画像処理装置
【課題】所望とする印刷結果を得るための作業を効率よく行わせることができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】制御部26は、ラスターデータ、ラスターデータの色空間を示す色空間情報、及び、ラスターデータの色値が特定の色値であることを示す特定色情報を生成する。制御部26は、ラスターデータと、色空間情報と、特定色情報とを対応付けて記憶部25に記憶する。制御部26は、記憶部25に記憶されたラスターデータに対応付けられた特定色情報の有無を判定する。制御部26は、特定色情報があると判定しないときは、ラスターデータに対応付けられた色空間情報の示す色空間に対応した演算を行ってラスターデータの色値からCMYK値に変換する。制御部は、特定色があると判定したときは、特定の色値であるラスターデータを、CMYK値として画像形成部28で出力可能なイメージデータを生成する。
【解決手段】制御部26は、ラスターデータ、ラスターデータの色空間を示す色空間情報、及び、ラスターデータの色値が特定の色値であることを示す特定色情報を生成する。制御部26は、ラスターデータと、色空間情報と、特定色情報とを対応付けて記憶部25に記憶する。制御部26は、記憶部25に記憶されたラスターデータに対応付けられた特定色情報の有無を判定する。制御部26は、特定色情報があると判定しないときは、ラスターデータに対応付けられた色空間情報の示す色空間に対応した演算を行ってラスターデータの色値からCMYK値に変換する。制御部は、特定色があると判定したときは、特定の色値であるラスターデータを、CMYK値として画像形成部28で出力可能なイメージデータを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォトブック等、ビットマップデータを多用したプリントデータによる印刷が多く行われている。このようなプリントデータはPDL(Page Description Language)により記述されており、このプリントデータをコントローラーあるいは画像形成装置で解析してラスタライズを行ってCMYK値に色変換される。そして、このようにしてCMYK値に変換されたプリントデータに基づき、画像形成装置による印刷が行われる。
【0003】
ところが、ビットマップデータに対するラスタライズは、文字を表す画像であるテキストデータや表や図形を表す画像であるグラフィックデータ等と比べると処理量が多く、時間が多くかかるという問題がある。そして、このことは、印刷速度の低下にもつながっている。
【0004】
また、POD(Print On Demand)においては、画像形成装置とネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer)等から印刷ジョブを一旦プリンタコントローラーや画像形成装置に保存し、試し刷りを行って印刷結果を確認しつつジョブチケットやページデータ等の編集を行い、所望の印刷結果が得られたところで本印刷を行う、所謂ジョブ保存・編集・再印刷機能を使用したワークフローも実施されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−193477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ジョブチケットやページデータ等の編集を行う都度、プリントデータのラスタライズを行って試し刷りを行う必要があるため、生産性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、所望とする印刷結果を得るための作業を効率よく行わせることができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像処理装置において、
記憶部と、
ページ記述言語で記述された印刷データを解析してラスタライズを行って、印刷データに記述された色空間での色値で表されたラスターデータ、前記ラスターデータの色空間を示す色空間情報、及び、前記ラスターデータの色値が特定の色値であることを示す特定色情報を生成し、前記ラスターデータと、前記色空間情報と、前記特定色情報とを対応付けて前記記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記ラスターデータに対応付けられた前記特定色情報の有無を判定し、前記特定色情報があると判定しないときは、前記ラスターデータに対応付けられた前記色空間情報の示す色空間に対応した演算を行って前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換し、前記特定色情報があると判定したときは、前記特定の色値であるラスターデータを、出力するデバイスの色空間における予め定められた色値として前記出力するデバイスで出力可能なイメージデータを生成する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記印刷データには、前記印刷データに記述された色空間における色値から前記出力するデバイスの色空間における色値に変換するためのプロファイルを指定するプロファイル情報が含まれており、
前記制御部は、前記プロファイル情報で指定されたプロファイルを使用して、前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換する演算を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、使用するプロファイルを変更して前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換する演算を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、前記印刷データを解析して得られた前記ラスターデータのオブジェクトの属性を示す属性情報が特定の属性を示すものであることを条件に、前記特定の色値であるラスターデータを、前記出力するデバイスの色空間における予め定められた色値にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望とする印刷結果を得るための作業を効率よく行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態における画像形成システムのシステム構成図である。
【図2】画像形成装置の主要構成を示す機能ブロック図である。
【図3】RIP処理部の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】タグビットのデータ形式例を示す図である。
【図5】ラスターデータのデータ形式例を示す図である。
【図6】ラスターデータとタグビットの例を示す図である。
【図7】画像処理部の機能的構成を示すブロック図である。
【図8】ジョブ受信時処理について説明するフローチャートである。
【図9】PDL解析処理について説明するフローチャートである。
【図10】描画処理について説明するフローチャートである。
【図11】色変換処理について説明するフローチャートである。
【図12】再印刷処理について説明するフローチャートである。
【図13】印刷ジョブのジョブ保存、再印刷及び印刷の実行指示を行う際に表示される設定画面について説明する図である。
【図14】印刷ジョブのジョブ保存、再印刷及び印刷の実行指示を行う際に表示される設定画面について説明する図である。
【図15】画像形成システムの他の例について示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成システムについて、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
画像形成システム1は、例えば、図1に示すように、画像形成装置20と、クライアントPC2とを備えている。
【0016】
画像形成装置20は、クライアントPC2とLAN(Local Area Network)3を介して通信可能に接続されている。画像形成装置20は、クライアントPC2から印刷ジョブを受信し、RIP(Raster Image Processor)処理を行って多値イメージデータを生成する。また、画像形成装置20は、図2に示すように、スキャンデータ処理部23にて画像読取部22で読み取った原稿の多値イメージデータを生成する。
【0017】
画像形成装置20は、上述のようにして生成された多値イメージデータに基づいて、紙等の印刷媒体に対して画像形成を行う、所謂MFP(Multi Function Peripheral)である。画像形成装置20は、例えば電子写真方式の作像プロセスを利用して画像形成を行う。画像形成装置20は、画像の形成においてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の計4色の色材(トナー)をプロセスカラーとして用いるが、他のプロセスカラーにより画像形成を行うMFPでもよい。以下の説明では、一例として、CMYKをプロセスカラーとする画像形成装置20を含む画像形成システム1に関して記載する。
【0018】
画像形成装置20は、図2に示すように、例えば、NIC(Network Interface Card)11、RIP処理部12、画像読取部22、スキャンデータ処理部23、圧縮伸張部24、記憶部25、制御部26、画像処理部27、画像形成部28及び操作パネル29を備える。
【0019】
NIC11は、LAN3を介してクライアントPC2からページ記述言語(PDL)で記述された印刷ジョブを受信する。印刷ジョブには、ジョブチケットが含まれている。ジョブチケットには、ジョブに関する各種設定情報が記述されている。
【0020】
RIP処理部12は、印刷ジョブを解析し、印刷ジョブに記述された描画オブジェクトのラスタライズを行って、多値の色値で示された多値イメージデータであるラスターデータを生成する。ここでは、ラスターデータは、印刷ジョブの元の色空間の色値で記述される。ここで、色空間としては、例えば、Gray色空間、RGB色空間、CMYK色空間、Separation色空間、DeviceN色空間、CIE色空間等が挙げられる。また、RIP処理部12は、解析した印刷ジョブに基づいて、ラスターデータの描画オブジェクトの属性を示す属性情報と、ラスターデータの印刷ジョブの元の色空間を示す色空間情報と、特定の色置換機能の適用の対象であるか否かを示す特定色情報とからなるタグビットを生成する。ここで、描画オブジェクトの属性には、例えば、文字であることを示す「Text」、図形であることを示す「Graphic」、写真であることを示す「Image」等がある。また、特定の色置換機能とは、ユーザーにより特定の色については常に一定の色にて印刷されることを要求するときに適用される機能であって、例えば、グレー補償、グレー置換、代替色置換等がある。グレー補償は、クライアントPC2のアプリケーション上で作成された黒ベタ文字等の画像をK版のみで黒ベタの画像が形成されるように色値を置換する機能である。グレー置換は、クライアントPC2のアプリケーション上で作成された画像がグレー色で表された画像である場合に、K版の濃淡のみによって画像が形成されるように色値を置換する機能である。代替色置換は、印刷ジョブに記述された画像の色値が特定の色値である場合に、予め定められた色値に一義的に置換する機能であって、例えば、RGBの色空間で表された赤(R=255、G=0、B=0)をCMYKの色空間で表された赤(C=0、M=255、Y=255、K=0)で出力させる場合や、RGBの色空間で表された特定の色をCMYKの色空間における特定の色で出力させるような場合に使用される。なお、色置換機能は上述したものに限定されず、他の色置換機能であってもよい。タグビットは、1画素毎の属性情報、色空間情報及び特定色情報が記述されている。また、RIP処理部12は、色変換部123を備えており、後述する印刷ジョブの保存を行わずに印刷を実行する場合には、ラスターデータに記述された色値を印刷用の色空間の色値に色変換する。RIP処理部12は、制御部26により制御される。RIP処理部12により生成されたラスターデータ及びタグビットは、メモリに格納される。なお、RIP処理部12は、専用のハードウェアにより実現されることとしてもよい。
【0021】
ここで、図3に、RIP処理部12の具体的構成を示す。RIP処理部12は、PDL解析処理部121、描画処理部122及び色変換部123を備える。
PDL解析処理部121は、クライアントPC2から受信されたPS(PostScript)、PDF(Portable Document Format)等のPDLのコマンドを解析し、描画オブジェクトの情報(座標、色値、色空間等)を含む中間データに変換する。PDL解析処理部121は、描画オブジェクトの情報における色値として、当該解析される印刷ジョブの元の色空間での色値を書き込み、中間データを生成する。
【0022】
描画処理部122は、中間データを参照し、描画オブジェクトの情報に基づいて、解像度、印字領域等、出力デバイスの特性に合わせた条件で描画処理を行い、ラスターデータ及びタグビットを生成する。
【0023】
タグビットは、1画素毎に1byte(8bit)のデータが割り当てられている。タグビットにおける1画素毎のデータは、図4に示すように、上位2bitにて構成される属性情報と、中位3bitにて構成される色空間情報と、下位3bitにて構成される特定色情報とによって構成されている。
【0024】
例えば、図4に示すように、属性情報が「00」であれば、当該画素が所属する描画オブジェクトの属性が「Text」であることを示し、属性情報が「01」であれば、当該画素が所属する描画オブジェクトの属性が「Graphic」であることを示し、属性情報が「10」であれば、当該画素が所属する描画オブジェクトの属性が「Image」であることを示し、属性情報が「11」であれば、当該画素には画像データが存在しない「None」であることを示す。属性情報は、中間データに含まれる描画オブジェクトの情報に示された描画オブジェクトの属性に基づいて記述される。
【0025】
また、色空間情報が「000」であれば、印刷ジョブの元の色空間がGray色空間であることを示し、色空間情報が「001」であれば、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であることを示し、色空間情報が「010」であれば、印刷ジョブの元の色空間がCMYK色空間であることを示し、色空間情報が「011」であれば、印刷ジョブの元の色空間がSeparation色空間であることを示し、色空間情報が「100」であれば、印刷ジョブの元の色空間がDeviceN色空間であることを示し、色空間情報が「101」であれば、印刷ジョブの元の色空間がCIE色空間であることを示す。
【0026】
また、特定色情報が「000」であれば、CMM(Color Management Module)の機能によりプロファイルを使用した色変換が行われることを示し、特定色情報が「001」であれば、グレー補償の対象であることを示し、特定色情報が「010」であれば、グレー置換の対象であることを示し、特定色情報が「011」であれば、代替色置換の対象であることを示す。特定色情報は、例えば、印刷ジョブの元の色空間において黒ベタを示す色値である場合に「001」が記述され、印刷ジョブの元の色空間においてグレー色を示す色値である場合に「001」が記述され、描画オブジェクトの情報に代替色に置換する情報が含まれている場合に「010」が記述される。なお、グレー補償及びグレー置換である特定色情報は、描画オブジェクトの情報からグレー補償又はグレー置換を行うか否かを判定し、その結果に基づいて記述されるようにしてもよい。
【0027】
以上から、図4に示されるタグビットのデータは、当該画素が所属する描画オブジェクトの属性が「Text」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、グレー補償の対象であることを示している。
【0028】
ラスターデータは、1画素毎に4byteのデータが割り当てられている。ラスターデータにおける1画素毎のデータは、図5に示すように、1Byte毎にC版、M版、Y版、K版のデータ領域が設定されており、印刷ジョブの元の色空間における各要素の値が記述される。
例えば、印刷ジョブの元の色空間がGray色空間の場合、当該画素のデータには、C版=0、M版=0、Y版=0、K版=(Grayの色値)がそれぞれ記述される。また、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間の場合、当該画素のデータには、C版=(Rの色値)、M版=(Gの色値)、Y版=(Bの色値)、K版=0がそれぞれ記述される。また、印刷ジョブの元の色空間がCMYK色空間の場合、当該画素のデータには、C版=(Cの色値)、M版=(Mの色値)、Y版=(Yの色値)、K版=(Kの色値)がそれぞれ記述される。また、印刷ジョブの元の色空間がSeparation色空間及びDeviceN色空間の場合、当該画素のデータには、C版=(代替色のCの色値)、M版=(代替色のMの色値)、Y版=(代替色のYの色値)、K版=(代替色のKの色値)が記述される。また、印刷ジョブの元の色空間がCIE色空間(XYZ)の場合には、C版=(xの色値)、M版=(yの色値)、Y版=(zの色値)、K版=0が記述される。なお、以下の説明において、Y(イエロー)と区別するため、XYZ表色系における色値は小文字で表すこととする。また、DeviceN色空間で表される各色値の要素は、ユーザーにより予め定義された色である。
【0029】
このように、描画処理部122は、従来と同じCMYK版で構成されるデータ形式でラスターデータを生成することができる。
なお、色空間がSeparation色空間及びDeviceN色空間の場合は、描画処理部122は、予め定義されたスポットカラー名に対応したCMYK値を用いてラスターデータを生成する。
【0030】
図6(a)及び図6(b)に、ラスターデータとタグビットの関係を示す。
【0031】
図6(a)に示されるラスターデータは、RGB色空間で表された「Text」の属性であるオブジェクトTX、RGB色空間で表された「Graphic」の属性であるオブジェクトGD,FG1,FG2、RGB色空間で表された「Image」の属性であるオブジェクトPT1、CMYK色空間で表された「Image」の属性であるオブジェクトPT2を含んでいる。
例えば、図6(a)に示すように、オブジェクトTXの或る画素の色値は「R=0、G=0、B=0」であり、当該画素のデータには、C版=0、M版=0、Y版=0、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトGDの或る画素の色値は「R=192、G=192、B=192」であり、当該画素のデータには、C版=192、M版=192、Y版=192、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトFG1の或る画素の色値は「R=255、G=0、B=0」であり、当該画素のデータには、C版=255、M版=0、Y版=0、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトFG2の或る画素の色値は「R=0、G=0、B=255」であり、当該画素のデータには、C版=0、M版=0、Y版=255、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトPT1の或る画素の色値は「R=120、G=200、B=40」であり、当該画素のデータには、C版=120、M版=200、Y版=40、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトPT2の或る画素の色値は「C=58、M=5、Y=96、K=10」であり、当該画素のデータには、C版=58、M版=5、Y版=96、K版=10が記述されている。
【0032】
図6(b)に示すタグビットの各画素のデータは、ラスターデータの各画素に対応している。
例えば、図6(b)に示すように、上述したオブジェクトTXの或る画素のデータには、「00001001」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Text」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、グレー補償の対象であることを示している。ここで、特定色情報を示すタグビットの当該画素の下位3bitのデータには、印刷ジョブの元の色空間における当該画素の色値が「R=0、G=0、B=0」であるため、黒ベタと判断され、グレー補償である「001」が記述される。
また、上述したオブジェクトGDの或る画素のデータには、「01001010」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Graphic」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、グレー置換の対象であることを示している。ここで、特定色情報を示すタグビットの当該画素の下位3bitのデータには、印刷ジョブの元の色空間における当該画素の色値が「R=192、G=192、B=192」となっており、RGBの各値が同値であるため、グレー色と判断され、グレー置換である「010」が記述される。
また、上述したオブジェクトFG1の或る画素のデータには、「01001011」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Graphic」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、代替色置換の対象であることを示している。ここで、特定色情報を示すタグビットの当該画素の下位3bitのデータには、描画オブジェクトの情報に代替色に置換する情報が含まれているため、代替色置換である「011」が記述される。
また、上述したオブジェクトFG2の或る画素のデータには、「01001000」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Graphic」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、プロファイルを使用した色変換が行われることを示している。
また、上述したオブジェクトPT1の或る画素のデータには、「10001000」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Image」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、プロファイルを使用した色変換が行われることを示している。
また、上述したオブジェクトPT2の或る画素のデータには、「10010000」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Image」で、印刷ジョブの元の色空間がCMYK色空間であって、プロファイルを使用した色変換が行われることを示している。
このように、本実施の形態では、タグビットを参照することにより、ラスターデータの各画素の属性情報、色空間情報及び特定色情報を取得することができる。
【0033】
図2に示すように、画像読取部22は、光源、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等により構成され、光源から原稿に照明走査した光の反射光をCCDイメージセンサーにて受光して光電変換することにより原稿の画像をR(赤)G(緑)B(青)信号として読み取る。
スキャンデータ処理部23は、画像読取部22により読み取られた原稿の多値イメージデータをラスターデータとして取得するとともに、当該ラスターデータの色空間(RGB)を示す色空間情報を含むタグビットを生成する。スキャンデータ処理部23は、制御部26により制御される。
なお、画像読取部22及びスキャンデータ処理部23を備えない構成としてもよい。
【0034】
圧縮伸張部24は、RIP処理部12又はスキャンデータ処理部23から入力されたラスターデータ及びタグビットの圧縮/伸張を行う。
記憶部25は、圧縮されたラスターデータ及びタグビットや、ジョブチケット等を記憶する。
【0035】
制御部26は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、例えば、記憶部25に記憶されたシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラム、各種データの中から指定されたプログラムやデータを読み出してRAMに展開する。制御部26は、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置20の各部を集中制御する。より具体的には、制御部26は、RIP処理部12又はスキャンデータ処理部23から入力されたデータを保存・印刷するための制御や、操作パネル29等の指示に基づき、記憶部25からデータを読み出して再印刷を行うための制御を行う。
制御部26は、RIP処理部12により生成されて圧縮伸張部24により圧縮されたラスターデータ及びタグビットを、ジョブチケットに対応付けて、ジョブファイルとして記憶部25に記憶させる。
制御部26は、スキャンデータ処理部23により生成され圧縮伸張部24により圧縮されたラスターデータ及びタグビットを、操作パネル29の入力に基づいて作成されたジョブチケットに対応付けて、ジョブファイルとして記憶部25に記憶させる。
制御部26は、記憶部25に記憶されたジョブファイルを読み出し、圧縮伸張部24に当該ジョブファイルに含まれるラスターデータ及びタグビットの伸張を行わせる。
【0036】
画像処理部27は、ラスターデータに対して、当該ラスターデータに対応付けられたタグビット及びジョブチケットに含まれる色変換設定情報に基づいて色変換を行うとともに、他の画像処理を施し、印刷用のイメージデータを生成する。画像処理部27は、制御部26により制御される。なお、画像処理部27は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで構成されることとしてもよい。
【0037】
画像処理部27は、図7に示すように、タグビット解析処理部271、色変換部272、プロファイル記憶部273、細線化・トラッピング処理部274、階調補正処理部275及びスクリーン処理部276を備える。
【0038】
タグビット解析処理部271は、記憶部25から読み出されて伸張されたタグビットを解析して、対応するラスターデータの各画素の属性情報、色空間情報及び特定色情報を取得する。
【0039】
色変換部272は、記憶部25から読み出されたジョブチケットに含まれる色変換設定情報で指定されたプロファイルをプロファイル記憶部273から読み出し、例えば、RAM上に展開する。プロファイルは、例えば、LUT(Look Up Table)の形式により作成されている。
色変換部272は、タグビットから取得された特定色情報がグレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象となる画素であるか否かを判定するとともに、ジョブチケットに、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施する指示が含まれているか否かを判定する。
【0040】
色変換部272は、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施する場合には、対象画素の色値を予め定められた色値(CMYK値)に置換する。
一方、色変換部272は、特定色情報がプロファイルを使用した色変換を行う対象である画素、及び、グレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象となる画素であるが、ジョブチケットにグレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施する指示が含まれていない場合には、タグビットから取得された属性情報及び色空間情報に基づいて、使用するプロファイルを切り替えて対象画素の色変換を行って画像形成装置20で出力可能な色空間の色値(CMYK値)に変換する。
【0041】
使用されるプロファイルは、例えば、ICC(International Color Consortium)プロファイルが適用される。また、使用されるプロファイルには、ソースプロファイルとプリンタープロファイルが含まれている。
ソースプロファイルは、元の色空間からデバイス非依存の色空間(CIE色空間等)に変換(マッピング)するためのデータである。CMYK色空間の場合は、代表的なものとして、Japan ColorやSWOP等に準拠したものがある。RGB色空間の場合は、sRGB、AdobeRGBが一般的に使用される。
プリンタープロファイルは、デバイス非依存の色空間(CIE色空間等)からプリンタの色空間に変換(マッピング)するためのデータで、上述したオブジェクトの属性毎、及び、コート紙/非コート紙等、用紙の種類毎に用意されている。
また、プロファイラーでユーザーが作成したプロファイルを指定することも可能となっている。さらに、ソースプロファイルとプリンタープロファイルとを結合した所謂デバイスリンクプロファイルを指定することも可能である。
【0042】
例えば、元の色空間がCMYK色空間の場合は、CMYK版の色値(C,M,Y,K)を使用して、CMYK用のソースプロファイル及びプリンタープロファイル(あるいは、これらを結合したCMYK−CMYK変換用デバイスリンクプロファイル)を用いて色変換する。元の色空間がRGB色空間の場合には、CMY版の色値(R,G,B)を使用して、RGB用のソースプロファイル及びプリンタープロファイル(あるいは、これらを結合したRGB−CMYK変換用デバイスリンクプロファイル)を用いて色変換する。元の色空間がCIE色空間の場合には、CMY版の色値(x,y,z)を使用して、プリンタープロファイルを用いて色変換する。
【0043】
色変換部272は、以上のようにしてラスターデータの画素毎の色変換を行う。
なお、色変換方法や色置換方法は上述したものに限定されるものではない。また、色変換部272は、全ての処理又は一部の処理をハードウェアで構成するようにしてもよい。
【0044】
細線化・トラッピング処理部274は、必要に応じて色変換が行われたイメージデータに対し、細線化処理及びトラッピング処理を行う。
階調補正処理部275は、階調補正処理を行う。
スクリーン処理部276は、スクリーン処理を行う。
【0045】
図2に示すように、画像形成部28は、画像処理部27により生成された印刷用のイメージデータ(CMYKデータ)に基づいて画像形成を行う。
操作パネル29は、コピー、スキャナー、印刷等のジョブの操作、機械の状態表示、設定等に使用される。例えば、操作パネル29は、記憶部25に格納されたジョブのチケット編集、再印刷指示を行う際に用いられる。また、操作パネル29は、画像読取部22により読み取られる原稿のスキャンデータに対するジョブチケットを作成する際に用いられる。なお、同等の操作は、ネットワークを経由してクライアントPC2上からリモートで行う構成としてもよい。
【0046】
本実施の形態における画像形成装置20の画像処理部27では、上述のように、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施する場合には、対象画素については、プロファイルを使用した色変換を行わないので、色変換の際の演算量を少なくすることができ、色変換における処理効率を向上させることができる。また、例えば、再印刷を行うために、ジョブチケットが編集されて使用するプロファイルが変更された場合でも、グレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象となる画像について置換される色値を維持するために、その都度RIP処理を実施する必要がなく、所望とする印刷結果を得るための作業を効率よく行わせることができ、再印刷を行うための生産性を向上させることができる。
【0047】
以上のようにして構成された画像形成装置20において実行されるジョブ受信時処理について、図8を参照しながら説明する。このジョブ受信時処理は、例えば、クライアントPC2から印刷ジョブを受信したときに制御部26によって実行される処理である。
【0048】
先ず、制御部26は、PDL解析処理を実行する(ステップS101)。
ここで、図9を参照して、PDL解析処理について説明する。
【0049】
制御部26は、PDL解析処理部121により、中間データのファイル(以下、中間ファイルということがある。)を開く(ステップS201)。次に、制御部26は、PDL解析処理部121により、PDLのコマンドを解析し、描画オブジェクトの座標、色値、色空間を中間ファイルに書き込む(ステップS202)。次に、制御部26は、1ページ分の処理が終了したか否かを判定する(ステップS203)。制御部26は、1ページ分の処理が終了したと判定しないときは(ステップS203:N)、ステップS202の処理に移行する。
【0050】
一方、制御部26は、1ページ分の処理が終了したと判定したときは(ステップS203:Y)、PDL解析処理部121により、中間ファイルを閉じる(ステップS204)。次に、制御部26は、ジョブが終了したか否かを判定し(ステップS205)、ジョブが終了したと判定しないときは(ステップS205:N)、ステップS201に戻って上述した処理を繰り返す。一方、制御部26は、ジョブが終了したと判定したときは(ステップS205:Y)、PDL解析処理を終了し、図8のステップS102に移行する。
【0051】
次に、制御部26は、描画処理を実行する(ステップ102)。
ここで、図10を参照して、描画処理について説明する。
【0052】
制御部26は、描画処理部122により、中間ファイルを読み出し、描画オブジェクトの情報を取得する(ステップS301)。
【0053】
次に、制御部26は、描画処理部122により、上述したようにして描画オブジェクトの情報に記述された印刷ジョブの元の色空間における色値でラスターデータを作成する(ステップS302)。また、制御部26は、描画オブジェクトの情報に基づいて上述したようにしてタグビットを作成する(ステップS303)。
【0054】
制御部26は、1ページ分の処理が終了したか否かを判定する(ステップS304)。制御部26は、1ページ分の処理が終了したと判定しないときは(ステップS304:N)、ステップS301の処理に移行する。一方、制御部26は、1ページ分の処理が終了したと判定したときは(ステップS304:Y)、描画処理部122により、所定のページ終了処理を実行する(ステップS305)。
【0055】
次に、制御部26は、ジョブ保存を行うか否かを判定する(ステップS306)。制御部26は、ジョブ保存を行わないと判定したとき、すなわち、受信した印刷ジョブを保存せずに印刷すると判定したときは(ステップS306:N)、後述する色変換処理を実行して作成したラスターデータに対する色変換等を行う(ステップS307)。一方、制御部26は、ジョブ保存を行うと判定したときは(ステップS306:Y)、ステップS307の処理を実行せずにステップS308の処理を実行する。
【0056】
制御部26は、ステップS308において、ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS308)。制御部26は、ジョブが終了したと判定しないときは(ステップS308:N)、ステップS301の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、制御部26は、ジョブが終了したと判定したときは(ステップS308:Y)、描画処理部122により、所定のジョブ終了処理を実行し(ステップS309)、図8のステップS103に移行する。
【0057】
ここで、ステップS307にて実行される色変換処理について、図11を参照しながら説明する。
【0058】
制御部26は、ラスターデータから処理を行う対象となる画素のデータを読み出す(ステップS401)。また、制御部26は、タグビットから処理を行う対象となる画素のデータを読み出し、解析する(ステップS402)。
【0059】
制御部26は、タグビットの上位2bitを判定し、属性情報が「11」であるか否かを判定する(ステップS403)。制御部26は、属性情報が「11」であると判定しないときは(ステップS403:N)、タグビットの下位3bitを判定し、特定色情報が「001」であるか否かを判定する(ステップS404)。すなわち、制御部26は、処理を行う対象となる画素がグレー補償の対象である画素であるか否かを判定する。一方、制御部26は、ステップS403において、属性情報が「11」であると判定したときは(ステップS403:Y)、当該処理を行う対象となる画素には画像がないと判定して、ステップS412の処理に移行する。
【0060】
制御部26は、ステップS404において、特定色情報が「001」であると判定したときは(ステップS404:Y)、ジョブチケットにグレー補償を実施する旨の指示が含まれているか否かを判定する(ステップS405)。制御部26は、ジョブチケットにグレー補償を実施する旨の指示が含まれていると判定したときは(ステップS405:Y)、ラスターデータの処理対象である画素の色値を既定値(CMYK値)に置換する(ステップS410)。ここでは、制御部26は、黒ベタである色値(C=0、M=0、Y=0、K=255)に置換する。制御部26は、ステップS410の処理を実行した後、ステップS412の処理を実行する。一方、制御部26は、ステップS405において、ジョブチケットにグレー補償を実施する旨の指示が含まれていると判定しないときは(ステップS405:N)、上述のようにしてRAM上に展開されたプロファイルから、タグビットの属性情報及び色空間情報に対応するプロファイルを使用して、ラスターデータの処理対象である画素の色値を画像形成部28で出力可能な色空間であるCMYKの色値に色変換する(ステップS411)。制御部26は、ステップS411を実行した後、ステップS412の処理を実行する。
【0061】
また、制御部26は、ステップS404において、特定色情報が「001」であると判定しないときは(ステップS404:N)、特定色情報が「010」であるか否かを判定する(ステップS406)。すなわち、制御部26は、処理を行う対象となる画素がグレー置換の対象である画素であるか否かを判定する。
【0062】
制御部26は、特定色情報が「010」であると判定したときは(ステップS406:Y)、ジョブチケットにグレー置換を実施する旨の指示が含まれているか否かを判定する(ステップS407)。制御部26は、ジョブチケットにグレー置換を実施する旨の指示が含まれていると判定したときは(ステップS407:Y)、上述したステップS410の処理を実行する。ここでは、制御部26は、印刷ジョブの元の色空間の色値に対応する色値に置換する。例えば、制御部26は、印刷ジョブの元の色空間の色値が「R=192、G=192、B=192」である場合には、色値を「C=0、M=0、Y=0、K=64」に置換する。一方、制御部26は、ステップS407において、ジョブチケットにグレー置換を実施する旨の指示が含まれていると判定しないときは(ステップS407:N)、ステップS411の処理を実行する。
【0063】
また、制御部26は、ステップS406において、特定色情報が「010」であると判定しないときは(ステップS406:N)、特定色情報が「011」であるか否かを判定する(ステップS408)。すなわち、制御部26は、処理を行う対象となる画素が代替色置換の対象である画素であるか否かを判定する。
【0064】
制御部26は、特定色情報が「011」であると判定したときは(ステップS408:Y)、ジョブチケットに代替色置換を実施する旨の指示が含まれているか否かを判定する(ステップS409)。制御部26は、ジョブチケットに代替色置換を実施する旨の指示が含まれていると判定したときは(ステップS409:Y)、上述したステップS410の処理を実行する。ここでは、制御部26は、印刷ジョブの元の色空間の色値に対応する色値に置換する。例えば、制御部26は、印刷ジョブの元の色空間の色値が「R=255、G=0、B=0」である場合には、色値を「C=0、M=255、Y=255、K=0」に置換する。一方、制御部26は、ステップS409において、ジョブチケットに代替色置換を実施する旨の指示が含まれていると判定しないときは(ステップS409:N)、ステップS411の処理を実行する。
【0065】
また、制御部26は、特定色情報が「011」であると判定しないときは(ステップS408:N)、ステップS411の処理を実行する。
【0066】
制御部26は、ステップS412において、ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS412)。制御部26は、ジョブが終了したと判定しないときは(ステップS412:N)、処理対象とする画素を移行させてから(ステップS413)、ステップS401の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、制御部26は、ジョブが終了したと判定したときは(ステップS412:Y)、色変換処理を終了する。
【0067】
制御部26は、図8に示すように、上述した描画処理が終了すると、ジョブ保存を行うか否かを判定する(ステップS103)。制御部26は、ジョブ保存を行うと判定したときは(ステップS103:Y)、圧縮伸張部24により、ラスターデータ及びタグビットを圧縮し、ジョブチケットとこれらの圧縮データとを対応付け、ジョブファイルとして記憶部25に保存し(ステップS104)、この処理を終了する。
【0068】
一方、制御部26は、ジョブ保存を行うと判定しないときは(ステップS103:N)、CMYKの色値に色変換されたラスターデータ及びタグビットに基づいて画像処理部27による画像処理を実施し、印刷用のイメージデータを生成する(ステップS105)。制御部26は、生成された印刷用のイメージデータを画像形成部28に出力した後(ステップS106)、この処理を終了する。
【0069】
次に、再印刷処理について、図12を参照しながら説明する。この再印刷処理は、例えば、クライアントPC2や操作パネル29によって再印刷を行う旨の指示が行われたときに制御部26によって実行される処理である。
【0070】
先ず、制御部26は、クライアントPC2からの指示又は操作パネル29の操作に基づいて、記憶部25に記憶されたジョブファイルから再印刷を行うものを選択して読み出す(ステップS501)。選択されるジョブファイルは、クライアントPC2から受信した印刷ジョブに基づいて作成されたものであってもよいし、スキャンデータ処理部23によって生成されたデータに基づいて作成されたものであってもよい。
【0071】
制御部26は、クライアントPC2からの指示又は操作パネル29の操作に基づいて、選択されたジョブファイルに含まれるジョブチケットの編集を行うか否かを判定する(ステップS502)。制御部26は、ジョブチケットの編集を行うと判定したときは(ステップS502:Y)、操作パネル29による操作、あるいは、クライアントPC2からの指示によってジョブチケットの編集を行う(ステップS503)。ジョブチケットの編集は、例えば、使用するプロファイルの変更や、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施するか否かの指示の変更等が可能である。一方、制御部26は、ジョブチケットの編集を行うと判定しないときは(ステップS502:N)、ステップS503の処理を実行せずにステップS504の処理を実行する。
【0072】
そして、制御部26は、クライアントPC2からの指示又は操作パネル29の操作によって再印刷の指示を受け付けると(ステップS504)、圧縮伸張部24により、ラスターデータ及びタグビットの伸張を行い(ステップS505)、伸張されたラスターデータについて、図11を参照して上述した色変換処理を実行する(ステップS506)。このとき、ステップS503においてジョブチケットの編集が行われた場合には、編集後のジョブチケットに基づいて色変換処理が実行される。
【0073】
制御部26は、色変換処理が終了すると、CMYKの色値に色変換されたラスターデータ及びタグビットに基づいて画像処理部27による画像処理を実施し、印刷用のイメージデータを生成する(ステップS507)。制御部26は、生成された印刷用のイメージデータを画像形成部28に出力した後(ステップS508)、この処理を終了する。
【0074】
次に、上述した画像形成システム1のクライアントPC2にて印刷ジョブのジョブ保存、再印刷及び印刷の実行指示を行うにあたり、表示装置の表示画面上に表示される設定画面の例について、図13及び図14を参照しながら説明する。
【0075】
ユーザーによって上述の実行指示が行われた際に、所定の色変換設定操作が行われると、クライアントPC2の表示装置の表示画面上に、図13に示すようなプロパティ画面PP1が表示される。プロパティ画面PP1では、色変換を行う際に使用するプロファイルの指定及び変更等を指示することができる。図13は、ユーザーの操作によって「RGB」のタブが選択されたときの表示画面を示している。ユーザーは、「RGB」のタブが選択されることにより表示される「RGB変換」の項目において、RGBの色空間からCMYKの色空間に色変換するときに使用するプロファイルを選択することができる。具体的には、ユーザーの操作によってラジオボタンR1〜R3から何れかが選択されることにより行われる。
【0076】
ここで、ラジオボタンR1が操作されて「オフ」が選択された場合には、RGBの色空間からCMYKの色変換については、例えば、クライアントPC2にインストールされたプリンタドライバーにおいてデフォルトとして予め設定されたプロファイルが使用されるように指示を行うことができる。
【0077】
また、ラジオボタンR2が操作されて「RGB−CMYKデバイスリンクプロファイル」が選択されると、プルダウンメニューPD1〜PD3により、描画オブジェクトの属性毎に、使用するデバイスリンクプロファイルを指定することができる。
【0078】
また、ラジオボタンR3が操作されて「RGBソースプロファイル」が選択されると、プルダウンメニューPD4により、上述したsRGBプロファイルやAdobeRGBプロファイル等の複数種類のRGBソースプロファイルから使用するものを指定することができる。さらに、プルダウンメニューPD5〜PD7により、適用するレンダリングインテントを描画オブジェクトの属性毎に指定することができる。これにより、適用するレンダリングインテントに応じて写像方法の異なる複数のプリンタープロファイルから描画オブジェクトの属性毎に所望とするものを指定して色変換を行うことができる。
【0079】
なお、ユーザーの操作によって「CMYK」のタブが選択された場合も、上述した要領にて、CMYKの色空間からCMYKの色空間に色変換するときに使用するプロファイルを選択することができる。
【0080】
また、図13に示されるプロパティ画面PP1において、ユーザーにより「OK」ボタンB1が操作されると、クライアントPC2は、ユーザーによって設定された内容のジョブチケットを作成し、当該ジョブチケットを含んだ印刷ジョブを画像形成装置20に送信する。また、ユーザーにより「キャンセル」ボタンB2が操作されると、ユーザーによって設定された内容をすべて破棄し、ジョブ保存、再印刷又は印刷の実行指示をキャンセルする。
【0081】
また、ユーザーの操作により、「その他の設定」のタブが選択されると、図14に示すようなプロパティ画面PP2がクライアントPC2の表示装置の表示画面上に表示される。ユーザーは、「その他の設定」のタブが選択されることにより表示される「その他の設定」の項目において、グレー補償、グレー置換及び代替色置換等の指示を行うことができる。具体的には、ユーザーは、プルダウンメニューPD8からグレー補償を実施する描画オブジェクトの属性を選択することができる。また、ユーザーは、チェックボックスCB1に対してチェック入力を行うことにより、グレー置換の実施を指示することができる。また、ユーザーは、チェックボックスCB2に対してチェック入力を行うことにより、ブラックオーバープリントを指示することができる。また、ユーザーは、チェックボックスCB3に対してチェック入力を行うことにより、スポットカラーの適用を指示することができる。また、ユーザーは、チェックボックスCB4に対してチェック入力を行うことにより、代替色置換の実施を指示することができる。なお、「OK」ボタンB1及び「キャンセル」ボタンB2の機能は、図13におけるプロパティ画面PP1に示されるものと同様であるため、説明を省略する。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態によれば、制御部26は、ページ記述言語で記述された印刷ジョブを解析してラスタライズを行って、印刷ジョブに記述された色空間での色値で表されたラスターデータ、ラスターデータの色空間を示す色空間情報、及び、ラスターデータの色値が特定の色値であることを示す特定色情報を生成する。制御部26は、ラスターデータと、色空間情報と、特定色情報とを対応付けて記憶部25に記憶する。制御部26は、記憶部25に記憶されたラスターデータに対応付けられた特定色情報の有無を判定する。制御部26は、特定色情報があると判定しないときは、ラスターデータに対応付けられた色空間情報の示す色空間に対応した演算を行ってラスターデータの色値から画像形成部28の色空間における色値に変換する。制御部は、特定色があると判定したときは、特定の色値であるラスターデータを、画像形成部28の色空間における予め定められた色値として画像形成部28で出力可能なイメージデータを生成する。その結果、特定色情報である場合には、プロファイルを使用した色変換を行わずに、出力する色空間の色値に置換することができるので、色変換における処理効率を向上させることができる。また、再印刷を行うために、使用するプロファイルの変更等の編集が行われた場合でも、特定の色の画像について置換される色値を維持するために、その都度印刷データに基づくラスタライズを実施する必要がないため、所望とする印刷結果を得るための作業効率を向上させることができ、生産性を向上させることができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、制御部26は、印刷ジョブで指定されたプロファイルを使用して、ラスターデータの色値から画像形成部28における色値に変換する演算を行う。そのため、ユーザーの所望とする色再現性を得ることができ、利便性が向上する。
【0084】
また、本実施の形態によれば、制御部26は、使用するプロファイルを変更してラスターデータの色値から画像形成部28の色空間における色値に変換する演算を行うので、プロファイルを変更しながら再印刷を行ってユーザーの所望とする色再現性を簡便な方法で得ることができる。
【0085】
また、本実施の形態によれば、制御部26は、印刷ジョブを解析して得られたラスターデータの描画オブジェクトの属性を示す属性情報が特定の属性を示すものであることを条件に、特定の色値であるラスターデータを、画像形成部28の色空間における予め定められた色値にする。その結果、ユーザーは、プロファイルを使用した色変換を行うか、予め定められた色値に変換するかを任意に行うことができるので、利便性が向上する。
【0086】
なお、本発明の実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成システムの一例であり、これに限定されるものではない。画像形成システムを構成する各機能部の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0087】
また、本実施の形態では、RIP処理部12を画像形成装置20に備えたものとしたが、例えば、図15に示すように、画像形成装置20AとクライアントPC2との間にプリンタコントローラー10Aを設け、このプリンタコントローラー10AにRIP処理部12が設けられた態様であってもよい。この場合、制御部の機能は、画像形成装置20Aの制御部26及びプリンタコントローラー10Aによって実現される。
【0088】
より具体的に説明すると、プリンタコントローラー10Aは、例えば、図15に示すように、NIC11、RIP処理部12及びビデオIF(InterFace)部13を備えている。プリンタコントローラー10Aは、クライアントPC2とLAN3を介して通信可能に接続されている。プリンタコントローラー10Aは、クライアントPC2からNIC11を介して印刷ジョブを受信し、RIP処理部12にて上述したRIP処理を行ってラスターデータ、タグビット及びジョブチケットを生成する。プリンタコントローラー10Aと画像形成装置20Aとは、ビデオIF部13を介して接続されており、生成されたラスターデータ、タグビット及びジョブチケットは、ビデオIF部13から出力され、ビデオIF回線を介して画像形成装置20Aに入力される。画像形成装置20Aは、プリントデータ受信部21を備えており、プリンタコントローラー10Aから送信されたラスターデータ、タグビット及びジョブチケットを受信する。
【0089】
また、本実施の形態では、ラスターデータの作成において、グレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象である画素のデータについても、印刷ジョブのもとの色空間における色値を保持するようにしたが、ラスターデータの作成において、グレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象である画素のデータについては、出力するデバイスの色空間の色値に予め色置換するようにしてもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、ジョブ保存を行うか否かにかかわらずタグビットを作成したが、受信した印刷ジョブを保存せずに印刷する場合にはタグビットを作成しない構成であってもよい。
【0091】
また、本実施の形態では、複数のプロファイルを使用し、描画オブジェクトの属性等に応じてプロファイルを切り替えながら色変換を行うようにしたが、プロファイルを1種類だけ用意し、このプロファイルを使用して色変換を行うものであってもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、保存したジョブのジョブチケットを編集して使用するプロファイルの変更を可能としたが、プロファイルの変更ができないものであってもよい。
また、本実施の形態では、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施するか否かの設定を変更することができるものとしたが、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施するか否かの設定の変更ができないものであってもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、グレー補償の実施の対象である描画オブジェクトの属性の種類を選択できるようにしたが、選択できないものであってもよく、例えば、描画オブジェクトの属性が「Text」である場合には、必ずグレー補償が実施される態様であってもよい。
【0094】
また、本実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0095】
20 画像形成装置(画像処理装置)
12 RIP処理部
121 PDL解析処理部
122 描画処理部
25 記憶部
26 制御部
27 画像処理部
272 色変換部
28 画像形成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォトブック等、ビットマップデータを多用したプリントデータによる印刷が多く行われている。このようなプリントデータはPDL(Page Description Language)により記述されており、このプリントデータをコントローラーあるいは画像形成装置で解析してラスタライズを行ってCMYK値に色変換される。そして、このようにしてCMYK値に変換されたプリントデータに基づき、画像形成装置による印刷が行われる。
【0003】
ところが、ビットマップデータに対するラスタライズは、文字を表す画像であるテキストデータや表や図形を表す画像であるグラフィックデータ等と比べると処理量が多く、時間が多くかかるという問題がある。そして、このことは、印刷速度の低下にもつながっている。
【0004】
また、POD(Print On Demand)においては、画像形成装置とネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer)等から印刷ジョブを一旦プリンタコントローラーや画像形成装置に保存し、試し刷りを行って印刷結果を確認しつつジョブチケットやページデータ等の編集を行い、所望の印刷結果が得られたところで本印刷を行う、所謂ジョブ保存・編集・再印刷機能を使用したワークフローも実施されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−193477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ジョブチケットやページデータ等の編集を行う都度、プリントデータのラスタライズを行って試し刷りを行う必要があるため、生産性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、所望とする印刷結果を得るための作業を効率よく行わせることができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像処理装置において、
記憶部と、
ページ記述言語で記述された印刷データを解析してラスタライズを行って、印刷データに記述された色空間での色値で表されたラスターデータ、前記ラスターデータの色空間を示す色空間情報、及び、前記ラスターデータの色値が特定の色値であることを示す特定色情報を生成し、前記ラスターデータと、前記色空間情報と、前記特定色情報とを対応付けて前記記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記ラスターデータに対応付けられた前記特定色情報の有無を判定し、前記特定色情報があると判定しないときは、前記ラスターデータに対応付けられた前記色空間情報の示す色空間に対応した演算を行って前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換し、前記特定色情報があると判定したときは、前記特定の色値であるラスターデータを、出力するデバイスの色空間における予め定められた色値として前記出力するデバイスで出力可能なイメージデータを生成する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記印刷データには、前記印刷データに記述された色空間における色値から前記出力するデバイスの色空間における色値に変換するためのプロファイルを指定するプロファイル情報が含まれており、
前記制御部は、前記プロファイル情報で指定されたプロファイルを使用して、前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換する演算を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、使用するプロファイルを変更して前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換する演算を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、前記印刷データを解析して得られた前記ラスターデータのオブジェクトの属性を示す属性情報が特定の属性を示すものであることを条件に、前記特定の色値であるラスターデータを、前記出力するデバイスの色空間における予め定められた色値にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望とする印刷結果を得るための作業を効率よく行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態における画像形成システムのシステム構成図である。
【図2】画像形成装置の主要構成を示す機能ブロック図である。
【図3】RIP処理部の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】タグビットのデータ形式例を示す図である。
【図5】ラスターデータのデータ形式例を示す図である。
【図6】ラスターデータとタグビットの例を示す図である。
【図7】画像処理部の機能的構成を示すブロック図である。
【図8】ジョブ受信時処理について説明するフローチャートである。
【図9】PDL解析処理について説明するフローチャートである。
【図10】描画処理について説明するフローチャートである。
【図11】色変換処理について説明するフローチャートである。
【図12】再印刷処理について説明するフローチャートである。
【図13】印刷ジョブのジョブ保存、再印刷及び印刷の実行指示を行う際に表示される設定画面について説明する図である。
【図14】印刷ジョブのジョブ保存、再印刷及び印刷の実行指示を行う際に表示される設定画面について説明する図である。
【図15】画像形成システムの他の例について示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成システムについて、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
画像形成システム1は、例えば、図1に示すように、画像形成装置20と、クライアントPC2とを備えている。
【0016】
画像形成装置20は、クライアントPC2とLAN(Local Area Network)3を介して通信可能に接続されている。画像形成装置20は、クライアントPC2から印刷ジョブを受信し、RIP(Raster Image Processor)処理を行って多値イメージデータを生成する。また、画像形成装置20は、図2に示すように、スキャンデータ処理部23にて画像読取部22で読み取った原稿の多値イメージデータを生成する。
【0017】
画像形成装置20は、上述のようにして生成された多値イメージデータに基づいて、紙等の印刷媒体に対して画像形成を行う、所謂MFP(Multi Function Peripheral)である。画像形成装置20は、例えば電子写真方式の作像プロセスを利用して画像形成を行う。画像形成装置20は、画像の形成においてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の計4色の色材(トナー)をプロセスカラーとして用いるが、他のプロセスカラーにより画像形成を行うMFPでもよい。以下の説明では、一例として、CMYKをプロセスカラーとする画像形成装置20を含む画像形成システム1に関して記載する。
【0018】
画像形成装置20は、図2に示すように、例えば、NIC(Network Interface Card)11、RIP処理部12、画像読取部22、スキャンデータ処理部23、圧縮伸張部24、記憶部25、制御部26、画像処理部27、画像形成部28及び操作パネル29を備える。
【0019】
NIC11は、LAN3を介してクライアントPC2からページ記述言語(PDL)で記述された印刷ジョブを受信する。印刷ジョブには、ジョブチケットが含まれている。ジョブチケットには、ジョブに関する各種設定情報が記述されている。
【0020】
RIP処理部12は、印刷ジョブを解析し、印刷ジョブに記述された描画オブジェクトのラスタライズを行って、多値の色値で示された多値イメージデータであるラスターデータを生成する。ここでは、ラスターデータは、印刷ジョブの元の色空間の色値で記述される。ここで、色空間としては、例えば、Gray色空間、RGB色空間、CMYK色空間、Separation色空間、DeviceN色空間、CIE色空間等が挙げられる。また、RIP処理部12は、解析した印刷ジョブに基づいて、ラスターデータの描画オブジェクトの属性を示す属性情報と、ラスターデータの印刷ジョブの元の色空間を示す色空間情報と、特定の色置換機能の適用の対象であるか否かを示す特定色情報とからなるタグビットを生成する。ここで、描画オブジェクトの属性には、例えば、文字であることを示す「Text」、図形であることを示す「Graphic」、写真であることを示す「Image」等がある。また、特定の色置換機能とは、ユーザーにより特定の色については常に一定の色にて印刷されることを要求するときに適用される機能であって、例えば、グレー補償、グレー置換、代替色置換等がある。グレー補償は、クライアントPC2のアプリケーション上で作成された黒ベタ文字等の画像をK版のみで黒ベタの画像が形成されるように色値を置換する機能である。グレー置換は、クライアントPC2のアプリケーション上で作成された画像がグレー色で表された画像である場合に、K版の濃淡のみによって画像が形成されるように色値を置換する機能である。代替色置換は、印刷ジョブに記述された画像の色値が特定の色値である場合に、予め定められた色値に一義的に置換する機能であって、例えば、RGBの色空間で表された赤(R=255、G=0、B=0)をCMYKの色空間で表された赤(C=0、M=255、Y=255、K=0)で出力させる場合や、RGBの色空間で表された特定の色をCMYKの色空間における特定の色で出力させるような場合に使用される。なお、色置換機能は上述したものに限定されず、他の色置換機能であってもよい。タグビットは、1画素毎の属性情報、色空間情報及び特定色情報が記述されている。また、RIP処理部12は、色変換部123を備えており、後述する印刷ジョブの保存を行わずに印刷を実行する場合には、ラスターデータに記述された色値を印刷用の色空間の色値に色変換する。RIP処理部12は、制御部26により制御される。RIP処理部12により生成されたラスターデータ及びタグビットは、メモリに格納される。なお、RIP処理部12は、専用のハードウェアにより実現されることとしてもよい。
【0021】
ここで、図3に、RIP処理部12の具体的構成を示す。RIP処理部12は、PDL解析処理部121、描画処理部122及び色変換部123を備える。
PDL解析処理部121は、クライアントPC2から受信されたPS(PostScript)、PDF(Portable Document Format)等のPDLのコマンドを解析し、描画オブジェクトの情報(座標、色値、色空間等)を含む中間データに変換する。PDL解析処理部121は、描画オブジェクトの情報における色値として、当該解析される印刷ジョブの元の色空間での色値を書き込み、中間データを生成する。
【0022】
描画処理部122は、中間データを参照し、描画オブジェクトの情報に基づいて、解像度、印字領域等、出力デバイスの特性に合わせた条件で描画処理を行い、ラスターデータ及びタグビットを生成する。
【0023】
タグビットは、1画素毎に1byte(8bit)のデータが割り当てられている。タグビットにおける1画素毎のデータは、図4に示すように、上位2bitにて構成される属性情報と、中位3bitにて構成される色空間情報と、下位3bitにて構成される特定色情報とによって構成されている。
【0024】
例えば、図4に示すように、属性情報が「00」であれば、当該画素が所属する描画オブジェクトの属性が「Text」であることを示し、属性情報が「01」であれば、当該画素が所属する描画オブジェクトの属性が「Graphic」であることを示し、属性情報が「10」であれば、当該画素が所属する描画オブジェクトの属性が「Image」であることを示し、属性情報が「11」であれば、当該画素には画像データが存在しない「None」であることを示す。属性情報は、中間データに含まれる描画オブジェクトの情報に示された描画オブジェクトの属性に基づいて記述される。
【0025】
また、色空間情報が「000」であれば、印刷ジョブの元の色空間がGray色空間であることを示し、色空間情報が「001」であれば、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であることを示し、色空間情報が「010」であれば、印刷ジョブの元の色空間がCMYK色空間であることを示し、色空間情報が「011」であれば、印刷ジョブの元の色空間がSeparation色空間であることを示し、色空間情報が「100」であれば、印刷ジョブの元の色空間がDeviceN色空間であることを示し、色空間情報が「101」であれば、印刷ジョブの元の色空間がCIE色空間であることを示す。
【0026】
また、特定色情報が「000」であれば、CMM(Color Management Module)の機能によりプロファイルを使用した色変換が行われることを示し、特定色情報が「001」であれば、グレー補償の対象であることを示し、特定色情報が「010」であれば、グレー置換の対象であることを示し、特定色情報が「011」であれば、代替色置換の対象であることを示す。特定色情報は、例えば、印刷ジョブの元の色空間において黒ベタを示す色値である場合に「001」が記述され、印刷ジョブの元の色空間においてグレー色を示す色値である場合に「001」が記述され、描画オブジェクトの情報に代替色に置換する情報が含まれている場合に「010」が記述される。なお、グレー補償及びグレー置換である特定色情報は、描画オブジェクトの情報からグレー補償又はグレー置換を行うか否かを判定し、その結果に基づいて記述されるようにしてもよい。
【0027】
以上から、図4に示されるタグビットのデータは、当該画素が所属する描画オブジェクトの属性が「Text」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、グレー補償の対象であることを示している。
【0028】
ラスターデータは、1画素毎に4byteのデータが割り当てられている。ラスターデータにおける1画素毎のデータは、図5に示すように、1Byte毎にC版、M版、Y版、K版のデータ領域が設定されており、印刷ジョブの元の色空間における各要素の値が記述される。
例えば、印刷ジョブの元の色空間がGray色空間の場合、当該画素のデータには、C版=0、M版=0、Y版=0、K版=(Grayの色値)がそれぞれ記述される。また、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間の場合、当該画素のデータには、C版=(Rの色値)、M版=(Gの色値)、Y版=(Bの色値)、K版=0がそれぞれ記述される。また、印刷ジョブの元の色空間がCMYK色空間の場合、当該画素のデータには、C版=(Cの色値)、M版=(Mの色値)、Y版=(Yの色値)、K版=(Kの色値)がそれぞれ記述される。また、印刷ジョブの元の色空間がSeparation色空間及びDeviceN色空間の場合、当該画素のデータには、C版=(代替色のCの色値)、M版=(代替色のMの色値)、Y版=(代替色のYの色値)、K版=(代替色のKの色値)が記述される。また、印刷ジョブの元の色空間がCIE色空間(XYZ)の場合には、C版=(xの色値)、M版=(yの色値)、Y版=(zの色値)、K版=0が記述される。なお、以下の説明において、Y(イエロー)と区別するため、XYZ表色系における色値は小文字で表すこととする。また、DeviceN色空間で表される各色値の要素は、ユーザーにより予め定義された色である。
【0029】
このように、描画処理部122は、従来と同じCMYK版で構成されるデータ形式でラスターデータを生成することができる。
なお、色空間がSeparation色空間及びDeviceN色空間の場合は、描画処理部122は、予め定義されたスポットカラー名に対応したCMYK値を用いてラスターデータを生成する。
【0030】
図6(a)及び図6(b)に、ラスターデータとタグビットの関係を示す。
【0031】
図6(a)に示されるラスターデータは、RGB色空間で表された「Text」の属性であるオブジェクトTX、RGB色空間で表された「Graphic」の属性であるオブジェクトGD,FG1,FG2、RGB色空間で表された「Image」の属性であるオブジェクトPT1、CMYK色空間で表された「Image」の属性であるオブジェクトPT2を含んでいる。
例えば、図6(a)に示すように、オブジェクトTXの或る画素の色値は「R=0、G=0、B=0」であり、当該画素のデータには、C版=0、M版=0、Y版=0、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトGDの或る画素の色値は「R=192、G=192、B=192」であり、当該画素のデータには、C版=192、M版=192、Y版=192、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトFG1の或る画素の色値は「R=255、G=0、B=0」であり、当該画素のデータには、C版=255、M版=0、Y版=0、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトFG2の或る画素の色値は「R=0、G=0、B=255」であり、当該画素のデータには、C版=0、M版=0、Y版=255、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトPT1の或る画素の色値は「R=120、G=200、B=40」であり、当該画素のデータには、C版=120、M版=200、Y版=40、K版=0が記述されている。
また、オブジェクトPT2の或る画素の色値は「C=58、M=5、Y=96、K=10」であり、当該画素のデータには、C版=58、M版=5、Y版=96、K版=10が記述されている。
【0032】
図6(b)に示すタグビットの各画素のデータは、ラスターデータの各画素に対応している。
例えば、図6(b)に示すように、上述したオブジェクトTXの或る画素のデータには、「00001001」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Text」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、グレー補償の対象であることを示している。ここで、特定色情報を示すタグビットの当該画素の下位3bitのデータには、印刷ジョブの元の色空間における当該画素の色値が「R=0、G=0、B=0」であるため、黒ベタと判断され、グレー補償である「001」が記述される。
また、上述したオブジェクトGDの或る画素のデータには、「01001010」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Graphic」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、グレー置換の対象であることを示している。ここで、特定色情報を示すタグビットの当該画素の下位3bitのデータには、印刷ジョブの元の色空間における当該画素の色値が「R=192、G=192、B=192」となっており、RGBの各値が同値であるため、グレー色と判断され、グレー置換である「010」が記述される。
また、上述したオブジェクトFG1の或る画素のデータには、「01001011」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Graphic」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、代替色置換の対象であることを示している。ここで、特定色情報を示すタグビットの当該画素の下位3bitのデータには、描画オブジェクトの情報に代替色に置換する情報が含まれているため、代替色置換である「011」が記述される。
また、上述したオブジェクトFG2の或る画素のデータには、「01001000」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Graphic」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、プロファイルを使用した色変換が行われることを示している。
また、上述したオブジェクトPT1の或る画素のデータには、「10001000」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Image」で、印刷ジョブの元の色空間がRGB色空間であって、プロファイルを使用した色変換が行われることを示している。
また、上述したオブジェクトPT2の或る画素のデータには、「10010000」が記述されており、当該画素が所属するオブジェクトの属性が「Image」で、印刷ジョブの元の色空間がCMYK色空間であって、プロファイルを使用した色変換が行われることを示している。
このように、本実施の形態では、タグビットを参照することにより、ラスターデータの各画素の属性情報、色空間情報及び特定色情報を取得することができる。
【0033】
図2に示すように、画像読取部22は、光源、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等により構成され、光源から原稿に照明走査した光の反射光をCCDイメージセンサーにて受光して光電変換することにより原稿の画像をR(赤)G(緑)B(青)信号として読み取る。
スキャンデータ処理部23は、画像読取部22により読み取られた原稿の多値イメージデータをラスターデータとして取得するとともに、当該ラスターデータの色空間(RGB)を示す色空間情報を含むタグビットを生成する。スキャンデータ処理部23は、制御部26により制御される。
なお、画像読取部22及びスキャンデータ処理部23を備えない構成としてもよい。
【0034】
圧縮伸張部24は、RIP処理部12又はスキャンデータ処理部23から入力されたラスターデータ及びタグビットの圧縮/伸張を行う。
記憶部25は、圧縮されたラスターデータ及びタグビットや、ジョブチケット等を記憶する。
【0035】
制御部26は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、例えば、記憶部25に記憶されたシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラム、各種データの中から指定されたプログラムやデータを読み出してRAMに展開する。制御部26は、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置20の各部を集中制御する。より具体的には、制御部26は、RIP処理部12又はスキャンデータ処理部23から入力されたデータを保存・印刷するための制御や、操作パネル29等の指示に基づき、記憶部25からデータを読み出して再印刷を行うための制御を行う。
制御部26は、RIP処理部12により生成されて圧縮伸張部24により圧縮されたラスターデータ及びタグビットを、ジョブチケットに対応付けて、ジョブファイルとして記憶部25に記憶させる。
制御部26は、スキャンデータ処理部23により生成され圧縮伸張部24により圧縮されたラスターデータ及びタグビットを、操作パネル29の入力に基づいて作成されたジョブチケットに対応付けて、ジョブファイルとして記憶部25に記憶させる。
制御部26は、記憶部25に記憶されたジョブファイルを読み出し、圧縮伸張部24に当該ジョブファイルに含まれるラスターデータ及びタグビットの伸張を行わせる。
【0036】
画像処理部27は、ラスターデータに対して、当該ラスターデータに対応付けられたタグビット及びジョブチケットに含まれる色変換設定情報に基づいて色変換を行うとともに、他の画像処理を施し、印刷用のイメージデータを生成する。画像処理部27は、制御部26により制御される。なお、画像処理部27は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで構成されることとしてもよい。
【0037】
画像処理部27は、図7に示すように、タグビット解析処理部271、色変換部272、プロファイル記憶部273、細線化・トラッピング処理部274、階調補正処理部275及びスクリーン処理部276を備える。
【0038】
タグビット解析処理部271は、記憶部25から読み出されて伸張されたタグビットを解析して、対応するラスターデータの各画素の属性情報、色空間情報及び特定色情報を取得する。
【0039】
色変換部272は、記憶部25から読み出されたジョブチケットに含まれる色変換設定情報で指定されたプロファイルをプロファイル記憶部273から読み出し、例えば、RAM上に展開する。プロファイルは、例えば、LUT(Look Up Table)の形式により作成されている。
色変換部272は、タグビットから取得された特定色情報がグレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象となる画素であるか否かを判定するとともに、ジョブチケットに、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施する指示が含まれているか否かを判定する。
【0040】
色変換部272は、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施する場合には、対象画素の色値を予め定められた色値(CMYK値)に置換する。
一方、色変換部272は、特定色情報がプロファイルを使用した色変換を行う対象である画素、及び、グレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象となる画素であるが、ジョブチケットにグレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施する指示が含まれていない場合には、タグビットから取得された属性情報及び色空間情報に基づいて、使用するプロファイルを切り替えて対象画素の色変換を行って画像形成装置20で出力可能な色空間の色値(CMYK値)に変換する。
【0041】
使用されるプロファイルは、例えば、ICC(International Color Consortium)プロファイルが適用される。また、使用されるプロファイルには、ソースプロファイルとプリンタープロファイルが含まれている。
ソースプロファイルは、元の色空間からデバイス非依存の色空間(CIE色空間等)に変換(マッピング)するためのデータである。CMYK色空間の場合は、代表的なものとして、Japan ColorやSWOP等に準拠したものがある。RGB色空間の場合は、sRGB、AdobeRGBが一般的に使用される。
プリンタープロファイルは、デバイス非依存の色空間(CIE色空間等)からプリンタの色空間に変換(マッピング)するためのデータで、上述したオブジェクトの属性毎、及び、コート紙/非コート紙等、用紙の種類毎に用意されている。
また、プロファイラーでユーザーが作成したプロファイルを指定することも可能となっている。さらに、ソースプロファイルとプリンタープロファイルとを結合した所謂デバイスリンクプロファイルを指定することも可能である。
【0042】
例えば、元の色空間がCMYK色空間の場合は、CMYK版の色値(C,M,Y,K)を使用して、CMYK用のソースプロファイル及びプリンタープロファイル(あるいは、これらを結合したCMYK−CMYK変換用デバイスリンクプロファイル)を用いて色変換する。元の色空間がRGB色空間の場合には、CMY版の色値(R,G,B)を使用して、RGB用のソースプロファイル及びプリンタープロファイル(あるいは、これらを結合したRGB−CMYK変換用デバイスリンクプロファイル)を用いて色変換する。元の色空間がCIE色空間の場合には、CMY版の色値(x,y,z)を使用して、プリンタープロファイルを用いて色変換する。
【0043】
色変換部272は、以上のようにしてラスターデータの画素毎の色変換を行う。
なお、色変換方法や色置換方法は上述したものに限定されるものではない。また、色変換部272は、全ての処理又は一部の処理をハードウェアで構成するようにしてもよい。
【0044】
細線化・トラッピング処理部274は、必要に応じて色変換が行われたイメージデータに対し、細線化処理及びトラッピング処理を行う。
階調補正処理部275は、階調補正処理を行う。
スクリーン処理部276は、スクリーン処理を行う。
【0045】
図2に示すように、画像形成部28は、画像処理部27により生成された印刷用のイメージデータ(CMYKデータ)に基づいて画像形成を行う。
操作パネル29は、コピー、スキャナー、印刷等のジョブの操作、機械の状態表示、設定等に使用される。例えば、操作パネル29は、記憶部25に格納されたジョブのチケット編集、再印刷指示を行う際に用いられる。また、操作パネル29は、画像読取部22により読み取られる原稿のスキャンデータに対するジョブチケットを作成する際に用いられる。なお、同等の操作は、ネットワークを経由してクライアントPC2上からリモートで行う構成としてもよい。
【0046】
本実施の形態における画像形成装置20の画像処理部27では、上述のように、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施する場合には、対象画素については、プロファイルを使用した色変換を行わないので、色変換の際の演算量を少なくすることができ、色変換における処理効率を向上させることができる。また、例えば、再印刷を行うために、ジョブチケットが編集されて使用するプロファイルが変更された場合でも、グレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象となる画像について置換される色値を維持するために、その都度RIP処理を実施する必要がなく、所望とする印刷結果を得るための作業を効率よく行わせることができ、再印刷を行うための生産性を向上させることができる。
【0047】
以上のようにして構成された画像形成装置20において実行されるジョブ受信時処理について、図8を参照しながら説明する。このジョブ受信時処理は、例えば、クライアントPC2から印刷ジョブを受信したときに制御部26によって実行される処理である。
【0048】
先ず、制御部26は、PDL解析処理を実行する(ステップS101)。
ここで、図9を参照して、PDL解析処理について説明する。
【0049】
制御部26は、PDL解析処理部121により、中間データのファイル(以下、中間ファイルということがある。)を開く(ステップS201)。次に、制御部26は、PDL解析処理部121により、PDLのコマンドを解析し、描画オブジェクトの座標、色値、色空間を中間ファイルに書き込む(ステップS202)。次に、制御部26は、1ページ分の処理が終了したか否かを判定する(ステップS203)。制御部26は、1ページ分の処理が終了したと判定しないときは(ステップS203:N)、ステップS202の処理に移行する。
【0050】
一方、制御部26は、1ページ分の処理が終了したと判定したときは(ステップS203:Y)、PDL解析処理部121により、中間ファイルを閉じる(ステップS204)。次に、制御部26は、ジョブが終了したか否かを判定し(ステップS205)、ジョブが終了したと判定しないときは(ステップS205:N)、ステップS201に戻って上述した処理を繰り返す。一方、制御部26は、ジョブが終了したと判定したときは(ステップS205:Y)、PDL解析処理を終了し、図8のステップS102に移行する。
【0051】
次に、制御部26は、描画処理を実行する(ステップ102)。
ここで、図10を参照して、描画処理について説明する。
【0052】
制御部26は、描画処理部122により、中間ファイルを読み出し、描画オブジェクトの情報を取得する(ステップS301)。
【0053】
次に、制御部26は、描画処理部122により、上述したようにして描画オブジェクトの情報に記述された印刷ジョブの元の色空間における色値でラスターデータを作成する(ステップS302)。また、制御部26は、描画オブジェクトの情報に基づいて上述したようにしてタグビットを作成する(ステップS303)。
【0054】
制御部26は、1ページ分の処理が終了したか否かを判定する(ステップS304)。制御部26は、1ページ分の処理が終了したと判定しないときは(ステップS304:N)、ステップS301の処理に移行する。一方、制御部26は、1ページ分の処理が終了したと判定したときは(ステップS304:Y)、描画処理部122により、所定のページ終了処理を実行する(ステップS305)。
【0055】
次に、制御部26は、ジョブ保存を行うか否かを判定する(ステップS306)。制御部26は、ジョブ保存を行わないと判定したとき、すなわち、受信した印刷ジョブを保存せずに印刷すると判定したときは(ステップS306:N)、後述する色変換処理を実行して作成したラスターデータに対する色変換等を行う(ステップS307)。一方、制御部26は、ジョブ保存を行うと判定したときは(ステップS306:Y)、ステップS307の処理を実行せずにステップS308の処理を実行する。
【0056】
制御部26は、ステップS308において、ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS308)。制御部26は、ジョブが終了したと判定しないときは(ステップS308:N)、ステップS301の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、制御部26は、ジョブが終了したと判定したときは(ステップS308:Y)、描画処理部122により、所定のジョブ終了処理を実行し(ステップS309)、図8のステップS103に移行する。
【0057】
ここで、ステップS307にて実行される色変換処理について、図11を参照しながら説明する。
【0058】
制御部26は、ラスターデータから処理を行う対象となる画素のデータを読み出す(ステップS401)。また、制御部26は、タグビットから処理を行う対象となる画素のデータを読み出し、解析する(ステップS402)。
【0059】
制御部26は、タグビットの上位2bitを判定し、属性情報が「11」であるか否かを判定する(ステップS403)。制御部26は、属性情報が「11」であると判定しないときは(ステップS403:N)、タグビットの下位3bitを判定し、特定色情報が「001」であるか否かを判定する(ステップS404)。すなわち、制御部26は、処理を行う対象となる画素がグレー補償の対象である画素であるか否かを判定する。一方、制御部26は、ステップS403において、属性情報が「11」であると判定したときは(ステップS403:Y)、当該処理を行う対象となる画素には画像がないと判定して、ステップS412の処理に移行する。
【0060】
制御部26は、ステップS404において、特定色情報が「001」であると判定したときは(ステップS404:Y)、ジョブチケットにグレー補償を実施する旨の指示が含まれているか否かを判定する(ステップS405)。制御部26は、ジョブチケットにグレー補償を実施する旨の指示が含まれていると判定したときは(ステップS405:Y)、ラスターデータの処理対象である画素の色値を既定値(CMYK値)に置換する(ステップS410)。ここでは、制御部26は、黒ベタである色値(C=0、M=0、Y=0、K=255)に置換する。制御部26は、ステップS410の処理を実行した後、ステップS412の処理を実行する。一方、制御部26は、ステップS405において、ジョブチケットにグレー補償を実施する旨の指示が含まれていると判定しないときは(ステップS405:N)、上述のようにしてRAM上に展開されたプロファイルから、タグビットの属性情報及び色空間情報に対応するプロファイルを使用して、ラスターデータの処理対象である画素の色値を画像形成部28で出力可能な色空間であるCMYKの色値に色変換する(ステップS411)。制御部26は、ステップS411を実行した後、ステップS412の処理を実行する。
【0061】
また、制御部26は、ステップS404において、特定色情報が「001」であると判定しないときは(ステップS404:N)、特定色情報が「010」であるか否かを判定する(ステップS406)。すなわち、制御部26は、処理を行う対象となる画素がグレー置換の対象である画素であるか否かを判定する。
【0062】
制御部26は、特定色情報が「010」であると判定したときは(ステップS406:Y)、ジョブチケットにグレー置換を実施する旨の指示が含まれているか否かを判定する(ステップS407)。制御部26は、ジョブチケットにグレー置換を実施する旨の指示が含まれていると判定したときは(ステップS407:Y)、上述したステップS410の処理を実行する。ここでは、制御部26は、印刷ジョブの元の色空間の色値に対応する色値に置換する。例えば、制御部26は、印刷ジョブの元の色空間の色値が「R=192、G=192、B=192」である場合には、色値を「C=0、M=0、Y=0、K=64」に置換する。一方、制御部26は、ステップS407において、ジョブチケットにグレー置換を実施する旨の指示が含まれていると判定しないときは(ステップS407:N)、ステップS411の処理を実行する。
【0063】
また、制御部26は、ステップS406において、特定色情報が「010」であると判定しないときは(ステップS406:N)、特定色情報が「011」であるか否かを判定する(ステップS408)。すなわち、制御部26は、処理を行う対象となる画素が代替色置換の対象である画素であるか否かを判定する。
【0064】
制御部26は、特定色情報が「011」であると判定したときは(ステップS408:Y)、ジョブチケットに代替色置換を実施する旨の指示が含まれているか否かを判定する(ステップS409)。制御部26は、ジョブチケットに代替色置換を実施する旨の指示が含まれていると判定したときは(ステップS409:Y)、上述したステップS410の処理を実行する。ここでは、制御部26は、印刷ジョブの元の色空間の色値に対応する色値に置換する。例えば、制御部26は、印刷ジョブの元の色空間の色値が「R=255、G=0、B=0」である場合には、色値を「C=0、M=255、Y=255、K=0」に置換する。一方、制御部26は、ステップS409において、ジョブチケットに代替色置換を実施する旨の指示が含まれていると判定しないときは(ステップS409:N)、ステップS411の処理を実行する。
【0065】
また、制御部26は、特定色情報が「011」であると判定しないときは(ステップS408:N)、ステップS411の処理を実行する。
【0066】
制御部26は、ステップS412において、ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS412)。制御部26は、ジョブが終了したと判定しないときは(ステップS412:N)、処理対象とする画素を移行させてから(ステップS413)、ステップS401の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、制御部26は、ジョブが終了したと判定したときは(ステップS412:Y)、色変換処理を終了する。
【0067】
制御部26は、図8に示すように、上述した描画処理が終了すると、ジョブ保存を行うか否かを判定する(ステップS103)。制御部26は、ジョブ保存を行うと判定したときは(ステップS103:Y)、圧縮伸張部24により、ラスターデータ及びタグビットを圧縮し、ジョブチケットとこれらの圧縮データとを対応付け、ジョブファイルとして記憶部25に保存し(ステップS104)、この処理を終了する。
【0068】
一方、制御部26は、ジョブ保存を行うと判定しないときは(ステップS103:N)、CMYKの色値に色変換されたラスターデータ及びタグビットに基づいて画像処理部27による画像処理を実施し、印刷用のイメージデータを生成する(ステップS105)。制御部26は、生成された印刷用のイメージデータを画像形成部28に出力した後(ステップS106)、この処理を終了する。
【0069】
次に、再印刷処理について、図12を参照しながら説明する。この再印刷処理は、例えば、クライアントPC2や操作パネル29によって再印刷を行う旨の指示が行われたときに制御部26によって実行される処理である。
【0070】
先ず、制御部26は、クライアントPC2からの指示又は操作パネル29の操作に基づいて、記憶部25に記憶されたジョブファイルから再印刷を行うものを選択して読み出す(ステップS501)。選択されるジョブファイルは、クライアントPC2から受信した印刷ジョブに基づいて作成されたものであってもよいし、スキャンデータ処理部23によって生成されたデータに基づいて作成されたものであってもよい。
【0071】
制御部26は、クライアントPC2からの指示又は操作パネル29の操作に基づいて、選択されたジョブファイルに含まれるジョブチケットの編集を行うか否かを判定する(ステップS502)。制御部26は、ジョブチケットの編集を行うと判定したときは(ステップS502:Y)、操作パネル29による操作、あるいは、クライアントPC2からの指示によってジョブチケットの編集を行う(ステップS503)。ジョブチケットの編集は、例えば、使用するプロファイルの変更や、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施するか否かの指示の変更等が可能である。一方、制御部26は、ジョブチケットの編集を行うと判定しないときは(ステップS502:N)、ステップS503の処理を実行せずにステップS504の処理を実行する。
【0072】
そして、制御部26は、クライアントPC2からの指示又は操作パネル29の操作によって再印刷の指示を受け付けると(ステップS504)、圧縮伸張部24により、ラスターデータ及びタグビットの伸張を行い(ステップS505)、伸張されたラスターデータについて、図11を参照して上述した色変換処理を実行する(ステップS506)。このとき、ステップS503においてジョブチケットの編集が行われた場合には、編集後のジョブチケットに基づいて色変換処理が実行される。
【0073】
制御部26は、色変換処理が終了すると、CMYKの色値に色変換されたラスターデータ及びタグビットに基づいて画像処理部27による画像処理を実施し、印刷用のイメージデータを生成する(ステップS507)。制御部26は、生成された印刷用のイメージデータを画像形成部28に出力した後(ステップS508)、この処理を終了する。
【0074】
次に、上述した画像形成システム1のクライアントPC2にて印刷ジョブのジョブ保存、再印刷及び印刷の実行指示を行うにあたり、表示装置の表示画面上に表示される設定画面の例について、図13及び図14を参照しながら説明する。
【0075】
ユーザーによって上述の実行指示が行われた際に、所定の色変換設定操作が行われると、クライアントPC2の表示装置の表示画面上に、図13に示すようなプロパティ画面PP1が表示される。プロパティ画面PP1では、色変換を行う際に使用するプロファイルの指定及び変更等を指示することができる。図13は、ユーザーの操作によって「RGB」のタブが選択されたときの表示画面を示している。ユーザーは、「RGB」のタブが選択されることにより表示される「RGB変換」の項目において、RGBの色空間からCMYKの色空間に色変換するときに使用するプロファイルを選択することができる。具体的には、ユーザーの操作によってラジオボタンR1〜R3から何れかが選択されることにより行われる。
【0076】
ここで、ラジオボタンR1が操作されて「オフ」が選択された場合には、RGBの色空間からCMYKの色変換については、例えば、クライアントPC2にインストールされたプリンタドライバーにおいてデフォルトとして予め設定されたプロファイルが使用されるように指示を行うことができる。
【0077】
また、ラジオボタンR2が操作されて「RGB−CMYKデバイスリンクプロファイル」が選択されると、プルダウンメニューPD1〜PD3により、描画オブジェクトの属性毎に、使用するデバイスリンクプロファイルを指定することができる。
【0078】
また、ラジオボタンR3が操作されて「RGBソースプロファイル」が選択されると、プルダウンメニューPD4により、上述したsRGBプロファイルやAdobeRGBプロファイル等の複数種類のRGBソースプロファイルから使用するものを指定することができる。さらに、プルダウンメニューPD5〜PD7により、適用するレンダリングインテントを描画オブジェクトの属性毎に指定することができる。これにより、適用するレンダリングインテントに応じて写像方法の異なる複数のプリンタープロファイルから描画オブジェクトの属性毎に所望とするものを指定して色変換を行うことができる。
【0079】
なお、ユーザーの操作によって「CMYK」のタブが選択された場合も、上述した要領にて、CMYKの色空間からCMYKの色空間に色変換するときに使用するプロファイルを選択することができる。
【0080】
また、図13に示されるプロパティ画面PP1において、ユーザーにより「OK」ボタンB1が操作されると、クライアントPC2は、ユーザーによって設定された内容のジョブチケットを作成し、当該ジョブチケットを含んだ印刷ジョブを画像形成装置20に送信する。また、ユーザーにより「キャンセル」ボタンB2が操作されると、ユーザーによって設定された内容をすべて破棄し、ジョブ保存、再印刷又は印刷の実行指示をキャンセルする。
【0081】
また、ユーザーの操作により、「その他の設定」のタブが選択されると、図14に示すようなプロパティ画面PP2がクライアントPC2の表示装置の表示画面上に表示される。ユーザーは、「その他の設定」のタブが選択されることにより表示される「その他の設定」の項目において、グレー補償、グレー置換及び代替色置換等の指示を行うことができる。具体的には、ユーザーは、プルダウンメニューPD8からグレー補償を実施する描画オブジェクトの属性を選択することができる。また、ユーザーは、チェックボックスCB1に対してチェック入力を行うことにより、グレー置換の実施を指示することができる。また、ユーザーは、チェックボックスCB2に対してチェック入力を行うことにより、ブラックオーバープリントを指示することができる。また、ユーザーは、チェックボックスCB3に対してチェック入力を行うことにより、スポットカラーの適用を指示することができる。また、ユーザーは、チェックボックスCB4に対してチェック入力を行うことにより、代替色置換の実施を指示することができる。なお、「OK」ボタンB1及び「キャンセル」ボタンB2の機能は、図13におけるプロパティ画面PP1に示されるものと同様であるため、説明を省略する。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態によれば、制御部26は、ページ記述言語で記述された印刷ジョブを解析してラスタライズを行って、印刷ジョブに記述された色空間での色値で表されたラスターデータ、ラスターデータの色空間を示す色空間情報、及び、ラスターデータの色値が特定の色値であることを示す特定色情報を生成する。制御部26は、ラスターデータと、色空間情報と、特定色情報とを対応付けて記憶部25に記憶する。制御部26は、記憶部25に記憶されたラスターデータに対応付けられた特定色情報の有無を判定する。制御部26は、特定色情報があると判定しないときは、ラスターデータに対応付けられた色空間情報の示す色空間に対応した演算を行ってラスターデータの色値から画像形成部28の色空間における色値に変換する。制御部は、特定色があると判定したときは、特定の色値であるラスターデータを、画像形成部28の色空間における予め定められた色値として画像形成部28で出力可能なイメージデータを生成する。その結果、特定色情報である場合には、プロファイルを使用した色変換を行わずに、出力する色空間の色値に置換することができるので、色変換における処理効率を向上させることができる。また、再印刷を行うために、使用するプロファイルの変更等の編集が行われた場合でも、特定の色の画像について置換される色値を維持するために、その都度印刷データに基づくラスタライズを実施する必要がないため、所望とする印刷結果を得るための作業効率を向上させることができ、生産性を向上させることができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、制御部26は、印刷ジョブで指定されたプロファイルを使用して、ラスターデータの色値から画像形成部28における色値に変換する演算を行う。そのため、ユーザーの所望とする色再現性を得ることができ、利便性が向上する。
【0084】
また、本実施の形態によれば、制御部26は、使用するプロファイルを変更してラスターデータの色値から画像形成部28の色空間における色値に変換する演算を行うので、プロファイルを変更しながら再印刷を行ってユーザーの所望とする色再現性を簡便な方法で得ることができる。
【0085】
また、本実施の形態によれば、制御部26は、印刷ジョブを解析して得られたラスターデータの描画オブジェクトの属性を示す属性情報が特定の属性を示すものであることを条件に、特定の色値であるラスターデータを、画像形成部28の色空間における予め定められた色値にする。その結果、ユーザーは、プロファイルを使用した色変換を行うか、予め定められた色値に変換するかを任意に行うことができるので、利便性が向上する。
【0086】
なお、本発明の実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成システムの一例であり、これに限定されるものではない。画像形成システムを構成する各機能部の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0087】
また、本実施の形態では、RIP処理部12を画像形成装置20に備えたものとしたが、例えば、図15に示すように、画像形成装置20AとクライアントPC2との間にプリンタコントローラー10Aを設け、このプリンタコントローラー10AにRIP処理部12が設けられた態様であってもよい。この場合、制御部の機能は、画像形成装置20Aの制御部26及びプリンタコントローラー10Aによって実現される。
【0088】
より具体的に説明すると、プリンタコントローラー10Aは、例えば、図15に示すように、NIC11、RIP処理部12及びビデオIF(InterFace)部13を備えている。プリンタコントローラー10Aは、クライアントPC2とLAN3を介して通信可能に接続されている。プリンタコントローラー10Aは、クライアントPC2からNIC11を介して印刷ジョブを受信し、RIP処理部12にて上述したRIP処理を行ってラスターデータ、タグビット及びジョブチケットを生成する。プリンタコントローラー10Aと画像形成装置20Aとは、ビデオIF部13を介して接続されており、生成されたラスターデータ、タグビット及びジョブチケットは、ビデオIF部13から出力され、ビデオIF回線を介して画像形成装置20Aに入力される。画像形成装置20Aは、プリントデータ受信部21を備えており、プリンタコントローラー10Aから送信されたラスターデータ、タグビット及びジョブチケットを受信する。
【0089】
また、本実施の形態では、ラスターデータの作成において、グレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象である画素のデータについても、印刷ジョブのもとの色空間における色値を保持するようにしたが、ラスターデータの作成において、グレー補償、グレー置換及び代替色置換の対象である画素のデータについては、出力するデバイスの色空間の色値に予め色置換するようにしてもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、ジョブ保存を行うか否かにかかわらずタグビットを作成したが、受信した印刷ジョブを保存せずに印刷する場合にはタグビットを作成しない構成であってもよい。
【0091】
また、本実施の形態では、複数のプロファイルを使用し、描画オブジェクトの属性等に応じてプロファイルを切り替えながら色変換を行うようにしたが、プロファイルを1種類だけ用意し、このプロファイルを使用して色変換を行うものであってもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、保存したジョブのジョブチケットを編集して使用するプロファイルの変更を可能としたが、プロファイルの変更ができないものであってもよい。
また、本実施の形態では、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施するか否かの設定を変更することができるものとしたが、グレー補償、グレー置換及び代替色置換を実施するか否かの設定の変更ができないものであってもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、グレー補償の実施の対象である描画オブジェクトの属性の種類を選択できるようにしたが、選択できないものであってもよく、例えば、描画オブジェクトの属性が「Text」である場合には、必ずグレー補償が実施される態様であってもよい。
【0094】
また、本実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0095】
20 画像形成装置(画像処理装置)
12 RIP処理部
121 PDL解析処理部
122 描画処理部
25 記憶部
26 制御部
27 画像処理部
272 色変換部
28 画像形成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
ページ記述言語で記述された印刷データを解析してラスタライズを行って、印刷データに記述された色空間での色値で表されたラスターデータ、前記ラスターデータの色空間を示す色空間情報、及び、前記ラスターデータの色値が特定の色値であることを示す特定色情報を生成し、前記ラスターデータと、前記色空間情報と、前記特定色情報とを対応付けて前記記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記ラスターデータに対応付けられた前記特定色情報の有無を判定し、前記特定色情報があると判定しないときは、前記ラスターデータに対応付けられた前記色空間情報の示す色空間に対応した演算を行って前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換し、前記特定色情報があると判定したときは、前記特定の色値であるラスターデータを、出力するデバイスの色空間における予め定められた色値として前記出力するデバイスで出力可能なイメージデータを生成する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷データには、前記印刷データに記述された色空間における色値から前記出力するデバイスの色空間における色値に変換するためのプロファイルを指定するプロファイル情報が含まれており、
前記制御部は、前記プロファイル情報で指定されたプロファイルを使用して、前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換する演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、使用するプロファイルを変更して前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換する演算を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印刷データを解析して得られた前記ラスターデータのオブジェクトの属性を示す属性情報が特定の属性を示すものであることを条件に、前記特定の色値であるラスターデータを、前記出力するデバイスの色空間における予め定められた色値にすることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項1】
記憶部と、
ページ記述言語で記述された印刷データを解析してラスタライズを行って、印刷データに記述された色空間での色値で表されたラスターデータ、前記ラスターデータの色空間を示す色空間情報、及び、前記ラスターデータの色値が特定の色値であることを示す特定色情報を生成し、前記ラスターデータと、前記色空間情報と、前記特定色情報とを対応付けて前記記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記ラスターデータに対応付けられた前記特定色情報の有無を判定し、前記特定色情報があると判定しないときは、前記ラスターデータに対応付けられた前記色空間情報の示す色空間に対応した演算を行って前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換し、前記特定色情報があると判定したときは、前記特定の色値であるラスターデータを、出力するデバイスの色空間における予め定められた色値として前記出力するデバイスで出力可能なイメージデータを生成する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷データには、前記印刷データに記述された色空間における色値から前記出力するデバイスの色空間における色値に変換するためのプロファイルを指定するプロファイル情報が含まれており、
前記制御部は、前記プロファイル情報で指定されたプロファイルを使用して、前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換する演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、使用するプロファイルを変更して前記ラスターデータの色値から出力するデバイスの色空間における色値に変換する演算を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印刷データを解析して得られた前記ラスターデータのオブジェクトの属性を示す属性情報が特定の属性を示すものであることを条件に、前記特定の色値であるラスターデータを、前記出力するデバイスの色空間における予め定められた色値にすることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−103370(P2013−103370A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247347(P2011−247347)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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