画像処理装置
【課題】柔軟かつ簡便に利用できる画像処理装置であって、所望の画像を効果的かつ効率的に出力できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】医用画像撮影装置で撮影された複数の画像が画像処理装置に入力され、その各画像に対して関心領域を指定し、関心領域が内接する矩形の領域を矩形画像として抽出する。矩形画像をフレームに合成する処理を全ての矩形画像に対して行うことにより、矩形画像とフレームとが合成された出力画像を作成し、モニタ、フィルム等に出力する。これにより、所望の画像を効率的かつ効果的にモニタやフィルムに出力することができ、ユーザの視認性を高めることができる。
【解決手段】医用画像撮影装置で撮影された複数の画像が画像処理装置に入力され、その各画像に対して関心領域を指定し、関心領域が内接する矩形の領域を矩形画像として抽出する。矩形画像をフレームに合成する処理を全ての矩形画像に対して行うことにより、矩形画像とフレームとが合成された出力画像を作成し、モニタ、フィルム等に出力する。これにより、所望の画像を効率的かつ効果的にモニタやフィルムに出力することができ、ユーザの視認性を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、特に取得された画像を処理して視認性を向上させる画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設では、医用画像撮像装置で撮影された画像、医用画像診断装置やワークステーション等で作成された画像等がフィルムに出力され又はモニタに表示され、その画像を用いて読影医が観察又は診断をしている。
【0003】
近年、画像診断装置が高性能化し、短時間で長距離の撮影ができるようになったことにより、取り扱う画像枚数が爆発的に増えたことや、三次元やMPR(Multi Planer Reconstruction)などの画像解析技術が高度になったことにより、これらの画像を用いて観察や診断をする機会がますます増えている。
【0004】
このような状況にあって、読影医が観察や診断をするにあたっての視認性、見読性を向上させるために、所望の画像を効果的かつ効率的にモニタに表示したりフィルムに出力したりする工夫が望まれている。
【0005】
特許文献1には、画像の関心領域を指定し、その関心領域を画像出力媒体の最大出力サイズに合わせて変倍する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2002−8005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像出力方法では、複数の画像を一度に扱うことが考慮されていないという問題がある。そのため、1つの媒体を任意の領域に分割して各分割領域に画像を出力する、ということについても考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、柔軟かつ簡便に利用できる画像処理装置であって、所望の画像を効果的かつ効率的に出力できる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の画像処理装置は、複数のフレームがレイアウトされているテンプレートの各フレーム内に複数の画像をそれぞれ合成し、出力画像を作成する医用画像処理装置において、医用画像撮影装置で撮影された複数の画像を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された複数の画像に対して関心領域を指定する関心領域指定手段と、前記複数の画像から前記関心領域指定手段によって指定された関心領域を、その関心領域が内接するトリミング領域にしたがって画像領域として抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって前記複数の画像から抽出された複数の画像領域像を前記テンプレートの各フレーム内に合成して出力画像を作成する合成処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の画像処理装置によれば、医用画像撮影装置で撮影された複数の画像が画像処理装置に入力され、その各画像に対して関心領域を指定し、関心領域が内接する部分を画像領域として抽出する。画像領域をフレームに合成する処理を全ての画像領域に対して行うことにより、画像領域とフレームとが合成された出力画像を作成し、モニタ、フィルム等に出力する。これにより、所望の画像を効率的かつ効果的にモニタやフィルムに出力することができ、ユーザの視認性を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記合成処理手段は、前記複数の画像領域が前記テンプレートの各フレーム内で最大の大きさになるように各画像領域を変倍することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の画像処理装置によれば、合成処理手段は、画像領域がフレームに最大の大きさで表示されるように、画像領域を変倍し、変倍された矩形画像がフレームに合成される。これにより、画像を最適化(例えば、最大化)してフレームに表示することができ、所望の画像をできるだけ大きく表示させることができる。
【0012】
請求項3に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記複数の画像は、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を含み、前記合成処理手段は、前記一連の画像の各関心領域の画像間の撮影倍率が一致するように各矩形画像を変倍することを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の画像処理装置によれば、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像が入力された場合には、合成処理手段は、関心領域の画像間の撮影倍率が一致するように各矩形画像を変倍し、変倍された矩形画像がフレームに合成される。これにより、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像(複数枚の画像)を取り扱う場合において、関心領域の大きさが異なることで腫瘍の大きさが異なる等、観察や読影がしにくく、誤診を招く危険性がある場合においても、一連の画像の関心領域の大きさを揃えることで誤診を招く危険性を低下させることができる。
【0014】
請求項4に記載の画像処理装置は、請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記複数の画像は、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を含み、前記合成処理手段は、前記テンプレートのフレームの中心と前記画像領域の中心とが一致するように各画像領域を各フレーム内に合成することを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の画像処理装置によれば、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像が入力された場合には、合成処理手段は、フレームの中心と画像領域の中心とが一致するように各画像領域を各フレーム内に合成する。これにより、患者の状態が悪く動かすことが困難である等により、被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影せざるを得ない場合等、一連の画像の関心領域の中心位置がずれてしまうことで視認性が低下して観察や読影がしにくい場合においても、一連の画像の関心領域の位置と大きさとを同一にすることで視認性の低下を防ぎ、観察や読影をしやすくすることができる。
【0016】
請求項5に記載の画像処理装置は、請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置において、複数のテンプレートを記憶する記憶手段と、 前記記憶されているテンプレートの中から、前記合成処理手段において画像領域が合成されるテンプレートを選択する選択手段と、を更に備え、前記記憶手段は、フレームの大きさ及び配置を任意に設定することによって作成されたテンプレート及び/又はフレームが水平方向と垂直方向とに規則的に配置されたテンプレートを複数記憶することを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の画像処理装置によれば、フレームの大きさ及び配置を任意に設定することによって作成されたテンプレート及び/又はフレームが水平方向と垂直方向とに規則的に配置されたテンプレートの複数のテンプレートがあらかじめ記憶されており、その中から出力画像を作成する基となるテンプレートを選択して使用する。これにより、様々なテンプレートが用いられる場合においても、その中から最適なテンプレートを使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、柔軟かつ簡便に利用できる画像処理装置であって、所望の画像を効果的かつ効率的に出力できる画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、被検体の断層像を撮影する医用画像撮影装置2、医用画像撮影装置2で撮影された画像等が保存されている画像データベース3、プリンタ4とLAN等のネットワーク1によって接続される。医用画像撮影装置2は、X線CT装置、MR装置、超音波撮影装置等の被検体の断層像を撮影可能な装置により構成される。本実施の形態では、X線CT装置によって、被検体の頭部又は腹部の断層像が撮影された場合を例に説明する。
【0021】
画像処理装置10は、主として、各構成要素の動作を制御する制御装置としての中央処理装置(CPU)11と、装置の制御プログラムが格納されたり、プログラム実行時の作業領域となったりする主メモリ12と、オペレーティングシステム(OS)、周辺機器のデバイスドライブ、各種アプリケーションソフト等が格納される磁気ディスク13と、表示用データを一時記憶する表示メモリ14と、この表示メモリ14からのデータに基づいて画像を表示するCRTモニタ、液晶モニタ等のディスプレイ15と、操作者が指示を入力するためのキーボード16と、ディスプレイ15上のソフトスイッチを操作するためのマウス17と、マウス17の状態を検出してディスプレイ15上のマウスポインタの位置やマウス17の状態等の信号をCPU11に出力するコントローラ18と、上記各構成要素を接続する共通バス19とから構成される。
【0022】
画像処理プログラムとして、磁気ディスク13には、画像診断装置等で作成した画像をモニタに表示するためのプログラム(ビューワ)、及び画像をフィルムに出力するプログラム(フィルミング)が格納されている。CPU11は、上記プログラム(ビューワ又はフィルミング)を磁気ディスク13から読み出して主メモリ12にロードし、実行する。
【0023】
ビューワは、磁気ディスク13又は画像データベース3に格納されている画像やその付帯情報を主メモリ12に読み込み、それらのデータを主メモリ12に展開する。そして、ビューワは、主メモリ12に展開したデータ、主メモリ12に展開したデータを基に作成された表示データ等をディスプレイ15上に出力して表示させたり、画像を解析して主メモリ12に展開したデータを更新したり、解析したデータを磁気ディスク13に保存したりすることができる。ディスプレイ15で表示された画像は、ネットワーク1を介して別の画像診断装置やワークステーションに転送することができる。転送された画像は、別の画像診断装置やワークステーションで受信され、その画像が画面に表示されたり画像処理されたりする。
【0024】
フィルミングは、磁気ディスク13又は画像データベース3に格納されている画像やその付帯情報を主メモリ12に読み込み、それらのデータを処理してフィルムデータを作成する。そして、そのフィルムデータを磁気ディスク13又は主メモリ12に保存したり、ディスプレイ15上に表示したり、ネットワーク1を介して接続されているプリンタ4に出力したりすることができる。ネットワーク1を介してプリンタ4に転送されたフィルムデータは、フィルムや紙等の媒体に印刷される。
【0025】
なお、本実施例では、主メモリ12以外の記憶装置として磁気ディスク13が接続されているが、磁気ディスク13以外の記憶装置として、例えば、画像処理装置10に内蔵又は外付けされたメモリ、取り出し可能な外部メディアに対してデータの書き込みや読み出しを行う装置、外部記憶装置とネットワークを介してデータを送受信する装置等を適用してもよい。
【0026】
上記のように構成された画像処理装置においては、(1)診断上有用な関心領域を抜き出す(トリミングと同義)、(2)抜き出された画像領域をビューワまたはフィルミングの画像表示領域(フレーム)に合わせて変倍してフレームと合成する、の2つの手段により、所望の画像を効果的かつ効率的にモニタに表示させるためのデータ(表示データ)又はフィルムに出力するためのデータ(フィルムデータ)が作成される。以下、上記2つの手段について順番に説明する。なお、以下に説明する上記2つの手段における処理は、キーボード16等により処理を行う対象となる画像が選択され、CPU11にその選択された画像について画像処理を行う旨の指示が入力された後に、CPU11によって行われる。
【0027】
なお、関心領域は、一般的に多角形や楕円形で指定することが可能であるが、観察や読影をする際、ビューワやフィルミングのフレームは矩形であることが最も視認性が良く、また、無駄な空間が存在しないため、本実施の形態では、関心領域、フレームを矩形として説明する。
【0028】
<診断上有用な関心領域を抜き出す(トリミング)処理について>
関心領域を指定する方法としては、閾値処理と呼ばれる方法により自動的に関心領域を指定する方法、及びユーザが手動で関心領域を指定する方法(自動的に指定した関心領域を調整する方法も含む)の2つがある。なお、閾値処理については、既に公知の様々な方法を使用することができる。
【0029】
まず、自動的に関心領域を指定してトリミングする方法について説明する。
【0030】
[1枚の画像に対して処理を行う場合]
一般的に、X線CT装置やMRI装置、ワークステーションなどで撮影又は作成された画像の関心領域は、画像の中央付近に存在する。そこで、画像の各辺の中央から対辺に向かって所定の閾値を超える画素を走査していき、閾値を超える最も外側の画素を矩形の辺として領域が抜き出される。
【0031】
すなわち、図2に示すように、水平方向の中心位置において、画像の上辺から下方向に所定の閾値を超える最初の画素が探索される。そして、水平方向の中心位置から左右方向に、残りの画素についても同様の作業が行われる。その結果、閾値を超える画素が最も上にある画素位置が、抜き出される関心領域の上辺と設定される。画像の下辺、左辺、右辺についても同様の処理が行われることにより、関心領域の下辺、左辺、右辺が設定される。これにより、図3(a)に示すように、最適な関心領域が指定される。
【0032】
その後、このように指定された関心領域が内接する矩形のトリミング領域にしたがって、矩形の画像領域(矩形画像)が抽出される。本実施の形態では、矩形の関心領域を指定したため、関心領域と矩形画像とは一致した領域となる。
【0033】
これにより、画像が撮影されている部分のみ、すなわち観察したい部分のみをフレーム一杯に表示することができるため、読影しやすい表示データ又はフィルムデータを作成することができる。また、フィルム一杯に画像が印刷されるため、フィルムの無駄を減らすことができる。
【0034】
なお、図3(a)においては、出来るだけ大きな関心領域をとるために、画像が撮影されている領域を抜き出す例について説明したが、閾値を変えることにより、病変部のみを抜き出したり、特定の臓器を抜き出したりすることもできる。
【0035】
[時間的あるいは空間的に関連のある複数枚の画像(一連の画像)に対して処理を行う場合]
時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を扱う場合、視認性・見読性を向上させるために、一連の画像の関心領域を同じ大きさにすることが望まれている。また、回転させた(様々な角度で作成した)一連の三次元画像の位置と大きさを揃えることで視認性を向上させることも望まれている。これは一連の画像の大きさがそれぞれ異なると、画像ごとに腫瘍等の大きさが変わってしまい、誤診を招く危険性があるからである。もちろん、被写体の長さを示す目盛りなどが各フレームに表示されているであろうが、直感的にはわかりにくい。
【0036】
このような場合には、図3(b)に示すように、一連で扱う個々の画像における所定の閾値を越えるすべての画素を抱合する大きさの関心領域が指定される。例えば、一連の画像全てに対して、上記のような角画像に最適な関心領域を指定する処理が行われ、その中で最も大きな関心領域が、一連の画像の関心領域として指定される。その結果、一連の画像すべてに対して関心領域の大きさと位置とを同一にすることができる。
【0037】
これにより、同じシリーズに属する全画像の大きさ又は回転させた複数の三次元画像の大きさを揃えることができるため、読影しやすいという効果がある。なお、指定された関心領域から矩形画像を抽出する方法は、1枚の画像に対して処理を行う場合と同様である。
【0038】
なお、自動的に関心領域を指定する場合において、関心領域を指定する前にトリミング処理を適用する画像の範囲を指定することにより、1枚の画像に対して関心領域を指定するか、一連の画像に対して関心領域を指定するか、全ての画像に対して関心領域を指定するか等を設定することができる。
【0039】
また、自動的に関心領域を指定する場合において、矩形の関心領域を指定した場合について説明したが、楕円形等の矩形以外の形の関心領域を指定した場合には、楕円形等の関心領域が内接する矩形のトリミング領域を矩形画像として抽出することにより、矩形以外の関心領域にも適応することができる。
【0040】
また、自動的に関心領域を指定する場合において、図4に示すように、抜き出された関心領域に余白を設定することも可能である。この場合には、余白を設定すること及び余白の幅をあらかじめ設定しておく。余白を設定することにより視認性を良くすることができる。また、閾値よりわずかに下回った画素部分を関心領域に含むことができる。これによりフレーム画面での編集(後述)が不要になり、より柔軟かつ簡便に表示データまたはフレームデータを作成することができる。
【0041】
次に、ユーザが手動で関心領域を指定する方法について説明する。
【0042】
手動で関心領域を指定する方法は、基本的には、上記方法により自動的に指定された関心領域を修正する場合に用いられる。
【0043】
抜き出された関心領域は、ビューワまたはフィルミングの画像表示領域(フレーム)に出力される(詳細は後述)。しかし、被写体の下に写っているテーブルが関心領域に含まれている等、フレームに出力された関心領域がユーザの希望と異なっている場合が考えられる。このような場合には、フレームに出力された関心領域が以下の方法により手動で調整される。
【0044】
ユーザが、フレームに出力された画像のうち、関心領域を手動で指定したい画像をマウス17等で選択すると、図5に示すように、関心領域指定画面がディスプレイ15に表示される。画面中央の画像表示部には、関心領域が抜き出される前の画像と、関心領域を示す枠とが表示されている。
【0045】
そして、画像表示部の下に表示されるHorizontalメニューやVerticalメニュー等により、又はマウス17等で枠の各線を水平方向及び垂直方向に移動させたり、枠の大きさや位置を変えたりすることにより、枠で囲まれた関心領域が新たな関心領域として指定される。
【0046】
これにより、ユーザが手動で希望する関心領域を指定することができる。例えば、テーブルが写っている画像の場合には、被写体の中心位置が関心領域の中心に対して上に上がるのを防止することができる。また、被写体内部の病変部位等、部分的な関心領域の選択も容易となる。
【0047】
なお、画像表示部の下に表示されるScopeメニューにより手動で関心領域を指定する処理を適用する範囲を指定することにより、1枚の画像に対して関心領域を指定するか、一連の画像に対して関心領域を指定するか、全ての画像に対して関心領域を指定するか等を設定することができる。
【0048】
<抜き出された矩形画像をビューワまたはフィルミングの画像表示領域(フレーム)に合わせて変倍してフレームと合成する処理について>
(1)設定されたテンプレートを読み出す、(2)矩形画像をフレームに合わせて変倍する、(3)矩形画像をフレームに出力する、の3つの手段により、抜き出された矩形画像がフレームに合成された出力画像(表示データ又はフィルムデータ)が作成される。以下、上記3つの手段について順番に説明する。
【0049】
[読み出されるテンプレートを設定する方法について]
テンプレートとは、1つ以上の画像表示領域(フレーム)が配置されているものであり、あらかじめ作成されたものが磁気ディスク13に保存されている。画像を効果的かつ効率的にディスプレイ15又はフィルムに表示するために、データの種類(表示データ又はフィルムデータ)によって異なるテンプレートが作成されている。また、フィルムデータの場合には、フィルムのサイズによっても異なるテンプレートが作成されている。なお、テンプレートには、フレームの大きさ及び配置を任意に設定することによって作成されたテンプレート(図6テンプレート選択画面上段参照、詳細は後述)とフレームが水平方向と垂直方向とに規則的に配置されたテンプレート(図6テンプレート選択画面下段参照)とがある。
【0050】
テンプレートを読み出す場合には、ユーザがデータの種類、フィルムのサイズ等を入力すると、入力されたデータの種類又はフィルムのサイズに該当するテンプレートが磁気ディスク13から読み出され、図6に示すようなテンプレート選択画面がディスプレイ15上に表示される。ユーザが所望のテンプレートを選択して、マウス17等でOKボタンを押すことにより、選択されたテンプレートが設定されたテンプレートとして磁気ディスク13から読み出され、主メモリ12に展開される。
【0051】
テンプレート選択画面に希望するテンプレートが無い場合には、新たなテンプレートを作成することができる。図6に示すようなテンプレート選択画面において、マウス17等でAddボタンを押すことにより、図7に示すようなテンプレート作成画面がディスプレイ15に表示される。
【0052】
図7に示すようなテンプレート作成画面において、テンプレート作成領域は複数のブロックに分割されている。なお、ブロックの大きさは、ブロックサイズ変更領域で選択されたブロックの大きさとなる。テンプレート作成領域において、マウス17等でブロックをドラッグアンドドロップすることにより、フレームの大きさと位置とが決定される。フレームの形状は正方形、長方形が作成できるが、断層像を表示させる場合には横長のフレームを作成し、長尺画像を表示させる場合には縦長のフレームを作成する等、出力したい画像をイメージしてフレームを作成するのが好ましい。なお、作成されたテンプレートは磁気ディスク13に保存され、これ以降に表示されるテンプレート選択画面に追加表示される。
【0053】
これにより、ユーザがフレームのサイズや配置を任意に設定することができる。なお、新規にテンプレートを作成するのみでなく、既に作成されているテンプレートを微調整して新たなテンプレートを作成することもできる。これは、図6に示すようなテンプレート選択画面で、微調整したいテンプレートを選択してModifyボタンを押すことによって可能となる。
【0054】
[矩形画像をフレームに合わせて変倍する方法について]
まず、上記方法により設定されたテンプレートにおける、所定の画像の出力先となるフレームの縦横比を算出する。なお、所定の画像の出力先のフレームは、手動又は自動であらかじめ選択されている。
【0055】
次に、矩形画像の縦横比を変更しないように、かつ矩形画像全体がフレームに表示されるように、矩形画像が変倍される。フレームは任意の縦横比を持つ矩形であり、矩形画像の縦横比とフレームの縦横比とが一致しない場合がある。そこで、図8に示すように、矩形画像の縦横比とフレームの縦横比とが一致しない場合には、矩形画像の辺の長さとフレームの辺の長さとの比を縦と横とで算出し、その比が大きい方を基準として矩形画像が変倍される。これにより、矩形画像全体が必ずフレーム内に収まるように、矩形画像をフレームに合わせて変倍することができる。
【0056】
[矩形画像をフレームに出力する方法について]
上記方法により変倍された矩形画像をフレームに出力する場合には、矩形画像の中心位置とフレームの中心位置とを一致させるようにする。
【0057】
これにより、図8に示すように、変倍された矩形画像の縦横比とフレームの縦横比とが一致しない場合においても、矩形画像がフレームの中央に表示される。なお、図8においては、矩形画像をフレームに合わせて変倍するときに縦方向の長さを基準としたため、フレームの左右に空白ができているが、矩形画像をフレームに合わせて変倍するときに横方向の長さを基準とする場合には、フレームの上下に空白ができるし、矩形画像の縦横比とフレームの縦横比とが一致する場合には、空白は発生しない。
【0058】
ただし、図9(a)に示すように、一連の画像の中に被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影された画像が含まれている場合には、一連の画像の矩形画像の中心位置もずれてしまう。このままの画像をビューワに表示したりフィルムに出力したりすると、矩形画像の配置が不均等になることでユーザのストレスを誘発して視認性が低下する要因となり得る。そこで、図9(b)に示すように、各画像の矩形画像の中心とフレームの中心とを一致させることで、一連の画像の矩形画像の中心位置がずれている場合においても、矩形画像をフレームに均等に配置することができる。
【0059】
次に、抜き出された矩形画像がフレームに合成された出力画像(表示データ又はフィルムデータ)の例について説明する。
【0060】
(例1)
図10は、一つ一つの画像に対して最適な関心領域を指定してフレームに出力する場合を示している。この場合、各画像は出力するフレームに最大サイズで出力することができる。
【0061】
(例2)
図11は、一連の画像の関心領域の大きさを同一にしてフレームに出力する場合を示している。この場合、一連の画像は出力する大きさを揃えて出力することができる。
【0062】
(例3)
図12は、被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影された場合において、一つ一つの画像に対して最適な関心領域を指定し、なおかつ、矩形画像の中心とフレームの中心を一致させてビューワまたはフィルミングのフレームに出力する場合を示している。この場合、各画像は出力するフレームに最大サイズで出力することができ、なおかつ、関心領域の大きさを均等に出力することができる。
【0063】
(例4)
図13は被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影された場合において、一連の画像の関心領域の位置と大きさを同一にし、なおかつ、矩形画像の中心とフレームの中心を一致させてビューワまたはフィルミングのフレームに出力する場合を示している。この場合、一連の画像は出力する大きさを揃えて出力することができ、なおかつ、関心領域の配置を均等にして出力することができる。
【0064】
なお、図13に示す出力画像の例は、上記方法以外に、体軸の中心位置と画像の中心位置を揃えることによっても可能である。以下、体軸の中心位置と画像の中心位置を揃える方法について、図14を用いて説明する。
【0065】
まず、図14(a)に示すように、各画像を閾値処理することにより関心領域が算出され、それぞれの関心領域を含む矩形画像の中心位置が求められる。そして、図14(b)に示すように、算出された矩形画像のうち、縦横それぞれの最大値を持つ矩形画像(最大の矩形画像)が算出され、その中心位置が求められる。最後に、図14(c)に示すように、図14(a)で算出された矩形画像の中心位置と、図14(b)で算出された最大の矩形画像の中心位置とが合わせられる。これにより、撮影時に患者が斜めになっていた場合においても、体軸の中心位置を自動的にフレームの中央に配置することができる。
【0066】
これにより、抜き出された関心領域をビューワまたはフィルミングのフレームに合わせて変倍して、フレームに出力することができる。
【0067】
なお、図10〜図13に示すような出力画像のフレームに表示された関心領域のみを拡大表示することもできる。所定のフレームをマウス17等で選択することにより、図15に示すような、そのフレーム全体が拡大表示されているフレーム画面がディスプレイ15に表示されることにより行われる。
【0068】
本実施の形態によれば、目的に応じた様々なテンプレートを作成し、テンプレート中のフレームに表示したい画像の関心領域(本実施の形態においては、矩形画像と同じ)を変倍(最大化)して表示することで、効率的かつ効果的な表示データ又はフィルムデータを作成することができる。また、表示データ又はフィルムデータを用いることで、ユーザの視認性を高めることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を取り扱う場合には、一連の画像の関心領域の大きさが揃えられた表示データ又はフィルムデータを作成することにより、誤診を招く危険性を低下させることができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、患者の状態が悪く動かすことが困難である場合等、被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影せざるを得ない状況においても、一連の画像の関心領域の位置と大きさを同一にした表示データ又はフィルムデータを作成することで、視認性の低下を防ぎ、観察や読影をしやすくすることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、画像の種類等により、様々なテンプレートの中から最適なテンプレートを使用し、かつ最大化された関心領域を表示させるか、一連の画像に共通の関心領域を表示させるかを選択して表示データ又はフィルムデータを作成することにより、ディスプレイやフィルムなどの限られた領域に、診断上有用な部分である関心領域が大きくかつ効率よく表示された表示データ又はフィルムデータを柔軟かつ簡便に作成することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、関心領域を抜き出した後でその関心領域をフレームに出力することで、表示データ又はフィルムデータを作成したが、表示させる画像や画像診断の目的によっては、自動的に関心領域の抜き出しをしないで、すなわち画像全体を関心領域として画像全体をフレームに出力し、その後改めて手動で関心領域を指定するようにしてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、関心領域をフレームに出力する前に、テンプレートの新規作成及びテンプレートの微調整を行うようにしたが、関心領域をフレームに出力した後で、フレームを分割する線の微調整等のテンプレートの編集ができるようにしてもよい。これは、関心領域が出力されたテンプレートがディスプレイ15などに表示されている場合において、フレームを分割する線をマウス17等で動かす事等によって行われる。これにより、より効率的な表示データ又はフィルムデータをより柔軟かつ簡便に作成することができる。
【0074】
また、本実施の形態では、矩形画像を例にして説明したが、台形、円形などの医用画像が呈する形状となる可能性のある形状は本発明の実施として全て含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】上記画像処理装置10の自動的に関心領域を抜き出す方法を説明する説明図である。
【図3】上記画像処理装置10の自動的に関心領域を抜き出す方法によって抜き出された関心領域を示す図であり、(a)は各画像に最適な関心領域を抜き出した場合を示し、(b)は一連の画像に共通の関心領域を抜き出した場合を示す。
【図4】上記画像処理装置10の関心領域に余白を設定した場合の矩形画像を示す図である。
【図5】上記画像処理装置10の関心領域を手動で指定する場合の表示画面である関心領域指定画面を示す図である。
【図6】上記画像処理装置10の読み出されるテンプレートを設定するテンプレート選択画面を示す図である。
【図7】上記画像処理装置10の新たなテンプレートを作成するテンプレート作成画面を示す図である。
【図8】上記画像処理装置10の関心領域をフレームに合わせて変倍して出力する方法を説明する説明図である。
【図9】上記画像処理装置10の一連の画像の関心領域の中心とフレームの中心を一致させる方法を説明する説明図である。
【図10】上記画像処理装置10の表示データ又はフィルムデータの出力画像の例である。
【図11】上記画像処理装置10の表示データ又はフィルムデータの出力画像の例である。
【図12】上記画像処理装置10の表示データ又はフィルムデータの出力画像の例である。
【図13】上記画像処理装置10の表示データ又はフィルムデータの出力画像の例である。
【図14】上記画像処理装置10の体軸の中心位置と画像の中心位置を揃えることによって図13に示す出力画像を作成する方法を説明する説明図である。
【図15】上記画像処理装置10のフレーム全体が拡大表示されているフレーム画面を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1:ネットワーク、2:医用画像撮影装置、3:画像データベース、4:プリンタ、10:画像処理装置、11:中央処理装置(CPU)、12:主メモリ、13:磁気ディスク、14:表示メモリ、15:ディスプレイ、16:キーボード、17:マウス、18:コントローラ、19:共通バス
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、特に取得された画像を処理して視認性を向上させる画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設では、医用画像撮像装置で撮影された画像、医用画像診断装置やワークステーション等で作成された画像等がフィルムに出力され又はモニタに表示され、その画像を用いて読影医が観察又は診断をしている。
【0003】
近年、画像診断装置が高性能化し、短時間で長距離の撮影ができるようになったことにより、取り扱う画像枚数が爆発的に増えたことや、三次元やMPR(Multi Planer Reconstruction)などの画像解析技術が高度になったことにより、これらの画像を用いて観察や診断をする機会がますます増えている。
【0004】
このような状況にあって、読影医が観察や診断をするにあたっての視認性、見読性を向上させるために、所望の画像を効果的かつ効率的にモニタに表示したりフィルムに出力したりする工夫が望まれている。
【0005】
特許文献1には、画像の関心領域を指定し、その関心領域を画像出力媒体の最大出力サイズに合わせて変倍する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2002−8005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像出力方法では、複数の画像を一度に扱うことが考慮されていないという問題がある。そのため、1つの媒体を任意の領域に分割して各分割領域に画像を出力する、ということについても考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、柔軟かつ簡便に利用できる画像処理装置であって、所望の画像を効果的かつ効率的に出力できる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の画像処理装置は、複数のフレームがレイアウトされているテンプレートの各フレーム内に複数の画像をそれぞれ合成し、出力画像を作成する医用画像処理装置において、医用画像撮影装置で撮影された複数の画像を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された複数の画像に対して関心領域を指定する関心領域指定手段と、前記複数の画像から前記関心領域指定手段によって指定された関心領域を、その関心領域が内接するトリミング領域にしたがって画像領域として抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって前記複数の画像から抽出された複数の画像領域像を前記テンプレートの各フレーム内に合成して出力画像を作成する合成処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の画像処理装置によれば、医用画像撮影装置で撮影された複数の画像が画像処理装置に入力され、その各画像に対して関心領域を指定し、関心領域が内接する部分を画像領域として抽出する。画像領域をフレームに合成する処理を全ての画像領域に対して行うことにより、画像領域とフレームとが合成された出力画像を作成し、モニタ、フィルム等に出力する。これにより、所望の画像を効率的かつ効果的にモニタやフィルムに出力することができ、ユーザの視認性を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記合成処理手段は、前記複数の画像領域が前記テンプレートの各フレーム内で最大の大きさになるように各画像領域を変倍することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の画像処理装置によれば、合成処理手段は、画像領域がフレームに最大の大きさで表示されるように、画像領域を変倍し、変倍された矩形画像がフレームに合成される。これにより、画像を最適化(例えば、最大化)してフレームに表示することができ、所望の画像をできるだけ大きく表示させることができる。
【0012】
請求項3に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記複数の画像は、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を含み、前記合成処理手段は、前記一連の画像の各関心領域の画像間の撮影倍率が一致するように各矩形画像を変倍することを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の画像処理装置によれば、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像が入力された場合には、合成処理手段は、関心領域の画像間の撮影倍率が一致するように各矩形画像を変倍し、変倍された矩形画像がフレームに合成される。これにより、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像(複数枚の画像)を取り扱う場合において、関心領域の大きさが異なることで腫瘍の大きさが異なる等、観察や読影がしにくく、誤診を招く危険性がある場合においても、一連の画像の関心領域の大きさを揃えることで誤診を招く危険性を低下させることができる。
【0014】
請求項4に記載の画像処理装置は、請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記複数の画像は、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を含み、前記合成処理手段は、前記テンプレートのフレームの中心と前記画像領域の中心とが一致するように各画像領域を各フレーム内に合成することを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の画像処理装置によれば、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像が入力された場合には、合成処理手段は、フレームの中心と画像領域の中心とが一致するように各画像領域を各フレーム内に合成する。これにより、患者の状態が悪く動かすことが困難である等により、被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影せざるを得ない場合等、一連の画像の関心領域の中心位置がずれてしまうことで視認性が低下して観察や読影がしにくい場合においても、一連の画像の関心領域の位置と大きさとを同一にすることで視認性の低下を防ぎ、観察や読影をしやすくすることができる。
【0016】
請求項5に記載の画像処理装置は、請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置において、複数のテンプレートを記憶する記憶手段と、 前記記憶されているテンプレートの中から、前記合成処理手段において画像領域が合成されるテンプレートを選択する選択手段と、を更に備え、前記記憶手段は、フレームの大きさ及び配置を任意に設定することによって作成されたテンプレート及び/又はフレームが水平方向と垂直方向とに規則的に配置されたテンプレートを複数記憶することを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の画像処理装置によれば、フレームの大きさ及び配置を任意に設定することによって作成されたテンプレート及び/又はフレームが水平方向と垂直方向とに規則的に配置されたテンプレートの複数のテンプレートがあらかじめ記憶されており、その中から出力画像を作成する基となるテンプレートを選択して使用する。これにより、様々なテンプレートが用いられる場合においても、その中から最適なテンプレートを使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、柔軟かつ簡便に利用できる画像処理装置であって、所望の画像を効果的かつ効率的に出力できる画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、被検体の断層像を撮影する医用画像撮影装置2、医用画像撮影装置2で撮影された画像等が保存されている画像データベース3、プリンタ4とLAN等のネットワーク1によって接続される。医用画像撮影装置2は、X線CT装置、MR装置、超音波撮影装置等の被検体の断層像を撮影可能な装置により構成される。本実施の形態では、X線CT装置によって、被検体の頭部又は腹部の断層像が撮影された場合を例に説明する。
【0021】
画像処理装置10は、主として、各構成要素の動作を制御する制御装置としての中央処理装置(CPU)11と、装置の制御プログラムが格納されたり、プログラム実行時の作業領域となったりする主メモリ12と、オペレーティングシステム(OS)、周辺機器のデバイスドライブ、各種アプリケーションソフト等が格納される磁気ディスク13と、表示用データを一時記憶する表示メモリ14と、この表示メモリ14からのデータに基づいて画像を表示するCRTモニタ、液晶モニタ等のディスプレイ15と、操作者が指示を入力するためのキーボード16と、ディスプレイ15上のソフトスイッチを操作するためのマウス17と、マウス17の状態を検出してディスプレイ15上のマウスポインタの位置やマウス17の状態等の信号をCPU11に出力するコントローラ18と、上記各構成要素を接続する共通バス19とから構成される。
【0022】
画像処理プログラムとして、磁気ディスク13には、画像診断装置等で作成した画像をモニタに表示するためのプログラム(ビューワ)、及び画像をフィルムに出力するプログラム(フィルミング)が格納されている。CPU11は、上記プログラム(ビューワ又はフィルミング)を磁気ディスク13から読み出して主メモリ12にロードし、実行する。
【0023】
ビューワは、磁気ディスク13又は画像データベース3に格納されている画像やその付帯情報を主メモリ12に読み込み、それらのデータを主メモリ12に展開する。そして、ビューワは、主メモリ12に展開したデータ、主メモリ12に展開したデータを基に作成された表示データ等をディスプレイ15上に出力して表示させたり、画像を解析して主メモリ12に展開したデータを更新したり、解析したデータを磁気ディスク13に保存したりすることができる。ディスプレイ15で表示された画像は、ネットワーク1を介して別の画像診断装置やワークステーションに転送することができる。転送された画像は、別の画像診断装置やワークステーションで受信され、その画像が画面に表示されたり画像処理されたりする。
【0024】
フィルミングは、磁気ディスク13又は画像データベース3に格納されている画像やその付帯情報を主メモリ12に読み込み、それらのデータを処理してフィルムデータを作成する。そして、そのフィルムデータを磁気ディスク13又は主メモリ12に保存したり、ディスプレイ15上に表示したり、ネットワーク1を介して接続されているプリンタ4に出力したりすることができる。ネットワーク1を介してプリンタ4に転送されたフィルムデータは、フィルムや紙等の媒体に印刷される。
【0025】
なお、本実施例では、主メモリ12以外の記憶装置として磁気ディスク13が接続されているが、磁気ディスク13以外の記憶装置として、例えば、画像処理装置10に内蔵又は外付けされたメモリ、取り出し可能な外部メディアに対してデータの書き込みや読み出しを行う装置、外部記憶装置とネットワークを介してデータを送受信する装置等を適用してもよい。
【0026】
上記のように構成された画像処理装置においては、(1)診断上有用な関心領域を抜き出す(トリミングと同義)、(2)抜き出された画像領域をビューワまたはフィルミングの画像表示領域(フレーム)に合わせて変倍してフレームと合成する、の2つの手段により、所望の画像を効果的かつ効率的にモニタに表示させるためのデータ(表示データ)又はフィルムに出力するためのデータ(フィルムデータ)が作成される。以下、上記2つの手段について順番に説明する。なお、以下に説明する上記2つの手段における処理は、キーボード16等により処理を行う対象となる画像が選択され、CPU11にその選択された画像について画像処理を行う旨の指示が入力された後に、CPU11によって行われる。
【0027】
なお、関心領域は、一般的に多角形や楕円形で指定することが可能であるが、観察や読影をする際、ビューワやフィルミングのフレームは矩形であることが最も視認性が良く、また、無駄な空間が存在しないため、本実施の形態では、関心領域、フレームを矩形として説明する。
【0028】
<診断上有用な関心領域を抜き出す(トリミング)処理について>
関心領域を指定する方法としては、閾値処理と呼ばれる方法により自動的に関心領域を指定する方法、及びユーザが手動で関心領域を指定する方法(自動的に指定した関心領域を調整する方法も含む)の2つがある。なお、閾値処理については、既に公知の様々な方法を使用することができる。
【0029】
まず、自動的に関心領域を指定してトリミングする方法について説明する。
【0030】
[1枚の画像に対して処理を行う場合]
一般的に、X線CT装置やMRI装置、ワークステーションなどで撮影又は作成された画像の関心領域は、画像の中央付近に存在する。そこで、画像の各辺の中央から対辺に向かって所定の閾値を超える画素を走査していき、閾値を超える最も外側の画素を矩形の辺として領域が抜き出される。
【0031】
すなわち、図2に示すように、水平方向の中心位置において、画像の上辺から下方向に所定の閾値を超える最初の画素が探索される。そして、水平方向の中心位置から左右方向に、残りの画素についても同様の作業が行われる。その結果、閾値を超える画素が最も上にある画素位置が、抜き出される関心領域の上辺と設定される。画像の下辺、左辺、右辺についても同様の処理が行われることにより、関心領域の下辺、左辺、右辺が設定される。これにより、図3(a)に示すように、最適な関心領域が指定される。
【0032】
その後、このように指定された関心領域が内接する矩形のトリミング領域にしたがって、矩形の画像領域(矩形画像)が抽出される。本実施の形態では、矩形の関心領域を指定したため、関心領域と矩形画像とは一致した領域となる。
【0033】
これにより、画像が撮影されている部分のみ、すなわち観察したい部分のみをフレーム一杯に表示することができるため、読影しやすい表示データ又はフィルムデータを作成することができる。また、フィルム一杯に画像が印刷されるため、フィルムの無駄を減らすことができる。
【0034】
なお、図3(a)においては、出来るだけ大きな関心領域をとるために、画像が撮影されている領域を抜き出す例について説明したが、閾値を変えることにより、病変部のみを抜き出したり、特定の臓器を抜き出したりすることもできる。
【0035】
[時間的あるいは空間的に関連のある複数枚の画像(一連の画像)に対して処理を行う場合]
時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を扱う場合、視認性・見読性を向上させるために、一連の画像の関心領域を同じ大きさにすることが望まれている。また、回転させた(様々な角度で作成した)一連の三次元画像の位置と大きさを揃えることで視認性を向上させることも望まれている。これは一連の画像の大きさがそれぞれ異なると、画像ごとに腫瘍等の大きさが変わってしまい、誤診を招く危険性があるからである。もちろん、被写体の長さを示す目盛りなどが各フレームに表示されているであろうが、直感的にはわかりにくい。
【0036】
このような場合には、図3(b)に示すように、一連で扱う個々の画像における所定の閾値を越えるすべての画素を抱合する大きさの関心領域が指定される。例えば、一連の画像全てに対して、上記のような角画像に最適な関心領域を指定する処理が行われ、その中で最も大きな関心領域が、一連の画像の関心領域として指定される。その結果、一連の画像すべてに対して関心領域の大きさと位置とを同一にすることができる。
【0037】
これにより、同じシリーズに属する全画像の大きさ又は回転させた複数の三次元画像の大きさを揃えることができるため、読影しやすいという効果がある。なお、指定された関心領域から矩形画像を抽出する方法は、1枚の画像に対して処理を行う場合と同様である。
【0038】
なお、自動的に関心領域を指定する場合において、関心領域を指定する前にトリミング処理を適用する画像の範囲を指定することにより、1枚の画像に対して関心領域を指定するか、一連の画像に対して関心領域を指定するか、全ての画像に対して関心領域を指定するか等を設定することができる。
【0039】
また、自動的に関心領域を指定する場合において、矩形の関心領域を指定した場合について説明したが、楕円形等の矩形以外の形の関心領域を指定した場合には、楕円形等の関心領域が内接する矩形のトリミング領域を矩形画像として抽出することにより、矩形以外の関心領域にも適応することができる。
【0040】
また、自動的に関心領域を指定する場合において、図4に示すように、抜き出された関心領域に余白を設定することも可能である。この場合には、余白を設定すること及び余白の幅をあらかじめ設定しておく。余白を設定することにより視認性を良くすることができる。また、閾値よりわずかに下回った画素部分を関心領域に含むことができる。これによりフレーム画面での編集(後述)が不要になり、より柔軟かつ簡便に表示データまたはフレームデータを作成することができる。
【0041】
次に、ユーザが手動で関心領域を指定する方法について説明する。
【0042】
手動で関心領域を指定する方法は、基本的には、上記方法により自動的に指定された関心領域を修正する場合に用いられる。
【0043】
抜き出された関心領域は、ビューワまたはフィルミングの画像表示領域(フレーム)に出力される(詳細は後述)。しかし、被写体の下に写っているテーブルが関心領域に含まれている等、フレームに出力された関心領域がユーザの希望と異なっている場合が考えられる。このような場合には、フレームに出力された関心領域が以下の方法により手動で調整される。
【0044】
ユーザが、フレームに出力された画像のうち、関心領域を手動で指定したい画像をマウス17等で選択すると、図5に示すように、関心領域指定画面がディスプレイ15に表示される。画面中央の画像表示部には、関心領域が抜き出される前の画像と、関心領域を示す枠とが表示されている。
【0045】
そして、画像表示部の下に表示されるHorizontalメニューやVerticalメニュー等により、又はマウス17等で枠の各線を水平方向及び垂直方向に移動させたり、枠の大きさや位置を変えたりすることにより、枠で囲まれた関心領域が新たな関心領域として指定される。
【0046】
これにより、ユーザが手動で希望する関心領域を指定することができる。例えば、テーブルが写っている画像の場合には、被写体の中心位置が関心領域の中心に対して上に上がるのを防止することができる。また、被写体内部の病変部位等、部分的な関心領域の選択も容易となる。
【0047】
なお、画像表示部の下に表示されるScopeメニューにより手動で関心領域を指定する処理を適用する範囲を指定することにより、1枚の画像に対して関心領域を指定するか、一連の画像に対して関心領域を指定するか、全ての画像に対して関心領域を指定するか等を設定することができる。
【0048】
<抜き出された矩形画像をビューワまたはフィルミングの画像表示領域(フレーム)に合わせて変倍してフレームと合成する処理について>
(1)設定されたテンプレートを読み出す、(2)矩形画像をフレームに合わせて変倍する、(3)矩形画像をフレームに出力する、の3つの手段により、抜き出された矩形画像がフレームに合成された出力画像(表示データ又はフィルムデータ)が作成される。以下、上記3つの手段について順番に説明する。
【0049】
[読み出されるテンプレートを設定する方法について]
テンプレートとは、1つ以上の画像表示領域(フレーム)が配置されているものであり、あらかじめ作成されたものが磁気ディスク13に保存されている。画像を効果的かつ効率的にディスプレイ15又はフィルムに表示するために、データの種類(表示データ又はフィルムデータ)によって異なるテンプレートが作成されている。また、フィルムデータの場合には、フィルムのサイズによっても異なるテンプレートが作成されている。なお、テンプレートには、フレームの大きさ及び配置を任意に設定することによって作成されたテンプレート(図6テンプレート選択画面上段参照、詳細は後述)とフレームが水平方向と垂直方向とに規則的に配置されたテンプレート(図6テンプレート選択画面下段参照)とがある。
【0050】
テンプレートを読み出す場合には、ユーザがデータの種類、フィルムのサイズ等を入力すると、入力されたデータの種類又はフィルムのサイズに該当するテンプレートが磁気ディスク13から読み出され、図6に示すようなテンプレート選択画面がディスプレイ15上に表示される。ユーザが所望のテンプレートを選択して、マウス17等でOKボタンを押すことにより、選択されたテンプレートが設定されたテンプレートとして磁気ディスク13から読み出され、主メモリ12に展開される。
【0051】
テンプレート選択画面に希望するテンプレートが無い場合には、新たなテンプレートを作成することができる。図6に示すようなテンプレート選択画面において、マウス17等でAddボタンを押すことにより、図7に示すようなテンプレート作成画面がディスプレイ15に表示される。
【0052】
図7に示すようなテンプレート作成画面において、テンプレート作成領域は複数のブロックに分割されている。なお、ブロックの大きさは、ブロックサイズ変更領域で選択されたブロックの大きさとなる。テンプレート作成領域において、マウス17等でブロックをドラッグアンドドロップすることにより、フレームの大きさと位置とが決定される。フレームの形状は正方形、長方形が作成できるが、断層像を表示させる場合には横長のフレームを作成し、長尺画像を表示させる場合には縦長のフレームを作成する等、出力したい画像をイメージしてフレームを作成するのが好ましい。なお、作成されたテンプレートは磁気ディスク13に保存され、これ以降に表示されるテンプレート選択画面に追加表示される。
【0053】
これにより、ユーザがフレームのサイズや配置を任意に設定することができる。なお、新規にテンプレートを作成するのみでなく、既に作成されているテンプレートを微調整して新たなテンプレートを作成することもできる。これは、図6に示すようなテンプレート選択画面で、微調整したいテンプレートを選択してModifyボタンを押すことによって可能となる。
【0054】
[矩形画像をフレームに合わせて変倍する方法について]
まず、上記方法により設定されたテンプレートにおける、所定の画像の出力先となるフレームの縦横比を算出する。なお、所定の画像の出力先のフレームは、手動又は自動であらかじめ選択されている。
【0055】
次に、矩形画像の縦横比を変更しないように、かつ矩形画像全体がフレームに表示されるように、矩形画像が変倍される。フレームは任意の縦横比を持つ矩形であり、矩形画像の縦横比とフレームの縦横比とが一致しない場合がある。そこで、図8に示すように、矩形画像の縦横比とフレームの縦横比とが一致しない場合には、矩形画像の辺の長さとフレームの辺の長さとの比を縦と横とで算出し、その比が大きい方を基準として矩形画像が変倍される。これにより、矩形画像全体が必ずフレーム内に収まるように、矩形画像をフレームに合わせて変倍することができる。
【0056】
[矩形画像をフレームに出力する方法について]
上記方法により変倍された矩形画像をフレームに出力する場合には、矩形画像の中心位置とフレームの中心位置とを一致させるようにする。
【0057】
これにより、図8に示すように、変倍された矩形画像の縦横比とフレームの縦横比とが一致しない場合においても、矩形画像がフレームの中央に表示される。なお、図8においては、矩形画像をフレームに合わせて変倍するときに縦方向の長さを基準としたため、フレームの左右に空白ができているが、矩形画像をフレームに合わせて変倍するときに横方向の長さを基準とする場合には、フレームの上下に空白ができるし、矩形画像の縦横比とフレームの縦横比とが一致する場合には、空白は発生しない。
【0058】
ただし、図9(a)に示すように、一連の画像の中に被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影された画像が含まれている場合には、一連の画像の矩形画像の中心位置もずれてしまう。このままの画像をビューワに表示したりフィルムに出力したりすると、矩形画像の配置が不均等になることでユーザのストレスを誘発して視認性が低下する要因となり得る。そこで、図9(b)に示すように、各画像の矩形画像の中心とフレームの中心とを一致させることで、一連の画像の矩形画像の中心位置がずれている場合においても、矩形画像をフレームに均等に配置することができる。
【0059】
次に、抜き出された矩形画像がフレームに合成された出力画像(表示データ又はフィルムデータ)の例について説明する。
【0060】
(例1)
図10は、一つ一つの画像に対して最適な関心領域を指定してフレームに出力する場合を示している。この場合、各画像は出力するフレームに最大サイズで出力することができる。
【0061】
(例2)
図11は、一連の画像の関心領域の大きさを同一にしてフレームに出力する場合を示している。この場合、一連の画像は出力する大きさを揃えて出力することができる。
【0062】
(例3)
図12は、被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影された場合において、一つ一つの画像に対して最適な関心領域を指定し、なおかつ、矩形画像の中心とフレームの中心を一致させてビューワまたはフィルミングのフレームに出力する場合を示している。この場合、各画像は出力するフレームに最大サイズで出力することができ、なおかつ、関心領域の大きさを均等に出力することができる。
【0063】
(例4)
図13は被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影された場合において、一連の画像の関心領域の位置と大きさを同一にし、なおかつ、矩形画像の中心とフレームの中心を一致させてビューワまたはフィルミングのフレームに出力する場合を示している。この場合、一連の画像は出力する大きさを揃えて出力することができ、なおかつ、関心領域の配置を均等にして出力することができる。
【0064】
なお、図13に示す出力画像の例は、上記方法以外に、体軸の中心位置と画像の中心位置を揃えることによっても可能である。以下、体軸の中心位置と画像の中心位置を揃える方法について、図14を用いて説明する。
【0065】
まず、図14(a)に示すように、各画像を閾値処理することにより関心領域が算出され、それぞれの関心領域を含む矩形画像の中心位置が求められる。そして、図14(b)に示すように、算出された矩形画像のうち、縦横それぞれの最大値を持つ矩形画像(最大の矩形画像)が算出され、その中心位置が求められる。最後に、図14(c)に示すように、図14(a)で算出された矩形画像の中心位置と、図14(b)で算出された最大の矩形画像の中心位置とが合わせられる。これにより、撮影時に患者が斜めになっていた場合においても、体軸の中心位置を自動的にフレームの中央に配置することができる。
【0066】
これにより、抜き出された関心領域をビューワまたはフィルミングのフレームに合わせて変倍して、フレームに出力することができる。
【0067】
なお、図10〜図13に示すような出力画像のフレームに表示された関心領域のみを拡大表示することもできる。所定のフレームをマウス17等で選択することにより、図15に示すような、そのフレーム全体が拡大表示されているフレーム画面がディスプレイ15に表示されることにより行われる。
【0068】
本実施の形態によれば、目的に応じた様々なテンプレートを作成し、テンプレート中のフレームに表示したい画像の関心領域(本実施の形態においては、矩形画像と同じ)を変倍(最大化)して表示することで、効率的かつ効果的な表示データ又はフィルムデータを作成することができる。また、表示データ又はフィルムデータを用いることで、ユーザの視認性を高めることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を取り扱う場合には、一連の画像の関心領域の大きさが揃えられた表示データ又はフィルムデータを作成することにより、誤診を招く危険性を低下させることができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、患者の状態が悪く動かすことが困難である場合等、被写体の中心位置が画像診断装置に対してずれた状態で撮影せざるを得ない状況においても、一連の画像の関心領域の位置と大きさを同一にした表示データ又はフィルムデータを作成することで、視認性の低下を防ぎ、観察や読影をしやすくすることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、画像の種類等により、様々なテンプレートの中から最適なテンプレートを使用し、かつ最大化された関心領域を表示させるか、一連の画像に共通の関心領域を表示させるかを選択して表示データ又はフィルムデータを作成することにより、ディスプレイやフィルムなどの限られた領域に、診断上有用な部分である関心領域が大きくかつ効率よく表示された表示データ又はフィルムデータを柔軟かつ簡便に作成することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、関心領域を抜き出した後でその関心領域をフレームに出力することで、表示データ又はフィルムデータを作成したが、表示させる画像や画像診断の目的によっては、自動的に関心領域の抜き出しをしないで、すなわち画像全体を関心領域として画像全体をフレームに出力し、その後改めて手動で関心領域を指定するようにしてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、関心領域をフレームに出力する前に、テンプレートの新規作成及びテンプレートの微調整を行うようにしたが、関心領域をフレームに出力した後で、フレームを分割する線の微調整等のテンプレートの編集ができるようにしてもよい。これは、関心領域が出力されたテンプレートがディスプレイ15などに表示されている場合において、フレームを分割する線をマウス17等で動かす事等によって行われる。これにより、より効率的な表示データ又はフィルムデータをより柔軟かつ簡便に作成することができる。
【0074】
また、本実施の形態では、矩形画像を例にして説明したが、台形、円形などの医用画像が呈する形状となる可能性のある形状は本発明の実施として全て含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】上記画像処理装置10の自動的に関心領域を抜き出す方法を説明する説明図である。
【図3】上記画像処理装置10の自動的に関心領域を抜き出す方法によって抜き出された関心領域を示す図であり、(a)は各画像に最適な関心領域を抜き出した場合を示し、(b)は一連の画像に共通の関心領域を抜き出した場合を示す。
【図4】上記画像処理装置10の関心領域に余白を設定した場合の矩形画像を示す図である。
【図5】上記画像処理装置10の関心領域を手動で指定する場合の表示画面である関心領域指定画面を示す図である。
【図6】上記画像処理装置10の読み出されるテンプレートを設定するテンプレート選択画面を示す図である。
【図7】上記画像処理装置10の新たなテンプレートを作成するテンプレート作成画面を示す図である。
【図8】上記画像処理装置10の関心領域をフレームに合わせて変倍して出力する方法を説明する説明図である。
【図9】上記画像処理装置10の一連の画像の関心領域の中心とフレームの中心を一致させる方法を説明する説明図である。
【図10】上記画像処理装置10の表示データ又はフィルムデータの出力画像の例である。
【図11】上記画像処理装置10の表示データ又はフィルムデータの出力画像の例である。
【図12】上記画像処理装置10の表示データ又はフィルムデータの出力画像の例である。
【図13】上記画像処理装置10の表示データ又はフィルムデータの出力画像の例である。
【図14】上記画像処理装置10の体軸の中心位置と画像の中心位置を揃えることによって図13に示す出力画像を作成する方法を説明する説明図である。
【図15】上記画像処理装置10のフレーム全体が拡大表示されているフレーム画面を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1:ネットワーク、2:医用画像撮影装置、3:画像データベース、4:プリンタ、10:画像処理装置、11:中央処理装置(CPU)、12:主メモリ、13:磁気ディスク、14:表示メモリ、15:ディスプレイ、16:キーボード、17:マウス、18:コントローラ、19:共通バス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームがレイアウトされているテンプレートの各フレーム内に複数の画像をそれぞれ合成し、出力画像を作成する医用画像処理装置において、
医用画像撮影装置で撮影された複数の画像を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された複数の画像に対して関心領域を指定する関心領域指定手段と、
前記複数の画像から前記関心領域指定手段によって指定された関心領域を、その関心領域が内接するトリミング領域にしたがって画像領域として抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって前記複数の画像から抽出された複数の画像領域を前記テンプレートの各フレーム内に合成して出力画像を作成する合成処理手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記合成処理手段は、前記複数の画像領域が前記テンプレートの各フレーム内で最大の大きさになるように各画像領域を変倍することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の画像は、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を含み、
前記合成処理手段は、前記一連の画像の各関心領域の画像間の撮影倍率が一致するように各矩形画像を変倍することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の画像は、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を含み、
前記合成処理手段は、前記テンプレートのフレームの中心と前記画像領域の中心とが一致するように各画像領域を各フレーム内に合成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
複数のテンプレートを記憶する記憶手段と、
前記記憶されているテンプレートの中から、前記合成処理手段において画像領域が合成されるテンプレートを選択する選択手段と、
を更に備え、
前記記憶手段は、フレームの大きさ及び配置を任意に設定することによって作成されたテンプレート及び/又はフレームが水平方向と垂直方向とに規則的に配置されたテンプレートを複数記憶することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項1】
複数のフレームがレイアウトされているテンプレートの各フレーム内に複数の画像をそれぞれ合成し、出力画像を作成する医用画像処理装置において、
医用画像撮影装置で撮影された複数の画像を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された複数の画像に対して関心領域を指定する関心領域指定手段と、
前記複数の画像から前記関心領域指定手段によって指定された関心領域を、その関心領域が内接するトリミング領域にしたがって画像領域として抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって前記複数の画像から抽出された複数の画像領域を前記テンプレートの各フレーム内に合成して出力画像を作成する合成処理手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記合成処理手段は、前記複数の画像領域が前記テンプレートの各フレーム内で最大の大きさになるように各画像領域を変倍することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の画像は、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を含み、
前記合成処理手段は、前記一連の画像の各関心領域の画像間の撮影倍率が一致するように各矩形画像を変倍することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の画像は、時間的あるいは空間的に関連のある一連の画像を含み、
前記合成処理手段は、前記テンプレートのフレームの中心と前記画像領域の中心とが一致するように各画像領域を各フレーム内に合成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
複数のテンプレートを記憶する記憶手段と、
前記記憶されているテンプレートの中から、前記合成処理手段において画像領域が合成されるテンプレートを選択する選択手段と、
を更に備え、
前記記憶手段は、フレームの大きさ及び配置を任意に設定することによって作成されたテンプレート及び/又はフレームが水平方向と垂直方向とに規則的に配置されたテンプレートを複数記憶することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−188177(P2008−188177A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24698(P2007−24698)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
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