説明

画像形成装置、プログラムおよび記録媒体

【課題】カートリッジの種類を確認せずに印刷処理を要求した場合でも、不適切なカートリッジによる印刷を抑止する事を可能にすると同時に、蓄積後のMICRジョブ文書と通常ジョブの識別及び印刷を容易にすること。
【解決手段】画像形成装置は、通常印刷ジョブ又はMICR印刷ジョブを識別する手段を持ち、MICRカートリッジに適応する印刷ジョブが要求された時に、印刷ジョブを蓄積する手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常カートリッジとMICRカートリッジを使用することができ、MICRジョブを蓄積することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置内に読み取った文書情報を蓄積し、その情報をネットワークを介して複数人で情報共有・印刷・送信等を行うことが出来るようになっている。また、文書蓄積の際はその情報の内容が分る様に文書名を付加することが一般的になっている。
【0003】
ここで、画像形成装置本体と画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、プロセスカートリッジを交換することによりMICRプリンタまたは通常プリンタとして使用できる画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−161508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来技術では、プロセスカートリッジの識別結果をNV−RAM(不揮発性メモリ)に記録し、通常カートリッジまたはMICRカートリッジの装着状態をUI(ユーザインタフェース)により識別しているが、ユーザは期待するカートリッジで印刷するためには、プリンタを直接見に行かなければならず、それを怠ると期待する印刷結果を得られないという問題があった。
【0005】
また、実使用上の問題として、通常ジョブ及びMICRジョブそれぞれのジョブを蓄積した場合には通常ジョブとMICRジョブが混じってしまい、装着したカートリッジで印刷すべきではないジョブも選択肢に出てきてしまうために、適応したジョブがどれかユーザが判別できないという問題があった。さらに、通常ジョブをMICRカートリッジで印刷することは特に問題とはならないが、MICRジョブを通常カートリッジで印刷すると、偽小切手として流通する恐れがあり、発行者の信用問題となる懸念があった。
【0006】
本発明は、印刷要求されたジョブがMICRジョブである場合に必ず蓄積することで、カートリッジの種類を確認せずに印刷処理を要求した場合でも、不適切なカートリッジによる印刷を抑止する事を可能にすると同時に、蓄積後のMICRジョブ文書と通常ジョブの識別及び印刷を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、通常印刷ジョブ又はMICR印刷ジョブを識別する手段を持ち、MICRカートリッジに適応する印刷ジョブが要求された時に、印刷ジョブを蓄積する手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、印刷ジョブの蓄積時にジョブの属性にMICRジョブであることを示す識別子を付加する事を特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、蓄積文書の表示制御において、前記属性に基づき蓄積したMICRジョブをユーザが識別可能にする手段を有する事を特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、識別可能な手段がMICRの属性を文字列やアイコン等を用いて通常ジョブ表示との差別化を行い識別性を高めた表示である事を特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、識別可能な手段が通常ジョブとMICRジョブの表示メニューを分離して構成したものである事を特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、通常カートリッジ及びMICRカートリッジの装着状態を識別する手段を持ち、MICRカートリッジが装着されていないときは、蓄積文書選択においてMICRジョブを選択不可とする表示/制御手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、選択不可とする手段がMICRジョブのみ表示しないことを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、選択不可とする手段がMICRジョブのみグレーダウン表示し、選択不可とすることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8記載の画像形成装置の機能を制御するプログラムである。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のプログラムを記録および実行可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
ユーザが装着されたカートリッジの種類を確認せずに印刷要求を行った場合でもMICRジョブは蓄積することができ、あやまったカートリッジを使用した誤印刷を無くすことができる。又、通常ジョブとMICRジョブの識別あるいは装着したカートリッジに適応したジョブを選択しやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に本発明の第一の実施の形態のシステム構成を示す。PCとプリンタが接続されている。
【0019】
図2にプリンタのモジュール構成図を示す。通信制御部、記憶装置、ユーザインターフェイス制御部、操作パネル、機器情報管理部、画像形成制御部、印刷制御部を備える。
【0020】
次に、図3を参照して本実施の形態の動作を説明する。図3は、本発明の第一の実施形態のMICRジョブ蓄積動作を示すフローチャートである。
【0021】
まず、MICRジョブを要求されたか判断し(S31)、要求された場合、記憶装置へ蓄積し(S32)、要求されなかったら通常通り印刷する(S33)。
【0022】
図4に、MICRジョブの蓄積が発生したときの画面例を示す。
【0023】
次に、図面を参照して本発明の第二の実施形態の動作を説明する。図5は蓄積文書の画面を表示する時、MICRジョブと一致するジョブにはヨコにアイコンを表示する場合の制御例である。
【0024】
まず、ジョブリストを検索し、ジョブを表示する(S51)。ジョブの種類がMICRジョブか判断し(S52)、そうである場合、一致したジョブはアイコンを追加表示する(S53)。そして、リストの最後か判定し(S54)、この処理を繰り返す。
【0025】
図6に、蓄積文書を表示したときにMICRジョブの表示のヨコにアイコン(M)を配置した画面例を示す。図6において、カートリッジに適応しないジョブをグレーダウン表示にするなどの応用も可能である。
【0026】
図7は、本発明の第二の実施形態の動作を示す別のフローチャートである。蓄積文書選択画面を表示する時、装着カートリッジと一致するジョブのみを表示する場合の制御例である。
【0027】
まず、ジョブリストを検索する(S71)。ジョブとカートリッジの種類が一致しているか判断し(S72)、そうである場合、一致したジョブのみ表示する(S73)。そして、リストの最後か判定し(S74)、この処理を繰り返す。
【0028】
次に、図面を参照して本発明の第三の実施形態の動作を説明する。図8は本発明の第三の実施形態のジョブ種類別の蓄積動作を示すフローチャートである。
【0029】
まず、ジョブ種類を取得する(S81)。ジョブの種類がMICRジョブか判断し(S82)、そうである場合、MICRジョブリストに追加する(S83)。そうでない場合、通常ジョブリストに追加する(S84)。
【0030】
図9に、ジョブの種類別に蓄積文書を表示したときの画面例を示す。
【0031】
図10に、装着(MICR)カートリッジに適応したジョブ種類が有効になるように蓄積文書を表示したときの画面例を示す。
【0032】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更実施が可能である。例えば、上記のMICRカートリッジに変わって、通常カートリッジを含む複数種類のカートリッジを使用可能な画像形成装置に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のプリンタとPCのシステム構成図である。
【図2】プリンタのモジュール構成図である。
【図3】本発明の第一の実施形態のMICRジョブ蓄積動作を示すフローチャートである。
【図4】MICRジョブの蓄積が発生したときの画面例を示す図である。
【図5】本発明の第二の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】蓄積文書を表示したときにMICRジョブの表示のヨコにアイコン(M)を配置した画面例である。
【図7】本発明の第二の実施形態の動作を示す別のフローチャートである。
【図8】本発明の第三の実施形態のジョブ種類別の蓄積動作を示すフローチャートである。
【図9】ジョブの種類別に蓄積文書を表示したときの画面例を示す図である。
【図10】装着(MICR)カートリッジに適応したジョブ種類が有効になるように蓄積文書を表示したときの画面例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常印刷ジョブ又はMICR印刷ジョブを識別する手段を持ち、MICRカートリッジに適応する印刷ジョブが要求された時に、印刷ジョブを蓄積する手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
印刷ジョブの蓄積時にジョブの属性にMICRジョブであることを示す識別子を付加する事を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
蓄積文書の表示制御において、前記属性に基づき蓄積したMICRジョブをユーザーが識別可能にする手段を有する事を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
識別可能な手段がMICRの属性を文字列やアイコン等を用いて通常ジョブ表示との差別化を行い識別性を高めた表示である事を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
識別可能な手段が通常ジョブとMICRジョブの表示メニューを分離して構成したものである事を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
通常カートリッジ及びMICRカートリッジの装着状態を識別する手段を持ち、MICRカートリッジが装着されていないときは、蓄積文書選択においてMICRジョブを選択不可とする表示/制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
選択不可とする手段がMICRジョブのみ表示しないことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
選択不可とする手段がMICRジョブのみグレーダウン表示し、選択不可とすることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項9】
請求項1〜8記載の画像形成装置の機能を制御するプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のプログラムを記録および実行可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−105568(P2009−105568A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274247(P2007−274247)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】