説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】ラインセンサの読み取り時に発生する位置ずれを主走査および副走査のどちらの方向に対しても補正する。
【解決手段】カラー用のラインセンサR、ラインセンサG、ラインセンサBの出力信号を取得する手段と、ラインセンサの出力信号を用いて基準色を生成する手段と、基準色に対し処理単位配列を生成する手段と、処理単位配列より配列要素数の少ない基準色の相関配列を設定する手段と、基準色の相関配列と同一配列要素数で処理単位配列内の走査範囲に含まれるカラー色の相関配列群を抽出する手段と、基準色の相関配列とカラー色の相関配列群に含まれる各相関配列との相関関係を算出する手段と、基準色の相関配列と最も相関関係の高いカラー色の相関配列を算出する手段と、基準色の相関配列に含まれる画素値と最も相関関係の高いカラー色の画相関配列に含まれる画素値から回帰直線を求める手段と、回帰直線を用いて画素値を生成する手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スキャナなどの画像読み取りを行う画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー複写機、カラースキャナ、カラーファクシミリ、及びそれらを複合した複合機器(MFP)などで原稿読み取る際に、印刷動作による機械的振動、外部から受ける衝撃、または自動給紙装置における紙搬送時のローラ接触やローラの引っ張りによる振動などが影響し、RGBカラーラインセンサが正しい位置で原稿を読み取れないことがある。この読み取り時に発生するRGBラインセンサ間の位置ずれは、黒線などの読み取りにおいては色ずれを生じる原因となる。
【0003】
この位置ずれを低減するために、RGBラインセンサで読み取った画像データを補正する画像処理装置について種々提案されている。例えば、RGB色データのいずれか1色を基準色として注目画素の同一画素位置における基準色と基準色以外の色の濃度差と、基準色以外について仮想的に1画素以下を含む位置をずらして注目画素の同一画素位置における基準色との濃度差を算出し、この算出された複数の濃度差から適宜最適なものを選択して画像データを補正する画像補正手段が開示されている。(特許文献1参照)
しかしながら、補正する位置ずれは読み取り方向に対して主走査方向のみであって、副走査方向に対する位置ずれを補正することができないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−341417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解決し、ラインセンサの読み取り時に発生する位置ずれを主走査および副走査のどちらの方向に対しても補正する画像処理装置および画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本実施形態の画像処理装置は、少なくともカラー用のラインセンサR、ラインセンサG、ラインセンサBを含む複数のラインセンサから構成されるラインセンサ部の出力信号を画素単位で取得する手段と、前記複数のラインセンサの出力信号の一つ以上を用いて基準色を生成する手段と、前記基準色に対し、画像処理の注目画素を含む処理単位配列を生成する手段と、前記注目画素を含み前記処理単位配列より配列要素数の少ない基準色の相関配列を設定する手段と、前記基準色の相関配列と同一配列要素数で前記処理単位配列内の走査範囲に含まれるカラー色の相関配列群を抽出する手段と、前記基準色の相関配列と前記カラー色の相関配列群に含まれる各相関配列との相関関係を算出する手段と、前記基準色の相関配列と最も相関関係の高いカラー色の相関配列を算出する手段と、前記基準色の相関配列に含まれる画素値と最も相関関係の高いカラー色の画相関配列に含まれる画素値から回帰直線を求める手段と、前記回帰直線を用いて前記注目画素に対するカラー色の画素値を生成する手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態における画像処理装置の全体図。
【図2】同実施形態におけるカラーセンサの概念図。
【図3】同実施形態における画像処理部のブロック図。
【図4】同実施形態における基準色算出部の構成例。
【図5】同実施形態における画素配列生成部の構成例。
【図6】同実施形態における相関関係算出部の構成例
【図7】同実施形態における色ずれ補正部の構成例。
【図8】同実施形態における画像処理のフローチャート。
【図9】同実施形態における基準信号の処理単位配列と注目画素の説明図。
【図10】同実施形態における相関配列の説明図。
【図11】同実施形態におけるカラー色の相関配列の抽出を説明する図。
【図12】同実施形態における相関係数と回帰直線の説明図。(a)は、相関が高い場合、(b)は相関が低い場合である。
【図13】同実施形態の位置ずれ補正に用いる回帰直線の説明図。
【図14】同実施形態における位置ずれ補正処理の説明図。
【図15】第2の実施形態における画像処理部のブロック図。
【図16】同実施形態における基準色算出部のブロック図。
【図17】同実施形態における解像度変換を含む位置ずれ補正処理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図1から図17を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
<第1の実施形態>
本実施形態は、スキャナ等の画像読取装置において、RGB色の3つのカラーラインセンサで同時読取されたRGBカラー信号間の位置ずれを補正するものである。
【0010】
本実施形態に係る画像処理装置の画像処理装置の全体図を図1に示す。本実施形態は、高解像度でカラー印刷を行うカラー複写機、さらには原紙をスキャンして複写する機能、外部機器との通信を行う機能、ファクシミリ装置としての送受信及び印刷する機能など多彩な処理を行うことができる複合機器(MFP)などが含まれる。
【0011】
本実施形態の画像処理装置は、大きく分けてスキャナ部11と、スキャナ部11で読み取られた原稿のラインセンサ出力に対して画像処理を施す画像処理部12と、複写用紙にプリントして出力するプリンタ部13からなる。
【0012】
スキャナ部11は、原稿を自動的に供給する自動供給装置110と、原稿を読み取る原稿台111と、原稿を照明する光源112、原稿の反射光を導くミラー113a、113b、113c、反射光を集光するレンズ114およびラインセンサ部115を有する。矢印で示すように、スキャナ部11の原稿台111より読取られる原稿パターンは、光源112により照射され、この反射光がミラー113a、113b、113cからレンズ114を介してラインセンサ部115に入射する。ラインセンサ部115では、これをカラー別に配置されたラインセンサによって光電変換し画像信号を出力する。
【0013】
画像処理部12では、ラインセンサ部115で読み取られた画像信号にディジタル処理を施し、プリンタ部13へ出力する。
【0014】
プリンタ部13は、給紙カセット131、現像ドラム132および搬送ローラ133、排紙口134などを有し、画像処理部12でから出力される信号に基づき、給紙装置131内の複写用紙に潜像・現像処理を行い、排紙口134から排紙する。
【0015】
図2は、本実施形態に使用するラインセンサ部115の概念図である。本実施形態で使用するラインセンサ部115は、カラー用のラインセンサR(赤)、ラインセンサG(緑)、ラインセンサB(青)を有する。カラー用のラインセンサR、ラインセンサG、およびラインセンサBは、画素ピッチおよび画素数としての受光素子の数が同じである。
【0016】
また、カラーセンサR、G、Bに加え、モノクロ用のラインセンサKが追加されたラインセンサの場合もある。図2に示すように、ラインセンサK(黒)解像度がRGBカラーセンサの解像度より高いものは通常ハイブリッドセンサと呼ばれる。
【0017】
図2に示したハイブリッドセンサの場合、モノクロ用のラインセンサKの受光素子のピッチがカラー用ラインセンサR、G、Bの画素ピッチの半分であることから、解像度は2倍となる。例えばカラーR、G、B信号に関して300dpiであれば、モノクロ信号に関しては600dpiの解像度を持つことになる。
【0018】
図3〜図7を用いて、本実施形態の画像処理部12のブロック構成を説明する。図3では、画像処理信号の流れを分かりやすくするためにスキャナ部11についても一部図示している。
【0019】
画像処理部12は、スキャナ部11で行われる2次元原稿の読み取り走査に従い、カラー信号を読み取るラインセンサR、ラインセンサG、およびラインセンサBから出力される信号をA/D(Analog to Digital)変換し、シェーディング補正および各ラインセンサ間の読み取り位相差を補正するライン間補正などの処理を行った後、カラーR、G、B信号およびモノクロ信号を画素単位で保存する画像メモリ部120と、カラーR、G、B信号から基準色S信号を算出する基準色算出部121と、基準色SとカラーR、G、B信号との相関関係を算出するために、基準色Sに対して走査位置の異なる複数の画素配列を生成する画素配列生成部122と、この複数の画素配列と基準色Sとの相関関係とを算出する相関関係算出部123と、複数の画素配列の中で最も相関の高い画素配列を判定する相関関数判定部と124と、最も相関の高い画素配列を用いて読み取り時に発生した位置ずれの補正を行う色ずれ補正部125を有する。
【0020】
次に図4を用いて基準色算出部121について説明する。本実施形態のラインセンサ部115ではモノクロ用のラインセンサKを有しないため、基準色算出部121では、カラーR、G、B信号の加算平均((1)式)を加算平均算出部41で算出し、この信号を基準色信号Sとする。
【0021】
S=(R+G+B)/3 (1)
また、その他の変形としては、カラーG信号を基準色信号する場合や、カラーR、G、B信号の混合比率(α、β、γ)を変えた線形結合によって基準色S信号を生成してもよい。線形結合の割合は、ラインセンサR、G、Bの感度特性および波長帯域などを考慮して決めても良い。
【0022】
なお、ラインセンサ部115にモノクロ用のラインセンサKを有する場合については、このモノクロK信号を基準色Sとして用いても良い。これについては第2実施形態で説明する。
【0023】
図5に示すように、画素配列生成部122は、この基準色S信号に対して画像処理対象となる画像処理対象画素(以下注目画素と称する)を含むM行×N列の画素数(M、Nは整数)を処理単位とする画素配列(以下処理単位配列S1と称する)を設定する処理単位配列生成部51と、同じ注目画素を含み、処理単位配列S1より配列要素数が少ないK行×L列(K、LはそれぞれM、Nより小さい整数)の配列要素数を持つ画素配列(相関関係を算出するため、以下相関配列S2と称する)を設定し、この相関配列S2と同一配列要素数のカラーR、G、B信号の相関配列群R2、および相関配列群G2、相関配列群B2を処理単位配列S1の走査範囲から抽出する相関配列抽出部52を有する。なお、配列要素数M、N、K、Lは注目画素を画素配列の中心画素する方が好ましいため、奇数に設定することが好ましい。
【0024】
また図6に示すように、相関関係算出部123は、相関配列群R2、相関配列群G2、および相関配列群B2に含まれる各相関配列と、相関配列S2との相関関係を算出するために、各相関配列内の画素値の平均値を算出する平均値算出部61、各相関配列内の画素値の標準偏差を算出する標準偏差算出部62、基準色の相関配列S2とカラー色の相関配列群R2、相関配列群G2、および相関配列群B2との画素値の偏差積を求める偏差積算出部63と、および基準色の相関配列S2とカラー色の相関配列群R2、相関配列群G2、および相関配列B2との相関係数を求める相関係数算出部64を有する。
【0025】
相関関係は、平均値、標準偏差値および偏差積を適宜組み合わせてもよいが、本実施形態においては相関係数を用いる。
【0026】
そして相関関係判定部124では、上述のように相関関係を相関係数で判定する場合には、相関係数が最も大きい値(1に近い値)を持つ相関配列が、カラー色の相関配列群R2、相関配列群G2、および相関配列群B2からそれぞれ選択される。この時選択されたカラー色の相関配列を相関配列R2_M、相関配列G2_M、相関配列B2_Mと定義する。
【0027】
図7に示す、色ずれ補正部125においては、選択された相関配列R2_M、相関配列G2_M、および相関配列B2_Mそれぞれについて、基準色の相関配列S2に対する回帰直線を求める回帰直線算出部71と、この回帰直線を用いて注目画素位置のカラー信号の補正を行い、新たなカラーRN信号、カラーGN信号、およびカラーBN信号を発生するカラー信号発生部72を有する。
【0028】
本実施形態の画像処理のフローについて図8〜図14を用いて具体的に説明する。まず、図8のステップST801では、基準色算出部121において、カラーR、G、B信号をそれぞれ画素単位で画像メモリ部120から読み出し、この読み出したカラーR、G、B信号から例えば、加算平均などの所定の規則に基づいて基準色S信号を算出し生成する。
【0029】
ステップST802では、この生成された基準色S信号に対して画像処理の処理単位となる処理単位配列S1を設定する。図9に、処理単位配列生成部51で生成される処理単位配列S1の例を示す。この例では中央に位置する注目画素に対して主走査方向、及び副走査方向に前後2画素ずつを含んだ5行×5列の処理単位配列S1を設定している。
【0030】
次に図10に示すように、ステップST803では、処理単位配列S1より配列要素数が少ない相関配列を設定する。図10の例では、3行×3列の相関配列を設定している。
【0031】
この相関配列は基準色SおよびカラーR、G、B色に対して設定され、基準色SとカラーR、G、B色とで相関関係が求められる。図11に示す基準色Sの処理単位配列S1において、基準色Sに対する相関配列は注目画素を含んだ3行×3行の画素配列であって、図中太線枠で示すようにArea_Sで示され、これを相関配列S2と定義する。
【0032】
ステップST804では、Area_Sと同一の配列要素数で、処理単位配列S1の走査範囲内に含まれるカラーの画素配列群を抽出する。図11の例では、この画素配列は、Area_1からArea_9までの9つが抽出される。例えば、Area_1は、Area_Sに対して主走査方向、副走査方向ともに2画素分前にずれた画素配列となる。
【0033】
ステップST805では、抽出された画素配列群を、カラーR、G、Bそれぞれに対して、相関配列群R2、相関配列群G2、および相関配列群B2と定義し、カラー毎の相関配列群R2、G2、B2に含まれる各相関配列と走査位置の基準となる相関配列S2との相関関係を求める。
【0034】
上述のように相関関係を求める方法については各種方法が考えられるが、本実施形態では相関係数を用い、カラー色毎に、Area_SとArea_1〜Area_9の相関係数rを求める。
【0035】
相関係数rは、(2)式に示すように定義され、R色の場合は、rR、G色の場合はrG、B色の場合はrBと添え字を付加する。
【数1】

【0036】
また、iは、相関配列内の配列要素番号、Nは配列要素数であり、3行×3列の相関配列であればN=9である。Rave、Gave、Baveは、各相関配列内の画素値の平均値を表す。従って相関係数rは、相関配列内の画素値平均値、画素値の標準偏差値、および相関配列間の画素値偏差積から求められることがわかる。
【0037】
ここで、相関係数rと回帰直線の関係について、図12を用いて説明する。ここではカラーR色について例示するが、他のG、B色についても同様である。図12(a)は、カラーR色について基準色Sと相関が高い相関配列の場合について示し、図12(b)は余り相関が高くない場合について示している。横軸は、基準色Sの相関配列S2(Area_S)に含まれる画素の画素値、縦軸は、カラーR色の相関配列群R2の任意の一つ(例えばArea_1、Area_2など)内に含まれる画素の画素値を、対応する位置の配列要素ごとにプロットしたものである。
【0038】
図12(a)に示すように、Area_SとArea_1の相関が高い場合には、回帰直線Laに対して、各画素値のばらつきは少なく、相関係数は1に近い値をとる。また、図12(b)に示すように、Area_SとArea_2の相関が低い場合には、回帰直線Lbに対して、各画素値のばらつきが多く、相関係数は図12(a)で求めた相関係数より低い値となる。
【0039】
なお、振動などによる位置ずれが生じていない場合にはArea_SとArea_5(中央画素)の相関が最も高くなる。
【0040】
また通常、相関係数は正の値をとるが、反転処理などの特殊な画像処理がなされた原稿を読み取る場合には相関係数が負となる場合もある。従って(2)式に示す相関係数の絶対値で相関関係を評価することが好ましい。
【0041】
ステップST806では、すべてのArea1〜Area_9についてArea_Sとの相関係数を求め、相関係数の最も大きい(1に近い)カラー信号の相関配列Area_Kを求める(1≦K≦N)。
【0042】
例えば図12(a)の相関係数が一番大きい場合には、基準信号Sに対して、カラーR信号は主走査方向、および副走査方向に対して2画素だけ前に読み取り位置がずれていると判断できる。
【0043】
次にステップST807では、図13に示すように基準色Sの相関配列S2(Area_S)と相関係数の最も大きくなるカラー信号の相関配列をArea_Kを用いて、このArea_K内に含まれる画素の画素値とArea_Sとの対応する画素の画素値から回帰直線R=ar・S+br(Lrk)を求める。なお、図13はカラーR色について示しているが、カラーG、B色に関しても同様に、回帰直線G=ag・S+bg、回帰直線B=ab・S+bbを求める。
【0044】
ステップST808では、図14に示すように、ステップST807で求めた回帰直線に注目画素の画素値を代入することにより新たなカラーRN、GN、およびBN信号の生成を行う。図13の点線丸印で示すように、この処理で、注目画素が回帰直線Lrk上に移動することにより、新たに生成されたカラーRN、GN、およびBN信号は、基準色Sに対して位置ずれが補正される結果、色ずれが低減される。
【0045】
そしてステップST801〜ステップST808の位置ずれ補正処理は、読み取り原稿のすべての画素について走査しながら処理単位配列S1を生成し同様の処理を繰り返す。
【0046】
以上述べたように、本実施形態によれば、基準色の相関配列に対して、主走査および副走査の両方に移動したカラーR、G、B色の相関配列との相関係数を求め、相関係数の最も大きい相関係数を持つ回帰直線に基づき、注目画素の位置ずれを補正している。このため、主走査、副走査ともに同時に色ずれが補正される効果を有する。特にR、G、Bの加重平均を用いた基準色を用いて回帰直線を求めた場合、色調の変化を生じることがなく、色ずれのみを効果的に補正することが可能である。
【0047】
また、処理単位配列を本実施形態の例示より配列要素数を大きくすると、大きく振動によって位置ずれを起こした画素に対しても色ずれ補正が行える。
【0048】
(第2の実施形態)
本実施形態は、スキャナ部11のラインセンサにモノクロ用のラインセンサを有する場合について説明する。
【0049】
図15は、本実施形態の画像処理部のブロック構成を示している。スキャナ部11にはモノクロ用のラインセンサKが付加されている。このラインセンサKは、カラー用ラインセンサR、G、Bと同じ解像度か、より高い解像度を有している。ラインセンサKを有する場合には基準色算出部151は、直接ラインセンサKから出力されるモノクロ信号Kを基準色S信号としてよい。
【0050】
ラインセンサKの解像度がカラー用ラインセンサR、G、Bの解像度より高い場合には、図16に示すように、一旦ラインセンサKの解像度をカラー用ラインセンサR、G、Bと同じ解像度となるように例えば基準色算出部121内に低解像度変換部161を設ける。
【0051】
そして、位置ずれ補正のための画像処理は、第1の実施形態と同様の処理を行う。ただし、色ずれ補正部151においては、ラインセンサKの高解像度信号により高解像度変換処理を行う。すなわち、例えば、カラー用ラインセンサR、G、Bの解像度を300dpiとし、モノクロ用ラインセンサKの解像度を600dpiとした場合には、図17に示すように、基準色Sの注目画素内には、モノクロ信号Kの4画素が含まれる。この4画素を第1の実施形態と同様の手続きによりカラーR、G、B毎に算出した回帰直線に代入することにより低解像度のカラーR、G、B信号に対して高解像度変換を行うことができる。
【0052】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、カラーR、G、B信号の色ずれ補正と高解像変換処理が同時に行えるという効果を奏する。
【0053】
以上述べたように、本発明の実施形態によれば、画像処理範囲を示す処理単位配列は、注目画素に対して主走査、および副走査方向の周辺画素を含むため、両方の走査方向に対しても同時に位置ずれ補正が行える。
【0054】
また、高解像度のモノクロ用ラインセンサを併せ持つハイブリッドセンサの場合は、位置ずれ補正の際に解像度変換が同時に行える。
【0055】
したがって、カラーセンサで原稿を読み取る際に、印刷動作による機械的振動、外部から受ける衝撃、または自動給紙装置での紙搬送時のローラ接触やローラの引っ張りによる振動などが生じても色ずれのない画像出力が得られる。
【0056】
なお、本実施形態において基準色の相関配列を固定し、カラー色の相関配列を処理単位配列内で移動させる例について説明したが、その逆も可能である。すなわち、カラー色の相関配列を処理単位配列の中心に固定し、基準色の相関配列を移動させて相関関係を求めても同様の効果が得られる。この場合、基準色のみに相関配列群が設定されるため、処理速度やメモリ使用量などの点で優位である。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、ハイブリッドセンサのモノクロ用ラインセンサの解像度をカラー用ラインセンサの解像度の2倍としたが、これに限らない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
11…スキャナ部、
12…画像処理部、
13…プリンタ部、
120…画像メモリ部、
121…基準色算出部、
122…画素配列生成部、
123…相関関係算出部、
124…相関関係判定部、
125…色ずれ補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともカラー用のラインセンサR、ラインセンサG、ラインセンサBを含む複数のラインセンサから構成されるラインセンサ部の出力信号を画素単位で取得する手段と、
前記複数のラインセンサの出力信号の一つ以上を用いて基準色を生成する手段と、
前記基準色に対し、画像処理の注目画素を含む処理単位配列を生成する手段と、
前記注目画素を含み前記処理単位配列より配列要素数の少ない基準色の相関配列を設定する手段と、
前記基準色の相関配列と同一配列要素数で前記処理単位配列内の走査範囲に含まれるカラー色の相関配列群を抽出する手段と、
前記基準色の相関配列と前記カラー色の相関配列群に含まれる各相関配列との相関関係を算出する手段と、
前記基準色の相関配列と最も相関関係の高いカラー色の相関配列を算出する手段と、
前記基準色の相関配列に含まれる画素値と最も相関関係の高いカラー色の画相関配列に含まれる画素値から回帰直線を求める手段と、
前記回帰直線を用いて前記注目画素に対するカラー色の画素値を生成する手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記相関関係は相関係数を用いることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ラインセンサ部にモノクロ用のラインセンサを含まない場合には、前記基準色信号としてカラー用のラインセンサR、ラインセンサG、ラインセンサBの信号の加算平均を用いることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ラインセンサ部にモノクロ用のラインセンサを含む場合には、前記基準色信号としてモノクロ用ラインセンサからの出力信号を用いることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記モノクロ用のラインセンサが、前記カラー用のラインセンサの解像度よりも高い場合には、前記カラー用のラインセンサの解像度と同一となるように、前記モノクロ用のラインセンサの出力に対して一旦低解像度処理を施して前記基準色を生成する低解像度変換部を有し、
前記基準色の注目画素内に含まれるモノクロ信号の画素値に対し前記回帰直線を用いてカラー信号の画素値を新たに生成する高解像度変換を行うことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
少なくともカラー用のラインセンサR、ラインセンサG、ラインセンサBを含む複数のラインセンサから構成されるラインセンサ部の出力信号を画素単位で取得するステップと、
前記複数のラインセンサの出力信号の一つ以上を用いて基準色を生成するステップと、
前記基準色に対し、画像処理の注目画素を含む処理単位配列を生成するステップと、
前記注目画素を含み前記処理単位配列より配列要素数の少ない基準色の相関配列を設定するステップと
前記基準色の相関配列と同一配列要素数で前記処理単位配列内の走査範囲に含まれるカラー色の相関配列群を抽出するステップと、
前記基準色の相関配列と前記カラー色の相関配列群に含まれる各相関配列との相関関係を算出するステップと、
前記基準色の相関配列と最も相関関係の高いカラー色の相関配列を算出するステップと、
前記基準色の相関配列に含まれる画素値と、最も相関関係の高いカラー色の画相関配列に含まれる画素値から回帰直線を求めるステップと、
前記回帰直線を用いて前記注目画素に対するカラー色の画素値を生成するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
前記ラインセンサ部にモノクロ用のラインセンサを含まない場合に、前記基準色信号としてカラー用のラインセンサR、ラインセンサG、ラインセンサBの信号の加算平均を算出するステップを有することを特徴とする請求項6記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記ラインセンサ部にモノクロ用のラインセンサを含む場合に、前記基準色信号をモノクロ用ラインセンサからの出力信号とするステップを有することを特徴とする請求項7記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記モノクロ用のラインセンサが、前記カラー用のラインセンサの解像度よりも高い場合には、前記カラー用のラインセンサの解像度と同一となるように、前記モノクロ用のラインセンサの出力に対して一旦低解像度処理を施して前記基準色を生成するステップと、
前記基準色の注目画素内に含まれる前記モノクロ用ラインセンサの出力信号の画素値に対し前記回帰直線を用いてカラー用信号の高解像度画素値を新たに生成する高解像度変換を行うステップを有することを特徴とする請求項8記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−124893(P2012−124893A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256185(P2011−256185)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】