説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】 ユーザの希望する画質を得るための符号化品質の設定が容易な画像処理装置及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】 符号化前の画像データに対する符号化後の画像データの劣化度合いを算出する。そして、算出した劣化度合いを表す情報を、符号化前の画像データ又は符号化後の画像データとともに表示する。画質調整指示など、符号化設定に変更があった場合には、変更後の設定に応じた劣化度合いを算出し、表示に反映する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関し、特には、画像を符号化する画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体を撮影し、それにより得られた動画像を圧縮符号化して記録するカメラ一体型動画像記録装置として、デジタルビデオカメラがよく知られている。近年は、記録媒体が従来の磁気テープから、ランダムアクセス性などの利便性を有するディスク媒体や半導体メモリなどに移り変わってきている。しかし、一般にディスク媒体や半導体メモリは磁気テープよりも記憶容量が少ないため、従来と同等の記録時間を実現するには圧縮符号化の効率を一層高める必要がある。
【0003】
また、近年では、より情報量の多い高精細(HD)映像を扱うデジタルビデオカメラの開発が行われている。このような観点からも、より高能率な圧縮符号化の実現が望まれている。現在、様々な圧縮符号化方式が用いられているが、高能率な圧縮符号化方式としてMPEG方式が標準的に用いられている。
【0004】
また、圧縮符号化を行なうビデオカメラにおいては、ユーザが記録画質を設定することが可能となっているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
MPEG方式のような高能率符号化方式は、一般に不可逆圧縮方式であり、符号化後の画像は原画像に対して劣化し、また、劣化の度合いは再生してみるまで分からない。そのため、重要なシーンを撮影する場合などは、前もって撮影を行なって画像の劣化度合いを確認し、本撮影時の記録画質(例えばビットレートや圧縮率)を設定していた。
【0005】
【特許文献1】特開2001−211414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般に、ビデオカメラの表示部はTVモニタに比べて画面サイズ及び解像度が低く、細部の画質劣化の度合いまで確認することができない。そのため、最適な記録画質を設定しづらく、撮影後にTVモニタで鑑賞した際に、意図しない画質で撮影してしまったことが判明する場合があった。
【0007】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、ユーザが希望する画質を得るための符号化品質の設定を容易にする画像処理装置及び画像処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、画像データを入力する入力手段と、入力手段により入力された画像データを不可逆符号化する符号化手段と、符号化された画像データの、入力された画像データに対する劣化度合いを検出する劣化検出手段と、入力された画像データもしくは符号化された画像データと、劣化検出手段により検出された劣化度合いを示す情報とを、表示装置に表示する表示手段とを備える本発明の画像処理装置によって達成される。
【0009】
また、上述の目的は、画像データを入力する入力ステップと、入力手段により入力された画像データを不可逆符号化する符号化ステップと、符号化された画像データの、入力された画像データに対する劣化度合いを検出する劣化検出ステップと、入力された画像データもしくは符号化された画像データと、劣化検出手段により検出された劣化度合いを示す情報とを、表示装置に表示する表示ステップとを備える本発明の画像処理方法によっても達成される。
【発明の効果】
【0010】
このような構成により、本発明によれば、符号化による画質劣化の程度を客観的な指標により確認することが可能となるため、ユーザが望む画質を得るための符号化品質を容易に設定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の一例としての動画像記録装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、撮像部101は、レンズやその駆動回路、撮像素子等を含み、被写体像をディジタルデータとして出力する。動画像記録装置はまた、動き補償予測回路102、減算器103、DCT(直交変換)回路104、量子化回路105、可変長符号化回路106、記録部107、記録媒体109、符号量制御回路110を備える。さらに、逆量子化回路111、IDCT(逆直交変換)回路112、加算器113、劣化検出回路115、表示画像生成回路116、表示部117、フレームメモリ118、パラメータ設定部119、に加えて、スイッチ108および114を備える。そして、スイッチ108、114や、符号量制御回路110をはじめとする各構成部の動作は、システムコントローラ120によって制御される。システムコントローラ120は、例えばマイクロコンピュータであり、制御プログラムを実行することにより装置全体の動作制御を司る。さらに、システムコントローラ120は、操作部122を介して必要に応じてユーザから与えられる指示によっても、装置全体の動作制御を行う。
【0013】
撮像部101にて撮像して得られた動画像データは、第1フレーム、第2フレーム、第3フレーム、・・・の順で、順次フレームメモリ118に格納されていく。フレームメモリからは、例えば、第3フレーム、第1フレーム、第2フレーム、・・・など、符号化方式に応じて定まる順序で画像データを取り出していく。本実施形態ではMPEG符号化方式を用いる。MPEG方式では、複数の符号化方法を用いて符号化を行なう。具体的には、同一フレーム内の画像データのみを用いて符号化する“イントラ符号化”と、他のフレームとの相関を利用して予測符号化する“インター符号化”を用いる。さらに、インター符号化は、フレーム間予測に用いる他のフレームとして、時間的に過去のフレームのみを利用可能な前方予測符号化と、時間的に未来のフレームも利用可能な双方向予測符号化がある。そして、イントラ符号化されるフレームをIピクチャ、前方予測符号化されるフレームをPピクチャ、双方向予測符号化されるフレームをBピクチャと呼ぶ。そして、双予測符号化を実現するため、入力順とは異なる順番で符号化が行なわれる。
【0014】
以下、ピクチャ種別ごとに符号化の動作を説明する。
Iピクチャの場合、フレームメモリ118から、符号化単位であるマクロブロック(以下「MB」)を構成する水平16画素、垂直16画素のデータが読み出され、DCT回路104へ入力される。Iピクチャの場合は、動き補償予測を行わないため、動き補償予測回路102から零が出力される。そのため、フレームメモリ118から読み出されたMBデータは、加算器103において値が変化することなく、そのままDCT回路104へ入力される。
【0015】
DCT回路104にて直交変換された後のMBデータは、量子化回路105により、符号量制御回路110が出力する量子化係数で量子化される。量子化後のMBデータは、逆量子化回路111および可変長符号化回路106へそれぞれ入力される。可変長符号化回路106は量子化されたMBデータを可変長符号化して出力すると同時に、発生した符号量を符号量制御回路110へ通知する。符号量制御回路110は可変長符号化回路106から受信した発生符号量を受けて、次のMBに適用する量子化係数を決定し、量子化回路105へ出力する。
【0016】
逆量子化回路111は、量子化回路105の出力する画像データを逆量子化して、量子化前の画像データ(直交変換後の画像データ)を復元し、IDCT回路112へ供給する。IDCT回路112は逆量子化回路111からの画像データを逆直交変換して、直交変換前の画像データ(フレームメモリ118から読み出された画像データ)を復元する。この復元された画像データは、後で行なう予測符号化の参照画像となる画像データで、局部復号画像もしくはローカルデコード画像という。
【0017】
上述したように、Iピクチャの符号化時には、動き補償予測回路102の出力は零である。そのため、加算器113の出力は、IDCT回路112が出力する、ローカルデコード画像データと同一である。また、このとき、スイッチ114はオンの状態に制御されていて、ローカルデコード画像はフレームメモリ118に格納される。
【0018】
Pピクチャの場合、動き補償予測回路102に、符号化対象MBのデータがフレームメモリ118から入力される。動き補償予測回路102は、フレームメモリ118に既に格納されている参照画像を読み出しながら、符号化対象MBとの差分が小さくなるブロック(参照ブロック)を検出し、検出したブロックの画像データを出力する。減算器103は、フレームメモリ118から供給される符号化対象MBの画像データから、動き補償予測回路102が出力する、検出された参照ブロックの画像データを減算し、減算結果をDCT回路104へ供給する。
【0019】
DCT回路104は減算結果を直交変換し、量子化回路105へ供給する。量子化回路105は、DCT回路104が出力する直交変換後の差分データを量子化し、逆量子化回路111、および、可変長符号化回路106へそれぞれ出力する。
【0020】
逆量子化回路111は、量子化後の差分データを逆量子化して、量子化前の差分データ(直交変換後の差分データ)を復元し、IDCT回路112へ供給する。IDCT回路112は逆量子化回路111からの差分データを逆直交変換して、直交変換前の差分データを復元する。この復元された差分データは、加算器113によって参照ブロックの画像データと加算されて、ローカルデコード画像が生成される。このときスイッチ114はオンの状態に制御されていて、ローカルデコード画像はフレームメモリ118に格納される。
【0021】
Bピクチャの場合、上記のPピクチャの場合と同様に符号化されるが、Bピクチャは予測のための参照画像とはならないため、スイッチ114はオフの状態に制御されて、ローカルデコード画像データはフレームメモリ118には格納されない。そのため、ローカルデコード画像を生成する必要はなく、本来は逆量子化以降の処理は不要であるが、本実施形態では後述の劣化検出のために、Bピクチャであっても逆量子化以降の復号処理(ローカルデコード処理)も行っている。
【0022】
ピクチャ種別によらず、加算器113の出力は、再生時に出力される画像データと同一である。劣化検出回路115には、フレームメモリ118から減算器103へ供給されるMBデータ(符号化前画像)と、加算器113からフレームメモリ118へ供給されるMBデータ(再生画像)が入力される。そして、劣化検出回路115は、符号化前画像に対する再生画像の劣化度合いを算出する。劣化度合いとして例えば以下の式1に示す、PSNR(Peak Signal-to-Noise Ratio)を用いることができる。
【0023】
【数1】

式1において、NはMBデータのデータ数であり、輝度信号の場合N=256である。Ciは符号化前画像の各画素値、Diは再生画像の各画素値を示す。PSNR[db]は符号化前画像と符号化後画像の平均二乗誤差の逆数であり、画像の相違(劣化)が大きいほど小さい値を示す。
【0024】
ユーザが操作部122を操作し、動画像記録装置が記録モードに設定されると、システムコントローラ120が検知し、スイッチ108をオフの状態に制御する。そして、記録開始の指示がなされなくても、上述の符号化処理を実行する。すなわち、通常の記録動作時と同様に符号化処理を行なうが、記録媒体109への記録は行わない状態となる。
【0025】
上述のように、劣化検出回路115はMBごとにPSNRを算出しており、算出したPSNRの値は劣化検出回路115内の図示しないバッファに一時記憶される。表示画像生成回路116は、LCDなどの表示部117へ表示するための表示画像を生成する。撮像部101にて撮像された画像信号は、上述の通り符号化が実行されるまでフレームメモリ118に保持されているが、PSNR値のオーバーレイ表示を行うため、符号化実施後も表示が行なわれるまで保持される。
【0026】
表示画像の全MBに対するPSNR値が算出されると、表示画像生成回路116は、表示する画像信号をフレームメモリ118から読み出す。また、劣化検出回路115から表示画像に対応するPSNR値を読み出し、MBごとに、表示画像とPSNR値に応じたパターンなどとを合成した合成画像を生成し、表示部117へ表示する。パターンはハッチングや網掛けなど、どのようなものであっても良いが、表示画像が全く見えなくなるようなものは避けることが好ましい。
【0027】
図3は、画像信号が入力されてから符号化されて表示部へモニター出力されるまでの、フレームメモリ118と、劣化検出回路115内のPSNRバッファのフレーム管理動作を説明するための図である。
【0028】
図3のにおいて、F0,F1,・・・は画像フレームであり、入力画像フレームの上に記載された”I”,”P”,”B”は入力画像フレームが符号化される際のピクチャタイプを示し、それぞれIピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャを表している。フレームメモリ118は複数の画像フレームを格納可能であり、太枠で囲まれた画像フレームは符号化フレームを表している。また、F2’など、ダッシュの付与されたフレームは、ダッシュのないフレームに対応するローカルデコード画像を表している。図3はフレーム管理動作の1例であるが、このようなフレーム管理によって、入力画像とPSNR値のオーバーレイ表示が可能である。
【0029】
劣化検出回路115は、画像フレームのMBごとのPSNR値を計算するとともに、フレーム全体におけるPSNR値の合計も計算する。そして、表示画像生成回路116は、PSNR値のフレーム全体での合計値に応じて、例えばキャラクタジェネレータなどを用い、画質を表す数値を表示画像に合成する。
【0030】
表示部117に表示される合成画像202の例を図2に示す。合成画像202は、通常のモニタ表示(表示部117を電子ビューファインダとして機能させている際の表示)に重ねて、MB毎に、PSNR値に応じたパターンを重畳表示している。例えば、ハッチングの濃度が高い程PSNRが低く、画質劣化が大きい部分を示している。さらに、フレーム全体のPSNR値の合計をキャラクタ表示204している。
【0031】
ユーザは、この合成画像202を見ながら、操作部122に含まれる画質設定ボタンなどを操作することで、画質、すなわち符号化パラメータを調整することができる。すなわち、システムコントローラ120が画質調整の指示入力を検出し、入力された内容をパラメータ設定部119へ与える。パラメータ設定部119は、与えられた調整内容に応じ、予め定められた符号化パラメータを変更し、変更されるパラメータを使用する各部へ出力される。
【0032】
符号化パラメータとしては様々なものがあるが、ここでは、例えば、符号化後のデータのビットレートとする。例えば、ユーザから画質を上げるように指示された場合、パラメータ設定部119は、符号量制御回路110に対し、ビットレートを予め定めた量だけ上昇させるように指示したり、予め定めた値となるように指示する。
【0033】
符号量制御回路110は、指示に応じて例えば量子化回路105が用いる量子化テーブルを切り替えることにより、ビットレートを制御する。ビットレートを上げる場合には、より小さい量子化幅にて量子化処理を行なうための量子化テーブルを用いることで、画質を向上させる。
【0034】
ユーザの操作によって記録開始が指示されると、システムコントローラ120がスイッチ108をオンの状態に制御し、符号化された画像データは記録回路107を介して記録媒体109へ記録される。
【0035】
このように、本実施形態においては、ユーザによる符号化パラメータ変更の結果は、表示部117に表示される合成画像202に即座に反映される。そのため、ユーザは符号化パラメータ変更の画質に対する影響を確認しながら符号化パラメータ設定をおこなうことができる。
特に、MBごとの劣化度合いを示す情報を、表示画面における被写体の位置に対応づけて表示するので、ユーザは、目的の被写体の画質劣化が所望の度合いになるよう、画質を細かく調整することが可能となる。
【0036】
また、合成画像202において、画像の劣化の度合いをパターンや数値といった客観的な情報により提示するので、表示部117の表示面積が小さくても、画質劣化の度合いを正しく把握することが可能である。
【0037】
なお、本実施形態では、入力画像を用いて合成画像202を生成していたが、符号化後の画像を用いて合成画像202を生成することにより、より直接的に画質の劣化を把握可能としても良い。その場合は、Bピクチャの符号化の場合でもローカルデコード画像をフレームメモリ118へ格納するために、Bピクチャの符号化時にもスイッチ114はオンの状態とし、フレームの管理は、図4のように行えばよい。
【0038】
また、本実施形態では、PSNR値を劣化検出回路115のバッファに記憶するものとしたが、フレームメモリ118の一部を使ってPSNR値を記憶し、表示画像生成回路116は必要なPSNR値をフレームメモリ118から読み出すようにしてもよい。
【0039】
さらに、本実施形態では、マクロブロックごとの画質劣化度合いを表示画像に重畳表示したが、例えば表示部117が非常に小さい場合など、重畳表示することにより劣化度合いの表示の視認性が低下する場合には、劣化度合いを表す表示のみを行なっても良い。あるいは、表示画像と、劣化度合いを表す表示とを切り替えて表示可能に構成することも可能である。また、劣化度合いが所定の度合いを超えるMBについてのみ、重畳表示を行なうようにしてもよい。
【0040】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の一例としての動画像記録装置の構成を示すブロック図である。図1に示した動画像記録装置に対して、残量算出回路501を追加した構成であり、他の構成は共通であるため重複する説明は省略する。
【0041】
本実施形態において、残量算出回路501へは、記録回路107から記録媒体109の残り記録可能容量の出力が、符号量制御回路110からはビットレートの予測値の出力がそれぞれ供給される。これにより、残量算出回路501は、現在の記録画質により、記録媒体に記録可能な残り時間を推定することができる。残り時間は表示画像生成回路116へ出力され、キャラクタジェネレータなどによって残り時間を表示画面に合成する。図6に、本実施形態における合成画像202の表示例を示す。図2の合成画像に対し、残り時間601の表示が加わっていることが分かる。
【0042】
ユーザが画質調整を行ない、パラメータ設定回路119による符号化パラメータ変更が行なわれると、それに応じて符号量制御回路110の出力するビットレートが変化する。従って、推定残り時間も直ちに変更され、即座に表示画面に反映される。
その他の動作は、第1の実施形態の動画像記録装置と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
このように、本実施形態によれば、現在設定されている画質で記録可能な時間がリアルタイムに表示される。そのため、第1の実施形態の効果に加え、ユーザは、記録可能残量を考慮しながら、最適な画質を設定することが可能になる。
【0044】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置の一例としての動画像記録装置の構成を示すブロック図である。劣化検出回路115の出力が符号量制御回路110へ入力されている点を除き、第2の実施形態に係る動画像記録装置と同一の構成を有するため、共通部分の説明は省略する。
【0045】
上述の通り、劣化検出回路115はMBごとにPSNR値を算出する。本実施形態では、このMB毎のPSNR値を、符号量制御回路110へ与える。
【0046】
上述のように、符号量制御回路110は、可変長符号化回路106が出力する発生符号量と、ユーザによる画質調整指示の内容に応じてパラメータ設定回路119が決定した目標ビットレートに基づいて量子化回路が用いる量子化テーブルを切り替える。
【0047】
その際、ユーザによる画質調整指示に応じ、より小さい量子化幅にて量子化するMBを決定するPSNR値の閾値を変化させる。例えば、画質を上げる指示に対しては、PSNR値の閾値を下げることで、より多くのMBに対してより小さい量子化幅にて量子化するように制御する。画質を下げる指示に対しては、逆に閾値を上げることで、小さい量子化幅にて量子化するMBを少なくさせる。
その他の動作は、第2の実施形態に記載の動画像記録装置の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
このように、本実施形態によれば、すでに十分な画質が得られている部分に対しては符号量の増加率を抑え、画質の劣化が大きなMBについてはより小さい量子化幅にて量子化を行うことができるため、符号量の増加を抑制しながら効率的な画質改善を行なうことができる。
【0049】
(他の実施形態)
なお、上述の実施形態においては、符号化による画質劣化の度合いを表す客観的な指標として、PSNR値を用いた例を説明した。しかし、符号化による画質劣化の度合いを表すことが可能であれば、他の指標を用いることが可能であることは言うまでもない。
例えば、単に符号化前の画像データと復号後の画像データの差分を用いることも可能である。
【0050】
上述の実施形態は、システム或は装置のコンピュータ(或いはCPU、MPU等)によりソフトウェア的に実現することも可能である。
【0051】
従って、上述の実施形態をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給されるコンピュータプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、上述の実施形態の機能を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
【0052】
なお、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能であれば、どのような形態であってもよい。例えば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等で構成することができるが、これらに限るものではない。
【0053】
上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、記憶媒体又は有線/無線通信によりコンピュータに供給される。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、MO、CD、DVD等の光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリなどがある。
【0054】
有線/無線通信を用いたコンピュータプログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバを利用する方法がある。この場合、本発明を形成するコンピュータプログラムとなりうるデータファイル(プログラムファイル)をサーバに記憶しておく。プログラムファイルとしては、実行形式のものであっても、ソースコードであっても良い。
【0055】
そして、このサーバにアクセスしたクライアントコンピュータに、プログラムファイルをダウンロードすることによって供給する。この場合、プログラムファイルを複数のセグメントファイルに分割し、セグメントファイルを異なるサーバに分散して配置することも可能である。
つまり、上述の実施形態を実現するためのプログラムファイルをクライアントコンピュータに提供するサーバ装置も本発明の一つである。
【0056】
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを暗号化して格納した記憶媒体をユーザに配布し、所定の条件を満たしたユーザに、暗号化を解く鍵情報を供給し、ユーザの有するコンピュータへのインストールを可能とすることも可能である。鍵情報は、例えばインターネットを介してホームページからダウンロードさせることによって供給することができる。
【0057】
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、すでにコンピュータ上で稼働するOSの機能を利用するものであってもよい。
【0058】
さらに、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、その一部をコンピュータに装着される拡張ボード等のファームウェアで構成してもよいし、拡張ボード等が備えるCPUで実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の一例としての動画像記録装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る動画像記録装置で表示する合成画像の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る動画像記録装置におけるフレームメモリの管理の例を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る動画像記録装置におけるフレームメモリの管理の別の例を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の一例としての動画像記録装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る動画像記録装置が表示する合成画像の一例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置の一例としての動画像記録装置の構成例を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された画像データを不可逆符号化する符号化手段と、
前記符号化された画像データの、前記入力された画像データに対する劣化度合いを検出する劣化検出手段と、
前記入力された画像データもしくは前記符号化された画像データと、前記劣化検出手段により検出された劣化度合いを示す情報とを、表示装置に表示する表示手段とを備える画像処理装置。
【請求項2】
前記表示手段が、前記劣化度合いを示す情報を、前記入力された画像データもしくは前記符号化された画像データを復号した画像データと重畳表示することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記劣化検出手段は、前記入力された画像データまたは符号化された画像データを複数の領域に分割し、前記複数の領域毎に前記劣化度合いを検出すると共に、前記表示手段は前記入力された画像データまたは前記符号化された画像データを復号した画像データにおける各領域に対応した位置に前記各領域の劣化度合いの情報を重畳して表示することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記劣化検出手段は、前記符号化手段により符号化された画像データを局部復号する復号手段を有し、前記局部復号された画像データと符号化前の前記画像データとの差分に基づいて前記劣化の度合いを検出することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
さらに、前記符号化された画像データを記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録媒体に記録可能な残り時間を推定する推定手段とを有し、
前記表示手段が、前記入力された画像データもしくは前記符号化された画像データを復号した画像データと、前記劣化検出手段により検出された劣化度合いを示す情報に加え、前記推定手段が推定した残り時間を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
ユーザによる画質調整指示に応答して、前記符号化手段が出力するデータ量を制御する符号量制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記符号量制御手段が、前記劣化検出手段から前記劣化度合いを取得し、前記画質調整指示に応じた劣化度合いであるか否かに応じて前記データ量を制御することを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像データを入力する入力ステップと、
前記入力手段により入力された画像データを不可逆符号化する符号化ステップと、
前記符号化された画像データの、前記入力された画像データに対する劣化度合いを検出する劣化検出ステップと、
前記入力された画像データもしくは前記符号化された画像データと、前記劣化検出手段により検出された劣化度合いを示す情報とを、表示装置に表示する表示ステップとを備える画像処理方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図2】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−318259(P2007−318259A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143383(P2006−143383)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】