説明

画像処理装置、方法、およびプログラム

【課題】 本発明は、検知処理を行うためのパラメータを設定するために必要となる人員や作業を軽減した画像処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 映像を取得する取得部と、前記取得部が取得した映像に画像を重畳する重畳部と、前記取得部が取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する検知部とを有し、前記重畳部は前記検知手段によって出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を前記検知領域内の映像に重畳して前記検知手段に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に画像処理によって映像中の変化を解析する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラで撮影された映像の変化を検知する撮像システムが知られている。このような撮像システムにおいて撮影された映像の変化を検知するためには、検知処理を行う対象とする画面領域、検知対象領域内の検知対象物の位置や大きさ、画像処理の感度等、検知処理を行うためのパラメータをあらかじめ設定する必要がある。パラメータは検知対象物の位置や大きさや色、周囲の環境、カメラの撮影条件等に応じて設定される。
【0003】
従来の撮影システムは検知処理を行うためのパラメータを設定するために、検知すべき物体の動作や周囲の環境をあらかじめ撮影して、カメラサーバを介して操作端末内の記憶部に記憶する。そして、ユーザーが操作端末内にある記憶部に記憶されている映像を再生しながら検知処理のパラメータを設定する(例えば特許文献1)。
【0004】
また従来、カメラで撮影された映像について検知処理を行う範囲を指定するために、映像が映し出されたディスプレー上で図形を描画して検知範囲を指定し、設定の結果をディスプレー上で確認する画像処理装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−248090号公報
【特許文献2】特開2008−16898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検知処理を行うためのパラメータを設定するには映像変化として検知すべき物体の状態やその周囲の環境をあらかじめ撮像装置により撮影して、設定したパラメータにより正しく検知処理が行われるか検証するという作業が必要となる。従来の撮影システムでは、検知処理を行うためのパラメータを設定するために、検知すべき物体の状態やその周囲の環境をカメラで撮影するための人員や作業が必要であった。
【0007】
本発明は、従来の撮影システムに比べて検知処理を行うためのパラメータを設定するために必要となる人員や作業を軽減した画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明にかかる画像処理装置は、映像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した映像に画像を重畳する重畳手段と、前記取得手段が取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する検知手段とを有し、前記重畳手段は前記検知手段によって出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を前記検知領域内の映像に重畳して前記検知手段に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる画像処理装置は、映像変化の検知処理を行うためのパラメータを設定する場合に、検知処理を行う範囲内の映像に画像を重畳させることにより検知すべき物体の状態を再現する。従って、検知すべき物体を動作させるために人がカメラの前まで行って検知すべき物体の状態を生じさせる必要がない。従って、検知処理を行うためのパラメータを設定するために必要となる作業を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる画像処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明にかかる画像処理装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【図3】本発明にかかる画像処理装置の重畳部による画像の重畳の例を示す図である。
【図4】本発明にかかる設定装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】本発明にかかる設定装置の設定画面を説明するための図である。
【図6】本発明にかかる設定装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0012】
<実施例1>
以下、図1ないし図3を参照して、本発明の第1の実施例による、画像処理装置について説明する。図1(a)は、本発明の第1の実施例にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置100は画像の入力を受けると入力された画像の圧縮画像と解析結果を出力する。
【0013】
取得部110は画像処理装置100に接続されたビデオカメラやビデオレコーダ装置等の撮像装置180から映像として画像を連続的に取り込む。そして取得部110は、後述の制御部160からの指示によるA/D変換(Analog/Digital変換)やサイズ変換を行い重畳部120に出力する。このようにして、取得部110は映像を取得する機能を果たす。 重畳部120は後述の制御部160からの指示によって、取得部110が取得した映像に画像を重畳する。重畳する画像は例えば、時刻情報を表す文字列や内部を塗り潰した多角形や楕円、別途撮影・保存された画像、コンピューターグラフィックス画像である。画像に文字や図形を重畳するスーパーインポーズ機能や、プライバシー保護のために所定の画像にマスク画像を重畳するプライバシーマスク機能などの既存の描画機能により重畳部120を構成してもよい。重畳部120は、後述の検知部131が出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を、検知部131が検知を行うように設定された領域(以下、検知領域)内の映像に重畳する。重畳部120で画像が重畳された画像データは解析部130と圧縮部150に送られる。
【0014】
圧縮部150は後述の制御部160からの指示による圧縮方法や圧縮率で画像を圧縮し、I/F部140を介して画像処理装置100から出力させる。圧縮方式は、例えば、Motion JPEG、MPEG4、H.264、または、JPEGなどの規格に基づく。
【0015】
解析部130はフレーム間差分法や背景差分法等を用いて画像上の予め設定された領域における物体の出現を検知し、さらに物体の状態を判定する。解析部130は図1(b)に示すとおり、検知部131と判定部132を有する。検知部131は取得部110が取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する。判定部132は検知部131の検知結果に基づいて検知領域内の映像における物体の状態を判定する。
【0016】
物体の状態とは例えば「置き去り」であり、これは検知領域内に出現した物体が同じ位置に予め設定された時間以上静止した状態である。あるいは、物体の状態としては例えば「持ち去り」であり、監視対象が持ち去られた後に、監視対象によって遮蔽されていた壁や床面等の物体が新たに出現して予め設定された時間以上静止している状態である。検知部131における出現物体の検出はフレーム間差分法や背景差分法による。これらの技術は、フレーム間で輝度値等の差分をとり、予め設定された閾値以上の差分があった領域を出現物体として解釈する。
【0017】
判定部132は検知部131において出現が検知された物体が所定の時間静止している場合には該物体が「置き去り」の状態にあると判定する。あるいは、判定部132は検知領域内の物体が持ち去られ、該物体によって遮蔽されていた物体の画像が出現したことを検知部131が検出した場合には該物体が「持ち去り」の状態にあると判定する。
【0018】
ここで物体検出は、前述した通り、フレーム間の輝度値等の差分をとり予め設定された閾値以上の差分があった領域を出現物体として解釈している。よって、物体が実際に画像中に出現していなくても、人工的な輝度値等の差分を画像に与えればその部分を物体として検出させることが可能である。本実施例はこれを用いて物体状態解析の検証を行う。即ち、制御部160が重畳部120を制御し、入力画像に出現物体に相当する図形を重畳することで差分を発生させ、解析部130に「置き去り」もしくは「持ち去り」状態として検知させる。「置き去り」もしくは「持ち去り」状態として検知するための条件としては後述の記憶部170に記憶された各種設定が用いられる。こうして解析部130は重畳部120によって重畳された画像を含む映像が記憶部170に保持された条件を満たすか判断する。
【0019】
本実施例では解析部130は物体の「置き去り」と「持ち去り」を解析する場合について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、設定された領域における出現物体を検出し、物体の状態を解析するものであればよい。例えば、カメラが布やペンキなどで覆われて、監視対象が一定時間以上続いて見えなくなったことを解析するものであってもよい。解析結果はI/F部140を介して画像処理装置100から出力される。
【0020】
記憶部170は取得部110、重畳部120、解析部130、圧縮部150の動作設定を記憶する。そして、取得部110、重畳部120、解析部130、圧縮部150にそれぞれの動作設定を保持させる。
【0021】
取得部110の動作設定とは、例えば、取得した画像のサイズ変換における変換の倍率や変換後のサイズ等についての設定をいう。
【0022】
また重畳部120の動作設定とは、例えば、入力画像に重畳する図形の形や大きさ、範囲、重畳する図形の色、静止時間等についての設定をいう。静止時間がt秒であれば、あるフレームに図形を重畳してから、t秒後のフレームまで図形を重畳する。物体の「置き去り」を検出する場合、重畳する画像の色は一般的には黒でよいが、画像が夜間の屋外等、輝度値等の十分な差分が得られない場合もありうる。そのため、確実に検出できるように、検知領域内の反対色に設定してもよい。一方、物体の「持ち去り」を検出する場合、重畳する図形の色は一般的には黒でよいが、より正確な検証を行うために監視対象物体が持ち去られた後に見える壁や床面等の色に設定すればなお望ましい。壁や床面は検知領域の外周に見えている場合が多いので、領域外縁部の色、もしくはその類似色を選択すればよい。
【0023】
解析部130の動作設定とは、例えば、「置き去り」「持ち去り」等の状態解析の種別選択設定、物体検出の対象となる画面内の領域設定、監視対象物体の大きさの設定、監視対象物体の静止状態継続時間設定、検出の感度等についての設定をいう。設定の種類はこれらに限られない。また、これら全てについて設定される必要はない。静止状態継続時間とは検知対象領域に物体が出現してからその物体が静止している時間をいい、設定された時間だけ物体が静止していた場合に解析部130の判定部132は「置き去り」や「持ち去り」が生じたと判断する。また、検出の感度とは、映像の隣接フレーム間における同じ画素位置における画素の輝度値の差分値と比較され、差分値が設定された感度値以上になると、その画素に変化ありと解析部130の検知部131が判断する。このように解析部130の動作設定は、解析部130が、検知領域内の映像における物体の出現を検知し、物体の状態を判定するための条件として用いられる。
【0024】
圧縮部150の動作設定とは、例えば、画像圧縮部に入力された画像の圧縮方法や圧縮率などについての設定をいう。
【0025】
制御部160はI/F部140を介してユーザー端末からの命令を受け取り、前述の取得部110、重畳部120、解析部130、圧縮部150の動作を制御し、応答をユーザーに返す。これらの制御は制御部160が内蔵するプロセッサ及びメモリによって実行される。制御部160が内蔵するプロセッサはコンピュータであり、制御部160が内蔵するメモリから読み出したプログラムを実行する。制御部160が内蔵するメモリは、このプロセッサが読み出すことができるようにプログラムを記録した記録媒体である。このプログラムについては図2を用いて後述する。
【0026】
ここで、制御部160が受け取るユーザーからの命令として、解析部130の動作の検証命令および設定保持命令について説明する。解析部130の動作の検証命令とは、解析部130が「置き去り」や「持ち去り」の状態を記憶部170記憶された動作設定で検出するか画像処理装置100に検証させる命令をいう。この検証命令を受けた場合、制御部160は解析部130の設定から導出した制御を重畳部120に対して行う。
【0027】
また、設定保持命令とは取得部110、重畳部120、解析部130、圧縮部150の動作設定を画像処理装置100に保持させる命令のことである。設定保持命令を受けた場合、制御部160は記憶部170に取得部110、重畳部120、解析部130、圧縮部150の動作設定を保存する。保存した設定はユーザーからの制御命令がない場合の各部のデフォルト動作として用いる。
【0028】
I/F部140は不図示のネットワークを介してユーザー端末と接続され、画像処理装置100とユーザーや画像処理装置100を構成する各部の動作設定を行う設定装置との情報の受渡しを行う。ユーザー等からの制御命令を制御部160に伝え、解析部130の解析結果、圧縮部150からの圧縮データ、制御部160からの応答をユーザー等に戻す。
【0029】
続いて、以上の構成からなる画像処理装置100による解析部130の検証動作について図2を用いて説明する。図2は解析部130の動作検証時において制御部160が内蔵したプロセッサに実行させるためのプログラムの手順を示す。
【0030】
制御部160はユーザー端末から解析部130の動作の検証命令を受けると解析部130の設定を記憶部170から読み出す(S200)。例えば、制御部160は状態解析の種別設定(「置き去り」又は「持ち去り」)、物体検出の対象となる画面の領域設定、監視対象物体の大きさ、当該状態と判断するまでの静止状態継続時間設定等の設定を読み出す。
【0031】
続いて制御部160は記憶部170から読み出した設定から「置き去り」解析か「持ち去り」解析かを判断し(S201)、それぞれに応じた設定値を解析部130に設定する。
【0032】
「置き去り」検知の場合は、制御部160は、重畳部120が置去りを検出する物体の大きさや色に対応する画像を検知領域内の映像に重畳するように設定する。すなわち、制御部160は画像を重畳する位置を記憶部170から読み出した検知領域内の位置に設定し、重畳する画像の大きさと色を記憶部170から読み出した大きさに設定する(S202)。
【0033】
一方、「持ち去り」検知の場合には、制御部160は、重畳部120が検知領域の大きさに対応する画像を検知領域内の映像に重畳するように設定する。すなわち、制御部160は画像を重畳する位置と大きさは検知領域の大きさに設定し、さらに重畳する画像の色を記憶部170から読み出した色に設定する(S203)。
【0034】
制御部160は重畳する画像の設定値が決定したら、検証が可能になるまで待つ(S204)。例えば、解析部130において背景画像の生成がなされていないと、検証を開始することができない。そこで、まず解析部130が起動しているか解析部130に問い合わせる。解析部130が起動していない場合にはここで起動するように指示し、背景画像の生成の終了を待つようにしてもよい。または、解析部130を起動させる指示がユーザーからなされてから、背景画像の生成が終了するまで待つようにしてもよい。または、検証を開始する際に解析部130が既に起動していてもよい。
【0035】
また、検証時に検知領域内に既に実際の物体が出現していると、解析部130では重畳部120で重畳した画像と実際の物体との区別がつかない。そこで、検知領域内の映像において物体が出現していることを検知部131が検知している間は重畳部120による画像の重畳を開始しない。検証開始前に検知領域内に物体が出現しているかは解析部130の解析結果から確認できる。
【0036】
検証開始可能になったら(ステップS204ではいの場合)、制御部160は解析部130において重畳部120から入力される画像の解析を開始するように命令する(S205)。
【0037】
そして、制御部160は重畳部120がステップS202あるいはステップS203で決定した設定値で取得部110から入力された映像に画像の重畳を行うように制御する(S206)。ここで画像に重畳される画像は重畳部120の機能に依存する。例えば、重畳部120が前述のプライバシーマスク機能によって構成されている場合は、内部を塗り潰した多角形や円を描画する。または前述のスーパーインポーズ機能によって構成されている場合は、描画パラメータの描画位置や形状に合わせる形で文字列を重畳する。その際、文字やフォントを変更できるのならば、画数の多い「鸞」のような漢字や、プロポーショナルフォントで”I” (アルファベット大文字のアイ)を連続して用いるとなおよい。図3に画像の重畳の例を示す。図3(A)は「置き去り」検知の場合にプライバシーマスク機能で多角形310を重畳した例である。図3(B)は「持ち去り」検知の場合にスーパーインポーズ機能で文字列330を重畳した例である。なお検知領域を示す枠300は説明のためであり、実際には描画しない。
【0038】
重畳部120において画像の重畳が開始されたら、制御部160はステップS200で読み込んだ、重畳する画像の静止時間が経過するのを待ち(S207)、その後、重畳部120による画像の重畳を終了させる(S208)。
【0039】
制御部160は、解析部130が重畳部120において画像が重畳された映像についての解析結果をI/F部140を介してユーザー端末に通知するように制御する(S209)。
【0040】
以上のようにして制御部160は重畳部120および解析部130の動作を制御する。
【0041】
本実施例では、画像処理装置100と撮像装置180とを独立した装置としたが、画像処理装置100はビデオカメラやビデオレコーダ装置と一体として構成され、これらの撮像装置によって撮像された画像を取得部110から連続的に取り込むこととしてもよい。また、ビデオカメラは遠隔地に配置されたビデオカメラの映像をネットワーク経由で観察可能なネットワークカメラとしてもよい。
【0042】
本実施例にかかる画像処理装置により、画像処理によって物体の状態変化を解析する機能の検証を、実際の監視対象を移動させたりすることなく、画像処理装置だけで行うことができるようになる。したがって映像を撮影する現場での作業が不要になるので、検証に要する人員と時間を削減することができる。また本実施例を監視カメラに適用した場合、重畳部120を監視カメラのスーパーインポーズ機能やプライバシーマスク機能と共用できるので、個別に機能を実装するよりも安価に構成できる。
【0043】
<実施例2>
実施例2では実施例1において説明した画像処理装置に各種の設定値を設定し、検知部131が物体の出現の検知を実行するように指示する設定装置について説明する。
【0044】
図4ないし図6を用いて本発明の実施例2にかかる設定装置について説明する。
【0045】
図4は本発明の第2の実施例にかかる設定装置の構成を示すブロック図である。設定装置400はユーザーからの設定や命令を入力とし、物体状態解析を行う画像処理装置、例えば本発明の実施例1にかかる画像処理装置100への命令を出力する端末である。物体状態解析とは、例えば、入力された画像において物体の「置き去り」や「持ち去り」などの状態が起きているかを解析することをいう。
【0046】
I/F部410は第2の実施例の設定装置400と物体の状態解析を行う画像処理装との界面である。I/F部410は、設定装置400に対してユーザーから入力された物体状態解析の検証に関する設定や命令を、物体状態解析を行う画像処理装置の有する機能への設定や命令として不図示のネットワークを介して出力する。
【0047】
解析設定制御部420は後述の解析領域設定部430および解析変数設定部440における物体状態解析に関する設定や命令の入力の終了を確認し、物体状態解析を行う画像処理装置への設定や命令に変換してI/F部410を介して出力する。物体状態解析に関する設定とは、例えば、物体状態解析の種別設定、物体状態解析の対象となる物体の大きさの範囲設定、物体状態変化が起きたと判断するための物体静止時間設定等がある。また、物体状態解析に関する命令とは、物体状態解析の設定完了を指示し、物体状態解析を行う画像処理装置へその設定を送る命令や、設定装置400の動作終了を指示する終了命令等が該当する。
【0048】
これらの制御は解析設定制御部420が内蔵するプロセッサ及びメモリによって実行される。解析設定制御部420が内蔵するプロセッサはコンピュータであり、解析設定制御部420が内蔵するメモリから読み出したプログラムを実行する。解析設定制御部420が内蔵するメモリは、このプロセッサが読み出すことができるようにプログラムを記録した記録媒体である。このプログラムについては図6(a)を用いて後述する。なお、解析設定制御部420は後述の検証制御部450と一体として構成されても良い。
【0049】
解析領域設定部430はユーザーが物体状態解析の対象となる画面内の領域を設定するためのユーザーインターフェースである。
【0050】
解析変数設定部440はユーザーが物体状態解析に関わる変数を設定するためのユーザーインターフェースである。物体状態解析に関わる変数とは、たとえば物体状態解析の対象となる物体の大きさの範囲についての変数や、物体状態変化が起きたと判断するための物体静止時間についての変数等がある。
【0051】
検証制御部450は後述の重畳設定部460および検証用変数設定部470における物体状態解析の検証に関する設定や命令の入力の終了を確認し、物体状態解析を行う画像処理装置への設定や命令に変換してI/F部410を介して出力する。物体状態解析の検証に関する設定とは、例えば、解析領域の設定や、検証用の擬似物体として重畳する図形の形や大きさ、範囲、重畳する図形の色、静止時間、物体解析を行うか検証を行うかの切替え設定等についての設定をいう。また、物体状態解析の検証に関する命令とは、例えば、物体状態解析の検証のための設定完了を指示し、物体状態解析を行う画像処理装置へその設定を送ってその設定条件で物体の出現の検知を実行することを指示する命令等のことをいう。すなわち、出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を、検証用の擬似物体として検知領域内の映像に重畳し、かつ、重畳を行った映像を画像処理装置の検知部へ出力して、物体の出現の検知を実行するように指示する。
【0052】
これらの制御は検証制御部450が内蔵するプロセッサ及びメモリによって実行される。検証制御部450が内蔵するプロセッサはコンピュータであり、検証制御部450が内蔵するメモリから読み出したプログラムを実行する。検証制御部450が内蔵するメモリは、このプロセッサが読み出すことができるようにプログラムを記録した記録媒体である。このプログラムについては図6(b)を用いて後述する。なお、検証制御部450は解析設定制御部420と一体として構成されても良い。
【0053】
重畳設定部460は物体状態解析の検証のために物体状態解析を行う画像処理装置の重畳部において重畳される画像の大きさ又は形状あるいは重畳位置、範囲などをユーザーが設定するためのユーザーインターフェースである。
【0054】
検証用変数設定部470は物体状態解析の検証のための変数をユーザーが設定するためのユーザーインターフェースである。物体状態解析の検証のための変数とは例えば、重畳される画像の色、静止時間等についての変数をいう。
【0055】
切替部480はユーザーが設定装置400に接続された画像処理装置に物体状態解析を行わせるか物体状態解析の検証を行わせるかを切替えるために用いられる。ここで、物体状態解析の検証とは、物体状態解析を行う画像処理装置が検証制御部450において設定された条件で物体状態解析を実行した場合に、所望の物体状態を検出できるかどうかを検証することをいう。
【0056】
本実施例では、設定装置が不図示の表示部を有し、表示部が実施例1で説明した画像処理装置の検知部131に物体の出現の検知を実行させるための設定を行う設定画面を表示する場合について説明する。表示部に表示された設定画面はグラフィカルユーザーインターフェース(以下、GUI)として機能する。設定装置は不図示の表示制御部を有し、表示制御部が表示部に設定画面を表示させる。表示制御部は内蔵するプロセッサ及びメモリによって設定画面を表示させる。表示制御部が内蔵するプロセッサはコンピュータであり、表示制御部が内蔵するメモリから読み出したプログラムを実行する。表示制御部が内蔵するメモリは、このプロセッサが読み出すことができるようにプログラムを記録した記録媒体である。図5を用いて、実施例2にかかる設定装置の表示部に表示されるグラフィカルユーザーインターフェースとしての設定画面500の画面構成例について説明する。
【0057】
ラジオボタン505は設定対象を物体状態解析と物体状態解析の検証とで切替えるために用いられる。切替部480は、ラジオボタン505の設定に従い、画像処理装置に物体状態解析を行わせるか物体状態解析の検証を行わせるかを切替える。
【0058】
図形入力フィールド510は物体状態解析の対象となる画面内の領域(以下、解析領域)の設定と、物体状態解析の検証のための設定とに用いられる。設定対象は前述のラジオボタン505の設定によって切り替わる。すなわち、ラジオボタン505において物体状態解析のボタンが選択されている場合は、図形入力フィールド510において、解析領域の設定が可能になる。一方、ラジオボタン505において解析検証設定のボタンが選択されている場合は、図形入力フィールド510において、物体状態解析の検証のために物体状態解析を行う画像処理装置で重畳する画像、擬似物体の設定等が可能になる。
【0059】
描画ツール選択パレット525はユーザーが四角形、楕円、直線等の描画ツールを選択し、図形入力フィールド510内に解析領域または擬似物体の位置や形状を設定するために用いられる。515の多角形枠は解析領域の、520は擬似物体として重畳する画像の設定例である。解析領域設定部430は、ラジオボタン505において物体状態解析のボタンが選択されている場合に、描画ツール選択パレット525からの入力に従い、物体状態解析の対象となる画面内の領域を設定する。また、重畳設定部460は、ラジオボタン505において解析検証設定のボタンが選択されている場合に、描画ツール選択パレット525からの入力に従い、重畳される画像の大きさ又は形状あるいは重畳位置、範囲などを設定する。このようにして描画ツール選択パレット525は、実施例1の画像処理装置における検知部131が出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を指定する指定手段として機能する。
【0060】
変数入力フィールド530は物体状態解析の検証のための変数を入力するために用いられる。図5では一例として、ユーザーが描画ツール選択パレット525を用いて図形入力フィールド510上に描画する図形の色の設定をRGB値で設定する例を示す。物体状態解析の検証を行う際に、ユーザーが描画ツール選択パレット525を用いて入力する図形の色を調整しながら物体状態解析の検証を行うことにより、ユーザーはどのような色の物体であれば物体状態解析が可能であるかを検証することができる。また例えば、変数入力フィールド530において、ユーザーが描画ツール選択パレット525を用いて入力した図形の静止時間を設定できるようにしてもよい。ユーザーは入力した図形の静止時間を調整しながら物体状態解析の検証を行うことにより、検出しようとする物体がどのくらいの時間静止していれば物体状態解析が可能であるかを検証することができる。変数入力フィールド530を用いて入力される変数は入力される図形の色や静止時間についての変数に限られない。検証用変数設定部470は、変数入力フィールド530からの入力に従い、物体状態解析の検証のための変数を設定する。
【0061】
終了ボタン535は設定装置400の動作終了を指示するために用いられる。
【0062】
種別選択ボタン540は「置き去り」や「持ち去り」などの物体状態解析の種別をユーザーが選択するために用いられる。
【0063】
物体サイズ設定入力フィールド545はユーザーが物体状態解析の対象となる物体の大きさの範囲を指定するために用いられる。また、静止時間入力フィールド550は物体状態解析の対象となる物体がどれだけの時間静止していた場合に「置き去り」や「持ち去り」などの物体状態変化が起きたと判断するかについて、ユーザーが設定するために用いられる。解析変数設定部440は、物体サイズ設定入力フィールド545および静止時間入力フィールド550からの入力に従い、物体状態解析に関わる変数を設定する。
【0064】
設定保存ボタン555は物体状態解析の設定完了を指示し、物体状態解析を行う画像処理装置へその設定を送ることを指示するボタンである。
【0065】
検証開始ボタン560は物体状態解析の検証のための設定完了を指示し、物体状態解析を行う画像処理装置へその設定を送って検証を開始することを指示するボタンである。検証開始ボタン560は、実施例1の画像処理装置の重畳部120に対して描画ツール選択パレット525によって指定された画像を検知領域内の映像に重畳し、かつ、重畳を行った映像を検知部131へ出力する動作を開始させるための開始手段として機能する。
【0066】
以上の構成からなる設定装置400の動作の流れを、図6(a)及び図6(b)を用いて説明する。図6(a)は解析設定制御部420が内蔵したプロセッサに実行させるためのプログラムの手順であり、図6(b)は検証制御部450が内蔵したプロセッサに実行させるためのプログラムの手順を表す。
【0067】
まず、図6(a)を用いて解析設定制御部420の動作について説明する。設定装置400が起動すると解析設定制御部420はまず解析領域設定部430において物体状態解析領域の設定入力が行われたかどうか確認し、入力があった場合は内部値への変換等の入力処理を行う(S600)。また解析設定制御部420は解析変数設定部440において解析変数の入力が行われたかどうか確認し、入力があった場合は内部値への変換等の入力処理を行う(S601)。解析設定制御部420はこれをユーザーの設定処理が確定するまで、例えば前述の設定保存ボタン555が押下されるまで繰り返す(S602)。
【0068】
設定が確定するとその設定はI/F部410を介して物体状態解析を行う画像処理装置に送られ、設定値として保存される。また、ここで検証設定に関するインターフェースを有効化する(S603)。
【0069】
解析設定制御部420はここで終了指示がなされているかどうか、例えば前述の終了ボタン535が押下されているかどうかを確認し、終了指示の場合は動作を終了する(S604)。
【0070】
解析設定制御部420は動作終了でなければ(S604でいいえの場合)、検証制御部450に対し、設定対象が物体状態解析か、物体状態解析の検証かを確認するように命令する。
【0071】
続いて、図6(b)を用いて検証制御部450の動作について説明する。
【0072】
検証制御部450は、解析設定制御部420から前述の命令を受け取ると、前述のラジオボタン505の設定を確認し、設定対象が物体状態解析か、物体状態解析の検証かを確認する(S606)。
【0073】
ここで設定対象が物体状態解析であった場合は(S606でいいえの場合)、検証制御部450は検証設定に関するインターフェースを無効化し(S607)、解析設定制御部420にステップS600に戻って物体状態解析の設定入力を処理するように命令する。
【0074】
一方設定対象が検証であった場合(S606ではいの場合)、重畳設定部460において重畳する図形の形状等の設定入力が行われたかどうかを確認し、入力があった場合は内部値への変換等の入力処理を行う(S608)。これをユーザーの設定処理が確定するまで、例えば前述の検証開始ボタン560が押下されるまで繰り返す(S609)。
【0075】
設定が確定すると検証制御部450はその設定をI/F部410を介して物体状態解析を行う画像処理装置に画像重畳命令として送る制御を行い、設定装置400に接続された画像処理装置において擬似物体の図形の重畳による検証が開始される(S610)。検証制御部450は描画処理が終わるとステップS606以降の処理を繰り返す。
【0076】
本実施例では、画像処理装置と設定装置とを独立した装置としたが、両装置を一体として構成してもよい。
【0077】
本実施例にかかる設定装置を用いることにより、画像処理によって物体の状態変化を解析する機能の検証を、擬似図形を様々に変化させて行うことが可能になる。実際の監視対象を多数用意する必要もなく、また状態変化を解析できなかった場合も解析の設定をすぐに変更して再度検証できるので、広範な検証に要する人員や時間を削減することができる。
【符号の説明】
【0078】
100 画像処理装置
120 重畳部
130 解析部
160 制御部
400 設定装置
420 解析設定制御部
450 検証制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した映像に画像を重畳する重畳手段と、
前記取得手段が取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する検知手段とを有し、
前記重畳手段は前記検知手段によって出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を前記検知領域内の映像に重畳して前記検知手段に出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記検知手段の検知結果に基づいて前記検知領域内の映像における物体の状態を判定する判定手段を有し、
前記判定手段が、前記検知領域内に出現した物体が所定の時間静止した置き去り状態を判定する場合には、前記重畳手段は該物体の大きさに対応する画像を前記検知領域内の映像に重畳して前記検知手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記検知手段の検知結果に基づいて前記検知領域内の映像における物体の状態を判定する判定手段を有し、
前記判定手段が、前記検知領域内の物体が持ち去られることにより該物体によって遮蔽されていた物体の画像が出現した持ち去り状態を判定する場合には、前記重畳手段は前記検知領域の大きさに対応する画像を前記検知領域内の映像に重畳して前記検知手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記重畳手段は前記取得手段が取得した映像に文字または多角形若しくは楕円の画像を重畳させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記検知手段が、前記検知領域内の映像において物体が出現していることを検知している間は前記重畳手段による画像の重畳を開始しないことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
撮像手段を有し、前記取得手段は前記撮像手段によって撮像された映像を取得することを特徴とする請求項1または請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
映像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した映像に画像を重畳する重畳手段と、
前記取得手段が取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する検知手段とを有する画像処理装置に対して、前記検知手段が物体の出現の検知を実行するように指示する指示手段を有する設定装置であって、
前記指示手段は、前記重畳手段に対して前記出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を前記検知領域内の映像に重畳し、かつ、重畳を行った映像を前記検知手段へ出力するように指示することが可能であることを特徴とする設定装置。
【請求項8】
前記重畳手段によって重畳される前記画像の大きさ又は形状あるいは前記検知領域における重畳位置を設定するための重畳設定手段を有することを特徴とする請求項7に記載の設定装置。
【請求項9】
前記重畳手段によって重畳される画像の色、静止時間のうち少なくとも1つを設定する変数設定手段を有することを特徴とする請求項7に記載の設定装置。
【請求項10】
映像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した映像に画像を重畳する重畳手段と、
前記取得手段が取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する検知手段とを有する画像処理装置に対して、前記検知手段が物体の出現の検知を実行するように指示する指示手段を有する設定装置であって、
前記検知手段に物体の出現の検知を実行させるための設定を行う設定画面を表示する表示手段と、
前記出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を指定する指定手段と、
前記重畳手段に対して前記指定手段によって指定された画像を前記検知領域内の映像に重畳し、かつ、重畳を行った映像を前記検知手段へ出力する動作を開始させるための開始手段とを有し、
前記設定画面上に前記指定手段と前記開始手段とが設けられていることを特徴とする設定装置。
【請求項11】
取得手段が映像を取得する取得ステップと、
重畳手段が、前記取得手段が取得した映像に画像を重畳する重畳ステップと、
検知手段が、前記取得手段が取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する検知ステップとを有し、
前記重畳ステップにおいて、前記重畳手段は前記検知手段によって出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を前記検知領域内の映像に重畳して前記検知手段に出力することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
映像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した映像に画像を重畳する重畳手段と、
前記取得手段が取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する検知手段とを有する画像処理装置に対して、前記検知手段が物体の出現の検知を実行するように指示する指示手段を有する設定装置における画像処理装置の設定方法であって、
前記指示手段が前記重畳手段に対して前記出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を前記検知領域内の映像に重畳し、かつ、重畳を行った映像を前記検知手段へ出力するように指示する指示ステップを有することを特徴とする画像処理装置の設定方法。
【請求項13】
映像を取得する取得手順と、
前記取得手順で取得した映像に画像を重畳する重畳手順と、
前記取得手順で取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する検知手順とをコンピュータに実行させ、
前記検知手順で出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を前記重畳手順で前記検知領域内の映像に重畳して前記検知手順で前記物体の出現を検知させるためのプログラム。
【請求項14】
映像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した映像に画像を重畳する重畳手段と、
前記取得手段が取得した映像上に設定された検知領域内の映像における物体の出現を検知する検知手段とを有する画像処理装置に対して、前記検知手段が物体の出現の検知を実行するように指示するコンピュータに、
前記重畳手段に対して前記出現を検知すべき物体の大きさに対応する画像を前記検知領域内の映像に重畳し、かつ、重畳を行った映像を前記検知手段へ出力するように指示する指示手順を実行させるためのプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−239166(P2011−239166A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108783(P2010−108783)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】