説明

画像処理装置及び画像処理方法、プログラム

【課題】出力画像データで表現可能な色数が入力画像データで表現可能な色数よりも少なくなることが容易に判別できる技術の実現。
【解決手段】画像データのレベル補正を行う画像処理手段と、前記レベル補正の補正値を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された補正値に基づきレベル補正後の画像データの色数を算出する算出手段と、前記レベル補正後の画像データの色数の閾値を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された閾値と、前記レベル補正後の画像データの色数とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果をユーザに通知する通知手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データの画素値のレベル補正を行う画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラの普及に伴い、デジタル画像データを容易に残せるようになった。デジタル画像データを記録する際には、一般的な画像データであるJPEGデータとして記録したり、CCDやCMOSなどの撮像素子から得られたデータをそのままに近い形のRAWデータとして記録したりする。
【0003】
このような状況において、画像データを補正することも一般的に行われている。例えば、逆光や暗い場所で撮影した場合に見づらい画像になることがあるため、レベル補正を行うこともある。
【0004】
上記レベル補正として、特許文献1には、1階調あたりの画素数比率と、ヒストグラムの各階調の画素数比率とを比較し、比較結果に基づいてレベル補正を行う技術が記載されている。
【特許文献1】特開2000−306088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、入力画像データで表現可能な色数と、出力画像データで表現可能な色数が同じ場合を想定している。つまり、出力画像データで表現可能な色数が、入力画像データで表現可能な色数よりも少なくなることは考慮されていない。
【0006】
例えば、RAWデータをRAW現像処理してJPEGデータに変換する場合には色数の減少処理も行われるが、そのような状況でのレベル補正については特に考慮されていない。そのため、出力画像データで表現可能な色数が入力画像データで表現可能な色数よりも少なくなる状況において、レベル補正の補正値を指定する際に、出力画像データで表現可能な色数より、レベル補正後の色数が少なくなるかどうか分かりにくい。また、出力画像データで表現可能な色数を指定する際に、レベル補正後にどの程度の色数で保存するのが適しているのか分かりにくい。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、出力画像データで表現可能な色数が入力画像データで表現可能な色数よりも少なくなることが容易に判別できる技術を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、画像データのレベル補正を行う画像処理手段と、前記レベル補正の補正値を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された補正値に基づきレベル補正後の画像データの色数を算出する算出手段と、前記レベル補正後の画像データの色数の閾値を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された閾値と、前記レベル補正後の画像データの色数とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果をユーザに通知する通知手段と、を有する。
【0009】
また、本発明の画像処理方法は、画像データのレベル補正を行う画像処理工程と、前記レベル補正の補正値を設定する設定工程と、前記設定工程により設定された補正値に基づきレベル補正後の画像データの色数を算出する算出工程と、前記レベル補正後の画像データの色数の閾値を決定する決定工程と、前記決定工程により決定された閾値と、前記レベル補正後の画像データの色数とを比較する比較工程と、前記比較工程による比較結果をユーザに通知する通知工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、出力画像データで表現可能な色数が入力画像データで表現可能な色数よりも少なくなる場合に、レベル補正の補正値を指定する際に、出力画像データで表現可能な色数よりレベル補正後の色数が少なくなるかどうかを容易に判別できる。
【0011】
また、出力画像データで表現可能な色数を指定する際に、レベル補正後にどの程度の色数で保存するのが適しているのか分かるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0013】
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
[第1の実施形態]
本実施形態は、RAWデータをレベル補正してJPEG画像データとして保存する例である。本実施形態で扱うRAWデータは、RGB各色12ビットの色数(階調数)からなるデータとする。本実施形態ではRAWデータを扱う例を説明するが、それ以外の形式の画像データでも良いことはいうまでもない。
【0015】
図2は本発明に係る実施形態の画像処理装置の構成を示すブロック図であり、図3は本実施形態の画像処理を示すフローチャートである。
【0016】
図2において、210は画像処理装置の動作を制御する演算処理装置(CPU)である。
【0017】
220は、プログラムや画像データなどのデジタルデータを記録するハードディスクである。ハードディスク220は、後述する画像処理プログラムがCPU210に読み取り可能なプログラムコードとして記録されており、このプログラムコードをCPU210が実行する構成となっている。
【0018】
230は、内部メモリである。240は、CRTディスプレイや液晶パネルなどの表示部(ディスプレイ)である。250は、キーボードやマウスなどからなる操作部である。
【0019】
260は、外部記録媒体を読み込むためのドライブである。270は、CD-ROMやDVD-ROMなどの外部記録媒体である。280は、PCIバスなどのコンピュータ内部の各処理部を相互に接続するための内部バスである。
【0020】
本実施形態ではハードディスク220に画像処理プログラムが記録されている例を示すが、プログラムがCD-ROMなどの外部記録媒体270に記録されており、記録媒体ドライブ260を介してCPU210に実行させる形態でも良い。同様に、ネットワーク上にプログラムがある場合でも本発明は適用される。
【0021】
ここで、本実施形態の画像処理装置による画像処理プログラム全体の動作について、図3乃至図5を参照して説明する。
【0022】
図3において、ステップS300では、画像処理プログラムの初期画面表示を行う。画像処理プログラムが起動すると、図2のディスプレイ240に図4のUI画面を表示する。図4において、4-Aは[開く]ボタン、4-Bは[レベル補正]ボタン、4-Cは[保存]ボタン、4-Dは閉じるボタン、4-Eは画像プレビューエリアである。
【0023】
ユーザは、図2の操作部250と図4のUI画面により本プログラムを操作することができる。操作部250は、マウスやタッチパネルなど一般的なものを使用する。画像処理プログラムの実行直後は、図4の[開く]ボタン4-Aが使用できるようになっており、それ以外のボタンやコントロールは使用できない状態となっている。
【0024】
ステップS310では、[開く]ボタン4-Aが押されたか判定を行う。[開く]ボタン4-Aが押された場合は、ステップS320に移行する。
【0025】
ステップS320では、画像処理対象となるRAWデータファイルが指定される。ユーザが図2の操作部250を使用して[開く]ボタン4-Aを押すと、画像処理プログラムはファイル選択ダイアログを表示して、RAWデータファイルをユーザに選択させる処理を行う。ユーザは図2のハードディスク220にあるRAWデータファイルを選択することで、画像処理プログラムに処理対象となるRAWデータファイルを指定することができる。本実施形態のファイル選択ダイアログは、OSに標準で用意されているファイルオープンダイアログを使用する構成とする。また本実施形態では、一度に複数のファイルを選択することはできない。
【0026】
ステップS330では、ボタンの状態を変更する処理を行う。図4の[開く]ボタン4-Aを使用不可能な状態に変更し、[レベル補正]ボタン4-B、[保存]ボタン4-C、閉じるボタン4-Dの3つのボタンを使用可能な状態に変更する。RAWデータファイル選択後は図5のように表示し、ステップS330の処理の結果、[開く]ボタン5-Aは使用不可能な状態、[レベル補正]ボタン5-B、[保存]ボタン5-C、閉じるボタン5-Dの3つのボタンは使用可能な状態になる。
【0027】
ステップS340では、図5の[レベル補正]ボタン5-Bが押されたか判定を行う。[レベル補正]ボタン5-Bが押された場合は、ステップS350に移行する。[レベル補正]ボタン5-Bが押されなかった場合は、ステップS360に移行する。
【0028】
ステップS350では、レベル補正指定処理を行う。このステップS350では、レベル補正指定ダイアログを表示して、レベル補正の指定を行うことができる。本実施形態ではレベル補正値としてハイライト値とシャドー値がそれぞれ指定できるものとする。ここでの処理については後述する。
【0029】
ステップS360では、ステップS320で選択されたRAWデータファイルを読み込み、RAW現像処理を行う。RAWデータはCCDなど撮像素子に依存したデータ形式であり、一般的に各画素での色情報は1色だけである。ステップS360では色情報の補完処理(デモザイク処理)を行い、全ての画素に対して3色分の色情報を持つように処理する。
【0030】
ステップS370では、ステップS360でRAW現像処理した画像データに対して、レベル補正処理を行う。ステップS350で指定されたレベル補正値(ハイライト値とシャドー値)をもとにレベル補正を行う。ハイライト値とシャドー値の間の色を広げる処理となる。レベル補正設定されていない場合は、何の処理も行わない。
【0031】
ステップS380では、ステップS370でレベル補正処理した画像データに対して、色数を減少させる減色処理を行う。本実施形態では、各色12ビットから8ビットへの減色処理を行う。
【0032】
ステップS390では、ステップS380で減色した画像データを表示する。図5に示すように、図5の領域5-Eに画像を表示する。この表示画像は現在指定されているレベル補正値をもとにレベル補正処理を行ったものであり、ユーザは自分の指定したレベル補正の画像を確認することができる。
【0033】
ステップS400では、図5の[保存]ボタン5-Cが押されたか判定を行う。[保存]ボタン5-Cが押された場合は、ステップS410に移行する。[保存]ボタン5-Cが押されなかった場合は、ステップS430に移行する。
【0034】
ステップS410では、ステップS380で減色処理した画像データをJPEGデータに変換する処理を行う。
【0035】
ステップS420は、ステップS410で作成したJPEGデータを保存する処理を行う。ユーザに保存先を選択させてからファイルの保存処理を行う。保存先の選択は、OS標準の保存ダイアログを使用する。
【0036】
ステップS430では、図5の右上にある閉じるボタン5-Dが押されたか判定を行う。閉じるボタン5-Dが押された場合は、画像処理プログラムを終了する。ボタンが押されなかった場合は、ステップS340に戻る。
【0037】
上記ステップS340からステップS430を繰り返すことで、ユーザはレベル補正を何度でも自由に指定して確認/保存することができる。
【0038】
続いて、本実施形態のレベル補正指定処理(ステップS350)について、図1を参照して説明する。なお、本実施形態ではレベル補正指定としてハイライト値とシャドー値の指定ができるものとする。
【0039】
図1において、図3のステップS340で[レベル補正]ボタン5-Bが押された場合には、ステップS100に移行し、レベル補正指定ダイアログの初期画面表示を行う。レベル補正指定処理(ステップS350)は、最初に図2のディスプレイ240に図6のUI画面を表示する。図6において、6-Aは画像プレビューエリア、6-Bはヒストグラム表示エリア、6-Cはシャドー値設定コントロール、6-Dはハイライト値設定コントロール、6-Eは[OK]ボタン、6-Fは[キャンセル]ボタンとなる。
【0040】
ステップS110では、レベル補正値であるハイライト値とシャドー値をユーザ操作により設定する。ユーザは図6のシャドー設定コントロール6-Cと、ハイライト設定コントロール6-Dのつまみを移動することで、シャドー値とハイライト値の設定をすることができる。6-Cがシャドー値の設定、6-Dがハイライト値の設定となる。本実施形態ではつまみを移動することで値を設定する構成としたが、それ以外の構成でもよい。例えば、ハイライトとシャドーの値をエディットボックスを使って数値入力できるような構成でも良い。
【0041】
ステップS120では、RAW現像処理を行う。ここでの処理は、ステップS360と同様の処理になる。
【0042】
ステップS130では、現在設定されているレベル補正値(シャドー値、ハイライト値)をもとに、レベル補正処理を行う。ハイライト値とシャドー値の間の色を広げる処理となる。ここでの処理は、ステップS370と同様の処理になる。
【0043】
ステップS140では、色数を減少させる減色処理を行う。本実施形態では、RGB各色12ビットから8ビットへの減色処理を行う。ここでの処理は、ステップS380と同様の処理になる。
【0044】
ステップS150では、ステップS140で減色した画像データを画像表示する。図6に示すように、図6の画像プレビューエリア6-Aに画像を表示する。この表示は現在指定されているレベル補正値をもとにレベル補正処理を行ったものであり、ユーザは自ら指定したレベル補正の画像を確認することができる。
【0045】
ステップS160では、減色前の画像データをもとにRGBの階調ごとの分布を表すヒストグラムの算出と表示を行う。本実施形態では、減色前の画像データをもとにRGBの階調分布のヒストグラムを作成し、図6のヒストグラム表示エリア6-Bに表示する。本実施形態では減色前の画像データをもとにヒストグラムを表示する例を示したが、減色後の画像データのヒストグラムを表示するような構成でも良い。また、本実施形態ではRGBのヒストグラムを使用したが、RGBの各成分を独立に指定できたり、それ以外のものを指定できるようにしても良い。
【0046】
ステップS170では、ステップS110で指定されたレベル補正値から、レベル補正後の色数を算出する。ハイライト値とシャドー値の差分からレベル補正後の色数を算出する。
【0047】
ステップS180では、ステップS170で算出したレベル補正後の色数と、出力画像データであるJPEGデータで表現可能な色数とを比較する。本実施形態では、単純に保存画像データであるJPEGデータの色数を閾値としているが、それ以外の値を閾値にしても良い。
【0048】
ステップS190では、ステップS180での色数の比較結果の判定を行う。レベル補正後の色数が少なくなる場合には、ステップS200に移行する。補正後の色数が少なくならない場合には、ステップS230に移行する。
【0049】
ステップS200では、図6のヒストグラム表示エリア6-Bの枠線を太く赤色に設定する。
【0050】
ステップS210では、図6の画像プレビューエリア6-Aの枠線を太く赤色に設定する。
【0051】
ステップS220では、図6のレベル補正指定コントロール6-C、6-Dの枠線を太く赤色に設定する。
【0052】
ステップS200,S210,S220により、レベル補正指定ダイアログは図7のように表示される。図7の7-A、7-B、7-Cと7-Dの表示枠線をそれぞれ太く赤色で表示する。このように通常の場合とは表示方法を変えて表示することで、ユーザはレベル補正指定を行っている最中に、レベル補正後の色数が出力画像データ(この場合はJPEGデータ)の色数より少なくなることが容易に判別できるようになる。本実施形態では、レベル補正指定ダイアログの一部を変えて表示する例を示したが、例えばメッセージを表示するようなそれ以外の構成でも良い。
【0053】
ステップS230では、図6のヒストグラム表示エリア6-Bの枠線を通常の太さと色(黒色)に設定する。
【0054】
ステップS240では、図6の画像プレビューエリア6-Aの枠線を通常の太さと色(黒色)に設定する。
【0055】
ステップS250では、図6のレベル補正指定コントロール6-C、6-Dの枠線を通常の太さと色(黒色)に設定する。
【0056】
ステップS260では、ユーザによりレベル補正指定処理の終了が指示されたか判定を行う。図6の[OK]ボタン6-E、または[キャンセル]ボタン6-Fが押された場合が、レベル補正指定処理の終了指示となる。終了指示があった場合は、ステップS270に移行する。終了指示がなかった場合は、ステップS110に戻る。
【0057】
ステップS110からステップS260を繰り返すことで、レベル補正値の設定を何度でも行うことができる。その際、常時色数比較を行っているので、レベル補正色数が出力画像データの色数より少なくなったか判定し、ユーザに通知することができる。なお、ユーザへの通知は、図6の画面のように少なくとも一部の色を変えて表示するほか、アイコンを表示する、文字列を表示する、音を出力するなどの方法でも良い。
【0058】
ステップS270では、終了指示として[OK]ボタン6-Eが押されたか判定を行う。[OK]ボタン6-Eが押された場合には、ステップS280に移行する。[OK]ボタン6-Eが押されていない場合(つまり[キャンセル]ボタン6-Fが押された場合)は、レベル補正指定処理を終了する。
【0059】
ステップS280では、ステップS110で指定されたハイライト値/シャドー値を、画像処理プログラムとして保持する。このとき保持した値は、図3のステップS370で使用される。また、レベル補正指定ダイアログを閉じた後でも、再びレベル補正指定ダイアログを開いたときに保持している値を使用することで、引き続きレベル補正指定変更ができるようになる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置を使ってRAWデータのレベル補正を行うことで、レベル補正の補正値を指定する際に、出力画像データで表現可能な色数よりレベル補正後の色数が少なくなるかどうかが容易に判別できるようになる。
【0061】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、RAWデータをレベル補正して、TIFFデータとして保存する例である。本実施形態では、保存する画像ファイルの色数を設定することが可能な構成とする。また本実施形態で扱うRAWデータは、RGB各色16ビットのデータとする。本実施形態ではRAWデータを扱う例を示すが、それ以外の画像データでも良いことはいうまでもない。
【0062】
本実施形態の画像処理装置の構成は、図2と同様であるため説明を省略する。
【0063】
ここで、本実施形態の画像処理装置による画像処理プログラム全体の動作について、図8のフローチャート、及び図4、図5を参照して説明する。
【0064】
図8において、ステップS500では、画像処理プログラムの初期画面表示を行う。画像処理プログラムは起動すると、図2のディスプレイ240に図4のUI画面を表示する。ユーザは、図2の操作部250と図4のUI画面により本プログラムを操作することができる。画像処理プログラムの実行直後は、図4の[開く]ボタン4-Aが使用できるようになっており、それ以外のボタンやコントロールは使用できない状態となっている。
【0065】
ステップS510では、[開く]ボタン4-Aが押されたか判定を行う。[開く]ボタン4-Aが押された場合は、ステップS520に移行する。
【0066】
ステップS520では、画像処理対象となるRAWデータファイルが指定される。ユーザが図2の操作部250を使用して[開く]ボタン4-Aを押すと、画像処理プログラムはファイル選択ダイアログを表示して、RAWデータファイルをユーザに選択させる処理を行う。ユーザは図2のハードディスク220にあるRAWデータファイルを選択することで、画像処理プログラムに処理対象となるRAWデータファイルを指定することができる。本実施形態のファイル選択ダイアログは、OSに標準で用意されているファイルオープンダイアログを使用する構成とする。また本実施形態では、一度に複数のファイルを選択することはできない。
【0067】
ステップS530では、ボタンの状態を変更する処理を行う。図4の[開く]ボタン4-Aを使用不可能な状態に変更し、[レベル補正]ボタン4-B、[保存]ボタン4-C、閉じるボタン4-Dの3つのボタンを使用可能な状態に変更する。RAWデータファイル選択後は図5のように表示し、ステップS530の処理の結果、[開く]ボタン5-Aは使用不可能な状態、[レベル補正]ボタン5-B、[保存]ボタン5-C、閉じるボタン5-Dの3つのボタンは使用可能な状態になる。
【0068】
ステップS540では、図5の[レベル補正]ボタン5-Bが押されたか判定を行う。[レベル補正]ボタン5-Bが押された場合は、ステップS550に移行する。[レベル補正]ボタンが押されなかった場合は、ステップS560に移行する。
【0069】
ステップS550では、レベル補正指定ダイアログを表示して、レベル補正の指定を行うことができる。このステップS550では、レベル補正値の指定として、ハイライト値とシャドー値の指定ができるものとする。ここでの処理については後述する。
【0070】
ステップS560では、ステップS520で選択されたRAWデータファイルを読み込み、RAW現像処理を行う。RAWデータはCCDなど撮像素子に依存したデータ形式であり、一般的に各画素での色情報は一色だけである。ステップS560では色情報の補完処理(デモザイク処理)を行い、全ての画素に対して三色分の色情報をもつように処理する。
【0071】
ステップS570では、ステップS560でRAW現像処理した画像データに対して、レベル補正処理を行う。ステップS550で指定されたレベル補正値(ハイライト値とシャドー値)をもとにレベル補正を行う。ハイライト値とシャドー値の間の色を広げる処理となる。レベル補正設定されていない場合は、何も処理を行わない。
【0072】
ステップS580では、ステップS570でレベル補正処理した画像データを表示する。図5に示すように、図5の領域5-Eに画像を表示する。この表示画像は現在指定されているレベル補正値をもとにレベル補正処理も行ったものであり、ユーザは自ら指定したレベル補正の画像を確認することができる。
【0073】
ステップS590では、図5の[保存]ボタン5-Cが押されたか判定を行う。[保存]ボタン5-Cが押された場合は、ステップS600に移行する。[保存]ボタン5-Cが押されなかった場合は、ステップS630に移行する。
【0074】
ステップS600では、保存設定ダイアログを表示して、保存先と保存画像データ色数の設定を行う。ここでの処理については後述する。
【0075】
ステップS610では、ステップS570でレベル補正処理した画像データを、ステップS600で指定された保存画像データ色数に減色処理する。
【0076】
ステップS620では、ステップS610で減色した画像データを、ステップS600で指定された保存先に保存する。本実施形態では、TIFFデータに変換して保存するものとする。もちろんそれ以外の画像フォーマットで保存するような構成でも良い。
【0077】
ステップS630では、図5の右上にある閉じるボタン5-Dが押されたか判定を行う。閉じるボタン5-Dが押された場合は、画像処理プログラムを終了する。ボタンが押されなかった場合は、ステップS540に戻す。
【0078】
ステップS540からステップS630を繰り返すことで、ユーザはレベル補正を何度でも自由に指定して確認/保存することができる。
【0079】
続いて、本実施形態のレベル補正指定処理(ステップS550)について、図9のフローと図6のレベル補正指定ダイアログを参照して説明する。なお、本実施形態ではレベル補正指定として、ハイライト値とシャドー値の指定ができるものとする。
【0080】
図9において、図8のステップS540で[レベル補正]ボタン5-Bが押された場合に、ステップS700に移行する。ステップS700では、レベル補正指定ダイアログの初期画面表示を行う。レベル補正指定処理(ステップS550)は、最初に図2のディスプレイ240に図6のUI画面を表示する。図6において、6-Aは画像プレビューエリア、6-Bはヒストグラム表示エリア、6-Cはシャドー値設定コントロール、6-Dはハイライト値設定コントロール、6-Eは[OK]ボタン、6-Fは[キャンセル]ボタンとなる。
【0081】
ステップS710では、レベル補正値であるハイライト値とシャドー値をユーザ操作により指定する。ユーザは図6のシャドー設定コントロール6-Cと、ハイライト設定コントロール6-Dのつまみを移動することで、シャドー値とハイライト値の設定をすることができる。6-Cがシャドー値の設定、6-Dがハイライト値の設定となる。本実施形態ではつまみを移動することで値を設定する構成としたが、それ以外の構成でもよい。例えば、ハイライトとシャドーの値をエディットボックスを使って数値入力できるような構成でも良い。
【0082】
ステップS720では、ステップS520で選択されたRAWデータのRAW現像処理を行う。ここでの処理は、ステップS560と同様の処理になる。
【0083】
ステップS730では、現在設定されているレベル補正値(シャドー値、ハイライト値)をもとに、レベル補正処理を行う。ハイライト値とシャドー値の間の色を広げる処理となる。ここでの処理は、ステップS570と同様の処理になる。
【0084】
ステップS740では、ステップS730でレベル補正処理した画像データを表示する。図6に示すように、図6の画像プレビューエリア6-Aに画像を表示する。この表示は現在指定されているレベル補正値をもとにレベル補正処理も行ったものであり、ユーザは自ら指定したレベル補正の画像を確認することができる。
【0085】
ステップS750では、ヒストグラムの算出及び表示を行う。本実施形態では、画像データをもとにRGBの階調分布のヒストグラムを作成し、図6のヒストグラム表示エリア6-Bに表示する。本実施形態ではRGBのヒストグラムを使用したが、RGBの各成分を独立に指定できたり、それ以外のものを指定できても良い。
【0086】
ステップS760では、ユーザがレベル補正指定処理終了を指示したか判定を行う。図6の[OK]ボタン6-E、または[キャンセル]ボタン6-Fが押された場合が、レベル補正指定処理の終了指示となる。終了指示があった場合は、ステップS770に移行する。終了指示がなかった場合は、ステップS710に戻る。
【0087】
ステップS710からステップS760を繰り返すことで、レベル補正値の設定を何度でも行うことができる。なお、本実施形態のレベル補正指定処理時には保存画像ファイルの色数がまだ決定していないので、ここでは色数の比較は行わない。
【0088】
ステップS770では、終了指示として[OK]ボタン6-Eが押されたか判定を行う。[OK]ボタン6-Eが押された場合には、ステップS780に移行する。[OK]ボタン6-Eが押されていない場合(つまり[キャンセル]ボタン6-Fが押された場合)は、レベル補正指定処理を終了する。
【0089】
ステップS780では、ステップS710で指定されたハイライト値/シャドー値を、画像処理プログラムとして保持する処理を行う。このとき保持した値は、図8のステップS570で使用される。また、レベル補正指定ダイアログを閉じた後でも、再びレベル補正指定ダイアログを開いたときに保持している値を使用することで、引き続きレベル補正指定変更ができるようになる。
【0090】
続いて、本実施形態の保存設定処理について、図10のフローと図11、図12、図13の保存設定ダイアログを参照して説明する。なお、本実施形態では保存設定として、保存先と保存画像データの色数の指定ができるものとする。保存先としては、保存場所と保存ファイル名の指定を行う例を示す。本実施形態の保存設定ダイアログでは、保存画像データの色数指定以外は、OS標準の保存設定ダイアログをカスタマイズして利用するものとする。
【0091】
図10において、図8のステップS590で[保存]ボタン5-Cが押された場合に、ステップS800に移行する。ステップS800では、保存設定ダイアログの初期画面表示を行う。保存設定処理(ステップS600)は、最初に図2のディスプレイ240に図11のUI画面を表示する。図11において、11Aは保存フォルダ設定コントロール、11-Bはファイル表示エリア、11-Cは保存ファイル名設定コントロール、11-Dは色数設定コントロール、11-Eは[保存]ボタンとなる。
【0092】
ステップS810では、ファイルを保存する場所をユーザ操作により指定する。ユーザは図11の保存フォルダ設定コントロール11-Aを利用することで、ファイルの保存フォルダを設定することができる。
【0093】
ステップS820では、ファイル一覧表示を図11の領域11-Bに表示する。ステップS810で指定されたフォルダにあるファイルのファイル名一覧を表示する。
【0094】
ステップS830では、保存する画像ファイルのファイル名をユーザ操作により設定する。ユーザは図11の保存ファイル名設定コントロール11-Cを利用することで、保存ファイル名を設定することができる。
【0095】
ステップS840は、保存画像データ色数の設定をユーザが変更するかの判定を行う。図11の色数設定コントロール11-Dをクリックすることで、ユーザは保存画像データ色数の変更を指示することができる。保存画像データ色数変更する場合には、ステップS850に移行する。保存画像データ色数を変更しない場合には、ステップS910に移行する。
【0096】
ステップS850では、図8のステップS550で指定されたレベル補正値から、レベル補正後の色数を算出する。ここでは、ハイライト値とシャドー値の差分からレベル補正後の色数を算出する。
【0097】
ステップS860では、色数比較を行う。ここでは、ステップS850で算出したレベル補正後の色数と、保存画像データ色数として設定可能な色数をそれぞれ比較する。本実施形態では保存画像データ色数として16bit、12bit、10bit、8bitの4種類から選択でき、それぞれの保存画像データ色数とレベル補正後の色数を比較する処理を行う。
【0098】
ステップS870では、ステップS860の色数比較の結果の判定を行う。保存画像データ色数の中に、レベル補正後の色数より多いものがある場合には、ステップS890に移行する。保存画像データ色数の中に、レベル補正後の色数より多いものがない場合には、ステップS880に移行する。
【0099】
ステップS880では、図12の12-Aのように、保存画像データ色数をリスト表示する処理を行う。本実施形態では保存画像データ色数として16bit、12bit、10bit、8bitの4種類から選択できるので、その4種類のリストを表示する。
【0100】
ステップS890では、保存画像データ色数をリスト表示するだけでなく、ステップS860の色数比較の結果、レベル補正後の色数より多い保存画像データ色数については、リスト表示時にそれぞれ色を変更し、かつ、左側にアイコンを付加して表示する。図13に、保存画像データ色数16bitと12bitがレベル補正後の色数より多い場合の表示例を示す。図13-Aに示すように保存画像データ色数をリスト表示する際に、[16bit]と[12bit]の表示領域の色をグレーに変え、さらに左側に×アイコンをつけて表示することでユーザに通知する処理を行う。
【0101】
ステップS900では、ユーザが保存画像データ色数リストから色数を選択する処理である。
【0102】
ステップS910では、ユーザが保存設定処理の終了を指示したか判定を行う。図11の[保存]ボタン11-Eが押された場合が、保存設定処理の終了指示となる。終了指示があった場合は、処理をステップS920に移行する。終了指示がなかった場合は、ステップS810に戻る。
【0103】
ステップS810からステップS910を繰り返すことで、保存画像データ色数の設定を何度でも行うことができる。またその際、常にレベル補正色数と保存画像データ色数の比較を行っているので、レベル補正色数が保存画像データ色数より少なくなるかどうかを判定してユーザに通知することができる。
【0104】
ステップS920では、画像ファイルの保存先と保存画像データ色数を、画像処理プログラムとして保持する処理を行う。このとき保持した値は、図8のステップS610やステップS620で使用される。
【0105】
以上説明したように本実施形態の画像処理装置を使ってRAWデータのレベル補正を行った場合に、画像データの保存時にどの程度の色数で保存するのが適しているか分かるようになる。
【0106】
本実施形態では、保存する画像データの色数を指定する例を示したが、保存する画像データのフォーマット指定を行うことで色数の設定が可能な構成でも良い。
【0107】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、本発明をデジタルカメラに適用した例である。デジタルカメラは画像データを再生する再生モードと画像を撮影する撮影モードとを持ち、再生モード時にRAWデータを画像処理してJPEGデータとして保存する例について説明する。本実施形態では、画像処理として、レベル補正、回転、明度、彩度の設定を行うことができるデジタルカメラの例を示す。撮影モード時の動作は本発明との関連性が低いため、説明を省略する。本実施形態で扱うRAWデータはRGB各色12ビットのデータとするが、それ以外の画像データでも良いことはいうまでもない。
【0108】
図14は本実施形態のデジタルカメラの外観図である。
【0109】
図14において、デジタルカメラのユーザインターフェイスは、撮影画像や再生画像などを表示する液晶ディスプレイ(LCD)14-A、電源ボタン14-B、押下することで撮影が行えるシャッターボタン14-Cを有する。また、再生モードと撮影モードを切り替えるモード切替スイッチ14-D、デジタルカメラの操作を行うための操作ボタン14-E、setボタン14-F、menuボタン14-Gを有する。操作ボタン14-Eは上下左右の4つのボタンで構成されており、操作ボタン14-E、setボタン14-F、menuボタン14-Gの3つを操作することで、デジタルカメラの撮影/再生操作やカメラ設定操作を行うことができる。
【0110】
図15に、本実施形態の画像処理装置の構成を示すブロック図を示す。
【0111】
図15において、1510は被写体の光学像を電気信号に変換する撮像部(CCD)である。1520は画像処理装置の動作を制御する演算処理装置(CPU)である。1530はROMである。ROM1530は後述する画像処理プログラムがCPU1520に読み取り可能なプログラムコードとして記録されており、このプログラムコードをCPU1520が実行する構成となっている。
【0112】
1540は内部メモリである。1550は表示部であるLCDである。本実施形態では、図14のLCD14-Aに対応する。1560はデジタル画像データのエンコード/デコード処理を行うコーデックである。1570はデジタルカメラの操作部である。本実施形態では、図14の電源ボタン14-B、シャッターボタン14-C、モード切替スイッチ14-D、操作ボタン14-E、setボタン14-F、menuボタン14-Gに対応する。
【0113】
1580はメモリカード1590とのデータのやり取りを行うメモリカードアクセス制御部である。メモリカード1590は取り外し可能な外部記録媒体であり、RAWデータやJPEGデータなど画像データが記録される。JPEGデータとRAWデータのどちらも付加データとして縮小画像が付加されているものとする。1600は各処理部を相互に接続するための内部バスである。
【0114】
次に、図15のデジタルカメラの動作について説明する。
【0115】
本実施形態のデジタルカメラは、メモリカード1590に記録されている画像データを再生する再生モードと、メモリカード1590に画像を記録する撮影モードを持つ。ここで、本発明に関連する再生モード時の画像処理について図16のフローチャートを参照して説明する。
【0116】
図16において、ステップS1000では、図15のメモリカード1590に保存されている画像データをLCD1550(14-A)に表示する処理を行う。本実施形態のデジタルカメラでは、LCD1550(14-A)に表示する画像は、表示の高速化のために、画像データに付加されている縮小画像を表示する構成とする。もちろん元画像を縮小して表示するような構成でも良い。
【0117】
ステップS1010では、図14の操作ボタン14-Eの左右ボタンのどちらかが押されたか判定を行う。左右ボタンのどちらかが押された場合は、ステップS1020に移行する。押されていない場合は、ステップS1030に移行する。
【0118】
本実施形態のデジタルカメラは、左右ボタンを押すことによって表示画像を変更することができる。ステップS1020では、右ボタンが押された場合は表示対象となる画像を次の画像に変更し、左ボタンが押された場合は表示対象となる画像を前の画像に変更する処理を行う。
【0119】
ステップS1000からステップS1020を繰り返すことで、図14のメモリカード1590に記録されている画像データを順番に見ることが可能となる。
【0120】
ステップS1030では、図14のmunuボタン14-Gが押されたか判定を行う。本実施形態では、ステップS1000で表示している画像がRAWデータである場合だけ、menuボタン14-Gが押されたか判定する構成とする。menuボタン14-Gが押された場合は、メニュー表示を行うためにステップS1040に移行する。menuボタン14-Gが押されていない場合は、ステップS1090に移行する。
【0121】
ステップS1040では、メニュー表示を行う。ここでは、デジタルカメラのLCD1550(14-A)に、図17の17-Aのようなメニューを表示する。図17ではメニューとして、[回転]、[明度設定]、[彩度設定]、[レベル補正]、の4項目が選択できるようになっている。ユーザは操作ボタン14-Eの上下ボタンを操作して、メニューの選択項目を変更することができる。図17では[回転]が選択されており、選択された項目は表示枠線を太くし、背景色を変えて表示する。
【0122】
ステップS1050では、メニューの中でどの処理が選択実行されたかを判定する。図14のsetボタン14-Fを押すことで、メニューの選択項目の処理を実行することができる。[レベル補正]が選択された状態でsetボタン14-Fが押された場合は、ステップS1060に移行する。それ以外のものが選択された状態でsetボタン14-Fが押された場合は、ステップS1070に移行する。
【0123】
ステップS1060では、本実施形態のレベル補正指定とレベル補正処理を行う。このステップS1060では、レベル補正指定ダイアログのUI画面を表示して、レベル補正値の指定を行うことができる。また、このステップでは、指定されたレベル補正値でレベル補正処理を行い、JPEGデータとしてメモリカード1590に保存する処理も行う。このステップで処理される画像データは、メモリカード1590に記録されている画像データの中で、メニュー表示時にデジタルカメラのLCD1550(14-A)に表示しているRAWデータについて処理する。ここでの処理については後述する。
【0124】
ステップS1070では、[回転]、[明度設定]、[彩度設定]のいずれかが選択された場合に、各画像処理の設定と、それぞれの設定に応じた画像処理を行う。各処理に対応したUI画面を表示してユーザに設定させ、それぞれの画像処理を施し、画像処理結果をJPEGデータとしてメモリカード1590に保存する処理を行う。回転、明度設定、彩度設定の各設定方法や各画像処理方法は、一般的に行われる処理を行う。なお、このステップで処理される画像データは、メモリカード1590に記録されている画像データの中で、メニュー表示時にデジタルカメラのLCD1550(14-A)に表示しているRAWデータについて処理する。
【0125】
ステップS1080では、表示対象となる画像データを、ステップS1060又はS1070で保存されたJPEGデータに変更する処理を行う。これにより、画像処理済の画像データをすぐに確認できる。
【0126】
ステップS1090では、再生モード終了か判定する。再生モードを終了する条件としては、図14の電源ボタン14-Bが押されて電源が切られる場合と、モード切替スイッチ14-Dが撮影モードに切り替えられる場合である。再生モード終了の場合は、再生モードの処理を終了する。再生モード終了でない場合は、ステップS1000に戻る。
【0127】
以上の処理を繰り返すことで、メモリカード1590に記録されているRAWデータに対して、それぞれ画像処理を行うことが可能となる。
【0128】
続いて、本実施形態のレベル補正処理(ステップS1060)について、図18のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態ではレベル補正として、ハイライト値とシャドー値の指定ができるものとする。
【0129】
図18において、図16のステップS1040で[レベル補正]が選択された場合に、ステップS1100に移行する。ステップS1100では、レベル補正処理の初期画面表示を行う。レベル補正処理(ステップS1060)では、最初に図15のLCD1550に図19のUI画面を表示する。図19において、19-Aは画像プレビューエリア、19-Bはヒストグラム表示エリア、19-Cはシャドー値設定コントロール、19-Dはハイライト値設定コントロールとなる。最初19-Aに表示されている画像は、図16のステップS1000で表示した画像となる。シャドー値設定コントロール19-C、及び、ハイライト値設定コントロール19-Dは、図19に示すように現在設定されているレベル補正値の位置が分かるように、点線とマークをヒストグラムに重ねて表示する。
【0130】
ステップS1110では、レベル補正値であるハイライト値とシャドー値をユーザ操作により指定する。ユーザは図14の操作ボタン14-Eを操作して、ハイライト値とシャドー値を指定することができる。また、上下ボタンを操作してハイライト値の指定を行うことができ、左右ボタンを操作してシャドー値の指定を行うことができる。ハイライト値とシャドー値の指定に応じて、シャドー値設定コントロール19-Cとハイライト値設定コントロール19-Dは表示位置を変更する。ここでは、操作ボタン14-Eの上下左右ボタンを使った設定の一例を示したが、もちろんそれ以外のレベル補正値指定方法でも良いことはいうまでもない。
【0131】
ステップS1120では、RAW現像処理を行う。
【0132】
ステップS1125では、レベル補正以外の画像処理を行う。ここでは、現在設定されている回転の設定、明度設定、彩度設定の情報をもとにRAW現像した画像データに対して画像処理を行う。
【0133】
ステップS1130では、現在設定されているレベル補正値(シャドー値、ハイライト値)をもとに、ステップS1125で処理した画像データに対してレベル補正処理を行う。ハイライト値とシャドー値の間の色を広げる処理となる。
【0134】
ステップS1140では、ステップS1130で処理した画像データの色数を減少させる減色処理を行う。本実施形態では、各色12ビットから8ビットへの減色処理を行う。
ステップS1150では、ステップS1140で減色した画像データを表示する。ここでは、図19の画像プレビューエリア19-Aに画像を表示する。この表示は現在指定されている回転の設定、明度設定、彩度設定、レベル補正設定をもとに、画像処理とレベル補正処理も行ったものであり、ユーザは自ら設定した画像を確認することができる。
【0135】
ステップS1160では、ヒストグラムの算出と表示を行う。本実施形態では、減色前の画像データをもとにRGBのヒストグラムを作成し、図19のヒストグラム表示エリア19-Bに表示する。本実施形態では減色前の画像データをもとにヒストグラムを表示する例を示したが、減色後の画像データのヒストグラムを表示するような構成でも良い。また本実施形態ではRGBのヒストグラムを使用したが、RGBの各成分を独立に指定できたり、それ以外のものを指定できても良い。
【0136】
ステップS1170では、ステップS1110で指定されたレベル補正値から、レベル補正後の色数を算出する。ハイライト値とシャドー値の差分からレベル補正後の色数を算出する。
【0137】
ステップS1180では、色数比較を行う。ここでは、ステップS1170で算出したレベル補正後の色数と、出力画像データであるJPEGデータで表現可能な色数を比較する。本実施形態では、単純に保存画像データであるJPEGデータの色数を閾値としたが、もちろんそれ以外の値を閾値にしても良い。
【0138】
ステップS1190では、ステップS1180の色数比較の結果を判定する。レベル補正後の色数が少なくなる場合には、ステップS1200に移行する。補正後の色数が少なくならない場合には、ステップS1210に移行する。
【0139】
ステップS1200では、図19のシャドー値設定コントロール19-C、及び、ハイライト値設定コントロール19-Dの線を太く赤色に設定する。このステップS1200により、図20のようなレベル補正処理画面が表示される。図20に示すように、シャドー値設定コントロール20-Aとハイライト値設定コントロール20-Bの線をそれぞれ太く赤色で表示する。このように通常の場合とは表示方法を変えて表示することで、ユーザはレベル補正指定を行っている最中に、レベル補正後の色数が出力画像データ(この場合はJPEGデータ)の色数より少なくなることが容易に判別できるようになる。本実施形態では、レベル補正指定処理の一部を変えて表示する例を示したが、それ以外の構成でも良い。
【0140】
ステップS1210では、図19のシャドー値設定コントロール19-C、及び、ハイライト値設定コントロール19-Dの線を通常の太さと色(黒色)に設定する。
【0141】
ステップS1220では、ユーザ操作により画像処理の設定が確定されたか判定を行う。ユーザは図14のsetボタン14-Fを押すことで、レベル補正や、その他の画像処理の設定を確定することができる。setボタン14-Fが押された場合は、ステップS1230に移行する。setボタン14-Fが押されていない場合は、ステップS1110に戻る。ステップS1110からステップS1220を繰り返すことで、レベル補正値やそれ以外の画像処理の設定を何度でも行うことができる。またその際、常に色数比較を行っているので、レベル補正色数が出力色数より少なくなったかどうかを判定して、ユーザに通知することができる。
【0142】
ステップS1230では、ステップS1190と同様の判断を行う。レベル補正後の色数が少なくなる場合には、ステップS1240に移行する。補正後の色数が少なくならない場合には、ステップS1270に移行する。
【0143】
ステップS1240では、画像処理を行う前に、ユーザにレベル補正値の再設定の確認を行う。本実施形態では、図21のようなメッセージをユーザに通知して、ユーザにレベル補正値の再設定を行うか確認する。図14の14-Eの左右ボタンを使って[はい]と[いいえ]を選択し、setボタン14-Fで決定することができる。
【0144】
ステップS1250では、レベル補正値の再設定を行うか判定を行う。ユーザが[はい]ボタンを選択してからsetボタン14-Fを押した場合は、ステップS1260に移行する。[いいえ]ボタンを選択してからsetボタン14-Fを押した場合は、ステップS1270に移行する。
【0145】
ステップS1260では、ステップS1240で[はい]が選択されると、レベル補正により画像データの色数が減少しないような補正値を自動で再設定する。ここでは、レベル補正後の色数がJPEGデータの色数と同じになるように、シャドー値、ハイライト値を再設定する。本実施形態では、シャドー値とハイライト値のそれぞれを、同等の値で広げる処理を行う。
【0146】
ステップS1270では、現在設定されている回転の設定、明度設定、彩度設定の情報をもとにRAW現像した画像データに対して画像処理を行う。ここでの処理は、ステップS1125と同様の処理となる。
【0147】
ステップS1280では、設定されたレベル補正値(シャドー値、ハイライト値)をもとに、ステップS1270で処理した画像データに対して、レベル補正処理を行う。ここでの処理は、ステップS1130と同様の処理となる。
【0148】
ステップS1290では、ステップS1280で処理した画像データの色数を減少させる減色処理を行う。ここでの処理は、ステップS1140と同様の処理となる。
【0149】
ステップS1300では、減色処理した画像データをJPEGデータに圧縮してファイルとして記録する処理を行う。JPEGデータへの圧縮は、図15のコーデック1560を使用する。
【0150】
記録するファイルのファイル名は、元となったRAWデータファイルの拡張子だけを変えたファイル名で保存する。既に同じ名前のファイルがあった場合は、"_2"をファイル名の後ろに付けたファイルを保存する。"_2"の付いたファイルも既にあった場合は、"_3"を付けたファイルを保存する。同様に、"_n"の付いたファイルが既にあった場合は、"_(n+1)"を付けたファイルを保存する。
【0151】
以上説明したように、本実施形態のデジタルカメラを使ってRAWデータのレベル補正を行うことで、レベル補正の補正値を指定する際に、出力画像データで表現可能な色数よりレベル補正後の色数が少なくなるかどうか容易に判別できる。また、画像処理を施した画像データを保存する前に、レベル補正値の再設定を行える。
【0152】
なお、本実施形態では、RAW現像、回転、明度、彩度、レベル補正の各処理を画像処理プログラムで実行する例を示したが、これらの処理の一部、または全部をハードウェアで実行するような構成でも本発明は適用できる。
【0153】
[他の実施形態]
本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給しても達成可能である。すなわち、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0154】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0155】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性の半導体メモリカード、ROM等を用いることができる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合もある。
【0156】
しかし、さらにプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0157】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる場合も有得る。その後、プログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のレベル補正指定処理を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る実施形態の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る第1の実施形態の画像処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る第1の実施形態の画像処理装置により表示されるUI画面を例示する図である。
【図5】本発明に係る第1の実施形態の画像処理装置により表示されるUI画面を例示する図である。
【図6】本発明に係る第1の実施形態のレベル補正指定ダイアログを例示する図である。
【図7】本発明に係る第1の実施形態のレベル補正指定ダイアログを例示する図である。
【図8】本発明に係る第2の実施形態の画像処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る第2の実施形態のレベル補正指定処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る第2の実施形態の保存設定処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る第2の実施形態の保存設定ダイアログを例示する図である。
【図12】本発明に係る第2の実施形態の保存設定ダイアログの色数リストを例示する図である。
【図13】本発明に係る第2の実施形態の保存設定ダイアログの色数リストを例示する図である。
【図14】本発明に係る第3の実施形態のデジタルカメラのユーザインターフェースを説明する図である。
【図15】本発明に係る第3の実施形態のデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図16】本発明に係る第3の実施形態の画像処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明に係る第3の実施形態のメニュー画面を例示する図である。
【図18】本発明に係る第3の実施形態のレベル補正処理手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明に係る第3の実施形態のレベル補正指定ダイアログを例示する図である。
【図20】本発明に係る第3の実施形態のレベル補正指定ダイアログを例示する図である。
【図21】本発明に係る第3の実施形態のレベル補正の再設定確認ダイアログを例示する図である。
【符号の説明】
【0159】
210 CPU
220 HD
230 メモリ
240 ディスプレイ
250 操作部
260 記録媒体ドライブ
270 外部記録媒体
280 内部バス
1510 CCD
1520 CPU
1530 ROM
1540 内部メモリ
1550 LCD
1560 コーデック
1570 操作部
1580 メモリカードアクセス制御部
1590 メモリカード
1600 内部バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データのレベル補正を行う画像処理手段と、
前記レベル補正の補正値を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された補正値に基づきレベル補正後の画像データの色数を算出する算出手段と、
前記レベル補正後の画像データの色数の閾値を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された閾値と、前記レベル補正後の画像データの色数とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果をユーザに通知する通知手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記比較手段による比較の結果、前記レベル補正後の画像データの色数が前記閾値より少ないことをユーザに通知することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記レベル補正後の画像データを表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段により表示される画像データの階調分布を表すヒストグラムを算出し表示するヒストグラム表示手段と、を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記設定手段により前記レベル補正の補正値が変更された場合に、前記比較結果を通知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記レベル補正後の画像データを保存する保存手段と、
前記保存手段により前記レベル補正後の画像データを保存する際に当該画像データの色数を変更する色数変更手段と、を更に有し、
前記通知手段は、前記色数変更手段により色数が変更された場合に、前記色数変更手段により変更された色数と前記レベル補正後の画像データにより表現可能な色数との比較結果を通知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記レベル補正後の画像データを保存する保存手段と、
前記保存手段により前記レベル補正後の画像データを保存する際に当該画像データのフォーマットを指定するフォーマット指定手段と、を更に有し、
前記通知手段は、前記フォーマット指定手段によりフォーマットが指定された場合に、前記フォーマット指定手段により指定されたフォーマットの画像データにより表現可能な色数と前記レベル補正後の画像データにより表現可能な色数との比較結果を通知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記閾値は、前記保存手段に保存される際の画像データのフォーマットに基づいて決定され、
前記通知手段は、前記レベル補正後の画像データを保存する前に前記比較結果を通知することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記設定手段における少なくとも一部の色を変えて表示する、アイコンを表示する、文字列を表示する、音を出力する、の少なくともいずれかの手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記通知手段は、前記色数変更手段における少なくとも一部の色を変えて表示する、アイコンを表示する、文字列を表示する、音を出力する、の少なくともいずれかの手段を有することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記通知手段は、前記フォーマット指定手段における少なくとも一部の色を変えて表示する、アイコンを表示する、文字列を表示する、音を出力する、の少なくともいずれかの手段を有することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記通知手段による通知を行った後に、前記レベル補正の補正値、前記レベル補正後の画像データを保存する際の色数、フォーマット、の少なくともいずれかを再設定する再設定手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記再設定手段は、前記レベル補正により画像データの色数が減少しないような補正値を自動で設定することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
画像データのレベル補正を行う画像処理工程と、
前記レベル補正の補正値を設定する設定工程と、
前記設定工程により設定された補正値に基づきレベル補正後の画像データの色数を算出する算出工程と、
前記レベル補正後の画像データの色数の閾値を決定する決定工程と、
前記決定工程により決定された閾値と、前記レベル補正後の画像データの色数とを比較する比較工程と、
前記比較工程による比較結果をユーザに通知する通知工程と、を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
請求項13に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−296359(P2009−296359A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148316(P2008−148316)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】