転写後の転写層と画像面との間に無視できない大きさの非接着空間が形成され、転写層の接着性の低下や画像の保存性の低下等を招くという問題があった。また、従来の画像保護シートは、熱転写工程において印画物上に供給される際に皴が入る場合が少なくなく、皴が入った状態の画像保護シートと印画物とが接着されることで、オーバーコート処理された印画物の画像品位が著しく低下するという問題もあった。
【0004】
従って、本発明の目的は、塵や埃等の異物が付着しにくく、皴が入りにくく、印画物の画像品位を低下させずにその保存性を高め得る画像保護シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、印画物の画像上に熱転写される転写層を有する画像保護シートであって、基材上に上記転写層を有する転写シートと、該転写層の表面の全域を被覆するカバーシートとを具備し、上記カバーシートは、上記転写シートの上記転写層側の周端部の一部に接合されており、該カバーシートと該転写シートとの間に印画物を挿入可能になしてあることを特徴とする画像保護シートを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0006】
本発明の上記画像保護シートは、印画物の画像面に圧着される上記転写層の表面の全域がカバーシートで被覆されており、該表面が外部に露出する機会がほとんど無いので、該表面に塵や埃等の異物が付着しにくく、異物が転写後の該転写層と印画物の画像面との間に混入することによって生じる種々の弊害、例えば画像品位の低下、転写層の接着性の低下、画像の保存性の低下等を効果的に防止することができる。また、上記画像保護シートは、熱転写工程で上記転写シートに皴が入りにくいため、皴の形成による画像品位の低下等も効果的に防止することができる。
【0007】
また、本発明は、印画物の画像上に熱転写される転写層を有する画像保護シートであって、基材上に上記転写層を有する2枚の転写シートを具備し、2枚の該転写シートは、それぞれの該転写層を内側にし且つ相互に該転写層の表面の全域を被覆するように重ね合わされており、2枚の上記転写シートは、両転写シートの重ね合わせ領域の周端部の一部で接合されており、2枚の該転写シートの間に印画物を挿入可能になしてあることを特徴とする画像保護シートを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
本発明の上記画像保護シート(カバーシートを具備せず、2枚の転写シートを具備するもの)は、上述したカバーシート付の画像保護シートと同様に、上記転写層の表面に塵や埃等の異物が付着することに起因する種々の弊害を効果的に防止することができると共に、上記転写シートに皴が入りにくく、皴の形成による画像品位の低下等も効果的に防止することができる。
更に、この画像保護シートは、挿入された印画物を転写層で挟むように構成されているので、表裏面に画像が形成された両面印画物の該表裏面のオーバーコート処理を一回の作業で完了させることが可能である。また、片面に画像が形成された2枚の印画物を、これらの非画像面を対向させるように重ね合わせ、この状態で該画像保護シートに挿入して常法通り熱転写工程を行うことで、2枚の印画物のオーバーコート処理を一回の作業で完了させることが可能であり、印画物のオーバーコート処理を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の画像保護シートについて、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の画像保護シートの上面図、図2は、図1に示す画像保護シートのX−X線断面図である。
【0010】
第1実施形態の画像保護シート1は、図1及び図2に示すように、シート状の基材2の片面に転写層3を有する転写シート4と、該転写層3の表面3aの全域を被覆するカバーシート5とを具備している。カバーシート5は、転写シート4の転写層3側の周端部の一部(図1中、斜線で示した部分)に、ヒートシール、高周波シール、超音波シール、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系などの各種接着剤等の公知の接合手段により接合されている。
【0011】
第1実施形態では、上記転写シート4は矩形形状をなし、また、上記カバーシート5は該転写シート4よりも大きい相似形の矩形形状をなしている。このように、カバーシート5を転写シート4より大きくしておくことで、印画物の挿入がし易くなり、また、熱転写工程で使用する加熱ローラ等の部材に転写層が付着して該部材を汚すなどの不都合を回避することができる。
【0012】
また、第1実施形態では、上記カバーシート5は、上記転写シート4の四辺のうちの三辺に沿った端部(図1中、斜線で示した部分)に接合されており、該端部が両シート4,5の接合部6となっている。接合部6の幅は、両シートの接着性と剥離性とのバランスの観点(カバーシート5は最終的には転写シート4から剥がされるので、その際の剥がし易さが求められる)から、好ましくは10mm以下、更に好ましくは1〜6mmである。尚、図2では、説明容易のため、接合部6の厚みが実際よりも厚く記載されているが、実際は接合部6は薄厚で、両シート4,5間には実質的に隙間が無い状態となっている。
【0013】
また、第1実施形態では、上記転写シート4の上記基材2側における上記カバーシート5との非接合部(上記接合部6以外の部分)に対応する領域、及び該カバーシート5の該転写シート4に重ね合わされる側と反対側における該転写シート4との非接合部に対応する領域に、摘み部7,7が剥離可能に設けられている。このように、画像保護シート1の両外面1a,1aのうちの少なくとも一方における両シート4,5の非接合部に対応する領域に、摘み部を設けておくことで、印画物を挿入するためのスペースが作りやすくなり、取り扱いが容易になる。また、このような摘み部が設けられた状態で熱転写工程を行うと、転写不良等の種々の不都合が生じるおそれがあるため、該摘み部は熱転写工程前に除去しておくことが好ましいところ、上記摘み部7,7は、比較的弱い接着力で剥離可能に両シート4,5に接合されているので、必要なときに手で簡単に剥がして除去することができる。
【0014】
上記摘み部7の上記両シート4,5への接合は、ヒートシール、高周波シール、超音波シール、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系などの各種接着剤、両面テープ等の公知の接合手段を用いて行うことができる。また、摘み部7の形成材料としては、後述する上記基材2や上記カバーシート4の形成材料と同様のものを用いることができる。
【0015】
以下、第1実施形態の画像保護シートを構成する各部材(転写シート4、カバーシート5)について説明する。
【0016】
上記転写シート4を構成する上記基材2としては、熱転写時における所定の加熱圧着条件下で形状を安定して維持できるような耐熱性を有し、且つ画像面上に圧着された転写層から容易に剥離できるものが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニルスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂フィルムが挙げられ、中でも、PETフィルムが好ましい。
【0017】
上記基材2の厚みは、取り扱い性及び転写・剥離性の観点から、好ましくは12〜50μmである。
【0018】
上記基材2には、耐熱性の向上等の目的で、必要に応じ、セラミック微粒子を含有させたり、該基材2の加熱ローラ等と接触する面(画像保護シートの外面1a)に耐熱性樹脂を塗布したりすることができる。耐熱性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、セルロース樹脂やヒドロキシエチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、シリコーン変性樹脂、長鎖アルキル変性樹脂等が挙げられる。
【0019】
また、上記基材2の両面の少なくとも一方に、離型処理、帯電防止処理、コロナ放電処理等の各種表面処理を施すこともできる。離型処理は、被処理面に離型剤としてシリコーン樹脂、フッ素系樹脂、メラミン系樹脂、コロイダルシリカなどを塗布する処理で、基材2の上記転写層3が設けられる面に施した場合は、基材の剥離性の向上などに有効であり、基材2の転写層が設けられない面(画像保護シートの外面1a)に施した場合は、加熱ローラ等への熱融着の防止や、耐ブロッキング性の向上、給紙時における滑り性の改善などに有効である。離型層の厚みは、通常0.1〜5μm程度である。また、コロナ放電処理は、コロナ放電が発生している空間(例えば、一対の対向電極の間)に基材2を通してその表面の濡れ張力を向上させる処理で、基材2の転写層3が設けられる面に施すことにより、基材2と転写層3との間の密着性を高めることができる。
【0020】
上記転写シート4を構成する上記転写層3の形成材料としては、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0021】
上記転写層3には、必要に応じ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、テキサノール等の成膜助剤や、無機粒子、ワックス等のブロッキング防止剤の他、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、耐水化剤、防腐剤、界面活性剤、増粘剤、流動性改良剤、pH調整剤、レベリング剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有させることができる。
【0022】
上記転写層3の厚みは、転写・剥離性及び透明性の観点から、好ましくは2〜20μmである。
【0023】
尚、第1実施形態では、転写層3は1種類の層からなる単層構造であったが、転写層を2種類以上の層を積層してなる多層構造としてもよい。多層構造の転写層の一例として、例えば、上記転写層をガラス転移温度(Tg)の異なる2層構造とし、且つこれら2層のうちの上記基材に隣接する層のTgを、別の層のTgよりも高く設定したものが挙げられる。斯かる構成により、熱転写性能(画像面への転写層の密着性能)と画像面の保護性能とを高いレベルで両立させることが可能となる。2層構造を構成する両層のTg差は10〜100℃程度が好ましい。
【0024】
上記転写シート4は、上述した転写層3の形成材料を適当な溶剤に溶かして塗工液を調整し、該塗工液を公知の塗工法を用いて上記基材2の片面に塗工することにより製造することができる。
【0025】
上記カバーシート5としては、上記基材2と同様のものを用いることができ、好ましくはPETフィルムである。また、上記基材2と同様に、必要に応じ、カバーシート5にセラミック微粒子を含有させたり、耐熱性樹脂を塗布したり、離型処理、帯電防止処理、コロナ放電処理等の各種表面処理を施したりすることができる。
上記カバーシート5の厚みは、搬送性及びコストの観点から、好ましくは12〜100μmである。
【0026】
第1実施形態の画像保護シート1は、次のようにして印画物のオーバーコート処理に使用される。先ず、図3に示すように、上記摘み部7,7を外側に向けて引っ張り、上記転写シート4と上記カバーシート5と間の非接合部の間隔を広げて開口端部Aを形成し、該開口端部Aから両シート4,5間に印画物Pを挿入する。このとき、印画物Pの画像面が上記転写層3の表面3aと対向するように印画物Pを両シート4,5間に挿入する。印画物Pの挿入後、摘み部7,7を剥がし取る。
【0027】
次に、上記印画物Pが挿入され、上記摘み部7,7が除去された画像保護シート1を、所定の加熱温度及び線圧に調整された加熱ローラ対間を通過させる。このとき、加熱ローラ対により、画像保護シート1が、上記両シート4,5の上記接合部6から非接合部の端部(上記開口端部A)に向かって加熱加圧されるように、該画像保護シート1を通過させることが、気泡の混入や皴の発生の防止の点で好ましい。このような加熱加圧処理により、上記転写層3が印画物Pの画像面上に圧着され、上記転写シート4と印画物Pとが一体化される。しかる後、上記カバーシート5を剥離することにより、画像面上に転写層3が熱転写され、最終目的物である、画像が転写層で被覆された印画物(オーバーコート処理された印画物)が得られる。尚、上記加熱ローラ対を有する装置としては、一般ユーザー向けに市販されているラミネータ装置(例えば、日本GBC社製のLami−α500)を用いることができる。
【0028】
このように、第1実施形態の画像保護シート1は、転写層3の表面3aが外部に露出する機会が極めて少ないため、該表面3aに塵や埃等の異物が付着しにくく、転写後の転写層3と印画物の画像面との間に異物が混入するおそれがほとんどない。また、この画像保護シート1は、転写シート4に皴が入りにくいため、熱転写処理時においては印画物の画像面の全面に転写層3がしっかりと圧着され、画像品位の高い高品質の印画物を提供することができる。尚、画像保護シート1は、インクジェット方式、電子写真方式、熱転写方式等、種々の記録方式により作製された印画物に適用することができるが、中でも、インクジェット方式により作製された印画物に対して有効である。
【0029】
図4は、本発明の画像保護シートの第2実施形態の上面図、図5は、図4に示す画像保護シートのX−X線断面図である。第2実施形態において説明を省略した箇所については、上述した第1実施形態の説明が適用される。
【0030】
第2実施形態の画像保護シート10は、上記カバーシート5を具備していない代わりに、更にもう一枚の上記転写シート4を具備している点以外は、第1実施形態と同様に構成されている。即ち、第2実施形態の画像保護シート10は、図4及び図5に示すように、シート状の上記基材2の片面に上記転写層3を有する同サイズの矩形形状の2枚の上記転写シート4,4を具備し、2枚の該転写シート4,4は、それぞれの該転写層3,3を内側にし且つ相互に該転写層3,3の表面3a,3aの全域を被覆するようにすると共に、矩形形状の四辺を一致させて重ね合わされている。2枚の転写シート4,4は、両転写シート4,4の重ね合わせ領域の周端部の一部(図4中、斜線で示した部分)、具体的には、転写シート4の四辺のうちの三辺に沿った端部で公知の接合手段により接合されており、該周端部の一部が両シート4,4の接合部6となっている。また、2枚の転写シート4,4のうちの少なくとも一方(第2実施形態では両方)の基材2側における他方の転写シート4との非接合部に対応する領域(画像保護シート10の両外面10a,10aのうちの少なくとも一方における両シート4,4の非接合部に対応する領域)には、上記摘み部7,7が剥離可能に設けられている。両転写シート4,4間に印画物を挿入する際には、この摘み部7,7を外側に向けて引っ張ればよい。
【0031】
このような構成の第2実施形態の画像保護シート10は、熱転写工程を一回行うだけで、2つの被転写面(画像面)に対して上記転写層3,3を同時に熱転写することができ、印画物のオーバーコート処理を効率良く行うことができる。
【0032】
第2実施形態は、上記のように、2つの被転写面(画像面)に対して同時にオーバーコート処理が可能であり、上記転写シート4,4を同一のものとした場合は、2つの被転写面に対して同一の質感(光沢調、ラスター調、マット調など)を同時に付与することが可能となり、上記転写シート4,4を異なるものとした場合は、2つの被転写面に対してそれぞれ異なる質感を同時に付与することが可能となる。後者の形態の一例としては、上記転写シート4,4のうちの一方は、印画物の画像上にその上記転写層3が熱転写された後の該転写層表面(転写層が転写された印画物における該転写層の表面)のJIS−Z8741で規定する60度鏡面光沢度が60〜95%の範囲にあり、他方は、印画物の画像上にその上記転写層3が熱転写された後の該転写層表面のJIS−Z8741で規定する60度鏡面光沢度が5〜50%の範囲にあるものが挙げられる。斯かる構成の画像保護シートによれば、2つの被転写面の一方に光沢調の質感(上記60度鏡面光沢度が高い方)を付与し、他方にマット調の質感(上記60度鏡面光沢度が低い方)を付与することができる。
【0033】
熱転写後の上記転写層表面(転写層が転写された印画物における該転写層の表面)の質感は、熱転写前の上記基材の該転写層との接触面(転写層積層面)の平滑性を適宜調整することで変更することができる。即ち、上記基材の転写層積層面の平滑性が高い場合は、熱転写後の転写層表面の平滑性も高くなって光沢感の強い質感(光沢調)が得られるようになり、上記基材の転写層積層面の平滑性が低下するにつれて熱転写後の転写層表面の平滑性も低下し、ラスター調、マット調などの質感が得られるようになる。基材の転写層積層面の平滑性を高める方法としては、カレンダー処理が利用でき、該転写層積層面の平滑性を低下させる方法としては、基材にシリカ、チタニアなどの無機粒子を含有させる方法、該転写層積層面に該無機粒子を吹き付ける方法などが利用できる。
【0034】
本発明は、上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、重ね合わされた矩形形状のシート同士は、四辺のうちの三辺に沿った端部で接合されていたが、上記転写シートの上記転写層側の周端部の一部で、又は2枚の転写シートの重ね合わせ領域の周端部の一部で接合されていればよく、四辺のうちの一辺〜二辺に沿った端部で接合されていてもよいし、辺に沿った端部の全体ではなく、該端部の一部で部分的に接合されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の画像保護シートの第1実施形態の上面図である。
【図2】図1に示す画像保護シートのX−X線断面図である。
【図3】図1に示す画像保護シートの使用方法の説明図である。
【図4】本発明の画像保護シートの第2実施形態の上面図である。
【図5】図4に示す画像保護シートのX−X線断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1,10…画像保護シート、1a,10a…画像保護シートの外面、2…基材、3…転写層、3a…転写層の表面、4…転写シート、5…カバーシート、6…接合部、7…摘み部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印画物の画像上に熱転写される転写層を有する画像保護シートであって、
基材上に上記転写層を有する転写シートと、該転写層の表面の全域を被覆するカバーシートとを具備し、
上記カバーシートは、上記転写シートの上記転写層側の周端部の一部に接合されており、該カバーシートと該転写シートとの間に印画物を挿入可能になしてあることを特徴とする画像保護シート。
【請求項2】
上記転写シートは矩形形状をなしており、上記カバーシートは、矩形形状の該転写シートの四辺のうちの一辺〜三辺に沿った端部に接合されていることを特徴とする請求項1記載の画像保護シート。
【請求項3】
上記転写シートと上記カバーシートとの接合部の幅が10mm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像保護シート。
【請求項4】
上記カバーシートは、上記転写シートより大きいことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像保護シート。
【請求項5】
上記転写シートの上記基材側における上記カバーシートとの非接合部に対応する領域及び/又は該カバーシートの該転写シートに重ね合わされる側と反対側における該転写シートとの非接合部に対応する領域に、摘み部が剥離可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像保護シート。
【請求項6】
印画物の画像上に熱転写される転写層を有する画像保護シートであって、
基材上に上記転写層を有する2枚の転写シートを具備し、2枚の該転写シートは、それぞれの該転写層を内側にし且つ相互に該転写層の表面の全域を被覆するように重ね合わされており、
2枚の上記転写シートは、両転写シートの重ね合わせ領域の周端部の一部で接合されており、2枚の該転写シートの間に印画物を挿入可能になしてあることを特徴とする画像保護シート。
【請求項7】
2枚の上記転写シートのうちの一方は、印画物の画像上にその上記転写層が熱転写された後の該転写層表面のJIS−Z8741で規定する60度鏡面光沢度が60〜95%の範囲にあり、他方は、印画物の画像上にその上記転写層が熱転写された後の該転写層表面のJIS−Z8741で規定する60度鏡面光沢度が5〜50%の範囲にあることを特徴とする請求項6記載の画像保護シート。
【請求項8】
2枚の上記転写シートは、同サイズで矩形形状をなし、矩形形状の四辺を一致させて重ね合わされており、これら四辺のうちの一辺〜三辺に沿った端部で接合されていることを特徴とする請求項6又は7記載の画像保護シート。
【請求項9】
2枚の上記転写シートの接合部の幅が10mm以下であることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の画像保護シート。
【請求項10】
2枚の上記転写シートのうちの少なくとも一方の上記基材側における他方の該転写シートとの非接合部に対応する領域に、摘み部が剥離可能に設けられていることを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載の画像保護シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−181922(P2006−181922A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379223(P2004−379223)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】