説明

画像形成システム

【課題】写真処理装置での設定データの変更に応じて、端末処理装置の設定データを適宜に更新しうる画像形成システムを提供すること。
【解決手段】写真プリントを作成する写真処理装置1と、画像処理を行う端末処理装置2とがネットワークで接続された画像形成システムにおいて、写真処理装置1に設けられ、写真処理装置1の設定データに関する情報が保存される設定データ情報保存部46と、設定データ情報保存部46に保存された情報を管理し、写真処理装置1で設定されている設定データが変更された場合に、端末処理装置2に通知指令を送る管理手段18と、端末処理装置2に設けられ、管理手段18からの通知指令に応じて、写真処理装置1で設定データが変更されたことを通知する通知手段53と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づいて写真プリントを作成する写真処理装置と、入力された画像データに対して画像処理を行う端末処理装置と、を有する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
まず、写真処理装置におけるプリント処理の概要を説明する。写真処理装置には、種々の画像データが入力される。入力される画像データとしては、写真フィルムをスキャニングすることで得られる画像データの他に、デジタルカメラの記憶媒体やCD−R、MO等の記録媒体から入力される画像データがある。次に、入力された画像データに対して種々の画像処理が行われる。オペレータは、モニター画面に表示された画像を見ながら、補正データを適宜入力することで、色・濃度補正などの画像処理を施すことができる。そして、その画像処理により得られた画像処理データに基づいて、プリント用画像データが生成される。生成されたプリント用画像データは、例えば露光エンジンに転送され、ペーパー(写真感光材料の一例)の乳剤面に画像が焼付露光される。焼付露光されたペーパーは、現像処理及び乾燥処理が施され、仕上がりの写真プリントとして排出される。
【0003】
ここで、写真処理装置では、画像処理やプリント処理を行うにあたり、種々の設定データを設定しておく必要がある。設定データとしては、例えばプリントチャンネルに関するデータが挙げられる。プリントチャンネルとは、プリントサイズや画像データの取得元(デジタルカメラの記憶媒体からのデータか、ネガフィルムからのデータか等)などを登録したものである。したがって、デジタルカメラの記憶媒体から入力された画像データに基づいて、特定のプリントサイズの写真プリントを作成しようとする場合は、それに適したプリントチャンネルを選択する必要があり、そのためには特定のプリントチャンネルを予め設定しておく必要がある。
【0004】
従来、上記の写真処理装置と端末処理装置とがネットワークに接続された画像形成システムが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。ここで、端末処理装置について簡単に説明する。端末処理装置には、主にデジタルカメラ等の記憶媒体からの画像データが入力される。入力された画像データには、端末処理装置が有する機能に基づいて画像処理が施され、得られた画像処理データはネットワークを介して写真処理装置に送信される。そして、上記と同様にプリント用画像データが生成され、写真プリントが作成される。
【0005】
端末処理装置においても、写真処理装置と同様に種々の設定データを設定しておく必要がある。かかる設定データは、基本的に、写真処理装置で設定されている設定データと同じ内容に設定され、写真処理装置との整合が図られる。これにより、写真処理装置と端末処理装置とで同じ条件下で画像処理等の作業を行うことができ、写真処理装置と端末処理装置のいずれで画像処理を行ったとしても、同じ品質の写真プリントが得られるようにしている。したがって、端末処理装置のオペレータは、写真処理装置で設定データが変更された場合には、端末処理装置から写真処理装置の設定データを読み込み、端末処理装置の設定データを更新して整合させる必要があった。
【0006】
しかしながら、写真処理装置の設定データは、写真処理装置のオペレータによって任意のタイミングで変更されるものであり、端末処理装置のオペレータの知らない間に写真処理装置の設定データが変更された場合、設定データが整合していない状態でプリント処理が行われるため、所望のプリント出力結果が得られないという問題があった。特に、端末処理装置が写真処理装置から離れた場所に設置された場合には、オペレータが写真処理装置での設定データの変更を知ることが難しく、上記の問題が顕著であった。また、端末処理装置で画像処理を行う度に写真処理装置の設定データを読み込んで、端末処理装置の設定データを整合させることが考えられるが、作業の煩雑化および時間ロスを招くという問題がある。
【特許文献1】特開2003−241935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、写真処理装置での設定データの変更に応じて、端末処理装置の設定データを適宜に更新しうる画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る画像形成システムは、画像データに対する画像処理の結果得られるデータに基づいて写真プリントを作成する機能を有する写真処理装置と、入力された画像データに対して画像処理を行う機能を有する端末処理装置と、1台以上の前記写真処理装置と1台以上の前記端末処理装置とが接続されるネットワーク手段と、を備えた画像形成システムにおいて、前記写真処理装置に設けられ、その写真処理装置の設定データに関する情報が保存される設定データ情報保存部と、前記設定データ情報保存部に保存された情報を管理し、前記写真処理装置で設定されている設定データが変更された場合に、前記端末処理装置に通知指令を送る管理手段と、前記端末処理装置に設けられ、前記管理手段からの通知指令に応じて、前記写真処理装置で設定データが変更されたことを通知する通知手段と、を備える。
【0009】
本発明に係る画像形成システムは、1台以上の写真処理装置と1台以上の端末処理装置とがネットワーク手段により接続されている。端末処理装置は、入力された画像データに対して画像処理を行う機能を有し、写真処理装置は、その画像処理の結果得られたデータに基づいて写真プリントを作成する機能を有する。そして、写真処理装置で設定されている設定データが管理手段により管理されており、その設定データが変更された際には、管理手段より通知指令が送られる。通知指令は、端末処理装置の通知手段に送られ、写真処理装置で設定データが変更されたことが通知される。これにより、オペレータは、写真処理装置で設定データが変更されたことを適時に知ることができ、端末処理装置の設定データを適宜に更新して、写真処理装置の設定データに整合させることができる。
【0010】
本発明に係る画像形成システムを構成するにあたり、前記管理手段が、予め指定された前記端末処理装置に前記通知指令を送るものが好ましい。
【0011】
例えば、複数台の写真処理装置と複数台の端末処理装置とがネットワーク手段に接続されており、プリント処理に係るデータの送受信が特定の組み合わせで行われる場合では、或る端末処理装置の設定データは、ネットワーク手段に接続された全ての写真処理装置の設定データと整合している必要はなく、プリント処理に係る特定の写真処理装置の設定データとだけ整合しておけばよい。そのような場合に、上記構成によれば予め指定された端末処理装置に通知指令が送られるため、不必要な通知指令が回避され、プリント処理に係る特定の写真処理装置の設定データに効果的に整合させることができる。
【0012】
本発明に係る画像形成システムを構成するにあたり、前記端末処理装置に設けられ、前記管理手段に対して通知指令要求を行う通知指令要求手段を備えるとともに、前記管理手段が、予め通知指令要求が行われた前記端末処理装置に前記通知指令を送るものが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、予め通知指令要求を行った端末処理装置に対して、管理手段からの通知指令が送られる。したがって、上述したような、端末処理装置の設定データを、プリント処理に係る特定の写真処理装置の設定データとだけ整合しておけばよい場合などに、不必要な通知指令が回避され、プリント処理に係る特定の写真処理装置の設定データに効果的に整合させることができる。また、端末処理装置から通知指令要求を行うことにより、容易かつ効率的に通知指令の送り先を指定することができる。
【0014】
本発明に係る画像形成システムを構成するにあたり、前記端末処理装置に設けられ、その端末処理装置で設定されている設定データを更新する更新手段を備えるとともに、前記通知手段が、前記写真処理装置で設定データが変更された旨のメッセージと、前記更新手段による更新を指示する更新指示手段と、を表示手段に表示することで通知を行うものが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、写真処理装置の設定データが変更された場合に、その写真処理装置で設定データが変更された旨のメッセージと、更新手段による更新を指示する更新指示手段とが表示されることにより、オペレータは、写真処理装置で設定データが変更されたことを的確に知ることができると共に、端末処理装置に設定されている設定データの更新を速やかに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る画像形成システムの好適な実施形態を図面を用いて説明する。
【0017】
<画像形成システムの構成>
図1は、画像形成システムの概要を示す模式図である。本発明に係る画像形成システムは、写真処理装置1と、端末処理装置2と、それらを接続するネットワーク3(前記ネットワーク手段に相当する。)とを備えている。写真処理装置1及び端末処理装置2は、ネットワーク3にそれぞれ1台又は複数台が接続される。接続する台数は特に限られるものではなく、任意に設定することができる。ネットワーク3は、例えばイーサネット(登録商標)等のLANにより構築されるとともに、インターネット4を介してサーバー5と接続可能に構成されている。写真処理装置1と端末処理装置2とは距離的に離れた場所に設置することができ、例えば別々のフロアに設置することができる。
【0018】
次に、写真処理装置1の機能を簡単に説明する。写真処理装置1は、入力された画像データに対して画像処理を行う機能を有し、更に、画像処理の結果得られたデータ(画像処理データ)に基づいて写真プリントを作成する機能を有する。写真処理装置1に入力される画像データとしては、写真処理装置1に直接入力されるものと、ネットワーク3を介して入力されるものがある。
【0019】
写真処理装置1に直接入力される画像データとしては、例えば、現像済み写真フィルムのコマ画像をスキャナー装置6により読み取り入力された画像データが挙げられる。入力された画像データは、写真処理装置1に設けられた第1画像処理部10(図2参照)によって種々の画像処理が施される。そして、画像処理の結果得られた画像処理データに基づいてプリント用画像データが生成され、それを用いて写真プリントが作成される。
【0020】
一方、写真処理装置1にネットワーク3を介して入力される画像データとしては、端末処理装置2から送信されてくる画像データが挙げられる。端末処理装置2は、例えば、汎用のパソコンシステムにより構成することができる。但し、これに限定されるものではなく、特定の機能に特化したコンピュータにより構成してもよい。ここで、端末処理装置2の機能を簡単に説明する。端末処理装置2に入力される画像データは、主にデジタルカメラ等の記憶媒体やCD−R、MO等の記録媒体に格納された画像データである。端末処理装置2には、これらの媒体から画像データを取得するためのドライブ装置が設けられる。端末処理装置2に入力された画像データは、その端末処理装置2に設けられた第2画像処理部40(図3参照)によって種々の画像処理が施される。かかる画像処理の結果得られた画像処理データは、ネットワーク3を介して写真処理装置1に送信される。そして、上述のように写真処理装置1にてプリント用画像データが生成され、それを用いて写真プリントが作成される。
【0021】
本発明に係る画像形成システムは、インターネット4を介してサーバー5に接続可能に構成されており、このサーバー5により、顧客からのプリント注文をオンラインで受け付けることができる。すなわち、写真プリントを作成したい顧客により画像データがサーバー5にアップロードされると、ラボ店は、そのアップロードされた画像データを適宜のタイミングでダウンロードして、写真プリントを作成することができる。また、サーバー5には、オンラインアルバムを顧客に対して提供する機能も有する。なお、ダウンロードした画像データは、例えば、端末処理装置2内に保存される。
【0022】
<画像形成システムの機能ブロック構成>
<写真処理装置の機能ブロック構成>
次に、画像形成システムの主要な機能について説明する。まず、図2に示す機能ブロック図を用いて写真処理装置1の主要な機能を説明する。
【0023】
スキャナー装置6は、現像済み写真フィルムに形成されているコマ画像などから画像データを読み取る機能を有し、データ読み取り用の光源やCCDラインセンサー(いずれも不図示)等を備えている。画像入力装置7は、デジタルカメラの記憶媒体やCD−R、MO等の記録媒体などに格納された画像データを取得する機能を有する。入力された画像データは、画像データ記憶部8に一時的に記憶・保持される。
【0024】
入力された画像データは、直ちに写真プリントの作成に用いられるのではなく、第1画像処理部10により種々の画像処理が施される。本実施形態の第1画像処理部10は、ソフトウェアにより構成されており、GUI11と、画像処理手段12と、ハード制御手段13とを備えている。
【0025】
GUI11は、グラフィカル・ユーザー・インターフェイスであり、モニター画面を通じて画像処理に関するデータ入力操作等を行うことができる。入力された画像データはモニター15の画面に表示され、オペレータは、その画面を見ながら適切な画像の写真プリントが作成されるかどうかの判断(プレジャッジ)を行うことができる。そして、オペレータは、例えば色・濃度の補正を行なうべきであると判断した画像については、キーボード16やテンキー(不図示)などの補正データ入力手段を介して補正データを入力することができる。補正データを入力した場合、その補正データに基づいて修正された画像がモニター画面にリアルタイムで表示されるため、オペレータは、補正画像を確認しながら試行錯誤的に画像処理を行うことができる。最終的に確定した補正データは、補正データ記憶部9に一旦記憶・保持される。
【0026】
画像処理手段12は、入力された補正データに基づいて画像処理を行う機能を有する。上述のように、画像処理された結果の画像は、モニター15の画面に表示される。プレジャッジでは、色・濃度の補正に限られず、例えば、階調補正や逆光補正などの特殊補正、画像回転、画像反転(左右・上下)、トリミングなども行われる。したがって、補正データには、色・濃度の補正に関するものだけでなく、種々の補正に関するパラメータが含まれる。
【0027】
画像処理の結果、入力された画像データに対して適切な補正データが確定すると、画像データに補正データが付随した形のデータ(画像処理データ)が得られる。画像処理データの形態は、特定のものに限定されるものではない。また、画像処理が行われない場合においても、入力された画像データには所定の補正データが付随するため画像処理データが得られる。
【0028】
ハード制御手段13は、ハードウェアである画像処理基板20に対する制御を行う機能を有する。第1画像処理部10での画像処理の結果得られた画像処理データは、画像処理基板20に送信され、プリント用画像データの生成に用いられる。なお、画像処理基板20に送られる画像処理データは、第1画像処理部10による画像処理で得られたものに限られず、後述するように、第2画像処理部40による画像処理で得られた画像処理データとなる場合がある。
【0029】
第1画像処理部10で画像処理を行った場合、画像処理データを直ちに画像処理基板20に送ってプリント処理を行ってもよいが、あとで適当な時間帯に行うようにすることもできる。そこで、本実施形態では、オーダーデータ蓄積部17にデータを蓄積するように構成されている。オーダーの概念については、ラボ店において適宜設定することができるものであるが、例えば、写真フィルム1本、記録媒体1個を1オーダーとして扱うことができる。
【0030】
次に、画像処理基板20について説明する。本実施形態の画像処理基板20には、受信メモリ21、画像処理手段22、送信メモリ23及びファームウェア24が設けられている。画像処理基板20は、実際に焼付露光に用いるためのプリント用画像データを生成する機能を有する。受信メモリ21は、送信されてきた画像処理データを受け取る機能を有する。画像処理手段22は、第1画像処理部10の画像処理手段12とは異なり、ハードウェアにより構成されている。ハードウェアの基本的な制御はファームウェア24によって行われる。ファームウェア24による処理内容は、画像処理データに含まれる補正データに基づいて設定することができ、これに基づいてプリント用画像データを生成する処理が行われる。
【0031】
画像処理手段22において行われる画像処理は、補正データに基づいて色や濃度を補正した補正画像データを生成するだけでなく、作成するべきプリントサイズと同じサイズのデータとなるような拡大縮小処理、あるいは、画像の縦横を変換する回転処理、必要に応じて行われる赤目補正や逆光補正等の特殊補正、仕上がりの写真プリントの色合いとモニター画面における色合いを合わせるためのカラーマッチング補正、現像処理液の種類や経時変化を考慮した補正等があげられる。画像処理手段22により処理された結果得られたプリント用画像データは、送信メモリ23に送られる。
【0032】
次に、写真処理装置1のプリンタプロセッサー部の構成を簡単に説明する。ペーパーマガジン30には、写真感光材料である長尺状ペーパーがロールの形態で収容される。ペーパーマガジン30は、写真処理装置1に複数台取り付けることができる。これにより、サイズが異なる複数種類のペーパーを予め用意しておくことができる。ペーパーマガジン30から引き出されたペーパーは、所定の搬送経路に沿って搬送され、搬送経路途上に設けられたペーパーカッター31により、所定のプリントサイズに切断される。
【0033】
露光エンジン32は、画像処理基板20の送信メモリ23から転送されてきたプリント用画像データを用いて、ペーパーの乳剤面に画像を焼付露光する機能を有する。露光エンジン32は、一定速度で副走査方向に搬送されるペーパーに対して、露光光を主走査方向に走査することで潜像を形成させる。露光エンジン32としては、種々の構造のものを採用することができ、例えば、レーザーエンジン、PLZTエンジン、CRTエンジン等を採用することができる。
【0034】
露光エンジン32により画像を焼付露光されたペーパーは、現像処理部33で現像処理が行われた後、乾燥処理部34で乾燥処理が行われ、仕上がりの写真プリントがペーパー排出部35から装置外部に排出される。排出された写真プリントは、例えば1オーダー単位で不図示の集積部に集積される。
【0035】
写真処理装置1では、以上に説明したような画像処理およびプリント処理を行うにあたり、種々の設定データを設定しておく必要がある。設定データとしては、例えばプリントチャンネルに関するデータが挙げられる。プリントチャンネルとは、プリントサイズや画像データの取得元(デジタルカメラ等の記憶媒体のデータか、ネガフィルムからのデータか等)などを登録したものである。したがって、デジタルカメラから取得された画像データに基づいて、特定のプリントサイズの写真プリントを作成しようとする場合は、それに適したプリントチャンネルを選択する必要があり、そのためには、そのようなプリントチャンネルを予め設定しておく必要がある。
【0036】
その他の設定データとしては、プロファイルが挙げられる。プロファイルとは、ペーパーに正しい色彩の画像を表現するために使用されるデータである。プロファイルは、ペーパー特性に応じて変化するものであるため、使用するペーパーの種類(面質やメーカーなど)を変更した場合には、変更後のペーパーに対応するプロファイルを設定する必要がある。更に、設定データとしては、画像処理作業でキーボード16から補正データを入力する場合のキー操作1回あたりの変化量が挙げられる。例えば、キーボード16の特定のキーを1回押すと、Y色が「+1」だけ変化するところを「+1.5」変化するように設定することもできる。本実施形態では、以上のような写真処理装置1の設定データに関する情報が、設定データ情報保存部14に保存されている。
【0037】
管理手段18は、設定データ情報保存部14に保存されている情報を管理する機能を有する。そして、管理手段18は、写真処理装置1で設定されている設定データが変更された場合に通知指令を送出し、かかる通知指令は、データ通信部26とネットワーク3を介して、次に説明する端末処理装置2の通知手段53に送られる。通知指令は、ネットワーク3に接続された全ての端末処理装置2に送られるものでも構わないが、予め管理手段18において指定された端末処理装置2に送られることが好ましい。これにより、プリント処理に係る特定の端末処理装置2を通知指令の送り先とすることができ、不必要な通知指令の送信を回避することができる。なお、かかる端末処理装置2の指定は、例えばキーボード16を介して適宜に変更することができる。
【0038】
<端末処理装置の機能ブロック構成>
次に、図3に示す機能ブロック図を用いて端末処理装置2の主要な機能を説明する。第2画像処理部40は、写真処理装置1の第1画像処理部10と同様に、ソフトウェアにより構成され、入力された画像データに対して画像処理を行う機能を有する。GUI41、画像処理手段42は、第1画像処理部10に設けられたGUI11、画像処理手段12と同じ機能を有し、オペレータは、モニター44(前記表示手段に相当する。)の画面を見ながら、キーボード45を用いて補正データを入力することができる。第2画像処理部40による画像処理の結果得られた画像処理データは、ネットワーク制御手段43の機能に基づいて、ネットワーク3を経由して写真処理装置1に送信することができる。
【0039】
画像入力装置47は、デジタルカメラの記憶媒体などから画像データを取得する機能を有する。入力された画像データは、画像データ記憶部48に一旦記憶・保持される。また、第2画像処理部40による画像処理で得られた補正データは、補正データ記憶部49に一旦記憶・保持される。画像データ記憶部48と補正データ記憶部49については、図2に示した画像データ記憶部8及び補正データ記憶部9と同じ構成である。
【0040】
第2画像処理部40による画像処理の結果得られた画像処理データを用いて写真プリントを作成する際、直ちにプリント処理を行ってもよいが、後でまとめてプリント処理を行いたい場合もある。そのため、図2に示したオーダーデータ蓄積部17と同様に、オーダーデータ蓄積部50が設けられており、ここにオーダーデータを蓄積しておくことができる。
【0041】
設定データ情報保存部46には、端末処理装置2の設定データに関する情報が保存されている。設定データについては既に説明したとおりである。端末処理装置2で設定される設定データは、基本的に、写真処理装置1で設定されている設定データと同じ内容に設定され、写真処理装置1との整合が図られている。これにより、写真処理装置1と端末処理装置2とで同じ条件下で画像処理等の作業を行うことができ、写真処理装置1と端末処理装置2のいずれで画像処理を行ったとしても、同じ品質の写真プリントが得られるようにしている。
【0042】
更新手段54は、写真処理装置1の設定データを読み込み、端末処理装置2の設定データを更新する機能を有する。したがって、オペレータは、写真処理装置1で設定データが変更されたことを知った場合には、更新手段54の機能に基づいて、端末処理装置2の設定データを更新し、写真処理装置1に整合させることができる。
【0043】
本発明では、上述のように、写真処理装置1で設定されている設定データが変更された場合、管理手段18から通知指令が送出され、端末処理装置2に送られる。端末処理装置2に送られてきた通知指令は、データ通信部51を介して通知手段53に送られる。通知手段53は、通知指令に応じて写真処理装置1で設定データが変更されたことを通知する機能を有する。これにより、オペレータは、写真処理装置1で設定データが変更されたことを容易かつ適時に知ることができ、端末処理装置2の設定データを適宜に更新することができる。
【0044】
通知手段53による通知は、例えば次のようにして行うことができる。図4は、端末処理装置2のモニター44に表示される画面の一例であり、画像データの入力が行われるときに表示されるオーダー画面を示したものである。図4の例では、管理手段18からの通知指令に応じて、通知手段53の機能により、画面60下部のステータスバー61に、写真処理装置1で設定データが変更された旨のメッセージが表示されている。更に、ステータスバー61には、端末処理装置2の設定データの更新を行うための実行ボタン62(更新指示手段に相当する。)が表示されている。オペレータが実行ボタン62の「YES」を選択すると、更新手段54の機能に基づいて写真処理装置1の設定データを読み込み、端末処理装置2の設定データが更新される。一方、「NO」を選択すると、端末処理装置2の設定データの更新は保留される。更新を保留した場合、オペレータは後で任意のタイミングで更新を行うことができるが、更新し忘れを防ぐために、端末処理装置2の設定データが更新されるまで上記メッセージを表示させておくことが好ましい。
【0045】
通知指令要求手段55は、写真処理装置1に設けられた管理手段18に対して、通知指令要求を行う機能を有する。かかる通知指令要求は、任意のタイミングで行うことができ、管理手段18は、写真処理装置1で設定データが変更された場合に、予め通知指令要求が行われた端末処理装置2に通知指令を送るように構成されている。これにより、プリント処理に係る特定の端末処理装置2を通知指令の送り先とすることができ、不必要な通知指令の送信を回避することができる。また、通知指令要求を行うことにより、端末処理装置2から容易かつ効率的に通知指令の送り先を指定することができる。
【0046】
第2画像処理部40による画像処理の結果得られた画像処理データは、データ通信部51を介してネットワーク3に送出され、写真処理装置1に送信される。本発明では、写真処理装置1で設定されている設定データが変更されていたとしても、その旨の通知が端末処理装置2でなされているため、端末処理装置2の設定データが適宜に更新されうる。その結果、端末処理装置2からの画像処理データが、写真処理装置1において適切に処理され、オペレータの意図したプリント出力結果が好適に得られる。
【0047】
画像データ書き込み装置52は、CD−RやDVD等の記録媒体に画像データを書き込む機能を有する。上記記録媒体に画像データを書き込む場合、データ通信部51から出力される画像データは画像データ書き込み装置52へと転送される。画像データ書き込み装置52へ転送されるデータは、画像データと補正データではなく、補正データにより補正された補正画像データが転送されることになる。この補正画像データを生成する処理は、端末処理装置2においてソフトウェア的に行われる。
【0048】
<画像形成システムによる写真プリントの作成手順>
次に、上述の画像形成システムにおいて、端末処理装置2に入力された画像データを用いて写真プリントを作成する手順を説明する。まず、図5に示すように、端末処理装置2に設けられた画像入力装置47を介して、デジタルカメラの記憶媒体などから画像データが入力される(#1)。入力された画像はモニター44に表示され、オペレータによるプレジャッジ作業が行われる。そして、画像の色・濃度などが適切でないと判定された場合には、キーボード45を介して種々の補正データが入力される(#2)。画像処理の結果得られた画像処理データは、オーダーデータ蓄積部50に保存された後、ネットワーク3を経由して写真処理装置1に送信される(#3)。
【0049】
写真処理装置1に送信された画像処理データは、データ通信部26を介して画像処理基板20に転送される。画像処理基板20では、その画像処理データに基づいてプリント用画像データが生成される(#4)。生成されたプリント用画像データは、露光エンジン32に送信され、ペーパーに画像が焼付露光される(#5)。焼付露光されたペーパーは、現像処理および乾燥処理が施された後(#6)、仕上がりの写真プリントとして装置外部に排出される(#7)。
【0050】
本発明の画像形成システムによれば、写真処理装置1で設定されている設定データが変更されたことが、端末処理装置2で適時に通知されるため、オペレータは、写真処理装置1での設定データの変更に応じて、端末処理装置2の設定データを適宜に更新したうえで、プリント処理を行うことができる。
【0051】
<通知手段による通知処理手順>
次に、通知手段53による通知処理手順について、図6のフローチャートを用いて説明する。まず、写真処理装置1で設定されている設定データが変更される(#11)。かかる設定データの変更は、使用するペーパーの種類が変更される等の理由により、任意のタイミングで行われる。設定データが変更されると、管理手段18より通知指令が送出され(#12)、端末処理装置2の通知手段53に送られる。ネットワーク3に複数台の端末処理装置2が接続されている場合、通知指令の送り先となる端末処理装置2は、管理手段18において指定された端末処理装置2とするものが好ましい。または、通知指令要求手段55より予め通知指令要求が行われた端末処理装置2とするものが好ましい。
【0052】
通知指令が端末処理装置2の通知手段53に受け取られると(#13)、モニター44の画面に、写真処理装置1で設定データが変更された旨のメッセージと実行ボタン62とが表示され、通知が行われる(#14)。オペレータは、モニター44の画面に表示されたメッセージより、写真処理装置1で設定データが変更されたことを知ることができる。また、端末処理装置2の設定データを更新する場合は、表示された実行ボタン62を用いて、端末処理装置2の設定データを速やかに更新することができる(#15、16)。なお、実行ボタン62を用いての更新を一旦保留し、後で任意のタイミングで更新を行っても構わない。
【0053】
<別実施形態>
(1)前述の実施形態では、管理手段18が写真処理装置1に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、端末処理装置2に設けられるものでもよく、ネットワーク3に接続された他の装置に設けられるものでも構わない。
【0054】
(2)前述の実施形態では、通知手段53による通知が、オーダー画面において行われる例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、プレジャッジが行われるときに表示されるジャッジ画面において、上記の通知が行われるものでもよい。
【0055】
(3)通知手段53による通知は、前述の実施形態で示したようなモニター表示によるものに限られず、例えば、警告音や警告ランプ、またはそれらとモニター表示とを組み合わせたものでもよい。また、オペレータが携帯するモバイル機器に対して、電子メールを送信することにより通知するものでも構わない。いずれの通知を行うかは任意に設定することができる。
【0056】
(4)前述の実施形態では、写真処理装置1において、写真感光材料であるペーパーを現像処理して写真プリントを作成する例を示したが、本発明の画像形成システムはこれに限られるものではなく、例えば、インクジェットタイプのような現像処理液を使用しないで写真プリントを作成するドライ方式を採用してもよい。また、写真処理装置1に、CD−RやDVD等の記録媒体に画像データを書き込むための画像データ書き込み装置を設けてもよい。
【0057】
(5)本発明に係る画像形成システムは、画像処理部と、写真プリントを作成するプリント処理部とが一体化された構造でなくても構わない。即ち、画像処理部とプリント処理部とを切り離した構造とし、通信回線により接続するものでもよい。
【0058】
(6)前述の実施形態では、設定データ情報保存部14が、図2に示すように写真処理装置1内に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られず、設定データ情報保存部14が写真処理装置1に付設される構成であってもよい。つまり、写真処理装置1の外部に設けられた設定データ情報保存部14が、結線により写真処理装置1に接続される構成も、「写真処理装置に設けられる」という構成に含まれる。また、端末処理装置2に設けられる通知手段53についても同様であり、端末処理装置2の外部に設けられた通知手段53が、結線により端末処理装置2に接続される構成も、「端末処理装置に設けられる」という構成に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】画像形成システムの概要を示す模式図
【図2】写真処理装置の構成を示す機能ブロック図
【図3】端末処理装置の構成を示す機能ブロック図
【図4】モニター画面の一例を説明する図
【図5】写真プリントの作成手順の一例を示すフローチャート
【図6】通知手段による通知処理手順の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0060】
1 写真処理装置
2 端末処理装置
3 ネットワーク
6 スキャナー装置
7 画像入力装置
10 第1画像処理部
14 設定データ情報保存部
15 モニター
16 キーボード
18 管理手段
20 画像処理基板
30 ペーパーマガジン
32 露光エンジン
40 第2画像処理部
44 モニター
45 キーボード
46 設定データ情報保存部
47 画像入力装置
53 通知手段
54 更新手段
55 通知指令要求手段
60 モニター画面
61 ステータスバー
62 実行ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対する画像処理の結果得られるデータに基づいて写真プリントを作成する機能を有する写真処理装置と、入力された画像データに対して画像処理を行う機能を有する端末処理装置と、1台以上の前記写真処理装置と1台以上の前記端末処理装置とが接続されるネットワーク手段と、を備えた画像形成システムにおいて、
前記写真処理装置に設けられ、その写真処理装置の設定データに関する情報が保存される設定データ情報保存部と、
前記設定データ情報保存部に保存された情報を管理し、前記写真処理装置で設定されている設定データが変更された場合に、前記端末処理装置に通知指令を送る管理手段と、
前記端末処理装置に設けられ、前記管理手段からの通知指令に応じて、前記写真処理装置で設定データが変更されたことを通知する通知手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記管理手段が、予め指定された前記端末処理装置に前記通知指令を送る請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記端末処理装置に設けられ、前記管理手段に対して通知指令要求を行う通知指令要求手段を備えるとともに、
前記管理手段が、予め通知指令要求が行われた前記端末処理装置に前記通知指令を送る請求項1又は2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記端末処理装置に設けられ、その端末処理装置で設定されている設定データを更新する更新手段を備えるとともに、
前記通知手段が、前記写真処理装置で設定データが変更された旨のメッセージと、前記更新手段による更新を指示する更新指示手段と、を表示手段に表示することで通知を行う請求項1〜3いずれか1項に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−146659(P2006−146659A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337281(P2004−337281)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】