画像処理方法および装置
【課題】 ブロンズ色の発生を抑制する。
【解決手段】 画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する際に、カラーマッチング部201は、入力される画像データが表す色を算出する。記録順決定部205は、色材それぞれのブロンズ色を取得し、画像データが表す色および色材それぞれのブロンズ色に基づき、色を形成する際の色材の記録順を決定する。
【解決手段】 画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する際に、カラーマッチング部201は、入力される画像データが表す色を算出する。記録順決定部205は、色材それぞれのブロンズ色を取得し、画像データが表す色および色材それぞれのブロンズ色に基づき、色を形成する際の色材の記録順を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやファクシミリなどの出力装置として、文字や画像を記録紙などの記録媒体に記録する記録装置には様々な方式がある。その中で、記録媒体に記録材を付着することで文字や画像を形成する代表的な方式としてインクジェット記録方式がある。インクジェット記録装置の画質が向上し、ディジタル画像の出力、所謂写真印刷にインクジェット記録装置を用いることが一般化した。その結果、出力画像の保存性が重要視されている。しかし、インクジェット記録装置の記録材(色材)として主に用いられる染料インクは保存性が低く、保存性を考慮すると、顔料インクの使用が望まれる。
【0003】
インクジェット記録装置において顔料インクを用いた場合に顕著な現象として、出力画像の表面に映り込んだ照明像に色が付く現象(以下、ブロンズ現象)がある。ブロンズ現象は、画像の観察者からすると、出力画像の画質を低下させる。
【0004】
特許文献1は、インクの使用比率を制御してブロンズ現象の発生を抑制する発明を開示する。つまり、記録すべき画像の明度、使用インクの使用比率からブロンズ現象の発生の有無を判定し、判定結果に応じてインクの使用比率を変更し、ブロンズ現象が発生し難い画像を記録する。
【0005】
また、特許文献2は、ブロンズ現象の発生が画像の最上層に付着されたインクの影響を受ける点を考慮して、インクの記録順を制御してブロンズ現象の発生を抑制する発明を開示する。ブロンズ現象発生の指標として、色材のブロンズ色の刺激値を利用し、刺激値が大きい色材の上に刺激値がより小さい色材を重ねるように色材の付着を制御してブロンズ現象の発生を抑制する。
【0006】
図1により光源の光が照射された印刷物を観察する場合の観察光を説明する。この場合、二種類の観察光が存在する。一つ目は、図1に示すA方向、つまり、光源の正反射方向から観察した場合の観察光であり、印刷物に映り込んだ光源像が観察される。二つ目は、図1に示すB方向から観察した場合の観察光であり、印刷物の内部を通過し反射した光、つまり、色材によって再現された色(以下、印刷色)が観察される。このように、観察者が観察する光には二種類が存在する。A方向から印刷物を観察すると、光源の色(照明色)と異なる色の光源が映り込んでいるように認識されることがある。つまり、光源の色とは異なる色の光を観察することになり、これがブロンズ現象として知覚される。
【0007】
印刷物の観察時、上記の二種類の観察光が同時に観察されることがある。印刷色とブロンズ現象によって生じる色(以下、ブロンズ色)が異なれば、ブロンズ色は好ましくない色として知覚され、出力画像の画質を低下させる。特許文献1、2の発明は、ブロンズ現象の発生量を考慮してブロンズ現象を抑制するが、印刷色とブロンズ色の違いを考慮するわけではない。そのため、ブロンズ現象の発生は抑制されるにしても、印刷色と異なるブロンズ色が残り、ブロンズ現象による画質の低下を充分に軽減することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-138555公報
【特許文献2】特願2007-071197公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ブロンズ色の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0011】
本発明にかかる画像処理は、画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する際に、入力される画像データが表す色を算出し、前記色材それぞれのブロンズ色を取得し、前記画像データが表す色および前記色材それぞれのブロンズ色に基づき、前記色を形成する際の前記色材の記録順を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ブロンズ色の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光源の光が照射された印刷物を観察する場合の観察光を説明する図。
【図2】実施例の印刷装置の概要を説明するブロック図。
【図3】ブロンズ色の一例を説明する図。
【図4】ある二種類の試料の分光強度の測定例を示す図。
【図5】ブロンズ現象測定装置の幾何光学系を説明する概念図。
【図6】色材の記録順の決定方法を説明するフローチャート。
【図7】印刷色Pの色相角と各色材のブロンズ色の色相角の関係を示す図。
【図8】色材の重ね順(記録順)を説明する図。
【図9】ブロンズ色格納部が格納する観察光に対応する各色材のブロンズ色を説明する図。
【図10】観察光を指定するユーザインタフェイスの一例を示す図。
【図11】実施例3の印刷装置の構成例を説明するブロック図。
【図12】観察光の分光分布の一例を示す図。
【図13】代表的な光源の分光分布と、それに対応する色材のブロンズ色を示すテーブルの一例を示す図。
【図14】ブロンズ色取得部の処理を説明するフローチャート。
【図15】実施例4の印刷装置の構成例を説明するブロック図。
【図16】ブロンズ色測定部の処理を説明するフローチャート。
【図17】色材の記録順の決定方法を説明するフローチャート。
【図18】印刷色Pと色度値と各色材のブロンズ色の色度値の関係を示す図。
【図19】プリンタエンジンの記録ヘッドの構成例を説明する図。
【図20】色材の記録順と使用するノズル列の関係例を説明する図。
【図21】ブロンズ抑制モードを設定するユーザインタフェイスの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる実施例の画像処理を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
[装置の構成]
図2のブロック図により実施例の画像処理装置の概要を説明する。なお、図2に示す画像処理装置は、例えばシアンC、マゼンタM、イエローYの三色の顔料系の複数色の色材(顔料インク)によって画像を形成する印刷装置の画像処理部およびプリンタエンジンの制御部に相当する。
【0016】
カラーマッチング部201は、入力画像の画像データ(例えばRGBデータ)を印刷システムが再現可能な色域にマッピングしたLabデータを出力する。色分解部202は、色分解テーブルを参照してLabデータをCMYデータに色分解する。ハーフトーニング部203は、色分解データ(CMYデータ)をCMYドットの配置を示すパターン(以下、CMYドット配置パターン)のデータ(以下、CMYドット配置データ)に変換する。記録順決定部205は、Labデータが示す印刷色とブロンズ色格納部206に格納された色材のブロンズ色に基づき、色材の記録順を決定する。印刷制御部204は、色材の記録順と、CMYドット配置データに従い図示しないプリンタエンジンを制御して画像を記録する。
【0017】
ハーフトーニング部203が出力する記録信号であるCMYドット配置パターンは、例えば一画素当り4×4ドットのCMYドットパターンである。記録順決定部205は、一画素のLabデータに基づき、画素ごとに色材の記録順を決定する。従って、印刷制御部204は、一画素(4×4ドット)ごとに色材の記録順を制御して、プリンタエンジンの記録ヘッドの記録素子を駆動する。
【0018】
●ブロンズ色
図3によりブロンズ色の一例を説明する。ブロンズ色は、例えばCIELab空間における色度値a*b*および色相角θとして記録する。図4によりある二種類の試料A、Bの分光強度の測定例を示す。試料Aは比較的ブロンズ現象の発生が大きく、試料Bは比較的ブロンズ現象の発生が小さい。ブロンズ色の取得、算出は、例えば特許文献2に記された方法を用いればよいが、以下に、その方法を簡単に説明する。
【0019】
図5の概念図によりブロンズ現象測定装置の幾何光学系を説明する。評価対象501は、印刷制御部204の制御によってパッチ(例えばべたパッチ)が記録された記録媒体である。なお、評価対象501は、例えば静電吸着やエアポンプによる吸引などにより、できるだけ平坦に固定することが望ましい。
【0020】
評価対象501を照明する光源502は、ハロゲン電球、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、重水素ランプ、LED、あるいは、前記光源を複数を組み合わせたものである。勿論、太陽光でもよい。
【0021】
評価対象501からの正反射光の分光強度を検出する受光器503は、単受光面形のフォトダイオード、光電管、光電子増倍管、多素子受光面形のSiフォトダイオードアレイ、CCDなどである。受光器503は、回折格子やプリズムなどの分光手段を備える。受光器503は、評価対象501の法線方向に対して、光源502の反対側に同一角度θ傾いた位置、つまり正反射方向に配置する。なお、光源502、受光器503は、それぞれレンズ系を備えてもよい。
【0022】
受光器504は、ブロンズ現象の発生量を算出するため、受光器503と同一の構成であり、光源502の分光強度を測定する。光源502の分光強度は、評価対象501の代わりに、完全拡散反射体などの白色板または鏡面を配置して、その正反射光の分光強度を受光器503で測定してもよい。あるいは、照明光をビームスプリットなどで分離し、受光器503とは別の検出手段によって光源502の分光強度を測定してもよい。
【0023】
次に、評価対象501の正反射光からブロンズ色を算出する。受光器503によって測定される評価対象501からの正反射光の分光強度Rx(λ)から、下式によって、正反射光の三刺激値XxYxZxを算出する。
Xx = ∫Rx(λ)x(λ)dλ
Yx = ∫Rx(λ)y(λ)dλ …(1)
Zx = ∫Rx(λ)z(λ)dλ
ここで、x(λ)y(λ)z(λ)はJIS Z 8782の等色関数、
積分範囲はλ=380nmから780nm。
【0024】
式(1)は光源色の三刺激値の算出方法を示す。これは、図5に示す光学系は、正反射光を測定するため、例えば光沢紙のように光沢の度合いが大きいものは正反射光の測定値のレンジは光源の測定に近くなる。つまり、光源からの光を直接測光する測定系に類似する。従って、通常の反射による物体色の三刺激値の算出とは異なり、正反射光の分光強度を光源の相対分光分布とみなして、光源色の三刺激値の算出方法に従う。また、式(1)では比例定数の乗算による正規化を行わないが、下式の定数を乗算して正規化を行ってもよい。
K = 100/∫y(λ)dλ …(2)
【0025】
次に、受光器504によって測定される光源502の分光強度S(λ)から、下式によって、光源502の三刺激値XsYsZsを算出する。
Xs = k∫S(λ)x(λ)dλ
Ys = k∫S(λ)y(λ)dλ …(3)
Zs = k∫S(λ)z(λ)dλ
ここで、kは比例定数で、Ysの値が測光量に一致するように定める。
【0026】
次に、評価対象501の正反射光の三刺激値XxYxZxと光源502の三刺激値XsYsZsから、JIS Z 8729に基づき、正反射光のCIELab空間における色度値a*b*、色相角θを算出する。ただし、JIS Z 8729におけるXYZ値には正反射光の三刺激値XxYxZxを使用し、XnYnZn値には光源502の三刺激値XsYsZsを使用する。なお、ブロンズ現象は、映り込んだ照明像の明るさではなくその色に関係し、本実施例においては、明度値L*は評価に用いない。
a* = 500{f(Xx/Xs) - f(Yx/Ys)}
b* = 200{f(Yx/Ys) - f(Zx/Zs)} …(4)
θ = tan-1(a*/b*)
ここで、if (Xx/Xs > 0.008856)
f(Xx/Xs) = (Xx/Xs)1/3;
else
f(Xx/Xs) = 7.78(Xx/Xs) + 16/116;
if (Yx/Ys > 0.008856)
f(Yx/Ys) = (Yx/Ys)1/3;
else
f(Yx/Ys) = 7.78(Yx/Ys) + 16/116;
if (Zx/Zs > 0.008856)
f(Zx/Zs) = (Zx/Zs)1/3;
else
f(Zx/Zs) = 7.78(Zx/Zs) + 16/116;
【0027】
上記では、回折格子などを利用して分光強度を測定し、ブロンズ色として色度値a*b*と色相角θを算出する例を説明した。勿論、カラーフィルタを備える光検出手段の出力値(例えばRGB値)を三刺激値XYZに変換し、色度値a*b*と色相角θを算出してもよい。
【0028】
●記録順決定部
ブロンズ色格納部206は、上記の測定方法によって測定された各色材のブロンズ色を予め格納する。記録順決定部205は、ブロンズ現象が画像の最上層に付着した色材の影響を受ける点を考慮して、画像の最上層に付着する色材を、印刷色の色相とブロンズ色の色相の差が最も小さい色材になるように、色材の記録順を決定する。
【0029】
図6のフローチャートにより色材の記録順の決定方法を説明する。なお、図6は、印刷色P(図7参照)の色材の記録順を決定する場合を示している。
【0030】
記録順決定部205は、印刷色Pを示すLabデータを入力し(S801)、印刷色Pの色相角θpを算出し(S802)、印刷色Pと各色材のブロンズ色の色相角の差(以下、色相差)を算出する(S803)。印刷色Pと各色材のブロンズ色の色相差は次のようになる。
印刷色PとC色材:Δθc = |θp - θc|
印刷色PとM色材:Δθm = |θp - θm| …(5)
印刷色PとY色材:Δθy = |θp - θy|
【0031】
次に、記録順決定部205は、色相差を比較して、色相差が最小の色材を最後に付着させる色材に決定する(S804)。図7の例では、色相差がΔθy>Δθm>Δθcであるから、C色材が最後に付着される色材に決定される。
【0032】
次に、記録順決定部205は、最後に付着させる色材以外の色材の記録順を決定し(S805)、決定した色材の記録順を出力する(S806)。最後に付着させる色材以外の色材の記録順は任意でよいが、光散乱特性といった各色材の特性に基づき決定してもよい。本実施例では、色相差の大きい順に色材を付着させることにする。従って、図8に示すように、記録媒体1101の上にY色材1102、M色材1103、C色材1104の順に重ねられて印刷色Pが記録される。
【0033】
[記録ヘッド]
本実施例の印刷装置は、固定された記録媒体上を記録ヘッドが移動する主走査と、一回の主走査が終わるごとに記録媒体を主走査と直交する方向に所定量移動する副走査を行う。その際、記録ヘッドの往路と復路の双方においてインクを吐出する所謂双方向印刷を行う。記録ヘッドの往路の移動と復路の移動はそれぞれ一回の主走査である。
【0034】
図19によりプリンタエンジンの記録ヘッド301の構成例を説明する。記録ヘッド301は、同色の色材を吐出する複数のノズル(記録素子)が副走査方向に一列に並んだノズル列を等間隔に合計七列備える。図19に示すノズル列302、305、308はY色材を吐出し、ノズル列303と306はC色材を吐出し、ノズル列304と307はM色材を吐出する。
【0035】
図20により色材の記録順と使用するノズル列の関係例を説明する。なお、図20に示す例えば「YMC」は最初に色材Yを、次に色材Mを、最後に色材Cを記録することを表す。
【0036】
記録ヘッド301の往路走査においては、例えば、「YMC」はノズル列をY1-M1-C2の順に使用して色材を記録する。同様に「MCY」はM1-C2-Y3の順、「CYM」はC1-Y2-M2の順、「MYC」はM1-Y2-C2の順、「YCM」はY1-C1-M1の順、「CMY」はC1-M1-Y2の順にそれぞれ使用して色材を記録する。また、記録ヘッド301の復路走査においては、例えば、「YMC」はノズル列をY3-M2-C2の順に使用して色材を記録する。同様に「MCY」はM2-C2-Y2の順、「CYM」はC2-Y2-M1の順、「MYC」はM2-Y2-C1の順、「YCM」はY3-C2-M1の順、「CMY」はC2-M1-Y1の順にそれぞれ使用して色材を記録する。
【0037】
このように、印刷色と色相差が小さいブロンズ色をもつ色材を最後に付着させる(記録する)ことにより、好ましくない色として知覚されるブロンズ色の発生を抑制することができる。
【実施例2】
【0038】
以下、本発明にかかる実施例2の画像処理を説明する。なお、実施例2において、実施例1と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0039】
色材のブロンズ色は環境光の特性に依存し、たとえ同じ色材でも色材を観察する環境に応じてブロンズ色が異なる。実施例2では、画像を観察する環境光(以下、観察光)を考慮して色材の記録順を決定する方法を説明する。
【0040】
図9によりブロンズ色格納部206が格納する観察光に対応する各色材のブロンズ色を説明する。ブロンズ色格納部206は、例えば蛍光灯、ハロゲンランプ、太陽光に対応する各色材のブロンズ色を格納する。なお、観察光に対応する各色材のブロンズ色は、図5に示す光源502を観察光に対応させることで測定する。
【0041】
記録順決定部205は、例えば画像の印刷指示に含まれる観察光を示す情報を取得して、ブロンズ色格納部206から観察光に対応する各色材のブロンズ色を取得し、色材の記録順を決定する。ユーザは、例えば図10に示すユーザインタフェイス(UI)を使用して観察光を指定する。このUIは、プリンタドライバの一部としてコンピュータ装置に供給し、コンピュータ装置の画面に表示してもよいし、記録装置の操作パネルなどに表示してもよい。
【0042】
このように、観察光に応じたブロンズ色を使用することで、観察光の下におけるブロンズ色の発生をより効果的に抑制することができる。
【実施例3】
【0043】
以下、本発明にかかる実施例3の画像処理を説明する。なお、実施例3において、実施例1、2と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0044】
実施例2ではユーザが観察光を指定する方法を説明したが、観察光を測定し、測定した観察光に対応する色材のブロンズ色を取得してもよい。実施例3では、観察光を測定し、ブロンズ色を取得する方法を説明する。
【0045】
図11のブロック図により実施例3の印刷装置の構成例を説明する。なお、図11にはブロンズ色格納部206と記録順決定部205の周辺の構成だけを示す。
【0046】
分光放射輝度計などの環境光測定部1501は、画像を観察する環境の照明の分光分布S(λ)を測定する(図12参照)。ブロンズ色取得部1502は、環境光測定部1501が取得した環境光の分光分布S(λ)の特性に対応する色材のブロンズ色データをブロンズ色格納部206から取得する。ブロンズ色格納部206は、代表的な光源の分光分布と、それに対応する色材のブロンズ色を示すテーブルを格納する(図13参照)。
【0047】
図14のフローチャートによりブロンズ色取得部1502の処理を説明する。ブロンズ色取得部1502は、環境光の分光分布S(λ)を正規化して分光分布Sn(λ)とする(S1801)。次に、ブロンズ色格納部703のテーブルに記録された分光分布を正規化する(S1802)。図13の例では、A(λ)、B(λ)、C(λ)が正規化された分光分布An(λ)、Bn(λ)、Cn(λ)になる。
【0048】
次に、ブロンズ色取得部1502は、次式により、Sn(λ)とAn(λ)の平均二乗誤差(RMS)を計算し、同様に、Sn(λ)とBn(λ)のRMS、Sn(λ)とCn(λ)のRMSを計算する(S1803)。
RMS = Σ√[{(S(λ) - x(λ)}2] …(6)
ここで、x(λ)はAn(λ)、Bn(λ)またはCn(λ)、
Σ演算は、例えば380nmから780nmまで10nmピッチ。
【0049】
次に、ブロンズ色取得部1502は、計算したRMS同士を比較して、RMSが最小の、ブロンズ色格納部206が格納する分光分布が、環境の照明の分光分布に対応すると判定する(S1804)。そして、判定した分光分布に対応する色材のブロンズ色を取得する(S1805)。なお、環境光測定部1501が測定する情報は、分光分布に限らず、XYZ値、色温度などでもよい。
【0050】
このように、環境の照明光の測定結果に応じたブロンズ色を使用することで、環境の照明光の下におけるブロンズ色の発生をより効果的に抑制することができる。
【実施例4】
【0051】
以下、本発明にかかる実施例4の画像処理を説明する。なお、実施例4において、実施例1〜3と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0052】
実施例4では、色材のブロンズ色を測定して色材の記録順を決定する方法を説明する。
【0053】
図15のブロック図により実施例4の印刷装置の構成例を説明する。なお、図15には記録順決定部205の周辺の構成だけを示す。ブロンズ色測定部1901は、色材のブロンズ色を測定する。
【0054】
図16のフローチャートによりブロンズ色測定部1901の処理を説明する。ブロンズ色測定部1901は、印刷制御部204を制御して、各色材のべたパッチを記録媒体に形成させる(S2001)。そして、各色材のパッチを測定し(S2002)、各色材のブロンズ色を算出し記憶する(S2003)。以降、記録順決定部205は、ブロンズ色測定部1901が記憶する各色材のブロンズ色に基づき色材の記録順を決定する。
【0055】
このように、色材のブロンズ色を測定すれば、色材が変更された場合などに、色材のブロンズ色をより正確に測定することがで、ブロンズ色の発生をより効果的に抑制することができる。
【実施例5】
【0056】
以下、本発明にかかる実施例5の画像処理を説明する。なお、実施例5において、実施例1〜4と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0057】
上記実施例においては、印刷色と色材のブロンズ色の色相差を用いて色材の記録順を決定する方法を説明した。しかし、記録順の決定は、色相差に限定されず、印刷色とブロンズ色の差分を表す評価値を用いればよい。例えば、印刷色とブロンズ色の色差を評価値に使用してもよい。
【0058】
図17のフローチャートにより色材の記録順の決定方法を説明する。なお、図17は、印刷色P(図18参照)の色材の記録順を決定する場合を示している。
【0059】
記録順決定部205は、印刷色Pを示すLabデータを入力し(S901)、印刷色Pと各色材のブロンズ色の色差を算出する(S902)。印刷色Pと各色材のブロンズ色の色差ΔEは次のようになる。
ΔEy = √{aY* - aP*)2 + (bY* - bP*)2}
ΔEm = √{aM* - aP*)2 + (bM* - bP*)2} …(7)
ΔEc = √{aC* - aP*)2 + (bC* - bP*)2}
ここで、(aY*, bY*)はY色材の色度座標、
(aM*, bM*)はM色材の色度座標、
(aC*, bC*)はC色材の色度座標、
(aP*, bP*)は印刷色Pの色度座標。
【0060】
次に、記録順決定部205は、色差ΔEを比較して、色差が最小の色材を最後に付着させる色材に決定する(S903)。図18の例では、色相差がΔEy>ΔEm>ΔEcであるから、C色材が最後に付着される色材に決定される。
【0061】
次に、記録順決定部205は、最後に付着させる色材以外の色材の記録順を決定し(S904)、決定した色材の記録順を出力する(S905)。最後に付着させる色材以外の色材の記録順は任意でよいが、本実施例では、色差ΔEの大きい順に色材を付着させることにする。
【0062】
このように、印刷色と色差が小さいブロンズ色をもつ色材を最後に付着させることにより、好ましくない色として知覚されるブロンズ色の発生を抑制することができる。
【実施例6】
【0063】
以下、本発明にかかる実施例6の画像処理を説明する。なお、実施例6において、実施例1〜5と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0064】
上記の実施例においては、印刷色とブロンズ色の差が最も小さい色材を最後に記録してブロンズ現象の発生を抑制する方法(以下、方法1)を説明した。また、各色材のブロンズ現象の発生量に対応するクロマ値c*(a*b*平面における原点と色度a*b*の距離)に基づき、ブロンズ現象の発生量が最小の色材を最後に記録し、ブロンズ現象の発生を抑制する方法(以下、方法2)が提案されている。
【0065】
方法1は、印刷色とブロンズ色の差の小さくなるように色材の記録順を制御するが、ブロンズ現象の発生量が大きい場合、画像がぎらぎらと輝くようなぎらつき感が生じることが想定される。また、方法2は、ブロンズ現象の発生量を抑制することはできるが、印刷色とブロンズ色の違いが残る。そこで、ぎらつき感が発生してもよい場合は方法1を採用し、印刷色とブロンズ色の違いが残ってもよい場合は方法2を選択するなど、画像の用途やユーザの好みに応じて上記二つの方法を選択的に使用することが考えられる。以下では、方法1を「ブロンズ色抑制モード」、方法2を「ブロンズ現象抑制モード」として説明する。
【0066】
記録順決定部205は、例えば画像の印刷指示に含まれる抑制モードの指示情報を取得して、色材の記録順の決定方法を設定する。ユーザは、例えば図21に示すユーザインタフェイス(UI)を使用して抑制モードを指定する。このUIは、プリンタドライバの一部としてコンピュータ装置に供給し、コンピュータ装置の画面に表示してもよいし、記録装置の操作パネルなどに表示してもよい。
【0067】
記録順決定部205は、ブロンズ色抑制モードが指示された場合、印刷色と各色材のブロンズ色の色相角(または色度値)を比較し、最後に付着させる色材を決定する第一のモードを実行する。ただし、例えば図7に示すΔθcが最小だとしても、ΔθcとΔθmの差が所定角度(例えば1度)以下の場合は、C色材とM色材のどちらを最後に付着させても、印刷色とは同程度に色相が異なるブロンズ色が発生する。その場合、ブロンズ現象抑制モードの手法を用いて、最後に付着させる色材を決定する。つまり、色材Cのクロマ値c*CとM色材のクロマ値c*Mを比較して、クロマ値c*が小さい色材を最後に付着させる色材に決定する。
【0068】
また、ブロンズ現象抑制モードが指示された場合、記録順決定部205は、色材Cのクロマ値c*C、M色材のクロマ値c*M、色材Yのクロマ値c*Yを比較し、最後に付着させる色材を決定する第二のモードを実行する。ただし、c*Mが最小だとしても、c*Mとc*Yの差が所定値以下の場合は、M色材とY色材のどちらを最後に付着させても、同程度の強度のブロンズ現象が発生する。その場合、ブロンズ色抑制モードの手法を用いて、最後に付着させる色材を決定する。つまり、ΔθmとΔθy(または色度値)を比較して、色相差(または色差)が小さい色材を最後に付着させる色材に決定する。
【0069】
このように、優先する抑制モードの指示に従いブロンズ現象またはブロンズ色の発生を抑制し、二つの色材において抑制量が同程度の場合は二つの抑制方法を併用することで、印刷色とブロンズ色の違いの抑制、ブロンズ現象の抑制を両立させた処理が可能になる。
【0070】
[他の実施例]
本発明の目的は、次のようにしても達成される。上記実施例の機能または先に説明したフローチャートの処理や制御を実現するプログラムを記録した記録媒体をシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(CPUやMPU)に前記プログラムを実行させる。この場合、記録媒体から読み出されたソフトウェア自体が上記実施例の機能を実現することになり、そのプログラムと、そのプログラムを記憶する、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は本発明を構成する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやファクシミリなどの出力装置として、文字や画像を記録紙などの記録媒体に記録する記録装置には様々な方式がある。その中で、記録媒体に記録材を付着することで文字や画像を形成する代表的な方式としてインクジェット記録方式がある。インクジェット記録装置の画質が向上し、ディジタル画像の出力、所謂写真印刷にインクジェット記録装置を用いることが一般化した。その結果、出力画像の保存性が重要視されている。しかし、インクジェット記録装置の記録材(色材)として主に用いられる染料インクは保存性が低く、保存性を考慮すると、顔料インクの使用が望まれる。
【0003】
インクジェット記録装置において顔料インクを用いた場合に顕著な現象として、出力画像の表面に映り込んだ照明像に色が付く現象(以下、ブロンズ現象)がある。ブロンズ現象は、画像の観察者からすると、出力画像の画質を低下させる。
【0004】
特許文献1は、インクの使用比率を制御してブロンズ現象の発生を抑制する発明を開示する。つまり、記録すべき画像の明度、使用インクの使用比率からブロンズ現象の発生の有無を判定し、判定結果に応じてインクの使用比率を変更し、ブロンズ現象が発生し難い画像を記録する。
【0005】
また、特許文献2は、ブロンズ現象の発生が画像の最上層に付着されたインクの影響を受ける点を考慮して、インクの記録順を制御してブロンズ現象の発生を抑制する発明を開示する。ブロンズ現象発生の指標として、色材のブロンズ色の刺激値を利用し、刺激値が大きい色材の上に刺激値がより小さい色材を重ねるように色材の付着を制御してブロンズ現象の発生を抑制する。
【0006】
図1により光源の光が照射された印刷物を観察する場合の観察光を説明する。この場合、二種類の観察光が存在する。一つ目は、図1に示すA方向、つまり、光源の正反射方向から観察した場合の観察光であり、印刷物に映り込んだ光源像が観察される。二つ目は、図1に示すB方向から観察した場合の観察光であり、印刷物の内部を通過し反射した光、つまり、色材によって再現された色(以下、印刷色)が観察される。このように、観察者が観察する光には二種類が存在する。A方向から印刷物を観察すると、光源の色(照明色)と異なる色の光源が映り込んでいるように認識されることがある。つまり、光源の色とは異なる色の光を観察することになり、これがブロンズ現象として知覚される。
【0007】
印刷物の観察時、上記の二種類の観察光が同時に観察されることがある。印刷色とブロンズ現象によって生じる色(以下、ブロンズ色)が異なれば、ブロンズ色は好ましくない色として知覚され、出力画像の画質を低下させる。特許文献1、2の発明は、ブロンズ現象の発生量を考慮してブロンズ現象を抑制するが、印刷色とブロンズ色の違いを考慮するわけではない。そのため、ブロンズ現象の発生は抑制されるにしても、印刷色と異なるブロンズ色が残り、ブロンズ現象による画質の低下を充分に軽減することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-138555公報
【特許文献2】特願2007-071197公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ブロンズ色の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0011】
本発明にかかる画像処理は、画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する際に、入力される画像データが表す色を算出し、前記色材それぞれのブロンズ色を取得し、前記画像データが表す色および前記色材それぞれのブロンズ色に基づき、前記色を形成する際の前記色材の記録順を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ブロンズ色の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光源の光が照射された印刷物を観察する場合の観察光を説明する図。
【図2】実施例の印刷装置の概要を説明するブロック図。
【図3】ブロンズ色の一例を説明する図。
【図4】ある二種類の試料の分光強度の測定例を示す図。
【図5】ブロンズ現象測定装置の幾何光学系を説明する概念図。
【図6】色材の記録順の決定方法を説明するフローチャート。
【図7】印刷色Pの色相角と各色材のブロンズ色の色相角の関係を示す図。
【図8】色材の重ね順(記録順)を説明する図。
【図9】ブロンズ色格納部が格納する観察光に対応する各色材のブロンズ色を説明する図。
【図10】観察光を指定するユーザインタフェイスの一例を示す図。
【図11】実施例3の印刷装置の構成例を説明するブロック図。
【図12】観察光の分光分布の一例を示す図。
【図13】代表的な光源の分光分布と、それに対応する色材のブロンズ色を示すテーブルの一例を示す図。
【図14】ブロンズ色取得部の処理を説明するフローチャート。
【図15】実施例4の印刷装置の構成例を説明するブロック図。
【図16】ブロンズ色測定部の処理を説明するフローチャート。
【図17】色材の記録順の決定方法を説明するフローチャート。
【図18】印刷色Pと色度値と各色材のブロンズ色の色度値の関係を示す図。
【図19】プリンタエンジンの記録ヘッドの構成例を説明する図。
【図20】色材の記録順と使用するノズル列の関係例を説明する図。
【図21】ブロンズ抑制モードを設定するユーザインタフェイスの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる実施例の画像処理を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
[装置の構成]
図2のブロック図により実施例の画像処理装置の概要を説明する。なお、図2に示す画像処理装置は、例えばシアンC、マゼンタM、イエローYの三色の顔料系の複数色の色材(顔料インク)によって画像を形成する印刷装置の画像処理部およびプリンタエンジンの制御部に相当する。
【0016】
カラーマッチング部201は、入力画像の画像データ(例えばRGBデータ)を印刷システムが再現可能な色域にマッピングしたLabデータを出力する。色分解部202は、色分解テーブルを参照してLabデータをCMYデータに色分解する。ハーフトーニング部203は、色分解データ(CMYデータ)をCMYドットの配置を示すパターン(以下、CMYドット配置パターン)のデータ(以下、CMYドット配置データ)に変換する。記録順決定部205は、Labデータが示す印刷色とブロンズ色格納部206に格納された色材のブロンズ色に基づき、色材の記録順を決定する。印刷制御部204は、色材の記録順と、CMYドット配置データに従い図示しないプリンタエンジンを制御して画像を記録する。
【0017】
ハーフトーニング部203が出力する記録信号であるCMYドット配置パターンは、例えば一画素当り4×4ドットのCMYドットパターンである。記録順決定部205は、一画素のLabデータに基づき、画素ごとに色材の記録順を決定する。従って、印刷制御部204は、一画素(4×4ドット)ごとに色材の記録順を制御して、プリンタエンジンの記録ヘッドの記録素子を駆動する。
【0018】
●ブロンズ色
図3によりブロンズ色の一例を説明する。ブロンズ色は、例えばCIELab空間における色度値a*b*および色相角θとして記録する。図4によりある二種類の試料A、Bの分光強度の測定例を示す。試料Aは比較的ブロンズ現象の発生が大きく、試料Bは比較的ブロンズ現象の発生が小さい。ブロンズ色の取得、算出は、例えば特許文献2に記された方法を用いればよいが、以下に、その方法を簡単に説明する。
【0019】
図5の概念図によりブロンズ現象測定装置の幾何光学系を説明する。評価対象501は、印刷制御部204の制御によってパッチ(例えばべたパッチ)が記録された記録媒体である。なお、評価対象501は、例えば静電吸着やエアポンプによる吸引などにより、できるだけ平坦に固定することが望ましい。
【0020】
評価対象501を照明する光源502は、ハロゲン電球、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、重水素ランプ、LED、あるいは、前記光源を複数を組み合わせたものである。勿論、太陽光でもよい。
【0021】
評価対象501からの正反射光の分光強度を検出する受光器503は、単受光面形のフォトダイオード、光電管、光電子増倍管、多素子受光面形のSiフォトダイオードアレイ、CCDなどである。受光器503は、回折格子やプリズムなどの分光手段を備える。受光器503は、評価対象501の法線方向に対して、光源502の反対側に同一角度θ傾いた位置、つまり正反射方向に配置する。なお、光源502、受光器503は、それぞれレンズ系を備えてもよい。
【0022】
受光器504は、ブロンズ現象の発生量を算出するため、受光器503と同一の構成であり、光源502の分光強度を測定する。光源502の分光強度は、評価対象501の代わりに、完全拡散反射体などの白色板または鏡面を配置して、その正反射光の分光強度を受光器503で測定してもよい。あるいは、照明光をビームスプリットなどで分離し、受光器503とは別の検出手段によって光源502の分光強度を測定してもよい。
【0023】
次に、評価対象501の正反射光からブロンズ色を算出する。受光器503によって測定される評価対象501からの正反射光の分光強度Rx(λ)から、下式によって、正反射光の三刺激値XxYxZxを算出する。
Xx = ∫Rx(λ)x(λ)dλ
Yx = ∫Rx(λ)y(λ)dλ …(1)
Zx = ∫Rx(λ)z(λ)dλ
ここで、x(λ)y(λ)z(λ)はJIS Z 8782の等色関数、
積分範囲はλ=380nmから780nm。
【0024】
式(1)は光源色の三刺激値の算出方法を示す。これは、図5に示す光学系は、正反射光を測定するため、例えば光沢紙のように光沢の度合いが大きいものは正反射光の測定値のレンジは光源の測定に近くなる。つまり、光源からの光を直接測光する測定系に類似する。従って、通常の反射による物体色の三刺激値の算出とは異なり、正反射光の分光強度を光源の相対分光分布とみなして、光源色の三刺激値の算出方法に従う。また、式(1)では比例定数の乗算による正規化を行わないが、下式の定数を乗算して正規化を行ってもよい。
K = 100/∫y(λ)dλ …(2)
【0025】
次に、受光器504によって測定される光源502の分光強度S(λ)から、下式によって、光源502の三刺激値XsYsZsを算出する。
Xs = k∫S(λ)x(λ)dλ
Ys = k∫S(λ)y(λ)dλ …(3)
Zs = k∫S(λ)z(λ)dλ
ここで、kは比例定数で、Ysの値が測光量に一致するように定める。
【0026】
次に、評価対象501の正反射光の三刺激値XxYxZxと光源502の三刺激値XsYsZsから、JIS Z 8729に基づき、正反射光のCIELab空間における色度値a*b*、色相角θを算出する。ただし、JIS Z 8729におけるXYZ値には正反射光の三刺激値XxYxZxを使用し、XnYnZn値には光源502の三刺激値XsYsZsを使用する。なお、ブロンズ現象は、映り込んだ照明像の明るさではなくその色に関係し、本実施例においては、明度値L*は評価に用いない。
a* = 500{f(Xx/Xs) - f(Yx/Ys)}
b* = 200{f(Yx/Ys) - f(Zx/Zs)} …(4)
θ = tan-1(a*/b*)
ここで、if (Xx/Xs > 0.008856)
f(Xx/Xs) = (Xx/Xs)1/3;
else
f(Xx/Xs) = 7.78(Xx/Xs) + 16/116;
if (Yx/Ys > 0.008856)
f(Yx/Ys) = (Yx/Ys)1/3;
else
f(Yx/Ys) = 7.78(Yx/Ys) + 16/116;
if (Zx/Zs > 0.008856)
f(Zx/Zs) = (Zx/Zs)1/3;
else
f(Zx/Zs) = 7.78(Zx/Zs) + 16/116;
【0027】
上記では、回折格子などを利用して分光強度を測定し、ブロンズ色として色度値a*b*と色相角θを算出する例を説明した。勿論、カラーフィルタを備える光検出手段の出力値(例えばRGB値)を三刺激値XYZに変換し、色度値a*b*と色相角θを算出してもよい。
【0028】
●記録順決定部
ブロンズ色格納部206は、上記の測定方法によって測定された各色材のブロンズ色を予め格納する。記録順決定部205は、ブロンズ現象が画像の最上層に付着した色材の影響を受ける点を考慮して、画像の最上層に付着する色材を、印刷色の色相とブロンズ色の色相の差が最も小さい色材になるように、色材の記録順を決定する。
【0029】
図6のフローチャートにより色材の記録順の決定方法を説明する。なお、図6は、印刷色P(図7参照)の色材の記録順を決定する場合を示している。
【0030】
記録順決定部205は、印刷色Pを示すLabデータを入力し(S801)、印刷色Pの色相角θpを算出し(S802)、印刷色Pと各色材のブロンズ色の色相角の差(以下、色相差)を算出する(S803)。印刷色Pと各色材のブロンズ色の色相差は次のようになる。
印刷色PとC色材:Δθc = |θp - θc|
印刷色PとM色材:Δθm = |θp - θm| …(5)
印刷色PとY色材:Δθy = |θp - θy|
【0031】
次に、記録順決定部205は、色相差を比較して、色相差が最小の色材を最後に付着させる色材に決定する(S804)。図7の例では、色相差がΔθy>Δθm>Δθcであるから、C色材が最後に付着される色材に決定される。
【0032】
次に、記録順決定部205は、最後に付着させる色材以外の色材の記録順を決定し(S805)、決定した色材の記録順を出力する(S806)。最後に付着させる色材以外の色材の記録順は任意でよいが、光散乱特性といった各色材の特性に基づき決定してもよい。本実施例では、色相差の大きい順に色材を付着させることにする。従って、図8に示すように、記録媒体1101の上にY色材1102、M色材1103、C色材1104の順に重ねられて印刷色Pが記録される。
【0033】
[記録ヘッド]
本実施例の印刷装置は、固定された記録媒体上を記録ヘッドが移動する主走査と、一回の主走査が終わるごとに記録媒体を主走査と直交する方向に所定量移動する副走査を行う。その際、記録ヘッドの往路と復路の双方においてインクを吐出する所謂双方向印刷を行う。記録ヘッドの往路の移動と復路の移動はそれぞれ一回の主走査である。
【0034】
図19によりプリンタエンジンの記録ヘッド301の構成例を説明する。記録ヘッド301は、同色の色材を吐出する複数のノズル(記録素子)が副走査方向に一列に並んだノズル列を等間隔に合計七列備える。図19に示すノズル列302、305、308はY色材を吐出し、ノズル列303と306はC色材を吐出し、ノズル列304と307はM色材を吐出する。
【0035】
図20により色材の記録順と使用するノズル列の関係例を説明する。なお、図20に示す例えば「YMC」は最初に色材Yを、次に色材Mを、最後に色材Cを記録することを表す。
【0036】
記録ヘッド301の往路走査においては、例えば、「YMC」はノズル列をY1-M1-C2の順に使用して色材を記録する。同様に「MCY」はM1-C2-Y3の順、「CYM」はC1-Y2-M2の順、「MYC」はM1-Y2-C2の順、「YCM」はY1-C1-M1の順、「CMY」はC1-M1-Y2の順にそれぞれ使用して色材を記録する。また、記録ヘッド301の復路走査においては、例えば、「YMC」はノズル列をY3-M2-C2の順に使用して色材を記録する。同様に「MCY」はM2-C2-Y2の順、「CYM」はC2-Y2-M1の順、「MYC」はM2-Y2-C1の順、「YCM」はY3-C2-M1の順、「CMY」はC2-M1-Y1の順にそれぞれ使用して色材を記録する。
【0037】
このように、印刷色と色相差が小さいブロンズ色をもつ色材を最後に付着させる(記録する)ことにより、好ましくない色として知覚されるブロンズ色の発生を抑制することができる。
【実施例2】
【0038】
以下、本発明にかかる実施例2の画像処理を説明する。なお、実施例2において、実施例1と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0039】
色材のブロンズ色は環境光の特性に依存し、たとえ同じ色材でも色材を観察する環境に応じてブロンズ色が異なる。実施例2では、画像を観察する環境光(以下、観察光)を考慮して色材の記録順を決定する方法を説明する。
【0040】
図9によりブロンズ色格納部206が格納する観察光に対応する各色材のブロンズ色を説明する。ブロンズ色格納部206は、例えば蛍光灯、ハロゲンランプ、太陽光に対応する各色材のブロンズ色を格納する。なお、観察光に対応する各色材のブロンズ色は、図5に示す光源502を観察光に対応させることで測定する。
【0041】
記録順決定部205は、例えば画像の印刷指示に含まれる観察光を示す情報を取得して、ブロンズ色格納部206から観察光に対応する各色材のブロンズ色を取得し、色材の記録順を決定する。ユーザは、例えば図10に示すユーザインタフェイス(UI)を使用して観察光を指定する。このUIは、プリンタドライバの一部としてコンピュータ装置に供給し、コンピュータ装置の画面に表示してもよいし、記録装置の操作パネルなどに表示してもよい。
【0042】
このように、観察光に応じたブロンズ色を使用することで、観察光の下におけるブロンズ色の発生をより効果的に抑制することができる。
【実施例3】
【0043】
以下、本発明にかかる実施例3の画像処理を説明する。なお、実施例3において、実施例1、2と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0044】
実施例2ではユーザが観察光を指定する方法を説明したが、観察光を測定し、測定した観察光に対応する色材のブロンズ色を取得してもよい。実施例3では、観察光を測定し、ブロンズ色を取得する方法を説明する。
【0045】
図11のブロック図により実施例3の印刷装置の構成例を説明する。なお、図11にはブロンズ色格納部206と記録順決定部205の周辺の構成だけを示す。
【0046】
分光放射輝度計などの環境光測定部1501は、画像を観察する環境の照明の分光分布S(λ)を測定する(図12参照)。ブロンズ色取得部1502は、環境光測定部1501が取得した環境光の分光分布S(λ)の特性に対応する色材のブロンズ色データをブロンズ色格納部206から取得する。ブロンズ色格納部206は、代表的な光源の分光分布と、それに対応する色材のブロンズ色を示すテーブルを格納する(図13参照)。
【0047】
図14のフローチャートによりブロンズ色取得部1502の処理を説明する。ブロンズ色取得部1502は、環境光の分光分布S(λ)を正規化して分光分布Sn(λ)とする(S1801)。次に、ブロンズ色格納部703のテーブルに記録された分光分布を正規化する(S1802)。図13の例では、A(λ)、B(λ)、C(λ)が正規化された分光分布An(λ)、Bn(λ)、Cn(λ)になる。
【0048】
次に、ブロンズ色取得部1502は、次式により、Sn(λ)とAn(λ)の平均二乗誤差(RMS)を計算し、同様に、Sn(λ)とBn(λ)のRMS、Sn(λ)とCn(λ)のRMSを計算する(S1803)。
RMS = Σ√[{(S(λ) - x(λ)}2] …(6)
ここで、x(λ)はAn(λ)、Bn(λ)またはCn(λ)、
Σ演算は、例えば380nmから780nmまで10nmピッチ。
【0049】
次に、ブロンズ色取得部1502は、計算したRMS同士を比較して、RMSが最小の、ブロンズ色格納部206が格納する分光分布が、環境の照明の分光分布に対応すると判定する(S1804)。そして、判定した分光分布に対応する色材のブロンズ色を取得する(S1805)。なお、環境光測定部1501が測定する情報は、分光分布に限らず、XYZ値、色温度などでもよい。
【0050】
このように、環境の照明光の測定結果に応じたブロンズ色を使用することで、環境の照明光の下におけるブロンズ色の発生をより効果的に抑制することができる。
【実施例4】
【0051】
以下、本発明にかかる実施例4の画像処理を説明する。なお、実施例4において、実施例1〜3と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0052】
実施例4では、色材のブロンズ色を測定して色材の記録順を決定する方法を説明する。
【0053】
図15のブロック図により実施例4の印刷装置の構成例を説明する。なお、図15には記録順決定部205の周辺の構成だけを示す。ブロンズ色測定部1901は、色材のブロンズ色を測定する。
【0054】
図16のフローチャートによりブロンズ色測定部1901の処理を説明する。ブロンズ色測定部1901は、印刷制御部204を制御して、各色材のべたパッチを記録媒体に形成させる(S2001)。そして、各色材のパッチを測定し(S2002)、各色材のブロンズ色を算出し記憶する(S2003)。以降、記録順決定部205は、ブロンズ色測定部1901が記憶する各色材のブロンズ色に基づき色材の記録順を決定する。
【0055】
このように、色材のブロンズ色を測定すれば、色材が変更された場合などに、色材のブロンズ色をより正確に測定することがで、ブロンズ色の発生をより効果的に抑制することができる。
【実施例5】
【0056】
以下、本発明にかかる実施例5の画像処理を説明する。なお、実施例5において、実施例1〜4と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0057】
上記実施例においては、印刷色と色材のブロンズ色の色相差を用いて色材の記録順を決定する方法を説明した。しかし、記録順の決定は、色相差に限定されず、印刷色とブロンズ色の差分を表す評価値を用いればよい。例えば、印刷色とブロンズ色の色差を評価値に使用してもよい。
【0058】
図17のフローチャートにより色材の記録順の決定方法を説明する。なお、図17は、印刷色P(図18参照)の色材の記録順を決定する場合を示している。
【0059】
記録順決定部205は、印刷色Pを示すLabデータを入力し(S901)、印刷色Pと各色材のブロンズ色の色差を算出する(S902)。印刷色Pと各色材のブロンズ色の色差ΔEは次のようになる。
ΔEy = √{aY* - aP*)2 + (bY* - bP*)2}
ΔEm = √{aM* - aP*)2 + (bM* - bP*)2} …(7)
ΔEc = √{aC* - aP*)2 + (bC* - bP*)2}
ここで、(aY*, bY*)はY色材の色度座標、
(aM*, bM*)はM色材の色度座標、
(aC*, bC*)はC色材の色度座標、
(aP*, bP*)は印刷色Pの色度座標。
【0060】
次に、記録順決定部205は、色差ΔEを比較して、色差が最小の色材を最後に付着させる色材に決定する(S903)。図18の例では、色相差がΔEy>ΔEm>ΔEcであるから、C色材が最後に付着される色材に決定される。
【0061】
次に、記録順決定部205は、最後に付着させる色材以外の色材の記録順を決定し(S904)、決定した色材の記録順を出力する(S905)。最後に付着させる色材以外の色材の記録順は任意でよいが、本実施例では、色差ΔEの大きい順に色材を付着させることにする。
【0062】
このように、印刷色と色差が小さいブロンズ色をもつ色材を最後に付着させることにより、好ましくない色として知覚されるブロンズ色の発生を抑制することができる。
【実施例6】
【0063】
以下、本発明にかかる実施例6の画像処理を説明する。なお、実施例6において、実施例1〜5と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0064】
上記の実施例においては、印刷色とブロンズ色の差が最も小さい色材を最後に記録してブロンズ現象の発生を抑制する方法(以下、方法1)を説明した。また、各色材のブロンズ現象の発生量に対応するクロマ値c*(a*b*平面における原点と色度a*b*の距離)に基づき、ブロンズ現象の発生量が最小の色材を最後に記録し、ブロンズ現象の発生を抑制する方法(以下、方法2)が提案されている。
【0065】
方法1は、印刷色とブロンズ色の差の小さくなるように色材の記録順を制御するが、ブロンズ現象の発生量が大きい場合、画像がぎらぎらと輝くようなぎらつき感が生じることが想定される。また、方法2は、ブロンズ現象の発生量を抑制することはできるが、印刷色とブロンズ色の違いが残る。そこで、ぎらつき感が発生してもよい場合は方法1を採用し、印刷色とブロンズ色の違いが残ってもよい場合は方法2を選択するなど、画像の用途やユーザの好みに応じて上記二つの方法を選択的に使用することが考えられる。以下では、方法1を「ブロンズ色抑制モード」、方法2を「ブロンズ現象抑制モード」として説明する。
【0066】
記録順決定部205は、例えば画像の印刷指示に含まれる抑制モードの指示情報を取得して、色材の記録順の決定方法を設定する。ユーザは、例えば図21に示すユーザインタフェイス(UI)を使用して抑制モードを指定する。このUIは、プリンタドライバの一部としてコンピュータ装置に供給し、コンピュータ装置の画面に表示してもよいし、記録装置の操作パネルなどに表示してもよい。
【0067】
記録順決定部205は、ブロンズ色抑制モードが指示された場合、印刷色と各色材のブロンズ色の色相角(または色度値)を比較し、最後に付着させる色材を決定する第一のモードを実行する。ただし、例えば図7に示すΔθcが最小だとしても、ΔθcとΔθmの差が所定角度(例えば1度)以下の場合は、C色材とM色材のどちらを最後に付着させても、印刷色とは同程度に色相が異なるブロンズ色が発生する。その場合、ブロンズ現象抑制モードの手法を用いて、最後に付着させる色材を決定する。つまり、色材Cのクロマ値c*CとM色材のクロマ値c*Mを比較して、クロマ値c*が小さい色材を最後に付着させる色材に決定する。
【0068】
また、ブロンズ現象抑制モードが指示された場合、記録順決定部205は、色材Cのクロマ値c*C、M色材のクロマ値c*M、色材Yのクロマ値c*Yを比較し、最後に付着させる色材を決定する第二のモードを実行する。ただし、c*Mが最小だとしても、c*Mとc*Yの差が所定値以下の場合は、M色材とY色材のどちらを最後に付着させても、同程度の強度のブロンズ現象が発生する。その場合、ブロンズ色抑制モードの手法を用いて、最後に付着させる色材を決定する。つまり、ΔθmとΔθy(または色度値)を比較して、色相差(または色差)が小さい色材を最後に付着させる色材に決定する。
【0069】
このように、優先する抑制モードの指示に従いブロンズ現象またはブロンズ色の発生を抑制し、二つの色材において抑制量が同程度の場合は二つの抑制方法を併用することで、印刷色とブロンズ色の違いの抑制、ブロンズ現象の抑制を両立させた処理が可能になる。
【0070】
[他の実施例]
本発明の目的は、次のようにしても達成される。上記実施例の機能または先に説明したフローチャートの処理や制御を実現するプログラムを記録した記録媒体をシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(CPUやMPU)に前記プログラムを実行させる。この場合、記録媒体から読み出されたソフトウェア自体が上記実施例の機能を実現することになり、そのプログラムと、そのプログラムを記憶する、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は本発明を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する画像処理装置であって、
入力される画像データが表す色を算出する算出手段と、
前記色材それぞれのブロンズ色を取得する取得手段と、
前記画像データが表す色および前記色材それぞれのブロンズ色に基づき、前記色を形成する際の前記色材の記録順を決定する決定手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記色の色相角と前記色材それぞれのブロンズ色の色相角を比較し、色相差が最小の色材の記録順を最後にすることを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記色の色度値と前記色材それぞれのブロンズ色の色度値を比較し、色差が最小の色材の記録順を最後にすることを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
【請求項4】
さらに、前記複数色の色材のブロンズ色を記憶する記憶手段を有し、
前記取得手段は前記記憶手段から前記色材それぞれのブロンズ色を取得することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された画像処理装置。
【請求項5】
さらに、画像の観察光を設定する設定手段を有し、
前記決定手段は、前記記憶手段が記憶する前記観察光に応じた前記色材それぞれのブロンズ色に基づき前記記録順を決定することを特徴とする請求項4に記載された画像処理装置。
【請求項6】
さらに、前記色材それぞれにより形成された画像のブロンズ色を測定し記憶する測定手段を有し、
前記取得手段は前記測定手段から前記色材それぞれのブロンズ色を取得することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された画像処理装置。
【請求項7】
前記測定手段は、前記画像の正反射光の分光強度からブロンズ色を測定することを特徴とする請求項6に記載された画像処理装置。
【請求項8】
さらに、ブロンズ色の発生を抑制するか、ブロンズ現象の発生を抑制するかを設定する設定手段を有し、
前記決定手段は、前記ブロンズ色の発生の抑制が設定された場合は前記色の色相角と前記色材それぞれのブロンズ色の色相角の差、または、前記色の色度値と前記色材それぞれのブロンズ色の色度値の差に基づき前記記録順を決定し、前記ブロンズ現象の発生の抑制が設定された場合は前記複数の色材のクロマ値の比較に基づき前記記録順を決定することを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
【請求項9】
画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する画像処理方法であって、
入力される画像データが表す色を算出し、
前記色材それぞれのブロンズ色を取得し、
前記画像データが表す色および前記色材それぞれのブロンズ色に基づき、前記色を形成する際の前記色材の記録順を決定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータ装置を制御して、請求項1から請求項8の何れか一項に記載された画像処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載されたプログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する画像処理装置であって、
入力される画像データが表す色を算出する算出手段と、
前記色材それぞれのブロンズ色を取得する取得手段と、
前記画像データが表す色および前記色材それぞれのブロンズ色に基づき、前記色を形成する際の前記色材の記録順を決定する決定手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記色の色相角と前記色材それぞれのブロンズ色の色相角を比較し、色相差が最小の色材の記録順を最後にすることを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記色の色度値と前記色材それぞれのブロンズ色の色度値を比較し、色差が最小の色材の記録順を最後にすることを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
【請求項4】
さらに、前記複数色の色材のブロンズ色を記憶する記憶手段を有し、
前記取得手段は前記記憶手段から前記色材それぞれのブロンズ色を取得することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された画像処理装置。
【請求項5】
さらに、画像の観察光を設定する設定手段を有し、
前記決定手段は、前記記憶手段が記憶する前記観察光に応じた前記色材それぞれのブロンズ色に基づき前記記録順を決定することを特徴とする請求項4に記載された画像処理装置。
【請求項6】
さらに、前記色材それぞれにより形成された画像のブロンズ色を測定し記憶する測定手段を有し、
前記取得手段は前記測定手段から前記色材それぞれのブロンズ色を取得することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された画像処理装置。
【請求項7】
前記測定手段は、前記画像の正反射光の分光強度からブロンズ色を測定することを特徴とする請求項6に記載された画像処理装置。
【請求項8】
さらに、ブロンズ色の発生を抑制するか、ブロンズ現象の発生を抑制するかを設定する設定手段を有し、
前記決定手段は、前記ブロンズ色の発生の抑制が設定された場合は前記色の色相角と前記色材それぞれのブロンズ色の色相角の差、または、前記色の色度値と前記色材それぞれのブロンズ色の色度値の差に基づき前記記録順を決定し、前記ブロンズ現象の発生の抑制が設定された場合は前記複数の色材のクロマ値の比較に基づき前記記録順を決定することを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
【請求項9】
画像データを顔料系の複数色の色材により画像を形成するための記録信号に変換する画像処理方法であって、
入力される画像データが表す色を算出し、
前記色材それぞれのブロンズ色を取得し、
前記画像データが表す色および前記色材それぞれのブロンズ色に基づき、前記色を形成する際の前記色材の記録順を決定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータ装置を制御して、請求項1から請求項8の何れか一項に記載された画像処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載されたプログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−830(P2011−830A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147002(P2009−147002)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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