説明

画像形成方法及び画像形成装置

【課題】階調特性の異なる記録素子が配列されたプリントヘッドを用いても、各種変動やバラツキを低減し、安定かつ良好な画像を形成することである。
【解決手段】画像形成装置1において、入力信号値を補正係数に基づいて出力信号値に変換するプリントヘッド制御部24と、複数の記録素子がアレイ状に配列され、前記出力信号値に基づいて記録材料に補正用画像を記録するプリントヘッド10と、前記補正用画像から読取情報を取得する画像読取部30と、前記読取情報及びプリントヘッド10の目標記録特性に基づいて、前記各記録素子の記録特性の補正量を算出する補正量算出部25と、前記補正量に基づいて前記補正係数の調整を行う補正情報演算部26と、プリントヘッド制御部24及びプリントヘッド10は、前記調整された補正係数を用いて画像を記録材料に記録し、前記目標記録特性は、画像形成装置1に対し個別に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今デジタルカメラの普及により、デジタル画像形成装置としてデジタルミニラボ機のプリント能力、画質などの性能向上が大きく望まれている。特に大判のプリントの要望が高く、これに適している複数の記録素子をアレイ状に配列したプリントヘッドを用いた露光エンジンの開発がこれまで多数報告されている。
【0003】
一般的に、前述のアレイ状プリントヘッドを構成する記録素子は個々の発光特性にバラツキを有している。このバラツキの補正が不十分な場合、このバラツキが画像の濃淡のムラ(濃度ムラ)としてプリント作成時にそのまま記録されてしまい、デジタル出力画像としての商品価値を大いに損ねてしまう。
【0004】
この個々の記録素子は通常20%から40%程度の発光量にバラツキがあり、写真などを連続階調で再現しようと試みる場合、最低でも2%以下、より高品質を求めるためには1%以下にバラツキを補正する必要がある。各記録素子の発光量を調整するための光量補正係数を正確、かつ簡便に求めることに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
また、現像処理性能の変動、記録材料(感光材料)のロット間バラツキ、画像読取手段のバラツキなどのために、記録特性(入出力特性)の変動が懸念されるために、記録特性を調整する技術が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【特許文献1】特開2004−299109号公報
【特許文献2】特開2005−246925号公報
【特許文献3】特開2001−51354号公報
【特許文献4】特開2003−182154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、上記従来の技術により、画像の濃淡のムラは低減する。しかし、アレイ状プリントヘッドを構成する全ての記録素子間の記録特性の差異を解消することは困難であり、各種濃度が存在する画像やグラデーション部を有する画像の場合、中間の濃度では濃度ムラが存在しないものの低濃度や高濃度の部分で濃度ムラが発生する場合があることが判明した。
【0007】
また、記録特性(以下、記録特性を階調または階調特性と称することもある)の調整を行う際に、ある固定の目標記録特性を設定した場合、現像処理性能の変動、記録材料(感光材料)のロット間バラツキ、画像読取手段のバラツキのために、目標記録特性へ基準化する補正を繰り返した場合、記録特性及び濃度ムラが安定せず、収束しないために仕組みとして不十分であることが分かった。
【0008】
さらに、前述のアレイ状プリントヘッドを構成する記録素子の間隔は必ずしも等間隔ではないために、出力画像上での隣接した画素の影響などにより、濃度ムラが解消しない場合があることも明らかになった。
【0009】
現像処理性能の変動は低濃度部で影響が顕著であり、記録特性の補正時に悪影響を与えることが判明した。さらに、RGBなどの各基本色の記録特性が若干異なるために、グレー濃度のカラーバランスのずれにより、記録特性の補正時に悪影響を与えることが判明した。
【0010】
以上のように、上記従来の技術のみをただ単に組合わせただけでは実用に供しないことが判明した。
【0011】
なお、特開2003−182154号公報には、PLZTアレイチップの端部の記録素子のみに着目した記録特性を調整する技術が開示されているが、端部の記録素子のみの調整では不十分であることは上述した通り明らかであり、また、記録特性の調整方法が具体的ではない。
【0012】
本発明の目的は、階調特性の異なる記録素子が配列されたプリントヘッドを用いても、各種変動やバラツキを低減し、安定かつ良好な画像を形成する画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像形成方法は、
入力信号値を補正係数に基づいて出力信号値に変換する工程と、
画像形成装置内に設けられる複数の記録素子がアレイ状に配列されたプリントヘッドにより前記出力信号値に基づいて記録材料に補正用画像を記録する工程と、
前記補正用画像から読取情報を取得する工程と、
前記読取情報及び前記プリントヘッドの目標記録特性に基づいて、前記各記録素子の記録特性の補正量を算出する補正量算出工程と、
前記補正量に基づいて前記補正係数の調整を行う工程と、
前記プリントヘッドにより、前記調整された補正係数を用いて画像を記録材料に記録する工程と、を含み、
前記目標記録特性は、画像形成装置に対し個別に設定されることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成方法において、
前記補正量算出工程において、前記個別の目標記録特性を前記補正係数の調整の際に新規に決定することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明の画像形成方法は、
入力信号値を補正係数に基づいて出力信号値に変換する工程と、
複数の記録素子がアレイ状に配列されたプリントヘッドにより前記出力信号値に基づいて記録材料に補正用画像を記録する工程と、
前記補正用画像から読取情報を取得する工程と、
前記読取情報及び前記プリントヘッドの目標記録特性に基づいて、前記各記録素子の記録特性の補正量を算出する補正量算出工程と、
前記補正量に基づいて前記補正係数の調整を行う工程と、
前記プリントヘッドにより、前記調整された補正係数を用いて画像を記録材料に記録する工程と、を含み、
前記補正量算出工程において、前記目標記録特性を前記補正係数の調整の際に新規に決定することを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
画像形成装置間の目標記録特性を調整する目標記録特性工程を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成方法において、
前記目標記録特性工程において、LUTを用いて調整を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記補正量算出工程において、前記目標記録特性を前記各記録素子についての読取情報の統計量に基づいて決定することを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成方法において、
前記統計量は、平均値であることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
低記録領域の読取情報に基づいて、記録領域の読取情報を調整する工程を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記各記録素子及び入力信号値に対応する読取情報のうち、i番目(iは自然数)の前記記録素子に対応する読取情報を、当該i番目以外の記録素子の読取情報に基づいて調整する工程を含み、当該調整する調整量を前記入力信号値に応じて変化させることを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記読取情報に対して前記入力信号値に応じて異なる色変換を行う工程を含むことを特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記補正量算出工程において、特定の入力信号値に対応する画像の読取情報のバラツキ量に基づいて、前記補正係数の算出を継続するか否かを判断し、当該判断の基準を前記入力信号値に応じて変化させることを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記読取情報は、複数の異なる濃度に対応する読取情報であることを特徴とする。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記プリントヘッドは、PLZTプリントヘッドであることを特徴とする。
【0026】
請求項14に記載の発明の画像形成装置は、
入力信号値を補正係数に基づいて出力信号値に変換するプリントヘッド制御部と、
複数の記録素子がアレイ状に配列され、前記出力信号値に基づいて記録材料に補正用画像を記録するプリントヘッドと、
前記補正用画像から読取情報を取得する画像読取部と、
前記読取情報及び前記プリントヘッドの目標記録特性に基づいて、前記各記録素子の記録特性の補正量を算出する補正量算出部と、
前記補正量に基づいて前記補正係数の調整を行う補正情報演算部と、
前記プリントヘッド制御部及び前記プリントヘッドは、前記調整された補正係数を用いて画像を記録材料に記録し、
前記目標記録特性は、画像形成装置に対し個別に設定されることを特徴とする。
【0027】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像形成装置において、
前記補正量算出部は、前記個別の目標記録特性を前記補正係数の調整の際に新規に決定することを特徴とする。
【0028】
請求項16に記載の発明の画像形成装置は、
入力信号値を補正係数に基づいて出力信号値に変換するプリントヘッド制御部と、
複数の記録素子がアレイ状に配列され、前記出力信号値に基づいて記録材料に補正用画像を記録するプリントヘッドと、
前記補正用画像から読取情報を取得する画像読取部と、
前記読取情報及び前記プリントヘッドの目標記録特性に基づいて、前記各記録素子の記録特性の補正量を算出する補正量算出部と、
前記補正量に基づいて前記補正係数の調整を行う補正情報演算部と、
前記プリントヘッド制御部及び前記プリントヘッドは、前記調整された補正係数を用いて画像を記録材料に記録し、
前記補正量算出部は、前記目標記録特性を前記補正係数の調整の際に新規に決定することを特徴とする。
【0029】
請求項17に記載の発明は、請求項14から16のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
画像形成装置間で前記目標記録特性を調整する目標記録特性調整手段を有することを特徴とする。
【0030】
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の画像形成装置において、
前記目標記録特性調整手段は、LUTを用いて調整を行うことを特徴とする。
【0031】
請求項19に記載の発明は、請求項14から18のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記補正量算出部は、前記目標記録特性を前記各記録素子についての読取情報の統計量に基づいて決定することを特徴とする。
【0032】
請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の画像形成装置において、
前記統計量は、平均値であることを特徴とする。
【0033】
請求項21に記載の発明は、請求項14から20のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記補正量算出部は、低記録領域の読取情報に基づいて、記録領域の読取情報を調整することを特徴とする。
【0034】
請求項22に記載の発明は、請求項14から21のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記補正量算出部は、前記各記録素子及び入力信号値に対応する読取情報のうち、i番目(iは自然数)の前記記録素子に対応する読取情報を、当該i番目以外の記録素子の読取情報に基づいて調整し、当該調整する調整量を前記入力信号値に応じて変化させることを特徴とする。
【0035】
請求項23に記載の発明は、請求項14から22のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記補正量算出部は、前記読取情報に対して前記入力信号値に応じて異なる色変換を行うことを特徴とする。
【0036】
請求項24に記載の発明は、請求項14から23のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記補正量算出部は、特定の入力信号値に対応する画像の読取情報のバラツキ量に基づいて、前記補正係数の算出を継続するか否かを判断し、当該判断の基準を前記入力信号値に応じて変化させることを特徴とする。
【0037】
請求項25に記載の発明は、請求項14から24のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記読取情報は、複数の異なる濃度に対応する読取情報であることを特徴とする。
【0038】
請求項26に記載の発明は、請求項14から25のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記プリントヘッドは、PLZTプリントヘッドであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
請求項1、14に記載の発明によれば、階調特性の異なる記録素子が配列されたプリントヘッドを備える画像形成装置において、ある特定の目標を設定しないで、画像形成装置に対し個別に目標記録特性を設定することにより、画像形成装置個別の現像処理性能の変動や記録材料のロット間バラツキを低減でき、安定かつ良好な画像を形成できる。
【0040】
請求項2、15に記載の発明によれば、補正ごとに適切な目標記録特性を決定でき、現像処理性能の変動や記録材料のロット間バラツキを低減できる。
【0041】
請求項3、16に記載の発明によれば、階調特性の異なる記録素子が配列されたプリントヘッドを備える画像形成装置において、補正ごとに適切な目標記録特性を決定でき、現像処理性能の変動や記録材料のロット間バラツキを低減でき、安定かつ良好な画像を形成できる。
【0042】
請求項4、17に記載の発明によれば、画像形成装置の個体差のバラツキを低減できる。
【0043】
請求項5、18に記載の発明によれば、容易な計算により画像形成装置の個体差のバラツキを低減できる。
【0044】
請求項6、19に記載の発明によれば、目標記録特性の計算時間を短縮できる。
【0045】
請求項7、20に記載の発明によれば、目標記録特性を容易に計算でき、その計算時間を短縮できる。
【0046】
請求項8、21に記載の発明によれば、現像処理性能の変動や記録材料のロット間バラツキに起因する低記録領域の変動による出力画像への影響を低減できる。
【0047】
請求項9、22に記載の発明によれば、読取情報の調整に基づく記録材料への出力濃度の変更により、特定の画素の近傍、特に隣接する画素のにじみによる出力画像への影響を低減でき、高精度に補正できる。
【0048】
請求項10、23に記載の発明によれば、読取情報の色変換を行うことにより、補正のフィードバックを行うべきRGBの各基本色の読取情報を抽出可能となり、他基本色の混色の悪影響を除外できるため、高精度に補正できる。また、各基本色の記録特性の違いが低減可能となるために、高精度に補正できる。
【0049】
請求項11、24に記載の発明によれば、読取情報のバラツキ量が大きい場合には画像上にゴミやほこりが存在するおそれがあるため、不正確な補正を防止できる。
【0050】
請求項12、25に記載の発明によれば、読取情報のデータ数が増加するため、補正の精度を向上できる。また、複数の異なる濃度に、高濃度(例えば、1.5〜1.7)及び低濃度(例えば、0.3〜0.5)の濃度が含まれることにより、高濃度及び低濃度においても高画質な性能を実現することができる。
【0051】
請求項13、26に記載の発明によれば、記録素子間の記録特性の差が大きいPLZTプリントヘッドにおいて、各記録素子の記録特性を正確に評価でき、画質を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0053】
図1に、本発明の実施の形態における画像形成装置1の概略構成を示す。
図1に示すように、画像形成装置1は、プリントヘッド10、画像制御部20及び画像読取部30を備える。
【0054】
プリントヘッド10は、記録材料搬送方向Eに搬送される記録材料40に対して、発光することにより潜像を形成する。記録材料40の搬送先には現像装置(図示せず)が設けられている。
【0055】
図2は、プリントヘッド10の構成を示す模式図である。
図2に示すように、プリントヘッド10は、LED光源11、ライトガイド12、インテグレータ13、PLZT(Plomb Lanthanum Zirconate Titanate)シャッターアレイ14、セルフォック(登録商標)レンズアレイ15等を備えて構成されるPLZTプリントヘッドである。
【0056】
LED光源11は、RBG3色をもつ面光源であって、それぞれ独立に点灯可能である。ライトガイド12は、面光源の照射形状を一次元に変換する。インテグレータ13は、ライトガイド12より射出される光のミキシングを行い、光源の光量ムラを抑える。
【0057】
PLZTシャッターアレイ14は、複数の記録素子16がアレイ状に配列されて構成されており、光を透過させたり、透過させなかったりする光シャッター機能を有する。特許請求の範囲に記載の「複数の記録素子をアレイ状に配列したプリントヘッド」は、所望の解像度を得るために複数の記録素子を所定間隔で1列又は複数列に配列したものであればよい。複数の記録素子をアレイ状に配列したプリントヘッドの好ましい例として、本実施の形態で説明するPLZTプリントヘッドの他に、LED発光素子や真空蛍光管を配列したもの、液晶シャッターアレイプリントヘッド等の光シャッターアレイ、半導体レーザーをアレイ状に配列したもの、サーマルヘッド、有機EL材料等のエレクトロルミネッセンス現象を利用した発光素子等が挙げられる。
【0058】
図3に示すように、PLZTシャッターアレイ14において、記録素子16は記録材料搬送方向Eと垂直な方向に2列に千鳥状に配置され、2列で主走査方向Fに1ラインの画像を形成する。図3では、千鳥配列の例を示したが、直線状に配列されていてもよい。なお、図2においては、記録素子16が図の奥行き方向にアレイ状に配列されている。図2に示す偏光子17,18はクロスニコル関係に配置されており、各記録素子16に所定の電圧が印加されると、入射光の偏光の向きが変わり、出力側の偏光子18を透過する光を制御することができる。記録素子16の記録量(露光量)は、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)方式により制御される。記録量とは、プリントヘッド10が記録材料40に記録を行う際の出力量のことを意味し、例えば、プリントヘッド10が写真感光材料の場合には露光量に相当し、プリントヘッド10がインクジェット方式であればインクの吐出量に相当する。
【0059】
図4に、記録素子16の時間に対する記録量変動の様子を示す。横軸は時間(入力信号値)、縦軸は記録量である。図4に示すグラフG1は理想的な発光波形、グラフG2は実際の記録素子16の発光波形である。図4のグラフG2におけるオフセット成分は、シャッターを閉じていても照射される光(漏れ光)に相当し、偏光子17,18の性能やシャッター自身の性能等による。さらに、グラフG2は、グラフG1と比較して、立ち上がりや立ち下がりが緩やかであり、非線形な応答特性を有する。
【0060】
セルフォックレンズアレイ15は、光学的に等価な複数のセルフォックレンズを互いに平行にして集積したものであり、PLZTシャッターアレイ14を透過した光を、記録材料40上に結像させる。
【0061】
画像制御部20は、画像形成装置1において出力すべき画像データに対して種々の画像処理や補正処理を施し、プリントヘッド10に出力する。画像制御部20の詳細な構成については後述する。
【0062】
画像読取部30は、光源、CCD(Charge Coupled Device)、A/Dコンバータ(いずれも図示せず)等により構成される。画像読取部30は、原稿台(図示せず)に載置された原稿に光源から光を照射し、その反射光をCCDにより電気信号(アナログ信号)に変換することにより、RGB3つの色成分毎に読取情報を取得する。取得した読取情報は、A/Dコンバータによりデジタルデータに変換され、画像制御部20へ送られる。
【0063】
読取情報とは、任意の画像読取装置や濃度測定手段により読み込まれた光学的濃度(単に濃度とも称する。)を示す情報、又は光学的濃度に基づいて算出された数値的な情報のことを意味し、光学的濃度自体でもよいが、反射率、透過率、光吸収率等でもよいし、これらと一対一に対応する関数値、例えば対数値等であってもよく、これらの平均値等の統計量であってもよい。濃度は、線形性が比較的高く、補正結果のフィードバックがより正確となるため、読取情報として好ましい。また、濃度に相当する読取情報であれば、濃度と同等の効果が得られるため、フラットベッドスキャナ等の画像読取装置で画像の読み込みを行った場合には、画像読取装置により取得された信号値であってもよく、この信号値と一対一に対応する関数値、例えば対数値等であってもよく、これらの相対値であってもよい。
【0064】
記録材料40としては、ハロゲン化銀感光材料等のカラー写真用印画紙が用いられる。記録材料40は、各色に発色する発色層が層構造を形成しており、赤色の光(R)が露光されることによりシアンに発色する層、緑色の光(G)が露光されることによりマゼンタに発色する層、青色の光(B)が露光されることによりイエローに発色する層を有する。
【0065】
図5は、画像形成装置1の機能的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、画像制御部20は、画像処理部21、メディア調整用LUT(Look Up Table)22、補正情報記録部23、プリントヘッド制御部24、補正量算出部25及び補正情報演算部26、目標調整情報記録部27を備える。
【0066】
画像処理部21は、デジタルカメラの画像データやネガフィルムを読み取った画像の画像データ等、種々の形式のデジタル画像データを、共通の画像入力信号値に変換する。
【0067】
メディア調整用LUT22は、メディア種毎に異なる出力の差をなくすためのLUTであって、画像入力信号値を入力信号値xに変換する。入力信号値とは、デジタルカメラの画像データやネガフィルムを読み取った画像の画像データ等(又は画像入力信号値)に対して、メディア種による相違を解消するため、各種LUT等で適宜変換を行った画像データをいう。
【0068】
補正情報記録部23には、記録素子n毎(n:各記録素子に対応する記録素子番号)、RGBの色毎に、記録量を均一にするためのデータとして、入力信号区間情報テーブル231及び補正係数情報テーブル232が記録されている。
【0069】
入力信号区間情報テーブル231とは、入力信号値xと入力信号区間kとを対応付けたテーブルをいう。入力信号値xは、複数の区間に分割されており、各区間には番号が割り振られている。図6(a)は、入力信号値xに対する入力信号区間kの番号をグラフで表したものであり、図6(b)は、入力信号区間情報テーブル231の一例である。図6(b)では、RGB毎に入力信号値xに対する入力信号区間kが対応付けられている。なお、入力信号値xを分割する区間の数や一区間の間隔は、RGB毎に異なっていてもよい。
【0070】
補正係数情報テーブル232とは、記録素子n毎、入力信号区間k毎、RGB毎に、補正係数α(k,n),β(k,n)を記録するためのテーブルをいう。補正係数とは、プリントヘッド10の各記録素子16が均一な記録量で記録材料40に記録を行えるように各記録素子16の記録量を調整するための係数をいう。本実施の形態で説明するように、記録素子n毎に、複数の異なる濃度(その元となる記録量、入力信号値)に対して、それぞれ補正係数を有することが好ましい。図7に、補正係数情報テーブル232の一例を示す。なお、補正係数α(k,n)の初期値は1、補正係数β(k,n)の初期値は0に設定されている。
【0071】
プリントヘッド制御部24は、下記変換式(1)に示すように、補正係数α,βに基づいて入力信号値xを出力信号値x’に変換し、プリントヘッド10に出力する。出力信号値とは、記録材料40に記録を行うために、プリントヘッド10に転送されるデータをいう。
【数1】

【0072】
図8を参照して、補正情報記録部23及びプリントヘッド制御部24における処理を説明する。記録素子nについて、入力信号値xを補正する場合には、まず、入力信号区間情報テーブル231に基づいて、入力信号値xに対応する入力信号区間kを求める。次に、補正係数情報テーブル232に基づいて、記録素子n、入力信号区間kに対応する補正係数α(k,n),β(k,n)を求める。次に、補正係数α(k,n)と入力信号値xを乗算し、さらに、補正係数β(k,n)を加算することにより、記録素子nの出力信号値x’を算出し、プリントヘッド10に出力する。図9に、記録素子n毎、入力信号区間k毎の補正係数α(k,n),β(k,n)に基づく入力信号値xから出力信号値x’への変換を示す。演算上、出力信号値x’が負の値になった場合には0とする。
【0073】
プリントヘッド10は、出力信号値x’に基づいて、記録量(露光量)zで記録材料40に補正用画像41を記録する。図10に、補正用画像41の例を示す。図10に示すように、補正用画像41は、濃度情報取得領域411、記録素子位置情報取得領域412、記録方向情報取得領域413を有する。
【0074】
濃度情報取得領域411は、複数の異なる入力信号値xに対応する濃度情報を取得するための領域を2種類以上有することが好ましい。また、濃度情報取得領域411は、複数の異なる濃度を含むことが好ましい。ここで、異なる濃度とは、記録材料搬送方向に対して濃度の差が存在することを指し、記録素子配列方向の差は濃度ムラとして別扱いする。また、異なる濃度として、0.1程度以上の差が存在することが好ましく、最大濃度領域と最小濃度領域の濃度の差が1.0以上であることが好ましい。異なる入力信号値を用いて記録を行うことにより、異なる濃度の濃度情報取得領域を形成してもよい。濃度情報取得領域411は、RGBの各露光色(基本色)が同一箇所に記録を行い、各基本色の色素であるシアン色成分(R露光)、マゼンタ色成分(G露光)、イエロー色成分(B露光)が発色した画像、いわゆる、グレイ色の画像であることが好ましい。
【0075】
なお、濃度情報取得領域411には、記録材料40として用いる感光材料の特性曲線の直線部分の濃度が含まれることが好ましい。図11に、感光材料の特性曲線を示す。横軸は記録量の対数、縦軸はその記録量に対する画像の濃度を示す。
【0076】
図11の感光材料の特性曲線に示すように、記録量がある値(h1点)以上になるまでは、光が作用してもその効果が濃度増加となって現れない(H1部;非記録部)。ある記録量に達すると、記録量が増すにつれて濃度が増加し始める。h1点からh2点までは、特性曲線が下に凸の曲線となる(H2部)。h2点からh3点までは、特性曲線は直線状となり、記録量の対数の変化に対する濃度の変化が一定となる(H3部)。記録量がh3点以上になると、記録量の対数の増加に対する濃度増加が少なくなり、特性曲線が上に凸の曲線となる(H4部)。つまり、特性曲線が直線ではないH1部、H2部(低濃度)及びH4部(高濃度)では、特性曲線が直線状のH3部(中間濃度)と比較して、記録量の変化に対する画像濃度の変化が小さい。したがって、記録素子の記録量のバラツキによる濃度変動の影響を受けにくい。特定曲線の直線部分としてのH3部では、記録量の変化に対する濃度の差が大きいため、補正の精度が向上する。
【0077】
なお、プリントヘッド10の記録以外の原因で発色した場合、例えば、残色、ステイン、わずかな漏れ光による感光材料のカブリ等による着色があった場合でも非記録部とするが、目視によって明らかに着色が確認される場合、再プリントを行う等して、補正計算に使用しないことが好ましい。
【0078】
記録素子位置情報取得領域412は、各記録素子16の位置を特定するための領域であって、記録素子配列方向に所定の間隔で記録を行った画像である。
【0079】
記録方向情報取得領域413は、記録素子配列方向と記録材料搬送方向を判断するための情報を読み取る部分である。例えば、補正用画像41の異なる位置に異なる色で(シアンとマゼンタ等)記録方向情報取得領域413を記録することにより、図10において上側の記録方向情報取得領域413がシアンで下側の記録方向情報取得領域413がマゼンタであれば横方向左から右に記録素子番号1から昇順に並んでいると判断し、逆に上側の記録方向情報取得領域413がマゼンタで下側の記録方向情報取得領域413がシアンであれば右から左に記録素子番号1から昇順に並んでいると判断する。
【0080】
補正量算出部25は、画像読取部30により補正用画像41から取得された読取情報に基づいて、入力信号値xと記録素子16の記録量zとの関係、すなわち、記録素子16の記録特性を評価し、その特性を均一にするための補正量Δs,Δγを算出する。ここで、補正量とは、プリントヘッド10の各記録素子16が均一な記録量で記録材料40に記録を行えるように各記録素子16の記録量を調整するための補正量をいう。記録素子16毎にこのような調整を行うことが好ましい。
【0081】
補正情報演算部26は、補正量算出部25により算出された補正量Δs,Δγに基づいて、補正係数α,βの調整を行う。具体的には、補正情報演算部26は、補正量Δs,Δγに基づいて、現在の補正係数α,βから新たな補正係数α,βを算出し、補正情報記録部23に記録する。補正量Δs,Δγに基づいて、現在の補正係数α,βから新たな補正係数α,βを算出することを補正係数の調整という。
【0082】
図5に示す目標調整情報記録部27は、入力信号値xと、記録素子16の記録量zの目標としての目標記録量との関係を示す目標記録特性z=z0(x)を調整する情報としての目標記録特性調整テーブル271が記録されている。
【0083】
目標記録特性z=z0(x)は、画像形成装置で個別に設定される特性であり、本実施の形態では、目標記録特性z=xとする。また、目標記録特性調整テーブル271は、例えば、基準となる入力信号値x−記録量zの記録特性に合せるように、画像形成装置1の入力信号値x−記録量zの記録特性を調整する情報であり、例えばLUTとして表される。基準となる入力信号値x−記録量zの記録特性とは、例えば、複数の画像形成装置のうちの特定の画像形成装置における記録特性や、その複数の画像形成装置の記録特性の統計量(例えば、平均値)とする。
【0084】
また、画像形成装置個別の所定の目標記録特性としては、z=xに限定されるものではなく、例えば、z=sx(但し、s,tは適当な実数)や、xに対するzの値を1対1で持たせる構成としてもよい。
【0085】
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
図12は、記録特性補正処理を示すフローチャートである。
【0086】
まず、画像処理部21により、補正用画像の画像データが画像入力信号値に変換され、メディア調整用LUT22により、画像入力信号値が入力信号値xに変換される(ステップS1)。
【0087】
次に、プリントヘッド制御部24により、記録素子n毎、入力信号区間k毎、RGB毎に、補正情報記録部23に記録されている補正係数α(k,n),β(k,n)に基づいて入力信号値xが出力信号値x’に変換され、プリントヘッド10により、出力信号値x’に基づいて補正用画像41が記録され、現像装置により現像されて出力される(ステップS2)。
【0088】
次に、画像読取部30により、補正用画像41が測定され、RGB毎に読取情報が取得される(ステップS3)。なお、画像読取部30により補正用画像41を読み取る際には、押圧部材を用いて補正用画像41を固定することが好ましい。押圧部材は、例えば、黒等のほぼ均一の濃度であることが好ましく、また、ゴムやスポンジ等の容易に曲げられるような柔らかい材質であることが好ましい。また、帯電性が低く、ほこりが付着しにくい材質であることが好ましい。押圧部材を用いることにより、補正用画像41のカール等による浮きが低減され、画像のエッジ判定の精度が向上する。
【0089】
ここで、画像読取部30により取得された読取情報に基づいて、補正用画像41の傾きが判定され、傾きに応じて補正用画像41の読取情報に回転処理が施される。具体的には、補正用画像41の異なる複数の位置に、傾き判定の基準となるマーカーを記録しておき、マーカーの位置に基づいて補正用画像41の傾きを判定する。マーカーを用いて傾きを判定するので、簡単に回転処理を施すことができる。また、回転処理を施すことにより、補正用画像41を画像読取部30にセットする際の操作性が向上し、補正の精度が向上する。
【0090】
次に、特定の入力信号値に対応する読取情報のバラツキ量が、予め定められている閾値T(x)(x:入力信号値)と比較される(ステップS4)。例えば、特定の入力信号値に対応する個々の読取情報と閾値T(x)との比較を行ってもよいし、特定の入力信号値に対応する個々の読取情報から平均値を算出し、平均値と各読取情報との差分を算出し、各差分と閾値Tave(x)との比較を行ってもよい。例えば、低濃度や高濃度の入力信号値xに対応する閾値T(x),Tave(x)の値は、中濃度の入力信号値xに対応する閾値よりも大きくなるように設定される。なぜなら、中間濃度に比較して、低濃度や高濃度では濃度ムラが見えにくく、低濃度や高濃度でバラツキ量の閾値が大きくても構わないためである。また、ステップS4で用いる閾値は、入力信号値xに依存しないこととしてもよい。
【0091】
読取情報のバラツキ量が大きい場合には、補正用画像41にゴミやほこりが存在するおそれがあるため、読取情報のバラツキ量が前記閾値より大きい場合には(ステップS4;YES)、補正計算が中止され(ステップS5)、ステップS11に移行する。さらに、補正計算中止の判別をより正確に行うために、ある入力信号値xで複数の閾値を用意して適宜組み合わせることにより、バラツキの大小を判別してもよく、RGBの色毎に複数の閾値を設けることとしてもよい。
【0092】
ステップS4において、読取情報のバラツキ量が前記閾値以下である場合には(ステップS4;NO)、補正量算出部25により、各記録素子nについて、記録素子nの記録特性を示すモデル式、すなわち、入力信号値xと記録量zとの関係式が算出される(ステップS6)。
【0093】
図13を参照して、記録特性モデル式算出処理を説明する。記録特性モデル式算出処理は、下記式(2)に示す各記録素子nの記録特性を示すモデル式における特性パラメータa(n),b(n),c(n)を算出する処理である(a(n),b(n),c(n)は実数)。
【数2】

ここで、xは入力信号値、zは記録量、a(n)は記録量に対する入力信号値の重み係数、b(n)は記録特性の非線形性を表すパラメータ、c(n)は記録量のオフセット成分(定数項)である。
【0094】
図13に示すように、まず、各記録素子n、各入力信号値xに対応する読取情報から濃度y(x,n)が算出される(ステップS20)。
【0095】
そして、算出された濃度y(x,n)が調整される(ステップS21)。ステップS21の濃度y(x,n)の調整としては、例えば、濃度y(x,n)(読取情報)のうち、低記録領域の濃度yに基づいて、記録領域の濃度yが調整される。低記録領域とは、例えば、図5に示す特性曲線におけるH1部、H2部のような低濃度の記録領域とするが、H1部のような非記録領域とすることが更に好ましい。記録領域とは、H3部及びH4部を含む領域とする。記録領域の濃度yの調整とは、例えば、記録領域の濃度yから低記録領域の濃度yを差し引いた値をその記録領域の新たな濃度yとすることである。
【0096】
他にも、ステップS21の濃度y(x,n)の調整として、ある記録素子の新しい濃度y(x,n)が、ステップS21で算出したその記録素子の濃度y(x,n)と、その記録素子以外の記録素子の濃度値と、を用いて算出される。このとき、i(i:1〜プリントヘッド10の全記録素子の数)番目の記録素子により記録される画素が当該記録素子に離隔して配置された他の記録素子により記録される画素から受ける影響を、jが任意の全記録素子に対して一定となるように、補正用画像が記録されるのが好ましい。この構成により、補正計算が大幅に簡素になるため、補正精度は変化せずに補正時間が大きく短縮化される。
【0097】
この場合、離散した画素間隔により与える影響度が一定である、とは、補正計算に使用するi番目の記録素子16の濃度y(x,i)が、例えば、下記の式(3)のように、i番目の記録素子16の濃度y(x,i)に対し、記録素子16が1つ分離れている画素は重なり度が一定のパラメータδ(x)により与えられ、記録素子16が2つ分離れている画素の影響は一定のパラメータε(x)により与えらるのが好ましい。以下、パラメータδ(x)、ε(x)は、入力信号値xの値で変化するパラメータであり、隣接寄与率とする。
y(x,i)=y(x,i)+(2δ(x)y(x,i)−δ(x)y(x,i+1)−δ(x)y(x,i−1))+(2ε(x)y(x,i)−ε(x)y(x,i+2)−ε(x)y(x,i−2)) …(3)
【0098】
式(3)では、2画素離れている画素の影響までを考慮しているが、3画素、4画素とさらに離れている画素の影響を同様に考慮をいれてもよい。また、個々のプリントヘッドに対応した、一定のパラメータδ(x)、ε(x)が存在することが好ましい。
【0099】
さらに、i番目の記録素子16により記録される画素の濃度y(x,i)は、i番目の記録素子16により記録される画素及び他の隣接する記録素子16により記録された画素から取得されることが好ましい。隣接する画素とは、隣り合う番号の記録素子16を指す。図3に示すように2列の千鳥配置になっている場合においても、このような隣接する画素とは、隣り合う番号の記録素子16を指す。
【0100】
この濃度y(x,i)の調整は、どのようなものであってもよいが、好ましい例として、下記式(4)を用いて算出されるものがある。
【0101】
y(x,i)=y(x,i)+2δ(x)y(x,i)−δ(x)y(x,i+1)−δ(x)y(x,i−1) …(4)
【0102】
さらに、i番目の記録素子16に対し近傍に配置された他の記録素子16により記録された画素の影響度の変動が可能な構成が好ましい。この構成により、フラットベットスキャナーなどの画像読取装置、アレイ状に記録素子が配列されたプリントヘッドの種類、RGBの基本色などの補正を行なう色等の変動要因に対して対応可能になるために、いかなる場合においても、本実施の形態の効果をいかんなく発揮できる。
【0103】
ここでの隣接寄与率を変動させる構成の好ましい例として、例えば、式(3)、(4)におけるパラメータδ(x)、ε(x)を変化させることが挙げられる。また、諸条件を変更する際、諸条件を選択することにより自動的に隣接寄与率が決定される構成が好ましい。
【0104】
また、他にも、ステップS21の濃度y(x,n)の調整として、色変換が行われる。
【0105】
感光材料は通常、色素で画像を形成しているが、それぞれの色素の吸収曲線が重なっていることや、副吸収帯の存在等により、他色の成分を少なからず含んでいる。主成分色の濃度ムラが良好であっても、他色の濃度ムラが非常に劣悪な場合、他色のプリントヘッドにフィードバックを行うべき補正を、主成分のプリントヘッドに対して行ってしまう場合がある。このため、補正をかけるに従い濃度ムラが発生し、濃度ムラがない状態へ収束するまでの補正回数が増加する可能性がある。
【0106】
しかし、色変換を行うことで、他色の濃度ムラが劣悪な場合においても、他色の濃度ムラの影響を排除することができ、正確で高精度な補正を実現することができる。また、濃度ムラが発生した場合でも、少ない補正回数で濃度ムラのない状態に回復させることが可能となる。
【0107】
ここで、色変換とは、RGBの3色が混色している状態で取得された読取情報に基づいて、RGBの各成分を抽出する操作のことをいう。色変換はどのような方法でも構わないが、色変換を行うにあたり、変換前の読取濃度、すなわち積分濃度をRorg,Gorg,Borgとし、変換後の濃度、すなわち解析濃度をR’,G’,B’として、下記式(5R),(5G),(5B)の変換式を用いることが好ましい。
R’=ar(x)・(Rorg)br(x)+cr(x)・(Gorg)dr(x)+er(x)・(Borg)fr(x)+gr(x) …(5R)
G’=ag(x)・(Rorg)bg(x)+cg(x)・(Gorg)dg(x)+eg(x)・(Borg)fg(x)+gg(x) …(5G)
B’=ab(x)・(Rorg)bb(x)+cb(x)・(Gorg)db(x)+eb(x)・(Borg)fb(x)+gb(x) …(5B)
ただし、ar(x),br(x),・・・,gb(x)は、入力信号値xに対応する定数である。感光材料の記録条件や現像処理条件、画像読取装置の諸条件等に対応して、これらの定数が変更可能であることが好ましい。
【0108】
また、色変換として、1次変換式を用いる構成としてもよい。この構成によれば、比較的簡単な方法により、他色の濃度ムラの影響を排除することができ、短時間で高精度な補正を実現することができる。
【0109】
1次変換式とは、上記式(5R),(5G),(5B)において、定数br(x),dr(x),fr(x),bg(x),dg(x),fg(x),bb(x),db(x),fb(x)が1である式をいう。また、下記式(6R),(6G),(6B)のように、定数項gr,gg,gbが0であることが好ましい。
R’=ar(x)・Rorg+cr(x)・Gorg+er(x)・Borg …(6R)
G’=ag(x)・Rorg+cg(x)・Gorg+eg(x)・Borg …(6G)
B’=ab(x)・Rorg+cb(x)・Gorg+eb(x)・Borg …(6B)
変換式を簡単な形にしても、定数ar(x),cr(x),・・・,eb(x)の調整を行うことにより、計算時間の短縮化と正確で高精度な補正を同時に実現することができる。
【0110】
また、カラーバランスのセットアップが完了した後に、補正用画像を記録する構成としてもよい。カラーバランスのセットアップとは、各基本色の画像データに対して所望の濃度になるように、各プリントヘッドの記録量、若しくは露光量の平均値を調整する等して、各プリントヘッド間のカラーバランスを調整することをいい、基本色毎に調整できることが好ましい。この構成によれば、各基本色のカラーバランスが合い、極端に他色の影響を受けないため、補正精度をさらに向上できる。以下、簡単のため、R’,G’,B’を濃度y(x,n)として表す。
【0111】
そして、各入力信号値xにおける濃度y(x,n)の記録素子配列方向の平均濃度yave(x)が算出される(ステップS22)。例えば、図14に示すように、入力信号値x1に対応する濃度…,y(x1,n−1),y(x1,n),y(x1,n+1),…の平均が平均濃度yave(x1)である。
【0112】
次に、図15に示すように、対数入力信号値log(x)に対して濃度y(x)の統計量としての平均濃度yave(x)がプロットされる。ここでの統計量とは、量的に一つの数値で全体の分布の特性を示すものが好ましく、平均値、メディアン、四分位偏差、モード、自乗平均平方根等が好ましく、平均値であることが最も好ましい。また、濃度yに係る統計量は、取得された濃度y全体から求めた数値でもよいし、取得された濃度yの一部から求めた数値でもよい。
【0113】
そして、測定値の間は補間され、測定値の範囲外は外挿されて、記録素子16の平均的な記録特性log(x)−yave(x)が求められる。この平均的な記録特性log(x)−yave(x)において、yave(x)をy、log(x)をlog(z)と定義し直して、zを記録量の指標とする。このようにして、濃度y−対数記録量log(z)テーブルが作成される(ステップS23)。
【0114】
次に、濃度y−対数記録量log(z)の関係に基づいて、記録素子nにおいて入力信号値xに基づいて出力された濃度y(x,n)が対数記録量log(z(x,n))に変換される(ステップS24)。そして、記録素子n毎に、同一の濃度に対応する入力信号値xと記録量zとが対応付けられ、log(x)−log(z(x,n))テーブルが作成される(ステップS25)。
【0115】
次に、目標となる目標記録特性z=z0(x)が算出される(ステップS26)。具体的には、画像形成装置で個別の所定の目標記録特性が決定され、目標記録特性調整テーブル271が読み出され、目標記録特性調整テーブル271に基づいて、決定した所定の目標記録特性が調整されて目標記録特性z=z0(x)として算出される(目標記録特性調整工程)。目標記録特性調整テーブル271は、画像形成装置間の差異を低減させることが目的で、基準となる記録特性が予め用意され、基準からの差異を各画像形成装置の目標記録特性調整テーブルとしてもよい。ここでの基準の設定の方法の例として、基準となる装置を決定する、または、多数(例えば100台、1000台)の平均などが好ましい例として挙げられる。本実施の形態では、簡単のため、目標記録特性調整テーブル271に基づいて調整された目標記録特性をz=z0(x)=x(記録量z−濃度(各記録素子nの濃度平均値)yの関係)として説明する。図16は、目標記録特性をz0(x)=xとした場合の例である。
【0116】
次に、基準入力信号値x0が算出される(ステップS27)。基準入力信号値x0とは、記録される濃度が所定の濃度(基準濃度)になるために必要な入力信号値をいう。基準濃度は、ムラが目立ちやすい濃度、すなわち、人間の目が最も敏感な濃度(例えば、濃度0.8〜1.0)に設定することが好ましい。具体的には、補正用画像41の基準濃度に対応する濃度段を記録した入力信号値xの平均値が基準入力信号値x0として算出される。基準入力信号値x0は、RGBの色毎に算出される。なお、記録材料40の種類、ロットのバラツキ、現像状態のバラツキにより感度が変わるため、状態により基準濃度を得るための基準入力信号値x0が変わる。そこで、メディア調整用LUT22に所定の基準画像入力信号値が入力された場合に基準濃度が得られるよう、予めメディア調整用LUT22が調整されている。
【0117】
次に、図16に示すように、ステップS25において対応付けられたlog(x)−log(z(x,n))の関係が、式(2)から定数項c(n)を除いた仮のモデル式(下記式(7))で表されるものとして、回帰解析により、a’(n),b’(n)が求められ(a’(n),b’(n)は実数)、入力信号値xと記録素子nの関数として記録量z(x,n)が求められる。そして、各記録素子nの基準入力信号値x0における記録量z(x0,n)が算出される(ステップS28)。
【数3】

ここで、xは入力信号値、zは記録量、a’(n)は記録量に対する入力信号値の重み係数、b’(n)は記録特性の非線形性を表すパラメータである。
【0118】
次に、下記式(8)に示すように、ステップS28で算出された各記録素子nの基準入力信号値x0における記録量z(x0,n)と、基準入力信号値x0における目標記録量z0(x0)とから、各記録素子nの基準入力信号値x0における補正量d(n)が算出される(ステップS29)。
【数4】

【0119】
次に、図17に示すように、ステップS25において対応付けられたlog(x)−log(z(x,n))に基づいて、記録素子nの入力信号値xL(xL<x0)における記録量z(xL,n)が算出され、この記録量z(xL,n)と、補正量d(n)とに基づいて、下記式(9)に示すように、入力信号値xLにおける仮想記録量z’(xL,n)が算出される。
【数5】

【0120】
そして、下記式(10)に示すように、仮想記録量z’(xL,n)と、入力信号値xLにおける目標記録量z0(xL)との差から、各記録素子nの記録量zのオフセット成分である定数項c(n)が算出される(ステップS30)。
【数6】

【0121】
次に、各記録素子nについて、log(x)とlog(z−c(n))のデータの組が、モデル式(2)を変形した下記式(11)に従うものとして、最小二乗法(回帰解析)により、記録特性を示すパラメータa(n),b(n)が算出される(ステップS31)。
【数7】

【0122】
次に、図12に戻り、入力信号区間k(x)が算出される(ステップS7)。図18を参照して、入力信号区間k(x)の算出方法を説明する。図18に示すように、測定した入力信号値を{x1,x2,…,xt}(x1<x2<…<xt)とし、入力信号値x1からxtを等間隔に(u−1)に分割した値を{p1(=x1),p2,…,pu(=xt)}とする。この測定範囲の入力信号値を均等分割した{p1,p2,…,pu}、最小入力信号値0、最大入力信号値xmax、基準入力信号値x0が、昇順に並べ替えられる。
0<p1<…<pj<x0<pj+1…<pu<xmax
そして、これらの値を区間の境界値として入力信号区間k(x)が区切り直される。
【0123】
出力される記録材料40の種類が変わると、異なる記録材料40でも同じ出力濃度が得られるように、メディア調整用LUT22が変更される。そのため、画像入力信号値(補正用画像の画像データ)は固定であるが、メディア調整用LUT22からの出力である入力信号値xは変更されることになる。入力信号区間k(x)は、補正時に使用された入力信号値xの範囲によって適宜変更される。
【0124】
図19に、記録素子nの記録量z=z(x,n)、目標記録特性z=z0(x)を示す。図19における記録素子nの記録量z=z(x,n)は、ステップS30で算出されたc(n)及びステップS31で算出されたa(n),b(n)を含む式(2)をグラフ化したものである。入力信号区間k(x)の最小入力信号値をxk0、入力信号区間k(x)の最大入力信号値をxk1とし、各入力信号区間k(x)において、下記式(12A),(12B)に従って、補正量Δs(k,n),Δγ(k,n)が算出される(ステップS8)。
【数8】

【0125】
そして、算出された補正量Δs(k,n),Δγ(k,n)及び入力信号区間k(x)が記録される(ステップS9)。入力信号区間k(x)は、入力信号区間情報テーブル231に記録される。
【0126】
次に、補正情報演算部26により、補正係数の更新処理が行われる(ステップS10)。
図20を参照して、補正係数の更新処理を説明する。
【0127】
図20に示すように、まず、入力信号区間k(x)が変更されたか否かが判断される(ステップS41)。入力信号区間k(x)が変更されていない場合には(ステップS41;NO)、補正情報記録部23から現在の補正係数α,βが読み込まれる(ステップS42)。
【0128】
一方、入力信号区間k(x)が変更された場合には(ステップS41;YES)、新たな入力信号区間k(x)に基づく補正係数α,βが算出される(ステップS43)。図21に示すように、元の入力信号区間k−1及びkから新たな入力信号区間k’に変更された場合を例にして説明する。元の入力信号区間k−1における補正係数をα(k−1,n),β(k−1,n)、元の入力信号区間kにおける補正係数をα(k,n),β(k,n)、元の入力信号区間k−1,kにおける入力信号値xの境界値をp1,p2,p3、新たな入力信号区間k’における入力信号値xの境界値をq1,q2とすると、q1,q2における出力信号値x’1,x’2は、下記式(13A),(13B)で求められる。
【数9】

【0129】
図21において2点(q1,x’1),(q2,x’2)を通る直線が新たな入力信号区間k’における変換式となる。したがって、新たな入力信号区間k’における補正係数α(k’,n),β(k’,n)は、下記式(14A),(14B)で求められる。
【数10】

【0130】
次に、下記式(15A),(15B)に従って、入力信号区間k(x)毎に、補正量Δs(k,n)、Δγ(k,n)に基づいて、新たな補正係数α(k,n),β(k,n)が算出され(ステップS44)、補正情報記録部23の補正係数情報テーブル232に記録される(ステップS45)。
【数11】

【0131】
式(15A),(15B)の左辺のα(k,n),β(k,n)は新たな補正係数であり、右辺のα(k,n),β(k,n)は新たな補正係数が算出される前の補正係数である。また、xk0は入力信号区間k(x)の最小入力信号値、xk1は入力信号区間k(x)の最大入力信号値である。
【0132】
次に、図12に戻り、補正を終了せずに、補正を繰り返す場合には(ステップS11;NO)、ステップS1に戻る。
【0133】
ステップS11において、補正を終了する場合には(ステップS11;YES)、記録特性補正処理が終了する。記録特性補正処理後は、記録特性補正処理により調整された補正係数α(k,n),β(k,n)を用いて画像形成が行われる。
【0134】
記録特性補正処理を繰り返す過程で、万が一、補正係数α,βが発散してしまった(収束しなかった)場合には、補正係数の初期化処理を行う。補正係数の初期化処理は、まず、入力信号区間k毎の補正係数α,βを破棄し、基準入力信号値x0とその出力信号値x’0に基づいて、全ての入力信号値xに対して同じ補正係数α=x’0/x0,β=0を設定する。これにより、基準入力信号値x0における記録量だけは均一化することができ、記録特性補正処理を最初からやり直す場合と比較して作業量が削減される。
【0135】
以上説明したように、画像形成装置1によれば、画像形成装置1に個別に設定された目標記録特性z=z0(x)を用いて補正量Δs(k,n)、Δγ(k,n)を算出して補正係数α(k,n),β(k,n)を調整し、調整した補正係数α(k,n),β(k,n)を用いて画像形成するので、階調特性の異なる記録素子16が配列されたプリントヘッド10を備える画像形成装置1において、ある特定の目標を設定しないで、画像形成装置に対し個別に目標記録特性を設定することにより、画像形成装置1個別の現像処理性能の変動や記録材料40のロット間バラツキを低減でき、安定かつ良好な画像を形成できる。
【0136】
また、画像形成装置1個別の目標記録特性z=z0(x)を補正係数α(k,n),β(k,n)の調整の際に新規に決定するので、補正ごとに適切な目標記録特性z=z0(x)を決定でき、現像処理性能の変動や記録材料40のロット間バラツキを低減できる。
【0137】
また、記録特性補正処理のステップS26において、目標記録特性調整テーブル271を用いて、画像形成装置間で目標記録特性z=z0(x)を調整して算出するので、画像形成装置の個体差のバラツキを低減できる。また、目標記録特性調整テーブル271がLUTであるので、容易な計算により画像形成装置の個体差のバラツキを低減できる。
【0138】
また、目標記録特性z=z0(x)を各記録素子16についての濃度y(x,n)の平均値に基づいて決定するので、目標記録特性z=z0(x)を容易に計算でき、その計算時間を短縮できる。
【0139】
また、記録特性補正処理のステップS21において、低記録領域の濃度y(x,n)に基づいて、記録領域の濃度y(x,n)を調整するので、現像処理性能の変動や記録材料のロット間バラツキに起因する低記録領域の変動による出力画像への影響を低減できる。
【0140】
また、ステップS21において、各記録素子16及び入力信号値xに対応する濃度のうち、i番目の記録素子16に対応する濃度y(x,i)を、i番目以外の記録素子16の濃度y(x,i−1),y(x,i+1)等に基づいて調整するので、その調整の影響を受けて算出された補正係数α(k,n),β(k,n)を用いた画像形成時に記録材料40への出力濃度を変更することにより、特定の画素の近傍、特に隣接する画素のにじみによる出力画像への影響を低減でき、高精度に補正できる。
【0141】
また、ステップS21において、濃度y(x,i)の色変換を行うことにより、補正のフィードバックを行うべきRGBの各基本色の読取情報を抽出可能となり、他基本色の混色の悪影響を除外できるため、高精度に補正できる。また、各基本色の記録特性の違いが低減可能となるために、高精度に補正できる。
【0142】
また、特定の入力信号値xに対応する画像の読取情報のバラツキ量に基づいて、補正係数α(k,n),β(k,n)の算出を継続するか否かを判断し、当該バラツキ量が大きい場合に、当該補正係数の算出を中止するので、読取情報のバラツキ量が大きい場合、すなわち、補正用画像上に大きなゴミやほこりが存在するおそれがある場合には、不正確な補正を防止できる。
【0143】
また、複数の異なる濃度に対応する読取情報を用いるので、読取情報のデータ数が増加するため、補正の精度を向上できる。また、複数の異なる濃度に、高濃度(例えば、1.5〜1.7)及び低濃度(例えば、0.3〜0.5)の濃度が含まれることにより、高濃度及び低濃度においても高画質な性能を実現できる。
【0144】
また、プリントヘッド10を、記録素子16間の記録特性の差が大きいPLZTプリントヘッドにした場合にも、各記録素子16の記録特性を正確に評価でき、画質を向上できる。
【0145】
本実施の形態で使用する画像読取部30は、ライン状のCCDを有し、ライン上のCCDが走査することにより画像を読み込む装置であることが好ましく、フラットベッドスキャナ、ドラムスキャナ等、各種スキャナが挙げられる。
また、画像読取部30を用いて補正用画像41の読取情報を取得する際には、アレイ状プリントヘッド10を用いて記録材料40に記録を行う解像度よりも高解像度で補正用画像41の読み込みを行うことが好ましい。
【0146】
また、記録特性補正処理は、プリントヘッド10全領域(全記録素子16)に対して行ってもよいし、補正時間短縮のため、使用する部分のみ、あるいは、濃度ムラが目立つ部分のみ等、プリントヘッドの一部の領域(記録素子16)に対して行ってもよい。
【0147】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の例であり、これに限定されるものではない。画像形成装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0148】
例えば、上記実施の形態では、上記式(2)に示すように、記録素子nの記録量zが、入力信号値xのb次の項と定数項の和で表されることとしたが、入力信号値xのb次の項が複数含まれることとしてもよい。
【0149】
また、上記実施の形態では、記録特性補正処理のステップS21において、濃度y(x,n)を調整対象として各種調整が実行される構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、ステップS3で取得された読取情報が調整対象として各種調整が実行される構成としてもよい。
【0150】
また、上記実施の形態では、記録特性補正処理のステップS4において、特定の入力信号値xに対応する読取情報のバラツキ量が閾値より大きい場合に、補正計算が中止される構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、ある入力信号値xで閾値が複数用意され、その複数の閾値を用いて微小な汚れが存在すると判別される場合に、主走査方向の濃度ムラ補正が行われ(補正係数α≠1)、記録特性の補正が行われなくても構わない(全画素、全領域で補正係数がβ=0)構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置1の概略構成図である。
【図2】プリントヘッド10の構成を示す模式図である。
【図3】記録素子16の配列状態を示す図である。
【図4】記録素子16の時間に対する記録量変動の様子を示す図である。
【図5】画像形成装置1の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】(a)は、入力信号値xに対する入力信号区間kの番号をグラフで表したものである。(b)は、入力信号区間情報テーブル231の一例である。
【図7】補正係数情報テーブル232の一例である。
【図8】補正情報記録部23及びプリントヘッド制御部24における処理を説明するための図である。
【図9】補正係数α,βに基づく入力信号値xから出力信号値x’への変換を示す図である。
【図10】補正用画像41の例を示す図である。
【図11】感光材料の特性曲線を示す図である。
【図12】記録特性補正処理を示すフローチャートである。
【図13】記録特性モデル式算出処理を示すフローチャートである。
【図14】平均濃度yave(x)の算出方法を説明するための図である。
【図15】入力信号値xと記録量zとの対応付けを説明するための図である。
【図16】基準入力信号値x0における補正量d(n)の算出方法を説明するための図である。
【図17】定数項c(n) の算出方法を説明するための図である。
【図18】入力信号区間k(x)の算出方法を説明するための図である。
【図19】補正量Δs,Δγの算出方法を説明するための図である。
【図20】補正係数の更新処理を示すフローチャートである。
【図21】新たな入力信号区間k(x)に基づく補正係数α,βの算出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0152】
1 画像形成装置
10 プリントヘッド
11 LED光源
14 PLZTシャッターアレイ
15 セルフォックレンズアレイ
16 記録素子
17,18 偏光子
20 画像制御部
23 補正情報記録部
24 プリントヘッド制御部
25 補正量算出部
26 補正情報演算部
27 目標調整情報記録部
30 画像読取部
40 記録材料
41 補正用画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号値を補正係数に基づいて出力信号値に変換する工程と、
画像形成装置内に設けられる複数の記録素子がアレイ状に配列されたプリントヘッドにより前記出力信号値に基づいて記録材料に補正用画像を記録する工程と、
前記補正用画像から読取情報を取得する工程と、
前記読取情報及び前記プリントヘッドの目標記録特性に基づいて、前記各記録素子の記録特性の補正量を算出する補正量算出工程と、
前記補正量に基づいて前記補正係数の調整を行う工程と、
前記プリントヘッドにより、前記調整された補正係数を用いて画像を記録材料に記録する工程と、を含み、
前記目標記録特性は、画像形成装置に対し個別に設定されることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記補正量算出工程において、前記個別の目標記録特性を前記補正係数の調整の際に新規に決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
入力信号値を補正係数に基づいて出力信号値に変換する工程と、
複数の記録素子がアレイ状に配列されたプリントヘッドにより前記出力信号値に基づいて記録材料に補正用画像を記録する工程と、
前記補正用画像から読取情報を取得する工程と、
前記読取情報及び前記プリントヘッドの目標記録特性に基づいて、前記各記録素子の記録特性の補正量を算出する補正量算出工程と、
前記補正量に基づいて前記補正係数の調整を行う工程と、
前記プリントヘッドにより、前記調整された補正係数を用いて画像を記録材料に記録する工程と、を含み、
前記補正量算出工程において、前記目標記録特性を前記補正係数の調整の際に新規に決定することを特徴とする画像形成方法。
【請求項4】
画像形成装置間の目標記録特性を調整する目標記録特性工程を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記目標記録特性工程において、LUTを用いて調整を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記補正量算出工程において、前記目標記録特性を前記各記録素子についての読取情報の統計量に基づいて決定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記統計量は、平均値であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
低記録領域の読取情報に基づいて、記録領域の読取情報を調整する工程を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記各記録素子及び入力信号値に対応する読取情報のうち、i番目(iは自然数)の前記記録素子に対応する読取情報を、当該i番目以外の記録素子の読取情報に基づいて調整する工程を含み、当該調整する調整量を前記入力信号値に応じて変化させることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記読取情報に対して前記入力信号値に応じて異なる色変換を行う工程を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記補正量算出工程において、特定の入力信号値に対応する画像の読取情報のバラツキ量に基づいて、前記補正係数の算出を継続するか否かを判断し、当該判断の基準を前記入力信号値に応じて変化させることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記読取情報は、複数の異なる濃度に対応する読取情報であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記プリントヘッドは、PLZTプリントヘッドであることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項14】
入力信号値を補正係数に基づいて出力信号値に変換するプリントヘッド制御部と、
複数の記録素子がアレイ状に配列され、前記出力信号値に基づいて記録材料に補正用画像を記録するプリントヘッドと、
前記補正用画像から読取情報を取得する画像読取部と、
前記読取情報及び前記プリントヘッドの目標記録特性に基づいて、前記各記録素子の記録特性の補正量を算出する補正量算出部と、
前記補正量に基づいて前記補正係数の調整を行う補正情報演算部と、
前記プリントヘッド制御部及び前記プリントヘッドは、前記調整された補正係数を用いて画像を記録材料に記録し、
前記目標記録特性は、画像形成装置に対し個別に設定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
前記補正量算出部は、前記個別の目標記録特性を前記補正係数の調整の際に新規に決定することを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
入力信号値を補正係数に基づいて出力信号値に変換するプリントヘッド制御部と、
複数の記録素子がアレイ状に配列され、前記出力信号値に基づいて記録材料に補正用画像を記録するプリントヘッドと、
前記補正用画像から読取情報を取得する画像読取部と、
前記読取情報及び前記プリントヘッドの目標記録特性に基づいて、前記各記録素子の記録特性の補正量を算出する補正量算出部と、
前記補正量に基づいて前記補正係数の調整を行う補正情報演算部と、
前記プリントヘッド制御部及び前記プリントヘッドは、前記調整された補正係数を用いて画像を記録材料に記録し、
前記補正量算出部は、前記目標記録特性を前記補正係数の調整の際に新規に決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
画像形成装置間で前記目標記録特性を調整する目標記録特性調整手段を有することを特徴とする請求項14から16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記目標記録特性調整手段は、LUTを用いて調整を行うことを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記補正量算出部は、前記目標記録特性を前記各記録素子についての読取情報の統計量に基づいて決定することを特徴とする請求項14から18のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記統計量は、平均値であることを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記補正量算出部は、低記録領域の読取情報に基づいて、記録領域の読取情報を調整することを特徴とする請求項14から20のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記補正量算出部は、前記各記録素子及び入力信号値に対応する読取情報のうち、i番目(iは自然数)の前記記録素子に対応する読取情報を、当該i番目以外の記録素子の読取情報に基づいて調整し、当該調整する調整量を前記入力信号値に応じて変化させることを特徴とする請求項14から21のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項23】
前記補正量算出部は、前記読取情報に対して前記入力信号値に応じて異なる色変換を行うことを特徴とする請求項14から22のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項24】
前記補正量算出部は、特定の入力信号値に対応する画像の読取情報のバラツキ量に基づいて、前記補正係数の算出を継続するか否かを判断し、当該判断の基準を前記入力信号値に応じて変化させることを特徴とする請求項14から23のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項25】
前記読取情報は、複数の異なる濃度に対応する読取情報であることを特徴とする請求項14から24のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項26】
前記プリントヘッドは、PLZTプリントヘッドであることを特徴とする請求項14から25のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−144940(P2007−144940A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345838(P2005−345838)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】