説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】文書に背景画像が合成されなかった場合においても、文書になされた改ざんを検知することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理プログラム4は、スキャナ部等を介して原本画像及び照合画像を受け付けると、原本画像及び照合画像を低解像度に縮小して、位置合わせ処理を行う。さらに、画像処理プログラム4は、原本画像及び照合画像のいずれかの解像度を低解像度から高解像度に変換し、各解像度において相関値を算出して位置合わせを行う。その後、画像処理プログラム4は、原本画像等に二値化・細線化処理を施し、原本画像を複数の部分領域に分割し、当該部分領域に対応する領域を含む照合画像の部分領域との複数の相関値を算出する。画像処理プログラム4は、相関値に基づいて改ざん候補ブロックを特定し、特定された領域に対して再帰的に改ざん検知処理を行って改ざん位置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書画像の改ざんを検知する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文書は、自治体や企業により日々多数作成されている。このような文書が改ざんされているか否かを特定する技術として、改ざん検知技術がある。一般に、文書の改ざん検知処理の前処理として、改ざんの有無を特定する対象である照合画像と原本画像との位置合わせ処理がなされる。
【0003】
特許文献1では、二つの文書照合時に、文書の背景画像に基づいて文書画像の位置を合わせる装置が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示された装置は、文書に背景画像を合成する必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−228271
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、文書に背景画像が合成されなかった場合においても、文書になされた改ざんを検知することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、原本画像及び照合画像の複数の解像度における相関に基づいて、当該原本画像と照合画像との位置を合わせる位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段により位置を合わされた原本画像と照合画像とに基づいて、照合画像における改ざん位置を検知する検知手段とを有する。
【0007】
好適には、前記位置合わせ手段は、原本画像及び照合画像のいずれかの解像度を低解像度から高解像度に変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段により変換された解像度のそれぞれにおいて原本画像と照合画像との相関を検出する相関検出手段と、前記相関検出手段により検出された複数の解像度における相関に基づいて、原本画像及び照合画像を変換する画像変換手段とを有する。
【0008】
好適には、前記検知手段は、原本画像及び照合画像のいずれか一方の画像を複数の部分領域に分割する分割手段と、前記分割手段により分割された部分領域と、当該部分領域に対応する領域を含む他方の画像の部分領域との複数の相関値を算出する相関値算出手段と、前記相関値算出手段により算出された複数の相関値に基づいて改ざん位置を判定する判定手段とを有する。
【0009】
好適には、前記判定手段は、前記分割手段により分割された複数の部分領域のそれぞれが、前記相関値算出手段により算出された複数の相関値に基づいて配置された位置に基づいて、改ざん位置を判定する。
【0010】
また、好適には、前記判定手段は、前記分割手段により分割された複数の部分領域のそれぞれにおいて前記相関値算出手段により算出された複数の相関値から算出された算出値に基づいて改ざん位置を判定する。
【0011】
さらに、好適には、前記分割手段は、前記判定手段により判定された改ざん位置に対応する部分領域を複数の部分領域にさらに分割する。
【0012】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを含む画像処理装置において、原本画像及び照合画像の複数の解像度における相関に基づいて、当該原本画像と照合画像との位置を合わせる位置合わせステップと、前記位置を合わされた原本画像と照合画像とに基づいて、照合画像における改ざん位置を検知する検知ステップとを前記画像処理装置のコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像処理装置によれば、文書に背景画像が合成されなかった場合においても、文書になされた改ざんを検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置2のハードウェア構成を、制御装置20を中心に示す図である。
図1に示すように、画像処理装置2は、CPU202及びメモリ204などを含む制御装置20、通信装置22、HDD、CDあるいはDVD装置などの記録装置24、LCD表示装置あるいはCRT表示装置及びキーボード・ポインティングデバイスなどを含むユーザインターフェース装置(UI装置)26、及び制御装置20の制御により文書を印刷する印刷部12並びに印刷された文書を読み込むスキャナ部14を含むプリンタ装置10を有する。
【0015】
画像処理装置2は、例えば、後述する画像処理プログラム4がインストールされた汎用コンピュータである。画像処理装置2は、印刷対象の文書データに対して所定の画像処理を施してプリンタ装置10の印刷部12を介して印刷する。また、画像処理装置2は、プリンタ装置10のスキャナ部14より光学的に読み取られた文書の画像データ(照合画像)を取得し、又は図示しないネットワークを介して通信装置22より画像データを取得し、原本画像及び取得された照合画像に基づいて、文書になされた改ざんを検知する。
【0016】
図2は、制御装置20により実行され、本発明の実施形態に係る画像処理装置2の改ざん位置検知方法を実現する画像処理プログラム4の機能構成を示す図である。
図2に示すように、画像処理プログラム4は、画像受付部40、位置合わせ部42、改ざん位置検知部44及び結果出力部46を有する。なお、画像処理プログラム4の全部又は一部の機能は、プリンタ装置10に設けられた例えばASICなどのハードウェアにより実現されてもよい。
【0017】
画像処理プログラム4において、画像受付部40は、通信装置22又はスキャナ部14を介して原本画像データ及び照合画像データを受け付ける。なお、原本画像データは、予め記録装置24に保存されていてもよい。ここで、原本画像は、図示しないソフトウェア等により作成された電子文書であってもよいし、手書き文書がスキャナ部14(又は、図示しない外部のスキャナ)により読み取られたものであってもよい。照合画像は、改ざん検知対象の紙文書がスキャナ部14により読み取られたものである。この紙文書は、電子文書に基づいて印刷された原本画像、又は手書きの原本画像に対して、改ざんがなされた可能性のあるものである。
【0018】
位置合わせ部42は、画像受付部40から入力された原本画像及び照合画像の複数の解像度における相関に基づいて、当該原本画像と照合画像との位置を合わせる。具体的には、位置合わせ部42は、原本画像及び照合画像のいずれかの解像度を低解像度から高解像度に変換し、変換された解像度のそれぞれにおいて原本画像と照合画像との相関を検出する。さらに、位置合わせ部42は、当該複数の解像度における相関に基づいて、原本画像及び照合画像を所定の解像度に変換する。なお、位置合わせ部42によりなされる位置合わせ処理については、後で詳述する。
【0019】
改ざん位置検知部44は、位置合わせ部42により位置を合わされた原本画像と照合画像とに基づいて、照合画像における改ざん位置を検知する。具体的には、改ざん位置検知部44は、原本画像及び照合画像のいずれか一方の画像(例えば、原本画像)を複数の部分領域に分割し、分割された部分領域と、当該部分領域に対応する領域を含む他方の画像(例えば、照合画像)の部分領域との複数の相関値を算出する。さらに、改ざん位置検知部44は、算出された複数の相関値に基づいて改ざん位置を判定する。なお、改ざん位置検知部44によりなされる改ざん位置検知処理については、後で詳述する。
【0020】
結果出力部46は、改ざん位置検知部44により検知された改ざん検知結果を、UI装置26のディスプレイに表示する。結果出力部46は、検知結果を印刷部12を介して印刷して出力してもよいし、記録装置24に保存してもよい。
このようにして、画像処理プログラム4は、原本画像及び照合画像の複数の解像度における相関に基づいて、当該原本画像と照合画像との位置を合わせ、前記位置を合わされた原本画像と照合画像とに基づいて、照合画像における改ざん位置を検知する。
【0021】
図3は、画像処理プログラム4の位置合わせ部42の詳細な機能構成を示す図である。
図3に示すように、位置合わせ部42は、低解像度位置調整部420、相関検出部422、解像度変換部424、解像度判定部426及び画像変換部428を有する。
位置合わせ部42において、低解像度位置調整部420は、入力された原本画像及び照合画像を縮小する。縮小後の原本画像は、入力された原本画像等より低解像度の画像である。なお、縮小率は、予め決められている。
【0022】
低解像度位置調整部420は、縮小後の原本画像と照合画像とに基づいて位置合わせを行う。より具体的には、低解像度位置調整部420は、原本画像と照合画像とが合わされたそれぞれの位置において相関値を算出し、正規化相関係数が最大となる位置を検出する。
【0023】
相関検出部422は、低解像度位置調整部420により位置を合わされた低解像度の原本画像及び照合画像を受け付け、原本画像と照合画像との相関を検出して解像度判定部426に対して出力する。また、相関検出部422は、後述する解像度変換部424により変換された解像度の原本画像と照合画像とを受け付け、変換された解像度のそれぞれにおいて原本画像と照合画像との相関を検出して解像度判定部426に対して出力する。ここで、相関検出部422は、入力された原本画像と照合画像との相関値を算出して解像度判定部426に対して出力する。
【0024】
解像度変換部424は、低解像度位置調整部420により低解像度に変換された原本画像及び照合画像のいずれかの解像度を低解像度から高解像度に、順次、変換し、解像度変換された画像のそれぞれを相関検出部422に対して出力する。例えば、解像度変換部424は、原本画像の解像度を低解像度から高解像度に変換する。
【0025】
解像度判定部426は、相関検出部422から入力された複数の解像度における相関値に基づいて正規化相関係数を算出する。解像度判定部426は、算出された複数の正規化相関係数のうち、正規化相関係数が最大となる解像度を判定する。解像度判定部426は、正規化相関係数を最大とする解像度における原本画像と照合画像との解像度比を求める。
【0026】
画像変換部428は、相関検出部422により検出された複数の解像度における相関に基づいて解像度判定部426により求められた解像度比を受け付けて、この解像度比に基づいて、低解像度位置調整部420により位置を合わされた原本画像及び照合画像を変換する。より具体的には、画像変換部428は、原本画像及び照合画像のいずれかが所定の解像度になるように高解像度化し、受け付けた解像度比を維持するように他方の画像の解像度を変換する。画像変換部428は、このようにして変換された後の原本画像及び照合画像を、改ざん位置検知部44に対して出力する。例えば、出力される原本画像は、5000画素×7000画素程度の画像である。
【0027】
図4は、画像処理プログラム4の位置合わせ部42によりなされる位置合わせ処理(S10)のフローチャートを示す図である。
図4に示すように、ステップ100(S100)において、画像処理プログラム4の低解像度位置調整部420は、原本画像及び照合画像を受け付けると、これらの画像を、より低解像度の画像に縮小する。低解像度位置調整部420は、縮小後の原本画像と照合画像とに基づいて相関値を算出する。低解像度位置調整部420は、いずれか一方の画像の位置を変更して複数の相関値を算出し、正規化相関係数を最大とする位置を検出する。
【0028】
ステップ102(S102)において、相関検出部422は、入力された解像度における原本画像と照合画像との相関値を算出して、解像度判定部426に対して出力する。
ステップ104(S104)において、解像度変換部424は、原本画像及び照合画像のいずれか一方の画像の解像度を、より高解像度に変換し、変換後の画像を相関検出部422に対して出力する。
【0029】
ステップ106(S106)において、解像度変換部424は、変換後の解像度が所定の解像度を超えたか否かを判定する。画像処理プログラム4は、変換後の解像度が所定の解像度を超えた場合にはS108の処理に進み、そうでない場合にはS102の処理に戻る。
【0030】
ステップ108(S108)において、解像度判定部426は、入力された複数の解像度における相関値に基づいて、正規化相関係数を最大とする解像度を求め、当該解像度における原本画像と照合画像との解像度比を画像変換部428に対して出力する。
ステップ110(S110)において、画像変換部428は、解像度判定部426から入力された解像度比を維持した上で、低解像度位置調整部420により位置を合わされた原本画像及び照合画像を、所定の解像度まで高解像度化する。
【0031】
図5は、画像処理プログラム4の改ざん位置検知部44の詳細な機能構成を示す図である。
図5に示すように、改ざん位置検知部44は、二値化・細線化部440、ブロック分割部442、相関値算出部444及びブロック判定部446を有する。
改ざん位置検知部44において、二値化・細線化部440は、位置合わせ部42から入力された原本画像及び照合画像に対して、二値化処理及び細線化処理を施す。二値化・細線化部440は、二値化処理を施された原本画像等に含まれる実線(例えば、黒画素が連続する領域)の幅を、例えば1ドットに変換する。二値化・細線化部440は、二値化処理及び細線化処理が施された原本画像及び照合画像を、ブロック分割部442に対して出力する。
【0032】
ブロック分割部442は、原本画像及び照合画像のいずれか一方の画像を複数の部分領域(以降、ブロックともいう)に分割する。ブロック分割部442は、例えば原本画像を、所定の大きさの複数のブロックに分割する。また、ブロック分割部442は、原本画像のそれぞれのブロックに対応する領域を含む他方の画像(例えば、照合画像)の部分領域(ブロック)を抽出する。即ち、照合画像から抽出されたブロックは、原本画像を分割して得られたブロックより大きいものであり、原本画像の対応する領域を含むものである。ブロック分割部442は、原本画像を分割して得られた各ブロックと、当該ブロックのそれぞれに対応する照合画像のブロックとを、相関値算出部444に対して出力する。なお、原本画像を分割して得られるブロックと、このブロックに対応する照合画像のブロックとの関係については、後で詳述する。
【0033】
相関値算出部444は、ブロック分割部442により分割された原本画像のブロックと、このブロックに対応する領域を含む照合画像のブロックとの複数の相関値を算出する。相関値算出部444は、原本画像のブロックの照合画像のブロックに対する位置を移動させながら、それぞれの位置において両ブロックの相関値を算出する。ブロックは、二値化処理を施された後であるので、相関値算出部444は、例えば排他的論理和演算(EX−OR)を行うことにより、相関値を算出する。相関値算出部444は、原本画像のブロック毎に、算出した複数の相関値をブロック判定部446に対して出力する。なお、原本画像のブロックの移動方法については、後で詳述する。
【0034】
ブロック判定部446は、原本画像のブロック毎に、算出された複数の相関値の最大値、分散及び平均値の少なくともいずれかを算出し、原本画像のブロック毎に求められた当該算出値に基づいて改ざん位置を判定する。具体的には、ブロック判定部446は、原本画像のブロックのそれぞれについて相関値算出部444により算出された複数の相関値のうち、最大の相関値に対応する位置を求める。ブロック判定部446は、原本画像のブロックのそれぞれを、求められた位置に配置する。ここで、改ざんされていないブロックは、略格子状に配置されるが、改ざんを含みうるブロック(以降、改ざん候補ブロックともいう)は、この格子から外れて配置される。ブロック判定部446は、格子から外れて配置されたブロックを改ざん候補ブロックと判定し、改ざん候補ブロックの位置に基づいて改ざん位置を判定する。なお、改ざん位置の判定方法については、後で詳述する。
【0035】
なお、ブロック判定部446は、相関値の最大値が他のブロックにおける相関値の最大値よりも低いブロック、相関値の分散が他のブロックにおける相関値の分散よりも低いブロック、及び相関値の平均値が他のブロックにおける相関値の平均値よりも低いブロックの少なくともいずれかのブロックを改ざん候補ブロックとして判定してもよい。
【0036】
ブロック判定部446は、改ざん候補ブロックを、ブロック分割部442に対して出力する。この場合、ブロック分割部442は、改ざん候補ブロックを、より小さな複数の部分領域にさらに分割して、相関値算出部444に対して出力する。したがって、ブロック分割処理、相関値算出処理及びブロック判定処理は、改ざん候補ブロックについて、再帰的に実行される。よって、改ざん候補ブロックの大きさは、次第に小さくなる。
このようにして、改ざん位置検知部44は、照合画像における改ざん位置を検知する。
【0037】
図6は、原本画像を分割して得られたブロックと、このブロックに対応する照合画像のブロックについて説明する図であって、図6(A)及び図6(B)はそれぞれ、二値化・細線化処理を施された後の原本画像及び照合画像を例示し、図6(C)及び図6(D)はそれぞれ、原本画像のブロック及び当該ブロックに対応する照合画像のブロックを例示する。
図6(A)及び図6(C)に例示するように、原本画像のブロックは、原本画像がブロック分割部442により分割された所定の大きさの部分領域である。
【0038】
図6(B)及び図6(D)に例示するように、照合画像のブロックは、照合画像において原本画像のブロックに対応する領域を含む部分領域であり、原本画像のブロックより大きいものである。ブロック分割部442は、このような原本画像並びに照合画像のブロックの組を、相関値算出部444に対して出力する。
【0039】
図7は、相関値算出部444による相関値算出処理における原本画像のブロックの移動方法について説明する図である。
図7に示すように、相関値算出部444は、照合画像ブロック52に対する原本画像ブロック50の位置を、例えば図中のX方向及びY方向に移動させ、それぞれの位置において相関値を算出する。この場合、相関値算出部444は、X方向においてはX1からX2までの範囲で、Y方向においてはY1からY2までの範囲で、原本画像ブロック50を例えば1画素ずつ移動させる。このようにして、それぞれの位置において、原本画像ブロック50と照合画像ブロック52との相関値が求められる。
【0040】
図8は、ブロック判定部446による改ざん位置の判定処理について説明する図である。
図8に例示するように、原本画像ブロック50−1〜50−nは、原本画像ブロック50−1〜50−nのそれぞれと、対応する照合画像ブロックとの相関値を最大とする位置に配置されると、略格子状に配置される。ここで、図中の矢印Aにより示される原本画像ブロックは、この格子から外れて配置されている。ブロック判定部446は、このようなブロックを改ざん候補ブロックとする。さらに、ブロック分割部442は、原本画像において矢印Aにより示されるブロックを、より小さな部分領域に分割して、当該部分領域のそれぞれについて同様にして相関値を求める。このように、改ざん位置検知部44は、改ざん候補ブロックを再帰的に求めることにより、改ざん位置を特定する。
【0041】
図9は、画像処理プログラム4の改ざん位置検知部44によりなされる改ざん位置検知処理(S20)のフローチャートを示す図である。
図9に示すように、ステップ200(S200)において、画像処理プログラム4の二値化・細線化部440は、位置を合わされた原本画像及び照合画像を入力すると、原本画像及び照合画像に対して二値化処理及び細線化処理を施す。
【0042】
ステップ202(S202)において、ブロック分割部442は、二値化処理及び細線化処理を施された原本画像を複数のブロックに分割する。また、ブロック分割部442は、原本画像のブロックのそれぞれに対応する照合画像のブロックを抽出する。ブロック分割部442は、原本画像ブロックと照合画像ブロックとを相関値算出部444に対して出力する。
【0043】
ステップ204(S204)において、相関値算出部444は、それぞれの原本画像ブロックと照合画像ブロックとの組において、原本画像ブロックの位置を移動させながらそれぞれの位置での相関値を算出する。
【0044】
ステップ206(S206)において、ブロック判定部446、相関値算出部444により算出された相関値に基づいて、原本画像ブロックのそれぞれを、相関値を最大とする位置に配置する。
ステップ208(S208)において、ブロック判定部446は、略格子状に配置された複数の原本画像ブロックのうち、この格子から外れた原本画像ブロックを改ざん候補ブロックと判定し、改ざん候補ブロックに対応する位置を改ざん位置と判定する。
【0045】
ステップ210(S210)において、ブロック判定部446は、所定の条件が満たされるか否かを判定する。画像処理プログラム4は、所定の条件が満たされる場合には処理を終了し、そうでない場合にはS212の処理に進む。例えば、ブロック判定部446は、ブロックの大きさが所定の大きさより小さいか否かを判定する。この場合、改ざん位置は、予め決められた大きさの領域まで限定されて特定されている。
【0046】
ステップ212(S212)において、ブロック判定部446は、改ざん位置検知の対象領域を改ざん候補ブロックの領域に限定し、改ざん候補ブロックをブロック分割部442に対して出力する。ここで、ブロックサイズは、より小さな値に縮小される。その後、画像処理プログラム4は、S202の処理に戻る。
【0047】
図10は、本発明の実施形態に係る画像処理装置2の改ざん位置検知方法を実現する画像処理プログラム4の全体動作(S30)のフローチャートを示す図である。
図10に示すように、ステップ300(S300)において、画像処理プログラム4の画像受付部40は、スキャナ部14等を介して原本画像データ及び照合画像データを受け付ける。
【0048】
位置合わせ部42は、画像受付部40から原本画像及び照合画像を受け付けると、位置合わせ処理(図4;S10)を行う。位置合わせ処理が実行された後、改ざん位置検知部44は、改ざん位置検知処理(図9;S20)を行う。
改ざん位置検知処理が終了すると、ステップ302(S302)において、結果出力部46は、改ざん位置検知部44による検知結果をUI装置26のディスプレイ等に出力する。
【0049】
以上説明したように、画像処理装置2は、原本画像及び照合画像の複数の解像度における相関に基づいて、当該原本画像と照合画像との位置を合わせる位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段により位置を合わされた原本画像と照合画像とに基づいて、照合画像における改ざん位置を検知する検知手段とを有する。これにより、画像処理装置2は、文書に背景画像が合成されなかった場合においても、原本画像と照合画像との位置合わせを行うことができるので、文書になされた改ざんを検知することができる。
【0050】
また、画像処理装置2は、原本画像及び照合画像のいずれかの解像度を低解像度から高解像度に変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段により変換された解像度のそれぞれにおいて原本画像と照合画像との相関を検出する相関検出手段と、前記相関検出手段により検出された複数の解像度における相関に基づいて、原本画像及び照合画像を変換する画像変換手段とを有する。これにより、画像処理装置2は、低解像度においても効果的に位置合わせを行うことができる。
【0051】
また、画像処理装置2は、原本画像及び照合画像のいずれか一方の画像を複数の部分領域に分割する分割手段と、前記分割手段により分割された部分領域と、当該部分領域に対応する領域を含む他方の画像の部分領域との複数の相関値を算出する相関値算出手段と、前記相関値算出手段により算出された複数の相関値に基づいて改ざん位置を判定する判定手段とを有する。これにより、画像処理装置2は、文書に背景画像を合成する等の改ざん防止処理が原本画像に施されていない場合においても、改ざん位置を検知することができる。
【0052】
さらに、画像処理装置2は、改ざん候補ブロックに対応する部分領域を、より小さな複数の部分領域にさらに分割する。これにより、画像処理装置2は、より狭い領域に限定して、改ざん位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置2のハードウェア構成を、制御装置20を中心に示す図である。
【図2】制御装置20により実行され、本発明の実施形態に係る画像処理装置2の改ざん位置検知方法を実現する画像処理プログラム4の機能構成を示す図である。
【図3】画像処理プログラム4の位置合わせ部42の詳細な機能構成を示す図である。
【図4】画像処理プログラム4の位置合わせ部42によりなされる位置合わせ処理(S10)のフローチャートを示す図である。
【図5】画像処理プログラム4の改ざん位置検知部44の詳細な機能構成を示す図である。
【図6】原本画像を分割して得られたブロックと、このブロックに対応する照合画像のブロックについて説明する図であって、図6(A)及び図6(B)はそれぞれ、二値化・細線化処理を施された後の原本画像及び照合画像を例示し、図6(C)及び図6(D)はそれぞれ、原本画像のブロック及び当該ブロックに対応する照合画像のブロックを例示する。
【図7】相関値算出部444による相関値算出処理における原本画像のブロックの移動方法について説明する図である。
【図8】ブロック判定部446による改ざん位置の判定処理について説明する図である。
【図9】画像処理プログラム4の改ざん位置検知部44によりなされる改ざん位置検知処理(S20)のフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像処理装置2の改ざん位置検知方法を実現する画像処理プログラム4の全体動作(S30)のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
2 画像処理装置
4 画像処理プログラム
10 プリンタ装置
12 印刷部
14 スキャナ部
20 制御装置
22 通信装置
24 記録装置
26 UI装置
40 画像受付部
42 位置合わせ部
44 改ざん位置検知部
46 結果出力部
202 CPU
204 メモリ
420 低解像度位置調整部
422 相関検出部
424 解像度変換部
426 解像度判定部
428 画像変換部
440 二値化・細線化部
442 ブロック分割部
444 相関値算出部
446 ブロック判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原本画像及び照合画像の複数の解像度における相関に基づいて、当該原本画像と照合画像との位置を合わせる位置合わせ手段と、
前記位置合わせ手段により位置を合わされた原本画像と照合画像とに基づいて、照合画像における改ざん位置を検知する検知手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記位置合わせ手段は、
原本画像及び照合画像のいずれかの解像度を低解像度から高解像度に変換する解像度変換手段と、
前記解像度変換手段により変換された解像度のそれぞれにおいて原本画像と照合画像との相関を検出する相関検出手段と、
前記相関検出手段により検出された複数の解像度における相関に基づいて、原本画像及び照合画像を変換する画像変換手段と
を有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記検知手段は、
原本画像及び照合画像のいずれか一方の画像を複数の部分領域に分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された部分領域と、当該部分領域に対応する領域を含む他方の画像の部分領域との複数の相関値を算出する相関値算出手段と、
前記相関値算出手段により算出された複数の相関値に基づいて改ざん位置を判定する判定手段と
を有する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記分割手段により分割された複数の部分領域のそれぞれが、前記相関値算出手段により算出された複数の相関値に基づいて配置された位置に基づいて、改ざん位置を判定する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記分割手段により分割された複数の部分領域のそれぞれにおいて前記相関値算出手段により算出された複数の相関値から算出された算出値に基づいて改ざん位置を判定する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記分割手段は、前記判定手段により判定された改ざん位置に対応する部分領域を複数の部分領域にさらに分割する
請求項3乃至5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータを含む画像処理装置において、
原本画像及び照合画像の複数の解像度における相関に基づいて、当該原本画像と照合画像との位置を合わせる位置合わせステップと、
前記位置を合わされた原本画像と照合画像とに基づいて、照合画像における改ざん位置を検知する検知ステップと
を前記画像処理装置のコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−279813(P2007−279813A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101898(P2006−101898)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】