画像処理装置および電子部品実装機
【課題】画像から簡単にはんだ部を抽出可能な画像処理装置および電子部品実装機を提供する。
【解決手段】画像処理装置6は、基板の撮像エリアに照明光を照射する照明部61と、照明光が照射された撮像エリアを撮像する撮像部60と、撮像により取得された画像を処理する画像処理部62と、を備える。照明部61は、撮像エリアに対して直交する方向から照明光を照射し、撮像エリアは、基板に塗布されたはんだが露光するはんだ部と、はんだが露光しない非はんだ部と、を有し、画像処理部62は、はんだ部と非はんだ部との照明光に対する反射率の違いを利用して、画像からはんだ部を抽出する。
【解決手段】画像処理装置6は、基板の撮像エリアに照明光を照射する照明部61と、照明光が照射された撮像エリアを撮像する撮像部60と、撮像により取得された画像を処理する画像処理部62と、を備える。照明部61は、撮像エリアに対して直交する方向から照明光を照射し、撮像エリアは、基板に塗布されたはんだが露光するはんだ部と、はんだが露光しない非はんだ部と、を有し、画像処理部62は、はんだ部と非はんだ部との照明光に対する反射率の違いを利用して、画像からはんだ部を抽出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の、はんだ部を含む撮像エリアの画像を処理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の生産方法は、はんだ印刷工程と、部品実装工程と、リフロー工程と、を有している。図20に、基板の模式上面図を示す。図21に、図20の円XXI内の拡大図を示す。なお、図21においては、電子部品104の一部を透過して示す。
【0003】
図20に示すように、基板100には、一対の基板側基準マーク106が配置されている。図21に示すように、はんだ印刷工程においては、スクリーン印刷機により、基板100の配線パターン101のランド部102に、はんだ部103を形成する。すなわち、スクリーン印刷機のスクリーンマスク(図略)には、はんだ部103に対応して通孔が穿設されている。基板100の上面にスクリーンマスクの下面を密着させた状態で、スクリーンマスクの上方から通孔にはんだを押し込むことにより、基板100のランド部102にはんだを転写させる。部品実装工程においては、ランド部102(直接的にははんだ部103)に、電子部品104を装着する。リフロー工程においては、基板100を加熱、冷却することにより、はんだ部103を溶融、固化させ、電子部品104を基板100に接合する。
【0004】
図22に、はんだ印刷工程後の基板の一部の模式上面図を示す。図23に、部品実装工程後の基板の一部の模式上面図を示す。図24に、リフロー工程後の基板の一部の模式上面図を示す。これらの図において、図21と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0005】
はんだ印刷工程においては、基板100とスクリーンマスクとの水平方向位置がずれてしまう場合がある。この場合、図22に示すように、はんだ部103の印刷位置が、基板100のランド部102に対して、ずれてしまう。
【0006】
ところが、部品実装工程においては、はんだ部103の印刷位置ではなく、ランド部102の位置を基準に電子部品104の装着を行っている。すなわち、図20に示すように、基板100には基板側基準マーク106が配置されている。基板側基準マーク106とランド部102との相対的な位置関係は既知である。図23に示すように、部品実装工程において電子部品104を装着する場合、当該基板側基準マーク106を基準に、電子部品104の装着位置が決定される。このため、電子部品104の装着位置は、ランド部102の位置には対応している反面、はんだ部103の印刷位置には対応していない。
【0007】
リフロー工程において、はんだ部103のはんだを溶融させると、はんだ部103はランド部102の中央に向かって流動する。このため、図24に示すように、はんだ部103とランド部102との位置ずれを解消することができる。
【0008】
ここで、仮に、電子部品104の装着位置がはんだ部103の印刷位置に対応している場合は、はんだ部103の流動により、電子部品104の装着位置とランド部102との位置ずれを解消することができる。
【0009】
しかしながら、電子部品104の装着位置は、はんだ部103の印刷位置に対応していない。このため、はんだ部103が流動すると、溶融状態のはんだ部103の流動により、電子部品104がランド部102から遠ざかるように移動してしまう。また、部品立ちが発生してしまう。この傾向は、電子部品104の自重が軽いほど顕著である。
【0010】
このように、基板100つまりランド部102の位置を基準に電子部品104の装着を行うと、リフロー工程後に、電子部品104の位置がランド部102に対してずれてしまう。このため、はんだ部103の印刷位置を基準に電子部品104の装着位置を決定する方が好ましい。
【0011】
しかしながら、はんだ部103の印刷位置を基準に電子部品104の装着位置を決定するためには、基板100におけるはんだ部103の印刷位置を正確に把握する必要がある。具体的には、基板100上のはんだ部103を撮像装置により撮像し、取得された画像から、はんだ部103を正確に抽出する必要がある。
【0012】
この点について、特許文献1には、撮像エリアの照明条件を変更しながら基板に対するはんだの印刷状態を検査する検査方法が開示されている。すなわち、撮像エリアには、まず、第一の照明条件で照明光が照射される。そして、画像を基に、はんだの印刷状態が検査される。この際、印刷状態が不良であると判断されたはんだには、第二の照明条件で照明光が照射され、はんだの印刷状態が検査される。第二の照明条件でも印刷状態が不良であると判断されたはんだには、第三の照明条件で照明光が照射され、はんだの印刷状態が検査される。最後まで印刷状態が不良であると判断されたはんだを、印刷不良のはんだと判別する。このように、特許文献1には、撮像エリアの照明条件を変更しながら基板に対するはんだの印刷状態を検査する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−223006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
同文献には、検査方法を電子部品の装着に応用することについて示唆されていない。仮に、同文献記載の検査方法を電子部品実装機に応用すると、基板100を撮像した画像から、はんだ部103を抽出することができる。このため、図22に示すように、はんだ印刷工程後において、はんだ部103の印刷位置が、基板100のランド部102に対して、ずれている場合であっても、ずれ量を把握することができる。そして、ずれ量に応じて電子部品104の装着位置を補正することにより、電子部品104をはんだ部103に正確に装着することができる。こうすると、リフロー工程において溶融状態のはんだ部がランド部102に向かって流動するため、電子部品104と、はんだ部103と、ランド部102と、の間の位置ずれを抑制することができる。
【0015】
しかしながら、同文献の検査方法によると、工数が多く煩雑である。本発明の画像処理装置および電子部品実装機は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、画像から簡単にはんだ部を抽出可能な画像処理装置および電子部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)上記課題を解決するため、本発明の画像処理装置は、基板の撮像エリアに照明光を照射する照明部と、該照明光が照射された該撮像エリアを撮像する撮像部と、撮像により取得された画像を処理する画像処理部と、を備える画像処理装置であって、前記照明部は、前記撮像エリアに対して直交する方向から前記照明光を照射し、該撮像エリアは、前記基板に塗布されたはんだが露光するはんだ部と、該はんだが露光しない非はんだ部と、を有し、前記画像処理部は、該はんだ部と該非はんだ部との該照明光に対する反射率の違いを利用して、前記画像から該はんだ部を抽出することを特徴とする。
【0017】
はんだ部は、塗布(印刷を含む)により、基板に形成される。このため、非はんだ部(基板、配線パターンなど)の表面と比較して、はんだ部の表面には、細かい凹凸が形成されている場合が多い。一例として、非はんだ部の表面が鏡面状を呈しているのに対して、はんだ部の表面は梨地状を呈している。このため、はんだ部と非はんだ部とでは、照明光に対する反射率が異なる。本発明の画像処理装置は、当該反射率の違いに着目して、画像からはんだ部を抽出している。
【0018】
本発明の画像処理装置によると、特許文献1に記載の検査方法のように、撮像エリアの照明条件を変更しながら何回も画像を取得する必要がない。このため、画像から簡単にはんだ部を抽出することができる。また、複数の照明条件が不要なため、照明部延いては画像処理装置の構造を簡単にすることができる。
【0019】
(2)上記課題を解決するため、本発明の電子部品実装機は、上記(1)の構成の画像処理装置と、該画像処理装置に電気的に接続される制御装置と、を備え、基板に電子部品を装着する電子部品実装機であって、該制御装置は、前記画像から抽出された前記はんだ部を基にはんだ側基準マークを設定し、該はんだ側基準マークを基に前記電子部品の装着位置を決定することを特徴とする。
【0020】
本発明の電子部品実装機は、上記(1)の構成の画像処理装置により抽出されたはんだ部を基に、はんだ側基準マークを設定している。そして、当該はんだ側基準マークを基に、電子部品の装着位置を決定している。
【0021】
本発明の電子部品実装機によると、基板ではなく、基板に塗布されたはんだ部を基準に電子部品の装着位置を決定することができる。このため、電子部品と、はんだ部と、ランド部と、の間の位置ずれを抑制することができる。
【0022】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記撮像エリアは、複数の前記はんだ部を有し、前記制御装置は、前記画像から抽出された複数の該はんだ部を基に前記はんだ側基準マークを設定する構成とする方がよい。
【0023】
はんだ部の塗布状態が不良の場合(例えば、はんだ部に「かすれ」や「欠け」が発生している場合)、はんだ部の塗布状態が良好の場合と比較して、はんだ側基準マークの設定位置がずれてしまう。このため、塗布状態が不良のはんだ部だけを基にはんだ側基準マークを設定すると、電子部品の装着位置がずれやすくなる。
【0024】
この点、本構成によると、複数のはんだ部を基にはんだ側基準マークを設定している。このため、複数のはんだ部の中に塗布状態が不良のはんだ部が含まれる場合であっても、当該はんだ部に起因するはんだ側基準マークの設定位置のずれを、希釈することができる。したがって、電子部品の装着位置がずれにくくなる。
【0025】
(4)好ましくは、上記(2)または(3)の構成において、前記基板は、ランド部を有する配線パターンと、前記電子部品の前記装着位置を決定する基になる基板側基準マークと、を有し、前記はんだ部は、該ランド部に該電子部品を接続するために、該ランド部に塗布され、前記制御装置は、該基板側基準マークを基準に該電子部品を装着する基板側基準モード、および前記はんだ側基準マークを基準に該電子部品を装着するはんだ側基準モードのうち、少なくとも該はんだ側基準モードを実行可能である構成とする方がよい。
【0026】
例えば、自重が重い電子部品は、はんだ部が流動しても移動しにくい。このような電子部品は、はんだ部ではなく基板を基準に装着した方が装着精度が向上しやすい。これに対して、自重が軽い電子部品は、はんだ部が流動すると移動しやすい。このような電子部品は、基板ではなくはんだ部を基準に装着した方が装着精度が向上しやすい。このように、電子部品の中には、基板側基準マークを基準に装着した方が装着精度が高くなるものと、はんだ側基準マークを基準に装着した方が装着精度が高くなるものとがある。
【0027】
この点、本構成の電子部品実装機は、基板側基準モード、はんだ側基準モードのうち、少なくともはんだ側基準モードを実行可能である。このため、例えば自重が軽い電子部品の装着精度を向上させることができる。
【0028】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記制御装置は、前記基板側基準モードと前記はんだ側基準モードとを切り替えて実行可能である構成とする方がよい。本構成の電子部品実装機は、基板側基準モードと、はんだ側基準モードと、を切り替えて実行可能である。このため、例えば自重の軽重に対応して電子部品の装着精度を向上させることができる。
【0029】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記制御装置は、前記基板側基準モードにおいて前記電子部品が装着される前記はんだ部を基に設定される前記はんだ側基準マークを基準に、前記はんだ側基準モードにおいて該電子部品を装着する構成とする方がよい。
【0030】
はんだ側基準モードにおいては、はんだ側基準マークを基準に電子部品が装着される。はんだ側基準マークは、画像から抽出されたはんだ部を基に設定される。本構成によると、はんだ側基準マーク設定用のはんだ部として、はんだ側基準モードではなく、基板側基準モードで電子部品が装着されるはんだ部を用いることができる。このため、例えば、自重が重い大型の電子部品用の、密集して配置された複数のはんだ部を用いて、はんだ側基準マークを設定することができる。したがって、はんだ側基準マークの設定精度が向上する。
【0031】
(7)好ましくは、上記(5)または(6)の構成において、前記照明部は、前記基板側基準マークを撮像する際の方が、前記はんだ側基準マークを設定するために前記はんだ部を撮像する際よりも、前記照明光の光強度を小さく設定する構成とする方がよい。
【0032】
ここで、光強度とは、単位面積当たりの放射束または分光放射束をいう。
【0033】
基板側基準マークは、はんだ部に対して、表面が平滑である。このため、反射率が高い。本構成によると、基板側基準マークを撮像する際は照明光の光強度を小さく、はんだ部を撮像する際は照明光の光強度を大きく設定している。このため、反射率の違いに対応して、基板側基準マークを撮像する場合であっても、はんだ部を撮像する場合であっても、良好な画像を取得することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、画像から簡単にはんだ部を抽出可能な画像処理装置および電子部品実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の電子部品実装機の一実施形態である電子部品実装機が配置された生産ラインの模式上面図である。
【図2】同電子部品実装機の斜視図である。
【図3】同電子部品実装機の上面図である。
【図4】同電子部品実装機のブロック図である。
【図5】X方向スライダ、装着ヘッド、画像処理装置の斜視図である。
【図6】生産後の基板の模式上面図である。
【図7】はんだ印刷工程前の基板の模式上面図である。
【図8】同工程後の基板の模式上面図である。
【図9】図8の撮像エリアG4の拡大図である。
【図10】図9の撮像エリアG4の画像である。
【図11】(a)はゲイン値調整の概念図である。(b)はオフセット値調整の概念図である。
【図12】図10の円XII内の拡大図である。
【図13】シークラインの輝度パターンの模式図である。
【図14】画像の部分拡大図である。
【図15】部品実装工程後の基板の模式上面図である。
【図16】図15の円XVI内の拡大図である。
【図17】図15の円XVII内の拡大図である。
【図18】図16の円XVI内の画像である。
【図19】図18の円XIX内の拡大図である。
【図20】基板の模式上面図である。
【図21】図20の円XXI内の拡大図である。
【図22】はんだ印刷工程後の基板の一部の模式上面図である。
【図23】部品実装工程後の基板の一部の模式上面図である。
【図24】リフロー工程後の基板の一部の模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の電子部品実装機の実施の形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明の画像処理装置の実施の形態についての説明を兼ねるものである。
【0037】
<生産ラインの構成>
まず、本実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインの構成について簡単に説明する。図1に、本実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインの模式上面図を示す。図1に示すように、前後一対の生産ラインLf、Lrは、左右方向に延在している。左側は、基板の搬送方向上流側に相当する。右側は、基板の搬送方向下流側に相当する。生産ラインLf、Lrには、スクリーン印刷機1eと、四台の電子部品実装機1a〜1dと、リフロー炉1fと、が並べられている。スクリーン印刷機1eは、基板の配線パターンのランド部に、はんだを転写することにより、はんだ部を形成する。四台の電子部品実装機1a〜1dは、予め設定された分担に従って、基板のはんだ部に電子部品を装着する。リフロー炉1fは、電子部品が装着された基板を加熱、冷却することにより、はんだ部を溶融、固化させ、電子部品を基板に接合する。
【0038】
<電子部品実装機の機械的構成>
次に、本実施形態の電子部品実装機の機械的構成について説明する。図2に、本実施形態の電子部品実装機の斜視図を示す。図3に、同電子部品実装機の上面図を示す。図4に、同電子部品実装機のブロック図を示す。
【0039】
図2においては、モジュール3のハウジング36を透過して示す。図3においては、ハウジング36を省略して示す。図2〜図4に示すように、電子部品実装機1aは、ベース2と、モジュール3と、多数のテープフィーダ4と、デバイスパレット5と、画像処理装置6と、制御装置7と、を備えている。
【0040】
[ベース2、モジュール3]
ベース2は、直方体箱状を呈している。ベース2は、工場のフロアFに配置されている。モジュール3は、ベース2の上面に着脱可能に配置されている。モジュール3は、基板搬送装置30と、XYロボット31と、装着ヘッド32と、基板昇降装置35と、ハウジング36と、を備えている。
【0041】
ハウジング36は、モジュール3の外殻を形成している。基板搬送装置30は、前後一対の搬送部303f、303rと、前後一対のクランプ片304fと、前後一対のクランプ片304rと、を備えている。前後一対の搬送部303f、303rは、各々、前後一対のベルトを備えている。前後二対のベルトには、各々、基板Bf、Brが架設されている。前後二対のベルトは、各々、図4に示す搬送モータ303fb、303rbにより、回転可能である。基板Bf、Brの上面の左前隅と右後隅とには、円形であって銅箔製の基板側基準マークBmが配置されている。基板Bfは搬送部303fにより、基板Brは搬送部303rにより、各々独立して、左側から右側に向かって搬送される。前後一対のクランプ片304fは、搬送部303fの上方に配置されている。前後一対のクランプ片304rは、搬送部303rの上方に配置されている。
【0042】
基板昇降装置35は、前後一対の昇降部350f、350rを備えている。前後一対の昇降部350f、350rは、各々、図4に示す昇降モータ350fb、350rbおよびボールねじ部(図略)により、各々、上下方向に移動可能である。前方の昇降部350fは、搬送部303fの下方に配置されている。後方の昇降部350rは、搬送部303rの下方に配置されている。基板Bf、Brの位置は、昇降部350f、350rにより、搬送位置と、クランプ位置と、に切り替えられる。搬送位置において、基板Bf、Brは、搬送部303f、303rに載置されている。クランプ位置において、基板Bf、Brの下面は、昇降部350fにより下方から支持されている。また、クランプ位置において、基板Bf、Brの上面の前後両縁は、前後一対のクランプ片304f、304rにより上方から押圧されている。すなわち、基板Bfは、クランプ位置において、上下方向から挟持、固定されている。
【0043】
デバイスパレット5は、モジュール3の前部開口に装着されている。多数のテープフィーダ4は、各々、デバイスパレット5に着脱可能に装着されている。テープフィーダ4は、テープ40とリール41とリールホルダ42とを備えている。テープ40には、長手方向に沿って、複数の電子部品が収容されている。テープ40は、リール41に巻装されている。リール41は、リールホルダ42に収容されている。
【0044】
X方向は左右方向に、Y方向は前後方向に、Z方向は上下方向に、各々、対応している。XYロボット31は、Y方向スライダ310と、X方向スライダ311と、左右一対のY方向ガイドレール312と、上下一対のX方向ガイドレール313と、を備えている。
【0045】
左右一対のY方向ガイドレール312は、ハウジング36の上壁下面に配置されている。Y方向スライダ310は、左右一対のY方向ガイドレール312に取り付けられている。Y方向スライダ310は、図4に示すY軸モータ310aにより、前後方向に移動可能である。上下一対のX方向ガイドレール313は、Y方向スライダ310の前面に配置されている。X方向スライダ311は、上下一対のX方向ガイドレール313に取り付けられている。X方向スライダ311は、図4に示すX軸モータ311aにより、左右方向に移動可能である。
【0046】
図5に、X方向スライダ、装着ヘッド、画像処理装置の斜視図を示す。図5に示すように、装着ヘッド32は、X方向スライダ311に取り付けられている。このため、装着ヘッド32は、XYロボット31により、前後左右方向に移動可能である。装着ヘッド32の下方には、吸着ノズル320が交換可能に取り付けられている。吸着ノズル320は、図4に示すZ軸モータ320aにより、装着ヘッド32に対して、下方に移動可能である。また、吸着ノズル320は、図4に示すθ軸モータ320bにより、装着ヘッド32に対して、水平面内における回転方向に移動可能である。
【0047】
画像処理装置6は、マークカメラ60と、照明部61と、画像処理部62と、を備えている。マークカメラ60は、本発明の「撮像部」の概念に含まれる。マークカメラ60および照明部61は、装着ヘッド32と共に、X方向スライダ311に取り付けられている。このため、マークカメラ60および照明部61は、XYロボット31により、前後左右方向に移動可能である。
【0048】
照明部61は、光源610と、ハーフミラー611と、光学系(図略)と、を備えている。光源610は、LED(Light−Emitting Diode)である。図5に点線で示すように、光源610の照明光612は、レンズなどを有する光学系により、平行光に変換される。照明光612は、前方に進行し、ハーフミラー611で90°方向転換し、下方に反射される。このため、基板Bf(基板Brも同様)の上面の撮像エリアG1は、照明光612により、真上方向(撮像エリアG1に対して直交する方向)から照らされる。撮像エリアG1に対する、照明光612の入射角θは90°である。
【0049】
マークカメラ60は、CCD(Charge−Coupled Device)エリアセンサである。マークカメラ60は、多数の受光素子が二次元的に配置された撮像面を有している。マークカメラ60は、真上方向(照明光612の入射方向)から、撮像エリアG1を撮像する。
【0050】
<電子部品実装機の電気的構成>
次に、本実施形態の電子部品実装機の電気的構成について説明する。図4に示すように、制御装置7は、コンピュータ70と複数の駆動回路とを備えている。コンピュータ70は、入出力インターフェイス700と、演算部701と、記憶部702と、を備えている。
【0051】
入出力インターフェイス700は、駆動回路を介して、基板搬送装置30の搬送モータ303fb、303rb、基板昇降装置35の昇降モータ350fb、350rb、XYロボット31のX軸モータ311a、Y軸モータ310a、装着ヘッド32のZ軸モータ320a、θ軸モータ320b、画像処理装置6の照明部61およびマークカメラ60に、各々接続されている。また、入出力インターフェイス700は、画像処理装置6の画像処理部62に接続されている。
【0052】
記憶部702には、電子部品実装機1aの機上の基準位置(原点)に関するデータが格納されている。また、基板Bf、Brが理想的なクランプ位置で保持されている場合の、基準位置に対する基板側基準マークBmの位置に関するデータが格納されている。また、基板側基準マークBmの形状に関するデータが格納されている。また、基板Bf、Brが理想的なクランプ位置で保持されている場合の、基準位置に対する配線パターン、ランド部の位置に関するデータが格納されている。また、配線パターン、ランド部の形状に関するデータが格納されている。また、基板Bf、Brが理想的なクランプ位置で保持されている場合であって、はんだ部の印刷状態が良好な場合の、基準位置に対するはんだ部の位置に関するデータが格納されている。また、はんだ部の形状に関するデータが格納されている。また、電子部品の装着位置(詳しくは電子部品のパッド部の位置)は、ランド部の位置に設定されている。
【0053】
<基板の生産方法>
次に、図1に示す生産ラインLf、Lrを代表して、生産ラインLfを用いた基板Bfの生産方法について説明する。図6に、生産後の基板の模式上面図を示す。図6に示すように、基板Bfの上面には、電子部品実装機1aにより電子部品Pa1、Pa2が、電子部品実装機1bにより電子部品Pbが、電子部品実装機1cにより電子部品Pcが、電子部品実装機1dにより電子部品Pdが、それぞれ装着されている。
【0054】
基板Bfの生産方法は、はんだ印刷工程と、部品実装工程と、リフロー工程と、を有している。
【0055】
[はんだ印刷工程]
本工程においては、図1に示すスクリーン印刷機1eを用いて、基板Bfにはんだを印刷する。図7に、はんだ印刷工程前の基板の模式上面図を示す。図8に、同工程後の基板の模式上面図を示す。図7に示すように、基板Bfの上面には、多数の配線パターンCa1、Ca2、Cb〜Cdと、一対の基板側基準マークBmと、が配置されている。配線パターンCa1、Ca2、Cb〜Cd、基板側基準マークBmは、銅箔製である。基板Bf、配線パターンCa1、Ca2、Cb〜Cd、基板側基準マークBmの表面は、いずれも平滑である。配線パターンCa1、Ca2、Cb〜Cdには、ランド部Da1、Da2、Db〜Ddが形成されている。
【0056】
本工程においては、図1に示すスクリーン印刷機1eにより、ランド部Da1、Da2、Db〜Ddに、クリームはんだを転写する。図8に示すように、本工程後のランド部Da1、Da2、Db〜Ddには、はんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edが形成される。図1に示すスクリーン印刷機1eのスクリーンマスク(図略)と基板Bfとがずれている場合、図8に示すように、ランド部Da1、Da2、Db〜Ddの位置に対して、はんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edの印刷位置が、全体的にずれてしまう。
【0057】
[部品実装工程]
本工程においては、図1に示す電子部品実装機1a〜1dを用いて、基板Bfに、図6に示す全ての電子部品Pa1、Pa2、Pb〜Pdを、段階的に装着する。電子部品実装機1a〜1dにおいては、各々、基板搬入ステップと、装着ステップと、基板搬出ステップと、が実行される。
【0058】
以下、電子部品実装機1a〜1dを代表して、電子部品実装機1aについて、各ステップの内容を説明する。
【0059】
{基板搬入ステップ}
本ステップにおいては、基板Bfを、図2に示す電子部品実装機1aに搬入し、所定のクランプ位置に固定する。具体的には、まず、図4に示す制御装置7は、搬送モータ303fb、つまり図2に示す搬送部303fを用いて、基板Bfを昇降部350fの真上の搬送位置まで搬送する。次に、図4に示す制御装置7は、昇降モータ350fb、つまり図2に示す昇降部350fを用いて、基板Bfを、搬送位置からクランプ位置まで上昇させる。そして、基板Bfを、昇降部350fと、前後一対のクランプ片304fと、により、上下方向から挟持、固定する。
【0060】
{装着ステップ}
本ステップにおいては、基板Bfに、電子部品実装機1aに割り振られた電子部品Pa1、Pa2(図6参照)を装着する。具体的には、電子部品Pa1、Pa2の装着位置を決定し、当該装着位置に電子部品Pa1、Pa2を装着する。
【0061】
電子部品Pa1、Pa2の装着位置の決定方法は、部品種に応じて切替可能である。すなわち、図4に示す制御装置7は、装着対象となる電子部品Pa1、Pa2の部品種に応じて、はんだ側基準モードと、基板側基準モードと、に切替可能である。
【0062】
(はんだ側基準モード)
はんだ側基準モードは、自重が軽い小型の電子部品Pa1に対して実行される。すなわち、後述するリフロー工程においては、溶融状態のはんだ部Ea1が、ランド部Da1に向かって流動する。この際、自重が軽い電子部品Pa1も、はんだ部Ea1の流動により、はんだ部Ea1と共に移動する。このため、はんだ部Ea1を基準に電子部品Pa1を装着しておけば、電子部品Pa1のパッド部(図略)を、ランド部Da1まで移動させることができる。このような理由から、本モードにおいては、はんだ部Ea1(具体的には図8に示すはんだ側基準マークEm)を基準に電子部品Pa1の装着位置を決定し、当該装着位置に電子部品Pa1を装着する。
【0063】
まず、はんだ側基準マークEmを設定する基準になるはんだ部Ebを、基板Bfの上面から探す。なお、はんだ部Ebは、電子部品実装機1b(電子部品実装機1aではない)に割り振られた電子部品の装着用である。
【0064】
具体的には、図4に示す制御装置7は、まず、X軸モータ311aおよびY軸モータ310aを用いて、XYロボット31を水平方向に駆動する。そして、図8に示す左後隅の六つのはんだ部Ebが撮像エリアG4に含まれるように、マークカメラ60および照明部61を配置する。次に、図4に示す制御装置7は、照明部61を駆動することにより、撮像エリアG4に照明光を照射する(図5参照)。
【0065】
図9に、図8の撮像エリアG4の拡大図を示す。図9に示すように、撮像エリアG4には、基板Bfの上面と、六つのはんだ部Ebと、六つの配線パターンCb(六つのランド部Dbを含む。)と、が配置されている。撮像エリアG4における、基板Bfの上面および六つの配線パターンCb(六つのはんだ部Ebが印刷されている部分、つまり上方に露出していない部分を除く。)は、本発明の「非はんだ部」の概念に含まれる。
【0066】
続いて、制御装置7は、マークカメラ60を駆動することにより、撮像エリアG4を撮像する。照明光の露光時間は、100msである。
【0067】
図10に、図9の撮像エリアG4の画像を示す。基板Bfの上面、六つの配線パターンCb(六つのランド部Dbを含む。)は、いずれも鏡面状を呈している。このため、照明光に対する反射率が高い。したがって、これらの部分は、画像g4において白く表示される。一方、六つのはんだ部Ebは、いずれも梨地状を呈している。このため、照明光に対する反射率が低い。したがって、これらの部分は、画像g4において黒く表示される。このように、画像g4においては、反射率の違いにより、非はんだ部が白く、はんだ部Ebが黒く、表示される。
【0068】
撮像された画像g4は、図4に示す画像処理部62に取り込まれる。画像処理部62は、取り込まれた画像g4のゲイン値、オフセット値を調整することにより、非はんだ部と、はんだ部Ebと、の輝度のコントラスト差を大きくする。
【0069】
図11(a)に、ゲイン値調整の概念図を示す。図11(b)に、オフセット値調整の概念図を示す。図11(a)に示すように、ゲイン値の倍率を1超過にすると、調整前の輝度分布A1に対して、輝度分布A2を広げることができる。また、ゲイン値の倍率を1未満にすると、調整前の輝度分布A1に対して、輝度分布A3を狭めることができる。このように、ゲイン値を調整すると、輝度のコントラスト差を大きくすることができる。
【0070】
図11(b)に示すように、オフセット値を調整すると、調整前の輝度分布A1に対する調整後の輝度分布A4のように、輝度分布の幅はそのままで、位置を移動させることができる。このように、オフセット値を調整すると、輝度を加算調整することができる。
【0071】
輝度調整された画像g4は、図4に示す制御装置7に伝送される。まず、制御装置7は、図10に示す画像g4の六つのはんだ部Ebが、図8に示すはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部Ebであるか否かを判別する。
【0072】
すなわち、制御装置7の記憶部702には、前述したように、基板Bfが理想的なクランプ位置で保持されている場合であって、はんだ部Ebの印刷状態が良好な場合の、基準位置に対するはんだ部Ebの位置に関するデータが格納されている。また、はんだ部Ebの形状に関するデータが格納されている。以下、これらの位置、形状に関するデータを、適宜、「設定データ」と称する。
【0073】
演算部701は、当該設定データと、画像g4の六つのはんだ部Ebの形状、位置に関するデータ(以下、適宜、「実測データ」と称す。)と、を基に、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致するか否かを判別する。
【0074】
具体的には、判別はシークラインを用いて行われる。後述するように、判別基準以上のシークラインに、実測データのはんだ部Ebとの交点が確認できれば、当該交点の位置を基に、はんだ部Ebの図心(重心)を演算する。
【0075】
図12に、図10の円XII内の拡大図を示す。図12に示すように、はんだ部Ebには、「欠け」が発生している。また、はんだ部Ebは、設定データのはんだ部Ebよりも、一回り大きい。このため、設定データのはんだ部Ebの外形線(一点鎖線で示す。)と、実測データのはんだ部Ebの外形線(実線で示す。)と、は一致していない。まず、図4に示す演算部701は、設定データのはんだ部Ebの外形線に対して、合計8本のシークラインLbを引く。8本のシークラインLbは、各々、設定データのはんだ部Ebの外形線に対して、シークラインLbの中央において直交している。すなわち、設定データのはんだ部Ebの外形線と8本のシークラインLbとは、8個の交点Kを有している。
【0076】
図13に、シークラインの輝度パターンの模式図を示す。なお、図13に示すシークラインLbは、図12に示す設定データのはんだ部Ebの左縁H1に交差するシークラインLbである。図12に示すように、はんだ部Ebには、「欠け」が発生している。このため、シークラインLbは、実測データのはんだ部Ebの左縁H2には交差していない。したがって、図13に「○」で示すように、シークラインLbの左右全長に亘って、輝度は明るいままである。
【0077】
仮に、シークラインLbと、実測データのはんだ部Ebの左縁H2と、に交点がある場合、非はんだ部とはんだ部Ebとの輝度のコントラスト差により、図13に「×」で示すように、シークラインLbの左から右に向かって、輝度が暗くなる。
【0078】
このように、図4に示す演算部701は、8本のシークラインLbの輝度パターンから、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致するか否かを判別する。
【0079】
図4に示す演算部701は、まず、図12に示す設定データのはんだ部Ebの外形線とシークラインLbとの交点Kと、実測データのはんだ部Ebの外形線とシークラインLbとの交点Mと、のずれ量の総和が最小になるように、言い換えると設定データのはんだ部Ebの外形線と実測データのはんだ部Ebの外形線とが最も近接するように、設定データのはんだ部Ebと実測データのはんだ部Ebとの位置合わせを行う。次に、演算部701は、図12に示す8本中、6本以上のシークラインLbについて、図13に「×」で示すような輝度パターンが確認できた場合、言い換えると6個以上の交点Mが確認できた場合、単一のはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致すると判別する。
【0080】
図4に示す演算部701は、図10に示す画像g4の全てのはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致するか否かを判別する。全てのはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致する場合、図4に示す演算部701は、図10に示す画像g4の六つのはんだ部Ebが、図8に示すはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であると判別する。
【0081】
次に、図4に示す制御装置7は、図10に示す画像g4の六つのはんだ部Ebの各々の図心、および設定データのはんだ部Ebの図心を演算する。すなわち、図12に示す交点K、Mの位置を基に、はんだ部Ebの図心を演算する。なお、実測データのはんだ部Ebの図心演算用の交点Mと、設定データのはんだ部Ebの図心演算用の交点Kと、は対応している。例えば、図12に示すように、実測データのはんだ部Ebの図心を、前右後縁の6個の交点Mを基に演算する場合、設定データのはんだ部Ebの図心も、前右後縁の6個の交点Kを基に演算する。
【0082】
図12に示すように、はんだ部Ebに「かすれ」や「欠け」が発生していない場合、つまりはんだ部Ebの印刷状態が良好の場合、はんだ部Ebの図心Z1は、設定データ(ただし、基準位置に対するはんだ部Ebの位置は考慮しない。)のはんだ部Ebの図心に、一致することになる。
【0083】
一方、はんだ部Ebに「かすれ」や「欠け」が発生している場合、つまりはんだ部Ebの印刷状態が不良の場合、はんだ部Ebの図心Z2は、設定データ(ただし、基準位置に対するはんだ部Ebの位置は考慮しない。)のはんだ部Ebの図心からずれることになる。
【0084】
続いて、図4に示す制御装置7は、演算された六つの図心Z1、Z2から、はんだ側基準マークEmを設定する。図14に、画像の部分拡大図を示す。なお、図14は、図10に対応している。図14に示すように、六つのはんだ部Ebには、各々、図心Z1あるいは図心Z2が設定されている。演算部701は、図心Z1、Z2を繋いで形成される四角形の図心を演算し、演算により得られた図心を、はんだ側基準マークEmとする。
【0085】
続いて、制御装置7は、図心Z4(設定データ(ただし、基準位置に対するはんだ部Ebの位置を考慮する。)の六つのはんだ部Ebの図心を繋いで形成される四角形の図心)と、はんだ側基準マークEmと、のずれ量を演算する。
【0086】
設定データと実測データとの間で基準位置に対するはんだ部Ebの位置がずれていない場合(クランプ位置(基板Bfの停止位置)がずれていない場合であって、基板Bfに対するはんだ部Ebの印刷位置がずれていない場合)であって、はんだ部Ebの印刷状態が良好である場合、図心Z4とはんだ側基準マークEmとは一致する。一方、設定データと実測データとの間で基準位置に対するはんだ部Ebの位置がずれている場合や、はんだ部Ebの印刷状態が不良である場合、図心Z4とはんだ側基準マークEmとは一致しない。
【0087】
図4に示す演算部701は、図心Z4と、はんだ側基準マークEmと、のずれ量を演算する。また、同様の手順により、演算部701は、図8に示す撮像エリアG5内の右前隅のはんだ側基準マークEmのずれ量も演算する。演算部701は、演算された二つのずれ量を基に、電子部品Pa1の装着位置の補正量を演算する。演算部701は、補正量を参照して、電子部品Pa1の装着位置を補正する。
【0088】
本モードにおいては、次に、図4に示す制御装置7は、図2に示すXYロボット31、吸着ノズル320を適宜駆動することにより、電子部品Pa1を、テープフィーダ4のテープ40から取り出し、補正された装着位置に装着する。すなわち、電子部品Pa1を、図8に示すはんだ部Ea1に装着する。
【0089】
(基板側基準モード)
基板側基準モードは、自重が重い大型の電子部品Pa2(図6参照)に対して実行される。すなわち、後述するリフロー工程においては、溶融状態のはんだ部Ea2(図8参照)が、ランド部Da2に向かって流動する。この際、自重が重い電子部品Pa2は、はんだ部Ea2と共に移動しない。このため、電子部品Pa2は、基板Bfつまりランド部Da2を基準に装着する必要がある。このような理由から、本モードにおいては、ランド部Da2(具体的には図8に示す基板側基準マークBm)を基準に電子部品Pa2の装着位置を決定し、当該装着位置に電子部品Pa2を装着する。
【0090】
まず、はんだ側基準モードと同様に、図4に示すマークカメラ60により、図8に示す左前隅の撮像エリアG2の基板側基準マークBmを、撮像する。照明光の露光時間は、7msである。すなわち、はんだ側基準モードと比較して、照明光の露光時間は短い。また、図5に示す照明光612の入射角θは、三段階(θ1>θ2>θ3)に設定されている。すなわち、三つの光源610が配置されている。第一の光源は、図5に示す光源610同様に、入射角θ1=90°の方向(落射方向)から、撮像エリアG1に照明光612を照射する。第二の光源は、例えば入射角θ2=60°の方向(側射方向)から、撮像エリアG1に照明光612を照射する。第三の光源は、例えば入射角θ3=45°の方向(側射方向)から、撮像エリアG1に照明光612を照射する。撮像時において、三つの光源は、全て点灯している。
【0091】
なお、はんだ側基準モードにおいて、落射方向からの照明光612だけを用い、側射方向からの照明光612を用いないのは、はんだ部Ebが梨地状で凹凸を有しており、側射方向からの照明光612に対する、垂直方向(図5に示すマークカメラ60方向)の反射率が高くなりやすいからである。すなわち、はんだ部Ebと非はんだ部との判別が困難になるからである。
【0092】
次に、はんだ側基準モードと同様に、図4に示す画像処理部62により、撮像された画像のゲイン値、オフセット値を調整する。そして、基板側基準マークBmと、それ以外の部分と、の輝度のコントラスト差を大きくする。
【0093】
続いて、はんだ側基準モードと同様に、図4に示す演算部701により、記憶部702に格納された、基準位置に対する基板側基準マークBmの位置に関するデータを参照して、実際の画像の基板側基準マークBmのずれ量を演算する。また、同様の手順により、演算部701は、図8に示す撮像エリアG3内の右後隅の基板側基準マークBmのずれ量も演算する。演算部701は、演算された二つのずれ量を基に、電子部品Pa2の装着位置の補正量を演算する。演算部701は、補正量を参照して、電子部品Pa2の装着位置を補正する。
【0094】
それから、はんだ側基準モードと同様に、図2に示す吸着ノズル320により、電子部品Pa2を、テープフィーダ4のテープ40から取り出し、補正された装着位置に装着する。すなわち、電子部品Pa2を、図8に示すランド部Da2に装着する。
【0095】
{基板搬出ステップ}
本ステップにおいては、基板Bfを、図2に示す電子部品実装機1aから搬出する。具体的には、まず、図4に示す制御装置7は、昇降モータ350fb、つまり図2に示す昇降部350fを用いて、基板Bfを、クランプ位置から搬送位置まで下降させる。続いて、図4に示す制御装置7は、搬送モータ303fb、つまり図2に示す搬送部303fを用いて、基板Bfを図1に示す電子部品実装機1bに払い出す。
【0096】
図1に示す電子部品実装機1b〜1dにおいても、上記基板搬入ステップ、装着ステップ、基板搬出ステップが、各々実行される。
【0097】
なお、図6に示すように、図1に示す電子部品実装機1b、1dに割り振られた電子部品Pb、Pdは、全て自重が軽い小型部品である。このため、電子部品実装機1b、1dは、はんだ側基準モードおよび基板側基準モードのうち、はんだ側基準モードだけを用いて、電子部品Pb、Pdを基板Bfに装着する。
【0098】
また、図6に示すように、図1に示す電子部品実装機1cに割り振られた電子部品Pcは、自重が重い大型部品である。このため、電子部品実装機1cは、はんだ側基準モードおよび基板側基準モードのうち、基板側基準モードだけを用いて、電子部品Pcを基板Bfに装着する。
【0099】
図15に、部品実装工程後の基板の模式上面図を示す。図16に、図15の円XVI内の拡大図を示す。図17に、図15の円XVII内の拡大図を示す。図15〜図17に示すように、自重が軽く小型の電子部品Pa1、Pb、Pdは、はんだ部Ea1、Eb、Edを基準に装着されている。自重が重く大型の電子部品Pa2、Pcは、ランド部Da2、Dcを基準に装着されている。このように、本工程においては、基板Bfに全ての電子部品Pa1、Pa2、Pb〜Pdを装着する。
【0100】
ところで、図16に示すように、はんだ側基準マークEm用のはんだ部Ebには、電子部品実装機1bにより、電子部品Pbが装着される。このため、電子部品実装機1a、1bと、電子部品実装機1bよりも下流側の電子部品実装機1dとで、部品実装工程の装着ステップのはんだ側基準モードにおいて、画像のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であるか否かを判別する際の判別基準を、切り替えている。
【0101】
図18に、図16の円XVI内の画像を示す。なお、図18は、図10に対応している。図18に示すように、基板Bfが電子部品実装機1cに到着した際、はんだ部Ebには、既に電子部品Pbが装着されている。このため、はんだ部Ebの一部が、電子部品Pbにより、上方から覆われている。なお、電子部品Pbは、本発明の「非はんだ部」の概念に含まれる。
【0102】
図19に、図18の円XIX内の拡大図を示す。なお、図19は、図12に対応している。電子部品実装機1a、1bの場合と同様に、図4に示す演算部701は8本のシークラインLbを引く。シークラインLbは、実測データのはんだ部Ebの左縁H2のみならず、前縁H3にも交差していない。その理由は、前縁H3が、電子部品Pbにより、上方から覆われているからである。このため、仮に、電子部品実装機1a、1bの場合と同様の判別基準(8本中、6本以上のシークラインLbについて、図13に「×」で示すような輝度パターンが確認できた場合、単一のはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致すると判別する。)を用いると、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致しないと判別されてしまう。すなわち、画像g4のはんだ部Ebが、はんだ側基準マークEm設定用のはんだ部でないと判別されてしまう。
【0103】
そこで、電子部品実装機1dの場合は、8本中、4本以上のシークラインLbについて、図13に「×」で示すような輝度パターンが確認できた場合、単一のはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致すると判別している。すなわち、判別基準を緩和している。このため、はんだ部Ebに既に電子部品Pbが装着されている場合であっても、画像のはんだ部Ebが、はんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であると判別することができる。すなわち、誤判別を抑制することができる。
【0104】
[リフロー工程]
本工程においては、図1に示すリフロー炉1fを用いて、所定の温度パターンで基板Bfを加熱、冷却する。図8に示すはんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edは、加熱により溶融し、冷却により固化する。
【0105】
図15、図6に示すように、溶融状態の際、はんだ部Ea1はランド部Da1に向かって、はんだ部Ea2はランド部Da2に向かって、はんだ部Ebはランド部Dbに向かって、はんだ部Ecはランド部Dcに向かって、はんだ部Edはランド部Ddに向かって、それぞれ流動する。このように、はんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edの流動により、ランド部Da1、Da2、Db〜Ddに対する、はんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edの印刷位置ずれを、補正することができる。
【0106】
また、はんだ部Ea1、Eb、Edが流動すると、自重が軽い小型の電子部品Pa1、Pb、Pdは移動する。このため、ランド部Da1、Db、Ddに対する、電子部品Pa1、Pb、Pdの位置ずれを補正することができる。
【0107】
また、はんだ部Ea2、Ecが流動しても、自重が重い大型の電子部品Pa2、Pcは移動しない。このため、ランド部Da2、Dcに対する、電子部品Pa2、Pcの位置ずれが発生しない。
【0108】
<作用効果>
次に、本実施形態の電子部品実装機の作用効果について説明する。本実施形態の電子部品実装機1aによると、図10に示すように、鏡面状の非はんだ部(基板Bfの上面および六つの配線パターンCb(六つのはんだ部Ebが印刷されている部分を除く。))は、反射率が高い。このため、非はんだ部は、画像g4において白く表示される。一方、梨地状のはんだ部Ebは、反射率が低い。このため、はんだ部Ebは、画像g4において黒く表示される。本実施形態の電子部品実装機1aの画像処理装置6は、当該反射率の違いに着目して、画像g4からはんだ部Ebを抽出している。
【0109】
本実施形態の電子部品実装機1aの画像処理装置6によると、撮像エリアG4の照明条件を変更しながら何回も画像g4を取得する必要がない。このため、画像g4から簡単にはんだ部Ebを抽出することができる。また、複数の照明条件が不要なため、照明部61延いては画像処理装置6の構造を簡単にすることができる。
【0110】
また、仮に、図12に示すように、はんだ部Ebの印刷状態が不良である場合であって、当該はんだ部Ebだけからはんだ側基準マークEmを設定する場合、図心Z1に対する図心Z2のずれ量ΔZが、そのままはんだ側基準マークEmの位置に反映されることになる。このため、はんだ側基準マークEmの位置がずれやすくなる。つまり、電子部品Pa1の装着位置がずれやすくなる。
【0111】
これに対して、本実施形態の電子部品実装機1aによると、図14に示すように、はんだ側基準モードにおいて、六個のはんだ部Ebから、はんだ側基準マークEmを設定している。このため、ずれ量ΔZが、はんだ側基準マークEmの位置に反映されにくくなる。したがって、はんだ側基準マークEmの位置がずれにくくなる。つまり、電子部品Pa1の装着位置がずれにくくなる。
【0112】
また、本実施形態の電子部品実装機1aによると、基板側基準モードと、はんだ側基準モードと、を切り替えて実行することができる。このため、図6に示すように、はんだ側基準モードにより、自重が軽い小型の電子部品Pa1を基板Bfに装着することができる。また、基板側基準モードにより、自重が重い大型の電子部品Pa2を基板Bfに装着することができる。したがって、電子部品Pa1、Pa2の自重の軽重に対応して、装着精度を向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態の電子部品実装機1aによると、図4に示す照明部61の照明光の光強度は、平滑な基板側基準マークBmを撮像する際の方が、梨地のはんだ部Ebを撮像する際よりも、小さく設定されている。また、照明部61の照明光の露光時間は、基板側基準マークBmを撮像する際の方が、はんだ側基準マークEmを設定するためにはんだ部Ebを撮像する際よりも、短く設定されている。基板側基準マークBmは、はんだ部Ebに対して、表面が平滑である。このため、反射率が高い。本実施形態の電子部品実装機1aによると、このような反射率の違いに対応して、基板側基準マークBmを撮像する場合であっても、はんだ部Ebを撮像する場合であっても、良好な画像を取得することができる。
【0114】
また、本実施形態の電子部品実装機1aによると、図16、図17に示すように、既設の制御装置7、画像処理装置6の設定(プログラムなど)を変更するだけで、はんだ部Ebを基準に電子部品Pbを、ランド部Dcを基準に電子部品Pcを、それぞれ装着することができる。すなわち、既設の電子部品実装機1aに特別な機器を追加することなく、電子部品装着時の基準を切り替えることができる。このため、汎用性が高い。
【0115】
<その他>
以上、本発明の電子部品実装機の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0116】
例えば、図1に示す生産ラインLf、Lrの構成、本数は、特に限定しない。すなわち、生産ラインLf、Lrに配置されるスクリーン印刷機1e、電子部品実装機1a〜1d、リフロー炉1fの数は特に限定しない。
【0117】
また、図1に示す各電子部品実装機1a〜1dの制御装置7は、基板側基準モードと、はんだ側基準モードと、に切替可能でなくてもよい。どちらか一方のモードだけを実行可能であってもよい。
【0118】
また、はんだ側基準マークEmの設定に用いるはんだ部Ebの数は特に限定しない。単一のはんだ部Ebを用いてもよい。また、七つ以上のはんだ部Ebを用いてもよい。また、はんだ側基準マークEmの設定数は特に限定しない。単一でも、三つ以上でもよい。また、図12に示すシークラインLbの本数、線長は特に限定しない。また、はんだ部Ebの形状に応じて、シークラインLbの形状を変更してもよい。例えば、はんだ部Ebが三角形状の場合は、三角形状のシークラインLbを用いてもよい。つまり、はんだ部Ebと相似形のシークラインLbを用いてもよい。
【0119】
また、図12に示すはんだ部Ebの外径線とシークラインLbとの交点の有無ではなく、交点の位置を基準に、画像g4のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部Ebであるか否かを判別してもよい。例えば、図13に示す「△」、「▽」のように、交点の位置が異なると、輝度パターンの曲線形状が異なる。当該相違を基に、画像g4のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部Ebであるか否かを判別してもよい。
【0120】
また、上記実施形態においては、画像のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であるか否かを判別する際の判別基準を、図12に示す単一のはんだ部Ebに対して設定した。しかしながら、図10に示す六つのはんだ部Eb全てに対して判別基準を設定してもよい。例えば、図12に示すように、六つのはんだ部Ebに8本ずつシークラインLbを引き、単一のはんだ部Ebに対して6本/8本という判別基準を設けずに、全てのはんだ部Ebに対して36本/48本という判別基準を設けてもよい。
【0121】
また、上記実施形態においては、図12、図19に示すように、画像のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であるか否かを判別する際の判別基準を、電子部品実装機1a、1b(電子部品Pb装着前)と電子部品実装機1d(電子部品Pb装着後)とで、切り替えた。しかしながら、判別基準を切り替えなくてもよい。例えば、電子部品実装機1a、1b(電子部品Pb装着前)と電子部品実装機1d(電子部品Pb装着後)とに、電子部品実装機1d用の判別基準(4本/8本)を共通して適用してもよい。
【0122】
判別基準を複数設定すると(切り替え可能にすると)、判別精度を向上させることができる。一方、判別基準を一つだけ設定すると、図4に示す制御装置7の設定(プログラムなど)が簡単になる。
【0123】
また、はんだ側基準マークEmの設定に用いるはんだ部Ebとして、基板側基準モードで電子部品が装着されるはんだ部を用いてもよい。例えば、図8に示す自重が重い大型の電子部品Pc用のはんだ部Ecを用いて、はんだ側基準マークEmを設定してもよい。大型の電子部品Pc(例えば、コネクタなど)用のはんだ部Ecは、密集して多数配置されている場合が多い。このため、大型の電子部品Pc用のはんだ部Ecを用いると、はんだ側基準マークEmの設定精度が向上する。また、図12、図19に示すように、画像のはんだ部Ebが、はんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であるか否かを判別する際の判別基準(6本/8本や4本/8本など)は、適宜変更してもよい。
【0124】
また、図14に示す図心Z4とはんだ側基準マークEmとのずれ量から、図4に示す制御装置7が電子部品Pa1の装着位置の補正量を演算する方法は特に限定しない。例えば、図8に示す二箇所の撮像エリアG4、G5の、図心と、はんだ側基準マークEmと、のずれ量の平均値を、電子部品Pa1の装着位置の補正量としてもよい。また、当該ずれ量の平均値に、図4に示す記憶部702に予め格納されている任意の補正係数を乗じた値を、補正量としてもよい。
【0125】
また、図4に示す画像処理部62と制御装置7とは、一体化されていてもよい。また、はんだ側基準マークEm設定用のはんだ部として、電子部品装着用以外の用途のはんだ部を用いてもよい。例えば、はんだ側基準マークEm設定専用のはんだ部を用いてもよい。また、画像処理装置6は、電子部品実装機1aだけでなく、図1に示すスクリーン印刷機1eのはんだの印刷状態を検査する、印刷状態検査機に組み込んで用いることもできる。特に、はんだ部の形状を検査する際に有効である。
【符号の説明】
【0126】
1a〜1d:電子部品実装機、1e:スクリーン印刷機、1f:リフロー炉、2:ベース、3:モジュール、4:テープフィーダ、5:デバイスパレット、6:画像処理装置、7:制御装置。
30:基板搬送装置、31:XYロボット、32:装着ヘッド、35:基板昇降装置、36:ハウジング、40:テープ、41:リール、42:リールホルダ、60:マークカメラ(撮像部)、61:照明部、62:画像処理部、70:コンピュータ。
303f:搬送部、303fb:搬送モータ、303r:搬送部、303rb:搬送モータ、304f:クランプ片、304r:クランプ片、310:Y方向スライダ、310a:Y軸モータ、311:X方向スライダ、311a:X軸モータ、312:Y方向ガイドレール、313:X方向ガイドレール、320:吸着ノズル、320a:Z軸モータ、320b:θ軸モータ、350f:昇降部、350fb:昇降モータ、350r:昇降部、610:光源、611:ハーフミラー、612:照明光、700:入出力インターフェイス、701:演算部、702:記憶部。
A1:輝度分布、A2:輝度分布、A3:輝度分布、A4:輝度分布、Bf:基板、Bm:基板側基準マーク、Br:基板、Ca1、Ca2、Cb〜Cd:配線パターン、Da1、Da2、Db〜Dd:ランド部、Ea1、Ea2、Eb〜Ed:はんだ部、Em:はんだ側基準マーク、F:フロア、G1〜G5:撮像エリア、H1:左縁、H2:左縁、H3:前縁、Lb:シークライン、Lf:生産ライン、Pa1、Pa2、Pb〜Pd:電子部品、Z1:図心、Z2:図心、Z4:図心、g4:画像、ΔZ:ずれ量、θ:入射角。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の、はんだ部を含む撮像エリアの画像を処理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の生産方法は、はんだ印刷工程と、部品実装工程と、リフロー工程と、を有している。図20に、基板の模式上面図を示す。図21に、図20の円XXI内の拡大図を示す。なお、図21においては、電子部品104の一部を透過して示す。
【0003】
図20に示すように、基板100には、一対の基板側基準マーク106が配置されている。図21に示すように、はんだ印刷工程においては、スクリーン印刷機により、基板100の配線パターン101のランド部102に、はんだ部103を形成する。すなわち、スクリーン印刷機のスクリーンマスク(図略)には、はんだ部103に対応して通孔が穿設されている。基板100の上面にスクリーンマスクの下面を密着させた状態で、スクリーンマスクの上方から通孔にはんだを押し込むことにより、基板100のランド部102にはんだを転写させる。部品実装工程においては、ランド部102(直接的にははんだ部103)に、電子部品104を装着する。リフロー工程においては、基板100を加熱、冷却することにより、はんだ部103を溶融、固化させ、電子部品104を基板100に接合する。
【0004】
図22に、はんだ印刷工程後の基板の一部の模式上面図を示す。図23に、部品実装工程後の基板の一部の模式上面図を示す。図24に、リフロー工程後の基板の一部の模式上面図を示す。これらの図において、図21と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0005】
はんだ印刷工程においては、基板100とスクリーンマスクとの水平方向位置がずれてしまう場合がある。この場合、図22に示すように、はんだ部103の印刷位置が、基板100のランド部102に対して、ずれてしまう。
【0006】
ところが、部品実装工程においては、はんだ部103の印刷位置ではなく、ランド部102の位置を基準に電子部品104の装着を行っている。すなわち、図20に示すように、基板100には基板側基準マーク106が配置されている。基板側基準マーク106とランド部102との相対的な位置関係は既知である。図23に示すように、部品実装工程において電子部品104を装着する場合、当該基板側基準マーク106を基準に、電子部品104の装着位置が決定される。このため、電子部品104の装着位置は、ランド部102の位置には対応している反面、はんだ部103の印刷位置には対応していない。
【0007】
リフロー工程において、はんだ部103のはんだを溶融させると、はんだ部103はランド部102の中央に向かって流動する。このため、図24に示すように、はんだ部103とランド部102との位置ずれを解消することができる。
【0008】
ここで、仮に、電子部品104の装着位置がはんだ部103の印刷位置に対応している場合は、はんだ部103の流動により、電子部品104の装着位置とランド部102との位置ずれを解消することができる。
【0009】
しかしながら、電子部品104の装着位置は、はんだ部103の印刷位置に対応していない。このため、はんだ部103が流動すると、溶融状態のはんだ部103の流動により、電子部品104がランド部102から遠ざかるように移動してしまう。また、部品立ちが発生してしまう。この傾向は、電子部品104の自重が軽いほど顕著である。
【0010】
このように、基板100つまりランド部102の位置を基準に電子部品104の装着を行うと、リフロー工程後に、電子部品104の位置がランド部102に対してずれてしまう。このため、はんだ部103の印刷位置を基準に電子部品104の装着位置を決定する方が好ましい。
【0011】
しかしながら、はんだ部103の印刷位置を基準に電子部品104の装着位置を決定するためには、基板100におけるはんだ部103の印刷位置を正確に把握する必要がある。具体的には、基板100上のはんだ部103を撮像装置により撮像し、取得された画像から、はんだ部103を正確に抽出する必要がある。
【0012】
この点について、特許文献1には、撮像エリアの照明条件を変更しながら基板に対するはんだの印刷状態を検査する検査方法が開示されている。すなわち、撮像エリアには、まず、第一の照明条件で照明光が照射される。そして、画像を基に、はんだの印刷状態が検査される。この際、印刷状態が不良であると判断されたはんだには、第二の照明条件で照明光が照射され、はんだの印刷状態が検査される。第二の照明条件でも印刷状態が不良であると判断されたはんだには、第三の照明条件で照明光が照射され、はんだの印刷状態が検査される。最後まで印刷状態が不良であると判断されたはんだを、印刷不良のはんだと判別する。このように、特許文献1には、撮像エリアの照明条件を変更しながら基板に対するはんだの印刷状態を検査する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−223006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
同文献には、検査方法を電子部品の装着に応用することについて示唆されていない。仮に、同文献記載の検査方法を電子部品実装機に応用すると、基板100を撮像した画像から、はんだ部103を抽出することができる。このため、図22に示すように、はんだ印刷工程後において、はんだ部103の印刷位置が、基板100のランド部102に対して、ずれている場合であっても、ずれ量を把握することができる。そして、ずれ量に応じて電子部品104の装着位置を補正することにより、電子部品104をはんだ部103に正確に装着することができる。こうすると、リフロー工程において溶融状態のはんだ部がランド部102に向かって流動するため、電子部品104と、はんだ部103と、ランド部102と、の間の位置ずれを抑制することができる。
【0015】
しかしながら、同文献の検査方法によると、工数が多く煩雑である。本発明の画像処理装置および電子部品実装機は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、画像から簡単にはんだ部を抽出可能な画像処理装置および電子部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)上記課題を解決するため、本発明の画像処理装置は、基板の撮像エリアに照明光を照射する照明部と、該照明光が照射された該撮像エリアを撮像する撮像部と、撮像により取得された画像を処理する画像処理部と、を備える画像処理装置であって、前記照明部は、前記撮像エリアに対して直交する方向から前記照明光を照射し、該撮像エリアは、前記基板に塗布されたはんだが露光するはんだ部と、該はんだが露光しない非はんだ部と、を有し、前記画像処理部は、該はんだ部と該非はんだ部との該照明光に対する反射率の違いを利用して、前記画像から該はんだ部を抽出することを特徴とする。
【0017】
はんだ部は、塗布(印刷を含む)により、基板に形成される。このため、非はんだ部(基板、配線パターンなど)の表面と比較して、はんだ部の表面には、細かい凹凸が形成されている場合が多い。一例として、非はんだ部の表面が鏡面状を呈しているのに対して、はんだ部の表面は梨地状を呈している。このため、はんだ部と非はんだ部とでは、照明光に対する反射率が異なる。本発明の画像処理装置は、当該反射率の違いに着目して、画像からはんだ部を抽出している。
【0018】
本発明の画像処理装置によると、特許文献1に記載の検査方法のように、撮像エリアの照明条件を変更しながら何回も画像を取得する必要がない。このため、画像から簡単にはんだ部を抽出することができる。また、複数の照明条件が不要なため、照明部延いては画像処理装置の構造を簡単にすることができる。
【0019】
(2)上記課題を解決するため、本発明の電子部品実装機は、上記(1)の構成の画像処理装置と、該画像処理装置に電気的に接続される制御装置と、を備え、基板に電子部品を装着する電子部品実装機であって、該制御装置は、前記画像から抽出された前記はんだ部を基にはんだ側基準マークを設定し、該はんだ側基準マークを基に前記電子部品の装着位置を決定することを特徴とする。
【0020】
本発明の電子部品実装機は、上記(1)の構成の画像処理装置により抽出されたはんだ部を基に、はんだ側基準マークを設定している。そして、当該はんだ側基準マークを基に、電子部品の装着位置を決定している。
【0021】
本発明の電子部品実装機によると、基板ではなく、基板に塗布されたはんだ部を基準に電子部品の装着位置を決定することができる。このため、電子部品と、はんだ部と、ランド部と、の間の位置ずれを抑制することができる。
【0022】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記撮像エリアは、複数の前記はんだ部を有し、前記制御装置は、前記画像から抽出された複数の該はんだ部を基に前記はんだ側基準マークを設定する構成とする方がよい。
【0023】
はんだ部の塗布状態が不良の場合(例えば、はんだ部に「かすれ」や「欠け」が発生している場合)、はんだ部の塗布状態が良好の場合と比較して、はんだ側基準マークの設定位置がずれてしまう。このため、塗布状態が不良のはんだ部だけを基にはんだ側基準マークを設定すると、電子部品の装着位置がずれやすくなる。
【0024】
この点、本構成によると、複数のはんだ部を基にはんだ側基準マークを設定している。このため、複数のはんだ部の中に塗布状態が不良のはんだ部が含まれる場合であっても、当該はんだ部に起因するはんだ側基準マークの設定位置のずれを、希釈することができる。したがって、電子部品の装着位置がずれにくくなる。
【0025】
(4)好ましくは、上記(2)または(3)の構成において、前記基板は、ランド部を有する配線パターンと、前記電子部品の前記装着位置を決定する基になる基板側基準マークと、を有し、前記はんだ部は、該ランド部に該電子部品を接続するために、該ランド部に塗布され、前記制御装置は、該基板側基準マークを基準に該電子部品を装着する基板側基準モード、および前記はんだ側基準マークを基準に該電子部品を装着するはんだ側基準モードのうち、少なくとも該はんだ側基準モードを実行可能である構成とする方がよい。
【0026】
例えば、自重が重い電子部品は、はんだ部が流動しても移動しにくい。このような電子部品は、はんだ部ではなく基板を基準に装着した方が装着精度が向上しやすい。これに対して、自重が軽い電子部品は、はんだ部が流動すると移動しやすい。このような電子部品は、基板ではなくはんだ部を基準に装着した方が装着精度が向上しやすい。このように、電子部品の中には、基板側基準マークを基準に装着した方が装着精度が高くなるものと、はんだ側基準マークを基準に装着した方が装着精度が高くなるものとがある。
【0027】
この点、本構成の電子部品実装機は、基板側基準モード、はんだ側基準モードのうち、少なくともはんだ側基準モードを実行可能である。このため、例えば自重が軽い電子部品の装着精度を向上させることができる。
【0028】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記制御装置は、前記基板側基準モードと前記はんだ側基準モードとを切り替えて実行可能である構成とする方がよい。本構成の電子部品実装機は、基板側基準モードと、はんだ側基準モードと、を切り替えて実行可能である。このため、例えば自重の軽重に対応して電子部品の装着精度を向上させることができる。
【0029】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記制御装置は、前記基板側基準モードにおいて前記電子部品が装着される前記はんだ部を基に設定される前記はんだ側基準マークを基準に、前記はんだ側基準モードにおいて該電子部品を装着する構成とする方がよい。
【0030】
はんだ側基準モードにおいては、はんだ側基準マークを基準に電子部品が装着される。はんだ側基準マークは、画像から抽出されたはんだ部を基に設定される。本構成によると、はんだ側基準マーク設定用のはんだ部として、はんだ側基準モードではなく、基板側基準モードで電子部品が装着されるはんだ部を用いることができる。このため、例えば、自重が重い大型の電子部品用の、密集して配置された複数のはんだ部を用いて、はんだ側基準マークを設定することができる。したがって、はんだ側基準マークの設定精度が向上する。
【0031】
(7)好ましくは、上記(5)または(6)の構成において、前記照明部は、前記基板側基準マークを撮像する際の方が、前記はんだ側基準マークを設定するために前記はんだ部を撮像する際よりも、前記照明光の光強度を小さく設定する構成とする方がよい。
【0032】
ここで、光強度とは、単位面積当たりの放射束または分光放射束をいう。
【0033】
基板側基準マークは、はんだ部に対して、表面が平滑である。このため、反射率が高い。本構成によると、基板側基準マークを撮像する際は照明光の光強度を小さく、はんだ部を撮像する際は照明光の光強度を大きく設定している。このため、反射率の違いに対応して、基板側基準マークを撮像する場合であっても、はんだ部を撮像する場合であっても、良好な画像を取得することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、画像から簡単にはんだ部を抽出可能な画像処理装置および電子部品実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の電子部品実装機の一実施形態である電子部品実装機が配置された生産ラインの模式上面図である。
【図2】同電子部品実装機の斜視図である。
【図3】同電子部品実装機の上面図である。
【図4】同電子部品実装機のブロック図である。
【図5】X方向スライダ、装着ヘッド、画像処理装置の斜視図である。
【図6】生産後の基板の模式上面図である。
【図7】はんだ印刷工程前の基板の模式上面図である。
【図8】同工程後の基板の模式上面図である。
【図9】図8の撮像エリアG4の拡大図である。
【図10】図9の撮像エリアG4の画像である。
【図11】(a)はゲイン値調整の概念図である。(b)はオフセット値調整の概念図である。
【図12】図10の円XII内の拡大図である。
【図13】シークラインの輝度パターンの模式図である。
【図14】画像の部分拡大図である。
【図15】部品実装工程後の基板の模式上面図である。
【図16】図15の円XVI内の拡大図である。
【図17】図15の円XVII内の拡大図である。
【図18】図16の円XVI内の画像である。
【図19】図18の円XIX内の拡大図である。
【図20】基板の模式上面図である。
【図21】図20の円XXI内の拡大図である。
【図22】はんだ印刷工程後の基板の一部の模式上面図である。
【図23】部品実装工程後の基板の一部の模式上面図である。
【図24】リフロー工程後の基板の一部の模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の電子部品実装機の実施の形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明の画像処理装置の実施の形態についての説明を兼ねるものである。
【0037】
<生産ラインの構成>
まず、本実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインの構成について簡単に説明する。図1に、本実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインの模式上面図を示す。図1に示すように、前後一対の生産ラインLf、Lrは、左右方向に延在している。左側は、基板の搬送方向上流側に相当する。右側は、基板の搬送方向下流側に相当する。生産ラインLf、Lrには、スクリーン印刷機1eと、四台の電子部品実装機1a〜1dと、リフロー炉1fと、が並べられている。スクリーン印刷機1eは、基板の配線パターンのランド部に、はんだを転写することにより、はんだ部を形成する。四台の電子部品実装機1a〜1dは、予め設定された分担に従って、基板のはんだ部に電子部品を装着する。リフロー炉1fは、電子部品が装着された基板を加熱、冷却することにより、はんだ部を溶融、固化させ、電子部品を基板に接合する。
【0038】
<電子部品実装機の機械的構成>
次に、本実施形態の電子部品実装機の機械的構成について説明する。図2に、本実施形態の電子部品実装機の斜視図を示す。図3に、同電子部品実装機の上面図を示す。図4に、同電子部品実装機のブロック図を示す。
【0039】
図2においては、モジュール3のハウジング36を透過して示す。図3においては、ハウジング36を省略して示す。図2〜図4に示すように、電子部品実装機1aは、ベース2と、モジュール3と、多数のテープフィーダ4と、デバイスパレット5と、画像処理装置6と、制御装置7と、を備えている。
【0040】
[ベース2、モジュール3]
ベース2は、直方体箱状を呈している。ベース2は、工場のフロアFに配置されている。モジュール3は、ベース2の上面に着脱可能に配置されている。モジュール3は、基板搬送装置30と、XYロボット31と、装着ヘッド32と、基板昇降装置35と、ハウジング36と、を備えている。
【0041】
ハウジング36は、モジュール3の外殻を形成している。基板搬送装置30は、前後一対の搬送部303f、303rと、前後一対のクランプ片304fと、前後一対のクランプ片304rと、を備えている。前後一対の搬送部303f、303rは、各々、前後一対のベルトを備えている。前後二対のベルトには、各々、基板Bf、Brが架設されている。前後二対のベルトは、各々、図4に示す搬送モータ303fb、303rbにより、回転可能である。基板Bf、Brの上面の左前隅と右後隅とには、円形であって銅箔製の基板側基準マークBmが配置されている。基板Bfは搬送部303fにより、基板Brは搬送部303rにより、各々独立して、左側から右側に向かって搬送される。前後一対のクランプ片304fは、搬送部303fの上方に配置されている。前後一対のクランプ片304rは、搬送部303rの上方に配置されている。
【0042】
基板昇降装置35は、前後一対の昇降部350f、350rを備えている。前後一対の昇降部350f、350rは、各々、図4に示す昇降モータ350fb、350rbおよびボールねじ部(図略)により、各々、上下方向に移動可能である。前方の昇降部350fは、搬送部303fの下方に配置されている。後方の昇降部350rは、搬送部303rの下方に配置されている。基板Bf、Brの位置は、昇降部350f、350rにより、搬送位置と、クランプ位置と、に切り替えられる。搬送位置において、基板Bf、Brは、搬送部303f、303rに載置されている。クランプ位置において、基板Bf、Brの下面は、昇降部350fにより下方から支持されている。また、クランプ位置において、基板Bf、Brの上面の前後両縁は、前後一対のクランプ片304f、304rにより上方から押圧されている。すなわち、基板Bfは、クランプ位置において、上下方向から挟持、固定されている。
【0043】
デバイスパレット5は、モジュール3の前部開口に装着されている。多数のテープフィーダ4は、各々、デバイスパレット5に着脱可能に装着されている。テープフィーダ4は、テープ40とリール41とリールホルダ42とを備えている。テープ40には、長手方向に沿って、複数の電子部品が収容されている。テープ40は、リール41に巻装されている。リール41は、リールホルダ42に収容されている。
【0044】
X方向は左右方向に、Y方向は前後方向に、Z方向は上下方向に、各々、対応している。XYロボット31は、Y方向スライダ310と、X方向スライダ311と、左右一対のY方向ガイドレール312と、上下一対のX方向ガイドレール313と、を備えている。
【0045】
左右一対のY方向ガイドレール312は、ハウジング36の上壁下面に配置されている。Y方向スライダ310は、左右一対のY方向ガイドレール312に取り付けられている。Y方向スライダ310は、図4に示すY軸モータ310aにより、前後方向に移動可能である。上下一対のX方向ガイドレール313は、Y方向スライダ310の前面に配置されている。X方向スライダ311は、上下一対のX方向ガイドレール313に取り付けられている。X方向スライダ311は、図4に示すX軸モータ311aにより、左右方向に移動可能である。
【0046】
図5に、X方向スライダ、装着ヘッド、画像処理装置の斜視図を示す。図5に示すように、装着ヘッド32は、X方向スライダ311に取り付けられている。このため、装着ヘッド32は、XYロボット31により、前後左右方向に移動可能である。装着ヘッド32の下方には、吸着ノズル320が交換可能に取り付けられている。吸着ノズル320は、図4に示すZ軸モータ320aにより、装着ヘッド32に対して、下方に移動可能である。また、吸着ノズル320は、図4に示すθ軸モータ320bにより、装着ヘッド32に対して、水平面内における回転方向に移動可能である。
【0047】
画像処理装置6は、マークカメラ60と、照明部61と、画像処理部62と、を備えている。マークカメラ60は、本発明の「撮像部」の概念に含まれる。マークカメラ60および照明部61は、装着ヘッド32と共に、X方向スライダ311に取り付けられている。このため、マークカメラ60および照明部61は、XYロボット31により、前後左右方向に移動可能である。
【0048】
照明部61は、光源610と、ハーフミラー611と、光学系(図略)と、を備えている。光源610は、LED(Light−Emitting Diode)である。図5に点線で示すように、光源610の照明光612は、レンズなどを有する光学系により、平行光に変換される。照明光612は、前方に進行し、ハーフミラー611で90°方向転換し、下方に反射される。このため、基板Bf(基板Brも同様)の上面の撮像エリアG1は、照明光612により、真上方向(撮像エリアG1に対して直交する方向)から照らされる。撮像エリアG1に対する、照明光612の入射角θは90°である。
【0049】
マークカメラ60は、CCD(Charge−Coupled Device)エリアセンサである。マークカメラ60は、多数の受光素子が二次元的に配置された撮像面を有している。マークカメラ60は、真上方向(照明光612の入射方向)から、撮像エリアG1を撮像する。
【0050】
<電子部品実装機の電気的構成>
次に、本実施形態の電子部品実装機の電気的構成について説明する。図4に示すように、制御装置7は、コンピュータ70と複数の駆動回路とを備えている。コンピュータ70は、入出力インターフェイス700と、演算部701と、記憶部702と、を備えている。
【0051】
入出力インターフェイス700は、駆動回路を介して、基板搬送装置30の搬送モータ303fb、303rb、基板昇降装置35の昇降モータ350fb、350rb、XYロボット31のX軸モータ311a、Y軸モータ310a、装着ヘッド32のZ軸モータ320a、θ軸モータ320b、画像処理装置6の照明部61およびマークカメラ60に、各々接続されている。また、入出力インターフェイス700は、画像処理装置6の画像処理部62に接続されている。
【0052】
記憶部702には、電子部品実装機1aの機上の基準位置(原点)に関するデータが格納されている。また、基板Bf、Brが理想的なクランプ位置で保持されている場合の、基準位置に対する基板側基準マークBmの位置に関するデータが格納されている。また、基板側基準マークBmの形状に関するデータが格納されている。また、基板Bf、Brが理想的なクランプ位置で保持されている場合の、基準位置に対する配線パターン、ランド部の位置に関するデータが格納されている。また、配線パターン、ランド部の形状に関するデータが格納されている。また、基板Bf、Brが理想的なクランプ位置で保持されている場合であって、はんだ部の印刷状態が良好な場合の、基準位置に対するはんだ部の位置に関するデータが格納されている。また、はんだ部の形状に関するデータが格納されている。また、電子部品の装着位置(詳しくは電子部品のパッド部の位置)は、ランド部の位置に設定されている。
【0053】
<基板の生産方法>
次に、図1に示す生産ラインLf、Lrを代表して、生産ラインLfを用いた基板Bfの生産方法について説明する。図6に、生産後の基板の模式上面図を示す。図6に示すように、基板Bfの上面には、電子部品実装機1aにより電子部品Pa1、Pa2が、電子部品実装機1bにより電子部品Pbが、電子部品実装機1cにより電子部品Pcが、電子部品実装機1dにより電子部品Pdが、それぞれ装着されている。
【0054】
基板Bfの生産方法は、はんだ印刷工程と、部品実装工程と、リフロー工程と、を有している。
【0055】
[はんだ印刷工程]
本工程においては、図1に示すスクリーン印刷機1eを用いて、基板Bfにはんだを印刷する。図7に、はんだ印刷工程前の基板の模式上面図を示す。図8に、同工程後の基板の模式上面図を示す。図7に示すように、基板Bfの上面には、多数の配線パターンCa1、Ca2、Cb〜Cdと、一対の基板側基準マークBmと、が配置されている。配線パターンCa1、Ca2、Cb〜Cd、基板側基準マークBmは、銅箔製である。基板Bf、配線パターンCa1、Ca2、Cb〜Cd、基板側基準マークBmの表面は、いずれも平滑である。配線パターンCa1、Ca2、Cb〜Cdには、ランド部Da1、Da2、Db〜Ddが形成されている。
【0056】
本工程においては、図1に示すスクリーン印刷機1eにより、ランド部Da1、Da2、Db〜Ddに、クリームはんだを転写する。図8に示すように、本工程後のランド部Da1、Da2、Db〜Ddには、はんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edが形成される。図1に示すスクリーン印刷機1eのスクリーンマスク(図略)と基板Bfとがずれている場合、図8に示すように、ランド部Da1、Da2、Db〜Ddの位置に対して、はんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edの印刷位置が、全体的にずれてしまう。
【0057】
[部品実装工程]
本工程においては、図1に示す電子部品実装機1a〜1dを用いて、基板Bfに、図6に示す全ての電子部品Pa1、Pa2、Pb〜Pdを、段階的に装着する。電子部品実装機1a〜1dにおいては、各々、基板搬入ステップと、装着ステップと、基板搬出ステップと、が実行される。
【0058】
以下、電子部品実装機1a〜1dを代表して、電子部品実装機1aについて、各ステップの内容を説明する。
【0059】
{基板搬入ステップ}
本ステップにおいては、基板Bfを、図2に示す電子部品実装機1aに搬入し、所定のクランプ位置に固定する。具体的には、まず、図4に示す制御装置7は、搬送モータ303fb、つまり図2に示す搬送部303fを用いて、基板Bfを昇降部350fの真上の搬送位置まで搬送する。次に、図4に示す制御装置7は、昇降モータ350fb、つまり図2に示す昇降部350fを用いて、基板Bfを、搬送位置からクランプ位置まで上昇させる。そして、基板Bfを、昇降部350fと、前後一対のクランプ片304fと、により、上下方向から挟持、固定する。
【0060】
{装着ステップ}
本ステップにおいては、基板Bfに、電子部品実装機1aに割り振られた電子部品Pa1、Pa2(図6参照)を装着する。具体的には、電子部品Pa1、Pa2の装着位置を決定し、当該装着位置に電子部品Pa1、Pa2を装着する。
【0061】
電子部品Pa1、Pa2の装着位置の決定方法は、部品種に応じて切替可能である。すなわち、図4に示す制御装置7は、装着対象となる電子部品Pa1、Pa2の部品種に応じて、はんだ側基準モードと、基板側基準モードと、に切替可能である。
【0062】
(はんだ側基準モード)
はんだ側基準モードは、自重が軽い小型の電子部品Pa1に対して実行される。すなわち、後述するリフロー工程においては、溶融状態のはんだ部Ea1が、ランド部Da1に向かって流動する。この際、自重が軽い電子部品Pa1も、はんだ部Ea1の流動により、はんだ部Ea1と共に移動する。このため、はんだ部Ea1を基準に電子部品Pa1を装着しておけば、電子部品Pa1のパッド部(図略)を、ランド部Da1まで移動させることができる。このような理由から、本モードにおいては、はんだ部Ea1(具体的には図8に示すはんだ側基準マークEm)を基準に電子部品Pa1の装着位置を決定し、当該装着位置に電子部品Pa1を装着する。
【0063】
まず、はんだ側基準マークEmを設定する基準になるはんだ部Ebを、基板Bfの上面から探す。なお、はんだ部Ebは、電子部品実装機1b(電子部品実装機1aではない)に割り振られた電子部品の装着用である。
【0064】
具体的には、図4に示す制御装置7は、まず、X軸モータ311aおよびY軸モータ310aを用いて、XYロボット31を水平方向に駆動する。そして、図8に示す左後隅の六つのはんだ部Ebが撮像エリアG4に含まれるように、マークカメラ60および照明部61を配置する。次に、図4に示す制御装置7は、照明部61を駆動することにより、撮像エリアG4に照明光を照射する(図5参照)。
【0065】
図9に、図8の撮像エリアG4の拡大図を示す。図9に示すように、撮像エリアG4には、基板Bfの上面と、六つのはんだ部Ebと、六つの配線パターンCb(六つのランド部Dbを含む。)と、が配置されている。撮像エリアG4における、基板Bfの上面および六つの配線パターンCb(六つのはんだ部Ebが印刷されている部分、つまり上方に露出していない部分を除く。)は、本発明の「非はんだ部」の概念に含まれる。
【0066】
続いて、制御装置7は、マークカメラ60を駆動することにより、撮像エリアG4を撮像する。照明光の露光時間は、100msである。
【0067】
図10に、図9の撮像エリアG4の画像を示す。基板Bfの上面、六つの配線パターンCb(六つのランド部Dbを含む。)は、いずれも鏡面状を呈している。このため、照明光に対する反射率が高い。したがって、これらの部分は、画像g4において白く表示される。一方、六つのはんだ部Ebは、いずれも梨地状を呈している。このため、照明光に対する反射率が低い。したがって、これらの部分は、画像g4において黒く表示される。このように、画像g4においては、反射率の違いにより、非はんだ部が白く、はんだ部Ebが黒く、表示される。
【0068】
撮像された画像g4は、図4に示す画像処理部62に取り込まれる。画像処理部62は、取り込まれた画像g4のゲイン値、オフセット値を調整することにより、非はんだ部と、はんだ部Ebと、の輝度のコントラスト差を大きくする。
【0069】
図11(a)に、ゲイン値調整の概念図を示す。図11(b)に、オフセット値調整の概念図を示す。図11(a)に示すように、ゲイン値の倍率を1超過にすると、調整前の輝度分布A1に対して、輝度分布A2を広げることができる。また、ゲイン値の倍率を1未満にすると、調整前の輝度分布A1に対して、輝度分布A3を狭めることができる。このように、ゲイン値を調整すると、輝度のコントラスト差を大きくすることができる。
【0070】
図11(b)に示すように、オフセット値を調整すると、調整前の輝度分布A1に対する調整後の輝度分布A4のように、輝度分布の幅はそのままで、位置を移動させることができる。このように、オフセット値を調整すると、輝度を加算調整することができる。
【0071】
輝度調整された画像g4は、図4に示す制御装置7に伝送される。まず、制御装置7は、図10に示す画像g4の六つのはんだ部Ebが、図8に示すはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部Ebであるか否かを判別する。
【0072】
すなわち、制御装置7の記憶部702には、前述したように、基板Bfが理想的なクランプ位置で保持されている場合であって、はんだ部Ebの印刷状態が良好な場合の、基準位置に対するはんだ部Ebの位置に関するデータが格納されている。また、はんだ部Ebの形状に関するデータが格納されている。以下、これらの位置、形状に関するデータを、適宜、「設定データ」と称する。
【0073】
演算部701は、当該設定データと、画像g4の六つのはんだ部Ebの形状、位置に関するデータ(以下、適宜、「実測データ」と称す。)と、を基に、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致するか否かを判別する。
【0074】
具体的には、判別はシークラインを用いて行われる。後述するように、判別基準以上のシークラインに、実測データのはんだ部Ebとの交点が確認できれば、当該交点の位置を基に、はんだ部Ebの図心(重心)を演算する。
【0075】
図12に、図10の円XII内の拡大図を示す。図12に示すように、はんだ部Ebには、「欠け」が発生している。また、はんだ部Ebは、設定データのはんだ部Ebよりも、一回り大きい。このため、設定データのはんだ部Ebの外形線(一点鎖線で示す。)と、実測データのはんだ部Ebの外形線(実線で示す。)と、は一致していない。まず、図4に示す演算部701は、設定データのはんだ部Ebの外形線に対して、合計8本のシークラインLbを引く。8本のシークラインLbは、各々、設定データのはんだ部Ebの外形線に対して、シークラインLbの中央において直交している。すなわち、設定データのはんだ部Ebの外形線と8本のシークラインLbとは、8個の交点Kを有している。
【0076】
図13に、シークラインの輝度パターンの模式図を示す。なお、図13に示すシークラインLbは、図12に示す設定データのはんだ部Ebの左縁H1に交差するシークラインLbである。図12に示すように、はんだ部Ebには、「欠け」が発生している。このため、シークラインLbは、実測データのはんだ部Ebの左縁H2には交差していない。したがって、図13に「○」で示すように、シークラインLbの左右全長に亘って、輝度は明るいままである。
【0077】
仮に、シークラインLbと、実測データのはんだ部Ebの左縁H2と、に交点がある場合、非はんだ部とはんだ部Ebとの輝度のコントラスト差により、図13に「×」で示すように、シークラインLbの左から右に向かって、輝度が暗くなる。
【0078】
このように、図4に示す演算部701は、8本のシークラインLbの輝度パターンから、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致するか否かを判別する。
【0079】
図4に示す演算部701は、まず、図12に示す設定データのはんだ部Ebの外形線とシークラインLbとの交点Kと、実測データのはんだ部Ebの外形線とシークラインLbとの交点Mと、のずれ量の総和が最小になるように、言い換えると設定データのはんだ部Ebの外形線と実測データのはんだ部Ebの外形線とが最も近接するように、設定データのはんだ部Ebと実測データのはんだ部Ebとの位置合わせを行う。次に、演算部701は、図12に示す8本中、6本以上のシークラインLbについて、図13に「×」で示すような輝度パターンが確認できた場合、言い換えると6個以上の交点Mが確認できた場合、単一のはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致すると判別する。
【0080】
図4に示す演算部701は、図10に示す画像g4の全てのはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致するか否かを判別する。全てのはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致する場合、図4に示す演算部701は、図10に示す画像g4の六つのはんだ部Ebが、図8に示すはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であると判別する。
【0081】
次に、図4に示す制御装置7は、図10に示す画像g4の六つのはんだ部Ebの各々の図心、および設定データのはんだ部Ebの図心を演算する。すなわち、図12に示す交点K、Mの位置を基に、はんだ部Ebの図心を演算する。なお、実測データのはんだ部Ebの図心演算用の交点Mと、設定データのはんだ部Ebの図心演算用の交点Kと、は対応している。例えば、図12に示すように、実測データのはんだ部Ebの図心を、前右後縁の6個の交点Mを基に演算する場合、設定データのはんだ部Ebの図心も、前右後縁の6個の交点Kを基に演算する。
【0082】
図12に示すように、はんだ部Ebに「かすれ」や「欠け」が発生していない場合、つまりはんだ部Ebの印刷状態が良好の場合、はんだ部Ebの図心Z1は、設定データ(ただし、基準位置に対するはんだ部Ebの位置は考慮しない。)のはんだ部Ebの図心に、一致することになる。
【0083】
一方、はんだ部Ebに「かすれ」や「欠け」が発生している場合、つまりはんだ部Ebの印刷状態が不良の場合、はんだ部Ebの図心Z2は、設定データ(ただし、基準位置に対するはんだ部Ebの位置は考慮しない。)のはんだ部Ebの図心からずれることになる。
【0084】
続いて、図4に示す制御装置7は、演算された六つの図心Z1、Z2から、はんだ側基準マークEmを設定する。図14に、画像の部分拡大図を示す。なお、図14は、図10に対応している。図14に示すように、六つのはんだ部Ebには、各々、図心Z1あるいは図心Z2が設定されている。演算部701は、図心Z1、Z2を繋いで形成される四角形の図心を演算し、演算により得られた図心を、はんだ側基準マークEmとする。
【0085】
続いて、制御装置7は、図心Z4(設定データ(ただし、基準位置に対するはんだ部Ebの位置を考慮する。)の六つのはんだ部Ebの図心を繋いで形成される四角形の図心)と、はんだ側基準マークEmと、のずれ量を演算する。
【0086】
設定データと実測データとの間で基準位置に対するはんだ部Ebの位置がずれていない場合(クランプ位置(基板Bfの停止位置)がずれていない場合であって、基板Bfに対するはんだ部Ebの印刷位置がずれていない場合)であって、はんだ部Ebの印刷状態が良好である場合、図心Z4とはんだ側基準マークEmとは一致する。一方、設定データと実測データとの間で基準位置に対するはんだ部Ebの位置がずれている場合や、はんだ部Ebの印刷状態が不良である場合、図心Z4とはんだ側基準マークEmとは一致しない。
【0087】
図4に示す演算部701は、図心Z4と、はんだ側基準マークEmと、のずれ量を演算する。また、同様の手順により、演算部701は、図8に示す撮像エリアG5内の右前隅のはんだ側基準マークEmのずれ量も演算する。演算部701は、演算された二つのずれ量を基に、電子部品Pa1の装着位置の補正量を演算する。演算部701は、補正量を参照して、電子部品Pa1の装着位置を補正する。
【0088】
本モードにおいては、次に、図4に示す制御装置7は、図2に示すXYロボット31、吸着ノズル320を適宜駆動することにより、電子部品Pa1を、テープフィーダ4のテープ40から取り出し、補正された装着位置に装着する。すなわち、電子部品Pa1を、図8に示すはんだ部Ea1に装着する。
【0089】
(基板側基準モード)
基板側基準モードは、自重が重い大型の電子部品Pa2(図6参照)に対して実行される。すなわち、後述するリフロー工程においては、溶融状態のはんだ部Ea2(図8参照)が、ランド部Da2に向かって流動する。この際、自重が重い電子部品Pa2は、はんだ部Ea2と共に移動しない。このため、電子部品Pa2は、基板Bfつまりランド部Da2を基準に装着する必要がある。このような理由から、本モードにおいては、ランド部Da2(具体的には図8に示す基板側基準マークBm)を基準に電子部品Pa2の装着位置を決定し、当該装着位置に電子部品Pa2を装着する。
【0090】
まず、はんだ側基準モードと同様に、図4に示すマークカメラ60により、図8に示す左前隅の撮像エリアG2の基板側基準マークBmを、撮像する。照明光の露光時間は、7msである。すなわち、はんだ側基準モードと比較して、照明光の露光時間は短い。また、図5に示す照明光612の入射角θは、三段階(θ1>θ2>θ3)に設定されている。すなわち、三つの光源610が配置されている。第一の光源は、図5に示す光源610同様に、入射角θ1=90°の方向(落射方向)から、撮像エリアG1に照明光612を照射する。第二の光源は、例えば入射角θ2=60°の方向(側射方向)から、撮像エリアG1に照明光612を照射する。第三の光源は、例えば入射角θ3=45°の方向(側射方向)から、撮像エリアG1に照明光612を照射する。撮像時において、三つの光源は、全て点灯している。
【0091】
なお、はんだ側基準モードにおいて、落射方向からの照明光612だけを用い、側射方向からの照明光612を用いないのは、はんだ部Ebが梨地状で凹凸を有しており、側射方向からの照明光612に対する、垂直方向(図5に示すマークカメラ60方向)の反射率が高くなりやすいからである。すなわち、はんだ部Ebと非はんだ部との判別が困難になるからである。
【0092】
次に、はんだ側基準モードと同様に、図4に示す画像処理部62により、撮像された画像のゲイン値、オフセット値を調整する。そして、基板側基準マークBmと、それ以外の部分と、の輝度のコントラスト差を大きくする。
【0093】
続いて、はんだ側基準モードと同様に、図4に示す演算部701により、記憶部702に格納された、基準位置に対する基板側基準マークBmの位置に関するデータを参照して、実際の画像の基板側基準マークBmのずれ量を演算する。また、同様の手順により、演算部701は、図8に示す撮像エリアG3内の右後隅の基板側基準マークBmのずれ量も演算する。演算部701は、演算された二つのずれ量を基に、電子部品Pa2の装着位置の補正量を演算する。演算部701は、補正量を参照して、電子部品Pa2の装着位置を補正する。
【0094】
それから、はんだ側基準モードと同様に、図2に示す吸着ノズル320により、電子部品Pa2を、テープフィーダ4のテープ40から取り出し、補正された装着位置に装着する。すなわち、電子部品Pa2を、図8に示すランド部Da2に装着する。
【0095】
{基板搬出ステップ}
本ステップにおいては、基板Bfを、図2に示す電子部品実装機1aから搬出する。具体的には、まず、図4に示す制御装置7は、昇降モータ350fb、つまり図2に示す昇降部350fを用いて、基板Bfを、クランプ位置から搬送位置まで下降させる。続いて、図4に示す制御装置7は、搬送モータ303fb、つまり図2に示す搬送部303fを用いて、基板Bfを図1に示す電子部品実装機1bに払い出す。
【0096】
図1に示す電子部品実装機1b〜1dにおいても、上記基板搬入ステップ、装着ステップ、基板搬出ステップが、各々実行される。
【0097】
なお、図6に示すように、図1に示す電子部品実装機1b、1dに割り振られた電子部品Pb、Pdは、全て自重が軽い小型部品である。このため、電子部品実装機1b、1dは、はんだ側基準モードおよび基板側基準モードのうち、はんだ側基準モードだけを用いて、電子部品Pb、Pdを基板Bfに装着する。
【0098】
また、図6に示すように、図1に示す電子部品実装機1cに割り振られた電子部品Pcは、自重が重い大型部品である。このため、電子部品実装機1cは、はんだ側基準モードおよび基板側基準モードのうち、基板側基準モードだけを用いて、電子部品Pcを基板Bfに装着する。
【0099】
図15に、部品実装工程後の基板の模式上面図を示す。図16に、図15の円XVI内の拡大図を示す。図17に、図15の円XVII内の拡大図を示す。図15〜図17に示すように、自重が軽く小型の電子部品Pa1、Pb、Pdは、はんだ部Ea1、Eb、Edを基準に装着されている。自重が重く大型の電子部品Pa2、Pcは、ランド部Da2、Dcを基準に装着されている。このように、本工程においては、基板Bfに全ての電子部品Pa1、Pa2、Pb〜Pdを装着する。
【0100】
ところで、図16に示すように、はんだ側基準マークEm用のはんだ部Ebには、電子部品実装機1bにより、電子部品Pbが装着される。このため、電子部品実装機1a、1bと、電子部品実装機1bよりも下流側の電子部品実装機1dとで、部品実装工程の装着ステップのはんだ側基準モードにおいて、画像のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であるか否かを判別する際の判別基準を、切り替えている。
【0101】
図18に、図16の円XVI内の画像を示す。なお、図18は、図10に対応している。図18に示すように、基板Bfが電子部品実装機1cに到着した際、はんだ部Ebには、既に電子部品Pbが装着されている。このため、はんだ部Ebの一部が、電子部品Pbにより、上方から覆われている。なお、電子部品Pbは、本発明の「非はんだ部」の概念に含まれる。
【0102】
図19に、図18の円XIX内の拡大図を示す。なお、図19は、図12に対応している。電子部品実装機1a、1bの場合と同様に、図4に示す演算部701は8本のシークラインLbを引く。シークラインLbは、実測データのはんだ部Ebの左縁H2のみならず、前縁H3にも交差していない。その理由は、前縁H3が、電子部品Pbにより、上方から覆われているからである。このため、仮に、電子部品実装機1a、1bの場合と同様の判別基準(8本中、6本以上のシークラインLbについて、図13に「×」で示すような輝度パターンが確認できた場合、単一のはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致すると判別する。)を用いると、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致しないと判別されてしまう。すなわち、画像g4のはんだ部Ebが、はんだ側基準マークEm設定用のはんだ部でないと判別されてしまう。
【0103】
そこで、電子部品実装機1dの場合は、8本中、4本以上のシークラインLbについて、図13に「×」で示すような輝度パターンが確認できた場合、単一のはんだ部Ebに対して、設定データのはんだ部Ebの形状と、実測データのはんだ部Ebの形状と、が一致すると判別している。すなわち、判別基準を緩和している。このため、はんだ部Ebに既に電子部品Pbが装着されている場合であっても、画像のはんだ部Ebが、はんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であると判別することができる。すなわち、誤判別を抑制することができる。
【0104】
[リフロー工程]
本工程においては、図1に示すリフロー炉1fを用いて、所定の温度パターンで基板Bfを加熱、冷却する。図8に示すはんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edは、加熱により溶融し、冷却により固化する。
【0105】
図15、図6に示すように、溶融状態の際、はんだ部Ea1はランド部Da1に向かって、はんだ部Ea2はランド部Da2に向かって、はんだ部Ebはランド部Dbに向かって、はんだ部Ecはランド部Dcに向かって、はんだ部Edはランド部Ddに向かって、それぞれ流動する。このように、はんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edの流動により、ランド部Da1、Da2、Db〜Ddに対する、はんだ部Ea1、Ea2、Eb〜Edの印刷位置ずれを、補正することができる。
【0106】
また、はんだ部Ea1、Eb、Edが流動すると、自重が軽い小型の電子部品Pa1、Pb、Pdは移動する。このため、ランド部Da1、Db、Ddに対する、電子部品Pa1、Pb、Pdの位置ずれを補正することができる。
【0107】
また、はんだ部Ea2、Ecが流動しても、自重が重い大型の電子部品Pa2、Pcは移動しない。このため、ランド部Da2、Dcに対する、電子部品Pa2、Pcの位置ずれが発生しない。
【0108】
<作用効果>
次に、本実施形態の電子部品実装機の作用効果について説明する。本実施形態の電子部品実装機1aによると、図10に示すように、鏡面状の非はんだ部(基板Bfの上面および六つの配線パターンCb(六つのはんだ部Ebが印刷されている部分を除く。))は、反射率が高い。このため、非はんだ部は、画像g4において白く表示される。一方、梨地状のはんだ部Ebは、反射率が低い。このため、はんだ部Ebは、画像g4において黒く表示される。本実施形態の電子部品実装機1aの画像処理装置6は、当該反射率の違いに着目して、画像g4からはんだ部Ebを抽出している。
【0109】
本実施形態の電子部品実装機1aの画像処理装置6によると、撮像エリアG4の照明条件を変更しながら何回も画像g4を取得する必要がない。このため、画像g4から簡単にはんだ部Ebを抽出することができる。また、複数の照明条件が不要なため、照明部61延いては画像処理装置6の構造を簡単にすることができる。
【0110】
また、仮に、図12に示すように、はんだ部Ebの印刷状態が不良である場合であって、当該はんだ部Ebだけからはんだ側基準マークEmを設定する場合、図心Z1に対する図心Z2のずれ量ΔZが、そのままはんだ側基準マークEmの位置に反映されることになる。このため、はんだ側基準マークEmの位置がずれやすくなる。つまり、電子部品Pa1の装着位置がずれやすくなる。
【0111】
これに対して、本実施形態の電子部品実装機1aによると、図14に示すように、はんだ側基準モードにおいて、六個のはんだ部Ebから、はんだ側基準マークEmを設定している。このため、ずれ量ΔZが、はんだ側基準マークEmの位置に反映されにくくなる。したがって、はんだ側基準マークEmの位置がずれにくくなる。つまり、電子部品Pa1の装着位置がずれにくくなる。
【0112】
また、本実施形態の電子部品実装機1aによると、基板側基準モードと、はんだ側基準モードと、を切り替えて実行することができる。このため、図6に示すように、はんだ側基準モードにより、自重が軽い小型の電子部品Pa1を基板Bfに装着することができる。また、基板側基準モードにより、自重が重い大型の電子部品Pa2を基板Bfに装着することができる。したがって、電子部品Pa1、Pa2の自重の軽重に対応して、装着精度を向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態の電子部品実装機1aによると、図4に示す照明部61の照明光の光強度は、平滑な基板側基準マークBmを撮像する際の方が、梨地のはんだ部Ebを撮像する際よりも、小さく設定されている。また、照明部61の照明光の露光時間は、基板側基準マークBmを撮像する際の方が、はんだ側基準マークEmを設定するためにはんだ部Ebを撮像する際よりも、短く設定されている。基板側基準マークBmは、はんだ部Ebに対して、表面が平滑である。このため、反射率が高い。本実施形態の電子部品実装機1aによると、このような反射率の違いに対応して、基板側基準マークBmを撮像する場合であっても、はんだ部Ebを撮像する場合であっても、良好な画像を取得することができる。
【0114】
また、本実施形態の電子部品実装機1aによると、図16、図17に示すように、既設の制御装置7、画像処理装置6の設定(プログラムなど)を変更するだけで、はんだ部Ebを基準に電子部品Pbを、ランド部Dcを基準に電子部品Pcを、それぞれ装着することができる。すなわち、既設の電子部品実装機1aに特別な機器を追加することなく、電子部品装着時の基準を切り替えることができる。このため、汎用性が高い。
【0115】
<その他>
以上、本発明の電子部品実装機の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0116】
例えば、図1に示す生産ラインLf、Lrの構成、本数は、特に限定しない。すなわち、生産ラインLf、Lrに配置されるスクリーン印刷機1e、電子部品実装機1a〜1d、リフロー炉1fの数は特に限定しない。
【0117】
また、図1に示す各電子部品実装機1a〜1dの制御装置7は、基板側基準モードと、はんだ側基準モードと、に切替可能でなくてもよい。どちらか一方のモードだけを実行可能であってもよい。
【0118】
また、はんだ側基準マークEmの設定に用いるはんだ部Ebの数は特に限定しない。単一のはんだ部Ebを用いてもよい。また、七つ以上のはんだ部Ebを用いてもよい。また、はんだ側基準マークEmの設定数は特に限定しない。単一でも、三つ以上でもよい。また、図12に示すシークラインLbの本数、線長は特に限定しない。また、はんだ部Ebの形状に応じて、シークラインLbの形状を変更してもよい。例えば、はんだ部Ebが三角形状の場合は、三角形状のシークラインLbを用いてもよい。つまり、はんだ部Ebと相似形のシークラインLbを用いてもよい。
【0119】
また、図12に示すはんだ部Ebの外径線とシークラインLbとの交点の有無ではなく、交点の位置を基準に、画像g4のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部Ebであるか否かを判別してもよい。例えば、図13に示す「△」、「▽」のように、交点の位置が異なると、輝度パターンの曲線形状が異なる。当該相違を基に、画像g4のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部Ebであるか否かを判別してもよい。
【0120】
また、上記実施形態においては、画像のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であるか否かを判別する際の判別基準を、図12に示す単一のはんだ部Ebに対して設定した。しかしながら、図10に示す六つのはんだ部Eb全てに対して判別基準を設定してもよい。例えば、図12に示すように、六つのはんだ部Ebに8本ずつシークラインLbを引き、単一のはんだ部Ebに対して6本/8本という判別基準を設けずに、全てのはんだ部Ebに対して36本/48本という判別基準を設けてもよい。
【0121】
また、上記実施形態においては、図12、図19に示すように、画像のはんだ部Ebがはんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であるか否かを判別する際の判別基準を、電子部品実装機1a、1b(電子部品Pb装着前)と電子部品実装機1d(電子部品Pb装着後)とで、切り替えた。しかしながら、判別基準を切り替えなくてもよい。例えば、電子部品実装機1a、1b(電子部品Pb装着前)と電子部品実装機1d(電子部品Pb装着後)とに、電子部品実装機1d用の判別基準(4本/8本)を共通して適用してもよい。
【0122】
判別基準を複数設定すると(切り替え可能にすると)、判別精度を向上させることができる。一方、判別基準を一つだけ設定すると、図4に示す制御装置7の設定(プログラムなど)が簡単になる。
【0123】
また、はんだ側基準マークEmの設定に用いるはんだ部Ebとして、基板側基準モードで電子部品が装着されるはんだ部を用いてもよい。例えば、図8に示す自重が重い大型の電子部品Pc用のはんだ部Ecを用いて、はんだ側基準マークEmを設定してもよい。大型の電子部品Pc(例えば、コネクタなど)用のはんだ部Ecは、密集して多数配置されている場合が多い。このため、大型の電子部品Pc用のはんだ部Ecを用いると、はんだ側基準マークEmの設定精度が向上する。また、図12、図19に示すように、画像のはんだ部Ebが、はんだ側基準マークEm設定用のはんだ部であるか否かを判別する際の判別基準(6本/8本や4本/8本など)は、適宜変更してもよい。
【0124】
また、図14に示す図心Z4とはんだ側基準マークEmとのずれ量から、図4に示す制御装置7が電子部品Pa1の装着位置の補正量を演算する方法は特に限定しない。例えば、図8に示す二箇所の撮像エリアG4、G5の、図心と、はんだ側基準マークEmと、のずれ量の平均値を、電子部品Pa1の装着位置の補正量としてもよい。また、当該ずれ量の平均値に、図4に示す記憶部702に予め格納されている任意の補正係数を乗じた値を、補正量としてもよい。
【0125】
また、図4に示す画像処理部62と制御装置7とは、一体化されていてもよい。また、はんだ側基準マークEm設定用のはんだ部として、電子部品装着用以外の用途のはんだ部を用いてもよい。例えば、はんだ側基準マークEm設定専用のはんだ部を用いてもよい。また、画像処理装置6は、電子部品実装機1aだけでなく、図1に示すスクリーン印刷機1eのはんだの印刷状態を検査する、印刷状態検査機に組み込んで用いることもできる。特に、はんだ部の形状を検査する際に有効である。
【符号の説明】
【0126】
1a〜1d:電子部品実装機、1e:スクリーン印刷機、1f:リフロー炉、2:ベース、3:モジュール、4:テープフィーダ、5:デバイスパレット、6:画像処理装置、7:制御装置。
30:基板搬送装置、31:XYロボット、32:装着ヘッド、35:基板昇降装置、36:ハウジング、40:テープ、41:リール、42:リールホルダ、60:マークカメラ(撮像部)、61:照明部、62:画像処理部、70:コンピュータ。
303f:搬送部、303fb:搬送モータ、303r:搬送部、303rb:搬送モータ、304f:クランプ片、304r:クランプ片、310:Y方向スライダ、310a:Y軸モータ、311:X方向スライダ、311a:X軸モータ、312:Y方向ガイドレール、313:X方向ガイドレール、320:吸着ノズル、320a:Z軸モータ、320b:θ軸モータ、350f:昇降部、350fb:昇降モータ、350r:昇降部、610:光源、611:ハーフミラー、612:照明光、700:入出力インターフェイス、701:演算部、702:記憶部。
A1:輝度分布、A2:輝度分布、A3:輝度分布、A4:輝度分布、Bf:基板、Bm:基板側基準マーク、Br:基板、Ca1、Ca2、Cb〜Cd:配線パターン、Da1、Da2、Db〜Dd:ランド部、Ea1、Ea2、Eb〜Ed:はんだ部、Em:はんだ側基準マーク、F:フロア、G1〜G5:撮像エリア、H1:左縁、H2:左縁、H3:前縁、Lb:シークライン、Lf:生産ライン、Pa1、Pa2、Pb〜Pd:電子部品、Z1:図心、Z2:図心、Z4:図心、g4:画像、ΔZ:ずれ量、θ:入射角。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の撮像エリアに照明光を照射する照明部と、
該照明光が照射された該撮像エリアを撮像する撮像部と、
撮像により取得された画像を処理する画像処理部と、
を備える画像処理装置であって、
前記照明部は、前記撮像エリアに対して直交する方向から前記照明光を照射し、
該撮像エリアは、前記基板に塗布されたはんだが露光するはんだ部と、該はんだが露光しない非はんだ部と、を有し、
前記画像処理部は、該はんだ部と該非はんだ部との該照明光に対する反射率の違いを利用して、前記画像から該はんだ部を抽出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置と、該画像処理装置に電気的に接続される制御装置と、を備え、基板に電子部品を装着する電子部品実装機であって、
該制御装置は、前記画像から抽出された前記はんだ部を基にはんだ側基準マークを設定し、該はんだ側基準マークを基に前記電子部品の装着位置を決定する電子部品実装機。
【請求項3】
前記撮像エリアは、複数の前記はんだ部を有し、
前記制御装置は、前記画像から抽出された複数の該はんだ部を基に前記はんだ側基準マークを設定する請求項2に記載の電子部品実装機。
【請求項4】
前記基板は、ランド部を有する配線パターンと、前記電子部品の前記装着位置を決定する基になる基板側基準マークと、を有し、
前記はんだ部は、該ランド部に該電子部品を接続するために、該ランド部に塗布され、
前記制御装置は、該基板側基準マークを基準に該電子部品を装着する基板側基準モード、および前記はんだ側基準マークを基準に該電子部品を装着するはんだ側基準モードのうち、少なくとも該はんだ側基準モードを実行可能である請求項2または請求項3に記載の電子部品実装機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記基板側基準モードと前記はんだ側基準モードとを切り替えて実行可能である請求項4に記載の電子部品実装機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記基板側基準モードにおいて前記電子部品が装着される前記はんだ部を基に設定される前記はんだ側基準マークを基準に、前記はんだ側基準モードにおいて該電子部品を装着する請求項5に記載の電子部品実装機。
【請求項7】
前記照明部は、前記基板側基準マークを撮像する際の方が、前記はんだ側基準マークを設定するために前記はんだ部を撮像する際よりも、前記照明光の光強度を小さく設定する請求項5または請求項6に記載の電子部品実装機。
【請求項1】
基板の撮像エリアに照明光を照射する照明部と、
該照明光が照射された該撮像エリアを撮像する撮像部と、
撮像により取得された画像を処理する画像処理部と、
を備える画像処理装置であって、
前記照明部は、前記撮像エリアに対して直交する方向から前記照明光を照射し、
該撮像エリアは、前記基板に塗布されたはんだが露光するはんだ部と、該はんだが露光しない非はんだ部と、を有し、
前記画像処理部は、該はんだ部と該非はんだ部との該照明光に対する反射率の違いを利用して、前記画像から該はんだ部を抽出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置と、該画像処理装置に電気的に接続される制御装置と、を備え、基板に電子部品を装着する電子部品実装機であって、
該制御装置は、前記画像から抽出された前記はんだ部を基にはんだ側基準マークを設定し、該はんだ側基準マークを基に前記電子部品の装着位置を決定する電子部品実装機。
【請求項3】
前記撮像エリアは、複数の前記はんだ部を有し、
前記制御装置は、前記画像から抽出された複数の該はんだ部を基に前記はんだ側基準マークを設定する請求項2に記載の電子部品実装機。
【請求項4】
前記基板は、ランド部を有する配線パターンと、前記電子部品の前記装着位置を決定する基になる基板側基準マークと、を有し、
前記はんだ部は、該ランド部に該電子部品を接続するために、該ランド部に塗布され、
前記制御装置は、該基板側基準マークを基準に該電子部品を装着する基板側基準モード、および前記はんだ側基準マークを基準に該電子部品を装着するはんだ側基準モードのうち、少なくとも該はんだ側基準モードを実行可能である請求項2または請求項3に記載の電子部品実装機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記基板側基準モードと前記はんだ側基準モードとを切り替えて実行可能である請求項4に記載の電子部品実装機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記基板側基準モードにおいて前記電子部品が装着される前記はんだ部を基に設定される前記はんだ側基準マークを基準に、前記はんだ側基準モードにおいて該電子部品を装着する請求項5に記載の電子部品実装機。
【請求項7】
前記照明部は、前記基板側基準マークを撮像する際の方が、前記はんだ側基準マークを設定するために前記はんだ部を撮像する際よりも、前記照明光の光強度を小さく設定する請求項5または請求項6に記載の電子部品実装機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−243276(P2012−243276A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116182(P2011−116182)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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