説明

画像処理方法及び手段

本発明は、一般に画像処理に関し、特に、飛行及び航空輸送と、陸上輸送と、船舶輸送と、潜水作業と、水中検査と、医療調査と、海洋考古学と、陸上考古学と、農業と、監視及びセキュリティと、食品安全と、エネルギーシステムと、林業のような広範囲の用途について、カラー画像中の物理的な物体表現の人による検出を容易化する方法及び手段に関する。本発明は、カラー画素マトリクス毎に別々に実行されるヒストグラム等化処理ステップ(250)を実行することにより、少なくとも2個の別個のカラー画素マトリクスMiによって形成されたカラー画像表現Icのための画像処理方法を提供することによってこれを実現する。種々の前処理がヒストグラム等化処理ステップ(250)より前に適用される。本発明は、本発明による方法を使用して種々の用途に適した多数のデバイスをさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、2004年6月6日に出願され、発明の名称が“A method that improves human interpretation of colour images with limited spectral content”であり、共にスイス国民であるAnders HolmとOlle Holmによる米国仮出願第60/521650号と関連付けられる。米国仮出願第60/521650号は参考することにより本明細書に組み込まれ、本願中でのその仮出願の記載によって本発明に関する先行技術としては認められない。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に画像処理に関し、特に、飛行及び航空輸送と、陸上輸送と、船舶輸送と、潜水作業と、水中検査と、医療調査と、海洋考古学と、陸上考古学と、農業と、監視及びセキュリティと、食品安全と、エネルギーシステムと、林業のような広範囲の用途について、カラー画像中の物理的な物体表現の効率的な検出のための方法及び手段に関する。
【背景】
【0003】
人の網膜に投影され、続いて脳の視覚野で「映」される物体Oを仮定する。像Iの品質は、Oを「理解」するためにIがどの程度有効であるかによって、及び/又は、OとIの間で認められる類似性として記述される。よって、以下のa)からd)、すなわち、
a)目と物体との間の空間(何もない空間、空気、液体)は、霧、靄、煙、雪、塵、シルト、又は、その他のタイプの分散粒子(例えば、血球)によって「汚染」され、
b)目と物体との間の空間(気体、液体)は、標準空気又は真空とは異なる、波長に依存する相対的な透過性があり、
c)物体Oはカラーの内容が制限され、
d)像は、網膜受容器が輝度又は色差を分離するため特に制限された能力を有するという条件、例えば、低光条件下で捕捉される、
のうちの一つ、又は、組み合わせが起こり、認知される像Iの品質が大幅に乱され、このことは、Iの解釈が不完全になり得ることを意味する。このような視覚的な見え方の乱れは、身体内部(例えば、目)の調査、航空交通管制、運転、その他の陸上若しくは海上交通、水中作業、消火活動、又は、その他の監視状況のような状況に深刻な実際的な影響がある。眼底における病理学的な細部は、血液汚染のため見落とされる可能性があり、航空機又は船舶は霧中で行方不明になる可能性があり、消防士は煙中で迷う可能性があり、運転手は事故のため進めなくなる可能性がある。したがって、このような状況では、人による像の解釈を容易化する可能性を提供する、すなわち、人の視覚を強化する効率的な画像改善システムの欠如は、重大な問題となる。以下では、ある種の関心領域と問題が昌実される。
【0004】
[飛行及び航空輸送]
空港、及び/又は、コックピットの外側/内側における霧、スモッグ、靄、雪、煙、雨、例えば、バッタ、ハチといった虫及び昆虫のような生物の雲、黄昏及び夜明け、又は、不適切な、すなわち、肉眼による細部認知のため不適切な照明のような低光条件は、一般に飛行のセキュリティリスクとなり、深刻な航空輸送管制問題を引き起こし、その結果として、フライトの経路変更又は取り消しを伴う。明らかに、これらの問題は、さらに、航空会社と乗客の双方に負の経済効果をもたらし、最悪の場合、命にかかわる事故を生じることさえある。航空輸送が最新式のナビゲーション及びレーダーシステムによって誘導、管制されるとしても、視覚的な接触をもつ必要性が依然としてある。非常に多数の事故が視認性の低下と未知の物体の移動とによって引き起こされている。たとえ僅かでも視認性の増加は、パイロットと航空交通管制官に困難な状況に対処するより良い機会を与えるであろう。したがって、これらの問題を解決するか、又は、軽減する手段及び方法を提供する必要性がある。
【0005】
[陸上輸送]
同様に、スモッグ、靄、雪、煙、雨、例えば、バッタ、ハチといった虫及び昆虫のような生物の雲、黄昏及び夜明け、又は、不適切な、すなわち、肉眼による細部認知のため不適切な照明のような低光条件は、道路及び鉄道の安全に関して問題となり、さらに貨物輸送のコストを増加させる。よって、これらの問題を解決するか、又は、軽減する手段及び方法を提供する必要性がある。
【0006】
[船舶輸送]
船舶は通常は非常に高度なナビゲーション装置、例えば、レーダー、GPSなどを備えているが、それでもなお乗組員は、例えば、海岸、小型船舶、及び、その他の船舶と視覚的な接触をもつことが必要である。スモッグ、靄、雪、煙、雨、例えば、バッタ、ハチといった虫及び昆虫のような生物の雲、黄昏及び夜明け、又は、不適切な、すなわち、肉眼による細部認知のため不適切な照明のような低光条件を含む環境においてこのような視覚的な接触をもつことは問題である。その結果として、安全性と船舶輸送コストのいずれかが妥協される。よって、これらの問題を解決するか、又は、軽減する手段及び方法を提供する必要性がある。
【0007】
[海底用途]
シルト、粒子、「浮遊」する堆積物、水による波長フィルタリング、不適切な照明、すなわち、水中での肉眼による細部認知のため不適切な照明、藻、プランクトンなどのような生物の雲は、いずれも、人による像の理解を水中でより困難にさせる。一般的な問題は、海底近くでのあらゆる水中作業は海底シルトのため困難であり、どの程度容易に海底シルトが乱されるか、ということである。この海底の乱れは、視認性を著しく低下させる濃い「霧」を作る。このことは、例えば、ビデオ録画装置を伴う水中車両を使用するときに、潜水中に、又は、例えば、水中での据え付け作業中に、安全上の問題と経済的な問題の両方である。例えば、ダイバーは、方位を見失い、悲劇的な結末を伴うことがあり、ある種の建造及び/又は据え付け作業は必要以上に高価になり、これらの問題のため実行不能になることがある。一例として、橋、ダム、オイル及びガスのパイプライン、掘削プラットフォーム部品、電気通信ケーブルなどのような水中の基盤設備は、建設/据え付け、検査、及び、保守される必要があり、これらの活動はすべてが、効率的に実行されるように、水中像の正確な解釈を必要とする。さらに、商業用又はレジャー用の船舶及びボートは、海面下で保守と検査をされなければならない。ボートが小型であるならば、保守と検査は、海からボートを持ち上げることによって行われる。船舶が大型であるならば、保守と検査は、ダイバー又はビデオ搭載ROV(遠隔操作車両)のいずれかによって行われる。処理されたビデオ映像は、潜在的な問題の非常に優れた光景を提供する。問題は、海底が偶然に乱されたときに、シルトは動かなくなるまで、それ以上の作業を妨げることである。これは、危険であると同時に、効率の問題を招く。水中での建設又は検査は、水質と、シルトと、粒子の量と、その他の上記の視認性妨害に依存した視認性の問題のため困難である。
【0008】
よって、可能であれば、ビデオ搭載型「遠隔操作車両」(ROV)と組み合わせて、このような活動を実行し、安全性を高めるため必要とされる時間とコストを削減するように、このような状況における人による像の解釈を容易化する方法及び手段を見出すことが必要である。
【0009】
[医療用途]
血球のような様々な粒子は、医療録画又は観察状況(例えば、眼科診療、眼底検査、皮膚画像検査、内視鏡画像中の局所的な細胞変動の特定など)において、人による画像の解釈をより困難にさせ、誤診及び/又は正確な医療処置に関して誤った判断につながる可能性がある。人に苦痛を与える以外に、これは、社会と患者の双方にコストの点で経済的な問題を生じ、一部の患者は、残りの人生を深刻なハンディキャップと共に生きなければならない。よって、これらの問題を解決するか、又は、軽減する手段及び方法を提供する必要性がある。
【0010】
[海洋考古学]
海洋考古学は、重大な視認性問題を伴う海底の乱れを意味する。多くの場合に、アーティファクトを取り出す可能性は、「真空化」とフィルタリングだけであるが、大量の情報、例えば、アーティファクトの位置を破壊する。よって、これらの問題を解決するか、又は、軽減する手段及び方法を提供する必要性がある。
【0011】
[陸上考古学]
航空機に搭載されたビデオ装置を利用することが可能であるならば、発掘場所の発見は非常に効率的である。しかし、問題は、土色の差によって遺跡を、例えば、住居及びその他の建造物から穴を発見する能力を備えた効率的な画像処理テクノロジーが今日では利用できないことである。よって、この問題を解決するか、又は、軽減する手段及び方法を提供する必要性がある。
【0012】
さらに、発掘における年代推定の多くは、様々な時代から始まる土層の違いについての知識によって行われる。したがって、正確かつ確実な方式で土壌の「歴史的年代」を推定する可能性を提供する、様々な土壌の検出及び解釈を容易化する能力を備えた効率的な方法及び手段を提供することが必要である。
【0013】
[農業]
汚染土壌領域は周囲と色が僅かに異なる。色差は非常に小さいので、純然たる視覚検査で色差を検出することは困難である。よって、汚染土壌の検出を容易化する能力を備えた効率的な方法及び手段を提供することが必要である。
【0014】
作物品質及び生長状態は、僅かな色差に見ることができる。色差は非常に小さいので、純然たる視覚検査で色差を検出することは困難である。正確、確実、かつ、効率的な方式で、上記色差に基づいて作物品質及び生長状態を検出する能力を備えた効率的な方法及び手段を提供することが必要である。
【0015】
[食品安全]
食品及び飲食物の品質低下は、しばしば小さな色変化として現れ、例えば、肉は腐ると黒っぽくなる。正確、確実、かつ、効率的な方式で、上記色変化に基づいて、食品の品質低下を検出する能力を備えた効率的な方法及び手段を提供することが必要である。
【0016】
[エネルギーシステム]
多くの場合に、エアボーン検査が、例えば、暴風等の後に電源障害の場合に、電力グリッドネットワーク計画、保守及び制御の目的のため実行される。よって、このようなエアボーン検査中に捕捉された画像の正確な解釈を容易化する能力を備えた効率的な方法及び手段を提供し、電力グリッドネットワークの効率的な計画、動作、保守及び制御を容易化することが必要である。
【0017】
[林業]
多くの場合に、エアボーン検査が、例えば、品質、生長、健康状態、環境問題、違法伐採などを調査/推定するため、森林保守及び制御の際に使用される。よって、このようなエアボーン検査中に捕捉された画像の正確な解釈を容易化する能力を備えた効率的な方法及び手段を提供し、森林の効率的な検査、保守及び制御を可能にすることが必要である。
【0018】
[モニタリング/セキュリティ/監視]
空港ターミナルビルの屋根の真下に取り付けられた監視パンカメラを仮定する。カメラはチルトされ、主に滑走路へ向けられる。カメラは、セキュリティ監視、ならびに、一般的な活動監視のため使用される。さらに気象条件は霧がかっていること仮定する。このような状況では、例えば、着衣によって認識される許可されていない人員、及び/又は、特定の形式及び/又は反射特性を有する物体の検出は、低視認性によって妨げられる。よって、異なる画像条件中に捕捉されたカラー画像中の許可されていない人と許可されている人を正確に識別する能力を備えた効率的な方法及び手段を提供することが必要である。
【0019】
この背景セクションに記載された情報は本発明をより良く理解することを目的とし、この背景セクション中での言及によって本発明に関する先行技術であると認められる情報はない。
【0020】
したがって、上記の問題を解決するか、又は、緩和し、例えば、上記の用途のため、効率的かつ効果的にカラー画像中の種々の物体表現を検出する能力を備えた方法及び手段を見つけることが必要である。
【概要】
【0021】
本発明の目的は、上記の問題を解決するか、又は、緩和し、例えば、上記の用途のため、効率的かつ効果的にカラー画像中の種々の物体表現を検出する能力を備えた方法及び手段を提供することである。
【0022】
本発明の目的は、人によるカラー画像の解釈を容易化することである。
【0023】
本発明の別の目的は、広範囲の異なる用途及び状況において、経済的な方式で、人によるカラー画像の解釈を容易化するため、使い易く、インタラクティブであり、多目的に用いられる画像処理手段を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、特に上記の様々な用途に適し、上記の問題/欠点を解決/緩和し、及び/又は、効率的かつ効果的に上記の要求を満たす装置を提供することである。
【0025】
本発明は、基本的に、人によるカラー画像中の物理的な物体表現の検出を容易化する画像処理方法と、本発明の方法に従って動作する装置とデバイスの組を提供することによりこの目的を達成する。
【0026】
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも2個の別個のカラー画素マトリクスMによって形成されるカラー画像I中の物理的な物体表現を検出する方法であって、上記画像Iが少なくともヒストグラム等化処理ステップによって処理され、ヒストグラム等化処理ステップが、
上記少なくとも2個の別個のカラー画素マトリクスMから、少なくとも第1のカラー画素マトリクスMを選択するステップと、
少なくとも上記第1のカラー画素マトリクスMに対してヒストグラム等化処理ステップを別々に実行し、上記第1のカラー画素マトリクスの更新バージョンM’を形成するステップと、
上記画像Iの更新バージョンI’が少なくとも上記更新されたカラー画素マトリクスM’を含むようにI’を形成するステップと、
上記更新バージョンI’をディスプレイに表示するステップと、
を備え、
上記更新されたカラー画像表現I’が、上記カラー画像表現I’中の上記物体表現の正しさを明らかにすることにより、人による上記物体表現の検出を容易化する方法を提供することによって上記目的を達成する。
【0027】
本発明によれば、上記ヒストグラム等化処理ステップは、通常は、上記カラー画素マトリクスMのそれぞれに対して別々に実行され、上記カラー画素マトリクスの更新バージョンM’を形成し、上記画像Iの更新バージョンI’が上記更新されたカラー画素マトリクスM’のすべてを含むようにI’を形成する。
【0028】
一実施形態では、本発明による方法は、上記ヒストグラム等化処理ステップの前に実行される第1のタイプの前処理ステップを含み、上記第1のタイプの前処理ステップが、
少なくとも1個の特定のカラー画素マトリクスに対して輝度ヒストグラムIHIを作成するステップと、
上記輝度ヒストグラムIHIに関して画素輝度値の少なくとも1個の範囲を選択するステップと、
上記範囲内の輝度ヒストグラム値を捨てることにより、上記輝度ヒストグラムの更新バージョンIHI’を作成するステップと、
後に続くヒストグラム等化処理ステップにさらなる処理のための入力としてIHI’を供給するステップと、
を備える。
【0029】
別の実施形態では、本発明による方法は、上記ヒストグラム等化処理ステップの前に実行される第2のタイプの前処理ステップを含み、上記第2のタイプの前処理ステップが、
上記画像表現I中の少なくとも1個の望ましくない画素領域を特定するステップと、
上記領域内のすべての画素値を捨て、上記画像表現の更新バージョンI’を形成するステップと、
後に続くヒストグラム等化処理ステップにさらなる処理のための入力としてI’HIを供給するステップとを備える。上記特定ステップは、例えば、テキスト認識アルゴリズムのような画像セグメンテーションアルゴリズムによって実行される。特定ステップは、例えば、上記画像Iを表示するディスプレイの上でポインティング手段を動かすことにより、ヒューマンインタラクションを含むことがある。
【0030】
一実施形態では、上記ヒストグラム等化処理ステップは、
上記第1のカラー画素マトリクスMに対して輝度分布ヒストグラムIDHを計算するステップと、
上記IDHに対して正規化された累積和NCSを算出するステップと、
上記正規化された累積和NCSに対してスレッショルド値Kを選択するステップと、
IDH中で、上記スレッショルド値Kに基づいて画素輝度値の第1の範囲RABを定義する画素輝度値A及びBを特定するステップと、
上記範囲RABの外側にあるすべての画素値を捨てることにより、上記輝度分布ヒストグラムの更新バージョンIDH’を形成するステップと、
上記第1の範囲RAB内の画素値を画素輝度値の第2のより大きい範囲RAB’に写像するステップと、
を備える。上記スレッショルド値Kは、制御手段を位置合わせすることによりヒューマンインタラクションによって選択してもよい。
【0031】
さらなる実施形態では、本発明による方法は、少なくとも約400〜800nmのスペクトル範囲を有するセンサを使用することにより、上記カラー画像表現Iを捕捉するステップを備える。
【0032】
なおさらなる実施形態では、本発明による処理方法は、1画像単位で連続的なカラー画像の系列に適用される。
【0033】
なおさらなる実施形態では、本発明による方法は、
上記ヒストグラム等化処理ステップの前に、記憶手段内で上記カラー画像表現Iをコピーし、上記画像Iの少なくとも2個の記憶されたバージョンI、IC2を上記記憶手段中に形成することにより、Iの少なくとも1個の全く同じバージョンを記憶するステップと、
上記少なくとも2個の全く同じカラー画像I、IC2に対して、前処理のタイプ及び/又は伸張率K、及び/又は、マトリクス結合に関して、IC2のパラメータ設定とは異なるパラメータ設定をIに対して使用して、上記ヒストグラム等化処理ステップを並列に実行するステップと、
少なくとも2個の更新された画像I’、IC2’を形成するステップと、
上記更新された画像I’、IC2’をディスプレイ手段に表示するステップと、
を備える。
【0034】
第2の態様によれば、本発明は、コンピュータプログラムコード手段が記憶され、上記プログラムがコンピュータにロードされたときに、上記記憶されたプログラムコード手段が本発明による方法を実現する少なくとも1個のプロシージャをコンピュータに実行させる、コンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0035】
第3の態様によれば、本発明は、捕捉手段によって、又は、データ通信手段を介して、又は、ビデオ接続手段を介して記憶手段に捕捉されたカラー画像Iのデジタル表現へアクセスできる処理手段を有し、上記記憶手段が、プログラムコード手段が上記処理手段にロードされたときに、上記処理手段に本発明による方法を実現する少なくとも1個のプロシージャを実行させるプログラムコード手段を記憶している画像処理装置を提供する。
【0036】
一実施形態では、画像処理装置は、上記処理手段と相互接続され、上記スレッショルド値K、したがって、上記ヒストグラム等化処理ステップにおける輝度分布拡張の程度のインタラクティブ制御を可能にさせるインタラクティブ制御手段を備える。
【0037】
上記ディスプレイ手段はインタラクティブポインティング手段と相互作用するように配置される。
【0038】
一実施形態では、本発明による画像処理装置は、インタラクティブ前処理選択手段、及び/又は、上記更新された画像I’を形成するため使用される更新されたカラー画素マトリクスM’の特定の組み合わせのインタラクティブ選択を可能にする選択手段を備える。
【0039】
第4の態様によれば、本発明は、本発明の第3の態様による装置を備えるカメラを提供する。
【0040】
第5の態様によれば、本発明は、本発明の第3の態様による装置を備えるビデオカメラを提供する。
【0041】
第6の態様によれば、本発明は、特定の照明条件を供給する手段と、本発明の第3、第4又は第5の態様による装置とを備える、カラー画像中の物理的な物体表現を検出する検出器デバイスを提供する。
【0042】
第7の態様によれば、本発明は、本発明の第3、第4、第5又は第6の態様による装置を備えるセキュリティ監視及び/又はモニターシステムを提供する。
【0043】
第8の態様によれば、本発明は、本発明の第3、第4、第5、第6又は第7の態様による装置を備える車両を提供する。
【0044】
第9の態様によれば、本発明は、上記画像処理装置が上記画像Iを車両の少なくとも1個のフロントガラスに投影するため適したディスプレイ手段を備える、本発明の第8の態様による車両を提供する。
【0045】
第10の態様によれば、本発明は、本発明の第3、第4、第5、第6又は第7の態様による装置と通信するカラー画像捕捉手段を備える遠隔操作車両を提供する。
【0046】
第11の態様によれば、本発明は、目の内側からカラー画像を捕捉する手段を備え、上記捕捉手段が本発明の第3、第4、第5、第6又は第7の態様による装置と接続された、人の目の内部を検査する装置を提供する。
【0047】
第12の態様によれば、本発明は、目で見るため配置されたカラー画像ディスプレイ手段を備え、上記ディスプレイ手段が本発明の第3、第4、第5、第6又は第7の態様による装置と接続された、フェイスマスクを提供する。
【0048】
本発明は上述のように要約されるが、本発明は請求項1〜27によって定義されている。
【0049】
本発明のこれら及びその他の特長、態様及び利点とその他の特長、態様及び利点は、以下の説明と請求項を添付図面と共に読むとき、明白になる。
【詳細な説明】
【0050】
本発明は、次に添付図面を参照してより詳細に説明される。
【0051】
図1は、本発明によるカラー画像処理装置100を示す機能ブロック図である。装置100は、基本的には適合デジタルビデオカメラである。レンズ101、例えば、標準的なカメラレンズは、少なくとも人の目に見える波長を透過する。センサ102は、少なくとも人の目に見える波長に適した感度をもつデジタルセンサアレイを形成するように配置され、すなわち、画像を捕捉するため使用されるセンサ102のスペクトル範囲は少なくとも人の視覚の波長を網羅するため適合し、このことは標準的なフィルム又は通常のデジタルカメラセンサ(おおよそ400〜800nmの波長)を意味する。センサアレイの各素子(すなわち、画素)は、いくつかの原色、標準的には赤、緑及び青に対する値を一時的に蓄積する。デジタイザ103は、センサ102によって捕捉されたカラー画像を上記カラー画像のデジタル表現Icに変換するアナログ表現を従来型のA/D変換器である。装置100は、当業者には既知であるように、さらなる記憶手段104、すなわち、適当なRAMメモリと、処理手段105、例えば、CPU、ASIC回路、その他の適当なハードウェアに相互接続されたALUとを有する。カラー画像を適当なフォーマットに変換する変換器を備える通信制御ユニット106は、処理手段105を、アナログ画像/ビデオ入力/出力接続ユニット108と、デジタル画像/ビデオ入力/出力コネクション107とに相互接続する。コネクション107は、デジタルカメラのような外部デバイスとの通信のため適合した特別のコネクションでもよく、及び/又は、例えば、従来型の電話モデムコネクション若しくはUSBポートとして実現されるインターネットコネクションのようなネットワークコネクションでもよい。ディスプレイ109は、記憶手段104、及び/又は、処理手段105と接続され、メモリ104に記憶されたカラー画像の表示を可能にする。
【0052】
一実施形態では、ディスプレイ109、処理手段105、及び、記憶手段104は、ディスプレイ109に表示されたカラー画像中の領域のインタラクティブ選択を、インタラクティブポインティング手段120、例えば、コンピュータマウス等々を使用して可能にするように配置される。このことは既知であるので、本明細書ではこれ以上説明されない。
【0053】
一実施形態では、処理手段105は、セレクタボタン、ノブなどのようなインタラクティブ制御手段110及び/又は130及び/又は140と相互接続され、詳細に後述されるように、前処理ステップ215、240のインタラクティブ制御と、ヒストグラム等化処理ステップ250のパラメータ値のインタラクティブ制御とを可能にする。一実施形態では、制御手段130は、後述されるように、用途に応じてどのタイプの前処理を適用すべきであるかを選択する5個の別個の位置をもつノブであるが、その他の可能性もある。一実施形態では、制御手段140は、用途に応じて、カラー画像を更新するときに使用すべき更新されたカラー画素マトリクスMiの特定の組み合わせを選択する7個の別個の位置をもつノブであるが、その他の可能性もある。一般に、制御手段110は、後述されるように、用途に応じて適当なスレッショルド値Kを選択するN個の別個の位置をもつノブである。
【0054】
図2は、本発明による方法を示すフローチャートを示す。この方法は、一般に、記憶手段104に記憶されたソフトウェアプログラムを処理手段105へロードすることにより実行される。
【0055】
図2を参照すると、本発明による方法は、記憶手段104に記憶されたバージョンのカラー画像表現Icを獲得するため捕捉ステップ210で始まる。ライブ画像は、既知の方法で、レンズ101を通して、さらにセンサ102によって捕捉され、次に、A/D変換器103によってデジタルフォーマットに変換され、次に、メモリ104に記憶されるか、又は、コネクション107若しくは108を介して外部デバイスから直接的に読み出される。アナログビデオ画像は、既知の方法で、入力コネクション108を介して読み込まれ、処理手段105及び/又は通信制御ユニット106によって復号化され、適当なデジタルフォーマットIcに符号化され、次に、メモリ104に記憶される。デジタルビデオ画像は、既知の方法で、入力コネクション107を介して読み込まれ、できれば、処理手段105及び/又は通信制御ユニット106によって、より適当なデータフォーマットIcに移され、次に、メモリ104に記憶される。よって、ステップ210の後、メモリ104には、適当なフォーマットで記憶されたカラー画像のデジタル表現Icが存在する。一実施形態では、適当なフォーマットは、Icが別個の色チャンネルの組、又は、通常は赤のための1個のマトリクスと緑のための1個のマトリクスと青のための1個のマトリクスであるカラー画素マトリクスMiの組で構成されていることを意味する。本発明によれば、上記マトリクスの組は、少なくとも2個の別個のカラーマトリクスを備える。しかし、どのようなカラー画像であっても、既知の方法で、上記の適当なフォーマットIcに変換可能であるため、本発明は、すべてのタイプのカラー画像、例えば、シアン−マゼンタ−黄−黒で符号化された画像に適用される。
【0056】
この方法は、次に、選択ステップ211へ進み、処理手段105がインタラクティブ制御手段110、130及び140のそれぞれの位置を読む。制御手段130がその第1の位置(1)に合わされているならば、この方法は、後で詳述される前処理ステップ215へ進む。制御手段130がその第2の位置(2)、第3の位置(3)、又は、第4の位置(4)にあるならば、この方法は、後で詳述される前処理ステップ240へ進む。制御手段130がその第5の位置(5)にあるならば、この方法は、ヒストグラム等化処理ステップ250へ進み、少なくとも1個の上記カラー画素マトリクスM1に対し、更新されたバージョンM1’が作成される。ステップ250は、図3を参照して後で詳述される。前処理ステップ215及び240から、この方法は、ヒストグラム等化処理ステップ250へ進む。ステップ250の後、本発明による方法はステップ290へ進み、上記更新された画素マトリクスバージョンM1’を、少なくとも1個の他の画素マトリクスMi又は更新された画素マトリクスMi’と組み合わせることにより、画像Icの更新バージョンIc’が作成される。ステップ290において、更新された画像表現Ic’がメモリ104に記憶される。ステップ295において、メモリ104内の更新された画像表現Ic’が既知の方法でディスプレイ109に表示される。
【0057】
したがって、本発明によれば、ヒストグラム等化処理ステップは、少なくとも1個の画素マトリクスに対して実行されるが、最良の結果は、通常は、3個の画素マトリクスすべてがヒストグラム等化されたときに得られるので、上記画像の更新バージョンIc’は、3個のカラー画素マトリクスのすべて、すなわち、緑、赤及び青の更新バージョンにより構成される。しかし、画素マトリクスのすべてをヒストグラム等化しない方が有利な場合がある。本発明によって重要な点は、ヒストグラム等化処理ステップ250が、異なるカラー画素マトリクスMiに対して別々に実行されることである。
【0058】
よって、図3に示された一実施形態では、ヒストグラム等化処理ステップ250は、上記第1のカラー画素マトリクスM1、例えば、緑に対する第1のヒストグラム等化処理ステップ360と、第2のカラー画素マトリクスM2、例えば、赤に対する第2のヒストグラム等化処理ステップ370と、残りのカラー画素マトリクスM3、例えば、この例では、青に対する第3のヒストグラム等化処理ステップ380とを備える。本発明による方法は、ステップ380の後にステップ385へ進む。上記更新ステップ290で使用される更新された画素マトリクスMi’の選択がステップ385において行われる。したがって、更新された画像Ic’は、ステップ290の後、少なくともこれらの選択されたマトリクスMiにより構成される。一実施形態では、ステップ385における選択は、選択手段150を位置合わせすることによりインタラクティブに実行される。よって、一実施形態では、選択手段140がその第1、第2、又は、第3の位置にあるとき、1個の更新されたカラーマトリクスM1だけが、すなわち、緑又は赤又は青が選択され、選択手段140がその第4、第5、又は、第6の位置にあるとき、2個の更新されたカラー画素マトリクスMiの組み合わせ、すなわち、赤と緑、赤と青、又は、緑と青が選択され、選択手段140がその第7の位置にあるとき、3個の更新されたカラー画素マトリクスMiのすべてが選択されるが、しかし、当業者に明白なその他の可能性もある。
【0059】
ヒストグラム等化処理ステップ360、370及び380は完全に類似しているので、ステップ360だけが、図4、5、6、7及び8を参照してここで詳述される。
【0060】
一実施形態では、ヒストグラム等化処理ステップは図4に示されるように実行される。図4に示されているように、ヒストグラム等化はステップ401で始まり、当該カラー画素マトリクスMiに対する輝度分布ヒストグラムIDHが計算される。これは、すべての量子化されたカラー輝度値、例えば、8ビット量子化の場合には256個、すなわち、2=256の値に関して、特定のカラー輝度を有する上記マトリクスMi中の画素の個数を計数し、図5に示されるように上記計数に基づいてヒストグラム分布図を形成することにより行われる。図5は、ヒストグラム等化処理ステップ250の前及び後におけるカラーマトリクスMiに対するIDHを、それぞれ、灰色の円形及び黒色の三角形として示す。図5に示されるように、ヒストグラム等化前に、カラー画素マトリクスMiは、約60〜160の量子化値の範囲内の輝度値だけを含む。ヒストグラム等化処理ステップ250は、例えば、図5に灰色バーによって示された結果を形成するように、輝度分布を「引き伸ば」す。
【0061】
この方法は、ステップ401からステップ410へ進み、図6に示されるように、IDHの正規化された累積和NCSが算出される。図6において、灰色円形は、ヒストグラム等化前のIDHを表現し、黒色三角形は上記IDHに対するNCSを示す。この方法は、次にステップ420へ進み、適当なスレッショルド値Kが選択される。これは、制御手段110を位置合わせすることによってインタラクティブに達成される。本発明によれば、Kの選択は、用途及び/又は環境条件に依存し、例えば、Kの適当な値は、霧中の着陸地面に関してKであり、水中深くの用途に関してKであり、恒温水中の水中用途に関してKであり、以下同様に続く。
【0062】
一般に、Kは、「引き伸ば」されるべきIDHの量を決定する伸張率、すなわち、輝度分布拡張の程度である。標準的に、IDHは、図5に示されるようにその最大限の範囲まで引き伸ばされるが、本発明はそれに限定されない。
【0063】
一実施形態では、Kは、図7に示されるように、パーセンテージスレッショルド値を表現する。ステップ420の後、この方法はステップ430へ進み、輝度分布ヒストグラムIDHが、図5に示されるように、当初の画素値をより広い輝度値の範囲に再写像することにより、更新バージョンIDH’を形成するように引き伸ばされる。このことは、図7に示されているように、最初にIDHに対する第1の範囲RABを選択することによって、例えば、上記パーセンテージスレッショルド値K及び1−Kと対応する値A及びBを有するNCSが計算中の輝度値を特定することによって達成される。図7において、Kは5%に設定され、輝度目盛上で、Aの値は約80であり、Bの値は約140である。範囲RABの外側にあるすべての輝度値、すなわち、Aに満たないか、又は、Bを超える輝度値は、その後、IDHから除去され、IDHの画素値が画素輝度値の第2のより広い範囲RAB’に写像される。RAB’は、標準的には、図5に示されるように量子化範囲全体であるが、他の可能性もある。再写像ステップは、当業者には既知であるように、適当なルックアップテーブルを形成することにより、1画素単位で実行される。ヒストグラム等化処理ステップ250は、したがって、図8に示されるように、より直線的な累積ヒストグラムを与える。
【0064】
ヒストグラム等化は、それ自体は、複数の画像処理テキスト、例えば、Gonzalez,R.C.及びWintz,P.著、Digital Image Processing,Adddison−Wesley,Reading,MA,1987に記載された確立されたアルゴリズムである。本発明に基づいて重要な点は、ヒストグラム等化処理ステップが、個別のカラー画素マトリクスM毎に別々に実行されることである。市販されているソフトウェアプログラムPhotoshopTMは、個別の色チャンネルに対するヒストグラム等化を実行するため予め組み込まれた機能を有し、これらの機能は本発明を実行する部分として使用される。
【0065】
一実施形態では、3個の別個のヒストグラム等化処理ステップ360、370及び380はすべて、同じスレッショルド値Kを使用し、カラー画像の更新バージョンIcはすべての更新されたマトリクスMi’により構成されるが、本発明はこれに限定されない。
【0066】
一実施形態では、本発明による映像化システムは、画像の異なるセクション/部分に対し異なるKの選択を許容し、累積ヒストグラム計算は画像中のあらゆる画素の局所近傍に基づく。このことは、例えば、Kの手動制御を無効にするセグメンテーションアルゴリズムを使用することにより、異なるK値が画像中の異なるセグメントに対して使用されることを意味する。例えば、高電力ランプを使用する海底に近い水中深くの作業のような、目を見えなくする多数の粒子を伴う用途では、本実施形態は有利である。
【0067】
フィルム、すなわち、画像の系列の場合、本発明によれば、異なるKの値が系列中の異なる画像に適用される。
【0068】
リアルタイムの用途のため特に有利な別の可能性は、本発明による方法を少なくとも2個の全く同一の、すなわち、一方がもう一方のコピーである画像系列に並列に適用し、画像系列を隣同士で表示することである。特定のパラメータ設定、すなわち、前処理のタイプ、マトリクス組み合わせ、及び、K値の確立した組み合わせは、よって、「最良」画像系列を生成し、「最良」画像系列は、現在のところ、リアルタイムで隣同士に並列表示している間に、より優れた代替的な設定を走査する「スキャン」画像系列と比較される。「スキャン」画像系列がより高次で認知される画質を提供するならば、すなわち、特定の物体表現がより際立つならば、エンドユーザは、前処理のタイプと、マトリクス組み合わせと、K値の確立した組み合わせを使用して、「最良」画像系列になるこの系列を選択するが、以前の「最良」系列は、それでもなおより優れたパラメータを走査するため始まる。このようにして、環境の変化に応じた連続的な適応と適切なパラメータ制御が効率的な方法で得られる。図10は、この実施形態がどのように実現されるかを示すフローチャートである。
【0069】
図2を参照して説明されたステップ211又は215又は220又は230の後、図10のステップ10において、上記カラー画像表現Icの少なくとも1個のコピーが作成され、上記記憶手段104に記憶される。よって、上記画像Icの少なくとも2個の記憶されたバージョンIc、Ic2は、ステップ10の後に、記憶手段104に存在する。ステップ20において、ヒストグラム等化処理ステップは、通常は、Ic2に対するパラメータ設定に関して、前処理のタイプ、及び/又は、伸張率K、及び/又は、マトリクス組み合わせIcの点で異なるパラメータ設定を用いて、上記少なくとも2個の全く同一のカラー画像Ic、Ic2に対して並列に実行される。ステップ20は、図2、3及び4を参照して説明され、IcとIC2に対し別個に適用されるステップ250に他ならない。ステップ30において、更新された画像バージョンIc’、Ic2’が形成される。ステップ30は、図2を参照して説明され、Ic’及びIc2’に別個に適用されるステップ290に他ならない。Ic’及びIc2’は、その後に、ステップ40においてディスプレイ手段109に表示される。
【0070】
次に、もう一度図2を参照して、前処理ステップ215、220、225、230及び240がより詳しく説明される。
【0071】
ステップ215において、画像中に人工的に導入されたアーティファクトのカラーの内容が特定され、図9に示されているように除去される。このようなアーティファクトは、アナログビデオ信号がデジタルデバイスによって捕捉されたときに起こることがよくある。これらの画像は、しばしば、位置、日付、時刻、状態などを示すため、黒/白フレーム、及び/又は、テキスト、及び/又は、レタリングを含む。よって、図9において、図9の「白」値に対応する高輝度画素値と、図9の「黒」値に対応する低輝度画素値は、ヒストグラム等化処理ステップの前に捨てられる。これは、画像処理の知られているアルゴリズムを使用することによって達成される。
【0072】
ステップ240は、ステップ220又は225及び230のいずれか、又は、図2には示されていないそれらの組み合わせによって実現される。ステップ240において、画像Icの望ましくないセグメントが特定され、除去される。
【0073】
ステップ220において、テキスト認識アルゴリズムは、ヒストグラム等化処理ステップの前に除去すべき画像Ic中のセグメントを特定する。上記セグメント中の全画素値は、このようにして捨てられる。
【0074】
ステップ225において、画像Icは、ヒューマンインタラクションによって、例えば、上記画像を表示するディスプレイ109の上でポインティング手段120を動かすことによって、セグメント化される。
【0075】
ステップ230において、特定の用途に適合した画像セグメンテーションアルゴリズムは、例えば、高電力ランプを使用する海底に近い水中深くの作業で、目を見えなくする多数の粒子が画像中に「浮遊」する画像Ic中の捨てるべきセグメント/画素を特定し、スレッショルド値を超える輝度を有する全画素が捨てられる。別の可能性は、画像中で、油田掘削デバイスの部品/複数の部品のような既知の形をもつ特定の「確定的」な物体/複数の物体を特定するセグメンテーションアルゴリズムを使用することである。このようなアルゴリズムは既知であり、本明細書では詳細に説明されない。
【0076】
本発明による方法は、チャンネル/色毎にカラー画像のスペクトルダイナミックレンジが比較的狭い輝度値のセグメントに限定/制限される状況で最良の結果を与えるように思われる。しかしながら、本発明はこの状況だけに、限定されない。
【0077】
本発明による装置は、本発明による方法を実現する少なくとも1個のプロシージャを上記処理手段105に実行させるため、上記メモリ104に記憶されるべきコンピュータプログラムコード手段が記憶された、例えば、ハードディスクメモリ、CD−ROM、磁気テープ、フラッシュメモリなどのコンピュータ読み取り可能な媒体によって実現される。代替案として、当業者には既知であるように、例えば、ASIC回路のような純粋なハードウェアロジックが使用される。
【0078】
一実施形態では、本発明は、適合したカメラ、又は、ビデオカメラの形式で実現され、これによって、経済的な選択肢として、扱いやすい、比較的小型かつ軽量の装置であって、携帯型であり、かつ、多用途である装置を提供する。
【0079】
別の実施形態では、本発明による装置は、用途に応じた特定の方式で適合した検出器デバイスの形式で実現され、例えば、特定のランプが最適照明条件を提供するため特定の方式で配置され、例えば、食品衛生の場合には、肉のスライスは下から照明される。航空安全性の場合、検出器は、最適位置で、例えば、機首の下で航空機本体と空気力学的に一体化されたレンズを備える。同様に、車両用途の場合、検出器ディスプレイ手段は、画像をフロントガラスなどに投影するため適合する。
【0080】
さらに別の実施形態では、本発明は、本発明による少なくとも1台の装置を備えるセキュリティ監視及び/又はモニターシステムの形式で実現される。
【0081】
さらに別の実施形態では、本発明は、例えば、電気又は光ケーブル、無線リンクなどを用いて、本発明による装置と通信するカラー画像捕捉手段を備える遠隔操作車両の形式で実現される。このようにして、画像捕捉手段だけが厳しい(ROV)条件、例えば、水中のために設計されればよいので、これは経済的な解決策である。
【0082】
さらに別の実施形態では、本発明は、目の内部からカラー画像を捕捉する手段を備え、上記捕捉手段が本発明による方法を実行する装置と接続された、人の目の内側部分を検査する装置の形式で実現される。装置は多数の方式で適合し、例えば、目に向けられた特定のランプによって最適な照明条件を獲得し、又は、最適ズーム及び/又は解像度を提供し、及び/又は、輝度グラフの伸張に関して、例えば、Kの選択、更新された画像を形成するための更新されたカラーマトリクスの組み合わせ、前処理のタイプのような特定の予め組み込まれたパラメータ設定を有し、特定の異常及び/又は疾病の効率的かつ効果的な検出、及び/又は、患者条件を改善するためのその他の配置、例えば、誤った診断の危険性及び/又は検査のために要する時間を最小限に抑えるために快適であり、かつ、堅固な頭部のサポートを提供する。
【0083】
さらに別の実施形態では、本発明は、目で見るため配置されたカラー画像ディスプレイ手段を備え、上記ディスプレイ手段が本発明による方法を実行する装置と接続された、フェイスマスクの形式で実現される。フェイスマスクは、例えば、霧が立ちこめた/煙が立ちこめた環境での救援活動中に、例えば、消火活動中に、又は、コックピット内の火災などの場合に、増幅された視覚のための特に効果的な手段を提供する適合ゴーグルの形式でもよい。
【0084】
本発明は、単なる例として説明されているが、これらの例に限定されることがなく、例えば、本発明による装置は、多種多様の方式で、単一のデバイス、又は、複数の物理的に別個のデバイスに組み込まれ、本発明は、本願中で明示的に言及されていない技術分野、例えば、軍事応用などに適用される。多数の変形が当業者によって行われる。したがって、発明の範囲は特許請求の範囲だけによって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明による装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明による方法を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップ250を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップ360を示すフローチャートである。
【図5】単色チャンネルに対するヒストグラム等化の前及び後の輝度分布図IDH及びIDH’を示す図である。
【図6】単色チャンネルに対する正規化された累積和NCSの形成を示す図である。
【図7】スレッショルド値Kを選択することによる適当な範囲RABの選択を示す図である。
【図8】NCSの線形化効果を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による前処理ステップを示す図である。
【図10】本発明による方法の一実施形態を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の別個のカラー画素マトリクスMにより形成されたカラー画像I中の物理的な物体表現を検出する方法において、
前記少なくとも2個の別個のカラー画素マトリクスMから、少なくとも第1のカラー画素マトリクスMを選択するステップと、
少なくとも前記第1のカラー画素マトリクスMに対してヒストグラム等化処理ステップ(360)を別々に実行し、前記第1のカラー画素マトリクスの更新バージョンM’を形成するステップと、
前記画像Iの更新バージョンI’が少なくとも前記更新されたカラー画素マトリクスM’を含むように前記更新バージョンI’を形成するステップと、
前記更新バージョンI’をディスプレイ(109)に表示するステップと、
を備えるヒストグラム等化処理ステップ(250)によって、前記画像Iが少なくとも処理され、
前記更新されたカラー画像表現I’が、前記カラー画像表現I’中の前記物体表現の正しさを明らかにすることにより、人による前記物体表現の検出を容易化することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ヒストグラム等化処理ステップが前記カラー画素マトリクスMのそれぞれに対して別々に実行され、前記カラー画素マトリクスの更新バージョンM’を形成し、前記画像Iの更新バージョンI’が前記更新されたカラー画素マトリクスM’のすべてを含むように前記更新バージョンI’を形成することをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前処理ステップ(215)が前記ヒストグラム等化処理ステップ(250)の前に実行され、
前記前処理ステップ(215)が、
少なくとも1個の特定のカラー画素マトリクスに対して輝度ヒストグラムIHIを作成するステップと、
前記輝度ヒストグラムIHIに関して画素輝度値の少なくとも1個の範囲を選択するステップと、
前記範囲内の輝度ヒストグラム値を捨てることにより、前記輝度ヒストグラムの更新バージョンIHI’を作成するステップと、
後に続く前記ヒストグラム等化処理ステップ(250)にさらなる処理のための入力としてIHI’を供給するステップと、
を備えることをさらに特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前処理ステップ(240)が前記ヒストグラム等化処理ステップ(250)の前に実行され、
前記前処理ステップ(240)が、
前記画像表現I中の少なくとも1個の望ましくない画素領域を特定するステップと、
前記領域内のすべての画素値を捨て、前記画像表現の更新バージョンI’を形成するステップと、
後に続く前記ヒストグラム等化処理ステップ(250)にさらなる処理のための入力としてI’HIを供給するステップと、
を備えることをさらに特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記特定ステップが画像セグメンテーションアルゴリズム(230)によって実行されることをさらに特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記特定ステップがテキスト認識アルゴリズム(220)によって実行されることをさらに特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記特定ステップが前記画像Iを表示するディスプレイの上でポインティング手段(120)を動かすことによるヒューマンインタラクション(235)を備えることをさらに特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒストグラム等化処理ステップ(250,360)が、
前記第1のカラー画素マトリクスMに対して輝度分布ヒストグラムIDHを計算するステップと、
前記IDHに対して正規化された累積和NCSを算出するステップと、
前記正規化された累積和NCSに対してスレッショルド値Kを選択するステップと、
前記IDH中で、前記スレッショルド値Kに基づいて画素輝度値の第1の範囲RABを定義する画素輝度値A及びBを特定するステップと、
前記範囲RABの外側にあるすべての画素値を捨てることにより、前記輝度分布ヒストグラムの更新バージョンIDH’を形成するステップと、
前記第1の範囲RAB内の画素値を画素輝度値の第2のより広い範囲RAB’に写像するステップと、
を備えることをさらに特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記スレッショルド値Kを選択するステップが、制御手段(110)を位置合わせすることによるヒューマンインタラクションを備えることをさらに特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも約400〜800nmのスペクトル範囲を有するセンサを使用することにより、前記カラー画像表現Iを捕捉するステップをさらに備えることをさらに特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
1画像単位で連続的なカラー画像の系列に適用されることをさらに特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒストグラム等化処理ステップ(250)の前に、記憶手段104内で前記カラー画像表現Iをコピーし、前記画像Iの少なくとも2個の記憶されたバージョンI、IC2を前記記憶手段104中に形成することにより、前記画像Iの少なくとも1個の全く同じバージョンを記憶するステップを備え、
前記ヒストグラム等化処理ステップ(250)が、前記少なくとも2個の全く同じカラー画像I、IC2に対して、Iのための前処理のタイプ及び/又は伸張率K及び/又はマトリクス結合に関して、IC2のためのパラメータ設定とは異なるパラメータ設定を使用して、並列に実行され、
少なくとも2個の更新された画像I’、IC2’を形成するステップと、
前記更新された画像I’、IC2’をディスプレイ手段(109)に表示するステップと、
を備えることをさらに特徴とする、請求項1〜11のうちいずれかに記載の方法。
【請求項13】
プログラムがコンピュータにロードされたときに、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を実現する少なくとも1個のプロシージャを前記コンピュータに実行させるプログラムコード手段を備えることを特徴とするプログラムコード手段が記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項14】
捕捉手段(101,102,103)によって、又は、データ通信手段(107)を介して、又は、ビデオ接続手段(108)を介して記憶手段(104)に捕捉されたカラー画像Iのデジタル表現へアクセスできる処理手段(105)を有する画像処理装置(100)において、
前記記憶手段(104)が、プログラムコード手段が前記処理手段(105)にロードされたときに、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を実現する少なくとも1個のプロシージャを前記処理手段(105)に実行させるプログラムコード手段を記憶していることを特徴とする画像処理装置(100)。
【請求項15】
前記処理手段(105)と相互接続され、スレッショルド値K、したがって、前記ヒストグラム等化処理ステップ(250)における輝度分布拡張の程度のインタラクティブ制御を可能にさせるインタラクティブ制御手段(110)によって特徴付けられる、請求項14に記載の画像処理装置(100)。
【請求項16】
ディスプレイ手段(109)及び/又は一体化された画像捕捉手段(101,102,103)をさらに備えることを特徴とする、請求項14に記載の画像処理装置(100)。
【請求項17】
ディスプレイ手段(109)と相互作用するように配置されたインタラクティブ前処理選択手段(130)及び/又はインタラクティブポインティング手段(120)を備えることを特徴とする、請求項14に記載の画像処理装置(100)。
【請求項18】
前記更新された画像I’を形成するために更新されたカラー画素マトリクスM’の特定の組み合わせのインタラクティブ選択(385)を可能にする選択手段(140)を備えることを特徴とする、請求項14に記載の画像処理装置(100)。
【請求項19】
請求項14〜18のいずれか一項に記載の装置を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項20】
請求項14〜18のいずれか一項に記載の装置を備えることを特徴とするビデオカメラ。
【請求項21】
特定の照明条件を提供する手段を備え、カラー画像中の物理的な物体表現を検出する検出器デバイスにおいて、
請求項14〜20のいずれか一項に記載の装置を備えることを特徴とする検出器デバイス。
【請求項22】
請求項14〜21のいずれか一項に記載の装置を備えることを特徴とするセキュリティ監視及び/又はモニターシステム。
【請求項23】
請求項14〜21のいずれか一項に記載の装置を備えることを特徴とする車両。
【請求項24】
前記装置が前記画像Iを当該車両の少なくとも1個のフロントガラスに投影するため適したディスプレイ手段を備えることを特徴とする、請求項23に記載の車両。
【請求項25】
請求項14〜21のいずれか一項に記載の装置と通信するカラー画像捕捉手段を有することを特徴とする遠隔操作車両。
【請求項26】
目の内側からカラー画像を捕捉する手段を備え、人の目の内部を検査する装置において、
前記捕捉手段が請求項14〜21のいずれか一項に記載の装置と接続されることを特徴とする装置。
【請求項27】
目で見るため配置されたカラー画像ディスプレイ手段を備えるフェイスマスクにおいて、
前記ディスプレイ手段が請求項14〜21のいずれか一項に記載の装置と接続されることを特徴とするフェイスマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−502062(P2008−502062A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526427(P2007−526427)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052645
【国際公開番号】WO2005/122085
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(506410718)ライン アーベー (1)
【Fターム(参考)】