説明

画像処理装置およびプログラム

【課題】文字と網点とが混在する画像から、網点領域をより適切に抽出することが可能な画像処理技術を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、画像データにおける孤立点PSを検出する孤立点検出部と、画像データにおけるライン状領域(文字ライン候補領域)REを抽出するライン状領域抽出部と、孤立点種別判定部と、網点領域決定部とを備える。孤立点種別判定部は、ライン状領域RE内の各孤立点PSの代表画素PBをそれぞれ注目画素EBとし、当該注目画素EBを中心とするライン状領域REの不連続性を判定する。不連続性が存在する旨が判定された孤立点は真性孤立点であると判定され、不連続性が存在しない旨が判定された孤立点は擬似孤立点であると判定される。網点領域決定部は、複数の孤立点のうち擬似孤立点であるか否かの判定結果に基づいて、網点領域を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャン画像等に基づいて画像を形成する画像形成装置においては、文字領域および網点領域などの複数の種類の領域に区別し、各領域に対してその種類に応じた画像処理を施すことが行われる(特許文献1参照)。たとえば、網点領域に対しては、平滑化処理が行われ、モアレの発生等が抑制される。
【0003】
なお、特許文献1においては、孤立点検出処理によって網点領域が検出されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−218235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、後述するように、孤立点検出処理のみによって網点領域を決定すると、文字の内部の点(文字の線を表す画素)も網点領域内の画素として抽出されてしまう。そして、モアレ防止等の観点から当該網点領域に対して平滑化処理を施すと、文字のエッジがぼけてしまうという問題が生じる。
【0006】
そこで、この発明は、文字と網点とが混在する画像から、網点領域をより適切に抽出することが可能な画像処理技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、画像処理装置であって、画像データにおける孤立点を検出する孤立点検出手段と、前記画像データにおけるライン状領域を文字ライン候補領域として抽出するライン状領域抽出手段と、前記ライン状領域内の各孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素として当該注目画素を中心とする前記ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された孤立点を真性孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された孤立点を擬似孤立点であると判定する孤立点種別判定手段と、前記孤立点検出手段によって検出された複数の孤立点のそれぞれに関する孤立点種別判定結果に基づいて、網点領域を決定する網点領域決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記孤立点種別判定手段は、前記注目画素を中心とする特定の範囲内において、第1の方向において前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出され、且つ、前記第1の方向に垂直な第2の方向において前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出されるときには、前記注目画素に対応する孤立点を前記真性孤立点であると判定することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記孤立点種別判定手段は、前記注目画素を中心とする特定の範囲内において、前記第1の方向とも前記前記第2の方向とも異なる第3の方向において前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出され、且つ、前記第3の方向に垂直な第4の方向において前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出されるときには、前記注目画素に対応する孤立点を前記真性孤立点であると判定することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記孤立点種別判定手段は、前記注目画素を中心とする特定の範囲内において互いに異なる複数の方向のうち少なくとも1つの方向にて前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出されることを条件として、前記注目画素に対応する孤立点を前記真性孤立点であると判定することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る画像処理装置において、前記網点領域決定手段は、前記孤立点検出手段によって検出された複数の孤立点のうち前記擬似孤立点を含まず且つ前記真性孤立点を含む領域を網点領域として決定することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明に係る画像処理装置において、前記孤立点検出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも小さな階調値を有する孤立点を黒孤立点として検出し、前記ライン状領域抽出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも小さな階調値を有する前記ライン状領域をポジ型ライン状領域として検出し、前記孤立点種別判定手段は、前記ポジ型ライン状領域内の各黒孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素とし、当該注目画素を中心とするポジ型ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された黒孤立点を前記真性孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された黒孤立点を前記擬似孤立点であると判定することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明に係る画像処理装置において、前記孤立点検出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも大きな階調値を有する孤立点を白孤立点として検出し、前記ライン状領域抽出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも大きな階調値を有する前記ライン状領域をネガ型ライン状領域として検出し、前記孤立点種別判定手段は、前記ネガ型ライン状領域内の各白孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素とし、当該注目画素を中心とするネガ型ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された白孤立点を前記真性孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された白孤立点を前記擬似孤立点であると判定することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る画像処理装置において、前記孤立点検出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも小さな階調値を有する孤立点を黒孤立点として検出し、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも大きな階調値を有する孤立点を白孤立点として検出し、前記ライン状領域抽出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも小さな階調値を有する前記ライン状領域をポジ型ライン状領域として検出し、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも大きな階調値を有する前記ライン状領域をネガ型ライン状領域として検出し、前記孤立点種別判定手段は、前記ポジ型ライン状領域内の各黒孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素とし、当該注目画素を中心とするポジ型ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された黒孤立点を真性黒孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された黒孤立点を擬似黒孤立点であると判定するとともに、前記ネガ型ライン状領域内の各白孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素とし、当該注目画素を中心とするネガ型ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された白孤立点を真性白孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された白孤立点を擬似白孤立点であると判定し、前記網点領域決定手段は、前記孤立点検出手段によって検出された複数の黒孤立点のうち前記擬似黒孤立点を含まず且つ前記真性黒孤立点を含む第1の領域と、前記孤立点検出手段によって検出された複数の白孤立点のうち前記擬似白孤立点を含まず且つ前記真性白孤立点を含む第2の領域との和領域を網点領域として決定することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、コンピュータに、a)画像データにおける孤立点を検出するステップと、b)前記画像データにおけるライン状領域を文字ライン候補領域として抽出するステップと、c)前記ライン状領域内の各孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素として当該注目画素を中心とする前記ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された孤立点を真性孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された孤立点を擬似孤立点であると判定するステップと、d)前記ステップa)において検出された複数の孤立点のそれぞれに関するステップc)での孤立点種別判定結果に基づいて、網点領域を決定するステップと、を実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし請求項9に記載の発明によれば、文字と網点とが混在する画像から、網点領域をより適切に抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】MFP(画像処理装置)を示す概略図である。
【図2】コントローラの機能ブロックを示す図である。
【図3】画像処理に係る動作を示すフローチャートである。
【図4】領域判別動作を示すフローチャートである。
【図5】孤立点判別動作を示すフローチャートである。
【図6】スキャン画像(一部)の一例を示す図である。
【図7】Rプレーンを示す図である。
【図8】Gプレーンを示す図である。
【図9】Bプレーンを示す図である。
【図10】孤立点検出処理の処理結果を示す図である。
【図11】ライン状領域抽出処理の処理結果を示す図である。
【図12】スキャン画像における網点領域を示す拡大図である。
【図13】スキャン画像における文字ライン領域付近を示す拡大図である。
【図14】図12の網点領域から抽出された孤立点を示す図である。
【図15】図13の網点領域および文字ライン領域から抽出された孤立点を示す図である。
【図16】図12の網点領域から抽出されたライン状領域を示す図である。
【図17】図13の網点領域および文字ライン領域から抽出されたライン状領域を示す図である。
【図18】図12に関する孤立点検出結果とライン状領域抽出結果とを重ねて示す図である。
【図19】図13に関する孤立点検出結果とライン状領域抽出結果とを重ねて示す図である。
【図20】スキャン画像をさらに詳細に示す図である。
【図21】黒孤立点の検出結果とポジ型ライン状領域の抽出結果とを示す図である。
【図22】白孤立点の検出結果とネガ型ライン状領域の抽出結果とを示す図である。
【図23】注目画素付近の画素を示す図である。
【図24】注目画素付近の画素を示す図である。
【図25】孤立点判別動作を説明する図である。
【図26】孤立点判別動作を説明する図である。
【図27】孤立点判別動作を説明する図である。
【図28】擬似孤立点除去後の孤立点(真性孤立点)等を示す図である。
【図29】別の孤立点判別動作による真性孤立点等を示す図である。
【図30】変形例に係る画像処理装置等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
<1.構成>
図1は、画像処理装置1(1A)を示す概略図である。ここでは、画像処理装置1(1A)がマルチ・ファンクション・ペリフェラル(MFPとも略称する)として構成される場合を例示する。
【0020】
MFP1は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能およびファクシミリ機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP1は、画像読取部2と、印刷出力部4と、通信部5と、入出力部6と、格納部8と、コントローラ9とを備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、上記の各機能を実現する。
【0021】
画像読取部2は、MFP1の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像(原稿画像ないしスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。画像読取部2は、スキャナ部とも称される。
【0022】
印刷出力部4は、対象画像に関する画像データに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0023】
通信部5は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。また、通信部5は、通信ネットワークを介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信を利用することによって、MFP1は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。また、MFP1は、このネットワーク通信を利用することによって、電子メールの送受信を行うことも可能である。
【0024】
入出力部6は、MFP1に対する入力を受け付ける操作入力部61と、各種情報の表示出力を行う表示部62とを備えている。
【0025】
格納部8は、ハードディスクドライブ(HDD)等の格納装置で構成される。この格納部8には、画像読取部2等で生成された原稿画像等が格納される。
【0026】
コントローラ9は、MFP1を統括的に制御する制御装置であり、CPUと、各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)とを備えて構成される。コントローラ9の制御下において各種の処理部が動作することによって、MFP1の各種の機能が実現される。
【0027】
図2は、コントローラ9の機能ブロックを示す図である。図2に示すように、コントローラ9は、処理対象画像生成部21と孤立点検出部23とライン状領域抽出部24と孤立点種別判定部25と文字ライン領域決定部26と網点領域決定部27と修正画像生成部28とを備える。
【0028】
処理対象画像生成部21は、スキャン画像に基づき、各種領域(網点領域および文字ライン領域等を含む)の領域種別判定処理用の画像(領域種別判定用画像とも称する)を生成する処理部である。
【0029】
孤立点検出部23は、スキャン画像(詳細には、上記の領域種別判定用画像)に対して孤立点検出処理を施して「孤立点」(後述)を検出する処理部である。
【0030】
ライン状領域抽出部24は、スキャン画像(詳細には、上記の領域種別判定用画像)に対してエッジ抽出処理等を施して「ライン状領域」(後述)の画素を抽出する処理部である。
【0031】
孤立点種別判定部25は、孤立点検出部23によって検出された各孤立点の種別を判定する処理部である。孤立点種別判定部25は、後述するように、各孤立点が「真性孤立点」であるか「擬似孤立点」であるかを判定する。
【0032】
文字ライン領域決定部26は、ライン状領域抽出部24の抽出結果(ライン状領域抽出結果)と孤立点種別判定部25の判定結果(孤立点種別判定結果)とに基づいて、スキャン画像内の文字ライン領域を決定する処理部である。
【0033】
網点領域決定部27は、孤立点検出部23の検出結果(孤立点検出結果)と孤立点種別判定部25の判定結果(孤立点種別判定結果)とに基づいて、スキャン画像内の網点領域を決定する処理部である。
【0034】
修正画像生成部28は、文字ライン領域決定部26と網点領域決定部27とにより決定された文字ライン領域と網点領域とに対して、それぞれ適切な画像処理を施した修正画像を生成する処理部である。
【0035】
上記各処理部21,23〜28によって各種の画像処理がスキャン画像に対して施されて修正画像が生成される。そして、当該修正画像が、印刷出力部4によって印刷出力されることによって、いわゆるコピー機能等が実現される。
【0036】
<2.画像処理>
つぎに、上記の処理部21,23〜28による画像処理等について説明する。
【0037】
図3〜図5は、当該画像処理等に係る動作を示すフローチャートである。図3は、主な動作を示す図であり、図4は、図3の一部(領域判別処理)を詳細に示す図である。また、図5は、図4の一部をさらに詳細に示す図である。
【0038】
図3に示すように、ステップS10においては領域判別処理が実行される。この領域判別処理によって、スキャン画像内の領域が複数の種類の領域(文字ライン領域および網点領域等)に区分される。詳細には、後述するように、スキャン画像に関する「ライン状領域」と「孤立点」とに関する検出結果を用いて、領域の種類を判別する動作が行われる。
【0039】
ステップS40においては、修正画像生成部28は、文字ライン領域決定部26および網点領域決定部27によってそれぞれ決定された文字ライン領域と網点領域とに対して、各領域の種類に応じた適切な画像補正処理をそれぞれ施した修正画像を生成する。たとえば、網点領域にはスムージング処理が施され、且つ、文字ライン領域にはエッジ強調処理が施されて、当該修正画像が生成される。
【0040】
また、その後、当該修正画像が印刷出力部4によって印刷出力される。これにより、原稿画像の印刷出力動作(いわゆるコピー機能)が実現される。
【0041】
図4は、領域判別動作(ステップS10)の詳細動作を示す図である。図4を参照しながら、この領域判別動作について詳細に説明する。
【0042】
ステップS11〜S15においては、スキャン画像の「ポジ型ライン状領域」(後述)と「黒孤立点」(その周辺画素(周辺領域)の階調値よりも小さな階調値を有する孤立点)とに関する検出結果を用いて、領域の種類を判別する動作が行われる。また、ステップS11〜S15の処理に並行して、ステップS21〜S25の処理が実行される。ステップS21〜S25においては、スキャン画像の「ネガ型ライン状領域」(後述)と「白孤立点」(その周辺画素(周辺領域)の階調値よりも大きな階調値を有する孤立点)とに関する検出結果を用いて、領域の種類を判定する動作が行われる。また、ステップS31,S32では、ステップS11〜S15での判定結果とステップS21〜S25での判定結果とを用いて、領域の種類を最終的に決定する動作が行われる。
【0043】
なお、これらの処理に先立って、スキャン画像に基づき、min(R,G)画像、max(R,G,B)画像、Rプレーン画像およびGプレーン画像等が領域種別判定用画像として生成される。ここで、min(R,G)画像は、元のフルカラー画像(スキャン画像)の変換後の画像であって、元のフルカラー画像を構成する各画素において、R成分値とG成分値とのうちの最小値をその新たな画素の画素値(階調値)に変換したグレースケール画像である。同様に、max(R,G,B)画像は、元のフルカラー画像の変換後の画像であって、元のフルカラー画像を構成する各画素において、R成分値とG成分値とB成分値とのうちの最大値をその新たな画素の画素値に変換したグレースケール画像である。
【0044】
この実施形態では、ライン状領域(文字等のラインを構成するライン状の領域)として、ポジ型ライン状領域とネガ型ライン状領域との2種類の領域が検出される。具体的には、min(R,G)画像に基づいてポジ型ライン状領域が検出され、max(R,G,B)画像に基づいてネガ型ライン状領域が検出される。ポジ型ライン状領域は、背景色に対して比較的濃色のライン状領域であり、ネガ型ライン状領域は、背景色に対して比較的淡色のライン状領域である。ポジ型ライン状領域は背景に対して比較的低輝度のライン状領域であり、ネガ型ライン状領域は背景に対して比較的高輝度のライン状領域である、とも表現される。
【0045】
また、この実施形態では、Rプレーン画像に基づいて、「黒孤立点」が検出されるとともに「白孤立点」も検出される。同様に、Gプレーン画像に基づいて、「黒孤立点」が検出されるとともに「白孤立点」も検出される。なお、ここでは、Bプレーン画像は、「黒孤立点」および「白孤立点」の検出処理には用いられないものとする。ただし、これに限定されず、Bプレーン画像をも「黒孤立点」および/または「白孤立点」の検出処理に用いるようにしてもよい。
【0046】
図6〜図9は、スキャン画像(一部)の一例を示す図である。図6は、カラー画像としてのスキャン画像(ただし図ではグレースケールで示されている)を示す図である。図6においては、赤文字「SAMPLE」がシアン色の網点領域を背景として描画されている状況が示されている。図7〜図9は、当該スキャン画像の3原色プレーン(Rプレーン、Gプレーン、Bプレーン)をそれぞれ示す図である。図7は、Rプレーンを示す図であり、図8はGプレーンを示す図であり、図9はBプレーンを示す図である。また、図10は、ステップS11の孤立点検出処理の処理結果を示す図であり、図11は、ステップS12のライン状領域抽出処理の処理結果を示す図である。なお、ここでは、文字「SAMPLE」の赤色は理想的な赤色から若干ずれて検出されている状況を想定している。たとえば、文字「SAMPLE」の赤色は、(R,G,B)=(220,30,50)、で表現される色である。
【0047】
また、図12はスキャン画像における網点領域RDを示す拡大図であり、図13はスキャン画像における文字ライン領域RL付近を示す拡大図である。図12においては、シアン色の網点領域RDが示されており、図13においては、シアン色の網点領域RDの一部に赤色の文字(ここでは「L」)が重畳されている。これらの図では、各網点は、所定の大きさ(たとえば3画素×3画素)を有する正方形で示されている。なお、図12以降においては、簡単化のため、図6〜図11における網点の角度とは別の角度を有する網点を図示している。
【0048】
まず、ステップS11(図4)において、孤立点検出部23は、スキャン画像に基づく画像(ここでは、まずRプレーン画像(図7))に対して孤立点検出処理を施し、孤立点(詳細には黒孤立点)を検出する。「黒孤立点」は、その周辺画素の階調値よりも小さな階調値を有する孤立点である。端的に言えば、黒孤立点は、周辺から孤立した黒い点である。
【0049】
この孤立点検出処理においては、孤立点のサイズと位置とが検出される。
【0050】
たとえば、孤立点サイズ「1」の孤立点(黒孤立点)は、次のような処理によって検出される。具体的には、図23に示すように、注目画素P5の画素値V5と複数の周辺画素P1〜P3,P4,P6,P7〜P9の画素値の最小値min(P1〜P3,P4,P6,P7〜P9)とが比較される。詳細には、画素値V5が最小値min(P1〜P3,P4,P6,P7〜P9)よりも小さい旨の条件が成立するときに、注目画素P5は「黒孤立点」であることが検出される。換言すれば、注目画素P5の位置を重心位置とする黒孤立点が、検出される。上述のように、この黒孤立点のサイズ(孤立点サイズ)は、「1(画素)」である。
【0051】
同様に、孤立点サイズ「3」の孤立点は、次のような処理によって検出される。具体的には、図24に示すように、注目画素P33の画素値V33と複数の周辺画素P11〜P15,P21〜P25,P31,P32,P34,P35,P41〜P45,P51〜P55の画素値とが比較される。たとえば、画素値V33がその周辺画素(P22〜P24,P32,P34,P42〜P44)の最小値min1よりも小さく且つ当該最小値min1が更に外側の周辺画素(P11〜P15,P21,P25,P31,P35,P41,P45,P51〜P55)の最小値min2よりも小さい旨の条件が成立するときに、注目画素P33を中心とする3画素×3画素の画素群は「黒孤立点」であることが検出される。換言すれば、注目画素P33の位置を重心位置とする黒孤立点が、検出される。上述のように、この黒孤立点のサイズ(孤立点サイズ)は、「3」(画素)である。なお、「孤立点」の重心位置は「孤立点」の代表位置などとも表現される。また、上記条件に加えて、周辺画素(P22〜P24,P32,P34,P42〜P44)の平均値ave1が、さらに外側の周辺画素(P11〜P15,P21,P25,P31,P35,P41,P45,P51〜P55)の平均値ave2よりも小さい旨の条件が更に成立するときに、3画素×3画素の上記画素群が「黒孤立点」であると判定するようにしてもよい。
【0052】
同様にして、その他の複数のサイズの黒孤立点が検出される。このようにして、各サイズの黒孤立点の重心位置(代表位置)等が検出される。なお、同一の注目画素EBが複数のサイズの孤立点として重複して検出されるときには、検出されたサイズのうち最も大きな孤立点サイズが、当該注目画素EBの孤立点サイズとして決定されればよい。
【0053】
このような処理によって、たとえば、図10、図14および図15に示すように、複数の孤立点(詳細には黒孤立点)が検出される。図14においては、図12の網点領域RDから抽出された孤立点(黒孤立点)PSが示されており、図15においては、図13の網点領域RDと文字ライン領域RLとから抽出された孤立点(黒孤立点)PSが示されている。図14および図15においては、(3×3)画素サイズの各孤立点PSが、破線の正方形で示されており、各孤立点の重心画素PBがその中央の黒色画素として示されている。
【0054】
以上のようにして、Rプレーン画像に基づく黒孤立点検出処理が行われる。シアン色の網点は、上記のRプレーン画像(シアン色の補色である赤色のプレーン画像)において黒孤立点として特に検出され易い。
【0055】
同様にして、Gプレーン画像に基づく黒孤立点検出処理も実行される。なお、図8のGプレーン画像においては、網点領域に対応する点が存在しないように図示されているが、「シアン色」が理想的なシアン色から若干ずれている場合などにおいては、Gプレーン画像等においても網点に対応する黒孤立点が検出される。
【0056】
なお、各色成分プレーンにおいては、その補色の網点領域を形成する複数の点が孤立点として検出され易い。たとえば、上述したように、Rプレーンにおいては、赤色(R)の補色であるシアン色(C)の網点が孤立点として検出され易い。同様に、Gプレーンにおいては、緑色(G)の補色であるマゼンタ(M)の網点が孤立点として検出され易い。複数の色成分のプレーン画像を用いることによれば、様々な色の網点を良好に検出することが可能である。
【0057】
その後、Rプレーン画像に基づき検出された黒孤立点とGプレーン画像に基づき検出された黒孤立点との双方を用いて、以後の処理が実行される。図10は、Rプレーン画像に基づき検出された黒孤立点とGプレーン画像に基づき検出された黒孤立点との双方を示している。
【0058】
ここにおいて、図6および図15等を参照すると判るように、文字ライン領域(文字を構成するライン(点、直線、および曲線を含む)状の領域(画素群))RLの内部においても、孤立点PSが存在する。そのため、特に図15に示すように、網点領域のみならず、文字ライン領域(太い破線で囲まれるL字型領域)RLの内部においても、孤立点(黒孤立点)PSが検出される。
【0059】
仮にこれらの孤立点PSの存在領域をそのまま網点領域であると判定すると、文字ライン領域RLを含む領域が網点領域として判定される。そして、上述したように、そのような網点領域に対して平滑化処理を施すと、文字ライン領域に対しても平滑化処理が施され、文字のエッジがぼやけてしまうという問題が生じ得る。
【0060】
一方、この実施形態においては、次のステップS12以降の処理が実行されることにより、このような問題が解消される。
【0061】
具体的には、まず、ステップS12において、スキャン画像(ここでは、min(R,G)画像)からライン状領域REがライン状領域抽出部24によって抽出される。詳細には、min(R,G)画像に対してエッジ抽出処理が施されて文字等のエッジが抽出される。そして、抽出されたエッジで囲まれる閉領域が文字等の「ライン」で構成される領域(ライン状領域)として抽出される。このライン状領域REは、文字を構成するライン(線)の候補領域(文字ライン候補領域とも称する)として抽出される。なお、ライン状領域REの太さは、1画素幅に限定されず、適宜の種々の大きさを有し得る。ライン状領域REの形状は、たとえば、点、直線あるいは曲線等である。また、ここでのライン状領域REは、その外部領域(周辺領域)の画素の階調値よりも小さな階調値を有する領域であり、ポジ状態の文字(背景色よりも濃い(黒い)色の文字)のラインの候補領域であることから、「ポジ型文字ライン候補領域」あるいは「ポジ型ライン状領域」であるとも表現される。
【0062】
これにより、たとえば、図11、図16および図17に示すように、ライン状領域(エッジと当該エッジの内側領域とを含むライン状の領域)REが検出される。図16においては、図12の網点領域から抽出されたライン状領域(ポジ型ライン状領域)REが示されており、図17においては、図13の網点領域および文字ライン領域から抽出されたライン状領域(ポジ型ライン状領域)RE(REp)が示されている。図16および図17においては、抽出されたライン状領域が黒色で示されている。なお、ここでのライン状領域は、検出されたエッジと当該エッジの内側領域とを含む領域であることから、「エッジ内部領域」(ポジ型エッジ内部領域)などとも称される。
【0063】
また、図18は、孤立点検出結果(図14)とライン状領域抽出結果(図16)とを重ねて示す図であり、図19は、孤立点検出結果(図15)とライン状領域抽出結果(図17)とを重ねて示す図である。なお、図18および図19においては、検出された孤立点の重心画素が黒色で示されることによって孤立点検出結果が示されるとともに、抽出されたライン状領域が淡色で示されることによってライン状領域抽出結果が示されている。
【0064】
図20〜図22は、スキャン画像等の一例をさらに詳細に示す図である。図20は、スキャン画像におけるシアン色の網点領域を示す図である。図21は、図20の網点領域に関する、黒孤立点PSpの検出結果とポジ型ライン状領域REpの抽出結果とを示す図である。図21においては、非白色の淡色画素はポジ型ライン状領域REpの画素を示しており、濃色画素は黒孤立点PSpの重心画素PBpを示している。白色画素は、ポジ型ライン状領域の内部画素でも黒孤立点の画素でもない画素を示している。また、図22は、図20の網点領域に関する、白孤立点PSnの検出結果とネガ型ライン状領域REnの抽出結果とを示す図である。図22においては、淡色画素はネガ型ライン状領域REnの画素を示しており、濃色画素は白孤立点PSnの重心画素PBnを示している。白色画素は、ネガ型ライン状領域の画素でも白孤立点の画素でもない画素を示している。なお、「白孤立点」および「ネガ型ライン状領域」については後述する。
【0065】
ここにおいて、このライン状領域抽出処理においては、本来の文字ライン領域RLがライン状領域REとして抽出されるとともに上述の孤立点PSもライン状領域REとして抽出される。たとえば、図17においては文字「L」に関する文字ライン領域RLがライン状領域REとして抽出されるとともに、文字「L」の周囲の孤立点PSもライン状領域REとして抽出される。また、図16における各孤立点PSもライン状領域REとして抽出される。したがって、ライン状領域抽出処理の結果のみを用いることによっては、文字ライン領域を正確に抽出することは困難である。
【0066】
これに対して、この実施形態においては、次のステップS13以降の処理がさらに行われる。
【0067】
ステップS13においては、ステップS11において検出された複数の孤立点(詳細には黒孤立点)の種別が孤立点種別判定部25によって判定される。具体的には、孤立点種別判定部25は、各孤立点が「真性孤立点」であるか「擬似孤立点」であるかを判定する。
【0068】
ここで、「擬似孤立点」は、ステップS11の孤立点検出処理によって文字ライン領域内から検出された複数の孤立点(図10等参照)のうち、本来の意味での孤立点ではないにもかかわらず、誤検出によって孤立点として検出されたものである。ここでは、本来の孤立点でないことを示すために、このような孤立点を「擬似孤立点」(擬似的な孤立点)とも称する。一方、本来の孤立点を「真性孤立点」とも称する。これにより、2種類の孤立点を互いに区別する。
【0069】
孤立点種別判定部25は、ライン状領域RE内の画素でもあり且つ孤立点PSの代表画素(重心画素)PBでもある画素を注目画素EBとし、当該注目画素EBを中心とするライン状領域REの不連続性を判定する。注目画素EBに対応する孤立点PSであってライン状領域REに関する不連続性が存在する旨が判定された孤立点は、「真性孤立点」であると判定される。一方、注目画素EBに対応する孤立点PSであってライン状領域REに関する不連続性が存在しない旨が判定された孤立点は、「擬似孤立点」であると判定される。
【0070】
具体的には、図5に示すように、まずステップS41において、注目画素EBが選択される。ステップS41では、ライン状領域内の画素であって且つ孤立点の代表画素(重心画素)である画素が、注目画素EBに決定される。たとえば図25に示すような画素EB1等が注目画素EBとして決定される。
【0071】
そして、ステップS42において、当該注目画素EBに対応する孤立点PSの孤立点サイズに基づいて、検出対象領域の大きさが決定される。たとえば、注目画素EBを中心とする所定の画素数(たとえば、注目画素の孤立点サイズN)の範囲が、検出対象領域TD(図25参照)として決定される。
【0072】
つぎに、ステップS43において、孤立点種別判定部25は、注目画素EBを中心とするライン状領域の不連続性を4つの方向DR1〜DR4において判定する(図25および図26参照)。
【0073】
孤立点種別判定部25は、まず第1の方向DR1(たとえばX軸に対して0度の傾きを有する方向)において注目画素の両側にライン状領域REの不連続性が検出されるか否かを判定する。この不連続性の検出は、ステップS42で決定された検出対象領域TDに対して実行される。
【0074】
具体的には、注目画素EBが孤立点サイズ「3」の孤立点である場合(N=3)には、次のようにして、第1の方向DR1において注目画素EBの「両側」にライン状領域の不連続性が検出されるか否かが判定される。詳細には、方向DR1(X方向)において、注目画素EBから注目画素EBの左側(−X側)3画素までの範囲(両端画素を含む範囲)内にライン状領域でない画素が存在し、且つ、注目画素EBから注目画素EBの右側(+X側)3画素までの範囲(両端画素を含む範囲)内にライン状領域REでない画素が存在する、との条件が充足されるか否かが判定される。端的に言えば、注目画素EBを起点として左向きと右向きとの両方の向きにおいて「非ライン状領域」の画素の存否が判定される。当該条件が充足されるときには、第1の方向DR1において注目画素EBの「両側」にライン状領域REの不連続性が検出される旨が判定される。一方、当該条件が充足されないときには、第1の方向DR1において注目画素EBの「両側」にライン状領域REの不連続性が検出される旨は判定されない。
【0075】
たとえば、図25の注目画素EB1に関しては、第1の方向DR1(図26も参照)において注目画素EB1の2画素右側の位置と注目画素EB1の2画素左側の位置とにライン状領域REでない画素(外部の画素(図では白色の画素))が存在する。したがって、第1の方向DR1において注目画素EB1の「両側」にライン状領域の不連続性が検出される旨が判定される。
【0076】
一方、図25の注目画素EB2に関しては、第1の方向DR1と第2の方向DR2との双方において、検出対象領域TD内にはライン状領域REでない画素は存在せず(いずれもライン状領域REの画素であり)、ライン状領域REの不連続性が検出される旨は判定されない。また、図25の注目画素EB3に関しては、第1の方向DR1において、注目画素EB3の左側には、ライン状領域REでない画素(図25にて細破線で囲まれる白色領域)が検出対象領域TD内に存在するが、注目画素EB3の右側にはライン状領域REでない画素は検出対象領域TD内に存在しない。すなわち、ライン状領域REの不連続性は注目画素EB3の右側には存在しない。したがって、第1の方向DR1において注目画素EB3の「両側」にライン状領域REの不連続性が検出される旨は判定されない。
【0077】
また、孤立点サイズ「3」以外の孤立点に対応する注目画素EBについても、同様に、注目画素EBを中心とする特定の範囲(所定の画素数の範囲)TD内において(詳細には、その孤立点サイズに応じた検出対象領域TD内において)、上記と同様の判定処理が行われる。
【0078】
つぎに、孤立点種別判定部25は、今度は、第1の方向DR1に垂直な第2の方向DR2(たとえばX軸に対して90度の傾きを有する方向(すなわちY方向))において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出されるか否かを同様にして判定する。たとえば、方向DR2(Y方向)において、注目画素EBから注目画素EBの下側(−Y側)N画素までの範囲内にライン状領域REでない画素が存在し且つ注目画素EBから注目画素EBの上側(+Y側)N画素までの範囲内にライン状領域REでない画素が存在するときには、第2の方向DR2において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出される旨が判定される。
【0079】
また、孤立点種別判定部25は、今度は、第3の方向DR3(たとえばX軸に対して+45度の傾きを有する方向)において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出されるか否かを同様にして判定する。たとえば、方向DR3において、注目画素EBから注目画素EBの左下側(−X側且つ−Y側)N画素までの範囲内にライン状領域REでない画素が存在し且つ注目画素EBから注目画素EBの右上側(+X側且つ+Y側)N画素までの範囲内にライン状領域REでない画素が存在するときには、第3の方向DR3において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出される旨が判定される。
【0080】
さらに、孤立点種別判定部25は、今度は、第3の方向DR3に垂直な第4の方向DR4(たとえばX軸に対して135度(−45度)の傾きを有する方向)において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出されるか否かを同様にして判定する。たとえば、方向DR4において、注目画素EBから注目画素EBの左上側(−X側且つ+Y側)N画素までの範囲内にライン状領域REでない画素が存在し且つ注目画素EBから注目画素EBの右下側(+X側且つ−Y側)N画素までの範囲内にライン状領域REでない画素が存在するときには、第4の方向DR4において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出される旨が判定される。
【0081】
そして、ステップS44において、孤立点種別判定部25は、所定の基準を充足するか否かに応じて、注目画素EBに対応する孤立点の種別を判定する。ここでは、これら4つの方向のうちの2組の垂直2方向((DR1,DR2)あるいは(DR3,DR4))において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出されるか否か、を所定の基準として採用する。
【0082】
具体的には、孤立点種別判定部25は、或る垂直2方向(DR1,DR2)における2つの方向DR1,DR2の双方において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出される旨が判定されるときには、当該注目画素EBに対応する孤立点を「真性孤立点」であると判定する(ステップS45)。同様に、他の垂直2方向(DR3,DR4)における2つの方向DR3,DR4の双方において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出される旨が判定されるときにも、当該注目画素EBに対応する孤立点を「真性孤立点」であると判定する(ステップS45)。これらのように注目画素EBの両側におけるライン状領域REの「途切れ」が垂直2方向の双方に存在するときには、当該注目画素EB(詳細には、注目画素EBに対応する孤立点)が、本来の意味での「孤立点」(真性孤立点)である可能性が高いからである。
【0083】
これに対して、「真性孤立点」以外の孤立点は、「擬似孤立点」であると判定される。具体的には、或る垂直2方向(DR1,DR2)の少なくとも一方において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出される旨が判定されず、且つ、他の垂直2方向(DR3,DR4)の少なくとも一方において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出される旨が判定されないときには、注目画素EBに対応する孤立点は「擬似孤立点」であると判定される(ステップS46)。このように注目画素EBの両側におけるライン状領域REの「途切れ」が垂直2方向のうちの少なくとも1つの方向に存在しないときには、当該注目画素EBが本来の孤立点ではない可能性が高いからである。
【0084】
たとえば、図25の注目画素EB1に関しては、第1の方向DR1において注目画素EB1の「両側」にライン状領域REの不連続性が検出される。また、当該注目画素EB1に関しては、第2の方向DR2においても、注目画素EB2の「両側」にライン状領域REの不連続性が検出される。すなわち、注目画素EB1に関しては、第1の方向DR1と第2の方向DR2とのいずれにおいても、注目画素EB1の両側に「ライン状領域の不連続性」が検出される。したがって、注目画素EB1に対応する孤立点は、「真性孤立点」であると判定される。
【0085】
一方、図25の注目画素EB2に関しては、第1の方向DR1と第2の方向DR2との双方において、ライン状領域REでない画素は検出対象領域TD内には存在せず、ライン状領域REの不連続性は検出されない。同様に、第3の方向DR3と第4の方向DR4との双方においても、ライン状領域REでない画素は検出対象領域TD内には存在せず、ライン状領域REの不連続性は検出されない。したがって、注目画素EB2に対応する孤立点は、「擬似孤立点」であると判定される。
【0086】
また、図25の注目画素EB3に関しては、ライン状領域REの不連続性は注目画素EB3の右側には存在せず、第1の方向DR1において注目画素EB3の「両側」にライン状領域REの不連続性が検出される旨は判定されない。なお、第2の方向においても、注目画素EB3の「両側」にライン状領域REの不連続性が検出される旨は判定されない。さらに、第3の方向DR3と第4の方向DR4との双方においても、ライン状領域REでない画素は検出対象領域TD内には存在せず、ライン状領域REの不連続性は検出されない。したがって、注目画素EB3に対応する孤立点は、「擬似孤立点」(擬似黒孤立点)であると判定される。
【0087】
ここにおいて、図25等においては、網点角度が45度である場合が主に想定されている。この場合には、上述のように、互いに垂直な2つ方向DR1,DR2の双方において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出されるときに、当該注目画素EBに対応する孤立点(黒孤立点)を「真性孤立点」(真性黒孤立点)であると判定する(ステップS45)ことが特に有用である。
【0088】
ただし、網点角度が0度である場合も存在する。その場合には、互いに垂直な2つ方向DR3,DR4の双方において注目画素EBの両側にライン状領域REの不連続性が検出されるときに、当該注目画素EBに対応する孤立点を「真性孤立点」であると判定する(ステップS45)ことが特に有用である。この場合には、図27に示すように、方向DR3,DR4において網点に関するライン状領域REの不連続性が検出され易くなるため、このような網点に関する真性孤立点が正確に検出され易くなる。
【0089】
したがって、様々な角度の網点に対してより適切に対応するためには、上記のように、方向DR1,DR2のみならず、方向DR3,DR4に関する不連続性をも用いて、孤立点種別判定動作を行うことが好ましい。
【0090】
つぎのステップS47では、ステップS44〜S46での孤立点種別判定結果に基づき、ステップS11(図4)で検出された複数の孤立点(黒孤立点)から、擬似孤立点(黒色擬似孤立点)を除去する処理が施される(図28参照)。
【0091】
そして、ステップS48では、ライン状領域RE内の全ての孤立点(黒孤立点)についてステップS41〜ステップS46の処理が終了したか否かが判定される。未終了の画素が残存しているときには、ステップS41に戻る。一方、ライン状領域RE内の全ての孤立点画素についてステップS41〜ステップS46の処理が終了した旨が判定されると、ステップS13の処理を終了する。このようにして、ステップS41〜ステップS46の処理がライン状領域REの全ての孤立点(黒孤立点)についてそれぞれ実行される。
【0092】
以上のような処理(ステップS41〜S48)によって、ステップS11での孤立点検出結果から、全ての擬似孤立点(黒色擬似孤立点)が除去される。
【0093】
この結果、理想的には、ステップS11で検出された複数の孤立点(図10参照)のうち、文字「SAMPLE」の文字ライン領域RLに存在していた擬似孤立点が全て除去される。図28は、擬似孤立点除去後の孤立点(真性孤立点)等を示す図である。たとえば、図28と図19とを比較すると判るように、図28においては、図19の複数の孤立点から擬似孤立点が除去されている。詳細には、図面中央の略L字状のライン状領域RE(文字ライン領域RLを含む領域)から孤立点(黒色擬似孤立点)が除去されている。
【0094】
次のステップS14においては、孤立点種別判定結果に基づく網点領域決定処理が行われる。具体的には、網点領域決定部27は、複数の孤立点(黒孤立点)から擬似孤立点(擬似黒孤立点)が除去された領域(換言すれば、複数の黒孤立点のうち擬似黒孤立点を含まず且つ真性黒孤立点を含む領域)を網点領域として決定する。より詳細には、網点領域決定部27は、各孤立点(黒孤立点)を隣接孤立点まで拡張する処理を実行して、孤立点(黒孤立点)を含む連続領域を生成し、当該連続領域を網点領域として決定する。たとえば、図28においては、一点鎖線で囲まれた領域が網点領域として決定される。
【0095】
また、ステップS15においては、ライン状領域決定処理が行われる。具体的には、文字ライン領域決定部26は、真性孤立点(真性黒孤立点)が除去されたライン状領域RE(ポジ型ライン状領域REp)を文字ライン領域として決定する。より詳細には、文字ライン領域決定部26は、ステップS12で抽出されたライン状領域REから、各真性孤立点(真性黒孤立点)をその孤立点サイズに応じて拡張した領域を除外して、ライン状領域を修正する。そして、当該除外後(修正後)のライン状領域が文字ライン領域として決定される。たとえば、図28においては、二点鎖線で囲まれたL字型領域が文字ライン領域として決定される。
【0096】
ステップS21〜S25(図4)においても、ステップS11〜S15と同様の動作が実行される。ただし、ポジネガ反転し、「黒孤立点」に代えて「白孤立点」が採用され、「ポジ型ライン状領域」に代えて「ネガ型ライン状領域」が採用される点などにおいて相違する。
【0097】
詳細には、まず、ステップS21において、孤立点検出部23は、スキャン画像に基づく画像(Rプレーン画像等)に対して孤立点検出処理を施し、孤立点(詳細には白孤立点)を検出する。「白孤立点」は、その周辺画素の階調値よりも大きな階調値を有する孤立点である。端的に言えば、「白孤立点」は、周辺から孤立した白い点である。
【0098】
なお、白孤立点の検出は、黒孤立点の検出とは階調値の大小が逆になる点などにおいて相違する。たとえば、孤立点サイズ「1」の白孤立点は、次のような処理によって検出される。具体的には、注目画素P5(図23参照)の画素値V5が周辺画素の最大値max(P1〜P3,P4,P6,P7〜P9)よりも大きい旨の条件が成立するとき、注目画素P5は「白孤立点」であることが検出される。換言すれば、注目画素P5の位置を重心位置とする白孤立点が、検出される。同様に、その他のサイズの白孤立点の検出動作も、階調値の大小等が黒孤立点の検出動作とは逆になるように行われる。
【0099】
つぎに、ステップS22において、スキャン画像(ここでは、max(R,G,B)画像)からライン状領域REがライン状領域抽出部24によって抽出される。詳細には、max(R,G,B)画像に対してエッジ抽出処理が施されて文字等のエッジが抽出される。そして、抽出されたエッジで囲まれる閉領域がライン状領域(文字ライン候補領域)として抽出される。なお、このライン状領域REは、その外部領域(周辺領域)の画素の階調値よりも大きな階調値を有する領域であり、ネガ状態の文字(背景色よりも薄い(白い)色の文字)のラインの候補領域であることから、「ネガ型文字ライン候補領域」あるいは「ネガ型ライン状領域」であるとも表現される。
【0100】
この結果、たとえば、図22に示すように、ステップS21の処理により図20の網点領域に関する白孤立点PS(PSn)が検出されるとともに、ステップS22の処理により図20の網点領域に関するネガ型ライン状領域RE(REn)が検出される。なお、図22では、図示の都合上、濃淡が再度逆転して示されており、グレースケール画像における比較的白い部分が比較的黒く示されている。そのため、白孤立点PS(PSn)の重心画素PB(PBn)が濃色で示されているとともに、本来は白色もしくは淡色のネガ型ライン状領域RE(REn)は、その外部領域(非ネガ型ライン状領域)の白色よりも濃い色(ただし、白孤立点PSnの重心画素PBnよりも薄い色)で示されている。
【0101】
つぎに、ステップS23においては、ステップS21において検出された複数の孤立点(詳細には黒孤立点)の種別が孤立点種別判定部25によって判定される。このステップS23の処理は、ステップS13の処理と同様である。
【0102】
これにより、各白孤立点が「真性白孤立点」であるか「擬似白孤立点」であるかが判定されるとともに、ステップS21で検出された複数の孤立点(白孤立点)から、擬似孤立点(白色擬似孤立点)を除去する処理が施される。
【0103】
次のステップS24においては、孤立点種別判定結果に基づく網点領域決定処理が行われる。具体的には、網点領域決定部27は、複数の白孤立点から擬似白孤立点が除去された領域(換言すれば、複数の白孤立点のうち擬似白孤立点を含まず且つ真性白孤立点を含む領域)を網点領域として決定する。より詳細には、網点領域決定部27は、各白孤立点を隣接白孤立点まで拡張する処理を実行して、真性白孤立点を含む連続領域を生成し、当該連続領域を網点領域として決定する。
【0104】
さらに、ステップS25においては、ライン状領域決定処理が行われる。具体的には、文字ライン領域決定部26は、真性白孤立点が除去されたネガ型ライン状領域REnを文字ライン領域として決定する。より詳細には、文字ライン領域決定部26は、ステップS22で抽出されたネガ型ライン状領域REnから、各真性白孤立点をその孤立点サイズに応じて拡張した領域を除外して、ネガ型ライン状領域を修正する。そして、当該除外後(修正後)のネガ型ライン状領域が文字ライン領域として決定される。
【0105】
その後、ステップS31において、ステップS14,S24の決定結果が統合される。具体的には、黒孤立点PSpとポジ型ライン状領域REpとの組合せによってステップS14で決定された網点領域と、白孤立点PSnとネガ型ライン状領域REnとの組合せによってステップS24で決定された網点領域との両領域(換言すれば、両領域の和領域(OR結合領域))が、「網点領域」として最終的に決定される。
【0106】
また、ステップS32においては、ステップS15,S25の決定結果が統合される。具体的には、黒孤立点PSpとポジ型ライン状領域REpとの組合せによってステップS15で決定された文字ライン領域と、白孤立点PSnとネガ型ライン状領域REnとの組合せによってステップS25で決定された文字ライン領域との両領域(換言すれば、両領域の和領域(OR結合領域))が、「文字ライン領域」として最終的に決定される。
【0107】
以上のような処理によれば、ステップS13,S23において、文字ライン候補領域であるライン状領域REから擬似孤立点が適切に除去される。たとえば、図28に示すように、L字状の「文字ライン領域」から擬似孤立点を除去することが可能である。そして、ステップS14,S24において、擬似孤立点が除去され真性孤立点のみを含む領域が網点領域として適切に判定される。そのため、文字と網点とが混在する画像から、網点領域をより適切に抽出することが可能である。
【0108】
したがって、網点領域に対して平滑化処理を施す場合において、文字ライン領域RLに対して平滑化処理が施されずに済む。これにより、文字のエッジがぼけるという問題が回避される。
【0109】
また、ステップS15,S25において、文字ライン候補領域であるライン状領域REから、真性孤立点と擬似孤立点とのうち真性孤立点のみが適切に除去される。たとえば、図28に示すように、L字状の「文字ライン領域」の外側に存在する真性孤立点を除外した領域が文字ライン領域として適切に判定される。そのため、文字と網点とが混在する画像から、文字ライン領域をより適切に抽出することが可能である。
【0110】
<3.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0111】
たとえば、上記実施形態においては、ステップS42(図5)にて、検出対象領域TDは、注目画素EBから両側にそれぞれ孤立点サイズNと同じ画素数の範囲の大きさを有する領域として決定されているが、これに限定されない。具体的には、検出対象領域TDは、注目画素EBから両側にそれぞれ画素数(N+α)の範囲の大きさを有する領域として決定されるようにしてもよい。値αは、例えば、1画素〜数画素である。また、値αは、負の値(たとえば、−1画素〜−数画素)であってもよい。
【0112】
また、上記実施形態においては、2組の垂直2方向(DR1,DR2),(DR3,DR4)におけるライン状領域の不連続性を判定する場合を例示したが、これに限定されず、別の垂直方向(DR5,DR6)におけるライン状領域の不連続性を判定するようにしてもよい。たとえば、X軸に対して30度の傾斜角度を有する方向と120度(−60度)の傾斜角度を有する方向とをそれぞれDR5,DR6として採用するようにしてもよい。
【0113】
また、網点の方向が予め判っている場合には、当該網点の方向に対して45度回転させた2つの垂直方向におけるライン状領域の不連続性を判定することが好ましい。たとえば、網点角度が45度であることが判っている場合には、X軸に対して90度の傾斜角度を有する方向DR2とX軸に対して0度の傾斜角度を有する方向DR1との2つの方向において、注目画素EBの両側にライン状領域の不連続性が検出されるか否かを判定することが好ましい。なお、網点の方向は、ステップS11等での孤立点検出結果(図10参照)の画像に対して、互いに異なる特定方向(たとえば0度、45度、90度、および135度)の画素配列検出用の複数のフィルタ(直線の方向検出フィルタ)による処理等を施すことによって検出されればよい。各方向検出フィルタとしては、たとえば、中央から対応検出方向(たとえば45度)上の位置にのみ「1」の画素が配置され、その他の位置には「0」の画素が配置された所定サイズの画像処理フィルタを用いればよい。そして、最も大きな演算結果(平均値等)が得られた方向検出フィルタに対応する特定方向が、当該網点領域の方向として決定されればよい。
【0114】
特に、網点の方向が予め判っている場合には、当該網点の方向に対して45度回転させた2つの方向のみにおけるライン状領域の不連続性を判定するようにしてもよい。たとえば、網点角度が45度であることが判っている場合には、上記の垂直2方向(DR1,DR2)におけるライン状領域の不連続性のみを判定して、孤立点種別判定動作を行うようにしてもよい。これによれば、処理の効率化を図ることができる。
【0115】
また、上記実施形態においては、垂直2方向(たとえば、(DR1,DR2))の双方において注目画素EBの両側にライン状領域の不連続性が検出されるか否かに応じて、孤立点種別が判定される場合を例示したが、これに限定されない。
【0116】
具体的には、複数の方向(たとえば、上記4方向DR1〜DR4)のうちの少なくとも1つの方向において、注目画素EBの両側にライン状領域の不連続性が検出されるか否かに応じて、孤立点種別が判定されるようにしてもよい。詳細には、互いに異なる複数の方向(DR1〜DR4等)のうちの少なくとも1つの方向において、注目画素EBの両側にライン状領域の不連続性が検出される旨の条件が充足されるときには、注目画素EBに対応する孤立点は「真性孤立点」であると判定されてもよい。一方、当該条件が充足されないときには、注目画素EBに対応する孤立点は「擬似孤立点」であると判定されてもよい。
【0117】
図29は、このようにして判定された擬似孤立点が除去された様子を示す図である。図29に示すように、このような変形例に係る判定処理等によっても、ライン状領域RE(特に文字ライン領域RL)内の擬似孤立点が良好に除去され得る。なお、図28と比較すると、図29においては比較的多くの孤立点が網点領域(一点鎖線で囲まれた領域)内に残存しており、当該変形例においては、真性孤立点であると判定されるための条件が上記実施形態に比べて緩和されていることが判る。
【0118】
また、上記実施形態においては、ステップS11〜S15の処理とステップS21〜S25の処理との両処理が行われる場合を例示しているが、これに限定されず、当該両処理の一方のみが行われるようにしてもよい。たとえば、両処理のうち、ステップS11〜S15の処理のみが行われるようにしてもよい。
【0119】
また、上記実施形態においては、ステップS12等においてスキャン画像に対してエッジ抽出処理等を施してライン状領域が抽出される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、スキャン画像等に対して低輝度領域抽出処理等を施してポジ型ライン状領域が抽出されるようにしてもよい。同様に、スキャン画像等に対して高輝度領域抽出処理等を施してネガ型ライン状領域が抽出されるようにしてもよい。なお、この際には、文字ライン領域以外の領域(ベタ塗り領域等)を除外するため、一定以上の面積あるいは一定以上の太さを有する領域を除外した状態で上記ライン状領域が抽出されることがさらに好ましい。
【0120】
また、上記実施形態においては、画像データ(デジタル画像データ)として、画像読取部2によって生成されたスキャン画像を例示したが、これに限定されない。たとえば、外部機器等から送信されてきた印刷用の画像データ(印刷用画像データ)等であってもよい。当該印刷用画像データは、スキャン処理によって生成されたものであってもよく、あるいは、所定のアプリケーションソフトウエア(ワードプロセッサ、図形プロセッサ等)によって生成されたものであってもよい。
【0121】
また、上記実施形態においては、MFP1が画像処理装置として機能する場合を例示したが、これに限定されず、コンピュータ(パーソナルコンピュータ等)が画像処理装置として機能するようにしてもよい。
【0122】
図30は、このような変形例に係る画像処理装置1(1B)を示す概略図である。画像処理装置1(1B)は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータによって構成される。また、当該画像処理装置1Bには、スキャナ装置80によるスキャン画像が入力される。
【0123】
画像処理装置(コンピュータ)1Bは、当該スキャン画像に対して上述のような画像処理を施す。詳細には、画像処理装置(コンピュータ)1Bは、所定のプログラムPGが記録された記録媒体91(例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)から当該プログラムPGを読み出し、当該プログラムPGをそのCPU等を用いて実行することによって、上記のコントローラ9と同様の機能を実現する。これによって、画像処理装置(コンピュータ)1Bは、上記実施形態と同様の画像処理等を実行することができる。なお、当該プログラムPGは、記録媒体によって供給されてもよいが、インターネットを介してダウンロードすることなどによって供給されてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1,1A,1B 画像処理装置
91 記録媒体
DR1〜DR4 方向
EB,EB1〜EB3 注目画素
N 孤立点サイズ
PB,PBn,PBp 重心画素
PG プログラム
PS 孤立点
PSn 白孤立点
PSp 黒孤立点
RE ライン状領域
REn ネガ型ライン状領域
REp ポジ型ライン状領域
RL 文字ライン領域
TD 検出対象領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
画像データにおける孤立点を検出する孤立点検出手段と、
前記画像データにおけるライン状領域を文字ライン候補領域として抽出するライン状領域抽出手段と、
前記ライン状領域内の各孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素として当該注目画素を中心とする前記ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された孤立点を真性孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された孤立点を擬似孤立点であると判定する孤立点種別判定手段と、
前記孤立点検出手段によって検出された複数の孤立点のそれぞれに関する孤立点種別判定結果に基づいて、網点領域を決定する網点領域決定手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記孤立点種別判定手段は、前記注目画素を中心とする特定の範囲内において、第1の方向において前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出され、且つ、前記第1の方向に垂直な第2の方向において前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出されるときには、前記注目画素に対応する孤立点を前記真性孤立点であると判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記孤立点種別判定手段は、前記注目画素を中心とする特定の範囲内において、前記第1の方向とも前記前記第2の方向とも異なる第3の方向において前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出され、且つ、前記第3の方向に垂直な第4の方向において前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出されるときには、前記注目画素に対応する孤立点を前記真性孤立点であると判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記孤立点種別判定手段は、前記注目画素を中心とする特定の範囲内において互いに異なる複数の方向のうち少なくとも1つの方向にて前記注目画素の両側に前記ライン状領域の不連続性が検出されることを条件として、前記注目画素に対応する孤立点を前記真性孤立点であると判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記網点領域決定手段は、前記孤立点検出手段によって検出された複数の孤立点のうち前記擬似孤立点を含まず且つ前記真性孤立点を含む領域を網点領域として決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記孤立点検出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも小さな階調値を有する孤立点を黒孤立点として検出し、
前記ライン状領域抽出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも小さな階調値を有する前記ライン状領域をポジ型ライン状領域として検出し、
前記孤立点種別判定手段は、前記ポジ型ライン状領域内の各黒孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素とし、当該注目画素を中心とするポジ型ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された黒孤立点を前記真性孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された黒孤立点を前記擬似孤立点であると判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記孤立点検出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも大きな階調値を有する孤立点を白孤立点として検出し、
前記ライン状領域抽出手段は、前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも大きな階調値を有する前記ライン状領域をネガ型ライン状領域として検出し、
前記孤立点種別判定手段は、前記ネガ型ライン状領域内の各白孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素とし、当該注目画素を中心とするネガ型ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された白孤立点を前記真性孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された白孤立点を前記擬似孤立点であると判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記孤立点検出手段は、
前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも小さな階調値を有する孤立点を黒孤立点として検出し、
前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも大きな階調値を有する孤立点を白孤立点として検出し、
前記ライン状領域抽出手段は、
前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも小さな階調値を有する前記ライン状領域をポジ型ライン状領域として検出し、
前記画像データに基づいて、周辺画素の階調値よりも大きな階調値を有する前記ライン状領域をネガ型ライン状領域として検出し、
前記孤立点種別判定手段は、
前記ポジ型ライン状領域内の各黒孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素とし、当該注目画素を中心とするポジ型ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された黒孤立点を真性黒孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された黒孤立点を擬似黒孤立点であると判定するとともに、
前記ネガ型ライン状領域内の各白孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素とし、当該注目画素を中心とするネガ型ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された白孤立点を真性白孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された白孤立点を擬似白孤立点であると判定し、
前記網点領域決定手段は、前記孤立点検出手段によって検出された複数の黒孤立点のうち前記擬似黒孤立点を含まず且つ前記真性黒孤立点を含む第1の領域と、前記孤立点検出手段によって検出された複数の白孤立点のうち前記擬似白孤立点を含まず且つ前記真性白孤立点を含む第2の領域との和領域を網点領域として決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
a)画像データにおける孤立点を検出するステップと、
b)前記画像データにおけるライン状領域を文字ライン候補領域として抽出するステップと、
c)前記ライン状領域内の各孤立点の代表画素をそれぞれ注目画素として当該注目画素を中心とする前記ライン状領域の不連続性を判定し、前記不連続性が存在する旨が判定された孤立点を真性孤立点であると判定し、前記不連続性が存在しない旨が判定された孤立点を擬似孤立点であると判定するステップと、
d)前記ステップa)において検出された複数の孤立点のそれぞれに関するステップc)での孤立点種別判定結果に基づいて、網点領域を決定するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図23】
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【図24】
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【図30】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−142811(P2012−142811A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57(P2011−57)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】