説明

画像処理方法及び画像処理装置

【課題】用紙の表面に記録される原稿画像の印字特性に応じて、裏面に記録する広告用の画像データを選択することにより、表面の本来の原稿画像の視認性を向上することができ、裏面の広告画像が透けて見えることを防止できる画像処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】読み取られた原稿の画像データに基づく原稿画像を用紙の表面に記録する(S1)。原稿画像がカラー画像である場合には(S4:YES)、カラーまたはモノクロームの広告用の画像データを選択し(S5)、原稿画像がモノクローム画像データである場合には(S4:NO)、モノクロームの広告用の画像データを選択する(S6)。選択した広告用の画像データに応じた広告画像を用紙の裏面に記録する(S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体の表面及び裏面に画像データに応じた画像をそれぞれ記録する画像処理方法及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザから依頼された原稿の複写処理を行う商用のシステムにあっては、ユーザから依頼された原稿画像に広告画像を付加して複写を行うことにより、広告収入で複写費用を賄って、原稿の複写料金を無料とするサービスをユーザに提供することが行われている。そして、このサービスを実現するための印刷装置の一例が特許文献1に提案されている。
【0003】
特許文献1に記載されている印刷装置では、記録用紙の表面にユーザから依頼された原稿の画像データに応じた画像を記録し、その記録用紙の裏面にはサーバから取得した広告用の画像データに応じた広告画像を記録するようにしている。
【特許文献1】特開2000−326581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録用紙の裏面に記録される広告画像用の画像データは、常に固定であったり、単に所定の順番通りに指定されたり、ランダムに選択されたりしている。何れの場合にあっても、記録用紙の表面に記録される原稿画像用の画像データとは全く無関係に、広告画像用の画像データが決定されている。
【0005】
したがって、表面の本来の原稿画像とは関係なく裏面に広告画像が記録されるため、どちらの面の画像が本来の原稿画像であるのかが一見分からなくなったり、表面側から裏面の広告画像が透けて見えてユーザが目障りに感じるという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、表面(第1面)に記録される原稿の画像(読み取った原稿画像)の印字特性に応じて裏面(第2面)の付帯画像データ(広告画像用の画像データ)を選択することにより、表面の本来の原稿画像の視認性を向上することができ、裏面の付帯画像が透けて見えることを防止できる画像処理方法及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像処理方法は、シート状の記録媒体の第1面に、原稿から取得した第1画像データに応じた画像を記録し、前記記録媒体の第2面に、予め準備されている複数の画像データから選択した第2画像データに応じた画像を記録する画像処理方法であって、前記記録媒体の第1面に記録される画像の印字特性を検出し、検出した印字特性に基づいて複数の画像データから前記第2画像データを選択することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、シート状の記録媒体の第1面に、原稿から取得した第1画像データに応じた画像を記録し、前記記録媒体の第2面に、予め準備されている複数の画像データから選択した第2画像データに応じた画像を記録する画像処理装置であって、前記記録媒体の第1面に記録される画像の印字特性を検出する手段と、検出した印字特性に基づいて複数の画像データから前記第2画像データを選択する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像処理方法及び画像処理装置にあっては、記録媒体の第1面に原稿から取得した第1画像データに応じた画像を記録し、記録媒体の第2面には、第1面に記録される画像の印字特性に基づいて選択した第2画像データに応じた画像を記録する。よって、記録媒体の第1面の画像と第2面の画像とで印字特性が類似するため、第2面の画像が過度に強調されることは防がれる。
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、前記印字特性は、前記記録媒体の第1面に記録される画像がカラー画像であるかモノクローム画像であるかを示す特性、前記記録媒体の第1面に記録される画像に応じた第1画像データのデータ量を示す特性、及び、前記記録媒体の第1面に記録される画像の分布状態を示す特性の中の少なくとも一つの特性を含んでいることを特徴とする。
【0011】
本発明の画像処理装置にあって、印字特性は、原稿画像の種別・内容を示すものではなく、記録媒体における画像の記録状態を示すものであり、具体的に印字特性として、第1面に記録される画像のカラー/モノクロームの区別、第1面に記録される画像のデータ量、第1面に記録される画像の分布状態の何れかが少なくとも含まれている。よって、第2面の画像の透視、第2面の画像の過度の強調が生じない。
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、シート状の記録媒体の第1面に、原稿から取得した第1画像データに応じた画像を記録し、前記記録媒体の第2面に、予め準備されているカラー画像データ及びモノクローム画像データを含む複数の画像データから選択した第2画像データに応じた画像を記録する画像処理装置であって、前記記録媒体の第1面に記録される画像がカラー画像であるかモノクローム画像であるかを判断する手段と、前記画像がカラー画像である場合には、前記第2画像データとして、前記複数の画像データからカラー画像データまたはモノクローム画像データを選択する手段と、前記画像がモノクローム画像である場合には、前記第2画像データとして、前記複数の画像データからモノクローム画像データを選択する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像処理装置にあっては、記録媒体の第1面に記録される画像がカラー画像である場合に、第2面用の第2画像データとしてカラー画像データまたはモノクローム画像データの何れでも選択し、記録媒体の第1面に記録される画像がモノクローム画像である場合には、第2面用の第2画像データとしてモノクローム画像データのみを選択する。第1面の画像(原稿画像)がカラー画像である場合には、第2面の画像はカラー画像またはモノクローム画像の何れであっても、第2面の画像が過度に目立つことはない。これに対して、第1面の画像(原稿画像)がモノクローム画像である場合に、第2面の画像がカラー画像であれば、その第2面の画像は目立ってしまう。そこで、本発明では、第1面に記録される画像がモノクローム画像である場合(第1面用に取得した第1画像データがモノクローム画像データである場合)には、第2面用の第2画像データとしてモノクローム画像データのみを選択する。よって、第2面の画像は過度に目立たない。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、シート状の記録媒体の第1面に、原稿から取得した第1画像データに応じた画像を記録し、前記記録媒体の第2面に、予め準備されていてデータ量が異なる複数の画像データから選択した第2画像データに応じた画像を記録する画像処理装置であって、前記第1画像データのデータ量及び前記記録媒体の第1面に記録される画像の分布状態を求める手段と、求めたデータ量及び分布状態に基づいて、前記複数の画像データから前記第2画像データを選択する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の画像処理装置にあっては、第1画像データのデータ量(原稿画像のデータ量)及び第1面に記録される画像の分布状態を求め、求めたデータ量及び分布状態に基づいて、第2面用の第2画像データを選択する。第1面に記録される画像(原稿画像)のデータ量が少なくて、第2面用の第2画像データのデータ量が多い場合には、第2面の画像が透視されて目立ってしまう。そこで、本発明では、第1面に記録される画像(原稿画像)のデータ量が少ない場合には、それに合わせて、データ量が少ない第2面用の第2画像データを選択する。また、第1面に記録される画像(原稿画像)の画像領域の分布が粗であって、第2面用の第2画像データのデータ量が多い場合には、第2面の画像が透視されて目立ってしまう。そこで、本発明では、第1面に記録される画像(原稿画像)の画像領域の分布が粗である場合には、それに合わせて、データ量が少ない第2面用の第2画像データを選択する。よって、第2面の画像は透視されず、第2面の画像は過度に目立たない。
【0016】
本発明に係る画像処理装置は、前記第2画像データは広告用の画像データであることを特徴とする。
【0017】
本発明の画像処理装置にあっては、第2面用の第2画像データが広告用の画像データである。よって、第1面に原稿画像が記録された記録媒体の第2面に、広告画像が過度に目立つことなく記録される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像処理方法及び画像処理装置では、記録媒体の第1面(表面)に記録される画像の印字特性(カラー/モノクロームの区別、画像のデータ量、画像の分布状態の中の少なくとも一つ)に基づいて、第2面(裏面)用の第2画像データを選択するようにしたので、第2面(裏面)の画像が透けて見えたり、第2面(裏面)の画像が過度に目立ったりすることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明に係る画像処理装置としてのデジタル複合機の構成例を示すブロック図である。図中1は複合機であり、複合機1は、制御部10、ROM11、RAM12、NCU(Network Control Unit)13、モデム14、読取部15、画像データ処理部16、第1画像メモリ17、第2画像メモリ18、記録部19、操作部20、表示部21、コーデック22、通信インタフェース23等を備えており、夫々はバス24を介して相互に接続されている。
【0021】
なお、以下の実施の形態では、読取部15での読取りで取得される画像データが、何らかの変換・編集処理(取得したカラ−画像データをモノクローム画像データに変換する処理、取得した画像データの一部を削除する処理など)を受けることなく、そのまま画像として記録媒体としての用紙の第1面としての表面に記録されることとする。したがって、用紙の表面に記録される画像の印字特性は、読み取る原稿画像の印字特性に一致する。
【0022】
制御部10は、具体的にはCPU(Central Processing Unit)で構成されており、バス24を介して接続される上述したようなハードウェア各部を制御すると共に、ROM11に格納された制御プログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実現する。ROM11は、複合機1の動作に必要な種々の制御プログラムを予め記憶している。RAM12は、SRAMまたはフラッシュメモリ等で構成され、制御部10による制御プログラムの実行時に発生するデータを一時的に記憶する。
【0023】
モデム14は、ファクシミリ通信が可能なファックスモデムで構成されており、NCU13と直接的にも接続されている。NCU13は、公衆電話回線網Lと接続されており、必要に応じてモデム14を公衆電話回線網Lと接続し、公衆電話回線網Lを介して外部の装置との間でのファクシミリ通信を可能としている。
【0024】
読取部15は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)等を利用した光走査により、プラテンに載置された原稿の画像を読み取って、RGB表色系の複数の色成分を有する原稿のカラー画像データを取得するフラットベッドスキャナ方式の読取装置である。読取部15は、取得した原稿の画像データ(第1画像データ)を画像データ処理部16へ出力する。
【0025】
画像データ処理部16は、取得した画像データに基づいて、読み取られた原稿における画像の印字特性を検出する。つまり、画像データ処理部16は、取得した画像データに基づいて、原稿画像がカラー画像であるかモノクローム画像であるかの判別、原稿画像のデータ量の算出、原稿画像の分布状態の検出などの処理を行う。具体的に、画像データ処理部16は、入力されたRGB表色系の画像データを、YCrCb(Y:輝度成分、CrCb:色差成分)表色系の画像データに変換し、その色差成分CrCbの有無に基づいて、カラー画像かモノクローム画像かを判別する。また、画像データ処理部16は、輝度レベルが所定レベル以下である画素数を計数することにより、原稿画像のデータ量を算出する。更に、画像データ処理部16は、ウェーブレット変換を施してエッジ位置を算出し、そのエッジ位置の分布に基づいて、原稿画像の分布状態(粗または密)を検出する。エッジ位置が全体域に分散している場合には、原稿画像の分布状態が粗であると判断でき、エッジ位置が部分的に集中している場合には、原稿画像の分布状態が密であると判断できる。
【0026】
第1画像メモリ17は、DRAMにより構成されており、原稿の画像を読み取って得られる画像データ(第1画像データ)、外部のファクシミリ機から受信した画像データ、通信インタフェース23を介して外部の装置から受信した画像データなどを記憶する。第2画像メモリ18は、DRAMにより構成されており、用紙の第2面としての裏面に記録される広告画像に応じた広告用の画像データ(第2画像データ)を記憶する。第2画像メモリ18は、データ量が異なる複数種のカラー画像データ及びデータ量が異なる複数種のモノクローム画像データを記憶している。
【0027】
記録部19は、両面印刷が可能な電子写真方式のプリンタ装置であって、読取部15にて読み取った原稿の画像データ、受信した画像データなどに応じた画像を記録媒体としての用紙にプリントアウトする。また、広告画像の記録処理が設定されている場合に、記録部19は、読取部15にて読み取った原稿の画像データ(第1画像データ)に応じた画像を用紙の表面に記録するとともに、第2画像メモリ18に記憶されている複数の広告用の画像データから選択された画像データ(第2画像データ)に応じた広告画像を用紙の裏面に記録する。この際、画像データ処理部16にて検出された原稿における画像の印字特性に基づいて、記録すべき広告用の画像データ(第2画像データ)が選択される。
【0028】
操作部20は、複合機1を操作するために必要な各種のキーを備えている。操作部20は、ファンクションキーとして、用紙の裏面に広告画像を記録する処理をユーザから受け付けるための広告記録キー20aを有している。
【0029】
表示部21は、液晶ディスプレイ(LCD)で構成されており、複合機1の動作状況、複合機1として表示すべき表示画面、操作部20から入力された文字等を表示する。なお、表示部21をタッチパネル方式のものとすることにより、操作部20の各種のキーのうちの一部又は全部を代用することも可能である。
【0030】
コーデック22は、画像データを所定の方式(例えばMH,MR,MMR,JBIG等)に従って圧縮したり、圧縮された画像データを所定の方式に従って伸長する。通信インタフェース23は、図示しないネットワークを介して接続される外部のコンピュータ等の装置へ画像データを送信し、また、ネットワークを介して外部の装置から画像データを受信する。
【0031】
次に、複合機1の動作について説明する。複合機1は、用紙の表面に、読取部15で原稿を読み取って取得される画像データ(第1画像データ)に応じた原稿画像を記録し、その用紙の裏面には、第2画像メモリ18に記憶されている複数の広告用の画像データから選択した一つの画像データ(第2画像データ)に応じた広告画像を記録する。
【0032】
本発明では、この広告用の第2画像データを選択する際に、従来例のように、ランダムに選択したり、単なる所定の順序で選択したりするのではなく、原稿画像の印字特性(用紙の表面に記録される画像の印字特性)に基づいて、適正な第2画像データを選択するようにしている。よって、用紙の裏面に記録された広告画像が用紙の表面側から透けて見えるようなことはなく、また広告画像が過度に目立たつようなことはないため、その広告画像がユーザにとって目障りになることはない。本発明における印字特性とは、原稿画像の種別(文字原稿/写真原稿の区別など)、原稿画像の内容(記載事項など)を指すのではなく、用紙における画像の記録状態を指している。
【0033】
上述したような本発明の特徴的な記録処理(特に、原稿画像の印字特性(カラー/モノクローム、データ量、分布状態)の検出処理と印字特性の検出結果に基づく広告用の画像データの選択処理)の具体例について以下に説明する。
【0034】
(第1実施の形態)
図2は、第1実施の形態における動作手順を示すフローチャートである。この第1実施の形態では、用紙の表面に記録される原稿画像がカラー画像であるかモノクローム画像であるかに基づいて、記録すべき広告用の画像データ(第2画像データ)を選択する。選択対象となる複数の画像データは、カラー画像データとモノクローム画像データとに分類されて、第2画像メモリ18に記憶されている。
【0035】
記録部19は、読取部15で読み取られた原稿の画像データに応じた原稿画像を用紙の表面に記録する(ステップS1)。制御部10は、操作部20の広告記録キー20aが押されたか否かを判断し(ステップS2)、押されていない場合には(S2:NO)そのまま動作を終了する。
【0036】
広告記録キー20aが押されている場合(S2:YES)、画像データ処理部16は、読取部15で取得された画像データがカラー画像データかモノクローム画像データかを、取得された画像データの色差成分CrCbの有無に基づいて判別し、その判別結果を制御部10ヘ出力する(ステップS3)。
【0037】
取得した画像データがカラー画像データである場合、つまり原稿画像がカラー画像である場合(ステップS4:YES)、制御部10は、カラーまたはモノクロームの広告用の画像データを第2画像メモリ18から選択する(ステップS5)。一方、取得した画像データがモノクローム画像データである場合、つまり原稿画像がモノクローム画像である場合(S4:NO)、制御部10は、モノクロームの広告用の画像データを第2画像メモリ18から選択する(ステップS6)。
【0038】
そして、記録部19は、選択された画像データに応じた広告画像を用紙の裏面に記録して(ステップS7)、動作が終了する。
【0039】
第1実施の形態では、用紙の表面に記録される画像つまり原稿画像がカラー画像である場合には用紙の裏面にカラーの広告画像またはモノクロームの広告画像の何れかが記録されるが、用紙の表面に記録される画像つまり原稿画像がモノクローム画像である場合には用紙の裏面にモノクロームの広告画像しか記録されない。よって、表面の原稿画像がモノクローム画像であるときに、裏面にカラーの広告画像が記録されることはなく、広告画像が過度に目立つ事態を避けることができる。
【0040】
(第2実施の形態)
図3は、第2実施の形態における動作手順を示すフローチャートである。この第2実施の形態では、用紙の表面に記録される原稿画像のデータ量に基づいて、記録すべき広告用の画像データを選択する。選択対象となる複数の画像データは、所定の閾値によりデータ量が多い画像データとデータ量が少ない画像データとに分類されて、第2画像メモリ18に記憶されている。
【0041】
記録部19は、読取部15で読み取られた原稿の画像データに応じた原稿画像を用紙の表面に記録する(ステップS11)。制御部10は、操作部20の広告記録キー20aが押されたか否かを判断し(ステップS12)、押されていない場合には(S12:NO)そのまま動作を終了する。
【0042】
広告記録キー20aが押されている場合(S12:YES)、画像データ処理部16は、輝度レベルが所定レベル以下である画素数を計数することにより、原稿画像のデータ量を算出し、算出結果を制御部10ヘ出力する(ステップS13)。制御部10は、その算出結果により、原稿画像のデータ量が所定量より多いか否かを判断する(ステップS14)。
【0043】
原稿画像のデータ量が所定量より多い場合(S14:YES)、制御部10は、データ量が多い画像データと分類されている広告用の画像データまたはデータ量が少ない画像データと分類されている広告用の画像データを第2画像メモリ18から選択する(ステップS15)。一方、原稿画像のデータ量が所定量より少ない場合(S14:NO)、制御部10は、データ量が少ない画像データと分類されている広告用の画像データを第2画像メモリ18から選択する(ステップS16)。
【0044】
そして、記録部19は、選択された画像データに応じた広告画像を用紙の裏面に記録して(ステップS17)、動作が終了する。
【0045】
第2実施の形態では、用紙の表面に記録される原稿画像のデータ量が多い場合には、データ量の多少に関わらない広告用の画像データを選択し、用紙の表面に記録される原稿画像のデータ量が少ない場合には、データ量が少ない広告用の画像データを選択するようにしている。この結果、原稿画像のデータ量に合わせて適正な広告画像を記録できる。よって、データ量が少ない原稿画像が表面に記録されているときに、裏面にデータ量が多い広告画像が記録されることはなく、広告画像が透けて見えて目立ってしまう事態を避けることができる。
【0046】
(第3実施の形態)
図4は、第3実施の形態における動作手順を示すフローチャートである。この第3実施の形態では、用紙の表面に記録される原稿画像のカラー/モノクロームの判別、用紙の表面に記録される原稿画像のデータ量、及び用紙の表面に記録される原稿画像の分布状態に基づいて、記録すべき広告用の画像データを選択する。選択対象となる複数の画像データは、データ量が所定の第1閾値より多いカラー画像データと、データ量が第1閾値より少ないカラー画像データと、データ量が所定の第2閾値より多いモノクローム画像データと、データ量が第2閾値より少ないモノクローム画像データとに分類されて、第2画像メモリ18に記憶されている。
【0047】
記録部19は、読取部15で読み取られた原稿の画像データに応じた原稿画像を用紙の表面に記録する(ステップS21)。制御部10は、操作部20の広告記録キー20aが押されたか否かを判断し(ステップS22)、押されていない場合には(S22:NO)そのまま動作を終了する。
【0048】
広告記録キー20aが押されている場合(S22:YES)、画像データ処理部16は、まず、読取部15で取得された画像データがカラー画像データかモノクローム画像データかを判別し、その判別結果を制御部10ヘ出力する(ステップS23)。また、画像データ処理部16は、原稿画像のデータ量を算出し、その算出結果を制御部10ヘ出力する(ステップS24)。更に、画像データ処理部16は、原稿画像のエッジ位置の分布に基づいて、原稿画像の分布状態を検出し、その検出結果を制御部10ヘ出力する(ステップS25)。
【0049】
図5は、原稿画像のデータ量及び原稿画像の分布状態に基づく原稿画像のパターン分類を模式的に示す図である。図5(a)はデータ量が多くて画像分布が密(集中的)である例を表し、図5(b)はデータ量が少なくて画像分布が密(集中的)である例を表し、図5(c)はデータ量が少なくて画像分布が粗(分散的)である例を表し、図5(d)はデータ量が多くて画像分布が粗(分散的)である例を表している。
【0050】
第3実施の形態では、データ量及び分布状態に基づくこのような4種のパターン分類に更に、カラー/モノクロームの判別結果が加わるので、全体として原稿画像は8種のパターン(印字特性)に分類されることになる。
【0051】
制御部10は、画像データ処理部16からの出力結果に応じて、原稿画像が8種のパターン(印字特性)の何れに該当するかを判断し、判断したパターン(印字特性)に基づいて広告用の画像データを第2画像メモリ18から選択する(ステップS26)。
【0052】
図6は、この選択基準を示す図表である。図6において、Aはデータ量が所定の第1閾値より多い広告用のカラー画像データ、Bはデータ量が第1閾値より少ない広告用のカラー画像データ、Cはデータ量が所定の第2閾値より多い広告用のモノクローム画像データ、Dはデータ量が第2閾値より少ない広告用のモノクローム画像データを表している。
【0053】
そして、記録部19は、原稿画像のパターン(印字特性)に基づき図6の選択基準にしたがって選択された画像データに応じた広告画像を用紙の裏面に記録して(ステップS27)、動作が終了する。
【0054】
第3実施の形態では、用紙の表面に記録される原稿画像の印字特性(カラー/モノクローム,データ量,分布状態)に基づいて、裏面に記録すべき広告用の画像データを選択するようにしている。よって、用紙表面の原稿画像と用紙裏面の広告画像とは印字状態が似通ったものとなるため、広告画像が過度に目立つ事態を避けることができる。なお、図6に示した選択基準は一例であって、本発明がこれに限定されるものでないことは勿論である。
【0055】
ところで、図5(b)のパターンと図5(d)のパターンとでは、データ量に差異があまり見られない場合が起こり得るが,第3実施の形態では、分布状態(密/粗)も考慮しているので、両パターンを確実に分別できて、それぞれのパターンに適した広告画像を記録することができる。
【0056】
データ量の多/少を判断するための閾値、及び/または、分布状態の密/粗を判断するための基準を決定する手法として以下のようなものが可能である。
(1)原稿画像における画像データの閾値及び/または基準と、広告用の画像データの閾値及び/または基準とを同じにする。
(2)第2画像メモリ18に記憶されている複数の画像データの特性分布にしたがって、広告用の画像データの閾値及び/または基準を決定する。
【0057】
(1)の場合には、より適正な選択が可能となる。しかしながら、単純な数値設定によって閾値及び/または基準を決定した場合には、原稿画像のデータ量が少ない場合に使用可能な広告用の画像データが存在しなかったり、使用できる広告用の画像データに偏りが生じたりする事態が発生する。広告画像の意義から考えると、複数種のものが均等に順次記録されることが望ましいため、このような事態を解消するためには、上記(2)の手法がより現実的である。
【0058】
なお、上述した実施の形態では、原稿画像のデータ量を2段階に分類するようにしたが、3段階以上にデータ量を分類して、それぞれで最適な広告用の画像データを選択するようにしても良い。また、原稿画像の分布状態(粗密状態)も上記の2段階でなくて3段階以上に分類して良い。このような場合には、原稿画像の3段階以上の分類に対応させて、第2画像メモリ18にも3段階以上の広告用の画像データを記憶しておくようにすれば良い。
【0059】
また、本発明における他の実施の形態として、原稿の画像領域を検出し、その検出した画像領域に類似した画像領域を有する広告用の画像データを選択するようにして、用紙裏面の広告画像が表面側から透けて見えないようにすることも可能である。
【0060】
ところで、上述した実施の形態では、読み取った画像データをそのまま画像として自動的に用紙に記録する場合について説明した。これとは異なり、ユーザからの指示によって、カラー原稿からカラー画像データを読み取ってもモノクローム画像として用紙に記録したり、読み取った画像データの一部を削除して残りのみを画像として用紙に記録したりすることがある。本発明において、広告用の画像データ(第2画像データ)の選択基準は、あくまでも用紙(記録媒体)の表面(第1面)に記録される画像の印字特性であるので、原稿の画像データ読取り後に上述したような変換・編集処理がなされた場合には、変換・編集処理後の画像データの特性に基づいて、広告用の画像データ(第2画像データ)を選択するようにすれば、上述した実施の形態と同様に、用紙の裏面に記録された広告画像が用紙の表面側から透けて見えるようなことはなく、また広告画像が過度に目立たつようなこともない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る画像処理装置としての複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施の形態における動作手順を示すフローチャートである。
【図3】第2実施の形態における動作手順を示すフローチャートである。
【図4】第3実施の形態における動作手順を示すフローチャートである。
【図5】原稿画像のデータ量及び原稿画像の分布状態に基づく原稿画像のパターン(印字特性)分類を模式的に示す図である。
【図6】広告用の画像データの選択基準を示す図表である。
【符号の説明】
【0062】
1 複合機
10 制御部
15 読取部
16 画像データ処理部
17 第1画像メモリ
18 第2画像メモリ
19 記録部
20 操作部
20a 広告記録キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録媒体の第1面に、原稿から取得した第1画像データに応じた画像を記録し、前記記録媒体の第2面に、予め準備されている複数の画像データから選択した第2画像データに応じた画像を記録する画像処理方法であって、
前記記録媒体の第1面に記録される画像の印字特性を検出し、検出した印字特性に基づいて複数の画像データから前記第2画像データを選択することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
シート状の記録媒体の第1面に、原稿から取得した第1画像データに応じた画像を記録し、前記記録媒体の第2面に、予め準備されている複数の画像データから選択した第2画像データに応じた画像を記録する画像処理装置であって、
前記記録媒体の第1面に記録される画像の印字特性を検出する手段と、
検出した印字特性に基づいて複数の画像データから前記第2画像データを選択する手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記印字特性は、前記記録媒体の第1面に記録される画像がカラー画像であるかモノクローム画像であるかを示す特性、前記記録媒体の第1面に記録される画像に応じた第1画像データのデータ量を示す特性、及び、前記記録媒体の第1面に記録される画像の分布状態を示す特性の中の少なくとも一つの特性を含んでいることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
シート状の記録媒体の第1面に、原稿から取得した第1画像データに応じた画像を記録し、前記記録媒体の第2面に、予め準備されているカラー画像データ及びモノクローム画像データを含む複数の画像データから選択した第2画像データに応じた画像を記録する画像処理装置であって、
前記記録媒体の第1面に記録される画像がカラー画像であるかモノクローム画像であるかを判断する手段と、
前記画像がカラー画像である場合には、前記第2画像データとして、前記複数の画像データからカラー画像データまたはモノクローム画像データを選択する手段と、
前記画像がモノクローム画像である場合には、前記第2画像データとして、前記複数の画像データからモノクローム画像データを選択する手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
シート状の記録媒体の第1面に、原稿から取得した第1画像データに応じた画像を記録し、前記記録媒体の第2面に、予め準備されていてデータ量が異なる複数の画像データから選択した第2画像データに応じた画像を記録する画像処理装置であって、
前記第1画像データのデータ量及び前記記録媒体の第1面に記録される画像の分布状態を求める手段と、
求めたデータ量及び分布状態に基づいて、前記複数の画像データから前記第2画像データを選択する手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
前記第2画像データは広告用の画像データであることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−202551(P2009−202551A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50151(P2008−50151)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】