説明

画像形成ユニット及び画像形成装置

【課題】像保持体と露光装置とを決められた位置関係になるように取り付け、静電潜像を形成するときの像保持体の回転により露光装置に伝わる振動を低減する。
【解決手段】図3で示した状態において、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面がY方向にわたって均等な距離だけ離れていたから、図4(a)、(b)においても、これらの両者の間の距離は、Y方向にわたって一定である。この状態であれば、露光ヘッドユニット120と感光体210とは互いに正確な位置に取り付けられたことになる。そして、この状態で、露光ヘッドユニット120から照射された記録光により感光体210の表面に静電潜像が形成されるが、このとき、感光体210の外周面と露光ヘッドユニット120とは接触していないので、感光体210の回転により露光ヘッドユニット120に伝わる振動は低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成ユニット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体などの像保持体の表面に対し、露光装置により画像データに応じた露光を行うことで、その像保持体表面に静電潜像を形成する。従って、像保持体と露光装置とは、お互いの位置関係が設計者の設計どおりになるように、正確に取り付けられている必要がある。特許文献1〜4には、像保持体と露光装置とを正確に取り付けるための技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−168132号公報
【特許文献2】特開2000−255100号公報
【特許文献3】特開2001−080156号公報
【特許文献4】特開2000−338753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、像保持体と露光装置とを決められた位置関係になるように取り付け、静電潜像を形成するときの像保持体の回転により露光装置に伝わる振動を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、支持部材によって支持された回転軸を中心に回転する像保持体と、前記像保持体に対して光を照射し、当該像保持体に静電潜像を形成する露光装置と、前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整する場合に前記像保持体と前記露光装置との距離を一定に保つ位置関係調整手段であって、前記像保持体に静電潜像を形成する場合には、前記像保持体又は前記支持部材のうち少なくともいずれか一方に接触しない位置に配置される位置関係調整手段とを備えることを特徴とする画像形成ユニットである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の構成において、前記位置関係調整手段は、前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整する場合には、前記像保持体又は前記支持部材と当該露光装置とのそれぞれに接触する位置に配置されて、前記像保持体と前記露光装置との距離を一定に保ち、前記像保持体に静電潜像を形成する場合には、前記像保持体又は前記支持部材のうち、少なくともいずれか一方に接触しない位置に配置される位置決め部材を有する。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の構成において、前記位置関係調整部材は、前記露光装置から前記像保持体又は前記支持部材に向かって突出し、前記像保持体の回転軸方向においてそれぞれ異なる位置に設けられた複数の突出部材と、前記突出部材の突出量を調整する突出量調整手段とを備え、前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整する場合には、前記突出量調整手段により突出量が調整されて、前記露光装置から突出した各々の前記突出部材の先端が前記像保持体又は前記支持部材に接触して、前記像保持体と前記露光装置との距離を一定に保ち、前記像保持体に静電潜像を形成する場合には、前記突出量調整手段により突出量が調整されて、各々の前記突出部材の先端が前記像保持体又は前記支持部材に接触しない。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1記載の構成において、前記位置関係調整手段は、前記像保持体の回転軸を支持し、当該回転軸からの距離が異なる外縁を有する自転可能な前記支持部材と、前記露光装置から前記支持部材に向かって突出し、前記像保持体の回転軸方向においてそれぞれ異なる位置に設けられた複数の突出部材とを備え、前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整する場合には、前記露光装置から突出した各々の前記突出部材の先端に前記支持部材の外縁を接触させて、前記像保持体と前記露光装置との距離を一定に保ち、前記像保持体に静電潜像を形成する場合には、前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整したときの前記支持部材の状態から当該支持部材を自転させて、前記露光装置から突出した各々の前記突出部材の先端に前記支持部材の外縁を接触させない。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複数の前記画像形成ユニットと、各々の前記画像形成ユニットの前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段により現像された像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段により転写された像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、像保持体と露光装置とを決められた位置関係になるように取り付けるとともに、静電潜像を形成するときの像保持体の回転により露光装置に伝わる振動を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、位置関係調整手段が有する位置決め部材の位置を変更して、像保持体と露光装置とを決められた位置関係になるように取り付けるとともに、静電潜像を形成するときの像保持体の回転により露光装置に伝わる振動を低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、突出部材の突出量を調整して、像保持体と露光装置とを決められた位置関係になるように取り付けるとともに、静電潜像を形成するときの像保持体の回転により露光装置に伝わる振動を低減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、支持部材を自転させて、像保持体と露光装置とを決められた位置関係になるように取り付けるとともに、静電潜像を形成するときの像保持体の回転により露光装置に伝わる振動を低減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、画像形成装置において、像保持体と露光装置とを決められた位置関係になるように取り付けるとともに、静電潜像を形成するときの像保持体の回転により露光装置に伝わる振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】第1実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図3】第1実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図4】第1実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図5】第2実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図6】第2実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図7】第2実施形態においてピンを移動させる機構を示す図である。
【図8】第3実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図9】第4実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図10】第4実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図11】第5実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図12】第6実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図13】第7実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図14】第8実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【図15】第8実施形態において感光体及び露光装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
以下の第1実施形態〜第7実施形態においては、いずれも、支持部材によって支持された回転軸を中心に回転する像保持体と、像保持体に対して光を照射して当該像保持体に静電潜像を形成する露光装置との間の位置関係を調整する場合には、像保持体と露光装置との距離を一定に保つ位置関係調整手段を画像形成ユニットが備える。この位置関係調整手段は、像保持体に静電潜像を形成する場合には、像保持体又は支持部材と露光装置とのうち、少なくともいずれか一方に接触しない位置に配置される。これにより、像保持体と露光装置との位置関係を調整する場合には、像保持体と露光装置との距離が一定に保たれる一方、像保持体に静電潜像を形成する場合には、像保持体の回転により露光装置に伝わる振動が低減される。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の全体構造を示した図である。なお、図1においては、下方が重力方向である(その他の図において同じ)。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kはそれぞれ、イエロー(Y)色、マゼンダ(M)色、シアン(C)色およびブラック(K)色の各色のトナー像を形成する。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、像を保持する像保持体である感光体と、感光体を帯電させる帯電装置と、画像データに応じた光を感光体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像にトナーを供給して感光体の表面にトナー像を形成させる現像装置と、中間転写ベルト2にトナー像を1次転写するための1次転写ロールと、一次転写後の感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニング装置とを備えている。中間転写ベルト2は、複数の各種ロール3に掛け渡されており、これらロール3によって矢印A方向に周回移動させられる。このように周回移動させられる中間転写ベルト2に対して、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって形成された各色のトナー像が重ね合わされるようにして1次転写される。収容トレイ4a,4b,4c,4dには、それぞれ異なるサイズの用紙が複数枚収容されている。指定されたサイズの用紙は、収容トレイ4a、4b、4c,4dのいずれかから送り出され、複数の搬送ロール5によって搬送路Pathを矢印B方向に搬送される。転写装置6は、上述したように中間転写ベルト2に1次転写されたトナー像を、搬送路Path上を搬送される用紙に2次転写する。定着装置7は、用紙に2次転写されたトナー像を加熱および加圧することによって用紙に定着させる。トナー像が定着させられた用紙は、矢印C方向に沿って排出トレイ8a、8b、8cのいずれかに排出させられる。これらの画像形成装置100の各部は、例えばCPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やメモリを備えた制御部により制御される。
【0014】
図2は、上述した感光体及び露光装置の近傍の構造を示す図である。同図(a)は、図1の矢印X方向から見た正面図であり、同図(b)は、図1の矢印Y方向から見た側面図である。なお、同図(b)においては、後述するヘッド筐体101及びドラム筐体200を除いて図示している。
図2の上方の露光装置10と、図2の下方の感光体210に係る構成部分(以下、感光部20という)とは、接離可能な構造となっている。
まず、露光装置10の構成を説明する。
露光装置10は、ヘッド筐体101、カム110、ダイヤル111、ラッチ112、シャフト113、露光ヘッドユニット120、ピン121及びスプリング130を備えている。ヘッド筐体101は、金属やエンジニヤリングプラスチック(以下エンプラと略す)などで形成されており、画像形成装置100において発生した振動や熱などから、露光装置10の各部品を保護する。カム110とダイヤル111は、それぞれ円筒形状を有しており、ヘッド筐体101を貫通するシャフト113によって結合されている。カム110及びダイヤル111は、図2(a)で示すように、ヘッド筐体101の左右に1組ずつ存在し、カム110はヘッド筐体101の内側に設けられ、ダイヤル111はヘッド筐体101の外側に設けられている。ダイヤル111の外周には、凸凹形状が刻みこまれており、ダイヤル111の中心軸には、シャフト113が取り付けられている。利用者によってダイヤル111が回されると、ダイヤル111の回転はシャフト113を通じてカム110に伝わり、カム110が回転を行う。ラッチ112は、尖った先端を持つ形状である。このラッチ112はダイヤル111の外周の凸凹形状に噛み合い、ダイヤル111が自由に回転しないよう、そのダイヤル111の姿勢を保持する。カム110は、その円筒の中心軸から偏心した位置にシャフト113が取り付けられた偏心カムであり、シャフト113が回転すると、カム110は偏心回転を行う。カム110の外周面は、露光ヘッドユニット120の上端面に接触している。よって、カム110が回転すると、カム110の回転軸と露光ヘッドユニット120の上端面との距離が変化するので、露光ヘッドユニット120は上下に運動することになる。
【0015】
露光ヘッドユニット120は、図中Y方向に延びたライン線状に配置された複数のLEDと、画像を記録する解像度に応じた範囲に各LEDの光を収束するレンズとを備えたLEDアレイである。露光ヘッドユニット120は、上述した制御部により制御され、画像情報に応じて各LEDを明滅させることで記録光を発生させる。この記録光が感光体210の表面に照射されることで、感光体210の表面に静電潜像が形成される。突出部材の一例である2本のピン121は、露光ヘッドユニット120の左右の下端面に取り付けられている。この2本のピン121はいずれも同じ長さである。よって、それぞれのピン121の下端は、露光ヘッドユニット120の左右の下端面から同じ距離だけ離れた位置にある。スプリング130は、円筒形に巻かれたコイルスプリングであり、2本のピン121をそれぞれ包み込むように取り付けられている。
【0016】
次に、感光部20の構成を説明する。
感光体210は、ドラム筐体200に取り付けられた一対のベアリング部220により、回転可能に支持されている。ベアリング部220は、像保持体である感光体210を回転可能に支持する支持手段の一例である。この感光体210は、制御部によって制御されるモータによって回転させられる。図2(a)において、ドラム筐体200の左右の面には、それぞれY方向に貫通する孔201aが1つずつ設けられている。この孔201aのZ方向の位置は、感光体210の上端からZ方向に向かって同じ距離だけ離れた位置であり、図2の例では、感光体210の上端のZ方向の位置と孔201aの下端のZ方向の位置とは、ほぼ同じ位置である。つまり、両者の距離の差はゼロと見なせる。この孔201aには、それぞれ、同じ厚みの板状の補助位置決め部材230が1つずつ挿入されている。補助位置決め部材230は、位置決め部材の一例であり、この孔201aを矢印D方向に移動可能となっている。ドラム筐体200の左右上端には、一対のXY位置決め部材201が設けられている。このXY位置決め部材201は、感光体210の軸方向と平行な面、つまり、図1に示したX方向及びY方向に平行でZ方向に垂直な面を有する。この面には、Z方向に貫通する孔202が設けられている。これらの孔202は、露光装置10の2本のピン121がそれぞれ挿入し得る程度の径を有する。
以上に説明した、XY位置決め部材201と、ピン121と、スプリング130と、カム110と、シャフト113と、ダイヤル111と、補助位置決め部材201とによって、位置関係調整手段の一例が構成されている。
【0017】
次に、露光装置10と感光部20とを接続するときの動作について説明する。
前述した図2(a)、(b)においては、露光装置10が感光部20の上に置かれていただけの状態を示していた。このとき、露光装置10の2本のピン121は、それぞれ、感光体210側のXY位置決め部材201の孔202に挿入されている。このときスプリング130の弾性力により、露光ヘッドユニット120がXY位置決め部材201に対して支持されている。また、この状態では、補助位置決め部材230が、ドラム筐体200の内側に押し込まれた状態になっている。
【0018】
図2(a)、(b)の状態において、利用者は2つのダイヤル111を手で回す。このとき、ダイヤル111の回転運動は、カム110の作用により露光ヘッドユニット120の上下運動に変換されるから、利用者はダイヤル111の回転方向を選択することで、露光ヘッドユニット120を下方に押し下げることができる。露光ヘッドユニット120が下方に押し下げられると、その下端にある2本のピン121は、図3(a)、(b)に示すように、それぞれ補助位置決め部材230の上端面に突き当たるから、露光ヘッドユニット120はその状態よりも下方に移動することはない。この図3(a)、(b)の状態のときも、スプリング130の弾性力により、露光ヘッドユニット120がXY位置決め部材201に対して支持されている。2本のピン121は、いずれも同じ長さであるから、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面とは、図中左右方向(つまりY方向)にわたって均等な距離だけ離れていることになる。
【0019】
この状態で、利用者が補助位置決め部材230をそれぞれドラム筐体200の外側に引き出すと、図4(a)、(b)に示すような状態になる。図3で示した状態において、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面がY方向にわたって均等な距離だけ離れていたから、図4(a)、(b)においても、これらの両者の間の距離は、Y方向にわたって一定である。この状態であれば、露光ヘッドユニット120と感光体210とは互いに正確な位置に取り付けられたことになる。そして、この状態で、露光ヘッドユニット120から照射された記録光により感光体210の表面に静電潜像が形成されるが、このとき、感光体210の外周面と露光ヘッドユニット120とは接触していないので、感光体210の回転により露光ヘッドユニット120に伝わる振動は低減される。
【0020】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図5,6は、感光体及び露光装置の近傍の構造を示す図である。図5,6の(a)は、図1の矢印X方向から見た正面図であり、図5,6の(b)は、図1の矢印Y方向から見た側面図である。なお、図5,6の(b)においては、ヘッド筐体101及びドラム筐体200を除いて図示している。また、図5,6において、第1実施形態と共通の構成には共通の符号を付している。この第2実施形態においては、XY位置決め部材201と、ピン121と、スプリング130と、カム110と、シャフト113と、ダイヤル111とによって、位置関係調整手段の一例が構成されている。
【0021】
この第2実施形態では、第1実施形態のような補助位置決め部材を備えておらず、その代わりに、ピン121が上下に移動可能になっている。露光装置10において、初期状態では、ピン121は、露光ヘッドユニット120の下端面から同じ長さだけ、下方(つまり感光体210に向かう方向)に突出している。そして、図5(a)、(b)の状態において、利用者は2つのダイヤル111を手で回す。このとき、ダイヤル111回転運動は、カム110の作用により露光ヘッドユニット120の上下運動に変換されるから、利用者はダイヤル111の回転方向を適切に選択することで、露光ヘッドユニット120を下方に押し下げる。露光ヘッドユニット120が下方に押し下げられると、その下端にある2本のピン121は、図5(a)、(b)に示すように、それぞれ感光体210の上端面に突き当たるから、露光ヘッドユニット120はその状態よりも下方に移動することはない。この図5(a)、(b)の状態のとき、スプリング130の弾性力により、露光ヘッドユニット120がXY位置決め部材201に対して支持されている。このときの2本のピン121は、いずれも同じ長さである。よって、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面とは、図中左右方向(つまりY方向)にわたって均等な距離だけ離れていることになる。
【0022】
この状態で、利用者がピン121を上方に移動させると、図6(a)、(b)に示すような状態になる。図5で示した状態において、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面がY方向にわたって均等な距離だけ離れていたから、図6(a)、(b)においても、これらの両者の間の距離は、Y方向にわたって一定である。この状態であれば、露光ヘッドユニット120と感光体210とは互いに正確な位置に取り付けられたことになる。そして、この状態で、露光ヘッドユニット120から照射された記録光により感光体210の表面に静電潜像が形成されるが、このとき、感光体210の外周面と露光ヘッドユニット120とは接触していないので、感光体210の回転により露光ヘッドユニット120に伝わる振動は低減される。
【0023】
ここで、図7は、ピン121が上下に移動する機構を説明する断面図である。
ピン121の上端は、それ以外の軸部分の径よりも大きい径になっている。露光ヘッドユニット120の内部には、ピン121の上端が収容される収容空間が形成されている。また、露光ヘッドユニット120には、上端以外のピン121の軸部分が挿入される孔120aと、抑え部材132が挿入される孔132aが設けられている。抑え部材132はピン121の上端に接している。露光ヘッドユニット120に形成された収容空間内において、2本のピン121をそれぞれ包み込むように、円筒形に巻かれたコイルスプリングであるスプリング131が取り付けられている。2本のピン121の長さは共通であるから、それぞれのピン121の下端は、露光ヘッドユニット120の左右の下端面から同じ距離だけ離れた位置にある。露光ヘッドユニット120が下方に押し下げられると、その下端にある2本のピン121は、図7(a)に示すように、それぞれ感光体210の上端面に突き当たるから、露光ヘッドユニット120はその状態よりも下方に移動することはない。この図7(a)の状態のとき、スプリング130の弾性力により、露光ヘッドユニット120がXY位置決め部材201に対して支持されている。2本のピン121は、いずれも同じ長さであるから、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面とは、図中左右方向(つまりY方向)にわたって均等な距離だけ離れていることになる。
【0024】
この状態で、利用者が抑え部材132をそれぞれドラム筐体200の外側に引き出すと、スプリング132の弾性力によって、ピン121は上方に移動させられ、図7(b)に示すような状態になる。つまり、抑え部材132及びスプリング132は、突出部材であるピン121の突出量を調整する突出量調整手段の一例である。図7(a)で示した状態において、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面がY方向にわたって均等な距離だけ離れていたから、図7(b)においても、これらの両者の間の距離は、Y方向にわたって一定である。この状態であれば、露光ヘッドユニット120と感光体210とは互いに正確な位置に取り付けられたことになる。そして、この状態で、露光ヘッドユニット120から照射された記録光により感光体210の表面に静電潜像が形成されるが、このとき、感光体210の外周面と露光ヘッドユニット120とは接触していないので、感光体210の回転により露光ヘッドユニット120に伝わる振動は低減される。
【0025】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図8は、感光体及び露光装置の近傍の構造を示す図である。図8(a)は、図1の矢印X方向から見た正面図であり、図8(b)は、図1の矢印Y方向から見た側面図である。なお、図8(b)においては、ヘッド筐体101及びドラム筐体200を除いて図示している。また、図8において、第1実施形態と共通の構成には共通の符号を付している。
【0026】
この第3実施形態では、第2実施形態と同様に、ピン121が上下に移動可能になっているが、そのピン121の下端が当たる位置がベアリング部220である点が第2実施形態と異なる。露光装置10において、初期状態では、ピン121は、露光ヘッドユニット120の下端面から同じ長さだけ、下方に突出している。そして、図8の状態において、利用者は2つのダイヤル111を手で回す。このとき、ダイヤル111回転運動は、カム110の作用により露光ヘッドユニット120の上下運動に変換されるから、利用者はダイヤル111の回転方向を適切に選択することで、露光ヘッドユニット120を下方に押し下げることができる。露光ヘッドユニット120が下方に押し下げられると、その下端にある2本のピン121は、それぞれベアリング部220の上端面に突き当たるから、露光ヘッドユニット120はその状態よりも下方に移動することはない。この図8の状態のとき、スプリング130の弾性力により、露光ヘッドユニット120がXY位置決め部材201に対して支持されている。このときの2本のピン121は、いずれも同じ長さである。よって、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面とは、図中左右方向(つまりY方向)にわたって均等な距離だけ離れていることになる。
【0027】
この状態で、利用者がピン121を上方に移動させると、これにより、露光ヘッドユニット120と感光体210とは互いに正確な位置に取り付けられたことになる。そして、この状態で、露光ヘッドユニット120から照射された記録光により感光体210の表面に静電潜像が形成されるが、このとき、感光体210の外周面と露光ヘッドユニット120とは接触していないので、感光体210の回転により露光ヘッドユニット120に伝わる振動は低減される。
【0028】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図9は、感光体及び露光装置の近傍の構造を示す図である。図9,10(a)は、図1の矢印X方向から見た正面図であり、図9,10(b)は、図1の矢印Y方向から見た側面図である。なお、図9,10(b)においては、ヘッド筐体101及びドラム筐体200を除いて図示している。また、図9、10において、第1実施形態と共通の構成には共通の符号を付している。
【0029】
この第4実施形態では、ピン121が上下するのではなく、そのピン121の下端が当たるベアリング部220の筐体全体が、感光体210の軸を中心にして矢印E方向に回転するようになっている。ベアリング部220の筐体全体は、図9(ab,図10(b)に示すように、円のうち一部の円弧部分が切り取られたような形状の筒である。つまり、ベアリング部220の筐体全体は、感光体210の回転軸からの距離が異なる外縁を有する自転可能な支持部材の一例である。図9の状態において、ベアリング部220の円弧部分がピン121に対向している。このとき、利用者は2つのダイヤル111を手で回すと、ダイヤル111回転運動は、カム110の作用により露光ヘッドユニット120の上下運動に変換されるから、利用者はダイヤル111の回転方向を適切に選択することで、露光ヘッドユニット120を下方に押し下げることができる。露光ヘッドユニット120が下方に押し下げられると、その下端にある2本のピン121は、それぞれベアリング部220の上端面に突き当たるから、露光ヘッドユニット120はその状態よりも下方に移動することはない。この図9の状態のとき、スプリング130の弾性力により、露光ヘッドユニット120がXY位置決め部材201に対して支持されている。このときの2本のピン121は、いずれも同じ長さである。よって、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面とは、図中左右方向(つまりY方向)にわたって均等な距離だけ離れていることになる。
【0030】
この状態で、利用者がベアリング部220を回転(自転)させると、図10(a)、(b)に示すような状態になる。この状態において、ベアリング部220の、円弧部分が切り取られた部分がピン121に対向している。つまり、ピン121とベアリング部220との間には隙間が生じる。ただし、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面との間の距離は、Y方向にわたって一定である。この状態であれば、露光ヘッドユニット120と感光体210とは互いに正確な位置に取り付けられたことになる。そして、この状態で、露光ヘッドユニット120から照射された記録光により感光体210の表面に静電潜像が形成されるが、このとき、感光体210の外周面と露光ヘッドユニット120とは接触していないので、感光体210の回転により露光ヘッドユニット120に伝わる振動は低減される。
【0031】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図11は、感光体及び露光装置の近傍の構造を示す図である。図11(a)は、図1の矢印X方向から見た正面図であり、図11(b)は、図1の矢印Y方向から見た側面図である。なお、図11(b)においては、ヘッド筐体101及びドラム筐体200を除いて図示している。また、図11において、第1実施形態と共通の構成には共通の符号を付している。この第5実施形態では、ダイヤル111がヘッド筐体101の内側に設けられており、操作部分がヘッド筐体の上面に露出している。利用者が2つのダイヤル111を手で回すと、ダイヤル111回転運動は、カム110の作用により露光ヘッドユニット120の上下運動に変換され、露光ヘッドユニット120を下方に押し下げられる。
【0032】
<第6実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図12は、感光体及び露光装置の近傍の構造を示す図である。図12(a)は、図1の矢印X方向から見た正面図であり、図12(b)は、図1の矢印Y方向から見た側面図である。なお、図12(b)においては、ヘッド筐体101及びドラム筐体200を除いて図示している。また、図12において、第1実施形態と共通の構成には共通の符号を付している。この第6実施形態では、カム110,シャフト113及びダイヤル111に代えて、スクリュー150が設けられている、利用者がスクリュー150を手で回すことで、露光ヘッドユニット120が下方に押し下げられる。
【0033】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
図13は、感光体及び露光装置の近傍の構造を示す図である。図13(a)は、図1の矢印X方向から見た正面図であり、図13(b)は、図1の矢印Y方向から見た側面図である。なお、図13(b)においては、ヘッド筐体101及びドラム筐体200を除いて図示している。また、図13において、第1実施形態と共通の構成には共通の符号を付している。この第7実施形態では、露光ヘッドユニット120が、ヘッド筐体101に対してスプリング140によって吊り下げられている。
【0034】
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
図14,15は、感光体及び露光装置の近傍の構造を示す図である。図14,15(a)は、図1の矢印X方向から見た正面図であり、図14,15(b)は、図1の矢印Y方向から見た側面図である。なお、図14,15(b)においては、ヘッド筐体101及びドラム筐体200を除いて図示している。また、図14,15において、第1実施形態と共通の構成には共通の符号を付している。
図14においては、感光体210の代わりに、治具240がベアリング220に取り付けられている。この治具の径は、感光体210の径よりも大きい。そして、ヘッド筐体101がドラム筐体200の上に置かれた状態では、2本のピン121は、それぞれ、感光体210側のXY位置決め部材201の孔202に挿入される。このときスプリング130の弾性力により、露光ヘッドユニット120がXY位置決め部材201に対して支持されている。この状態から、ユーザが治具240をベアリング220から取り外し、その代わりに、感光体210をベアリング220に取り付ける。このとき、露光ヘッドユニット120の下端面と感光体210の上端面がY方向にわたって均等な距離だけ離れている。
【0035】
なお、上記の各実施形態は互いに組み合わせてもよい。
例えば第1、5,6,7、8実施形態において、第3実施形態のように、ピン121の下端が当たる対象として、感光体210ではなく、ベアリング部220の筐体全体としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…画像形成装置、101…ヘッド筐体、110…カム、111…ダイヤル、112…ラッチ、113…シャフト、120…露光ヘッドユニット、121…ピン、130…スプリング、131…スプリング、140…スプリング、150…スクリュー、200…ドラム筐体、210…感光体、220…ベアリング、230…補助位置決め部材、240…治具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材によって支持された回転軸を中心に回転する像保持体と、
前記像保持体に対して光を照射し、当該像保持体に静電潜像を形成する露光装置と、
前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整する場合に前記像保持体と前記露光装置との距離を一定に保つ位置関係調整手段であって、前記像保持体に静電潜像を形成する場合には、前記像保持体又は前記支持部材のうち少なくともいずれか一方に接触しない位置に配置される位置関係調整手段と
を備えることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項2】
前記位置関係調整手段は、
前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整する場合には、前記像保持体又は前記支持部材と当該露光装置とのそれぞれに接触する位置に配置されて、前記像保持体と前記露光装置との距離を一定に保ち、前記像保持体に静電潜像を形成する場合には、前記像保持体又は前記支持部材のうち、少なくともいずれか一方に接触しない位置に配置される位置決め部材を有する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成ユニット。
【請求項3】
前記位置関係調整部材は、
前記露光装置から前記像保持体又は前記支持部材に向かって突出し、前記像保持体の回転軸方向においてそれぞれ異なる位置に設けられた複数の突出部材と、
前記突出部材の突出量を調整する突出量調整手段とを備え、
前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整する場合には、前記突出量調整手段により突出量が調整されて、前記露光装置から突出した各々の前記突出部材の先端が前記像保持体又は前記支持部材に接触して、前記像保持体と前記露光装置との距離を一定に保ち、
前記像保持体に静電潜像を形成する場合には、前記突出量調整手段により突出量が調整されて、各々の前記突出部材の先端が前記像保持体又は前記支持部材に接触しない
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成ユニット。
【請求項4】
前記位置関係調整手段は、
前記像保持体の回転軸を支持し、当該回転軸からの距離が異なる外縁を有する自転可能な前記支持部材と、
前記露光装置から前記支持部材に向かって突出し、前記像保持体の回転軸方向においてそれぞれ異なる位置に設けられた複数の突出部材とを備え、
前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整する場合には、前記露光装置から突出した各々の前記突出部材の先端に前記支持部材の外縁を接触させて、前記像保持体と前記露光装置との距離を一定に保ち、
前記像保持体に静電潜像を形成する場合には、前記像保持体と前記露光装置との位置関係を調整したときの前記支持部材の状態から当該支持部材を自転させて、前記露光装置から突出した各々の前記突出部材の先端に前記支持部材の外縁を接触させない
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の複数の前記画像形成ユニットと、
各々の前記画像形成ユニットの像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
前記現像手段により現像された像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段により転写された像を前記記録媒体に定着させる定着手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−228310(P2010−228310A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78828(P2009−78828)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】