説明

画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム

【課題】綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することを課題とする。
【解決手段】画像処理装置は、処理対象である画像を複数の小領域に分割し、分割した複数の小領域を小領域各々の画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替え、小領域が並び替えられた画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、当該極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定し、画素値を変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報化社会が進む中で重要情報の漏洩は深刻な問題となっており、情報漏洩を防止する技術の開発が望まれている。例えば、デジタルデータに関しては、第三者に情報が渡ってもその内容が把握されないように、デジタルデータを暗号化する技術が開発されており、情報漏洩を防ぐ有用な手段として既に利用されている。
【0003】
一方で、紙媒体等に印刷された印刷物の情報漏洩を防ぐ技術はまだ十分に開発されておらず、デジタルデータと同様に印刷物からの情報漏洩を防止する技術の開発が急務となっている。
【0004】
印刷物の情報漏洩対策が望まれる具体例として、商品購入時の請求書、クレジットカード番号や社会保険番号等の個人識別番号、病院のカルテ、学校の成績表、顧客名簿などがあり、本発明は例えばこれらの重要な部分を暗号化して情報漏洩を防ぐ技術として利用可能である。
【0005】
従来の印刷物の暗号化および復号化を扱った公知例として、文書画像を複数のブロックに分割して並び替える方法(例えば、特許文献1)、暗号化した文書に暗号化規則をバーコードとして印刷する方法(例えば、特許文献2)、ブロックの並び替えに加え分割ブロック毎に白黒反転およびミラー反転する方法(例えば、特許文献3)、ブロックの並び替えに加えブロックを回転させる方法(例えば、特許文献4)、暗号化画像に位置検出用の参照マークを付加し、復号時は、記録、スケーリング、回転、シフト、および欠損の少なくとも一つの処理のために参照マークを使用してブロック境界を検出する方法(例えば、特許文献5)がある。
【0006】
上記したような、画像を複数のブロックに分割して並び替える方法(以下、スクランブル手法)についてまとめると、スクランブル処理を行う画像処理装置は、暗号化する際には、(1)入力画像(または、入力画像内の暗号化する領域)を複数のブロックに分割し、(2)入力した暗号化鍵から得られるパラメータに基づいて各ブロックの並び替え(スクランブル処理)を行い、(3)各ブロックの位置を検出できるように画素値変換(例えば白黒反転)を行う。
【0007】
また、スクランブル処理を行う手法により暗号化された画像を復号する際には、画像処理装置は、(4)暗号化した領域(スクランブル処理が行われた領域)を検出し、(5)暗号化した領域内のブロックを検出し、(6)入力した復号鍵から得られるパラメータに基づいて各ブロックの並び替え(逆スクランブル処理)を行う。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4459611号明細書
【特許文献2】特許第2963472号(第1−4頁、第1図)
【特許文献3】特開平8−179689号(第4頁、第3図)
【特許文献4】特許第3609097号(第4頁、第3図)
【特許文献5】特表平9−504660号(第13頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記した従来の技術は、以下で説明するように、画像が劣化した場合でも正確な復号を実現できる変換後画像(スクランブル処理を行い、画素値を変換した画像)を作成することができないという課題があった。
【0010】
例えば、上記した特許文献1、特許文献2、および、特許文献4に記載されている従来技術では、ブロック毎の詳細な位置補正(ブロック各々を検出し、スキャン等により発生する歪み等を補正すること)ができず、正確な復号を実現できない。具体的に例をあげて説明すると、これらの従来技術では、上記した従来のスクランブル処理における(3)の処理を実行しておらず、印刷やスキャナ等でゆがみが発生した場合に、ブロック毎の詳細な位置補正ができない。
【0011】
また、上記した特許文献1や特許文献3や特許文献5に記載されている技術では、ブロック全体に対して反転処理や参照マークを付与すると、暗号化変換後に黒画素が増加するため、印刷時ににじみを発生させる暗号化画像となり、正確な復号を実現できる暗号化画像を作成することができない。
【0012】
また、例えば、ブロックの白黒反転を行うと、暗号化画像がデジタルデータであるならば完全に情報を復元することが可能であるが、暗号化画像の印刷を行いスキャナ等で取り込んだ画像に対しては、白黒反転を行った領域について、完全に元の画像を復元できない。
【0013】
また、例えば、上記した特許文献3や特許文献5に記載されている従来技術では、上記したスクランブル処理を行う手法における(3)の処理として白黒反転等を用いており、多階調を有する画像には適用できない。
【0014】
具体的に例をあげて説明すると、上記した特許文献3や特許文献5に記載されている従来技術では、反転非反転部分の境界に生じるエッジを検出することでブロックを検出する。この手法では、暗号化する情報が基本的に白黒の文字や図であることが前提であり、写真のような多階調を有する画像には適用できない。例えば、図23の(1)に示すように、背景部分が中間画素値(灰色)である画像に本手法を適用すると、図23の(2)に示すように、背景部分の画素値がほとんど変化せず、ブロック境界の検出が困難となる。
【0015】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、画像が劣化しても正確な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能とする画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この画像処理プログラムは、画像処理を行う画像処理装置を制御する方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムであって、処理対象である画像を複数の小領域に分割する分割手順と、前記分割手順によって分割された複数の前記小領域を前記小領域各々の前記画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える並び替え手順と、前記並び替え手順によって前記小領域が並び替えられた前記画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、当該極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定し、画素値を変換する変換手順と、をコンピュータに実行させることを要件とする。
【0017】
また、この画像処理プログラムは、さらに、前記変換手順は、前記極小領域の近傍の領域を構成する前記所定の画素について算出される統計的性質から前記演算手法を決定し、画素値を変換することを要件とする。
【0018】
また、この画像処理プログラムは、さらに、前記変換手順は、前記画素値を可逆的に変換する前記演算手法を用いて当該画素値を変換することを要件とする。
【0019】
また、この画像処理プログラムは、さらに、前記変換手順は、前記画素値を非可逆的に変換する前記演算手法を用いて当該画素値を変換することを要件とする。
【0020】
また、この画像処理プログラムは、さらに、前記画素は色を示す成分である一つまたは複数の色成分として、例えば白黒画像の場合は白黒成分、カラー画像の場合は赤色を示す赤成分と、緑色を示す緑成分と、青色を示す青成分と、によって示され、当該色成分各々は、画素値を有するものであって、前記変換手順は、前記極小領域を構成する当該画素各々が有する前記色成分の内、一部または全てについて画素値を変換することを要件とする。
【0021】
また、この画像処理プログラムは、画像処理を行う画像処理装置を制御する方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムであって、複数の小領域に分割され、分割された複数の前記小領域を前記画像内において並べ替えられた処理後画像において、前記極小領域を構成する画素について画素値を変換され、前記極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定された変換後画像から、画素値が変換された当該極小領域各々の位置を検出する検出手順と、前記検出手順によって検出された前記極小領域各々について、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定される前記演算手法を特定し、当該演算手法により変換された画素値を変換前の画素値へと変換する復号を実行する際に用いる演算手法である復号演算手法を決定し、当該極小領域を構成する画素について画素値を復号する復号手順と、前記検出手順によって検出された前記極小領域各々によって識別される前記小領域各々について、前記暗号鍵を用いて並び替えられる前の前記画像内における当該小領域各々の位置に、前記小領域各々を並べ替える逆並べ替え手順と、をコンピュータに実行させることを要件とする。
【0022】
また、この画像処理プログラムは、さらに、前記検出手順によって検出された前記画素値が変換された前記極小領域の画素値を、当該極小領域の前記近傍領域を構成する前記画素の統計的性質により算出される画素値を用いて、当該極小領域を構成する画素各々について画像補間を実行する補間手順と、をさらにコンピュータに実行させることを要件とする。
【発明の効果】
【0023】
開示の画像処理装置によれば、画像劣化が生じても変換ミスを生じることなく復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0024】
また、開示の画像処理プログラムによれば、暗号化画像を復号する際には、変換する際に用いられた演算手法を一意に特定することができ、復号ミスを生じることなく復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0025】
また、開示の画像処理プログラムによれば、暗号化画像がアナログデータに変換されずに(例えば、印刷されずに、デジタルデータのまま)扱われた場合に、変換された極小領域を構成する画素各々の画素値を復号する際に、変換前の画素値に完全に逆変換することが可能である。
【0026】
また、開示の画像処理プログラムによれば、画質の劣化がない復号を実現できる暗号化画像から復号(並び替え)を実行することが可能である。
【0027】
また、開示の画像処理プログラムによれば、変換した画素値を補間により復元することで、印刷された暗号化画像を正確に復号することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、実施例1で用いる主要な用語、実施例1における画像処理装置の概要および特徴、画像処理装置の構成および処理の流れを順に説明し、その後、その他の実施例について説明する。
【実施例1】
【0029】
[用語の説明]
まず最初に、実施例1で用いる主要な用語を説明する。実施例1で用いる「暗号化する領域(特許請求の範囲に記載の「画像」に対応する。)」とは、画像処理装置が処理を行う対象となる画像において指定された領域のことであって、例えば、当該画像全体や、画像処理装置を使用するユーザによって指定された画像の一部領域などがこれに該当する。
【0030】
また、実施例1で用いる「処理後画像」とは、複数のブロック(小領域)に分割された後に、各ブロック(小領域)の並び替え(スクランブル処理)が行われた画像を示す。また、実施例1で用いる「暗号化画像(特許請求の範囲に記載の「変換後画像」に対応する)」とは、処理後画像内の各ブロック(小領域)の位置を検出できるように画素値変換(例えば白黒反転)が行われた画像を示す。また、実施例1で用いる「小領域」とは、暗号化する領域を複数のブロックに分割する際に生じる当該ブロック各々を示す。
【0031】
[画像処理装置の概要および特徴]
次に、図1を用いて、実施例1における画像処理装置の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1における画像処理装置の概要および特徴を説明するための図である。
【0032】
同図に示すように、実施例1における画像処理装置は、暗号化する領域を複数の小領域に分割し、入力した暗号化鍵から得られるパラメータに基づいて各小領域の並び替え(スクランブル処理)を行い、各小領域の位置を検出できるように画素値変換(例えば白黒反転)を行い、暗号化画像を作成するものである。そして、以下で説明するように、実施例1における画像処理装置は、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することができる点に主たる特徴がある。
【0033】
すなわち、実施例1における画像処理装置は、例えば、図の(1)に示すように、処理対象となる画像が入力され、図1の(1−a)に示すように、暗号化する領域が指定されると、画像変換部は、図1の(2)に示すように、処理対象である画像を複数の小領域に分割する。
【0034】
そして、実施例1における画像処理装置は、画像変換部が、図1の(3)に示すように、分割された複数の小領域を、小領域各々の画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える。
【0035】
続いて、実施例1における画像処理装置は、図1の(4)に示す処理後画像において、図1の(5)と(6)に示すように、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、画素値を変換する。具体的には、実施例1における画像処理装置は、画素値変換部が、図1の(5)に示す小領域内において、図1の(6−a)に示すように、当該小領域内の極小領域のみについて、画素値を変換する。
【0036】
この点について、さらに説明を行うと、実施例1における画像処理装置は、画素値を変換する領域を、小領域内の一部領域である「極小領域」に限定することによって、復号する際に、再度画素値を変換する領域を少なくすることが可能である。
【0037】
また、実施例1における画像処理装置は、図1の(5)と(6)に示すように、画素値を変換する際に、極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定し、画素値を変換する。例えば、実施例1における画像処理装置は、画素値変換部が、極小領域の近傍の領域を構成する所定の画素について算出される統計的性質から演算手法を決定し、画素値を変換する。
【0038】
具体的な例をあげて説明すると、実施例1における画像処理装置は、画素値変換部が、図1の(6−a)に示す極小領域を構成する画素値を変換する際に、図1の(6−b)に示す近傍の領域を構成する画素から画素値の平均値を算出して演算手法を決定し、画素値を変換する。
【0039】
すなわち、実施例1における画像処理装置は、画素値変換部が、画素値を変換する画素の(変換前の)画素値から演算手法を決定するのではなく、画素値を変換しない画素の画素値から演算手法を決定する。例えば、従来の手法では、変換前の画素値からは、当該画素値を変換する際に用いる演算手法が一意に定まる場合であっても、変換後の画素値からは、当該画素値を変換した際に用いた演算手法が一意に定まらない場合がある。実施例21における画像処理装置によれば、このような場合にも、画素値を変換する際に用いられた演算手法を、一意に識別することが可能である。
【0040】
そして、実施例1における画像処理装置は、図1の(7)に示すように、暗号化画像を出力する。例えば、実施例1における画像処理装置は、図1の(7)に示す例では、入力された画像において、暗号化する領域のみ暗号化された暗号化画像を出力する。
【0041】
このようなことから、実施例1における画像処理装置は、上記した主たる特徴の如く、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0042】
具体的には、小領域を構成する画素全体について画素値を変換し、復号する際に、画素値が変換された小領域を構成する画素全体の画素値を復号する手法と比較して、極小領域を構成する画素についてのみ画素値を変換するので、変換する領域が小さくなり、その結果、例えば、白黒反転処理等により生じる黒画素の増加を抑えることができ、印刷時に発生するにじみを減少させ、綺麗な復号を実現できる暗号化画像(処理後画像における極小領域の画素値を変換した画像)を作成することが可能である。
【0043】
また、例えば、暗号化画像の印刷を行い、その後、スキャナ等で取り込んだ暗号化画像を復号する際には、画素値の変換を行った領域について再度変換を行ったとしても、完全に元の画像を復元することはできない。本手法を適用することにより、スキャナ等で取り込んだ暗号化画像を復号する際に、画素値の変換を行う必要がある領域を小さくすることができ、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成する。
【0044】
また、実施例1における画像処理装置は、暗号化画像を復号する際には、変換する際に用いられた演算手法を一意に特定することができ、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0045】
例えば、従来の手法においては、変換された画素値を復号する際に、暗号化画像における極小領域を構成する変換後の画素値からは、当該画素値を変換した際に用いた演算手法を必ずしも一意に特定できるわけではなく、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することができなかった。
【0046】
これに対して、本画像処理装置は、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から演算手法を決定するので、変換する際に用いられた演算手法を、変換されていない画素の画素値から一意に特定することができ、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0047】
また、実施例1における画像処理装置は、暗号化画像を復号する際には、変換する際に用いられた演算手法を一意に特定することができ、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0048】
[画像処理装置の構成]
次に、図2〜図16を用いて、図1に示した暗号化する画像処理装置の構成を説明し、また、暗号化画像を復号化する画像処理装置の構成を説明する。なお、以下では、説明の便宜上、図1に示した暗号化する画像処理装置を説明した後に、暗号化画像を復号化する画像処理装置とを分けて説明するものであって、本発明は、これら二つの構成が、別々の装置である場合に限定されるものではなく、同じ装置であってもよい。
【0049】
なお、ここで、図2は、実施例1を説明するために用いる数式を示すための図である。図3は、実施例1における暗号化する画像処理装置の構成を示すブロック図である。図4は、実施例1に係る入力画像の一例を示すための図である。図5は、実施例1に係る暗号鍵の一例を示すための図である。図6は、実施例1に係る演算方法を説明するための図である。図7は、実施例1に係る暗号化領域指定部を説明するための図である。図8は、実施例1に係る画像変換部を説明するための図である。図9は、実施例1に係る画像変換部を説明するための図である。図10は、実施例1に係る画素値変換部を説明するための図である。図11は、実施例1に係る画素値変換部を説明するための図である。図12は、実施例1における復号化する画像処理装置の構成を示すブロック図である。図13は、実施例1に係る暗号化画像の一例を示すための図である。図14は、実施例1に係る暗号化領域検出部を説明するための図である。図15は、実施例1に係る暗号化位置検出部を説明するための図である。図16は、実施例1に係る画素値復元部を説明するための図である。
【0050】
[暗号化する画像処理装置の構成]
図3に示すように、図1に示した画像処理装置は、本発明に密接に関係するものとして、画像入力部101と、暗号鍵入力部102と、変換方法選択部103と、暗号化領域指定部104と、画像変換部105と、画素値変換部106と、暗号化画像出力部107と、から構成される。なお、ここで、画像変換部105は、特許請求の範囲に記載の「分割手段」と「並び替え手段」とに対応し、画素値変換部106は、特許請求の範囲に記載の「変換手段」に対応する。
【0051】
画像入力部101は、暗号化したい領域を含む画像を受付ける。例えば、画像入力部101は、ネットワーク経由や、ユーザから、図4に示すような画像を受付ける。なお、実施例1では、画像入力部101が暗号化したい領域を含む画像を受付ける手法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像処理装置は、画像入力部101を備えず、画像処理装置に予め記憶されている画像について処理を行ってもよい。なお、画像入力部101によって受付けられた画像は、後述する画像変換部105や画素値変換部106によって処理が行われるものである。
【0052】
暗号鍵入力部102は、後述する画像変換部105によって分割された複数の小領域を、小領域各々の画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を受付ける。例えば、画像入力部101は、ネットワーク経由や、ユーザから入力されることにより、図5に示すような暗号鍵を受付ける。
【0053】
なお、ここで、暗号鍵は、例えば、図2の(式1)における二つの素数である「p」と「q」とを決定するものであり、暗号鍵入力部102は、図5に示すように、暗号鍵として、数値や文字列(あるいは、図2に示すように、数値や文字列をバイナリ表現で表した情報)を、受付ける。
【0054】
変換方法選択部103は、暗号化する領域を変換する演算手法として、画素値を可逆的に変換する演算手法を用いるか、画素値を非可逆的に変換する演算手法を用いるかについて選択する。例えば、変換方法選択部103は、画像処理装置を使用するユーザから、演算手法として、可逆的に変換する演算手法を用いる旨の指示や、非可逆的に変換する演算手法を用いる旨の指示を受付け、受付けた演算手法を後述する画素値変換部106に伝える。
【0055】
ここで、可逆的に変換する演算手法と非可逆的に変換する演算手法とについてさらに説明する。可逆的に変換する演算手法とは、後述する画素値変換部106によって画素値が変換された画素各々について、後述する画素値復元部206が、変換される前の画素値に完全に戻すことができる手法のことを示す。
【0056】
一方、非可逆的に変換する演算手法とは、後述する画素値復元部206が、変換される前の画素値に完全に戻すことを前提とした手法ではなく、例えば、印刷されることを(例えば、暗号化画像を印刷し、当該印刷された画像をスキャナ等で取り込み、取り込まれた画像について復号を行う場合を)念頭に、図6の(1)に示すように、変換後の画素が暗い画素になる場合を少なく設定することにより、きれいな復号を実現できる暗号化画像を作成する演算手法である。
【0057】
具体的に例をあげて説明すると、暗号化画像を印刷する場合に、暗い画素(黒画素に近い画素)はインクやトナーの影響でにじみやかすれを発生させる要因となる。ここで、本画像処理装置は、画素値変換時に、非可逆的な手法の一つとして、変換後の画素値が暗い画素になる場合を少なく設定する演算手法を用いて、変換後の画素値が明るい画素(白画素に近い画素)になるように変換を実行することで、画素値変換により画素値変換された極小領域(以下、「境界マーカ」と定義する)のにじみやかすれを抑制し、境界マーカの検出精度を向上させ、その結果、きれいな復号を実現できる暗号化画像を作成するものである。
【0058】
なお、非可逆変換の一態様として、極小領域の平均画素値を前記極小領域の代表値として画素値変換し、極小領域の全ての画素値を当該変換画素値に置き換えてもよい。この場合、極小領域内の全ての画素が同じ画素値となるため境界マーカが明確となり、暗号化画像の印刷時ににじみやかすれが生じても境界マーカの検出精度を向上させることが可能である。
【0059】
ここで、図6に示す「Pmax」は、画素値が「黒」に近いことを示し、図6に示す「Pmin」は、画素値が「白」に近いことを示す。図6の(2)に示す可逆的に変換する演算手法の一つにおいては、画素値が「Pmax」から「T0」の間の場合には、画素値を反転(黒画素を、白画素に変換する)し、画素値が「T0」から「T1」の間の場合には、画素値をシフト(例えば、画素値を「X値減らした値にする」)し、画素値が「T1」から「Pmin」の間の場合には、画素値を反転(白画素を、黒画素に変換する)する。
【0060】
一方、図6の(1)に示す非可逆的に変換する演算手法の一つにおいては、図6の(2)に示す可逆的に変換する演算手法の一つと比較して、黒画素を白画素に変換する領域である「T1」から「Pmin」との間が狭く設定している。また、図6の(1)に示す非可逆的に変換する演算手法の一つにおいては、図6の(2)に示す可逆的に変換する演算手法の一つと異なり、画素値が「T0」から「T1」の間の場合には、画素値をシフト(例えば、画素値を「X値減らした値にする」)するのではなく、「色相を反転し、輝度値を増加」する手法を示す。
【0061】
なお、この非可逆的に変換する演算手法を選択した際には、完全に元の画像の画素値を復元することは不可能であるが、後述する画素値復元部206による画像補間処理を実行することにより、完全に元の画像の画素値に戻すことができない画素各々の画素値について、画像補間することができる。
【0062】
また、実施例1では、変換方法選択部103が、ユーザから受付けた演算手法(可逆的な演算手法か非可逆的な演算手法か)を、後述する画素値変換部106に伝える手法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、変換方法選択部103は、可逆的な演算手法か非可逆的な演算手法かを、ユーザから指示を受付けることなく、自動的に選択してもよい。例えば、変換方法選択部103は、暗号化画像が印刷される可能性が高い場合には、非可逆的な演算手法を選択し、暗号化画像が印刷されない場合には(または、デジタルデータのまま扱われる場合には)、可逆的な演算手法を選択する。
【0063】
暗号化領域指定部104は、画像入力部101によって入力された画像から、暗号化する領域を指定する。例えば、暗号化領域指定部104は、図7の(1)に示すように、画像入力部101によって入力された画像(暗号化する領域を含むデジタル画像)の内、図7の(2)に示すように、暗号化する領域を指定する。なお、暗号化領域指定部104によって指定された領域は、図7の(3)に示すように、後述する画像変換部105や画素値変換部106によって変換される。
【0064】
暗号化領域指定部104は、暗号化する領域を指定する際には、例えば、ユーザからマウス等の入力手段により、領域の指定を直接受付けてもよく、また、暗号化したい領域をテンプレートとして予め記憶しておき、当該テンプレートを用いて指定してもよい。なお、一度暗号化領域指定部104により指定された領域について、画像変換部105や画素値変換部106などによる処理が行われて暗号化画像が出力された後に、さらに、出力された当該暗号化画像の他の領域を暗号化したい場合は、その後、暗号化領域指定部104によって、再度暗号化する領域を指定し、同様の処理を繰り返し行っても良い。
【0065】
画像変換部105は、暗号化する領域を複数の小領域に分割する。例えば、画像変換部105は、図8の(1)に示す暗号化する領域を、図8の(2)に示すように、複数の小領域に分割する。具体的に例をあげて説明すると、例えば、横4つ、縦3つの合計12の小領域に分割する。なお、ここでは、説明の便宜上、図9の(2)に示すように、当該小領域各々は、1から12までの番号に対応しているものとして説明する。
【0066】
画像変換部105は、暗号鍵を用いて、分割した複数の小領域を、暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える(スクランブル処理する)。具体的には、画像変換部105は、図8の(3)に示すように、暗号化する領域の画像を視覚的に変換する。例えば、画像変換部105は、暗号鍵入力部102によって受付けられた暗号鍵を用いて、小領域の変換テーブルを作成する。
【0067】
具体的に例あげて説明すると、暗号鍵によって決定される二つの素数である「p」と「q」を、図2の(式1)に代入することによって、変換前の暗号化する領域における小領域の番号を「x」とした場合に、「x」各々に対して、変換後の暗号化する領域における小領域の番号「y」各々を算出する。
【0068】
つまり、画像変換部105は、図9の(1)に示すように、p=7、q=13である場合には、「x=1」である場合には、「y=7」であると算出する。言い換えると、例えば、「x=1」のとき「y=7」であるので、小領域「1」に、変換前の画像において小領域「7」に位置していた小領域を移動させる。画像変換部105は、同様の処理をすべての小領域についておこなうことにより、図9の(3)に示す処理後画像を作成する。
【0069】
画素値変換部106は、画像変換部105によって小領域が並び替えられた画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域すべてについて、当該極小領域を構成する画素について、画素値を変換する具体的には、画素値変換部106は、複数の小領域の詳細な位置を検出できるように、小領域中の極小領域の画素値を変換する。具体的には、画素値変換部106は、処理後画像から、暗号化画像を作成する。
【0070】
画素値変換部106は、極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定し、画素値を変換する。例えば、画素値変換部106は、極小領域の近傍の領域を構成する所定の画素について算出される統計的性質から演算手法を決定し、画素値を変換する。
【0071】
すなわち、画素値変換部106は、小領域全体の画素各々について画素値を反転する手法、または、小領域の一部領域の画素値を規則的に変換する公知の画素値変換手法とは異なり、画像変換部105は、例えば、画素値変換手法(例えば、可逆的な演算手法か、非可逆的な演算手法か)を暗号化時に入力し、その後、画素値変換を、小領域中の極小領域以外の任意の領域に対応した演算手法を用いて行うものである。
【0072】
具体的に例をあげて説明すると、画素値変換部106は、図10の(1)に示す暗号化する領域の内、図10の(2)に示す小領域内について、当該小領域内の一部領域として、図10の(3)や(4)に示すように、小領域と比較して十分小さい領域であれば良く、極小領域として、どのような領域や形状の領域を設定してもよい。
【0073】
例えば、画素値変換部106は、図10の(3)に示すように、小領域の隅に境界マーカを作成しても良く、また、図10の(4)に示すように、小領域のエッジ部分に境界マーカを作成しても良い。なお、境界マーカ(極小領域)の位置や形状は、パラメータとして予め設定しておくことが望ましい。
【0074】
このように、本画像処理装置は、画素値変換部106が、境界マーカを小領域中の極小領域の画素値を変換して作成することで、画素値変換により画質劣化を抑制し、さらに、後述する画像補間を行いやすくする。
【0075】
また、画素値変換部106が、画素値を可逆的に変換する演算手法を用いて当該画素値を変換する一例をあげて、さらに説明する。画素値変換部106は、図11の(1)に示す暗号化する領域の内、図11の(3)に示す極小領域について、画素値を変換する場合に、図11の(4)に示す画素値を変換する極小領域の近傍の領域について、平均画素値を算出する。
【0076】
なお、ここでいう「統計的性質」とは、例えば、平均値や、分散値や、中央値や、後述する図2の(式5)に示すように、極小領域からの距離で重み付けした平均値などが該当する。
【0077】
ここで、画素値変換部106は、算出された平均画素値に基づいて、画素値を変換する手法を決定する。具体的には、図11の(5)に示すように、画素値が「Pmax」から「T0」の間の場合には、画素値を反転(黒画素を、白画素に変換する)し、画素値が「T0」から「T1」の間の場合には、画素値をシフト(例えば、画素値を「X値減らした値にする」)し、画素値が「T1」から「Pmin」の間の場合には、画素値を反転(白画素を、黒画素に変換)する。
【0078】
例えば、画素値変換部106は、画素値を変換する手法として、「画素値反転」を行う場合には、図2の(式2)を用いて、変換後の画素値を決定して変換する。なお、図2の(式2)においては、変換前の画素値を「x」、変換後の画素値を「y」とする。また、例えば、画素値変換部106は、画素値を変換する手法として、「画素値シフト」を行う場合には、図2の(式3)を用いて、変換後の画素値を決定して変換する。
【0079】
ここで、例えば、Pmax=255、Pmin=0、T0=64、T1=192である場合を例に、さらに説明する。画素値変換部106は、小領域中の極小領域の画素値が「80」であり、極小領域の近傍領域の画素値が「120」である場合に、変換方法が「画素値シフト」であると決定し、図2の(3)に示す式より、
(80+128)mod256=208
という結果が得られ、当該画素値を「208」に変換する。
【0080】
なお、画素値変換部106は、画素が複数の成分で構成された場合にも、同様の処理を実行する。例えば、画素は色を示す成分である色成分として、白黒画像の場合は白黒成分、カラー画像の場合は赤色を示す赤成分と、緑色を示す緑成分と、青色を示す青成分と、によって示され、当該色成分各々は、画素値を有するものである場合に、画素値変換部106は、極小領域を構成する当該画素各々が有する色成分の内、一部または全てについて画素値を変換する。
【0081】
具体的な一例をあげて説明すると、図2の(式4)において、赤成分(図2の(式4)では「R」に対応)、緑成分(図2の(式4)では「G」に対応)または青成分(図2の(式4)では「B」に対応)の内、一部またはすべての成分について、画素値を変換してもよい。
【0082】
ここで、画素値変換部106による処理の意義についてさらに説明する。画素値変換部106は、極小領域を変換する手法を、当該極小領域以外の画素から決定するので、後述する画素値復元部206は、変換方法選択部103によって選択された演算手法が既知であれば、復号処理時に、極小領域の近傍領域の平均画素値を求めることで、変換方法を決定することが可能となる。
【0083】
例えば、従来方式(極小領域を構成する画素の画素値から、当該画素値を変換する際に使用する手法を決定する手法)においては、例えば、上記した例を用いて説明すると、例えば画素値「80」は画素値変換(画素値シフト)により「208」となる。この際、画素値「208」は、画素値「47」の画素値反転した値(255−47=208)でもあるため、復号処理時に元画像の画素値を完全に復元することはできない。
【0084】
これに対して、この画素値変換により画素値が変換された暗号化画像においては、例えば、上記した例を用いて説明すると、後述する画素値復元部206によって復号がおこなわれる際にも、近傍領域の画素値は変化しておらず(画素値変換部106によって変換されておらず)、画素値は「120」であるため、当該極小領域を構成する画素値を変換する際に用いられた手法は「画素値シフト」であることがわかる。これにより、後述する画素値復元部206によって、画素値の復号方法として「画素値シフト」が選択され、図2の(式3)より、
(208+128)mod256=80
と算出され、画素値を完全に復元することが可能である。
【0085】
なお、画素値変換部106は、画素値を非可逆的に変換する演算手法を用いて当該画素値を変換してもよい。
【0086】
暗号化画像出力部107は、画素値変換部106によって作成された暗号化画像を、出力する。例えば、プリンタ等で印刷し、電子データとして出力し、または、記憶媒体(図3には示していない)に保存する。
【0087】
[復号化する画像処理装置の構成]
続いて、暗号化画像を復号する画像処理装置の構成を説明する。図12に示すように、この暗号化画像を復号する画像処理装置は、本発明に密接に関係するものとして、暗号化画像入力部201と、復号鍵入力部202と、暗号化領域検出部203と、暗号化位置検出部204と、復号方法選択部205と、画素値復元部206と、画像逆変換部207と、復元化画像出力部208と、から構成される。なお、暗号化位置検出部204は、特許請求の範囲に記載の「検出手段」に対応し、復号方法選択部205と画素値復元部206とは、特許請求の範囲に記載の「逆変換手順」に対応し、画像逆変換部207は、特許請求の範囲に記載の「逆並べ替え手順」に対応する。
【0088】
暗号化画像入力部201は、画素値変換部106によって画素値が変換された暗号化画像を受付ける。例えば、暗号化画像入力部201は、ネットワーク経由や、ユーザから、図13に示すような暗号化画像を受付ける。暗号化画像入力部201によって受付けられた画像は、後述する画素値復元部206や画像逆変換部207によって処理が行われるものである。
【0089】
復号鍵入力部202は、並び替えられた複数の小領域について、画像内における並び替えられる前の位置を一意に指定する復号鍵を受付ける。復号鍵入力部202によって受付けられた復号鍵は、後述する画像逆変換部207によって用いられる。なお、実施例1における画像処理装置は、暗号鍵と復号鍵とについて、同じものを用いる。
【0090】
暗号化領域検出部203は、暗号化画像入力部201によって受付けられた暗号化画像から、画素値が変換された暗号化する領域(暗号化された領域)を検出する。例えば、暗号化領域検出部203には、画像処理技術を用いて、暗号化された領域を検出する。例えば、図14に示すように、暗号化画像において、暗号化された領域内にある極小領域中には、境界マーカが存在する。このため、暗号化画像を周波数解析すると、図14の(3)に示すように、暗号化された領域においては、境界マーカが存在する分、周期性が強くなる傾向があり、一方、図14の(4)に示すように、それ以外の領域においては、周期性が弱くなる傾向がある。暗号化領域検出部203は、この周期性の差を利用して、暗号化領域を検出する。
【0091】
また、例えば、暗号化領域検出部203は、マウス等の入力装置により暗号化領域の指定を直接受付けてもよく、テンプレートとして事前に設定しておいた暗号化領域の情報を使用して、暗号化領域を指定してもよい。
【0092】
暗号化位置検出部204は、暗号化画像から、画素値が変換された極小領域各々の位置を検出する。例えば、後述する画素値復元部206による処理を正確に行うために、暗号化領域内の複数の小領域の位置を検出する。具体的には、暗号化位置検出部204は、小領域内にある境界マーカを検出することにより、各小領域の位置を検出する。
【0093】
例えば、暗号化位置検出部204は、図15に示すように、メディアンフィルタ(ある画素とその近傍画素から中央値を出力するフィルタ)を用いて各小領域の位置を検出する。具体的な一例をあげて説明する。図15の(1)に示す画像は、暗号化領域検出部203により検出された暗号化された領域であり、図15の(2)に示す画像は、暗号化された領域に3x3メディアンフィルタ(ある画素とその近傍8画素の中央値を出力するフィルタ)を掛けた画像である。
【0094】
ここで、図15の(2)に示す画像は、メディアンフィルタを掛けることにより、境界マーカ領域が取り除かれている画像である。暗号化位置検出部204は、図15の(1)に示す画像と、図15の(2)に示す画像と、の差分を検出することにより、図15の(3)に示すように、境界マーカを検出する。
【0095】
さらに詳細な一例をあげて説明すると、暗号化位置検出部204は、図15の(3)に示す画像において、各列のヒストグラムを算出し、図15の(4)に示すように、一定周期で値が高くなる部分を境界マーカとして検出する。同様に各行のヒストグラムを算出して境界マーカを検出する。そして、暗号化位置検出部204は、各小領域中の境界マーカを検出することで各小領域の位置を検出する。
【0096】
復号方法選択部205は、暗号化位置検出部204によって検出された極小領域各々について、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定される演算手法を特定して選択する。具体的には、復号方法選択部205は、暗号化画像が印刷された画像か否かを判別することにより、画素値逆変換か、または、画像補間かを選択する。
【0097】
例えば、復号方法選択部205は、暗号化画像入力部201によって受付けられた暗号化画像が、暗号化画像を印刷しスキャナ等で取り込んだ画像であるかを判定する。具体的な一例をあげて説明すると、例えば、印刷およびスキャナで取り込んだ画像には、取り込んだ時点において、画像に歪みやにじみが生じ、画素値も変化する。このため、復号方法選択部205は、(1)検出した全ての小領域のサイズが暗号化前の小領域のサイズと一致している。(2)検出した小領域に対し、境界マーカの画素値と境界マーカ近傍の画素値が大きく異なるか否かを判定条件とし、上記条件を一部または全て満たしていない場合に、スキャン画像であると判定する。
【0098】
ここで、復号方法選択部205は、スキャン画像であるかを判別し、スキャン画像である場合には、印刷時のインクやトナーのにじみにより暗号化処理で作成した境界マーカの画素値を完全に元に戻すことはできないため、画像補間を行うと選択する。また、復号方法選択部205は、スキャン画像でない場合には、暗号化画像が可逆的に変換する演算手法により画素値が変換されたかを判別する。ここで、復号方法選択部205は、暗号化画像が可逆的に変換する演算手法により画素値が変換された場合には、逆変換を行うと選択し、そうでない場合には(非可逆的に変換する演算手法により画素値が変換された場合には)、スキャン画像である場合と同様に、境界マーカの画素値を完全に元に戻すことができないため画像補間を行うと選択する。
【0099】
画素値復元部206は、復号方法選択部205によって選択された演算手法により、変換された画素値を変換前の画素値へと復元する。具体的には、画素値復元部206は、画素値逆変換、または、画像補間を行う。
【0100】
例えば、画素値復元部206は、復号方法選択部205によって画像補間を行うと選択された場合には、画素値が変換された画素各々について、画像補間を行い、画素値を復元する。なお、画素値復元部206は、画素の画像補間を行う手法として、一般的な手法を用いてよい。具体的な一例をあげて説明すると、例えば、画素値復元部206は、図16の(1)に示す小領域中の、図16の(2)に示す極小領域(境界マーカ)について画像補間を行う場合に、極小領域の近傍領域を構成する画素各々の画素値の平均画素値を、図16の(2)に示す極小領域(境界マーカ)の画素値として画素値補間を行い、図16の(3)に示すように、極小領域を復元する。
【0101】
また、画素値復元部206は、図2の(式5)に示すように、極小領域からの距離で重み付けした平均値を用いて、画像補間を行っても良い。例えば、画素値復元部206は、補間したい極小領域の画素をP、Pの近傍画素であるk個の画素をn(i=0、...k−1)、画素Pとそれぞれの近傍画素nの距離をr(i=0、...k−1)とすると、画素Pの推定値は、図2の(式5)で表される値となる。
【0102】
さらに詳細には、画素値復元部206は、図16の(4)に示すように、境界マーカの画素値とその近傍画素の画素値が、画素A、画素B、画素C、画素Dで示される場合、画素Aと画素Bおよび画素Aと画素Cとの距離を1、画素Aと画素Dとの距離を2と定義して、A=(2B+2C+D)/5を補間された画素値としてもよい。
【0103】
また、画素値復元部206は、暗号化位置検出部204によって検出された画素値が変換された極小領域の画素値を、当該極小領域の近傍領域を構成する画素の統計的性質により決定される演算手法により、当該極小領域を構成する画素各々について逆変換を行い、画素値を復号する。
【0104】
例えば、画素値復元部206は、入力画像がスキャン画像ではない、つまりデジタル画像である場合には、画素値変換部106により行われた演算手法の逆の処理を行い、極小領域の画素値を逆変換する。これにより、完全にビット一致で画素値を復元することができる。
【0105】
画像逆変換部207は、暗号化位置検出部204によって検出された極小領域各々によって識別される小領域各々について、暗号鍵を用いて並び替えられる前の画像内における当該小領域各々の位置に、小領域各々を並べ替える(逆スクランブル処理する)。具体的には、画像逆変換部207は、逆スクランブルとして、前述した画像変換部105におけるスクランブル処理の逆の操作を行う。
【0106】
例えば、画像変換部105の説明において使用した例を、つまり、暗号化位置検出部204により検出された複数の小領域が横4個、縦3個の合計12個の場合を利用して説明すると、図9に示すように、「x=1」のとき「y=7」となる。このため、画像逆変換部207は、暗号化画像における小領域「1」の位置にあるものが、小領域「7」に対応するものであると判別し、並び替える。また、画像逆変換部207は、全ての小領域について、同様の処理を実行する。
【0107】
ここで、画像逆変換部207は、小領域の並び替え方法について、復号鍵により一意に決定されるため、復号鍵入力部202により入力された復号鍵が正しい場合に限り、暗号化画像を適切に並び替え、暗号化方法による暗号化で隠された情報を復元する。
【0108】
復元化画像出力部208は、画素値復元部206や画像逆変換部207により処理された画像を出力する。
【0109】
なお、画像処理装置は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、家庭用ゲーム機、インターネットTV、PDA、あるいは携帯電話やPHSの如き移動体通信端末である。
【0110】
[画像処理装置による処理]
次に、図17と図18とを用いて、画像処理装置による処理を説明する。ここでは、まず、図17を用いて、暗号化する画像処理装置の処理の流れを説明し、その後、図18を用いて、復号化する画像処理装置の処理の流れを説明する。なお、ここで、図17は、実施例1における暗号化する画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。図18は、実施例1における復号化する画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0111】
[暗号化する画像処理装置による処理]
図17に示すように、暗号化領域指定部104によって、暗号化する領域が指定されると(ステップS101肯定)、画像変換部105は、スクランブル処理を行う(ステップS102)。つまり、暗号化する領域を複数の小領域に分割し、分割した複数の小領域を並べ替える。
【0112】
そして、画素値変換部106は、近傍領域の平均画素値を取得し(ステップS103)、変換方式を選択する(ステップS104)。つまり、画素値変換部106は、極小領域の近傍の領域を構成する所定の画素について算出される統計的性質から、演算手法を決定する。そして、画素値変換部106は、境界マーカを作成する(ステップS105)。つまり、画素値変換部106は、極小領域を構成する画素について、画素値を変換する。
【0113】
[復号化する画像処理装置による処理]
図18に示すように、暗号化領域検出部203によって暗号化された領域が検出されると(ステップS201肯定)、暗号化位置検出部204は、小領域を検出する(ステップS202)。つまり、暗号化された領域から、画素値が変換された極小領域各々の位置を検出し、小領域各々を検出する。
【0114】
そして、復号方法選択部205は、スキャン画像かを判別する(ステップS203)。ここで、復号方法選択部205は、スキャン画像である場合には(ステップS203肯定)、画像補間を選択する(ステップS204)。一方、復号方法選択部205は、スキャン画像でない場合には(ステップS203否定)、暗号化画像が可逆的に変換する演算手法により画素値が変換されたかを判別する(ステップS205)。ここで、復号方法選択部205は、暗号化画像が可逆的に変換する演算手法により画素値が変換された場合には(ステップS205肯定)、逆変換を行うと選択し(ステップS206)、そうでない場合には(非可逆的に変換する演算手法により画素値が変換された場合には)(ステップS205否定)、画像補間を行うと選択する(ステップS204)。
【0115】
そして、画素値復元部206は、復号方法選択部205によって選択された演算手法により、変換された画素値を変換前の画素値へと復元する(ステップS207)。
【0116】
そして、画像逆変換部207は、逆スクランブル処理を行う(ステップS208)。つまり、並び替えられる前の画像内における当該小領域各々の位置に、小領域各々を並べ替える。
【0117】
[実施例1の効果]
上述したように、実施例1によれば、この画像処理装置は、処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、当該極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定し、画素値を変換するので、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0118】
具体的には、小領域を構成する画素全体について画素値を変換し、復号する際に、画素値が変換された小領域を構成する画素全体の画素値を、変換された画素値を元に戻す変換である復号する手法と比較して、極小領域を構成する画素についてのみ画素値を変換するので、変換する領域が小さくなり、その結果、例えば、白黒反転処理等により生じる黒画素の増加を抑えることができ、印刷時に発生するにじみを減少させ、綺麗な復号を実現できる暗号化画像(処理後画像における極量領域の画素値を変換した画像)を作成することが可能である。
【0119】
例えば、暗号化画像の印刷を行い、その後、スキャナ等で取り込んだ暗号化画像を復号する際には、画素値の変換を行った領域について再度変換を行ったとしても、完全に元の画像を復元することはできない。本手法を適用することにより、スキャナ等で取り込んだ暗号化画像を復号する際に、画素値の変換を行う必要がある領域を小さくすることができ、正確な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0120】
また、この画像処理装置は、暗号化画像を復号する際には、変換する際に用いられた演算手法を一意に特定することができ、正確な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0121】
例えば、従来の手法においては、変換された画素値を復号する際に、暗号化画像における極小領域を構成する画素値からは、当該画素値を変換した際に用いた演算手法を必ずしも一意に特定できるわけではなく、正確な復号を実現できる暗号化画像を作成することができなかった。
【0122】
さらに、具体的に例をあげて説明すると、従来の手法においては、装置は、図19の(1)に示す画像を暗号化した図19の(2)に示す暗号化画像を、当該暗号化画像がデジタルデータのままであれば、完全に元の画像に復元することが可能である。一方、当該暗号化画像が印刷されてスキャナ等で取り込んだ暗号化画像である場合には、当該暗号化画像を構成する画素各々の画素値がデジタルデータと(印刷されてスキャナ等で取り込まれる前のデータと)異なっており、図19の(3)に示すように、完全に元の画像に復元することはできなかった。なお、図19は、実施例1における画像処理装置による効果を説明するための図である。
【0123】
これに対して、この画像処理装置は、画素値変換を極小領域のみとし、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から演算手法を決定するので、印刷時に発生するにじみを減少させ、さらに変換する際に用いられた演算手法を一意に特定することができ、図19の(4)に示すように、正確な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0124】
例えば、この画像処理装置は、白黒画像だけではなく、グレースケール画像やカラー画像に対しても適用することが可能である。例えば、図19の(5)に示す画像は、白黒画像を暗号化した暗号化画像であり、図19の(6)に示す画像は、カラー画像を暗号化した暗号化画像である。このように、従来方式では中間画素値(灰色)の画素値反転がほとんど変化しなかったのに対して(図23参照)が、境界マーカ部分の画素値が変化させることが可能である。
【0125】
同様に、カラー画像を用いた例を用いて説明する。図19の(7)に示すカラー画像を印刷しスキャナで取り込んだ画像を復号した場合に、図19の(8)に示すように、従来方式により復号した画像の画質と比較して、図19の(9)に示すように、この画像処理装置により復号した画像の画質が向上している。
【0126】
すなわち、この画像処理装置によれば、画素値を変換する方法が一定ではなく、極小領域毎に決定されるため、白黒、カラー問わず画像の暗号化・復号化を行うことが可能である。また、画素値を変換する領域が極小(小さい)領域であるため、印刷時ににじみやかすれが発生した場合でも、綺麗に暗号化画像を復号することが可能である。
【0127】
また、この画像処理装置は、極小領域の近傍の領域を構成する所定の画素について算出される統計的性質から演算手法を決定し、画素値を変換するので、暗号化画像を復号する際には、変換する際に用いられた演算手法を一意に特定することができ、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0128】
また、この画像処理装置は、画素値を可逆的に変換する演算手法を用いて当該画素値を変換するので、暗号化画像がアナログデータに変換されずに(例えば、印刷されずに、デジタルデータのまま)扱われた場合に、変換された極小領域を構成する画素各々の画素値を復号する際に、変換前の画素値に完全に逆変換することが可能である。
【0129】
また、この画像処理装置は、画素値を非可逆的に変換する演算手法を用いて当該画素値を変換するので、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0130】
例えば、暗号化画像を印刷する場合に、暗い画素(黒画素に近い画素)はインクやトナーの影響でにじみやかすれを発生させる要因となる。ここで、本画像処理装置は、画素値変換時に、非可逆的な手法の一つとして、変換後の画素値が暗い画素になる場合を少なく設定する演算手法を用いて、変換後の画素値が明るい画素(白画素に近い画素)になるように変換を実行することで、境界マーカのにじみやかすれを抑制し、境界マーカの検出精度を向上させることができる。その結果、綺麗な復号を実現できる暗号化画像を作成することが可能である。
【0131】
すなわち、この画像処理装置は、画素値を変換する方法をとして、可逆変換や非可逆変換を使い分けることにより、ビット一致が必要な場合や検出精度を高くしたい場合など、様々な用途に応じた暗号化画像を作成することが可能である。
【0132】
また、画素は一つまたは複数の色を示す成分である色成分として、白黒画像の場合は白黒成分、カラー画像の場合は赤色を示す赤成分と、緑色を示す緑成分と、青色を示す青成分と、によって示され、当該色成分各々は、画素値を有するものであって、この画像処理装置は、極小領域を構成する当該画素各々が有する色成分の内、一部または全てについて画素値を変換するので、例えば、すべての色成分について画素値を変換するのではなく、視覚的な影響(変化)が大きい色成分のみ(例えば、緑成分のみなど)について変換を実行することにより、画素変換処理の負荷を軽減し、変換処理を迅速に実行することが可能である。
【0133】
また、この画像処理装置は、暗号化画像から、画素値が変換された当該極小領域各々の位置を検出し、検出した極小領域各々について、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定される演算手法を特定し、当該演算手法により変換された画素値を変換前の画素値へと変換する復号を実行する際に用いる演算手法である復号演算手法を決定し、当該極小領域を構成する画素について画素値を復号し、検出した極小領域各々によって識別される小領域各々について、暗号鍵を用いて並び替えられる前の画像内における当該小領域各々の位置に、小領域各々を並べ替えるので、綺麗な復号を実現できる暗号化画像から復号(並び替え)を実行することが可能である。
【0134】
また、この画像処理装置は、検出した画素値が変換された極小領域の画素値を、当該極小領域の近傍領域を構成する画素の統計的性質により算出される画素値を用いて、当該極小領域を構成する画素各々について画像補間を実行するので、変換した画素値を補間により復元することで、印刷された暗号化画像を綺麗に復号することが可能である。
【実施例2】
【0135】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、図20と図21とを用いて、異なる実施例について説明する。なお、図20は、実施例2における画像処理装置の特長の一つを示すための図である。図21は、実施例2における画像処理装置の特長を示すための数式を示すための図である。
【0136】
[チェック用マーカ]
実施例1では、画素値変換部106が、境界マーカをすべての小領域について作成する(極小領域を構成する画素について画素値を変換する)手法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画素値変換部106が、一部の小領域のみについて境界マーカを作成してもよい。また、その際には、画素値変換部106は、境界マーカを、一部の小領域についてのみ作成するともに、特願2006−999301で示されるような暗号化画像の復号化の妥当性を検証するための特定のチェック用マークを付加しても良い。また、印刷時に暗号化した領域を検出しやすくするため、図20(1)で示されるような位置検出マーカを図20(2)に示すように暗号化する領域の四隅に付加してもよい。
【0137】
また、この際には、暗号化領域検出部203は、暗号化する領域に位置検出マーカを付加している場合には、パターンマッチングや図形の連結性に関する解析など一般的な画像認識技術を用いて、暗号化画像から位置検出マーカを検出し、暗号化された領域を検出してもよい。
【0138】
[画素値変換]
また、実施例1では、画素値を変換する手法として、図6に示すように、局所領域以外の所定の画素の画素値に応じて、「画素値反転」と、「画素値シフト」とを使い分ける手法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図6に示す例を用いて説明すると、入力画像が白黒画像の場合に、「Pmax=1」、「Pmin=0」、「T0=T1=0.5」と設定し、「画素値反転」のみを行うように変換方法を設定してもよい。また、白黒画像の場合は近傍領域の平均値を計算する必要が無く、従来方式と同様の方式で画素値変換を行っても良い。
【0139】
また、実施例1では、画素の成分(例えば、赤成分と、青成分と、緑成分と)を、そのまま変換する手法について場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画素の成分を、一度他の成分に変換して、その後、画素値を変換してもよい。
【0140】
具体的には、画素は、明るさの程度を示す輝度成分と、当該輝度成分から色成分を引いた値を示す色差成分と、によって示され、当該輝度成分と色差成分とは、それぞれ画素値を有するものである場合に、画素変換部は、極小領域を構成する画素各々について、当該画素が有する輝度成分と色差成分との内、一部または全てについて、画素値を変換する。
【0141】
例えば、画素変換部は、図21の(式6)に示すように、画素の成分(例えば、赤成分と、青成分と、緑成分と)から、輝度値と色差成分とに変換する。なお、ここで、図21に示すように、「R」は赤成分を示し、「G」は緑成分を示し、「B」は青成分を示し、「Y」は輝度成分を示し、「U」と「V」とは色差成分を示す。
【0142】
ここで、画素変換部は、赤成分と青成分と緑成分とから変換して得られる輝度値と色差成分とについて、画素値を変換し、その後、図21の(式7)に示すように、変換した輝度値Yを1つの画素値として計算し、赤成分と青成分と緑成分とに変換してもよい。
【0143】
これにより、実施例2に係る画像処理装置は、例えば、色成分から輝度成分と色差成分とに変換して、輝度成分や色差成分における画素値を変換することにより、十分な視覚的な変化を、小さな画素値の変換により実現することができ、画素変換処理の負荷を軽減し、変換処理を迅速に実行することが可能である。
【0144】
また、例えば、色成分の画素値を変換する場合には、十分な視覚的な変化を実現できない場合や、色成分の画素値を変化して十分な視覚的な変化を実現する際には、色成分の画素値を大きく変換する必要がある場合に、輝度成分や色差成分を変換することにより、十分な視覚的な変化を、小さな画素値の変換により実現することができ、画素変換処理の負荷を軽減し、変換処理を迅速に実行することが可能である。
【0145】
[演算手法決定手法]
また、実施例1では、極小領域の画素の各々を変換する際に、演算手法を、当該極小領域近傍の領域を構成する画素の画素値に基づいて決定する手法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当該小領域に隣接する小領域の平均画素値に基づいて決定してもよい。
【0146】
[警告]
また、実施例1では、暗号化画像を作成する際に、暗号化する領域が不適切(例えば、サイズなど)な場合に、警告を行うか否かについて言及しなかったが、本発明はこれに限定されるものではなく、警告を行っても良い。
【0147】
具体的には、実施例2に係る画像処理装置は、画像変換部105によって、所定の大きさを有する所定の数の小領域に、暗号化する領域を分割できない場合に(例えば、小領域の大きさが予め規定されている場合に、所定の数以上の小領域を作成する大きさがない場合に)、その旨の警告を行い。また、画像変換部105によって分割された小領域の内、当該小領域を構成する画素各々の画素値が同一である当該小領域が所定の数以上ある場合に、その旨の警告を行う。
【0148】
例えば、暗号化領域内の複数の小領域の数をN、それぞれの小領域で完全に同じパターン(例えば、小領域内部が全て白画素、全て黒画素となるパターン)となる数をNbとすると、画素変換で作成される暗号化画像の組み合わせ数は図21の(式8)により表われる。この結果、暗号鍵の長さ(ビット)が、図21の(式9)により表される必要が生じる。
【0149】
このため、実施例2に係る画像処理装置は、例えば、画像変換部105の直前に、暗号鍵の長さが図21の(式9)で示される値以下であることをチェックし、鍵の長さが図21の(式9)を満たさない場合に、暗号化領域を広くするまたは暗号化できないことを促す警告メッセージを出す。具体的な一例をあげて説明すると、暗号化時に指定した暗号化領域が極端に小さくて所定の数以上の小領域を作成できない場合や、暗号化領域が大きくても暗号化領域が単純すぎる場合(小領域が完全に一致するパターンが多すぎる場合)に、実施例2に係る画像処理装置は、警告を行う。
【0150】
例えば、画像の大きさが小さすぎる場合や、画像が単色で構成されている等で暗号化に適さない場合に、暗号化領域を広くする旨の警告メッセージや、暗号化できないことを促す警告メッセージを行うことが可能である。
【0151】
ここで、このような警告を行う意義についてさらに説明する。これは、暗号化する領域を分割した際に作成された小領域の数が、極端に少ない場合に、正しくない復号鍵により暗号化画像が復元されてしまう場合がある。また、暗号化した領域が単色で構成されている場合、そもそも暗号化する意味は無い。このような場合に、実施例2に係る画像処理装置は、警告を行うことによって、十分なセキュリティーの程度を有する暗号化画像を作成し、また、無駄な処理を省くことを実現することが可能である。
【0152】
[実施例の組み合わせについて]
実施例1においては、(1)極小領域を構成する画素について画素値を変更する手法と、(2)極小領域の近傍領域を構成する画素を用いて、演算手法を選択する手法と、(3)可逆的に変更する演算手法を用いる手法と、(4)非可逆的に変更する演算手法を用いる手法と、(5)画素成分の一部またはすべてを用いて画素値を変換する手法と、(6)画像補間する手法と、を併せて実施する手法について説明し、実施例2においては、(7)画素成分を他のパラメータに変換して画素値を変換する手法と、(8)警告を発する手法とを実施する手法について説明した。
【0153】
しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、上記した手法の内、一部、またはすべてを併せて実施してもよい。例えば、(1)極小領域を構成する画素について画素値を変更する手法についてのみ実施してもよい。
【0154】
具体的に例をあげて説明すると、画像処理装置は、処理対象である画像を複数の小領域に分割し、分割された複数の当該小領域を当該小領域各々の当該画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替え、小領域が並び替えられた当該画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、画素値を変換する。これにより、例えば、綺麗な復号を実現できる変換後画像を作成することが可能である。
【0155】
具体的には、小領域を構成する画素全体について画素値を変換し、復号する際に、画素値が変換された小領域を構成する画素全体の画素値を、変換された画素値を元に戻す変換である逆変換する手法と比較して、極小領域を構成する画素についてのみ画素値を変換するので、変換する領域が小さくなり、その結果、例えば、白黒反転処理等により生じる黒画素の増加を抑えることができ、印刷時に発生するにじみを減少させ、綺麗な復号を実現できる変換後画像(処理後画像における極小領域の画素値を変換した画像)を作成することが可能である。
【0156】
また、例えば、変換後画像の印刷を行い、その後、スキャナ等で取り込んだ変換後画像を復号する際には、画素値の変換を行った領域について再度変換を行ったとしても、完全に元の画像を復元することはできない。本手法を適用することにより、スキャナ等で取り込んだ変換後画像を復号する際に、画素値の変換を行う必要がある領域を小さくすることができ、綺麗な復号を実現できる変換後画像を作成する。
【0157】
[プログラム]
ところで、上記実施例1では、ハードウェアロジックによって各種の処理を実現する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現するようにしてもよい。そこで、以下では、図22を用いて、上記の実施例1に示した画像処理装置と同様の機能を有する画像処理プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。なお、図22は、実施例1における画像処理装置のプログラムを説明するための図である。
【0158】
同図に示すように、実施例1における画像処理装置は、操作部3001、マイク3002、スピーカ3003、ディスプレイ3005、通信部3006、CPU3010、ROM3011、HDD3012、RAM3013をバス3009などで接続して構成されている。
【0159】
ROM3011には、上記の実施例1で示した画像入力部101と、暗号鍵入力部102と、変換方法選択部103と、暗号化領域指定部104と、画像変換部105と、画素値変換部106と、暗号化画像出力部107と同様の機能を発揮する制御プログラム、つまり、同図に示すように、画像入力プログラム3011aと、暗号鍵入力プログラム3011bと、変換方法選択プログラム3011cと、暗号化領域指定プログラム3011dと、画像変換プログラム3011eと、画素値変換プログラム3011fと、暗号化画像出力プログラム3011gと、が予め記憶されている。なお、これらのプログラム3011a〜3011gについては、図3に示した画像処理装置の各構成要素と同様、適宜統合または分離してもよい。
【0160】
そして、CPU3010が、これらのプログラム3011a〜3011gをROM3011から読み出して実行することにより、図22に示すように、各プログラム3011a〜3011gについては、画像入力プロセス3010aと、暗号鍵入力プロセス3010bと、変換方法選択プロセス3010cと、暗号化領域指定プロセス3010dと、画像変換プロセス3010eと、画素値変換プロセス3010fと、暗号化画像出力プロセス3010gとして機能するようになる。なお、各プロセス3010a〜3010gは、図3に示した、画像入力部101と、暗号鍵入力部102と、変換方法選択部103と、暗号化領域指定部104と、画像変換部105と、画素値変換部106と、暗号化画像出力部107とにそれぞれ対応する。
【0161】
そして、CPU3010は、RAM3013に格納されたデータを用いて、画像処理プログラムを実行する。
【0162】
[その他]
なお、本実施例で説明した画像処理装置は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0163】
(付記1)画像処理を行う画像処理装置を制御する方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムであって、処理対象である画像を複数の小領域に分割する分割手順と、
前記分割手順によって分割された複数の前記小領域を前記小領域各々の前記画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える並び替え手順と、前記並び替え手順によって前記小領域が並び替えられた前記画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、当該極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定し、画素値を変換する変換手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【0164】
(付記2)前記変換手順は、前記極小領域の近傍の領域を構成する前記所定の画素について算出される統計的性質から前記演算手法を決定し、画素値を変換することを特徴とする付記1に記載の画像処理プログラム。
【0165】
(付記3)前記変換手順は、前記画素値を可逆的に変換する前記演算手法を用いて当該画素値を変換することを特徴とする付記1または2に記載の画像処理プログラム。
【0166】
(付記4)前記変換手順は、前記画素値を非可逆的に変換する前記演算手法を用いて当該画素値を変換することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の画像処理プログラム。
【0167】
(付記5)前記画素は一つまたは複数の色を示す成分である色成分で示され、赤色を示す赤成分と、緑色を示す緑成分と、青色を示す青成分と、によって示され、当該色成分各々は、画素値を有するものであって、前記変換手順は、前記極小領域を構成する当該画素各々が有する前記色成分の内、一部または全てについて画素値を変換することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の画像処理プログラム。
【0168】
(付記6)前記画素は、明るさの程度を示す輝度成分と、当該輝度成分から前記色成分を引いた値を示す色差成分と、によって示され、当該輝度成分と色差成分とは、それぞれ画素値を有するものであって、前記変換手順は、前記極小領域を構成する画素各々について、当該画素が有する前記輝度成分と色差成分との内、一部または全てについて、画素値を変換することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の画像処理プログラム。
【0169】
(付記7)前記分割手順によって、所定の大きさを有する所定の数の前記小領域に処理対象となる前記画像を分割できない場合に、その旨の警告を行う第1の警告手順と、前記分割手順によって分割された前記小領域の内、当該小領域を構成する画素各々の画素値が同一である当該小領域が所定の数以上ある場合に、その旨の警告を行う第2の警告手順と、をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の画像処理プログラム。
【0170】
(付記8)画像処理を行う画像処理装置を制御する方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムであって、複数の小領域に分割され、分割された複数の前記小領域を前記画像内において並べ替えられた処理後画像において、前記極小領域を構成する画素について画素値を変換され、前記極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定された変換後画像から、画素値が変換された当該極小領域各々の位置を検出する検出手順と、前記検出手順によって検出された前記極小領域各々について、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定される前記演算手法を特定し、当該演算手法により変換された画素値を変換前の画素値へと変換する復号を実行する際に用いる演算手法である復号演算手法を決定し、当該極小領域を構成する画素について画素値を復号する復号手順と、前記検出手順によって検出された前記極小領域各々によって識別される前記小領域各々について、前記暗号鍵を用いて並び替えられる前の前記画像内における当該小領域各々の位置に、前記小領域各々を並べ替える逆並べ替え手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【0171】
(付記9)前記検出手順によって検出された前記画素値が変換された前記極小領域の画素値を、当該極小領域の前記近傍領域を構成する前記画素の統計的性質により算出される画素値を用いて、当該極小領域を構成する画素各々について画像補間を実行する補間手順と、をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記8に記載の画像処理プログラム。
【0172】
(付記10)前記検出手順によって位置が検出される前記変換後画像は、複数の小領域に分割され、分割された複数の前記小領域を前記画像内において並べ替えられ、極小領域を構成する画素について画素値を変換された後に、印刷され、かつ、印刷された画像がデジタルデータとして入力された画像であることを特徴とする付記8または9に記載の画像処理プログラム。
【0173】
(付記11)画像処理を行う画像処理装置であって、処理対象である画像を複数の小領域に分割する分割手段と、前記分割手段によって分割された複数の前記小領域を前記小領域各々の前記画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える並び替え手段と、前記並び替え手段によって前記小領域が並び替えられた前記画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、画素値を変換する変換手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【0174】
(付記12)画像処理を行う画像処理方法であって、処理対象である画像を複数の小領域に分割する分割工程と、前記分割工程によって分割された複数の前記小領域を前記小領域各々の前記画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える並び替え工程と、前記並び替え工程によって前記小領域が並び替えられた前記画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、画素値を変換する変換工程と、を含んだことを特徴とする画像処理方法。
【0175】
(付記13)画像処理を行う画像処理システムであって、画像処理を行う第1の画像処理装置は、処理対象である画像を複数の小領域に分割する分割手段と、前記分割手段によって分割された複数の前記小領域を前記小領域各々の前記画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える並び替え手段と、前記並び替え手段によって前記小領域が並び替えられた前記画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、画素値を変換する変換手段と、を備え、画像処理を行う第2の画像処理装置は、前記処理後画像において、前記変換手段によって前記極小領域を構成する画素について画素値を変換され、前記極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定された変換後画像から、画素値が変換された当該極小領域各々の位置を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記極小領域各々について、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定される前記演算手法を特定し、当該演算手法により変換された画素値を変換前の画素値へと変換する復号を実行する際に用いる演算手法である復号演算手法を決定し、当該極小領域を構成する画素について画素値を復号する復号手段と、前記検出手段によって検出された前記極小領域各々によって識別される前記小領域各々について、前記暗号鍵を用いて並び替えられる前の前記画像内における当該小領域各々の位置に、前記小領域各々を並べ替える逆並べ替え手段と、を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】実施例1における画像処理装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1を説明するために用いる数式を示すための図である。
【図3】実施例1における暗号化する画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施例1に係る入力画像の一例を示すための図である。
【図5】実施例1に係る暗号鍵の一例を示すための図である。
【図6】実施例1に係る演算方法を説明するための図である。
【図7】実施例1に係る暗号化領域指定部を説明するための図である。
【図8】実施例1に係る画像変換部を説明するための図である。
【図9】実施例1に係る画像変換部を説明するための図である。
【図10】実施例1に係る画素値変換部を説明するための図である。
【図11】実施例1に係る画素値変換部を説明するための図である。
【図12】実施例1における復号する画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施例1に係る暗号化画像の一例を示すための図である。
【図14】実施例1に係る暗号化領域検出部を説明するための図である。
【図15】実施例1に係る暗号化位置検出部を説明するための図である。
【図16】実施例1に係る画素値復元部を説明するための図である。
【図17】実施例1における暗号化する画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】実施例1における復号化する画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】実施例1における画像処理装置による効果を説明するための図であるである。
【図20】実施例2における画像処理装置の特長の一つを示すための図である。
【図21】実施例2における画像処理装置の特長を示すための数式を示すための図である。
【図22】実施例1における暗号化する画像処理装置のプログラムを示すための図である。
【図23】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0177】
101 画像入力部
102 暗号鍵入力部
103 変換方法選択部
104 暗号化領域指定部
105 画像変換部
106 画素値変換部
107 暗号化画像出力部
201 暗号化画像入力部
202 復号鍵入力部
203 暗号化領域検出部
204 暗号化位置検出部
205 復号方法選択部
206 画素値復元部
207 画像逆変換部
208 復元化画像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理を行う画像処理装置を制御する方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムであって、
処理対象である画像を複数の小領域に分割する分割手順と、
前記分割手順によって分割された複数の前記小領域を前記小領域各々の前記画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える並び替え手順と、
前記並び替え手順によって前記小領域が並び替えられた前記画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、当該極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定し、画素値を変換する変換手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項2】
前記変換手順は、前記極小領域の近傍の領域を構成する前記所定の画素について算出される統計的性質から前記演算手法を決定し、画素値を変換することを特徴とする請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
前記変換手順は、前記画素値を可逆的に変換する前記演算手法を用いて当該画素値を変換することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記変換手順は、前記画素値を非可逆的に変換する前記演算手法を用いて当該画素値を変換することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
前記画素は色を示す成分である1つまたは複数の色成分として、当該色成分各々は、画素値を有するものであって、
前記変換手順は、前記極小領域を構成する当該画素各々が有する前記色成分の内、一部または全てについて画素値を変換することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像処理プログラム。
【請求項6】
画像処理を行う画像処理装置を制御する方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムであって、
複数の小領域に分割され、分割された複数の前記小領域を前記画像内において並べ替えられた処理後画像において、前記極小領域を構成する画素について画素値を変換され、前記極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定された変換後画像から、画素値が変換された当該極小領域各々の位置を検出する検出手順と、
前記検出手順によって検出された前記極小領域各々について、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定される前記演算手法を特定し、当該演算手法により変換された画素値を変換前の画素値へと変換する復号を実行する際に用いる演算手法である復号演算手法を決定し、当該極小領域を構成する画素について画素値を復号する復号手順と、
前記検出手順によって検出された前記極小領域各々によって識別される前記小領域各々について、前記暗号鍵を用いて並び替えられる前の前記画像内における当該小領域各々の位置に、前記小領域各々を並べ替える逆並べ替え手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項7】
前記検出手順によって検出された前記画素値が変換された前記極小領域の画素値を、当該極小領域の前記近傍領域を構成する前記画素の統計的性質により算出される画素値を用いて、当該極小領域を構成する画素各々について画像補間を実行する補間手順と、
をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項6に記載の画像処理プログラム。
【請求項8】
画像処理を行う画像処理装置であって、
処理対象である画像を複数の小領域に分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された複数の前記小領域を前記小領域各々の前記画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える並び替え手段と、
前記並び替え手段によって前記小領域が並び替えられた前記画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、画素値を変換する変換手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
画像処理を行う画像処理方法であって、
処理対象である画像を複数の小領域に分割する分割工程と、
前記分割工程によって分割された複数の前記小領域を前記小領域各々の前記画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える並び替え工程と、
前記並び替え工程によって前記小領域が並び替えられた前記画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、画素値を変換する変換工程と、
を含んだことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
画像処理を行う画像処理システムであって、
画像処理を行う第1の画像処理装置は、
処理対象である画像を複数の小領域に分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された複数の前記小領域を前記小領域各々の前記画像内における位置を一意に指定する暗号鍵を用いて、当該暗号鍵によって指定される位置へと並べ替える並び替え手段と、
前記並び替え手段によって前記小領域が並び替えられた前記画像である処理後画像において、当該小領域内の一部領域である極小領域を構成する画素について、画素値を変換する変換手段と、
を備え、
画像処理を行う第2の画像処理装置は、
前記処理後画像において、前記変換手段によって前記極小領域を構成する画素について画素値を変換され、前記極小領域を構成する画素について画素値を変換する際に用いる演算手法を、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定された変換後画像から、画素値が変換された当該極小領域各々の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記極小領域各々について、当該極小領域を構成する画素以外の所定の画素から決定される前記演算手法を特定し、当該演算手法により変換された画素値を変換前の画素値へと変換する復号を実行する際に用いる演算手法である復号演算手法を決定し、当該極小領域を構成する画素について画素値を復号する復号手段と、
前記検出手段によって検出された前記極小領域各々によって識別される前記小領域各々について、前記暗号鍵を用いて並び替えられる前の前記画像内における当該小領域各々の位置に、前記小領域各々を並べ替える逆並べ替え手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2009−232129(P2009−232129A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74671(P2008−74671)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】