説明

画像処理方法、及び画像形成装置

【課題】カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合であっても、元のカラー画像原稿を復元可能な画像処理方法を提供する。
【解決手段】色彩指定情報及び領域指定情報が付加されている原稿を読み取り、前記読み取った原稿から、当該原稿に係る画像、並びに、前記色彩指定情報及び前記領域指定情報を取得し、前記取得した原稿に係る画像のうち当該取得した領域指定情報に基づく指定領域に対して、当該取得した色彩指定情報に基づく色彩を施し、前記画像処理後の原稿に係るカラー画像を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合であっても、元のカラー画像原稿を復元可能な画像処理方法、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置では、画像に施される色彩の観点から、大きくモノクロ印刷とカラー印刷に分類することができる。カラー印刷の範疇には、さらに少数色カラー印刷とフルカラー印刷が含まれ、その印刷コストは、モノクロ印刷、少数色カラー印刷、フルカラー印刷の順に高くなる。そのため、印刷物の品質よりも印刷コスト抑制が重視される場面では、カラー画像に係る原稿であってもそれを印刷出力する際には、モノクロ印刷を行うことが必然的に多くなる。
【0003】
こうしたモノクロ印刷を多用すべき要請が存在することを背景とし、モノクロ印刷における画質を高めることを目的として、モノクロ印刷モードとカラー印刷モードとを有し、モノクロ印刷モードが設定された場合に、グレイ画像を複数の色を用いて再現する画像処理方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ところで、カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合に、元のカラー画像原稿を復元したいという要請が生じる場合がある。
【0005】
しかしながら、かかる要請に応える技術は存在しないため、前記要請に応えることはできないものと考えられていた。
【特許文献1】特開平10−229501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、従来技術では、カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合に、元のカラー画像原稿を復元したいという要請に応えることはできなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合であっても、元のカラー画像原稿を復元可能な画像処理方法を提供することを目的として、原稿画像に係る色彩を指定するための色彩指定情報及びその色彩を施すべき領域を指定するための領域指定情報が付加されている原稿を読み取る原稿読取工程と、前記原稿読取工程で読み取った原稿から、当該原稿に係る画像、並びに、前記色彩指定情報及び前記領域指定情報を取得する情報取得工程と、前記情報取得工程で取得した原稿に係る画像のうち当該取得した領域指定情報に基づく指定領域に対して、当該取得した色彩指定情報に基づく色彩を施す画像処理工程と、前記画像処理工程で画像処理後の原稿に係るカラー画像を出力する画像出力工程と、を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像処理方法によれば、色彩指定情報及び領域指定情報が付加されている原稿を読み取り、前記読み取った原稿から、当該原稿に係る画像、並びに、前記色彩指定情報及び前記領域指定情報を取得し、前記取得した原稿に係る画像のうち当該取得した領域指定情報に基づく指定領域に対して、当該取得した色彩指定情報に基づく色彩を施し、前記画像処理後の原稿に係るカラー画像を出力するので、従って、カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合であっても、元のカラー画像原稿を復元可能な画像処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合であっても、元のカラー画像原稿を復元可能な画像処理方法を提供するといった目的を、色彩指定情報及び領域指定情報が付加されている原稿を読み取り、前記読み取った原稿から、当該原稿に係る画像、並びに、前記色彩指定情報及び前記領域指定情報を取得し、前記取得した原稿に係る画像のうち当該取得した領域指定情報に基づく指定領域に対して、当該取得した色彩指定情報に基づく色彩を施し、前記画像処理後の原稿に係るカラー画像を出力する画像処理方法によって実現した。
【実施例】
【0010】
以下、本発明実施例に係る画像処理方法、及び画像形成装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
[本発明実施例に係る画像処理方法を適用した画像形成装置の概略構成]
図1は、本発明実施例に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図、図2は、同画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【0012】
本装置は、例えば、コピージョブ、Fax送信ジョブ、印刷ジョブ、又はネットワーク送信(メール送信やデータ送信)ジョブを含む諸機能が利用可能であり、マイクロコンピュータ及び専用のハードウェア回路等から構成される主制御部11によって制御される。この主制御部11に接続され諸機能を担う入出力機器として、本装置は、原稿読取部21、画像処理部31、エンジン部41、操作パネル部51、ファクシミリ通信部61、HDD(ハードディスクドライブ)63、並びに、ネットワークI/F(インタフェース)部65を備える。
【0013】
主制御部11は、スキャナ機能を実現するための動作制御を行うスキャナコントローラ13と、ファクシミリ機能を実現するための動作制御を行うファクシミリコントローラ15、プリンタ機能を実現するための動作制御を行うプリンタコントローラ17、並びに、コピー機能を実現するための動作制御を行うコピーコントローラ19を内蔵し、本装置全体の動作を統括制御する。
【0014】
本発明において原稿読取手段として機能する原稿読取部21は、図示しないスキャナを構成する画像照射ランプ23及びCCD(電荷結合素子: Charge Coupled Device )センサ25を含む。原稿読取部21は、画像照射ランプ23により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサ25で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを画像処理部31へ出力する。
【0015】
本発明において画像処理手段として機能する画像処理部31は、補正部33、画像加工部35及び画像メモリ37を含む。画像処理部31は、原稿読取部21で読み取られた画像データを、必要に応じて補正部33及び画像加工部35で処理し、処理後の画像データを画像メモリ37に記憶させ、或いは、エンジン部41、ファクシミリ通信部61等へ出力する。補正部33は、原稿読取部21で読み取られた画像データに対してレベル補正、ガンマ補正等の所定の補正処理を行う。画像加工部35は、画像データの圧縮又は伸張処理、及び拡大又は縮小処理等の種々の加工処理を行う。
【0016】
エンジン部41は、図示しない給紙カセットや給紙ローラ等から構成される用紙搬送部43、図示しない感光体ドラム、露光装置、現像装置等から構成される画像形成部(本発明の「画像形成手段」に相当する。)45、図示しない転写ローラ等から構成される転写部47、及び図示しない定着ローラ等から構成される定着部49を含む。エンジン部41は、原稿読取部21で読み取られた画像データ、ネットワークI/F部65を介してLAN(Local Area Network)によりクライアントPC(パーソナルコンピュータ)等から送信された画像データ、ファクシミリ通信部61を用いて外部のファクシミリ装置等から受信したファクスデータ等の画像データを用いて画像を用紙に印刷する。具体的には、用紙搬送部43は用紙を画像形成部45へ搬送し、画像形成部45は上記の画像データに対応するトナー像を形成し、転写部47はトナー像を用紙に転写し、定着部49はトナー像を用紙に定着させて画像を形成する。
【0017】
操作パネル部51は、図1及び図2に示すように、タッチパネル部53及び機能キー部55を含む。操作パネル部51は、ユーザがスキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能等に関する操作を行うために使用され、ユーザによる操作指令等を主制御部11に与える。
【0018】
タッチパネル部53は、タッチパネルとカラーLCD(Liquid Crystal Display)とを組み合わせたタッチパネルユニット等から構成され、種々の設定画面、例えば、コピー機能実行時には、原稿サイズ、コピーサイズ、複写部数などを設定するための情報を表示するとともに、ユーザが該当部分をタッチすることにより種々の操作指令を入力するための操作ボタン類を表示する。
【0019】
機能キー部55は、画像形成処理に係る各種機能を選択する際にユーザによって操作される複数の機能キー、並びに、ショートカットキーを備えており、例えば、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能など諸機能のなかから、所要機能のキー入力操作をユーザが選択的に実行する際に、又は、ユーザが複写部数やコピー実行指令などを操作入力する際に用いられる。
【0020】
ファクシミリ通信部61は、符号化/復号化部(図示省略)、変復調部(図示省略)及びNCU(Network Control Unit)(図示省略)を含む。ファクシミリ通信部61は、原稿読取部21によって読み取られた原稿の画像データを電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信する。
【0021】
HDD(ハードディスクドライブ)63は、原稿読取部21によって読み取られた画像データ及び同画像データに設定されている出力形式等の種々のデータ等を記憶する。HDDに記憶されている画像データは、画像形成装置、プログラム及び記録媒体内部で使用されるだけでなく、必要に応じて、ネットワークI/F部65を介してクライアントPC等から確認したり、クライアントPCやFTPサーバ等の所定のフォルダへ転送される。
【0022】
ネットワークI/F部65は、ネットワークインタフェース(10/100Base−TX)等を用い、LANを介して接続されたクライアントPC等のユーザ端末67に対する種々のデータの送受信を制御する。
【0023】
さて、カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合であっても、元のカラー画像原稿を復元可能とするために、本発明実施例に係る画像形成装置は、原稿画像に係る色彩を指定するための色彩指定情報及びその色彩を施すべき領域を指定するための領域指定情報が付加されている原稿を読み取る原稿読取部21と、原稿読取部21で読み取った原稿から、当該原稿に係る画像、並びに、前記色彩指定情報及び前記領域指定情報を取得する情報取得部(本発明の「情報取得手段」に相当する。)71と、情報取得部71で取得した領域指定情報に基づいて、色指定領域を抽出する色指定領域抽出部73と、原稿画像に係る濃度、パターン画像、或いは電子すかしのバリエーションに対し、該当する色彩をそれぞれ関係付けて記憶する色変換テーブル75と、情報取得部71で取得した原稿に係る画像のうち当該取得した領域指定情報に基づく指定領域に対して、情報取得部71で取得した色彩指定情報に基づく色彩を施す画像処理部31と、画像処理部31で画像処理後の原稿に係るカラー画像を形成する画像形成部(本発明の「画像形成手段」に相当する。)45と、を備えて構成されている。
【0024】
[本発明実施例に係る画像形成装置の動作]
次に、本発明実施例に係る画像形成装置の動作について、図3乃至図6を参照して説明する。図3は、本発明実施例に係る画像形成装置の動作フローチャートを示し、図4は、第1実施例に係る色変換テーブルを示し、図5は、第2実施例に係る色変換テーブルの説明図を示し、図6は、第3実施例に係る原稿画像例を示す。なお、第1乃至第3実施例に係る画像形成装置では、基本的な動作の流れが共通している。そこで、はじめに、図3に示す共通する動作の流れを示す動作フローチャートに沿って基本動作を説明し、その後に、第1乃至第3実施例に係る特有の構成部分について説明することとする。
【0025】
(第1乃至第3実施例に共通する基本動作)
図3に示すように、原稿読取部21における原稿自動送り装置(不図示)に原稿がセットされた後に、同原稿の複写指示が操作パネル部51を介してユーザに操作入力されると、主制御部11は、原稿読み取りの開始信号を原稿読取部21に送出する。これを受けて原稿読取部21は、原稿読み取りを開始する(ステップ11)。
【0026】
ステップS11で読み取られた画像データは、原稿読取部21から情報取得部71宛に送出される。これを受けて情報取得部71は、当該原稿に係る画像を取得する一方で、当該原稿に、原稿画像に係る色彩を指定するための色彩指定情報及びその色彩を施すべき領域を指定するための領域指定情報が付加されているときには、これら各種情報を併せて取得する(ステップ12)。なお、本実施例では、原稿に対して、色彩指定情報及び領域指定情報を含む各種情報が付加されているものとして、以下の説明を進めるものとする。
【0027】
次いで、色指定領域抽出部73は、ステップ12で取得した各種情報のうち領域指定情報に基づいて、色指定領域を抽出する(ステップS13)。
【0028】
ステップS13における色指定領域抽出処理の結果、色指定領域が抽出されない(原稿に対して、色彩指定情報及び領域指定情報が付加されていない)旨の判定が下されたとき、色指定領域抽出部73は、その旨を画像処理部31宛に送出する。これを受けて画像処理部31は、通常の処理の流れに従って、原稿に係る画像データを画像形成部45宛に送出することで、ステップS16において通常の画像形成処理が行われることになる。
【0029】
ステップS13における色指定領域抽出処理の結果、色指定領域が抽出された(原稿に対して、色彩指定情報及び領域指定情報が付加されている)旨の判定が下されたとき、色指定領域抽出部73は、その旨を画像処理部31宛に送出する。これを受けて画像処理部31は、情報取得部71で取得した原稿に係る画像のうち当該取得した領域指定情報に基づく指定領域に対して、情報取得部71で取得した色彩指定情報に基づく色彩を施す画像処理を行う(ステップS15)。ステップS15では、情報取得部71で取得した原稿に対して、色彩指定情報及び領域指定情報を含む各種情報が付加されているときには、領域指定情報に基づく指定領域に対して、色彩指定情報に基づく色彩を施す画像処理を実行することで、画像処理後の原稿に係るカラー画像を復元するようにしている。
【0030】
ステップS16において、画像処理部31は、ステップS15における画像処理後の原稿に係るカラー画像データを画像形成部45宛に送出することで、領域指定情報に基づく指定領域に対して、色彩指定情報に基づく色彩が施されたカラー画像に係る画像形成処理が行われた後、一連の処理の流れを終了させる。
【0031】
ここで、本発明実施例に係る原稿画像に対し、色彩指定情報及び領域指定情報を含む各種情報がどのような態様で付加されるのか、が問題となる。これら各種情報の現実の付加態様が、本発明を実効あらしめる上できわめて重要な構成要素であると考えられるからである。そこで、以下に、各種情報の付加態様と、その動作について説明する。
【0032】
(第1実施例に係る各種情報の付加態様、及び動作)
第1実施例に係る各種情報の付加態様は、最も基本的な態様であり、カラー画像に係る原稿そのものを活用して、各種情報の付加を行うものである。すなわち、第1実施例では、色彩指定情報で指定される色彩は、原稿画像に係る濃度バリエーションによって指定され、領域指定情報で指定される領域は、原稿画像に係る存在領域によって指定される。また、第1実施例では、例えば図4に示すように、原稿画像に係る濃度(輝度値)バリエーションに対し、該当する色彩をそれぞれ関係付けて(図4の例では、輝度値「75」に対して「赤色」又は「緑色」を、輝度値「150」に対して「橙色」を、輝度値「220」に対して「黄色」を、輝度値「30」に対して「青色」を、それぞれ関係付けている。)記憶することで、色変換テーブル75が構成されている。
【0033】
そして、第1実施例では、画像処理部31は、原稿画像に係る存在領域に対して、原稿画像に係る濃度(輝度値)と、色変換テーブル75と、に基づき求められた色彩を施す画像処理を実行する。具体的には、画像処理部31は、原稿画像に係る輝度値が「75」である画像部分に対しては「赤色」又は「緑色」を割り当て、原稿画像に係る輝度値が「150」である画像部分に対しては「橙色」を割り当て、原稿画像に係る輝度値が「220」である画像部分に対しては「黄色」を割り当て、原稿画像に係る輝度値が「30」である画像部分に対しては「青色」を割り当てる、といったように、カラー原稿を復元出力することなる。なお、原稿画像に係る輝度値が「75」である画像部分に対しては、「赤色」又は「緑色」の二つの色彩指定候補が存在するが、かかる場合には、当該ユーザにおいて適宜設定される一方の色彩(例えば「赤色」)を優先的に割り当てる構成を採用することができる。
【0034】
(第2実施例に係る各種情報の付加態様、及び動作)
第2実施例に係る各種情報の付加態様は、第1実施例の変形例として位置付けられる態様であり、カラー画像を特定のパターン画像に変換することで、各種情報の付加を行うものである。すなわち、第2実施例では、色彩指定情報で指定される色彩は、パターン画像のバリエーションによって指定され、領域指定情報で指定される領域は、原稿画像に係る存在領域によって指定される。また、第2実施例では、例えば図5に示すように、パターン画像のバリエーションに対し、該当する色彩をそれぞれ関係付けて(図5の例では、パターン画像「縦縞」に対して「赤色」を、パターン画像「横縞」に対して「青色」を、パターン画像「格子縞」に対して「黄色」を、それぞれ関係付けている。)記憶することで、色変換テーブル75が構成されている。
【0035】
そして、第2実施例では、画像処理部31は、原稿画像に係る存在領域に対して、パターン画像と、色変換テーブル75と、に基づき求められた色彩を施す画像処理を実行する。具体的には、画像処理部31は、原稿画像に係るパターン画像として「縦縞」が提示された画像部分に対しては「赤色」を割り当て、原稿画像に係るパターン画像として「横縞」が提示された画像部分に対しては「青色」を割り当て、原稿画像に係るパターン画像として「格子縞」が提示された画像部分に対しては「黄色」を割り当てる、といったように、カラー原稿を復元出力することなる。
【0036】
ここで、第1実施例に係る画像形成装置では、本来的に「赤字」や「青字」等を用いて強調しようとしている箇所が、モノクロ印刷によって逆に目立たなくなってしまうという不都合が生じる。
【0037】
これに対し、第2実施例に係る画像形成装置では、「赤字」や「青字」等を用いて強調しようとしている箇所は、特定のパターン画像に変換されるので、そのパターン画像を視覚的な強調効果を踏まえて適切に設定すれば、上記の不都合を解消することができる。
【0038】
(第3実施例に係る各種情報の付加態様、及び動作)
第3実施例に係る各種情報の付加態様は、第1又は第2実施例とは異なり、カラー画像に係る色彩及びその領域を所定のルールに従う識別符号に変換することで、各種情報の付加を行うものである。すなわち、第3実施例では、色彩指定情報で指定される色彩、及び領域指定情報で指定される領域は、当該原稿に付加される識別符号のバリエーションによって指定される。また、第3実施例では、識別符号のバリエーションに対し、該当する色彩をそれぞれ関係付けて記憶することで、色変換テーブル75が構成されている。
【0039】
そして、第3実施例では、画像処理部31は、識別符号に基づき復号された指定領域に対して、前記識別符号と、色変換テーブル75と、に基づき求められた色彩を施す画像処理を実行する。ここで、識別符号としては、例えば、バーコードや電子透かしなどを採用することができる。具体的には、例えば、図6に示す識別符号81に、原点に係る基準情報、色彩指定情報、及び原点を基準として色指定領域を指定するための領域指定情報を符号化することで埋め込み付加しておく態様を採用することができる。この場合、画像処理部31は、図6に示すように、識別符号81に基づき復号された第1指定領域83に対して、識別符号81と、色変換テーブル75と、に基づき求められた色彩「赤色」を施すとともに、識別符号81に基づき復号された第2指定領域85に対して、識別符号81と、色変換テーブル75と、に基づき求められた色彩「青色」を施す、といったように、カラー原稿を復元出力することなる。
【0040】
[本発明実施例の効果]
以上述べたように、本発明実施例に係る画像処理方法によれば、色彩指定情報及び領域指定情報が付加されている原稿を読み取り、前記読み取った原稿から、当該原稿に係る画像、並びに、前記色彩指定情報及び前記領域指定情報を取得し、前記取得した原稿に係る画像のうち当該取得した領域指定情報に基づく指定領域に対して、当該取得した色彩指定情報に基づく色彩を施し、前記画像処理後の原稿に係るカラー画像を出力するので、従って、カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合であっても、元のカラー画像原稿を復元可能な画像処理方法を提供することができる。
【0041】
一方、本発明実施例に係る画像処理方法が適用された画像形成装置によれば、カラー画像に係る原稿をモノクロ印刷した出力物のみが手元にあり、その原稿は手元にない場合であっても、元のカラー画像原稿を復元可能な画像処理装置を提供することができる。
【0042】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像処理方法、及び画像形成装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】同画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【図3】本発明実施例に係る画像形成装置の動作フローチャート図である。
【図4】第1実施例に係る色変換テーブルを示す説明図である。
【図5】第2実施例に係る色変換テーブルを示す説明図である。
【図6】第3実施例に係る原稿画像例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
11 主制御部
21 画像読取部(画像読取手段)
31 画像処理部(画像処理手段)
45 画像形成部(画像形成手段)
71 情報取得部(情報取得手段)
73 色指定情報抽出部
75 色変換テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像に係る色彩を指定するための色彩指定情報及びその色彩を施すべき領域を指定するための領域指定情報が付加されている原稿を読み取る原稿読取工程と、
前記原稿読取工程で読み取った原稿から、当該原稿に係る画像、並びに、前記色彩指定情報及び前記領域指定情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程で取得した原稿に係る画像のうち当該取得した領域指定情報に基づく指定領域に対して、当該取得した色彩指定情報に基づく色彩を施す画像処理工程と、
前記画像処理工程で画像処理後の原稿に係るカラー画像を出力する画像出力工程と、
を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
原稿画像に係る色彩を指定するための色彩指定情報及びその色彩を施すべき領域を指定するための領域指定情報が付加されている原稿を読み取る原稿読取手段と、
前記原稿読取手段で読み取った原稿から、当該原稿に係る画像、並びに、前記色彩指定情報及び前記領域指定情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得した原稿に係る画像のうち当該取得した領域指定情報に基づく指定領域に対して、当該取得した色彩指定情報に基づく色彩を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段で画像処理後の原稿に係るカラー画像を形成する画像形成手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記色彩指定情報で指定される色彩は、
前記原稿画像に係る濃度バリエーションによって指定され、
前記領域指定情報で指定される領域は、
前記原稿画像に係る存在領域によって指定され、
前記原稿画像に係る濃度バリエーションに対し、該当する色彩をそれぞれ関係付けて記憶する色変換テーブルをさらに備え、
前記画像処理手段は、
前記原稿画像に係る存在領域に対して、前記原稿画像に係る濃度と、前記色変換テーブルと、に基づき求められた色彩を施す、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記色彩指定情報で指定される色彩は、
パターン画像のバリエーションによって指定され、
前記領域指定情報で指定される領域は、
前記原稿画像に係る存在領域によって指定され、
前記パターン画像のバリエーションに対し、該当する色彩をそれぞれ関係付けて記憶する色変換テーブルをさらに備え、
前記画像処理手段は、
前記原稿画像に係る存在領域に対して、前記パターン画像と、前記色変換テーブルと、に基づき求められた色彩を施す、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記色彩指定情報で指定される色彩、及び前記領域指定情報で指定される領域は、
当該原稿に付加される識別符号のバリエーションによって指定され、
前記識別符号のバリエーションに対し、該当する色彩をそれぞれ関係付けて記憶する色変換テーブルをさらに備え、
前記画像処理手段は、
前記識別符号に基づき復号された指定領域に対して、前記識別符号と、前記色変換テーブルと、に基づき求められた色彩を施す、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−253666(P2009−253666A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99099(P2008−99099)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】