説明

画像形成システム

【課題】再RIPを要する印刷ジョブについても、出力指示を出した時点の出力順位を確保することのできる画像形成システムを提供する。
【解決手段】出力指示を受けた印刷ジョブは再RIPの要否に係らずプリントキューの末尾に登録する。プリントキュー先頭ジョブが再RIP中の場合は、当該印刷ジョブの再RIPに要する時間と、次ジョブの印刷に要する予測時間とを比較し、予測時間<再RIP時間 の場合に次ジョブを先に実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラスタライズ処理によってイメージデータを生成するプリンタコントローラと、このプリンタコントローラで生成されたイメージデータに基づいて画像形成する画像形成装置とを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コードデータやベクトルデータで文字や図形を記述(たとえば、PDL(Page Description Language)で記述)した印刷データに係る印刷処理は、プリンタコントローラにて印刷データをラスタライズ処理(RIP(Raster Image Process)とも呼ぶ。)してビットマップ形式のイメージデータを生成し、プリンタコントローラから該イメージデータを含む印刷ジョブのデータを画像形成装置に送信し、画像形成装置にて該データに基づく画像を用紙上に形成するという流れで行われる。
【0003】
また、画像形成装置にハードディスク装置など大容量の記憶部を設けておき、プリンタコントローラから受信した印刷ジョブのデータを記憶部に一旦保存し、該保存した印刷ジョブに対して画像形成装置の表示操作部から各種の編集操作を行い得るように構成される場合もある(特許文献1、2、3参照)。編集操作としては、たとえば、片面/両面印刷や出力トレイに関する設定の変更、穴あけ・折り・綴じに関する設定の変更、色調や紙種に関する設定の変更などが考えられる。
【0004】
これら編集操作の中には画像形成装置側で行う処理のみで対応可能なもの(たとえば、出力トレイの変更)と、色調の変更のように、画像形成装置側の処理のみでは対応できず、プリンタコントローラでのラスタライズ処理によるイメージデータの生成し直し(以後、再RIPとも呼ぶ。)を要するものがある。
【0005】
そこで、画像形成装置は、保存している印刷ジョブに対して何らかの編集操作を受けた場合、その編集操作によって再RIPが必要となったか否かを判断し、必要と判断した場合はプリンタコントローラに対して再RIPを要求する。再RIPの要求を受けたプリンタコントローラは該要求に従って再RIPを行い、生成したイメージデータを画像形成装置に送信するように構成される。
【0006】
【特許文献1】特開2004−86809号公報
【特許文献2】特開2004−86810号公報
【特許文献3】特開2004−86811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、画像形成装置は、プリントキューを有し、新たな印刷ジョブはプリントキューの末尾に登録し、プリントキューの先頭から印刷ジョブを順次実行することで、画像形成待ちの印刷ジョブの実行順序を管理している。
【0008】
プリントキューには、原則として、画像形成を実行可能な状態の印刷ジョブが登録される。この原則に従うと、再RIPを要する印刷ジョブは再RIPの完了後にプリントキューに登録されることになる。すなわち、図10に示すように、画像形成装置は保存している印刷ジョブに対する編集操作および出力指示を受け付け(ステップS501)、この編集操作によって再RIPが必要となった場合はその印刷ジョブの再RIPをプリンタコントローラに要求する(ステップS502)。プリンタコントローラはこの要求に従って印刷ジョブに係る再RIPを行い(ステップS511)、再RIPが完了すると(ステップS512)該再RIPの完了した印刷ジョブを画像形成装置に送信する(ステップS513)。再RIPの完了した印刷ジョブを受信した画像形成装置はその印刷ジョブをプリントキューの末尾に登録する(ステップS503)。
【0009】
したがって、図10の破線で示すように、ユーザが出力指示した時点(T1)から再RIPの完了時点(T2)までの間に、再RIPの不要な他の印刷ジョブに対する出力指示がなされると、その印刷ジョブが先にプリントキューに登録されてしまい、再RIPした印刷ジョブの画像形成が後回しにされてしまうという問題が生じる。
【0010】
また、印刷ジョブの待ち状況を確認するためにプリントキューの状態を画面に表示させると、再RIP中の印刷ジョブはプリントキューに未登録であるため表示されないので、出力指示を出したにも係らずジョブが存在しないと認識してユーザは混乱してしまう。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、再RIPを要する印刷ジョブについても、出力指示を出した時点の出力順位を確保することのできる画像形成システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0013】
[1]印刷ジョブに係るイメージデータをラスタライズ処理によって生成するプリンタコントローラと、前記プリンタコントローラから前記イメージデータを含む前記印刷ジョブのデータを受信して該印刷ジョブに係る画像形成を行う画像形成装置とを備えた画像形成システムにおいて、
前記プリンタコントローラは、前記印刷ジョブに係るイメージデータをラスタライズ処理によって生成し直す作業である再RIPに必要なデータを保存部に保存し、前記画像形成装置から再RIPの要求を受けた場合は前記保存部に保存されているデータに基づいて前記要求に係る再RIPを実行してその生成したイメージデータを前記画像形成装置に送信し、
前記画像形成装置は、
記憶部と、
表示操作部と、
画像形成待ちの印刷ジョブが登録されるプリントキューと、
印刷ジョブに係る画像形成を行う画像形成部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、前記プリンタコントローラから受信した印刷ジョブのデータを前記記憶部に保存させ、前記記憶部に保存されている印刷ジョブに対して前記表示操作部を通じて編集操作と画像形成の開始指示を受け付け、画像形成の開始指示を受けた印刷ジョブをプリントキューの末尾に登録すると共にその印刷ジョブが前記編集操作を受けたことによって再RIPを要する場合はこの印刷ジョブに対する再RIPの実行を前記プリンタコントローラに要求し、プリントキューの先頭から印刷ジョブを順次取り出してその印刷ジョブに係る画像形成を前記画像形成部に行わせると共に、この際、プリントキューの先頭の印刷ジョブが再RIP中の印刷ジョブの場合は当該印刷ジョブに係る再RIPの完了を待ってから当該印刷ジョブに係る画像形成を前記画像形成部に行わせる
ことを特徴とする画像形成システム。
【0014】
上記発明では、画像形成の開始指示を受けると、その印刷ジョブを再RIPの要否に係らずプリントキューの末尾に登録し、再RIPを要する場合はこの印刷ジョブに対する再RIPの実行をプリンタコントローラに要求する。制御部は、プリントキューの先頭から印刷ジョブを順次取り出してその画像形成を画像形成部に行わせるが、プリントキュー先頭の印刷ジョブが再RIP中の印刷ジョブの場合には、当該印刷ジョブに係る再RIPの完了を待ってから当該印刷ジョブに係る画像形成を画像形成部に行わせる。
【0015】
このように、画像形成の開始指示を受けた場合はその印刷ジョブを再RIPの要否に係らずプリントキューに登録するので、再RIPを要する印刷ジョブについても、画像形成の開始指示を行った時点における出力順位が確保される。
【0016】
[2]前記制御部は、プリントキューの先頭の印刷ジョブが再RIP中の印刷ジョブの場合は、当該再RIP中の印刷ジョブの再RIPに要する時間とプリントキューに登録されている後続の印刷ジョブの画像形成に要する予測時間とを比較し、前記予測時間が前記再RIPに要する時間より短い場合は前記再RIP中の印刷ジョブより先に前記後続の印刷ジョブに係る画像形成を前記画像形成部に行わせる
ことを特徴とする[1]に記載の画像形成システム。
【0017】
上記発明では、プリントキュー先頭になった印刷ジョブが再RIP中であり、その再RIPに要する時間より、後続の印刷ジョブの印刷に要する予測時間が短い場合は、当該後続の印刷ジョブに係る画像形成を先に実行させる。これにより、再RIP完了待ちの時間が有効に利用される。再RIPに要する時間は、再RIP開始から完了までの時間でもよいし、プリントキューの先頭になってから再RIP完了までの残り時間としてもよい。
【0018】
[3]前記再RIPに要する時間は、前記再RIP中の印刷ジョブの再RIP完了までの残り時間である
ことを特徴とする[2]に記載の画像形成システム。
【0019】
[4]前記プリンタコントローラは、イメージデータの生成に要した時間を示すRIP時間情報を前記印刷ジョブのデータに含めて前記画像形成装置に送信し、
前記制御部は、前記RIP時間情報に基づいて前記再RIPに要する時間を求める
ことを特徴とする[2]または[3]に記載の画像形成システム。
【0020】
上記発明では、プリンタコントローラはラスタライズ処理によるイメージデータの生成に要した時間を示すRIP時間情報を画像形成装置に送信し、画像形成装置はこのRIP時間情報に基づいて再RIPに要する時間を求める。RIP時間情報は印刷ジョブ全体としての処理時間を示すものでもよいし、ページ単位でもよい。後者の場合、画像形成装置からプリンタコントローラに対して再RIPをページ単位に要求する場合に、再RIPに必要な処理時間をより正確に求めることができる。
【0021】
[5]前記後続の印刷ジョブは、前記再RIP中の印刷ジョブの直後の印刷ジョブのみとする
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1つに記載に画像形成システム。
【0022】
上記発明では、再RIP中の印刷ジョブより先に画像形成される印刷ジョブの候補は、プリントキュー内で再RIP中の印刷ジョブの直後にある印刷ジョブのみに制限され、それより後ろの印刷ジョブは候補にされない。なお、直後の印刷ジョブの実行が完了した場合、この印刷ジョブの次の順位の印刷ジョブが新たに再RIP中の印刷ジョブの直後の印刷ジョブになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る画像形成システムによれば、再RIPを要する印刷ジョブについても、出力指示を出した時点の出力順位を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システム5のシステム構成を示している。画像形成システム5は、プリンタコントローラ10と画像形成装置20を備えて構成される。プリンタコントローラ10は、パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置2とLAN(Local Area Network)などのネットワーク3を介して接続されており、情報処理装置2から送られてくる印刷ジョブに係るイメージデータをラスタライズ処理によって生成する処理(RIP処理)を実行する機能を果たす。イメージデータはビットマップ形式の画像データである。
【0026】
プリンタコントローラ10が情報処理装置2から受信する印刷ジョブは、文字や図形をコードデータやベクトルデータで表した印刷データ、たとえば、PDLで記述された印刷データを含むものであり、ラスタライズ処理(RIP処理)はコードデータやベクトルデータで構成される印刷データをビットマップ形式のイメージデータに展開する処理である。
【0027】
画像形成装置20は、プリンタコントローラ10からイメージデータを含む印刷ジョブのデータ(以後、これをジョブデータと呼ぶ。)を受信し、該イメージデータに基づいて用紙上にカラー画像またはモノクロ画像を形成して出力するプリント出力機能を果たす。ここでは、画像形成装置20はプリント出力機能のほかに、原稿を光学的に読み取りその複製画像を用紙上に形成するコピー機能などを備えた、所謂、デジタルカラー複合機として構成されている。
【0028】
プリンタコントローラ10は、当該プリンタコントローラ10の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)11と、ネットワーク3に接続するための通信機能を果たすLANIF部12と、RIP処理により生成したイメージデータなどを記憶する画像メモリ13と、ネットワーク3から受信した印刷データやRIP処理の処理過程で生成される中間データなどを蓄積するハードディスク装置(HDD)14と、画像メモリ13へのデータのリード/ライト機能および画像形成装置20との間で各種データの送受信機能を果たすDRAM制御部15とを有している。
【0029】
このほか、図示省略してあるが、CPU11には、当該CPU11が読み出して実行するプログラムや固定データを記憶したROM(Read Only Memory)およびCPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するためのワークメモリなどが接続されている。
【0030】
図2は、画像形成装置20の概略の機械構成を示している。画像形成装置20は、自動原稿送り装置21を備えたスキャナ部22と、表示操作部23と、用紙上に画像を形成して出力するプリンタ部24と、主制御部50を備えて構成される。
【0031】
自動原稿送り装置21は、原稿載置トレイ21aに積載された原稿Jを1枚ずつスキャナ部22の読取箇所に送り込み、読み取りの済んだ原稿Jを排紙トレイ21bに排出する機能を果たす。
【0032】
スキャナ部22は、原稿Jをカラーもしくはモノクロで光学的に読み取って対応する画像データを取得する機能を果たす。スキャナ部22は、光源とミラーとから成る露光走査部と、原稿からの反射光を受光しその光強度に応じた電気信号を色別に出力するカラーのラインイメージセンサ22aと、原稿からの反射光をラインイメージセンサ22aへ導く各種のミラーや集光レンズなどを備えている。スキャナ部22は、自動原稿送り装置21によって原稿を搬送することにより原稿を読み取り位置に対して相対移動させながら読み取る流し読み形式のほか、原稿をプラテンガラス上に載置した状態で読み取ることができる。
【0033】
プリンタ部24は、タンデム型の画像形成部を備えており、無端環状の中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31上にそれぞれ単一色のトナー像を形成する複数の像形成部40Y、40M、40C、40Kと、画像形成される用紙を給紙する給紙部32と、給紙された用紙を搬送する搬送部33と、定着装置34とを備えている。
【0034】
像形成部40Yは、イエロー(Y)色の画像を中間転写ベルト31上に形成し、像形成部40Mは、マゼンタ(M)色の画像を中間転写ベルト31上に形成し、像形成部40Cは、シアン(C)色の画像を中間転写ベルト31上に形成し、像形成部40Kは、ブラック(K)色の画像を中間転写ベルト31上に形成するものである。
【0035】
像形成部40Yは、表面に静電潜像が形成される円筒状の静電潜像担持体としての感光体41Yと、その周囲に配置された帯電装置42Yと現像装置43Yとクリーニング装置44Yとを有する。またレーザーダイオードと、ポリゴンミラーと、各種レンズおよびミラー等で構成されたレーザーユニット45Yを備えている。
【0036】
感光体41Yは、図示省略の駆動部に駆動されて一定方向(図中の矢印A方向)に回転し、帯電装置42Yは、感光体41Yを一様に帯電させる。レーザーユニット45Yは、イエロー色の画像データに応じてオン/オフされたレーザー光で感光体41Yを走査することにより、感光体41Yの表面に静電潜像を形成する。現像装置43Yは、感光体41Y上の静電潜像をイエロー色のトナーによって顕像化する。感光体41Yの表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト31と接触する箇所で中間転写ベルト31に転写される。クリーニング装置44Yは、転写後に感光体41Yの表面に残留するトナーをブレード等で擦って除去し回収する機能を果たす。
【0037】
像形成部40M、像形成部40C、像形成部40Kはトナーの色が相違することと、それぞれの色に対応する画像データでレーザーユニットのレーザー光がオン/オフされる点を除いて像形成部40Yと同一の構成であり、それらの説明は省略する。なお、図中、色違いであるが同じ構成の要素には、数字が同一であって添え字をYに代えてその色を示す記号M(M色に対応)、C(C色に対応)、K(K色に対応)とした符号を付してある。
【0038】
中間転写ベルト31は複数のローラに掛け渡すようにして巻回されており、画像形成中は図中の矢印B方向に周回する。周回する過程で、(Y)、(M)、(C)、(K)の順に各色の画像(トナー像)が像形成部40Y、40M、40C、40Kによって中間転写ベルト31上に重ねるように形成されてカラー画像が合成される。このカラー画像は、二次転写位置Dで中間転写ベルト31から用紙に転写される。
【0039】
周回方向で二次転写位置Dの下流には、転写後に中間転写ベルト31上に残留しているトナーを除去するためのベルトクリーニング装置35が設置されている。
【0040】
給紙部32は、画像形成に供される用紙を収納する複数の給紙カセット32aを有し、選択された給紙カセット32aから用紙を1枚ずつ搬送部33に向けて送り出す機能を果たす。なお、搬送部33は、給紙カセット32aから繰り出された用紙を二次転写位置Dおよび定着装置34を通過させて、図示省略の後処理装置もしくは排紙トレイへ排出する通常経路33aのほか、定着装置34を通った用紙の表裏を反転させた後、二次転写位置Dの上流で再び通常経路33aへ合流させる反転経路33bを備えており、両面印刷に対応している。
【0041】
後処理装置は、用紙に折り目をつけたり、複数の用紙を束ねてステイプルで綴じたり、パンチで穴を開けたりする機能などを備えた装置であり、画像形成装置20の後段に接続される。後処理装置での処理内容は、画像形成装置20の主制御部50から後処理装置へ出力する制御コマンドにより指定される。
【0042】
図1に戻って画像形成装置20の電気的構成を説明する。画像形成装置20は、当該画像形成装置20の動作を統括制御する主制御部50に、スキャナ部22とプリンタ部24と表示操作部23とを接続して構成される。
【0043】
スキャナ部22は、図2に示すラインイメージセンサ22aのほか、当該スキャナ部22の動作全体を制御するスキャナ制御部22bを備えている。
【0044】
プリンタ部24は画像データに応じてオン/オフされる各レーザーダイオード(LD)のほか、中間転写ベルト31や像形成部40Y、40M、40C、40K、給紙部32、搬送部33、定着装置34などの動作を制御するプリンタ制御部24bを有している。このほか、図示省略してあるが、プリンタ制御部24bには中間転写ベルト31、像形成部40Y、40M、40C、40K、給紙部32、搬送部33などを作動させるためのモータ、ソレノイド、センサなどが接続されている。
【0045】
表示操作部23は、各種設定画面や操作画面、後述するジョブ選択画面70、編集画面80、ジョブリスト画面などを表示する機能、ユーザに向けて各種案内情報や通知、警告などを表示する機能、ユーザから各種の設定/選択操作や編集操作、出力指示(画像形成の開始指示)を受け付ける機能を果たす。表示操作部23は、液晶ディスプレイからなる表示部23aと、その画面上に敷設されたタッチスイッチおよびその他のスイッチから成る操作部23bと、表示部23aおよび操作部23bを制御する操作制御部23cとを有して構成される。
【0046】
なお、スキャナ制御部22b、操作制御部23c、プリンタ制御部24bはそれぞれCPU(Central Processing Unit)およびROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする回路で構成されており、ROMに格納されたプログラムに従って各種の制御を実行する。
【0047】
主制御部50は、画像形成装置20の動作を統括制御する機能を果たし、読み取り処理部51と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)制御部52と、圧縮IC53aと、伸張IC53bと、半導体メモリで構成された画像メモリ55と、書き込み処理部56と、CPU57と、ROM58と、RAM59と、不揮発メモリ61と、ハードディスク装置62(HDDとも記す)と、日時(日付、および時:分:秒)を計時する時計部63などを備えて構成される。
【0048】
読み取り処理部51は、スキャナ部22の出力する画像データに対して拡大処理、鏡像処理、誤差拡散処理などを施す機能を果たす。圧縮IC53aは画像データを圧縮し、伸張IC53bは圧縮された画像データ(圧縮画像データ)を元のイメージデータに伸張する機能を果たす。画像メモリ55は、非圧縮の画像データをページ単位で記憶可能なページメモリ55aとしての機能と、圧縮画像データを記憶する圧縮メモリ55bなどとして使用される。
【0049】
書き込み処理部56は、圧縮メモリ55bから読み出して伸張された画像データに応じて各色レーザーユニット45Y、45M、45C、45Kのレーザーダイオードをオン/オフさせるための信号を、プリンタ部24の動作に応じたタイミングで出力する機能を果たす。
【0050】
DRAM制御部52は、ダイナミックRAMからなる画像メモリ55へのリード・ライトおよびリフレッシュのタイミング制御や、画像データを圧縮して圧縮メモリ55bに格納したり、圧縮メモリ55bから圧縮画像データを読み出して伸張したりする際のタイミング制御などを行う。またDRAM制御部52にはPCI(Peripheral Component Interconnect)バス54を通じてプリンタコントローラ10のDRAM制御部15と接続されており、プリンタコントローラ10との間でPCIバス54を通じて各種のデータを授受する機能を果たす。
【0051】
ここでは、プリンタコントローラ10は画像形成装置20の内部に組み込まれている。プリンタコントローラ10を画像形成装置20の外部に設ける場合には、プリンタコントローラ10と画像形成装置20との間でのデータの送受信は、それに適したインターフェイスで行われる。
【0052】
CPU57は、画像形成装置20の動作全体を制御する機能を果たす。ROM58には、プログラムや各種固定データなどが記憶されており、CPU57はROM58に格納されたプログラムに従って動作する。RAM59は、CPU57がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリとして使用される。不揮発メモリ61は、電源オフ後も記憶しておくべきユーザデータやシステムデータ、各種設定値などが記憶されるメモリである。後述するプリントキューはRAM59または不揮発メモリ61に作成され記憶される。ハードディスク装置62には、プリンタコントローラ10から受信した印刷ジョブのデータ(ジョブデータ)などが記憶され保存される。
【0053】
図3は、画像形成システム5における印刷処理全体の流れを示している。まず、情報処理装置2は、プリンタドライバを通してプリンタコントローラ10へ印刷ジョブ(含、印刷データ)を送信する(ステップS101)。
【0054】
情報処理装置2から印刷ジョブを受信したプリンタコントローラ10のCPU11は、この受信した印刷ジョブの印刷データに対してRIP処理(ラスタライズ処理)を行ってイメージデータを生成する(ステップS111)。CPU11は当該イメージデータの生成に要した処理時間を計測している。ここでは、ページ単位に処理時間を計測する。CPU11は、計測した処理時間を示すRIP時間情報と、生成したイメージデータと、出力設定などの画像形成装置20に対する制御コードとを含むジョブデータを生成し、画像形成装置20へ送信(ジョブを投入)する(ステップS112)。ジョブデータには、当該ジョブデータに係る印刷ジョブを一意に特定するためのジョブID(ジョブ番号などの識別情報)が含まれる。またRIP時間情報はジョブ単位の処理時間とページ毎の処理時間とを示している。
【0055】
また、プリンタコントローラ10は、該印刷ジョブに係るRIP処理を、色調や紙種などの条件を変更して再度実行してイメージデータを生成し直す(これを再RIPと呼ぶ。)ために必要となるデータをハードディスク装置14(あるいは画像メモリ13)に保存する(ステップS113)。保存するデータは、情報処理装置2から受信した印刷ジョブのデータ、あるいは印刷データ、あるいは印刷データからイメージデータを生成する途中の過程で生成された所定の中間データでもかまわない。保存するデータにはジョブIDが対応付けされる。
【0056】
画像形成装置20のCPU57はプリンタコントローラ10から受信したジョブデータを記憶部(ハードディスク装置62)に保存する(ステップS121)。また、受信したジョブデータを解析し(ステップS122)、出力保留の指示(制御コード)が付加されているか否かを判断する。出力保留の指示がない場合(プリントモードの場合)は(ステップS123;No)、受信したジョブデータに係る印刷ジョブをそのステータスをレディ状態にしてプリントキューの末尾に登録する(ステップS126)。レディ状態は、印刷に必要なデータが揃っている状態である。
【0057】
CPU57は、受信したジョブデータに出力保留の指示が付加されている場合(ホールドモードの場合)は(ステップS123;Yes)、この時点でこの印刷ジョブをプリントキューへ登録することは行わない。
【0058】
画像形成装置20はホールドモードでハードディスク装置62に保存されているジョブデータに対して削除、複製、編集などの操作や出力指示(画像形成の開始指示)を当該画像形成装置20の表示操作部23を通じて受け付け可能に構成されている(ステップS124)。なお、編集操作を受けた後に出力指示を受ける場合と、編集操作を受けないまま出力指示を受ける場合がある。
【0059】
編集可能な項目には、出力トレイの変更、片面印刷/両面印刷の変更など画像形成装置20側の処理のみで対応可能なものと、色調の変更などプリンタコントローラ10での再RIPを要するもしくは要する場合のあるものがある。
【0060】
図4は、画像形成装置20のCPU57が表示操作部23の表示部23aに表示するジョブ選択画面70の一例を示している。ジョブ選択画面70は、編集対象や出力対象の印刷ジョブを選択するための操作画面である。ジョブ選択画面70には出力保留中の印刷ジョブのリスト71が表示される。CPU57は、該リスト71の中から任意の印刷ジョブの表示箇所を押下する操作を受けると、そのジョブを選択状態にする。また、ジョブの選択状態で編集釦72の操作を受けると、選択されたジョブに関する編集操作を受け付ける状態に遷移し、表示操作部23に編集画面80(図5)を表示する。
【0061】
また、CPU57は、ジョブの選択された状態で出力釦73の操作を受けると、その印刷ジョブに対する出力指示を受け付ける。
【0062】
図5に示すように、編集画面80には、編集対象の項目毎に、その項目名と設定値とが対応付けて表示されている。確定釦84は、編集内容を確定させるための操作釦である。ユーザは、編集対象のページを選択し、さらに編集対象の項目を選択し、その設定値を変更する操作を、当該編集画面80を通じて行うことができる。
【0063】
プリンタコントローラ10から受信してハードディスク装置62に記憶されているジョブデータには、編集画面80に表示したすべての項目の設定値を示すデータが含まれている。CPU57は、編集画面80を表示する際にハードディスク装置62に記憶してあるジョブデータ(イメージデータを除く)のバックアップをとり、ユーザから編集操作を受けるごとに、ハードディスク装置62に記憶してある元のジョブデータの中の該当する項目の設定値を編集操作後の値に変更する。また、確定釦84が押下されると、編集したジョブデータとバックアップしてあるジョブデータとを比較して変更されたページおよび項目を認識し、変更されたページおよび項目を示す編集情報を当該印刷ジョブに関連付けてハードディスク装置62に記憶する。
【0064】
確定釦84が押下されずに、とじる釦85が押下された場合は、編集されたジョブデータ(イメージデータを除く)をバックアップしてある元のジョブデータ(イメージデータを除く)に戻す。
【0065】
図3に戻って説明を続ける。画像形成装置20のCPU57は、ハードディスク装置62に保存されている印刷ジョブに対する出力指示をユーザから表示操作部23を通じて受けると、当該印刷ジョブが編集操作によって再RIPを要するジョブとなったか否かを判定する(ステップS125)。詳細には、当該印刷ジョブに対応付けて記憶されている編集情報に基づいて、編集されたページおよび項目を認識し、再RIPの要否を判定する。
【0066】
再RIP不要の場合は(ステップS125;No)、この印刷ジョブをそのステータスをレディ状態にしてプリントキューの末尾に登録する(ステップS126)。
【0067】
再RIPが必要な場合は(ステップS125;Yes)、プリンタコントローラ10に対して再RIP要求を送信する(ステップS127)。再RIP要求には、ジョブIDのほか再RIPを行う場合の処理条件(再RIP対象のページのページ番号および変更内容)などが含まれる。さらに再RIP要求の送信と同時に、当該印刷ジョブをそのステータスを再RIP中にしてプリントキューの末尾に登録する(ステップS128)。また、再RIP要求を送信した時刻(この時刻を、要求時刻とする。)を、当該再RIP要求に係る印刷ジョブに対応付けて記憶する。なお、「再RIP中」の状態とは、再RIPを要求した後、再RIPの完了を待っている状態であり、再RIPのために、印刷開始に必要なデータが揃っていない状態である。
【0068】
再RIP要求を受けたプリンタコントローラ10は、受信した再RIP要求の中のジョブIDで指示された印刷ジョブについて、当該再RIP要求で指定された処理条件で再RIPを実行してイメージデータを生成する(ステップS114)。ここでは処理条件で指定されたページのみ再RIPする。そして、再RIPが完了すると、当該再RIPで生成したイメージデータと当該印刷ジョブのジョブIDとを含むジョブデータを画像形成装置20に送信する(ステップS115)。再RIPは、先にステップS113で保存しておいたデータ(中間データなど)に基づいて実行される。
【0069】
画像形成装置20のCPU57は、プリンタコントローラ10からジョブデータを受信すると、該ジョブデータに含まれているジョブIDから該受信したジョブデータが再RIP要求に係るものであることを認識し、このジョブIDの印刷ジョブ(再RIPの完了した印刷ジョブ)のステータスをレディ状態に変更する(ステップS129)。またハードディスク装置62に記憶してあるこのジョブIDに係るジョブデータのうちの該当部分(少なくとも該当ページのイメージデータ)を、プリンタコントローラ10から受信したデータに置き換える。
【0070】
画像形成装置20のCPU57は、プリントキューに印刷ジョブが登録されている場合は、プリントキューの先頭から印刷ジョブを順次取り出してその印刷ジョブに係る画像形成をプリンタ部24に行わせる。ただし、プリントキューの先頭の印刷ジョブが再RIP中(ステータスが再RIP中)の場合は当該印刷ジョブに係る再RIPの完了を待ってから当該印刷ジョブに係る画像形成を開始させる。
【0071】
より詳細には、プリントキューの先頭の印刷ジョブが再RIP中の印刷ジョブの場合は、当該再RIP中の印刷ジョブの再RIPに要する時間(再RIP時間)とプリントキューに登録されている後続の印刷ジョブの画像形成に要する予測時間(印刷時間)とを比較し、予測時間が再RIPに要する時間より短い場合は再RIP中の印刷ジョブより先にその後続の印刷ジョブに係る画像形成を行なうように、印刷順序を制御する。
【0072】
図6は、再RIPを要する印刷ジョブに係る印刷順序の制御の流れを示している。画像形成装置20のCPU57は、再RIP要求をプリンタコントローラ10へ送信し(ステップS201)、ステータスを再RIP中にしてその印刷ジョブをプリントキューの末尾に登録する(ステップS202)。その後、当該印刷ジョブがプリントキューの先頭になると(ステップS203)、該印刷ジョブが再RIP中か否かをそのステータスに基づいて判定する(ステップS204)。
【0073】
プリントキューの先頭の印刷ジョブが再RIP中でない場合、すなわち、既に再RIPが完了してステータスがレディ状態になっている場合は(ステップS204;No)、プリントキューの先頭にある当該印刷ジョブに係る画像形成(印刷)を開始させる(ステップS210)。
【0074】
プリントキュー先頭の印刷ジョブが再RIP中の場合は(ステップS204;Yes)、プリントキューに次ジョブ(先頭ジョブの直後のジョブ)が登録されているか否かを調べ(ステップS205)。次ジョブがなければ(ステップS205;No)、ステップS204に戻って処理を継続する。この状態は、プリントキュー先頭の印刷ジョブの再RIP完了または次ジョブの出現のいずれかを待っている状態である。
【0075】
次ジョブがあるときは(ステップS205;Yes)、該次ジョブが再RIP中か否かを調べ(ステップS206)、再RIP中の場合は(ステップS206;Yes)ステップS209へ移行し、プリントキュー先頭の印刷ジョブの再RIP完了を待つ(ステップS209;No)。
【0076】
次ジョブが再RIP中でなければ(ステップS206;No)、次ジョブに係る画像形成の開始から完了までに要する予測時間(印刷時間)を算出し、該予測時間とプリントキュー先頭の印刷ジョブの再RIPに要する時間(再RIP時間)とを比較し、予測時間の方が短い場合は(ステップS207;Yes)、当該次ジョブに係る画像形成を開始させ(ステップS208)、ステップS204に戻って処理を継続する。
【0077】
予測時間の方が短くない場合は(ステップS207;No)、プリントキュー先頭の印刷ジョブに係る再RIPの完了を待ち(ステップS209;No)、再RIPが完了したら(ステップS209;Yes)、当該印刷ジョブに係る画像形成(印刷)を開始させる(ステップS210)。
【0078】
なお、ステップS208またはステップS210において画像形成を開始(実行)させた印刷ジョブはプリントキューから削除する。
【0079】
上記の予測時間は、たとえば、その印刷ジョブでの印刷枚数と当該画像形成装置20における印刷速度とから求める。印刷速度がM枚/分の場合、予測時間(秒)=(印刷枚数÷印刷速度)×60 となる。
【0080】
また、再RIPに要する時間は、プリンタコントローラ10から受信した当該印刷ジョブに係わるRIP時間情報に基づいて求める。再RIPに要する時間(再RIP時間)には以下の2種類があり、いずれか一方が使用される。いずれを採用するかを予め選択し設定できるように構成されてもよいし、一方のみを具備するように構成されてもよい。
(1)プリンタコントローラ10から通知されたRIP時間情報の示す所要時間を再RIP時間とする。
(2)当該印刷ジョブをプリントキューに登録した時刻から現時点までの時間をRIP時間情報の示す所要時間から差し引いた時間(残り時間)を再RIP時間とする。
【0081】
なお、再RIPを当該印刷ジョブの一部のページについて行う場合は、再RIP対象の各ページについて再RIPにかかる時間をRIP時間情報から取得し、それらを合計した時間を、「RIP時間情報の示す所要時間」とするとよい。
【0082】
このように本実施の形態に係る画像形成システム5では、再RIPを要する印刷ジョブも出力指示を受けた時点でプリントキューに登録するので、出力指示時点における出力順位を確保することができる。また、プリントキュー先頭になった際にまだ再RIPが完了していない場合は、再RIP時間より短い時間で印刷の終了する次ジョブがあれば、当該次ジョブを先行して実行させるので、画像形成動作の行われない無駄な時間の発生が防止される。また、再RIP時間の方が予測時間より短い場合は再RIP中の印刷ジョブを優先してその再RIP完了を待つので、再RIPを要する印刷ジョブの出力開始時刻が後続の印刷ジョブを先行処理するために遅れることはない。
【0083】
また、プリントキュー先頭の印刷ジョブが再RIP中の場合に、先行させる印刷ジョブの候補を次ジョブのみとしたので、むやみにジョブの実行順序が入れ替わることが防止される。たとえば、印刷ジョブに出力の優先順位が付されている場合や、出力指示を出した順に合わせて用紙の準備を整えている場合に、これらを尊重しつつ、無駄な待ち時間を低減することができる。
【0084】
図7は、画像形成装置20のCPU57が表示操作部23の表示部23aに表示するジョブリスト画面90の一例を示している。
【0085】
ジョブリスト画面90には、出力中の印刷ジョブとプリントキューに登録されている印刷ジョブに関する情報がリスト部92に一覧表示される。1つの印刷ジョブに関する情報は横一行で表わされ、各ジョブについて、ジョブの種類を示すモードと、ジョブの状態と、枚数、部数、残枚数、時間、ジョブID、ジョブを投入したユーザのユーザ名、印刷対象のファイル名が表示される。
【0086】
図7の例では、ジョブID「0001」の印刷ジョブは出力中であり、プリントキューにはジョブID「0002」、「0004」、「0005」、「0006」、「0007」の5つの印刷ジョブがこの順に登録されており、そのうちジョブID「0004」の印刷ジョブは再RIP中であることが表示されている。
【0087】
このように本実施の形態に係る画像形成システム5では、再RIP中の印刷ジョブもプリントキューに登録するので、再RIP中の印刷ジョブについても画像形成の開始待ちの印刷ジョブとしてリスト部92に表示される。この表示により、ユーザは再RIP中の印刷ジョブについてもその存在およびプリントキュー内での順位を確認することができる。
【0088】
図8は、図7の状態から時間が経過し、ジョブID「0004」の印刷ジョブがプリントキューの先頭になりかつその時点でまだ再RIP中である場合のジョブリスト画面90bを示している。プリントキュー先頭の印刷ジョブ(ジョブID「0004」)は再RIP中であるため、次ジョブ(ジョブID「0005」)が出力中になっている。
【0089】
次に、CPU57がプリントキューに登録されている印刷ジョブの実行を制御する際に行う処理の流れを図9に基づいて説明する。なお、図9に対して図6は再RIPを要する印刷ジョブに着目した場合の処理の流れである。
【0090】
プリントキューに印刷ジョブが登録されているか否かを調べ(ステップS301)、ジョブの登録がない場合は、新規ジョブが登録されるのを待つ(ステップS301;No)。
【0091】
登録があれば(ステップS301;Yes)、プリントキューの先頭ジョブが再RIP中か否かを調べ(ステップS302)、再RIP中でなければ、当該印刷ジョブをプリントキューから削除し、この印刷ジョブに係る画像形成を行わせて(ステップS303)、ステップS301に戻る。
【0092】
先頭ジョブが再RIP中の場合は(ステップS302;Yes)、プリントキューに次ジョブが登録されているか否かを調べ(ステップS304)、次ジョブの登録がなければ(ステップS304;No)、ステップS301に戻る。
【0093】
次ジョブの登録があれば(ステップS304;Yes)、当該次ジョブが再RIP中か否かを調べ(ステップS305)、再RIP中の場合は(ステップS305;Yes)、ステップS308へ移行して、プリントキュー先頭の印刷ジョブの再RIP完了を待つ(ステップS308)。
【0094】
次ジョブが再RIP中でなければ、当該次ジョブに係る画像形成の開始から完了までに要する予測時間(印刷時間)を算出し、該予測時間とプリントキュー先頭の印刷ジョブの再RIP時間とを比較し、予測時間の方が短い場合は(ステップS306;Yes)、当該次ジョブに係る画像形成を実行しかつ該印刷ジョブをプリントキューから削除して(ステップS307)、ステップS301に戻る。
【0095】
予測時間の方が短くない場合は(ステップS306;No)、プリントキュー先頭の印刷ジョブに係る再RIPの完了を待つ(ステップS308;No)。
【0096】
再RIPが完了したら(ステップS308;Yes)、当該印刷ジョブに係る画像形成(印刷)を開始させ、かつ当該印刷ジョブをプリントキューから削除して(ステップS309)、ステップS301に戻る。
【0097】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0098】
実施の形態では、プリントキュー先頭の印刷ジョブが再RIP中の場合に当該印刷ジョブに先行させる印刷ジョブの候補を次ジョブのみとしたが、プリントキューに登録されている他のすべてのジョブを上記の候補としてもよい。たとえば、「再RIP中ではなく、かつ、予測時間<再RIP時間」の条件を満足する印刷ジョブをプリントキューの先頭から順に検索し、最初に見つけた印刷ジョブを、プリントキュー先頭の印刷ジョブに先行させて画像形成を開始させるように構成してもよい。次ジョブのみを候補とするかプリントキューにある他の全ての印刷ジョブを候補とするかを切り替え設定可能に構成されてもよい。
【0099】
実施の形態では出力中の印刷ジョブをプリントキューから削除するようにしたが、出力完了時にプリントキューから削除するように構成されてもよい。
【0100】
また、実施の形態では、RIP時間情報はジョブ単位のRIP時間とページ毎のRIP時間を示すものとしたが、再RIPをジョブ単位でのみ行う場合には、ジョブ単位でのRIP時間を示す情報であればよい。またページ毎のRIP時間を示す情報があればジョブ単位のRIP時間はRIP時間情報に含まれなくてもよい。
【0101】
さらに、実施の形態では、プリンタコントローラ10から画像形成装置20に対して送信するジョブデータにRIP時間情報を含めて送信するようにしたが、RIP時間情報の送信タイミングはこれに限定されるものではない。たとえば、画像形成装置が再RIP要求時に、RIP時間情報がプリンタコントローラ10から画像形成装置20へ送信されるように構成したり、画像形成装置からRIP時間を問い合わせたとき、該問い合わせに対する応答としてRIP時間情報がプリンタコントローラ10から画像形成装置20へ送信されるように構成してもよい。
【0102】
また、実施の形態で示した各種画面の構成は一例であり、これに限定されるものではない。
【0103】
実施の形態では、画像形成装置20としてデジタルカラー複合機を例示したが、スキャナ部22などを具備せず、単体のプリンタとして構成されてもよく、プリンタコントローラ10からイメージデータを含むジョブデータを受けてプリント出力する機能を備えていればよい。また、モノクロ機であってもかまわない。
【0104】
実施の形態では、画像形成装置20の内部にプリンタコントローラ10が組み込まれている構成例を示したが、プリンタコントローラ10は画像形成装置20と別体に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の各実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の各実施の形態に係る画像形成装置を示す断面図である。
【図3】本発明の各実施の形態に係る画像形成システムにおける印刷処理全体の流れを示す説明図である。
【図4】ジョブ選択画面の一例を示す正面図である。
【図5】編集画面の一例を示す正面図である。
【図6】再RIPを要する印刷ジョブに係る印刷順序の制御を示す流れ図である。
【図7】再RIP中のジョブがプリントキューの途中にある状態でのジョブリスト画面の一例を示す説明図である。
【図8】再RIP中のジョブがプリントキュー先頭にある状態でのジョブリスト画面の一例を示す説明図である。
【図9】プリントキューに登録されている印刷ジョブの実行を制御する処理を示す流れ図である。
【図10】再RIPを要するジョブを再RIP完了後にプリントキューの末尾へ登録する場合の動作シーケンスを示す説明図である。
【符号の説明】
【0106】
2…情報処理装置
3…ネットワーク
5…画像形成システム
10…プリンタコントローラ
11…CPU
12…LANIF部
13…画像メモリ
14…ハードディスク装置(HDD)
15…DRAM制御部
20…画像形成装置
21…自動原稿送り装置
21a…原稿載置トレイ
21b…排紙トレイ
22…スキャナ部
22a…ラインイメージセンサ
22b…スキャナ制御部
23…表示操作部
23a…表示部
23b…操作部
23c…操作制御部
24…プリンタ部
24b…プリンタ制御部
31…中間転写ベルト
32…給紙部
32a…給紙カセット
33…搬送部
33a…通常経路
33b…反転経路
34…定着装置
35…ベルトクリーニング装置
40Y、40M、40C、40K…像形成部
41Y、41M、41C、41K…感光体
42Y、42M、42C、42K…帯電装置
43Y、43M、43C、43K…現像装置
44Y、44M、44C、44K…クリーニング装置
45Y、45M、45C、45K…レーザーユニット
50…主制御部
51…読み取り処理部
52…DRAM制御部
53a…圧縮IC
53b…伸張IC
54…バス
55…画像メモリ
55a…ページメモリ
55b…圧縮メモリ
56…書き込み処理部
57…CPU
58…ROM
59…RAM
61…不揮発メモリ
62…ハードディスク装置(HDD)
63…時計部
70…ジョブ選択画面
71…出力保留されている印刷ジョブのリスト
72…編集釦
73…出力釦
80…編集画面
84…確定釦
85…とじる釦
90、90b…ジョブリスト画面
91…ジョブリスト釦
92…リスト部
D…二次転写位置
J…原稿
LD…レーザーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに係るイメージデータをラスタライズ処理によって生成するプリンタコントローラと、前記プリンタコントローラから前記イメージデータを含む前記印刷ジョブのデータを受信して該印刷ジョブに係る画像形成を行う画像形成装置とを備えた画像形成システムにおいて、
前記プリンタコントローラは、前記印刷ジョブに係るイメージデータをラスタライズ処理によって生成し直す作業である再RIPに必要なデータを保存部に保存し、前記画像形成装置から再RIPの要求を受けた場合は前記保存部に保存されているデータに基づいて前記要求に係る再RIPを実行してその生成したイメージデータを前記画像形成装置に送信し、
前記画像形成装置は、
記憶部と、
表示操作部と、
画像形成待ちの印刷ジョブが登録されるプリントキューと、
印刷ジョブに係る画像形成を行う画像形成部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、前記プリンタコントローラから受信した印刷ジョブのデータを前記記憶部に保存させ、前記記憶部に保存されている印刷ジョブに対して前記表示操作部を通じて編集操作と画像形成の開始指示を受け付け、画像形成の開始指示を受けた印刷ジョブをプリントキューの末尾に登録すると共にその印刷ジョブが前記編集操作を受けたことによって再RIPを要する場合はこの印刷ジョブに対する再RIPの実行を前記プリンタコントローラに要求し、プリントキューの先頭から印刷ジョブを順次取り出してその印刷ジョブに係る画像形成を前記画像形成部に行わせると共に、この際、プリントキューの先頭の印刷ジョブが再RIP中の印刷ジョブの場合は当該印刷ジョブに係る再RIPの完了を待ってから当該印刷ジョブに係る画像形成を前記画像形成部に行わせる
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記制御部は、プリントキューの先頭の印刷ジョブが再RIP中の印刷ジョブの場合は、当該再RIP中の印刷ジョブの再RIPに要する時間とプリントキューに登録されている後続の印刷ジョブの画像形成に要する予測時間とを比較し、前記予測時間が前記再RIPに要する時間より短い場合は前記再RIP中の印刷ジョブより先に前記後続の印刷ジョブに係る画像形成を前記画像形成部に行わせる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記再RIPに要する時間は、前記再RIP中の印刷ジョブの再RIP完了までの残り時間である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記プリンタコントローラは、イメージデータの生成に要した時間を示すRIP時間情報を前記印刷ジョブのデータに含めて前記画像形成装置に送信し、
前記制御部は、前記RIP時間情報に基づいて前記再RIPに要する時間を求める
ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記後続の印刷ジョブは、前記再RIP中の印刷ジョブの直後の印刷ジョブのみとする
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載に画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−46864(P2010−46864A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211908(P2008−211908)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】