説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】番号入力ミスや登録済みFAX番号の選択ミスに伴うファクシミリの誤送信を極力防止できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、送信するファクシミリデータを記憶するファクシミリデータ記憶手段と、前記ファクシミリデータ記憶手段に記憶されるファクシミリデータを送信するファクシミリデータ送信手段と、前記ファクシミリデータ記録手段に記憶されるファクシミリデータを前記ファクシミリデータ送信手段によって送信する承認を取得する送信承認取得手段と、ファクシミリデータの送信を承認するユーザーを登録するユーザー登録手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置やファクシミリ機能を有する複合機などの画像処理装置に係り、より詳細にはパーソナルコンピュータなどとネットワークを介して接続され、当該コンピュータからのコマンドによって当該コンピュータ上のデータをファクシミリ送信する画像処理装置、またこのような画像処理装置内部における画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置やファクシミリ機能を有する複合機などは、その普及に伴って、機能が向上し、ネットワークなどを介してコンピュータが接続され、当該コンピュータによるファクシミリ通信を可能とするファクシミリ装置が出現している。
【0003】
このようなファクシミリ装置においては、従来、ファクシミリ装置を単独でファクシミリ通信動作させるいわゆるスタンドアロンFAXモードと、コンピュータからのコマンドに基づいてファクシミリ通信動作するPCFAXモードと、を備え、いずれのモードで動作させるかをユーザーが設定可能となっている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開平9−130528号公報)には、コンピュータ装置との接続を可能にするインターフェイスを備え、前記コンピュータ装置から送られてくる相手先電話番号データに基づいて相手局と接続し、前記コンピュータ装置から送られてくるデータを受けてそれに対応した信号を相手局に送信することにより、前記コンピュータ装置が保有しているデータを相手局に送信するように構成されたファクシミリ装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−130528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような従来の画像処理装置においては、PCFAXモードでFAX送信を行うときには、相手先のFAX番号を入力したり、或いは登録済みのFAX番号を選択したりしてFAX送信を実行するが、このとき、番号入力ミスや登録済みFAX番号の選択ミスによって、間違った相手に送信されてしまうことがある、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記のような問題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、送信するファクシミリデータを記憶するファクシミリデータ記憶手段と、前記ファクシミリデータ記憶手段に記憶されるファクシミリデータを送信するファクシミリデータ送信手段と、前記ファクシミリデータ記録手段に記憶されるファクシミリデータを前記ファクシミリデータ送信手段によって送信する承認を取得する送信承認取得手段と、ファクシミリデータの送信を承認するユーザーを登録するユーザー登録手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーにファクシミリデータを閲覧可能とすることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーに前記ファクシミリデータ記憶手段に記憶されるファクシミリデータの所在情報を提示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーに前記画像処理装置外に記憶されたファクシミリデータの所在情報を提示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーにファクシミリデータをメールで送付することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザー宛の文書データと、ファクシミリデータとを印刷出力することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記文書データには、ファクシミリデータの送信先と関連したイメージデータが埋め込まれることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る画像処理方法は、送信するファクシミリデータをファクシミリデータ記憶手段に記憶し、ファクシミリデータの送信を承認するユーザーをユーザー登録手段に登録し、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーにファクシミリデータを閲覧可能とし、前記ファクシミリデータ記録手段に記憶されるファクシミリデータを送信する承認を前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーから取得することを特徴とする。
【0014】
以上、本発明の画像処理装置及び画像処理方法によれば、ファクシミリデータ記録手段に記憶されるファクシミリデータをファクシミリデータ送信手段によって送信する承認を取得する送信承認取得手段によって、相手先のFAX番号を入力したり、或いは登録済みのFAX番号を選択したりしたユーザー以外のユーザーから承認を得る環境を整備することができるので、番号入力ミスや登録済みFAX番号の選択ミスに伴うファクシミリの誤送信を極力防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の承認情報記憶部に記憶されている各データの構造を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理装置のPCFAX受信時の処理フローチャートを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像処理装置のPCFAXの承認処理のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像処理装置の承認依頼メールの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像処理装置の処理・動作を模式的に説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像処理装置の処理・動作を模式的に説明する図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像処理装置の処理・動作を模式的に説明する図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像処理装置の処理・動作を模式的に説明する図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像処理装置の処理・動作を模式的に説明する図である。
【図11】本発明の実施形態に係る画像処理装置の処理・動作を模式的に説明する図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置の承認依頼メールの一例を示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置の承認情報記憶部170に記憶されている各データの構造を説明する図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置のPCFAX受信時の処理フローチャートを示す図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置で印刷出力されるカバー文書を説明する図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置の承認依頼メールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては画像処理装置として複合機を例にとり説明するが、本発明はこのような複合機に限らず、プリンタ部やスキャナ部を有するファクシミリ装置にも適用可能なものである。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図である。図1において、10はLAN、WANなどのネットワーク、20は電話回線、100は複合機、110は複合機の主制御を行う制御部、120はファクシミリ文書の送受信を行うファクシミリ部、130は記録媒体への印刷を行うプリンタ部、140は原稿の読み取りを行うスキャナ部、150はユーザーとのインターフェイスとなる操作パネル部、160は通信部、170は承認情報記憶部、200、200'、200''、20
0'''、・・・はパーソナルコンピュータをそれぞれ示している。なお、本明細書におい
ては、ファクシミリ部120、プリンタ部130、スキャナ部140、操作パネル部150それぞれをデバイスなどと称することもある。
【0018】
図1に示される画像処理装置(複合機)周辺のシステムでは、クライアントなどのパーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・と複合機100とがネットワーク10を介して接続される構成となっている。また、複合機100のファクシミリ部120が電話回線20と接続されるような構成とされている。
【0019】
複合機100は、情報処理装置からなる複合機本体の主制御を行う制御部110と、ユーザーの入力操作を受け付ける入出力装置である操作パネル部150と、原稿・画像をスキャンしてカラーで読み込むスキャナ部140と、印刷用紙等に印刷を行うプリンタ部130と、ファクシミリ送受信を行うファクシミリ部120とを備える。つまり、複合機100は、スキャナ機能、印刷機能、スキャナ機能と印刷機能を組み合わせたコピー機能及びファクシミリ送受信機能を備えるものである。
【0020】
複合機100の情報処理機構は、いずれも例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、個々の構成要素または機能は、例えば、記憶手段に書き込まれたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0021】
スキャナ部140は、原稿を載置可能な不図示の原稿台とこれを読み取る光学系からなる。スキャナ部140の原稿台には、原稿台に載置した原稿のサイズを検知することができる原稿サイズ検知センサが設けられている。また、複合機100には、スキャナ部140に自動的に連続的に原稿を送致する構成であるADF(Automatic Document Feeder)を設けるようにしておいてもよい。
【0022】
スキャナ部140によって読み取られた制御部110の不図示の記憶手段に一度取り込まれる。操作パネル部150などからの指定によって制御部110は、スキャナ部140
で読み取られた原稿画像データを、そのまま、或いは設定された倍率でプリンタ部130から紙出力したり(複合機100のコピー機能)、ファクシミリ部120から電話回線を通じて送信したり(複合機100のファクシミリ機能)、通信部160、ネットワーク10を介して、パーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・に向けて送信したり(複合機100のスキャナ機能)する。
【0023】
コピー機能を利用するときの複合機100のモードを「コピーモード」と定義し、ファクシミリ機能のうちファクシミリ送信機能を利用するときの複合機100のモードを「ファクシミリ送信モード」と定義し、スキャナ機能を利用するときの複合機100のモードを「スキャンモード」と定義する。また、特にパーソナルコンピュータ200、200'
、200''、200'''、・・・からのコマンドに基づいて、パーソナルコンピュータ上
で動作するアプリケーションで作成した文書等のデータをファクシミリ送信する機能を「PCFAXモード」と定義する。
【0024】
プリンタ部130は、記録用紙上に画像を形成するものであり、レーザーやLEDラインヘッドによって感光体上に潜像を形成する方式を採用した電子写真方式や、記録用紙上に直接インクを射出する方式を採用したインクジェット方式などの周知のハードウエア構成を用いることができる。制御部110は、操作パネル部150やパーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・からの指示に基づいて、プリンタ部130に所定の紙出力を行わせるものである。すなわち、プリンタ部130は、スキャナ部140によって読み取られた画像データやファクシミリ部210で受信されたファクシミリデータや、パーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・上で動作するアプリケーションソフトウエアからのデータなどを紙出力するものである。
【0025】
ファクシミリ部120は、電話回線20と接続されていて、ファクシミリの送受信を行うファクシミリ送受信部(不図示)と、ファクシミリ送受信部が送信するための送信データを一時記憶する送信バッファ及びファクシミリ送受信部が受信した受信データを一時記憶する受信バッファを構成するためのファクシミリ部用のメモリを備えている。
【0026】
また、ファクシミリ部120は、電話回線20からファクシミリ送信されてきたデータを受信すると、その受信データを一旦格納する。そして、格納された受信データは、制御部110へ送られて、プリンタ部130で印刷される。ファクシミリ部120は、複合機100内の他の構成とは独立にファクシミリ送受信を行う。つまり、ファクシミリ部120は、複合機100から送信データを受け付けると、複合機100とは独立にファクシミリ送信を行うし、電話回線20からファクシミリデータが送信されてくれば、それを受信する。
【0027】
複合機100のコピー機能は、ユーザーの操作パネル部150の操作によって制御部110に設定される。操作パネル部150からは、コピー機能に係るコピー倍率の設定、原稿画像サイズの設定、出力用紙のサイズの設定を行うことができ、制御部110はこれらの設定に基づいて、複合機100のコピー機能を実行する。複合機100のコピー機能は、スキャナ部140にて読み取った原稿の原稿画像データに、コピー倍率処理を施し、これをプリンタ部130で指定されたサイズの用紙に紙出力する。
【0028】
操作パネル部150のハードウエアは、操作に係わる表示を行うLCDからなる表示部と、指などによる押圧で入力が行えるボタンスイッチ、十字キーとから概略構成され、ユーザーは表示部の表示を参照してこれらのボタンスイッチ、十字キーを操作することで複合機100の各種設定を行うことができるようになっている。この操作パネル部150で行うことができるのは、複合機100のファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能といった各種機能の選択や、装置の設定などである。
【0029】
承認情報記憶部170は、複合機100の制御部110が、PCFAXモードにおける送信承認取得動作を行うときに参照するための各種データを記憶するためのハードディスクドライブなどのデータ蓄積手段である。ここで、送信承認取得動作とは、PCFAXモードでファクシミリ送信を行おうとしたユーザーとは異なるユーザーから、当該ファクシミリ送信の可否の承認を取得する動作である。
【0030】
従来の画像処理装置においては、PCFAXモードでFAX送信を行うときには、相手先のFAX番号の入力時、或いは登録済みのFAX番号の選択時、番号入力ミスや登録済みFAX番号の選択ミスによって、間違った相手に送信されてしまうことがある、という問題があったが、本発明の画像処理装置では、送信承認取得動作を行うことによって、相手先のFAX番号を入力したり、或いは登録済みのFAX番号を選択したりしたユーザー以外のユーザーから承認を得る環境を整備することができるので、番号入力ミスや登録済みFAX番号の選択ミスに伴うファクシミリの誤送信を極力防止することが可能となるのである。
【0031】
次に、承認情報記憶部170に記憶されている各データと、本発明に係る画像処理装置が実行する送信承認取得動作の詳細について説明する。図2は本発明の実施形態に係る画像処理装置の承認情報記憶部170に記憶されている各データの構造を説明する図である。図2(A)はネットワーク10を介して複合機100に接続された各パーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・を利用する各ユーザーに関する情報が記憶されるユーザーデータテーブルである。このようなユーザーデータテーブルには、例えば「ID」、「ユーザー名」、「メールアドレス」、「使用PC」などの項目のデータを記憶する。これらのユーザーは、自ら複合機100のPCFAXモードでファクシミリを送る送信者でもあるし、また、他のユーザーが送信しようとしているファクシミリデータをチェックして承認する承認者でもある。複合機100やパーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・には一般的なメールを行うためのアプリケーションが搭載されており、ユーザーそれぞれにメールアドレスが発効されている。また、ユーザーが使用するパーソナルコンピュータについては一応「使用PC」としてテーブル化されているが、ユーザーが各自のパーソナルコンピュータのみを専用利用しなければならないわけではない。
【0032】
図2(B)はファクシミリ送信案件1件毎を管理するためのファクシミリデータ管理テーブルであり、「受付番号」、「日時」、「送信元メールアドレス」、「送信先FAX番号」、「データ格納アドレス」、「承認要否」、「承認/非承認」などの項目を記憶している。「受付番号」はPCFAXモードでパーソナルコンピュータから受信した案件の通し番号のようなデータであり、「日時」は案件を受信した日時に係るデータであり、「送信元メールアドレス」は案件を送信したユーザーのメールアドレスに係るデータであり、「送信先FAX番号」は当該案件の送信先のファクシミリ番号に係るデータであり、「データ格納アドレス」は送信するファクシミリデータ本体を記憶する所在位置に係るデータであり、「承認要否」は送信する案件について承認が必要であるか否かに係るデータであり、「承認/非承認」はその案件について承認がなされたか否かに係るデータである。
【0033】
図2(C)はファクシミリデータ本体を格納するファクシミリデータテーブルであり、項目の「データ格納アドレス」はファクシミリデータが所在する位置情報であり、「FAXデータ」はファクシミリデータ本体である。「データ格納アドレス」は例えばURLのような形態の情報でもよいし、また、ファクシミリデータ本体を格納する場所としては、ネットワーク10上に接続される複合機100外のサーバー(不図示)のような場所であっても構わない。
【0034】
図2(D)は、ユーザーに対して承認依頼のメールを送信した後、ユーザーから承認又は非承認の応答メールが返されるが、この応答メールを受信し格納しておく受信ボックスである。
【0035】
以上のように構成される画像処理装置のPCFAXモード時の処理について説明する。図3は本発明の実施形態に係る画像処理装置のPCFAX受信時の処理フローチャートを示す図である。所定ユーザーからのPCFAXの受信と共にステップS100で処理が開始されると、次にステップS101に進み、第3者による承認が必要であるか否かの判定が実行される。このような承認の要否は予め設定されるものである。例えば、承認の要否はユーザー自身が指定するようにしてもよい。また、ファクシミリ送信するときには必ず承認をうけるユーザーなどを決めておき、そのようなユーザーからのファクシミリ送信案件は全て承認を「要」とするように設定してもよい。
【0036】
ステップS101における判定結果がNOであるときにはステップS102に進み、PCFAXデータを承認情報記憶部170に格納し、次のステップ103でPCFAXデータを送信先に対して送信し、ステップS106で処理を終了する。
【0037】
一方、ステップS101における判定結果がYESであるときには、ステップS104に進み、PCFAXデータを承認情報記憶部170に格納し、次のステップS105で承認依頼メール送信の処理を実行し、ステップS106で処理を終了する。
【0038】
ステップS105で承認依頼メール送信の処理を実行するが、このときの承認依頼メールの内容について説明する。図5は本発明の実施形態に係る画像処理装置の承認依頼メールの一例を示す図である。また、図6はユーザー名(UN2)のユーザーが承認によるファクシミリ送信を行おうとして、複合機100にPCFAXのデータを送信したときの処理を模式的に説明する図である。図7は複合機100がユーザー名(UN2)以外のユーザー(ユーザー名:UN1、UN3、UN4、UN5)に対して、承認依頼のメールを送信するときの処理を模式的に説明する図である。
【0039】
図6に示すようにステップS100で、ユーザー(UN2)がPCFAXモードによる承認付きファクシミリ送信を行おうとすると、ステップS105では、図7に示すような形態で、そのユーザー以外のユーザーに承認依頼のメールが送信される。この承認依頼メールの具体的な内容が図5に示されるようなものである。図5に示されるように承認依頼メールでは、送信するファクシミリデータの所在位置であるURL情報を報知し、送信ファクシミリデータの確認を促し、承認又は非承認の応答メールの返信を依頼するような文面となっている。なお、承認依頼メールには、「承認ボタン」及び「非承認ボタン」を埋め込んでおき、それらのボタンをクリックするだけで応答メールの返信ができるように設定されていると、ユーザーにとっては返信しやすいので、より高確率で承認・非承認の判定を得ることが期待できる。
【0040】
次に、画像処理装置のPCFAXモードにおける承認処理について説明する。図4は本発明の実施形態に係る画像処理装置のPCFAXの承認処理のフローチャートを示す図である。このような承認処理は、適当な時間間隔で画像処理装置内部において定期的に実行される処理ルーチンである。
【0041】
図4において、ステップS200で承認処理がスタートすると、次にステップS201に進み、承認情報記憶部170のファクシミリ管理データテーブルから承認応答が未受領である案件を取得する。次のステップS202では、応答メール受信ボックス(図2(D))から未開封のメールを取得する。
【0042】
ステップS203では、応答未受領案件と開封した応答メールとの照合処理を行う。承認応答が確認できたものは承認情報記憶部170のファクシミリ管理データテーブルを更新する。
【0043】
ステップS204では、上記照合処理により得られた案件についての応答メールが承認であるか否かが判定される。ステップS204における判定がNOであるときには、ステップS205に進み、承認が終了した旨のメールを承認依頼したユーザーに送信し、ステップS206で、当該案件のFAX送信をしようとしたユーザーに対してファクシミリの送信が非承認であった旨のメールを送信する。ステップS207では全ての案件について終了したか否かが判定され、判定がYESであればステップS212に進み処理を終了し、判定がNOであれば再びステップ203を実行する。
【0044】
ステップS204における判定がYESであるときには、ステップS208に進み、承認が終了した旨のメールを承認依頼したユーザーに送信する。このときの処理の様子を模式的に示す図が図9である。図9は複合機100が、送信ユーザー(UN2)以外の、承認依頼ユーザー(UN1、UN3、UN4、UN5)に対して、承認が完了した旨のメールを送信するときの処理を模式的に説明する図である。
【0045】
ステップS209では、指定された送信先相手に、承認情報記憶部170のファクシミリデータテーブルに記憶されているファクシミリデータを送信する。図10は複合機100が指定された送信先にファクシミリデータを送信する処理を模式的に示している。
【0046】
ステップS210では、指定された送信先へのファクシミリ送信が成功したか否かが判定される。ステップS210の判定がNOであるときにはステップS212に進み、後でリトライする処理を行う。このよう処理技術は公知のものを用いることができるので詳細については省略する。
【0047】
また、ステップS210の判定がYESであるときにはステップS211に進み、当該案件のファクシミリを送信しようとしていたユーザーに対してFAX送信が完了した旨の通知メールを送信する。図11は複合機100が送信ユーザー(UN2)に対して、FAX送信完了通知メールを送信するときの処理を模式的に説明する図である。ステップS210に続いてはステップS207に進む。
【0048】
以上のように、本発明の複合機100では、ファクシミリ送信ユーザー(UN2)以外の、第3者である承認依頼ユーザー(UN1、UN3、UN4、UN5)に対して承認依頼メールを通知して、後者のユーザーから承認を得た上でファクシミリ送信を実行するような環境を提供するものである。本発明は、このような送信承認取得動作を行うことによって、相手先のFAX番号を入力したり、或いは登録済みのFAX番号を選択したりしたユーザー以外のユーザーから承認を得る環境を整備することができるので、番号入力ミスや登録済みFAX番号の選択ミスに伴うファクシミリの誤送信を極力防止することが可能となる。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の実施形態では、承認依頼メールにおいて、送信するファクシミリデータのURL情報などの所在位置を報知することによって、承認依頼ユーザーにデータの確認してもらうようになっていたが、本実施形態では、承認依頼メールに当該ファクシミリデータを添付してメールで送信し、承認依頼ユーザーにデータの確認してもらうように構成するものである。このようなメールに添付するファクシミリデータとしては、PDFファイル化したもの、或いはJPEGファイル化したものなどを用いることができる。図12は本発明の他の実施形態に係る画像処理装置の承認依頼メールの一例を示す図である。図12に示すような形態で添付ファイルが付されたメ
ールを承認依頼ユーザーが確認することによって、本実施形態でも先の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0050】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は先の実施形態と同様の複合機100を用いることができるが、承認情報記憶部170で記憶するデータの構造が一部異なっている。そこで、まず、この承認情報記憶部170におけるデータ構造の違いについて説明する。図13は本発明の他の実施形態に係る画像処理装置の承認情報記憶部170に記憶されている各データの構造を説明する図である。
【0051】
図13(A)はネットワーク10を介して複合機100に接続された各パーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・を利用する各ユーザーに関する情報が記憶されるユーザーデータテーブルである。このようなユーザーデータテーブルには、例えば「ID」、「ユーザー名」、「メールアドレス」、「承認者」などの項目のデータを記憶する。「承認者」は、他のユーザーが送信しようとしているファクシミリデータをチェックして承認するユーザーでもあり、このように予め設定されているのが運用上好ましい。
【0052】
図13(B)は「送信先FAX番号」、「相手先名称」、「登録イメージデータ」の各項目を記憶するファクシミリ管理データテーブルである。「送信先FAX番号」は送信先のファクシミリ番号に係るデータであり、「相手先名称」は当該番号に対応した送信先の名称に係るデータであり、「登録イメージデータ」は当該番号に対応した送信先のイメージに係るデータである。このイメージデータとして、本実施形態では送信先の社屋などのイメージデータが登録されている例に基づいて説明するが、本発明で用いるイメージデータとしてはこのようなものに限定されず、例えば、送信先の地図のイメージデータや、送信先の担当者の写真などのイメージデータであってもよい。要は、承認者が送信先のイメージを喚起しやすい画像データであれば、どのようなものであってもよい。
【0053】
以上のように構成される他の実施形態に係る画像処理装置のPCFAXモード時の処理について説明する。図14は本発明の他の実施形態に係る画像処理装置のPCFAX受信時の処理フローチャートを示す図である。
【0054】
所定ユーザーからのPCFAXの受信と共にステップS300で処理が開始されると、次にステップS301に進み、第3者による承認が必要であるか否かの判定が実行される。このような承認の要否は予め設定されるものである。例えば、承認の要否はユーザー自身が指定するようにしてもよい。また、ファクシミリ送信するときには必ず承認をうけるユーザーなどを決めておき、そのようなユーザーからのファクシミリ送信案件は全て承認を「要」とするように設定してもよい。
【0055】
ステップS301における判定結果がNOであるときにはステップS302に進み、PCFAXデータを送信先に対して送信し、ステップS308で処理を終了する。
【0056】
一方、ステップS301における判定結果がYESであるときには、ステップS303に進み、承認情報記憶部170のユーザーデータテーブルを参照して承認者であるユーザーのユーザー名(図13の例ではUN3)を取得する。続く、ステップS304では、承認情報記憶部170のファクシミリ管理データテーブルを参照して、送信先の登録イメージデータを取得する。
【0057】
ステップS305では、上記ステップS303、S304で取得されたデータなどに基づいて、カバー文書データを作成し、ステップS306では、カバー文書データとユーザーが送信しようとしているデータとを一緒に印刷出力する。
【0058】
ここで、カバー文書データに基づいて印刷されるカバー文書について説明する。図15は本発明の他の実施形態に係る画像処理装置で印刷出力されるカバー文書を説明する図である。カバー文書は、先の実施形態における承認依頼メールに相当するようなものであり、承認を依頼する人への連絡票として機能するものである。このカバー文書には、当該カバー文書に添付されているファクスデータの印刷出力の確認を依頼する旨が表記されている。また、この例では、ファクシミリを送信しようとしているユーザーUN2によるファクスデータの印刷出力を、承認者であるユーザーUN3に、確認依頼する形となっている。また、カバー文書には、送信先の名称、送信先のFAX番号が記載され、さらに送信先のイメージデータが印刷出力されるようになっており、承認者が送信先についてイメージを把握しやすくし、より的確な承認を行い得るようにしている。
【0059】
ステップS306に続くステップS307では、承認依頼メールを承認者であるユーザーに送信する。図16はこのような承認依頼メールの一例を示す図である。図16に示すように、当該メールには、「お手数ですが、MFP001の排紙ビン3に印刷出力されている送信FAX文書のご確認をお願いいたします。」などの連絡事項が記載されている。なお、本実施形態では、承認者は物理的な承認を行うようになっている。ステップS308で、処理を終了する。
【0060】
以上のように、他の実施形態に係る複合機100では、カバー文書によって第3者である承認依頼ユーザー(UN3)にファクシミリデータの確認を行ってもらうような環境を提供するものである。本実施形態では、これにより、相手先のFAX番号を入力したり、或いは登録済みのFAX番号を選択したりしたユーザー以外のユーザーから承認を得る環境を整備することができるので、番号入力ミスや登録済みFAX番号の選択ミスに伴うファクシミリの誤送信を極力防止することが可能となる。
【0061】
なお、本明細書においては、種々の実施の形態について説明したが、それぞれの実施の形態の構成を適宜組み合わせて構成された実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0062】
10・・・ネットワーク、20・・・電話回線、100・・・複合機、110・・・制御部、120・・・ファクシミリ部、130・・・プリンタ部、140・・・スキャナ部、150・・・操作パネル部、160・・・通信部、170・・・承認情報記憶部、200、200'、200''、200'''、・・・パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信するファクシミリデータを記憶するファクシミリデータ記憶手段と、
前記ファクシミリデータ記憶手段に記憶されるファクシミリデータを送信するファクシミリデータ送信手段と、
前記ファクシミリデータ記録手段に記憶されるファクシミリデータを前記ファクシミリデータ送信手段によって送信する承認を取得する送信承認取得手段と、
ファクシミリデータの送信を承認するユーザーを登録するユーザー登録手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーにファクシミリデータを閲覧可能とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーに前記ファクシミリデータ記憶手段に記憶されるファクシミリデータの所在情報を提示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーに前記画像処理装置外に記憶されたファクシミリデータの所在情報を提示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーにファクシミリデータをメールで送付することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記送信承認取得手段は、前記ユーザー登録手段に登録されたユーザー宛の文書データと、ファクシミリデータとを印刷出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記文書データには、ファクシミリデータの送信先と関連したイメージデータが埋め込まれることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
送信するファクシミリデータをファクシミリデータ記憶手段に記憶し、
ファクシミリデータの送信を承認するユーザーをユーザー登録手段に登録し、
前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーにファクシミリデータを閲覧可能とし、
前記ファクシミリデータ記録手段に記憶されるファクシミリデータを送信する承認を前記ユーザー登録手段に登録されたユーザーから取得することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−187173(P2010−187173A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29470(P2009−29470)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】