説明

画像処理装置およびプログラム

【課題】内部記憶装置や専用の外部記憶装置を用いることなく、画像データの保存と保存した画像データの出力とを行うことができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】複合機10は、BOXを管理するための情報を登録するBOX管理テーブル30に、メールサーバ内のメールボックスに対応する仮想BOXを登録し、そのメールボックス(メールアカウント)に対応する電子メールの送受信に必要な送信用情報および受信用情報を仮想BOXに関連付けて登録する。画像データの外部保存指示を受けた場合には、その画像データを電子メールに添付した画像添付メールを送信用情報を用いてメールサーバに送信し画像データの外部保存を行う。外部保存が行われた画像データの出力指示を受けた場合には、受信用情報を用いてメールサーバから画像添付メールを受信し、画像データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データの保存と保存した画像データの出力とを行う画像処理装置、およびその画像処理装置に用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの画像処理装置では、原稿のスキャンや通信相手からの受信などによって入力された画像データを内蔵のハードディスク装置に保存しておき、その内部保存した画像データをユーザの指示により読み出して出力できる機能や、入力された画像データを外部記憶装置に送信して保存しておき、その外部保存した画像データをユーザの指示により受信して出力できる機能が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
画像データの外部保存に関しては、画像データ(イメージデータ)を電子メール形式(メールフォーマット)に変換し、所定のプロトコル(電子メールプロトコル)に従いネットワーク上の特定者のメール装置(ユーザの端末装置)に送信して保存する技術がある(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
また、電子メールの受信に関しては、複数のユーザに共用されるインターネットファクシミリ端末装置において、登録されている全ユーザのメールIDおよびパスワードを用いて電子メールサーバから全ユーザの電子メールに関する情報(メッセージ情報)を取得して出力すると共に、ユーザの指示によりそのユーザ宛ての電子メールのみを受信して印刷する技術、すなわち、複数のユーザに共用される装置でユーザ毎に電子メールの受信および印刷を行う技術がある(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−150882号公報
【特許文献2】特開平11−53527号公報
【特許文献3】特開2002−7264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像データの内部保存は、ハードディスク装置を搭載していない低価格の画像処理装置などでは利用することができない。また、従来の画像データの外部保存は、専用の外部記憶装置が必要となりコストが嵩んでしまう。
【0007】
電子メール形式に変換した画像データをネットワーク上のユーザの端末装置に送信して保存する場合は、ユーザが端末装置を操作して画像データを画像処理装置に送信(返信)しない限り、画像処理装置は端末装置から画像データを受信することができない。そのため、端末装置への画像データの外部保存は可能でも、画像処理装置がユーザの指示により端末装置から画像データを受信して出力することは不可能である。
【0008】
複数のユーザに共用されるインターネットファクシミリ端末装置がユーザの指示で電子メールの受信および印刷をユーザ毎に行う技術は、他の装置から送信されたユーザ宛の電子メールを受信して印刷するものであり、この技術を画像データの外部保存に利用することはできない。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、内部記憶装置や専用の外部記憶装置を用いることなく、画像データの保存と保存した画像データの出力とを行うことができる画像処理装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0011】
[1]画像データを入力する入力部と、
画像データを出力する出力部と、
ネットワークに接続して通信を行う通信部と、
前記ネットワークに接続された電子メールサーバとの前記通信部を通じた電子メールの送受信に係る処理を行う電子メール処理部と、
電子メールの送信に必要な送信用情報を入力する送信用情報入力部と、
前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を用いて送信された電子メールの受信に必要な受信用情報を入力する受信用情報入力部と、
前記受信用情報入力部から入力された受信用情報を記憶する記憶部と、
操作部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
画像データの保存指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記入力部から入力された画像データを添付した電子メールである画像添付メールを前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を用いて電子メールサーバに送信させて、該画像データの外部保存を行い、
前記外部保存が行われた画像データの出力指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記記憶部に記憶されている受信用情報を用いて電子メールサーバから画像添付メールを受信させ、前記出力部に該画像添付メールに添付されている画像データを出力させる
ことを特徴とする画像処理装置。
【0012】
上記発明では、電子メールの送信に必要な送信用情報の入力と、その送信用情報を用いて送信された電子メールの受信に必要な受信用情報の入力とを受け付け、入力された受信用情報は記憶しておく。入力された画像データの保存指示を受けると、その画像データを添付した電子メールである画像添付メールを、入力された送信用情報を用いて電子メールサーバに送信することにより、電子メールサーバを利用した画像データの外部保存を行う。外部保存が行われた画像データの出力指示を受けると、記憶されている受信用情報を用いて電子メールサーバから画像添付メールを受信し、この画像添付メールに付加されている画像データを出力する。
【0013】
これにより、内部記憶装置や専用の外部記憶装置を用いることなく、電子メールサーバを利用して画像データの保存と保存した画像データの出力とを行うことができる。
【0014】
[2]前記制御部は、前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を、該送信用情報を用いて送信された電子メールの受信に必要な受信用情報に関連付けて前記記憶部に記憶し、
前記電子メール処理部は、前記記憶部に記憶されている送信用情報を前記画像添付メールの送信に用いる
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
【0015】
上記発明では、入力された送信用情報を記憶しておくことで繰り返し使用することができる。これにより、同じ送信用情報を再入力する手間が省けて利便性が向上する。
【0016】
[3]画像データを保存する保存部を備え、
前記制御部は、前記外部保存の選択と前記保存指示を受けた場合には前記外部保存を行い、内部保存の選択と前記保存指示を受けた場合には前記外部保存を行わずに前記入力部から入力された画像データを前記保存部に保存する内部保存を行う
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像処理装置。
【0017】
上記発明では、画像データを電子メールサーバに保存する外部保存または画像処理装置内の保存部に保存する内部保存のいずれかが選択されて行われる。選択は、操作部での操作による手動選択と、操作部での操作によらない自動選択とを含む。
【0018】
[4]前記外部保存の選択は、前記送信用情報が入力されていることであり、
前記内部保存の選択は、前記送信用情報が入力されていないことである
ことを特徴とする[3]に記載の画像処理装置。
【0019】
上記発明では、送信用情報の入力と保存指示を受けた場合には外部保存を行い、送信用情報の非入力と保存指示を受けた場合には外部保存を行わずに内部保存を行う。すなわち、送信用情報が入力されているか否かに応じて外部保存と内部保存を切り替える。送信用情報を受信用情報に関連付けて記憶する[2]との組み合わせでは、送信用情報の記憶状態で保存指示を受けた場合には外部保存を行い、送信用情報の非記憶状態で保存指示を受けた場合には外部保存を行わずに内部保存を行う。すなわち、送信用情報が入力されて記憶されているか否かに応じて外部保存と内部保存を切り替える(自動選択)。
【0020】
[5]前記制御部は、前記内部保存を行う画像データが前記保存部に保存できないと判断した場合には前記外部保存への切り替えを前記操作部で受け付ける
ことを特徴とする[3]または[4]に記載の画像処理装置。
【0021】
上記発明では、内部保存を行う画像データが保存部に保存できない場合は、操作を継続して外部保存に切り替えることができる。この内部保存が不可となる場合は、たとえば、保存部の残容量が不足した場合(保存部の残容量が画像データの容量よりも小さい場合)、保存部にトラブルが発生した場合などを含む。外部保存への切り替えは、外部保存を行うための設定(外部保存を行うための新たな保存場所の設定)、既存の保存場所の選択、保存指示などを含む。この外部保存への切り替えに伴い、外部保存の提案(推奨)を行う、あるいは、内部保存のキャンセルを操作部で受け付けるなどしてもよい。
【0022】
これにより、画像データの内部保存を行えない場合は簡単な操作で外部保存に切り替えることができる。
【0023】
[6]前記制御部は、画像データ保存用のフォルダを前記保存部内に作成する作成指示を前記操作部で受け付け、
前記作成指示を受けたときに、前記保存部内に新たなフォルダを作成できないと判断した場合には前記外部保存への切り替えを前記操作部で受け付ける
ことを特徴とする[3]〜[5]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0024】
上記発明では、画像データ保存用のフォルダ(内部保存用のフォルダ)を保存部内に新たに作成できない場合は、操作を継続して外部保存に切り替えることができる。このフォルダの新規作成が不可となる場合は、たとえば、保存部の残容量が不足した場合(保存部の残容量が所定の容量よりも少ない場合)、保存部にトラブルが発生した場合などを含む。外部保存への切り替えは、外部保存を行うための設定(外部保存を行うための新たな保存場所(外部保存用のフォルダ)の設定)を含む。この外部保存への切り替えに伴い、外部保存を行うための設定の提案(推奨)を行う、あるいは、内部保存用のフォルダの作成のキャンセルを操作部で受け付けるなどしてもよい。
【0025】
これにより、内部保存用のフォルダを新たに作成できない場合は簡単な操作で外部保存に切り替えることができる。
【0026】
[7]前記制御部は、前記外部保存を行う保存場所の識別情報を作成して前記記憶部に記憶し、前記入力された受信用情報を該識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0027】
上記発明では、画像データの外部保存を行う保存場所の画像処理装置内での管理を、識別情報を用いて行う。保存場所は、外部保存を行う画像データが実際に保存される場所である。保存場所は、電子メールサーバと、電子メールサーバ内に設けられた電子メール保管部(メールボックス)とを含む(サーバ単位/保管部単位)。
【0028】
これにより、保存場所の識別が容易となり、保存場所に対する画像処理装置内での管理が容易となる。また、保存場所の識別情報に受信用情報を関連付けることで、受信用情報を用いて受信する画像添付メールの保存場所(受信先)の識別が容易となり、保存場所と受信用情報の対応関係の管理が容易となる。送信用情報を受信用情報に関連付けて記憶する[2]との組み合わせでは、保存場所の識別情報に送信用情報が受信用情報を介して関連付けられることで、送信用情報を用いて送信した画像添付メールの保存場所(送信先)の識別が容易となり、保存場所と送信用情報の対応関係の管理が容易となる。
【0029】
画像データの外部保存または内部保存が選択的に行われる[3]との組み合わせでは、たとえば、内部保存を行うフォルダを識別情報を用いて管理する場合に、内部の保存先(フォルダ)と外部の保存先(保存場所)とを識別情報によって一元管理することが可能となり、保存先全体の管理が容易となる。この場合は、識別情報自体で内外の保存先を識別する、あるいは、識別情報に受信用情報や送信情報が関連付けられているか否かで内外の保存先を識別するなどが可能となる。
【0030】
[8]表示部を備え、
前記電子メール処理部は、前記送信する画像添付メールにその添付した画像データを選択するための選択用情報を付加し、
前記制御部は、前記外部保存が行われた画像データの表示指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記記憶部に記憶されている受信用情報を用いて電子メールサーバから画像添付メールに付加されている選択用情報を受信させ、該選択用情報を前記表示部に表示する
ことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0031】
上記発明では、外部保存が行われた画像データを表示する場合に、画像添付メール(画像データ自体)を受信せずに画像添付メールに付加されている選択用情報を受信すればよいため、表示に掛かる受信の負荷を軽減できる。選択用情報は、たとえば、電子メールのヘッダに付加される件名に付加した画像データ名(ファイル名)、電子メールのヘッダに任意に付加した画像データ名(ファイル名)などを含む。
【0032】
また、外部保存が行われた画像データが複数存在する場合は、それらの画像添付メールに付加されている選択用情報を受信して一覧表示することもできる。また、受信用情報を記憶する[1]および画像データの外部保存または内部保存が選択的に行われる[3]との組み合わせでは、受信用情報の記憶状態で表示指示を受けた場合には、上記の外部保存が行われた画像データ(選択用情報)の一覧表示を行い、受信用情報の非記憶状態で表示指示を受けた場合には、内部保存が行われた画像データ(選択用情報)の一覧表示を行うこともできる。すなわち、受信用情報が記憶されているか否かに応じて、保存されている画像データの表示を外部保存または内部保存に切り替えることもできる。(自動表示切替)。
【0033】
[9]前記制御部は、前記出力指示を受ける画像データの選択を、前記表示部に表示した前記選択用情報に対する前記操作部での選択によって受け付ける
ことを特徴とする[8]に記載の画像処理装置。
【0034】
上記発明では、表示された画像データの選択用情報を確認し、選択せずにその画像データを出力しない、または、選択してその画像データを出力することができる。選択用情報の一覧表示を行う場合には、一覧表示された中から所望の選択用情報を選択してその画像データを出力することができる。
【0035】
また、[8]における受信用情報が記憶されているか否かに応じて、保存されている画像データの表示を外部保存または内部保存に切り替える場合との組み合わせ([1]および[3]も含む組み合わせ)では、選択を受けて出力する画像データを、受信用情報の記憶状態であればその受信用情報を用いて電子メール処理部により電子メールサーバから取得し、受信用情報の非記憶状態であれば保存部から取得することもできる。すなわち、受信用情報が記憶されているか否かに応じて、選択を受けて出力する画像データの取得先を外部保存先(電子メールサーバ)または内部保存先(保存部)に切り替えることもできる。(自動取得切替)。
【0036】
[10]前記選択用情報は、前記画像データのサムネイル画像を含み、
前記電子メール処理部は、前記送信する画像添付メールのヘッダに前記サムネイル画像を付加する
ことを特徴とする[8]または[9]に記載の画像処理装置。
【0037】
上記発明では、画像データのサムネイル画像が選択用情報として表示されるため、画像データ(ファイル)の内容把握と選択が行いやすくなる。また、電子メールサーバ内の電子メールのヘッダ情報は所定のコマンドによって取得でき、画像添付メールのヘッダに付加したサムネイル画像もその所定のコマンドによりヘッダ情報として取得し、抽出することができる。これにより、たとえば、サムネイル画像を画像添付メールのメール本体(メッセージ部)に付加したり、画像添付メールに別添付したりするような場合に比べて、サムネイル画像の取得処理を簡素化できる。
【0038】
[11]前記制御部は、画像データの前記出力を行う画像添付メールを電子メールサーバから削除するか否かの設定を前記操作部で受け付ける
ことを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0039】
上記発明では、画像データの出力のために受信した画像添付メールを電子メールサーバから削除する場合と、削除せずに保存しておく場合とを設定で切り替えることができる。削除する設定では、画像データの出力のために受信した画像添付メールは電子メールサーバから自動削除される。削除しない設定では、画像データの再出力が可能となる。この外部保存されている画像データ(画像添付メール)の出力に伴う自動削除または継続保存が設定で切り替えられることにより、利便性が向上する。
【0040】
[12]前記制御部は、前記設定の内容を示す削除判断情報を前記受信用情報に関連付けて前記記憶部に記憶し、
前記電子メール処理部は、画像添付メールの前記受信に用いた受信用情報に関連付けられている削除判断情報が削除を示す場合には、該画像添付メールの削除命令を受信先の電子メールサーバに送信する
ことを特徴とする[11]に記載の画像処理装置。
【0041】
上記発明では、外部保存が行われた画像データ(画像添付メール)の出力に伴う削除/非削除の設定の内容を示す削除判断情報を受信用情報に関連付けて記憶し、この削除判断情報に基づいて画像データの削除/非削除を判断し実行する。これにより、外部保存が行われた画像データの削除管理を受信用情報毎(外部保存先毎)に行うことができる。
【0042】
[13]前記電子メール処理部は、前記設定が削除の場合は前記送信を行う画像添付メールに、画像データの前記出力を行う場合に当該画像添付メールを電子メールサーバから削除することを示す削除情報を付加し、前記受信した画像添付メールに前記削除情報が付加されている場合には、該画像添付メールの削除命令を受信先の電子メールサーバに送信する
ことを特徴とする[11]に記載の画像処理装置。
【0043】
上記発明では、外部保存が行われた画像データ(画像添付メール)の出力に伴う削除を示す削除情報を画像添付メールに付加し、この削除情報に基づいて画像データの削除/非削除を判断し実行する。これにより、外部保存が行われた画像データの削除管理を画像添付メール毎(画像データ毎)に行うことができる。
【0044】
[14]前記制御部は、
前記外部保存が行われた画像データを前記ネットワークに接続された他の画像処理装置と共有する共有設定を前記操作部で受けた場合には、前記記憶部に記憶されている受信用情報を前記通信部を通じて前記他の画像処理装置に送信し、
前記ネットワークに接続された他の画像処理装置から前記通信部を通じて受信用情報を受信した場合には、該受信用情報を前記記憶部に記憶し、前記出力指示を受けた場合の画像添付メールの受信に用いる共有受信用情報に設定する
ことを特徴とする[1]〜[13]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0045】
上記発明では、任意の画像処理装置から電子メールサーバに外部保存を行った画像データを他の画像処理装置で共有し出力可能とする場合に、共有元の画像処理装置で共有設定(共有先の画像処理装置に関する情報の入力など)を行うだけで、共有先の画像処理装置でその共有に関する設定(受信用情報の入力とその共有の設定)などを行わなくても自動で設定が行われる(共有受信用情報の設定)。これにより、共有に関する設定が容易になる。
【0046】
[15]前記制御部は、
前記共有設定で共有期限の指定を前記操作部で受けた場合には、前記他の画像処理装置に前記共有期限を示す共有期限情報も送信し、
前記ネットワークに接続された他の画像処理装置から受信用情報と共に共有期限情報を受信した場合には、該共有期限情報を共に受信した受信用情報に関連付けて前記記憶部に記憶し、該共有期限情報が示す共有期限に達した場合には、該共有期限情報と関連付けられている受信用情報の前記共有受信用情報としての設定を解除して該受信用情報と該共有期限情報とを前記記憶部から削除する
ことを特徴とする[14]に記載の画像処理装置。
【0047】
上記発明では、共有先の画像処理装置による共有設定で共有期限を指定した場合は、共有先の画像処理装置では共有期限に達すると自動で共有に関する設定が解除される。これにより、共有に関する設定の解除が容易になる。また、共有先の画像処理装置で不要となった共有に関する設定(共有受信用情報)が蓄積されることも防止できる。
【0048】
[16]前記送信用情報は、電子メールアドレスであり、
前記制御部は、前記送信用情報として入力された電子メールアドレスから前記受信用情報の一部を作成する
ことを特徴とする[1]〜[15]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0049】
上記発明では、送信用情報となる電子メールアドレスを入力すると、受信用情報の一部が自動で作成される。これにより、受信用情報の一部が入力不要となり、受信用情報の入力が容易になる。
【0050】
[17]画像データを入力する入力部と、
画像データを出力する出力部と、
ネットワークに接続して通信を行う通信部と、
前記ネットワークに接続された電子メールサーバとの前記通信部を通じた電子メールの送受信に係る処理を行う電子メール処理部と、
電子メールの送信に必要な送信用情報を入力する送信用情報入力部と、
前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を用いて送信された電子メールの受信に必要な受信用情報を入力する受信用情報入力部と、
前記受信用情報入力部から入力された受信用情報を記憶する記憶部と、
操作部と、
を備えた画像処理装置に、
画像データの保存指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記入力部から入力された画像データを添付した電子メールである画像添付メールを前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を用いて電子メールサーバに送信させて、該画像データの外部保存を行う機能と、
前記外部保存が行われた画像データの出力指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記記憶部に記憶されている受信用情報を用いて電子メールサーバから画像添付メールを受信させ、前記出力部に該画像添付メールに添付されている画像データを出力させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0051】
本発明の画像処理装置およびプログラムによれば、内部記憶装置や専用の外部記憶装置を用いることなく、画像データの保存と保存した画像データの出力とを行うことができる。したがって、内部記憶装置を搭載していない画像処理装置でも、あるいは、コストを掛けて専用の外部記憶装置を設けなくても、画像データの保存および利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置としての複合機による画像データの外部保存と利用の概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機の構成を示すブロック図である。
【図3】複合機による電子メールの受信に係る処理で使用するコマンドの一例を示す図である。
【図4】複合機に記憶されるBOX管理テーブルの構成を示す図である。
【図5】複合機によるBOX作成の動作を示す流れ図である。
【図6】複合機の表示部に表示されたBOX作成用のBOX一覧画面を示す図である。
【図7】複合機の表示部に表示された外部BOX作成提案画面のBOX一覧画面を示す図である。
【図8】複合機の表示部に表示された外部BOX作成画面を示す図である。
【図9】複合機の表示部に表示された外部BOX新規作成時のBOX一覧画面を示す図である。
【図10】複合機によるBOX保存の動作を示す流れ図である。
【図11】複合機の表示部に表示されたBOX保存用のBOX一覧画面を示す図である。
【図12】複合機の表示部に表示された外部BOX保存提案画面を示す図である。
【図13】複合機の表示部に表示された外部BOX作成画面を示す図である。
【図14】複合機の表示部に表示された外部BOX新規作成時のBOX一覧画面を示す図である。
【図15】複合機によるBOX利用の動作を示す流れ図である。
【図16】複合機の表示部に表示されたファイル名によるファイル一覧画面を示す図である。
【図17】ファイル添付メールのヘッダに添付ファイルのファイル名を任意のヘッダ情報として付加した場合を示す図である。
【図18】ファイル添付メールのヘッダに添付ファイルのサムネイル画像を任意のヘッダ情報として付加した場合を示す図である。
【図19】複合機の表示部に表示されたファイル名とサムネイル画像によるファイル一覧画面を示す図である。
【図20】出力後削除判断情報が記憶されたBOX管理テーブルの構成を示す図である。
【図21】ファイル添付メールのヘッダに出力後削除情報を任意のヘッダ情報として付加した場合を示す図である。
【図22】複合機による外部BOX共有の共有元の動作を示す流れ図である。
【図23】複合機の表示部に表示されたBOX設定用のBOX一覧画面を示す図である。
【図24】複合機の表示部に表示された外部BOX共有設定画面を示す図である。
【図25】複合機による外部BOX共有の共有先の動作を示す流れ図である。
【図26】共有BOXが登録されたBOX管理テーブルの構成を示す図である。
【図27】複合機による共有BOX利用の動作を示す流れ図である。
【図28】複合機の表示部に表示されたBOX利用用のBOX一覧画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0054】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置としての複合機(MFP;Multi Function Peripheral/Multi Function Printer)10による画像データ(ファイル)の外部保存と利用の概要を示す図である。本実施形態では、複合機10が会社(オフィス)で使用される場合を例に説明する。
【0055】
社内に構築されたLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などのネットワーク2には、社員用(ユーザ用)の任意台の端末装置4と、社内用のメールサーバ(電子メールサーバ)5と、複数台の複合機10とが接続されている。これらはネットワーク2を通じて互いに通信可能とされている。
【0056】
メールサーバ5は、ネットワーク2を通じてインターネット3に常時接続され、電子メールプロトコルに従い自ネットワーク2内のユーザ(端末装置4および複合機10を含む)に係る電子メールの送信および受信を行うコンピュータである。本実施形態では、自ネットワーク2内のユーザから送られてきた電子メールをその宛先となる自ネットワーク2や他ネットワークのユーザに送信する送信メールサーバとしての機能と、自ネットワーク2内のユーザ宛てに送られてきた電子メールを保管し、ユーザからのメール受信要求に応答する受信メールサーバとしての機能とを兼ね備えている。メールサーバ5は、たとえば、メール送信プロトコルはSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)に対応し、メール受信プロトコルはPOP3(Post Office Protocol 3)に対応しており、メール送信用のSMTPサーバとメール受信用のPOP3サーバの機能を兼ね備えている。
【0057】
同様の機能を備えたメールサーバは、インターネット3上や他のイントラネット(ローカルネットワーク)上にも多数存在している。メールサーバ5は、社内のメールアカウントを用いたユーザによる電子メールの送受信に関与する。詳細には、自ネットワーク2内のユーザ間(自己送受信を含む)による電子メールの送受信は単独で行い、自ネットワーク2内のユーザと他ネットワークのユーザ間による電子メールの送受信はインターネット3上や他のイントラネット上のメールサーバ6、7、8・・・などと通信(連携)して行う。
【0058】
端末装置4は、複合機10に対してネットワーク2を通じてアクセスし、ドキュメントの印刷など各種作業の指示や操作の依頼などを行ったり、電子メールの送受信を行ったりする装置である。たとえば、パーソナルコンピュータ(Personal Computer;PC)に複合機10のドライバプログラム(プリンタドライバ)と電子メールプログラム(メールクライアント)などを組み込んで構成される。
【0059】
複合機10は、原稿の画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり端末装置4へ送信したりするスキャン機能(ファイル保存/ファイル送信)、端末装置4から受信した印刷データに係る画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、画像データを送受信するファクシミリ機能、電子メールを送受信する電子メール機能、コピー、スキャン、プリント、ファクシミリ受信、受信メール添付などで入力された画像データのファイルをBOXと呼ばれるフォルダに保存し、保存したファイルを印刷したり端末装置4へ送信したりして出力(利用)するBOX機能などを備えている。
【0060】
BOX機能には、自機内への保存を行う内部保存機能と、メールサーバを利用して保存を行う外部保存機能とが設けられている。内部保存では、自機内に作成したBOX(フォルダ)にファイルを保存する。外部保存では、メールサーバ内に作成されているユーザのメールボックスを外部保存用のBOXとして利用し、そのメールボックスにファイル(ファイル添付メール(画像添付メール))を保存するようになっている。これらのBOXについては、内部保存用は単に「BOX」または「内部BOX」と称し、外部保存用は「外部BOX」(外部フォルダ)と称して呼び分ける。
【0061】
外部BOXとして利用するのは、社内のメールサーバ5内に設けられたメールボックス5aに限らない。無料電子メールサービスを提供するインターネットサービスプロバイダ(インターネット接続業者)のメールサーバなど、社外のメールサーバ内に設けられたメールボックスも利用可能である。たとえば、複合機10がそのサービス提供者のメールアカウントを用いてそのサービス提供者のメールサーバ6内に設けられたメールボックス6aを外部BOXとして利用する場合には、社内のメールサーバ5を介さずにメールサーバ6とファイル(ファイル添付メール(画像添付メール))をやり取りする。
【0062】
本実施形態では、画像データ(ファイル)の外部保存を行う保存場所(外部保存先)は、メールサーバ内のメールボックスとなる。
【0063】
またBOX機能には、自機の外部BOXを他の複合機10で共有できるようにする外部BOX共有機能が設けられている。共有される外部BOXは「共有BOX」(共有フォルダ)と呼ぶ。
【0064】
図2は、複合機10の構成を示すブロック図である。
【0065】
複合機10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11に、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、不揮発メモリ14と、ファクシミリ通信部15と、ネットワーク通信部16と、スキャナ部17と、画像記憶部18と、画像処理部19と、プリンタ部20と、表示部21と、操作部22と、電子メール処理部23とを接続して構成される。
【0066】
CPU11は、ROM12に格納されているプログラムに基づいて複合機10の動作を制御する。RAM13には、CPU11によって実行される各種プログラムや各種の固定データが記憶されている。RAM13は、CPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。不揮発メモリ14は、電源がオフされても記憶が保持されるメモリであり、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。
【0067】
ファクシミリ通信部15は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する。ネットワーク通信部16は、端末装置4やメールサーバ5などとネットワーク2を通じて通信を行う。
【0068】
スキャナ部17は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部17は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0069】
画像記憶部18は、ハードディスク装置(Hard Disk Drive;HDD)で構成されており、各種の保存データを格納するほか、入力された各種の画像データなども保存する。画像記憶部18内には、画像データを保存するための内部保存用のBOX(フォルダ)が作成される。画像処理部19は、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す。
【0070】
プリンタ部20は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部20は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0071】
表示部21は、液晶ディスプレイなどで構成され、操作画面や設定画面などの各種の画面を表示する。操作部22は、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが複合機10に対して行う各種の操作を受け付ける。
【0072】
電子メール処理部23は、電子メールの送受信に係る各種の処理を行う。詳細には、電子メール処理部23は、CPU11から画像外部保存命令を受けて、画像データのファイルを電子メールに添付しメール本体のヘッダに添付ファイルの選択用情報(ファイル名など)を付加したファイル添付メールを作成したり、CPU11から外部BOX共有命令を受けて共有通知メールを作成したりするメール作成機能、作成したメールをネットワーク通信部16を通じてメールサーバに送信するメール送信機能、ネットワーク通信部16を通じてメールサーバと通信し、メールサーバ内のメールボックスに保管されているファイル添付メールのメッセージ番号(一覧)を取得するメッセージ番号取得機能、メールボックス内の指定したメッセージ番号のファイル添付メールのヘッダ情報(添付ファイルの選択用情報)を取得するヘッダ情報取得機能、メールボックス内の指定したメッセージ番号のファイル添付メールを受信するメール受信機能、メールボックス内の指定したメッセージ番号のファイル添付メールを削除するメール削除機能などを備えており、これらの機能によってファイル添付メールの送受信に係る各種の処理を行う。
【0073】
図3は、電子メール処理部23が電子メール(ファイル添付メール)の受信に係る処理で使用するコマンドの一例を示す図である。メール受信プロトコルがPOP3に対応している場合は、本図に示すPOP3のコマンドを使用する。
【0074】
電子メール処理部23は、
(1)「LIST」コマンドを用いて、メールボックスに保管されているファイル添付メールのメッセージ番号の一覧を取得する。
(2)「TOP」コマンドを用いて、(1)で取得したメッセージ番号一覧のうちの指定したメッセージ番号のファイル添付メールのヘッダ情報(添付ファイルの選択用情報)を取得する。
(3)「RETR」コマンドを用いて、(1)で取得したメッセージ番号一覧のうちの指定したメッセージ番号のファイル添付メールを取得する。
(4)「DELE」コマンドを用いて、(1)で取得したメッセージ番号一覧のうちの指定したメッセージ番号のファイル添付メールを削除する(削除命令)。
【0075】
図2に示すように、CPU11は外部BOXに係る各種の機能を備えている。詳細には、CPU11は、外部BOXを作成する外部BOX作成機能、画像データのファイルを外部BOX(メールサーバ内のメールボックス)に保存する画像外部保存命令を電子メール処理部23に出す画像外部保存機能、内部保存に係るBOX作成ジョブやBOX保存ジョブが実行不可である場合に、外部保存に係るBOX作成ジョブ(外部BOX作成ジョブ)やBOX保存ジョブ(外部BOX保存ジョブ)としてジョブを継続するか否かの選択を受け付けてジョブの継続またはキャンセルを行うジョブ継続選択機能、電子メール処理部23がメールサーバから取得したファイル添付メールのヘッダ情報に含まれている添付ファイルの選択用情報を表示部21に一覧表示し操作部22を通じて出力するファイルの選択を受け付ける画像表示選択機能、他の複合機10に共有させる外部BOXの情報をその共有先に電子メールで通知するための外部BOX共有命令を電子メール処理部23に出す外部BOX共有機能、他の複合機10の外部BOXを自機で共有する際にその共有BOX(共有フォルダ)を作成する共有BOX作成機能、共有を解除する共有BOXを削除する共有BOX削除機能などを備えている。
【0076】
外部BOXおよび共有BOXは、前述したようにメールサーバ内のメールボックスを利用したものである。CPU11が行う上記の外部BOXおよび共有BOXの作成は、メールサーバ内に新たにメールボックスを作成するのではなく、既存のメールボックスを外部BOXや共有BOXとして利用できるようにするものである。詳細には、複合機10内に仮想のBOXを作成してメールボックスと関連付けるものである。
【0077】
具体的には、外部BOXの作成は、複合機10が内部に仮想BOX(BOXID(IDentification))を新規作成し、外部BOXとなるメールボックスを利用するためのメール送信用情報およびメール受信用情報などを含む属性情報をその仮想BOXに関連付けて登録するものである。共有BOXの作成は、共有元の複合機10が共有させる仮想BOXと、その仮想BOXに関連付けて登録されている属性情報を共有先の複合機10に通知し、共有先の複合機10が通知された仮想BOXと属性情報を関連付けて機内に登録するものである。共有BOXの削除は、共有BOXとして登録した仮想BOXと、その仮想BOXに関連付けて登録されている属性情報を消去するものである。
【0078】
図4は、BOXを管理するための情報が登録されるBOX管理テーブル30を示す図である。本実施形態では、内部保存用と外部保存用のBOX(フォルダ)を1つのBOX管理テーブル30で管理するようになっている。このBOX管理テーブル30は不揮発メモリ14に記憶されている。
【0079】
BOX管理テーブル30には、フォルダ(BOX)の管理番号となるフォルダ(BOX)番号と、識別情報(BOXID)となるフォルダ(BOX)名と、属性情報とが関連付けられて登録される。フォルダ(BOX)名は、たとえば、ユーザ名を用いて作成される。本例では、内部保存用は“ユーザ名”+“BOX”で構成され、外部保存用は“ユーザ名”+“仮想BOX”で構成される。たとえば、図示のように、内部保存用としては「太郎BOX」や「花子BOX」などのフォルダ(BOX)名が作成・登録され、外部保存用としては「太郎仮想BOX」や「花子仮想BOX」などのフォルダ(BOX)名が作成・登録される。
【0080】
外部BOXとして利用するメールボックスは、メールサーバ内に存在(実存)する。仮想BOXは、複合機10の外部に実存する、メールサーバ内の既存のメールボックスを、外部保存用のBOXとして自機内で管理するために便宜的(仮想的)に作成されるBOXであり、実際にファイルを保存できるBOX(フォルダ)として自機内に作成されるものではない。この自機内に管理上作成される仮想BOX(フォルダ名)は、ファイルの外部保存が実際に行われる保存場所となるメールボックスの識別情報(BOXID)である。この仮想BOXは、メールサーバ内に実存し外部BOXとして利用されるメールボックスとは、実体は異なるが実質的には同じものと言える。すなわち、仮想BOXと外部BOXは、厳密には異義であるが実質的には同義と言える(仮想BOX≒外部BOX(=メールボックス))。
【0081】
属性情報は、メールボックスを外部BOXとして利用可能とするための情報を含んでおり、仮想BOXのみに登録される。属性情報は、電子メールの受信に必要な受信用情報と、電子メールの送信に必要な送信用情報とを含んでいる。受信用情報は、メールサーバ情報と、ユーザIDと、パスワードである。メールサーバ情報は、メールサーバのIP(Internet Protocol)アドレスやメールサーバのドメイン名である。送信用情報は、電子メールの宛先を示すメールアドレスである。
【0082】
一般に電子メールを利用するユーザには、メールサーバへのアクセス権となるメールアカウントと、このメールアカウントと一対一対応のメールアドレスとが付与される。メールアカウントが付与されたユーザに対しては、一対のユーザIDとパスワードが割り当てられ、メールサーバ内にユーザID毎に受信メールを保管するためのユーザID名のメールボックスが作成される。
【0083】
たとえば、図1に示した社内のメールサーバ5(ドメイン名「abc.com」=IPアドレス「10.15.13.153」)を通じて電子メールを利用する太郎社員にユーザIDとして「taro」が割り当てられた場合には、メールサーバ5内に「taro」という名称(ID)のメールボックスが作成される。また、社外の無料電子メールサービスを利用する花子社員にそのサービス提供者(インターネットサービスプロバイダ)がユーザIDとして「hanako」を割り当てた場合には、そのサービス提供者のメールサーバ6(ドメイン名「free.co.jp」)内に「hanako」という名称(ID)のメールボックスが作成される。
【0084】
図3に示すように、メールアドレスは“ユーザID”@“ドメイン名”で構成される。たとえば、太郎社員には社内の管理者から「taro@abc.com」などが付与され、花子社員には上記のサービス提供者から「hanako@free.co.jp」などが付与される。
【0085】
一般に電子メールの送信では、相手先のメールサーバをメールアドレスのドメイン名から割り出す。通常、メールサーバはユーザ(電子メールプログラム)から送られてきた電子メール(送信メール)のヘッダに付加されているメールアドレスのドメイン名をDNS(Domain Name System)サーバに問い合わせてそのドメイン名に対応するIPアドレスを取得し、そのIPアドレスのメールサーバに電子メールを送信する。電子メールを受信したメールサーバは、受信メールのヘッダに付加されているメールアドレスのユーザIDに対応するメールボックスにその受信メールを格納して保管する。
【0086】
一般に電子メールの受信では、メールサーバはユーザ(電子メールプログラム)からのメール受信要求でユーザIDとパスワードによる認証を行い、認証した場合はそのユーザIDのメールボックスに保管している電子メール(受信メール)の受信許可の応答を行い、認証しない場合は受信不許可(エラー通知)の応答を行う。
【0087】
BOX管理テーブル30では、ファイルの外部保存を行うメールボックス(保存場所)の識別情報として作成した仮想BOXに、そのメールボックスを利用するためのメール受信用情報(メールサーバ情報と、ユーザID、パスワード)とメール送信用情報(メールアドレス)とを含む属性情報が関連付けられて登録される。
【0088】
本例のBOX管理テーブル30では、#001に太郎社員のBOX(内部BOX)、#002に花子社員のBOX(内部BOX)、#003に一郎社員のBOX(内部BOX)が登録され、#004に太郎社員の仮想BOX(社内のメールサーバ5を利用した外部BOX)、#005に花子社員の仮想BOX(社外のメールサーバ6を利用した外部BOX)、#006に一郎社員の仮想BOX(社内のメールサーバ5を利用した外部BOX)が登録されている状態を示している。
【0089】
なお、仮想BOXに使用するメールアカウント(メール受信用情報およびメール送信用情報)は、ユーザが端末装置4で電子メールを利用するためのメールアカウントとは異なるものにすることが望ましい。たとえば、社内のメールサーバ5を利用する場合は、管理者からユーザに端末装置4用として付与されたメールアカウント(ユーザの端末装置4の電子メールプログラムに設定されるメール受信用情報およびメール送信用情報)を共用せず、管理者から別のメールアカウントを取得して仮想BOX用に使用することが望ましい。社外の無料電子メールサービスを利用する場合も同様に、そのサービス提供者(インターネットサービスプロバイダ)から端末装置4用とは別のメールアカウントを取得して仮想BOX用に使用することが望ましい。また無料電子メールサービスは、Webブラウザを通じてアクセスするWebメールなどではなく、電子メールプログラム(電子メールプロトコル)によってアクセスするものを利用する。
【0090】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0091】
(BOX作成)
図5は、複合機10によるBOX作成の動作を示す流れ図である。本動作では、複合機10の表示部21に図6〜図9に例示するBOX作成に係る画面が表示されるが、本動作はこれらの画面も交えながら説明する。
【0092】
複合機10のCPU11は、操作部22でBOX作成以外の機能の選択を受けた場合には(ステップS101;No)、本動作を終了する(End)。操作部22でBOX作成機能の選択を受けた場合には(ステップS101;Yes)、BOX管理テーブル30の登録情報を使用して表示部21にBOX作成用(設定用)のBOX一覧画面を表示する(ステップS102)。図4に示したBOX管理テーブル30において、たとえば、既に#001〜#005までのBOXが登録されている場合には、図6に示すようなBOX一覧画面40aが表示部21に表示される。
【0093】
BOX一覧画面40aには、本画面でBOXが作成(設定)できる旨を示すメッセージ41aと、各種の表示項目が示された項目欄42と、現在のBOXを一覧表示したBOX一覧43と、BOX一覧43に対するスクロール操作を受け付けるスクロール操作部44と、作成するBOXの種別として内部BOXの選択操作を受け付ける内部BOX選択ボタン45と、作成するBOXの種別として外部BOXの選択操作を受け付ける外部BOX選択ボタン46と、選択された種別のBOXの新規作成操作を受け付ける新規作成ボタン47と、表示部21の表示画面を前画面に戻す操作を受け付ける戻るボタン48とが表示される。
【0094】
項目欄42に示される表示項目は、たとえば、BOX番号(管理番号)を示す「BOX#」、BOXの種別(内部/外部)を示す「BOX種別」、BOX内に保存されているドキュメント(ファイル)の数を示す「ドキュメント数」、および「備考」などである。BOX一覧43では、表示された各BOXは、表示領域に対する押下操作を受けて個別に選択可能とされている。詳細には、押下操作を受けるたびに、非選択状態から選択状態へ、または、選択状態から非選択状態へ切り替えられるようになっている。
【0095】
本例のBOX一覧画面40aでは、#001〜#005の計5つのBOXがBOX一覧43として表示されている。BOX種別が「HDD_***」と表示されている#001〜#003は内部BOXであり、BOX種別が「外部BOX」と表示されている#004、#005は外部BOXである。外部BOXの備考には、図4のBOX管理テーブル30にて関連付けて登録されているメールアドレスが表示される。
【0096】
ユーザは、このBOX一覧画面40aを通じて、現在のBOXと種別(内部/外部)、BOX内のドキュメント数を確認することができ、メールアドレスのユーザIDから外部BOXの所有者を識別することができる。またユーザは、内部BOX選択ボタン45または外部BOX選択ボタン46を押下して作成したいBOXの種別を選択し、新規作成ボタン47を押下して新たな内部BOXまたは外部BOXを作成することができる。
【0097】
図5のステップS102で表示したBOX一覧画面40aにより、戻るボタン48の押下を受けた場合には(ステップS103;No)、CPU11は表示部21の表示画面をBOX一覧画面40aから前画面に戻し(ステップS104)、本動作を終了する(End)。
【0098】
BOX一覧画面40aにより、内部BOX選択ボタン45または外部BOX選択ボタン46の押下と新規作成ボタン47の押下によって、BOXの種別選択および作成指示を受けた場合には(ステップS103;Yes)、CPU11は選択された種別が内部BOXであれば(ステップS105;内部BOX)、画像記憶部18(内部HDD)の残容量(空き容量)を確認する(ステップS106)。画像記憶部18の残容量が所定の容量(閾値)以上の場合には(ステップS106;Yes)、CPU11は画像記憶部18内にBOXを作成する内部BOX作成処理を実行し(ステップS107)、本動作を終了する(End)。
【0099】
画像記憶部18の残容量が所定の容量よりも少ない場合には(ステップS106;No)、CPU11は表示部21に外部BOX作成提案画面を表示する(ステップS108)。図7に示すように、外部BOX作成提案画面50aは、たとえばBOX一覧画面40a上に別のウィンドウ画面としてポップアップ表示される。
【0100】
外部BOX作成提案画面50aには、複合機10内の保存領域が少ないため内部BOXを新規に作成できないが、メールアドレス等の設定によりメールサーバに外部BOXを作成できる旨を示すメッセージ51aと、外部BOXの設定(作成)を受け付ける設定ボタン52と、内部BOXの新規作成のキャンセルを受け付けるCancelボタン53とが表示される。
【0101】
ユーザは、この外部BOX作成提案画面50aを通じて、外部BOXの設定(作成)、または、内部BOXの新規作成のキャンセルを行うことができる。
【0102】
図5のステップS108で表示した外部BOX作成提案画面50aにより、Cancelボタン53の押下を受けた場合には(ステップS109;No)、CPU11は内部BOXの新規作成をキャンセルし(ステップS110)、表示部21の表示画面を外部BOX作成提案画面50aおよびBOX一覧画面40aから前画面に戻して、本動作を終了する(End)。
【0103】
外部BOX作成提案画面50aにより、設定ボタン52の押下を受けた場合には(ステップS109;Yes)、CPU11は表示部21に外部BOX作成画面を表示する(ステップS111)。図8に示すように、外部BOX作成画面60は、たとえばBOX一覧画面40a上に別のウィンドウ画面としてポップアップ表示される。
【0104】
外部BOX作成画面60には、外部BOXに係る設定情報の入力および表示領域となる設定情報欄61と、設定の確定を受け付けるOKボタン62(確定ボタン)と、設定(外部BOXの新規作成)のキャンセルを受け付けるCancelボタン63とが表示される。設定情報欄61には、新たに作成される外部BOXのBOX番号(管理番号)が表示されるBOX番号欄(「BOX#」)と、当該外部BOXの所有者としてユーザが入力した氏名(ユーザ名)が表示される所有者欄(「所有者」)と、ユーザが入力した当該外部BOXの利用先となるメールボックスに対応するメールアドレスが表示されるメールアドレス欄(「Mail」)と、ユーザが入力した同メールボックスに対応するパスワードが表示されるパスワード欄(「Mail PassWd」)とが設けられている。BOX番号欄には、現在のBOX数の次の番号(本例では「006」)が表示される。
【0105】
ユーザは、この外部BOX作成画面60を通じて、新たに作成する外部BOXの設定情報の入力、設定の確定、または、外部BOXの新規作成のキャンセルを行うことができる。
【0106】
図5のステップS111で表示した外部BOX作成画面60により、Cancelボタン63の押下を受けた場合には(ステップS112;No)、CPU11は外部BOXの新規作成をキャンセルし(ステップS110)、表示部21の表示画面を外部BOX作成画面60およびBOX一覧画面40aから前画面に戻して、本動作を終了する(End)。
【0107】
外部BOX作成画面60により、設定情報の入力およびOKボタン62の押下によって、外部BOXの設定および作成指示を受けた場合には(ステップS112;Yes)、CPU11は表示部21に表示していた外部BOX作成画面60のポップアップ表示を消去し、外部BOXを作成して(ステップS113)、本動作を終了する(End)。
【0108】
また、ステップS105において選択された種別が外部BOXであれば(ステップS105;外部BOX)、ステップS111へ移行してCPU11は表示部21に外部BOX作成画面60を表示し、以降のステップを同様に行う。
【0109】
ステップS113による外部BOXの作成では、CPU11は、図4に例示したBOX管理テーブル30において、入力されたユーザ名を用いて作成した仮想BOX(外部BOX)を、既に登録されているBOXの次のBOX番号(未登録の場合は「#001」)に登録する。更にこの仮想BOXに、入力されたメールアドレスと、同メールアドレスに含まれているドメイン名またはドメイン名から割り出したIPアドレスと、同メールアドレスに含まれているユーザIDと、入力されたパスワードとを関連付けて登録する。
【0110】
本例では、図8の外部BOX作成画面60で例示したユーザ名(所有者)“田中一郎”から「一郎仮想BOX」を作成し、既に登録されている#001〜#005のBOXの次のBOX番号となる#006に登録する。更にこの「一郎仮想BOX」に、図8で例示した「ichiro@abc.com」と、このメールアドレスに含まれているドメイン名“abc.com”から割り出したIPアドレスである「10.15.13.153」(メールサーバ5のIPアドレス)と、このメールアドレスに含まれているユーザID「ichiro」と、パスワード「********」とを関連付けて登録する。
【0111】
本例の登録によって外部BOXが作成された場合には、図9に示すように、BOX一覧画面40aには新たに#006の外部BOXが表示される。ユーザ(田中一郎社員)は、この新たに作成した外部BOXを複合機10内のBOX(内部BOX)と同様に画像データのファイルの保存先として利用できるようになる。
【0112】
(BOX保存)
図10は、複合機10によるBOX保存の動作を示す流れ図である。本動作では、複合機10の表示部21に図11〜図14に例示するBOX保存に係る画面が表示されるが、本動作はこれらの画面も交えながら説明する。またここでは、原稿のスキャンによる画像データのファイルをBOXに保存するジョブ(スキャンBOX保存ジョブ)を例に説明する。
【0113】
複合機10のCPU11は、操作部22でBOX保存以外の機能の選択を受けた場合には(ステップS201;No)、本動作を終了する(End)。操作部22でBOX保存機能の選択を受けた場合には(ステップS201;Yes)、BOX管理テーブル30の登録情報を使用して表示部21にBOX保存用のBOX一覧画面を表示する(ステップS202)。図4に示したBOX管理テーブル30において、たとえば、既に#001〜#005までのBOXが登録されている場合には、図11に示すようなBOX一覧画面40bが表示部21に表示される。
【0114】
BOX一覧画面40bには、図6で説明したBOX一覧画面40aと同じ項目欄42、BOX一覧43(現在のBOX一覧)、スクロール操作部44、および戻るボタン48と、画像データのファイルを保存する保存先のBOXの指定を促す旨を示すメッセージ41bと、指定の確定を受け付けるOKボタン49(確定ボタン)とが表示される。
【0115】
ユーザは、このBOX一覧画面40bを通じて、現在のBOXと種別(内部/外部)、BOX内のドキュメント数を確認することができ、メールアドレスのユーザIDから外部BOXの所有者を識別することができる。またユーザは、BOX一覧43の中から自分の所有するBOXを押下して選択し、OKボタン49を押下してファイルを保存するBOXを指定することができる。なお、本図ではBOX一覧43の中で#003の内部BOXが押下・選択されている状態を示している。
【0116】
図10のステップS202で表示したBOX一覧画面40bにより、戻るボタン48の押下を受けた場合には(ステップS203;No)、CPU11は表示部21の表示画面をBOX一覧画面40bから前画面に戻し(ステップS204)、本動作を終了する(End)。
【0117】
BOX一覧画面40bにより、BOX一覧43の中のいずれかのBOXの押下とOKボタン49の押下によって、保存先のBOXの選択および指定を受けたが(ステップS203;Yes)、スキャナ部17への原稿のセットおよびスタートボタンの押下を受けずに所定時間が経過した場合には(ステップS204;No)、CPU11は表示部21の表示画面をBOX一覧画面40bから前画面に戻し(ステップS204)、本動作を終了する(End)。
【0118】
所定時間内にスキャナ部17への原稿のセットおよびスタートボタンの押下を受けた場合には(ステップS204;Yes)、CPU11はスキャナ部17による原稿の読み取りを実行する(ステップS205)。そしてスキャナ部17から出力された原稿の画像データをファイル化し、RAM13に一時保存する(画像データの取得)。
【0119】
指定されたのが内部BOXである場合には(ステップS206;内部BOX(内部保存の選択と保存指示))、CPU11はファイル化した画像データの容量(ファイルサイズ)と画像記憶部18(内部HDD)の残容量(空き容量)を比較する。画像記憶部18の残容量が画像データの容量以上の場合には(ステップS207;Yes)、CPU11はその画像データ(ファイル)を指定の内部BOXに保存し(ステップS208)、本動作を終了する(End)。
【0120】
画像記憶部18の残容量が画像データの容量よりも小さい場合には(ステップS207;No)、CPU11は表示部21に外部BOX保存提案画面を表示する(ステップS209)。図12に示すように、外部BOX保存提案画面50bは、たとえばBOX一覧画面40b上に別のウィンドウ画面としてポップアップ表示される。なお、図10のステップS205による原稿の読み取りによって画像データの取得を完了すると、図12に示すように、BOX一覧画面40bにはBOX保存を開始した旨を示すメッセージ41cが表示される。
【0121】
外部BOX保存提案画面50bには、複合機10内の保存領域が少ないため読み取った原稿の画像データを指定の内部BOXに保存できないが、メールアドレス等の設定によりメールサーバに外部BOXを作成して保存できる旨を示すメッセージ51bと、外部BOXの設定(作成)を受け付ける設定ボタン54と、本スキャンBOX(内部BOX)保存ジョブのキャンセルを受け付けるCancelボタン55とが表示される。
【0122】
ユーザは、この外部BOX保存提案画面50bを通じて、外部BOXの設定(作成)、または、本ジョブのキャンセルを行うことができる。
【0123】
図10のステップS209で表示した外部BOX保存提案画面50bにより、Cancelボタン55の押下を受けた場合には(ステップS210;No)、CPU11は取得した画像データを指定の内部BOXに保存する本ジョブをキャンセルして破棄し(ステップS211)、表示部21の表示画面を外部BOX保存提案画面50bおよびBOX一覧画面40bから前画面に戻して、本動作を終了する(End)。
【0124】
外部BOX保存提案画面50bにより、設定ボタン54の押下を受けた場合には(ステップS210;Yes(外部保存の選択))、CPU11は表示部21に外部BOX作成画面を表示する(ステップS212)。図13に示すように、外部BOX作成画面60は、BOX作成動作で説明した画面(図8参照)と同じ画面がBOX一覧画面40b上に別のウィンドウ画面としてポップアップ表示される。また、外部BOX作成画面60が表示されるのに伴い、BOX一覧画面40bには外部BOX作成画面60で外部BOXが作成(設定)できる旨を示すメッセージ41aが表示される。
【0125】
ユーザは、この外部BOX作成画面60を通じて、新たに作成する外部BOXの設定情報の入力、設定の確定、または、本ジョブ(スキャンBOX保存ジョブ)のキャンセルを行うことができる。
【0126】
図10のステップS212で表示した外部BOX作成画面60により、Cancelボタン63の押下を受けた場合には(ステップS210;No)、CPU11は取得した画像データを指定の内部BOXに保存する本ジョブをキャンセルして破棄し(ステップS211)、表示部21の表示画面を外部BOX作成画面60およびBOX一覧画面40bから前画面に戻して、本動作を終了する(End)。
【0127】
外部BOX作成画面60により、設定情報の入力およびOKボタン62の押下によって、外部BOXの設定および作成指示を受けた場合には(ステップS213;Yes(外部保存指示))、CPU11は外部BOX作成画面60のポップアップ表示を消去し、外部BOXを作成して本ジョブをスキャン外部BOX保存ジョブとして継続する(ステップS214)。ここでの外部BOXの作成は、BOX作成動作で説明した外部BOXの作成と同じ内容である(図5のステップS113参照)。
【0128】
図13に例示した外部BOX作成画面60の設定情報は、図8と同じである。この場合も図4のBOX管理テーブル30に例示したように、新たに作成された「一郎仮想BOX」がBOX番号の#006に登録され、この「一郎仮想BOX」に図示の属性情報が関連付けられて登録される。そして図14に示すように、BOX一覧画面40bには新たに#006の外部BOXが表示され、この外部BOXに本ジョブの画像データ(ファイル)が保存されるようになる。
【0129】
図10のステップS214による外部BOXの作成を終えると、CPU11はBOX管理テーブル30からその外部BOX(仮想BOX)に関連付けて登録されているメールアドレスを読み出すと共に、RAMに保存されている画像データのファイルを読み出し、それらを画像外部保存命令と共に電子メール処理部23に入力する(ステップS215)。
【0130】
電子メール処理部23は、CPU11から画像外部保存命令を受けると、入力された画像データのファイルを添付した電子メールであるファイル添付メール(画像データ添付メール)を作成する(ステップS216)。詳細には、電子メールを新規作成し、その電子メールにCPU11から入力された画像データのファイルを添付し、その電子メールのヘッダにおける差出人(From:)と宛先(To:)にはCPU11から入力されたメールアドレスを記入し、件名(Subject:)には添付ファイルの選択用情報となるファイル名を記入し、更に添付ファイルのページ数をヘッダに記入して、上記のファイル添付メールを作成する(図17参照)。また、メール本文または添付ファイルに印刷の設定を付加してもよい。
【0131】
電子メール処理部23は、このファイル添付メールをネットワーク通信部16を通じてメールサーバに送信し(ステップS217(画像データ外部保存))、本動作を終了する(End)。
【0132】
また、ステップS206において指定されたBOXが外部BOXであれば(ステップS206;外部BOX(外部保存の選択と保存指示))、ステップS215へ移行する。この場合は、CPU11はBOX管理テーブル30からその指定された外部BOX(仮想BOX)に関連付けて登録されているメールアドレスを読み出すと共に、RAMに保存されている画像データのファイルを読み出し、それらを画像外部保存命令と共に電子メール処理部23に入力する。以降は電子メール処理部23がステップS216およびステップS217を同様に行う。
【0133】
また、内部保存が不可となった場合は(ステップS207;No)、外部保存を提案するようにしている(ステップS209)。この提案は、たとえば、本ジョブを指示したユーザの外部BOXが未登録の場合は図12に示した外部BOX保存提案画面50bを表示して外部BOXの新規作成(設定)を提案し、既登録の場合はそのユーザの外部BOXに本ジョブのファイルを保存できる旨のメッセージを示した外部BOX保存提案画面を表示して外部保存への切り替えを提案するなどしてもよい。また、外部保存への切替指示を受けた場合は、そのユーザの外部BOXを保存先のBOXに指定してステップS215へ移行する。この場合も、CPU11はBOX管理テーブル30からその指定された外部BOX(仮想BOX)に関連付けて登録されているメールアドレスを読み出すと共に、RAMに保存されている画像データのファイルを読み出し、それらを画像外部保存命令と共に電子メール処理部23に入力する。以降は電子メール処理部23がステップS216およびステップS217を同様に行うようにすればよい。
【0134】
複合機10からファイル添付メールを受信したメールサーバは、そのメール本体のヘッダに付加されている宛先のメールアドレスからユーザIDを識別し、そのユーザIDのメールボックスに受信したファイル添付メールを格納して保管する。複合機10は、このようにしてメールサーバを利用した画像データの外部保存を行う。
【0135】
図8および図9に示したように、たとえば、田中一郎社員が複合機10によるスキャンBOX保存ジョブで、外部BOXを作成するために自分のメールアドレスなどを入力した場合には、そのメールアドレスに対応する図1に示した社内のメールサーバ5内の自分のメールボックス(ユーザID:ichiro)がその外部BOXとして登録され利用されることになる。複合機10がこのスキャンBOX保存ジョブで画像データ(ファイル)の外部保存を行うために送信したファイル添付メールは、メールサーバ5内のユーザID:ichiroのメールボックスに保管される。
【0136】
また、たとえば、花子社員が複合機10によるスキャンBOX保存ジョブで、図11のBOX一覧画面40bに示す#005の既に登録している自分の外部BOX(図4参照)を保存先として指定した場合には、複合機10は原稿のスキャンで取得した画像データのファイルをその保存先として指定された外部BOXに保存する。すなわち、複合機10がこのスキャンBOX保存ジョブで画像データ(ファイル)の外部保存を行うために送信したファイル添付メールは、図1に示した社外のメールサーバ6に受信されてその保存先となるユーザID:hanakoのメールボックスに保管される。
【0137】
(BOX利用)
図15は、複合機10によるBOX利用(BOX保存ファイル利用)の動作を示す流れ図である。本動作では、複合機10の表示部21に図16に例示するファイル一覧画面が表示されるが、本動作はこれらの画面も交えながら説明する。
【0138】
複合機10のCPU11は、操作部22でBOX利用以外の機能の選択を受けた場合には(ステップS221;No)、本動作を終了する(End)。操作部22でBOX利用機能の選択を受けた場合には(ステップS221;Yes(表示指示))、BOX管理テーブル30の登録情報を使用して表示部21にBOX利用用のBOX一覧画面を表示する(ステップS222)。この画面は、たとえば、図11に示したBOX一覧画面40bにおいて、メッセージ41bが「利用するボックスを指定してください」など、利用先のBOXの指定を促す旨を示すメッセージに変えられたBOX一覧画面として表示部21に表示される。
【0139】
ユーザは、上記例のBOX一覧画面を通じて、現在のBOXと種別(内部/外部)、BOX内のドキュメント数を確認することができ、メールアドレスのユーザIDから外部BOXの所有者を識別することができる。またユーザは、BOX一覧の中から自分の所有するうちの利用したいBOXを押下して選択し、OKボタンを押下して利用するBOXを指定することができる。
【0140】
図15のステップS222で表示したBOX一覧画面により、たとえば、戻るボタンの押下を受けた場合には(ステップS223;No)、CPU11は表示部21の表示画面をBOX一覧画面から前画面に戻し(ステップS224)、本動作を終了する(End)。
【0141】
BOX一覧画面により、たとえば、BOX一覧の中のいずれかのBOXの押下とOKボタンの押下によって、利用先のBOXの選択および指定を受けた場合は(ステップS223;Yes)、CPU11は指定されたBOXが内部BOXであれば(ステップS225;内部BOX)、その内部BOXに保存されている画像データのファイルを利用可能にする内部BOX利用処理を実行し(ステップS232)、本動作を終了する(End)。
【0142】
指定されたBOXが外部BOXの場合には(ステップS225;外部BOX)、電子メール処理部23はBOX管理テーブル30(図4参照)からその指定された外部BOX(仮想BOX)に関連付けて登録されているメール受信情報(メールサーバ情報、ユーザID、パスワード)を読み出し(ステップS226)、そのメール受信情報を用いてメールサーバにアクセスしてユーザIDのメールボックス内の全メール(ファイル添付メール)のヘッダ情報を取得する(ステップS227)。
【0143】
ヘッダ情報の取得は、メール受信プロトコルがPOP3に対応している場合には、図3で説明したLISTコマンドとTOPコマンドを用いて行う。すなわち、電子メール処理部23はLISTコマンドを用いて、メールボックスに保管されているファイル添付メールのメッセージ番号の一覧を取得し、TOPコマンドを用いて、取得したメッセージ番号一覧のうちの指定したメッセージ番号のファイル添付メールのヘッダ情報を取得する。
【0144】
CPU11は、電子メール処理部23が取得したヘッダ情報からファイルの選択用情報となるファイル名と、ページ数を抽出し、そのファイル名とページ数を用いて図16に示すようなファイル一覧画面70aを表示部21に表示する。
【0145】
ファイル一覧画面70aには、利用するファイルの選択を促す旨を示すメッセージ71と、本画面に表示されたファイルの保存先となる指定したBOX(本例では外部BOX)に関するBOX情報72と、各種の表示項目が示された項目欄73と、指定したBOX(本例では外部BOX)に保存されているファイルを一覧表示したファイル一覧74と、ファイル一覧74に対するスクロール操作を受け付けるスクロール操作部75と、選択したファイルの出力種別としてプリント(印刷)の選択操作を受け付けるプリント選択ボタン76と、選択したファイルの出力種別としてネット送信(端末装置4へのファイル送信など)の選択操作を受け付けるネット送信選択ボタン77と、表示部21の表示画面を前画面に戻す操作を受け付ける戻るボタン78とが表示される。
【0146】
BOX情報72は、たとえば、BOX一覧画面(図11参照)で選択・指定したBOXに表示されていたBOX番号(「BOX#:04」など)、BOX種別(「BOX種別:外部BOX」など)、ドキュメント数(「ドキュメント数:5」など)、備考(「備考:メールアドレス」など)などである。項目欄73に示される表示項目は、たとえば、ファイルの管理番号(ファイル番号)を示す「番号」、「ファイル名」、「ページ数」などである。ファイル一覧74では、表示された各ファイルは、表示領域に対する押下操作を受けて個別に選択可能とされている。詳細には、押下操作を受けるたびに、非選択状態から選択状態へ、または、選択状態から非選択状態へ切り替えられるようになっている。
【0147】
ユーザは、このファイル一覧画面70aを通じて、指定した外部BOXに保存されているファイルをファイル名(選択用情報)から識別することができ、ファイルのページ数を確認することができる。またユーザは、ファイル一覧74の中から利用したいファイルを押下して選択し、選択したファイルの出力種別として、プリント選択ボタン76を押下してプリントを選択する、または、ネット送信選択ボタン77を押下してネット送信を選択することができる。
【0148】
図15のステップS229で表示したファイル一覧画面70aにより、戻るボタン78の押下を受けた場合には(ステップS230;No)、ステップS222へ戻り、CPU11は表示部21の表示画面をファイル一覧画面70aから前画面のBOX一覧画面に戻してステップS222移行を同様に行う。
【0149】
ファイル一覧画面70aにより、ファイル一覧74の中のいずれかのファイルの押下とプリント選択ボタン76またはネット送信選択ボタン77の押下によって、出力(利用)するファイルの選択および出力種別の選択を受け、スタートボタンの押下によって出力指示を受けた場合は(ステップS230;Yes)、選択されたファイルを選択された出力種別で出力し(ステップS231)、本動作を終了する(End)。
【0150】
ステップS231の詳細は、電子メール処理部23は指定された外部BOXとなるメールサーバのメールボックスから、選択されたファイルが添付されているファイル添付メールを図3で説明したRETRコマンドを用いて取得する。すなわち、電子メール処理部23は選択されたファイルに対応するメッセージ番号を指定したRETRコマンドをメールサーバに送信し、メールサーバからその指定したメッセージ番号のファイル添付メールを受信する。
【0151】
CPU11は、電子メール処理部23が受信したファイル添付メールに添付されているファイルを、選択された出力種別で出力する。プリントが選択された場合には、プリンタ部20によりそのファイルの画像を記録紙に印刷して出力する。また、メール本文または添付ファイルに印刷の設定が付加されている場合には、その設定に従って印刷を行う。ネット送信が選択された場合は、そのファイルをネットワーク通信部16から送信先の端末装置4などへ送信して出力する。
【0152】
(選択用情報の変形例1)
図16に示したように、ファイル一覧画面70aでは一覧表示されたファイルを選択(識別)するための選択用情報としてファイル名が表示される。このファイル名は、ファイル添付メールのヘッダに付加するヘッダ情報のうちの件名(Subject:)に記入する例を説明した。電子メールのヘッダには、規定されたヘッダ情報の他に任意のヘッダ情報を付加できるため、ファイル名は任意のヘッダ情報として付加することも可能である。
【0153】
図17は、ファイル添付メール80のヘッダに添付ファイルのファイル名を任意のヘッダ情報として付加した場合の一例を示す図である。ヘッダ情報は、“フィールド名”コロン(:)“フィールドボディ”の形式で構成される。たとえば、図示のようにフィールド名は“ImageName”とし、ファイル名が“SampleImage1”であれば、「ImageName:
SampleImage1」としたヘッダ情報81をファイル添付メールのヘッダに付加するようにしてもよい。この場合のファイル一覧画面70aでは、外部BOX(メールボックス)内のファイル添付メールから取得されたヘッダ情報の中から、フィールド名“ImageName”のフィールドボディがファイル名として抽出されファイル一覧74に表示されるようになる。
【0154】
(選択用情報の変形例2)
任意に付加できるヘッダ情報を利用して、ファイル添付メールのヘッダに添付ファイルのサムネイル画像を付加することも可能である。図18は、ファイル添付メール82のヘッダに添付ファイルのサムネイル画像を任意のヘッダ情報として付加した場合の一例を示す図である。この場合もヘッダ情報の形式に従い、たとえば、フィールド名は“ThumbnailImageDate”とし、フィールドボディにサムネイル画像データを記入することで、添付ファイルのサムネイル画像をヘッダ情報83として付加することができる。ファイル名は、図示のように件名(Subject:)に記入してもよいし、図17に例示したように任意のヘッダ情報として付加してもよい。
【0155】
図19は、ファイル一覧79にファイル名とサムネイル画像が表示されファイル一覧画面70bの一例を示す図である。本画面では、外部BOX(メールボックス)内のファイル添付メールから取得されたヘッダ情報の中から、フィールド名“ThumbnailImageDate”のフィールドボディがサムネイル画像データとして抽出され、ファイル一覧79にそのサムネイル画像がファイル名と共に選択用情報として表示されるようになる。表示された各ファイルは、サムネイル画像およびファイル名の表示領域に対する押下操作を受けて個別に選択できるようにしてもよいし、操作部22におけるハードボタンを操作して個別に選択できるようにしてもよい。
【0156】
また、サムネイル画像はファイル添付メールのヘッダに付加する他に、ファイル添付メールに別途添付して送信したり、ファイル添付メールと関連付けた別のメールに添付して送信したりしてもよい。別のメールに添付する場合は、その別のメールのみを受信してファイル一覧画面にサムネイル画像を表示することができる。
【0157】
なお、一般の電子メールプログラムは、電子メールのヘッダに不知のフィールド名がある場合には読み飛ばす。そのため、複合機10によって添付ファイルのファイル名やサムネイル画像が任意のヘッダ情報として付加された電子メール(ファイル添付メール)が、複合機10以外の電子メールプログラムで開けないなどの不具合は起こらない。
【0158】
(外部BOX保存ファイルの削除)
外部BOXとなるメールサーバのメールボックスからファイルの出力のために受信したファイル添付メールを、そのメールボックス(外部BOX)から削除するか否かについては、たとえば、その設定画面を表示部21に表示し操作部22を通じて設定を受け付けるなどが可能である。また、この設定は外部BOX単位やファイル単位で行うことが可能である。
【0159】
たとえば、外部BOX単位の場合は、外部BOX作成画面(図8および図13参照)に出力後削除設定のメニューを表示し、新規作成する外部BOXに対する出力後削除または出力後非削除の設定を受け付ける。BOX一覧画面(図6参照)を通じて選択された外部BOXの出力後削除設定画面をポップアップ表示し、その外部BOXに対する出力後削除または出力後非削除の設定を受け付けるなどする。この設定を受けると、CPU11は設定内容を示す出力後削除判断情報をBOX管理テーブルの仮想BOXに関連付けて記憶する。
【0160】
図20は、出力後削除判断情報を記憶したBOX管理テーブル31の一例を示す図である。出力後削除判断情報は、仮想BOXに属性情報として関連付けられて記憶される。たとえば、設定内容に応じて、出力後削除の場合には「削除」、出力後非削除の場合には「削除しない」などが記憶される。また、設定を受けていない場合には初期設定が記憶されてもよい。初期設定は、出力後削除および出力後非削除のいずれとしてもよい。
【0161】
CPU11は、ファイルの外部保存を行う仮想BOX(外部BOX)に関連付けられている出力後削除判断情報を確認し、「削除」の場合のみ、画像外部保存命令に出力後削除情報を加えて電子メール処理部23に入力する。電子メール処理部23は、CPU11からの画像外部保存命令に出力後削除情報を加えられていた場合のみ、ファイル添付メールのヘッダに出力後削除情報を任意のヘッダ情報として付加する。
【0162】
図21は、ファイル添付メール84のヘッダに出力後削除情報を任意のヘッダ情報として付加した場合の一例を示す図である。ヘッダ情報の形式に従い、たとえば「DeleteImageAfterOutPut: True」などの出力後にファイルを削除することを示す出力後削除情報85をファイル添付メールのヘッダに付加する。これにより、BOX管理テーブル31における出力後削除判断情報が「削除」の外部BOXに保存されるファイル添付メールには出力後削除情報が付加され、「削除しない」の外部BOXに保存されるファイル添付メールには出力後削除情報が付加されないことになる。
【0163】
電子メール処理部23は、外部BOXに保存されているファイルの出力のためにファイル添付メールをメールサーバから受信すると、そのファイル添付メールのヘッダに上記の出力後削除情報が付加されている場合のみ、ファイルの出力後に、そのファイル添付メールのメッセージ番号を指定した図3のDELEコマンド(削除命令)を受信先のメールサーバに送信する。これを受けてメールサーバは、指定されたメッセージ番号のファイル添付メールをメールボックスから削除する。
【0164】
これにより、外部BOXに保存されたファイルの出力後削除/非削除が外部BOX単位で切り替えられる。
【0165】
また、出力後削除/非削除をファイル単位で個別に設定する場合は、その設定をファイルの外部保存時に行う。たとえば、図10のステップS202および図11で説明したBOX一覧画面を通じて、ファイルの保存先に外部BOXが選択された場合には、そのファイルの出力後削除設定画面をポップアップ表示し、そのファイルに対する出力後削除または出力後非削除の設定を受け付ける。この設定画面は、BOX一覧画面における外部BOXの選択に伴い自動的に表示してもよいし、外部BOXの選択後に別途その設定画面の表示操作を受けて表示してもよい。
【0166】
また、内部保存から外部保存に切り替えた場合も(図10のステップS207;No→ステップS209)、同様にファイルの出力後削除設定画面をポップアップ表示し、そのファイルに対する出力後削除または出力後非削除の設定を受け付ける。この設定画面は、内部保存から外部保存への切り替えに伴い自動的に表示してもよいし、切り替え後に別途その設定画面の表示操作を受けて表示してもよい。
【0167】
このファイル単位の設定を受けると、CPU11は当該ファイルについては外部BOX単位の設定よりもファイル単位の設定を優先し、この設定が「削除」の場合のみ、画像外部保存命令に出力後削除情報を加えて電子メール処理部23に入力する。その後の電子メール処理部23の動作は、外部BOX単位の場合と同じである。
【0168】
これにより、外部BOXに保存されたファイルの出力後削除/非削除がファイル単位で切り替えられる。
【0169】
なお、上記の外部BOX単位やファイル単位の削除動作は組み合わせずに、設定で切り替えられるようにする(選択)、あるいは、いずれか一方のみを行うようにしてもよい(固定)。
【0170】
また、外部BOX単位の削除動作のみを行う構成では、ファイル添付メールに付加される出力後削除情報は使用せず、BOX管理テーブルに記憶される出力後削除判断情報のみで判断することもできる。たとえば、電子メール処理部23は、外部BOXに保存されているファイルの出力のためにファイル添付メールをメールサーバから受信すると、BOX管理テーブルにおけるその外部BOX(仮想BOX)の出力後削除判断情報を確認し、「削除」の場合のみ、ファイルの出力後に、そのファイル添付メールの削除命令を受信先のメールサーバに送信するなどすればよい。これにより、BOX管理テーブルに記憶される出力後削除判断情報のみでも外部BOX単位の削除動作が可能である。また、ファイル単位の削除動作のみを行う構成では、BOX管理テーブルに記憶される出力後削除判断情報は使用せず、ファイル添付メールに付加される出力後削除情報の有無で削除/非削除を判断することができ、そのファイル単位の削除動作が可能である。
【0171】
(外部BOX共有)
図22は、複合機10による外部BOX共有の共有元の動作を示す流れ図である。本動作では、複合機10の表示部21に図23および図24に例示する外部BOX共有に係る画面が表示されるが、本動作はこれらの画面も交えながら説明する。
【0172】
複合機10のCPU11は、操作部22でBOX設定以外の機能の選択を受けた場合には(ステップS301;No)、本動作を終了する(End)。操作部22でBOX設定機能の選択を受けた場合には(ステップS301;Yes)、BOX管理テーブル30の登録情報を使用して表示部21にBOX設定用のBOX一覧画面を表示する(ステップS302)。図4に示したBOX管理テーブル30において、たとえば、既に#001〜#005までのBOXが登録されている場合には、図23に示すようなBOX一覧画面40cが表示部21に表示される。
【0173】
BOX一覧画面40cには、図6のBOX一覧画面40aで説明したメッセージ41a、項目欄42、BOX一覧43、スクロール操作部44、内部BOX選択ボタン45、外部BOX選択ボタン46、新規作成ボタン47、戻るボタン48に加えて、選択された外部BOXの共有設定操作を受け付ける共有ボタン86が表示される。
【0174】
ユーザは、このBOX一覧画面40cを通じて、図6のBOX一覧画面40aで説明した内部BOXまたは外部BOXの新規作成の他に、BOX一覧43の中から自分の所有する外部BOXを押下して選択し、共有ボタン86を押下して他の複合機10と共有する外部BOXの共有設定を行うことができる。なお、本図ではBOX一覧43の中で#005の外部BOXが押下・選択されている状態を示している。
【0175】
図22のステップS302で表示したBOX一覧画面40cにより、戻るボタン48の押下を受けた場合には(ステップS303;No)、CPU11は表示部21の表示画面をBOX一覧画面40cから前画面に戻し(ステップS304)、本動作を終了する(End)。
【0176】
BOX一覧画面40cにより、内部BOX選択ボタン45または外部BOX選択ボタン46の押下と新規作成ボタン47の押下によって、BOXの種別選択および作成指示を受けた場合には(ステップS303;Yes→ステップS305;BOX作成)、CPU11はBOX作成処理を実行し(ステップS306)、本動作を終了する(End)。BOX作成処理の動作の詳細は、図5で説明したステップS105以降の動作である。
【0177】
BOX一覧画面40cにより、BOX一覧43の中のいずれかの外部BOXの押下と共有ボタン86の押下によって、共有する外部BOXの選択および共有設定指示を受けた場合には(ステップS305;BOX共有)、CPU11は表示部21に外部BOX共有設定画面を表示する(ステップS307)。図24に示すように、外部BOX共有設定画面90は、たとえばBOX一覧画面40c上に別のウィンドウ画面としてポップアップ表示される。
【0178】
外部BOX共有設定画面90には、外部BOXの共有先情報となる他の複合機10のメールアドレスの入力を促す旨を示すメッセージ91と、その共有先情報(メールアドレス)の入力および表示領域となる共有先情報欄92と、設定の確定を受け付けるOKボタン93(確定ボタン)と、設定のキャンセルを受け付けるCancelボタン94とが表示される。本例の外部BOX共有設定画面90では複数の共有先が設定可能であり、共有先情報欄92には、外部BOXの共有先の番号が表示される共有先番号欄(「#」)と、ユーザが入力した共有先情報となる他の複合機10のメールアドレスが表示されるメールアドレス欄(「共有するMFPのメールアドレス」)とが複数設けられている。
【0179】
ユーザは、この外部BOX共有設定画面90を通じて、自分の外部BOXの共有設定に係る共有先情報(メールアドレス)の入力、設定の確定、または、設定のキャンセルを行うことができる。なお、本図では3つの共有先情報が入力・表示されている状態を示している。また、この共有設定では共有期限を設定することもできる。共有期限を設定する場合には、たとえば、操作部22を通じて共有期限の日数(10日間など)を別途入力してからOKボタン93を押下して設定の確定を行う。
【0180】
図22のステップS307で表示した外部BOX共有設定画面90により、Cancelボタン94の押下を受けた場合には(ステップS308;No)、CPU11は外部BOXの共有設定をキャンセルし、表示部21の表示画面を外部BOX共有設定画面90およびBOX一覧画面40cから前画面に戻して(ステップS304)、本動作を終了する(End)。
【0181】
外部BOX共有設定画面90により、共有先情報のみの入力または共有期限を含む入力、およびOKボタン93の押下によって、外部BOXの共有設定の確定および共有指示を受けた場合には(ステップS3098;Yes)、CPU11は表示部21に表示していた外部BOX共有設定画面90のポップアップ表示を消去し、BOX管理テーブル30(図4参照)から選択された外部BOX(仮想BOX)のフォルダ(BOX)名と、その外部BOXに関連付けて登録されている属性情報を読み出し、そのフォルダ(BOX)名および属性情報と、入力された共有先情報(共有先の複合機10のメールアドレス)と、共有期限が入力された場合にはその共有期限とを、外部BOX共有命令と共に電子メール処理部23に入力する(ステップS309)。
【0182】
電子メール処理部23は、CPU11から外部BOX共有命令を受けると、入力された共有先情報からそのメールアドレス宛ての外部BOX共有通知メールを作成する(ステップS310)。詳細には、入力された共有先情報数分の電子メールを新規作成し、各電子メールのヘッダにおける宛先(To:)には共有先情報となるメールアドレスを記入し(複数の場合は1つずつ記入)、差出人(From:)には自機のメールアドレスを記入し、件名(Subject:)には「外部BOX共有通知」などを記入し、メール本文にはフォルダ(BOX)名と属性情報を記入し、共有期限が入力された場合には更にその共有期限も記入して、上記の外部BOX共有通知メールを作成する。なお、件名に記入する情報はヘッダ情報として付加してもよい。また、メール本文に記入する各種の情報はファイルにしてメール本体に添付してもよい。
【0183】
電子メール処理部23は、この外部BOX共有通知メールをネットワーク通信部16を通じてメールサーバ5に送信し(ステップS311(共有先へメール送信)、本動作を終了する(End)。
【0184】
図25は、複合機10による外部BOX共有の共有先の動作を示す流れ図である。
【0185】
複合機10のCPU11は、電子メール処理部23がメールサーバ5から自機宛ての電子メールを受信すると(ステップS401)、件名またはヘッダ情報を確認する。本メールが外部BOX共有通知メールでない場合には(ステップS402;No)、電子メールの通常処理を実行し(ステップS403)、本動作を終了する(End)。本メールが外部BOX共有通知メールである場合には(ステップS402;Yes)、CPU11は本メールのメール本文または添付ファイルからフォルダ(BOX)名と属性情報を取得し、共有期限があればその共有期限も取得して、BOX管理テーブルに共有BOXとして作成・登録し(ステップS404)、本動作を終了する(End)。
【0186】
図26は、共有BOXが作成・登録されたBOX管理テーブル32の一例を示す図である。図23および図24に例示したように、共有元の複合機10において、BOX一覧画面40cにおける#005の花子社員の外部BOXが共有設定された場合には、共有先の複合機10のBOX管理テーブル32には、たとえば、既に登録されている#001〜#004の次のBOX番号となる#005に、新たに作成された「花子仮想BOX」が登録され、これに関連付けられて属性情報が登録される。また、共有元の複合機10において、10日間の共有期限が設定された場合には、BOX管理テーブル32にはその「10日間」を示す共有期限も属性情報として登録される。
【0187】
(共有BOX利用)
図27は、複合機10による共有BOX利用(共有BOXを含むBOX保存ファイル利用)の動作を示す流れ図である。本動作では、複合機10の表示部21に図28に例示するBOX一覧画面が表示されるが、本動作はこの画面も交えながら説明する。
【0188】
複合機10のCPU11は、操作部22でBOX利用以外の機能の選択を受けた場合には(ステップS221;No)、本動作を終了する(End)。操作部22でBOX利用機能の選択を受けた場合には(ステップS221;Yes)、BOX管理テーブル32に登録されている仮想BOX(共有BOX)の中で共有期限の切れているものが存在するか否かを確認する(ステップS233)。
【0189】
共有期限切れの仮想BOXが存在する場合には(ステップS233;Yes)、CPU11はBOX管理テーブル32からその仮想BOXのフォルダ(BOX)名と属性情報を消去して、その仮想BOXを削除し(ステップS234)、BOX管理テーブル32の登録情報を使用して表示部21にBOX利用用のBOX一覧画面を表示する(ステップS222)。共有期限切れの仮想BOXが存在しない場合には(ステップS233;No)、現状のBOX管理テーブル32の登録情報を使用して表示部21にBOX利用用のBOX一覧画面を表示する(ステップS222)。本動作におけるステップS222以降は、図15で説明したステップS222以降と同じである。
【0190】
図26に示したBOX管理テーブル32において、#005の仮想BOX(共有BOX)の共有期限が切れていない場合には、図28に示すようなBOX一覧画面40dが表示部21に表示される。BOX一覧画面40dには、図6で説明したBOX一覧画面40aと同じ項目欄42、BOX一覧43(現在のBOX一覧)、スクロール操作部44、および戻るボタン48と、保存されている画像データのファイルを利用先のBOXの指定を促す旨を示すメッセージ41dと、指定の確定を受け付けるOKボタン49(確定ボタン)とが表示される。
【0191】
このBOX一覧画面40dにおけるBOX一覧43では、当該複合機10によって共有された外部BOXが#005に表示される。このBOX一覧画面40dの場合も、#005の外部BOX(共有BOX)を押下して選択し、OKボタン49を押下することで、図16や図19に例示したようなファイル一覧画面70a、70bに遷移する。これにより、選択した外部BOX内のファイルを共有元の複合機10と同様に利用することができる。
【0192】
このように、本実施形態に係る複合機10では、BOXを管理するための情報を登録するBOX管理テーブル30に、メールサーバ内のメールボックスに対応する仮想BOXを登録し、そのメールボックス(メールアカウント)に対応する電子メールの送受信に必要な送信用情報および受信用情報を仮想BOXに関連付けて登録する(図4参照)。ファイル(画像データ)の外部保存指示を受けた場合には、そのファイル添付メール(画像添付メール)を送信用情報を用いてメールサーバに送信しファイルの外部保存を行う(図10参照)。外部保存が行われたファイルの出力指示を受けた場合には、受信用情報を用いてメールサーバからファイル添付メールを受信し、ファイルを出力する(図15参照)。
【0193】
これにより、専用の外部記憶装置を用いることなく、メールサーバを利用してファイルの保存と保存したファイルの出力とを行うことができる。また、ハードディスク装置(内部記憶装置)を搭載していない低価格の複合機などにおいても、同様にメールサーバを利用してファイルの保存と保存したファイルの出力とを行うことができる。すなわち、ハードディスク装置を搭載していなくても一般のBOX機能と同様の機能を利用することができる。したがって、コストを掛けて専用の外部記憶装置を設けなくても、あるいは、内部記憶装置を搭載していない画像処理装置でも、ファイルの保存および利用が可能となる。
【0194】
また、従来のBOX機能で複合機内に保存された画像は、他の複合機から取得することができない。これに対して本実施形態では、電子メール機能を備えネットワークに接続された複合機であれば、設置場所を問わずに複合機間で外部BOXを共有しその外部BOXに保存されているファイルを利用することができる。たとえば、普段使用している複合機の外部BOXを出張先の複合機で共有し、出張先でその外部BOX内のファイルを利用するようなことも可能である。
【0195】
また、外部BOXに保存されているファイル(外部保存ファイル)は、電子メールプログラムを搭載しネットワークに接続された端末装置でも利用することができる。従来のBOX機能で複合機内に保存されたファイルは、専用のアプリケーションプログラムがないと端末装置(PC)から取得することができない。これに対して本実施形態では、専用のアプリケーションプログラムがなくても汎用の電子メールプログラムを搭載した端末装置であれば外部保存ファイルを取得することができる。
【0196】
また、FTP(File Transfer Protocol)ファイル転送機能は、FTPの知識が必要となるため、一般の人には敷居が高く利用しにくい。これに対して本実施形態では、FTPなどの特別な知識が必要ないため、一般の人でも簡単にファイルの外部保存を利用することができる。
【0197】
また、無料電子メールサービスのメールサーバもファイルの外部保存先(外部BOX)として利用することができる。たとえば、一人のユーザが複数のメールアカウントを取得して複数の外部BOXを作成することも簡単にできるため、複数の外部BOXを使い分けるようなことも簡単にできる。
【0198】
一人のユーザが複数のメールアカウントを取得し、端末装置4内の1つの電子メールプログラムで、通常の電子メール送受信用と、外部保存ファイルの利用用とに使い分けることは可能である。汎用の電子メールプログラムには、複数のメールアカウントを設定する機能、メールアカウント毎に自動受信との同期/非同期(手動受信)を設定する機能、受信メールのメールサーバからの自動削除/非削除(保管)をメールアカウント毎に設定する機能などを備えているものがある。この電子メールプログラムにおいて、たとえば、通常の電子メール送受信用のアカウントは、自動受信と同期および受信メールの自動削除に設定し、外部保存ファイルの利用用のアカウントは、自動受信と非同期および受信メールの非削除に設定する。そして外部保存ファイルを利用したいときのみ、外部保存ファイルの利用用のアカウントの電子メールを手動受信するなどすれば、端末装置4内の1つの電子メールプログラムでも、通常の電子メール送受信と外部保存ファイルの利用を使い分けることが可能である。
【0199】
また、本実施形態の複合機10は、ファイルの外部保存を行う保存場所(メールボックス)を複数登録することができ、その保存場所の複合機10内での管理を、識別情報として作成した仮想BOXを用いて行う。これにより、保存場所の識別が容易となり、保存場所に対する複合機10内での管理が容易となる。この仮想BOXに送信用情報および受信用情報を関連付けることで、送信用情報を用いて送信したファイル添付メールの保存場所(送信先)の識別も容易となり、保存場所と送信用情報の対応関係の管理も容易となる。併せて、受信用情報を用いて受信するファイル添付メールの保存場所(受信先)の識別も容易となり、保存場所と受信用情報の対応関係の管理も容易となる。
【0200】
また、本実施形態の複合機10では、内部の保存先(フォルダ)と外部の保存先(保存場所)とを識別情報(BOXID)によって一元管理しており(図4参照)、保存先全体の管理が容易となる。この場合は、識別情報自体で内外の保存先を識別する、あるいは、識別情報に受信用情報や送信情報が関連付けられているか否かで内外の保存先を識別するなどが可能となる。
【0201】
また、このような一元管理により、メールボックスを利用した外部の保存先を、内部の保存先と同様に扱えるユーザインターフェースを提供することができる(図6、図11、図28など参照)。これにより、ユーザはメールボックスを利用した外部の保存先を内部の保存先と同様に作成したり利用したりすることができ、利便性が向上する。たとえば、端末装置にてファイルを内蔵のハードディスク装置に保存したり、無料のメールボックスに保存したりする場合は、ユーザインターフェースが異なり操作が煩雑となるが、本実施形態の複合機10であれば一つのユーザインターフェースで内部保存と外部保存を同様に操作でき、操作が簡単である。
【0202】
また本実施形態では、複合機10内の画像記憶部18の残容量が不足して内部BOXを新たに作成できない場合には、操作を継続して外部BOXの作成に切り替えることができる(図6〜図9参照)。これにより、内部BOXの新規作成が不可の場合は簡単な操作で外部BOXの作成に切り替えることができる。
【0203】
また本実施形態では、複合機10内の画像記憶部18の残容量が不足してファイルを内部BOXに保存できない場合には、操作を継続して外部BOXへの保存に切り替えることができる(図11〜図14参照)。これにより、内部保存が不可の場合は簡単な操作で外部保存に切り替えることができる。
【0204】
また本実施形態では、外部BOXに保存されているファイルを一覧表示する場合には、ファイル添付メールのヘッダ情報をファイルの選択用情報に用い、その選択用情報を一覧表示する。選択用情報に用いるヘッダ情報は、ヘッダに付加される件名に付加したファイル名、ヘッダに任意に付加したファイル名、ヘッダに任意に付加したサムネイル画像などである(図17および図18参照)。このようなファイル添付メールのヘッダ情報を用いて、外部保存ファイル(選択用情報)の一覧表示を行うことができる(図16および図19参照)。また、外部保存ファイルを表示する際は、ファイル添付メール自体を受信せずにヘッダ情報(選択用情報)を受信すればよいため、表示に掛かる受信の負荷を軽減できる。また、外部保存ファイルのサムネイル画像を選択用情報として表示する場合は、ファイルの内容把握と選択が行いやすくなる。また、サムネイル画像をファイル添付メールのヘッダに付加した場合でも、サムネイル画像をその所定のコマンドによりヘッダ情報として取得し、抽出することができる。
【0205】
また本実施形態では、外部保存ファイルの出力のために受信したファイル添付メールをメールサーバから削除する場合と、削除せずに保存しておく場合とを設定で切り替えることができる。削除する設定では、出力のために受信したファイル添付メールはメールサーバから自動削除される。削除しない設定では、外部保存ファイルの再出力が可能となる。この外部保存ファイルの出力に伴う自動削除または継続保存が設定で切り替えられることにより、利便性が向上する。
【0206】
また、外部保存ファイルの出力に伴う削除/非削除の設定内容を示す削除判断情報(出力後削除判断情報)をBOX管理テーブルの仮想BOXに関連付けて記憶する構成では(図20参照)、外部保存ファイルの削除管理を仮想BOX毎に行うことができる。外部保存ファイルの出力に伴う削除を示す削除情報をファイル添付メールに付加する構成では(図21参照)、外部保存ファイルの削除管理をファイル毎に行うことができる。
【0207】
また本実施形態では、任意の複合機10で作成・登録された外部BOXを他の複合機10で共有する場合に、共有元の複合機10で共有設定(共有先の複合機10のメールアドレスの入力など)を行うだけで(図22〜図24参照)、共有先の複合機10でその共有に関する設定(共有する外部BOXの属性情報の入力とその共有の設定)などを行わなくても自動で設定が行われる(図25および図26参照)。すなわち、共有元で共有設定された外部BOXおよびその属性情報と同じものが、共有先で共有BOXおよびその属性情報として自動で登録される。これにより、共有に関する設定が容易になる。
【0208】
また、共有元の複合機10による共有設定で共有期限を指定した場合は、共有先の複合機10では共有期限に達すると自動で共有に関する設定が解除される(図26および図27参照)。すなわち、共有先で登録されている共有期限に達した共有BOXおよびその属性情報が自動で削除される。これにより、共有に関する設定の解除が容易になる。また、共有先の複合機10で不要となった共有BOXが蓄積されることも防止できる。
【0209】
また、外部BOXの作成(設定)では(図8および図13参照)、送信用情報となるメールアドレスを入力すると、受信用情報の一部(メールサーバ情報およびユーザID)が自動で作成される(図4参照)。これにより、受信用情報の一部が入力不要となり、受信用情報の入力が容易になる。
【0210】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0211】
たとえば、実施形態に係る複合機は、画像データ(ファイル)の内部保存機能を備えた構成を例に説明したが、内部保存機能を備えていない構成としてもよい。
【0212】
画像データの外部保存を行う保存場所(外部保存先)となるメールサーバ内のメールボックス(外部BOX)は、電子メールの送信用情報および受信用情報に対応しており、これらの情報単位で作成される。実施形態ではメールサーバ内のメールボックスを利用した保存場所を複合機内で管理するに当たり、保存場所(メールボックス=外部BOX)の識別情報となる仮想BOXを作成して管理するようにしているが、このような仮想BOXを作成せずに、送信用情報と受信用情報のみで管理することも可能である。
【0213】
また、画像データのメール添付送信による外部保存には電子メールの送信用情報が必要となり、外部保存された画像データの利用にはその送信用情報に対応する受信用情報が必要となる。この場合、画像データの外部保存を行うには複合機に送信用情報を入力する必要があるが、外部保存後はその送信用情報を必ずしも取っておく必要はない。外部保存された画像データを利用するには、その送信用情報を用いて送信された電子メールの受信に必要な受信用情報を複合機に入力して取っておく必要がある。したがって、複合機内での保存場所(外部保存先)の管理は、受信用情報のみで行うことも可能である。
【0214】
また、本発明に係る画像処理装置は実施形態で説明した複合機に限らず、複写機やプリンタ機などの各種の画像処理装置を対象にすることができる。
【符号の説明】
【0215】
2…ネットワーク
3…インターネット
4…端末装置
5、6、7、8…メールサーバ
5a、6a…メールボックス
10…複合機
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…不揮発メモリ
15…ファクシミリ通信部
16…ネットワーク通信部
17…スキャナ部
18…画像記憶部
19…画像処理部
20…プリンタ部
21…表示部
22…操作部
23…電子メール処理部
30、31、32…BOX管理テーブル
40a、40b、40c、40d…BOX一覧画面
41a、41b、41c、41d…メッセージ
42…項目欄
43…BOX一覧
44…スクロール操作部
45…内部BOX選択ボタン
46…外部BOX選択ボタン
47…新規作成ボタン
48…戻るボタン
49…OKボタン
50a…外部BOX作成提案画面
50b…外部BOX保存提案画面
51a、51b…メッセージ
52…設定ボタン
53…Cancelボタン
54…設定ボタン
55…Cancelボタン
60…外部BOX作成画面
61…設定情報欄
62…OKボタン
63…Cancelボタン
70a、70b…ファイル一覧画面
71…メッセージ
72…BOX情報
73…項目欄
74…ファイル一覧
75…スクロール操作部
76…プリント選択ボタン
77…ネット送信選択ボタン
78…戻るボタン
79…ファイル一覧
80、82、84…ファイル添付メール
81、83…ヘッダ情報
85…出力後削除情報
86…共有ボタン
90…外部BOX共有設定画面
91…メッセージ
92…共有先情報欄
93…OKボタン
94…Cancelボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力する入力部と、
画像データを出力する出力部と、
ネットワークに接続して通信を行う通信部と、
前記ネットワークに接続された電子メールサーバとの前記通信部を通じた電子メールの送受信に係る処理を行う電子メール処理部と、
電子メールの送信に必要な送信用情報を入力する送信用情報入力部と、
前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を用いて送信された電子メールの受信に必要な受信用情報を入力する受信用情報入力部と、
前記受信用情報入力部から入力された受信用情報を記憶する記憶部と、
操作部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
画像データの保存指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記入力部から入力された画像データを添付した電子メールである画像添付メールを前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を用いて電子メールサーバに送信させて、該画像データの外部保存を行い、
前記外部保存が行われた画像データの出力指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記記憶部に記憶されている受信用情報を用いて電子メールサーバから画像添付メールを受信させ、前記出力部に該画像添付メールに添付されている画像データを出力させる
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を、該送信用情報を用いて送信された電子メールの受信に必要な受信用情報に関連付けて前記記憶部に記憶し、
前記電子メール処理部は、前記記憶部に記憶されている送信用情報を前記画像添付メールの送信に用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像データを保存する保存部を備え、
前記制御部は、前記外部保存の選択と前記保存指示を受けた場合には前記外部保存を行い、内部保存の選択と前記保存指示を受けた場合には前記外部保存を行わずに前記入力部から入力された画像データを前記保存部に保存する内部保存を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記外部保存の選択は、前記送信用情報が入力されていることであり、
前記内部保存の選択は、前記送信用情報が入力されていないことである
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記内部保存を行う画像データが前記保存部に保存できないと判断した場合には前記外部保存への切り替えを前記操作部で受け付ける
ことを特徴とする請求項3または4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、画像データ保存用のフォルダを前記保存部内に作成する作成指示を前記操作部で受け付け、
前記作成指示を受けたときに、前記保存部内に新たなフォルダを作成できないと判断した場合には前記外部保存への切り替えを前記操作部で受け付ける
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記外部保存を行う保存場所の識別情報を作成して前記記憶部に記憶し、前記入力された受信用情報を該識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
表示部を備え、
前記電子メール処理部は、前記送信する画像添付メールにその添付した画像データを選択するための選択用情報を付加し、
前記制御部は、前記外部保存が行われた画像データの表示指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記記憶部に記憶されている受信用情報を用いて電子メールサーバから画像添付メールに付加されている選択用情報を受信させ、該選択用情報を前記表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記出力指示を受ける画像データの選択を、前記表示部に表示した前記選択用情報に対する前記操作部での選択によって受け付ける
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記選択用情報は、前記画像データのサムネイル画像を含み、
前記電子メール処理部は、前記送信する画像添付メールのヘッダに前記サムネイル画像を付加する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、画像データの前記出力を行う画像添付メールを電子メールサーバから削除するか否かの設定を前記操作部で受け付ける
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記設定の内容を示す削除判断情報を前記受信用情報に関連付けて前記記憶部に記憶し、
前記電子メール処理部は、画像添付メールの前記受信に用いた受信用情報に関連付けられている削除判断情報が削除を示す場合には、該画像添付メールの削除命令を受信先の電子メールサーバに送信する
ことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記電子メール処理部は、前記設定が削除の場合は前記送信を行う画像添付メールに、画像データの前記出力を行う場合に当該画像添付メールを電子メールサーバから削除することを示す削除情報を付加し、前記受信した画像添付メールに前記削除情報が付加されている場合には、該画像添付メールの削除命令を受信先の電子メールサーバに送信する
ことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記外部保存が行われた画像データを前記ネットワークに接続された他の画像処理装置と共有する共有設定を前記操作部で受けた場合には、前記記憶部に記憶されている受信用情報を前記通信部を通じて前記他の画像処理装置に送信し、
前記ネットワークに接続された他の画像処理装置から前記通信部を通じて受信用情報を受信した場合には、該受信用情報を前記記憶部に記憶し、前記出力指示を受けた場合の画像添付メールの受信に用いる共有受信用情報に設定する
ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記共有設定で共有期限の指定を前記操作部で受けた場合には、前記他の画像処理装置に前記共有期限を示す共有期限情報も送信し、
前記ネットワークに接続された他の画像処理装置から受信用情報と共に共有期限情報を受信した場合には、該共有期限情報を共に受信した受信用情報に関連付けて前記記憶部に記憶し、該共有期限情報が示す共有期限に達した場合には、該共有期限情報と関連付けられている受信用情報の前記共有受信用情報としての設定を解除して該受信用情報と該共有期限情報とを前記記憶部から削除する
ことを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記送信用情報は、電子メールアドレスであり、
前記制御部は、前記送信用情報として入力された電子メールアドレスから前記受信用情報の一部を作成する
ことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
画像データを入力する入力部と、
画像データを出力する出力部と、
ネットワークに接続して通信を行う通信部と、
前記ネットワークに接続された電子メールサーバとの前記通信部を通じた電子メールの送受信に係る処理を行う電子メール処理部と、
電子メールの送信に必要な送信用情報を入力する送信用情報入力部と、
前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を用いて送信された電子メールの受信に必要な受信用情報を入力する受信用情報入力部と、
前記受信用情報入力部から入力された受信用情報を記憶する記憶部と、
操作部と、
を備えた画像処理装置に、
画像データの保存指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記入力部から入力された画像データを添付した電子メールである画像添付メールを前記送信用情報入力部から入力された送信用情報を用いて電子メールサーバに送信させて、該画像データの外部保存を行う機能と、
前記外部保存が行われた画像データの出力指示を前記操作部で受けた場合に、前記電子メール処理部に前記記憶部に記憶されている受信用情報を用いて電子メールサーバから画像添付メールを受信させ、前記出力部に該画像添付メールに添付されている画像データを出力させる機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−139132(P2011−139132A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296059(P2009−296059)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】