説明

画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム

【課題】周囲の画素と異なる画素値の異常部を精度良く検出すること。
【解決手段】本発明のある実施の形態の画像処理装置10において、演算部20は、画像内の検査対象領域の画素の画素値をもとに、検査対象領域の各画素の画素値に対して、検査対象領域内で連続的となる近似値算出部21と、近似値が検査対象領域の画素値に対して妥当か否かを評価する妥当性評価部22と、妥当性評価部22が近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する領域分割部23と、分割後の各領域を新たな検査対象領域に設定し、処理の繰返しを制御する対象領域再設定部24と、画像内の画素の画素値と妥当性評価部22が妥当と評価した近似値とをもとに異常部を検出する異常部検出部25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像から異常部を検出する画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、内視鏡やカプセル内視鏡等によって撮像した体内管腔内の画像の観察にかかる医師等の負担を軽減するための技術の1つとして、画像から出血部位等の異常部を検出する技術が知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1の技術では、先ず、画像内の各画素、または画像を矩形分割した各領域を、その色情報(色度=R/(R+G+B)、G/(R+G+B)、色比=R/G等)に基づく特徴空間に写像する。そして、特徴空間内でクラスタリングを行った後に、各クラスタの大きさや重心座標等の情報をもとに正常粘膜クラスタと異常部クラスタとを特定し、異常部クラスタに属する画素または矩形領域を異常部として検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−192880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、体内管腔内を撮像した画像内において、異常部は、通常周囲の画素と異なる画素値の領域として現れる。しかしながら、特許文献1の技術では、特徴空間に写像する際に画像空間内での位置情報が失われるため、画像空間内では周囲の画素と異なる画素値の異常部であっても、撮像状態や個体差のばらつきにより特徴空間内に広がりをもつ正常粘膜の画素値分布から外れない異常部については検出できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑み為されたものであって、周囲の画素と異なる画素値の異常部を精度良く検出することができる画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するための、本発明のある態様にかかる画像処理装置は、画像内の検査対象領域の画素の画素値をもとに、前記検査対象領域の各画素の画素値に対して、前記検査対象領域内で連続的となる近似値を算出する近似値算出部と、前記近似値が前記検査対象領域の画素値に対して妥当か否かを評価する妥当性評価部と、前記妥当性評価部が前記近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する領域分割部と、前記領域分割部が分割した各領域を新たな検査対象領域に設定し、処理の繰返しを制御する対象領域再設定部と、前記画像内の画素の画素値と前記妥当性評価部が妥当と評価した近似値とをもとに異常部を検出する異常部検出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この態様にかかる画像処理装置によれば、検査対象領域内において周囲の画素と連続的で、かつ検査対象領域の画素値に対して妥当な近似値が得られるまで検査対象領域を分割しながら近似値を算出する処理を繰返すことができる。そして、実際の画素値と算出した近似値をもとに異常部を検出することができる。したがって、周囲の画素と異なる画素値の異常部を精度良く検出することができる。
【0008】
また、本発明の別の態様にかかる画像処理方法は、画像内の検査対象領域の画素の画素値をもとに、前記検査対象領域の各画素の画素値に対して、前記検査対象領域内で連続的となる近似値を算出する近似値算出工程と、前記近似値が前記検査対象領域の画素値に対して妥当か否かを評価する妥当性評価工程と、前記妥当性評価工程で前記近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する領域分割工程と、前記領域分割工程で分割した各領域を新たな検査対象領域に設定し、処理の繰返しを制御する対象領域再設定工程と、前記画像内の画素の画素値と前記妥当性評価工程で妥当と評価した近似値とをもとに異常部を検出する異常部検出工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の態様にかかる画像処理プログラムは、コンピュータに、画像内の検査対象領域の画素の画素値をもとに、前記検査対象領域の各画素の画素値に対して、前記検査対象領域内で連続的となる近似値を算出する近似値算出ステップと、前記近似値が前記検査対象領域の画素値に対して妥当か否かを評価する妥当性評価ステップと、前記妥当性評価ステップで前記近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する領域分割ステップと、前記領域分割ステップで分割した各領域を新たな検査対象領域に設定し、処理の繰返しを制御する対象領域再設定ステップと、前記画像内の画素の画素値と前記妥当性評価ステップで妥当と評価した近似値とをもとに異常部を検出する異常部検出ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、周囲の画素と異なる画素値の異常部を精度良く検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、内視鏡によって撮像される管腔内画像の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、実施の形態1の画像処理装置の主要構成を説明する概略ブロック図である。
【図3】図3は、異常部検出の原理を説明する説明図である。
【図4】図4は、異常部検出の原理を説明する他の説明図である。
【図5】図5は、図1の管腔内画像を処理することで分割された検査対象領域を示す模式図である。
【図6】図6は、実施の形態1の画像処理装置が行う処理手順を示す全体フローチャートである。
【図7】図7は、実施の形態1における近似値算出処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、妥当性評価処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、分割処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図10−1】図10−1は、分割処理の原理を説明する説明図である。
【図10−2】図10−2は、分割処理の原理を説明する他の説明図である。
【図10−3】図10−3は、分割処理の原理を説明する他の説明図である。
【図11】図11は、異常部検出処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、実施の形態2の画像処理装置の主要構成を説明する概略ブロック図である。
【図13】図13は、実施の形態2の画像処理装置が行う処理手順を示す全体フローチャートである。
【図14】図14は、実施の形態2における近似値算出処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図15】図15は、実施の形態3の画像処理装置の主要構成を説明する概略ブロック図である。
【図16】図16は、実施の形態3の画像処理装置が行う処理手順を示す全体フローチャートである。
【図17】図17は、領域統合処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図18】図18は、領域統合処理の原理を説明する説明図である。
【図19】図19は、本発明を適用したコンピューターシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図20】図20は、図19のコンピューターシステムを構成する本体部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態では、内視鏡によって撮像された管腔内画像(消化管内画像)を処理する画像処理装置について説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0013】
本実施の形態では、内視鏡によって撮像された管腔内画像(消化管内画像)を処理する画像処理装置について説明する。ここで、内視鏡は、消化管等のような管腔の内部を観察するための医療機器であり、撮像のための照明系、光学系、撮像系等を先端に内蔵し、管腔内に挿入される挿入部や、挿入部と接続され、光源、画像処理装置等を内蔵する筺体部、撮像した管腔内画像を表示する表示部等からなるシステム機器である。
【0014】
図1は、内視鏡によって撮像される管腔内画像の一例を示す模式図である。管腔内画像には、基本的に消化管内壁の粘膜5が映り、時として出血部位等の異常部51が映る。管腔内画像において、異常部51は、通常、周囲と異なる画素値の領域として現れる。また、管腔内画像には、粘膜5の襞やうねり等によって発生する溝、粘膜5の輪郭等がエッジ52となって現れる。本実施の形態の画像処理装置は、前述の内視鏡によって撮像された管腔内画像を処理することで、出血部位等の異常部を検出する。
【0015】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1の画像処理装置10の構成について説明する。図2は、実施の形態1の画像処理装置10の主要構成を説明する概略ブロック図である。図2に示すように、実施の形態1の画像処理装置10は、演算部20と、記録部30とを含む。この画像処理装置10は、例えば、上記した内視鏡に組み込まれるものであり、内視鏡によって撮像された管腔内画像が入力され、この管腔内画像を処理することで検出した異常部検出結果を出力する。
【0016】
演算部20は、CPU等のハードウェアによって実現され、管腔内画像から異常部を検出するための種々の演算処理を行う。この演算部20は、近似値算出部21と、妥当性評価部22と、領域分割部23と、対象領域再設定部24と、異常部検出部25とを含む。
【0017】
近似値算出部21は、検査対象領域の画素の画素値をもとに、検査対象領域の各画素の画素値に対して検査対象領域内で連続的となる近似値を算出する。ここで、検査対象領域とは、管腔内画像の全域または管腔内画像の一部の領域のことであり、実施の形態1では、処理の過程で適宜変更されて設定される。具体的には、実施の形態1では、初期時は管腔内画像の全域が検査対象領域として設定され、この検査対象領域を分割した領域が新たな検査対象領域として適宜設定される。この近似値算出部21は、近似関数算出部211を備える。近似関数算出部211は、検査対象領域の画素の座標を入力値、この入力値とした座標における画素値を出力値とした場合の出力値に対する入力値の近似関数を算出し、検査対象領域に対する近似関数とする。この近似関数算出部211は、検査対象領域の各画素に対して重みを設定する重み設定部212を備える。重み設定部212は、外れ値検出部213と、輪郭画素検出部214とを備える。外れ値検出部213は、検査対象領域の各画素の中からその画素値が外れ値である画素を外れ値画素として検出する。輪郭画素検出部214は、検査対象領域の輪郭を構成する画素(輪郭画素)を検出する。
【0018】
妥当性評価部22は、近似値が検査対象領域の画素値に対して妥当か否かを評価する。この妥当性評価部22は、検査対象領域の画素の画素値に対する近似値の近似度合いを示す評価値を算出する評価値算出部221を備える。評価値算出部221は、検査対象領域の各画素の画素値と近似値との差の検査対象領域内における分散値を算出する分散値算出部222を備える。
【0019】
領域分割部23は、妥当性評価部22が近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する。この領域分割部23は、画素分類部231と、エッジ抽出部232とを備える。画素分類部231は、検査対象領域の各画素の画素値と近似値とを比較し、検査対象領域の各画素を近似値より高い画素値の画素と近似値より低い画素値の画素とに分類する。エッジ抽出部232は、検査対象領域内のエッジを抽出する。
【0020】
対象領域再設定部24は、領域分割部23が分割した各領域のそれぞれを新たな検査対象領域に設定し、処理の繰返しを制御する。
【0021】
異常部検出部25は、管腔内画像の各画素の画素値と、妥当性評価部22が妥当と評価した各画素の近似値とをもとに、異常部を検出する。この異常部検出部25は、管腔内画像の各画素の画素値と近似値との差分値を算出する差分値算出部251を備える。
【0022】
記録部30は、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵或いはデータ通信端子で接続されたハードディスク、例えばCD−ROM等の各種記録媒体およびその読取装置等によって実現される。この記録部30には、画像処理装置10を動作させ、この画像処理装置10が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等が記録される。例えば、記録部30には、内視鏡によって撮像され、画像処理装置10に入力された管腔内画像の画像データが記録される。また、記録部30には、実施の形態1の処理を実現して管腔内画像から異常部を検出するための画像処理プログラム31が記録される。
【0023】
ここで、実施の形態1における異常部検出の原理について図3を参照して説明する。図3は、異常部検出の原理を説明する説明図である。図3では、管腔内画像の画素値を高度として表した画素値の分布を模式的に示しており、より詳細には、管腔内画像中の所定方向断面における画素値分布D1を示している。
【0024】
実施の形態1の近似値算出処理では、まず、管腔内画像の全域を検査対象領域とし、検査対象領域の各画素の画素値に対して、検査対象領域内で連続的となる近似値を算出する。具体的には、まず、各画素の画素値をもとに検査対象領域に対する近似曲面を算出することで各画素の画素値に対する近似値を算出する。例えば、図3に示すように、各画素の画素値を近似した近似曲面L1を算出し、各画素(座標)における近似曲面L1上の値を該当する画素の近似値として得る。次に、各画素(座標)における画素値をもとに検査対象領域における近似値が妥当か否かを評価する。詳細は後述するが、検査対象領域における画素値の全体的な変化に適合する近似値が得られていれば、近似値を妥当と評価する。
【0025】
そして、妥当でないと評価した場合には、検査対象領域を分割することで新たな検査対象領域を設定する。例えば、検査対象領域の各画素を近似値より画素値が高い画素と、近似値より画素値が低い画素とに分類し、検査対象領域を図3中に示す範囲R11〜R15のそれぞれに相当する領域に分割する。そして、分割した各領域のそれぞれを新たな検査対象領域とし、各画素の近似値を算出する処理をその検査対象領域における近似値を妥当と評価するまで繰返し行う。例えば、図3では、範囲R14に相当する検査対象領域が、近似曲面L1´をもとに得られた近似値と画素値との高低比較によって、さらに範囲R141〜R145に相当する領域に分割されており、各々が検査対象領域とされて個別に近似曲面が算出され、近似値が算出される。
【0026】
全ての検査対象領域における近似値を妥当と評価した後は、各画素の画素値と近似値との差分値をもとに異常部の画素を検出する。図4は、図3の範囲R144の画素値分布の拡大図であり、範囲R144について妥当と評価された近似値の近似曲面L2を併せて示している。図4に示すように、検査対象領域の分割を繰返すことで、検査対象領域毎に内部の画素値の全体的な変化に適合した近似値を得ることができ、検査対象領域単位で周囲における画素値をもとにした各画素(座標)における画素値の基準値として近似値を得ることができる。近似値が得られたならば、差分の大きい破線で囲ったような箇所E2を異常部として検出する。
【0027】
ところで、実施の形態1では、上記した処理によって近似値を得ることで図4中の破線の箇所E2のように周囲の画素と異なる画素値の異常部検出を実現している。検査対象領域全体に対してこのE2のような周囲の画素と異なる画素値の箇所が少ない場合には、検査対象領域全体の画素値をもとに近似曲面を算出しても、妥当な近似値を得ることができ、異常部検出が実現できる。しかし、E2のような箇所の画素値を除いて近似曲面を算出すれば、より精度の良い異常部検出が実現できる。そこで、実施の形態1では、箇所E2のような画素値が大きく外れている画素(外れ値画素)の画素値を除外して近似曲面を算出する。詳細は後述するが、実際の処理では、一端近似曲面を算出して画素値が近似値から大きく外れた画素を外れ値画素とし、外れ値画素を除外した上で再度算出した近似曲面をその検査対象領域に対する近似曲面としている。
【0028】
一方で、本方法では、分割した検査対象領域毎に近似曲面を算出して近似値を得ているため、例えば図3中に破線で囲って示す検査対象領域の輪郭(検査対象領域間の境界)部分において近似値が連続的に変化しない事態が生じ得る。そこで、実施の形態1では、検査対象領域間で近似値を連続的にするために、検査対象領域の輪郭画素のデータ数を増やして近似曲面を算出する。
【0029】
図5は、図1の管腔内画像を処理した結果、最終的に分割された検査対象領域を示す模式図である。以上説明したように、実施の形態1では、検査対象領域の内部では外れ値画素を除外した各画素の画素値の全体的な変化に適合した近似値が得られ、検査対象領域の輪郭部分では隣接する他の検査対象領域間で近似値が連続するような近似値が得られる。
【0030】
次に、実施の形態1の画像処理装置10が行う具体的な処理手順について説明する。図6は、実施の形態1の画像処理装置10が行う処理手順を示す全体フローチャートである。ここで説明する処理は、演算部20が記録部30に記録された画像処理プログラム31を実行することにより実現される。
【0031】
図6に示すように、まず、演算部20は、処理対象の管腔内画像を取得する(ステップa1)。ここでの処理によって、例えば内視鏡によって撮像され、記録部30に記録された管腔内画像が読み出されて取得される。そして、演算部20は、ステップa1で取得した処理対象の管腔内画像の全域を検査対象領域として初期設定する(ステップa3)。
【0032】
次に、近似値算出部21が近似値算出処理を実行し、検査対象領域の各画素についてその画素値に対する近似値を算出する(ステップa5)。図7は、実施の形態1における近似値算出処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0033】
図7に示すように、実施の形態1の近似値算出処理では、まず、近似値算出部21は、処理対象の検査対象領域を設定する(ステップb1)。近似値算出処理を最初に実行する際には、図6のステップa3で管腔内画像の全域を検査対象領域としており、図7のステップb1では、これを処理対象として設定する。一方、この近似値算出処理を実行することで得た検査対象領域の各画素の画素値に対する近似値が後段の図6のステップa7で妥当でないと評価され、ステップa11で検査対象領域が分割された場合には、検査対象領域は複数存在する。この場合の図7のステップb1では、これら複数の検査対象領域を順次処理対象として設定する。
【0034】
次に、近似関数算出部211が、処理対象の検査対象領域に対する近似曲面を表す近似関数を算出する(ステップb3)。本例では、近似関数として、次式(1)に示す2次関数を用いる。ここで、x,yは画素の座標、zは画素値である。画素値は、R,G,Bの各成分の値であってもよいし、これらをもとに既に公知の変換により2次的に算出される輝度、色差、色相、彩度、明度等であってもよい。
【数1】

【0035】
式(1)の関数式の各係数a〜fは、最小二乗法により得られる次式(2)に従い、検査対象領域の画素の座標(xi,yi)(i=1〜n:nは画素数)、および画素値ziから求める。
【数2】

【0036】
次に、外れ値検出部213が、処理対象の検査対象領域の各画素の中から外れ値画素を検出する(ステップb5)。具体的な処理手順としては、まず、検査対象領域の各画素の画素値zについて、その座標をもとに上記した式(1)に従って近似値z´を算出する。次に、近似値z´と実際の画素値zとの差の検査対象領域内における分散値σを算出する。その後、画素値zが近似値z´に対してkσ(kは所定値)以上離れた画素を外れ値画素として検出する。
【0037】
次に、輪郭画素検出部214が、処理対象の検査対象領域の輪郭画素を検出する(ステップb7)。これは、公知の輪郭追跡(参考:CG−ARTS協会,ディジタル画像処理,178P,輪郭追跡)を用いることで実現できる。
【0038】
次に、重み設定部212が、外れ値画素の重みを「0」、輪郭画素の重みを「2」に設定する(ステップb9)。これは、後段のステップb11で近似関数を算出する際、外れ値画素のデータ(座標および画素値)を除外し、輪郭画素のデータ(座標および画素値)を2倍に増やすために行う。外れ値画素を除外するのは、図3や図4を参照して上記したように、異常部やノイズ等の可能性が高い画素の影響を抑えた近似関数を得るためであり、輪郭画素を2倍に増やすのは、検査対象領域間で近似値をより連続的にするためである。なお、外れ値画素でもなく輪郭画素でもない画素については重みを「1」とする。
【0039】
次に、近似関数算出部211が、ステップb9で設定した重みを考慮して処理対象の検査対象領域に対する近似関数を算出する(ステップb11)。具体的には、上記した式(2)に従い、外れ値画素を除外し、輪郭画素を2倍に増やした検査対象領域の画素の座標(xi,yi)(i=1〜n:nは外れ値画素を除外し、輪郭画素を2倍に増やした際の画素数)、および画素値ziより、上記した式(1)の関数式の各係数a〜fを求める。
【0040】
次に、近似値算出部21が、処理対象の検査対象領域の各画素についてその画素値に対する近似値を算出する(ステップb13)。これは、上記したステップb5と同様の要領で、検査対象領域の各画素の画素値zについて、その座標をもとに上記した式(1)に従って近似値z´を算出すればよい。
【0041】
その後、近似値算出部21は、全ての検査対象領域を処理対象として処理したか否かを判定し、処理していない場合には(ステップb15:No)、ステップb3〜ステップb13を繰返す。一方、全ての検査対象領域を処理対象として処理した場合には(ステップb15:Yes)、図6のステップa5にリターンし、その後ステップa7に移行する。
【0042】
そして、ステップa7では、妥当性評価部22が妥当性評価処理を実行し、検査対象領域における近似値が妥当か否かを評価する。図8は、妥当性評価処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0043】
図8に示すように、妥当性評価処理では、まず、妥当性評価部22は、処理対象の検査対象領域を設定する(ステップc1)。次に、分散値算出部222が、処理対象の検査対象領域の各画素について図7のステップb13で算出した近似値z´と実際の画素値zとの差の検査対象領域内における分散値σを算出する(ステップc3)。このとき、該当する検査対象領域について図7のステップb9で設定した重みを考慮して分散値σを算出する。具体的には、該当する検査対象領域の各画素の近似値z´と実際の画素値zとの差にステップb9で設定した重みを乗じることで外れ値画素についての差は除外し、輪郭画素についての差はデータ数を2倍に増やした分散値σを算出する。上記したように、外れ値画素の影響を抑え、隣接する検査対象領域間で連続的な近似値を得たいためである。
【0044】
次に、評価値算出部221が、ステップc3で算出した分散値を、処理対象の検査対象領域の画素の画素値に対する近似値の近似度合いを示す評価値とする(ステップc5)。そして、妥当性評価部22が、処理対象の検査対象領域の評価値を閾値処理し、予め設定される所定の閾値よりも評価値が高い場合に処理対象の検査対象領域における近似値を妥当でないと評価し、評価値が閾値以下の場合には処理対象の検査対象領域における近似値を妥当と評価する(ステップc7)。
【0045】
その後、妥当性評価部22は、全ての検査対象領域を処理対象として処理したか否かを判定し、処理していない場合には(ステップc9:No)、ステップc3〜ステップc7を繰返す。一方、全ての検査対象領域を処理対象として処理した場合には(ステップc9:Yes)、図6のステップa7にリターンし、その後ステップa9に移行する。
【0046】
そして、ステップa9では、全ての検査対象領域における近似値を妥当と評価したか否かを判定し、全て妥当である場合には(ステップa9:Yes)、後述するステップa15に移行する。一方、近似値を妥当でないと評価した検査対象領域がある場合には(ステップa9:No)、ステップa11に移行する。
【0047】
そして、ステップa11では、領域分割部23が分割処理を実行し、近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する。図9は、分割処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
図9に示すように、分割処理では、まず、領域分割部23が、処理対象の検査対象領域を設定する(ステップd1)。ここでの処理によって、直前に実行された図8の妥当性評価処理で近似値を妥当でないと評価した検査対象領域が順次処理対象として設定される。
【0049】
次に、画素分類部231が、処理対象の検査対象領域の各画素を、近似値より画素値が高い画素と、近似値より画素値が低い画素とに分類する(ステップd3)。
【0050】
次に、エッジ抽出部232が、処理対象の検査対象領域内のエッジを抽出する(ステップd5)。これは、cannyアルゴリズム(参考:CG−ARTS境界,ディジタル画像処理,209P,輪郭線検出)等を用いることで実現できる。
【0051】
次に、領域分割部23が、ステップd3での分類結果が同一となる画素の連結領域を1つの領域とするように処理対象の検査対象領域を分割する(ステップd7)。そして、領域分割部23は、分割した各領域のうち、内部にエッジを含む領域をエッジ位置でさらに分割する(ステップd9)。これは、公知のラベリング処理(参考:CG−ARTS協会,ディジタル画像処理,181P,ラベリング)を用いることで実現できる。この結果、ステップd9で最終的に分割した各領域をそれぞれ1つの領域とするように検査対象領域が分割される。
【0052】
図10−1,10−2,10−3は、分割処理の原理を説明する説明図であり、各図においてエッジ部分P3を含む領域における画素値分布D3を図3と同様の要領で模式的に示している。図10−1に示すように、エッジ部分P3では、画素値が急峻に変化する。ここで、エッジ部分P3を含む領域を1つの検査対象領域として近似曲面を算出すると、例えば図10−2に示すような近似曲面L4が得られる。この場合、検査対象領域は、図10−2中に示す範囲R41〜R45のそれぞれに相当する領域にさらに分割され、エッジ部分P3を含む検査対象領域について分割が繰返されることとなる。このような事態を防止するため、内部にエッジ部分P3を含む領域については、図10−3に示すように、領域をエッジ位置でさらに分割し、範囲R51,R52に相当する2つの領域を別の検査対象領域として後段の処理を行う。これによれば、前述のように図10−1の全域を1つの検査対象領域とする場合と比較して処理負荷を軽減できる。
【0053】
その後、領域分割部23は、近似値を妥当でないと評価した全ての検査対象領域を処理対象として処理したか否かを判定し、処理していない場合には(ステップd11:No)、ステップd1〜ステップd9を繰返す。一方、近似値が妥当でないと評価された検査対象領域を全て処理した場合には(ステップd11:Yes)、図6のステップa11にリターンし、その後ステップa13に移行する。
【0054】
そして、ステップa13では、対象領域再設定部24が、ステップa11での分割後の各領域のそれぞれを新たな検査対象領域に設定し、ステップa5に戻って処理を繰返す。
【0055】
そして、ステップa9において全ての検査対象領域における近似値を妥当であると評価した場合には(ステップa9:Yes)、異常部検出部25が異常部検出処理を実行し、処理対象の管腔内画像から異常部を検出する(ステップa15)。図11は、異常部検出処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0056】
図11に示すように、異常部検出処理では、まず、差分値算出部251が、管腔内画像の画素毎に画素値と近似値との差分値を算出する(ステップe1)。そして、異常部検出部25が、差分値を閾値処理し、差分値が予め設定される閾値以上の画素で構成される領域を異常部として検出する(ステップe3)。より詳細には、このとき、異常部検出部25は、差分値が閾値以上の画素で構成される領域のうち、面積が予め設定される閾値以下の領域をノイズと判別する。そして、異常部検出部25は、ノイズと判別した領域以外の領域(面積が予め設定される閾値より大きい領域)を異常部として検出する。その後、図6のステップa15にリターンする。
【0057】
そして最後に、図6に示すように、演算部20が異常部検出結果を出力し(ステップa17)、画像処理装置10での処理を終了する。
【0058】
以上説明したように、実施の形態1によれば、検査対象領域内において周囲の画素と連続的で、かつ検査対象領域における画素値の全体的な変化に適合した近似値が得られるまで検査対象領域を分割しながら近似値算出を繰返し、実際の画素値と妥当と評価した近似値との差分値をもとに異常部を検出することができる。したがって、周囲の画素と異なる画素値の異常部を精度良く検出することができる。
【0059】
なお、管腔内画像が複数の波長成分からなる画像である場合には、実施の形態1で説明した処理を波長成分毎に行えばよい。例えば、処理対象とする管腔内画像が各画素においてR(赤),G(緑),B(青)の各波長成分に対する画素レベル(画素値)を持つカラー画像である場合には、R,G,Bの波長成分毎に検査対象領域を分割しながら近似値算出を繰返せばよい。また、この場合の異常部検出処理では、例えば、実際の画素値と妥当と評価した近似値との差分値を波長成分毎に算出し、この波長成分毎の差分値の例えば平均値や最大値を閾値処理することで、差分値の平均値や最大値が所定の閾値以上の画素で構成される領域を異常部として検出すればよい。
【0060】
(実施の形態2)
まず、実施の形態2の画像処理装置の構成について説明する。実施の形態2では、処理対象の管腔内画像として、各画素においてR,G,Bの各波長成分に対する画素値を持つカラー画像を想定している。ここで、R成分は、血液の吸収帯域から離れる波長成分であり、また長波長の成分であるため、生体における吸収、散乱の影響を受け難く、撮像対象である生体組織の構造に最も対応した画素値を示す。一方で、G成分やB成分は、出血部位等の異常部において照明光に対する血液の吸光の影響を受け易い。そこで実施の形態2では、生体内における吸収または散乱の度合いに応じて特定される特定波長成分をR成分として用いる。
【0061】
図12は、実施の形態2の画像処理装置10aの主要構成を説明する概略ブロック図である。なお、実施の形態1で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付する。実施の形態2の画像処理装置10aは、図12に示すように、演算部20aと、記録部30aとを備える。この画像処理装置10aは、例えば実施の形態1と同様に内視鏡に組み込まれるものであり、内視鏡によって撮像された管腔内画像が入力され、この管腔内画像を処理することで検出した異常部検出結果を出力する。
【0062】
演算部20aは、近似値算出部21aと、妥当性評価部22aと、領域分割部23aと、対象領域再設定部24と、異常部検出部25aとを含む。
【0063】
近似値算出部21aは、検査対象領域の各画素の画素値を波長成分毎に用いて各波長成分に対する近似値を算出する。実施の形態2では、近似値算出部21aは、検査対象領域の画素のR成分に対する近似値を算出する。この近似値算出部21aは、R成分近似関数算出部215aと、他波長成分近似値算出部としてのG,B成分近似値算出部216aとを備える。
【0064】
R成分近似関数算出部215aは、検査対象領域の画素の座標を入力値、この入力値とした座標における画素値のR成分を出力値とした場合の出力値に対する入力値の近似関数を算出し、検査対象領域のR成分に対する近似関数とする。G,B成分近似値算出部216aは、R成分に対する近似値をもとに、G成分に対する近似値およびB成分に対する近似値を算出する。このG,B成分近似値算出部216aは、他波長成分近似関数算出部としてのG,B成分近似関数算出部217aを備える。G,B成分近似関数算出部217aは、検査対象領域の画素のG成分およびB成分に対する近似関数をそれぞれ算出する。
【0065】
妥当性評価部22aは、検査対象領域の各画素のR成分をもとに、特定波長成分に対する近似値が妥当か否かを評価する。この妥当性評価部22aは、分散値算出部222aを備えた評価値算出部221aを備え、検査対象領域の各画素のR成分をもとに、実施の形態1と同様の要領で処理を行う。
【0066】
領域分割部23aは、妥当性評価部22aが近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を、各画素のR成分とこのR成分に対する近似値とをもとに分割する。この領域分割部23aは、画素分類部231aとエッジ抽出部232aとを備え、検査対象領域の各画素のR成分とその近似値とをもとに、実施の形態1と同様の要領で処理を行う。
【0067】
異常部検出部25aは、管腔内画像の各画素の画素値の波長成分毎の値と、妥当性評価部22aが妥当と評価した各画素の波長成分毎の近似値とをもとに、異常部を検出する。この異常部検出部25aは、管腔内画像の各画素の画素値と近似値との差分値をR,G,Bの波長成分毎に算出する差分値算出部251aを備える。
【0068】
また、記録部30aには、実施の形態2の処理を実現して管腔内画像から異常部を検出するための画像処理プログラム31aが記録される。
【0069】
次に、実施の形態2の画像処理装置10aが行う具体的な処理手順について説明する。図13は、実施の形態2の画像処理装置10aが行う処理手順を示す全体フローチャートである。ここで説明する処理は、演算部20aが記録部30aに記録された画像処理プログラム31aを実行することにより実現される。
【0070】
図13に示すように、まず、演算部20aは、実施の形態1と同様に、処理対象の管腔内画像を取得する(ステップf1)。そして、演算部20aは、ステップf1で取得した処理対象の管腔内画像の全域を検査対象領域として初期設定する(ステップf3)。
【0071】
次に、近似値算出部21aが近似値算出処理を実行し、検査対象領域の各画素の画素値に対する近似値を波長成分毎に算出する(ステップf5)。図14は、実施の形態2における近似値算出処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0072】
図14に示すように、実施の形態2の近似値算出処理では、まず、近似値算出部21aは、処理対象の検査対象領域を設定する(ステップg1)。
【0073】
次に、R成分近似関数算出部215aが、処理対象の検査対象領域の各画素のR成分に対する近似関数を算出する(ステップg3)。これは、検査対象領域の各画素のR成分の値を画素値として用い、実施の形態1で説明した図7のステップb3〜ステップb11の処理をR成分に対して実施することで実現できる。次に、近似値算出部21aが、処理対象の検査対象領域の各画素についてそのR成分に対する近似値を算出する(ステップg5)。これは、ステップg3で算出した近似関数を用い、図7のステップb13の処理をR成分に対して実施することで実現できる。
【0074】
次に、G,B成分近似関数算出部217aは、処理対象の検査対象領域のG成分およびB成分に対する近似関数をそれぞれ算出する(ステップg7)。本例では、算出方法として2つの方法を示す。なお、後段の図13のステップf7では、検査対象領域におけるR成分の近似値が妥当か否かを評価する。そして、続くステップf11では、R成分の近似値が妥当でないと評価した検査対象領域について、その各画素のR成分とその近似値とをもとに分割する処理を行う。図14のステップg7では、以下説明するいずれの方法を用いた場合も、このようにR成分およびその近似値をもとに評価・分割される検査対象領域毎にG成分およびB成分に対する近似値を算出する。
【0075】
まず、1つ目の方法では、G,B成分近似関数算出部217aは、処理対象の検査対象領域の各画素のG成分およびB成分に対する近似関数をそれぞれ算出する。これは、検査対象領域の各画素のG成分およびB成分の値を画素値としてそれぞれ用い、図7のステップb3〜ステップb11の処理をG成分およびB成分に対してそれぞれ実施することで実現できる。
【0076】
2つ目の方法では、G,B成分近似関数算出部217aは、検査対象領域のR成分に対する近似値を、検査対象領域の各画素のG成分およびB成分の値に近似するように変換することで、G成分およびB成分に対する近似関数をそれぞれ算出する。各波長成分は、値の大小は異なるものの、撮像対象の構造に起因する画素値変化は略同様の曲面上で変化する。そこで、実施の形態2では、前述のように撮像対象の構造に最も対応しているR成分に対する近似値を用いてG,Bの近似関数を算出し、その近似値を算出する。具体的には、G,B成分近似関数算出部217aは、検査対象領域の画素のR成分に対する近似値を入力値、入力値とした近似値の画素におけるG成分の画素値を出力値とした場合の出力値に対する入力値の近似関数を算出し、検査対象領域のG成分に対する近似関数とする。同様に、検査対象領域の画素のR成分に対する近似値を入力値、入力値とした近似値の画素におけるB成分の画素値を出力値とした場合の出力値に対する入力値の近似関数を算出し、検査対象領域のB成分に対する近似関数とする。
【0077】
本例では、近似関数として、次式(3),(4)に示す1次関数を用いる。ここで、z´Rは検査対象領域の各画素のR成分に対する近似値である。また、zGは検査対象領域の各画素のG成分の画素値であり、zBは検査対象領域の各画素のB成分の画素値である。なお、より高次の近似関数を用いてもよい。
【数3】

【0078】
式(3)の関数式の各係数g1,h1は、最小二乗法により得られる次式(5)に従い、検査対象領域の画素のR成分の近似値z´Ri(i=1〜n:nは画素数)、およびG成分の画素値zGから求める。同様に、式(4)の関数式の各係数g2,h2は、最小二乗法により得られる次式(6)に従い、検査対象領域の画素のR成分の近似値z´Ri(i=1〜n:nは画素数)、およびB成分の画素値zBから求める。
【数4】

【0079】
次に、G,B成分近似値算出部216aは、処理対象の検査対象領域の各画素についてそのG成分およびB成分に対する近似値をそれぞれ算出する(ステップg9)。これは、ステップg7で算出した近似関数を用い、図7のステップb13の処理をG成分およびB成分に対してそれぞれ実施することで実現できる。
【0080】
その後、近似値算出部21aは、全ての検査対象領域を処理対象として処理したか否かを判定し、処理していない場合には(ステップg11:No)、ステップg3〜ステップg9を繰返す。一方、全ての検査対象領域を処理対象として処理した場合には(ステップg11:Yes)、図13のステップf5にリターンし、その後ステップf7に移行する。
【0081】
そして、ステップf7では、妥当性評価部22aが妥当性評価処理を実行し、検査対象領域におけるR成分の近似値が妥当か否かを評価する。これは、実施の形態1で説明した図8の妥当性評価処理をR成分に対して実施することで実現できる。
【0082】
そして、この妥当性評価処理の後、全ての検査対象領域におけるR成分に対する近似値を妥当と評価したか否かを判定し、全て妥当である場合には(ステップf9:Yes)、後述するステップf15に移行する。
【0083】
一方、R成分の近似値を妥当でないと評価した検査対象領域がある場合には(ステップf9:No)、領域分割部23aが分割処理を実行し、この近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する(ステップf11)。実施の形態2の分割処理では、領域分割部23aは、近似値が妥当でないと評価した検査対象領域の各画素のR成分とその近似値とをもとに分割する。これは、実施の形態1で説明した図9の分割処理をR成分に対して実施することで実現できる。
【0084】
その後、対象領域再設定部24が、実施の形態1と同様に、ステップf11での分割後の各領域のそれぞれを新たな検査対象領域に設定し(ステップf13)、ステップf5に戻って処理を繰返す。
【0085】
また、ステップf9において全ての検査対象領域における近似値を妥当であると評価した場合には(ステップf9:Yes)、異常部検出部25aが異常部検出処理を実行し、処理対象の管腔内画像から異常部を検出する(ステップf15)。実施の形態2の異常部検出処理では、異常部検出部25aは、例えば先ず、管腔内画像の画素毎に画素値と近似値との差分値を波長成分毎に算出する。そして、この波長成分毎の差分値の例えば平均値や最大値を閾値処理し、差分値の平均値や最大値が所定の閾値以上の画素で構成される領域を異常部として検出する。
【0086】
以上説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を奏することができるとともに、生体において吸収、散乱し難い波長成分であるR成分を特定波長成分とし、R成分を用いて分割した検査対象領域毎にG成分およびB成分に対する近似値を算出することができる。したがって、吸光による画素値変化の影響を抑制した近似値を得ることができ、異常部をより精度良く検出することができる。
【0087】
(実施の形態3)
まず、実施の形態3の画像処理装置の構成について説明する。図15は、実施の形態3の画像処理装置10bの主要構成を説明する概略ブロック図である。なお、実施の形態1で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付する。実施の形態3の画像処理装置10bは、図15に示すように、演算部20bと、記録部30bとを備える。この画像処理装置10bは、例えば実施の形態1と同様に内視鏡に組み込まれるものであり、内視鏡によって撮像された管腔内画像が入力され、この管腔内画像を処理することで検出した異常部検出結果を出力する。
【0088】
演算部20bは、近似値算出部21と、妥当性評価部22bと、領域分割部23と、領域統合部27bと、対象領域再設定部24bと、異常部検出部25とを含む。
【0089】
妥当性評価部22bは、図15では図示しないが、実施の形態1と同様に、評価値算出部を備え、評価値算出部は、分散値算出部を備える。
【0090】
領域統合部27bは、領域分割部23による分割後の各領域を、各領域のそれぞれが所定の条件を満たすまで統合する。この領域統合部27bは、特徴量算出部271bと、統合対象領域判定部277bと、統合先領域特定部278bとを備える。特徴量算出部271bは、各領域の特徴量を算出する。特徴量算出部271bは、面積算出部272bと、輪郭画素検出部273bと、隣接領域情報取得部274bと、エッジ強度算出部275bと、平均値算出部276bとを備える。面積算出部272bは、各領域の面積を算出する。輪郭画素検出部273bは、各領域の輪郭画素を検出する。隣接領域情報取得部274bは、輪郭画素に隣接する隣接領域の識別情報を取得する。エッジ強度算出部275bは、輪郭画素におけるエッジ強度を算出する。平均値算出部276bは、隣接領域毎に、該当する隣接領域との隣接画素におけるエッジ強度の平均値を算出する。統合対象領域判定部277bは、各領域の面積を特徴量として用い、各領域が統合対象領域であるか否かを判定する。統合先領域特定部278bは、統合対象領域を統合する先の統合先領域を特定する。
【0091】
対象領域再設定部24bは、領域統合部27bが統合した各領域のそれぞれを新たな検査対象領域に設定し、処理の繰返しを制御する。
【0092】
また、記録部30bには、実施の形態3の処理を実現して管腔内画像から異常部を検出するための画像処理プログラム31bが記録される。
【0093】
次に、実施の形態3の画像処理装置10bが行う具体的な処理手順について説明する。図16は、実施の形態3の画像処理装置10bが行う処理手順を示す全体フローチャートである。ここで説明する処理は、演算部20bが記録部30bに記録された画像処理プログラム31bを実行することにより実現される。また、図16において、実施の形態1と同一の処理工程には、同一の符号を付する。
【0094】
図16に示すように、実施の形態3では、ステップa5において近似値算出処理を実行した後、妥当性評価部22bが、妥当性評価処理を実行する(ステップh7)。この妥当性評価処理は、図8を参照して実施の形態1で説明したのと同様の処理手順で行うが、図8のステップc3において処理対象の検査対象領域における分散値σを算出する際、妥当性評価部22bの分散値算出部は、後段の領域統合処理(図17を参照)においてステップi3で統合対象領域と判定され、ステップi17で統合先領域と統合された領域(統合対象領域)内の画素を、外れ値画素と同様に扱う。すなわち、妥当性評価部22bの分散値算出部は、処理対象の検査対象領域が、統合対象領域と統合先領域とを統合した領域である場合に、統合対象領域内の画素の重みを「0」に設定する。そして、妥当性評価部22bの分散値算出部は、統合対象領域内の各画素の近似値z´と実際の画素値zとの差に対して外れ値画素と同様に重み「0」を乗じ、統合対象領域内の画素についての差を除外した上で分散値σを算出する。
【0095】
また、実施の形態3では、実施の形態1と同様に、ステップa11において領域分割部23が分割処理を実行する。このとき、実施の形態3では、後段の領域統合処理において分割後の各領域を識別するため、公知のラベリング処理を用いて分割後の各領域に識別情報を設定する。
【0096】
そして、ステップa11での分割処理の後、領域統合部27bが領域統合処理を実行し、ステップa11での分割後の各領域を統合する(ステップh13)。図17は、領域統合処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。また、図18は、領域統合処理の原理を説明する説明図であり、分割後の3つの領域を模式的に示している。
【0097】
図17に示すように、領域統合処理では、まず、面積算出部272bが、分割後の各領域の面積を算出する(ステップi1)。次に、統合対象領域判定部277bが、分割後の各領域の面積を閾値処理し、面積が予め設定される閾値以下である分割後の領域を統合対象領域と判定する(ステップi3)。例えば、図18において、領域E61と領域E62との間の領域E63の面積が所定の閾値以下であるとする。この場合には、ステップi3において領域E63を統合対象領域と判定する。
【0098】
次に、領域統合部27bが、統合対象領域があるか否かを判定する。そして、統合対象領域がある場合には(ステップi5:Yes)、輪郭画素検出部273bが、処理対象の統合対象領域の輪郭画素を検出する(ステップi7)。これは、公知の輪郭追跡(参考:CG−ARTS協会,ディジタル画像処理,178P,輪郭追跡)を用いることで実現できる。
【0099】
次に、隣接領域情報取得部274bが、検出した輪郭画素に隣接する領域(隣接領域)の識別情報を取得する(ステップi9)。例えば、図18において統合対象領域と判定した領域E63の輪郭画素に隣接する隣接領域は、領域E61と領域E62の2つであり、ステップi9では、この領域E61,E62の識別情報を取得する。
【0100】
次に、エッジ強度算出部275bが、輪郭画素のエッジ強度を算出する(ステップi11)。これは、公知の微分フィルタ(参考:CG−ARTS協会,ディジタル画像処理,114P,微分フィルタ)を用いることで実現できる。次に、平均値算出部276bが、隣接領域が同じ輪郭画素のエッジ強度の平均値を算出する(ステップi13)。例えば、図18に示すように、領域E63の隣接画素のうち、図18に向かって左側の一点鎖線で囲った範囲R61内の隣接画素が一方の隣接領域である領域E61と隣接している。一方、右側の二点鎖線で囲った範囲R62内の隣接画素は、他方の隣接領域である領域E62と隣接している。この場合、ステップi13では、範囲R61内の隣接画素のエッジ強度の平均値と、範囲R62内の隣接画素のエッジ強度の平均値とをそれぞれ算出する。
【0101】
次に、統合先領域特定部278bが、エッジ強度の平均値の低い隣接領域を統合先領域として特定する(ステップi15)。例えば、図18において、範囲R61内の隣接画素のエッジ強度の平均値よりも範囲R62内の隣接画素のエッジ強度の平均値が低い場合には、隣接領域E62を統合先領域として特定する。これにより、境界に存在するエッジが少ない方の隣接領域との統合が実現される。なお、統合先領域の特定方法はこれに限らず、例えば、輪郭画素が最も多く隣接する領域を統合先領域として特定する方法でもよい。図18の例では、範囲R61内の輪郭画素数よりも範囲R62の輪郭画素数の方が多いため、領域E62を統合先領域として特定する。そして、領域統合部27bが、処理対象の統合対象領域を特定した統合先領域と統合する(ステップi17)。また、統合対象領域が他の領域に内包されている場合に、統合対象領域を内包している領域を統合先領域として統合してもよい。内包は、輪郭画素における隣接領域の数が1つであることから判定できる。
【0102】
その後、ステップi1に戻り、統合対象領域がないと判定されるまで、すなわち、面積が所定の閾値以下の領域がなくなるまで統合を繰返す。そして、統合対象領域がないと判定されたならば(ステップi5:No)、図16のステップh13にリターンし、その後ステップh14に移行する。
【0103】
そして、ステップh14では、対象領域再設定部24bが、ステップh13での統合後の各領域のそれぞれを新たな検査対象領域に設定し、ステップa5に戻って処理を繰返す。
【0104】
以上説明したように、実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の効果を奏することができるとともに、検査対象領域を分割した後、面積が小さい領域を隣接領域と統合することができる。実施の形態1における外れ値除去を行わないで近似値算出する場合、検査対象領域を分割した結果、異常部の領域が1つの領域として分割され、その画素値変化に適合した近似値が算出されてしまうと、異常部として検出できないという問題が生じ得る。ここで、異常部の領域の面積がある程度小さい場合には、このような小さい面積の領域を隣接領域と統合することで、異常部のみの画素値変化に沿った近似値が算出される事態を抑制することができ、異常部をより精度良く検出することができる。
【0105】
なお、上記した実施の形態1の画像処理装置10、実施の形態2の画像処理装置10a、および実施の形態3の画像処理装置10bは、予め用意されたプログラムをパソコンやワークステーション等のコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。以下、各実施の形態1〜3で説明した画像処理装置10,10a,10bと同様の機能を有し、画像処理プログラム31,31a,31bを実行するコンピュータシステムについて説明する。
【0106】
図19は、本変形例におけるコンピューターシステム400の構成を示すシステム構成図であり、図20は、このコンピューターシステム400を構成する本体部410の構成を示すブロック図である。図19に示すように、コンピューターシステム400は、本体部410と、本体部410からの指示によって表示画面421に画像等の情報を表示するためのディスプレイ420と、このコンピューターシステム400に種々の情報を入力するためのキーボード430と、ディスプレイ420の表示画面421上の任意の位置を指定するためのマウス440とを備える。
【0107】
また、このコンピューターシステム400における本体部410は、図19および図20に示すように、CPU411と、RAM412と、ROM413と、ハードディスクドライブ(HDD)414と、CD−ROM460を受け入れるCD−ROMドライブ415と、USBメモリ470を着脱可能に接続するUSBポート416と、ディスプレイ420、キーボード430およびマウス440を接続するI/Oインターフェース417と、ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)N1に接続するためのLANインターフェース418とを備える。
【0108】
さらに、このコンピューターシステム400には、インターネット等の公衆回線N3に接続するためのモデム450が接続されるとともに、LANインターフェース418およびローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワークN1を介して、他のコンピューターシステムであるパソコン(PC)481、サーバ482、プリンタ483等が接続される。
【0109】
そして、このコンピューターシステム400は、記録媒体に記録された画像処理プログラム(例えば実施の形態1の画像処理プログラム31や実施の形態2の画像処理プログラム31a、実施の形態3の画像処理プログラム31b)を読み出して実行することで画像処理装置(例えば実施の形態1の画像処理装置10や実施の形態2の画像処理装置10a、実施の形態3の画像処理装置10b)を実現する。ここで、記録媒体とは、CD−ROM460やUSBメモリ470の他、MOディスクやDVDディスク、フレキシブルディスク(FD)、光磁気ディスク、ICカード等を含む「可搬用の物理媒体」、コンピューターシステム400の内外に備えられるHDD414やRAM412、ROM413等の「固定用の物理媒体」、モデム450を介して接続される公衆回線N3や、他のコンピューターシステムであるPC481やサーバ482が接続されるローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワークN1等のように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを記憶する「通信媒体」等、コンピューターシステム400によって読み取り可能な画像処理プログラムを記録するあらゆる記録媒体を含む。
【0110】
すなわち、画像処理プログラムは、「可搬用の物理媒体」「固定用の物理媒体」「通信媒体」等の記録媒体にコンピューター読み取り可能に記録されるものであり、コンピューターシステム400は、このような記録媒体から画像処理プログラムを読み出して実行することで画像処理装置を実現する。なお、画像処理プログラムは、コンピューターシステム400によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピューターシステムであるPC481やサーバ482が画像処理プログラムを実行する場合や、これらが協働して画像処理プログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0111】
また、上記した各実施の形態では、内視鏡に組み込まれ、内視鏡によって撮像された管腔内画像を処理する画像処理装置について説明したが、本発明の画像処理装置が処理の対象とする管腔内画像は、内視鏡によって撮像された画像に限定されるものではない。例えば、近年では、カプセル型の筐体内部に撮像装置やこの撮像装置によって撮像された画像データを体外に無線送信する通信装置等を備えた飲み込み型の内視鏡(カプセル内視鏡)が開発されており、このカプセル内視鏡によって撮像された管腔内画像を処理する場合にも同様に適用可能である。
【0112】
また、本発明は、上記した各実施の形態1〜3およびその変形例そのままに限定されるものではなく、各実施の形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。例えば、各実施の形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成してもよい。あるいは、異なる実施の形態や変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上のように、本発明の画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムは、周囲の画素と異なる画素値の異常部を精度良く検出するのに適している。
【符号の説明】
【0114】
10,10a,10b 画像処理装置
20,20a,20b 演算部
21,21a 近似値算出部
211 近似関数算出部
212 重み設定部
213 外れ値検出部
214 輪郭画素検出部
215a R成分近似関数算出部
216a G,B成分近似値算出部
217a G,B成分近似関数算出部
22,22a,22b 妥当性評価部
221,221a 評価値算出部
222,222a 分散値算出部
23,23a 領域分割部
231,231a 画素分類部
232,232a エッジ抽出部
24,24b 対象領域再設定部
25,25a 異常部検出部
251,251a 差分値算出部
27b 領域統合部
271b 特徴量算出部
272b 面積算出部
273b 輪郭画素検出部
274b 隣接領域情報取得部
275b エッジ強度算出部
276b 平均値算出部
277b 統合対象領域判定部
278b 統合先領域特定部
30,30a,30b 記録部
31,31a,31b 画像処理プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像内の検査対象領域の画素の画素値をもとに、前記検査対象領域の各画素の画素値に対して、前記検査対象領域内で連続的となる近似値を算出する近似値算出部と、
前記近似値が前記検査対象領域の画素値に対して妥当か否かを評価する妥当性評価部と、
前記妥当性評価部が前記近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する領域分割部と、
前記領域分割部が分割した各領域を新たな検査対象領域に設定し、処理の繰返しを制御する対象領域再設定部と、
前記画像内の画素の画素値と前記妥当性評価部が妥当と評価した近似値とをもとに異常部を検出する異常部検出部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記近似値算出部は、前記検査対象領域の各画素の画素値に対する近似曲面を算出し、前記検査対象領域の各画素における前記近似曲面上の値を前記近似値とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記近似値算出部は、前記検査対象領域の画素の座標を入力値、該入力値とした前記座標における画素値を出力値とした場合の前記出力値に対する前記入力値の近似関数を算出する近似関数算出部を備え、前記検査対象領域の画素の座標を入力値とした場合の前記近似関数の前記出力値を、前記画素の画素値に対する近似値とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記近似関数算出部は、前記検査対象領域の画素に対して重みを設定する重み設定部を備え、前記重みを考慮して前記近似関数を算出することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記重み設定部は、前記検査対象領域の画素から画素値が外れ値である外れ値画素を検出する外れ値検出部を備え、前記外れ値画素に対して設定する前記重みを、前記外れ値画素以外の画素に対して設定する前記重みより低く設定することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記重み設定部は、前記検査対象領域の輪郭画素を検出する輪郭画素検出部を備え、前記輪郭画素に対して設定する前記重みを、前記輪郭画素以外の画素に対して設定する前記重みより高く設定することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記妥当性評価部は、前記検査対象領域の画素の画素値に対する前記近似値の近似度合いを示す評価値を算出する評価値算出部を備え、前記評価値をもとに前記近似値が妥当か否かを評価することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記評価値算出部は、前記検査対象領域の画素の画素値と該画素値に対する前記近似値との差の前記検査対象領域内における分散値を算出する分散値算出部を備え、該分散値を評価値とすることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記領域分割部は、前記検査対象領域の画素の画素値と該画素値に対する前記近似値とを比較し、前記検査対象領域の画素を前記近似値より高い画素値の画素と前記近似値より低い画素値の画素とに分類する画素分類部を備え、該画素分類部による分類結果が同一となる画素の連結領域を1つの領域とするように前記検査対象領域を分割することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記領域分割部は、前記検査対象領域内のエッジを抽出するエッジ抽出部を備え、前記画素分類部による分類結果が同一となる画素の連結領域を該連結領域内の前記エッジ位置で分割し、該分割した領域を1つの領域とするように前記検査対象領域を分割することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記異常部検出部は、前記検査対象領域の画素の画素値と該画素値に対する前記近似値との差分値を算出する差分値算出部を備え、前記差分値を閾値処理して前記異常部を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記画像は複数の波長成分から構成され、
前記近似値算出部は、前記検査対象領域の画素の画素値を前記波長成分毎に用いて各波長成分に対する近似値を算出し、
前記妥当性評価部は、前記検査対象領域の画素の特定波長成分をもとに、該特定波長成分に対する近似値が妥当か否かを評価し、
前記領域分割部は、前記妥当性評価部が前記近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を、該検査対象領域の画素の前記特定波長成分と該特定波長成分に対する前記近似値とをもとに分割することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記特定波長成分は、生体における吸収、散乱の度合いをもとに特定される波長成分であることを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像は複数の波長成分から構成され、
前記近似値算出部は、
前記検査対象領域の画素の特定波長成分に対する近似値を算出し、
該特定波長成分に対する近似値をもとに、前記特定波長成分以外の他の波長成分に対する近似値を算出する他波長成分近似値算出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記他波長成分近似値算出部は、前記検査対象領域の画素の前記特定波長成分に対する近似値を入力値、前記画素における前記他の波長成分の画素値を出力値とした場合の前記出力値に対する前記入力値の近似関数を算出する他波長成分近似関数算出部を備え、前記検査対象領域の画素の前記特定波長成分に対する近似値を入力値とした場合の前記近似関数の出力値を、前記画素の前記他の波長成分に対する近似値とすることを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記領域分割部が分割した各領域を、該領域のそれぞれが所定の条件を満たすまで統合する領域統合部を備え、
前記対象領域再設定部は、前記領域統合部が統合した各領域を前記新たな検査対象領域に設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記領域統合部は、
前記各領域の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量をもとに前記各領域が統合対象領域であるか否かを判定する統合対象領域判定部と、
前記統合対象領域を統合する先の統合先領域を特定する統合先領域特定部と、
を備え、
前記統合対象領域と判定した前記領域のそれぞれを前記統合先領域特定部が特定した前記統合先領域と統合することを特徴とする請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記特徴量算出部は、前記各領域の面積を算出する面積算出部を備え、
前記統合対象領域判定部は、前記面積をもとに前記各領域が前記統合対象領域であるか否かを判定することを特徴とする請求項17に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記特徴量算出部は、
前記各領域の輪郭画素を検出する輪郭画素検出部と、
前記輪郭画素に隣接する隣接領域の識別情報を取得する隣接領域情報取得部を備え、
前記統合先領域特定部は、前記隣接領域のうち、前記輪郭画素と最も多く隣接する隣接領域を前記統合先領域と特定することを特徴とする請求項17に記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記特徴量算出部は、
前記輪郭画素におけるエッジ強度を算出するエッジ強度算出部と、
前記隣接領域毎に、該隣接領域との隣接画素における前記エッジ強度の平均値を算出する平均値算出部と、
を備え、
前記領域特定部は、前記隣接領域のうち、前記エッジ強度の平均値が最も低い隣接領域を前記統合先領域と特定することを特徴とする請求項19に記載の画像処理装置。
【請求項21】
画像内の検査対象領域の画素の画素値をもとに、前記検査対象領域の各画素の画素値に対して、前記検査対象領域内で連続的となる近似値を算出する近似値算出工程と、
前記近似値が前記検査対象領域の画素値に対して妥当か否かを評価する妥当性評価工程と、
前記妥当性評価工程で前記近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する領域分割工程と、
前記領域分割工程で分割した各領域を新たな検査対象領域に設定し、処理の繰返しを制御する対象領域再設定工程と、
前記画像内の画素の画素値と前記妥当性評価工程で妥当と評価した近似値とをもとに異常部を検出する異常部検出工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項22】
コンピュータに、
画像内の検査対象領域の画素の画素値をもとに、前記検査対象領域の各画素の画素値に対して、前記検査対象領域内で連続的となる近似値を算出する近似値算出ステップと、
前記近似値が前記検査対象領域の画素値に対して妥当か否かを評価する妥当性評価ステップと、
前記妥当性評価ステップで前記近似値を妥当でないと評価した検査対象領域を分割する領域分割ステップと、
前記領域分割ステップで分割した各領域を新たな検査対象領域に設定し、処理の繰返しを制御する対象領域再設定ステップと、
前記画像内の画素の画素値と前記妥当性評価ステップで妥当と評価した近似値とをもとに異常部を検出する異常部検出ステップと、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10−1】
image rotate

【図10−2】
image rotate

【図10−3】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2012−45056(P2012−45056A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187679(P2010−187679)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】