説明

画像処理装置、画像処理システム、画像処理プログラム、画像処理方法

【課題】処理対象である画像を処理するジョブの実行履歴をログ情報として容易に管理することができ、その情報漏洩を適切に予防すると共に、ログ情報のための記憶容量増大を抑えて履歴調査の迅速化を促すことができる。
【解決手段】処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとしてログ情報を生成するログ情報生成手段2と、ログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶手段3と、生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別手段4と、この同一性判別手段4にて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換手段5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象である画像を処理するジョブが実行される画像処理装置、画像処理システム、画像処理プログラム及び画像処理方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、処理対象である画像、すなわち、原稿画像や外部機器から送出されるデジタルデータ等を処理するジョブが実行される画像処理装置として、例えばスキャン機能、コピー機能、プリント機能、FAX機能等を統合した複合機が広く知られている。このような画像処理装置では、原稿画像の読み取り、プリント出力、FAX送信等といったジョブを実行することができることから、その普及に伴って複写禁止文書が出力される等の情報漏洩の危険性も高まってきている。そのため、画像処理装置側にこのような情報漏洩が発生したときの出力履歴を追跡調査できるような機能を備えることが求められている。
【0003】
このような目的に対し、情報漏洩した文書を、誰が、いつ、どこで出力したかをチェックできるようにすべく、画像を処理したジョブの実行履歴をログ情報として記憶蓄積するように構成された画像処理装置が提案されている(例えば特許文献1,2参照)。尚、ログ情報としては、画像そのものに相当する画像データを記憶蓄積する方式(例えば特許文献1参照)や、画像に含まれるテキストデータを抽出して記憶蓄積する方式(例えば特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平06−270477号公報(実施例、図3)
【特許文献2】特開2005−157569号公報(第1の実施形態、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、処理対象である画像を処理するジョブの実行履歴をログ情報として容易に管理することができ、その情報漏洩を適切に予防すると共に、ログ情報のための記憶容量増大を抑えて履歴調査の迅速化を促すことができる画像処理装置、画像処理システム、画像処理プログラム及び画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1に係る発明は、処理対象である画像に対して作像処理を実行可能なジョブ実行手段及びこのジョブ実行手段を制御する制御装置を有する画像処理装置であって、前記制御装置が、前記ジョブ実行手段にて実行された処理動作の履歴情報であるログ情報が、処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとして生成されるログ情報生成手段と、このログ情報生成手段にて生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶手段と、前記ログ情報生成手段によって生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別手段と、この同一性判別手段にて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換手段とを備える画像処理装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る画像処理装置において、ログ情報生成手段が、前記画像特定情報を生成する画像特定情報生成手段と、前記属性特定情報を生成する属性特定情報生成手段と、前記画像特定情報及び前記属性特定情報を関連付ける関連付け手段とを備える画像処理装置である。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る画像処理装置において、前記画像特定情報生成手段が、処理対象である画像から保存すべき画像を生成する保存画像生成手段と、この保存画像が検索可能な検索用データを生成する検索用データ生成手段とを備える画像処理装置である。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る画像処理装置において、前記検索用データ生成手段が、保存画像生成手段にて生成される保存画像に対応して算出される画像特徴量又は抽出される文字列を少なくとも含む検索用データを生成するものであり、前記同一性判別手段が、前記画像特徴量又は前記文字列の少なくとも一方に対して同一か否かを判別するものである画像処理装置である。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る画像処理装置において、処理対象である画像に当該画像を識別するためのコード情報が含まれる場合には、前記検索用データ生成手段が、前記コード情報を含んで検索用データを生成するものであり、前記同一性判別手段が、前記画像特徴量、前記文字列及び前記コード情報の少なくともいずれかに対して同一性を判別することができる画像処理装置である。
【0008】
請求項6に係る発明は、請求項1に係る画像処理装置において、前記情報置換手段が、前記ログ情報生成手段によってログ情報が生成されるタイミングと異なる予め決められたタイミングにて動作する画像処理装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1に係る画像処理装置において、更に、前記ログ情報記憶手段に記憶蓄積されたログ情報に対し、予め規定された条件下にてログ情報を削除可能なログ情報削除手段と、このログ情報削除手段にて削除対象となったログ情報の画像特定情報が前記情報置換手段にて置換処理されたものを含むものであるか否かを判別する置換有無判別手段とを備え、前記ログ情報削除手段が、前記置換有無判別手段にて置換処理されたものと判別された場合には当該ログ情報のうち画像特定情報の少なくとも一部を削除しない画像処理装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1記載の画像処理装置のうち原稿画像を読み取る画像読取手段を備える態様において、更に、前記画像読取手段にて原稿を読み取る処理を行ったログ情報と、前記ログ情報記憶手段に記憶蓄積されたログ情報との前記画像特定情報の一致度を算出して該当するジョブを特定する検索処理手段を備える画像処理装置である。
【0009】
請求項9に係る発明は、処理対象である画像に対して作像処理を実行可能なジョブ実行手段及びこのジョブ実行手段を制御する制御装置を有する画像処理装置と、この画像処理装置に対し通信手段にて接続されたサーバ装置とを具備して前記画像処理装置によって処理されたジョブの実行履歴をログ情報として記憶蓄積可能な画像処理システムであって、前記画像処理装置及び前記サーバ装置の少なくともいずれか一方は、前記ジョブ実行手段にて実行された処理動作の履歴情報であるログ情報が、処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとして生成されるログ情報生成手段と、このログ情報生成手段にて生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶手段と、前記ログ情報生成手段によって生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別手段と、この同一性判別手段にて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換手段とを備える画像処理システムである。
請求項10に係る発明は、請求項9記載の画像処理システムのうち画像処理装置が原稿画像を読み取る画像読取手段を備える態様において、更に、画像処理装置及びサーバ装置の少なくともいずれか一方が、前記画像読取手段にて原稿を読み取る処理を行ったログ情報と、前記ログ情報記憶手段に記憶蓄積されたログ情報との前記画像特定情報の一致度を算出して該当するジョブを特定する検索処理手段を備える画像処理システムである。
【0010】
請求項11に係る発明は、処理対象である画像に対して作像処理を実行したジョブの実行履歴をログ情報として記憶蓄積可能な画像処理プログラムであって、処理対象である画像に対して作像処理を実行可能なジョブ実行手段及びこのジョブ実行手段を制御する制御装置を有する画像処理装置内のコンピュータ、あるいは、当該画像処理装置と通信手段にて接続されたコンピュータを、前記ジョブ実行手段にて実行された処理動作の履歴情報であるログ情報が、処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとして生成されるログ情報生成手段と、このログ情報生成手段にて生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶手段と、前記ログ情報生成手段によって生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別手段と、この同一性判別手段にて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換手段として機能させる画像処理プログラムである。
【0011】
請求項12に係る発明は、処理対象である画像に対して作像処理を実行したジョブの実行履歴をログ情報として記憶蓄積可能な画像処理方法であって、処理対象である画像に対して作像処理を実行可能なジョブ実行ステップと、前記ジョブ実行ステップにて実行された処理動作の履歴情報であるログ情報が、処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとして生成されるログ情報生成ステップと、このログ情報生成ステップにて生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶ステップと、前記ログ情報生成ステップによって生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別ステップと、この同一性判別ステップにて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換ステップとを含む画像処理方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、処理対象である画像を処理するジョブの実行履歴をログ情報として容易に管理することができ、その情報漏洩を適切に予防すると共に、ログ情報のための記憶容量増大を抑えて履歴調査の迅速化を促すことができるようになり、更に、履歴調査に対する信頼性を向上させることもできるようになる。
請求項2に係る発明によれば、ログ情報生成による具体的なログ情報が維持されるようになる。
請求項3に係る発明によれば、ログ情報の保存画像や検索用データを他のログ情報のものに置換することができ、記憶容量の低減がなされるようになる。
請求項4に係る発明によれば、更に、対象画像を検索するための検索用データとしてより精度の高い情報が得られるようになり、より精度の高い履歴調査が可能になると共に検索用データの同一性の判別が一層やり易くなる。
請求項5に係る発明によれば、コード情報によって同一性の判別が更にやり易くなると共に履歴調査時の調査も迅速になされるようになる。
請求項6に係る発明によれば、ログ情報の生成タイミングに支障を来すことなくログ情報の記憶容量を低減することができるようになる。
請求項7に係る発明によれば、ログ情報の記憶容量を不必要に大きくすることもなく、また、置換対象となったログ情報での画像特定情報を残すことができるようになる。
請求項8に係る発明によれば、当該画像処理装置にて履歴調査を行うことも可能になる。
【0013】
請求項9に係る発明によれば、画像を処理する大量のジョブの実行履歴をログ情報として容易に管理することができ、その情報漏洩を適切に予防すると共に、ログ情報のための記憶容量増大を抑えて履歴調査の迅速化を促すことができるようになる画像処理システムを構築できるようになる。
請求項10に係る発明によれば、大量のログ情報から履歴調査を行うことが可能な画像処理システムを容易に構築できるようになる。
請求項11に係る発明によれば、このような画像処理プログラムを用いることで、画像を処理するジョブの実行履歴をログ情報として容易に管理することができ、その情報漏洩を適切に予防すると共に、ログ情報のための記憶容量増大を抑えて履歴調査の迅速化を促すことができる画像処理装置あるいは画像処理システムを容易に構築できるようになる。
請求項12に係る発明によれば、画像を処理するジョブの実行履歴をログ情報として容易に管理することができ、その情報漏洩を適切に予防すると共に、ログ情報のための記憶容量増大を抑えて履歴調査の迅速化を可能にする画像処理方法を実現できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
先ず、本発明が適用される実施の形態モデルの概要について説明する。
◎実施の形態モデルの概要
図1は、本発明を具現化する実施の形態モデルに係る画像処理装置の概要を示すブロック図である。
同図において、画像処理装置の代表的モデルの一つは、処理対象である画像に対して作像処理を実行可能なジョブ実行手段1及びこのジョブ実行手段1を制御する制御装置を有する画像処理装置であって、制御装置が、ジョブ実行手段1にて実行された処理動作の履歴情報であるログ情報が、処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとして生成されるログ情報生成手段2と、このログ情報生成手段2にて生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶手段3と、ログ情報生成手段2によって生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別手段4と、この同一性判別手段4にて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換手段5とを備えている。
【0015】
ここで、ジョブとは、画像処理装置で実行される処理動作を意味するものであり、また、ログとは、この処理動作に関する情報の履歴を意味するものである。
また、「処理対象である画像」とは、各種ジョブに応じた画像を意味し、例えば画像処理装置が原稿画像を読み取る画像読取手段を備える態様にあっては、この画像読取手段によって読み取られる原稿画像がここでいう画像であり、あるいは、当該画像処理装置の外部からもたらされるデジタルデータ等を画像とするものである。
そして、ジョブ実行手段1は、処理対象である画像に対して作像処理を実行可能とするものであり、実行されるジョブとしては、例えば、画像読取ジョブ、コピー出力ジョブ、プリント出力ジョブ、FAX送信ジョブ等といった機能を有し、画像処理装置内で処理対象である画像を扱うことができる機能を有するものであればよい。
【0016】
更に、ログ情報生成手段2としては、画像特定情報を生成する画像特定情報生成手段11と、属性特定情報を生成する属性特定情報生成手段12と、画像特定情報及び属性特定情報を関連付ける関連付け手段13とを備えることが好ましく、これにより、より適切なログ情報の生成が可能になる。
また、このとき、画像特定情報生成手段11としては、処理対象である画像から保存すべき画像を生成する保存画像生成手段と、この保存画像が検索可能な検索用データを生成する検索用データ生成手段とを備えることが好ましく、これによれば、容易に処理された画像を検索することが可能になり、実行されたジョブの検索も容易になる。
【0017】
そして、ジョブ実行手段1、ログ情報生成手段2及びログ情報記憶手段3は、同一画像処理装置に設けられていてもよいし、複数の画像処理装置に分散されて設けられていてもよく、更には、複数の画像処理装置に重複して設けられるようになっていても差し支えない。
【0018】
また、同一性判別手段4は、ログ情報生成手段2で生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する機能を有するものであり、画像特定情報自体を互いに比較して、夫々の間の同一性を判別するようにすればよい。尚、画像特定情報の形式は特に限定されるものではなく、各種のものが利用できる。
そして、ログ情報生成手段2が、画像特定情報生成手段11、属性特定情報生成手段12及び関連付け手段13を有し、画像特定情報生成手段11が処理対象である画像から保存すべき画像を生成する保存画像生成手段と、この保存画像が検索可能な検索用データを生成する検索用データ生成手段とを備える態様にあっては、同一性の判別精度を高める観点からすれば、検索用データ生成手段にて生成される検索用データが、保存画像生成手段にて生成される保存画像に対応して算出される画像特徴量又は抽出される文字列を含むものであり、また、同一性判別手段4が、前記画像特徴量又は前記文字列の少なくとも一方に対して同一か否かを判別するようにすることが好ましい。
更に、このような態様において、より的確な検索用データを比較する観点からすれば、処理対象である画像に当該画像を識別するためのコード情報が含まれる場合には、検索用データ生成手段が、コード情報を含んで検索用データを生成するものであり、また、同一性判別手段4が、画像特徴量、文字列及びコード情報の少なくともいずれかに対して同一性を判別するものとすることが好ましい。
【0019】
また、情報置換手段5は、同一性判別手段4にて画像特定情報が同一であると判別された場合に、同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する機能を有するものである。そして、ログ情報生成手段2によるログ情報生成に支障を来さないようにする観点から、情報置換手段5が、ログ情報生成手段2によってログ情報が生成されるタイミングと異なる予め決められたタイミングにて動作するようにすることが好ましい。
【0020】
更に、本実施の形態モデルでは、ログ情報記憶手段3の記憶容量の増大を抑える観点から、ログ情報記憶手段3に記憶蓄積されたログ情報に対し、予め規定された条件下にてログ情報を削除可能なログ情報削除手段6と、このログ情報削除手段6にて削除対象となったログ情報における画像特定情報が情報置換手段5にて置換処理されたものを含むものであるか否かを判別する置換有無判別手段7とを備え、ログ情報削除手段6が、置換有無判別手段7にて置換処理されたものと判別された場合には当該ログ情報のうち画像特定情報の少なくとも一部を削除しないようにすることが好ましい。尚、削除しない画像特定情報としては、保存画像や画像特徴量などが挙げられる。
【0021】
ここで、ログ情報削除手段6としては、ログ情報記憶手段3の記憶領域の有効活用を図るべく、ログ情報記憶手段3が記憶蓄積するログ情報を予め規定された条件下で削除する機能を有するものであり、この予め規定された条件としては、例えばログ情報記憶手段3への記憶開始から所定の期間が経過した後などの条件が挙げられる。
また、置換有無判別手段7としては、ログ情報削除手段6にて削除対象となったログ情報の画像特定情報が、情報置換手段5によって置換処理されたものを含むものであるか否かの判別を行いその結果をログ情報削除手段6に通知する機能を有する。尚、ここで、置換処理されたか否かの判別は、ログ情報記憶手段3内に記憶蓄積されている他のログ情報の中に、置換処理を経た統一後のもの、すなわち、削除対象となるログ情報における画像特定情報と同一のものがあるか否かを検索することを行えばよい。
【0022】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は、本発明が適用された実施の形態の画像処理装置の概略構成を示す。本実施の形態の画像処理装置20は、スキャン機能(画像読み取り機能)、コピー機能、プリント機能、FAX機能が備えられた所謂複合機となっている。
同図において、画像処理装置20は、中央に記録材上に画像を形成する作像部21を配し、その下方に作像部21にて画像が形成される記録材を供給する複数の記録材供給部材22(本例では4個の部材22a〜22dを配置)を備え、上部には、原稿画像を読み取る画像読取手段としての画像読取部24と、この画像読取部24の上部に画像読取部24のプラテンガラス上の画像読み取り位置に原稿を送り込む自動原稿送り装置25とを備えたものとなっている。そして、画像読取部24と作像部21との間には、記録材供給部材22から供給された記録材上に作像部21にて画像形成がなされた記録材が排出収容される記録材収容部23が形成されている。また、画像読取部24の一部には、操作部26が設けられ、各種処理を手動操作できるようになっている。尚、図中符号30は、画像処理装置20内の各種処理を制御する制御装置となっている。
【0023】
そのため、本実施の形態の画像処理装置20は、画像を処理するジョブとして、画像読取ジョブ、コピー出力ジョブ、プリント出力ジョブ、FAX送信ジョブのいずれかのジョブが実行されるようになっている。
【0024】
ここで、「ログ情報」について簡単に説明する。ログ情報とは、画像処理装置20で実行されたジョブの内容を表す情報に相当するものであり、実行されたジョブにて処理された画像を特定するための画像特定情報と、そのジョブの実行属性を特定する属性特定情報とで構成される。また、画像特定情報は、処理された画像に対応する保存画像と、この保存画像を検索するための検索用データとで構成される。尚、ここでいう「保存画像」とは、ジョブで処理された画像に対応した保存画像であり、そのデータフォーマット等は特に限定されるものではない。また、保存画像を生成するには、処理された画像そのものであっても差し支えないし、あるいは、データ圧縮等のデータ量削減処理を経た後のものであってもよい。更には、保存画像そのものではなく、保存画像の例えば格納先に関する情報(格納先の箇所名、ファイル名、URL(Uniform Resource Locator)情報等)を用いて画像特定情報とするようにしてもよい。
【0025】
また、検索用データとしては、上述の保存画像やその元となる画像データをOCR(Optical Character Recognition)処理することによって得られるテキスト情報や保存画像から抽出される画像特徴量等が挙げられる。更には、ジョブでの処理対象となる画像に当該原稿画像を識別するためのコード情報がバーコード、QRコード(二次元コード)や電子透かし(digital watermarking)等によって埋め込まれている場合には、そのコード情報をログ情報に含めるようにしてもよく、コード情報を検索用データの一つとして利用するようにしても差し支えない。
そして、「ジョブの実行属性を特定」するための属性特定情報としては、例えばジョブの依頼者(ユーザ)や処理実行日時等といったジョブ属性に関する情報(以下「ジョブ属性情報」という)が挙げられる。尚、ジョブ属性情報としては、ジョブの実行時におけるUI(User Interface)設定認識やカード認証等、公知の手法を利用して、その情報の取得を行えばよい。
そして、このようなログ情報は、実行されたジョブで処理された画像1枚毎に、すなわち、保存画像の1ページ毎に生成される(ジョブ単位に生成することも可能であるが、本例では画像1枚毎とする)。そして、後述するように、この生成されたログ情報が具体的な実行履歴の追跡調査等に使用される。
【0026】
<制御系>
次に、このような画像処理装置20内のログ情報を生成する制御系について説明する。
図3は、本実施の形態における画像処理装置20の機能ブロック図の概要を示したものであり、画像処理装置20内の各種処理を制御する制御装置30と、この制御装置30の入力側に設けられた原稿走査機能(スキャナ機能)を有する画像読取部24と、出力側に設けられた作像部21とで構成されている。本実施の形態では、制御装置30に伝達される画像(具体的にはデータ形式のため、以降画像データと称す)としては、画像読取部24にて読み込まれたデータの態様や、図示外の外部機器から伝達される画像データ(例えば画像処理装置20がプリンタ機能として働く場合の外部データ)の態様がある。更に、本実施の形態では、画像読取部24に設けられた操作部26から各種設定が行われるようになっている。
【0027】
また、制御装置30は、CPUやROM、RAM、各種インタフェース等によるコンピュータシステムによって構成され、所定のプログラムによって稼働されるようになっており、画像処理装置20では各種作像制御を行うと共に、特に、本実施の形態では、入力される画像データに対する各種処理を制御する機能を備えている。
すなわち、画像データの処理を行うジョブ実行部31、ジョブ実行部31で実行されたジョブの実行履歴情報をログ情報として生成するログ情報生成部32、この生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶部37、検索元原稿に基づいてログ情報記憶部37内に記憶蓄積されたログ情報から一致度を算出して該当するジョブを特定する検索処理部43とを少なくとも含んで構成されている。そして、ログ情報生成部32は、ジョブ実行部31にて処理された画像データから保存画像を生成する保存画像生成部33と、この保存画像生成部33にて生成された保存画像データ又はその元になるジョブ実行部31にて処理された画像データの少なくとも一方から保存画像を検索するための検索用データを生成する検索用データ生成部34と、ジョブ実行部31で実行された実行属性を特定するための属性特定情報を生成する属性特定情報生成部35及びこれらの各情報を関連付ける関連付け部36とで構成されている。
【0028】
更に、本実施の形態では、ログ情報生成部32にて生成された複数のログ情報を相互に比較して、一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報のうち検索用データが互いに同一か否かを判別する同一性判別部38と、この同一性判別部38にて同一であると判別された場合に同一と判別された複数のログ情報の画像特定情報、すなわち、保存画像及び検索用データをいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換部39とを備えている。尚、ここで、「一つの対象ログ情報」とは、例えばログ情報生成部32にて生成されたばかりのログ情報であってもよいし、ログ情報記憶部37内にあるログ情報の中から一つを指定するようにしてもよいことを意味する。また、本実施の形態では、保存画像及び検索用データのいずれをも置換するようにしたが、少なくともいずれか一方を置換するようにすれば、ログ情報としての記憶容量が置換しない場合に比べ小さくなることは明らかであり、このようにしてもよいことは云うまでもない。
【0029】
更にまた、本実施の形態では、ログ情報記憶部37に記憶蓄積されたログ情報に対し、予め規定された条件下にていずれかのログ情報をログ情報記憶部37から削除できるログ情報削除部41と、このログ情報削除部41で削除対象となったログ情報での検索用データが情報置換部39によって置換処理されたものであるか否かの判別を行う置換有無判別部42とを備えている。
【0030】
尚、本実施の形態では、ログ情報生成部32、ログ情報記憶部37、同一性判別部38、情報置換部39、ログ情報削除部41、置換有無判別部42、検索処理部43を一つの画像処理装置20内に備える構成を示したが、これに限られず、検索処理部43を他の装置(例えば他の画像処理装置、サーバ装置等)に備え、具体的な検索元原稿からの追跡調査を他の装置で行うようにしても差し支えない。この場合、ログ情報記憶部37内のデータが使用されるようになっていることは云うまでもない。
【0031】
本実施の形態における保存画像生成部33は、ジョブ実行部31にて処理された画像データから保存画像を生成する機能を有するものであり、具体的には保存容量を小さくした上で保存するために、画像データに対し圧縮や解像度変換を行って保存するようにしている。その内容は保存画像の利用目的によって異なり、例えば、ログ情報検索時に条件に該当する文書の概略を確認するためのサムネイル的な使用目的であれば、情報量もあまり必要なく解像度でいえば72dpi程度で十分なので、そのような解像度変換や高圧縮処理等が行われる。一方、ログ情報検索技術の進歩(例えば、OCRの精度向上を図った技術の確立、画像検索に適した新たな画像特徴量抽出技術の確立)により、ログ情報の更新などを行うためには、ある程度の解像度の画像データが必要(低解像度変換や高圧縮処理を行った画像は、情報量の欠損度合いが高くなり、進歩した技術を用いてもその効果があまり見込めない)であるため、解像度300dpiでの変換や低圧縮処理等が行われる。
【0032】
また、検索用データ生成部34は、保存画像生成部33にて生成された保存画像及びその元になるジョブ実行部31にて処理された画像データから該当する保存画像を検索するための検索用データを生成する機能を有するものである。この検索用データとしては、保存画像やその元となる画像データ、すなわち、ジョブ実行部31にて処理された画像データから抽出される画像特徴量や、保存画像やその元となる画像データをOCR処理して得られるテキスト情報等が挙げられる。
【0033】
ここで、「画像特徴量」とは、画像の特徴を定量的に表現したものを云い、例えば当該画像における濃度分布、エッジの存在量やその分布、各色値の分布等をヒストグラム化したものや、当該画像における画素分布をランレングスによって表したものなどがあり、また、これらを併用するようにしてもよい。
図4は、画像特徴量の一例として、画像データのサイズ等を正規化してメッシュ分割(例えば本例では16分割)し、各分割されたメッシュ内の夫々の特徴量を算出するようにした例を示したもので、この場合、例えばメッシュ内の特徴量として平均濃度を用いるようにすれば、画像データとしては16次元の濃度分布特徴量が得られるようになる。一方、メッシュ内の特徴量としてエッジ点数を用いるようにすれば、16次元の濃淡変化特徴量が得られるようになる。尚、画像特徴量としては、上述のものに限定されることはなく、他の公知技術による方式を用いるようにしても差し支えない。
【0034】
また、本実施の形態の属性特定情報生成部35は、ジョブ実行部31で実行されたジョブの実行属性を特定するための属性特定情報、すなわち、ジョブ属性情報を生成する機能を有するものであり、例えば操作部26から入力される情報や、処理日時などのジョブ属性情報を生成するものとなっている。
更に、関連付け部36は、これらの各情報をジョブ毎に関連付けを行い、ログ情報として生成する機能を有している。
更にまた、ログ情報記憶部37は、関連付け部36で生成されたログ情報を記憶蓄積する機能を有している。
【0035】
また、同一性判別部38は、複数のログ情報の検索用データを互いに比較して、夫々の間で同一性か否かの判別を行うが、このとき、同一性の判別に使用される検索用データとして画像特徴量を用いる場合には、画像特徴量同士を比較して一致度を算出し、その一致度が予め規定されている閾値よりも高ければ、同一性の範囲内にあると判別する。また、同一性の判別にテキスト情報を用いる場合には、テキスト情報同士を比較して一致度を算出し、その一致度が予め規定されている閾値よりも高ければ、同一性の範囲内にあると判別するようにすればよい。更には、上記2つの一致度の両方を組み合わせて同一性の判別を行うようにしてもよい。このようにすれば、画像特徴量及びテキスト情報が完全に一致するもの同士のみならず、画像特徴量及びテキスト情報が非常に近似するもの同士についても同一性の範囲内にあると判別することができるようになり、同一性の判別結果に画像データ取得時の影響(例えば、画像読み取り時のごみや汚れなどの影響)が及んでしまうことを排除することが可能となる。尚、同一性判別部38が行う一致度の算出等については、公知技術を利用して行えばよく、ここでの詳細な説明は省略する。
【0036】
そして、特に、本実施の形態では、情報置換部39によって行われる置換処理によって、記憶蓄積すべきログ情報の情報量、言い換えれば、記憶容量を少なく抑えるようにしている。本実施の形態では、このような置換処理は、ログ情報生成部32でのログ情報生成タイミングと異なる、予め規定されたタイミングでなされる。すなわち、例えば画像処理装置20での処理負荷が低い、所謂スリープモードへ移行している状態での適宜タイミングで行われる。このようなタイミングとしては、例えば深夜12時といった装置への処理負荷が低いと想定される定期的なタイミングを選択するようにしてもよい。すなわち、置換処理としては、ログ情報を生成する度に置換処理動作を行うようにしてもよいが、ログ情報の生成タイミングとは異なる所定のタイミングで置換処理を行うようにすれば、画像処理装置20での処理負荷集中を防いで効果的な画像処理装置20の稼働が実現できる点では非常に好適である。そして、この場合、ログ情報記憶部37内にあるログ情報に対してのみ同一性の確認がなされるようになる。
【0037】
更に、本実施の形態では、ログ情報記憶部37自体の記憶容量の増大を抑えるため、ログ情報削除部41及び置換有無判別部42を備えている。ログ情報削除部41は、ログ情報記憶部37内の記憶容量を有効に利用するためにログ情報自体の削除を行うもので、このとき、置換有無判別部42にて情報置換部39にて保存画像及び検索用データが置換処理されたログ情報は削除しないようにしている。
【0038】
また、このような、ジョブ実行部31、ログ情報生成部32、ログ情報記憶部37、同一性判別部38、情報置換部39、ログ情報削除部41、置換有無判別部42及び検索処理部43は、画像処理装置20内の制御装置30にて所定のプログラムを実行することによって実現できるようになっている。その際、画像処理装置20へのインストールに先立ち、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるようになっていてもよいし、あるいは、有線又は無線による通信媒体を介して提供されるものであってもよい。
【0039】
次に、本実施の形態における画像処理方法について説明する。
<ログ情報生成処理並びに同一性判別処理>
図5は、本実施の形態におけるログ情報の生成処理並びに同一性判別処理を示すフローチャートであり、ログ情報生成時に同一性判別処理を行う例について示している。尚、本例は画像処理装置20が例えばコピージョブを行う場合の動作フローである。
同図において、コピージョブがスタートすると、先ず、画像処理装置20のCCDセンサ等の画像読取センサを含む画像読取部24を用いて原稿を走査して得られる画像データと、画像読取部24に付随する操作部26からの入力や内蔵タイマ等から処理日時や操作者(ユーザ)等のジョブ属性情報とが、例えばジョブ実行部31を介してログ情報生成部32に取得される(ステップS001)。尚、このような画像データ及びジョブ属性情報の取得をプリントジョブにて行う場合には、例えばユーザー端末からの印刷データ(画像データ)を画像処理装置20の図示外の通信部が受信して、画像データ及びジョブ属性情報を取得するようにすればよい。また、FAX送信ジョブを行う場合には、画像読取部24にて原稿画像を処理して画像データを取得するようにすればよい。
更に、操作者情報の取得は、操作部26からの入力に限らず、例えば個人毎のIDカードを読み取る情報読取機を画像処理装置20に接続し、これから取得するようにしてもよい。すなわち、操作者の情報を取得できる仕組みがあれば差し支えない。
【0040】
次に、ログ情報生成部32の保存画像生成部33では、画像データから保存画像を生成し、記憶装置(記憶装置の方式は問わず、ログ情報記憶部37以外で記憶するようにしてもよい)に保存すると共に、保存画像を特定できる情報(例えば格納場所やファイル名等)を作成し関連付け部36に転送する(ステップS002)。近年では、画像入力や画像形成時の高解像度化等により、ジョブ実行部31から得られる画像データは解像度が600dpi以上であることが多く、この状態のままで画像データを保存するといくら記憶装置の記憶容量を増大しても足りないため、ここでの処理は、600dpiより低い解像度への変換処理あるいは圧縮処理を行っている。
【0041】
一方、検索用データ生成部34では、画像データから、例えば図4に示すような画像特徴量を算出し、記憶装置(記憶装置の方式は問わず、ログ情報記憶部37以外で記憶するようにしてもよい)に保存すると共に、画像データに対するOCR処理を行い、画像データに含まれるテキスト情報を抽出し、画像特徴量を特定できる情報(例えば格納場所やファイル名等)とテキスト情報を関連付け部36に転送する(ステップS003,S004)。そして、関連付け部36では、ジョブ属性情報、保存画像を特定できる情報(保存画像情報)、検索用データ(画像特徴量を特定できる情報(画像特徴量情報)及びテキスト情報)を関連付けて一つのログ情報を生成する(ステップS005)。
【0042】
次に、同一性判別部38では、この新たに生成されたログ情報の画像特徴量と、既にログ情報記憶部37に記憶蓄積されているログ情報の画像特徴量との類似度を算出し、算出された類似度が所定の条件を満たすか否かの判別を行う(ステップS006,S007)。このとき、図4に示す画像特徴量であれば、16次元空間での距離を基に類似度を判別する。すなわち、16次元空間での距離が所定の値より小さい場合には類似していると判別し、同一性を満足するものとしている。尚、画像特徴量は図4に示すものに限られず、公知の画像の類似性を判別できる特徴量であればよく、図4に示すもの以外の特徴量を用いた場合には、その特徴量に応じた類似性の判別処理を行えばよい。
【0043】
類似性の判別については、ステップS007にて判別条件を満たさない場合には、既にログ情報記憶部37に記憶蓄積されているログ情報から特定される画像特徴量全てとの比較を行うまで繰り返される(ステップS006〜S008)。一方、ステップS007にて判別条件を満たす場合には、その選択された画像特徴量に対応するログ情報を特定し、そのテキスト情報とステップS004にて抽出されたテキスト情報との一致度を算出し、その一致度が所定の値を超えているかどうかの条件判別を行う(ステップS009,S010)。このとき、テキスト情報は画像データに対しOCR処理等で得られたものであるため、同一原稿に対してもそれをスキャニングした時点の画像が全く同一となることは殆どないことから、一致度の判別に対しては上述の所定の値が90〜100%の間に設定されることが好ましい。
【0044】
そして、ステップS010の判別結果を受けて、情報置換部39によるログ情報の置換が行われる。すなわち、テキスト情報の一致度が条件を満たす場合には、ステップS005で生成されたログ情報の中で保存画像情報、画像特徴量情報及びテキスト情報を同一と判別されたログ情報のものに置換する(ステップS011)。一方、テキスト情報の一致度が条件を満たさなかった場合には、同じくステップS005で生成されたログ情報の中で、保存画像情報及び画像特徴量情報を同一判別されたログ情報のものに置換する(ステップS012)。このとき、情報置換部39による置換動作に伴い、不要となった保存画像情報及び画像特徴量情報、あるいはテキスト情報を削除する。尚、このとき、保存画像情報や画像特徴量情報から特定される保存画像及び画像特徴量自体も置換するようにしてもよいし、保存画像及び画像特徴量はそのまま残すようにしても差し支えないが、記憶容量を低減するためには、置換する方が好ましい。また、この削除タイミングは、置換処理と同時でなくても差し支えない。
そして、関連付け部36にて新たに関連付けられたログ情報が、ログ情報記憶部37に記憶蓄積されるようになる。
【0045】
<ログ情報記憶部のみを対象とした同一性判別処理>
次に、ログ情報記憶部37に既に記憶蓄積されているログ情報での同一性判別処理について説明する。
図6は、その処理を示すフローチャートであり、説明を簡単にするために、ログ情報記憶部37に同一性の判別処理がなされていないログ情報がN個存在するものとし、それらが、1〜Nの番号が対応しているものとする。
同一性判別処理が開始されると、初めのログ情報の番号i、次のログ情報の番号jを選択し、1番目のログ情報と2番目のログ情報に夫々関連付けられている画像特徴量1及び画像特徴量2との類似度を算出し、それが所定の条件を満たすか否かの判別を行う(ステップS101〜103)。ここで、XX番目の画像特徴量とは、XX番目のログ情報に関連付けられている画像特徴量を意味するものであり、以降この表記に従う。
【0046】
類似度の判別に関しては、図5で示した方法と同様のため、ここでは省略する。
ステップS103で条件を満たさないと判別された場合には、後者(j番目)のログ情報の番号をインクリメントし(ステップS108)、jがNに至るまで1番目のログ情報とj番目のログ情報との間で、画像特徴量の類似度の判別を繰り返す(ステップS109)。そして、ステップS109でjがNを超えると、そのときのiがN−1未満であるかどうかの判別がなされ(ステップS110)、未満の場合にはステップS101に戻り、次の番号の画像特徴量を基準に再度類似度が判別されるようになる。そして、基準とするログ情報の番号がNになるまでこのような画像特徴量の類似度の判別を繰り返す。
このことは、先ず、1番目のログ情報と2番目のログ情報との間で画像特徴量に対する類似度の判別がなされ、次に、1番目と3番目のログ情報との間でなされる。そして、1番目とN番目のログ情報との間での比較が終えると、2番目と3番目のログ情報との間で比較がなされる。このことを繰り返して、N−1番目とN番目のログ情報との間で比較が行われるまで繰り返される。
【0047】
一方、ステップS103にて画像特徴量の類似度が条件を満たすと判別された場合には、図5と同様に、テキスト情報の一致度が判別され、i番目のログ情報の保存画像情報及び画像特徴量情報、あるいは、テキスト情報をj番目のものに置換する(ステップS104〜S107)。尚、このとき、j番目のログ情報のものをi番目のものに置換するようにしても差し支えない。
そして、置換処理を完了した後は、他に画像特徴量が類似するものがないかどうかをサーチするため、ステップS108から繰り返すようになる。
この場合にも、保存画像情報や画像特徴量情報から特定される保存画像及び画像特徴量自体も置換するようにしてもよいし、保存画像及び画像特徴量はそのまま残すようにしても差し支えないが、記憶容量を低減するためには、置換する方が好ましい。
【0048】
<ログ情報削除処理>
次に、ログ情報削除処理について、図7のフローチャートを基に説明する。ここで、説明を簡単にするために、ログ情報記憶部37内にN個のログ情報が記憶蓄積されており、m番目のログ情報が削除対象となっているものとする。
先ず、m番目のログ情報における画像特徴量情報(例えば画像特徴量データファイル名)と1番目からm番目を除きN番目までのログ情報における画像特徴量情報とが一致するかどうかを判別する(ステップS201〜S204)。
ここで、一致しなければ、m番目のログ情報における画像特徴量情報(及び保存画像情報)について置換処理による統一化がなされていないことであるため、ログ情報記憶部37に記憶されているログ情報のリストからそのログ情報を削除し、これに対応する保存画像情報(保存画像を含む)及び画像特徴量情報(画像特徴量自体のデータを含む)を削除する(ステップS205)。
一方、ステップS203でm番目のログ情報における画像特徴量情報とi番目のログ情報における画像特徴量情報とが一致すると判別された場合には、m番目のログ情報における画像特徴量情報(及び保存用画像情報)について置換処理による統一化がなされていることであるため、ログ情報記憶部37に記憶蓄積されているログ情報のリストからそのログ情報を削除する。尚、このログ情報に対応する保存画像及び画像特徴量自体のデータの削除処理は行わない(ステップS206)。
【0049】
<ログ情報の具体例>
ここで、ログ情報の具体的作成例について説明する。
図8(a)は、ユーザAAAAの指示により日時mm/mm/mmに処理された画像データに関するジョブについてのログ情報(第一のログ情報)と、ユーザBBBBの指示により日時nn/nn/nnに処理された画像データに関するジョブについてのログ情報(第二のログ情報)と、ユーザCCCCの指示により日時ll/ll/llに処理された画像データに関するジョブについてのログ情報(第三のログ情報)と、ユーザDDDDの指示により日時kk/kk/kkに処理された画像データに関するジョブについてのログ情報(第四のログ情報)が記憶蓄積されている様子を示している。そのため、このような形態のログ情報を多量に記憶蓄積することは、記憶蓄積すべきデータ量が多くなり、その分、大きな記憶容量を必要とする。
【0050】
そこで、本実施の形態のような同一性判別部38による判別を行い、情報置換部39による置換処理を行うことで、図8(b)に示すようなログ情報となる。この場合、(a)における検索用データの画像特徴量1と画像特徴量3とが同一性の範囲内にあると判別され、同時に、テキスト情報の「テキスト1、2、…」と「テキスト13、14、…」とが一致していると判別され、一方、画像特徴量2と画像特徴量4とが同一性の範囲内にあると判別され、同時に、テキスト情報の「テキスト7、8、…」と「テキスト19、20、…」が一致していると判別された場合を例に挙げている。
【0051】
そのため、情報置換部39では、画像特徴量1及び「テキスト1、2、…」という検索用データと画像特徴量3及び「テキスト13、14、…」という検索用データとを統一する置換処理を行うと共に、保存画像情報(保存画像の格納情報)の画像1と画像3とを統一する置換処理を行っている。また、画像特徴量2及び「テキスト7、8、…」の検索用データを画像特徴量4及び「テキスト19、20…」に統一する置換処理を行うと共に、保存画像情報の画像2と画像4とを統一する置換処理を行っている。
具体的には、画像特徴量3及び「テキスト13、14、…」という検索用データを画像特徴量1及び「テキスト1、2、…」に置き換え、画像3という保存画像情報を画像1に置き換え、更には、画像特徴量4及び「テキスト19、20、…」という検索用データを画像特徴量2及び「テキスト7、8、…」に置き換え、画像4という保存画像情報を画像2に置き換えている。
そして、このとき、情報置換部39では、画像3で特定される保存画像と画像4で特定される保存画像の削除も行っている。
【0052】
このような置換処理を行うことで、ジョブ実行部31による画像データの処理が実行される都度、ログ情報生成部32がログ情報を生成し、生成されたログ情報をログ情報記憶部37で記憶蓄積するようにしても、ログ情報の生成タイミングとは異なる所定のタイミングで置換処理を行うことで、同一性の範囲内にある画像データについての情報が、夫々重複して記憶蓄積されることがないようになる。
【0053】
ここでは、保存画像の代わりに保存画像の格納情報(保存画像情報)がログ情報に用いられる例を示したが、保存画像そのものをログ情報に含めるようにしてもよい。尚、画像1、画像2等は、単に保存画像の格納先が特定できるようになっていればよく、ファイル名やURLなど表現方法を限定するものではない。
【0054】
<ログ情報の他の具体例>
また、ログ情報としては図8に示すものに限られず、図9に示すようなものであってもよい。図9(a)には、次のものが示されている。すなわち、ユーザAAAAの指示により日時mm/mm/mmに処理した画像データに関するジョブについてのログ情報(第一のログ情報)と、ユーザBBBBの指示により日時nn/nn/nnに処理した画像データに関するジョブについてのログ情報(第二のログ情報)と、ユーザCCCCの指示により日時ll/ll/llに処理した画像データに関するジョブについてのログ情報(第三のログ情報)と、ユーザDDDDの指示により日時kk/kk/kkに処理した画像データに関するジョブについてのログ情報(第四のログ情報)と、ユーザEEEEの指示により日時oo/oo/ooに処理した画像データに関するジョブについてログ情報(第五のログ情報)と、ユーザFFFFの指示により日時pp/pp/ppに処理した画像データに関するジョブについてのログ情報(第六のログ情報)とが記憶蓄積されている。
【0055】
このときのログ情報は、ジョブで処理対象となった原稿画像(画像データ)にコード情報としてドキュメントIDが含まれていた場合、その画像データから取得したドキュメントIDを含むようにしている。すなわち、第二のログ情報及び第五のログ情報は「001」というドキュメントIDを含んでおり、第四のログ情報は「002」というドキュメントIDを含んでいる。尚、第一のログ情報、第三のログ情報及び第六のログ情報についてはドキュメントIDが抽出できなかったり、画像データ上にコード情報が存在しないなどの理由によりドキュメントIDの情報がないものを示している。
【0056】
このような形態で記憶蓄積されているログ情報についても、予め規定された所定タイミングになると同一性判別部38が同一性の判別を行い、情報置換部39が必要に応じて置換処理を行うことができる。ただし、その場合に同一性判別部38及び情報置換部39は、以下に説明するように、ドキュメントIDを優先的に利用するようになっている。
【0057】
例えば、同一性判別部38が検索用データの同一性判別を行うに当たり、先ず、ドキュメントIDを用いてその判別を行う。例えば図9(a)の例であれば、第二のログ情報及び第五のログ情報が同一と判別する。そして、ドキュメントIDを用いた判別を行った後に、ドキュメントIDでは判別し得ない他のログ情報について、検索用データに基づく同一性の判別を行う。このようなドキュメントIDを用いた優先判別を行うようにすれば、そのドキュメントID、すなわち画像データを識別特定するための情報による同一性の判定が容易になされるようになり、必ずしも全てのログ情報について画像特徴量の類似度判別やテキスト情報の一致度判別を行う必要がなくなる。したがって、同一性の判別に当たっての処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0058】
また、情報置換部39は、同一性と判別した各ログ情報について、ドキュメントIDを統一する置換処理を優先して行うようにすればよい。ここで、例えば、同一性判別部38でのドキュメントIDを用いた判別の結果、第二のログ情報及び第五のログ情報が同一と判別され、また、同一性判別部38での検索用データに基づく判別の結果、第一のログ情報における検索用データと第六のログ情報における検索用データとが同一性の範囲内にあると判別され、更には、第二のログ情報における検索用データと第三のログ情報における検索用データとが同一性の範囲内にあると判別された場合を例に挙げて考える。
【0059】
この場合、情報置換部39では、図9(b)に示すように、第一のログ情報と第六のログ情報との間での統一化の置換処理を行い、第二のログ情報、第三のログ情報及び第五のログ情報との間で統一化の置換処理を行う。具体的には、第二のログ情報、第三のログ情報及び第五のログ情報の間では、第二のログ情報の「001」というドキュメントIDを優先的に用いた統一化の置換処理を行って、第三のログ情報における保存画像情報(保存画像の格納情報)と検索用データ、および、第五のログ情報における保存画像情報と検索用データを第二のログ情報における保存画像情報と検索用データへ置換し、画像3及び画像5という保存画像情報で特定される保存画像自体の削除も行う。
また、第一のログ情報と第六のログ情報の間では、これらについてのドキュメントIDが存在しないので、第六のログ情報における保存画像情報と検索用データを第一のログ情報における保存画像情報と検索用データへ置換し、画像6という保存画像情報で特定される保存画像自体についての削除も行う。
【0060】
このように、ログ情報がコード情報を含んでいれば、ログ情報を記憶蓄積する際に同一文書の画像データについての情報が重複して記憶蓄積されてしまうことを防ぎつつ、そのための処理負荷軽減等も図れるようになる。
尚、ログ情報がコード情報を含んでいる場合であっても、同一性判別については検索用データに基づく判別を併用する。これは、処理対象となる画像データの全てについて、必ずしもコード情報が付されているとは限らないからであり、また、画像読み取り時におけるゴミ付着等の影響でコード情報を正しく取得できないこともあり得るからである。
【0061】
<記憶蓄積された後のログ情報削除処理>
次に、ログ情報がログ情報記憶部37に記憶蓄積された後の本実施の形態における処理動作について説明する。通常、ログ情報記憶部37が使用可能な記憶容量には制限がある。そのため、本実施の形態では、ログ情報記憶部37が使用する記憶領域の有効活用を図るべく、そのログ情報記憶部37が記憶蓄積するログ情報については、記憶開始から所定時間経過した時などの条件でログ情報削除部41がログ情報記憶部37内からのログ情報の削除を行うようになっている。
この場合、ログ情報記憶部37が記憶蓄積するログ情報には、情報置換部39によって置換処理がなされたものが含まれる。すなわち、置換処理にて保存画像を共有するログ情報が存在し得る。そのため、単なる所定条件の成否のみでログ情報の削除を行うと、共有関係が失われるようになり、保存画像が失われてしまい、ログ情報として成り立たないものが発生する虞がある。
【0062】
このような問題を回避するため、ログ情報削除部41がログ情報記憶部37内のログ情報を削除する際には、これに先だって、その削除対象となるログ情報について、その保存画像情報が情報置換部39によって置換処理を経たものであるか否かの判別を置換有無判別部42にて行うようになっている。この判別は、ログ情報記憶部37に記憶蓄積されているログ情報の中に、削除対象の保存画像情報と同一のものが存在するか否かを検索することでなされるが、これに限られず、置換処理がなされたことを各画像データ別にフラグ管理を行うなど、他の公知技術を利用して行うようにしても差し支えない。そして、置換有無判別部42による判別結果に基づいてログ情報削除部41は置換処理を経たものについては削除対象から除外するようにしている。
【0063】
図10は、このようなログ情報の削除処理の具体例を示す説明図であり、複数のログ情報が記憶蓄積されている。図10(a)では、ユーザAAAAの指示により日時mm/mm/mmに処理した画像データに関するジョブについてのログ情報(第一のログ情報)と、ユーザBBBBの指示により日時nn/nn/nnに処理した画像データに関するジョブについてのログ情報(第二のログ情報)と、ユーザCCCCの指示により日時ll/ll/llに処理した画像データに関するジョブについてのログ情報(第三のログ情報)と、ユーザDDDDの指示により日時kk/kk/kkに処理した画像データに関するジョブについてのログ情報(第四のログ情報)とが記憶蓄積され、ユーザAAAAの方が古いログ情報であるとする。この場合、所定条件の成立により第一のログ情報が削除対象となると、置換有無判別部42が第一のログ情報について置換されたものかどうかの判別を行う。本例では、第一のログ情報における保存画像情報は情報置換部39によって置換処理がなされたものではないため、ログ情報削除部41は第一のログ情報を削除対象から除外することなく、ログ情報記憶部37内から削除し、画像1という保存画像情報で特定される保存画像についても削除する。
【0064】
一方、例えば、図10(b)に示すように、第三のログ情報における保存画像情報及び検索用データが第一のログ情報における保存画像情報及び検索用データに置き換えられ、および、第四のログ情報における保存画像情報及び検索用データが第二のログ情報における保存画像情報及び検索用データに置き換えられた場合には、第一のログ情報が削除対象となると、置換有無判別部42は、第一のログ情報は置換処理を経て第三のログ情報と保存画像情報が共有されていると判別し、この判別結果を受けてログ情報削除部41では、置換処理を経た統一後のものについて削除対象から除外する。尚、この場合、ログ情報の削除を行うが、画像1という保存画像情報で特定される保存画像自体についての削除は行わないという処理を行うようにしても差し支えない。
【0065】
このような置換有無判別部42での判別を経た後にログ情報削除部41がログ情報記憶部37内からのログ情報の削除を行うようにすることで、ログ情報記憶部37が使用する記憶領域の有効活用を図るべくログ情報の所定条件下での削除を行う場合であっても、ログ情報間における保存画像情報の共有関係が失われることがないので、置換処理による統一化で得られる画像重複記憶の排除という利点が阻害されてしまうのを回避し得るようになる。
【0066】
<検索処理>
次に、ログ情報記憶部37に記憶蓄積されたログ情報の利用形態の一例として、ジョブの実行履歴の追跡調査に利用するため、検索処理部43での検索処理について説明する。すなわち、検索処理にログ情報を利用することで、検索対象(情報漏洩した文書等)と同一画像について、誰が、いつ、どの量を処理したかをチェックできるようになる。
具体的には、検索対象(情報漏洩した文書等)の元原稿を画像読取部24にて走査して得られる画像データに対し、ログ情報生成時と同様に、画像特徴量の算出、OCR処理等によるテキスト情報の取得を行い、ログ情報記憶部37に記憶蓄積されているログ情報の画像特徴量と検索対象の画像特徴量の類似度や、テキスト情報の一致度を判断基準として、検索対象と同じ保存画像があるかどうかを判断する。
【0067】
このようなログ情報の利用を実現する場合において、本実施形態で説明したように、置換処理での統一化による同一性範囲内の画像データに対する保存画像情報と検索用データの共有化を行えば、以下に述べるように、その利用にあたっての利便性を非常に向上させることが可能になる。
例えば、ログ情報記憶部37に記憶蓄積されている中から、「社外秘」という文字を含むことを条件とし、その条件に合う画像についてのログ情報を検索する場合を例に挙げて考える。
【0068】
この場合、ログ情報記憶部37に記憶蓄積されているログ情報は、情報置換部39による置換処理を経た後には、画像データに対する保存画像情報と検索用データが同一性の範囲内にあるものについては置換処理による統一化が図られている。したがって、検索条件に合う画像の特徴量をキーにした検索を非常に容易に且つ迅速に行うことができる。
【0069】
具体的には、例えば図11に示すように、検索条件にヒットする検索用データとして、検索元原稿から得られた検索用データが、画像特徴量5及び「テキスト7、8、…」の画像や、画像特徴量8及び「テキスト19、20、…」の画像とすると、ログ情報記憶部37内のログ情報に対し、画像特徴量の類似度やテキスト情報の一致度が判別され、その対象ログ情報が選定される。
このとき、検索条件に合う画像に対し、少なくともユーザ毎の出力回数情報を含む出力履歴情報を作成して出力することが非常に容易且つ迅速に行える。このような出力履歴情報を作成して出力すれば、その出力履歴情報をも参照することで、不適切な(不穏な)処理(必要以上に多数出力する等)を行ったジョブのチェックが一層容易になされるようになり、情報漏洩に対する予防策を施したり、その抑止効果を期待できるようになる。
【0070】
また、置換処理での統一化による同一性範囲内の画像データに対する保存画像情報と検索用データの共有化を行った後においては、ログ情報を利用した画像検索結果を適切なものにすることも期待できる。例えば、図12(a)に示すように、統一化の置換処理を行っていない画像検索用特徴量空間では、同一文書に関する特徴量であっても、その抽出結果にはバラツキが生じることが考えられるため、検索条件に合う文書の特徴量をキーにして検索を行い、特徴量の近い順に上位3個を検索結果として出力する場合に、その検索結果がいずれも文書Aについてのものとなる虞がある。これに対し、統一化の置換処理を行った後であれば、例えば、図12(b)に示すように、同一性の範囲内にあるものについては置換処理で統一され共有化されているので、特徴量の近い順に上位3個を検索結果として出力する場合であっても、その検索結果が文書A〜Cについてのものとなり、一部に偏ったものとなるのを未然に回避することができる。更には、検索対象が自ずと絞られることになるので、その検索処理に要する時間の短縮も期待できる。したがって、その検索精度の適切化が期待でき、結果としてジョブ実行履歴調査等の結果に対する信頼性向上が実現できるようにもなる。
【0071】
◎実施の形態2
図13は、本発明が適用された実施の形態2の画像処理システムの概略構成を示す。同図において、本実施の形態の画像処理システムは、複数(本例では3台)の画像処理装置50(50a〜50c)と、サーバ装置60と、PC(パソコン)70と、これらを接続するための通信手段としてのネットワーク回線80とで構成されている。尚、実施の形態1の画像処理装置と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施の形態における画像処理装置50は、実施の形態1の画像処理装置20と略同様に構成されるが、本実施の形態における画像処理装置50は、少なくともスキャン機能、コピー機能、プリント機能のいずれか一つ以上の機能を備えるもので、そのため、少なくとも画像読取ジョブ、コピー出力ジョブ、プリント出力ジョブのいずれかの画像に対する処理を行うジョブの実行機能を備えたものとなっている。また、サーバ装置60は、夫々の画像処理装置50(50a〜50c)に対し、ログ情報の記憶蓄積サービスを提供するものとなっている。そして、PC70は、ネットワーク回線80を介して、画像処理装置50及びサーバ装置60に接続され、各種データの授受を行うようになっているが、特に本実施の形態では、PC70からの画像データが所定の画像処理装置50に伝達され、コピー出力等が行えるようになっている。
【0073】
図14は、本実施の形態における画像処理装置50及びサーバ装置60の機能ブロック図を示すもので、画像処理装置50は、実施の形態1の画像処理装置20(図3参照)と異なり、制御装置20内にはジョブ実行部31、ログ情報生成部32、同一性判別部38、情報置換部39及び検索処理部43を備え、ログ情報記憶部61、ログ情報削除部62、置換有無判別部63はサーバ装置60側に備えている。そのため、ログ情報記憶部61の記憶容量を大幅に増やすことができるようになっている。更に、本実施の形態では、保存画像もサーバ装置60内に記憶するようになっている。
このような構成においても、実施の形態1と同様のログ情報の生成処理や検索処理を行うことができると共に、サーバ装置60内のログ情報記憶部61の記憶容量を不必要に増大させることもない。
【0074】
本実施の形態では、画像処理装置50にジョブ実行部31、ログ情報生成部32、同一性判別部38、情報置換部39及び検索処理部43を設け、サーバ装置60にログ情報記憶部61、ログ情報削除部62及び置換有無判別部63を設ける構成を示したが、特にこれに限られず、ジョブ実行部31や検索処理部43を除く他の処理部(符号32,38,39,61,62,63で示す各処理部)は、画像処理装置50あるいはサーバ装置60のいずれか一方にまとめて設けるようにしてもよいし、互いに分散して設けるようにしても差し支えない。更には、画像処理装置50側とサーバ装置60側とに重複して設けるようにしてもよい。または、複数の画像処理装置50(50a〜50c)に分散あるいは重複して設けるようにしても差し支えない。
【0075】
そして、ジョブ実行部31を除く他の処理部(符号32,38,39,43,61,62,63)で示す各処理部は、画像処理装置50又はサーバ装置60におけるコンピュータとしての機能が、所定プログラムを実行することによって実現できることが想定される。その際、このような所定のプログラムは、画像処理装置50又はサーバ装置60へのインストールに先立ち、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるようになっていてもよいし、あるいは有線又は無線による通信媒体等を介して提供されるものであってもよい。
すなわち、これらの各処理部は、画像処理装置50又はサーバ装置60にインストール可能な画像処理プログラムによって実現することが可能であるが、各処理部は画像処理装置50やサーバ装置60に分散して設けられてもよいことから、このような画像処理プログラムは、必ずしも上述の各処理部の全ての機能を実現するものでなくてもよい。例えば、ログ情報を受け取って記憶蓄積するサーバ装置60に対し、その効率化を目的としてインストールされるものであってもよく、具体的にはサーバ装置60をログ情報記憶部61、同一性判別部38、情報置換部39として機能させるプログラムであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明が適用された画像処理装置の実施の形態モデルの概要を示す説明図である。
【図2】本発明が適用された実施の形態1の画像処理装置を示す説明図である。
【図3】実施の形態1の画像処理装置の機能ブロック図である。
【図4】画像特徴量の算出例を示す説明図である。
【図5】ログ情報生成処理並びに同一性判別処理を示すフローチャートである。
【図6】他の同一性判別処理を示すフローチャートである。
【図7】ログ情報削除処理を示すフローチャートである。
【図8】ログ情報に関する模式図であり、(a)は置換処理前のログ情報、(b)は置換処理後のログ情報を示す説明図である。
【図9】ログ情報の変形例を示す模式図であり、(a)は置換処理前のログ情報、(b)は置換処理後のログ情報を示す説明図である。
【図10】(a)(b)は、夫々削除処理を示す説明図である。
【図11】検索時の処理の一例を示す説明図である。
【図12】画像特徴量検索空間を示す説明図であり、(a)は置換処理がなされない場合、(b)は実施の形態1のように置換処理を行った場合を示す。
【図13】実施の形態2に係る画像処理システムを示す説明図である。
【図14】実施の形態2の画像処理システムの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
1…ジョブ実行手段,2…ログ情報生成手段,3…ログ情報記憶手段,4…同一性判別手段,5…情報置換手段,6…ログ情報削除手段,7…置換有無判別手段,11…画像特定情報生成手段,12…属性特定情報生成手段,13…関連付け手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象である画像に対して作像処理を実行可能なジョブ実行手段及びこのジョブ実行手段を制御する制御装置を有する画像処理装置であって、
前記制御装置は、
前記ジョブ実行手段にて実行された処理動作の履歴情報であるログ情報が、処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとして生成されるログ情報生成手段と、
このログ情報生成手段にて生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶手段と、
前記ログ情報生成手段によって生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別手段と、
この同一性判別手段にて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置において、
前記ログ情報生成手段は、
前記画像特定情報を生成する画像特定情報生成手段と、
前記属性特定情報を生成する属性特定情報生成手段と、
前記画像特定情報及び前記属性特定情報を関連付ける関連付け手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置において、
前記画像特定情報生成手段は、
処理対象である画像から保存すべき画像を生成する保存画像生成手段と、
この保存画像が検索可能な検索用データを生成する検索用データ生成手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像処理装置において、
前記検索用データ生成手段は、保存画像生成手段にて生成される保存画像に対応して算出される画像特徴量又は抽出される文字列を少なくとも含む検索用データを生成するものであり、
前記同一性判別手段は、前記画像特徴量又は前記文字列の少なくとも一方に対して同一か否かを判別するものであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像処理装置において、
処理対象である画像に当該画像を識別するためのコード情報が含まれる場合には、前記検索用データ生成手段は、前記コード情報を含んで検索用データを生成するものであり、
前記同一性判別手段は、前記画像特徴量、前記文字列及び前記コード情報の少なくともいずれかに対して同一性を判別するものであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像処理装置において、
前記情報置換手段は、前記ログ情報生成手段によってログ情報が生成されるタイミングと異なる予め決められたタイミングにて動作することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1記載の画像処理装置において、
更に、前記ログ情報記憶手段に記憶蓄積されたログ情報に対し、予め規定された条件下にてログ情報を削除可能なログ情報削除手段と、
このログ情報削除手段にて削除対象となったログ情報の画像特定情報が前記情報置換手段にて置換処理されたものを含むものであるか否かを判別する置換有無判別手段とを備え、
前記ログ情報削除手段は、前記置換有無判別手段にて置換処理されたものと判別された場合には当該ログ情報のうち画像特定情報の少なくとも一部を削除しないことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の画像処理装置のうち原稿画像を読み取る画像読取手段を備える態様において、
更に、前記画像読取手段にて原稿を読み取る処理を行ったログ情報と、前記ログ情報記憶手段に記憶蓄積されたログ情報との前記画像特定情報の一致度を算出して該当するジョブを特定する検索処理手段を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
処理対象である画像に対して作像処理を実行可能なジョブ実行手段及びこのジョブ実行手段を制御する制御装置を有する画像処理装置と、この画像処理装置に対し通信手段にて接続されたサーバ装置とを具備して前記画像処理装置によって処理されたジョブの実行履歴をログ情報として記憶蓄積可能な画像処理システムであって、
前記画像処理装置及び前記サーバ装置の少なくともいずれか一方は、
前記ジョブ実行手段にて実行された処理動作の履歴情報であるログ情報が、処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとして生成されるログ情報生成手段と、
このログ情報生成手段にて生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶手段と、
前記ログ情報生成手段によって生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別手段と、
この同一性判別手段にて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換手段とを備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
請求項9記載の画像処理システムのうち画像処理装置が原稿画像を読み取る画像読取手段を備える態様において、
更に、画像処理装置及びサーバ装置の少なくともいずれか一方は、前記画像読取手段にて原稿を読み取る処理を行ったログ情報と、前記ログ情報記憶手段に記憶蓄積されたログ情報との前記画像特定情報の一致度を算出して該当するジョブを特定する検索処理手段を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項11】
処理対象である画像に対して作像処理を実行したジョブの実行履歴をログ情報として記憶蓄積可能な画像処理プログラムであって、
処理対象である画像に対して作像処理を実行可能なジョブ実行手段及びこのジョブ実行手段を制御する制御装置を有する画像処理装置内のコンピュータ、あるいは、当該画像処理装置と通信手段にて接続されたコンピュータを、
前記ジョブ実行手段にて実行された処理動作の履歴情報であるログ情報が、処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとして生成されるログ情報生成手段と、
このログ情報生成手段にて生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶手段と、
前記ログ情報生成手段によって生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別手段と、
この同一性判別手段にて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換手段として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項12】
処理対象である画像に対して作像処理を実行したジョブの実行履歴をログ情報として記憶蓄積可能な画像処理方法であって、
処理対象である画像に対して作像処理を実行可能なジョブ実行ステップと、
前記ジョブ実行ステップにて実行された処理動作の履歴情報であるログ情報が、処理対象である画像を特定するための画像特定情報及びこの画像特定情報以外で作像処理の実行属性を特定する属性特定情報を含むものとして生成されるログ情報生成ステップと、
このログ情報生成ステップにて生成されたログ情報を記憶蓄積するログ情報記憶ステップと、
前記ログ情報生成ステップによって生成された複数のログ情報を相互に比較して一つの対象ログ情報と他のログ情報との間で画像特定情報に同一のものがあるか否かを判別する同一性判別ステップと、
この同一性判別ステップにて同一であると判別された場合に同一と判別されたログ情報における画像特定情報の全部又は一部をいずれか一つのログ情報のものに置換する情報置換ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−259105(P2008−259105A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101639(P2007−101639)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】