説明

画像加工装置、画像加工方法及び画像加工プログラム

【課題】 例えば写真に基づいて取り込んだ画像データを加工して自然な筆触で表現した絵画風の画像を得ること。
【解決手段】 画像データに含まれる画素について、色などを判断基準の一つとして各画素をグループ化し、当該画像データを複数の基本領域に分割する。そして基本領域毎に、平均色や重心位置などの特徴を含む基本領域の特徴を算出し、その特徴に基づいて複数の基本領域を統合して統合領域を制作する。また各統合領域の特徴を算出し、更に例えば統合領域内の複数の基本領域を結合させて複数の結合領域としたり、あるいは統合領域を部分分割して部分領域を形成し、基本領域及び統合領域の他に結合領域あるいは部分領域をも表現の単位領域として選択できるようにする。選択された結果により決定された表現の単位領域毎に、その表現の単位領域の特徴に基づいて当該単位領域に含まれる画素の色を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに対して所定の加工、例えば、絵画風の加工を行う画像加工装置、画像加工方法及び画像加工プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、写真画像をスキャナーにより読み込み、読み込んだ画像データに対して、画素の色を変える色変換処理及び画像を歪ませる歪み変換処理等の種々の画像加工処理が行われている。例えば、入力された画像データとその画像データを領域分割した分割結果とから、画素を分割領域毎にグループに分け、それぞれのグループ毎にグループ特徴を計算して記録し、記録したグループ特徴を加工し、加工したグループ特徴から新たに画素を構成することにより、絵画の筆触に対応する画素のグループを変換の単位として、画像データに新しく、且つ豊富な表現を自動的に付与する画像加工合成装置が開発されている(特許文献1参照)。この場合、グループ毎に特徴をまとめ、そのグループを単位として特徴を加工し、加工された特徴を保存するすようにグループに画素を割り当てて画像を構成しているため、グループを筆触に見立てることができ、写真画像等の原画像を様々な筆触の画像に加工することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−11569号公報(第3−9-頁、図1−14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の画像加工合成装置では、絵画の筆触に対応する画素のグループを変換の単位としているため、大きな太い筆触で描く画風や逆に小さなストロークで描く点描画に近い画風を作り出すことができなかった。また、グループ特徴から新たに画素を構成することで作られる筆触も比較的単純な形になってしまっていた。
【0005】
本発明の目的は、画像データに様々な大きさ、様々な形状の、自然な筆触を画像の情報を基に適切に与えることのできる画像加工装置、画像加工方法及び画像加工プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば写真を取り込んで得た画像データを、色的にも距離的にも近い画素同士をまとめてグループ化し、これにより複数の基本領域に分割する。次いでこれら複数の基本領域において互いに似通っている基本領域同士を更にグループ化して複数の統合領域とする。本発明の最も単純な手法としては、概略的に言えば、こうして得られた統合領域において、統合領域自体を表現の単位とするのか、それとも基本領域を表現の単位とするのかを、予め定められた処理の仕方(実施の形態では「処理の指示プリセット」に対応する)あるいはオペレータが手動で決めた処理の仕方に基づいて決定し、例えば背景の一部分については統合領域を表現の単位として、また人物の一部分については基本領域を表現の単位として表現する(その領域の特徴に応じて当該領域に含まれる画素の色を決定する)ものである。
【0007】
そして本発明の更なる特徴としては、統合領域をいかにして作成するかという点にあり、統合領域を更に処理して例えば統合領域内の複数の基本領域を結合させて複数の結合領域としたり、あるいは統合領域を部分分割して部分領域なるものを形成し、基本領域及び統合領域の他に結合領域あるいは部分領域をも表現の単位領域として選択できるようにし、表現のより大きな自由度を確保して様々な画風のしかも自然な筆触の画像が得られるようにしたものである。
【0008】
本発明の基本的な態様は、画像データに含まれる画素について、少なくとも色を判断基準の一つとして各画素をグループ化し、これにより当該画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理手段と、
分割された基本領域毎に、基本領域に含まれる画素のデータに基づいて少なくとも色の特徴を含む当該基本領域の特徴を算出する基本領域特徴算出手段と、
この基本領域特徴算出手段により算出された基本領域特徴の内の少なくとも色に基づいて、複数の基本領域を統合して統合領域を制作する領域統合手段と、
前記統合領域毎に、少なくとも色の特徴を含む当該統合領域の特徴を算出する統合領域特徴算出手段と、
前記統合領域に応じて、当該統合領域を表現の単位領域とするか当該統合領域に含まれている基本領域を表現の単位領域とするかを決定する画像処理領域指示部と、
選択された結果により決定された表現の単位領域毎に、その表現の単位領域の特徴に基づいて当該単位領域に含まれる画素の色を決定する表現部と、を備えたことを特徴とする。
また本発明に係る画像加工装置は、画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理手段の処理の結果として得られる分割画像データを記憶しておく分割画像データ記憶手段と、
前記分割画像データ記憶手段に保存されている分割画像データを基に基本領域毎に当該基本領域の特徴を算出する基本領域特徴算出手段と、
前記基本領域特徴算出手段により算出された基本領域特徴を基本領域毎に記憶する基本領域特徴記憶手段と、
前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合領域を制作する領域統合手段と、
前記領域統合手段により統合された統合領域と前記分割画像データ記憶手段に保存されている分割画像データとから前記統合領域特徴算出手段により算出された統合領域特徴を記憶する統合領域特徴記憶手段とからなる画像特徴抽出手段と、
前記統合領域特徴算出手段により統合領域特徴を算出する際に書き出された統合領域デザインマップを記憶する統合領域デザインマップ記憶手段と、
前記統合領域デザインマップ記憶手段に記憶されている統合領域デザインマップの情報に応じて計算式や計算式に含まれる係数を変更する計算手法を用いて、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴、もしくはそれらに加え、それらの領域特徴を結合、もしくは分割することで作り出された新たな領域特徴から計算される結果を基に画像加工を行う表現手段と、を備えるものである。
【0009】
本発明に係る画像加工装置では、画像データを複数の基本領域に分割し、基本領域毎に当該基本領域の基本領域特徴を算出し、さらに算出された基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合された基本領域から統合領域特徴を算出すると共に、統合の過程で得られる情報を基に統合領域デザインマップも算出し、統合領域デザインマップの情報に応じて計算式や計算式に含まれる係数を変更する計算手法を用いて、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴、もしくはそれらに加え、それらの領域特徴を結合、もしくは分割することで作り出された新たな領域特徴から計算される結果を基に加工画像データが計算されるため基本領域特徴からは基本となるサイズの筆触が、そして統合領域特徴からは大きなサイズの筆触が、さらに結合した領域特徴からは中間の大きさの筆触が、分割された領域特徴からは小さなサイズの筆触が、作り出せるようになる。そして統合領域デザインマップには、画像のどの部分をどの大きさの筆触で描くべきかについて参考となる情報が蓄えられているため、その情報を参考に描かれている対象として残すべき特徴は、細かい描写が可能な小さなサイズの筆で、そしていろいろな画風を加えて見た目の印象を変えるのに効果的な部分には表現に合わせた様々なサイズの筆で描くことで、描かれている対象の特徴を残しながら、且つ表現力のある作品を作り出すことができる。
【0010】
上述した表現手段は、画像を構成する色情報などの画素の特徴を計算するに当たり、先に示した統合領域特徴と基本領域特徴との2つの領域特徴、もしくはどちらか一方の領域特徴と画像の位置情報を入力値として、所定の計算1を行い、その結果最大もしくは最小の値を与えた基本領域の基本領域特徴、もしくは統合領域の統合領域特徴、もしくはその両者に加え、先の計算結果の最小の値と2番目に小さな値との差から計算される値の全て、もしくはいくつかを入力値として画素特徴を計算することが望ましい。
【0011】
この場合、最大値と2番目に大きな値との差が0である画素はどちらの領域の特徴を備えても良い画素、つまりその画素の位置が筆触の境界であり、0でない画素はその値が、境界からどれだけ離れているかについての指標とみなすことができるため、筆触の周辺からの距離に応じて異なる表現を与えることができるようになる。
【0012】
上述した画像特徴抽出手段は、同じ統合領域に統合された複数の基本領域の中から2つ以上の基本領域を選び結合を行う領域結合手段と、その領域結合手段により結合された結合領域と分割画像データ記憶手段に保存されている分割画像データとから結合領域特徴を計算する結合領域算出手段と、前記結合領域算出手段により算出された結合領域特徴を記憶する結合領域特徴記憶手段と、を備えていることが望ましい。
【0013】
この場合、大きな筆触となる統合領域特徴と、小さな筆触となる基本領域特徴とに加え、その中間の大きさの筆触を作り出すことのできる結合領域特徴が利用可能になる。
【0014】
上述した前記画像特徴抽出手段は、前記画像特徴抽出手段に記載の各手段に加え、統合領域、あるいは基本領域、あるいは結合領域、をそれぞれ複数の部分領域に分ける部分領域分割手段を備え、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴と、それらに加え、前記分割画像データ記憶手段に保存されている分割画像データを参照して、各部分領域から部分領域特徴を計算する部分領域特徴算出手段と、計算された部分領域特徴を記憶する部分領域特徴記憶手段を備えていることが望ましい。
【0015】
この場合は、3種類の領域特徴がさらに小さく分けられるため、今まで一番細かかった基本領域よりもさらに細かい筆触で表現することができるようになる。また、分割領域特徴は基になる一つの領域を複数の部分領域の集合で表現するための基の情報にもなる。
【0016】
上述した前記表現手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴との3種類の領域特徴と、あるいはそれらに加えて、それぞれから前記部分領域特徴記憶手段に記憶されている部分領域特徴のうち4種類の領域特徴、あるいはその中の任意の数種類の領域特徴と画素の位置情報を入力値として、最も好ましい領域特徴が選ばれたときに最小の値を示すように考えられた所定の計算2を行い、その結果最小の値を与えた基本領域の基本領域特徴、もしくは統合領域の統合領域特徴、もしくは結合領域の結合領域特徴、もしくはそれらに加え、先の所定の計算2の計算結果の最小の値と2番目に小さな値との差から計算される値の全て、またはその中のいくつかを入力値として画像を構成する画素の画素特徴を計算することが好ましい。
【0017】
この場合、統合領域特徴、基本領域特徴に加え、結合領域特徴、部分領域特徴から画素特徴を計算することで、小さな筆触、中間のサイズの筆触を作り出すことができるようになり、その結果さらに表現力が増す。
【0018】
上述した前記画像特徴抽出手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴との3種類の領域特徴と、あるいはそれらに加えて、それぞれから前記部分領域分割手段よって計算される部分領域特徴のうち4種類の領域特徴、あるいはその中の任意の数種類の各領域特徴を、
その各領域特徴において、基本領域または統合領域または結合領域または部分領域の周囲に位置する基本領域または統合領域または結合領域または部分領域の各領域特徴から計算された値を基に変更する特徴変更手段と、を備えていることが望ましい。
【0019】
この場合、一つの領域特徴から一つの筆触が作り出されるので、絵画らしい筆触を作り出すには、絵画らしい領域特徴が得られる必要があるが、一つの領域特徴がその領域の周囲の領域の特徴の値によって影響を受けて変化することになるので、例えば領域特徴として、領域の方向が周りの領域の方向に影響されて、変化すると、うねるような筆触が作り出される。
【0020】
上述した前記領域統合手段は、印の付いていない基本領域をみつけ、それに印1を付ける。その基本領域に隣接する基本領域間の特徴量の差が第1の閾値より小さい基本領域に印1を付け、さらに、その印1を付けられた基本領域に隣接する基本領域間の特徴量の差が第1の閾値より小さい基本領域にも印1を付けるという作業を繰り返し、最終的に印1が付けられた基本領域をまとめ仮統合領域1とし、まとめ終わったら、初めに戻り、印の付いていない基本領域を見つけ、その基本領域に印2を付け同様の処理を繰り返し、最終的に印の付いてない基本領域がなくなるまで繰り返す。次に、仮統合領域に含まれる基本領域の数が第1の個数より大きい仮統合領域に注目し、それに隣接する基本領域間の特徴量の差が第1の閾値より大きく、第2の閾値より小さい基本領域を同様の手法でまとめ、まとめられた新たな仮統合領域が先の注目した仮統合領域に含まれていた基本領域を含んでおり、且つ新たな仮統合領域にまとめられた基本領域の数を先の注目した仮統合領域にまとめられていた基本領域の数で割った値が1より大きく規定値1より小さい場合にその仮統合領域を正式に統合領域として決定することが望ましい。
【0021】
この場合、一度で統合領域を決定せずに、1度目は仮統合領域としておき、閾値を変えて行う2度目の統合処理で、統合処理を行っても統合領域に大きな変化がなかった場合に、正式な統合領域として決定するため、グラデーションの部分が途中で切れることが少なく、確度の高い統合領域だけを抽出することができ、絵画として同質とみなされる領域を統合領域としてまとめることができるようになる。
【0022】
上述した前記領域統合手段は、2回目の仮統合領域が決定した後に、第2の閾値の値を新たに第1の閾値として、3回目の仮統合領域を定める処理と2回目の仮統合領域を正式に統合領域として決定する処理を行い、以後、同様の操作を複数回繰り返し、繰り返す際に、前回の処理で統合領域として決定した基本領域を除いた残りの基本領域に対してのみ統合処理を続け、例えばn回目の正式な統合領域としての決定処理が終った時には、その統合領域に通し番号を与え、統合領域デザインマップにその番号とn回目の均一統合領域であることとを記録することが望ましい。
【0023】
この場合、閾値を大きくしながら、統合を繰り返すため、2度だけでは統合できなかった領域も統合できることになる。また、繰り返しの少ない回数で統合された領域の方がより均一な領域なので、領域が何度目の繰り返しで統合されたかをデザインマップに記録しておこくとで、この情報を画素に表現を加える際に有効に利用できることになる。
【0024】
上述した前記領域統合手段は、n回目の繰り返し処理後に、基本領域数が第1の個数より大きく、第2の個数より小さい仮統合領域に注目し、その仮統合領域の境界付近に位置する基本領域の中で、注目した仮統合領域内にある基本領域の基本領域特徴とそれに隣接し、且つ注目した仮統合領域外にある基本領域の基本領域特徴との差の平均値の絶対値が規定値2より大きい場合に、さらに、その仮統合領域に通し番号を与え、統合領域デザインマップにその通し番号とn回目の対比統合領域であることとを記録し、この仮統合領域を統合処理の対象から除外した後にn+1回目の繰り返し処理を行うことが好ましい。
【0025】
この場合、デザインを考えると、面積が小さく、周囲との強い対比のある統合領域が目立ち、重要な領域になるので、このような領域を統合して決定し、それを統合領域デザインマップに記録しておくことで、統合領域も統合領域デザインマップも表現の際に役立たせることができる。
【0026】
上述した前記領域統合手段は、全ての処理をする前に、規定値3より大きい基本領域特徴を持つ基本領域を予め除外しておく、除外された基本領域の情報を先の統合領域デザインマップに記述しておくことが望ましい。
【0027】
この場合、2つの対象の間にあるエッジ部分に乗っている基本領域はどちらにも統合すべきではないが、このことを実現するために、エッジ部分に乗っている基本領域は極端に細長いことを利用し、この細長さを基本領域特徴として表現しておくと、この特徴が規定値3より大きい場合は、統合せずに初めから候補から除外しておくことができ、また、この情報を統合領域デザインマップが保持するため、表現の際に役立たせることができるようになる。
【0028】
上述した前記領域結合手段は、前記領域統合手段により同じ統合領域にまとめられた近接する複数の基本領域に対し、1つの結合領域として結合させる基本領域の個数とそれらの基本領域が結合可能となる基本領域特徴との関係をその基本領域が属する統合領域の統合領域デザインマップに記述されている情報に応じて変化させることが好ましい。
【0029】
この場合、基本領域を結合するかどうかは表現の上では、どの太さの筆で描くかに当たる部分なので、画像のそのものが持っている情報を参考に決めるべきであるが、その情報を統合領域デザインマップが持っているため、これを利用することで、画風に合わせた適切な太さの筆の選択ができるようになる。
【0030】
上述した前記表現手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴との3種類の領域特徴と、あるいはそれらに加えて、夫々から前記部分領域分割手段よって計算される部分領域特徴のうち4種類の領域特徴、あるいはその中の任意の数種類の各領域特徴を、夫々が含まれている統合領域の統合領域デザインマップに記述されている情報を基に選び出し、さらに前記統合領域デザインマップに記述されている情報を基に選び出された領域特徴から画素特徴を計算する計算式を切り替えて、画素特徴を計算することが好ましい。
【0031】
この場合、統合領域デザインマップは、エッジの部分や、少ない面積でも重要な部分の情報を持っているため、統合領域デザインマップの情報を利用してこのような部分を避けて、いろいろな画風の表現を与えることで、元の絵の内容を損なわない表現を作り出すことができるようになる。
【0032】
先ず、画素特徴がどのタイプの領域から計算されるかが重要になるため、基本領域特徴から画素特徴を計算するか、または、その基本領域が含まれている統合領域の統合領域特徴から画素特徴を計算するか、または、その基本領域が結合された結合領域から画素特徴を計算するかを統合領域デザインマップの情報を基に決定することで、細かく描くべきところを細かく描くことができるようになる。
【0033】
さらに、選び出された特徴から画素特徴を計算する計算式の選び方で、画風が変えられるので、この計算式を選択する際にも統合領域デザインマップの情報を基に決定することで、適切な表現が加えられるようになる。
【0034】
上述した前記部分領域分割手段は、統合領域、あるいは基本領域、あるいは結合領域、を夫々複数の部分領域に分け、その部分領域毎に、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴を参照して部分領域特徴を計算する際に、部分領域が属していた統合領域の統合領域デザインマップに記述されている情報に応じて異なる計算式が選択され、それを用いて部分領域算出手段によって部分領域の部分領域特徴が計算され、計算された部分領域特徴が部分領域特徴記憶手段に記憶されることが好ましい。
【0035】
この場合、部分領域は基になる統合領域、基本領域、結合領域から分けて作られるが、この部分領域の作り方も、表現変化を加える重要な要素であるため、統合領域の統合領域デザインマップに記述されている情報に応じて適切な計算式を与えることで、結果として適切な表現を与えられるようになる。
【0036】
上述した前記特徴変更手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴と前記部分領域分割手段により計算される部分領域特徴とのうち4種類の領域特徴から、あるいは任意の数種類から選択された各領域特徴を変更するための数式を複数用意しており、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域デザインマップに記述されている情報に応じて、適切な数式を選択して、その選択された数式を用いて各特徴量を変更することが好ましい。
【0037】
この場合、既に計算されている各領域特徴の色や外形をさらに変化させる特徴変更手段に統合領域デザインマップに記述されている情報を利用できるようにすることで、画像のどこの特徴にどのような変化を与えるべきかが明確になる。
【0038】
前記統合領域特徴、結合領域特徴、基本領域特徴、各領域特徴の記述単位である統合領域、結合領域、基本領域の各領域毎に領域の通し番号とその領域に含まれている画素の統計量を要素として持ち、最低限、平均色、各領域毎に含まれている画素の重心、各領域毎に含まれている画素数、を含むことが好ましい。
【0039】
この場合、絵画の表現に必要なものには様々な統計量が考えられるが、どの領域にも必ず含まれていなくては、表現力が極端に落ちる要素があるため、それを規定することで、表現力が失われるリスクを避けることができる。
【0040】
上述した前記表現手段は、表現処理を画像データに対して、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域特徴、または前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴、または前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴から計算される画像範囲を単位として、夫々に異なる処理をオペーレータの指示で加えられるように、画像データを複数の領域に分けるためのデータ入力手段を備えていることが好ましい。
【0041】
この場合、画像加工装置に統合領域、基本領域、結合領域を単位として表現を与える画像範囲を直接指示することが可能になる。
【0042】
上述した前記表現手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴とに対して、前記部分領域分割手段により夫々3つの領域特徴から計算される部分領域特徴を利用して、夫々3つの領域特徴から作り出される筆触の形を様々に変化されることが好ましい。
【0043】
この場合、一つの領域特徴から作り出される部分領域の数に応じて、筆触の形の複雑さを変えることができる。例えば3つの部分領域が作られていれば、その部分領域特徴を用いることで、2次曲線に従った筆触の変形が可能になる。
【0044】
上述した前記表現手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴との3種類の領域特徴と、あるいはそれらに加えて、夫々から前記部分領域分割手段よって計算される部分領域特徴のうち4種類の領域特徴、あるいはその中の任意の数種類の領域特徴と画像の位置情報を入力値として、最も好ましい特徴が選ばれたときに値が最小になる所定の計算3を行い、nを自然数とし、その計算の結果は1番目からn番目に小さい値までを与えたn個の基本領域の基本領域特徴、もしくはn個の統合領域の統合領域特徴、もしくはn個の結合領域の結合領域特徴、もしくはそれらのいくつかと、さらに、先の計算結果の最小の値と2番目に小さな値との差(最小の値とn−1番目に小さな値との差から計算されるn−1個の値)の全て、もしくはいくつかを入力値として画素特徴を計算することが望ましい。
【0045】
この場合、一つの画素を決定する際に一つの領域だけでなく、その画素に影響力のあると考えられる複数の領域の特徴を考慮して画素特徴を計算することができるため、より微妙な表現を実現できるようになる。
【0046】
本発明に係る画像加工方法はコンピュータを用いて画像を加工する画像加工方法であって、
前記コンピュータが、画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理ステップの処理の結果として得られる分割画像データを記憶しておく分割画像データ記憶ステップと、
前記分割画像データ記憶ステップに保存されている分割画像データを基に基本領域毎に特徴を算出する基本領域特徴算出ステップと、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴算出ステップにおいて算出した基本領域特徴を領域毎に記憶する基本領域特徴記憶ステップと、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴記憶ステップにおいて記憶した基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合領域を作成する領域統合ステップと、
前記コンピュータが、前記領域統合ステップにおいて統合した統合領域を記憶する統合領域特徴記憶ステップと、
前記統合領域特徴記憶ステップに記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶ステップに記憶されている基本領域特徴との2つの領域特徴から計算される結果を基に前記画像データに対して表現処理を行う表現ステップとを含むものである。
【0047】
本発明に係る画像加工方法はコンピュータを用いて画像を加工する画像加工方法であって、
前記コンピュータが、画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理ステップの処理の結果として得られる分割画像データを記憶しておく分割画像データ記憶ステップと、
前記分割画像データ記憶ステップに保存されている分割画像データを基に基本領域毎に特徴を算出する基本領域特徴算出ステップと、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴算出ステップにおいて算出した特徴を基本領域毎に記憶する基本領域特徴記憶ステップと、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴記憶ステップにおいて記憶した基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合領域を作成すると共に、統合領域デザインマップを制作する領域統合ステップと、
前記コンピュータが、前記領域統合ステップにおいて統合した統合領域を記憶する統合領域記憶ステップと、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴記憶ステップにおいて記憶した統合領域特徴を基に複数の基本領域を結合して結合領域を作成する領域結合ステップと、
前記コンピュータが、前記領域結合ステップにおいて結合した結合領域を記憶する結合領域特徴記憶ステップと、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴記憶ステップにおいて記憶した統合領域特徴と基本領域特徴記憶ステップにおいて記憶した基本領域特徴と結合領域を記憶する結合領域記憶ステップにおいて記憶した結合領域特徴との全て、あるいは任意の数種の領域を前記統合領域デザインマップを参考にしながら、適応的に複数の部分に分割し、その部分領域毎に部分領域特徴を計算する部分領域分割ステップと、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴、あるいは前記部分領域特徴に変更を加える特徴変更ステップと
前記コンピュータが、前記統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴、あるいは前記部分領域特徴に対して、前記統合領域デザインマップを参照しながら、適応的に表現処理を行う表現ステップとを含むものである。
【0048】
本発明に係る画像加工プログラムは画像を加工する画像加工プログラムであって、
前記コンピュータが、画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理手段の処理の結果として得られる分割画像データを記憶しておく分割画像データ記憶手段と、
前記分割画像データ記憶手段に保存されている分割画像データを基に基本領域毎に特徴を算出する基本領域特徴算出手段と、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴算出手段において算出した基本領域特徴を基本領域毎に記憶する基本領域特徴記憶手段と、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴記憶手段において記憶した基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合領域を作成する領域統合手段と、
前記コンピュータが、前記領域統合手段において統合した統合領域を記憶する統合領域特徴記憶手段と、
前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴との2つの領域特徴から計算される結果を基に前記画像データに対して表現処理を行う手段としてコンピュータを機能させるものである。
【0049】
本発明に係る画像加工プログラムは画像を加工する画像加工プログラムであって、
前記コンピュータが、画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理手段の処理の結果として得られる分割画像データを記憶しておく分割画像データ記憶手段と、
前記分割画像データ記憶手段に保存されている分割画像データを基に基本領域毎に特徴を算出する基本領域特徴算出手段と、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴算出手段において算出した特徴を基本領域毎に記憶する基本領域特徴特徴記憶手段と、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴記憶手段において記憶した基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合領域を作成すると共に、統合領域デザインマップを制作する領域統合手段と、
前記コンピュータが、前記領域統合手段において統合した統合領域を記憶する統合領域特徴記憶手段と、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴記憶手段において記憶した統合領域特徴を基に複数の基本領域を結合して結合領域を作成する領域結合手段と、
前記コンピュータが、前記領域結合手段において結合した結合領域を記憶する結合領域特徴記憶手段と、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴記憶手段において記憶した統合領域特徴と基本領域特徴記憶手段において記憶した基本領域特徴と結合領域を記憶する結合領域特徴記憶手段において記憶した結合領域特徴との全て、あるいは任意の数種の領域を前記統合領域デザインマップを参照しながら、適応的に複数の部分に分割し、その部分領域毎に部分領域特徴を計算する部分領域分割手段と、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴、あるいは前記部分領域特徴に変更を加える特徴変更手段と、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴、あるいは前記部分領域特徴に対して、前記統合領域デザインマップを参考にしながら、適応的に画像加工処理を行う手段としてコンピュータを機能させるものである。
【0050】
更に本発明はコンピュータに用いられ、画像データを加工するプログラムにおいて、
画像データに含まれる画素について、少なくとも色を判断基準の一つとして各画素をグループ化し、これにより当該画像データを複数の基本領域に分割するステップと、
分割された基本領域毎に、少なくとも色の特徴を含む当該基本領域の特徴を算出するステップと、
分割された基本領域について、注目した一の基本領域に対して互いに連鎖しかつ互いに隣接するもの同士の基本領域の特徴の差が第1の閾値より小さい基本領域群を検出し、それら基本領域をグループ化して仮統合領域とし、同様にして前記一の基本領域以外の基本領域に対してもグループ化される基本領域群を検出して仮統合領域とし、こうして複数の第1回目の仮統合領域を得るステップと、
第1の閾値を、第1回目の仮統合領域を得るステップ時よりも大きくし、前記ステップと同様のステップを行って、複数の仮統合領域を得てこれらを第2回目の仮統合領域とし、第1回目の仮統合領域と第2回目の仮統合領域とが共通の基本領域を含んでいてかつ第1回目の仮統合領域に含まれる基本領域の数に対する第2回目の仮統合領域の基本領域の数の増加率が予め設定された値よりも小さいときに、その仮統合領域を正式な統合領域として決定するステップと、
第2回目の仮統合領域が決定した後に、第1の閾値の値を更に大きくして同様にして3回目の仮統合領域を定める処理を行うと共に、同様にして2回目の仮統合領域を正式に統合領域として決定する処理を行い、以後、同様の操作を複数回繰り返し、繰り返す際に、前回の処理で統合領域として決定した基本領域を除いた残りの基本領域に対してのみ統合処理を続けるステップと、
正式な統合領域としての決定処理が終った後、正式な統合領域ごとに、何回目の仮統合処理により仮統合領域から正式な統合領域に決定されたのかを示す段階数を記録するステップと、
前記正式に決定された統合領域毎に、基本領域に含まれる画素のデータに基づいて少なくとも色の特徴を含む当該統合領域の特徴を算出するステップと、を含むことを特徴とする。
【0051】
このプログラムにおいて、前記統合領域に応じて、当該統合領域を表現の単位領域とするか当該統合領域に含まれている基本領域を表現の単位領域とするかを決定するステップと、
選択された結果により決定された表現の単位領域毎に、その表現の単位領域の特徴に基づいて当該単位領域に含まれる画素の色を決定するステップと、を含むようにしてもよい。なお統合領域を表現の単位領域とするか当該統合領域に含まれている基本領域を表現の単位領域とするかの決定は例えば、前記統合領域の段階数に応じて行われる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、画像データについて、色的にも距離的にも近い画素同士をまとめてグループ化し、これにより複数の基本領域に分割すると共にこれら複数の基本領域において互いに似通っている基本領域同士を更にグループ化して複数の統合領域とし、統合領域自体を表現の単位とするのか、それとも基本領域を表現の単位とするのかを、自動あるいは手動で指定するようにしているため、多様な表現を実現することができる。
【0053】
また画像データを複数の基本領域、統合領域、結合領域及び部分領域に分割し、夫々の特徴を算出し、統合領域デザインマップの情報、またはデータ入力手段から入力される情報、または予め決められた計算式に従って、画像を構成する画素が、各領域の特徴量のいずれかを基にして、いずれの画素特徴計算式を利用するかを決定したのち、画像を構成する画素特徴が計算されるため、一つの作品の中に多様な表現を盛り込むことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の一実施の形態による画像加工装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態による画像加工装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像加工装置は、ROM(リードオンリメモリ)、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、外部記憶装置、入力装置、表示装置、通信装置等を備えるコンピュータから構成されている。このコンピュータは、外部記憶装置等に予め記憶されている画像加工プログラムをCPU等で実行することにより、画像データ入力部1、画像特徴抽出部2、基本領域分割部3、基本領域特徴算出部4、基本領域特徴記憶部5、領域統合部6、統合領域特徴算出部7、統合領域特徴記憶部8、領域結合部9、結合領域特徴算出部10、結合領域特徴記憶部11、部分領域分割部12、部分領域特徴算出部13、部分領域特徴記憶部14、表現部15、特徴変更部16、統合領域デザインマップ記憶部17、画像処理領域指示部18、画像処理領域プリセット記憶部19、データ入力部20、画像データ表示部21、画像データ出力部22、分割画像データ記憶部23、処理手順記憶部24として機能する。
【0055】
前記画像データ入力部1は、マウス、キーボード及びタブレット等の入力装置、通信インターフェース等の通信装置から構成され、入力装置を用いたユーザーの指令に応じて、スキャナ及びデジタルカメラ等の画像データを原画像として受け付け、原画像を画像特徴抽出部2を構成する基本領域分割部3に入力すると共に、その画像に対する画像処理の手順と処理に必要なパラメータを記述した処理手順をキーボードから直接受け付けたり、ハードディスクから読み込んだりして、その処理手順をRAMまたは外部記憶装置等から構成される処理手順記憶部24に記憶する。
【0056】
ここで原画像としては、種々の画像データを用いることができ、RGB表色系、XYZ表色系、L*a*b*表色系で表現される画像データを用いたり、一枚または複数枚の画像データを用いたりしても良い。
【0057】
前記基本領域分割部3は、入力される原画像を処理手順記憶部24に記憶されている処理手順に従い、公知の領域分割処理により複数の基本領域に分割し、その結果を分割画像データ記録部23に保存すると共に、基本領域特徴算出部4で分割された基本領域を、分割画像データ記録部23に記憶されている分割画像データを基に、当該基本領域毎に当該基本領域の特徴を算出し、算出された基本領域特徴は基本領域特徴記憶部5に保存される。
【0058】
ここで領域分割処理としては、種々の領域分割処理を用いることができ、5次元のK-平均アルゴリズム(泉ら:「色情報と位置情報とを併用したセグメンテーション手法の一検討」、電子情報通信学会春期全国大会予稿集、D680(1991)、特開平10−11569号広報に開示されている絵画から筆触を抽出する手法を用いることができる。また基本領域の特徴は、少なくとも基本領域の平均色、基本領域の画像上の位置、基本領域に含まれる画素数を含み、必要に応じて第1主成分、第2主成分等、基本分割領域から抽出可能な特徴量を用いても良い。具体的な領域分割の手法及び様子は後述する。
【0059】
前記基本領域特徴記憶部5は、RAMまたは外部記憶装置等から構成され、基本領域特徴を当該基本領域の領域番号に対応付けてテーブル形式で記憶する。
【0060】
前記領域統合部6は基本領域特徴記憶部5に保存されている基本領域特徴を基に、処理手順記憶部24に記憶されている処理手順に従い、複数の基本領域を統合して統合領域を作成し、該統合領域の統合領域番号に対応付けてその統合領域にまとめられた基本領域番号を統合領域対応番号表として統合領域特徴記憶部8に保存すると共に、統合された領域の性質と何度目の繰り返し処理によって統合されたかという情報を統合領域記号として統合領域デザインマップにまとめ、それを統合領域デザインマップ記憶部17に保存する。
【0061】
前記統合領域特徴算出部7は、領域統合部6において一つの統合領域に統合された基本領域が一つのまとまりとしての特徴を分割画像データ記憶部23に記憶されている分割画像データを基にして算出する。
【0062】
前記統合領域特徴記憶部8は、RAMまたは外部記憶装置等から構成され、統合領域特徴算出部7によって算出された領域特徴を当該統合領域の領域番号に対応付けてテーブル形式で記憶する。
【0063】
前記領域結合部9は、同一の領域統合としてまとめられた近接する複数の基本領域の中から、処理手順記憶部24に記憶されている処理手順に決められたルールと、場合によっては画像処理領域指示部18によって指示されたルールとを用いて、結合される基本領域を選び、該結合領域の結合領域番号に対応付けてその結合領域にまとめられた基本領域番号を結合領域対応番号表として結合領域特徴記憶部11に保存する。
【0064】
前記結合領域特徴算出部10は、領域結合部9にて一つの結合領域に統合された基本領域が一つのまとまりとしての特徴を分割画像データ記憶部23に記憶されている分割画像データを基に算出する。
【0065】
前記結合領域特徴記憶部11は、RAMまたは外部記憶装置等から構成され、結合領域特徴算出部10によって算出された特徴を当該結合領域の領域番号に対応付けてテーブル形式で記憶する。
【0066】
前記部分領域分割部12は、基本領域特徴記憶部5に記憶されている基本領域特徴と統合領域特徴記憶部8に記憶されている統合領域特徴と結合領域特徴記憶部11に記憶されている結合領域特徴とから、処理手順記憶部24に記憶されている処理手順に決められたルールと、場合によっては画像処理領域指示部18によって指示されたルールも用いて各領域特徴を選び出し、選び出された各領域特徴を処理手順記憶部24によって予め決められた手法、または画像処理領域指示部18によって指示された手法に基づいて部分領域に分割し、部分領域とその基になった基本領域、統合領域及び結合領域との対応関係を部分領域対応番号表として部分領域特徴記憶部14に保存する。
【0067】
前記部分領域特徴算出部13は、部分領域分割部12によって分割された部分領域の特徴を分割画像データ記憶部23に記憶されている分割画像データを基に算出する。
【0068】
前記部分領域特徴記憶部14は、RAMまたは外部記憶装置等から構成され、部分領域特徴算出部13によって算出された特徴を当該部分領域の領域番号に対応付けてテーブル形式で記憶する。
【0069】
前記表現部15は、基本領域特徴記憶部5に記憶されている基本領域特徴と統合領域特徴記憶部8に記憶されている統合領域特徴と結合領域特徴記憶部11に記憶されている結合領域特徴と部分領域特徴記憶部14に記憶されている部分領域特徴とから、処理手順記憶部24に記憶されている処理手順に決められた手法と、場合によっては画像処理領域指示部18によって指示された手法とに基づいて絵画風画像を構成する。
【0070】
前記特徴変更部16は、処理手順記憶部24に記憶されている処理手順に決められた手法と、場合によっては画像処理領域指示部18によって指示された手法とに基づいて、基本領域特徴記憶部5に記憶されている基本領域特徴と統合領域特徴記憶部8に記憶されている統合領域特徴と結合領域特徴記憶部11に記憶されている結合領域特徴と部分領域特徴記憶部14に記憶されている部分領域特徴とに選択的に変更を加える。
【0071】
前記統合領域デザインマップ記憶部17は、領域統合部6が統合する際に算出した統合領域記号を統合領域番号と共にまとめた統合領域デザインマップを記憶しており、この統合領域デザインマップは画像処理領域指示部18に利用される。
【0072】
前記画像処理領域指示部18は、統合領域デザインマップ記憶部17に記憶されている統合領域デザインマップ内の統合領域記号を基に、領域結合部9、部分領域分割部12、表現部15、特徴変更部16の全て、または一部に、画像処理領域プリセット記憶部19に予め保存されている処理の指示プリセットから、またはキーボード等から構成されるデータ入力部20を介して入力されるオペレータの命令により、どの領域にどの処理を行うかを指示する。
【0073】
前記画像処理領域プリセット記憶部19は、画像処理領域指示部18に利用される処理の指示プリセットが多数保存されている。
【0074】
前記データ入力部20は、画像処理領域指示部18にオペレータが命令を送るための入力装置であり、キーボードやマウスまたはペンタブレット、音声認識装置等から構成されている。
【0075】
前記画像データ表示部21は、表現部15によって計算された加工画像を表示したり、統合領域デザインマップ記憶部17に記憶されている統合領域記号をオペレータに表示したりするCRTや液晶ディスプレー等によって構成されている。
【0076】
前記画像データ出力部22は、紙等に出力するプリンターやCRTや液晶画面に表示するディスプレー等によって構成されており、表現部15によって計算された加工画像を表示したり、プリントしたりする。
【0077】
前記分割画像データ記憶部23は、RAMまたは外部記憶装置等から構成され、基本領域分割部3によって基本領域に割り振られた画素のリストを記憶している。
【0078】
前記処理手順記憶部24は、RAMまたは外部記憶装置等から構成され、画像データ入力部1から入力された画像に対応した処理手順を保存しており、保存された処理手順は選択的に処理を行う各処理部(領域統合処理、領域結合処理、部分分割処理及び表現処理)で利用される。
【0079】
本実施の形態では、各部は各手段の一例に相当するが、画像処理領域指示部18及び画像処理領域プリセット記憶部19については、領域結合部9、部分領域分割部12、表現部15及び特徴変更部16の一部に相当する。
【0080】
次に、上記のように構成された画像加工装置による画像加工処理について説明する。図2は、図1に示す画像加工装置による画像加工処理を説明するためのフローチャートである。先ず、ステップS1において、画像データ入力部1から画像データ及び処理手順が取得される。取得された画像データは基本領域分割部3に送られると共に、処理手順は処理手順記憶部24に保存される。
【0081】
次に、ステップS2において、処理手順記憶部24に保存されている処理手順に従い、基本領域の分割が行われる。ここでの分割が最終的な絵画を作り出す筆触の基本になるため、原画像が持つ特徴に合わせて適応的に例えばk−平均アルゴリズムの初期値を変化させることが好ましい。例えば、原画像の空間的な色変化が激しい場合はエッジとみなされる特徴が多くなるため、既知のエッジ抽出演算子を用いてエッジを検出し、このエッジの特徴の多少に合わせて、領域数の初期値を変化させる等の手法である。
【0082】
k−平均アルゴリズムを用いた領域分割のイメージを図3に示す。ここでは理解を容易にするために極めて模式的な説明で進める。先ず取り込んだ画像データ100Aを例えば3×3の領域に等分に分割する。そしてそのうちの一つの領域100について領域分割を行う。これは例えば適当に9分割し(この例では、画像データ100Aの分割数と偶然同じ数になっている)、分割された9つの領域に含まれる画素の平均色、重心を計算しそれをそれぞれの領域中心として定義する。図3(a)の例では、便宜上一列、3行に各重心を配列して示されている。そして領域100内の全ての画素が前記9個の領域中心のいずれに近いかを計算する。ここでいう「近い」とは、色及び位置が近いということである。より具体的には、各画素のR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色の強さを夫々便宜上R、G、BとしかつXY座標における座標をX,Yとし、同様に前記領域中心の一つ例えば図3(b)に示した領域中心M11についても同様に色の強さをr、g、bとしかつ重心のXY座標における座標をx,yとし、(1)式の計算を行う。
{(R−r)+(G−g)+(B−b)+(X−x)+(Y−y)1/2 ………(1)
即ち領域100に含まれる全ての画素について、前記9個の領域中心(図3の9個のプロット)に対して(1)式の計算を行うことになる。そうするとある画素に着目した場合、当該画素についての計算結果が9個得られることになる。この中で最小の値が得られる領域中心の領域に当該画素が含まれることになる。これは領域中心M11と他の領域中心とのいずれに対しても色の強さが同じであれば、つまり(1)式の前半3項の値が同じであれば、距離的に近い設定画素の方と仲間になるということである。このような計算を繰り返すことにより全画素が前記9個の領域中心のどの画素とグループ化されるのかが決定される。図3(b)はこの様子を示したものである。
【0083】
ところで9個の領域中心は適当に決めたものであるから、更に次の処理を行う。図3(b)のようにグループ化された領域の各々についてX,Y座標における重心を求め、その重心の画素を新たな領域中心とする。図3(c)の●は旧領域中心、○は新たな領域中心である。そして領域100内の全画素についてこれら新たな9個の領域中心に対して既述と全く同じ処理(図3(a)〜(c)の処理)を行い、得られたグループについて同様に重心を求め、更なる新たな9個の領域中心を求める。このような処理を繰り返していくと、9個の領域中心の位置が収束する。そのときの9個のグループの各々が基本領域ということになる。そして領域100以外の他の8個の領域についても同様にしてグループ化し、基本領域を得る。なお画像データ100Aは縦横に分割しなくてもよいが、処理の時間を短縮する上では分割して処理した方が得策である。
【0084】
この領域分割処理が終了すると、全ての画素は基本領域に属していることになるので、その対応関係を記述した分割画像データを分割画像データ記憶部23に記憶しておく。この分割画像データとは、イメージとしては画像データが基本領域に分割された状態を示し、画像領域に分割の境界線が記載されたものであり、
データとしては、基本領域の番号と当該基本領域に含まれる画素のX,Y座標位置とを対応づけたものである。
【0085】
次のステップS3では、分割画像データ記憶部23に記憶されている分割画像データを基に、基本領域特徴算出部4により基本領域の特徴を計算する。前記ステップS2でk−平均アルゴリズムを利用した場合には、分割処理が終了した時点で、基本領域の重心値、平均色、基本領域に含まれる画素数は既に計算されているが、そうでない場合は、これらも基本領域の特徴と一緒に計算する。また、これらの値に加え、特開平10−11569号広報に開示されてる技術と同様の手法で領域nの方向要素Dn、扁平要素Tnなどを計算し、その結果を基本領域特徴記憶部5に保存する。
【0086】
ここで方向要素Dnとは、図4に示すように基本領域300の伸びている方向を表す。
より具体的には、基本領域300を楕円と見立ててその長軸の伸びている方向を示し、例えば画像データのX軸に平行な向きを0度とし、0度から180度までを所定の数に等分割し、方向要素Dnとして割り当てることができる。またこの方向要素Dnは、分散が最大になるときの両端の画素を求めそれらの画素を結ぶ直線201の方向として決めることもできる。更に扁平要素Tnとは、分散が最小になるときの両端の画素を求め、それらの画素を結ぶ直線202の長さを先の直線の長さで割り算した値として決めることができる。
【0087】
図5は基本領域の番号と、当該基本領域の特徴とを対応づけたデーブルを示しており、各基本領域毎に、赤色、緑色、青色の各色の強さの平均値と、重心位置と、方向要素と、扁平要素と、画素数と、が記載されている。
【0088】
次のステップS4において、処理領域手順記憶部24に保存されている処理手順の指示に従い基本領域特徴の値を基に領域統合処理を行う。処理手順の指示には、定数C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10が記述されており、これらの値を用いて領域統合部6の処理が行われる。領域統合部6の処理の詳細をフローチャートにより説明するが、その前に理解を容易にするために図6から図8を参照しながら処理の概要について説明しておく。
【0089】
この統合処理で行おうとしていることは、既述のようにして求められた基本領域をグループ化することにある。このグループ化は、基本領域の特徴が似通っており、且つ隣接しているもの同士をまとめることにより行われるが、この実施の形態では、似通っている基本領域同士を一旦グループ化して仮統合領域なるものを形成し、この仮統合領域を検証して正式な統合領域としている。グループ化をするにあたり、基本領域同士が似通っているか否かの判断は、基本領域の特徴の差が閾値よりも低いか否かを判断することにより行われる。基本領域の特徴の差とは、例えば色の強さの差であり、ある基本領域のR、G、Bの強さをR、G、Bとし、隣接する基本領域の色の強さをr、g、bとすると、これら色の強さの差(特徴の差D)とは、(2)式で表される。
D={(R−r)+(G−g)+(B−b)1/2 ………(2)
あるいは色の強さと既述の方向要素とを加えたものを特徴として取り上げるときには、一方の基本領域の方向要素及び他方の基本領域の方向要素を夫々Dn及びdnとすると、特徴の差Dは(3)式で表される。
D={(R−r)+(G−g)+(B−b)+(Dn−dn)1/2 ………(3)
また特徴の差としては、更に既述の扁平要素を加えるようにしてもよく、どれを特徴の差とするかは適宜決定することができる。仮統合領域の決定の様子を図6及び図7を参照しながら極めて模式的に説明する。所定の順序で各基本領域に注目する。今基本領域1番に注目したとすると、この基本領域1番の周囲の基本領域に対して順番に特徴の差を求め、その特徴の差Dが閾値C6よりも小さければこれら基本領域同士をグループ化する。「周囲の基本領域に対して順番に特徴の差を求める」とは、基本領域1番に近い基本領域のうち例えば重心同士が近いものの上位9番目(この「9番目」は実際の装置において適用される一例である)までを拾い上げて比較するという意味である。この例では、基本領域1番に対して特徴の差が閾値C6よりも小さい基本領域が3番、9番であったとすると、図7に示すように1番、3番、9番の基本領域がグループ化される。同様にして基本領域2番に注目すると、5番、7番、10番であり、これらがグループ化される。そして基本領域3番と6番とがグループ化されたとすると、1番、3番、6番、9番がグループ化される。以下同様にして、基本領域の仲間同士が連鎖してグループ化され、統合される。こうして統合された領域が仮統合領域であり、図8(a)に示される。
【0090】
この仮統合領域をそのまま統合領域としてもよいが、よりきめこまかな処理を後で行うことができる利点を得るために、この仮統合領域を検証する。今、全ての基本領域について仮統合領域としてまとめる処理(グループ化のチェック)が行われたとすると、全ての基本領域がいずれかの仮統合領域に属するとは限らないが、基本領域一つの領域も仮統合領域と考えることにする。
【0091】
こうして1回目のグループ化のチェックが行われた後、再度全ての基本領域について同様の処理を行う。つまり2回目のグループ化のチェックを行う。ただしこのときの閾値C6の値は、1回目の閾値よりも高くする。高くした閾値よりも特徴の差が小さいときにグループ化されるということは、つまりグループ化する条件を緩めることである。このようにしてグループ化すると、1回目にグループ化されたもの同士は離れることはなく、新たな基本領域が仲間に加わることになる。図8(b)は2度目の仮統合処理の途中経過を示している。ここで基本領域5が仮統合領域の1と2に含まれているので、仮統合領域の1と2は番号の小さな1の方に統合され2はなくなる。図8(c)は2度目の仮統合処理結果を示している。そして各仮統合領域に含まれる基本領域の数が1回目に比べてどれだけ増えたかをチェックする。例えば図8において仮統合領域番号1番の基本領域の数は1回目は4個、2回目は10個であり、増加率は15割になる。この基本領域の数の増加率が所定値以下であれば、例えば1割以下であれば、その仮統合領域を、正式に統合領域とする。これは、ある条件で仲間を集め、少し条件を緩めて仲間を集めてみてもそれほど仲間の数が変わらないということは、周囲に比べて特徴の度合いの強いグループであると判断しているのである。なおより詳しくは、後のフローチャートに示しておくが、仮統合領域内の基本領域の数が所定値以上であることも条件に加えている。正式な統合領域になった基本領域群は、それ以降のグループ化処理からは外れる。
【0092】
このようなグループ化処理を所定回数、例えば7回行うとすると、どの段階で正式な統合領域に格上げされたかを記録しておく。例えば仮統合領域番号j番は、2回目のグループ化処理で正式な統合領域になったとすると、2段階目の仮統合領域ということになり、以下の説明ではこれを2thの均一統合領域と呼ぶ場合もある。最終的には2thの均一統合領域、3thの均一統合領域………7thの均一統合領域が形成される。早く統合されて均一統合領域になるものほど、周囲に対する特徴の度合いの強いグループということがいえる。後述するが、このように統合領域に優先順位をつけておいて管理すると、きめ細かな筆触を表すことができる。
【0093】
ここでこの例では均一統合領域の他に対比統合領域というものも扱っている。i回目例えば2回目のグループ化処理を終えて、仮統合領域について正式な均一統合領域にするか否かをチェックし、「否」であると判定された場合には、その仮統合領域が周囲に対して対比の強い領域か否かを所定条件の下で判定し、対比が強いと判断されれば対比統合領域として管理され、以降のグループ化処理から外れることになる。この場合もどの段階で対比統合処理になったかが記録され、2thの対比統合領域、3thの対比統合領域………7thの対比統合領域が形成されることになる。
【0094】
以上の模式的な説明を踏まえた上で図9と図10に示したフローチャートで統合処理の具体的なステップについて説明する。
【0095】
先ず、領域統合部6の処理繰り返し回数i=0とし、図9に示したステップS101において、処理回数iを増やす。
【0096】
次にステップS102で予め決められている繰り返し終了回数C、例えばC=10より大きいかどうかを判断し、もし大きければ、その時点で処理を終了する。もし小さければ、処理をS103に移行する。
【0097】
ステップS103では仮統合領域の決定を行う。この仮統合領域の決定プロセスは、後程図10のフローチャートで説明する。i回目の仮統合領域が決定したら、通し番号jの順番に全ての仮統合領域を次のステップの条件を満たしているかどうかを調べる。初期値としてj=1を入れる(S104)。
【0098】
ステップS105において、以下の条件を満たしているかどうかを調べる。
【0099】
i,j≧G/(U×i+1)、且つ(Ni,j−Ni−1,j)/Ni−1,j<C
ここで、Ni,jはi回目に求められたj番目の仮統合領域に含まれる基本料域の数であり、Gには基本領域の総数を用い、Uは処理手順に記述されている値であり、例えば120が用いられる。この条件により、ある規定の数より大きな基本領域が仮統合領域に集まっているかどうかを判断している。
【0100】
また、もう一つの式によって、i−1回目に対応する仮統合領域に含まれる基本領域数がi回目の仮統合処理で大きく変化していないかどうかを調べている。ここで、Cも処理手順に記述されている値であり、例えば1.2を用いる。仮統合領域は先の模式的な説明において記述したように、i回目の仮統合処理で用いる閾値C6iをi−1回目の統合で用いる閾値C6i−1より大きくすることで、i回目の仮統合処理でつくられる仮統合領域に含まれる基本領域の数を増やしているが、この場合、この増加が1.2倍以下であることを調べている。
【0101】
このように上の2つの条件を満たしている場合はステップS107に移り、仮統合領域から正式に均一統合領域として決定され、その基本領域を統合対象から除外する。つまり、基本領域のグループ化処理の回数を1回増やしたときに、あるグループに含まれる基本領域の数の増加率が設定値以上であり、そのグループ内の基本領域の数が設定値以上であったときに、そのグループを正式な統合領域とするのである。
【0102】
次に、ステップS108に移り、決定した均一統合領域に、i-th均一統合領域と名付け、それを統合領域記号として統合領域デザインマップに通しの統合領域番号と共に保存し、さらに決定した均一統合領域とそこに属した基本領域の番号の対応表を統合領域特徴記憶部8に保存する。
【0103】
ステップS105に戻り、先の2つの条件が満たされなかった場合は、ステップS106に移行する。ステップS106では、Ni,j≧C、Ni,j≦C、Ai,j>Cの3つの条件を全て満たしているかどうかを調べることで、統合領域の対比の強さを判断している。ここでAi,jは、次のようにして決められた値である。図11に示すように例えば注目した統合領域jに含まれその境界300に接した基本領域をkとし、当該統合領域jの境界300に接しかつ注目した統合領域jに含まれていない基本領域の中で基本領域kに最も近い基本領域をk`とする。そして基本領域kの明度と基本領域をk`の明度との差をとり、この差をAi,j,kとした場合、注目した統合領域jに含まれかつそのその境界300に接した全ての基本領域kについて同様の処理を行って得られたAi,j,kの平均を取った値がAi,j である。
【0104】
については、例えば原画像の明るさのレンジをLとし、基準閾値をB=L/80とした場合、Cは基準閾値Bの6倍の値を用いることができる。なお基準閾値とは、Cなどの値を決めるためにコンピュータが持っている単位値である。ただし、Cは基準閾値Bの6倍に限らず、1倍から20倍の中の任意の値を利用することができる。また、C=2及びC=5を用いることで、対比が強く、面積が小さい統合領域を選び出している。
また、周りとの明るさの対比が同じでも、iが小さい値の時は統合領域内の基本領域の明るさのバラツキが少ないため、より強い対比を感じることができる。また、このステップにおいて、Ai,jには明るさの対比のみを扱ったが、明るさの対比に代えてあるいは明るさの対比に加えて色度、彩度を考慮した式を採用することもできる。この3条件全てが満たされた場合は、ステップS109に処理に移行し、満たされなかった場合はステップS111に移り、jの値を一つ増やしてステップ112に処理を移す。
【0105】
ステップS109に処理が移った場合は、仮統合領域を正式に対比統合領域として決定し、統合対象から除外する。そして、次のステップS110において、i-th対比統合領域として統合領域デザインマップに記録した後、ステップS111に移り、jの値を一つ増やしてステップS112に処理を移す。
【0106】
ステップS112においてjの値をi番目の処理の仮統合領域総数と比較し、同じであれば、この段階での仮統合領域について、正式な統合領域への移行処理を終えているので、ステップS101に移行し、異なる場合は正式な統合領域への移行処理が残っているので、ステップS104に移行する。
【0107】
次に、ステップS103の仮統合領域の決定方法について図10に示したフローチャートを用いて説明する。なおこのフローは、図8(a)〜(c)と対応している。ここでは、i回目の仮統合領域の決定フローであると仮定する。ステップS201において、仮統合領域番号jに対し、先ず初めに、それに含まれる初めの一つとなる基本領域j’を決め、基本領域j’を仮統合領域番号jのリストに入れる。
【0108】
続いてステップS202において、注目した基本領域j’とその周囲の基本領域j’’との特徴の差Dj’’を計算する。次にステップS203では、Dj’’<C6iをチェックし、この条件を満たしていたらステップS205に処理を移し、その基本領域j’’を仮統合領域jのリストに加える。ここで、C6iの値はC6i=i×B/C1とし、Bは先に示した基準閾値Bである。そのため、C6iの値は回数iが増えるたびに大きくなっていくので、統合回数が増えるたびに色差の大きな基本領域同士も統合され易くなっていく。
【0109】
上述のDj’’<C6iの条件を満たしていなかったら、ステップS204を飛ばしてステップS205に移行する。そして、ステップS205で、注目した基本領域j’の周囲に計算していない基本領域j’’が有るかどうかをチェックし、もし有ればステップS202に処理を移し、無ければ処理S206に処理を移す。
【0110】
ステップS206では、仮統合領域リストj内に注目していない基本領域j’が有るかどうかを調べ、もし有れば、ステップS202へ移行し、無ければステップS207へ移行する。ステップS207では、全ての基本領域が仮統合領域に属しているかを調べ、属していたら仮統合領域処理を終了して、図3のステップS103に戻る。まだ属していないものが有れば、仮統合領域番号jを一つ増やして、ステップS201へ戻る。これが図4に示した仮統合領域を決定する処理の流れであり、図3及び図4の処理を繰り返すことで、統合領域が決定される。
【0111】
この統合処理の特徴として、仮統合領域に含まれる基本領域の数が閾値を変えて仮統合し直しても変わらなかった場合あるいはあまり変わらなかった場合に正式に統合領域と決定することで、例えば風景画において、空などのグラデーションの途中のような場所で統合領域が途切れてしまうことが避けられるという効果がある。なお仮統合領域に含まれる基本領域の数の変化の程度の把握については、その数の増加率について予め設定値を持っておけばよく、その設定値が1であれば、仮統合し直しても変わらなかった場合に相当し、また設定値が1に近い値であれば、あまり変わらなかった場合ということになる。これに対して1回目の仮統合領域を均一統合領域として扱うと、統合領域に優先順位がつけられないので、表現の自由度が狭まり、例えば連続して色が変わる領域について不連続な色の配置となり、不自然な表現になる場合もあるが、本発明はこのような場合も含まれる。
【0112】
統合処理は、図2のステップS4で終わったことになるが、この時点で、統合領域番号と基本領域との対応関係(どの統合領域番号の統合領域にどの基本領域が含まれるかということ)が統合領域特徴記憶部8に記憶されているだけではなく、各統合領域がi度目の統合処理で統合され、それが均一統合領域もしくは対比統合領域として統合領域デザインマップに書き込まれていることになる。
【0113】
また、この統合処理を行う際に、基本領域特徴nの一つである扁平要素TnがTn>Cを満たしている場合は、その基本領域を統合処理から外し、その基本領域をエッジ統合領域と名付け統合領域デザインマップの統合領域記号に「エッジ」と書き込んでも良い。
さらに、繰り返し処理が終了した後にどの統合領域にも含まれなかった基本領域については独立統合領域と名付け統合領域デザインマップにそれを統合領域記号として書き込んでも良い。このようにすることで、統合されていない一つの基本領域からなるエッジ統合領域と独立統合領域とを夫々加えることで、全ての基本領域が統合領域の統合領域記号として統合領域デザインマップに書き込まれることになる。ここで例えばCは0.95を用いることができる。エッジ統合領域と独立統合領域は、画像の中で重要な表現を担うことが多く、例えば人の顔と背景との輪郭線などに相当するものであるから、これを抽出しておくことにより輪郭のぼけなどを回避することができる。
【0114】
話を戻して、図2のステップS5では、統合領域としてまとめられた画素を分割画像データ記憶部23の分割画像データから集めて、その統合領域特徴を計算する。計算する項目はステップS3と同じ項目、つまり、統合領域の重心値、平均色、統合領域nの方向要素Dn、扁平要素Tn及び統合領域に属する各基本領域に含まれる画素数である。これら統合領域の特徴は統合領域特徴記憶部8に保存される。
【0115】
次に、ステップS6では、画像処理領域記憶部19に保存されている処理プリセットの情報を用いて自動で処理する場合と、統合領域デザインマップを画像データ表示部21に表示し、そのマップを参考にユーザーが処理をデータ入力部20を用いて指示する場合の2つから一つを選択することができる。
【0116】
図2には、ステップS9からS13までの処理がシーケンシャルに記述されているが、処理手順記憶部24に記憶されている処理手順に、これらの処理の記述がない場合は、これらのステップを飛ばして、画像表現部15で画像特徴の算出を行うステップS13に移行する場合もある。この場合は、基本領域特徴及び統合領域特徴から、絵画作品を作り出すことになり、この2つの領域特徴から筆触を作り出す場合、基本領域特徴から小さな筆触が、そして統合領域特徴から大きな筆触が作り出される。今までは小さな筆触の多くに同じ色を塗ることで、広い範囲を一色にすることはできたが、このように極端に大きさの違う筆触が一つの絵の中で同時に作り出されることはなかった。
【0117】
ステップS9からステップS13までの処理は、基本領域を結合して大きくしたり、逆に分割して小さくしたりすることで、作り出す絵画作品に様々な表現を加えるためのものであるため、処理手順記憶部24に記憶されている処理手順に、結合処理に関するステップS9及びステップS10と部分領域処理に関するステップS11及びステップS12とのどちらか一方のみを行うという記述を行うことも可能である。
【0118】
即ち、ステップS5までの処理により得られた統合領域について、これをそのまま利用して表現(描画)していくのか、それとも各統合領域内のいくつかの基本領域を結合し(ステップS9及びS10)、それら結合領域を単位として描画するのか、あるいは各統合領域を部分分割して分割領域を単位として(ステップS11及びS12)描画するのかを選択していくことになる。なお最終的に表現処理(描画処理)を行う場合には、これらの領域単位の他に基本領域を単位とする場合も含まれる。
【0119】
ステップS9がどのようにして実行されるかについて述べると、ステップS6にて画像領域指示部18により自動処理が選択されると、画像領域指示部18は、画像処理領域プリセット記憶部19からプリセット処理の指示を読み込む。プリセット処理の指示とは、例えばth1からth7までの均一統合領域のうち、優先順位の高いもの例えばth1及びth2の均一統合領域については領域結合処理を行い、th3の均一統合領域については部分領域分割処理を行い、th4からth7の均一統合領域についてはどちらの処理も行わないといった指示である。なおここに示した例は、あくまでも模式的な説明であり、これらの指示は適宜予め設定される。
【0120】
ステップS6にて手動処理が選択されると、図12に示すように統合デザインマップ記憶部17に記憶されている統合デザインマップを画面に表示し、操作する者がこの画面を見ながら既述のような指示を手動で入力する。従って通常は手動によるプリセット処理の方がきめ細かい表現をできるが、操作の簡略化という点を重視するならば自動処理が選択されるかもしれない。
【0121】
ステップS9がある統合領域に対して実行される必要がある場合、先ず、当該統合領域内の基本領域をC個ずつペアにする。ペアにするルールとしては、例えばC=2の場合、近接している2つがなるべく縦につながる様にすることが好ましいが、つながった結果が丸に近くなるようなルールを使用することもできる。近接している2つが縦につながるルールとしては、注目した基本領域の重心位置に近い重心位置の基本領域を検索し、それら基本領域の方向ベクトルが一直線に近いもの同士を結合するといったルールが挙げられる。
【0122】
ステップS10は分割画像データ記憶部4の分割画像データの画素から先のステップS9で結合された領域を一つの領域として、結合領域特徴を計算し、計算された結合領域特徴を結合領域特徴記憶部11に記憶する。ここでいう結合領域特徴とは、図5に示した既述の特徴と同様である。
【0123】
次に、ステップS11がある統合領域に対して実行される必要がある場合、画像処理領域指示部18の指示により、既に計算されている基本領域、統合領域及び結合領域のいずれか一つを選び出し、その領域をC個の部分領域に分割し、そのC個の領域特徴を分割画像データ記憶部4の分割画像データの画素から計算し、計算された結合領域特徴を結合領域特徴記憶部14に記憶する。部分領域の分割のイメージを図13に示すと、例えば統合領域P1,P2,P3のうちP3についてのみ縦に例えば3つに分割されている様子である。この分割数として「3」は便宜上の数値である。このように部分領域に分割するルールも予め定められており、部分分割の対象となる領域に対してそのルールに基づいて部分領域に分割されることになる。この分割処理は、表現したときに刷毛で描いたように見せるためである。
【0124】
ここで上記のステップS9からS12を利用する場合を想定して処理を説明する。ステップS6については、自動処理でない場合について先ず説明する。図12に、画像データ表示部21に表示される統合領域デザインマップ内の統合領域記号の例を示す。黒で塗りつぶされている区域がエッジ統合領域、白く抜けている部分が対比統合領域及び独立統合領域、2均一と示されているテクスチャーの部分は2度目の仮統合領域を求めた際に均一統合領域として決定した区域、以下同様に3均一、4均一、5均一、6均一は順に求められた均一統合領域であり、7均一は7度目以上で均一統合領域として決定した区域をまとめたものである。グラデーションのある空が一つにまとまり、その部分に2均一というラベルが付いていることから、提案手法の統合処理が上手く機能し、空が一つに統合されたことが分かる。
【0125】
エッジ統合領域、対比統合領域及び独立統合領域は、基本領域から作り出した筆触で描き、少ない繰り返し回数で決定された均一統合領域は、統合領域または先のステップの処理であるステップS9及びステップS10で作り出す結合領域やステップS11及びステップS12で作り出す部分分割領域を基に筆触を作り出すことが好ましいということになる。ここで問題なのは、多い繰り返し回数で統合された均一領域について、これらをどちらのグループに入れるべきかは画像の種類によってバラツキがあることである。
【0126】
均一統合領域については、すべて表現を加えるための領域にすると決めてしまえば自動で処理することができるが、より質の高い作品を目指す場合には、マニュアル処理にして、画像データ表示部21に示された統合領域デザインマップの統合領域記号を見てから、統合領域もしくは基本領域を単位として処理の指示を与えるようにすることができる。
【0127】
結果として、ステップS7またはステップS8で、統合領域毎にどの領域特徴から筆触を作るかの指示が出されるため、その指示に従ってこれに続く処理ステップS9及びステップS10とステップS11及びステップS12とが実行される。即ち、統合領域は基本領域の集合であり、更に統合領域の中に結合領域及び部分分割領域が存在することがある。仮に3thの均一統合領域10番について、ステップS7またはS8における処理の指示が「表現の単位領域を統合領域とする」という指示であったとすると、統合領域10番を単位として表現される(統合領域特徴から筆触を作る)ということになる。この場合には、統合領域10番については、統合領域10番に含まれる全画素について、当該統合領域10番の特徴に基づいて色(例えばR,G,B)及びその明るさが指定されることになる。またステップS7またはS8における処理の指示が「表現の単位領域を基本領域とする」という指示であったとすると、統合領域10番に含まれる各基本領域を単位として表現される(基本領域特徴から筆触を作る)ということになる。この場合には、各基本領域毎に、それら基本領域に含まれる全画素について各基本領域の特徴に基づいて色が指定されることになる。更にまた前記処理の指示が「表現の単位領域を結合領域とする」という指示であったとすると、統合領域10番に含まれる結合領域を表現の単位として描かれ、あるいは前記処理の指示が「表現の単位領域を部分分割領域とする」という指示であったとすると、統合領域10番に含まれる部分分割領域を表現の単位として描かれるということになる。
【0128】
また各統合領域は、何回目の処理(何段階目)で仮統合領域から正式な統合領域になったかということが統合領域デザインマップ記憶部17に記憶されているので、統合領域の特徴ではなくその統合領域に含まれる基本領域を表現の単位領域とするのは、どの段階の統合領域とするか、また統合領域の特徴を表現の単位領域とするのはどの段階の統合領域とするかというデータがメモリに記憶されている。一例を挙げれば、例えば1th〜3thの均一統合領域については、統合領域統合領域の特徴を表現の単位領域とし、4th〜7thの均一統合領域については、各統合領域に含まれる基本領域を表現の単位領域とするといった情報が予めメモリに入っている例を挙げることができる。この段階の数値は入力部を介して選択できるようになっており、こうすれば、統合領域ごとにどの領域特徴から筆触を作るのかという作業が自動で行うことができる。つまり本発明では手動でも自動でもこうした作業を行うことができるのである。
【0129】
ステップS13では、既に計算された各領域特徴、より詳しくは既述の表現単位となった領域(基本領域、統合領域、結合領域あるいは部分分割領域)の特徴を変更することができる。この処理ステップも、処理手順記憶部24の処理手順に記載が有ったときだけ実行される。ここで行われる処理の一部(領域の形と方向の変更)は、特開平10−11569号広報に開示されるグループ特徴加工部を構成する技術と基本部分は同一であるが、特開平10−11569号広報に開示された特徴加工はこの特許で基本領域と記述される領域特徴のみに適応される。これに対し、本特許では、各種の領域特徴(基本領域、統合領域、結合領域あるいは部分分割領域)は、既に図5に示したように同じフォーマットで記述されているため、異なる種類の領域特徴も含めた状態で、領域特徴を変更することができる。
【0130】
また、この処理を適用する基本領域を単位とした範囲も選択的に画像処理領域指示部18から指示される。また、このステップで色彩についても注目した統合領域とその周囲の統合領域との色彩の差を基にした変更が加えられた夫々の領域特徴は、夫々の領域記憶部に戻される。
【0131】
図14に表現部15の詳しいブロック図を示し、ステップS14での処理の詳細を図15に示した。この図15を用いて、ステップS14について説明する。
【0132】
ステップS301において、統合領域毎に、統合領域デザインマップに記載されている統合領域記号を読み、画像処理領域指示部18の指示に従って、統合領域記号に対応した種類の領域を集めて、通し番号を付け直して表現領域セットを作る。つまり最終的に表現するときには、どの領域が表現単位となるのかが指定されていればよく、基本領域の統合、統合領域内の基本領域の結合、統合領域の部分分割といった一連の処理は、要するに表現単位となる領域の選択の自由度を高めるために行ったのであって、表現するときには、その単位となる領域さえ指定すればよい。例えば統合領域が部分分割されたとすると、部分分割された各領域にナンバリングすることと、各領域の領域特徴が分かりさえすればよいので、この段階では、何番目の試行により統合されたとか、どの基本領域が属しているかといったことは関係がなくなる。
【0133】
ステップS14の段階では、表現単位が決定されると、その単位となる領域に新たにナンバリングを付して、各番号付けされた領域とその特徴とをテーブルに抽出する処理が行われる。このテーブルが上記の表現領域セットに相当する。例えばモデル化した説明をすれば、例えば1枚の画像について、処理の結果、基本領域2番、5番、10番及び統合領域2番、3番、並びに統合領域4番内の3つの部分分割領域から構成されたとすると、これら各領域について新たに番号を付し、この段階ではどのような種類の領域であるかはもはや関係がなくなるのである。
【0134】
なお対比の強い部分や輪郭であるエッジの部分に絵画的な表現を加えると、元の画像の重要な特徴を崩してしまうため、例えば人間の顔であれば、誰を描いているのかが分からなくなってしまう。これを避けるために、画像処理領域指示部18としては、エッジ統合領域、対比統合領域、独立統合領域、多い繰り返し回数で決定された均一統合領域等の統合領域記号が付けられている統合領域には表現をあまり加えない写実的な表現で描くべきであるため、統合領域を表現単位とするよりもそれら統合領域に含まれる基本領域を表現単位として表現領域セットに加えるように指示することが好ましい。一方、少ない繰り返し回数で決定された均一統合領域には絵画らしい表現を加えられるように、統合領域そのものや、結合領域、部分領域を表現単位として表現領域セットに加えるように指示することが好ましい。
【0135】
次に行われるステップS302からS304は、画像に含まれる各画素がどの表現単位領域に属するのかを決定する処理である。この処理は画像に含まれる画素一つ一つについて順番に各表現単位領域との距離計算を行い、例えばその重心位置に物理的に最も近い表現単位領域を、その画素が属する表現単位領域として決定してもよいが、そうすると距離計算のコンピュータの負荷が大きくなるので、ここではジオグラフテーブルを用いている。このジオグラフテーブルとは、各表現単位領域に対して、その重心位置に物理的に近い表現単位領域を指定数まで近い順にリストアップした表である。これを見ることで、任意の表現単位領域の近傍に存在する表現単位領域を見つけることができる。
【0136】
画像に含まれる画素群のなかの1番目(k=1)の画素については、その画素の付近に位置する複数の表現単位領域について順番に所定の距離計算を行い、距離が最小になった表現単位領域を画素特徴記憶部28に画素番号と共に書き込む。この距離計算式は距離計算式記憶部26に複数用意されており、その中から選択した距離計算式を用いて計算される。ある計算式では、画素kの位置と表現単位領域nの重心位置とが最も近くても、前記表現単位領域nよりも離れている表現単位領域n`の伸びている方向の延長線上に当該画素kが位置していれば、当該画素kは、表現単位領域n`に最も近い値が得られる。つまりこの場合は、表現単位領域の伸びている方向を重視して表現しようとするものであり、表現の仕方などに応じて距離計算式を選択すればよい。
【0137】
そして2番目以降の画素kについては、画素(k−1)が属する表現単位領域とジオグラフテーブルが示す近傍表現単位領域について順番に前記距離計算をすればよく、計算値が最小になった表現単位領域に属していると判断する。このようにすれば、距離計算の負荷が小さくなるという利点がある。
【0138】
このような概略を踏まえて図14のフローの説明に戻ると、ステップS302において、表現領域セットを使ってジオグラフテーブルを作成する。ジオグラフテーブルの作成手法に関しては、特開平10−11569号広報に開示される手法を利用することができるが、要は互いに位置的に接近している表現単位領域同士をテーブル化すればよいだけなので、テーブル化するアルゴリズムは適宜作成すればよい。
【0139】
ステップS303において、画素特徴算出部25では、例えば画素番号をkで表し、k−1番目の画素が属する表現単位領域にリストアップされている他の表現単位領域をジオグラフテーブルから読み出し、処理手順記憶部24の処理手順と画像処理領域指示部18の指示とに従って距離計算式記憶部26から選ばれた距離計算式を用いて注目画素kとの距離を計算する。k=1の場合は表現単位領域1の近傍領域について計算する。距離計算式としては、特開平10−11569号広報に開示される式(8)が利用できるが、これに限らず、多様な計算式を距離計算式記憶部26に予め用意しておき、統合領域デザインマップに記載されている統合領域記号に応じて選択して距離計算をし、ステップS304で距離計算の値が最小になった表現単位領域の番号を画素特徴記憶部27に画素番号と共に書き込むことで、一つの加工画像の中に様々な筆触を作り出すことができる。
【0140】
表現単位領域が部分領域で構成されている場合は、部分領域の一つ一つに対して距離計算を行うことで、部分領域に対応した小さな筆触を作り出すことができるため、印象派によく見られるぶれたブラシのタッチを表現することができる。また、複数の部分領域の値をグループとして用いることで、より複雑な形の筆触を一つ作り出すこともできる。
【0141】
例えば、一つの基本領域の中央と両端とから、3つの部分領域が作られている場合、その3つの部分領域の重心を通る2次曲線を定義でき、一方、特開平10−11569号広報に開示される距離計算式(8)は、領域の第1主成分が領域のローカルなY軸に対応しているが、このY軸を先の2次曲線に座標変換した上で距離計算を行なうと、筆触が2次曲線に沿って曲がることになる。
【0142】
この部分領域の重心を用いて筆触を曲げる技術を使うことで、元の領域が曲がっていたら、それを2次曲線の筆触で近似できることになる。もしも加工画像全体に正確で、より表現の豊かな筆触が必要な場合は、ステップS12で全ての領域の部分領域を求めておくことが好ましい。
【0143】
ステップS305では画素特徴変換部28において、処理手順記憶部24の処理手順と画像処理領域指示部18の指示とに従って画素特徴変換式記憶部29に保存されている複数の計算式から一つを選び、その画素の画素特徴記憶部27に保存されている番号の表現単位領域の特徴から画素の色をその式で算出し、その値を加工画像の対応する画素位置に書き込む。このようにすることで、一つの筆触内に色の変化を与えることができるようになる。図2のステップS1にてコンピュータが取り込んだ画像、例えば写真画像の各画素は、ステップS304までの処理においてどの表現単位領域に属するかが判定されているので、このステップS305においては、その画素が属する表現単位領域に対応する特徴に基づいて当該画素に色が割り当てられる。最も単純な手法によれば例えば表現単位領域のR,G,Bの各平均色が割り当てられるが、この例ではその特徴に所定の計算処理を施して計算結果に基づいて前記平均色を割り当てるようにしている。計算処理としては、表現単位領域の重心位置から離れる画素ほど前記平均色が小さくなるといった処理である。
【0144】
ステップS306では画素番号を一つ増やして、ステップS307でkの値がC10より大きいことをチェックし、k>C10であれば、処理を終了し、条件を満たさなければ、ステップS303に戻し、次の画素の処理を続ける。
【0145】
図15の処理が終了したら図2に示したステップS15に処理を戻し、ステップS15では、ステップS14において算出された加工画像を画像データ出力部22から出力して、印刷したり保存したりする他、画像データ表示部21にも確認のために表示することができる。即ち、ステップS14までにおいて、各画素に色が割り当てられるので、このステップS15では、割り当てられた色に基づいて各画素を発色させ、これにより先に取り込んだ例えば写真画像が加工されて、絵画風の筆触が表現された加工画像が得られる。
【0146】
図16は、分割画像データ記憶部23に記憶されている分割画像データである。ここで示されている一つ一つの利用域が基本領域である。
【0147】
図17は、分割画像データから計算される基本領域特徴、結合領域特徴及び分割領域特徴について、エッジ領域、孤立領域、対比領域、6回以上の繰り返しで統一領域に決定した領域については、基本領域特徴と注目画素との、そして、2〜5回の繰り返しで統一領域に決定した領域については、部分領域特徴と注目画素との距離計算をすることで、作り出された加工画像である。
【0148】
図18は、分割画像データから計算される基本領域特徴、結合領域特徴及び分割領域特徴について、エッジ領域、孤立領域及び対比領域については、基本領域特徴と注目画素との、そして、統一領域に決定した領域については、結合領域から計算された部分領域特徴の重心値を利用して計算された2次曲線で座標変換し、さらに、座標変換された第1主成分の軸に沿ってその領域に含まれる画素の数に比例した線幅のみ、めだつ曲線を入れて作り出した加工画像である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の一実施形態による画像加工装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す画像加工装置による画像加工処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】画像データを基本領域に分割する様子を示す説明図である。
【図4】基本領域の特徴の一つである方向要素を説明するための説明図である。
【図5】基本領域の特徴の一例を示す説明図である。
【図6】基本領域を統合して仮統合領域を形成する様子を説明するための説明図である。
【図7】基本領域を統合して仮統合領域を形成する様子を説明するための説明図である。
【図8】試行を繰り返すことにより仮統合領域に含まれる基本領域が増加する様子を示す説明図である。
【図9】図2に示す統合領域作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】図3に示す仮統合領域作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】対比統合領域を形成する様子を示す説明図である。
【図12】統合領域デザインマップに記述されている統合領域記号を画像として表示する一例を示す図である。
【図13】統合領域を部分分割する様子を示す説明図である。
【図14】図1に示す表現部の構成を詳しく説明するためのブロック図である。
【図15】図2に示す画素特徴の算出を説明するためのフローチャートである。
【図16】分割画像データの一例を示す図である。
【図17】加工画像の一例を示す図である。
【図18】加工画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0150】
1 画像データ入力部
2 画像特徴抽出部
3 基本領域分割部
4 基本領域特徴算出部
5 基本領域特徴記憶部
6 領域統合部
7 統合領域特徴算出部
8 統合領域特徴記憶部
9 領域結合部
10 結合領域特徴算出部
11 結合領域特徴記憶部
12 部分領域分割部
13 部分領域特徴算出部
14 部分領域特徴記憶部
15 表現部
16 特徴変更部
17 統合領域デザインマップ記憶部
18 画像処理領域指示部
19 画像処理領域プリセット記憶部
20 データ入力部
21 画像データ表示部
22 画像データ出力部
23 分割画像データ記憶部
24 処理手順記憶部
25 画素特徴算出部
26 距離計算式記憶部
27 画素特徴記憶部
28 画素特徴変換部
29 画素特徴変換式記憶部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに含まれる画素について、少なくとも色を判断基準の一つとして各画素をグループ化し、これにより当該画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理手段と、
分割された基本領域毎に、少なくとも色の特徴を含む当該基本領域の特徴を算出する基本領域特徴算出手段と、
この基本領域特徴算出手段により算出された基本領域特徴の内の少なくとも色に基づいて、複数の基本領域を統合して統合領域を制作する領域統合手段と、
前記統合領域毎に、基本領域に含まれる画素のデータに基づいて少なくとも色の特徴を含む当該統合領域の特徴を算出する統合領域特徴算出手段と、
前記統合領域に応じて、当該統合領域を表現の単位領域とするか当該統合領域に含まれている基本領域を表現の単位領域とするかを決定する画像処理領域指示部と、
選択された結果により決定された表現の単位領域毎に、その表現の単位領域の特徴に基づいて当該単位領域に含まれる画素の色を決定する表現部と、を備えたことを特徴とする画像加工装置。
【請求項2】
前記表現部は、前記統合領域特徴と基本領域特徴との2つの領域特徴、もしくはどちらか一方の領域特徴と画素の位置情報を入力値として、最も好ましい領域特徴が選ばれたときに最小の値を示すように考えられた所定の計算1を行い、その結果最小の値を与えた基本領域の基本領域特徴、もしくは統合領域の統合領域特徴、もしくはその両者に加え、先の計算結果の最小の値と2番目に小さな値との差から計算される値の全て、もしくはいくつかを入力値として色情報などの画素特徴を計算することを特徴とする請求項1に記載の画像加工装置。
【請求項3】
同じ統合領域に統合された複数の基本領域の中から2つ以上の基本領域を選び結合を行う領域結合手段と、
この領域結合手段により結合された結合領域の特徴を計算する結合領域算出手段と、を更に備え、
画像処理領域指示部は、前記統合領域に応じて、当該統合領域を表現の単位領域とするか当該統合領域に含まれている基本領域を表現の単位領域とするか当該統合領域に含まれている結合領域を表現の単位領域とするかを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像加工装置。
【請求項4】
統合領域及び/または基本領域を各々複数の部分領域に分ける部分領域分割手段と、
前記統合領域特徴あるいは前記基本領域特徴を参照して、各領域特徴から部分領域特徴を算出する部分領域特徴算出手段と、を更に備え、
画像処理領域指示部は、前記統合領域に応じて、当該統合領域を表現の単位領域とするか当該統合領域に含まれている基本領域を表現の単位領域とするか当該統合領域を分割した部分領域を表現の単位領域とするかを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像加工装置。
【請求項5】
前記表現手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴との3種類の領域特徴と、あるいはそれらに加えて、夫々から前記部分領域分割手段よって計算される部分領域特徴のうち4種類の領域特徴、あるいはその中の任意の数種類の領域特徴と画素の位置情報を入力値として、最も好ましい特徴が選ばれたときに最小の値を示すように考えられた所定の計算2を行い、その結果最小の値を与えた基本領域の基本領域特徴、もしくは統合領域の統合領域特徴、もしくは結合領域の結合領域特徴、もしくはそれらに加え、先の所定の計算2の計算結果の最小の値と2番目に小さな値との差から計算される値の全て、またはその中のいくつかを入力値として画像を構成する画素の画素特徴を計算することを特徴とする請求項1から4のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項6】
前記画像特徴抽出手段は、統合領域特徴と基本領域特徴と結合領域特徴との3種類の領域特徴と、あるいはそれらに加えて、夫々から前記部分領域分割手段よって計算される部分領域特徴のうち4種類の領域特徴、あるいはその中の任意の数種類の各領域特徴を、
その各領域特徴において、基本領域または統合領域または結合領域または部分領域の周囲に位置する基本領域または統合領域または結合領域または部分領域の各領域特徴から計算された値を基に変更する特徴変更手段と、を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項7】
前記領域統合手段は、印の付いていない基本領域をみつけ、それに印1を付ける。その基本領域に隣接する基本領域間の特徴量の差が第1の閾値より小さい基本領域に印1を付け、さらに、その印1を付けられた基本領域に隣接する基本領域間の特徴量の差が第1の閾値より小さい基本領域にも印1を付けるという作業を繰り返し、最終的に印1が付けられた基本領域をまとめ仮統合領域1とし、まとめ終わったら、初めに戻り、印の付いていない基本領域を見つけ、その基本領域に印2を付け同様の処理を繰り返し、最終的に印の付いてない基本領域がなくなるまで繰り返す。次に、仮統合領域に含まれる基本領域の数が第1の個数より大きい仮統合領域に注目し、それに隣接する基本領域間の特徴量の差が第1の閾値より大きく、第2の閾値より小さい基本領域を同様の手法でまとめ、まとめられた新たな仮統合領域が先の注目した仮統合領域に含まれていた基本領域を含んでおり、且つ新たな仮統合領域にまとめられた基本領域の数を先の注目した仮統合領域にまとめられていた基本領域の数で割った値が1より大きく規定値1より小さい場合に、その仮統合領域を正式に統合領域として決定することを特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項8】
前記領域統合手段は、2回目の仮統合領域が決定した後に、第2の閾値の値を新たに第1の閾値として、3回目の仮統合領域を定める処理と2回目の仮統合領域を正式に統合領域として決定する処理を行い、以後、同様の操作を複数回繰り返し、繰り返す際に、前回の処理で統合領域として決定した基本領域を除いた残りの基本領域に対してのみ統合処理を続け、n回目の正式な統合領域としての決定処理が終った時には、その統合領域に通し番号を与え、統合領域デザインマップにその通し番号とn回目の均一統合領域であることとを記録することを特徴とする請求項1から7のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項9】
前記領域統合手段は、n回目の繰り返し処理後に、基本領域数が第1の個数より大きく、第2の個数より小さい仮統合領域に注目し、その仮統合領域の境界付近に位置する基本領域の中で、注目した仮統合領域内にある基本領域の基本領域特徴とそれに隣接し、且つ注目した仮統合領域外にある基本領域の基本領域特徴との差の平均値の絶対値が規定値2より大きい場合に、その仮統合領域に通し番号を与え、統合領域デザインマップにその通し番号とn回目の対比統合領域であることとを記録し、この仮統合領域を統合処理の対象から除外した後にn+1回目の繰り返し処理を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項10】
前記領域統合手段は、全ての処理をする前に、規定値3より大きい基本領域特徴を持つ基本領域を予め除外しておき、除外された基本領域の情報を先の統合領域デザインマップに記述しておくことを特徴とする請求項1から9のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項11】
前記領域結合手段は、前記領域統合手段により同じ統合領域にまとめられた近接する複数の基本領域に対し、1つの結合領域として結合させる基本領域の個数とそれらの基本領域が結合可能となる基本領域特徴との関係をその基本領域が属する統合領域の統合領域デザインマップに記述されている情報に応じて変化させることを特徴とする請求項1から10のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項12】
前記表現手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴との3種類の領域特徴と、あるいはそれらに加えて、夫々から前記部分領域分割手段よって計算される部分領域特徴のうち4種類の領域特徴、あるいはその中の任意の数種類の各領域特徴を、夫々が含まれている統合領域の統合領域デザインマップに記述されている情報を基に選び出し、さらに前記統合領域デザインマップに記述されている情報を基に選び出された特徴から画素特徴を計算する計算式を切り替えて、画素特徴を計算することを特徴とする請求項1から11のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項13】
前記部分領域分割手段は、統合領域、あるいは基本領域、あるいは結合領域、を夫々複数の部分領域に分け、その部分領域毎に、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴を参照して前記部分領域特徴算出手段により部分領域特徴を計算する際に、部分領域が属していた統合領域の統合領域デザインマップに記述されている情報に応じて異なる計算式が選択され、それを用いて部分領域の部分領域特徴が計算され、計算された部分領域特徴が前記部分領域特徴記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項14】
前記特徴変更手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴と前記部分領域分割手段により計算される部分領域特徴とのうち4種類の領域特徴から、あるいは任意の数種類の領域特徴から選択された各領域特徴を変更するための数式を複数用意しており、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域デザインマップに記述されている情報に応じて、適切な数式を選択して、その選択された数式を用いて各特徴量を変更することを特徴とする請求項1から13のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項15】
前記統合領域特徴、結合領域特徴、基本領域特徴、各領域特徴の記述単位である統合領域、結合領域、基本領域の各領域毎に領域の通し番号とその領域に含まれている画素の統計量を要素として持ち、最低限、平均色、各領域毎に含まれている画素の重心、各領域毎に含まれている画素数、を含むことを特徴とする請求項1から14のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項16】
前記表現手段は、表現処理を画像データに対して、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域特徴、または前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴、または前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴から計算される画像範囲を単位として、夫々に異なる処理をオペーレータの指示で加えられるように、画像データを複数の領域特徴に分けるためのデータ入力手段を備えていることを特徴とする請求項1から15のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項17】
前記表現手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴とに対して、前記部分領域分割手段により夫々3つの領域特徴から計算される部分領域特徴を利用して、夫々3つの領域特徴から作り出される筆触の形を様々に変化されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項18】
前記表現手段は、前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴と前記結合領域特徴記憶手段に記憶されている結合領域特徴との3種類の領域特徴と、あるいはそれらに加えて、それぞれから前記部分領域分割手段よって計算される部分領域特徴のうち4種類の領域特徴、あるいはその中の任意の数種類の領域特徴と画像の位置情報を入力値として、最も好ましい領域特徴が選ばれたときに値が最小になる所定の計算3を行い、nを自然数とし、その計算の結果1番目からn番目に小さい値までを与えたn個の基本領域の基本領域特徴、もしくはn個の統合領域の統合領域特徴、もしくはn個の結合領域の結合領域特徴、もしくはそれらのいくつかと、さらに先の計算結果の最小の値と2番目に小さな値との差(最小の値とn−1番目に小さな値との差から計算されるn−1個の値)の全て、もしくはいくつかを入力値として画素特徴を計算することを特徴とする請求項1から17のいずれか一に記載の画像加工装置。
【請求項19】
コンピュータを用いて画像を加工する画像加工方法であって、
前記コンピュータが、画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理ステップの処理の結果として得られる分割画像データを記憶しておく分割画像データ記憶ステップと、
前記分割画像データ記憶ステップに保存されている分割画像データを基に基本領域毎に特徴を算出する基本領域特徴算出ステップと、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴算出ステップにおいて算出した基本領域特徴を領域毎に記憶する基本領域特徴記憶ステップと、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴記憶ステップにおいて記憶した基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合領域を作成する領域統合ステップと、
前記コンピュータが、前記領域統合ステップにおいて統合した統合領域を記憶する統合領域特徴記憶ステップと、
前記統合領域特徴記憶ステップに記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶ステップに記憶されている基本領域特徴との2つの領域特徴から計算される結果を基に前記画像データに対して表現処理を行う表現ステップと、を備えていることを特徴とする画像加工方法。
【請求項20】
コンピュータを用いて画像を加工する画像加工方法であって、
前記コンピュータが画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理ステップの処理の結果として得られる分割画像データを記憶しておく分割画像データ記憶ステップと、
前記分割画像データ記憶ステップに保存されている分割画像データを基に基本領域毎に特徴を算出する基本領域特徴算出ステップと、
前記コンピュータが前記基本領域特徴算出ステップにおいて算出した特徴を基本領域毎に記憶する基本領域特徴記憶ステップと、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴記憶ステップにおいて記憶した基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合領域を作成すると共に、統合領域デザインマップを制作する領域統合ステップと、
前記コンピュータが、前記領域統合ステップにおいて統合した統合領域を記憶する統合領域特徴記憶ステップと、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴記憶ステップにおいて記憶した統合領域特徴を基に複数の基本領域を結合して結合領域を作成する領域結合ステップと、
前記コンピュータが、前記領域結合ステップにおいて結合した結合領域を記憶する結合領域特徴記憶ステップと、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴記憶ステップにおいて記憶した統合領域特徴と基本領域特徴記憶ステップにおいて記憶した基本領域特徴と結合領域を記憶する結合領域特徴記憶ステップにおいて記憶した結合領域特徴との全て、あるいは任意の数種の領域特徴を前記統合領域デザインマップを参照しながら、適応的に複数の部分に分割し、その部分領域毎に部分領域特徴を計算する部分領域分割ステップと、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴、あるいは前記部分領域特徴に変更を加える特徴変更ステップと、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴、あるいは前記部分領域特徴に対して、前記統合領域デザインマップを参照しながら、適応的に表現処理を行う表現ステップと、を備えていることを特徴とする画像加工方法。
【請求項21】
コンピュータを用いて画像を加工する画像加工プログラムであって、
前記コンピュータが、画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理手段の処理の結果として得られる分割画像データを記憶しておく分割画像データ記憶手段と、
前記分割画像データ記憶手段に保存されている分割画像データを基に基本領域毎に特徴を算出する基本領域特徴算出手段と、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴算出手段において算出した基本領域特徴を基本領域毎に記憶する基本領域特徴記憶手段と、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴記憶手段において記憶した基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合領域を作成する領域統合手段と、
前記コンピュータが、前記領域統合手段において統合した統合領域を記憶する統合領域特徴記憶手段と、
前記統合領域特徴記憶手段に記憶されている統合領域の統合領域特徴と前記基本領域特徴記憶手段に記憶されている基本領域特徴との2つの領域特徴から計算される結果を基に前記画像データに対して表現処理を行う手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする画像加工プログラム。
【請求項22】
コンピュータを用いて画像を加工する画像加工プログラムであって、
前記コンピュータが、画像データを複数の基本領域に分割する基本領域分割処理手段の処理の結果として得られる分割画像データを記憶しておく分割画像データ記憶手段と、
前記分割画像データ記憶手段に保存されている分割画像データを基に基本領域毎に特徴を算出する基本領域特徴算出手段と、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴算出手段において算出した特徴を基本領域毎に記憶する基本領域特徴記憶手段と、
前記コンピュータが、前記基本領域特徴記憶手段において記憶した基本領域特徴を基に複数の基本領域を統合して統合領域を作成すると共に、統合領域デザインマップを制作する領域統合手段と、
前記コンピュータが、前記領域統合手段において統合した統合領域を記憶する統合領域特徴記憶手段と、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴記憶手段において記憶した統合領域特徴を基に複数の基本領域を結合して結合領域を作成する領域結合手段と、
前記コンピュータが、前記領域結合手段において結合した結合領域を記憶する結合領域特徴記憶手段と、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴記憶手段において記憶した統合領域特徴と基本領域特徴記憶手段において記憶した基本領域特徴と結合領域を記憶する結合領域特徴記憶手段において記憶した結合領域特徴との全て、あるいは任意の数種の領域特徴を前記統合領域デザインマップを参照しながら、適応的に複数の部分に分割し、その部分領域毎に部分領域特徴を計算する部分領域分割手段と
前記コンピュータが、前記統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴、あるいは前記部分領域特徴に変更を加える特徴変更手段と、
前記コンピュータが、前記統合領域特徴、あるいは前記基本領域特徴、あるいは前記結合領域特徴、あるいは前記部分領域特徴に対して、前記統合領域デザインマップを参照しながら、適応的に表現処理を行う手段としてコンピュータを機能させることを備えていることを特徴とする画像加工プログラム。
【請求項23】
コンピュータに用いられ、画像データを加工するプログラムにおいて、
画像データに含まれる画素について、少なくとも色を判断基準の一つとして各画素をグループ化し、これにより当該画像データを複数の基本領域に分割するステップと、
分割された基本領域毎に、少なくとも色の特徴を含む当該基本領域の特徴を算出するステップと、
分割された基本領域について、注目した一の基本領域に対して互いに連鎖しかつ互いに隣接するもの同士の基本領域の特徴の差が第1の閾値より小さい基本領域群を検出し、それら基本領域をグループ化して仮統合領域とし、同様にして前記一の基本領域以外の基本領域に対してもグループ化される基本領域群を検出して仮統合領域とし、こうして複数の第1回目の仮統合領域を得るステップと、
第1の閾値を、第1回目の仮統合領域を得るステップ時よりも大きくし、前記ステップと同様のステップを行って、複数の仮統合領域を得てこれらを第2回目の仮統合領域とし、第1回目の仮統合領域と第2回目の仮統合領域とが共通の基本領域を含んでいてかつ第1回目の仮統合領域に含まれる基本領域の数に対する第2回目の仮統合領域の基本領域の数の増加率が予め設定された値よりも小さいときに、その仮統合領域を正式な統合領域として決定するステップと、
第2回目の仮統合領域が決定した後に、第1の閾値の値を更に大きくして同様にして3回目の仮統合領域を定める処理を行うと共に、同様にして2回目の仮統合領域を正式に統合領域として決定する処理を行い、以後、同様の操作を複数回繰り返し、繰り返す際に、前回の処理で統合領域として決定した基本領域を除いた残りの基本領域に対してのみ統合処理を続けるステップと、
正式な統合領域としての決定処理が終った後、正式な統合領域ごとに、何回目の統合処理により仮統合領域から正式な統合領域に決定されたのかを示す段階数を記録するステップと、
前記正式に決定された統合領域毎に、基本領域に含まれる画素のデータに基づいて少なくとも色の特徴を含む当該統合領域の特徴を算出するステップと、を含むことを特徴とする画像加工プログラム。
【請求項24】
前記統合領域に応じて、当該統合領域を表現の単位領域とするか当該統合領域に含まれている基本領域を表現の単位領域とするかを決定するステップと、
選択された結果により決定された表現の単位領域毎に、その表現の単位領域の特徴に基づいて当該単位領域に含まれる画素の色を決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項23記載の画像加工プログラム。
【請求項25】
統合領域を表現の単位領域とするか当該統合領域に含まれている基本領域を表現の単位領域とするかの決定は、前記統合領域の段階数に応じて行われることを特徴とする請求項24記載の画像加工プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−31688(P2006−31688A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175798(P2005−175798)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(504090352)
【Fターム(参考)】