説明

画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体

【課題】色剤使用量を削減しつつ高画質化な画像を形成し、画質と色剤使用量の低減を両立させる。
【解決手段】オブジェクト分離部103は、画像オブジェクトを主要部分(被写体)と非主要部分(背景部分)に分離し、色剤使用量低減処理部106a、106bは、非主要部分の色剤低減量を主要部分より多くし、画像オブジェクトの主要部分からエッジに向けて段階的に色剤低減量を多くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色剤使用量低減モードを有する画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、記録装置には、ドラフトモード、エコノミーモードなどと言われる色剤使用量低減モードが搭載されている。ここで色剤とは、電子写真記録装置ではトナーであり、インクジェット記録装置、孔版印刷装置、オフセット印刷装置等ではインク、熱転写記録装置ではインクリボンに相当する。この色剤使用量低減モードでは、その記録装置の標準的な記録モードよりも色剤量を低減し、1枚当たりの記録ランニングコストを低減している。
【0003】
従来、色剤量を低減する方法としては、入力画像データに1以下の係数を乗算し、画像全体の濃度を引き下げる方法がある(図8(b)、(c))。高濃度を表現する場合により多くの色剤が必要となるため、画像全体の濃度を引き下げることで、色剤使用量の低減を図っている。また、別の手法として、出力画像データにマスキング処理を施し、画像を間引くことで色剤使用量を低減する方法もある(図8(e))。多値ドットを形成可能な記録装置では、間引き法の応用として、ドットサイズを徐々に小さくしていく方法もある(図8(f))。さらに、カラー画像をモノクロ変換する方法、色剤使用量を抑えたCMMプロファイルに切り替える方法もある。例えば、特許文献1では、最も色剤使用率の高い画像オブジェクトに対して色剤低減処理を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した何れの手法も、色剤使用量を低減しない場合の記録画像と比較すると、画像品質が低下するのは避けられない。これは、色剤使用量低減モードの宿命といえる課題であるが、この画質低下を少しでも目立たなくするため、近年では、BG/UCR処理における下色除去を積極的に行い、色重ね部分を可能な限り墨版(K版)データに置き換えることで色剤使用量を低減する方法も採用されている(図9)。
【0005】
また、何が描かれているか最低限判別できれば良いという考えから、画像の輪郭部だけを残し、輪郭の内側に使用される色剤を低減する方法もある(図10(a)、(b))。この方法では、当然、記録画像は元画像データと著しく異なることになるが、その分、大幅な色剤低減を実現することができる。
【0006】
更に、画像のオブジェクト(文字、線画、グラフィックス、写真等)毎に、上記した手法を適用する、しないを切り替え、画質低下を好まないオブジェクトを保護する方法もある(図10(c)〜(e))。
【0007】
図9や図10(c)〜(e)で示した方法により、従来の濃度の引き下げ方式や間引き方式(図8)よりも比較的画像品質が高い色剤低減記録が可能となるが、より色剤使用量低減を狙った場合、図9の手法を使っても、画質低下が無視できないレベルになってくる。具体的には、画像のコントラストや鮮やかさ、階調再現性等が低下し、元の画像の特徴が薄れ、最悪の場合、何が描かれているかが判別できなくなり、この傾向は写真オブジェクト等で顕著に現れる。
【0008】
図10(a)、(b)の方法でも、輪郭部を残すことで、形状自体が情報となる文字やグラフィックオブジェクトでは必要最低限の情報が維持されるが、写真のように自然を写した画像に対しては、極端な輪郭の誇張と階調性の喪失から、元の画像イメージを推測するのが困難になってしまう(不快感や間違ったイメージを与える恐れすらある)。
【0009】
図10(c)〜(e)のように、画質が劣化しやすい写真オブジェクト等を対象から外す、あるいは低減量を緩和することで最悪の状態は回避できるが、近年のデジタルカメラの普及、写真をふんだんに盛り込んだWEBページ印刷に代表されるように、写真を使った画像データを出力するケースが非常に多くなり、結果的に色剤使用量の低減効果が低下してしまう。
【0010】
更に、オブジェクト毎に処理を切り替えるためには、オブジェクトを分離する処理が必要となる。コンピュータのOS機能として、オブジェクト毎に画像データを分けて出力できる場合は個々に処理すればよいが、非対応のOSの場合や、スキャナー等からの取り込み画像の場合では、一度、像域分離処理を行ってどのオブジェクトであるか逐一判別する必要がある。このような処理は非常に演算負荷が大きく、出力されるまでのスループットが低下する場合や、高機能な処理回路を搭載することによる価格の上昇を招くとともに、誤分離の可能性もあることから、狙い通りの画質になるとは限らない。
【0011】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、色剤使用量を削減しつつ高画質化な画像を形成し、画質と色剤使用量の低減を両立させた画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
色剤使用量低減処理は低減量に比例して画質が低下する。色剤使用量をある程度抑えた時点で画質の低下が目に見える形となり、ユーザーの使用意欲を減退させてしまい、色剤使用量低減処理自体があまり使用されなくなる傾向がある。そこで、画質を維持したまま色剤使用量を削減するための手段として、画像オブジェクトの主要素(写真であれば被写体)はできる限り高画質で出力し、それ以外の要素(写真であれば、被写体の周りの背景部分等)を段階的に削減する(カットあるいは色剤使用量を減らす)ことで、画質と色剤使用量低減を両立させる。
【0013】
本発明は、色剤使用量低減モードを有する画像処理装置において、前記色剤使用量低減モードが選択されたとき、所定画像における画像オブジェクトを主要部分と非主要部分に分離する分離手段と、前記非主要部分の色剤低減量を前記主要部分の色剤低減量より多くすると共に、前記画像オブジェクトの主要部分から画像エッジに向けて段階的に色剤低減量を増加させる処理手段を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、個々の画像オブジェクト(文字、線画、グラフィックス、写真)に必要な領域(主要部分)の画質を維持し、もしくは色剤使用量低減処理を抑制し、必要性の低い領域(主要でない部分)での色剤低減量を多く(出力カットも含む)しているので、画質の維持と色剤処理の両立を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の構成を示す。
【図2】本発明の色剤使用量低減処理を説明する図である。
【図3】本発明の階調レベルの引き下げ処理と間引き処理を説明する図である。
【図4】間引き処理パターンと低減処理パターンを示す。
【図5】画像の中心例を示す。
【図6】文字、線画に対する本発明の適用を示す。
【図7】画像オブジェクトと本発明の色剤使用量低減処理の適用例を示す。
【図8】従来技術を説明する図である。
【図9】従来技術を説明する図である。
【図10】従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例の構成を示す。図1(a)は第1の構成、(b)は第2の構成を示す。図1(a)、(b)において、101はPCやMFPなどから画像を取得する画像入力部、102は色剤使用量低減モード選択部、103は画像オブジェクトを主要部分と非主要部分に分離するオブジェクト分離部、104はRGB信号をCMYK信号に色変換するCMM処理部、105は入力された画像データの階調特性を補正するγ補正処理部、106a、106bは主要部分と非主要部分に応じた色剤低減処理を実施する色剤使用量低減処理部、107は出力解像度を変倍(1/n)する解像度変倍処理部、108はディザ処理、誤差拡散処理を用いて入力された画像データに対して中間調処理を行う中間調処理部、109はインクジェット記録装置や電子写真記録装置などの画像出力部である。本発明の画像処理装置は、画像入力部101から中間調処理部108を備え、さらに画像出力部109を備えることにより画像形成装置が構成される。
【0018】
図1(a)に示す第1の構成では、色剤使用量低減処理部106aの低減処理のタイプが階調レベル調整タイプであり、図1(b)に示す第2の構成では、色剤使用量低減処理部106bの低減処理のタイプが画像の間引きタイプである。また、従来の色剤使用量低減処理を併用する場合は、第1の構成では、γ補正処理部105と色剤使用量低減処理部106aの間の処理段階で適用し、第2の構成では、中間調処理部108と色剤使用量低減処理部106bの間の処理段階で適用する必要がある。
【0019】
図2は、本発明の色剤使用量低減処理を説明する図である。色剤使用量低減モード選択部102により色剤使用量低減モードが選択されると、オブジェクト分離部103は入力された画像データにおける画像オブジェクトを主要部分とそれ以外の部分(非主要部分)に分離し、色剤使用量低減処理部106は以下説明するように色剤使用量低減処理を行う。
図2(a)は、人物を撮影した写真イメージ(元画像)を示し、従来の色剤使用量低減処理(図2(b))では、写真画像全体に対して階調を引き下げる処理を施すため、人物部分も画像が薄くなり写真としての忠実性や印象度が低減している。
【0020】
これに対して、本発明の色剤使用量低減処理を適用した写真画像例を、図2(c)、(d)に示す。一般的に、写真画像において重要な被写体(主要部分)は写真画像中央部に配置され、その周囲の背景部分(主要でない部分)、特に画像のエッジに近い部分はあまり重要でない部位となる。これは、写真を撮影する際、人間の心理として、注目して欲しい被写体が画面中央に来るようにするためである(固定されたカメラでの自動撮影や、急激な移動により中央に納め切れなかった場合等を除く)。
【0021】
図2(c)では、人物が写った画像中央部はそのままに、画像のエッジに向けて階調レベルを引き下げる処理を施している。人物部分は、元画像の鮮やかさや鮮鋭性を保っており、画像エッジの背景部分は、階調レベルが引き下げられて色剤使用量を低減している。
【0022】
図2(d)では、画像エッジ部分(画像オブジェクトの主要部の中心点あるいは重心点から所定の距離以上離れたエッジ部分)を削除する(記録しない)ことにより、大幅に色剤使用量を削減することができる。
【0023】
また、画像中央部も階調レベルを引き下げること、更に色剤使用量を低減することできる。すなわち、主要部分とそれ以外のメリハリを付け、主要部分の色剤低減量を画質低下と感じられない、あるいは許容レベルの低減量に抑え、それ以外の部分で大きく低減すれば良い。
【0024】
画像オブジェクトの主要部分の例として、写真画像オブジェクトでは、被写体の人物、動物、静物等であり、文字オブジェクトでは、文字の形状あるいは文字であり、線画オブジェクトでは、描画線である。
【0025】
図3(a)は、色剤使用量低減処理部により実施される、階調レベルを引き下げるための補正値の算出例を説明する図である。画像の中心からの距離に所定の係数Kを乗算した階調補正値を各画素値から減算(この場合は補正値が画素値を超えないようにKを設定)、あるいは乗算(この場合は補正値が1未満となるようにKを設定)することで、図2(c)に示すような画像を作成することが可能となる。これは、図3(b)に示すような減算フィルタを事前に用意して、各画素に適用する処理でも良い。
【0026】
図2の処理は、階調値を引き下げる方法であるが、図3(c)に示すような間引きパターン(図の黒ドットが間引き箇所)を使って、出力ドットを間引いても良い。この場合、画像中央からエッジに向かって段階的に間引き率が高くなるようにすることで、図2(c)に示したものと同様の効果を得ることができる(急激に間引き率を大きくすることで、図2(d)と同様の画像も作成できる)。
【0027】
なお、間引き処理の場合、中間調処理で使用されるディザ処理パターンと干渉を起こし、原画像にもなく中間調処理パターンとも異なるテクスチャー(いわゆるモアレ)が生じる場合があるため、中間調処理に規則性のあるディザパターンが使用されている場合は、間引き処理でも同じパターンを使用するのが望ましい(図3(c)は、規則性のあるベイヤー型ディザパターンに準拠した間引きパターンである)。
【0028】
また、本発明は従来の色剤使用量低減処理との組み合わせも可能であるため、例えば、従来方法の「画像全体に一律の間引き処理」と組み合わせて使用する場合、使用する全てのパターン(中間調処理、従来の間引き処理、本発明の間引き処理)を同一にすることが望ましい。更に、本発明の方法は前述した従来の方法(図8〜図10)や図示しない他の色剤使用量低減方法(カラー画像を部分的にモノクロ画像に変換したり、色剤使用量をはじめから抑えたCMMプロファイルに切り替える等)と併用が可能であり、より色剤使用量低減効果を高めるための手法としても利用することが可能である。
【0029】
一方、中間調処理にブルーノイズマスクパターンのような非周期ディザや誤差拡散処理が使用されている場合、間引き処理に規則性が有ると、かえって間引きパターン自体がモアレのように認識されてしまうため、従来の色剤低減処理ならびに本発明の間引き処理パターンでは、図3(d)に示すような周期性のない(あるいは認識できない)間引きパターンを使用することが望ましい。
【0030】
間引きパターンも、予め複数のサイズや形状のパターンデータとして用意しておいても良いし、図4のように、適用するオブジェクトのサイズに合わせて、処理毎に間引き処理パターン(b)、(c)を生成してもよい。
【0031】
上記した説明において、階調の引き下げ、間引き処理に関して、画像中心から略円形状(その他、楕円形、四角形などを含む均一なパターン)に段階的に処理していたが、本発明はそれに限定されない。例えば、図4(d)、(e)に示すように、星形やハート型など、意匠をこらしたパターンで低減処理を実施しても良い(画像オブジェクトの主要部の中心点あるいは重心点から画像エッジまでの距離に応じて段階的に色剤低減処理が施される領域の形状が、星型、雲型、ハート型などを含む特定の意匠パターンを形成するように、色剤低減処理を施す)。これらは、前述した減算フィルタや間引きパターンの形状として予め用意しておくことも可能であり、指定した形状の階調パターンを作成すれば、図4(b)、(c)の方法でその都度作成することも可能である。
【0032】
本発明の色剤低減処理は、その適用範囲および減算量の大きさを変えることで、色剤低減効果も変わる。例えば、着目させたい対象が画像の中央にあり、重要ではない背景部分の画像の場合には、変化する領域を少なくした分、色剤低減量を多くすることで総合的な色剤削減量を確保することもできる(図2(d)がこの例である)。また、画像のエッジ付近の画像もある程度鮮明に出力したい場合は、変化する領域が目立たないよう、色剤低減量を少なくし、その分広い範囲で低減量を適用するという手法も採ることができる。
【0033】
このような適用範囲や強度設定は、ユーザーの判断(指定)によって逐一切り替えるようにしてもよいし、画像内容の自動解析によって切り替えてもよい。画像の自動解析については、デジタルカメラ等で利用されるシーン認識や顔認識機能を利用することで、写真画像において高精度な判断が可能となる(自動画像解析機能については、本発明では詳細な説明は省くが、使用される色数や色調の分布、目や口といった部位とのパターンマッチング等を用いることで、人物を抽出することが可能である。また、人物以外にもペットの動物や置物等の静物を認識し、メインの被写体と背景を分離することも可能である)。
【0034】
画像中心についても、画像エリアの中心(図5(a))、被写体の中心(図5(b))、被写体の重心(図5(c))の3つが挙げられる。高精度な被写体認識が可能であれば、被写体の重心を画像中心とするのが最も構図的にバランスが良く好ましい。高度な認識ができない場合は、被写体の中心、更に低レベルな被写体認識しか使えない、あるいは被写体認識が使用できない(または機能しない)場合は、単純に画像エリアの中心としても良い。
【0035】
写真の場合は、以上のように被写体と背景という考え方で大きな問題は発生しないが、オフィス文書等で使用されるグラフや表に対して本発明を適用する場合は、注意が必要である。
【0036】
図6はこの一例を示すが、グラフや表の場合、画像のエッジ部付近にも重要な情報が記録されている場合が多い(X軸、Y軸の説明や凡例等)。例えば、(a)のようなグラフに、本発明をそのまま適用した場合、適用後の画像(b)のように、重要な情報であるX軸、Y軸、色分けされた棒が何を表すのか不鮮明になっている。これが折れ線グラフの場合には、データの推移を示す折れ線自体も不鮮明になってしまう可能性がある。
【0037】
そこで、本発明では、文字、線画に対しては、本発明の色剤使用量低減処理を適用しない、あるいは低減量を抑える。これは、文字や線画は形状そのものが情報であり、形状が不鮮明になることで、その情報が失われてしまうためである。図6(c)は、文字、線画に対して色剤使用量低減処理を適用しない例であるが、必要な情報が欠けることなく、色剤使用量を低減することができる。
【0038】
なお、コンピュータのOSでは、文字、線画、写真イメージといった各画像オブジェクトをそれぞれ異なる経路で処理しているため、判別は比較的容易にできる。仮に、画像オブジェクト毎の処理に対応していないOSや処理機構であっても、コピー機等に搭載されている像域分離処理を利用することで、判別は可能である。像域分離機能も搭載しない機種の場合は、オブジェクト中で使用されている色数をカウントして判別しても良い。これは、グラフや表で使用される色数は、どんなに多くても通常では数十色程度しか使用されない。これに対して、写真等では少なくとも数百色以上の色数や階調が使用されるため、極端に色数が少ない場合は、文字、線画と見なして本発明の色剤使用量低減処理を適用しない、あるいは低減量を抑えるようにしても良い。
【0039】
ただし、使用色が100色以下であっても、モノクロ写真ならば70階調(=70色)程度もあれば十分観賞に堪える画質となる。モノクロテキストやモノクロ線画では、実質的に数階調(数色)程度しか使用されないので、例えば50色(総階調数)を境として、更にモノクロ写真と文字/線画の判定を行っても良い。
【0040】
図7は、オブジェクト毎の適用例を示す。前述したように、色剤使用量低減処理の範囲や低減量については、デフォルトの設定値やユーザーの指定によって可変できるものとする。
【0041】
本発明は色剤低減量を多くする場合に効果を発揮するが、言い換えれば、低減量を少なく指定された場合は、従来の低減方法でも高品質な画像出力は可能である。そこで、色剤の残量に応じて、残量が十分にあるときは従来法を、残量が少なくなって来たときには、本発明の手法へと自動的に切り替わる(あるいは切り替えをユーザーに促す)ようにしても良い。
【0042】
また、発色の状態は記録用紙と色剤の組合せでも変化するため、記録用紙に種類判別のための情報(バーコードや磁性データ等)が付加されている場合はそれを読み取り、あるいは記録用紙指定のトレイ情報やユーザーの記録用紙選択に応じて、色剤使用量低減方法を随時切り替えるようにしても良い(ドットが拡がりやすい用紙では、色剤低減率を大きくしても画質低下は少ない。逆に高品位な用紙には、画像も高品位に出力するのが適切であるため、色剤低減量を少なくする等)。
【0043】
本発明は、プリンタドライバの一機能として組み込むことが出来るほか、アプリケーションのプラグイン機能として、あるいは、アプリケーションとプリンタドライバの仲立ちをする単体のアプリケーションとしても実現することができる。これらのアプリケーションもしくはプラグインソフトは、記憶媒体(CD−ROM、DVD−ROM、メモリカード等)を媒介に使用したり、ネットワークを通じて配布することも可能である。
【0044】
以上で説明したように、本発明は、記録に伴い色剤を使用するあらゆる記録方法において適用可能な色剤使用量低減方法である。
【0045】
本発明は、前述した実施例の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。また、本発明の実施例の機能等を実現するためのプログラムは、ネットワークを介した通信によってサーバから提供されるものでも良い。
【符号の説明】
【0046】
101 画像入力部
102 色剤使用量低減モード選択部
103 オブジェクト分離部
104 CMM処理部
105 γ補正処理部
106a、b 色剤使用量低減処理部
107 解像度変倍処理部
108 中間調処理部
109 画像出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特許第3268712号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色剤使用量低減モードを有する画像処理装置において、前記色剤使用量低減モードが選択されたとき、所定画像における画像オブジェクトを主要部分と非主要部分に分離する分離手段と、前記非主要部分の色剤低減量を前記主要部分の色剤低減量より多くすると共に、前記画像オブジェクトの主要部分から画像エッジに向けて段階的に色剤低減量を増加させる処理手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
色剤使用量低減モードを有する画像処理装置において、前記色剤使用量低減モードが選択されたとき、所定画像における画像オブジェクトを主要部分と非主要部分に分離する分離手段と、前記所定画像に対して階調値の低減処理または間引き処理を施した後、前記非主要部分の色剤低減量を前記主要部分の色剤低減量より多くすると共に、前記画像オブジェクトの主要部分から画像エッジに向けて段階的に色剤低減量を増加させる処理手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記画像オブジェクトの主要部分は、写真画像オブジェクトにおける人物、動物、静物を含む被写体であり、文字オブジェクトにおける文字形状あるいは文字であり、線画オブジェクトにおける描画線であり、前記画像オブジェクトの非主要部分は、背景領域であることを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記画像オブジェクトの主要部分の中心点あるいは重心点から画像エッジまでの距離に比例して前記所定画像の階調値が小さくなるような係数を、前記所定画像に乗算することを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記画像オブジェクトの主要部分の中心点あるいは重心点から画像エッジまでの距離に比例して前記所定画像の階調レベルの低減量が多くなる減算フィルタを、前記所定画像に重畳することを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記処理手段は、前記画像オブジェクトの主要部分から画像エッジに向けて段階的に色剤低減量を増加させるとき、前記画像オブジェクトの主要部の中心点あるいは重心点から画像エッジまでの距離に応じて段階的に色剤低減処理が施される領域の形状が円形、楕円形、四角形を含む均一なパターン、または星型、雲型、ハート型を含む特定の意匠パターンを形成するように色剤低減処理を施すことを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
色剤使用量低減モードを有する画像処理方法において、前記色剤使用量低減モードが選択されたとき、所定画像における画像オブジェクトを主要部分と非主要部分に分離する分離工程と、前記非主要部分の色剤低減量を前記主要部分の色剤低減量より多くすると共に、前記画像オブジェクトの主要部分から画像エッジに向けて段階的に色剤低減量を増加させる処理工程を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項8記載の画像処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項8記載の画像処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−66084(P2013−66084A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203955(P2011−203955)
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】