説明

画像形成装置、およびその制御方法

【課題】既知の色値を有する基準紙を用いず、簡易な構成で正しく白色基準板の汚れを検知でき、色値補正を行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録材に転写された色剤および基準板における、濃度もしくは色値を検知する色検知手段を備え、前記色検知手段の検知結果に基づき画像形成を行う際の色剤量の補正を行う画像形成装置であって、予め前記色検知手段が検知した前記色剤および前記基準板それぞれの検知結果を基準値として記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記色剤および前記基準板それぞれの基準値と前記色検知手段による前記色剤の検知結果との関係に基づき前記基準板に対する検知結果を推定し、当該推定された検知結果と前記色検知手段による前記基準板の検知結果との差が、所定値より大きい場合、前記基準板に汚れがあるとして検知する汚れ検知手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材上に形成した画像の濃度もしくは色値の検知し、検知結果に応じた画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラープリンタやカラー複写機等のカラー画像形成装置において、出力画像の高画質化が求められている。特に、出力画像の濃度の階調とその安定性は、画像の品質を決める重要な要素となっている。
【0003】
ところが、カラー画像形成装置は、環境変動や長時間の使用による装置各部の変動要因により、出力画像の濃度や色味が変化してしまう。特に電子写真方式のカラー画像形成装置の場合、わずかな環境変動でも出力画像の濃度や色味の変化が生じ、画像形成特性を崩す恐れがあるので、常に一定の濃度を保つための手段を備える必要がある。そのような手段の1つとして、色値を検出するセンサ(以下、カラーセンサ)を用いる手段がある。これは、記録材上に形成、定着させた色値検知用の各色トナー画像(以下、パッチ)の色値をカラーセンサで検知し、検知結果に応じて記録材に転写するトナー量を調整/補正するものである。
【0004】
ここで、カラーセンサを用いてパッチの色値を検知する際、白色基準板を用いて基準となる白の色値(白基準)を検知し、検知結果に応じてカラーセンサの出力を校正する必要がある。これは、例えば、カラーセンサを構成する発光部や受光部の経時劣化、周囲温度の変化、記録材がセンサ付近を通過すること等に起因した紙粉やトナー等がセンサ表面への付着などにより、同じパッチを用いてもセンサの出力が異なってしまうからである。このようにパッチの色値検知時は、白色基準板を用いて白基準を取得し、取得した白基準を用いてパッチの検知結果を補正することで、センサ出力値の変化に依存せずパッチの色値を取得することができる。
【0005】
しかし、センサ同様、この白色基準板に紙粉やトナー等が付着してしまうと、センサ出力校正用の基準板として使用できなくなってしまうという問題がある。このような問題への対策として、色値が既知である特定の基準紙の色値をカラーセンサで検知することで、白色基準板の汚れを検知する手法が特許文献1に記載されている。この手法では、白色基準板を用いて校正したセンサで検知した基準紙の色値と、既知である基準紙の色値とを比較することにより、白色基準板の汚れを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−278215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の方法では、色値が既知の基準紙を必ず用いる必要があった。基準紙でない紙や、汚れた基準紙等、既知である基準紙の色値と異なる色値の紙を用いてしまうと白色基準板の汚れを正しく検知できず、色補正を正しく行うことができなくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、色値が既知の基準紙を用いずに、簡易な構成で正しく白色基準板の汚れを検知し、色補正を行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を有する。すなわち、記録材に転写された色剤および基準板における、濃度もしくは色値を検知する色検知手段を備え、前記色検知手段の検知結果に基づき画像形成を行う際の色剤量の補正を行う画像形成装置であって、予め前記色検知手段が検知した前記色剤および前記基準板それぞれの検知結果を基準値として記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記色剤および前記基準板それぞれの基準値と前記色検知手段による前記色剤の検知結果との関係に基づき前記基準板に対する検知結果を推定し、当該推定された検知結果と前記色検知手段による前記基準板の検知結果との差が、所定値より大きい場合、前記基準板に汚れがあるとして検知する汚れ検知手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、予め色値が既知の基準紙を用いず、基準板の汚れを安定して検知することが可能な画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第一実施形態に係る色補正システムブロック図。
【図2】画像形成装置の概略構成図。
【図3】画像形成装置の制御構成を簡略化したブロック図。
【図4】カラーセンサの構成を示す図。
【図5】カラーセンサが検出するパッチの分光分布の一例を示す図。
【図6】白色基準板を用いたカラーセンサ出力値校正方法を説明する図。
【図7】第一実施形態に係る白色基準板の汚れ検出に使用するパッチを示す図。
【図8】第一実施形態に係る白色基準板が汚れている時の白色基準板とパッチの分光分布の一例を示す図。
【図9】第一実施形態に係る色補正シーケンス図。
【図10】第二実施形態に係る白色基準板の汚れ検出に使用するパッチを示す図。
【図11】第二実施形態に係る白色基準板が汚れている時の白色基準板とパッチの分光分布の一例を示す図。
【図12】第二実施形態に係る色補正システムブロック図。
【図13】第二実施形態に係る色補正シーケンス図。
【図14】第三実施形態に係る記録材の種類に応じた形成パッチの一例を示す図。
【図15】第三実施形態に係る色補正システムブロック図。
【図16】第三実施形態に係る記録材の種類に応じた白色基準板の汚れを判定する閾値の一例を示す図。
【図17】第三実施形態に係る色補正シーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
[機器構成]
本発明に係る画像形成装置の第一実施形態を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例である、電子写真方式を採用したカラー画像形成装置を示す。画像形成装置1は、供給部(不図示)から供給された記録材9を、供給部搬送ローラ12、15で搬送する。メディアセンサ14は、供給部搬送路13上の検知位置13aにて搬送される記録材9の種類を検知する。また、画像形成装置1は、中間転写体4と、画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kと、二次転写器5と、定着器6と、カラーセンサ7とを有する。画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kはそれぞれ、中間転写体4上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー(色剤)を用いてトナー像を形成する。二次転写器5は、搬送された記録材9上に中間転写体4上のトナー像を転写する。定着器6は、記録材9上のトナー像を定着する。カラーセンサ7は、色検知手段であり、記録材9上に形成された定着後のトナー像を定着部搬送路2上の検出位置2aにて測色する。
【0013】
画像形成ユニット3C、3M、3Y、3Kは、それぞれ同様の構成を有しており、感光体ドラム30と、帯電器31と、露光ユニット32と、現像器33と、一次転写器34とを備える。感光体ドラム30は、駆動モータ(不図示)によって回転する。帯電器31は、感光体ドラム30の表面を一様に帯電させる。露光ユニット32は、対応する色の画像信号に基づいて一様に帯電された感光体ドラム30の表面を露光して静電潜像を形成する。現像器33は、対応する色のトナーで感光体ドラム30の表面に形成された静電潜像を現像する。一次転写器34は、感光体ドラム30上の現像されたトナー像を中間転写体4上に転写する。また、現像器33はメモリ35を備えており、メモリ35には現像器33内に含まれているトナーの記録材9への定着性の製造ばらつき等、現像器33固有の情報が記憶されている。
【0014】
トナー像が定着された記録材9は、排出部ローラ16、17、スイッチバックローラ18を経由して排出される。記録材9の両面にトナー像を転写する場合は、記録材の後端が排出部ローラ16、17を通過した後に、スイッチバックローラ18及び排出部ローラ16、19が逆回転し、記録材9は後退搬送路22へ搬送される。後退搬送路22へ搬送された記録材9は、後退搬送ローラ20、21、給紙部搬送ローラ15を経由して、裏返した状態で搬送される。ここで、二次転写器5でトナー像を転写することにより、記録材9の裏面にトナー像が転写される。
【0015】
[制御機構]
図3は、本実施形態に係る画像形成装置1の制御構成を簡略化して示したブロック図である。画像形成装置1は、画像形成装置1に対して通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)等の外部機器80からの画像信号(RGB信号)を受信する。画像処理部81は、受信したRGB信号をCMYK信号に変換し、補正テーブル生成部87により濃度、階調特性の補正を加えた後に、図2に示す露光ユニット32用の画像信号を生成する。ここで用いられる補正値により、色剤量(トナー量)を調整することとなる。
【0016】
画像形成制御部82はCPU60を有し、CPU60が画像形成に係る各動作のタイミング、及び各機器間の通信を制御する。画像形成制御部82は、各色の画像形成ユニット3を制御し、画像処理部81が生成した画像信号に基づいたトナー画像を形成する。搬送モータ84は、画像形成制御部82からの指示により、記録材9を所定のタイミングで画像形成装置1内にて搬送させる駆動手段であり、本実施形態では複数の駆動手段(不図示)により記録材9の搬送を行う。また、画像形成制御部82は、メディアセンサ14が検出した記録材9の種類に応じて、最適な量のトナーを定着できるように記録材9の搬送速度を制御する。
【0017】
カラーセンサ7は、画像形成制御部82の指示を受けて、記録材9上に形成されたパッチパターンの分光分布を検出する。画像形成制御部82は、カラーセンサ7で検出したパッチパターンの分光分布からパッチパターンの色値を算出し、算出した色値を画像処理部81の補正テーブル生成部87にフィードバックすることで、色補正を行う。色補正処理の開始は、情報入力部88を介してユーザから指示される。また、色補正の実行結果は、情報報知部89によりユーザに報知される。なお、この色補正の実行結果は、外部機器80を介してユーザに報知されても良い。
【0018】
[カラーセンサ]
図4は、本実施形態に係るカラーセンサ7に対する図2に示す検出位置2aの拡大図、及びカラーセンサ7の構成を示す。また、図5は、カラーセンサ7で検出したあるパッチの分光分布の一例を示す。カラーセンサ7は、定着されたトナー像の分光分布を検出できるように記録材9の画像形成面に対向して配置されている。そして記録材9上に形成された定着後の色補正用パッチパターン10の分光分布を、記録材9を搬送させながら検出できるように構成されている。また、検出位置2aのカラーセンサ7から見た対向面には白色基準板11が設けられている。すなわち、カラーセンサ7と白色基準板11とが対向し、その間を記録材9が搬送されることとなる。
【0019】
カラーセンサ7は、白色LED71と、スリット72と、反射型の回折格子73と、複数個の受光部を1列に配置したラインセンサ74により構成される。白色LED71は、定着後の色補正用パッチパターン10が形成された記録材9に対して斜め45度より光を入射させる。スリット72は、記録材9の表面に対して90度方向から入射されるパッチの反射光を通過させる。回折格子73は、スリット72を通過したパッチからの反射光を波長に応じた光に分光する。ラインセンサ74は、各受光部が分光された波長に応じた光の強度を検出する。検出範囲λ1〜λLmax[nm](Lmax:受光部の総数)に対して、波長χにおける光強度をV(χ)とすると、分光分布はV(λ)(λ=λ1,…,λL,…,λLmax)で表される。
【0020】
[カラーセンサ出力値校正方法]
図6は、色剤量の補正時における白色基準板11を用いたカラーセンサ出力値校正方法を説明するための図である。カラーセンサ7を用いて記録材9上の色補正用パッチパターン10の色値を算出する場合、まず、カラーセンサ7で検知した白色基準板11の分光分布を白基準とする。そして、この白基準とカラーセンサ7で検知した色補正用パッチパターン10の分光分布とから、色補正用パッチパターン10の色値を算出する。この白色基準板11の分光分布の検知は、色補正の実行時に毎回行う必要がある。これは、カラーセンサ7の発光部や受光部の経時劣化、周囲温度の変化、記録材9がセンサ付近を通過することに起因した紙粉やトナー等がセンサ表面への付着等により、同じ色補正用パッチパターン10を用いてもカラーセンサ7の出力が異なってしまうからである。
【0021】
図6におけるV(λ)white_refは、画像形成装置の出荷時にカラーセンサ7で検知した白色基準板11の分光分布である。つまり、カラーセンサ7に汚れ等が付着していない状態で検知された白色基準板11の分光分布である。V(λ)whiteは、画像形成装置の出荷後の色補正時において、経時劣化やトナー付着等が発生したカラーセンサ7で検知した白色基準板11の分光分布である。V(λ)patchは、画像形成装置の出荷後の色補正時において、経時劣化やトナー付着等が発生したカラーセンサ7で検知したあるパッチの分光分布である。ここで、パッチの色値を算出するためには、経時劣化やトナー付着等が発生していないカラーセンサ7で検知したパッチの分光分布が必要となる。
【0022】
ここで、経時劣化やトナー付着等が発生したカラーセンサ7を用いた場合、白色基準板11とパッチの分光分布は同じように影響を受ける。つまり、経時劣化やトナー付着等があるカラーセンサ7による分光分布の光強度低下率は、白色基準板11とパッチとで同じになる。そのため、画像形成装置の出荷時にカラーセンサ7で検知した場合のパッチの分光分布をV(λ)patch_refとすると、以下の式(1)が成立する。
【0023】
V(λ)white/V(λ)white_ref=V(λ)patch/V(λ)patch_ref ・・・(1)
よって、経時劣化やトナー付着等がないカラーセンサ7で検知した場合のパッチの分光分布V(λ)patch_modifyは、V(λ)white、V(λ)white_ref、V(λ)patchを用いて以下の式(2)のように算出できる。
【0024】
V(λ)patch_modify=V(λ)patch×(V(λ)white_ref/V(λ)white) ・・・(2)
この算出したV(λ)patch_modifyに対し、更に白色基準板11の色値と、検知された白の色値との差を補正することで、経時劣化やトナー付着等がないカラーセンサ7にて検出された場合のパッチの色値を算出できる。このように、色補正実行毎に白色基準板11の分光分布を検知することで、経時劣化やトナー付着等が発生したカラーセンサ7を用いても正しく色補正を行うことができる。
【0025】
しかし、ここで白色基準板11が何らかの理由により汚れてしまうと白基準値を正しく取得できず、色補正を正しく行うことができなくなる。色値が既知である基準紙を用いれば白色基準板11の汚れを検知できるものの、この場合は色値が既知の基準紙を必ず用いる必要があり、基準紙と異なる色値の紙を用いてしまうと白色基準板11の汚れを正しく検知できなくなる。
【0026】
そこで本実施形態では、載り量の多いトナーを用いた汚れ検知用パッチを用紙(記録材9)上に形成し、カラーセンサ7で汚れ検知用パッチの分光分布を検知することで白色基準板11の汚れを検知する。載り量の多いトナーを用いた汚れ検知用パッチを形成することで、汚れ検知用パッチの分光分布は用紙の色値や薄さによる影響を受けにくくなり、用紙の種類に依存せずに安定して分光分布を取得することができる。また、汚れ検知用パッチの分光分布は安定して検知できる為、白色基準板11が大きく汚れている場合は汚れ検知用パッチの分光分布を用いて色補正する。これにより、汚れている白色基準板11を用いるよりも精度の良い色補正を行うことができる。
【0027】
本実施形態では汚れ検知用パッチとして、図2における画像形成ユニット3Yで形成されるYトナー像を、図7に示すように記録材9に2回重ねて転写することで形成した2回転写Yパッチ23を用いる。よって、Yの色のみのトナーを複数回にて重畳した単一種類のパッチを用いる。図2のスイッチバックローラ18、排出部ローラ16、19を用いて記録材9の搬送を2回繰り返せば記録材9を2回裏返すことになり、記録材9の同一箇所にパッチを2回重ねて転写することができる。パッチを2回転写することでより多くのトナー量を記録材9に転写できる為、色値や薄さ、トナーの定着性等が異なる用紙を用いてもパッチの分光分布は影響を受けにくくなり、安定してパッチの分光分布を取得することができる。
【0028】
[汚れ検出方法、および色補正方法]
図8を用いて本実施形態における白色基準板11の汚れ検出方法、及び色補正方法を説明する。図8(a)に示すV(λ)white_ref、及びV(λ)Ypatch_refは、画像形成装置の出荷時に記憶したカラーセンサ7で検知した白色基準板11、及び2回転写Yパッチ23の分光分布である。この情報は、予め画像形成装置1内の記憶部であるROM100にて記憶されているものとする。
【0029】
図8(b)に示すV(λ)white、及びV(λ)Ypatchは、画像形成装置の出荷後の色補正実行時において、経時劣化やトナー付着等が発生したカラーセンサ7で検知した、汚れのある白色基準板11、及び2回転写Yパッチ23の分光分布である。図8(b)に示すように画像形成装置の出荷後にカラーセンサ7に経時劣化やトナー付着等が発生すると、白色基準板11、及び2回転写Yパッチ23の分光分布の光強度は低下する。
【0030】
しかし、この光強度低下がカラーセンサ7の経時劣化やトナー付着によるものであれば、白色基準板11、及び2回転写Yパッチ23の分光分布は同様に影響を受ける。つまり、白色基準板11に汚れがなければ、V(λ)white_refに対するV(λ)whiteの低下率と、V(λ)Ypatch_refに対するV(λ)Ypatchの低下率とはほぼ同じになる。よって、V(λ)whiteの低下率が、V(λ)Ypatchの低下率より大きい波長帯があれば、白色基準板11が汚れていると判断することができる。
【0031】
本実施形態では、カラーセンサ7で検知した2回転写Yパッチ23の分光分布と、画像形成装置の出荷時の白色基準板11および2回転写Yパッチ23の分光分布とから、白色基準板11の推定分光分布V(λ)white_estimateを求める。本実施形態では、以下の式(3)を用いて算出することで、白色基準板11の汚れを検出する。
【0032】
V(λ)white_estimate=V(λ)Ypatch×(V(λ)white_ref/V(λ)Ypatch_ref) ・・・(3)
本実施形態では、この白色基準板11の推定分光分布V(λ)white_estimateと、カラーセンサ7で検知した白色基準板11の分光分布V(λ)whiteとを波長帯毎に比較する。そして、その差が予め設定された所定値である汚れ有無判定閾値Terrより大きい波長帯は、白色基準板11の汚れの影響を受けていると判定する。従って、推定分光分布と、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布とで波長帯毎の差があれば、推定分光分布から算出する色値と、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布から算出する色値との間にも差が生じることになる。この色値の差がカラーセンサ7の色値検知精度以上に大きければ、白色基準板11は汚れていると判断することができる。
【0033】
本実施形態では、1つの波長帯の差によって、色値の差がカラーセンサ7の色値検知精度以上に大きくなってしまうような波長帯差の値を汚れ有無判定閾値として設定している。更に、汚れ有無判定閾値Terrには、Yパッチの記録材9への定着性の製造ばらつきを考慮し、現像器毎に異なる値が設定されている。本実施形態では、汚れの影響を受けている波長帯が1つでも存在すれば、ユーザに白色基準板11の汚れを報知し、白色基準板11の交換、もしくは清掃を要求する。
【0034】
また、V(λ)white_estimateと、V(λ)whiteとの波長帯毎の差を合計し、合計値の大きさに応じて白色基準板11の汚れ度合いもユーザに報知する。本実施形態では、予め設定された所定値である2つの汚れレベル判定閾値Terr_high、Terr_low(Terr_high>Terr_low)を用いて3レベルの汚れ度合いをユーザに報知する。なお、以下の式(4)のΣは、λ=λ1〜λLmaxにおける総和を表す。
【0035】
レベル1:
Σ(V(λ)white_estimate−V(λ)white)≦Terr_low
レベル2:
Terr_low<Σ(V(λ)white_estimate−V(λ)white)<Terr_high
レベル3:
Terr_high≦Σ(V(λ)white_estimate−V(λ)white)
・・・(4)
ここで用いられる汚れレベル判定閾値には、波長帯毎の差の合計値が、V(λ)white_estimateから算出した色値と、V(λ)whiteから算出した色値との差に与える影響を考慮した値が設定されている。なお、本実施形態において、汚れ有無判定閾値Terrおよび汚れレベル判定閾値Terr_high、Terr_lowは、メモリ35に予め記憶されているものとする。
【0036】
また、白色基準板の交換や清掃が困難な時等、ユーザから白色基準板が汚れた状態において2回転写Yパッチ23を用いた色補正を指示された場合は、分光分布の値を2回転写Yパッチ23から推定した白色基準板の推定分光分布の値に切換えて色補正を行う。この時、汚れの影響を受けている波長帯は白色基準板11の推定分光分布V(λ)white_estimateを用いて補正分光分布V(λ)white_modifyを算出する。また、汚れの影響を受けていない波長帯はカラーセンサ7で検知した白色基準板11の分光分布V(λ)whiteを用いて補正分光分布V(λ)white_modifyを算出する。
【0037】
この白色基準板11の補正分光分布V(λ)white_modifyとカラーセンサ7で検知した色補正用パッチパターン10の分光分布V(λ)patchとから、経時劣化やトナー付着等がないカラーセンサ7で検知した色補正用パッチパターン10の分光分布V(λ)patch_modifyを以下の式(5)を用いて算出する。
【0038】
V(λ)patch_modify=V(λ)patch×(V(λ)white_ref/V(λ)white_modify) ・・・(5)
この算出した色補正用パッチパターン10の補正分光分布V(λ)patch_modifyに対し、白色基準板11の色値と、白の色値との差を補正することで色補正用パッチパターン10の色値を算出する。このような制御を行うことで、白色基準板11が大きく汚れている場合、2回転写Yパッチ23の分光分布を用いることで、汚れている白色基準板11を用いるよりも精度の良い色補正を行うことができる。
【0039】
[色補正システムの構成]
図1に本実施形態に係る色補正システムの構成例となるブロック図を示す。画像形成制御部82におけるCPU60は、図3における情報入力部88を介してユーザから色補正の開始を指示されると、画像形成ユニット3、及び搬送モータ84を制御し、2回転写Yパッチ23、及び色補正用パッチパターン10を記録材9上に形成する。またCPU60は、メディアセンサ14が検知した記録材9の種類に応じて、最適な量のトナーを定着できるように記録材9の搬送速度を制御している。
【0040】
ASIC101は、CPU60から色補正の開始を指示されると、白色基準板汚れ検知部102がカラーセンサ7を制御し、白色基準板11、2回転写Yパッチ23、及び色補正用パッチパターン10の分光分布を検知結果として順次取得する。ROM100には、画像形成装置の出荷時にカラーセンサ7で検知した白色基準板11、2回転写Yパッチ23の分光分布、及び白色基準板11の色値と白の色値との差を補正する為の情報が記憶されている。
【0041】
白色基準板汚れ検知部102には、図2における現像器33が備えたメモリ35に記憶されているトナーの定着特性や製造ばらつき等を考慮した汚れ有無判定閾値Terrと、汚れレベル判定閾値Terr_high、Terr_lowが入力される。白色基準板汚れ検知部102は、カラーセンサ7で検知した2回転写Yパッチの分光分布と、ROM100に記憶された白色基準板11および2回転写Yパッチ23の分光分布とから、白色基準板11の推定分光分布を算出する。この推定した白色基準板11の推定分光分布、カラーセンサ7で検知した白色基準板11の分光分布、汚れ有無判定閾値、および汚れレベル判定閾値より、白色基準板汚れ検知部102は白色基準板汚れの有無、及び汚れ度合いを判定する。そして、白色基準板汚れ検知部102は、白色基準板汚れ情報として、図3における情報報知部89を介してユーザに報知する。
【0042】
また、白色基準板汚れ検知部102は、推定した白色基準板11の推定分光分布、カラーセンサ7で検知した白色基準板11の分光分布、及び汚れの影響を受けている波長帯の情報を白色基準板分光分布切換え部103へ出力する。ユーザは、情報報知部89で報知されている白色基準板の汚れ情報から色補正を続行するか判断し、情報入力部88を介してCPU60に色補正を終了するか、継続するかを指示することができる。色補正を続行する場合、ユーザは、カラーセンサ7で検知した白色基準板11の分光分布を、推定した白色基準板の推定分光分布に切換えて色補正を実施するか否かを、情報入力部88を介して白色基準板分光分布切換え部103に指示することができる。
【0043】
切換えを指示された場合、白色基準板分光分布切換え部103は、汚れの影響を受けている波長帯は2回転写Yパッチ23から推定した白色基準板の推定分光分布を白色基準板補正分光分布として色値算出部104へ算出する。同様に、白色基準板分光分布切換え部103は、影響を受けていない波長帯はカラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布を白色基準板の補正分光分布として色値算出部104へ出力する。また、白色基準板分光分布切換え部103は、切換えを指示されなかった場合、白色基準板分光分布切換え部103は、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布を白色基準板の補正分光分布として色値算出部104へ出力する。白色基準板汚れ検知部102は、カラーセンサ7で検知した色補正用パッチパターン10の分光分布を色値算出部104に出力する。
【0044】
色値算出部104は、白色基準板分光分布切換え部103から出力される白色基準板補正の分光分布と、白色基準板汚れ検知部102から出力される色補正用パッチパターンの分光分布と、ROM100に予め記憶された白色基準板11の色値と白の色値との比情報から、色補正用パッチパターン10の色値を算出する。そして、色値算出部104は、算出した色補正用パッチパターン10の色値を図3に示す画像処理部81へ出力する。画像処理部81は、色補正用パッチパターン10の色値を補正テーブル生成部87へ反映し、色補正の終了をCPU60に報知する。CPU60は色補正の終了を報知されると、白色基準板汚れ検知部102に色補正の終了を指示すると共に、情報報知部89を介してユーザに色補正の終了を報知する。
【0045】
[色補正処理]
図9に本実施形態に係る色補正シーケンスを示す。CPU60は、ユーザから色補正の開始を指示されたら(S1001にてYES)、ASIC101に色補正の開始を指示し、2回転写Yパッチ23、色補正用パッチパターン10を記録材9へ転写する(S1002)。ASIC101内の白色基準板汚れ検知部102は、CPU60から色補正の開始を指示されるとカラーセンサ7を用いて、白色基準板11、2回転写Yパッチ23、および色補正用パッチパターン10それぞれの分光分布を取得する(S1003)。白色基準板汚れ検知部102は、取得した2回転写Yパッチ23の分光分布と、ROM100に記憶されている出荷時における白色基準板11、2回転写Yパッチ23の分光分布から、白色基準板11の推定分光分布を算出する(S1004)。
【0046】
白色基準板汚れ検知部102は、白色基準板11が汚れているかを判断する(S1005)。ここでは、推定した白色基準板11の推定分光分布と、取得した白色基準板11の分光分布とを波長帯毎に比較し、その差がメモリ35に記憶された閾値Terrより大きい波長帯が1つでもあれば、白色基準板11が汚れていると判定する。汚れがない場合(S1005にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を使用する(S1006)。
【0047】
汚れがある場合(S1005にてYES)、白色基準板汚れ検知部102は、推定した白色基準板の推定分光分布と取得した白色基準板の分光分布との差の合計値と、メモリ35に記憶された閾値Terr_lowを比較する(S1007)。差の合計値がTerr_low以下であれば(S1007にてYES)、白色基準板汚れ検知部102は、情報報知部89を介してレベル1の白色基準板11の汚れをユーザに報知する(S1008)。差の合計値がTerr_high以上であれば(S1009にてYES)、白色基準板汚れ検知部102は、情報報知部89を介してレベル3の白色基準板11の汚れをユーザに報知する(S1010)。差の合計値がTerr_lowより大きく、Terr_highより小さければ(S1007にてNOかつS1009にてNO)、白色基準板汚れ検知部102は、情報報知部89を介してレベル2の白色基準板11の汚れをユーザに報知する(S1011)。
【0048】
白色基準板11の汚れを報知後、ユーザから情報入力部88を介して色補正の終了を指示されれば(S1012にてNO)、CPU60は、ASIC101の白色基準板汚れ検知部102に色補正終了を指示し、色補正を終了する(S1020)。また、CPU60は、情報報知部89を介して、色補正の終了をユーザに報知する(S1021)。
【0049】
ユーザから情報入力部88を介して色補正の続行を指示され、かつ2回転写Yパッチ23から推定した白色基準板の推定分光分布を用いた色補正を指示されなければ(S1012にてYESかつS1013にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を使用する(S1006)。
【0050】
2回転写Yパッチ23から推定した白色基準板の推定分光分布を用いた色補正を指示されれば(S1013にてYES)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の汚れの有無を波長帯毎に判定する(S1014)。汚れのある波長帯であれば(S1014にてYES)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を推定した白色基準板の推定分光分布へ切換える(S1015)。汚れのない波長帯であれば(S1014にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を使用する(S1016)。
【0051】
全ての波長帯について上記切換え(S1014〜S1016)が完了後(S1017にてYES)、色値算出部104は、白色基準板の補正分光分布、取得した色補正用パッチパターン10の分光分布、および予め設定された白色基準板11の色値と白の色値との比情報から、色補正用パッチパターン10の色値を算出する(S1018)。
【0052】
画像処理部81は、算出した色補正用パッチパターン10の色値に基づき補正テーブル生成部87が生成した補正テーブルを用いて色補正を実施する(S1019)。画像処理部81は、色補正が終了するとCPU60に色補正終了を報知する。CPU60は、画像処理部81から色補正終了を報知されると、ASIC101の白色基準板汚れ検知部102に色補正終了を指示して色補正を終了する(S1020)。そして、CPU60は、情報報知部89を介して、色補正の終了をユーザに報知する(S1021)。
【0053】
尚、この色補正シーケンスにおいて、本実施形態では色補正用パッチパターン10全ての分光分布を取得した後に白色基準板11の補正分光分布を算出したが、白色基準板の補正分光分布を算出した後に色補正用パッチパターン10の分光分布を取得しても良い。また、この場合において、色補正用パッチパターン10の各パッチの分光分布を取得する度にパッチの色値を算出しても良い。
【0054】
以上、本実施形態における制御を行うことで、色値が既知である基準紙を用いずとも白色基準板の汚れを検知できる。更に、白色基準板が大きく汚れている場合は、汚れている白色基準板を用いずに色補正を行うことができる。
【0055】
尚、本実施形態では、Yパッチを2回記録材に転写して白色基準板の汚れを検知している。しかし、所望のトナー量のパッチを形成できれば転写回数(重畳回数)は2回に限らず3回以上でも良く、また、1回の転写で十分厚くトナーを転写できる構成の画像形成装置であれば1回でも良い。すなわち、上述した方法に限定するものではなく、安定した分光分布を得ることができれば、他の方法を用いても構わない。
【0056】
尚、本実施形態では、予め検出した基準値となる白色基準板およびパッチの分光分布と、補正時にカラーセンサにて検知したパッチの分光分布の値を用いて、白色基準板の推定分光分布を求めている。ここで、図6に示すように、基準値、検知結果、推定値の関係が成り立てば、どのように推定分光分布を求めても構わない。つまり、白色基準板における基準値と推定分光分布との関係(低下率)、およびパッチにおける基準値と検知結果との関係(低下率)の組み合わせによる対応関係から、白色基準板の推定分光分布を求めてもよい。また、基準値における白色基準板とパッチとの分光分布の関係(比率)、および白色基準板の推定分光分布とパッチの検出結果との関係(比率)の組み合わせによる対応関係から、白色基準板の推定分光分布を算出してもよい。
【0057】
また、本実施形態ではYパッチを用いて白色基準板の汚れを検知した。しかし、他の色(C、M等)のパッチを用いて白色基準板の汚れを検知しても良い。
【0058】
また、本実施形態では白色基準板の推定分光分布と、取得した白色基準板の分光分布との差が閾値Terrより大きい波長帯が1つでもあれば白色基準板の汚れと判断した。しかし、閾値Terrより大きい波長帯が予め設定された個数より多い場合や、差の合計値が予め設定された値より大きい場合に白色基準板の汚れと判断しても良い。この場合の汚れ有無判定閾値も、白色基準板の推定分光分布から算出する色値と、カラーセンサで検知した白色基準板の分光分布から算出する色値との差が、カラーセンサの色値検知精度以上に大きい場合に白色基準板の汚れと判定できる値が設定される。なお、判定に用いられる閾値は、色値に対する光強度の値でも良いし、比率として定義されても良い。
【0059】
また、本実施形態では白色基準板の推定分光分布と、取得した白色基準板の分光分布の差の合計値を用いて白色基準板の汚れ度合いを判定した。しかし、差が閾値Terrより大きい波長帯の数を用いて白色基準板の汚れ度合いを判定しても良い。この時における汚れレベル判定閾値も、本実施形態同様、差が閾値Terrより大きい波長帯の数が、白色基準板の推定分光分布から算出した色値と、カラーセンサで検知した白色基準板の分光分布から算出した色値との差に与える影響を考慮した値が設定される。また、本実施形態では、汚れレベルの判定において、3段階として記載した。しかし、これに限定するものではなくより詳細なレベル分けを行っても良い。更には、汚れレベルに応じてユーザに対し、実施してもらいたい作業を提示しても構わない。
【0060】
また、本実施形態では白色基準板の汚れを検知した波長帯に対してのみ、取得した白色基準板の分光分布を2回転写Yパッチから白色基準板の推定分光分布に切換えた。しかし、全ての波長帯に対して、取得した白色基準板の分光分布を2回転写Yパッチから白色基準板の推定分光分布に切換えても良い。
【0061】
また、本実施形態ではカラーセンサとして波長帯毎の光強度が取得可能な分光センサを用いた。しかし、濃度もしくは色値を算出可能なセンサであれば分光センサでなくても良い。
【0062】
<第二実施形態>
本発明に係る第二実施形態を説明する。本実施形態に係る画像形成装置の構成、及びカラーセンサの構成は第一実施形態と同様であるため説明を省略する。本実施形態では、YパッチとCパッチの2種類のパッチを用いて白色基準板の汚れ検知、及び色補正を行う点と、用紙の両面にパッチを転写する点が第一実施形態と異なる。
【0063】
本実施形態では、図10に示すように記録材9の同一位置に対して両面から転写した両面転写Yパッチ24と、両面転写Cパッチ25を用いて白色基準板の汚れ検知、及び色補正を行う。よって、YとCの2つの色(複数種類)のパッチを用いる。図2におけるスイッチバックローラ18、排出部ローラ16、19を用いた記録材9の搬送を1回行うと記録材9を1回裏返すことができる為、記録材9の両面にパッチを転写することができる。ここで、記録材9の同一箇所対して両面から同一種類のパッチを転写させる為に、記録材9の表面に対してはYパッチ、Cパッチの順、裏面に対してはCパッチ、Yパッチの順でパッチを転写させる。また、記録材9の同一箇所の両面に同一種類のパッチを転写させる為に、記録材9の先端位置からパッチを転写するまでの転写タイミングも記録材の表裏で異ならせる。パッチを記録材9の両面に転写することで、片面1回転写より多くのトナー量を記録材9に転写できる為、色値や薄さ、トナーの定着性等が異なる用紙を用いてもパッチの分光分布は影響を受けにくく、安定してパッチの分光分布を取得することができる。また、画像形成装置で記録材9を裏返す回数が1回で良い為、記録材9の表面に2回パッチを転写する場合よりも、色補正の実行時間を短縮することができる。
【0064】
[汚れ検知方法、及び色補正方法]
図11を用いて本実施形態における白色基準板11の汚れ検知方法、及び色補正方法を説明する。本実施形態では、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25の2種類のパッチを用いて白色基準板11の汚れ検知、及び色補正を行う。図11(a)に示すV(λ)white_ref、V(λ)Ypatch_ref、及びV(λ)Cpatch_refはそれぞれ、画像形成装置の出荷時の白色基準板11、両面転写Yパッチ24、及び両面転写Cパッチ25の分光分布である。
【0065】
図11(b)に示すV(λ)white、V(λ)Ypatch、及びV(λ)Cpatchはそれぞれ、画像形成装置の出荷後の色補正実行時において、経時劣化やトナー付着が発生したカラーセンサ7で検知した、汚れのある白色基準板11、両面転写Yパッチ24、及び両面転写Cパッチ25の分光分布である。画像形成装置の出荷後にカラーセンサ7に経時劣化やトナー付着等が発生すると、図11(b)に示すように白色基準板11、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25の分光分布の光強度は低下する。
【0066】
しかし、この光強度低下がカラーセンサ7の経時劣化やトナー付着によるものであれば、白色基準板11、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25の分光分布は同様に影響を受ける。つまり、白色基準板11に汚れがなければ、白色基準板11、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25それぞれの出荷時の分光分布に対する出荷後の分光分布の低下率は全て同じになる。よって、白色基準板11の出荷時の分光分布に対する出荷後の分光分布の低下率が、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25の出荷時の分光分布に対する出荷後分光分の低下率より大きい波長帯があれば、白色基準板11が汚れていると判定することができる。
【0067】
本実施形態では、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25の2種類のパッチのうち、波長帯毎に光強度が大きいパッチを選択する。そして、選択したパッチから以下の式(6)を用いて白色基準板11の推定分光分布V(λ)white_estimateを算出して白色基準板11の汚れを検出する。
【0068】
・λ:“C光強度≧Y光強度”の波長帯
V(λ)white_estimate=V(λ)Cpatch×(V(λ)white_ref/V(λ)Cpatch_ref)
・λ:“C光強度<Y光強度”の波長帯
V(λ)white_estimate=V(λ)Ypatch×(V(λ)white_ref/V(λ)Ypatch_ref)
・・・(6)
光強度の大きなパッチ、つまりカラーセンサ7が検知する光強度のダイナミックレンジが広いパッチを用いた方が、白色基準板の推定分光分布における推定誤差を小さくできる為、本実施形態では波長帯毎に光強度の大きいパッチを選択している。例えば、白色基準板11がトナーの付着等によって汚れてしまった場合は、分光分布の一部の波長帯のみ光強度が低下してしまう可能性がある。このような場合、波長帯毎に光強度の大きなパッチを選択できるようにしておけば、汚れによってどの波長帯の光強度が低下したとしても、誤差の少ない白色基準板の推定分光分布を推定することができる。
【0069】
一方、白色基準板11が埃の付着等によって汚れてしまった場合は、分光分布は波長帯によらず一様に低下する為、第一実施形態のように1種類のパッチを用いても正しく白色基準板11の汚れを検知することができる。埃やトナー等、白色基準板11が汚れる要因は画像形成装置の構成によって異なる為、汚れ検知用パッチの種類と数は画像形成装置の構成によって決定すれば良い。
【0070】
白色基準板の推定分光分布V(λ)white_estimateと、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布V(λ)whiteとを波長帯毎に比較する。そして、その差が予め設定された汚れ判定閾値より大きい波長帯は、白色基準板の汚れの影響を受けていると判定する。この汚れ判定閾値は、Cパッチ光強度がYパッチ光強度以上の波長帯であればCパッチ用汚れ有無判別閾値Tc_err、Yパッチの光強度がCパッチ光強度より大きければYパッチ用汚れ有無判別閾値Ty_errが選択して用いられる。
【0071】
・λ:“C光強度≧Y光強度”の波長帯
(V(λ)white_estimate−V(λ)white)>Tc_err → 白色基準板に汚れあり
(V(λ)white_estimate−V(λ)white)≦Tc_err → 白色基準板に汚れなし
・λ:“C光強度<Y光強度”の波長帯
(V(λ)white_estimate−V(λ)white)>Ty_err → 白色基準板に汚れあり
(V(λ)white_estimate−V(λ)white)≦Ty_err → 白色基準板に汚れなし
本実施形態では、1つの波長帯の差により、白色基準板11の推定分光分布から算出した色値と白色基準板11のカラーセンサ7による検知分光分布から算出した色値との差が、カラーセンサ7の色値検知精度以上に大きくなる波長帯差の値を汚れ有無判定閾値として設定する。更に、Cパッチ用汚れ有無判定閾値Tc_err、Yパッチ用汚れ有無判定閾値Ty_errには、Cパッチ、Yパッチの記録材9への定着性の製造ばらつきを考慮し、現像器毎に異なる値が設定されている。これらの閾値は、本実施形態において、メモリ35にて記憶されているものとする。
【0072】
本実施形態では、汚れの影響を受けている波長帯が1つでも存在すれば、ユーザに白色基準板11の汚れを報知し、白色基準板11の交換、もしくは清掃を要求する。また、白色基準板の分光分布の推定分光分布V(λ)white_estimateと、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布V(λ)whiteとの波長帯毎の差を合計し、合計値の大きさに応じて白色基準板11の汚れ度合いもユーザに報知する。
【0073】
本実施形態では、予め設定されたCパッチ用汚れレベル判定閾値Tc_err_high、Tc_err_low(Tc_err_high>Tc_err_low)、Yパッチ用汚れレベル判定閾値Ty_err_high、Ty_err_low(Ty_err_high>Ty_err_low)を用いて3レベルの汚れ度合いをユーザに報知する。なお、次式(7)のΣは、λ=λ1〜λLmaxにおける総和を表す。
【0074】
レベル1:Σ(V(λ)white_estimate−V(λ)white)
≦(Tc_err_low+Ty_err_low)
レベル2:(Tc_err_low+Ty_err_low)
<Σ(V(λ)white_estimate−V(λ)white)
<(Tc_err_high+Ty_err_high)
レベル3:(Tc_err_high+Ty_err_high)
≦Σ(V(λ)white_estimate−V(λ)white)
・・・(7)
この汚れレベル判定閾値には、波長帯毎の差の合計値が、白色基準板の推定分光分布から算出した色値と、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布から算出した色値との差に与える影響を考慮した値が設定される。また、汚れレベル判定閾値は、Tc_err_low+Ty_err_low、及びTc_err_high+Ty_err_highの値が最適な閾値となるように設定される。具体的には、汚れレベル判定閾値は、“C光強度≧Y光強度”の波長帯と、“C光強度<Y光強度”の波長帯との比を考慮した値が設定される。例えば、“C光強度≧Y光強度”の波長帯と、“C光強度<Y光強度”の波長帯との比率が1:3の場合、Tc_err_lowとTy_err_lowとの比率、及びTc_err_highとTy_err_highとの比率もおよそ1:3となる値が設定される。
【0075】
また、白色基準板の交換や清掃が困難な時等、ユーザから白色基準板が汚れたままの状態で両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25を用いた色補正を指示された場合を想定する。この場合には、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布を、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25から推定した白色基準板の推定分光分布に切換えて色補正を行う。この時、汚れの影響を受けている波長帯は、白色基準板の推定分光分布V(λ)white_estimateを用いて補正分光分布V(λ)white_modifyを算出する。また、汚れの影響を受けていない波長帯は、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布V(λ)whiteを用いて、補正分光分布V(λ)white_modifyを算出する。
【0076】
この白色基準板11の補正分光分布V(λ)white_modifyと、カラーセンサ7で検知した色補正用パッチパターン10の分光分布V(λ)patchとから、色補正用パッチパターン10の分光分布V(λ)patch_modifyを以下の式(8)を用いて算出する。
【0077】
V(λ)patch_modify=V(λ)patch×(V(λ)white_ref/V(λ)white_modify) ・・・(8)
この算出した色補正用パッチパターン10の分光分布V(λ)patch_modifyに対して、白色基準板11の色値と、白の色値との差を補正することで色補正用パッチパターン10の色値を算出する。上記制御により、白色基準板11が大きく汚れている場合、両面転写Yパッチ24および両面転写Cパッチ25の分光分布を用いることで、汚れている白色基準板11を用いるよりも精度の良い色補正を行うことができる。
【0078】
[システム構成]
図12に本実施形態における色補正システムブロック図を示す。画像形成制御部282のCPU260は、情報入力部88を介して色補正の開始を指示されると、画像形成ユニット3及び搬送モータ84を制御し、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25、及び色補正用パッチパターン10を記録材9上に形成する。
【0079】
ASIC2101は、CPU260から色補正の開始を指示されると、白色基準板汚れ検知部2102がカラーセンサ7を制御し、白色基準板11、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25、及び色補正用パッチパターン10の分光分布を順次取得する。ROM2100には、画像形成装置出荷時にカラーセンサ7で検知した白色基準板11、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25の分光分布、及び白色基準板11の色値と白の色値との差を補正する為の情報が記憶されている。
【0080】
また、白色基準板汚れ検知部2102には、Yパッチ、Cパッチ用汚れ有無判定閾値Ty_err、Tc_err、及びYパッチ、Cパッチ用汚れレベル判定閾値Ty_err_high、Ty_err_low、Tc_err_high、Tc_err_lowがそれぞれ入力される。ここで入力される各値は、図2の画像形成ユニット3Y、3C内の現像器がそれぞれ備えたメモリ35に記憶されており、トナーの定着特性や製造ばらつき等を考慮した値である。白色基準板汚れ検知部2102は、カラーセンサ7で検知した両面転写Yパッチの分光分布、両面転写Cパッチの分光分布と、ROM2100に記憶された白色基準板11、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25の分光分布とから、白色基準板11の推定分光分布を算出する。この白色基準板の推定分光分布、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布、及び汚れ有無判定閾値、汚れレベル判定閾値より、白色基準板汚れの有無、及び汚れの度合いを検知し、白色基準板汚れ情報として、情報報知部89を介してユーザに報知する。
【0081】
また、白色基準板汚れ検知部2102は、白色基準板の推定分光分布、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布、及び汚れの影響を受けている波長帯情報を白色基準板分光分布切換え部103へ出力している。ユーザは、情報報知部89で報知されている白色基準板11の汚れ情報から色補正を続行するか判断し、情報入力部88を介してCPU260に色補正を終了するか、継続するかを指示することができる。
【0082】
色補正を継続する場合、ユーザは、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布を、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25から推定した白色基準板の推定分光分布に切換えて色補正を実施するか否かを、指示することができる。この指示は、情報入力部88を介して白色基準板分光分布切換え部103に行うことができる。切換えを指示された場合、白色基準板分光分布切換え部103は、汚れの影響を受けている波長帯は両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25から推定した白色基準板の推定分光分布を、白色基準板の補正分光分布として色値算出部104へ出力する。また、汚れの影響を受けていない波長帯はカラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布を白色基準板の補正分光分布として色値算出部104へ出力する。切換えを指示されなかった場合、白色基準板分光分布切換え部103は、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布を白色基準板の補正分光分布として色値算出部104へ出力する。
【0083】
白色基準板汚れ検知部2102は、カラーセンサ7で検知した色補正用パッチパターン10の分光分布を色値算出部104に出力している。色値算出部104は、白色基準板分光分布切換え部103から出力される白色基準板の補正分光分布、白色基準板汚れ検知部2102から出力されるパッチパターンの分光分布、および予めROM2100に記憶された白色基準板11の色値と白の色値との比情報から、色補正用パッチパターン10の色値を算出する。そして、色値算出部104は、図3に示す画像処理部81へ出力する。画像処理部81は、パッチパターン色値を補正テーブル生成部87へ反映し、色補正の終了をCPU260に報知する。CPU260は色補正の終了を報知されると、色補正の終了を白色基準板汚れ検知部2102に指示すると共に、情報報知部89を介してユーザに色補正の終了を報知する。
【0084】
[色補正処理]
図13に本実施形態における色補正シーケンスを示す。CPU260は、ユーザから色補正の開始を指示されたら(S2001にてYES)、ASIC2101に色補正の開始を指示し、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25、色補正用パッチパターン10を記録材9へ転写する(S2002)。ASIC2101内の白色基準板汚れ検知部2102は、CPU260から色補正の開始を指示されるとカラーセンサ7を用いて、白色基準板11、両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25、色補正用パッチパターン10の分光分布を取得する(S2003)。
【0085】
白色基準板汚れ検知部2102は、波長λとしてλ1を選択し(S2004)、ROM2100に記憶されている両面転写Yパッチの分光分布と両面転写Cパッチの分光分布とから、YパッチとCパッチどちらの光強度が大きいかを判断する(S2005)。Cパッチの光強度がYパッチ光強度以上であれば(S2005にてYES)、白色基準板汚れ検知部2102は、白色基準板11の推定分光分布を算出する(S2006)。ここでは、取得した両面転写Cパッチ25の分光分布と、出荷時にROM2100に記憶された白色基準板11、両面転写Cパッチ25の分光分布とから、推定分光分布を算出する。Yパッチの光強度がCパッチ光強度より大きければ(S2005にてNO)、白色基準板汚れ検知部2102は、白色基準板11の推定分光分布を算出する(S2007)。ここでは、取得した両面転写Yパッチ24の分光分布と、出荷時にROM2100に記憶された白色基準板11、両面転写Yパッチ24の分光分布とから、推定分光分布を算出する。
【0086】
白色基準板汚れ検知部2102は、次の波長を選択し(S2008)、全波長帯に対して白色基準板11の推定分光分布の算出が完了するまで、上記処理(S2005〜S2008)を繰り返す。全波長帯に対して、白色基準板11の推定分光分布の算出が完了後(S2009にてYES)、白色基準板汚れ検知部2102は、白色基準板11の推定分光分布と、取得した白色基準板11の分光分布とを波長帯毎に比較する(S2010)。ここでは、取得した白色基準板の分光分布と白色基準板の推定分光分布との差が、現像器内のメモリに記憶された閾値より大きい波長帯が1つでもあれば、白色基準板が汚れていると判定する(S2010にてYES)。
【0087】
この閾値は、Cパッチの光強度がYパッチ光強度以上の波長帯であり、かつCパッチ用汚れ有無判別閾値Tc_err、Yパッチの光強度がCパッチ光強度より大きければ、Yパッチ用汚れ有無判別閾値Ty_errが選択される。汚れがない場合(S2010にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を使用する(S2011)。
【0088】
汚れがある場合(S2010にてYES)、白色基準板汚れ検知部2102は、白色基準板11の推定分光分布と取得した白色基準板11の分光分布との差の合計値と、現像器内のメモリに記憶されたCパッチ、Yパッチ用汚れレベル判定閾値の合計値“Tc_err_low+Ty_err_low”とを比較する(S2012)。差の合計値が“Tc_err_low+Ty_err_low”以下であれば(S2012にてYES)、白色基準板汚れ検知部2102は、情報報知部89を介してレベル1の白色基準板11の汚れをユーザに報知する(S2013)。
【0089】
差の合計値が“Tc_err_high+Ty_err_high”以上であれば(S2014にてYES)、白色基準板汚れ検知部2102は、情報報知部89を介してレベル3の白色基準板11の汚れをユーザに報知する(S2015)。差の合計値が“Tc_err_low+Ty_err_low”より大きく、“Tc_err_high+Ty_err_high”より小さければ(S2012にてNO、かつS2014にてNO)、白色基準板汚れ検知部2102は、情報報知部89を介してレベル2の白色基準板11の汚れをユーザに報知する(S2016)。
【0090】
白色基準板11の汚れを報知後、ユーザから情報入力部88を介して色補正の終了を指示されれば(S2017にてNO)、CPU260は、ASIC2101の白色基準板汚れ検知部2102に色補正終了を指示し、色補正を終了する(S2027)。また、CPU260は、情報報知部89を介して、色補正の終了をユーザに報知する(S2028)。
【0091】
ユーザから色補正の続行を指示され、かつ両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25から推定した白色基準板の推定分光分布を用いた色補正を指示されなければ(S2017にてYESかつS2018にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を使用する(S2011)。両面転写Yパッチ24、両面転写Cパッチ25から推定した白色基準板の推定分光分布を用いた色補正を指示されれば(S2018にてYES)、白色基準板分光分布切換え部103は、波長λとしてλ1を選択する(S2019)。そして、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の汚れの有無を判定する(S2020)。汚れのある波長帯であれば(S2020にてYES)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を白色基準板の推定分光分布へ切換える(S2021)。汚れのない波長帯であれば(S2020にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を使用する(S2022)。
【0092】
白色基準板分光分布切換え部103は、次の波長を選択し(S2023)、全波長帯に対して切換えが完了するまで、上記処理(S2020〜S2023)を繰り返す。全ての波長帯について切換えが完了後(S2024にてYES)、色値算出部104は、白色基準板の補正分光分布、取得したパッチパターンの分光分布、および予め設定された白色基準板11の色値と白の色値との比情報から、色補正用パッチパターン10の色値を算出する(S2025)。図3に示した画像処理部81は、算出した色補正用パッチパターン10の色値を用いて補正テーブル生成部87により反映された補正テーブルと用いて色補正を実施する(S2026)。
【0093】
画像処理部81は、色補正が終了するとCPU260に色補正終了を報知する。CPU260は、画像処理部81から色補正終了を報知されると、ASIC2101の白色基準板汚れ検知部2102に色補正終了を指示して色補正を終了する(S2027)。そして、CPU260は、情報報知部89を介して、色補正の終了をユーザに報知する(S2028)。
【0094】
尚、この色補正シーケンスにおいて、本実施形態では色補正用パッチパターン10全ての分光分布を取得した後に白色基準板の補正分光分布を算出した。しかし、白色基準板の補正分光分布を算出した後に色補正用パッチパターン10の分光分布を取得しても良い。また、この場合において、色補正用パッチパターン10の各パッチの分光分布を取得する度にパッチの色値を算出しても良い。
【0095】
以上、本実施形態の制御を行うことで、トナーの付着等によって白色基準板の一部の波長帯のみ光強度が低下してしまった場合においても、波長帯毎に光強度の大きなパッチを用いている為、精度良く白色基準板の分光分布を推定することができる。また、記録材の両面に対してパッチを形成する際に記録材の裏返しが1回で良い為、記録材の片面にパッチを2回転写する場合に比べて色補正の実行時間を短縮することができる。
【0096】
また、本実施形態ではYパッチとCパッチを用いて白色基準板の汚れを検知している。しかし、他の色(M、K等)の組み合わせによる複数パッチを用いて白色基準板の汚れを検知しても良い。
【0097】
また、本実施形態では白色基準板の推定分光分布と、取得した白色基準板の分光分布との差が閾値Tc_err、Ty_errより大きい波長帯が1つでもあれば白色基準板の汚れと判断した。しかし、閾値Tc_err、Ty_errより大きい波長帯が予め設定された個数より多い場合や、差の合計値が予め設定された値より大きい場合に白色基準板の汚れと判断しても良い。この場合、汚れ有無判定閾値も、白色基準板の推定分光分布から算出する色値と、カラーセンサで検知した白色基準板の分光分布から算出する色値との差が、カラーセンサの色値検知精度以上に大きい場合に白色基準板の汚れと判定できるような値が設定される。
【0098】
また、本実施形態では白色基準板の推定分光分布と、取得した白色基準板の分光分布の差の合計値を用いて白色基準板の汚れ度合いを判定した。しかし、その差が閾値Tc_err、Ty_errより大きい波長帯の数を用いて白色基準板の汚れ度合いを判定しても良い。この場合、汚れレベル判定閾値も、差が閾値Tc_err、Ty_errより大きい波長帯の数が、白色基準板の推定分光分布から算出した色値と、カラーセンサで検知した白色基準板の分光分布から算出した色値との差に与える影響を考慮した値が設定される。
【0099】
また、本実施形態では、2つのパッチ(Y、C)の中から、波長帯毎に1つのパッチを選択して白色基準板の推定分光分布を算出した。しかし、複数のパッチ(Y、M、C等)を用いて、2以上の白色基準板の推定分光分布を算出し、取得した白色基準板の分光分布との波長帯毎の差の合計が閾値より大きい推定値が1以上ある場合に白色基準板の汚れと判定しても良い。この場合、汚れ有無判定閾値も、白色基準板の推定分光分布から算出する色値と、カラーセンサで検知した白色基準板の分光分布から算出する色値との差が、カラーセンサの色値検知精度以上に大きい場合に白色基準板の汚れと判定できるような値が設定される。
【0100】
また、本実施形態では白色基準板の汚れを検知した波長帯に対してのみ、取得した白色基準板の分光分布を両面転写Yパッチ、両面転写Cパッチから推定した白色基準板の推定分光分布に切換えた。しかし、全ての波長帯に対して、取得した白色基準板の分光分布を両面転写Yパッチ、両面転写Cパッチから推定した白色基準板の推定分光分布に切換えても良い。
【0101】
また、本実施形態ではカラーセンサとして波長帯毎の光強度が取得可能な分光センサを用いたけれども、RGBセンサ等、他のセンサを用いても良い。
【0102】
<第三実施形態>
本発明に係る第三実施形態を説明する。本実施形態に係る画像形成装置の構成、及びカラーセンサの構成は第一、第二実施形態と同様であるため説明を省略する。本実施形態では、記録材9の種類に応じて転写する汚れ検知用パッチのトナーの種類、転写回数、汚れ検知用パッチを転写する記録材の表裏を変更して、白色基準板の汚れ検知、及び色補正を行う。
【0103】
本実施形態では、メディアセンサ14によって記録材9の種類がCPUに報知されており、CPUは記録材9の種類に応じて白色基準板汚れ検知用パッチの種類を変更する。これは、記録材9に種類によってトナーの定着性が異なる為、記録材9の種類に応じた最適なトナー量のパッチを記録材9に転写することで、色補正実行時間を短縮、及び消費トナー量を削減することができる。
【0104】
本実施形態では、図14に示すテーブルがCPUにて扱われる。図14に示すテーブルは紙種に対応した色補正時の条件を定義したものである。具体的には、No.1の紙種を検知した場合、Yパッチを用紙の片面に1回転写する。No.2の紙種を検知した場合は、YパッチとCパッチの2種類のパッチを用紙の両面に1回ずつ転写する。No.3の紙種を検知した場合は、Yパッチ、Mパッチ、Cパッチの3種類のパッチを用紙の片面に2回ずつ重ねて転写する。
【0105】
No.4の紙種を検知した場合は、Yパッチと、CとMを同一箇所に重ねた2種類のパッチを用紙の片面に1回ずつ転写する。2種類のトナーを同一箇所に重ねるとパッチの光強度が低下する一方、多くのトナー量を用紙に転写できる為、パッチの分光分布を安定して取得することができる。また、用紙を裏返すことなくパッチを2回重ねることができる為、色補正実行時間を短縮することができる。なお、本実施形態では、No.4の紙種の場合は、Yパッチと、CとMを同一箇所に重ねた2種類のパッチを用いれば、色補正精度、実行時間が最適になると判定する。No.5の紙種を検知した場合は、Yパッチ、Mパッチ、Cパッチの3種類のパッチを用紙の両面に2回ずつ転写する。本実施形態では、紙種が特定できない場合も、No.5の紙種を検知した場合と同じパッチを用紙に転写する。
【0106】
本実施形態では、トナーの定着性が良い用紙に対しては、トナーの載り量が少ないパッチを選択し、平滑性の悪いラフ紙や光沢性の高い用紙等に対しては、トナーの載り量が多いパッチを選択している。このように、用紙に応じて転写するパッチを変更することで、色補正精度、色補正実行時間、消費トナー量が最適となる色補正を実行することができる。
【0107】
[システム構成]
図15に本実施形態における色補正システムのブロック図を示す。画像形成制御部382におけるCPU360は、図3に示す情報入力部88を介してユーザから色補正の開始を指示されると、メディアセンサ14を用いて記録材9の種類を取得し、形成するパッチNoを図14に示すテーブルに従って決定する。CPU360は、画像形成ユニット3、及び搬送モータ84を制御し、決定したパッチNoに応じたパッチ、及び色補正用パッチパターン10を記録材9上に形成する。CPU360から色補正の開始、及び形成パッチNoを指示されると、ASIC3101内の白色基準板汚れ検知部3102がカラーセンサを制御し、白色基準板11、パッチNoに応じたパッチ、及び色補正用パッチパターン10の分光分布を順次取得する。
【0108】
ROM3100には、画像形成装置の出荷時にカラーセンサ7で検知した白色基準板11、パッチNoに応じたパッチの分光分布、及び白色基準板11の色値と白の色値との差を補正する為の情報が記憶されている。また、白色基準板汚れ検知部3102には、Y、M、Cパッチ用汚れ有無判定閾値Ty_err、Tm_err、Tc_err及びY、M、Cパッチ用汚れレベル判定閾値Ty_err_high、Ty_err_low、Tm_err_high、Tm_err_low、Tc_err_high、Tc_err_lowが入力される。ここで入力される値は、図2の画像形成ユニット3Y、3M、3C内の現像器のメモリに記憶されており、トナーの定着特性や製造ばらつき等を考慮した値となっている。
【0109】
本実施形態では、1つの波長帯の差によって、白色基準板11の推定分光分布から算出した色値と白色基準板11のカラーセンサによる検知分光分布から算出した色値との差が、カラーセンサ7の色値検知精度より大きくなる波長帯差の値を汚れ有無判定閾値として設定する。更に、汚れ有無判定閾値には、各パッチの記録材9への定着性の製造ばらつきを考慮し、現像器毎に異なる値が設定されている。また、汚れレベル判定閾値には、波長帯毎の差の合計値が、白色基準板の推定分光分布から算出した色値と、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布から算出した色値との差に与える影響を考慮した値が設定されている。
【0110】
白色基準板汚れ検知部3102は、現像器内のメモリに記憶されている各汚れ有無判定閾値、汚れレベル判定閾値を、パッチNoに応じて補正する。本実施形態では、図16に示すように、1回片面転写パッチに対してはメモリに記憶された値をそのまま閾値として用いる。また、その他の2回転写パッチや両面転写パッチ等に対してはメモリに記憶された値に、各々予め設定された補正係数αをかけた値を汚れ有無判定閾値T_err、汚れレベル判定閾値T_err_high、T_err_lowとする。
【0111】
また、白色基準板汚れ検知部3102は、カラーセンサ7で検知したパッチNoに応じたパッチの分光分布、ROM3100に記憶された白色基準板11、及びパッチNoに応じたパッチの分光分布から、白色基準板の推定分光分布を算出する。本実施形態では、第二実施形態同様、複数転写されたパッチの中から、波長帯毎に光強度の大きなパッチを選択して白色基準板の推定分光分布を算出する。白色基準板の推定分光分布、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布、及び汚れ有無判定閾値、汚れレベル判定閾値より、白色基準板汚れの有無、及び汚れ度合いを検知する。そして、検知した情報を白色基準板汚れ情報として、図3における情報報知部89を介してユーザに報知する。
【0112】
また、白色基準板汚れ検知部3102は、白色基準板の推定分光分布、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布、及び汚れの影響を受けている波長帯情報を白色基準板分光分布切換え部103へ出力している。ユーザは、情報報知部89で報知されている白色基準板11の汚れ情報から色補正を続行するか判断し、情報入力部88を介してCPU360に色補正を終了するか、継続するかを指示することができる。
【0113】
色補正を継続する場合、ユーザは、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布を、白色基準板の推定分光分布に切換えて色補正を実施するか否かを、情報入力部88を介して白色基準板分光分布切換え部103に指示することができる。切換えを指示された場合、白色基準板分光分布切換え部103は、汚れの影響を受けている波長帯はパッチNoに応じたパッチから推定した白色基準板の推定分光分布を白色基準板の補正分光分布として色値算出部104へ出力する。また、汚れの影響を受けていない波長帯はカラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布を白色基準板の補正分光分布として色値算出部104へ出力する。切換えを指示されなかった場合、白色基準板分光分布切換え部103は、カラーセンサ7で検知した白色基準板の分光分布を白色基準板の補正分光分布として色値算出部104へ出力する。
【0114】
白色基準板汚れ検知部3102は、カラーセンサで検知した色補正用パッチパターン10の分光分布を色値算出部104に出力している。色値算出部104は、白色基準板分光分布切換え部103から出力される白色基準板の補正分光分布と、白色基準板汚れ検知部3102から出力されるパッチパターンの分光分布と、予めROM3100に記憶された白色基準板11の色値と白の色値との比情報から、色補正用パッチパターン10の色値を算出する。そして、色値算出部104は、図3に示す画像処理部81へ出力する。
【0115】
画像処理部81は、パッチパターン色値を補正テーブル生成部87へ反映し、色補正の終了をCPU360に報知する。CPU360は色補正の終了を報知されると、色補正の終了を白色基準板汚れ検知部3102に指示すると共に、情報報知部89を介してユーザに色補正の終了を報知する。
【0116】
[色補正処理]
図17に本実施形態における色補正シーケンスを示す。CPU360は、ユーザから色補正の開始を指示されたら(S3001にてYES)、ASIC3101に色補正の開始を指示し、メディアセンサ14を用いて記録材9の種類を取得する(S3002)。CPU360は、取得した記録材9の種類に基づいて形成するパッチNoを決定する(S3003)。このとき、CPU360は、図14に示すテーブルを用いてパッチNoを決定する。そして、CPU360は、決定したパッチNoのパッチ、及び色補正用パッチパターン10を記録材9へ転写させる(S3004)。ASIC3101の白色基準板汚れ検知部3102は、CPU360から色補正の開始を指示されるとカラーセンサ7を用いて、白色基準板11、決定されたNoのパッチ、色補正用パッチパターン10の分光分布を取得する(S3005)。
【0117】
白色基準板汚れ検知部3102は、波長λとしてλ1を選択し(S3006)、決定されたNoの各パッチの中から、一番光強度が大きなパッチを選択する(S3007)。カラーセンサ7で取得した選択パッチの分光分布と、出荷時にROM3100に記憶された白色基準板11、及び各パッチNoに対応するパッチの分光分布から、白色基準板11の推定分光分布を算出する(S3008)。次の波長を選択し(S3009)、全波長帯に対して白色基準板11の推定分光分布の算出が完了するまで、上記処理(S3007〜S3009)を繰り返す。
【0118】
全波長帯に対して、白色基準板11の推定分光分布の算出が完了後(S3010にてYES)、白色基準板汚れ検知部3102は、白色基準板11が汚れの有無を判定する(S3011)。ここでは、白色基準板の推定分光分布と、カラーセンサ7を用いて取得した白色基準板の分光分布とを波長帯毎に比較する。そして、取得した白色基準板の分光分布と白色基準板の推定分光分布との差が、汚れ有無判定閾値より大きい波長帯が1つでもあれば、白色基準板11が汚れていると判定する。この汚れ有無判定閾値は、決定されたNoの各パッチの中から、波長帯毎に一番光強度の大きなパッチに対応した閾値が選択される。例えば、図16のNo.2のパッチが選択された場合、Yパッチの光強度が一番大きな波長帯ではT2y_errを、Cパッチの光強度が一番大きな波長帯ではT2c_errをT_errとして選択する。
【0119】
汚れはない場合(S3011にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を使用する(S3012)。汚れがあると場合(S3011にてYES)、白色基準板汚れ検知部3102は、白色基準板の推定分光分布と取得した白色基準板の分光分布との差の合計値と、決定されたNoに応じた汚れレベル判定の閾値とを比較する(S3013)。例えば、図16のNo.2のパッチが選択された場合は、T2_err_low、T2_err_highを、No.3のパッチが選択された場合は、T3_err_low、T3_err_highがT_err_low、T_err_highとして選択される。その差の合計値がT_err_low以下であれば、白色基準板分光分布切換え部103は、情報報知部89を介してレベル1の白色基準板11の汚れをユーザに報知する(S3014)。差の合計値がT_err_high以上であれば(S3015にてYES)、白色基準板分光分布切換え部103は、情報報知部89を介してレベル3の白色基準板11の汚れをユーザに報知する(S3016)。差の合計値がT_err_lowより大きく、T_err_highより小さければ(S3013にてNO、かつS3015にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、情報報知部89を介してレベル2の汚れをユーザに報知する(S3017)。
【0120】
白色基準板11の汚れを報知後、ユーザから情報入力部88を介して色補正の終了を指示されれば(S3018にてNO)、CPU360は、ASIC3101の白色基準板汚れ検知部3102に色補正終了を指示し、色補正を終了する(S3028)。また、CPU360は、情報報知部89を介して、色補正の終了をユーザに報知する(S3029)。
【0121】
ユーザから情報入力部88を介して色補正の続行を指示された場合は(S3018にてYES)、S3019へ進む。パッチNoに応じたパッチから推定した白色基準板の推定分光分布を用いた色補正が指示されなければ(S3019にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を使用する(S3012)。
【0122】
パッチNoに応じたパッチから推定した白色基準板の推定分光分布を用いた色補正を指示されれば(S3019にてYES)、白色基準板分光分布切換え部103は、波長λとしてλ1を選択する(S3020)。そして、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の汚れの有無を判定する(S3021)。汚れのある波長帯であれば(S3021にてYES)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を白色基準板の推定分光分布へ切換える(S3022)。汚れのない波長帯であれば(S3021にてNO)、白色基準板分光分布切換え部103は、白色基準板の補正分光分布として、取得した白色基準板の分光分布を使用する(S3023)。
【0123】
白色基準板分光分布切換え部103は、次の波長を選択し(S3024)、全波長帯に対して白色基準板11の推定分光分布の算出が完了するまで、上記処理(S3021〜S3024)を繰り返す。全ての波長帯について切換えが完了後(S3025にてYES)、色値算出部104は、白色基準板の補正分光分布、取得したパッチパターンの分光分布、及び予め設定された白色基準板11の色値と白の色値との比情報から、色補正用パッチパターン10の色値を算出する(S3026)。
【0124】
画像処理部81は、算出した色補正用パッチパターン10の色値を補正テーブル生成部87に反映することで色補正を実施する(S3027)。画像処理部81は、色補正が終了するとCPU360に色補正終了を報知する。CPU360は、画像処理部81から色補正終了を報知されると、ASIC3101の白色基準板汚れ検知部3102に色補正終了を指示して色補正を終了し(S3028)、情報報知部89を介して、色補正の終了をユーザに報知する(S3029)。
【0125】
尚、この色補正シーケンスにおいて、本実施形態では色補正用パッチパターン10全ての分光分布を取得した後に白色基準板の補正分光分布を算出した。しかし、白色基準板の補正分光分布を算出した後に色補正用パッチパターン10の分光分布を取得しても良い。また、この場合において、色補正用パッチパターン10の各パッチの分光分布を取得する度にパッチの色値を算出しても良い。
【0126】
以上、本実施形態の制御を行うことで、記録材に種類に応じて安定して分光分布が取得可能なトナー量のパッチを選択できる為、色補正実行時間を短縮、及び消費トナー量を削減することができる。
【0127】
また、本実施形態では図14に示す5種類のパッチNoを用いた。しかし、本発明を適用する画像形成装置が扱うことができる記録材に適したパッチを形成できるのであれば、パッチNo数、形成パッチ、転写回数、転写面は本実施形態と同じでなくても良い。
【0128】
また、本実施形態ではメディアセンサを用いて記録材の種類を検知した。しかし、情報入力部を介してユーザから指示された情報に基づいて記録材の種類を検知しても良い。
【0129】
また、本実施形態では白色基準板の推定分光分布と、取得した白色基準板の分光分布との差が閾値T_errより大きい波長帯が1つでもあれば白色基準板の汚れと判定した。しかし、閾値T_errより大きい波長帯が予め設定された個数より多い場合や、差の合計値が予め設定された値より大きい場合に白色基準板の汚れと判定しても良い。この時の汚れ有無判定閾値も、白色基準板の推定分光分布から算出する色値と、カラーセンサで検知した白色基準板の分光分布から算出する色値との差が、カラーセンサの色値検知精度以上に大きい場合に白色基準板の汚れと判定できるような値が設定される。
【0130】
また、本実施形態では白色基準板の推定分光分布と、取得した白色基準板の分光分布との差の合計値を用いて白色基準板の汚れ度合いを判定した。しかし、差が閾値T_errより大きい波長帯の数を用いて白色基準板の汚れ度合いを判定しても良い。この場合、汚れレベル判定閾値も、差が閾値Tcerrより大きい波長帯の数が、白色基準板の推定分光分布から算出した色値と、カラーセンサで検知した白色基準板の分光分布から算出した色値との差に与える影響を考慮した値が設定される。
【0131】
また、本実施形態では、パッチNoに応じた複数のパッチの中から波長帯毎に1つのパッチを選択して白色基準板の推定分光分布を算出した。しかし、複数のパッチそれぞれから2つ以上の白色基準板の推定分光分布を算出し、取得した白色基準板の分光分布との波長帯毎の差の合計が閾値より大きい推定値が1つ以上ある場合に白色基準板の汚れと判定しても良い。この場合、汚れ有無判定閾値も、白色基準板の推定分光分布から算出する色値と、カラーセンサで検知した白色基準板の分光分布から算出する色値との差が、カラーセンサの色値検知精度以上に大きい場合に白色基準板の汚れと判定できるような値が設定される。
【0132】
また、本実施形態では白色基準板の汚れを検知した波長帯に対してのみ、取得した白色基準板の分光分布をパッチから推定した白色基準板の推定分光分布に切換えた。しかし、全ての波長帯に対して、取得した白色基準板の分光分布をパッチから推定した白色基準板の推定分光分布に切換えても良い。
【0133】
また、本実施形態ではカラーセンサとして波長帯毎の光強度が取得可能な分光センサを用いた。しかし、濃度もしくは色値を算出可能なセンサであれば分光センサでなくても良い。
【0134】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に転写された色剤および基準板における、濃度もしくは色値を検知する色検知手段を備え、前記色検知手段の検知結果に基づき画像形成を行う際の色剤量の補正を行う画像形成装置であって、
予め前記色検知手段が検知した前記色剤および前記基準板それぞれの検知結果を基準値として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記色剤および前記基準板それぞれの基準値と前記色検知手段による前記色剤の検知結果との関係に基づき前記基準板に対する検知結果を推定し、当該推定された検知結果と前記色検知手段による前記基準板の検知結果との差が、所定値より大きい場合、前記基準板に汚れがあるとして検知する汚れ検知手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記汚れ検知手段は、汚れがあるとして検知した場合に、前記差に対する複数の閾値を用いて、前記基準板の汚れ度合いを検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記汚れ検知手段は、単一種類の色剤を用いて汚れの検知を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記汚れ検知手段は、複数種類の色剤を用いて汚れの検知を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記汚れ検知手段は、複数種類の色剤を用いて汚れの検知を行う際に、前記複数種類の色剤それぞれの基準値および前記色検知手段による検知結果を用いて前記基準板に対する検知結果を推定し、当該推定された検知結果と前記色検知手段による前記基準板の検知結果との差が所定値より大きい色剤が1以上ある場合、前記基準板に汚れがあるとして検知することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定値は、前記複数種類の色剤それぞれに設定されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記色検知手段は、記録材に転写された色剤の波長帯毎の光強度を検知し、
前記汚れ検知手段は、前記推定された検知結果と、前記色検知手段による前記基準板の検知結果との波長帯毎の差の総和、もしくは前記波長帯毎の差のうちのいずれかの大きさが、所定値より大きい場合、前記基準板に汚れがあるとして検知ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記色検知手段は、記録材に転写された色剤の波長帯毎の光強度を検知し、
前記汚れ検知手段は、
前記色検知手段が検知した前記複数種類の色剤の検知結果の中から波長帯毎に他の色剤よりも光強度が高い色剤の検知結果を選択し、
当該選択された色剤の検知結果を用いて前記基準板に対する検知結果を推定し、当該推定された検知結果と前記色検知手段による前記基準板の検知結果との差が所定値より大きい場合は、前記基準板に汚れがあるとして検知することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記汚れ検知手段は、前記色検知手段が検知した前記複数種類の色剤の検知結果の中から波長帯毎に他の色剤よりも光強度が高い色剤の2つ以上の検知結果を選択することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記汚れ検知手段は、前記色検知手段の前記転写された色剤の検知結果と、前記記憶手段に記憶された前記色剤および前記基準板の基準値との比率から、前記色検知手段による前記基準板の検知結果を推定し、
当該推定された検知結果を用いて、前記記録材に転写する色剤量を補正するための補正値を算出する算出手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記色検知手段は、前記記録材に転写された色剤の波長帯毎の光強度を検知し、
前記算出手段は、前記汚れ検知手段が前記基準板の汚れを検知した波長帯に対しては前記推定された検知結果を用いて前記補正値を算出し、汚れを検知しない波長帯に対しては前記色検知手段が検知した検知結果を用いて前記補正値を算出することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記記憶手段は、予め記録材の同一箇所に複数回にて重畳して転写された前記色剤に対する前記色検知手段の検知結果を基準値として記憶し、
前記色検知手段は、色剤量の補正時に、記録材の同一箇所に複数回にて重畳して転写された色剤の濃度もしくは色値を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記記憶手段は、予め記録材の同一箇所の両面にて転写された前記色剤に対する前記前記色検知手段の検知結果を基準値として記憶し、
前記色検知手段は、色剤量の補正時に、記録材の同一箇所の両面にて転写された色剤の濃度もしくは色値を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記記憶手段は、予め記録材に転写された複数種類の色剤それぞれに対する前記色検知手段の検知結果を基準値として記憶し、
前記色検知手段は、色剤量の補正時に、記録材に転写された複数種類の色剤それぞれの濃度もしくは色値を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記色検知手段にて検知される記録材に転写される色剤は、転写される位置もしくは重畳回数に応じて、転写タイミングを制御されることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
色剤が転写される記録材の種類に応じて、色剤量の補正時において前記色検知手段にて検知する際の、前記記録材に転写される色剤の種類、転写される位置、重畳回数が決定されることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記汚れ検知手段が検知した検知結果に応じて、前記基準板の汚れに関する情報を報知する報知手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
記録材に転写された色剤および基準板における、濃度もしくは色値を検知する色検知手段を備え、前記色検知手段の検知結果に基づき画像形成を行う際の色剤量の補正を行う画像形成装置における制御方法であって、
記憶手段が、予め前記色検知手段が検知した前記色剤および前記基準板それぞれの検知結果を基準値として記憶部に記憶する記憶工程と、
汚れ検知手段が、前記記憶部に記憶された前記色剤および前記基準板それぞれの基準値と前記色検知手段による前記色剤の検知結果との関係に基づき前記基準板に対する検知結果を推定し、当該推定された検知結果と前記色検知手段による前記基準板の検知結果との差が、所定値より大きい場合、前記基準板に汚れがあるとして検知する汚れ検知工程と
を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−15575(P2013−15575A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146478(P2011−146478)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】