説明

画像形成システム及び管理サーバ

【課題】画像形成装置の可用性を高め、管理者の作業負担軽減を図るため、各使用者のエリアへの入退の実情にあわせて、画像形成装置に認証情報を自動的に与える。
【解決手段】画像形成システムは、使用者識別用の識別情報取得部と、認証を行うための認証情報を記憶するための記憶部とを有し、識別情報と認証情報を比較して使用権限を有するか認証を行う画像形成装置と、入退管理装置と接続され、使用者の出入りの履歴である入退履歴情報と各使用者の認証情報を記憶するサーバ記憶部と、各使用者の入退履歴情報に基づき、画像形成装置を使用させて良い使用者を判断するサーバ制御部と、を有し、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を画像形成装置に送信する管理サーバと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証機能を有する複合機、複写機、プリンタ、FAX装置等の画像形成装置と、入退管理を行う管理サーバ等で構成される画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複合機、複写機、プリンタ、FAX装置等の画像形成装置は、部署やフロアごとに設置され、一般に、1台の画像形成装置を、複数人で用いる。しかし、画像形成装置を誰でも使用できる状態にしておけば、悪用される畏れがある。そこで、ICカードの読み取り等によって、個人の認証を行い、使用権限を有すると認証できた時だけ、各種操作の受け付けやジョブを実行する画像形成装置がある。例えば、設置の際、管理者は、使用を認める者のIDや氏名等の認証情報を画像形成装置に入力して登録する。
【0003】
しかし、画像形成装置を複数台管理する必要がある場合、管理者が画像形成装置ごとに認証情報の入力や変更の登録を行うとすれば、作業は大変煩わしい。そこで、管理者の作業負担の軽減等の観点から、特許文献1に記載されるように、認証情報をサーバに記憶させておき、認証がサーバで行われ、サーバでの認証の成否によって使用できるか否かが定まる画像形成装置が存在する。具体的に、特許文献1には、認証情報入力装置と、取得した認証情報に基づいて認証を行う認証サーバ装置と、画像形成装置とがネットワークを介して接続され、認証サーバ装置は、認証の成否に係る認証成否情報を、認証情報から特定されるユーザのユーザ情報と共に、1又は複数の画像形成装置に送信する送信手段を有し、画像形成装置は、認証サーバ装置から認証成否情報及びユーザ情報を受信する受信手段と、受信した認証成否情報及びユーザ情報に応じて、使用不可な状態から使用可能な状態に切り替える装置制御手段と、を有する認証システムが記載されている。この構成により、様々な異なる認証方式に対して容易に対応しようとする(特許文献1:請求項1、段落[0028]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−037349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ネットワークに複数の画像形成装置が接続される等、管理者は、複数の画像形成装置を管理することがある。認証情報を画像形成装置ごとに入力、登録すれば、時間、手間を要し、作業負担は大きいという問題がある。例えば、管理する画像形成装置の台数が多ければ多いほど、管理者の作業負担は大きくなる。又、管理する画像形成装置が1台でも、画像形成装置への登録数が、多ければ多いほど、管理者の作業負担は大きくなる。
【0006】
ここで、特許文献1の記載をみると、画像形成装置と認証サーバ装置と接続し、認証サーバ装置が認証処理を行うので、たとえ、複数の画像形成装置の管理を行う場合や、使用者が多くても一元的に管理を行いやすく、管理者の負担は軽減される。しかし、ネットワークのダウンや認証サーバ装置の故障によって、画像形成装置が全く使用できなくなるという問題がある。
【0007】
又、認証サーバ装置を用いる場合でも、どの画像形成装置に誰を使用させて良いか定め、登録する必要がある。この作業は、管理すべき画像形成装置が多いほど、及び、管理する使用者の数が多いほど、煩雑となる。又、管理者が各使用者について使用権限を与える画像形成装置を定めたとしても、実態に即していなければ、修正作業が必要となる。従って、画像形成装置の使用権限の付与の点においても、管理者の負担は軽減すべきであるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、各使用者のエリアへの入退の実情にあわせて、画像形成装置に認証情報を自動的に与え、保持させる。これにより、画像形成装置の可用性を高め、管理者の作業負担軽減を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題解決のため、請求項1に係る画像形成システムは、使用者を識別するための識別情報取得部と、画像形成装置を使用する権限があるか認証を行うための認証情報を記憶するための記憶部とを有し、識別情報と認証情報を比較して使用権限を有するか認証を行う画像形成装置と、ネットワークにより前記画像形成装置と通信可能に接続され、又、入退管理装置と接続され、管理する各エリアでの各使用者の出入りの履歴である入退履歴情報と各使用者の認証情報を記憶するサーバ記憶部と、各使用者の前記入退履歴情報に基づき、前記画像形成装置を使用させて良い使用者を定め、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を前記画像形成装置に送信させるサーバ制御部を有する管理サーバと、を含むこととした。
【0010】
この構成によれば、管理サーバは、各使用者の入退履歴情報に基づき、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を画像形成装置に送信するので、画像形成装置を使用させて良いか否かの判断が自動で行われ、かつ、自動で各使用者の認証情報が画像形成装置に登録される。これにより、管理者の作業負担を軽減することができる。又、認証情報は画像形成装置の記憶部に記憶されるので、認証サーバに認証を行わせる(サービスさせる)場合と異なり、ネットワーク等の通信系統のダウンが生じても、画像形成装置を使用することができる。
【0011】
又、請求項2に係る画像形成システムは、使用者を識別するための識別情報取得部と、画像形成装置を使用する権限があるか認証を行うための認証情報を記憶するための記憶部とを有し、識別情報と認証情報を比較して使用権限を有するか認証を行う画像形成装置と、ネットワークにより前記画像形成装置と通信可能に接続され、各使用者の認証情報を記憶するデータサーバと、ネットワークにより前記画像形成装置及び前記データサーバと通信可能に接続され、又、入退管理装置と接続され、管理する各エリアでの各使用者の出入りの履歴である入退履歴情報を記憶するサーバ記憶部と、各使用者の前記入退履歴情報に基づき、前記画像形成装置を使用させて良い使用者を定め、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を前記データサーバから前記画像形成装置に送信させるサーバ制御部を有する管理サーバと、を含むこととした。
【0012】
この構成によっても、請求項1記載の発明と同様、画像形成装置を使用させて良いか否かの判断が自動で行われ、かつ、自動で各使用者の認証情報が、画像形成装置に登録される。これにより、管理者の作業負担を軽減することができる。又、認証情報は画像形成装置の記憶部に記憶されるので、認証サーバに認証を行わせる(サービスさせる)場合とは異なり、ネットワーク等の通信系統のダウンや、データサーバの故障が生じても、画像形成装置を使用することができる。
【0013】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記サーバ記憶部は、前記入退履歴情報として、各使用者が一定期間における各エリアへの入室回数、滞在時間を少なくとも記憶し、前記サーバ制御部は、前記画像形成装置が設置されたエリアでの各使用者の入室回数が予め定められた基準回数、及び/又は、滞在時間が予め定められた基準時間を超えるか否かにより、前記画像形成装置を使用させて良い使用者を判断することとした。
【0014】
この構成によれば、エリアへの訪問頻度が高い、エリアにいる時間が長い等、各使用者の実態に合わせ、自動的に、画像形成装置を使用させて良いかが判断される。これにより、基準を超え、使用権限を与える必要性の高いエリアでは、使用者は、自動的に画像形成装置の使用権限を与えられる。従って、利便性を高めることができる。
【0015】
又、請求項4に係る発明は、請求項3の発明において、前記管理サーバは、入力部を有し、前記入力部は、前記基準回数及び前記基準時間の設定を変更する入力を受け付けることとした。
【0016】
この構成によれば、入力部は、基準回数及び滞在時間の設定を変更する入力を受け付けるので、使用権限を与えるか否かの基準を変更することができる。従って、管理者や会社の方針等に合わせ、使用権限を与えるか否かの調整を行い、不要な使用者に使用権限を与えることを防ぐことができる。
【0017】
又、請求項5に係る発明は、請求項4の発明において、前記管理サーバは、前記画像形成装置を使用させて良いと定めた使用者をリストとして表示する表示部を備え、前記入力部は前記リストに挙げられた使用者を前記リストから外す入力を受け付け、変更後の前記リストに残された使用者の認証情報のみを前記画像形成装置に受信させることとした。
【0018】
この構成によれば、変更後のリストに残された使用者の認証情報のみが画像形成装置に受信されるので、使用権限を与えるか否か、細かな設定を行うことができる。又、管理者の作業は、リストからの対象の削除のみであり、煩わしい作業は必要ない。
【0019】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の発明において、前記識別情報取得部は、各使用者が携帯する記憶媒体から前記識別情報を取得し、前記入退管理装置は、前記記憶媒体を読み取ることで、前記識別情報を取得して、使用者をエリアに入れるか否か定めることとした。
【0020】
この構成によれば、識別情報取得部と入退管理装置では、同じ記憶媒体を使用できるので、記憶媒体の必要数等を減らすことができる。これにより、画像形成システムの管理が容易となり、画像形成システムに要するコストの低減を図ることができる。
【0021】
又、請求項7に係る管理サーバは、認証情報に基づき、使用する権限があるか認証を行う画像形成装置とネットワークにより通信可能に接続され、入退管理装置と接続され、管理する各エリアでの各使用者の出入りの履歴である入退履歴情報と各使用者の認証情報を記憶するサーバ記憶部と、各使用者の前記入退履歴情報に基づき、前記画像形成装置を使用させて良い使用者を定め、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を前記画像形成装置に送信させるサーバ制御部を有することした。
【0022】
この構成は、請求項1の画像形成システムのうちの管理サーバを発明としてとらえたものであり、請求項1記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
上述したように、本発明によれば、各使用者のエリアへの入退の実情にあわせて、画像形成装置に認証情報を自動的に与えることで、管理者等は、画像形成装置に登録する使用者を個別に選別する必要がなく、又、画像形成装置に登録する作業をしなくて済む。従って、管理者の作業負担が軽減される。又、画像形成装置は、受信した認証情報を保持するので、ネットワークのダウン等があっても認証を行うことができ、画像形成装置の可用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係る入退管理の一例を説明するためのフロア図である。
【図2】第1の実施形態に係る入退管理のための構成の一例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像形成システムの一例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る複合機の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】(a)は、第1の実施形態に係る画像形成システムでの入退履歴情報の一例を示す説明図であり、(b)は、複合機の使用権限を与える基準設定画面の一例を示す説明図である。
【図7】第1の実施形態に係る画像形成システムで生成されたリストのデータの一例を示す説明図である。
【図8】第1の実施形態に係る画像形成システムでの自動的な使用権限付与での制御の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る画像形成システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100を図1〜図8を用いて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0026】
(入退管理)
まず、図1、図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100と関連する入退管理の一例を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る入退管理の一例を説明するためのフロア図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る入退管理のための構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
図1は、あるビルのワンフロアを複数のエリアに分けた例を示す。このフロアでは、大きく4つのエリア(部屋、図1でエリア1、エリア2、エリア3、エリア4と図示)に隔てられ、この4つのフロアで1つのローカルネットワークが形成される(詳細は後述)。例えば、会社で言えば、エリアに、営業部や経理部等の部署が配される。
【0028】
そして、例えば、エレベータホール前から各エリアを繋ぐ廊下等の共用エリアに入るための入口部分や、各エリアの入口のドア部分に、入退管理装置1が設けられる。入退管理装置1は、認められた者だけ入ることを許し、又、使用者のエリアの移動、退出を把握するための装置である。
【0029】
例えば、図2に示すように、入退管理装置1は、コントローラ11、メモリ12、施錠機構13、カードリーダ14等を含む。コントローラ11は、入退管理装置1での通信や動作を制御する。メモリ12は、入退管理装置1の制御を行うためのプログラムやデータを記憶する。施錠機構13は、ドアを施錠し、各エリアや共用エリアに入ることが認められるとドアを開けるためのドアや鍵を含む機構である。カードリーダ14は、エリアや共用エリアに入る権限を有するか確認するため、画像形成システム100の各使用者が持つICカード15(記憶媒体に相当)を無線により読み取る。ICカード15には、メモリが内蔵されており、例えば、ICカード15を所持する者(使用者)の名称、ID、所属部署、パスワード等の識別情報が記憶される。
【0030】
そして、各入退管理装置1は、入退管理を行う管理サーバ2とネットワークで接続される。尚、図2では、便宜上、入退管理装置1は、1つのみ図示している。管理サーバ2は、例えば、サーバ制御部21、サーバ記憶部22、表示部23、入力部24、通信部25等を有する。
【0031】
サーバ制御部21は、例えば、CPUやチップ等で構成され、管理サーバ2でのデータ処理やプログラム実行等、各種演算、処理等を行って管理サーバ2を制御する。サーバ記憶部22は、管理サーバ2での制御や処理に要するプログラムやデータを記憶する。例えば、サーバ制御部21は、RAM、ROM、HDD、フラッシュROM等の揮発性と不揮発性の記憶装置で構成される。
【0032】
表示部23は、例えば、サーバに関するアプリケーション等の画面を表示させる表示装置である(例えば、液晶ディスプレイ等)。表示部23には、管理サーバ2に関する各種情報を表示させることができる。入力部24は、管理サーバ2に対し各種入力を行うための装置である。例えば、入力部24には、キーボードやマウス等を用いることができる。通信部25は、管理サーバ2をネットワークに接続するためのネットワークインターフェイスである。これにより、各入退管理装置1とデータのやり取りを行うことができる。
【0033】
ここで、各エリアに入る権限を有するかの認証の一例を説明する。例えば、使用者は、何れかのエリアに入ることを希望する場合、各エリアの入口に設けられた入退管理装置1のカードリーダ14にICカード15を読み取らせる。カードリーダ14で読み取られたICカード15内の識別情報は、例えば、管理サーバ2に送信される。管理サーバ2のサーバ記憶部22は、全使用者の認証情報を記憶する。例えば、認証情報には、使用者の名称、ID、所属部署、パスワード等を示すデータが含まれる。又、例えば、サーバ記憶部22は、ユーザごとに、入室できるエリアを定めたデータを記憶する。尚、認証情報にユーザが入室可能なエリアを定めた情報が含まれていても良い。
【0034】
そして、サーバ制御部21は、送信された識別情報と、認証情報を比較し、認証情報内に、識別情報と一致するデータがあるかを確認して、正当なものが所持するICカード15を読み取ったかを確認する(認証する)。又、使用者が、エリアに入室する権限を有するか確認する。
【0035】
もし、入室権限を有すれば、サーバ制御部21は、通信部25から識別情報を送信した入退管理装置1に向けて、エリアへの入室を許可する旨のデータを送信する。エリアへの入室を許可する旨のデータを受ければ、コントローラ11は、施錠機構13を制御し、エリア入口のドアを解錠する。そして、管理サーバ2は、サーバ記憶部22に使用者がいずれのエリアに入ったかの履歴を入退履歴情報として使用者ごとに記憶、保存する。一方、入室権限を有さない、或いは、正当な使用者と認められない場合、サーバ制御部21は、通信部25から識別情報を送信した入退管理装置1に向け、エリアへのアクセス(入室)を認めない旨のデータを送信する。入退管理装置1は、エリアへの入室を許可する旨のデータを受けない限り、施錠機構13により、エリアへ入るためのドアをロックし続ける。
【0036】
尚、各入退管理装置1のメモリ12に、認証情報を不揮発的に記憶させておいてもよい。これにより、各入退管理装置1は、管理サーバ2と通信を行うことなく、エリアに入れて良いか判断できる。この場合、エリアに入った者を特定するデータ(例えば、ユーザ名)を管理サーバ2に送信し、管理サーバ2は、エリアに入った者を特定するデータを受けて、入退履歴情報を更新する。
【0037】
又、上記では、各エリアに入る場合を説明したが、エリアからの退出時にもICカード15の読み取りを行うようにしてもよい。これにより、使用者ごとに、各エリアからの退出も管理サーバ2で把握することができ、退出についても、入退履歴情報を残すことができる。又、各エリアからICカード15の読み取り無しで出られるようにし(例えば、施錠機構13は、退出方向には施錠しない)、使用者が何れかのエリアに入った段階で、先に滞在していたエリアを退出したと入退履歴情報に記録されてもよい。
【0038】
(ネットワークの一例)
次に、図3に基づき、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100の一例を説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100の一例を示すブロック図である。
【0039】
まず、図1に示したように、例えば、フロア内には、複数のエリアが設けられる。そして、図3の破線で区切りを示すように、各フロアには、入口に設けられる入退管理装置1の他、必要に応じ、フロア内に複数のコンピュータ3(例えば、パーソナルコンピュータ)や複合機4(画像形成装置に相当)が設けられる。各コンピュータ3、複合機4、入退管理装置1は、ローカルネットワークで接続される。尚、入退管理装置1用の通信ネットワークと、各コンピュータ3や複合機4用の通信ネットワークのように、複数のネットワークが構成されてもよい。
【0040】
複合機4は、例えば、コピー機能、スキャン機能、プリンタ機能、FAX機能等の複数の機能を有する(詳細は後述)。例えば、コンピュータ3から複合機4に対し、画像データや設定データを含むプリンタジョブデータを送信することで、複合機4をプリンタとして使用することができる(プリンタ機能)。尚、複合機4に変え、プリンタ等の画像形成装置がネットワークに接続されても良い。
【0041】
(画像形成装置の概略)
次に、図4に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機4の概略を説明する。図4は本発明の第1の実施形態に係る複合機4の一例を示す模型的正面断面図である。
【0042】
図4に示すように、本実施形態の複合機4は、最上部に原稿搬送装置41を有し、複合機4本体には、操作パネル5、画像読取部42、給紙部6A、搬送路6B、画像形成部7A、定着部7B、リーダライタ8等が設けられる。
【0043】
まず、図4に破線で示すように、操作パネル5は、複合機4の正面上方に設けられる。そして、操作パネル5は、複合機4の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部51を備える。液晶表示部51は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを1又は複数表示できる。又、液晶表示部51の上面に透明なタッチパネル52(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル52は、液晶表示部51で押下された部分の位置、座標を検出するためのものである。又、操作パネル5には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー53等、各種のハードキーも設けられる。
【0044】
原稿搬送装置41は、原稿の複写時、原稿載置トレイ41Aに積載された原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部42の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス42A)に向けて搬送する。画像読取部42は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。画像読取部42の上面には、送り読取用コンタクトガラス42Aと載置読取用コンタクトガラス42Bが設けられる。又、画像読取部42内には露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。
【0045】
そして、この光学系部材を用い、原稿搬送装置41が搬送する原稿や、載置読取用コンタクトガラス42Bに載置される原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し、画像データが生成される。複合機4は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(複写機能)。尚、原稿搬送装置41は、図4の紙面奥側に支点が設けられ持ち上げ可能であり、原稿搬送装置41で原稿を押さえることができる。
【0046】
給紙部6Aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路6Bに送り込む。給紙部6Aは、収納用紙が載置されるカセット61を含む(図1で上方のものに61A、下方のものに61Bの符号を付す)。又、カセット61から搬送路6Bに送り出すため回転駆動する給紙ローラ62が設けられる(図1で上方のものに62A、下方のものに62Bの符号を付す)。例えば、印刷時には、給紙ローラ62が回転駆動し、画像形成に必要となる用紙が1枚ずつ搬送路6Bに送り出される。
【0047】
搬送路6Bは、給紙部6Aから排出トレイ63まで用紙を搬送する通路である。尚、用紙搬送経路上には画像形成部7A、定着部7B等が配される。そして、搬送路6Bには、用紙の案内のためのガイド64や、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラ対65や、搬送されてくる用紙を画像形成部7Aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラ対66等が設けられる。
【0048】
画像形成部7Aは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部7Aは、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム71、及び、感光体ドラム71の周囲に配設された帯電装置72、レーザ走査ユニット73、現像装置74、転写ローラ75、清掃装置76等を備える。
【0049】
トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、画像形成部7Aの略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する感光体ドラム71は、図4において、感光体ドラム71の右斜め上方に設けられる帯電装置72によって所定電位に帯電される。レーザ走査ユニット73は、図4において、帯電装置72の右側方に設けられ、画像データに基づき、レーザ光Lをから出力し、感光体ドラム71表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。尚、画像データは、画像読取部42で得られた画像データや、ネットワーク等により接続される外部のコンピュータ3や相手方FAX装置200(図5参照)から送信された画像データ等が用いられる。
【0050】
そして、図1において、感光体ドラム71の右斜め下方に設けられる現像装置74は、感光体ドラム71に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム71の左方に設けられる転写ローラ75は感光体ドラム71に圧接し、ニップが形成される。そして、トナー像にあわせタイミングを図られつつ、用紙はニップに進入する。用紙進入時、転写ローラ75には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム71上のトナー像が転写される。清掃装置76は、転写後に感光体ドラム71に残留するトナーを除去する。
【0051】
定着部7Bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部7Bは、主として発熱体を内蔵する加熱ローラ77と加圧ローラ78で構成される。加熱ローラ77と加圧ローラ78は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ63が受け止める。このようにして、複写機能、プリンタ機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0052】
そして、詳細は後述するが、本実施形態における複合機4の右側面上方に、使用者を特定するための識別情報を記憶するICカード15から、識別情報を取得するリーダライタ8(識別情報取得部に相当)が設けられる。リーダライタ8は、無線によりICカード15と通信を行って識別情報を取得する。又、ICカード15が磁気カードであれば、リーダライタ8は、磁気ヘッド等によって識別情報を取得する。
【0053】
ICカード15に記憶される識別情報は、ICカード15を所持し、複合機4を使用しようとする者を識別、特定するためのデータである。識別情報には、例えば、ユーザ名、ID、所属部署、使用権限等を示すデータが含まれる。尚、本実施形態の複合機4では、取得された識別情報に基づいて複合機4の使用者特定のほか、そのICカード15の所有者が複合機4の使用資格を有するかの認証が行われる(詳細は後述)。
【0054】
(複合機4のハードウェア構成)
そこで、次に、図5に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機4のハードウェア構成の一例を説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る複合機4の構成の一例を示すブロック図である。
【0055】
複合機4内には、制御部9が設けられ、制御部9は、複合機4の動作を制御し、例えば、CPU91、画像処理部92等から構成される。尚、制御部9は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を制御するエンジン制御部等、機能ごとに分割して複数種設けられてもよい。
【0056】
CPU91は、中央演算処理装置であって、記憶部93に格納され、展開されるプログラムやデータに基づき複合機4の各部を制御する。画像処理部92は、印刷を行う画像データや、外部のコンピュータ3や相手方のFAX装置200に送信される画像データに対し、各種画像処理を施す。記憶部93は、ROM、RAM、HDD、フラッシュROM等の不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。この記憶部93には、複合機4の制御用等の各種のプログラムやデータ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶できる。
【0057】
そして、制御部9は、操作パネル5、原稿搬送装置41、画像読取部42、給紙部6A、搬送路6B、画像形成部7A、定着部7B、認証装置94等の各部と信号線等で接続され、各部、各装置を制御して複合機4の動作を制御する。尚、認証装置94は、ハードウェアとして設けられるが、制御部9のCPU91、記憶部93、プログラム等で、ソフトウェア的に実現してもよい。
【0058】
更に、制御部9は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えた通信部95(インターフェイス部)と接続される。通信部95は、ネットワークや公衆回線等により複数の外部のコンピュータ3や相手方のFAX装置200と接続され、例えば、画像データを含むデータを外部のコンピュータ3や相手方FAX装置200(インターネットFAXでもよい)に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、外部のコンピュータ3や相手方FAX装置200からの画像データに基づき印刷を行うこともできる(プリンタ機能、FAX機能)。このように、複合機4は、複写機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能のうちの複数の機能を備える。
【0059】
(複合機4における認証)
次に、図5に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機4での認証の一例を説明する。まず、制御部9は、基本的に、複合機4を使用不可状態(ログアウト状態)とする。又、操作パネル5は、複写等の各種機能の設定やジョブ開始の指示を受け付けない。例えば、使用不可状態では、操作パネル5にコピーやFAX送信を行う旨の操作・入力が行われても、操作パネル5は無視し、制御部9は、その動作指示入力を無視する。又、外部のコンピュータ3から画像データの送信があっても、印刷を行わず、制御部9は、画像データの送信を受け付け記憶部93等に一時的に保存しても印刷は行わない。
【0060】
一方、使用可能な者との認証が得られると、ログイン状態となり、制御部9は、複合機4を使用可能な状態とする。又、操作パネル5は、複写等の各種機能の設定やジョブ開始の指示を受け付ける。本実施形態の複合機4では、所持するICカード15をリーダライタ8に読み取らせて認証を受ける。即ち、識別情報取得部(リーダライタ8)は、各使用者が携帯する記憶媒体(例えば、ICカード15)から識別情報を取得し、入退管理装置1は、記憶媒体を読み取り、識別情報を取得し、使用者をエリアに入れるか否か定める。
【0061】
例えば、ICカード15には、ユーザ名やログイン用のパスワード等、使用者を識別するための情報(識別情報)が、予め記憶される(例えば、リーダライタ8でICカード15に書き込み)。そして、認証装置94内には、図4に示すように、データの通信やデータ処理等を行うコントローラ941と、予め複合機4の使用権限を有する者全員分の使用者の認証情報を記憶するメモリ942(記憶部に相当)が設けられる。
【0062】
リーダライタ8でICカード15の記憶内容が読み取られると、そのデータがリーダライタ8から認証装置94に入力される。コントローラ941は、認証装置94に入力されたデータ内の識別情報と、メモリ942内の認証情報とを比較し、一致するものがあるかを確認する。一致すれば、コントローラ941は、制御部9に複合機4を使用させてもよい旨のデータや使用者を特定する情報(例えば、ユーザ名)を送信する。制御部9は、操作パネル5に複合機4を使用させても良い旨のデータや使用者を特定する情報(例えば、ユーザ名)を送信する。これにより、複合機4は、ログイン状態となる。
【0063】
又、例えば、認証は、制御部9や記憶部93を使用して行われても良い。この場合、複合機4の使用権限を有する者全員分の認証情報は、予め記憶部93に記憶される(認証装置94を設ける必要は無い)。そして、リーダライタ8で読み取られたICカード15の識別情報は、制御部9に送られる。制御部9は、記憶部93内の認証情報と、受け取った識別情報を比較し、一致するものがあるかを確認する。一致すれば、制御部9は、上記と同様、複合機4をログイン状態とする。
【0064】
このように、本実施形態の複合機4では、制御部9と記憶部93、認証装置94のコントローラ941とメモリ942と言うように、複合機4内の複数部分を、認証処理を行う認証部として機能させることができる。
【0065】
尚、認証は、操作パネル5(識別情報取得部に相当)に対する入力に基づいて行われても良い。例えば、操作パネル5は、ログアウト状態で、ユーザ名(ユーザIDでもよい)やログイン用のパスワードを、使用者を識別するための情報(識別情報)として入力するためログイン画面を表示する。そして、操作パネル5の液晶表示部51(タッチパネル52)を押下することにより入力されたユーザ名等を識別情報とし、認証作業がなされる。例えば、入力されたユーザ名等を示すデータが、操作パネル5から制御部9に送られる。制御部9は、記憶部93内の認証情報と、受け取った識別情報を比較し、一致するか確認する。一致すれば、制御部9は、複合機4をログイン状態とする。
【0066】
(複合機4の認証情報の取得)
次に、図3及び図5を用いて、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100内の複合機4の認証情報の取得を説明する。
【0067】
画像形成システム100内の各複合機4は、それぞれ、使用権限を有する者の全員分の認証情報を記憶する。そして、各複合機4は認証情報を管理サーバ2から取得する。言い換えると、管理サーバ2は、使用者の全員分の認証情報をサーバ記憶部22に記憶する。そして、管理サーバ2は、複合機4ごとに使用権限を有する者の認証情報を送信する。
【0068】
例えば、管理サーバ2は、複合機4に対し、複合機4が新たに設置された場合、予め設定された周期(例えば、1週間、1日、数日等任意の周期)、或いは、例えば、入力部24による入力等で管理者の指示がなされたとき、認証情報を送る。これにより、管理サーバ2で全使用者分の認証情報を一元的に管理することができる。例えば、複数の複合機4を使用する権限を有する者のパスワードやユーザ名の変更があっても、各複合機4に入力を行って、認証情報を変更しなくて済む。
【0069】
又、認証情報は、複合機4の記憶部93やメモリ942に不揮発的に記憶されるので、ネットワークのダウンや、複合機4の通信部95の故障等があっても、各複合機4は、認証を行うことができる。従って、複合機4の可用性が確保される。
【0070】
(入退履歴情報に基づく認証情報の送信)
次に、図6に基づき、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100での入退履歴情報に基づく認証情報の複合機4への送信の一例を説明する。図6(a)は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100での入退履歴情報の一例を示す説明図であり、(b)は、複合機4の使用権限を与える基準設定画面D1の一例を示す説明図である。
【0071】
上述したように、ICカード15を有する者のフロアに出入りに関し、各使用者の入退履歴情報がサーバ記憶部22に残される。図6(a)は、例えば、入退履歴情報に基づいて(入退履歴情報を加工して)得られた、10/10〜10/17(1週間分)での各使用者の動き(入退履歴情報)を示す集計表の一例である。この集計表は、管理サーバ2の表示部23に表示させることができる。又、入退履歴情報を集計する単位は、1週間だけでなく、1ヶ月、1年等、任意に定めることができ、集計単位に応じて、サーバ制御部21は、集計を行って、集計結果を表示部23に表示させる。尚、時間に関し、「○○:○○:○○」は、「時:分:秒」を意味する。
【0072】
例えば、図6(a)に一例として示す使用者Aは、エリア1への入室回数や滞在時間が多いので、エリア1内の部署に属すると認められる。そして、使用者Aは、必要に応じ(例えば、連絡、打ち合わせなど)、エリア4を訪れている。尚、図6(a)に示す「−」の記号が付されたエリアは、入ることが認められていないエリアである。例えば、使用者Aは、エリア2とエリア3に入る権限が与えられていない。又、例えば、使用者Cは、1週間のうち、エリア1とエリア3にほぼ同じ回数入室し、ほぼ同じ時間滞在している。従って、使用者Cは、エリア1とエリア3に属する部署を兼任していると認められる。
【0073】
このように、使用者は、他の部署のエリアよりも、自己が属する部署のあるエリアに入室し、滞在する傾向がある。そして、各使用者に対して、少なくとも、使用者が属する部署のあるエリアに設けられた複合機4を使用できるようにする必要がある。又、使用者が頻繁に訪れるエリアについては、そのエリアの複合機4を使用できるようにすれば、利便性が高くなる。そこで、本実施形態の画像形成システム100では、管理サーバ2は、入退履歴情報に基づき、各使用者について、使用させて良い複合機4を判断し、定める。そして、管理サーバ2は、各複合機4に対し、使用させてよいと定めた使用者の認証情報を送信する。そして、各複合機4は、受信した認証情報に対応する使用者のICカード15を読み取った際、ログイン状態となる。
【0074】
管理サーバ2は、例えば、滞在時間や入室回数について、予め定められた基準を元に、各使用者について、使用権限を付与する複合機4を定めてもよい。基準を管理者等が設定できれば、画像形成システム100を採用する会社等の実情(人の動き)にあわせて、認証情報を各複合機4に送信することができる。そこで、例えば、図6(b)に示すように、例えば、管理サーバ2で、基準の設定を行うことができる。
【0075】
例えば、図6(b)は、管理サーバ2の表示部23に表示される基準設定画面D1の一例である。管理者等は、管理サーバ2の入力部24を用いて、使用権限を与える複合機4の基準等の設定を行うことができる。基準設定画面D1の下方には、OKキーK1とキャンセルキーK2が設けられる。そして、管理者のマウス操作等により、OKキーK1が選択されると、設定された基準の下、各エリアや複合機4ごとに、使用権限を与える使用者のリストのデータが生成される。キャンセルキーK2を選択すれば、設定されていた基準は、変更されない。
【0076】
基準設定画面D1の上部には、入室回数や滞在時間に関する基準を入力するための基準設定領域F1が設けられる。まず、入室回数に関する基準に関し、数字入力欄B1(1桁若しくは複数桁の数字を入力)と、単位を定めるためのプルダウンメニューPM1が配される。プルダウンメニューPM1を操作すると、選択できる単位が表示され、管理者は選択する(例えば、「日」、「時間」、「週間」、「月間」、「年間」等)。
【0077】
そして、サーバ制御部21は、現在から設定された範囲に遡って、各使用者の入退履歴情報の集計を行う。そして、プルダウンメニューPM1の右側には、基準回数を定める基準回数入力欄B2が設けられる。サーバ制御部21は、集計結果と、基準回数入力欄B2に入力された値とを比較し、例えば、複合機4ごとに、基準回数入力欄B2に入力された値を超える使用者をリストアップする(リストのデータを生成する)。尚、各エリアに配された複合機4は予め決まっている。そこで、例えば、エリアごとに、使用者をリストアップしてもよい。例えば、管理者が管理サーバ2に入力を行い、サーバ記憶部22に各複合機4のネットワークアドレスや名称等に対応付けて、各複合機4が設置されるエリアを記憶させる等により、各エリアに存在する複合機4は、管理サーバ2で明らかとなる。
【0078】
又、滞在時間に関する基準時間に関し、数字入力欄B3(1桁若しくは複数桁の数字を入力)と、単位を定めるためのプルダウンメニューPM2が配される。プルダウンメニューPM2を操作すると、選択できる単位が表示され、管理者は選択する(例えば、「日」、「時間」、「週間」、「月間」、「年間」等)。そして、サーバ制御部21は、現在から設定された範囲に遡って、各使用者の入退履歴情報の集計を行う。そして、プルダウンメニューPM2の右側には、基準時間を定める基準時間入力欄B4が設けられる。サーバ制御部21は、集計結果と、基準時間入力欄B4に入力された値とを比較し、例えば、フロアごとや複合機4ごとに、基準時間入力欄B4に入力された値を超える使用者をリストアップする。このように、管理サーバ2は、入力部24を有し、入力部24は、基準回数及び基準時間の設定を変更する入力を受け付ける。
【0079】
尚、基準回数入力欄B2や基準時間入力欄B4のうち、片方には数字を入力しなくても良い。又、基準回数入力欄B2や基準時間入力欄B4のいずれにも数字が入力された場合、例えば、サーバ制御部21は、各基準で、エリアごとや複合機4ごとに使用者をリストアップする。そして、サーバ制御部21は、例えば、入室回数を基準とするリストと、滞在時間を基準とするリストの論理和、若しくは論理積をとり、エリアごとや複合機4ごとに使用権限を与える(認証情報を送信する)使用者のリストを1つ生成する。そして、このリストは、例えば、サーバ記憶部22に記憶される。
【0080】
又、基準設定画面D1では、使用者への複合機4の使用権限付与に関し、条件を付す条件設定領域F2も設けられる。例えば、条件設定領域F2には、複数のチェックボックスCB1が設けられ、チェックボックスCB1の右方に、条件が記される。例えば、条件としては、「使用者が属するエリアの機器の使用権限を与える」、「最も入室回数が多いエリアの機器の使用権限を与える」、「最も滞在時間が長いエリアの機器の使用権限を与える」等が設けられるが、更に、条件が追加されても良い。
【0081】
例えば、「使用者が属するエリアの機器の使用権限を与える」という条件を付与することにより、かぜや出張等で、入退の履歴がない使用者でも、複合機4の使用が認められる。尚、使用者が属するエリアや部署は、認証情報に含ませておけば、認証情報を参照することで、サーバ制御部21は、使用者の属するエリアや部署を把握できる。「最も入室回数が多いエリアの機器の使用権限を与える」、「最も滞在時間が長いエリアの機器の使用権限を与える」の条件は、使用者の実際の動きを考慮したもので、使用者は、滞在する確率の高いエリアで複合機4の使用権限を与えられる。
【0082】
そして、チェックボックスCB1をONすることで、上記の条件がON状態となる。そして、条件を満たしているにもかかわらず、各エリア(各複合機4)ごとに生成されたリストのデータから漏れていれば、条件を満たす使用者がリストのデータに追加される。
【0083】
(リストからの除去)
次に、図7に基づき、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100で生成されたリストの加工の一例を説明する。図7は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100で生成されたリストのデータの一例を示す説明図である。
【0084】
例えば、図7は、複合機4ごとの使用権限のリストのデータの一例を示す。このリストは、例えば、表示部23に表示することができ、管理者等が視認できる。図7に示すように、例えば、複合機4ごとに、使用権限を認める使用者が挙げられる。図6を用いて説明したように、一定の基準の下、入退履歴情報に基づき、自動的に複合機4の使用権限が定められる。しかし、基準があるとしても、意図せず、使用権限を認めなくてもよい使用者に対し、使用権限を認めてしまう場合がある。
【0085】
そこで、例えば、管理者は、図7に示すようなリストを管理サーバ2の表示部23に表示させ、例えば、リストの左端に設けられるチェックボックスCB2のチェックを外すことにより、チェックボックスCB2が外された使用者に関する認証情報を、対応する複合機4に送信しないようにすることができる。即ち、管理サーバ2は、画像形成装置(例えば、複合機4)を使用させて良いと定めた使用者をリストとして表示する表示部23を備え、入力部24はリストに挙げられた使用者をリストから外す入力を受け付け、変更後のリストに残された使用者の認証情報のみを画像形成装置に受信させる。尚、又、サーバ記憶部22は、新たにリストが生成されたとき、チェックボックスCB2が外されていること引き継いで記憶してもよい。これにより、リストが生成されるごとに、管理者がチェックボックスCB2を外さなくてすむ。
【0086】
(自動的な使用権限付与における制御)
次に、図8に基づき、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100での自動的な使用権限付与での制御の一例を説明する。図8は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム100での自動的な使用権限付与での制御の一例を示すフローチャートである。
【0087】
まず、図8におけるスタートは、複合機4を使用できる者の自動的な設定、登録を行う時点である。この自動的な設定は、任意の時点で行うことができる。例えば、新たに設置された複合機4で使用できる使用者を設定する場合や、使用者に関する認証情報が変更された場合や、各複合機4内での認証情報の定期的な更新や、管理者が、管理サーバ2に対し各複合機4での認証情報の更新を指示した場合などに、複合機4を使用できる者の自動的な設定が行われる。
【0088】
まず、サーバ制御部21は、サーバ記憶部22に記憶される入退履歴情報を呼び出し、設定された期間内で入退履歴情報の集計を行う(ステップ♯1)。次に、サーバ制御部21は、基準回数や基準時間等の一定の基準や条件のもと、認証情報を送信しようとする複合機4を使用させて良い使用者を定める(ステップ♯2)。即ち、サーバ記憶部22は、入退履歴情報として、各使用者が一定期間における各エリアへの入室回数、滞在時間を少なくとも記憶し、サーバ制御部21は、画像形成装置(例えば、複合機4)が設置されたエリアでの各使用者の入室回数が予め定められた基準回数、及び/又は、滞在時間が予め定められた基準時間を超えるか否かにより、画像形成装置(例えば、複合機4)を使用させて良い使用者を判断する。
【0089】
そして、サーバ制御部21は、複合機4を使用させて良いと定めた全ての使用者の認証情報を複合機4に送信する(ステップ♯3)。即ち、画像形成システム100は、使用者を識別するための識別情報取得部(リーダライタ8、操作パネル5等)と、画像形成装置(例えば、複合機4)を使用する権限があるか認証を行うための認証情報を記憶するための記憶部93やメモリ942とを有し、識別情報と認証情報を比較して使用権限を有するか認証を行う画像形成装置と、ネットワークにより画像形成装置と通信可能に接続され、又、入退管理装置1と接続され、管理する各エリアでの各使用者の出入りの履歴である入退履歴情報と各使用者の認証情報を記憶するサーバ記憶部22と、各使用者の入退履歴情報に基づき、画像形成装置を使用させて良い使用者を定め、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を画像形成装置に送信させるサーバ制御部21を有する管理サーバ2と、を含む。そして、複合機4は、受信した認証情報を記憶部93やメモリ942等に記憶する(ステップ♯4→エンド)。
【0090】
このようにして、本実施形態の構成によれば、管理サーバ2は、各使用者の入退履歴情報に基づき、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を画像形成装置(例えば、複合機4)に送信するので、画像形成装置を使用させて良いか否かの判断が自動で行われ、かつ、自動で各使用者の認証情報が画像形成装置に登録される。これにより、管理者の作業負担を軽減することができる。又、認証情報は画像形成装置の記憶部93やメモリ942に記憶されるので、データサーバ10に認証を行わせる(サービスさせる)場合と異なりネットワーク等の通信系統のダウンが生じても、画像形成装置を使用することができる。
【0091】
又、エリアへの訪問頻度が高い、エリアにいる時間が長い等、各使用者の実態に合わせ自動的に、画像形成装置(例えば、複合機4)を使用させて良いかが判断される。これにより、基準を超え、使用権限を与える必要性の高いエリアでは、使用者は、自動的に画像形成装置の使用権限を与えられる。従って、利便性を高めることができる。又、入力部24は、基準回数及び滞在時間の設定を変更する入力を受け付けるので、使用権限を与えるか否かの基準を変更することができる。従って、管理者や会社の方針等に合わせ、使用権限を与えるか否かの調整を行い、不要な使用者に使用権限を与えることを防ぐことができる。又、変更後のリストに残された使用者の認証情報のみが画像形成装置に受信されるので、使用権限を与えるか否か、細かな設定を行うことができる。又、管理者の作業は、リストからの対象の削除のみであり、煩わしい作業は必要ない。又、識別情報取得部と入退管理装置1では、同じ記憶媒体を使用できるので、記憶媒体(例えば、ICカード15)の必要数等を減らすことができる。これにより、画像形成システム100の管理が容易となり、画像形成システム100に要するコストの低減を図ることができる。
【0092】
(第2の実施形態)
次に、図9を用いて、本発明の第2の実施形態に係る画像形成システム100の一例を説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成システム100の一例を示すブロック図である。
【0093】
尚、本実施形態の画像形成システム100は、複合機4に与える認証情報を管理サーバ2ではなくデータサーバ10が記憶する点で異なる。データサーバ10は、認証情報や各種プログラム、データを記憶するためのデータサーバ記憶部101を有する。又、データサーバ10はネットワークに接続され、管理サーバ2や各コンピュータ3や各複合機4と通信可能である。画像形成システム100の他の点は、第1の実施形態と同様でよい。
【0094】
具体的には、管理サーバ2は、入退履歴情報に基づき、複合機4の使用権限を与える使用者を自動的に定める。そして、使用権限を与える使用者の複合機4ごとのリストは、データサーバ10に送信される。そして、データサーバ10は、リストに従って、複合機4に認証情報を送信する。これにより、認証情報を管理サーバ2以外に記憶させても、複合機4に認証情報が与えられる。
【0095】
即ち、本実施形態の画像形成システム100は、使用者を識別するための識別情報取得部(リーダライタ8、操作パネル5等)と、画像形成装置(例えば、複合機4)を使用する権限があるか認証を行うための認証情報を記憶するための記憶部93とを有し、識別情報と認証情報を比較して使用権限を有するか認証を行う画像形成装置と、ネットワークにより画像形成装置(例えば、複合機4)と通信可能に接続され、各使用者の認証情報を記憶するデータサーバ10と、ネットワークにより画像形成装置及びデータサーバ10と通信可能に接続され、又、入退管理装置1と接続され、管理する各エリアでの各使用者の出入りの履歴である入退履歴情報を記憶するサーバ記憶部22と、各使用者の入退履歴情報に基づき、画像形成装置を使用させて良い使用者を定め、使用させて良いと判断された使用者の認証情報をデータサーバ10から画像形成装置に送信させるサーバ制御部21を有する管理サーバ2と、を含む。このようにして、本実施形態の構成によっても、第1の実施形態と同様の効果、作用を得ることができる。
【0096】
次に、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、認証に、識別情報を記憶したICカード15を用いる例を説明したが、ICカード15以外のものを用いても構わない。例えば、識別情報を記憶した磁気カード(この場合、リーダライタ8は、磁気カード対応のものを使用)を用いてもよい。又、カードに限らず、携帯可能な半導体メモリでもよい(この場合、リーダライタ8は、半導体メモリ対応のものを使用)。
【0097】
又、上記の実施形態では、認証に、識別情報を記憶する記憶媒体を使用する場合を説明したが、指紋等、生体情報を読み取って認証が行われても良い。この場合、認証情報は、生体情報に関するデータであり、識別情報取得部としてのカードリーダ14やリーダライタ8は生体情報を読み取るスキャン装置に置き換えられる。
【0098】
又、上記の実施形態では、入退履歴情報として、各エリアに入った時間や滞在した時間を例に挙げて説明したが、他の項目を入退履歴情報として記憶しても良い。
【0099】
又、上記の実施形態では、画像形成システム100として説明したが、認証情報に基づき、使用する権限があるか認証を行う画像形成装置とネットワークにより通信可能に接続され、入退管理装置1と接続され、管理する各エリアでの各使用者の出入りの履歴である入退履歴情報と各使用者の認証情報を記憶するサーバ記憶部22と、各使用者の入退履歴情報に基づき、画像形成装置を使用させて良い使用者を定め、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を画像形成装置(例えば、複合機4)に送信させるサーバ制御部21を有する管理サーバ2の発明としても捉えることもできる。
【0100】
又、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の使用可能性】
【0101】
本発明は、認証機能を備えた画像形成装置や管理サーバを含む画像形成システムに使用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 入退管理装置 15 ICカード(記憶媒体)
2 管理サーバ 21 サーバ制御部
22 サーバ記憶部 23 表示部
24 入力部 4 複合機(画像形成装置)
5 操作パネル(識別情報取得部) 8 リーダライタ(識別情報取得部)
9 制御部 93 記憶部
942 メモリ(記憶部) 10 データサーバ
100 画像形成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者を識別するための識別情報取得部と、画像形成装置を使用する権限があるか認証を行うための認証情報を記憶するための記憶部とを有し、識別情報と認証情報を比較して使用権限を有するか認証を行う画像形成装置と、
ネットワークにより前記画像形成装置と通信可能に接続され、又、入退管理装置と接続され、管理する各エリアでの各使用者の出入りの履歴である入退履歴情報と各使用者の認証情報を記憶するサーバ記憶部と、各使用者の前記入退履歴情報に基づき、前記画像形成装置を使用させて良い使用者を定め、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を前記画像形成装置に送信させるサーバ制御部を有する管理サーバと、を含むことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
使用者を識別するための識別情報取得部と、画像形成装置を使用する権限があるか認証を行うための認証情報を記憶するための記憶部とを有し、識別情報と認証情報を比較して使用権限を有するか認証を行う画像形成装置と、
ネットワークにより前記画像形成装置と通信可能に接続され、各使用者の認証情報を記憶するデータサーバと、
ネットワークにより前記画像形成装置及び前記データサーバと通信可能に接続され、又、入退管理装置と接続され、管理する各エリアでの各使用者の出入りの履歴である入退履歴情報を記憶するサーバ記憶部と、各使用者の前記入退履歴情報に基づき、前記画像形成装置を使用させて良い使用者を定め、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を前記データサーバから前記画像形成装置に送信させるサーバ制御部を有する管理サーバと、を含むことを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
前記サーバ記憶部は、前記入退履歴情報として、各使用者が一定期間における各エリアへの入室回数、滞在時間を少なくとも記憶し、
前記サーバ制御部は、前記画像形成装置が設置されたエリアでの各使用者の入室回数が予め定められた基準回数、及び/又は、滞在時間が予め定められた基準時間を超えるか否かにより、前記画像形成装置を使用させて良い使用者を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、入力部を有し、
前記入力部は、前記基準回数及び前記基準時間の設定を変更する入力を受け付けることを特徴とする請求項3記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記画像形成装置を使用させて良いと定めた使用者をリストとして表示する表示部を備え、前記入力部は前記リストに挙げられた使用者を前記リストから外す入力を受け付け、変更後の前記リストに残された使用者の認証情報のみを前記画像形成装置に受信させることを特徴とする請求項4記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記識別情報取得部は、各使用者が携帯する記憶媒体から前記識別情報を取得し、
前記入退管理装置は、前記記憶媒体を読み取ることで、前記識別情報を取得して、使用者をエリアに入れるか否か定めることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
認証情報に基づき、使用する権限があるか認証を行う画像形成装置とネットワークにより通信可能に接続され、
入退管理装置と接続され、管理する各エリアでの各使用者の出入りの履歴である入退履歴情報と各使用者の認証情報を記憶するサーバ記憶部と、各使用者の前記入退履歴情報に基づき、前記画像形成装置を使用させて良い使用者を定め、使用させて良いと判断された使用者の認証情報を前記画像形成装置に送信させるサーバ制御部を有することを特徴とする管理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−113528(P2011−113528A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272420(P2009−272420)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】