画像加熱装置および画像形成装置
【課題】駆動を停止した状態でウォームアップ動作を行った場合においても、定着ベルトの低温度部で発生する、画像の光沢低下や定着不良が発生しない定着装置の提供。
【解決手段】抵抗発熱層22bを有し、抵抗発熱層へ電圧を印加することで発熱する定着ベルト20を備えるベルト定着装置において、ベルト20が所定の制限温度に達すると抵抗発熱層22bに対する給電回路を遮断するための保安素子40を、画像加熱装置に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域幅Wmaxの外側で、且つ、抵抗発熱層の領域幅W20bの内側の位置Bにおいてベルト20と接触して備える。さらに、画像加熱装置に通紙使用可能な最小幅サイズの記録材の通紙領域幅Wminの領域内に対応する位置において、ベルト20の温度を検知するための温度検知手段THをベルトに非接触で備える。
【解決手段】抵抗発熱層22bを有し、抵抗発熱層へ電圧を印加することで発熱する定着ベルト20を備えるベルト定着装置において、ベルト20が所定の制限温度に達すると抵抗発熱層22bに対する給電回路を遮断するための保安素子40を、画像加熱装置に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域幅Wmaxの外側で、且つ、抵抗発熱層の領域幅W20bの内側の位置Bにおいてベルト20と接触して備える。さらに、画像加熱装置に通紙使用可能な最小幅サイズの記録材の通紙領域幅Wminの領域内に対応する位置において、ベルト20の温度を検知するための温度検知手段THをベルトに非接触で備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式を利用して、画像を記録材上に形成してハードコピーを得る複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に搭載される定着装置として用いて好適な画像加熱装置に関する。
【0002】
画像加熱装置としては、記録材上に形成された未定着のトナー像を固着画像として加熱定着する定着装置や、記録材に定着されたトナー像を再加熱することで画像の光沢度などを改質する画像改質装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0003】
近年、電子写真方式を用いた画像形成装置では省エネルギー化の観点から、熱容量が小さな定着装置が提案され、実用化されている。定着装置の小熱容量化を実現する施策の一つとして、エンドレスベルトを定着部材(以下、定着ベルトと称す)として用いるベルト定着方式の各種の装置が提案されている。
【0004】
その1つとして、特許文献1には、通電により発熱する物質からなる抵抗発熱層を備える定着ベルトを用いたベルト定着装置が提案されている。この定着装置は定着ベルトを回転駆動せずに全周を加熱することができる。従って、定着ベルトとニップ部を形成する加圧部材へ供給される熱量を大幅に低減できるので、ウォームアップ時間を大幅に短縮することが可能となる。更に、このベルト定着装置はウォームアップ時の駆動が不要であるため、定着装置の長寿命化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−92785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然しながら、定着ベルトは厚みが0.5mm程度と薄く、熱容量が非常に小さいため、何らかの部材を接触させた状態で、且つ、駆動を停止してウォームアップを行うと、該接触部の温度が他の部分よりも低くなってしまう。この温度が低い部分では画像の光沢の低下や、トナー剥がれなどの定着不良が発生する。上記の何らかの部材として具体的には、定着ベルトの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知手段が挙げられる。また、更には、定着ベルトの温度が異常に高い温度に達した場合に発熱層への通電を遮断するためのサーモスイッチ等の保安素子が挙げられる。
【0007】
本発明は上記従来技術の課題を解決するものである。即ち、画像加熱部材としての熱容量が小さいベルトの駆動を停止した状態でウォームアップ動作を行った場合においても、ベルトの低温度部で発生する、画像の光沢低下や画像加熱不良が発生しない画像加熱装置を提供することを目的とする。また、この画像加熱装置を画像定着手段として用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、通電により発熱する抵抗発熱層を備える回転可能な無端状のベルトと前記ベルトとニップ部を形成する加圧部材とを有し、画像を担持した記録材を前記ニップ部で挟持搬送して前記抵抗発熱層に対する通電により加熱された前記ベルトの熱で加熱する画像加熱装置であって、前記ベルトが所定の制限温度に達すると前記抵抗発熱層に対する給電回路を遮断するための保安素子を、画像加熱装置に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域幅の外側で、且つ、前記抵抗発熱層の領域幅の内側の位置において前記ベルトと接触して備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像加熱部材としての熱容量が小さいベルトの駆動を停止した状態でウォームアップ動作を行った場合においても、ベルトの低温度部で発生する、画像の光沢低下や画像加熱不良が発生しない画像加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の概略構成模型図
【図2】定着装置の横断右側面図
【図3】図2の(3)−(3)線の沿う横断正面図
【図4】図2の(4)−(4)線の沿う横断正面図
【図5】ベルトの構成説明図
【図6】バックアップ部材の構成説明図
【図7】ベルトユニットの部分的な分解斜視図
【図8】ベルトと加圧ローラとの離間状態を示した図
【図9】定着装置の動作フロー図
【図10】第1の実施例の定着装置に於けるベルトと加圧ローラのウォームアップ開始から定着中における温度推移を示す図
【図11】比較例として加圧ローラを回転駆動した状態でウォームアップした場合の温度推移を示す図
【図12】第2の実施例における定着装置の動作フロー図
【図13】第2の実施例の定着装置に於けるベルトと加圧ローラのウォームアップ開始から定着中における温度推移を示す図
【図14】第3の実施例の定着装置の要部の横断右側面図概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施例]
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセスを用いた、タンデムタイプのカラーレーザープリンタである。画像形成装置内には第1,第2,第3,第4の4つの画像形成部Pa,Pb,Pc,Pdが併設され、それぞれ異なった色、本例ではイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像が潜像、現像プロセスを経て形成される。
【0012】
画像形成部Pa,Pb、Pc、Pdは、それぞれ専用の像担持体、本例では電子写真感光ドラム3a,3b,3c,3dを具備し、各感光ドラム3a,3b,3c,3d上に上記の各色のトナー像が形成される。各感光ドラム3a,3b,3c,3dに隣接して中間転写体(中間転写ベルト)8が設置されている。
【0013】
感光ドラム3a,3b,3c,3d上に形成された各色のトナー像が、中間転写体8上に1次転写され、さらに2次転写部で記録材P上に2次転写される。トナー像の2次転写を受けた記録材Pは画像加熱装置としての定着装置(定着器、定着手段)9へ導入されて加熱及び加圧により定着処理を受ける。そして、カラー記録画像形成物として装置外の排紙トレイ18に排出される。
【0014】
感光ドラム3a,3b,3c,3dの外周には、それぞれ、帯電器2a,2b,2c,2d、現像器1a,1b,1c,1d、1次転写帯電器7a,7b,7c,7d及びクリーナー4a,4b,4c,4dが設けられている。また、感光ドラム3a,3b,3c,3dの上方部にはレーザースキャナ5a,5b,5c,5dが設置されている。
【0015】
感光ドラム3a,3b,3c,3dは矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動され、その周面がドラム帯電器2a,2b,2c,2dにより所定の極性・電位に一様に1次帯電される。その感光ドラム3a,3b,3c,3dの一様帯電面に対してレーザースキャナ5a,5b,5c,5dから出力される、画像信号に応じて変調されたレーザー光La,Lb,Lc,Ldによる走査露光がなされる。これにより、各感光ドラム3a,3b,3c,3d上に画像信号に応じた潜像が形成される。
【0016】
レーザースキャナ5a,5b,5c,5dは、それぞれ、光源装置、ポリゴンミラー等が設置されていて、光源装置から発せられたレーザー光をポリゴンミラーを回転して走査する。その走査光の光束を反射ミラーによって偏向し、fθレンズにより感光ドラム3a,3b,3c,3dの母線上に集光して露光することにより、感光ドラム3a,3b,3c,3d上に画像信号に応じた潜像が形成される。
【0017】
現像器1a,1b,1c,1dには、それぞれ、現像剤としてシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの色トナーが供給装置6a,6b,6c,6dにより所定量充填されている。現像器1a,1b,1c,1dは、それぞれ感光ドラム3a,3b,3c,3d上の潜像を現像して、シアントナー像、マゼンタトナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像として可視化する。
【0018】
中間転写体8は3本の並行ローラ13,14,15間に懸回張設したエンドレスベルト部材であり、矢印の時計方向に感光ドラム3a,3b,3c,3dとほぼ同じ周速度をもって回転駆動されている。
【0019】
第1の画像形成部Paの感光ドラム3a上に形成担持された上記第1色のイエロートナー像は、感光ドラム3aと中間転写体8とのニップ部(1次転写ニップ部)を通過する過程で中間転写体8の外周面に1次転写される。この転写は、1次転写帯電器7aから中間転写体8に印加される1次転写バイアスにより形成される電界と圧力によりなされる。
【0020】
以下、同様に、第2,第3,第4の画像形成部Pb,Pc,Pdの感光ドラム3b,3c,3d上に形成担持された、第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が順次に中間転写体8上に重畳転写される。これにより、中間転写体8上に目的のカラー画像に対応した合成カラートナー像が形成される。
【0021】
11は2次転写ローラであり、中間転写体8を懸回張設させた3本のローラ13・14・15のうちのローラ14に対して中間転写体8を挟ませて圧接させて中間転写体8との間に2次転写ニップ部を形成させている。
【0022】
一方、給紙カセット10から記録材Pが1枚分離給紙されて、シートパス16、シートパス17、レジストローラ12、転写前ガイドを通過して中間転写体8と2次転写ローラ11との当接ニップである2次転写ニップ部に所定のタイミングで給送される。また所定のタイミングで2次転写ローラ11に対して2次転写バイアスがバイアス電源からに印加される。これにより、中間転写体8上に重畳転写された合成カラートナー像の記録材Pへの一括2次転写がなされる。
【0023】
2次転写ニップ部にて合成カラートナー像の転写を受けた記録材Pは中間転写体8から分離されてシートパス17aにより定着装置9へ導入されて熱圧定着を受け、カラープリントとして装置外の排紙トレイ18に排出される。
【0024】
1次転写が終了した感光ドラム3a,3b,3c,3dは、それぞれのクリーナー4a,4b,4c,4dにより転写残トナーをクリーニング除去され、引き続き次の潜像の形成以下に備えられる。中間転写ベルト8上に残留したトナー及びその他の異物は、クリーナー19において中間転写ベルト8の表面にクリーニングウエブ(不織布)19aを当接して、拭い取るようにしている。
【0025】
(2)定着装置9
以下の説明において、定着装置9またはこれを構成している部材の長手方向もしくは幅方向とは記録材の搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。また短手方向とは記録材搬送方向に並行な方向である。定着装置9に関し、正面とは装置を記録材入口側からみた面、背面とはその反対側の面(記録材出口側)、左右とは装置を正面から見て左または右である。上流側と下流側とは記録材搬送方向に関して上流側と下流側である。
【0026】
図2は本実施例における画像加熱装置としての定着装置9の横断右側面図、図3は図2の(3)−(3)線の沿う横断正面図、図4は図2の(4)−(4)線の沿う横断正面図である。本実施例の定着装置9は、画像tを担持した記録材Pに接して加熱する画像加熱部材として、通電により発熱する物質からなる抵抗発熱層(発熱体)を備え、無端状で回転可能なベルト20を用いたベルト定着装置である。
【0027】
本実施例において、定着装置9に対する記録材Pの通紙(搬送)は記録材幅中心の中央基準でなされる。即ち、装置に通紙可能な大中小各種幅サイズの記録材も幅方向中央部がベルト20の長手方向中央部を通過することになる。図4において、Oはその中央基準搬送線(仮想線)である。記録材Pにおいて幅サイズとは、記録材の搬送路面内において記録材搬送方向aに対して直交する方向の寸法である。Wmaxは定着装置9に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域幅(最大通紙領域幅)である。Wminは定着装置9に通紙使用可能な最小幅サイズの記録材の通紙領域幅(最小通紙領域幅)である。
【0028】
21は左右方向を長手とするベルトアセンブリ、22は加圧部材としての左右方向を長手とする弾性加圧ローラである。これらは装置筐体(装置フレーム、シャーシー)30の左右の側板30L,30R間に上下にほぼ並行に配設され、所定の押圧力で押圧されることにより両者間に記録材搬送方向aにおいて所定幅(短手幅)の定着ニップ部(ニップ部)Nが形成される。
【0029】
加圧ローラ22は、ステンレス製の芯金22aに同心一体に弾性層22bとしてシリコーンゴム層を形成し、さらに離型層22cとして厚み約50μmのPFA樹脂チューブを被覆した多層構造ローラである。加圧ローラ22は芯金22aの左右両端部をそれぞれ軸受部材31を介して左右の筐体側板30L,30R間に回転可能に軸受保持されている。
【0030】
Gは芯金22aの右端部に同心一体に固着したドライブギアである。このギアGに対して制御回路部(制御手段:CPU)100で制御される駆動モータMの駆動力が駆動伝達手段(不図示)を介して伝達されることにより、加圧ローラ22が図2において矢印R22の反時計方向に回転駆動される。
【0031】
ベルトユニット21は、通電により発熱する物質からなる抵抗発熱層を備えた、画像加熱部材としての左右方向に長い円筒状の定着ベルト(以下、ベルトと記す)20を有する。また、ベルト20内に挿入されていて、ベルト20を内側からガイドするバックアップ部材23を有する。また、バックアップ部材23の内側に挿入された支持ステー24を有する。また、支持ステー24の左右両端部に嵌着された左右のフランジ部材25R,25Lを有する。
【0032】
1)ベルト20
ベルト20の構成を図5を用いて説明する。(a)はベルト20の外観斜視図、(b)はベルト20の長手中央部分の層構成を示す断面模式図、(c)と(d)はそれぞれベルト20の左端部側と右端部側の層構成を示す断面模式図である。本実施例におけるベルト20は、基本的には、内周面側から外周面側へ順に、基層20a、発熱層20b、弾性層20c、離型層20dの4層複合構造であり、全体的に可撓性を有し、熱容量が小さい部材である。
【0033】
基層20aは熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、厚さとして100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性材料を使用できる。例えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、PTFE、PFA、FEP等の樹脂ベルト、更にはベルト20の剛性を高める目的としてSUS、ニッケルなどの金属ベルトを使用できる。本実施例では、厚さが30μm、直径が25mmの円筒状ポリイミドベルトを用いた。尚、基層20aとして導電性を有する材料を用いる場合は、基層20aと発熱層20bとの間にポリイミドなどの絶縁層を設ける必要がある。
【0034】
発熱層20bは導電粒子としてのカーボンを含有したポリイミド樹脂を10μm程度の均一な厚さで基層20aの外周面に塗布した抵抗発熱体の層である。発熱層20bの総抵抗値は10.0Ωである。従って、商用電圧である100Vの交流電源を印加する際に消費される電力(発熱量)は1000Wである。尚、この抵抗値は定着装置として必要な発熱量、および、定着装置に印加する電圧等によって適宜定めればよく、カーボンの混合比率により調整することができる。
【0035】
弾性層20cは、ゴム硬度10度(JIS−A)、熱伝導率1.3W/m・K、厚さ300μmのシリコーンゴムを用いた。離型層20dは厚さ20μmのPFAチューブを用いた。離型層としてはPFAコートを用いても良く、必要な厚さ、機械的及び電気的強度はに応じてPFAチューブとPFAコートを使い分けることが出来る。また、離型層20dはシリコーン樹脂から成る接着剤により弾性層20cと接着されている。
【0036】
図4において、W20はベルト20の全幅(ベルト幅)である。このベルト幅W20は最大通紙領域幅Wmaxよりも大きくしてある。W20bは発熱層20bの幅(発熱層の領域幅:発熱層幅)であり、最大通紙領域幅Wmaxよりも大きく、ベルト幅W20よりも小さくしてある。WNはニップ部Nの長手幅(ニップ幅)であり、加圧ローラ22の弾性層22bの長手幅と等しい。このニップ幅WNは発熱層幅W22bよりも大きく、ベルト幅W20よりも小さくしてある。
【0037】
本実施例においては、発熱層幅W20bの左右の端部は記録材Pの最大サイズの左右の端部において安定的にトナーの定着を行うために、最大通紙領域幅Wmaxの左右の端部からそれぞれ10mm外側まで延伸している。
【0038】
基層20aの左右端部の内周面側にはそれぞれ基層内周に沿って環状(リング状)の第1と給電電極部20eLと第2の給電電極部20eRが形成されている。給電電極部20eL,20eRは銀・カラジウムを含んだ導電特性を有する材料を用いている。
【0039】
そして、この第1と第2の給電電極部20eL,20eRは、それぞれ、基層20aの左右の縁部に周に沿って施した導電性塗料層20fL,20fRを介して基層20aの外周面側の発熱層20bの左右の端部に電気的に接続されている。したがって、ベルト20は第1と第2の給電電極部20eL,20eR間に電圧が印加されることで発熱層20bが全体的に発熱して全体的に加熱される。
【0040】
上記のようにベルト20は、少なくとも、内側から外側に順に、基層22aと、抵抗発熱層22bと、離型層22cと、の積層構造体である。そして、後述する電源供給部102と抵抗発熱層22bとを電気的に接続するための給電部としての第1と第2の給電電極部20eL,20eRおよび導電性塗料層20fL,20fRを有する。
【0041】
2)バックアップ部材23
バックアップ部材23は横断面ほぼ半円状樋型で、剛性、耐熱性、断熱性を有する左右方向に長い部材である。バックアップ部材23は、ベルト20を内側から支持し、ベルト20の回転をガイドするとともに、ベルト20を加圧ローラ方向(加圧部材方向)に押圧(加圧付勢)するための押圧部材として機能する。
【0042】
バックアップ部材23は省エネルギーの観点から支持ステー24への熱伝導の少ない材料を用いるのが望ましく、例えば、耐熱ガラスや、ポリカーカーボネート、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂が用いられる。本実施例ではバックアップ部材23に導電部を設けてベルト20の発熱層20bに電源を供給する構成のため、バックアップ部材23としては絶縁性を有する材料が必須となる。本実施例では住友化学(株)製のスミカスーパーE5204Lを用いた。
【0043】
図6の(a)はバックアップ部材23の外観斜視図、(b)は上面図、(c)は下面図である。バックアップ部材23は、ベルト20の左右の開口部からそれぞれ外方に突出する延長腕部23aL,23aRを有する。この左右の延長腕部23aL,23aRの下面側にはそれぞれ第1の導電部23bLと第2の導電部23bRが配設されている。
【0044】
第1と第2の導電部23bL,23bRはそれぞれベルト20の内面側の第1と第2の給電電極部20eL,20eRと対向する部分である。そして、少なくともベルト20を介して加圧ローラ22を押圧する部分、即ち、定着ニップ部Nの範囲に及んで設けられている。
【0045】
また、左側の延長腕部23aLの基部側にはサーモスイッチや温度ヒューズなどの保安素保安素子40を配設するための上下貫通孔(透穴)23cが配設されている。
【0046】
3)支持ステー24
支持ステー24は横断面下向きU字型の左右方向に長い剛性部材であり、バックアップ部材23の内側に配設されてバックアップ部材23を支持する。支持ステー24は高い圧力を掛けられても撓みにくい材質であることが望ましく、本実施例においてはSUS304を用いている。支持ステー24は、ベルト20の左右の開口部からそれぞれ外方に突出する延長腕部24aL,24aRを有する。この延長腕部24aL,24aRはそれぞれバックアップ部材23の左右の延長腕部23aL,23aRの上側に対応して位置する。
【0047】
4)フランジ部材25R,25L
フランジ部材25R,25Lは左右対称形状の部材であり、それぞれ支持ステー24の左右の延長腕部24aL,24aRに対して嵌着されて一体化されている。図7は右側のフランジ部材25Rと、支持ステー24の右側の延長腕部24aRと、バックアップ部材23の右側の延長腕部23aRと、後述する右側の給電用コネクタ26Rと、の分解斜視図である。バックアップ部材23、支持ステー24の左側も図7の右側の場合と同様の構成である。ベルト20は左右のフランジ部材25R,25L間において、バックアップ部材23と支持ステー24の外側にルーズに外嵌されている。
【0048】
5)加圧離間機構
バックアップ部材23、支持ステー24、ベルト20、左右のフランジ部材25R,25Lの組立体であるベルトユニット21はバックアップ部材23側を下向きにして、加圧ローラ22の上側に並行に配列して左右の筐体側板30L,30R間に配設されている。左右のフランジ部材25R,25Lはそれぞれに設けられた縦溝部(不図示)が左右の筐体側板30L,30Rにそれぞれ設けられた縦ガイドスリット30aL,30aRの縦縁部に係合している。これにより、ベルトユニット21は左右の筐体側板30L,30R間において上下方向にスライド移動可能に保持されている。
【0049】
27L,27Rは左右の筐体側板30L,30Rのそれぞれの外面側に配設された加圧離間機構としての左右のシフト装置である。シフト装置は本実施例においては、電磁ソレノイド−プランジャ装置である。左側のシフト装置27Lの上下動部材(プランジャ)27aLと左側のフランジ部材25Lの外方突出部25aLとが一体的に結合されている。また、右側のシフト装置27Rの上下動部材27aRと右側のフランジ部材25Rの外方突出部25aRとが一体的に結合されている。左右のシフト装置27L,27Rは制御回路部100により通電がオン−オフ制御される。
【0050】
本実施例においては、左右のシフト装置27L,27Rは通電−オフの状態においてそれぞれの上下動部材27aL,27aRが装置内部の加圧ばね(不図示)により下方に押下されている。その押下力が左右のフランジ部材25R,25L及びバックアップ部材23を介してバックアップ部材23に作用する。
【0051】
そのため、バックアップ部材23の下面がベルト20を挟んで加圧ローラ22の上面に対して加圧ローラ22の弾性層2bの弾性に抗して所定の加圧力、本実施例において一端側が156.8N、総加圧力が313.6N(32kgf)で加圧される(加圧状態)。これにより、ベルト20と加圧ローラ22との間に、記録材搬送方向aにおいて所定幅の定着ニップ部Nが形成される。また、ニップ部Nの左右両端部側において、ベルト20側の第1と第2の給電電極部20eL,20eRとバックアップ部材23側の第1と第2の導電部23bL,23bRとが密着して電気的に導通している。
【0052】
また、左右のシフト装置27L,27Rは通電−オンの状態においてそれぞれの上下動部材27aL,27aRが装置内部の加圧ばねに抗して上方の所定の位置に引き上げられて保持される。これによりバックアップ部材23の加圧ローラ22に対する加圧が解除され、さらには加圧ローラ22から離間されて、図8のように、ベルト20が加圧ローラ22から離間された状態(離間状態)に保持される。
【0053】
本実施例の定着装置9においてはこの離間状態においても、ベルト20側の第1と第2の給電電極部20eL,20eRとバックアップ部材23側の第1と第2の導電部23bL,23bRとの導通状態は保持される。
【0054】
なお、本実施例では、加圧離間機構としてのシフト装置27L,27Rとして電磁ソレノイド−プランジャ装置を用いたがこれに限られるものではく、適宜の上下動機構を用いることが出来る。その他として、例えば、加圧アームと加圧バネとカムを用いた機構、ラックとピニオンを用いた機構などが挙げられる。
【0055】
6)ベルト20の発熱層20bに対する給電系統
バックアップ部材23の左右の延長腕部23aL,23aRにはそれぞれ給電用コネクタ26L,26Rが装着される。これにより、左側のコネクタ26Lの電極部26a(図7)が第1の給電電極部20eLに対して圧接して電気的に導通する。また、右側のコネクタ26Rの電極部26aが第2の給電電極部20eRに対して圧接して電気的に導通する。
【0056】
また、バックアップ部材23に設けられた透穴23cには保安素子40が配設されている。本実施例では保安素子として、ワコー電子社製サーモスイッチCH−16を用いている。以下、保安素子40をサーモスイッチと記す。サーモスイッチ40はその感熱部がバックアップ部材24に設けられた上下方向の透穴(開口部)23cからベルト20側に露出するようにバックアップ部材23の内側から挿入されている。
【0057】
そして、このサーモスイッチ40をバックアップ部材23の内側に配設した加圧ホルダ41とサーモスイッチ40の上部との間に縮設した加圧バネ42の縮設反力により下方に押圧した状態にしている。これにより、サーモスイッチ40の感熱部がベルト20の内面に対して接触し押圧される。このように、サーモスイッチ40がベルト20を加圧部材方向に押圧するための押圧部材であるバックアップ部材23に備える構成である。この構成によって、サーモスイッチ40をベルト20に安定的に接触できる。
【0058】
サーモスイッチ40の2つの通電端子の一方と左側のコネクタ26Lの電極部26aとがリード線43aにより電気的に接続されている。また、サーモスイッチ40の他方の通電端子と電源供給部(電源部:商用電源)102とがリード線43bにより電気的に接続されている。また、右側のコネクタ26Lの電極部26aと電源供給部102とがリード線43cにより電気的に接続されている。電源供給部102は制御回路部100で制御されるトライアック101により給電制御される。
【0059】
かくして、電源供給部102→リード線42b→サーモスイッチ40→左側のコネクタ26Lの電極部26a→第1の導電部23bL→第1の給電電極部20eL→導電性塗料層20fL→発熱層20bに至る給電回路が形成される。そして、更に発熱層20b→導電性塗料層20fR→第2の給電電極部20eR→右側のコネクタ26Rの電極部26a→リード線42c→電源供給部102の給電回路が形成される。
【0060】
従って、電源供給部102から上記の給電回路に電力が供給されることで、ベルト20の発熱層22bが発熱層22bの全幅W22bに渡って全周において発熱してベルト20の全体的な加熱がなされる。
【0061】
サーモスイッチ40はベルト20が所定の温度(所定の制限温度)に達すると抵抗発熱層20bと電源供給部102との電気的接続を遮断する、即ち発熱層20bに対する給電回路を遮断するための電気素子である。サーモスイッチ40はベルト20の抵抗発熱層の発熱領域幅W22bの内側であって、最大通紙領域幅Wmaxの外側の位置Bに於いてベルト20に接触して設けられている。
【0062】
THはベルト20の温度を検知する検知するための温度検知手段としてのサーミスタである。本実施例においてこのサーミスタTHはベルト20の外表面に対して非接触に対向させて装置筐体30に支持させて配設されており、ベルト20表面の温度を非接触で検知する機能を担っている。サーミスタTHは装置に通紙可能などの幅サイズの記録材についても通紙部となるベルト部分の温度を検知する。そのために最小通紙領域幅Wminの内側に対応するベルト部分に対応させて配設される。本実施例においては、中央基準搬送線Oの位置に対応させてベルト20の外表面に対して非接触に対向させて配設されている。
【0063】
サーミスタTHはA/Dコンバータ103を介して制御回路部100に接続される。制御回路部100はサーミスタTHからの出力を所定の周期でサンプリングしており、得られた温度情報をベルト20の発熱層20bへの通電制御に反映させる。つまり、制御回路部100は、サーミスタTHの出力をもとに、ベルト20の発熱層22bへの通電制御内容を決定し、電源供給部102から発熱層22bへ供給する通電を制御する。本実施例の定着装置9での上記制御は、記録材Pにトナー像tを定着するための温度を鑑みて、サーミスタTHの検知温度が画像加熱温度である160℃で一定となるように制御する。
【0064】
7)定着装置9の動作フロー
本実施例における定着装置9の動作フローについて図9を用いて説明する。本実施例における定着装置9はスタンバイ状態時においては、定着モータMは停止されている。従って、加圧ローラ22の回転は停止されている。電源供給部102はオフである。従って、ベルト20の加熱はオフである。シフト装置27L,27Rへの通電はオフである。従ってベルトユニット21は加圧ローラ22に対して加圧状態に保持されている。
【0065】
この状態において、制御回路部100が画像形成装置の操作部104やパソコンなどのホスト装置200などの入力装置からプリント開始命令を受けると制御回路部100は画像形成部のプリント動作をスタートさせる(ステップA1)。
【0066】
制御回路部100は定着装置9については先ず電源供給部102をオンにして前記の給電系統によりベルト20の発熱層20bへの電力供給を開始する(ステップA2)。この時、モータMはオフのままであり、加圧ローラ22は回転駆動されず、ベルト20も停止した状態である。
【0067】
この状態において、ベルト20が加熱されてサーミスタTHの検知温度T1が120℃に達すると(ステップA3)、画像形成部のドラム3上へのトナー像形成が開始される(ステップA4)。そして、未定着トナー像tを担持した記録材Pが定着装置9に搬送される。その記録材Pが定着ニップ部Nの20mm手前に達するタイミングで(ステップA5)、制御回路部100はモータMをオンにする。これにより、加圧ローラ22の駆動が開始される(ステップA6)。即ち、加圧ローラ22は、図2において矢印R22の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0068】
加圧ローラ22の駆動を開始するタイミングは、定着装置9の入口ガイド44が備える検知フラグFの記録材Pの押圧による移動によりフォトインタラプタP1の出力信号がオフになるタイミングと同じである。また、この時のサーミスタTHの検知温度はベルト20の目標温度(画像加熱温度)と同じ160℃である。
【0069】
そして、加圧ローラ22の回転に伴って、ニップ部Nにおける加圧ローラ22の表面とベルト20の表面との摩擦力でベルト20に対して回転力が作用する。ベルト20はその内面がニップ部Nにおいてバックアップ部材23の下面に密着して摺動しながらバックアップ部材23と支持ステー24の外回りを矢印R20の時計方向に加圧ローラ22の回転速度とほぼ同じ速度で従動回転する。
【0070】
バックアップ部材23はベルト20の回転をガイドするように機能している。また、ベルト20の回転に伴うバックアップ部材23の長手方向に沿う左方或いは右方への寄り移動は左右のフランジ部材25L,25Rにより規制される。また、ベルト20の内面にはグリス(潤滑剤)が塗布されている。グリスはバックアップ部材23の下面とベルト20の内面との摩擦に起因して発生するベルト20の内面の磨耗を低減する役割を担う。
【0071】
未定着トナー像を担持した記録材Pはガイド44に沿って案内されてニップ部Nに進入して挟持搬送される。即ち、ニップ部Nにおいて、記録材Pのトナー像担持面側がベルト20の外面に密着し、記録材Pがベルト20と共に移動する。記録材Pのニップ部Nでの挟持搬送過程において、ベルト20の発熱層20bで発生した熱が記録材Pに付与され、未定着トナー像tが記録材P上に溶融定着される。ニップ部Nを通過した記録材Pはベルト20から曲率分離され、定着排紙ローラ45により定着装置9の外に排出される。
【0072】
制御回路部100は検知フラグFとフォトインタラプタP1により後続の記録材Pの枚数をカウントする。モノプリントモードにおける1枚の記録材P、或いは連続プリントモードにおける所定複数枚の最後の記録材Pが検知フラグFとフォトインタラプタP1によりカウントされたらその記録材の後端のニップ部通過時間を演算する。この演算は、記録材Pの検知フラグFとフォトインタラプタP1によるカウント時点と、記録材Pの搬送速度と、通紙された記録材Pの搬送方向の寸法情報により演算される。
【0073】
上記の演算により、モノプリントモードにおける1枚の記録材P、或いは連続プリントモードにおける所定複数枚の最後の記録材Pがニップ部を通過する時間が経過したら(ステップA7)、速やかに発熱層20bへの通電を停止する(ステップA8)。その後、モータMをオフにして加圧ローラ22の回転駆動を停止し(ステップA9)、プリント動作が終了する(ステップA10)。
【0074】
モノプリントモードにおける1枚の記録材P、或いは連続プリントモードにおける所定複数枚の最後の記録材Pのニップ部通過はニップ部Nの記録材出口側にシートセンサを配設することで検知する構成にすることもできる。
【0075】
上記のように、本実施例の定着装置9はベルト20の発熱層20bに通電して画像加熱温度に達するまでベルト20を加熱するためのウォームアップ動作時は、ベルト20の回転駆動を行わない構成である。即ち、サーミスタTHの検知温度が画像加熱温度である160℃に達し、記録材Pがニップ部Nに到達する直前まで、ベルト20の回転を停止した状態でウォームアップ加熱する構成である。そのため、ベルト20の加熱開始から目標温度に達するまでの所要時間、つまりウォームアップ時間が6秒程度であり、非常に早いウォームアップが可能である。
【0076】
図10に、本実施例の定着装置9に於けるベルト20と加圧ローラ22のウォームアップ開始から定着中における温度推移を示す。比較例として加圧ローラ22を回転駆動した状態でウォームアップした場合の温度推移を図11に示す。図中の温度推移は実線が定着ベルトの温度推移、破線が加圧ローラの温度推移を示す。
【0077】
本実施例の定着装置9はウォームアップ時に加圧ローラ22の駆動を行わないため、加圧ローラ22へ熱が伝わりづらく、加圧ローラ22の温度はほとんど上昇しない。つまり、ベルト20の発熱層22bで発生した熱のほとんどがベルト20を加熱するのに用いられるので、ウォームアップ時間の短縮を図ることができる。即ち、ウォームアップ時にベルト20を駆動せずに加熱する構成である。この構成によって、ウォームアップ時間の短縮を図ることができるとともに、定着装置の長寿命化を図ることができる。
【0078】
本実施例(図10)の定着装置ではウォームアプ時間は6秒程度である。比較例(図11)の定着装置はウォームアップ時に加圧ローラ22の駆動を行うので、加圧ローラ22へ供給される熱が多くなり、加圧ローラ22の温度は大きく上昇する。そのため、ウォームアップ時間が15秒程度であった。
【0079】
加えて、本実施例の定着装置はウォームアップ時における駆動を行わないので、ベルト20の内面の磨耗により発生する磨耗粉等による、駆動トルクの上昇を低減することができる。
【0080】
次に、本実施例の定着装置9の特徴的な部分である、装置長手方向における、サーモスイッチ(保安素子)40と、サーミスタTHと、ベルト20の発熱層20bの位置関係について図4を用いて説明する。サーモスイッチ40はベルト20の発熱層20bに対する給電回路の電源供給部102と発熱層20b間に直列に接続されて配設されている。
【0081】
従って、制御回路部(CPU)100や温度検知手段THの故障等の理由により発熱層20bへの通電停止ができない状態が発生しても、ベルト20の異常な温度上昇により、内部のバイメタルが溶融して断線し、発熱層20bへの通電を遮断することができる。本実施例で用いるサーモスイッチ40は感熱部の温度が220℃に達すると、内部のバイメタルが溶融し、その両端の端子間が断線する設定である。
【0082】
サーモスイッチ40はベルト20の温度の異常な上昇を確実に検知できる位置に設ける必要ある。つまり、サーモスイッチ40は感熱部がベルト20の発熱層20bの発熱領域である発熱層幅W22bの領域内においてベルト20に接触するように設ける必要がある。
【0083】
本実施例の定着装置9では、装置に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域の幅である最大通紙領域幅Wmaxよりも発熱層20bの幅W20bを片側で10mm外側まで延伸している。そして、本実施例の定着装置9は、最大通紙領域幅Wmaxの外側で、且つ発熱層幅W20bの内側の位置Bにおいて、サーモスイッチ感熱部とベルト20の内面とが接触するようにサーモスイッチ40を配置している。
【0084】
上述の配置によって、サーモスイッチ40はベルト20の温度の異常上昇時には発熱層20bへの通電を遮断する役割を果たすことが可能である。そのため、制御回路部100や温度検知手段THの故障などによって発熱層20bへの通電を停止できない状態においても、所定の制限温度において発熱層20bへの通電を遮断することが出来る。
【0085】
更には、ウォームアップ時において、サーモスイッチ40の感熱部との接触部でベルト20には低温度部が発生するものの、その位置Bが最大通紙領域幅Wmaxの領域外であるため、画像に光沢低下や定着不良が発生することは無い。
【0086】
即ち、サーモスイッチや温度ヒューズなどの保安素子40を未定着トナー像が通過する領域外、且つ抵抗発熱層22bの発熱領域内においてベルト20に当接して備える構成である。
【0087】
この構成によって、抵抗発熱層22bへ印加する電圧を制御するための制御手段100、ベルト20の温度を検知するための温度検知手段などが故障した場合にも対応できる。即ち、ベルト20の温度が所定の制限温度に達すると抵抗発熱層22bと電源供給部102の電気的接続を遮断することが可能である。そのため、ベルト20の熱暴走を防止することができるとともに、未定着トナー像が通過する領域内に、ベルトに低温度部が発生しないので、画像の光沢低下や定着不良が発生することは無い。
【0088】
次に、本実施例ではサーミスタTHとしてPerlinElmer社製の赤外放射温度A2TPMIを備えている。このタイプのサーミスタTHは、非接触状態で温度を測定することが可能であり、加えて、応答性良く温度を測定できることが広く知られている。
【0089】
本実施例の定着装置9の発熱層20bへの通電制御は、サーミスタTHが検知するベルト20の温度と目標温度である160℃との差分温度に応じて行われる。そのため、定着動作中における通紙領域のベルト20の温度を一定となるように制御を行うためには、必然的にサーミスタTHを最小サイズの記録材が通過する最小通紙領域幅Wminの領域内に設ける必要がある。本実施例においては、サーミスタTHを記録材Pの中央基準搬送線Oの位置に対応させてベルト20の外表面に対して非接触に対向させて配設されている。
【0090】
従って、本実施例のサーミスタTHは最小サイズの記録材を定着する場合に於いても、通紙領域に於けるベルト20の温度を安定的に測定することができる。更には、着ベルト20とは非接触で配置されるので、ウォームアップ時において、ベルト20に低温度部が発生することは無い。
【0091】
即ち、ベルト20の温度を検知するための温度検知手段THを最小サイズの記録材が通過する領域内においてベルト20とは非接触で備える構成である。この構成によって、温度検知手段THは全てのサイズの記録材において、記録材が通過する領域のベルト20の温度を測定可能であるとともに、ベルト20に低温度部が発生しないので、画像の光沢低下や定着不良が発生することは無い。
【0092】
以上説明したように本実施例のベルト定着装置9によれば、駆動を停止した状態でウォームアップ動作を行った場合においても、ベルト20の低温度部で発生する、画像の光沢低下や定着不良が発生しない。
【0093】
[第2の実施例]
本実施例はウォームアップ動作をベルト20と加圧ローラ22とを離間した状態で行う構成であり、ウォームアップ時間の更なる短縮化を達成することができる。それ以外の、画像形成装置、定着装置、温度設定等の構成、サーモスイッチ40とサーミスタTHの配置などは第1の実施例と同様であるので再度の説明は省略する。
【0094】
本実施例における定着装置9の動作フローについて図12を用いて説明する。定着装置9はスタンバイ状態時においては、定着モータMは停止されている。従って、加圧ローラ22の回転は停止されている。電源供給部102はオフである。従って、ベルト20の加熱はオフである。この状態において、制御回路部100が画像形成装置の操作部104やパソコンなどのホスト装置200などの入力装置からプリント開始命令を受けると制御回路部100は画像形成部のプリント動作をスタートさせる(ステップB1)。
【0095】
このとき、制御回路部100はシフト装置27L,27Rへの通電がオフであればオンにする。即ち、ベルト20と加圧ローラ22とが加圧状態にあれば、図8のように離間状態に転換する(ステップB2、B3)。
【0096】
次に、制御回路部100は電源供給部102をオンにして前記の給電系統によりベルト20の発熱層20bへの電力供給を開始する(ステップB4)。ベルト20が加熱されてサーミスタTHの検知温度T1が120℃に達すると(ステップB5)、画像形成部のドラム3上へのトナー像形成が開始される(ステップB6)。
【0097】
そして、未定着トナー像tを担持した記録材Pが定着装置9に搬送される。その記録材Pが定着ニップ部Nの20mm手前に達するタイミングで(ステップB7)、制御回路部100はシフト装置27L,27Rへの通電をオフにする。即ち、ベルト20と加圧ローラ22との離間状態を加圧状態に転換する(ステップB8)。更にモータMをオンにする。これにより、加圧ローラ22の駆動も開始される(ステップB9)。即ち、加圧ローラ22は、図2において矢印R22の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0098】
以後のステップB11〜B13は第1の実施例の図9のステップA7〜A10と同様であるので再度の説明は省略する。
【0099】
図13に、本実施例の定着装置9に於けるベルト20と加圧ローラ22のウォームアップ開始から定着中における温度推移を示す。図中の温度推移は実線がベルト20の温度推移、破線が加圧ローラ22の温度推移を示す。
【0100】
本実施例の定着装置9はウォームアップ時にベルト20を加圧ローラ22と離間して加熱するため、加圧ローラ22へ熱が伝わることは無い。つまり、発熱層22bで発生した熱の全てがベルト20を加熱するのに用いられるので、ウォームアップ時間の更なる短化を図ることができる。尚、本実施例の定着装置9ではウォームアプ時間は4秒程度である。
【0101】
上記のように、ウォームアップ時に加圧ローラ22と離間してベルト20を加熱する構成である。この構成によって、ベルト20の発熱層20bで発生した熱の全てをベルト20の加熱に利用することができるので、ウォームアップ時間の最短化を図ることができる。また、記録材Pがニップ部Nに到達する直前のタイミングにおいて、ベルト20を加圧ローラ22に加圧する構成である。この構成によって、ベルト20と加圧ローラ22が加圧する際に発生するベルト20の温度低下を最小限に抑えることができる。
【0102】
[第3の実施例]
図14は本実施例の定着装置9の概略構成図である。この定着装置9はベルト20を複数の張架部材としてのバックアップ部材23、駆動ローラ51、テンションローラ52に対して懸回張設して配設してある。加圧ローラ22はベルト20を挟んでバックアップ部材23に対して圧接してベルト20との間に定着ニップ部Nを形成する。ベルト20は駆動ローラ51が駆動されることで回転駆動される。加圧ローラ22はベルト20の回転に従動して回転する。また、加圧ローラ22がシフト装置53によりベルト20に対して加圧状態と離間状態とに状態転換される。
【0103】
ベルト20の発熱層22bに対する給電回路構成、定着装置9の動作フローは第1の実施例、第2の実施例の場合と同様であるので再度の説明は省略する。
【0104】
[その他の事項]
1)ベルト20とニップ部Nを形成する加圧部材22はローラ体に限られない。回転可能なエンドレスベルト体にすることもできる。また、表面(ベルト20や記録材Pとの当接面)の摩擦係数が小さい非回転部材(加圧パッドなど)の形態にすることもできる。加圧部材22も加熱する構成にすることもできる。
【0105】
2)装置に対する記録材Pの通紙(搬送)は中央基準に限られない。記録材の幅方向の一方側の側部を基準として通紙(搬送)する片側基準の装置構成とすることもできる。
【0106】
3)本発明の画像加熱装置は、実施例のような、記録材に形成された未定着画像を固着画像として加熱定着する定着装置としての使用に限られない。記録材に一旦定着された或いは仮定着された画像(定着済み画像又は半定着画像)を加熱加圧して光沢度を向上させるなどの画像の表面性状を調整する加熱処理装置としても有効である。
【0107】
4)画像形成装置の画像形成部は電子写真方式に限られない。静電記録方式や磁気記録方式の画像形成部であってもよい。また、転写方式に限られず、記録材に対して直接方式で未定着画像を形成する構成のものであってもよい。
【符号の説明】
【0108】
9・・画像加熱装置(定着装置)、20・・無端状のベルト、20b・・抵抗発熱層、22・・加圧部材、P・・記録材、t・・画像、40・・保安素子、Wmax・・最大幅サイズの記録材の通紙領域幅、W20b・・抵抗発熱層の領域幅、TH・・温度検知手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式を利用して、画像を記録材上に形成してハードコピーを得る複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に搭載される定着装置として用いて好適な画像加熱装置に関する。
【0002】
画像加熱装置としては、記録材上に形成された未定着のトナー像を固着画像として加熱定着する定着装置や、記録材に定着されたトナー像を再加熱することで画像の光沢度などを改質する画像改質装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0003】
近年、電子写真方式を用いた画像形成装置では省エネルギー化の観点から、熱容量が小さな定着装置が提案され、実用化されている。定着装置の小熱容量化を実現する施策の一つとして、エンドレスベルトを定着部材(以下、定着ベルトと称す)として用いるベルト定着方式の各種の装置が提案されている。
【0004】
その1つとして、特許文献1には、通電により発熱する物質からなる抵抗発熱層を備える定着ベルトを用いたベルト定着装置が提案されている。この定着装置は定着ベルトを回転駆動せずに全周を加熱することができる。従って、定着ベルトとニップ部を形成する加圧部材へ供給される熱量を大幅に低減できるので、ウォームアップ時間を大幅に短縮することが可能となる。更に、このベルト定着装置はウォームアップ時の駆動が不要であるため、定着装置の長寿命化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−92785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然しながら、定着ベルトは厚みが0.5mm程度と薄く、熱容量が非常に小さいため、何らかの部材を接触させた状態で、且つ、駆動を停止してウォームアップを行うと、該接触部の温度が他の部分よりも低くなってしまう。この温度が低い部分では画像の光沢の低下や、トナー剥がれなどの定着不良が発生する。上記の何らかの部材として具体的には、定着ベルトの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知手段が挙げられる。また、更には、定着ベルトの温度が異常に高い温度に達した場合に発熱層への通電を遮断するためのサーモスイッチ等の保安素子が挙げられる。
【0007】
本発明は上記従来技術の課題を解決するものである。即ち、画像加熱部材としての熱容量が小さいベルトの駆動を停止した状態でウォームアップ動作を行った場合においても、ベルトの低温度部で発生する、画像の光沢低下や画像加熱不良が発生しない画像加熱装置を提供することを目的とする。また、この画像加熱装置を画像定着手段として用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、通電により発熱する抵抗発熱層を備える回転可能な無端状のベルトと前記ベルトとニップ部を形成する加圧部材とを有し、画像を担持した記録材を前記ニップ部で挟持搬送して前記抵抗発熱層に対する通電により加熱された前記ベルトの熱で加熱する画像加熱装置であって、前記ベルトが所定の制限温度に達すると前記抵抗発熱層に対する給電回路を遮断するための保安素子を、画像加熱装置に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域幅の外側で、且つ、前記抵抗発熱層の領域幅の内側の位置において前記ベルトと接触して備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像加熱部材としての熱容量が小さいベルトの駆動を停止した状態でウォームアップ動作を行った場合においても、ベルトの低温度部で発生する、画像の光沢低下や画像加熱不良が発生しない画像加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の概略構成模型図
【図2】定着装置の横断右側面図
【図3】図2の(3)−(3)線の沿う横断正面図
【図4】図2の(4)−(4)線の沿う横断正面図
【図5】ベルトの構成説明図
【図6】バックアップ部材の構成説明図
【図7】ベルトユニットの部分的な分解斜視図
【図8】ベルトと加圧ローラとの離間状態を示した図
【図9】定着装置の動作フロー図
【図10】第1の実施例の定着装置に於けるベルトと加圧ローラのウォームアップ開始から定着中における温度推移を示す図
【図11】比較例として加圧ローラを回転駆動した状態でウォームアップした場合の温度推移を示す図
【図12】第2の実施例における定着装置の動作フロー図
【図13】第2の実施例の定着装置に於けるベルトと加圧ローラのウォームアップ開始から定着中における温度推移を示す図
【図14】第3の実施例の定着装置の要部の横断右側面図概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施例]
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセスを用いた、タンデムタイプのカラーレーザープリンタである。画像形成装置内には第1,第2,第3,第4の4つの画像形成部Pa,Pb,Pc,Pdが併設され、それぞれ異なった色、本例ではイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像が潜像、現像プロセスを経て形成される。
【0012】
画像形成部Pa,Pb、Pc、Pdは、それぞれ専用の像担持体、本例では電子写真感光ドラム3a,3b,3c,3dを具備し、各感光ドラム3a,3b,3c,3d上に上記の各色のトナー像が形成される。各感光ドラム3a,3b,3c,3dに隣接して中間転写体(中間転写ベルト)8が設置されている。
【0013】
感光ドラム3a,3b,3c,3d上に形成された各色のトナー像が、中間転写体8上に1次転写され、さらに2次転写部で記録材P上に2次転写される。トナー像の2次転写を受けた記録材Pは画像加熱装置としての定着装置(定着器、定着手段)9へ導入されて加熱及び加圧により定着処理を受ける。そして、カラー記録画像形成物として装置外の排紙トレイ18に排出される。
【0014】
感光ドラム3a,3b,3c,3dの外周には、それぞれ、帯電器2a,2b,2c,2d、現像器1a,1b,1c,1d、1次転写帯電器7a,7b,7c,7d及びクリーナー4a,4b,4c,4dが設けられている。また、感光ドラム3a,3b,3c,3dの上方部にはレーザースキャナ5a,5b,5c,5dが設置されている。
【0015】
感光ドラム3a,3b,3c,3dは矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動され、その周面がドラム帯電器2a,2b,2c,2dにより所定の極性・電位に一様に1次帯電される。その感光ドラム3a,3b,3c,3dの一様帯電面に対してレーザースキャナ5a,5b,5c,5dから出力される、画像信号に応じて変調されたレーザー光La,Lb,Lc,Ldによる走査露光がなされる。これにより、各感光ドラム3a,3b,3c,3d上に画像信号に応じた潜像が形成される。
【0016】
レーザースキャナ5a,5b,5c,5dは、それぞれ、光源装置、ポリゴンミラー等が設置されていて、光源装置から発せられたレーザー光をポリゴンミラーを回転して走査する。その走査光の光束を反射ミラーによって偏向し、fθレンズにより感光ドラム3a,3b,3c,3dの母線上に集光して露光することにより、感光ドラム3a,3b,3c,3d上に画像信号に応じた潜像が形成される。
【0017】
現像器1a,1b,1c,1dには、それぞれ、現像剤としてシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの色トナーが供給装置6a,6b,6c,6dにより所定量充填されている。現像器1a,1b,1c,1dは、それぞれ感光ドラム3a,3b,3c,3d上の潜像を現像して、シアントナー像、マゼンタトナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像として可視化する。
【0018】
中間転写体8は3本の並行ローラ13,14,15間に懸回張設したエンドレスベルト部材であり、矢印の時計方向に感光ドラム3a,3b,3c,3dとほぼ同じ周速度をもって回転駆動されている。
【0019】
第1の画像形成部Paの感光ドラム3a上に形成担持された上記第1色のイエロートナー像は、感光ドラム3aと中間転写体8とのニップ部(1次転写ニップ部)を通過する過程で中間転写体8の外周面に1次転写される。この転写は、1次転写帯電器7aから中間転写体8に印加される1次転写バイアスにより形成される電界と圧力によりなされる。
【0020】
以下、同様に、第2,第3,第4の画像形成部Pb,Pc,Pdの感光ドラム3b,3c,3d上に形成担持された、第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が順次に中間転写体8上に重畳転写される。これにより、中間転写体8上に目的のカラー画像に対応した合成カラートナー像が形成される。
【0021】
11は2次転写ローラであり、中間転写体8を懸回張設させた3本のローラ13・14・15のうちのローラ14に対して中間転写体8を挟ませて圧接させて中間転写体8との間に2次転写ニップ部を形成させている。
【0022】
一方、給紙カセット10から記録材Pが1枚分離給紙されて、シートパス16、シートパス17、レジストローラ12、転写前ガイドを通過して中間転写体8と2次転写ローラ11との当接ニップである2次転写ニップ部に所定のタイミングで給送される。また所定のタイミングで2次転写ローラ11に対して2次転写バイアスがバイアス電源からに印加される。これにより、中間転写体8上に重畳転写された合成カラートナー像の記録材Pへの一括2次転写がなされる。
【0023】
2次転写ニップ部にて合成カラートナー像の転写を受けた記録材Pは中間転写体8から分離されてシートパス17aにより定着装置9へ導入されて熱圧定着を受け、カラープリントとして装置外の排紙トレイ18に排出される。
【0024】
1次転写が終了した感光ドラム3a,3b,3c,3dは、それぞれのクリーナー4a,4b,4c,4dにより転写残トナーをクリーニング除去され、引き続き次の潜像の形成以下に備えられる。中間転写ベルト8上に残留したトナー及びその他の異物は、クリーナー19において中間転写ベルト8の表面にクリーニングウエブ(不織布)19aを当接して、拭い取るようにしている。
【0025】
(2)定着装置9
以下の説明において、定着装置9またはこれを構成している部材の長手方向もしくは幅方向とは記録材の搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。また短手方向とは記録材搬送方向に並行な方向である。定着装置9に関し、正面とは装置を記録材入口側からみた面、背面とはその反対側の面(記録材出口側)、左右とは装置を正面から見て左または右である。上流側と下流側とは記録材搬送方向に関して上流側と下流側である。
【0026】
図2は本実施例における画像加熱装置としての定着装置9の横断右側面図、図3は図2の(3)−(3)線の沿う横断正面図、図4は図2の(4)−(4)線の沿う横断正面図である。本実施例の定着装置9は、画像tを担持した記録材Pに接して加熱する画像加熱部材として、通電により発熱する物質からなる抵抗発熱層(発熱体)を備え、無端状で回転可能なベルト20を用いたベルト定着装置である。
【0027】
本実施例において、定着装置9に対する記録材Pの通紙(搬送)は記録材幅中心の中央基準でなされる。即ち、装置に通紙可能な大中小各種幅サイズの記録材も幅方向中央部がベルト20の長手方向中央部を通過することになる。図4において、Oはその中央基準搬送線(仮想線)である。記録材Pにおいて幅サイズとは、記録材の搬送路面内において記録材搬送方向aに対して直交する方向の寸法である。Wmaxは定着装置9に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域幅(最大通紙領域幅)である。Wminは定着装置9に通紙使用可能な最小幅サイズの記録材の通紙領域幅(最小通紙領域幅)である。
【0028】
21は左右方向を長手とするベルトアセンブリ、22は加圧部材としての左右方向を長手とする弾性加圧ローラである。これらは装置筐体(装置フレーム、シャーシー)30の左右の側板30L,30R間に上下にほぼ並行に配設され、所定の押圧力で押圧されることにより両者間に記録材搬送方向aにおいて所定幅(短手幅)の定着ニップ部(ニップ部)Nが形成される。
【0029】
加圧ローラ22は、ステンレス製の芯金22aに同心一体に弾性層22bとしてシリコーンゴム層を形成し、さらに離型層22cとして厚み約50μmのPFA樹脂チューブを被覆した多層構造ローラである。加圧ローラ22は芯金22aの左右両端部をそれぞれ軸受部材31を介して左右の筐体側板30L,30R間に回転可能に軸受保持されている。
【0030】
Gは芯金22aの右端部に同心一体に固着したドライブギアである。このギアGに対して制御回路部(制御手段:CPU)100で制御される駆動モータMの駆動力が駆動伝達手段(不図示)を介して伝達されることにより、加圧ローラ22が図2において矢印R22の反時計方向に回転駆動される。
【0031】
ベルトユニット21は、通電により発熱する物質からなる抵抗発熱層を備えた、画像加熱部材としての左右方向に長い円筒状の定着ベルト(以下、ベルトと記す)20を有する。また、ベルト20内に挿入されていて、ベルト20を内側からガイドするバックアップ部材23を有する。また、バックアップ部材23の内側に挿入された支持ステー24を有する。また、支持ステー24の左右両端部に嵌着された左右のフランジ部材25R,25Lを有する。
【0032】
1)ベルト20
ベルト20の構成を図5を用いて説明する。(a)はベルト20の外観斜視図、(b)はベルト20の長手中央部分の層構成を示す断面模式図、(c)と(d)はそれぞれベルト20の左端部側と右端部側の層構成を示す断面模式図である。本実施例におけるベルト20は、基本的には、内周面側から外周面側へ順に、基層20a、発熱層20b、弾性層20c、離型層20dの4層複合構造であり、全体的に可撓性を有し、熱容量が小さい部材である。
【0033】
基層20aは熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、厚さとして100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性材料を使用できる。例えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、PTFE、PFA、FEP等の樹脂ベルト、更にはベルト20の剛性を高める目的としてSUS、ニッケルなどの金属ベルトを使用できる。本実施例では、厚さが30μm、直径が25mmの円筒状ポリイミドベルトを用いた。尚、基層20aとして導電性を有する材料を用いる場合は、基層20aと発熱層20bとの間にポリイミドなどの絶縁層を設ける必要がある。
【0034】
発熱層20bは導電粒子としてのカーボンを含有したポリイミド樹脂を10μm程度の均一な厚さで基層20aの外周面に塗布した抵抗発熱体の層である。発熱層20bの総抵抗値は10.0Ωである。従って、商用電圧である100Vの交流電源を印加する際に消費される電力(発熱量)は1000Wである。尚、この抵抗値は定着装置として必要な発熱量、および、定着装置に印加する電圧等によって適宜定めればよく、カーボンの混合比率により調整することができる。
【0035】
弾性層20cは、ゴム硬度10度(JIS−A)、熱伝導率1.3W/m・K、厚さ300μmのシリコーンゴムを用いた。離型層20dは厚さ20μmのPFAチューブを用いた。離型層としてはPFAコートを用いても良く、必要な厚さ、機械的及び電気的強度はに応じてPFAチューブとPFAコートを使い分けることが出来る。また、離型層20dはシリコーン樹脂から成る接着剤により弾性層20cと接着されている。
【0036】
図4において、W20はベルト20の全幅(ベルト幅)である。このベルト幅W20は最大通紙領域幅Wmaxよりも大きくしてある。W20bは発熱層20bの幅(発熱層の領域幅:発熱層幅)であり、最大通紙領域幅Wmaxよりも大きく、ベルト幅W20よりも小さくしてある。WNはニップ部Nの長手幅(ニップ幅)であり、加圧ローラ22の弾性層22bの長手幅と等しい。このニップ幅WNは発熱層幅W22bよりも大きく、ベルト幅W20よりも小さくしてある。
【0037】
本実施例においては、発熱層幅W20bの左右の端部は記録材Pの最大サイズの左右の端部において安定的にトナーの定着を行うために、最大通紙領域幅Wmaxの左右の端部からそれぞれ10mm外側まで延伸している。
【0038】
基層20aの左右端部の内周面側にはそれぞれ基層内周に沿って環状(リング状)の第1と給電電極部20eLと第2の給電電極部20eRが形成されている。給電電極部20eL,20eRは銀・カラジウムを含んだ導電特性を有する材料を用いている。
【0039】
そして、この第1と第2の給電電極部20eL,20eRは、それぞれ、基層20aの左右の縁部に周に沿って施した導電性塗料層20fL,20fRを介して基層20aの外周面側の発熱層20bの左右の端部に電気的に接続されている。したがって、ベルト20は第1と第2の給電電極部20eL,20eR間に電圧が印加されることで発熱層20bが全体的に発熱して全体的に加熱される。
【0040】
上記のようにベルト20は、少なくとも、内側から外側に順に、基層22aと、抵抗発熱層22bと、離型層22cと、の積層構造体である。そして、後述する電源供給部102と抵抗発熱層22bとを電気的に接続するための給電部としての第1と第2の給電電極部20eL,20eRおよび導電性塗料層20fL,20fRを有する。
【0041】
2)バックアップ部材23
バックアップ部材23は横断面ほぼ半円状樋型で、剛性、耐熱性、断熱性を有する左右方向に長い部材である。バックアップ部材23は、ベルト20を内側から支持し、ベルト20の回転をガイドするとともに、ベルト20を加圧ローラ方向(加圧部材方向)に押圧(加圧付勢)するための押圧部材として機能する。
【0042】
バックアップ部材23は省エネルギーの観点から支持ステー24への熱伝導の少ない材料を用いるのが望ましく、例えば、耐熱ガラスや、ポリカーカーボネート、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂が用いられる。本実施例ではバックアップ部材23に導電部を設けてベルト20の発熱層20bに電源を供給する構成のため、バックアップ部材23としては絶縁性を有する材料が必須となる。本実施例では住友化学(株)製のスミカスーパーE5204Lを用いた。
【0043】
図6の(a)はバックアップ部材23の外観斜視図、(b)は上面図、(c)は下面図である。バックアップ部材23は、ベルト20の左右の開口部からそれぞれ外方に突出する延長腕部23aL,23aRを有する。この左右の延長腕部23aL,23aRの下面側にはそれぞれ第1の導電部23bLと第2の導電部23bRが配設されている。
【0044】
第1と第2の導電部23bL,23bRはそれぞれベルト20の内面側の第1と第2の給電電極部20eL,20eRと対向する部分である。そして、少なくともベルト20を介して加圧ローラ22を押圧する部分、即ち、定着ニップ部Nの範囲に及んで設けられている。
【0045】
また、左側の延長腕部23aLの基部側にはサーモスイッチや温度ヒューズなどの保安素保安素子40を配設するための上下貫通孔(透穴)23cが配設されている。
【0046】
3)支持ステー24
支持ステー24は横断面下向きU字型の左右方向に長い剛性部材であり、バックアップ部材23の内側に配設されてバックアップ部材23を支持する。支持ステー24は高い圧力を掛けられても撓みにくい材質であることが望ましく、本実施例においてはSUS304を用いている。支持ステー24は、ベルト20の左右の開口部からそれぞれ外方に突出する延長腕部24aL,24aRを有する。この延長腕部24aL,24aRはそれぞれバックアップ部材23の左右の延長腕部23aL,23aRの上側に対応して位置する。
【0047】
4)フランジ部材25R,25L
フランジ部材25R,25Lは左右対称形状の部材であり、それぞれ支持ステー24の左右の延長腕部24aL,24aRに対して嵌着されて一体化されている。図7は右側のフランジ部材25Rと、支持ステー24の右側の延長腕部24aRと、バックアップ部材23の右側の延長腕部23aRと、後述する右側の給電用コネクタ26Rと、の分解斜視図である。バックアップ部材23、支持ステー24の左側も図7の右側の場合と同様の構成である。ベルト20は左右のフランジ部材25R,25L間において、バックアップ部材23と支持ステー24の外側にルーズに外嵌されている。
【0048】
5)加圧離間機構
バックアップ部材23、支持ステー24、ベルト20、左右のフランジ部材25R,25Lの組立体であるベルトユニット21はバックアップ部材23側を下向きにして、加圧ローラ22の上側に並行に配列して左右の筐体側板30L,30R間に配設されている。左右のフランジ部材25R,25Lはそれぞれに設けられた縦溝部(不図示)が左右の筐体側板30L,30Rにそれぞれ設けられた縦ガイドスリット30aL,30aRの縦縁部に係合している。これにより、ベルトユニット21は左右の筐体側板30L,30R間において上下方向にスライド移動可能に保持されている。
【0049】
27L,27Rは左右の筐体側板30L,30Rのそれぞれの外面側に配設された加圧離間機構としての左右のシフト装置である。シフト装置は本実施例においては、電磁ソレノイド−プランジャ装置である。左側のシフト装置27Lの上下動部材(プランジャ)27aLと左側のフランジ部材25Lの外方突出部25aLとが一体的に結合されている。また、右側のシフト装置27Rの上下動部材27aRと右側のフランジ部材25Rの外方突出部25aRとが一体的に結合されている。左右のシフト装置27L,27Rは制御回路部100により通電がオン−オフ制御される。
【0050】
本実施例においては、左右のシフト装置27L,27Rは通電−オフの状態においてそれぞれの上下動部材27aL,27aRが装置内部の加圧ばね(不図示)により下方に押下されている。その押下力が左右のフランジ部材25R,25L及びバックアップ部材23を介してバックアップ部材23に作用する。
【0051】
そのため、バックアップ部材23の下面がベルト20を挟んで加圧ローラ22の上面に対して加圧ローラ22の弾性層2bの弾性に抗して所定の加圧力、本実施例において一端側が156.8N、総加圧力が313.6N(32kgf)で加圧される(加圧状態)。これにより、ベルト20と加圧ローラ22との間に、記録材搬送方向aにおいて所定幅の定着ニップ部Nが形成される。また、ニップ部Nの左右両端部側において、ベルト20側の第1と第2の給電電極部20eL,20eRとバックアップ部材23側の第1と第2の導電部23bL,23bRとが密着して電気的に導通している。
【0052】
また、左右のシフト装置27L,27Rは通電−オンの状態においてそれぞれの上下動部材27aL,27aRが装置内部の加圧ばねに抗して上方の所定の位置に引き上げられて保持される。これによりバックアップ部材23の加圧ローラ22に対する加圧が解除され、さらには加圧ローラ22から離間されて、図8のように、ベルト20が加圧ローラ22から離間された状態(離間状態)に保持される。
【0053】
本実施例の定着装置9においてはこの離間状態においても、ベルト20側の第1と第2の給電電極部20eL,20eRとバックアップ部材23側の第1と第2の導電部23bL,23bRとの導通状態は保持される。
【0054】
なお、本実施例では、加圧離間機構としてのシフト装置27L,27Rとして電磁ソレノイド−プランジャ装置を用いたがこれに限られるものではく、適宜の上下動機構を用いることが出来る。その他として、例えば、加圧アームと加圧バネとカムを用いた機構、ラックとピニオンを用いた機構などが挙げられる。
【0055】
6)ベルト20の発熱層20bに対する給電系統
バックアップ部材23の左右の延長腕部23aL,23aRにはそれぞれ給電用コネクタ26L,26Rが装着される。これにより、左側のコネクタ26Lの電極部26a(図7)が第1の給電電極部20eLに対して圧接して電気的に導通する。また、右側のコネクタ26Rの電極部26aが第2の給電電極部20eRに対して圧接して電気的に導通する。
【0056】
また、バックアップ部材23に設けられた透穴23cには保安素子40が配設されている。本実施例では保安素子として、ワコー電子社製サーモスイッチCH−16を用いている。以下、保安素子40をサーモスイッチと記す。サーモスイッチ40はその感熱部がバックアップ部材24に設けられた上下方向の透穴(開口部)23cからベルト20側に露出するようにバックアップ部材23の内側から挿入されている。
【0057】
そして、このサーモスイッチ40をバックアップ部材23の内側に配設した加圧ホルダ41とサーモスイッチ40の上部との間に縮設した加圧バネ42の縮設反力により下方に押圧した状態にしている。これにより、サーモスイッチ40の感熱部がベルト20の内面に対して接触し押圧される。このように、サーモスイッチ40がベルト20を加圧部材方向に押圧するための押圧部材であるバックアップ部材23に備える構成である。この構成によって、サーモスイッチ40をベルト20に安定的に接触できる。
【0058】
サーモスイッチ40の2つの通電端子の一方と左側のコネクタ26Lの電極部26aとがリード線43aにより電気的に接続されている。また、サーモスイッチ40の他方の通電端子と電源供給部(電源部:商用電源)102とがリード線43bにより電気的に接続されている。また、右側のコネクタ26Lの電極部26aと電源供給部102とがリード線43cにより電気的に接続されている。電源供給部102は制御回路部100で制御されるトライアック101により給電制御される。
【0059】
かくして、電源供給部102→リード線42b→サーモスイッチ40→左側のコネクタ26Lの電極部26a→第1の導電部23bL→第1の給電電極部20eL→導電性塗料層20fL→発熱層20bに至る給電回路が形成される。そして、更に発熱層20b→導電性塗料層20fR→第2の給電電極部20eR→右側のコネクタ26Rの電極部26a→リード線42c→電源供給部102の給電回路が形成される。
【0060】
従って、電源供給部102から上記の給電回路に電力が供給されることで、ベルト20の発熱層22bが発熱層22bの全幅W22bに渡って全周において発熱してベルト20の全体的な加熱がなされる。
【0061】
サーモスイッチ40はベルト20が所定の温度(所定の制限温度)に達すると抵抗発熱層20bと電源供給部102との電気的接続を遮断する、即ち発熱層20bに対する給電回路を遮断するための電気素子である。サーモスイッチ40はベルト20の抵抗発熱層の発熱領域幅W22bの内側であって、最大通紙領域幅Wmaxの外側の位置Bに於いてベルト20に接触して設けられている。
【0062】
THはベルト20の温度を検知する検知するための温度検知手段としてのサーミスタである。本実施例においてこのサーミスタTHはベルト20の外表面に対して非接触に対向させて装置筐体30に支持させて配設されており、ベルト20表面の温度を非接触で検知する機能を担っている。サーミスタTHは装置に通紙可能などの幅サイズの記録材についても通紙部となるベルト部分の温度を検知する。そのために最小通紙領域幅Wminの内側に対応するベルト部分に対応させて配設される。本実施例においては、中央基準搬送線Oの位置に対応させてベルト20の外表面に対して非接触に対向させて配設されている。
【0063】
サーミスタTHはA/Dコンバータ103を介して制御回路部100に接続される。制御回路部100はサーミスタTHからの出力を所定の周期でサンプリングしており、得られた温度情報をベルト20の発熱層20bへの通電制御に反映させる。つまり、制御回路部100は、サーミスタTHの出力をもとに、ベルト20の発熱層22bへの通電制御内容を決定し、電源供給部102から発熱層22bへ供給する通電を制御する。本実施例の定着装置9での上記制御は、記録材Pにトナー像tを定着するための温度を鑑みて、サーミスタTHの検知温度が画像加熱温度である160℃で一定となるように制御する。
【0064】
7)定着装置9の動作フロー
本実施例における定着装置9の動作フローについて図9を用いて説明する。本実施例における定着装置9はスタンバイ状態時においては、定着モータMは停止されている。従って、加圧ローラ22の回転は停止されている。電源供給部102はオフである。従って、ベルト20の加熱はオフである。シフト装置27L,27Rへの通電はオフである。従ってベルトユニット21は加圧ローラ22に対して加圧状態に保持されている。
【0065】
この状態において、制御回路部100が画像形成装置の操作部104やパソコンなどのホスト装置200などの入力装置からプリント開始命令を受けると制御回路部100は画像形成部のプリント動作をスタートさせる(ステップA1)。
【0066】
制御回路部100は定着装置9については先ず電源供給部102をオンにして前記の給電系統によりベルト20の発熱層20bへの電力供給を開始する(ステップA2)。この時、モータMはオフのままであり、加圧ローラ22は回転駆動されず、ベルト20も停止した状態である。
【0067】
この状態において、ベルト20が加熱されてサーミスタTHの検知温度T1が120℃に達すると(ステップA3)、画像形成部のドラム3上へのトナー像形成が開始される(ステップA4)。そして、未定着トナー像tを担持した記録材Pが定着装置9に搬送される。その記録材Pが定着ニップ部Nの20mm手前に達するタイミングで(ステップA5)、制御回路部100はモータMをオンにする。これにより、加圧ローラ22の駆動が開始される(ステップA6)。即ち、加圧ローラ22は、図2において矢印R22の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0068】
加圧ローラ22の駆動を開始するタイミングは、定着装置9の入口ガイド44が備える検知フラグFの記録材Pの押圧による移動によりフォトインタラプタP1の出力信号がオフになるタイミングと同じである。また、この時のサーミスタTHの検知温度はベルト20の目標温度(画像加熱温度)と同じ160℃である。
【0069】
そして、加圧ローラ22の回転に伴って、ニップ部Nにおける加圧ローラ22の表面とベルト20の表面との摩擦力でベルト20に対して回転力が作用する。ベルト20はその内面がニップ部Nにおいてバックアップ部材23の下面に密着して摺動しながらバックアップ部材23と支持ステー24の外回りを矢印R20の時計方向に加圧ローラ22の回転速度とほぼ同じ速度で従動回転する。
【0070】
バックアップ部材23はベルト20の回転をガイドするように機能している。また、ベルト20の回転に伴うバックアップ部材23の長手方向に沿う左方或いは右方への寄り移動は左右のフランジ部材25L,25Rにより規制される。また、ベルト20の内面にはグリス(潤滑剤)が塗布されている。グリスはバックアップ部材23の下面とベルト20の内面との摩擦に起因して発生するベルト20の内面の磨耗を低減する役割を担う。
【0071】
未定着トナー像を担持した記録材Pはガイド44に沿って案内されてニップ部Nに進入して挟持搬送される。即ち、ニップ部Nにおいて、記録材Pのトナー像担持面側がベルト20の外面に密着し、記録材Pがベルト20と共に移動する。記録材Pのニップ部Nでの挟持搬送過程において、ベルト20の発熱層20bで発生した熱が記録材Pに付与され、未定着トナー像tが記録材P上に溶融定着される。ニップ部Nを通過した記録材Pはベルト20から曲率分離され、定着排紙ローラ45により定着装置9の外に排出される。
【0072】
制御回路部100は検知フラグFとフォトインタラプタP1により後続の記録材Pの枚数をカウントする。モノプリントモードにおける1枚の記録材P、或いは連続プリントモードにおける所定複数枚の最後の記録材Pが検知フラグFとフォトインタラプタP1によりカウントされたらその記録材の後端のニップ部通過時間を演算する。この演算は、記録材Pの検知フラグFとフォトインタラプタP1によるカウント時点と、記録材Pの搬送速度と、通紙された記録材Pの搬送方向の寸法情報により演算される。
【0073】
上記の演算により、モノプリントモードにおける1枚の記録材P、或いは連続プリントモードにおける所定複数枚の最後の記録材Pがニップ部を通過する時間が経過したら(ステップA7)、速やかに発熱層20bへの通電を停止する(ステップA8)。その後、モータMをオフにして加圧ローラ22の回転駆動を停止し(ステップA9)、プリント動作が終了する(ステップA10)。
【0074】
モノプリントモードにおける1枚の記録材P、或いは連続プリントモードにおける所定複数枚の最後の記録材Pのニップ部通過はニップ部Nの記録材出口側にシートセンサを配設することで検知する構成にすることもできる。
【0075】
上記のように、本実施例の定着装置9はベルト20の発熱層20bに通電して画像加熱温度に達するまでベルト20を加熱するためのウォームアップ動作時は、ベルト20の回転駆動を行わない構成である。即ち、サーミスタTHの検知温度が画像加熱温度である160℃に達し、記録材Pがニップ部Nに到達する直前まで、ベルト20の回転を停止した状態でウォームアップ加熱する構成である。そのため、ベルト20の加熱開始から目標温度に達するまでの所要時間、つまりウォームアップ時間が6秒程度であり、非常に早いウォームアップが可能である。
【0076】
図10に、本実施例の定着装置9に於けるベルト20と加圧ローラ22のウォームアップ開始から定着中における温度推移を示す。比較例として加圧ローラ22を回転駆動した状態でウォームアップした場合の温度推移を図11に示す。図中の温度推移は実線が定着ベルトの温度推移、破線が加圧ローラの温度推移を示す。
【0077】
本実施例の定着装置9はウォームアップ時に加圧ローラ22の駆動を行わないため、加圧ローラ22へ熱が伝わりづらく、加圧ローラ22の温度はほとんど上昇しない。つまり、ベルト20の発熱層22bで発生した熱のほとんどがベルト20を加熱するのに用いられるので、ウォームアップ時間の短縮を図ることができる。即ち、ウォームアップ時にベルト20を駆動せずに加熱する構成である。この構成によって、ウォームアップ時間の短縮を図ることができるとともに、定着装置の長寿命化を図ることができる。
【0078】
本実施例(図10)の定着装置ではウォームアプ時間は6秒程度である。比較例(図11)の定着装置はウォームアップ時に加圧ローラ22の駆動を行うので、加圧ローラ22へ供給される熱が多くなり、加圧ローラ22の温度は大きく上昇する。そのため、ウォームアップ時間が15秒程度であった。
【0079】
加えて、本実施例の定着装置はウォームアップ時における駆動を行わないので、ベルト20の内面の磨耗により発生する磨耗粉等による、駆動トルクの上昇を低減することができる。
【0080】
次に、本実施例の定着装置9の特徴的な部分である、装置長手方向における、サーモスイッチ(保安素子)40と、サーミスタTHと、ベルト20の発熱層20bの位置関係について図4を用いて説明する。サーモスイッチ40はベルト20の発熱層20bに対する給電回路の電源供給部102と発熱層20b間に直列に接続されて配設されている。
【0081】
従って、制御回路部(CPU)100や温度検知手段THの故障等の理由により発熱層20bへの通電停止ができない状態が発生しても、ベルト20の異常な温度上昇により、内部のバイメタルが溶融して断線し、発熱層20bへの通電を遮断することができる。本実施例で用いるサーモスイッチ40は感熱部の温度が220℃に達すると、内部のバイメタルが溶融し、その両端の端子間が断線する設定である。
【0082】
サーモスイッチ40はベルト20の温度の異常な上昇を確実に検知できる位置に設ける必要ある。つまり、サーモスイッチ40は感熱部がベルト20の発熱層20bの発熱領域である発熱層幅W22bの領域内においてベルト20に接触するように設ける必要がある。
【0083】
本実施例の定着装置9では、装置に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域の幅である最大通紙領域幅Wmaxよりも発熱層20bの幅W20bを片側で10mm外側まで延伸している。そして、本実施例の定着装置9は、最大通紙領域幅Wmaxの外側で、且つ発熱層幅W20bの内側の位置Bにおいて、サーモスイッチ感熱部とベルト20の内面とが接触するようにサーモスイッチ40を配置している。
【0084】
上述の配置によって、サーモスイッチ40はベルト20の温度の異常上昇時には発熱層20bへの通電を遮断する役割を果たすことが可能である。そのため、制御回路部100や温度検知手段THの故障などによって発熱層20bへの通電を停止できない状態においても、所定の制限温度において発熱層20bへの通電を遮断することが出来る。
【0085】
更には、ウォームアップ時において、サーモスイッチ40の感熱部との接触部でベルト20には低温度部が発生するものの、その位置Bが最大通紙領域幅Wmaxの領域外であるため、画像に光沢低下や定着不良が発生することは無い。
【0086】
即ち、サーモスイッチや温度ヒューズなどの保安素子40を未定着トナー像が通過する領域外、且つ抵抗発熱層22bの発熱領域内においてベルト20に当接して備える構成である。
【0087】
この構成によって、抵抗発熱層22bへ印加する電圧を制御するための制御手段100、ベルト20の温度を検知するための温度検知手段などが故障した場合にも対応できる。即ち、ベルト20の温度が所定の制限温度に達すると抵抗発熱層22bと電源供給部102の電気的接続を遮断することが可能である。そのため、ベルト20の熱暴走を防止することができるとともに、未定着トナー像が通過する領域内に、ベルトに低温度部が発生しないので、画像の光沢低下や定着不良が発生することは無い。
【0088】
次に、本実施例ではサーミスタTHとしてPerlinElmer社製の赤外放射温度A2TPMIを備えている。このタイプのサーミスタTHは、非接触状態で温度を測定することが可能であり、加えて、応答性良く温度を測定できることが広く知られている。
【0089】
本実施例の定着装置9の発熱層20bへの通電制御は、サーミスタTHが検知するベルト20の温度と目標温度である160℃との差分温度に応じて行われる。そのため、定着動作中における通紙領域のベルト20の温度を一定となるように制御を行うためには、必然的にサーミスタTHを最小サイズの記録材が通過する最小通紙領域幅Wminの領域内に設ける必要がある。本実施例においては、サーミスタTHを記録材Pの中央基準搬送線Oの位置に対応させてベルト20の外表面に対して非接触に対向させて配設されている。
【0090】
従って、本実施例のサーミスタTHは最小サイズの記録材を定着する場合に於いても、通紙領域に於けるベルト20の温度を安定的に測定することができる。更には、着ベルト20とは非接触で配置されるので、ウォームアップ時において、ベルト20に低温度部が発生することは無い。
【0091】
即ち、ベルト20の温度を検知するための温度検知手段THを最小サイズの記録材が通過する領域内においてベルト20とは非接触で備える構成である。この構成によって、温度検知手段THは全てのサイズの記録材において、記録材が通過する領域のベルト20の温度を測定可能であるとともに、ベルト20に低温度部が発生しないので、画像の光沢低下や定着不良が発生することは無い。
【0092】
以上説明したように本実施例のベルト定着装置9によれば、駆動を停止した状態でウォームアップ動作を行った場合においても、ベルト20の低温度部で発生する、画像の光沢低下や定着不良が発生しない。
【0093】
[第2の実施例]
本実施例はウォームアップ動作をベルト20と加圧ローラ22とを離間した状態で行う構成であり、ウォームアップ時間の更なる短縮化を達成することができる。それ以外の、画像形成装置、定着装置、温度設定等の構成、サーモスイッチ40とサーミスタTHの配置などは第1の実施例と同様であるので再度の説明は省略する。
【0094】
本実施例における定着装置9の動作フローについて図12を用いて説明する。定着装置9はスタンバイ状態時においては、定着モータMは停止されている。従って、加圧ローラ22の回転は停止されている。電源供給部102はオフである。従って、ベルト20の加熱はオフである。この状態において、制御回路部100が画像形成装置の操作部104やパソコンなどのホスト装置200などの入力装置からプリント開始命令を受けると制御回路部100は画像形成部のプリント動作をスタートさせる(ステップB1)。
【0095】
このとき、制御回路部100はシフト装置27L,27Rへの通電がオフであればオンにする。即ち、ベルト20と加圧ローラ22とが加圧状態にあれば、図8のように離間状態に転換する(ステップB2、B3)。
【0096】
次に、制御回路部100は電源供給部102をオンにして前記の給電系統によりベルト20の発熱層20bへの電力供給を開始する(ステップB4)。ベルト20が加熱されてサーミスタTHの検知温度T1が120℃に達すると(ステップB5)、画像形成部のドラム3上へのトナー像形成が開始される(ステップB6)。
【0097】
そして、未定着トナー像tを担持した記録材Pが定着装置9に搬送される。その記録材Pが定着ニップ部Nの20mm手前に達するタイミングで(ステップB7)、制御回路部100はシフト装置27L,27Rへの通電をオフにする。即ち、ベルト20と加圧ローラ22との離間状態を加圧状態に転換する(ステップB8)。更にモータMをオンにする。これにより、加圧ローラ22の駆動も開始される(ステップB9)。即ち、加圧ローラ22は、図2において矢印R22の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0098】
以後のステップB11〜B13は第1の実施例の図9のステップA7〜A10と同様であるので再度の説明は省略する。
【0099】
図13に、本実施例の定着装置9に於けるベルト20と加圧ローラ22のウォームアップ開始から定着中における温度推移を示す。図中の温度推移は実線がベルト20の温度推移、破線が加圧ローラ22の温度推移を示す。
【0100】
本実施例の定着装置9はウォームアップ時にベルト20を加圧ローラ22と離間して加熱するため、加圧ローラ22へ熱が伝わることは無い。つまり、発熱層22bで発生した熱の全てがベルト20を加熱するのに用いられるので、ウォームアップ時間の更なる短化を図ることができる。尚、本実施例の定着装置9ではウォームアプ時間は4秒程度である。
【0101】
上記のように、ウォームアップ時に加圧ローラ22と離間してベルト20を加熱する構成である。この構成によって、ベルト20の発熱層20bで発生した熱の全てをベルト20の加熱に利用することができるので、ウォームアップ時間の最短化を図ることができる。また、記録材Pがニップ部Nに到達する直前のタイミングにおいて、ベルト20を加圧ローラ22に加圧する構成である。この構成によって、ベルト20と加圧ローラ22が加圧する際に発生するベルト20の温度低下を最小限に抑えることができる。
【0102】
[第3の実施例]
図14は本実施例の定着装置9の概略構成図である。この定着装置9はベルト20を複数の張架部材としてのバックアップ部材23、駆動ローラ51、テンションローラ52に対して懸回張設して配設してある。加圧ローラ22はベルト20を挟んでバックアップ部材23に対して圧接してベルト20との間に定着ニップ部Nを形成する。ベルト20は駆動ローラ51が駆動されることで回転駆動される。加圧ローラ22はベルト20の回転に従動して回転する。また、加圧ローラ22がシフト装置53によりベルト20に対して加圧状態と離間状態とに状態転換される。
【0103】
ベルト20の発熱層22bに対する給電回路構成、定着装置9の動作フローは第1の実施例、第2の実施例の場合と同様であるので再度の説明は省略する。
【0104】
[その他の事項]
1)ベルト20とニップ部Nを形成する加圧部材22はローラ体に限られない。回転可能なエンドレスベルト体にすることもできる。また、表面(ベルト20や記録材Pとの当接面)の摩擦係数が小さい非回転部材(加圧パッドなど)の形態にすることもできる。加圧部材22も加熱する構成にすることもできる。
【0105】
2)装置に対する記録材Pの通紙(搬送)は中央基準に限られない。記録材の幅方向の一方側の側部を基準として通紙(搬送)する片側基準の装置構成とすることもできる。
【0106】
3)本発明の画像加熱装置は、実施例のような、記録材に形成された未定着画像を固着画像として加熱定着する定着装置としての使用に限られない。記録材に一旦定着された或いは仮定着された画像(定着済み画像又は半定着画像)を加熱加圧して光沢度を向上させるなどの画像の表面性状を調整する加熱処理装置としても有効である。
【0107】
4)画像形成装置の画像形成部は電子写真方式に限られない。静電記録方式や磁気記録方式の画像形成部であってもよい。また、転写方式に限られず、記録材に対して直接方式で未定着画像を形成する構成のものであってもよい。
【符号の説明】
【0108】
9・・画像加熱装置(定着装置)、20・・無端状のベルト、20b・・抵抗発熱層、22・・加圧部材、P・・記録材、t・・画像、40・・保安素子、Wmax・・最大幅サイズの記録材の通紙領域幅、W20b・・抵抗発熱層の領域幅、TH・・温度検知手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発熱する抵抗発熱層を備える回転可能な無端状のベルトと前記ベルトとニップ部を形成する加圧部材とを有し、画像を担持した記録材を前記ニップ部で挟持搬送して前記抵抗発熱層に対する通電により加熱された前記ベルトの熱で加熱する画像加熱装置であって、
前記ベルトが所定の制限温度に達すると前記抵抗発熱層に対する給電回路を遮断するための保安素子を、画像加熱装置に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域幅の外側で、且つ、前記抵抗発熱層の領域幅の内側の位置において前記ベルトと接触して備えることを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
画像加熱装置に通紙使用可能な最小幅サイズの記録材の通紙領域幅の領域内に対応する位置において、前記ベルトの温度を検知するための温度検知手段を前記ベルトに非接触で備えることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項3】
前記抵抗発熱層に通電して画像加熱温度に達するまで前記ベルトを加熱するためのウォームアップ動作時は、前記ベルトの回転駆動を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の画像加熱装置。
【請求項4】
前記ベルトと前記加圧部材とを離間および加圧するための加圧離間機構を有し、前記ウォームアップ動作時は前記ベルトと前記加圧部材とを離間させた状態にして前記ベルトを加熱することを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
【請求項5】
前記記録材が前記ニップ部に到達する直前のタイミングにおいて、前記加圧離間機構が前記ベルトと前記加圧部材とを加圧することを特徴とする請求項4に記載の画像加熱装置。
【請求項6】
前記保安素子が前記ベルトを前記加圧部材に対して押圧するための押圧部材に備えられることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の画像加熱装置。
【請求項7】
前記ベルトは、少なくとも、内側から外側に順に、基層と、抵抗発熱層と、離型層と、の積層構造体であり、電源供給部と前記抵抗発熱層とを電気的に接続するための給電部を有することを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の画像加熱装置。
【請求項8】
記録材に未定着の画像を形成する画像形成部と、前記未定着の画像を記録材に定着させる定着装置と、を備えた画像形成装置において、前記定着装置は、請求項1ないし7の何れか1項に記載された画像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
通電により発熱する抵抗発熱層を備える回転可能な無端状のベルトと前記ベルトとニップ部を形成する加圧部材とを有し、画像を担持した記録材を前記ニップ部で挟持搬送して前記抵抗発熱層に対する通電により加熱された前記ベルトの熱で加熱する画像加熱装置であって、
前記ベルトが所定の制限温度に達すると前記抵抗発熱層に対する給電回路を遮断するための保安素子を、画像加熱装置に通紙使用可能な最大幅サイズの記録材の通紙領域幅の外側で、且つ、前記抵抗発熱層の領域幅の内側の位置において前記ベルトと接触して備えることを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
画像加熱装置に通紙使用可能な最小幅サイズの記録材の通紙領域幅の領域内に対応する位置において、前記ベルトの温度を検知するための温度検知手段を前記ベルトに非接触で備えることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項3】
前記抵抗発熱層に通電して画像加熱温度に達するまで前記ベルトを加熱するためのウォームアップ動作時は、前記ベルトの回転駆動を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の画像加熱装置。
【請求項4】
前記ベルトと前記加圧部材とを離間および加圧するための加圧離間機構を有し、前記ウォームアップ動作時は前記ベルトと前記加圧部材とを離間させた状態にして前記ベルトを加熱することを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
【請求項5】
前記記録材が前記ニップ部に到達する直前のタイミングにおいて、前記加圧離間機構が前記ベルトと前記加圧部材とを加圧することを特徴とする請求項4に記載の画像加熱装置。
【請求項6】
前記保安素子が前記ベルトを前記加圧部材に対して押圧するための押圧部材に備えられることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の画像加熱装置。
【請求項7】
前記ベルトは、少なくとも、内側から外側に順に、基層と、抵抗発熱層と、離型層と、の積層構造体であり、電源供給部と前記抵抗発熱層とを電気的に接続するための給電部を有することを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の画像加熱装置。
【請求項8】
記録材に未定着の画像を形成する画像形成部と、前記未定着の画像を記録材に定着させる定着装置と、を備えた画像形成装置において、前記定着装置は、請求項1ないし7の何れか1項に記載された画像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−88734(P2013−88734A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231335(P2011−231335)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]