説明

画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム

【課題】ノズルの特性に合わせた補正を各印刷条件において適正に実行できる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】画像処理装置が、インク吐出量が異なる第1又は第2印刷条件を入力される入力部と、第1印刷条件及び第2印刷条件用の、第一色空間で表現されるデータを第二色空間で表現されるデータに変換すると共に、インク吐出量に対応して形成された第1及び第2色変換テーブルと、第1又は第2色変換テーブルを用いて色変換を行なう色変換部と、変換後の濃度階調値と補正濃度階調値とを対応付ける補正テーブルと、変換後の濃度階調値を、補正テーブルを用いて補正濃度階調値に補正するノズル特性補正部と、上記濃度階調値とドットの発生量とを対応付けるドット発生量テーブルと、当該テーブルを用いて補正された補正濃度階調値をドットの発生量のデータに変換するドット分解部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置用の画像データを生成するための画像処理装置等に関し、特に、色材を吐出するノズルの特性に合わせた補正を各印刷条件において適正に実行できると共に、その処理のためのデータを効率的に生成可能な画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な用途でインクジェットプリンターが使用されている。当該プリンターでは、色材である各色のインクがヘッドに備えられる複数のノズルから用紙などの印刷媒体に噴射されて印刷が実行される。
【0003】
かかるインクジェットプリンターには、印刷媒体の幅よりも短いヘッドが印刷媒体上を移動しながらインクを吐出するシリアルヘッドプリンターと、印刷媒体の幅をカバーできる長さのヘッドからヘッド固定でインクを吐出するラインヘッドプリンターとがある。このラインヘッドプリンターでは、ヘッドが印刷媒体の幅方向に複数のユニットに分割される場合があるが、かかる装置では、ヘッドユニット間で懸念される不具合を補うため、隣り合うヘッドユニットを印刷方向にずらし、それらに備えられるノズルが印刷媒体の幅方向に所定のノズル数分オーバーラップするように配置される。
【0004】
このようなオーバーラップ部を有するラインヘッドプリンターにおいても、ノズルの使用方法等によっては、各ヘッドユニットの特性を打ち消すことができず、オーバーヘッド部において濃度ムラやスジムラが発生する場合がある。
【0005】
そこで、下記特許文献1では、隣接するヘッドチップ間でオーバーラップ部を形成するラインヘッド方式の液体吐出ヘッドにおいて、オーバーラップ部におけるノズルの駆動位置を、隣り合うヘッドチップ間で切り換える、ことなどが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−50445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、上記ヘッドユニット間のノズル特性による印刷不良を解消する対策のほかに、インクジェットプリンターでは、各ノズルの特性による印刷不良を解消するための補正処理がなされる。当該各ノズルの特性に対する補正処理では、予め、各ノズルによる印刷濃度を測定し、その結果に基づいて適正な濃度になるような画像データ(色の階調値)の補正値を決定しておき、その値に従って元の画像データに対して補正を行う。
【0008】
また、このようなインクジェットプリンターでは、使用する用紙の種類や解像度などの印刷条件に合わせて色合いやインク量を調整し、印刷結果の高品質化が図られている。従って、上述した各ノズルの特性に対する補正処理も、これら印刷条件による調整に対応するように適切に実行されることが望まれる。また、そのためのデータ生成等を容易に行えることが望ましい。
【0009】
そこで、本発明の目的は、印刷装置用の画像データを生成するための画像処理装置であって、色材を吐出するノズルの特性に合わせた補正を各印刷条件において適正に実行できると共に、その処理のためのデータを効率的に生成可能な画像処理装置、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、画像処理装置が、第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力される印刷条件入力部と、前記第1の印刷条件が入力されたときに用いられる第一色空間で表現されるデータを前記第一色空間とは異なる第二色空間で表現されるデータに変換するとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1の色変換テーブルと、前記第2の印刷条件が入力されたときに用いられる前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換するとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2の色変換テーブルと、前記第1の色変換テーブルもしくは前記第2の色変換テーブルを用いて色変換を行なう色変換部と、前記色変換部で変換された前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と、印刷する際に用いられてインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正された補正濃度階調値とを対応付ける補正テーブルと、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値を、前記補正テーブルを用いて前記補正濃度階調値に補正するノズル特性補正部と、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるドット発生量テーブルと、前記ドット発生量テーブルを用いて前記ノズル特性補正部で補正された前記補正濃度階調値をドットの発生量のデータに変換するドット分解部と、を有することである。
【0011】
更に、上記発明において、一つの態様は、1の前記濃度階調値に対応付けられる前記ドットの発生量が異なる2以上の前記ドット発生量テーブルが備えられる、ことを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、画像処理装置が、第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力される印刷条件入力部と、前記第1の印刷条件が入力されたときに用いられる第一色空間で表現されるデータを前記第一色空間とは異なる第二色空間で表現されるデータに変換する第1の色変換テーブルと、前記第2の印刷条件が入力されたときに用いられる前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換する第2の色変換テーブルと、前記第1の色変換テーブルもしくは前記第2の色変換テーブルを用いて色変換を行なう色変換部と、ノズルから吐出されるインク量と、印刷する際に用いられてインクを吐出する前記ノズルの情報に基づいて補正された補正インク量とを対応付ける補正テーブルと、前記色変換部で変換された前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値を、前記印刷条件に対して定められるインク吐出量に基づいて、前記インク量に変換し、前記インク量に変換されたデータを、印刷を行う前記ノズルの情報に基づいて、前記補正テーブルにおいて当該データが有するインク量に対応付けられた前記補正インク量のデータに変換し、前記補正後のデータの補正インク量を、前記印刷条件のインク吐出量に基づいて前記第二色空間の濃度階調値に変換する、ノズル特性補正部と、前記第1の印刷条件が入力されたときに用いられる前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1のドット発生量テーブルと、前記第2の印刷条件が入力されたときに用いられる前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2のドット発生量テーブルと、前記第1のドット発生量テーブルもしくは第2のドット発生量テーブルを用いて前記ノズル特性補正部で補正された前記濃度階調値をドットの発生量のデータに変換するドット分解部と、を有することである。
【0013】
更に、上記発明において、その好ましい態様は、前記印刷条件入力部に入力される前記印刷条件は、印刷媒体の種類である、ことを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、画像処理方法において、第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力され、入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、第一色空間で表現されるデータと前記第一色空間と異なる第二色空間で表現されるデータとを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、入力された印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに対応付けるともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、前記第二色空間で表現されたデータの濃度階調値を印刷する際にインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正し、補正された前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換する、ことである。
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、画像処理方法において、第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力され、入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、第一色空間で表現されるデータを前記第一色空間とは異なる第二色空間で表現されるデータに変換する第1の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、入力された前記印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換する第2の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値を、前記印刷条件に対して定められるインク吐出量に基づいて、ノズルから吐出されるインク量に変換し、前記インク量に変換されたデータを、印刷する際にインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正し、前記補正後のインク量を、前記印刷条件のインク吐出量に基づいて前記第二色空間の濃度階調値に変換し、入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1のドット発生量テーブルを用いて、前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換し、入力された前記印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2のドット発生量テーブルを用いて、前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換する、ことである。
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、画像処理プログラムが、第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力される印刷条件入力工程と、入力された前記印刷条件が前記第1の印刷条件のとき、第一色空間で表現されるデータと前記第一色空間と異なる第二色空間で表現されるデータとを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、入力された印刷条件が前記第2の印刷条件のとき、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換するとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換する色変換工程と、前記第二色空間で表現されたデータの濃度階調値を印刷する際にインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正するノズル特性補正工程と、補正された前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換するドット分解工程と、をコンピューターに実行させる、ことである。
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、画像処理プログラムが、第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力される印刷条件入力工程と、入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、第一色空間で表現されるデータを前記第一色空間とは異なる第二色空間で表現されるデータに変換する第1の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、入力された前記印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換する第2の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換する色変換工程と、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値を、前記印刷条件に対して定められるインク吐出量に基づいて、ノズルから吐出されるインク量に変換し、前記インク量に変換されたデータを、印刷する際にインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正し、前記補正後のインク量を、前記印刷条件のインク吐出量に基づいて前記第二色空間の濃度階調値に変換するノズル特性補正工程と、入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1のドット発生量テーブルを用いて、前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換し、入力された前記印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2のドット発生量テーブルを用いて、前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換するドット分解工程と、をコンピューターに実行させる、ことである。
【0018】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した画像処理装置の実施の形態例に係る構成図である。
【図2】補正テーブル128を例示した図である。
【図3】ドット発生量テーブル129をグラフ形式で例示した図である。
【図4】ドライバー12によって行われる処理の手順を例示したフローチャートである。
【図5】ドット発生量テーブル129をグラフ形式で例示した図である。
【図6】第三の実施形態例に係る構成図である。
【図7】第三の実施形態例における補正テーブル128aを例示した図である。
【図8】第三の実施形態例における画像処理のフローチャートを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0021】
図1は、本発明を適用した画像処理装置の実施の形態例に係る構成図である。図1に示すドライバー12が本発明を適用した画像処理装置であり、上述したノズル特性に対する補正処理を、予め用意した補正テーブル128の情報に従って、各印刷条件に対する画像処理に対応して適正に行う、ことを特徴とするものである。
【0022】
まず、第一の実施形態例について説明する。図1は、第一の実施形態例における装置構成を機能的に示している。ホストコンピューター1は、プリンター2に対して印刷指示を行うプリンター2のホスト装置であり、例えば、パーソナルコンピューターで構成される。従って、ホストコンピューター1は、図示していないが、CPU、RAM、ROM、HDD、ディスプレイ、操作装置等で構成されている。
【0023】
アプリケーション11は、印刷要求元であり、例えば、文章作成アプリケーション、図形作成アプリケーションなど、様々な機能を有するアプリケーションが存在し得る。当該アプリケーション11は、処理内容を指示するプログラム、当該プログラムに従って処理を実行する上記CPU、及び上記RAM等で構成され、印刷要求時には印刷内容を表す画像データを出力する。
【0024】
ドライバー12は、プリンター2用のドライバーであり、上記アプリケーション11から出力された画像データに画像処理を施してプリンター2用の画像データ(印刷データ)とし、当該印刷データをプリンター2に送信して、アプリケーション11から要求を受けた印刷について印刷指示を行う部分である。
【0025】
当該ドライバー12は、処理内容を指示するドライバープログラム、当該プログラムに従って処理を実行する上記CPU、処理に使用される各種データ及び上記RAM等で構成され、その具体的な機能構成及び処理内容は後述する。また、このドライバープログラムは、CD等の記憶媒体からホストコンピューター1に複写される、または、インターネット等のネットワークを介してホストコンピューター1にダウンロードされる、ことにより、ホストコンピューター1の上記HDDに格納される。
【0026】
プリンター2は、上記ホストコンピューター1の印刷指示に従って印刷処理を実行する、例えば、ラインヘッドのインクジェットプリンターである。プリンター2には、図1に示されるように、コントローラー13と印刷実行部14が備えられる。
【0027】
コントローラー13は、上記印刷指示による印刷データを受信して、当該印刷データに従った印刷処理を印刷実行部14に実行させる部分である。具体的には、処理内容を記述したプログラム、当該プログラムに従って処理を実行するCPU、RAM、プログラムを格納するROM、ASIC等で構成される。
【0028】
印刷実行部14は、上記コントローラー13の指示に従って実際に用紙などの印刷媒体に印刷処理を実行する部分である。ここには、印刷媒体に対して色材であるインクを吐出する複数のノズルを備えたラインヘッド、印刷媒体を所定の速度で搬送する搬送装置などが備えられる。ここでは、一例として、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)4色のインクを用いるものとする。また、ラインヘッドは、一例として、複数のヘッドユニットに分割されており、それらが千鳥状に配置される構成である。
【0029】
次に、図1の下部に示すドライバー12の機能構成について説明する。ラスタライズ部121は、上記アプリケーション11から出力された画像データに対してラスタライズの処理を施し、RGB(レッド、グリーン、ブルー)の色空間で表現されたビットマップデータを生成する部分である。
【0030】
色変換部122は、色変換テーブル127に従って、上記ビットマップデータを色材の色であるCMYKの色空間で表現されたデータに変換する部分である。色変換テーブル127は、予め用意されたLUT(ルックアップテーブル)であり、RGBの各濃度階調値(例えば、それぞれ0〜255)に対して、対応するCMYKの各濃度階調値(例えば、それぞれ0〜255)が収められたテーブルである。当該色変換テーブル127は、印刷媒体の種類(用紙の種類)、解像度などの印刷条件によって、同じ濃度階調値でも実際に印刷される色が変わってくるので、各印刷条件に対してそれぞれ設計され、上記HDD等に格納されている。格納方法は、上述したドライバープログラムと同様である。例えば、普通紙とファイン用紙について、所定の高解像度用及び所定の低解像度用のLUTが用意され、合計4つのLUTが格納される。なお、第一の実施形態例における色変換テーブル127は、印刷条件による色合いを考慮したものであり、印刷条件による最大使用インク量は考慮していない。従って、各LUTでは、最大濃度階調値(例えば、255)までの値が割り付けられている。
【0031】
次に、ノズル特性補正部123は、補正テーブル128に従って、上記色変換後のビットマップデータを補正する部分である。ここでは、上述したノズル特性に対する補正処理、すなわち、上記ラインヘッドに備えられる各ノズルの特性によって現れる印刷上の不具合を抑えるための補正処理が実行される。
【0032】
補正テーブル128は、ここでは、各ノズルについて、補正前の濃度階調値に補正後の濃度階調値を対応付けたテーブルであり、予め用意されて上記HDD等に収められている。格納方法は、上述したドライバープログラムと同様である。図2は、補正テーブル128を例示した図である。図2に示すテーブルでは、縦欄に各ノズルを示すノズル番号(ノズル#0−#1079、ここでは1080本のノズルを想定)があり、その右側に、上述した補正後の濃度階調値が収められている。
【0033】
例えば、「ノズル#0」のノズルでは、入力される階調値が「200」であった場合には、その値を「190」に補正すべきことが示され、上記色変換後のビットマップデータにおいて、当該ノズルでインクを吐出する画素について、その値が「200」であれば、上記ノズル特性補正部123により、「190」に補正されることになる。
【0034】
なお、本実施形態例では、上述のとおり、千鳥状に配列されたヘッドユニットを備え、ヘッドユニット間で印刷媒体の幅方向にオーバーラップ部を有しており、当該方向の同じ位置に2組のノズルが備えられることになるので、言い換えれば、同じラスターに同色2つのノズルが存在するので、それらのノズルについての補正値は一つにまとめて補正テーブル128に収めることができる。また、図2に示されるように、補正テーブル128は、上記印刷条件毎に複数用意される。
【0035】
かかる補正テーブル128は、以下のような事前作業によって予め生成される。まず、各印刷条件(用紙種類、解像度等)において、その印刷条件について用意された後述のドット発生量テーブル129を用いて、実際に印刷処理を実行する。当該印刷処理は、低濃度から高濃度まで、上記CMYKの複数の階調値(例えば、0−255を5段階に分割した値)に対して実行する。その後、印刷されたものの実際の濃度を計測し、各ノズルについて得られる、段階的な複数組の、入力濃度階調値と実際の濃度値から、補間処理により、各ノズルの各入力階調値に対する実際の濃度値、すなわち、入力階調値と実際の濃度値の関係を示す曲線を求める。その後、各ノズルについての当該曲線が目標とする曲線に合うように、入力階調値(ここでは、CMYKの濃度階調値)の補正後の値を決定する。この入力階調値が上記補正テーブル128の補正前の濃度階調値であり、この補正後の値が補正後の濃度階調値となる。このようにして、各印刷条件について、それぞれ補正テーブル128が生成される。なお、上記目標とする曲線は、一例としては、同じ色のインクを吐出する全ノズルの平均濃度値から生成することができる。
【0036】
次に、ドット分解部124は、上記補正後のビットマップデータを、ドット発生量テーブル129に従って、ドットの発生率で表現したデータに変換する部分である。ここでは、一例として、各ノズルで打つことのできるドットが小ドット(S)、中ドット(M)、大ドット(L)の3サイズあり、処理前の濃度階調値(0−255)が、これら3つのドットの発生率のデータに変換される。各ドットの発生率は、例えば、0−4096の値で示すことができる。
【0037】
ドット発生量テーブル129は、CMYKの各濃度階調値(0−255)に対して、上記3つのドットの発生率を対応付けたテーブルであり、上記印刷条件毎に予め用意され、上記HDD等に格納されている。格納方法は、上述したドライバープログラムと同様である。
【0038】
図3は、ドット発生量テーブル129をグラフ形式で例示した図である。図3に示すグラフにおいて、横軸はドット分解前の上記濃度階調値を示し、縦軸がドット分解後のドット発生率を示している。また、グラフS、M、Lは、それぞれ、小ドット、中ドット、大ドットの発生率を示している。図から分かるとおり、濃度階調値が小さい場合には、小ドットだけが発生して濃度の薄い印刷となり、逆に、濃度階調値が大きい場合には、大ドットを含め3つのドットが発生して濃度の高い印刷が実現されることになる。
【0039】
このドット発生量テーブル129を用いたドット分解処理は、入力される濃度階調値を実際にノズルから吐出されるインク量に変換する処理であり、その処理は、ここでは、入力される濃度階調値に対してインク量自体(3つのドットにより吐出される総インク量)を決定する作用と、同じインク量をどのように上記3つのドットに振り分けるかを決定する作用の両方を有している。
【0040】
図3の直線Iは、前者のインク量を決定しているものであり、その直線で示されるインク量(ここでは%で表現)を小ドット、中ドット、大ドットの吐出で表現するとグラフS、M、Lとなる。図3の(a)は、ファイン紙などインク量が多くても不具合が起きない用紙種類に対するものであり、最大濃度の際にプリンター2の許容最大インク量を吐出するように設計されている。一方、図3の(b)は、普通紙などインク量が多いと滲んでしまうような用紙種類に対するものであり、最大濃度の際にプリンター2の許容最大インク量の70%を吐出するように設計されている。
【0041】
従って、元の画像データが同じであっても、印刷条件が異なれば吐出されるインク量自体が変わることになる。このように、ドット分解部124では、各色の濃度階調値が、印刷条件に適した、3種のドットで表現されるインク量のデータに変換される。
【0042】
次に、ハーフトーン処理部125は、いわゆるハーフトーン処理を実行し、上記ドット発生率に変換されたデータを、各ドットの有無を表すデータに変換する部分である。処理手法は、従前のディザ法や誤差拡散法などを用いることができる。
【0043】
次に、印刷データ変換部126は、上記ハーフトーン処理後のデータをプリンター2用のコマンドで表現された上記印刷データに変換する部分である。
【0044】
以上説明したような構成を有する第一の実施形態例にけるドライバー12では、以下のように画像処理が実行される。図4は、ドライバー12によって行われる処理の手順を例示したフローチャートである。以下、図4に基づいて画像処理の具体的な内容について説明する。
【0045】
まず、上述したようにアプリケーション11が印刷要求を出すと、その画像データがドライバー12に受信される(ステップS1)。受信される画像データは、この段階では、通常、テキスト、グラフィックス、イメージなどのオブジェクトの単位で表現されたデータ形式になっているので、ラスタライズ部121がラスタライズ処理を実行し、その画像データをビットマップデータに変換する(ステップS2)。具体的には、各画素がRGB各色の濃度階調値(0−255)を有するデータに変換する。ラスタライズには従前の手法を用いることができる。
【0046】
次に、生成されたビットマップデータが色変換部122に渡され、上述した色変換テーブル127を用いた色変換処理が実行される(ステップS3)。具体的には、ホストコンピューター1のユーザーが上記操作装置を用いて選択した、あるいは、デフォルト値として決まっている用紙種類や解像度等の印刷条件を示す情報に従って、その印刷条件に相応した上記色変換テーブル127を選択し、各画素の(R,G,B)で表現されるデータを(C,M,Y,K)で表現されるデータに順次変換する。そして、各画素がCMYK各色の濃度階調値(0−255)で表現されるビットマップデータが生成される。なお、上記印刷条件を示す情報を受信する(が入力される)印刷条件入力部(図示せず)がドライバー12に備えられる。
【0047】
このようにして生成されたCMYK色空間の画像データに対して、すなわち、プリンター2で使用されるインク色の濃度階調値で表現された画像データに対して、上述したノズル特性に係る補正処理を実行する(ステップS4)。まず、ノズル特性補正部123は、上記印刷条件を示す情報に従って、その印刷条件に相応した補正テーブル128を選択する。その後、各画素の各色のデータ(濃度階調値)について、それぞれ、どのノズルで打たれるかを決定し、決定されたノズルに対応する補正後の濃度階調値を上記選択した補正テーブル128から抽出して、データをその抽出した値に変更する、という処理を実行する。従って、(C,M,Y,K)で表現されたデータが補正されて(C’,M’,Y’,K’)で表現されたデータに変換される。すなわち、各ノズルの特性が反映された適正な画像データが生成される。
【0048】
なお、上記どのノズルで打つかの決定は、ドライバー12が備える、その処理を実行する部分(図1に図示せず)の処理結果を利用して行う。
【0049】
次に、上記補正後のデータに対して、各ドットへの分解処理を実行する(ステップS5)。当該処理は、上述したようにドット分解部124がドット発生量テーブル129を用いて行う。具体的には、上記印刷条件を示す情報に従って、その印刷条件に相応したドット発生量テーブル129を選択し、選択したテーブルを参照して、画素毎に(C’,M’,Y’,K’)の濃度階調値を、上記各ドットの発生量のデータ(S,M,L)に変換していく。
【0050】
その後、当該変換されたデータは、ハーフトーン処理部125に渡され、ここでハーフトーン処理が実行される(ステップS6)。そして、画像データは、小、中、大ドットの有無を表すデータに変換される。
【0051】
ハーフトーン処理されたデータは、印刷データ変換部126によってプリンター2用の印刷データに変換され(ステップS7)、プリンター2へ送信される(ステップS8)。その後、送信された印刷データは、コントローラー13で受信されて、当該印刷データに従った印刷処理が実行されることになる。すなわち、印刷データに従って各ノズルからインクが吐出されて、印刷媒体上に小、中、大ドットが形成される。
【0052】
以上説明した第一の実施形態例では、用紙種類や解像度などによる印刷条件毎に色変換テーブル127、補正テーブル128、及びドット発生量テーブル129が用意されて、その印刷条件に合った色合い、インク量での印刷ができると共に、各ノズルの特性に対する補正処理もその印刷条件に合わせた画像処理に対応して適切に実行される。また、用紙種類等によってインク量を抑えて印刷を行う場合にも、ドットへの分解処理までは、全階調値で処理が実行されるので、精度の高い処理を行うことができる。
【0053】
次に、本発明の第二の実施形態例について説明する。当該実施形態例は、上記第一の実施形態例の変形例であり、上述したように作成に手間のかかる補正テーブル128を一つにすると共に、インク量(小、中、大ドット発生による総インク量)の印刷条件による調整を色変換処理で行おうとするものである。
【0054】
以下、第一の実施形態例との相違点について説明する。画像処理装置であるドライバー12を含む装置構成は図1と同様である。第一の実施形態例と異なるのは、色変換テーブル127、補正テーブル128、及びドット発生量テーブル129の数と収められる値であり、その他は第一の実施形態例と同様である。
【0055】
色変換テーブル127は、第一の実施形態例の場合と同様に、印刷条件毎に用意されるが、ここでは、ドット発生量テーブル129で反映されていた、印刷条件毎のインク量(小、中、大ドット発生による総インク量)が、この色変換テーブル127で反映されている。すなわち、CMYKの最大濃度階調値(255)をプリンター2の許容最大インク量として、換言すれば、CMYKの濃度階調値を実際に吐出するインク量に対応させて、元画像データのRGB値をCMYK値に変換する対応を収めている。
【0056】
したがって、図3の(a)に示すファイン紙などの印刷条件、すなわち、最大濃度階調値の場合にプリンター2の許容最大インク量を吐出するケースでは、色変換テーブル127は、第一の実施形態例の場合と値は変わらない。一方、図3の(b)に示す普通紙などの印刷条件、すなわち、最大濃度階調値の場合にプリンター2の許容最大インク量よりも少ない量(例えば、その70%)を吐出するケースでは、CMYKの最大濃度階調値をそのインク量に比例して下げた値として色変換テーブル127が生成されている。例えば、図3の(b)に示すケースでは、0から255の値をとるRGBが、0から255×0.7の値をとるCMYK値に変換されるテーブルが生成される。
【0057】
当該色変換テーブル127の生成は、最大濃度階調値(255)に、最大濃度階調値のときに吐出するインク量の、プリンター2の許容最大インク量に対する割合(以下、総インク率、図3の(b)では0.7)を乗じた濃度階調値を、その印刷条件で取り得る最大値として行う。また、第一の実施形態例における色変換テーブル127の各CMYK値に上記総インク率を乗じて簡易的に生成することもできる。
【0058】
次に、補正テーブル128は、ここでは、上記インク率が1.0(100%)である印刷条件で生成されたものが一つ備えられる。当該テーブルの生成方法は、上述した第一の実施形態例の場合と同様である。
【0059】
また、ドット発生量テーブル129については、やはり、上記総インク率が1.0(100%)である印刷条件に対して生成されたものが一つ備えられる。
【0060】
このような各テーブルを備える第二の実施形態例では、図4に基づいて説明した第一の実施形態例と同様に、ドライバー12における画像処理がなされる。色変換部122においては、上述のとおり、色変換テーブル127に収められる値は異なるが、処理自体は同様に行われる。また、ノズル特性補正部123及びドット分解部124においても、用いるがテーブル128及び129が一つであるだけで、処理自体は同様に行われる。
【0061】
以上説明した第二の実施形態例では、補正テーブル128を一つ生成しておけばよく、当該テーブルの生成作業がそれほど容易でないことを鑑みれば、印刷条件毎に複数生成しなくてはならない場合と比較して、作業負荷を大幅に低減することができる。すなわち、ノズル特性に対する補正処理のためのデータを容易に生成することが可能である。
【0062】
また、補正テーブル128は、各ノズルのハードウェアに因るインク吐出側の特性を補正するものであるので、一つの印刷条件に対して生成されたものであっても、上述のように、各インク吐出量に対する特性が反映されており、各印刷条件の場合に用いても、その補正精度を大幅に損なうことはない。
【0063】
なお、第一の実施形態例において、単に補正テーブル128を上記一つのテーブルに変更しただけの場合には、上記総インク率が1.0でない印刷条件の場合に、正しくない補正が実行されてしまうことになり適切でない。すなわち、実際にはそれよりも少ないインク吐出量であり、その吐出量の際のノズル特性を反映した補正がなされるべきところを、総インク率が1.0の場合のインク吐出量に対応する補正がなされてしまう。
【0064】
当該第二の実施形態では、上述のように、印刷状態によるインク量の調整を色変換処理の段階で行う。すなわち、上述した色変換テーブル127及びドット発生量テーブル129としたことにより、ノズル特性の補正処理を行う段階で、CMYKの濃度階調値が実際の吐出量を反映した値となっているので、一つの補正テーブル128でも実際の吐出量に相応しい補正が可能となる。従って、各印刷条件に対する調整処理に対応して、適正なノズル特性の補正処理が実行される。
【0065】
なお、上記実施形態では、ドット発生量テーブル129が一つであったが、総インク率が1.0のテーブルであれば、複数用意して印刷条件によって使い分けるようにしても良い。これらのテーブルでは、同じ濃度階調値(すなわち、同じインク吐出量)に対して、小、中、大ドットへの分割の仕方が異なることになる。図5は、その一例を示している。図5の(a)及び(b)は、共に総インク率が1.0のケースであり、最大濃度階調値がインク量100%に対応するが、それぞれ、各階調値に対するインク量を達成するための各ドットの内訳が異なっている。
【0066】
次に、第三の実施形態例について説明する。当該実施形態例も、上記第一の実施形態例の変形例であり、作成に手間のかかる補正テーブルを異なる単位で表現した一つのテーブルにすると共に、ノズル特性に対する補正処理の前後でデータの単位を変換する処理(デコード/エンコード処理)を加えるものである。
【0067】
以下、第一の実施形態例との相違点について説明する。図6は、第三の実施形態例に係る構成図である。図6に示すとおり、第三の実施形態例では、図1に示す第一の実施形態例と同様の装置構成であり、ノズル特性補正部123aの処理と補正テーブル128aの内容が異なる。具体的には、ノズル特性補正部123aにインク量変換部1231が備えられ、補正テーブル128aが以下のような内容になっている。
【0068】
図7は、第三の実施形態例における補正テーブル128aを例示した図である。図7に示すように、当該補正テーブル128aは、図2に示した第一の実施形態例の場合と同じ形式のテーブルであるが、補正前の値と補正後の値が共にインク量で示されている。より具体的には、補正前後の値を、プリンター2の許容最大インク量(ノズルから吐出可能な最大インク量)を100%とした場合の吐出インク量(%)で表している。このテーブルを用いた補正処理では、例えば、「ノズル#0」のノズルでインク吐出量が70%となる画像データである場合には、インク吐出量が60%となる画像データに変更される。
【0069】
また、補正テーブル128aは上述のとおり一つだけ生成されて備えられる。生成は、総インク率が1.0の場合について第一の実施形態例の場合と同様に行われ、CMYKの濃度階調値が上記吐出インク量(%)に置き換えられる。
【0070】
このような構成の第三の実施形態例では、図4に基づいて説明した第一の実施形態例と同様に、ドライバー12における画像処理がなされるが、ステップS4における処理内容が異なる。図8は、第三の実施形態例における画像処理のフローチャートを例示した図である。ステップS1−S3は、第一の実施形態例と同様に処理が行われる。
【0071】
その後、ノズル特性補正部123aでは、まず、インク量変換部1231が、各画素のCMYKの濃度階調値を上記吐出インク量I(%)の値に変換する(ステップS4−1)。当該変換処理は、選択されている印刷条件の上記総インク率を用いて以下の式で求められる。
【0072】
吐出インク量I(%)=総インク率×100×濃度階調値÷最大濃度階調値 (1)
この変換処理は、図3に例示したグラフにおいて、総インク量を示す直線Iの関係で、横軸のCMYK階調値から縦軸のインク量を求めることに等しい。なお、各印刷条件に対する総インク率は、予めノズル特性補正部123aに記憶しておいてもよいし、ドット発生量テーブル129を参照して取得してもよい。
【0073】
次に、ノズル特性補正部123aは、各画素の各色のデータ(濃度階調値)について、第一の実施形態例と同様に、それぞれ、どのノズルで打たれるかを決定し、決定されたノズルに対応する補正後の吐出インク量(%)を補正テーブル128aから抽出して、データをその抽出した値に変更(I→I’)する、という処理を実行する(ステップS4−2)。
【0074】
その後、補正後のデータをCMYKの濃度階調値のデータに変換する(ステップS4−3)。変換処理は、上記(1)の関係で、吐出インク量(%)を濃度階調値に戻す処理を実行する(I’→C’M’Y’K’)。
【0075】
このようにして、ノズル特性を反映した画像データが生成され、それ以降、ステップS5−S8は、第一の実施形態例の場合と同様に処理が行われる。
【0076】
以上説明した第三の実施形態例では、第二の実施形態例の場合と同様、補正テーブル128aを一つ生成しておけばよく、ノズル特性に対する補正処理のためのデータを容易に生成することが可能であり、その一つのテーブルを各印刷条件の場合に用いてもその補正精度を大幅に損なうことはない。
【0077】
また、各印刷条件に対する総インク量の調整前であっても、ノズル特性に対する補正処理をその総インク量を反映させた吐出インク量(%)のデータで行うので、この場合にも適正な補正処理を行うことができる。
【0078】
また、CMYKの濃度階調値がドット分解処理まで最大階調幅で維持されるので、精度のよい処理を実行することができる。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態例に係る画像処理装置では、用紙種類などの印刷条件に適した各画像処理に合わせて、ノズル特性に対する補正処理を適正に実行することが可能である。また、第二及び第三の実施形態例では、準備に手間を要する補正テーブル128を一つ用意すればよく、作業負荷を低減することができる。
【0080】
なお、本実施の形態例では、ラインヘッドのプリンター用の画像処理装置であったが、インクジェットプリンターであえば、他のタイプのプリンターに対しても本発明の装置を適用することができる。
【0081】
また、本実施の形態例におけるドライバー12が行う処理は、プリンター2側で、または、ホストコンピューター1とプリンター2に分割して、実行するようにしてもよい。
【0082】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【符号の説明】
【0083】
1 ホストコンピューター、 2 プリンター、 11 アプリケーション、 12 ドライバー、 13 コントローラー、 14 印刷実行部、 121 ラスタライズ部、 122 色変換部、 123、123a ノズル特性補正部、 124 ドット分解部、 125 ハーフトーン処理部、 126 印刷データ変換部、 127 色変換テーブル、 128、128a 補正テーブル、 129 ドット発生量テーブル、 1231 インク量変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力される印刷条件入力部と、
前記第1の印刷条件が入力されたときに用いられる第一色空間で表現されるデータを前記第一色空間とは異なる第二色空間で表現されるデータに変換するとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1の色変換テーブルと、
前記第2の印刷条件が入力されたときに用いられる前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換するとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2の色変換テーブルと、
前記第1の色変換テーブルもしくは前記第2の色変換テーブルを用いて色変換を行なう色変換部と、
前記色変換部で変換された前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と、印刷する際に用いられてインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正された補正濃度階調値とを対応付ける補正テーブルと、
前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値を、前記補正テーブルを用いて前記補正濃度階調値に補正するノズル特性補正部と、
前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるドット発生量テーブルと、
前記ドット発生量テーブルを用いて前記ノズル特性補正部で補正された前記補正濃度階調値をドットの発生量のデータに変換するドット分解部と、を有する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
1の前記濃度階調値に対応付けられる前記ドットの発生量が異なる2以上の前記ドット発生量テーブルが備えられる
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力される印刷条件入力部と、
前記第1の印刷条件が入力されたときに用いられる第一色空間で表現されるデータを前記第一色空間とは異なる第二色空間で表現されるデータに変換する第1の色変換テーブルと、
前記第2の印刷条件が入力されたときに用いられる前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換する第2の色変換テーブルと、
前記第1の色変換テーブルもしくは前記第2の色変換テーブルを用いて色変換を行なう色変換部と、
ノズルから吐出されるインク量と、印刷する際に用いられてインクを吐出する前記ノズルの情報に基づいて補正された補正インク量とを対応付ける補正テーブルと、
前記色変換部で変換された前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値を、前記印刷条件に対して定められるインク吐出量に基づいて、前記インク量に変換し、
前記インク量に変換されたデータを、印刷を行う前記ノズルの情報に基づいて、前記補正テーブルにおいて当該データが有するインク量に対応付けられた前記補正インク量のデータに変換し、
前記補正後のデータの補正インク量を、前記印刷条件のインク吐出量に基づいて前記第二色空間の濃度階調値に変換する、ノズル特性補正部と、
前記第1の印刷条件が入力されたときに用いられる前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1のドット発生量テーブルと、
前記第2の印刷条件が入力されたときに用いられる前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2のドット発生量テーブルと、
前記第1のドット発生量テーブルもしくは第2のドット発生量テーブルを用いて前記ノズル特性補正部で補正された前記濃度階調値をドットの発生量のデータに変換するドット分解部と、を有する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記印刷条件入力部に入力される前記印刷条件は、印刷媒体の種類である
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力され、
入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、
第一色空間で表現されるデータと前記第一色空間と異なる第二色空間で表現されるデータとを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、
入力された印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、
前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに対応付けるともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、
前記第二色空間で表現されたデータの濃度階調値を印刷する際にインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正し、
補正された前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力され、
入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、
第一色空間で表現されるデータを前記第一色空間とは異なる第二色空間で表現されるデータに変換する第1の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、
入力された前記印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、
第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換する第2の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、
前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値を、前記印刷条件に対して定められるインク吐出量に基づいて、ノズルから吐出されるインク量に変換し、
前記インク量に変換されたデータを、印刷する際にインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正し、
前記補正後のインク量を、前記印刷条件のインク吐出量に基づいて前記第二色空間の濃度階調値に変換し、
入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、
前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1のドット発生量テーブルを用いて、前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換し、
入力された前記印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、
前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2のドット発生量テーブルを用いて、前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力される印刷条件入力工程と、
入力された前記印刷条件が前記第1の印刷条件のとき、第一色空間で表現されるデータと前記第一色空間と異なる第二色空間で表現されるデータとを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、入力された印刷条件が前記第2の印刷条件のとき、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換するとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換する色変換工程と、
前記第二色空間で表現されたデータの濃度階調値を印刷する際にインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正するノズル特性補正工程と、
補正された前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換するドット分解工程と、をコンピューターに実行させる
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
第1の印刷条件、もしくは、前記第1の印刷条件とインク吐出量が異なる第2の印刷条件を入力される印刷条件入力工程と、
入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、第一色空間で表現されるデータを前記第一色空間とは異なる第二色空間で表現されるデータに変換する第1の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換し、入力された前記印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、
第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに変換する第2の色変換テーブルを用いて、前記第一色空間で表現されるデータを前記第二色空間で表現されるデータに色変換する色変換工程と、
前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値を、前記印刷条件に対して定められるインク吐出量に基づいて、ノズルから吐出されるインク量に変換し、前記インク量に変換されたデータを、印刷する際にインクを吐出するノズルの情報に基づいて補正し、前記補正後のインク量を、前記印刷条件のインク吐出量に基づいて前記第二色空間の濃度階調値に変換するノズル特性補正工程と、
入力された前記印刷条件が、前記第1の印刷条件のとき、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第1のドット発生量テーブルを用いて、前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換し、入力された前記印刷条件が、前記第2の印刷条件のとき、前記第二色空間で表現されるデータの濃度階調値と前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量とを対応付けるとともに、前記インク吐出量に対応して形成された第2のドット発生量テーブルを用いて、前記濃度調整値を、前記インクの吐出によって形成されるドットの発生量のデータに変換するドット分解工程と、をコンピューターに実行させる
ことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−63550(P2013−63550A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202884(P2011−202884)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】