説明

画像化ジオメトリのパラメタの自動決定

装置1は、対象物の適切なソース画像データを受信する入力2を有する。装置1の中核は、入力2から画像データをロードし、対象物の部分の空間的な位置及び方向を決定する制御ユニット4により形成される。制御ユニットは、その位置及び方向に基づき、及び画像化ジオメトリのデフォルトパラメタを用いて画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタ4aを自動的に計算する。デフォルトパラメタは、対象物の部分に基づき制御ユニット4により選択される。装置1は、更に、画像化プロトコルを表すことができる画像化ジオメトリのデフォルトパラメタの少なくとも1つのセットを格納する格納ユニット8を有する。ワーキングメモリ6は通常、処理される画像データ(の一部)と、その画像データのそれらの部分を処理するのに使用される適切な画像処理手段への命令とを保持する。本発明による装置1は、装置1により与えられる画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを用いると想定される画像化装置の座標系に対する、対象物の部分の空間的な位置及び方向を決定する認識モジュール7を有する。データ取得モジュールの座標系に対する対象物の部分の位置及び方向7aが設定されると、制御ユニットは、画像化されると想定される対象物の部分の空間的な位置及び方向7aと、画像化ジオメトリ3のデフォルトパラメタとの間の適切なマッチングに基づき、画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタ4を計算する。好ましくは、装置1は、更に、ユーザによる画像化ジオメトリの自動的に設定されたアクチュアルパラメタの調整を可能にするよう適切に配置されるユーザインタフェース5を有する。好ましくは、出力9は、画像化ジオメトリの自動計画の結果を有し、それは、データ取得モジュールに対する適切な制御信号に直接変換されることができる、及び/又はアーカイブ目的で適切な形式で利用可能とされることができる。本発明は、更にスキャンパラメタを自動的に生成する画像化システム、方法及びコンピュータプログラムにも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の部分の画像データを取得するデータ取得モジュールにより使用されることが想定される画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタ(actual parameter)を決定する装置に関する。
【0002】
本発明は更に、画像化システムに関する。
【0003】
本発明はもっと更に、対象物の部分のスキャンデータを取得するデータ取得モジュールに対するスキャンジオメトリを自動的に生成する方法にも関する。
【0004】
本発明はもっと更に、コンピュータプログラムにも関する。
【背景技術】
【0005】
冒頭部に述べられるような診断装置の実施形態が、米国特許第6,492,812号から知られる。知られた診断装置は、事前格納されたジオメトリ情報に基づき、特に同じ対象物の以前のスキャンからスキャンジオメトリを規定し、続いて、その対象物の次回のスキャンに対するスキャンジオメトリのパラメタを規定するためジオメトリ情報を処理する。この目的のため、知られた診断装置は、ユーザが事前格納されたジオメトリ情報と対話することを可能にするユーザインタフェースを有する。ジオメトリ情報は、患者の左手方向、患者の前腹後腹方向及び患者の上部下部方向に対する画像化ボリュームにおける、対象物の部分の平面断面の位置を規定するジオメトリ座標を有する。その後ユーザは、スキャニング範囲の境界に対応するリアルタイムスキャンデータを取得することにより、スキャンジオメトリのパラメタを評価する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
知られた診断装置の不都合点は、新たなスキャンのためのスキャンジオメトリのパラメタを規定するため、ユーザ対話が必要とされる点である。スキャンジオメトリを計画する間のユーザ依存が、目標ボリュームに対するスライスの位置の不一致をもたらし、それは、受け入れられない場合があることが、一般的に、特に医療画像化の分野において知られている。
【0007】
本発明の目的は、スキャンジオメトリのパラメタの決定が自動化されるような診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明による診断装置は、データ取得モジュールの座標系を参照して画像化ジオメトリのデフォルトパラメタを選択する制御ユニットと、その座標系に対する対象物の部分の空間的な位置及び方向を決定する認識モジュールとを有し、制御ユニットが、更に、画像化ジオメトリのデフォルトパラメタと対象物の部分の空間的な位置及び方向とに基づき、画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを自動的に計算する。
【0009】
本発明の技術的手段は、画像化ジオメトリと画像化されることになる対象物の部分の位置及び方向とが、データ取得ユニットの座標系において規定され、スキャン計画を自動化することが可能であるという洞察に基づかれる。その自動化は、デフォルトの目標に対して規定される画像化ジオメトリのデフォルトパラメタを、対象物の部分の設定された位置及び方向により規定される実際の目標のために適切に変換することを有する。
【0010】
好ましくは、画像化ジオメトリのデフォルトパラメタは、仮想的な対象物、特に適切なソース画像に表される患者の生体構造にマップされるスライスのセットを表す。好ましくは、ソース画像に対して、調査スキャン(survey scan)が使用される。画像化ジオメトリのパラメタは、例えばデータ取得モジュールの座標系に対するスキャン平面座標及び角の記述を有する。データ取得モジュールの様々な実施形態が考えられ、磁気共鳴ユニット、コンピュータ断層撮影ユニット、ガンマカメラ、超音波ユニットなどを含むが、これらに限定されない。好ましくは、データ取得ユニットのアイソセンタが座標系内の基準点として使用される。対象物の部分がソース画像において認識されると、データ取得ユニットの座標系に対するその位置及び方向が設定され、本発明による装置の制御ユニットは、画像化ジオメトリのデフォルトパラメタと考慮下にある対象物の部分の座標とから画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを計算する。
【0011】
好ましくは、認識ユニットは、画像化されると考えられる部分をソース画像において自動的に認識する。認識ユニットは、例えば、人間の器官に対応する特定の形状を分割することができる。それ自体知られている様々な画像分割技術が、この目的のために使用されることができる。代替的に、認識ユニットは、例えば選択されたピクセル値に基づき、部分を描写することができる。この場合、肺、骨又はピクセル値における明らかな変化に対応する領域が容易に認識されることができる。部分が認識されると、データ取得ユニットの座標系に対するその位置及び方向は容易に設定されることができる。想定されるデータ取得モジュールを用いてソース画像が得られることを仮定すれば、データ取得モジュールの座標系に関する情報は、ソース画像から得られることができる。代替的に、データ取得モジュールの座標系に関する情報は、例えば本発明による装置の適切な格納ユニットに格納された適切なファイルから得られることができる。
【0012】
本発明による装置の実施形態において、認識モジュールは、対象物の対称性に基づき、オブジェクト関連座標系(object-related coordinate system)を更に規定する。対象物の部分の空間的な位置及び方向は、オブジェクト関連座標系の位置及び方向から決定される。
【0013】
多くの場合において、適切なパラメタを生み出す画像化ジオメトリの計画は境界ボックスを用いて行われ、それにより、対象物の注目領域及びその方向が、境界ボックスの位置及び方向から推定されるという洞察にこの実施形態の技術的手段は基づいている。境界ボックスを手動で規定することはありふれた手法(common practice)であり、それは、手動操作がエラーをもたらす傾向があり時間を消費する点で不都合がある。境界ボックスを自動的に位置決めするのに、考慮下にある対象物、特に患者の固有の対称性を用いることが有利であると考えられる。
【0014】
この目的のため、本発明による装置の認識ユニットは、例えば、対称軸及び/又は対称平面に表される対象物の対称性を用いる。この特徴は、肺、腎臓、目、脳などといった対になった器官に関して観測可能なサジタル(saggital)軸に対して、特に人間の生体構造が対称的であるという観測に基づかれる。好ましくは、対称軸及び/又は対称平面を構築するために、認識ユニットは、患者のもとの画像に関して鏡像化された画像を構築するステップと、対称軸及び/又は対称平面の位置の設定を結果として生じるこれらの画像間の相互相関を計算するステップとを実行する。対称軸及び/又は対称平面の交差点は、オブジェクト関連座標系の原点を生み出す。結果として生じる境界ボックスの位置及び方向を決定する基準点は自動的に位置決めされ、例えば、対象物の表面と対称軸/対称平面との個別の交差に基づき、対象物の表面上に位置決めされる。
【0015】
本発明による装置の更なる追加的な実施形態において、その装置は、ユーザによる画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタの調整を可能にするユーザインタフェースを更に有する。
【0016】
画像化ジオメトリの自動的に生成されたパラメタの設定をユーザが修正することを可能にすることは有利であることがわかる。医療用途に対して、これは特に有利である。なぜなら、デフォルトパラメタが設定されるインスタンスと、画像データの新たな取得が必要とされる場合があるインスタンスとの間で、対象物の幾つかの内部的な変化が生じることができるからである。異なる対象物、特に患者に対する画像化ジオメトリの自動計画にデフォルトパラメタが使用される場合、例えば危険な領域(critical area)を妨害しないようにするため、スキャン計画が修正されなければならない可能性がある。ユーザが画像化ジオメトリのパラメタを調整した場合、好ましくは、調整されたパラメタが格納され、続いてデータ取得モジュールに対して利用可能にされる。
【0017】
本発明による診断装置の追加的な実施形態において、そこでは、複数の調整されたアクチュアルパラメタが格納され、制御ユニットは、更に、複数の調整されたアクチュアルパラメタに基づきスキャンジオメトリのアクチュアルパラメタを適合させる。
【0018】
この技術的な手段によれば、制御ユニットは、新たなスキャンの計画に対して調整されたパラメタにより、画像化ジオメトリの自動的に決定されたアクチュアルパラメタを却下する。この技術的な手段は、自動的な計画手順の品質制御を確実にし、必要であれば、自動的に規定された指示を相応に修正するため、本発明による装置がユーザの専門知識を探索することを可能にする。
【0019】
本発明による診断装置の更なる追加的な実施形態においては、認識モジュールが、更に、対象物の部分の形状パラメタを生成し、制御ユニットは、更に、その形状パラメタに基づき画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを修正する。
【0020】
対象物の頻繁に使用される部分の異なる形状、特に、異なる人間における同様の器官の異なる形状を処理するプロセスを自動化することが特に有利であることが分かる。この目的のため、好ましくは、認識ユニットが、大きさ(左-右、頭-尾、前部-後部)及び/又は形状(丸形、正方形、長方形)を示すパラメタを計算する。これらの形状パラメタは、心臓、脳、肺などの、異なった大きさ及び形状の同様の器官の間を区別するのに使用されることができる。この技術的手段によれば、自動的に生成されるアクチュアルパラメタは、空間における部分の位置及び方向を考慮するだけでなく、形状に関する適切な情報をも使用する。そのことが、画像化ジオメトリの自動計画の精度を改善する。
【0021】
新たな形状に対する本発明による診断装置の更なる追加的な実施形態において、制御ユニットは更に、新たな形状に対する個別の形状の適合度に基づき、異なる形状を表す異なる格納済みアクチュアルパラメタに重み係数を割り当て、画像化ジオメトリの重み付き格納済みアクチュアルパラメタを複数用いることにより、新たな形状に対するアクチュアルパラメタを計算する。
【0022】
装置の格納ユニットが、例えば、異なる形状の器官ではなく、同じタイプの器官に対して割り当てられる画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを複数含むことが可能である。この場合、制御ユニットは、これらのアクチュアルパラメタを重み付けする。それにより、最も同様な形状に対応するパラメタが、考慮下にある器官の形状とはかなり異なる形状のものより高く重み付けされる。この技術的な手段によれば、装置は、複数の事前格納されたパラメタの知識を用いることになり、画像化ジオメトリの自動計画の信頼性を更に改善する。
【0023】
本発明の追加的な目的は、画像化ジオメトリのパラメタの自動計画に対する方法を提供することである。
【0024】
本発明による方法は、
−データ取得モジュールの座標系を参照して、画像化ジオメトリのデフォルトパラメタを選択するステップと、
−その座標系に対する対象物の部分の空間的な位置及び方向を決定するステップと、
−画像化ジオメトリのデフォルトパラメタと対象物の部分の空間的な位置及び方向とに基づき、画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを計算するステップとを有する。
【0025】
本発明の方法によれば、例えばスキャン平面の自動的な規定が可能とされ、従って人的な要因による計画エラー及び不一致を減らす。その方法は、バックグラウンド又はバッチジョブで実現されることができ、画像化ジオメトリを計画するユーザにより時間が失われることがないので、ワークフローをかなり改善することも本発明による方法の追加的な利点である。好ましくは、データ取得ステップの実現に先立ち、ユーザが、自動的に設定された画像化ジオメトリのそれぞれについての自動的に生成されたパラメタを評価する。本発明による方法の更なる有利な実施形態が、請求項8から11に記載される。
【0026】
本発明によるコンピュータプログラムは、以上に記載された方法のステップをプロセッサに実行させる適切な命令を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明のこれら及び他の側面は、図面を参照して更に詳細に説明されることになる。
【0028】
図1は、本発明による装置の実施形態の概略図を示す。装置1は、対象物の適切なソース画像データ、特に患者の調査スキャンをいずれかの適切な形式で受信する入力2を有する。例えば、装置1は、ソース画像データの取得に関連付けられることができる。この場合、画像データは、アナログ形式で取得され、適切なA/D変換器を用いて追加的な処理のためデジタル形式に変換される。画像データは、例えばデジタル形式での直接的な取得を通して又はリモートのコンピュータ/医療装置により取得された後コンピュータネットワークを介して、デジタル形式によっても受信されることができる。装置1の中核は、入力2から画像データをロードし、対象物の部分の空間的な位置及び方向を決定する制御ユニット4により形成される。制御ユニットは、前述の位置及び空間に基づき及び画像化ジオメトリのデフォルトパラメタを用いて画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタ4aを自動的に計算する。デフォルトパラメタは、対象物の部分に基づき制御ユニット4により選択される。この目的のため、装置1は、例えば、特定の人体器官又は患者における特定の注目領域の画像化プロトコルを表すことができる画像化ジオメトリのデフォルトパラメタのセットを少なくとも1つ格納する格納ユニット8を有する。画像化ジオメトリのデフォルトパラメタのセットは、好ましくは以前に規定されており、制御ユニット4により選択可能である。画像化ジオメトリのデフォルトパラメタは、好ましくはデータベースとして構造化され、画像化プロトコルのタイプのようなパラメタに基づいて構造化される。格納ユニットの適切な例は、バックグラウンドストレージであり、通常ハードディスクに基づかれる。装置1は、更に、ワーキングメモリ6を有し、それは通常RAMに基づかれる。格納ユニット8は、処理されていないとき画像データ(又はその一部)を格納するのに、並びに画像データに関する及び画像化ジオメトリのデフォルトパラメタに関する操作を格納するのに使用されることができる。ワーキングメモリ6は、通常、処理される画像データ(の一部)と画像データのそれらの部分を処理するのに使用される適切な画像処理手段に対する命令とを保持する。本発明による装置1は、装置1により与えられる画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを使用することが想定される画像化装置の座標系に対する、その対象物の部分の空間的な位置及び方向を決定する認識モジュール7を有する。複数の異なる画像化装置を表す複数の座標系が適切に参照されることが可能である。好ましくは、斯かる異なる座標系が格納ユニット8に格納される。例えば画像のピクセル値に基づきまず注目領域を描写し、次に、格納ユニット8から選択されるか又はソース画像から直接に得られる適切なデータ取得モジュールの座標系に対する対象物の部分の位置及び方向を計算する、適切な画像分割アルゴリズムを、認識ユニット7は対象物の部分の空間的な位置及び方向7aを決定するために利用することができる。データ取得モジュールの座標系に対する対象物の部分の位置及び方向7aが設定されると、制御ユニットは、画像化されることが想定される対象物の部分の空間的な位置及び方向7aと、画像化ジオメトリ3のデフォルトパラメタとの間の適切なマッチングに基づき、画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタ4を計算する。マッチングステップは通常、その空間的な位置及び方向が対象物の部分の位置及び方向と適合するよう、デフォルト画像化パラメタにより表されるデフォルト画像化平面の適切な回転及び/又は変位を計算するステップを有する。
【0029】
好ましくは、装置1は、画像化ジオメトリの自動的に設定されたアクチュアルパラメタの調整をユーザが行うことを可能にする、適切に配置されるユーザインタフェース5を更に有する。好ましくは、斯かる調整は、結果として生じる画像化平面の適切な画像表現を用いて実行される。それにより、ユーザは、対象物の部分に関して結果として生じる画像化平面を変位させるための適切なポインティングデバイスを操作する。制御ユニット4は、画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタをそれに従って更新する。
【0030】
好ましくは、出力9は、画像化ジオメトリの自動計画の結果を有する。その結果は、データ取得モジュールに対する適切な制御信号へ直接変換されることができる及び/又はアーカイブ目的のため適切な形式で利用可能とされることができる。好ましくは、自動的に決定される画像化ジオメトリの幾何学的な表現が適切なファイルに格納される。
【0031】
図2は、本発明による画像化システムの実施形態を概略的な態様で示す。本発明による画像化システム10は、データ取得モジュールにより使用されることが想定される画像化ジオメトリの自動的な決定のための装置1を有する。好ましくは、図1に関して説明された装置1の処理は、適切なコンピュータプログラム11を用いて制御される。好ましくは、装置1の出力は、取得モジュール21に適用可能な適切な制御信号Sを有する。本発明による画像化システム10は更に、データ取得ユニット21を有する。本例においてはX線デバイスが示されるが、CT、磁気共鳴装置又は超音波デバイスといった他のデータ取得モダリティも考えられる。X線装置は、例えば患者といった対象物の画像データを取得するよう適切な位置に配置され、装置1により規定され、及び制御信号Sにより与えられる画像化ジオメトリに基づき、装置21の取得ボリュームVにおいて照射される。データ取得の目的のため、X線のビーム(図示省略)が、X線源23から放出される。送信された放射線(図示省略)が適切な検出器25によりレジストされる(registered:位置合わせされる)。傾斜(oblique)画像化を可能にするため、X線源23とX線検出器25とは、スタンド27に回動可能に接続されるガントリ24に取り付けられる。従って、X線検出器25の出力における信号(図示省略)は、取得された画像データ15を表す。
【0032】
好ましくは装置1からの画像データ15は、適切なビューワ31の追加的な入力35に対して利用可能にされる。好ましくは、追加的な入力35は、対象物の部分を表す画像33が視覚化されるよう、ユーザインタフェース34を制御するプログラム36を用いて適切なインタフェースを処理する適切なプロセッサを有する。画像33は、単一の2次元画像、連続する2次元画像又は3次元画像として視覚化されることができる。好ましくは、ユーザにとって便利であるように、ビューワ31は、高解像度ディスプレイ32を具備し、ユーザインタフェースは、例えばマウス、キーボード又は他のいずれかの適切なユーザ入力デバイスといった適切な入力デバイス37を用いて操作可能である。
【0033】
図3aは、認識ユニットの処理の実施形態を概略的な態様で表す。認識ユニットの処理の実施形態40は、画像化ステップを実行することが予想されるデータ取得モジュールの座標系に対する、対象物の部分の位置及び方向を自動的に決定する。この目的のため、ステップ41では認識ユニットが、対象物特に患者のソース画像を選択する。その画像は、続いて画像化されることになる注目領域を表すものである。ステップ42において、認識ユニットは、ステップ43でソース画像41と合成するのに使用される鏡像化された画像を計算する。続くステップ44、45、46、47、48の間、ソース画像とその鏡像画像とが互いに対して、引かれ、シフトされ、回転される。それらは、選択された方向における対称的な平面(plane of symmetry)を表す画像49を結果として生み出すまで適切な回数繰り返される。対称的な平面に到達するのに必要な画像操作は、記録される(logged)。なぜなら、それらはデータ取得モジュールの座標系に対する注目領域の位置及び方向を表すからである。好ましくは、ソース画像は、続いて起こる画像化に対して予想されるのと同じデータ取得モジュールで取得される。この場合、ソース画像41の座標は、データ取得モジュールの座標系を表す。また、ソース画像41のデータ取得モジュールの座標系の変換が、予想されるデータ取得モジュールの座標系に到達するのに必要である。この場合、予想されるデータ取得モジュールの座標系は、ルックアップテーブルに格納され、本発明による装置の制御ユニットによりアクセス可能である。この例では、例示を介してサジタル(saggital)表示が選択される。一般に、注目領域に対して対応する対称的な平面を構築するのに、サジタル(saggital)、コロナル(colonal)及び3次元ソース画像が使用されることができる。画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを計算するため、結果として生じる画像49における注目領域の位置及び方向が、本発明による装置の制御ユニットに対して利用可能とされる。この特定の実施形態は人間の脳を示すが、他の器官及び/又は人体の一部が同様に選択されることができる。
【0034】
図3bは、認識ユニットの処理の追加的な実施形態を概略的な態様で表す。この実施形態において、オブジェクト関連座標系を用いて、対象物の部分の位置及び方向を計算する手順50が示される。オブジェクト指向の座標系を構築するため、ステップ51において、認識モジュールは、後続する画像化のために想定される注目領域を表す画像を適切なデータ取得モジュールを用いて選択する。ステップ52において、その鏡像化された画像が構築され、こうした画像は、続いて画像の対称性に関する特徴を評価する相互相関処理に支配される。対称性が設定されると、ステップ53において、対応する対称軸及び/又は対称平面53a、53bが特定される。こうした対称軸及び/又は対称平面に基づき、ステップ54で、境界ボックス55、56、57の位置及び方向が設定される。すると、境界ボックスの位置及び方向は、データ取得モジュールの座標系に対して参照され、その後、画像化ジオメトリに対するアクチュアルパラメタが、デフォルトパラメタ並びに境界ボックスの位置及び方向から設定される。この特定の実施形態は、例として人間の心臓を用いて説明されるが、他の器官及び/又は人体の一部が本発明を実践するのに同様に使用されることができる。
【0035】
境界ボックス及び基準点の規定は、画像化目的のために選択されなければならない注目領域、特に人間の生体構造に依存する点に留意されたい。一般に、対称軸、基準点、基準線又は基準平面から始めることは、形状及びその大きさ、並びに考慮下にある生体構造のピクセル強度分布又はピクセル傾斜などの外観といった、ジオメトリに関する先行知識を適用することにより検出される。例えば、前述の例において、基準点の規定は、心臓の画像化に対して説明される。ダイアフラムのドーム形状は、心臓スキャンに対するよい基準点である。従って、胸部の対称軸から始めると、肺の境界が検出される。例えば、ピクセル値における傾斜の適切な分析を用いて、境界の検索が実現されることができる。すると、適切な関数を適合させることにより、例えば、肺の先端を表す放物線、肺の境界の可能性があるものが規定される。この境界は、設定された対称軸に対して鏡像化される、その相手を調べることにより有効性が確認される。更に、境界ボックスを規定することにより、有望な境界候補が予想されるような範囲が除外されることができる。そこで、画像の空間分解能と、対称軸に対する従来の肺の大きさ及び位置に関する先行知識とに基づき、対称軸の周りの領域が規定される。一旦肺の境界が検出され、適切な形式、特に放物線形式で記述されると、肺の葉(lobe)の低部の放物線形状の最小として、そのドーム形状が容易に理解されることができる。この基準点は、心臓スキャンボリュームの自動規定を可能にする1つのパラメタである。
【0036】
図4は、形状パラメタを規定する認識ユニットの処理の更なる追加的な実施形態を概略的な態様で表す。異なる器官といった注目領域の異なるトポロジ間を区別するだけでなく、トポロジに類するものに対する異なる形状間を区別する、例えば、脳、心臓、肺、目などの異なる大きさの器官の間を区別するにも特に有利であることがわかる。この目的のため、本発明による装置の認識モジュールは、対象物の部分の形状パラメタを生成する。それにより、こうした形状パラメタに基づき、装置の制御ユニットは更に、アクチュアルパラメタを修正する。形状パラメタを設定する手順60は、図4に概略的に示される。ここでは、異なる対象61、62、63、64からの異なる形状の脳61a、62a、63a、64aが示される。この説明から分かるように、同様なそして比較可能な画像データを自動的に生み出すために、異なる形状を備える脳に対して、画像化平面の方向が異なって選択されなければならない。認識ユニットは、画像化ジオメトリのデフォルトパラメタを選択する。それは、器官のタイプといった適切な基準に基づいて実行される。異なった形状の脳に対しては、画像化ジオメトリを幾分調整する必要があることが図4からわかる。そこで、認識モジュールは、すべての脳61a、62、63a、64aに対する形状パラメタを規定する。好ましくは、形状パラメタは、注目領域を表す幾何学的な形状を表す。例えば、形状パラメタは、注目領域の断面を幾何学的に記述する、又はその3次元ボリュームを完全に表すことができる。
【0037】
好ましくは、画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタと共に、形状パラメタが、本発明による装置に格納される。これは、新たな形状の画像化ジオメトリを計画するのに特に有益である。この場合、認識ユニットは、新たな形状に対する形状パラメタを計算し、そして、例えば、保存された形状と新たな形状との間の空間適合度に基づき、既に保存された形状パラメタに対する重み係数を計算する。この後、認識ユニットは、例えば、他の形状に対する保存されたアクチュアルパラメタの重み付き組み合わせに基づき、新たな形状に対する画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを計算することができる。この手順は、図5を参照して例示を介して説明されることになる。
【0038】
図5は、本発明による方法のワークフローの実施形態を概略的な態様で表す。本発明の方法70によれば、ステップ71aにおいて、画像化されることになる対象物の部分の位置及び方向が設定される。この目的のため、ステップ70aにおいて、前述の対象物の部分を有する画像データが適切な個別のデータ取得手段を用いて取得又は選択される。ステップ71aは、複数のサブステップを有することができる。例えば、サブステップ71において、画像データは、対象物72の対称的な平面に対応する画像を構築するのに使用されることができる。その後、ステップ73において、例えば適切な器官認識アルゴリズムを用いて、その対象物の部分が自動的に認識される。対象物の部分に対してどのタイプが割り当てられることができるかが設定されると、その位置及び方向がステップ75で設定される。更に、ステップ74で、対象物の部分の寸法及び適切な形状パラメタが設定される。ステップ77で、画像化ジオメトリのデフォルトパラメタが選択され、ステップ78で、画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタが、デフォルトパラメタの座標系と対象物の部分の座標系との間の適切なマッチングに基づき設定される。好ましくは、ステップ79においてユーザインタフェースが可能とされ、それにより、実際の画像化ジオメトリが調整されることができる。画像化ジオメトリの最終的なパラメタは、ステップ81で出力及び/又は格納される。ユーザの調整を計画アルゴリズムにフィードバックすることが特に有利であることがわかる。これは、ステップ80により可能とされることができ、それにより、アクチュアルパラメタに対するユーザの調整が格納される。好ましくは、格納されたデフォルトパラメタ77aを適合させるのにユーザの調整が使用され、それは、ステップ77で実行される。適切な適合は、例えば、例えば5といったユーザの調整の数及び/又は同様な形状パラメタを考慮に入れることができる。それらは、ステップ76で選択可能である。こうして、画像化ジオメトリの自動決定の手順は、自己学習的であり、画像化ジオメトリ計画のための訓練されたシステムへと進化するものである。それにより、ユーザの専門知識がその利点として使用される。
【0039】
例示を介して、画像化ジオメトリの自動決定の手順が、幾つかの任意の値に基づき説明されることになる。以下は仮定である:
1.認識アルゴリズムは、注目領域である人間の脳に対して、以下のパラメタを設定する:
オフセンタ AP、FH、LR = 20、-5、-7
角 AP、FH、LR = 3°、6°、-2°
部分のタイプ = A(脳)、C(形状パラメタ)
2.画像化ジオメトリのデフォルトパラメタ:
オフセンタ AP、FH、LR = 4、0、0
角 AP、FH、LR = +15°、0°、0°
3.部分のタイプAに対する最近の5つのユーザ調整:
オフセンタ AP、FH、LR = 1、0、0 タイプ = A、C:重み係数 = 1.0;
角 AP、FH、LR = +5°、0°、0°
オフセンタ AP、FH、LR = 2、0、0 タイプ = A、C:重み係数 = 1.0;
角 AP、FH、LR = +5°、0°、0°
オフセンタ AP、FH、LR = 2、0、0 タイプ = A、B:重み係数 = 0.75
角 AP、FH、LR = +2°、0°、0°
オフセンタ AP、FH、LR = 3、0、0 タイプ = A、D:重み係数 = 0.75
角 AP、FH、LR = +3°、0°、0°
オフセンタ AP、FH、LR = 3、0、0 タイプ = A、E:重み係数 = 0.5
角 AP、FH、LR = +4°、0°、0°
従って平均調整は:
オフセンタ AP、FH、LR = 2.1、0、0
角 AP、FH、LR = +3.9°、0°、0°
となる。
4.すると画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタは:
オフセンタ AP = 20 + 4 + 2.1 = 26.1
FH = -5 + 0 + 0 = -5
LR = -7 + 0 + 0 = -7
角 AP = 3°+ 15°+ 3.9°= 21.9°
FH = 6°+ 0°+ 0°= 6°
LR = -2°+ 0°+ 0°= -2°
と計算される。
【0040】
ユーザが調整するとき、それらは部分タイプA、Cに対しては適切なデータベースに格納され、部分のタイプA、特に部分のタイプA、Cに対する画像化ジオメトリの追加的な自動計画に利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による装置の実施形態の概略表示を示す図である。
【図2】本発明による画像化システムの実施形態を概略的な態様で示す図である。
【図3a】認識ユニットの処理の実施形態を概略的な態様で示す図である。
【図3b】認識ユニットの処理の追加的な実施形態を概略的な態様で示す図である。
【図4】形状パラメタを規定する認識ユニットの処理の更なる追加的な実施形態を概略的な態様で示す図である。
【図5】本発明による方法のワークフローの実施形態を概略的な態様で示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の部分の画像データを取得するデータ取得モジュールにより使用されることが想定される画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを決定する装置であって、
前記データ取得モジュールの座標系を参照して前記画像化ジオメトリのデフォルトパラメタを選択する制御ユニットと、
前記座標系に対する前記対象物の前記部分の空間的な位置及び方向を決定する認識モジュールとを有し、
前記制御ユニットが、更に、前記画像化ジオメトリの前記デフォルトパラメタと前記対象物の前記部分の前記空間的な位置及び方向とに基づき、前記画像化ジオメトリの前記アクチュアルパラメタを自動的に計算する、装置。
【請求項2】
前記認識モジュールが、更に、前記対象物の対称性に基づき、オブジェクト関連座標系を規定し、前記対象物の前記部分の前記空間的な位置及び方向が、前記オブジェクト関連座標系の位置及び方向から決定される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、ユーザによる前記画像化ジオメトリの前記アクチュアルパラメタの調整を可能にするユーザインタフェースを更に有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
複数の前記調整されたアクチュアルパラメタが、格納ユニットに格納され、前記制御ユニットは、更に、前記複数の前記調整されたアクチュアルパラメタに基づき、前記デフォルトパラメタを適合させる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記認識モジュールが、更に、前記対象物の前記部分の形状パラメタを生成し、前記制御ユニットは、更に、前記形状パラメタに基づき、前記画像化ジオメトリの前記アクチュアルパラメタを修正する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
新たな形状に対して、前記制御ユニットが、更に、新たな形状に対するそれぞれの形状の適合度に基づき、異なる形状を表す異なる格納されたアクチュアルパラメタへ重み係数を割り当て、前記画像化ジオメトリの重み付きの格納されたアクチュアルパラメタを複数用いることにより、前記新たな形状に対する前記アクチュアルパラメタを計算する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置と、
前記画像化ジオメトリの前記アクチュアルパラメタに基づき、対象物の部分の画像データの取得を実行するデータ取得モジュールとを有する画像化システム。
【請求項8】
データ取得モジュールに対する画像化ジオメトリのアクチュアルパラメタを自動的に生成する方法において、
データ取得モジュールの座標系を参照して、画像化ジオメトリのデフォルトパラメタを選択するステップと、
前記座標系に対する前記対象物の前記部分の空間的な位置及び方向を決定するステップと、
前記画像化ジオメトリの前記デフォルトパラメタと前記対象物の前記部分の前記空間的な位置及び方向とに基づき、前記画像化ジオメトリの前記アクチュアルパラメタを計算するステップとを有する方法。
【請求項9】
オブジェクト関連座標系が、前記対象物の対称性に基づき構築され、前記対象物の前記部分の前記位置及び方向は、前記オブジェクト関連座標系の前記位置及び方向から決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ユーザによる前記画像化ジオメトリの前記アクチュアルパラメタの調整を可能にするステップと、
前記調整されたアクチュアルパラメタを格納するステップと、
前記デフォルトパラメタを適合するのに前記調整されたアクチュアルパラメタを複数使用するステップとを更に有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象物の前記部分の形状パラメタを生成するステップと、
前記形状パラメタに基づき、前記画像化ジオメトリの前記アクチュアルパラメタを修正するステップとを更に有する請求項8乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項に記載の方法のステップをプロセッサに実行させる命令を有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図3a】
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【公表番号】特表2008−508018(P2008−508018A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523200(P2007−523200)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052404
【国際公開番号】WO2006/013499
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】