説明

画像再生装置及びプログラム

【課題】複数の連続した画像の中からユーザが望むシーンを見つけて再生表示する。
【解決手段】制御部32に画像分析部51a、グラフ作成部51b、表示制御部51cを設ける。画像分析部51aは、再生対象とする各画像の視覚特性を分析する。グラフ作成部51bは、画像分析部51aによって分析された各画像の視覚特性を相関的に表わす特性グラフを作成する、表示制御部51cは、グラフ作成部51bによって作成された特性グラフを表示部に表示すると共に、特性グラフ上の任意の位置が指定された際に、その指定位置に対応した視覚特性を有する画像を表示部に表示する。これにより、再生対象とする各画像の視覚特性をグラフ化して、その中から所望のシーンを探して再生表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置に用いて好適な画像再生装置に係り、特に複数の連続した画像を再生表示する場合に用いて好適な画像再生装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、デジタルカメラ等の撮像装置では、静止画や動画の撮影機能を備えると共に、その撮影された画像をモニタ画面に再生表示するための再生機能を備える。ここで、動画像を再生する際に、その動画像を構成する各シーンの中で画像の特徴的変化の大きいシーンを選択的にサムネイル化し、これらを時系列順に表示する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−277847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような方法によれば、動画像を再生表示する前に、時系列に並べられたサムネイル画像から当該動画像の内容を把握することができる。しかしながら、全てのシーンをサムネイル化することはできないので、その中からユーザが望むシーンを見つけて再生表示することはできない。
【0004】
本発明は前記のような点に鑑みなされたもので、複数の連続した画像の中からユーザが望むシーンを見つけて再生表示することのできる画像再生装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像再生装置は、複数の連続した画像を記憶する画像記憶手段と、この画像記憶手段に記憶された各画像を表示するための表示手段と、前記各画像の視覚特性を分析する画像分析手段と、この画像分析手段によって分析された前記各画像の視覚特性を相関的に表わす特性グラフを作成するグラフ作成手段と、このグラフ作成手段によって作成された特性グラフを前記表示手段に表示すると共に、前記特性グラフ上の任意の位置が指定された際に、その指定位置の視覚特性に対応した画像を前記表示手段に表示する表示制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2は、請求項1記載の画像再生装置において、前記視覚特性とは色情報であり、前記グラフ作成手段は、前記各画像の色情報を相関的に表わす特性グラフを作成することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3は、請求項2記載の画像再生装置において、グラフ化する色情報を指定するグラフ色指定手段を備え、前記グラフ作成手段は、前記グラフ色指定手段によって指定された色情報に関する特性グラフを作成することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4は、請求項2または3記載の画像再生装置において、前記色情報には、R,G,B,C,Y,M,又はWの何れか1色が含まれることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5は、請求項1記載の画像再生装置において、前記視覚特性とは輝度情報であり、前記グラフ作成手段は、前記各画像の輝度情報を相関的に表わす特性グラフを作成することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6は、請求項1記載の画像再生装置において、グラフ種類を指定するグラフ種類指定手段を備え、前記グラフ作成手段は、前記グラフ種類指定手段によって指定された種類の特性グラフを作成することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7は、請求項6記載の画像再生装置において、前記グラフ種類には、折れ線グラフ、棒グラフ、又は帯グラフの何れか1つが含まれることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8は、請求項1記載の画像再生装置において、前記グラフ作成手段は、前記画像分析手段によって得られた分析データを当該各画像に関連付けて記憶しておき、次回同じ画像の視覚特性をグラフ化する際にこれを参照することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9は、請求項1記載の画像再生装置において、前記画像記憶手段に記憶された各画像は、動画像であることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10は、請求項1記載の画像再生装置において、前記画像記憶手段に記憶された各画像は、複数の静止画であることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11は、請求項1記載の画像再生装置において、前記表示手段は、第1の表示手段と第2の表示手段を備え、前記第1の表示手段は、前記複数の連続した画像を表示し、前記第2の表示手段は、前記特性グラフを表示することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12は、請求項1記載の画像再生装置において、前記表示手段で表示している画像に対応した前記特性グラフの対応位置記号を示す位置表示手段を備え、前記表示制御手段は、前記位置表示手段で表示している前記特性グラフの対応位置記号を移動することにより前記特性グラフ上の任意の位置を指定することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項13は、請求項1記載の画像再生装置において、前記表示手段は、画像記憶手段に記憶された画像と、前記特性グラフを同時に表示することを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項14に係るプログラムは、複数の連続した画像を再生対象とし、これらの画像を表示装置に表示するコンピュータによって実行されるプログラムであって、前記コンピュータに、前記各画像の視覚特性を分析処理する機能と、前記分析処理によって得られた前記各画像の視覚特性を相関的に表わす特性グラフを作成する機能と、前記特性グラフを前記表示装置に表示すると共に、前記特性グラフ上の任意の位置が指定された際に、その指定位置の視覚特性に対応した画像を前記表示装置に表示する機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の連続した画像の視覚特性をグラフ化することで、複数の連続した画像の中からユーザが望むシーンを見つけて再生表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る撮像装置としてデジタルカメラを例にした場合の外観構成を示す図であり、図1(a)は主に前面の構成、同図(b)は主に背面の構成を示す斜視図である。
【0022】
このデジタルカメラ1は、略矩形の薄板状のカメラ本体2の前面に、撮影レンズ3、セルフタイマランプ4、光学ファインダ窓5、ストロボ発光部6、マイクロホン部7などを有し、上面の(ユーザにとって)右端側には電源キー8及びシャッタキー9などが設けられている。
【0023】
電源キー8は、電源のオン/オフ毎に操作するキーであり、シャッタキー9は、撮影時に撮影タイミングを指示するキーである。
【0024】
また、デジタルカメラ1の背面には、撮影モード(R)キー10、再生モード(P)キー11、光学ファインダ12、スピーカ部13、マクロキー14、ストロボキー15、メニュー(MENU)キー16、リングキー17、セット(SET)キー18、ディスプレイキー(DISP)19、表示部20などが設けられている。
【0025】
撮影モードキー10は、電源オフの状態から操作することで自動的に電源オンとして静止画の撮影モードに移行する一方で、電源オンの状態から繰返し操作することで、静止画モード、動画モードを循環的に設定する。静止画モードは、静止画を撮影するためのモードである。また、動画モードは、動画を撮影するためのモードである。再生モードキー11は、電源オフの状態から操作することで自動的に電源オンとして再生モードに移行する。
【0026】
光学ファインダ12は、撮影時にユーザが撮影対象となる被写体を光学的に確認するためのものである。スピーカ部13は、音声を出力する。マクロキー14は、静止画の撮影モードで通常撮影とマクロ撮影とを切換える際に操作する。ストロボキー15は、ストロボ発光部6の発光モードを切換える際に操作する。
【0027】
メニューキー16は、各種メニュー項目等を選択する際に操作する。リングキー17は、上下左右方向の項目選択用のカーソルキーが一体に形成されたものであり、このリングキー17の中央に位置するセットキー18は、その時点で選択されている項目を設定する際に操作する。
【0028】
また、ディスプレイキー(DISP)19は、表示モードの切り替えを指示するためのキーである。本実施形態では、このディスプレイキー19を後述するグラフ表示の指示キーとして用いる。
【0029】
表示部20は、バックライト付きのカラー液晶パネルで構成される。この表示部20は、撮影モード時には電子ファインダとしてスルー画像のモニタ表示を行う一方で、再生モード時には選択した画像等を再生表示する。
【0030】
なお、図示はしないがデジタルカメラ1の底面には、記録媒体として用いられるメモリカードを着脱するためのメモリカードスロットや、外部のパーソナルコンピュータ等と接続するためのシリアルインタフェースコネクタとして、例えばUSB(Universal Serial Bus)コネクタ等が設けられている。
【0031】
図2はデジタルカメラ1の電子回路構成を示すブロック図である。
【0032】
このデジタルカメラ1には、前記撮影レンズ3を構成する図示せぬフォーカスレンズおよびズームレンズを含むレンズ光学系22がモータ21の駆動により光軸方向に所定の範囲内で移動可能に設けられている。このレンズ光学系22の光軸後方に撮像素子であるCCD23が配設されている。CCD23は、撮影レンズ3を通過する光を受光し、その受光量に応じた画像データを取得する。
【0033】
基本モードである記録モード時において、CCD23がタイミング発生器(TG)24、ドライバ25によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力を1画面分出力する。
【0034】
このCCD23の光電変換出力は、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎に適宜ゲイン調整された後に、サンプルホールド回路26でサンプルホールドされ、A/D変換器27でデジタルデータに変換される。そして、カラープロセス回路28において、画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理が行われて、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb,Crが生成され、DMA(Direct Memory Access)コントローラ29に出力される。
【0035】
DMAコントローラ29は、カラープロセス回路28から出力される複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号、及びクロック信号に従って、前記輝度信号Y及び色差信号Cb,Crを一旦内部のバッファに書き込んだ後、DRAMインタフェース(I/F)30を介してDRAM31にDMA転送する。
【0036】
制御部32は、デジタルカメラ1全体の制御を行う。この制御部32は、CPUと、このCPUで実行されるプログラムなどを記憶したROM、及びワークメモリとして使用されるRAMなどを含むマイクロコンピュータにより構成される。
【0037】
制御部32は、DRAM31からDRAMインタフェース30を介して前記輝度及び色差信号を読み出した後、VRAMコントローラ33を介してVRAM34に書き込む。デジタルビデオエンコーダ35は、前記輝度及び色差信号をVRAMコントローラ33を介してVRAM34より定期的に読み出し、これらのデータを元にビデオ信号を発生して表示部20に出力する。
【0038】
表示部20は、撮影時にはモニタ表示部(電子ファインダ)として機能する。この表示部20は、デジタルビデオエンコーダ35からのビデオ信号に基づいた表示を行うことで、その時点でVRAMコントローラ33から取込んでいる画像情報に基づく画像をリアルタイムに表示する。
【0039】
このように、表示部20にその時点での画像がモニタ画像としてリアルタイムに表示されている状態で、例えば静止画撮影を行いたいタイミングでシャッタキー9を押下操作すると、トリガ信号が発生する。
【0040】
制御部32は、このトリガ信号に応じて、その時点でCCD23から取込んでいる1画面分の輝度及び色差信号のDRAM31へのDMA転送の終了後、直ちにCCD23からのDRAM31への経路を停止し、記録保存の状態に遷移する。
【0041】
この記録保存の状態では、制御部32がDRAM31に書き込まれている1フレーム分の輝度及び色差信号をDRAMインタフェース30を介してY,Cb,Crの各コンポーネント毎に縦8画素×横8画素の基本ブロックと呼称される単位で読み出して、画像処理部37の内部に存在するJPEG(Joint Photograph coding Experts Group)処理ブロックに書き込む。画像処理部37は、ADCT(Adaptive Discrete Cosine Transform:適応離散コサイン変換)、エントロピ符号化方式であるハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮する。
【0042】
制御部32は、前記データ圧縮により得られた符号データを1画像のデータファイルとして画像処理部37から読み出して記録用のメモリ38に書き込む。このメモリ38としては、予め本体に内蔵されたフラッシュメモリ等の内部メモリの他に、記録媒体として着脱自在に装着されるメモリカードなどを含む。1フレーム分の輝度及び色差信号の圧縮処理及びメモリ38への全圧縮データの書込み終了に伴って、制御部32はCCD23からDRAM31への経路を再び起動する。
【0043】
制御部32には、さらに音声処理部39、USBインタフェース(I/F)40、ストロボ駆動部41が接続される。
【0044】
音声処理部39は、A/D変換およびD/A変換を含む音声データの入出力処理を行う。動画撮影時において、音声処理部39は、動画データに同期させてマイクロホン部(MIC)7より入力されたアナログの音声信号をデジタル化して取り込む。また、再生時において、音声処理部39は、音声付き動画データから分離された音声データをアナログ化して、デジタルカメラ1の背面側に設けられたスピーカ部(SP)13を通じて出力する。
【0045】
USBインタフェース40は、USBコネクタを介して有線接続されるパーソナルコンピュータ等の他の情報端末装置との間で画像データ、その他の送受を行う場合の通信制御を行う。ストロボ駆動部41は、撮影時に図示せぬストロボ用の大容量コンデンサを充電した上で、制御部32からの制御に基づいてストロボ発光部6を閃光駆動する。
【0046】
なお、前記キー入力部36は、上述したシャッタキー9の他に、電源キー8、撮影モードキー10、再生モードキー11、マクロキー14、ストロボキー15、メニューキー16、リングキー17、セットキー18、ディスプレイキー19などから構成される。これらのキー操作に伴う信号は直接制御部32へ送出される。
【0047】
また、静止画像ではなく動画像の撮影時においては、シャッタキー9が押下操作されたときに、画像処理部37の内部に存在する動画処理ブロックで、MPEG(Moving Picture Expert Group)またはmotion−JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの手法によって撮影動画をデータ圧縮してメモリ38へ記録する。再度シャッタキー9が操作されると、動画データの記録を終了する。
【0048】
一方、基本モードである再生モード時には、制御部32がメモリ38に記録されている画像データを選択的に読み出し、画像処理部37で記録モード時にデータ圧縮した手順と全く逆の手順で、圧縮されている画像データを伸長する。そして、この伸長した画像データをDRAMインタフェース30を介してDRAM31に保持させた上で、このDRAM31の保持内容をVRAMコントローラ33を介してVRAM34に記憶させ、このVRAM34より定期的に画像データを読み出してビデオ信号を発生し、表示部20で再生出力させる。
【0049】
選択した画像データが静止画像ではなく動画像であった場合には、制御部32は、その動画データを構成する複数フレームの静止画データを時系列の順で順次再生して表示する。すべての静止画データの再生を終了した時点で、例えば、次に再生の指示がなされるまで先頭に位置する静止画データを表示するなどを行う。
【0050】
図3は制御部32の機能構成を示すブロック図である。
【0051】
制御部32を機能的に示すと、処理部51と記憶部52に分けられる。処理部51はCPUやROM、記憶部52はROMやRAMなどに相当する。
【0052】
本実施形態において、制御部32の処理部51は、画像分析部51a、グラフ作成部51b、表示制御部51cからなる。画像分析部51aは、再生対象とする各画像の視覚特性を分析する。「視覚特性」とは、ユーザが直感的に撮影シーンを連想できる特性のことを示し、具体的には画像の色情報と輝度情報のことである。グラフ作成部51bは、画像分析部51aによって分析された各画像の視覚特性を相関的に表わす特性グラフを作成する。表示制御部51cは、グラフ作成部51bによって作成された特性グラフを表示部20に表示すると共に、特性グラフ上の任意の位置が指定された際に、その指定位置に対応した視覚特性を有する画像を表示部20に表示する。
【0053】
また、記憶部52は、プログラム記憶部52a、設定データ記憶部52bからなる。プログラム記憶部52aは、本発明を実現するためのプログラムを含む各種プログラムデータを記憶する。設定データ記憶部52bは、グラフ作成に必要な各種設定データを記憶する。
【0054】
次に、同実施形態の動作を説明する。
【0055】
今、図4に示すような複数のシーンからなる動画像を再生表示する場合を想定する。図中の画像a,画像b,画像c…は、この動画像に含まれる特徴なシーンを時系列順に抜き出したものであり、例えば画像aは緑の草原、画像bは赤い花、画像cは白い花のシーンをそれぞれ撮影したものである。
【0056】
まず、動画再生に際し、図5に示すようなグラフ種類設定画面61を通じてグラフの種類を設定しておく。このグラフ種類設定画面61は、例えばメニューキー16の操作によって表示部20に表示される。図5の例では、「折れ線グラフ」、「棒グラフ」、「帯グラフ」の3種類が指定可能なグラフとして用意されている。このグラフ種類設定画面61上でユーザがカーソルキー等の操作によって任意のグラフ種類を指定すると、その指定されたグラフ種類を示す設定データが制御部32内に設けられた記憶部52の設定データ記憶部52bに記憶保持される。
【0057】
ここで、ユーザが所定の操作により動画像の再生モードを指示すると、以下のような処理が実行される。
【0058】
図6はデジタルカメラ1の動画再生時の処理動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートで示される処理は、プログラムコードの形態でプログラム記憶部52aに記憶されている。
【0059】
すなわち、動画再生指示があると、制御部32は、まず、メモリ38から再生対象として指定された動画像のデータを読み出し、その1フレーム目の画像を初期画面として表示部20に表示する(ステップS11)。
【0060】
図7にその初期画面の一例を示す。表示部20の画面上に1フレーム目の画像が表示されると共に、その表示画面の下部に横長の再生ツールバー71が表示される。この再生ツールバー71の左端が再生開始位置、右端が再生終了位置を示しており、再生を開始すると、その再生動作に連動して表示ポインタ(対応位置記号)71aがリアルタイムで右方向に移動するようになっている。後述するように、特性グラフ72が表示された状態で(図9参照)、この表示ポインタ(対応位置記号)71aを移動させることにより、特性グラフ72の任意の位置を指定することができる。
【0061】
ここで、ユーザがディスプレイキー19の押下によりグラフ表示を指示すると(ステップS12のYes)、制御部32は、当該動画像に関する分析データが既に存在するか否かを判断する(ステップS13)。過去に同じ動画像のグラフ表示を行っていれば、そのときの分析データが当該動画像に関連付けられてメモリ38に記憶されているが、初めてグラフ表示する場合には存在しない。
【0062】
該当する分析データが存在した場合には(ステップS13のYes)、分析結果に基づいて動画全体の視覚特性を表わす特性グラフ72を作成する(ステップS16)。この際、該当する分析データが存在したとしても、その分析データをさらに分析することで、より詳細な特性グラフとするようにしても良い。例えば、分析データがR,G,Bのデータのみ存在している場合に、W,Y,M,Cのデータをさらに分析することにより求めることが考えられる。そして、この分析結果が得られると、制御部32は、これを当該動画像に関連付けてメモリ38に記憶しておくようにしても良い。
【0063】
該当する分析データが存在しなかった場合には(ステップS13のNo)、制御部32は、当該動画像を構成する各画像を分析処理する(ステップS14)。詳しくは、まず、当該動画像をフレーム単位で分割して各シーンの画像を得る。そして、これらの画像について、R,G,Bの色情報と輝度情報を画素単位で抽出することにより、図8(a)に示すようなヒストグラムを求める。図8(a)の横軸は明るさ、縦軸は画素数を示している。なお、横軸の明るさは、例えば256階調で表される。
【0064】
なお、ここで分析処理は、各画像について行うものとしたが、これに限らず、連続した2つの画像を分析して、その差分情報に基づいて上述のヒストグラムを求めるようにしても良い。
【0065】
ここで、R,G,Bの各色毎に横軸の明るさと縦軸の画素数を乗じた値を階調数分累積することにより、各色の画素の強さを求める。この画素の強さを縦軸のみで表すと、図8(b)のようになる。この例では、Rの成分が最も強く、続いて、B、Gの順であることが示されている。動画像の各シーンについて同様の分析処理を行い、これらの結果を時系列順に繋げると、図9に示すような動画像全体の特性グラフ72が得られる。
【0066】
図6に戻って、再生対象とする動画像の分析結果が得られると、制御部32は、これを当該動画像に関連付けてメモリ38に記憶しておく(ステップS15)。このように、分析結果を記憶保持しておくことで、次回のグラフ表示の際に、これを再利用してユーザの指定したグラフを簡単に作成することができ、何度も同じ分析処理を繰り返す無駄を省くことができる。
【0067】
なお、再生対象が動画像ではなく、連続撮影によって得られた複数の画像であれば、これらの画像毎にそれぞれの分析結果を所定の形式で付加しておくことでも良い。これにより、各画像を個別に使用する場合でも分析結果を利用することができる。
【0068】
続いて、制御部32は、前記分析結果に基づいて動画全体の視覚特性を表わす特性グラフ72を作成する(ステップS16)。その際、制御部32は、設定データ記憶部52bを参照して現在設定されているグラフ種類を判断し、そのグラフ種類に対応した特性グラフ72を作成することになる。
【0069】
制御部32は、前記作成した特性グラフ72を現在表示中の画像の上に重ねて表示する(ステップS17)。図9にそのときのグラフ表示例を示す。この例では、動画像のR,G,Bの色情報の変化を折れ線グラフで表している。
【0070】
なお、ここで重ねて表示する特性グラフは、半透過や全透過で表示して、できるだけ画像の表示の妨げにならないようにしても良い。
【0071】
ここで、例えばユーザが赤い花のシーンを見たい場合には、リングキー17に含まれる左右のカーソルキーを操作して、図10に示すように、特性グラフ72の中でRの成分が強くなるPの位置に再生ツールバー71の表示ポインタ71aを移動させる。再生ツールバー71の表示ポインタ71aを移動させると、制御部32は、これを表示変更指示として受け取る(ステップS18のYes)。
【0072】
なお、表示変更指示の方法は、再生ツールバーを移動することに限られない。例えば、表示装置にタッチパネルが搭載されており、特性グラフの所望の位置をタッチすることにより表示変更指示を入力できるようにしても良いし、再生ツールバーを表示する代わりに特性グラフに重畳して、表示ポインタを表示するようにしても良い。つまり、特性グラフ上の任意の位置が識別できればよい。
【0073】
これにより、制御部32は、移動後の表示ポインタ71aの位置に基づいて、該当する視覚特性を有する画像をメモリ38から検索し(ステップS19)、これを現在表示中の画像に代えて表示する(ステップS20)。なお、このときに、特性グラフ72を自動的に消すようにしても良いし、ユーザがディスプレイキー19を再度押下するなどして明示的に消すことでも良い。
【0074】
図11に表示変更後の画像の一例を示す。この例では、前記Pの位置に対応した画像として、赤い花のシーンが表示されている。この状態で、例えばセットキー18を押下すると、そのシーンから動画像の再生が開始されることになる。
【0075】
このように、再生対象とする動画像の視覚特性をグラフ化することで、そのグラフの変化から撮影シーンを連想でき、その中から所望のシーンを見つけて選択的に表示することができる。特に、視覚特性として色情報をグラフ化することで、R,G,Bの色変化から動画像の各シーンの流れを把握して、所望のシーンを直感的に探し出すことができるようになる。
【0076】
なお、前記実施形態では、特性グラフ72として折れ線グラフを表示する場合を例にしたが、図12に示すような棒グラフや、図13に示すような帯グラフの形で表示することも可能である。どのようなグラフで表示するのかは、図6に示したグラフ種類設定画面61にて指定しておくことができる。
【0077】
また、前記実施形態では、特性グラフ72を図9や図10のように現在表示中の画像の上に重畳させて表示する構成としたが、特性グラフ72を現在表示中の画像に重ならないように別のエリアに表示することでも良い。このようにすれば、画面上で画像を確認しながら、特性グラフ72によるシーン選択操作を行うことができる。
【0078】
さらに、物理的に2つの表示部を設けて、一方の表示部に複数の連続した画像を表示し、他方の表示部に特性グラフ72を当該連続画像に関連付けて表示するような構成であっても良い。
【0079】
また、図14に示すように、各シーン毎にR,G,Bの合成色を時系列順に表示するような構成であっても良い。図14の例では、再生ツールバー73が特性グラフの機能を兼ねており、再生ツールバー73がシーン毎に区分されて、各シーンの合成色が表示されている。ユーザがリングキー17に含まれる左右のカーソルキーを操作して、表示ポインタ73aを移動させると、その移動位置に対応したシーンの画像が表示されることになる。このように、R,G,Bの合成色を表示すれば、グラフ表示エリアを大きく必要としないので、表示中の画像の邪魔にならないなどの利点がある。
【0080】
また、図15に示すようなグラフ色設定画面62を通じてグラフ化する色情報を任意に指定できるようにしても良い。図15の例では、「R,G,B」の他に、「R」,「G」,「B」の各色を個別に指定できるように構成されている。各色を個別に指定した場合には、その指定色のみの特性グラフが表示されることになる。図16に「R」を指定した場合に表示される特性グラフ74の一例を示す。このような特性グラフ74の表示により、特定の色だけに着目して所望のシーンを見つけ出すことができる。
【0081】
さらに、「R」,「G」,「B」の原色系の色だけでなく、「C(シアン)」,「Y(イエロー)」,「M(マゼンタ)」や「W(ホワイト)」などの色を含め、これらの中から任意に指定できるような構成としても良い。
【0082】
また、図17に示すようグラフ要素設定画面63を通じてグラフ化する要素を任意に指定できるようにしても良い。図17の例では、「色」と「明るさ」を指定できるように構成されている。「明るさ」を指定した場合には、画像を構成する各画素の輝度情報が視覚特性として抽出され、その輝度情報の平均値を各シーンで相関的に表した特性グラフが作成される。図18に「明るさ」を指定した場合に表示される特性グラフ75の一例を示す。この例では、各シーンの輝度情報の平均値を棒グラフで表している。このような特性グラフ75の表示により、例えば暗いシーン(例えば夜景など)など、画像の明暗によって区別できるようなシーンを簡単に見つけ出すことができる。
【0083】
また、前記実施形態では、再生ツールバー71の表示ポインタ71aの移動操作により特性グラフ72上の位置を指定する構成としたが、例えばタッチパネルを用いることにより、特性グラフ72上の位置を直接指で触れるなどして指定することでも良い。
【0084】
さらに、図19に示すように、再生ツールバー71の表示ポインタ71aを固定化し、その表示ポインタ71aの位置を基準にして特性グラフ72を移動させることでも良い。図19では、再生ツールバー71の表示ポインタ71aを中央位置で固定し、そこから左右のカーソルキーの操作によって特性グラフ72を左右に移動させる場合の例が示されている。図19(a)の状態で左カーソルキーを操作すると、同図(b)に示すように特性グラフ72が左側にシフトする。特性グラフ72上の表示ポインタ71aに対応している位置が現在の指定位置として認識される。
【0085】
また、前記実施形態では、動画像の再生表示を想定して説明したが、本発明は動画像に限らず、例えば静止画を連続撮影した得られた複数の画像を再生対象とする場合でも適用可能である。
【0086】
また、再生対象画像は、デジタルカメラ1の撮影機能によって得られたものに限らず、外部の装置から提供されたものであっても良い。
【0087】
また、前記実施形態では、デジタルカメラを例にして説明したが、例えばパソコンやカメラ付きの携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)など、画像の再生撮影機能を備えた電子機器であれば、そのすべてに適用可能である。
【0088】
要するに、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0089】
また、上述した実施形態において記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD−ROM等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に適用したり、そのプログラム自体をネットワーク等の伝送媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムあるいは伝送媒体を介して提供されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る撮像装置としてデジタルカメラを例にした場合の外観構成を示す図であり、図1(a)は主に前面の構成、同図(b)は主に背面の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は同実施形態におけるデジタルカメラの電子回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3は同実施形態におけるデジタルカメラに設けられた制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】図4は同実施形態におけるデジタルカメラの動画像の各シーンの一例を示す図である。
【図5】図5は同実施形態におけるデジタルカメラのグラフ種類設定画面の一例を示す図である。
【図6】図6は同実施形態におけるデジタルカメラの動画再生時の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は同実施形態におけるデジタルカメラの動画再生時の初期画面の一例を示す図である。
【図8】図8は同実施形態におけるデジタルカメラの画像分析方法を説明するための図である。
【図9】図9は同実施形態におけるデジタルカメラの動画再生時に表示される特性グラフの一例を示す図である。
【図10】図10は同実施形態におけるデジタルカメラの特性グラフと再生ツールバーの表示ポインタとの関係を示す図である。
【図11】図11は同実施形態におけるデジタルカメラの表示変更後の画像の一例を示す図である。
【図12】図12は同実施形態におけるデジタルカメラの特性グラフを棒グラフの形で表示した場合の一例を示す図である。
【図13】図13は同実施形態におけるデジタルカメラの特性グラフを帯グラフの形で表示した場合の一例を示す図である。
【図14】図14は同実施形態におけるデジタルカメラの特性グラフとして各シーンの合成色を表示した場合の一例を示す図である。
【図15】図15は同実施形態におけるデジタルカメラのグラフ色設定画面の一例を示す図である。
【図16】図16は前記グラフ色設定画面にて「R」の色を指定した場合に表示される特性グラフの一例を示す図である。
【図17】図17は同実施形態におけるデジタルカメラのグラフ要素設定画面の一例を示す図である。
【図18】図18は前記グラフ要素設定画面にて「明るさ」を指定した場合に表示される特性グラフの一例を示す図である。
【図19】図19は同実施形態におけるデジタルカメラの特性グラフを移動表示する場合の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1…デジタルカメラ、2…カメラ本体、3…撮影レンズ、4…セルフタイマランプ、5…光学ファインダ窓、6…ストロボ発光部、7…マイクロホン部、8…電源キー、9…シャッタキー、10…撮影モードキー、11…再生モードキー、12…光学ファインダ、13…スピーカ部、14…マクロキー、15…ストロボキー、16…メニュー(MENU)キー、17…リングキー、18…セット(SET)キー、19…ディスプレイキー、20…表示部、21…モータ、22…レンズ光学系、23…CCD、24…タイミング発生器(TG)、25…ドライバ、26…サンプルホールド回路(S/H)、27…A/D変換器、28…カラープロセス回路、29…DMAコントローラ、30…DRAMインタフェース(I/F)、31…DRAM、32…制御部、33…VRAMコントローラ、34…VRAM、35…デジタルビデオエンコーダ、36…キー入力部、37…画像処理部、38…メモリ、39…音声処理部、40…USBインタフェース(I/F)、41…ストロボ駆動部、51…処理部、51a…画像分析部、51b…グラフ作成部、51c…表示制御部、52…記憶部、52a…プログラム記憶部、52b…設定データ記憶部、61…グラフ種類設定画面、62…グラフ色設定画面、63…グラフ要素設定画面、71…再生ツールバー、71a…表示ポインタ、72…特性グラフ、73…再生ツールバー、73a…再生ツールバー、74…特性グラフ、75…特性グラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の連続した画像を記憶する画像記憶手段と、
この画像記憶手段に記憶された各画像を表示するための表示手段と、
前記各画像の視覚特性を分析する画像分析手段と、
この画像分析手段によって分析された前記各画像の視覚特性を相関的に表わす特性グラフを作成するグラフ作成手段と、
このグラフ作成手段によって作成された特性グラフを前記表示手段に表示すると共に、前記特性グラフ上の任意の位置が指定された際に、その指定位置の視覚特性に対応した画像を前記表示手段に表示する表示制御手段と
を具備したことを特徴とする画像再生装置。
【請求項2】
前記視覚特性とは色情報であり、
前記グラフ作成手段は、前記各画像の色情報を相関的に表わす特性グラフを作成することを特徴とする請求項1記載の画像再生装置。
【請求項3】
グラフ化する色情報を指定するグラフ色指定手段を備え、
前記グラフ作成手段は、前記グラフ色指定手段によって指定された色情報に関する特性グラフを作成することを特徴とする請求項2記載の画像再生装置。
【請求項4】
前記色情報には、R,G,B,C,Y,M,又はWの何れか1色が含まれることを特徴とする請求項2または3記載の画像再生装置。
【請求項5】
前記視覚特性とは輝度情報であり、
前記グラフ作成手段は、前記各画像の輝度情報を相関的に表わす特性グラフを作成することを特徴とする請求項1記載の画像再生装置。
【請求項6】
グラフ種類を指定するグラフ種類指定手段を備え、
前記グラフ作成手段は、前記グラフ種類指定手段によって指定された種類の特性グラフを作成することを特徴とする請求項1記載の画像再生装置。
【請求項7】
前記グラフ種類には、折れ線グラフ、棒グラフ、又は帯グラフの何れか1つが含まれることを特徴とする請求項6記載の画像再生装置。
【請求項8】
前記グラフ作成手段は、前記画像分析手段によって得られた分析データを当該各画像に関連付けて記憶しておき、次回同じ画像の視覚特性をグラフ化する際にこれを参照することを特徴とする請求項1記載の画像再生装置。
【請求項9】
前記画像記憶手段に記憶された各画像は、動画像であることを特徴とする請求項1記載の画像再生装置。
【請求項10】
前記画像記憶手段に記憶された各画像は、複数の静止画であることを特徴とする請求項1記載の画像再生装置。
【請求項11】
前記表示手段は、第1の表示手段と第2の表示手段を備え、
前記第1の表示手段は、前記複数の連続した画像を表示し、
前記第2の表示手段は、前記特性グラフを表示する
ことを特徴とする請求項1記載の画像再生装置。
【請求項12】
前記表示手段で表示している画像に対応した前記特性グラフの対応位置記号を示す位置表示手段を備え、
前記表示制御手段は、前記位置表示手段で表示している前記特性グラフの対応位置記号を移動することにより前記特性グラフ上の任意の位置を指定する
ことを特徴とする請求項1記載の画像再生装置。
【請求項13】
前記表示手段は、画像記憶手段に記憶された画像と、前記特性グラフを同時に表示することを特徴とする請求項1記載の画像再生装置。
【請求項14】
複数の連続した画像を再生対象とし、これらの画像を表示装置に表示するコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記各画像の視覚特性を分析処理する機能と、
前記分析処理によって得られた前記各画像の視覚特性を相関的に表わす特性グラフを作成する機能と、
前記特性グラフを前記表示装置に表示すると共に、前記特性グラフ上の任意の位置が指定された際に、その指定位置の視覚特性に対応した画像を前記表示装置に表示する機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−242812(P2008−242812A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82382(P2007−82382)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】