説明

画像処理装置および地図表示装置並びに画像処理方法、プログラム

【課題】陰影が表現された地図画像をより適正に表示する。
【解決手段】地図上で予め定められた複数の等高線によりポリゴンとして形成された複数の等高線画像を標高が低い順に画像毎に指定し(S130)、指定された等高線画像をその指定位置から地図上の位置と時刻とに基づく太陽の方向に第1オフセット量D1だけずらして等高線画像の指定色より明度が高い色として表示処理する第1処理と、指定された等高線画像をその指定位置から太陽の方向とは逆方向に第2オフセット量D2だけずらして等高線画像の指定色より明度が低い色として表示処理する第2処理とを行ない(S140〜S190)、指定された等高線画像に対して第1処理と第2処理とが行なわれた後にその等高線画像を指定位置に指定色として表示処理する(S200)。これにより、地図上の位置と時刻とに基づく太陽の方向に応じた陰影が表現された地図画像を表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および地図表示装置並びに画像処理方法、プログラムに関し、詳しくは、地図上で予め定められた複数の等高線によりポリゴンとして形成された複数の等高線画像を画像表示用の表示手段に表示させるために画像処理する画像処理装置および地図表示装置並びに画像処理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像処理装置に関連する地図の表示方法として、ポリゴンで表示された原地図面をx軸,y軸などの移動軸に対して所定量だけ平行移動させ、平行移動の前後におけるポリゴンを対比することにより平行移動前後の両ポリゴンが重複して存在していない区域を判別し、両ポリゴンが重複しない区域のうち平行移動前のポリゴンのみが存在する区域には、平行移動前のポリゴンを表示している色彩の明度や彩度を所定量だけ変化させた色彩を配すと共に、平行移動後のポリゴンのみが存在する区域には、平行移動前のポリゴンのみが存在する区域に配した色彩と反対の明度や彩度の変化を平行移動前のポリゴンに与えた色彩を配すことにより、地図を表示するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、こうしてカラー地図を表示することにより、見る者に大きな起伏感を与えられるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−237834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の方法では、ポリゴンで表示された原地図面を一定の移動軸に対して平行移動させて地図表示するため、地図を見るユーザが単調に感じる場合がある。また、平行移動前後の両ポリゴンが重複して存在する区域は、ポリゴン本来の形状と異なる形状となると共に、地図上に表示すべき位置からずれて表示されてしまう。
【0005】
本発明の画像処理装置および地図表示装置並びに画像処理方法、プログラムは、陰影が表現された地図画像をより適正に表示することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置および地図表示装置並びに画像処理方法、プログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像処理装置は、
地図上で予め定められた複数の等高線によりポリゴンとして形成された複数の等高線画像を画像表示用の表示手段に表示させるために画像処理する画像処理装置であって、
前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく該地図画像に対する太陽の方向を取得する太陽情報取得手段と、
前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図の縮尺とに応じて選択される前記複数の等高線画像に対して、標高が低い順に該等高線画像毎に、該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置から前記取得された太陽の方向に沿って所定量ずらして該等高線画像の色より少なくとも明度を変更した色として画像処理する中間処理を行ない、該中間処理後に該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置に該等高線画像の色として画像処理する画像処理手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の画像処理装置では、表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく地図画像に対する太陽の方向を取得する。そして、表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図の縮尺とに応じて選択される複数の等高線画像に対して、標高が低い順に等高線画像毎に、等高線画像を等高線画像の地図上の位置から取得された太陽の方向に沿って所定量ずらして等高線画像の色より少なくとも明度を変更した色として画像処理する中間処理を行ない、中間処理後に等高線画像を等高線画像の地図上の位置に等高線画像の色として画像処理する。したがって、地図上の位置と地図上の時刻とに基づく太陽の方向に沿って等高線画像を所定量ずらすから、等高線画像をずらす方向を地図上の位置と地図上の時刻とにより異なる太陽の方向に応じて変化させることができる。また、中間処理後に等高線画像を等高線画像の地図上の位置に等高線画像の色として画像処理するから、等高線画像に陰影を表現すると共に等高線画像を本来の地図上の位置に本来の色として表示することができる。この結果、陰影が表現された地図画像をより適正に表示することができる。ここで、「画像処理」には、画像を表示手段に表示(描画)させる表示処理(描画処理)と、画像を表示手段に表示させない信号処理(データ処理)とが含まれる。
【0009】
こうした本発明の画像処理装置において、前記画像処理手段は、前記等高線画像を該等高線画像の地図上の位置から前記取得された太陽の方向に第1所定量ずらして該等高線画像の色より少なくとも明度が高い色として画像処理する第1中間処理と、該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置から該取得された太陽の方向とは逆方向に第2所定量ずらして該等高線画像の色より少なくとも明度が低い色として画像処理する第2中間処理とを行ない、該第1中間処理と該第2中間処理との後に該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置に該等高線画像の色として画像処理する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、等高線画像の色より明度が高い色とした部分を太陽の方向に表示すると共に、等高線画像の色より明度が低い色とした部分を太陽の方向とは逆方向に表示することができる。この結果、陰影が表現された地図画像をより適正に表示することができる。
【0010】
この第1中間処理と第2中間処理とを行なう態様の本発明の画像処理装置において、前記太陽情報取得手段は、前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく該地図画像に対する太陽の仰角を取得する手段であり、前記第1所定量および前記第2所定量は、前記取得された太陽の仰角が大きいほど小さくなる傾向の量である、ものとすることもできる。こうすれば、地図上の位置と地図上の時刻とにより異なる太陽の仰角に応じて範囲が異なる陰影を表現することができる。この場合、前記第1所定量および前記第2所定量は、前記取得された太陽の仰角が所定の低角度以下のときには、それぞれ予め定められた第1上限値および第2上限値である、ものとすることもできる。こうすれば、陰影が過剰な範囲で表現されるのを抑制することができる。ここで、「所定の低角度」は、陰影が過剰な範囲で表現されるのを抑制する角度として予め定められたものなどを用いることができる。
【0011】
また、第1中間処理と第2中間処理とを行なう態様の本発明の画像処理装置において、前記第1所定量および前記第2所定量は、前記等高線画像の標高が高いほど小さくなる傾向の量である、ものとすることもできる。こうすれば、陰影を表現する範囲を標高に応じてより適正に表現することができる。
【0012】
さらに、第1中間処理と第2中間処理とを行なう態様の本発明の画像処理装置において、前記第1中間処理は、前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく該地図画像に対する太陽の仰角が大きいほど明度が高くなる傾向の色として前記等高線画像を画像処理し、前記第2中間処理は、前記太陽の仰角が大きいほど明度が低くなる傾向の色として該等高線画像を画像処理する、ものとすることもできる。こうすれば、地図上の位置と地図上の時刻とにより異なる太陽の仰角に応じて明度が異なる陰影を表現することができる。
【0013】
あるいは、第1中間処理と第2中間処理とを行なう態様の本発明の画像処理装置において、前記第1中間処理および前記第2中間処理は、それぞれ前記画像処理した前記等高線画像の輪郭をぼかす処理を行なう処理である、ものとすることもできる。こうすれば、更に適正に陰影を表現することができる。
【0014】
本発明の画像処理装置において、前記画像処理手段の画像処理により得られた地図画像と共に該地図画像に対する前記太陽の方向に対応する前記表示手段における位置に太陽を表す太陽画像が表示されるよう該地図画像に該太陽画像を付加する太陽画像付加手段を備える、ものとすることもできる。こうすれば、表示手段に表示される地図画像に対する太陽の方向を表現することができる。
【0015】
本発明の地図表示装置は、上述のいずれかの態様の本発明の画像処理装置、即ち、基本的には、地図上で予め定められた複数の等高線によりポリゴンとして形成された複数の等高線画像を画像表示用の表示手段に表示させるために画像処理する画像処理装置であって、前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく該地図画像に対する太陽の方向を取得する太陽情報取得手段と、前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図の縮尺とに応じて選択される前記複数の等高線画像に対して、標高が低い順に該等高線画像毎に、該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置から前記取得された太陽の方向に沿って所定量ずらして該等高線画像の色より少なくとも明度を変更した色として画像処理する中間処理を行ない、該中間処理後に該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置に該等高線画像の色として画像処理する画像処理手段と、を備える画像処理装置と、画像表示用の前記表示手段と、を備えることを要旨とする。
【0016】
この本発明の地図表示装置では、上述のいずれかの態様の本発明の画像処理装置を備えるから、上述の画像処理装置が奏する効果、例えば、陰影が表現された地図画像をより適正に表示することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
【0017】
本発明の画像処理方法は、
地図上で予め定められた複数の等高線によりポリゴンとして形成された複数の等高線画像を画像表示用の表示手段に表示させるための画像処理方法であって、
(a)前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく該地図画像に対する太陽の方向を取得するステップと、
(b)前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図の縮尺とに応じて選択される前記複数の等高線画像に対して、標高が低い順に該等高線画像毎に、該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置から前記取得された太陽の方向に沿って所定量ずらして該等高線画像の色より少なくとも明度を変更した色として画像処理する中間処理を行ない、該中間処理後に該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置に該等高線画像の色として画像処理するステップと、
を含むことを要旨とする。
【0018】
この本発明の画像処理方法では、表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく地図画像に対する太陽の方向を取得する。そして、表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図の縮尺とに応じて選択される複数の等高線画像に対して、標高が低い順に等高線画像毎に、等高線画像を等高線画像の地図上の位置から取得された太陽の方向に沿って所定量ずらして等高線画像の色より少なくとも明度を変更した色として画像処理する中間処理を行ない、中間処理後に等高線画像を等高線画像の地図上の位置に等高線画像の色として画像処理する。したがって、地図上の位置と地図上の時刻とに基づく太陽の方向に沿って等高線画像を所定量ずらすから、等高線画像をずらす方向を地図上の位置と地図上の時刻とにより異なる太陽の方向に応じて変化させることができる。また、中間処理後に等高線画像を等高線画像の地図上の位置に等高線画像の色として画像処理するから、等高線画像に陰影を表現すると共に等高線画像を本来の地図上の位置に本来の色として表示することができる。この結果、陰影が表現された地図画像をより適正に表示することができる。ここで、「画像処理」には、画像を表示手段に表示(描画)させる表示処理(描画処理)と、画像を表示手段に表示させない信号処理(データ処理)とが含まれる。
【0019】
本発明のプログラムは、上述した画像処理方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに分担して実行させれば、上述した画像処理方法の各ステップが実行されるため、その画像処理方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例としてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】電子制御ユニット30により実行される地図画像表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】オフセット量設定用マップの一例を示す説明図である。
【図4】明度変化量設定用マップの一例を示す説明図である。
【図5】1層目の等高線画像を表示処理する様子の一例を示す説明図である。
【図6】2層目の等高線画像を表示処理する様子の一例を示す説明図である。
【図7】3層目の等高線画像を表示処理する様子の一例を示す説明図である。
【図8】ディスプレイ22に地図画像を表示した様子の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施例としてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。ナビゲーション装置20は、図示するように、文字や画像を表示する矩形状の画面を有する例えば液晶ディスプレイとして構成されたディスプレイ22と、ディスプレイ22の画面に取り付けられた抵抗膜方式や静電容量方式などによるタッチパネル24と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット30と、各種アプリケーションソフトウェアや地図データなどを記憶する大容量メモリとしてのハードディスクドライブ(以下、HDDという)40とを備え、図示しない自動車に搭載されて車載バッテリからの電力供給を受けて作動する。
【0023】
電子制御ユニット30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU32の他に各種処理プログラムを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、記憶したデータを保持する不揮発性のフラッシュメモリ38と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。電子制御ユニット30には、操作者のタッチ位置を検出するタッチパネル24からの信号やHDD40から読み出したデータ,GPS(Global Positioning System)衛星からの信号をGPSアンテナを介して受信するGPS受信機50からの信号,車両の進行方向やその変化を検出する例えばジャイロセンサにより構成された方位センサ52からの信号などが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット30からは、ディスプレイ22への表示信号やアンプを内蔵したスピーカ26への音声信号,HDD40に書き込むデータなどが出力ポートを介して出力されている。また、電子制御ユニット30は、車両全体をコントロールする図示しない車両用電子制御ユニットと通信ポートを介して接続されており、例えば車速パルス信号などの車両の状態に関するデータを通信により入力すると共に必要に応じてナビゲーション装置20の状態に関するデータを通信により出力する。
【0024】
実施例のナビゲーション装置20では、電子制御ユニット30は、HDD40から必要なアプリケーションソフトウェアや地図データを読み出して各種処理を実行する。例えば、図1の機能ブロックに示すように、GPS受信機50からの信号や方位センサ52からの信号に基づいて車両の現在位置を特定するロケーション処理部60によるロケーション処理、ディスプレイ22に地図画像を表示する地図表示処理部62による地図表示処理、目的地への走行ルートを探索して地図表示処理部62による地図表示やスピーカ26からの音声出力によりルート案内を行なうナビゲーション処理部64によるナビゲーション処理などを実行する。ここで、実施例のHDD40に記憶された地図データには、予め定められた複数の縮尺で二次元地図を表示可能とする地図表示処理用のデータとして、所定の高さ間隔(例えば200m間隔)の複数の等高線により形成された複数のポリゴン用のデータ(以下、等高線画像データという)の他、各等高線画像データの標高、地図上の指定位置(例えば緯度、経度)、ポリゴンを塗り潰すための標高毎の指定色(例えばRGB値)が記憶されている。また、地図表示処理部62は、ディスプレイ22に地図画像を表示するのに必要な情報を入力する情報入力部62aや、ディスプレイ22に表示すべき地図画像に対する太陽の方向や仰角などを取得する情報取得部62b、ディスプレイ22に表示すべき地図画像を作成するために画像処理する画像処理部62c、作成された地図画像に所定の画像を付加する画像付加部62d、他の処理部を有する。
【0025】
次に、こうして構成された実施例のナビゲーション装置20の動作、特に等高線画像データを用いてディスプレイ22に地図画像を表示させる際の動作について説明する。図2は、電子制御ユニット30の地図表示処理部62により実行される地図画像表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、装置が起動されたときやルート案内を行なうときなどに繰り返し実行される。
【0026】
地図画像表示処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット30のCPU32は、まず、ディスプレイ22に表示すべき地図画像の所定の縮尺と車両の現在位置と現在時刻とを入力する処理を実行する(ステップS100)。所定の縮尺は、前回このルーチンで地図表示するのに用いた縮尺や予め定められた初期値などを入力するものとした。また、車両の現在位置は、GPS受信機50からの信号や方位センサ52からの信号に基づいてロケーション処理により特定されたものを入力するものとした。さらに、現在時刻は、年月日時分秒のうち年月日時分により表されて、図示しないタイマにより計時されたものやGPS受信機50からの信号により得られたものを入力するものとした。
【0027】
こうしてデータを入力すると、入力した所定の縮尺と現在位置とに基づいて、現在位置とその周辺とを所定の縮尺で表示するのに必要な等高線画像データをHDD40から選択して取得すると共に選択した等高線画像データ毎の標高と指定位置と指定色とを取得し(ステップS110)、入力した現在位置と現在時刻とに基づいて指定位置に対する地図上の太陽の方向と太陽の仰角とを取得する(ステップS120)。ここで、太陽の方向は二次元地図上の方位を示し、この太陽の方向および仰角は、実施例では、現在位置と現在時刻と実際の太陽の方向および仰角との関係を予め定めてROM34に記憶したマップに、入力した現在位置と現在時刻とを適用することにより取得するものとした。なお、いまは現在位置とその周辺とを示す地図画像として現在時刻での地図画像を表示しようとしていることから、現在位置は、ディスプレイ22に表示すべき地図画像における地図上の位置ということができ、現在時刻は、ディスプレイ22に表示すべき地図画像における地図上の時刻ということができる。また、指定位置に対する地図上の太陽の方向と太陽の仰角は、地図画像の表示範囲に対して太陽が限りなく遠方に位置することから、ディスプレイ22に表示すべき地図画像に対する地図上の太陽の方向と太陽の仰角ということができる。
【0028】
続いて、取得した等高線画像データのうち標高が低い順に1つのデータを指定し(ステップS130)、取得した太陽の仰角と指定された等高線画像データの標高とに基づいて、等高線画像データのポリゴンを太陽の方向にずらして表示するための第1オフセット量D1,太陽の方向とは逆方向にずらして表示するための第2オフセット量D2を設定する(ステップS140)。この設定は、実施例では、太陽の仰角と標高とオフセット量との関係をシミュレーションなどにより予め定めてROM34に記憶したオフセット量設定用マップに、取得した太陽の仰角と指定された等高線画像データの標高とを適用してオフセット量を導出することにより行なうものとした。図3にオフセット量設定用マップの一例を示す。図示するように、オフセット量は、太陽の仰角が所定の低角度以下では上限値が設定され、太陽の仰角が所定の低角度より大きいほど小さくなるように定められている。また、オフセット量は、標高が高いほど小さくなるように定められており、太陽の仰角が所定の低角度以下でのオフセット量の上限値も、標高が高いほど小さくなるように定められている。このようにオフセット量を設定する意味については、後述する。なお、実施例では、このオフセット量設定用マップを用いて第1オフセット量D1と第2オフセット量D2とを同じ値に設定するものとした。
【0029】
次に、指定された等高線画像データの指定色と取得した太陽の仰角とに基づいて、等高線画像データのポリゴンを太陽の方向にずらして表示する際の塗り潰し色である第1画像色,太陽の方向とは逆方向にずらして表示する際の塗り潰し色である第2画像色を設定する(ステップS150)。この設定は、実施例では、太陽の仰角と明度変化量ΔBとの関係を予め定めてROM34に記憶した明度変化量設定用マップに、取得した太陽の仰角を適用して明度変化量ΔBを導出し、導出した明度変化量ΔBだけ指定色の明度を高くした色を第1画像色に設定し、導出した明度変化量ΔBだけ指定色の明度を低くした色を第2画像色に設定することにより行なうものとした。図4に明度変化量設定用マップの一例を示す。明度変化量ΔBは、図4の例では、太陽の仰角が小さい低角度範囲では値0より大きい所定値が設定され、太陽の仰角が大きい高角度範囲では所定値より大きい第2の所定値が設定され、太陽の仰角が低角度範囲と高角度範囲の間の中間角度範囲では所定値から第2の所定値まで大きくなる値が設定されている。したがって、第1画像色は、太陽の仰角が大きいほど等高線画像データの指定色に比して明度が高くなる傾向の色として設定されることになる。また、第2画像色は、太陽の仰角が大きいほど等高線画像データの指定色に比して明度が低くなる傾向の色として設定されることになる。このように第1画像色と第2画像色とを設定する意味については、後述する。
【0030】
こうして第1オフセット量D1,第2オフセット量D2,第1画像色,第2画像色を設定すると、指定された等高線画像データのポリゴン(以下、単に等高線画像ともいう)を指定位置から取得した太陽の方向に第1オフセット量D1だけずらして第1画像色としてディスプレイ22に表示処理(描画処理)し(ステップS160)、表示処理したポリゴンの輪郭のぼかし処理(以下、この表示処理とぼかし処理とを合わせて第1処理という)を行なう(ステップS170)。さらに、指定された等高線画像データのポリゴンを指定位置から取得した太陽の方向とは逆方向(正反対方向)に第2オフセット量D2だけずらして第2画像色としてディスプレイ22に表示処理(描画処理)し(ステップS180)、表示処理したポリゴンの輪郭のぼかし処理(以下、この表示処理とぼかし処理とを合わせて第2処理という)を行なう(ステップS190)。そして、指定された等高線画像データのポリゴンを取得した指定位置に指定色としてディスプレイ22に表示処理(描画処理)(以下、第3処理という)する(ステップS200)。ここで、ぼかし処理は、例えば、ポリゴンの輪郭線よりオフセット量未満の所定量だけ内側に仮の輪郭線を設定すると共に仮の輪郭線からポリゴンの輪郭線に向けて徐々に色の透明度を高くする処理などを用いることができる。また、等高線画像の指定位置への表示処理は、所定の縮尺で現在位置とその周辺とを示す地図画像をディスプレイ22に表示する際に、例えば、ディスプレイ22の画面中央に表示される現在位置を基準とする所定の縮尺に応じた画面位置に、指定位置(等高線画像の重心など)が配置されるよう等高線画像を表示することなどにより行なうことができる。
【0031】
図5に、ディスプレイ22に表示すべき等高線画像が複数層ある場合に1層目の等高線画像を表示処理する様子の一例を示す。図中、左側に第1処理の結果を示し、中央に第2処理の結果を示し、右側に第3処理の結果を示す。また、説明を分かりやすくするために、処理結果毎に、等高線画像に対する太陽の方向に太陽をイメージした図を付加すると共にその太陽からの光の照射方向を点線で示している。図示するように、第1処理により等高線画像を指定位置から第1オフセット量D11だけ太陽の方向にずらして指定色より明度が高い色として表示処理すると共に、第2処理により等高線画像を指定位置から第2オフセット量D21だけ太陽の方向とは逆方向にずらして指定色より明度が低い色として表示処理し、第1処理および第2処理後の画像に重ねるように第3処理により等高線画像を指定位置に指定色として表示処理する。これにより、現在位置と現在時刻とにより異なる太陽の方向に応じて陰影が表現された等高線画像を表示することができ、地図を見るユーザが単調に感じるのを抑制することができる。このとき、太陽の方向にオフセットした等高線画像については明度を高くすると共に太陽の方向とは逆方向にオフセットした等高線画像については明度を低くするから、ユーザに違和感を与えることなく、太陽からの照射方向に合った陰影を表現することができる。
【0032】
こうして等高線画像を表示すると、取得した等高線画像データに次に低い標高のデータがあるか否かを調べ(ステップS210)、次に低い標高の等高線画像データがあるときには、ステップS130〜S210の処理を繰り返す。また、次に低い標高のデータがないとき、即ち、最も高い標高のデータの表示処理が終了してディスプレイ22に表示すべき等高線画像のデータが残っていないときには、これまでに表示処理した等高線画像に対する(即ち等高線画像データの指定位置に対する)太陽の方向に対応するディスプレイ22の画面上における位置に太陽を表す画像が付加されるようディスプレイ22に表示処理(描画処理)して(ステップS220)、地図画像表示処理ルーチンを終了する。ここで、等高線画像に対する太陽の方向に対応するディスプレイ22の画面上における位置としては、ディスプレイ22の画面の四辺内側の位置とすることができる。実施例では、北半球の日本の地図を表示する際に、ディスプレイ22に北方向を画面上方に向けて(いわゆるノースアップで)等高線画像を表示する場合には、等高線画像に対する太陽の方向に対応する画面四辺内側の位置を画面の下辺(南方向に相当する辺)の長さ範囲に換算すると共に換算した画面の下辺内側に太陽を表す画像を付加するものとし、ディスプレイ22の画面下辺に沿って太陽を表す画像を1日の時間に応じて右から左へ(東方向から西方向へ)移動するように表示するものとした。
【0033】
図6に図5と同様の場合に2層目の等高線画像を表示処理する様子の一例を示し、図7に図5と同様の場合に3層目の等高線画像を表示処理する様子の一例を示す。図5〜図7の例では、図3のマップを用いて説明したように、第1処理に用いる1,2,3層目の第1オフセット量D11,D12,D13や、第2処理に用いる1,2,3層目の第2オフセット量D21,22,23は、太陽の仰角が所定の低角度より大きい範囲では仰角が大きいほど小さくなるように設定され、太陽の仰角が所定の低角度以下の範囲では標高毎に一定の上限値に設定される。これにより、太陽の仰角が大きいほど画像に表現する陰影の範囲を小さくすることができ、太陽光による実際の陰影のイメージをより適正に表現することができる。所定の低角度は、実施例では、陰影が過剰な範囲で表現されるのを抑制するための角度としてシミュレーションなどにより予め定めたもの(例えば、数度や十数度など)を用いるものとした。これにより、太陽光による陰影のイメージが過剰な範囲で表現されるのが抑制され、地図画像の見栄えを確保することができる。また、これら第1オフセット量D11,D12,D13や第2オフセット量D21,22,23は、図3のマップを用いて説明したように、等高線画像の標高が高いほど小さくなるように設定される。これは、標高が高いほど地図上の等高線の間隔が詰まる傾向があることなどに基づく。さらに、図4を用いて説明したように、第1処理では太陽の仰角が大きいほど指定色より明度が高くなる傾向の第1画像色で表示処理すると共に、第2処理では太陽の仰角が大きいほど指定色より明度が低くなる傾向の第2画像色で表示処理する。これにより、太陽光による陰影のイメージを更に適正に表現することができる。しかも、実施例では、第1処理や第2処理により等高線画像の輪郭のぼかし処理を行なう。これにより、オフセットして表示した等高線画像の輪郭を他の画像になじませることができ、太陽光による陰影のイメージを更に適正に表現することができる。図8に最終的にディスプレイ22に地図画像を表示した様子の一例を示す。図8の例では、地図画像は北方向を画面上方として表示されており、南方向に対応するディスプレイ22の画面下辺に沿って太陽を表す画像が1日の時間に応じて右から左へ(東方向から西方向へ)移動する。なお、図8中、画面下辺の右端と左端とには、それぞれ指定位置と現在時刻とに基づく日の出時刻と日の入り時刻とが表示されており、太陽を表す画像の下部には現在時刻が表示されている。
【0034】
いま、実施例のナビゲーション装置20によりナビゲーション処理の一部として車両の現在位置から目的地までのルート案内を数秒程度や数十秒程度のデモンストレーションにより行なう場合を考える。例えば現在時刻として2011年4月1日の午前7時に現在位置としての東京を出発して大阪まで走行するルート案内を行なう場合、出発した頃には朝7時過ぎの東京周辺での太陽の方向と仰角とに応じて東南東側や西北西側などに比較的広い範囲に陰影が表現された地図画像が表示され、昼頃には名古屋周辺での太陽の方向と仰角とに応じて南側や北側などに比較的狭い範囲に陰影が表現された地図画像が表示され、午後には大阪周辺での太陽の方向と仰角とに応じて南南西側や北北東側などに朝7時頃より狭く昼頃より広い範囲に陰影が表現された地図画像が表示されることになる。
【0035】
なお、図2の地図画像表示処理ルーチンのステップS100の処理は、電子制御ユニット30の地図表示処理部62の情報入力部62aにより実行され、同ルーチンのステップS110,S120の処理は情報取得部62bにより実行され、同ルーチンのステップS130〜S210の処理は画像処理部62cにより実行され、同ルーチンのステップS220の処理は画像付加部62dにより実行される。
【0036】
以上説明した実施例のナビゲーション装置20では、ディスプレイ22に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻としての現在位置と現在時刻とに基づいて表示すべき地図画像に対する太陽の方向を取得し、現在位置と所定の縮尺とに応じて選択される複数の等高線画像に対して、標高が低い順に等高線画像毎に、等高線画像をその指定位置から取得された太陽の方向に第1オフセット量D1だけずらして等高線画像の指定色より明度が高い色として表示処理する第1処理と、等高線画像をその指定位置から取得された太陽の方向とは逆方向に第2オフセット量D2だけずらして等高線画像の指定色より明度が低い色として表示処理する第2処理とを行ない、等高線画像に対して第1処理と第2処理とが行なわれた後にその等高線画像を指定位置に指定色として表示処理する。したがって、現在位置と現在時刻とに基づく太陽の方向に沿って等高線画像をオフセット量だけずらすから、等高線画像をずらす方向を現在位置と現在時刻とに基づく太陽の方向に応じて変化させることができる。また、第1処理と第2処理との後に等高線画像をその指定位置に指定色として表示処理するから、等高線画像に陰影を表現すると共に等高線画像を本来の地図上の位置に本来の色として表示することができる。しかも、第1処理によって、等高線画像の色より明度が高い色とした部分を太陽の方向に表示すると共に、第2処理によって、等高線画像の色より明度が低い色とした部分を太陽の方向とは逆方向に表示することができる。これらの結果、陰影が表現された地図画像をより適正に表示することができる。もとより、こうした地図画像を二次元地図用のポリゴンを用いて表示するから、三次元地図用のデータを用いて表示するものに比して、表示(描画)に必要なデータの容量を少なくして処理速度を速めることができる。
【0037】
実施例のナビゲーション装置20では、複数の等高線画像に対して、標高が低い順に等高線画像毎に、等高線画像を太陽の方向にずらして明度を高い色として表示する第1処理と等高線画像を太陽の方向とは逆方向にずらして明度を低い色として表示する第2処理との後に等高線画像を指定位置に表示する第3処理とを行なうものとしたが、第1処理については行なわず、複数の等高線画像に対して、標高が低い順に等高線画像毎に、等高線画像を太陽の方向とは逆方向にずらして明度を低い色として表示する第2処理の後に等高線画像を指定位置に表示する第3処理を行なうものとしてもよい。また、第2処理については行なわず、複数の等高線画像に対して、標高が低い順に等高線画像毎に、等高線画像を太陽の方向にずらして明度を高い色として表示する第1処理の後に等高線画像を指定位置に表示する第3処理を行なうものとしてもよい。
【0038】
実施例のナビゲーション装置20では、太陽の仰角が大きいほど等高線画像の指定色より明度が高くなる傾向の第1画像色を用いて第1処理により表示処理を行ない、太陽の仰角が大きいほど等高線画像の指定色より明度が低くなる傾向の第2画像色を用いて第2処理により表示処理を行なうものとしたが、太陽の仰角が大きいほど等高線画像の指定色より明度が高く且つ彩度が低くなる傾向の第1画像色を用いて第1処理により表示処理を行ない、太陽の仰角が大きいほど等高線画像の指定色より明度が低く且つ彩度が高くなる傾向の第2画像色を用いて第2処理により表示処理を行なうものとしてもよい。
【0039】
実施例のナビゲーション装置20では、第1オフセット量D1と第2オフセット量D2とは同じ値に設定するものとしたが、第1オフセット量D1と第2オフセット量D2とを異なる値に設定するものとしてもよい。
【0040】
実施例のナビゲーション装置20では、図5〜図7を用いて説明したように、第1処理を行なってから第2処理を行なった後に第3処理を行なうものとしたが、第2処理を行なってから第1処理を行なった後に第3処理を行なうものとしてもよい。
【0041】
実施例のナビゲーション装置20では、第1,第2オフセット量D1,D2は、太陽の仰角が大きいほど小さくなる傾向に且つ等高線画像の標高が高いほど小さくなるように設定するものとしたが、太陽の仰角に拘わらず標高が高いほど小さくなるように設定するものとしてもよいし、標高に拘わらず太陽の仰角が大きいほど小さくなる傾向に設定するものとしてもよいし、太陽の仰角にも標高にも拘わらずそれぞれ画像の見栄えを考慮して予め定めた第1の所定値,第2の所定値を設定するものとしてもよい。
【0042】
実施例のナビゲーション装置20では、太陽の仰角が大きいほど大きくなる傾向に明度変化量ΔBを設定し、等高線画像の指定色より明度変化量ΔBだけ明度が高い第1画像色を用いて第1処理により表示処理を行ない、等高線画像の指定色より明度変化量ΔBだけ明度が低い第2画像色を用いて第2処理により表示処理を行なうものとしたが、明度変化量ΔBに代えて画像の見栄えを考慮して予め定められた第1所定量と第2所定量とを用いて、等高線画像の指定色より第1所定量だけ明度が高い第1画像色を用いて第1処理により表示処理を行ない、等高線画像の指定色より第2所定量だけ明度が低い第2画像色を用いて第2処理により表示処理を行なうものとしてもよい。
【0043】
実施例のナビゲーション装置20では、第1処理や第2処理として表示処理したポリゴンの輪郭のぼかし処理を行なうものとしたが、このぼかし処理は行なわないものとしてもよい。
【0044】
実施例のナビゲーション装置20では、北半球の日本の地図を表示する際に、ディスプレイ22に北方向を画面上方に向けて(いわゆるノースアップで)等高線画像を表示する場合には、等高線画像に対する太陽の方向に対応する画面四辺内側の位置を画面の下辺(南方向に相当する辺)の長さ範囲に換算すると共に換算した画面の下辺に太陽を表す画像を付加するものとしたが、等高線画像に対する太陽の方向に対応する画面四辺内側の位置に太陽を表す画像を付加するものとしてもよい。また、ディスプレイ22に車両進行方向を画面上方に向けて(いわゆるヘディングアップで)等高線画像を表示する場合には、等高線画像に対する太陽の方向に対応する画面四辺内側の位置に太陽を表す画像を付加するものとしてもよい。
【0045】
実施例のナビゲーション装置20では、年月日時分秒のうち年月日時分により表された現在時刻に基づいて太陽の方向や仰角を取得するものとしたが、年月日時分秒のうち年については考慮せずに月日時分により表された現在時刻に基づいてこれらを取得するものとしてもよい。
【0046】
実施例のナビゲーション装置20では、所定の縮尺と現在位置とに基づいて等高線画像データをHDD40から選択して取得したり、現在位置と現在時刻とに基づいて太陽の方向と仰角とを取得するものとしたが、例えばナビゲーション装置がサーバと通信可能に接続された構成の場合、ナビゲーション装置では、縮尺や現在位置を入力することなくこのサーバからディスプレイに表示すべき等高線画像データを通信により取得したり、現在位置と現在時刻とを入力することなくこのサーバから太陽の方向と仰角とを通信により取得したりするものとしてもよい。また、画像処理装置としてのサーバにより前述の第1処理や第2処理,第3処理を画像処理として実行し、これらの画像処理の結果として生成された地図画像をナビゲーション装置に送信してディスプレイに表示させるものとしてもよい。
【0047】
実施例のナビゲーション装置20では、第1処理や第2処理,第3処理をディスプレイ22への表示処理として行なって地図画像を作成するものとしたが、ディスプレイ22への表示を伴わずに、例えば電子制御ユニット30のRAM36上にデータを展開して信号(データ)として処理することにより複数の等高線画像による地図画像を作成し、地図画像を作成してからディスプレイ22に表示させるものとしてもよい。
【0048】
実施例では、本発明をディスプレイ22を備える地図表示装置としてのナビゲーション装置20に適用して説明したが、地図画像を表示可能な表示装置を備える携帯端末やデジタルカメラ,汎用のコンピュータなどの他の地図表示装置に適用するものとしてもよいし、表示装置を備えない前述したサーバなどの画像処理装置に適用するものとしてもよい。例えば、ディスプレイを備えるナビゲーション装置がディスプレイを備えない画像処理装置としてのサーバと通信可能に接続された構成の場合、サーバは実施例の地図表示処理部62の各部62a〜62dに相当する機能を有する電子制御ユニットを備えると共に、ナビゲーション装置は実施例の地図表示処理部62における各部62a〜62dを除く他の処理部,ロケーション処理部60,ナビゲーション処理部64に相当する機能を有する電子制御ユニットを備えるものとしてもよく、更にこの場合、ナビゲーション処理部64についてはナビゲーション装置でなくサーバが備える構成としてもよい。また、等高線画像を表示装置に表示させるための画像処理方法の形態としてもよいし、こうした画像処理方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラムの形態としてもよい。
【0049】
実施例では、本発明をフラッシュメモリ38を有する電子制御ユニット30や、HDD40、方位センサ52などをディスプレイ22と共に備える地図表示装置としてのナビゲーション装置20に適用して説明したが、フラッシュメモリ38を有しない電子制御ユニットを備えるタイプのナビゲーション装置や、HDD40を備えないタイプのナビゲーション装置、方位センサ52に代えて加速度センサなどを備えるタイプのナビゲーション装置に適用するものとしてもよい。
【0050】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、太陽の方向や仰角を取得する図2の地図画像表示処理ルーチンのステップS120の処理を実行する電子制御ユニット30(地図表示処理部62の情報取得部62b)が「太陽情報取得手段」に相当し、標高が低い順に等高線画像を指定して等高線画像を太陽の方向に沿ってオフセット量だけずらして明度を変更した色として表示処理する第1処理や第2処理と等高線画像を指定位置に指定色として表示処理する第3処理とを行なう図2の地図画像表示処理ルーチンのステップS130〜S210の処理を実行する電子制御ユニット30(地図表示処理部62の画像処理部62c)が「画像処理手段」に相当する。また、図2の地図画像表示処理ルーチンのステップS220の処理を実行する電子制御ユニット30(地図表示処理部62の画像付加部62d)が「太陽画像付加手段」に相当し、ディスプレイ22が「表示手段」に相当する。
【0051】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0052】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、画像処理装置や地図表示装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
20 ナビゲーション装置、22 ディスプレイ、24 タッチパネル、26 スピーカ、30 電子制御ユニット、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 フラッシュメモリ、40 ハードディスクドライブ(HDD)、50 GPS受信機、52 方位センサ、60 ロケーション処理部、62 地図表示処理部、62a 情報入力部、62b 情報取得部、62c 画像処理部、62d 画像付加部、64 ナビゲーション処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上で予め定められた複数の等高線によりポリゴンとして形成された複数の等高線画像を画像表示用の表示手段に表示させるために画像処理する画像処理装置であって、
前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく該地図画像に対する太陽の方向を取得する太陽情報取得手段と、
前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図の縮尺とに応じて選択される前記複数の等高線画像に対して、標高が低い順に該等高線画像毎に、該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置から前記取得された太陽の方向に沿って所定量ずらして該等高線画像の色より少なくとも明度を変更した色として画像処理する中間処理を行ない、該中間処理後に該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置に該等高線画像の色として画像処理する画像処理手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記画像処理手段は、前記等高線画像を該等高線画像の地図上の位置から前記取得された太陽の方向に第1所定量ずらして該等高線画像の色より少なくとも明度が高い色として画像処理する第1中間処理と、該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置から該取得された太陽の方向とは逆方向に第2所定量ずらして該等高線画像の色より少なくとも明度が低い色として画像処理する第2中間処理とを行ない、該第1中間処理と該第2中間処理との後に該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置に該等高線画像の色として画像処理する手段である、
画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置であって、
前記太陽情報取得手段は、前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく該地図画像に対する太陽の仰角を取得する手段であり、
前記第1所定量および前記第2所定量は、前記取得された太陽の仰角が大きいほど小さくなる傾向の量である、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像処理装置であって、
前記第1所定量および前記第2所定量は、前記取得された太陽の仰角が所定の低角度以下のときには、それぞれ予め定められた第1上限値および第2上限値である、
画像処理装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1つの請求項に記載の画像処理装置であって、
前記第1所定量および前記第2所定量は、前記等高線画像の標高が高いほど小さくなる傾向の量である、
画像処理装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれか1つの請求項に記載の画像処理装置であって、
前記第1中間処理は、前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく該地図画像に対する太陽の仰角が大きいほど明度が高くなる傾向の色として前記等高線画像を画像処理し、
前記第2中間処理は、前記太陽の仰角が大きいほど明度が低くなる傾向の色として該等高線画像を画像処理する、
画像処理装置。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれか1つの請求項に記載の画像処理装置であって、
前記第1中間処理および前記第2中間処理は、それぞれ前記画像処理した前記等高線画像の輪郭をぼかす処理を行なう処理である、
画像処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つの請求項に記載の画像処理装置であって、
前記画像処理手段の画像処理により得られた地図画像と共に該地図画像に対する前記太陽の方向に対応する前記表示手段における位置に太陽を表す太陽画像が表示されるよう該地図画像に該太陽画像を付加する太陽画像付加手段
を備える画像処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1つの請求項に記載の画像処理装置と、
画像表示用の前記表示手段と、
を備える地図表示装置。
【請求項10】
地図上で予め定められた複数の等高線によりポリゴンとして形成された複数の等高線画像を画像表示用の表示手段に表示させるための画像処理方法であって、
(a)前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図上の時刻とに基づく該地図画像に対する太陽の方向を取得するステップと、
(b)前記表示手段に表示すべき地図画像における地図上の位置と地図の縮尺とに応じて選択される前記複数の等高線画像に対して、標高が低い順に該等高線画像毎に、該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置から前記取得された太陽の方向に沿って所定量ずらして該等高線画像の色より少なくとも明度を変更した色として画像処理する中間処理を行ない、該中間処理後に該等高線画像を該等高線画像の地図上の位置に該等高線画像の色として画像処理するステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載された画像処理方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−234017(P2012−234017A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101848(P2011−101848)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】