説明

画像処理装置

【課題】登録されたユーザ毎に、各々の設定情報を書き換え設定したり、省電力モードを解除させることのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】ユーザが携帯するICタグとの間で所定の通信手順で情報を送受する無線ICタグリーダと、この無線ICタグリーダで読み取った情報に基づいて、装置が機能するための設定情報を書き換え設定する信号処理部を備えた画像処理装置であって、ICタグには、ユーザの識別情報を記憶させていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置などの画像処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ファクシミリ装置などの画像処理装置が広く使用されており、ICタグリーダを内蔵させ、ユーザの所有するIDタグの識別情報を認証することにより、装置の使用権限を識別し、装置使用に応じた課金管理をする技術が、下記特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2002−132726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような技術は、装置の使用権限を識別し、課金管理をするのみであるため、ICタグリーダとICタグとを用いて、ユーザ毎に、短縮ダイヤル設定情報、ワンタッチ設定情報、親展受信の可否情報などのユーザ単位での設定情報を使用できるようにすれば便利である。
【0004】
一方、省電力の観点から、装置が未使用の場合には省電力モードになる装置もある。このものは、キー操作やプラテンカバーの開閉、センサによる人体検出があったとき、省電力モードから通常モードに移行するようになっている。この技術は、上記特許文献2に開示されている。しかしながら、このような技術では、近づいてくるユーザの識別をしない。
【0005】
したがって、本発明では、登録されたユーザ毎に、各々の設定情報を書き換え設定したり、省電力モードを解除させることのできる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために提案される請求項1では、ユーザが携帯するICタグとの間で所定の通信手順で情報を送受する無線ICタグリーダと、この無線ICタグリーダで読み取った情報に基づいて、装置が機能するための設定情報を書き換え設定する信号処理部を備えた画像処理装置であって、ICタグには、ユーザの識別情報を記憶させていることを特徴とする。
【0007】
請求項2では、ユーザの識別情報に対応させて、そのユーザにカスタマイズされた設定情報を登録する手段を備えた画像処理装置。
【0008】
請求項3では、ユーザにカスタマイズされた設定情報は、短縮ダイヤル設定情報、ワンタッチキー設定情報、親展受信の可否情報のいずれかを少なくとも含んでいる。
【0009】
請求項4では、信号処理部は、省電力モードの実行時において、上記無線ICタグリーダが、無線ICタグから登録されているユーザの識別情報を読み取ったときには、省電力モードを自動解除する。
【0010】
請求項5では、ICタグには、ユーザの識別情報に対応させて、そのユーザにカスタマイズされた設定情報が登録されており、ICタグリーダは、識別情報と設定情報とを読み取り、これを信号処理部に転送する。
【0011】
ここに、設定情報はユーザごとにICタグに登録されている。請求項1〜3では設定情報は装置に登録される。ここでは、ICタグの識別情報、設定情報を読み取り信号処理部に転送する。信号処理部ではこれらを受け、ユーザ毎の設定情報を書き換え設定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、請求項1では、ICタグにはユーザの識別情報が登録されており、装置のICタグリーダがICタグの識別情報を読み取ったときには、装置が機能するための設定情報を書き換え設定するので、利便にできる。
【0013】
請求項2では、ユーザの識別情報に対応させて、そのユーザにカスタマイズされた設定情報を登録する手段を備えているので、ICタグにはユーザの識別情報を登録しておくだけで、装置ではユーザ毎の設定情報を書き換え設定でき、利便にできる。
【0014】
請求項3では、ユーザにカスタマイズされた設定情報は、短縮ダイヤル設定情報、ワンタッチキー設定情報、親展受信の可否情報のいずれかを少なくとも含んでいるので、ユーザ毎に、これらの情報の少なくとも1つを、装置において書き換え設定できる。
【0015】
請求項4では、信号処理部は、省電力モードの実行時において、無線ICタグリーダが、無線ICタグから登録されているユーザの識別情報を読み取ったときには、省電力モードを自動解除するので、登録されているユーザが使用するときのみ、省電力モードを解除でき、利便にできる。
【0016】
請求項5では、ICタグには、ユーザの識別情報に対応させて、そのユーザにカスタマイズされた設定情報が登録されており、ICタグリーダは、識別情報と設定情報とを読み取り、これを信号処理部に転送するので、装置には、ユーザ毎の設定情報を登録しておく必要がなく、メモリ容量の削減ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の画像処理装置の基本構成の一例を示すブロック図である。なお、ここでは、画像処理装置の一例として、ファクシミリ装置Fの構成を示しているが、この例には限られず、ICタグリーダを備え、ICタグからの無線信号を受信できるものであれば、何を用いてもよい。
【0019】
このファクシミリ装置Fは、信号処理部を構成し、このファクシミリ装置Fを制御するMPU1と、電話回線Lの接続制御をするNCU2と、ファクシミリ通信に必要な各種信号の変復調をするモデム3と、画像データの符号化、復号を行うコーデック4と、セットされた原稿を読み取り、画像データを生成するスキャナ5と、画像データを、予めセットされた記録紙に印字出力するプリンタ6と、操作表示部7と、このファクシミリ装置Fが動作するのに必要なプログラムを記憶するROM8と、短縮ダイヤルなどを記憶し、後述する個人設定テーブル9Aと共通設定テーブル9Bとを有するRAM9と、画像データを一時格納する画像メモリ10と、無線ICタグ12より出力される識別情報を読み取る無線ICタグリーダ11とを備える。
【0020】
そして、個人設定テーブル9Aは、例えば、図2に示すような構成としている。すなわち、無線ICタグ12に固有に割り付けられた識別情報(コード)毎に、ユーザ氏名、更には、そのユーザが使用できる設定情報を登録している。ユーザが使用可能な設定情報には、親展受信の可否情報、ワンタッチダイヤル設定、短縮ダイヤル設定のいずれかが少なくとも含まれる。
【0021】
また、このファクシミリ装置Fは、一定時間、ユーザのキー操作や、ICタグ12の接近がなかったときには、自動的に省電力モードに移行する。この手順については公知であるため説明を省略する。更には、ユーザの各々に対応して親展受信原稿を格納する構成としている。
【0022】
このような構成における基本的動作を、図3,4のフローチャートとともに説明する。まず、ICタグリーダ11がICタグ12の識別情報を読み取り、これがMPU1に転送されると、MPU1では識別情報が個人設定テーブル9Aに登録されているか判定する。識別情報が一致すると(100)、省電力モードを実行中であれば解除する(101、102)。一方、省電力モードを実行中でなければ、次の処理に移行する。
【0023】
そして、そのユーザ毎に対応するワンタッチ設定や短縮ダイヤル設定を、個人情報テーブル9Aより判別し、各々書き換え設定する(103,104)。書き換え設定は、例えば、RAM9においてなされる。
【0024】
そして、ユーザ別の書き換え設定した旨を操作表示部7などにおいて報知する(105)。そして、そのユーザに対応して、親展受信原稿があるか判別する(106)。親展受信原稿があれば、個人設定テーブル9Aを参照して、そのユーザに対して、親展受信原稿のプリントがOKであるか判別し(107)、OKであればそれをプリントする(110)。
【0025】
一方、親展受信原稿のプリントがOKでないなら(107)、親展受信原稿がある旨を操作表示部7などで報知し(108)、これに対してプリント指示があれば(109)、親展受信原稿をプリントする(110)。一方、プリント指示がなければ、他のジョブの指定に対して待機する。
【0026】
そして、他のジョブが指定されたら、そのジョブの実行をする(111,112)。更に、ICタグ12が取り除かれたときには(113)、個人別設定から共通設定に復帰させる。つまり、共通設定テーブル9Bを読み取り、これを書き換える(114)。そうして、共通設定画面、つまり、共通の短縮ダイヤル設定やワンタッチダイヤル設定を表示する(115)。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ファクシミリ装置などの画像処理装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の基本構成の一例を示す図
【図2】個人設定テーブルの構成の一例を示す図
【図3】本発明の基本動作について説明するためのフローチャート
【図4】本発明の基本動作について説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0029】
F ファクシミリ装置
1 MPU
9A 個人設定テーブル
9B 共通設定テーブル
11 無線ICタグリーダ
12 無線ICタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯するICタグとの間で所定の通信手順で情報を送受する無線ICタグリーダと、この無線ICタグリーダで読み取った情報に基づいて、装置が機能するための設定情報を書き換え設定する信号処理部を備えた画像処理装置であって、
上記ICタグには、ユーザの識別情報を記憶させていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
ユーザの識別情報に対応させて、そのユーザにカスタマイズされた設定情報を登録する手段を備えた画像処理装置。
【請求項3】
請求項1,2において、
上記ユーザにカスタマイズされた設定情報は、短縮ダイヤル設定情報、ワンタッチキー設定情報、親展受信の可否情報のいずれかを少なくとも含んでいる画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3において、
上記信号処理部は、省電力モードの実行時において、上記無線ICタグリーダが、無線ICタグから登録されているユーザの識別情報を読み取ったときには、省電力モードを自動解除する画像処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4において、
上記ICタグには、ユーザの識別情報に対応させて、そのユーザにカスタマイズされた設定情報が登録されており、上記ICタグリーダは、上記識別情報と設定情報とを読み取り、これを上記信号処理部に転送する画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−80854(P2006−80854A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262277(P2004−262277)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】