説明

画像形成装置、及び、当該画像形成装置に用いるシャッタ機構

【課題】遮蔽部の移動量が低減された構成にして、画像形成装置の小型化を実現する。
【解決手段】複数の読取部12,13の表面と現像剤担持体2の表面との間の空間内に設けられ、かつ、複数の読取部の中のいずれか2つの読取部の間の位置に、自身を一点で軸支する支点部7aを備え、支点部を中心にして、その空間内で回動することにより、読取部を遮蔽又は開放のいずれか一方の状態にする遮蔽部7と、遮蔽部を回動させる駆動手段11と、それぞれが複数の読取部の各々の表面と対向するように遮蔽部に設けられ、かつ、遮蔽部の回動にしたがって、それぞれが対向する読取部の表面と接触することにより、複数の読取部の表面から付着物を除去する複数の清掃手段9,10とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、その画像形成装置に用いるシャッタ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラー画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」と称する)には、複数のセンサが、現像剤像担持体である転写ベルトの下側に設けられている。これら複数のセンサは、例えば、キャリブレーション(回路の感度調整)の実行時に、転写ベルトの表面に転写された色ずれ検出用のパターン像(トナー像)に基づいて、色ずれ(すなわち、各色のトナー像間の位置ずれ)を検出したり、又は、濃度検出用のパターン像(トナー像)に基づいて、濃度を検出したりするために、用いられている。
各センサは、発光面及び受光面(以下、総称して「表面」と称する)が転写ベルトの表面と対向するように、転写ベルトの下側に設けられている。その転写ベルトには、例えば、トナーや、ゴミ、塵等の付着物が付着しており、これらの付着物は、しばしば、転写ベルトから落下する。そのため、各センサは、転写ベルトから落下した付着物が表面の上に集積し易くなっており、表面が特に汚れ易くなっていた。
【0003】
各センサは、表面(特に、受光面)が汚れると、正常な検出ができなくなる。そのため、画像形成装置の多くは、センサの表面の汚れを抑制するための機構(以下、「抑制機構」と称する)やセンサの表面を清掃するための機構(以下、「清掃機構」と称する)が設けられている。
【0004】
抑制機構としては、例えば、通常時(キャリブレーションの未実行時)に、センサの表面を遮蔽部(シャッタ)で遮蔽する構成のものがある。この構成では、シャッタは、各センサの表面と転写ベルトの表面との間に、転写ベルトの表面と平行に自在にスライド移動するように、設けられている。シャッタは、通常時に、センサの表面を転写ベルトから遮蔽するために閉鎖状態となり、一方、キャリブレーションの実行時に、センサの表面を転写ベルトにさらすために、開放状態となる。
【0005】
一方、清掃機構としては、例えば、特許文献1に、2つの構成が開示されている。
すなわち、特許文献1には、「実施の形態1」として、複数の清掃手段(具体的には、弾性部材によって構成されたフィルム及びブレード)が前記した抑制機構のシャッタに取り付けられており、シャッタが転写ベルトの表面と平行にスライド移動することによって、複数の清掃手段がそれぞれに対向するセンサの表面を清掃する機構が開示されている。
また、特許文献1には、「実施の形態2」として、複数の清掃手段(フィルム及びブレード)がシャッタに取り付けられており、そのシャッタには回動の中心となる支点部が設けられた支柱が取り付けられており、シャッタが支柱に設けられた支点部を中心にして立体的に円弧を描くように回動することによって、複数の清掃手段がそれぞれに対向するセンサの表面を清掃する機構が開示されている。
【0006】
特許文献1に開示された2つの清掃機構は、いずれも、各清掃手段が各センサの表面と対向する位置に設けられており、シャッタの移動にしたがって、各清掃手段が各センサの表面を擦(こす)る。これによって、各清掃機構は、各センサの表面から汚れを除去して、各センサの表面を清掃する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−208645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された2つの清掃機構は、いずれも、表面の面積が異なる複数のセンサを清掃する場合に、表面の面積が最大のセンサを清掃できるように、遮蔽部を大きく移動させる必要がある。そのため、2つの清掃機構は、いずれも、装置内で遮蔽部を大きく移動させるための空間が必要となり、これによって、画像形成装置の小型化を妨げているという課題があった。
【0009】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、画像形成装置の小型化が実現できるように、遮蔽部の移動量が低減された画像形成装置、及び、当該画像形成装置に適用可能なシャッタ機構を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、第1発明は、画像形成装置であって、現像剤像を担持する現像剤像担持体と、それぞれが前記現像剤担持体と対向して設けられ、かつ、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤像を読み取る、複数の読取部と、複数の前記読取部と前記現像剤担持体との間の空間内に設けられ、かつ、複数の前記読取部の中のいずれか2つの読取部の間の位置に、自身を一点で軸支する支点部を備え、当該支点部を中心にして、当該空間内で回動することにより、複数の前記読取部を遮蔽又は開放のいずれか一方の状態にする遮蔽部と、前記遮蔽部を回動させる駆動手段と、それぞれが複数の前記読取部の各々と対向するように前記遮蔽部に設けられ、かつ、前記遮蔽部の回動にしたがって、それぞれが対向する前記読取部と接触することにより、複数の前記読取部から付着物を除去する、複数の清掃手段とを有する構成とする。
【0011】
また、第2発明は、現像剤像を現像剤担持体の表面に形成する機能を有する画像形成装置に用いるシャッタ機構であって、それぞれが前記現像剤担持体の表面と対向して設けられ、かつ、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤像を読み取る、複数の読取部と、複数の前記読取部の表面と前記現像剤担持体の表面との間の空間内に設けられ、かつ、複数の前記読取部の中のいずれか2つの読取部の間の位置に、自身を一点で軸支する支点部を備え、当該支点部を中心にして、当該空間内で回動することにより、複数の前記読取部を遮蔽又は開放のいずれか一方の状態にする遮蔽部と、前記遮蔽部を回動させる駆動手段と、それぞれが複数の前記読取部の各々の表面と対向するように前記遮蔽部に設けられ、かつ、前記遮蔽部の回動にしたがって、それぞれが対向する前記読取部の表面と接触することにより、複数の前記読取部の表面から付着物を除去する、複数の清掃手段とを有する構成とする。
【0012】
第1発明の画像形成装置並びに第2発明のシャッタ機構では、遮蔽部は、いずれか2つの読取部の間の位置に、支点部を備えている。この支点部は、遮蔽部を一点で軸支している。遮蔽部は、その支点部を中心にして、複数の読取部と現像剤担持体との間の空間内を回動する。このような構成において、遮蔽部は、支点部を中心にして一端側の部分と他端側の部分とに分断され、一端側の部分と他端側の部分とが、それぞれ、円弧を描くように動く。このとき、一端側の部分と他端側の部分は、それぞれの清掃の対象である読取部の幅分だけ動く。そのため、2つの読取部の間には、遮蔽部が描く円弧から外れた部分(すなわち、遮蔽部で覆われない部分)が出現する。したがって、第1発明の画像形成装置並びに第2発明のシャッタ機構は、遮蔽部の移動量が低減された装置並びに機構となっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遮蔽部の移動量が低減された画像形成装置を提供することができる。そのため、画像形成装置の小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の断面図である。
【図2】実施形態1に係るシャッタ機構の閉鎖状態における構成を示す斜視図である。
【図3】実施形態1に係るシャッタ機構の閉鎖状態における構成を示す背面図である。
【図4】実施形態1に係るシャッタ機構の開放状態における構成を示す斜視図である。
【図5】実施形態1に係るシャッタ機構の開放状態における構成を示す背面図である。
【図6】実施形態1に係るシャッタ機構の分解した構成を示す斜視図である。
【図7】実施形態1に係るシャッタ機構の分解した構成を示す背面図である。
【図8】シャッタの支点部の位置の説明図である。
【図9】実施形態2に係るシャッタ機構の閉鎖状態における構成を示す斜視図である。
【図10】実施形態2に係るシャッタ機構の開放状態における構成を示す斜視図である。
【図11】実施形態2に係るシャッタ機構の主要部の分解図である。
【図12】実施形態2に係るシャッタ機構の主要部の動作を示す平面図である。
【図13】実施形態1に係るシャッタ機構の効果の説明図(1)である。
【図14】実施形態1に係るシャッタ機構の効果の説明図(2)である。
【図15】実施形態1に係るシャッタ機構の効果の説明図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ、及び、配置関係を、本発明を理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0016】
[実施形態1]
ここでは、まず、本実施形態1に係る画像形成装置の全体の構成につき説明し、続いて、本実施形態1の特徴的な構成要素であるシャッタ機構の構成につき説明し、最後に、そのシャッタ機構の動作につき説明する。
【0017】
<画像形成装置の構成>
以下、図1を参照して、本実施形態1に係る画像形成装置の全体の構成につき説明する。なお、図1は、実施形態1に係る画像形成装置の断面図である。図1は、画像形成装置の主要な構成要素の配置関係を概略的に示している。ここでは、カラー電子写真プリンタ(以下、単に「プリンタ」と称する)を用いて、画像形成装置の構成を説明する。
【0018】
図1に示すように、プリンタ100は、内部に、用紙を収容する用紙カセット3aが設けられており、さらに、その近傍に給紙部3と用紙走行路(以下、単に「走行路」と称する)4とが設けられている。給紙部3は、給紙ローラと補助ローラとによって構成されている。給紙部3は、図示せぬ給紙モータにより回転駆動されて、用紙カセット3a内に収容された用紙を走行路4に送り出す。走行路4に送り出された用紙は、用紙搬送部4a,4bによって、転写ベルト2まで搬送される。
【0019】
転写ベルト2は、通常時に、用紙を搬送するとともに、キャリブレーションの実行時に、表面に現像剤であるトナーによって形成された現像剤像(トナー像)が転写される現像剤像担持体である。転写ベルト2は、無端状のベルトとして形成されており、一対のローラの間に掛け渡されている。転写ベルト2は、周囲に、用紙の搬送方向に沿って、4つの画像形成部5が設けられている。
【0020】
画像形成部5は、トナー像を形成する構成要素である。4つの画像形成部5は、それぞれ、感光体ドラム、帯電ローラ、LEDヘッド、現像ユニット、及び、転写ローラを備えている。
【0021】
帯電ローラは、感光体ドラムの表面を一様に帯電させる構成要素である。
LEDヘッドは、一様に帯電した感光体ドラムの感光層を画像情報に応じて選択的に露光する構成要素である。感光体ドラムの感光層の中で、露光された部分は、帯電電荷が除去され、一方、露光されなかった部分は、帯電電荷が残存して静電潜像となる。
現像ユニットは、トナーを感光体ドラムの静電潜像に付着させてトナー像を形成する構成要素である。
転写ローラは、転写ベルト2の背面からトナーと逆極性の電荷を与えることにより、感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を用紙や転写ベルト2に転写する構成要素である。
【0022】
各画像形成部5の帯電ローラ、LEDヘッド及び現像ユニットは、転写ベルト2の上方に、感光体ドラムを囲むように、設けられている。また、各画像形成部5の転写ローラは、転写ベルト2の内側に、感光体ドラムとの間で転写ベルト2を挟み込むように、設けられている。したがって、転写ベルト2は、各画像形成部5の感光ドラムと転写ローラとによって挟まれている。
【0023】
4つの画像形成部5は、いずれも、同様の構成となっているが、現像ユニットの中にそれぞれ異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、及び、シアン)のトナーを収容している。
【0024】
転写ベルト2まで搬送された用紙は、転写ベルト2によって定着部6まで搬送される。その際に、用紙は、4つの画像形成部5によって各色のトナー像が表面に転写される。
なお、定着部6は、用紙の表面に転写されたトナー像を用紙に定着する構成要素である。定着部6は、ヒータを内蔵する定着ローラ、及び、プレスローラを備えている。定着部6は、定着ローラとプレスローラとの間に用紙を挟み込むことにより、用紙を加熱・加圧して、トナー像を用紙に定着させる。
定着部6によってトナー像が定着された用紙は、用紙搬送部4c,4dによって、プリンタ100の上部に設けられた排出部まで搬送されて、排出部に集積される。
【0025】
ところで、転写ベルト2が掛け渡されている一対のローラは、一方が、図示せぬモータによって回転駆動されて、転写ベルト2を走行させるベルト駆動ローラとなっている。図示例では、左側のローラがベルト駆動ローラとなっている。ベルト駆動ローラは、図1に示す矢印R1方向に回転駆動されて、転写ベルト2を矢印R1方向に走行させる。
【0026】
そのベルト駆動ローラの下側には、転写ベルト2の表面と対向するように、センサユニット1が設けられている。センサユニット1は、現像剤像担持体である転写ベルト2の表面に転写された色ずれ検出用のパターン像及び濃度検出用のパターン像を光学的に読み取る読取機構である。
【0027】
センサユニット1は、読取部として、複数の光学センサ(以下、単に「センサ」と称する)を有している(図4参照)。複数のセンサは、それぞれ、発光素子と受光素子とを備えている。発光素子は、転写ベルト2上に形成された色ずれ検出用のパターン像及び濃度検出用のパターン像の双方又は一方に光を照射する。受光素子は、パターン像によって反射された反射光を検出して、反射光の強度に応じた電圧信号を出力する。
【0028】
図4に示す例では、センサユニット1は、読取部として、2つのセンサ12,13を有している。以下、センサ12,13を区別する場合に、センサ12を「第1のセンサ12」と称し、センサ13を「第2のセンサ13」と称する。第1のセンサ12は、色ずれ及び濃度の双方を検出するための読取部である。第2のセンサ13は、濃度を検出するための読取部である。第1のセンサ12は、表面の面積が第2のセンサ13の表面の面積よりも大きく形成されている(図13(b)参照)。なお、センサユニット1は、センサ12とセンサ13との間に、他のセンサを有する構成となっている場合もある。
【0029】
センサユニット1には、本実施形態1の特徴的な構成要素であるシャッタ機構105(図2参照)が設けられている。シャッタ機構105は、センサ12,13の表面に対する遮蔽機構と清掃機構とを兼ねた構成となっている。
【0030】
<シャッタ機構の構成>
以下、図2乃至図7を参照して、シャッタ機構の構成につき説明する。なお、図2は実施形態1に係るシャッタ機構の閉鎖状態における構成を示す斜視図であり、図3はその背面図である。また、図4は実施形態1に係るシャッタ機構の開放状態における構成を示す斜視図であり、図5はその背面図である。図6は実施形態1に係るシャッタ機構の分解した構成を示す斜視図であり、図7はその背面図である。
【0031】
図2乃至図7(特に、図6)に示すように、シャッタ機構105は、ブラケット8がベースプレート19の上に固着された状態で取り付けられている。ブラケット8は、各種の構成要素を取り付けるための支持部である。ベースプレート19は、シャッタ機構105の基部である。
【0032】
ブラケット8は、図6に示すように、複数のセンサ(ここでは、第1のセンサ12及び第2のセンサ13)が転写ベルト2(図1参照)と対向する面に固着された状態で取り付けられている。なお、第2のセンサ13は、センサカバー14が表面に取り付けられている。このセンサカバー14は、第2のセンサ13の表面を保護するための部材であり、透明なプラスチック等の素材によって構成されている。
【0033】
また、ブラケット8は、ガイドプレート16が転写ベルト2と対向する面の後記するシャッタ7の回動方向(すなわち、図4に示す矢印AR2方向)における第1のセンサ12の後方に固着された状態で取り付けられている。このガイドプレート16は、シャッタ7の回動を誘導するための部材であり、第1のセンサ12の表面と平坦な同一面を構成している。
【0034】
また、ブラケット8は、ソレノイド11が転写ベルト2と対向する面に固着された状態で取り付けられている。このソレノイド11は、シャッタ7を回動させるための駆動手段である。ソレノイド11は、プリンタ100全体を制御する図示せぬ制御部によって制御される。ソレノイド11は、図5に示すように、ピン18を介してシャッタ7に設けられた溝部7dと係合しており、このピン18を介して駆動力をシャッタ7に伝達する。
【0035】
また、ブラケット8は、ポスト8aが転写ベルト2と対向する面に設けられている。このポスト8aは、シャッタ7を回動自在に支持するための構成要素である。ポスト8aは、転写ベルト2側に向かって垂直方向に突出する円柱状の突起として構成されている。
【0036】
また、ブラケット8は、ポスト8aがトーションバネ15の巻胴部を貫通するように、トーションバネ15が転写ベルト2と対向する面に取り付けられている。このトーションバネ15は、シャッタ7を、図2に示す矢印AR1方向に付勢するための部材である。
【0037】
さらに、ブラケット8は、ポスト8aが後記する支点部7aを貫通するように、シャッタ7が転写ベルト2と対向する面に取り付けられている。
【0038】
シャッタ7は、複数のセンサ(ここでは、第1のセンサ12及び第2のセンサ13)のそれぞれの表面を遮蔽するための遮蔽部である。シャッタ7は、各センサの表面を覆うことができる長さと幅とを有する長尺状の板材として構成されている。シャッタ7は、転写ベルト2の表面とセンサ12,13の表面との間の空間に、設けられている。シャッタ7は、一端側が第1のセンサ12と対向し、他端側が第2のセンサ13と対向している。
【0039】
シャッタ7は、支点部7aが第1のセンサ12と対向する部分と第2のセンサ13と対向する部分との間に設けられている。この支点部7aは、シャッタ7に形成された円形状の孔であり、孔の中に、ブラケット8のポスト8aが嵌め込まれる。シャッタ7は、ソレノイド11によって駆動されて、支点部7aを中心にして、転写ベルト2の表面とセンサ12,13の表面との間の空間内で回動する。なお、支点部7aは、シャッタ7がセンサ12,13の表面と平行に回動するように、センサ12,13の表面に対して垂直に設けられている。支点部7aは、幅の異なる複数のセンサ(ここでは、第1のセンサ12及び第2のセンサ13)を清掃する上で必要なストロークを満足できる位置に設けられていることが好ましい。この支点部7aの位置(すなわち、ポスト8aの位置)については、図8を用いて後記する。
【0040】
シャッタ7は、移動(ここでは、回動)量がブラケット17によって規制されている。ブラケット17は、シャッタ7の移動量を規制するための部材である。ブラケット17は、ブラケット8の転写ベルト2と対向する面のシャッタ7の端部(図示例では、第1のセンサ12が設けられた一端側)付近に、シャッタ7の上から、固着された状態で取り付けられている。
【0041】
シャッタ7は、複数のセンサ(ここでは、第1のセンサ12及び第2のセンサ13)のそれぞれの表面に対向する位置に、清掃手段が設けられている。図示例では、シャッタ7は、第1の清掃手段として、フィルム9(図2参照)が、一端側の第1のセンサ12と対向する部分に設けられており、さらに、第2の清掃手段として、ブレード10(図3参照)が、他端側の第2のセンサ13と対向する部分に設けられている。フィルム9は、例えば、弾性を有するポリエステル等の素材によってフィルム状に形成された清掃用の部材である。フィルム9は、シャッタ7の第1のセンサ12と対向する部分の全面を覆うように配置され、接着剤や両面テープ又はスナップ等の取り付け手段によってシャッタ7に固着されている。一方、ブレード10は、弾性を有するシリコンゴム等の素材によって舌状に形成された清掃用の部材である。ブレード10は、舌の下端がシャッタ7の第2のセンサ13の表面の全面と接触するように配置され、舌の上端が接着剤や両面テープ又はスナップ等の取り付け手段によってシャッタ7に固着されている。なお、ここでは、第1の清掃手段としてフィルム9を用い、第2の清掃手段としてブレード10を用いているが、第1の清掃手段及び第2の清掃手段は、フィルム、ブレード、及び、その他の清掃用の部材の中から適宜選択して用いることができる。
【0042】
シャッタ7は、トーションバネ15の付勢力によって、図2に示す矢印AR1方向に常に付勢されている。そのため、シャッタ7(図2参照)は、通常時(キャリブレーションの未実行時)に、閉鎖状態となって、センサ12,13の表面を転写ベルト2から遮蔽する(図2及び図3参照)。
【0043】
また、シャッタ7は、キャリブレーションの実行時に、ソレノイド11によって、支点部7aを中心にして、図4に示す矢印AR2方向に、転写ベルト2とセンサ12,13との間の空間内で回動される。そのため、シャッタ7は、キャリブレーションの実行時に、開放状態となって、センサ12,13の表面を転写ベルト2にさらす(図4及び図5参照)。なお、シャッタ7は、端部7b,7c(図6参照)がブラケット17のリミッタ部17a,17bに突き当たることによって、回動が停止する。
【0044】
シャッタ7に設けられた第1の清掃手段(フィルム9)及び第2の清掃手段(ブレード10)は、キャリブレーションの実行時に、シャッタ7の回動にしたがって、回動する。フィルム9及びブレード10は、この回動によって、センサ12,13の表面と接触して、センサ12,13の表面を擦(こす)る。これにより、フィルム9及びブレード10は、センサ12,13の表面から汚れを除去して、センサ12,13の表面を清掃する。
【0045】
なお、ソレノイド11は、通常、ピン18の移動量が一定であるため、シャッタ7を一定量しか回動させない構成となっている。そのため、シャッタ7の支点部7aの位置(すなわち、ブラケット8のポスト8aの位置)は、シャッタ7の回動方向(図8に示す矢印AR2方向)における、第1のセンサ12及び第2のセンサ13を覆うセンサカバー14の清掃を行う領域(以下、「清掃領域」と称する)の幅の差から決定される回動角度θ1,θ2(図8参照)を満足する位置となることが好ましい。なお、図8は、シャッタの支点部の位置の説明図である。本実施形態1では、「清掃領域の幅」は、図8に示すように、第1のセンサ12の支点部7a側の稜線12aの幅W2と第2のセンサ13の支点部7a側の稜線13aの幅W1となっている。
【0046】
このようなシャッタ7の支点部7aの位置(すなわち、ブラケット8のポスト8aの位置)は、具体的には、例えばセンサの数が2つの場合に、稜線12aの任意の位置と稜線13aの任意の位置(具体的には、稜線12aの中点と稜線13aの中点)とを繋(つな)いだ直線上において、稜線12aから支点部7aまでの距離をL2とし、かつ、稜線13aから支点部7aまでの距離をL1とする場合に、θ1:θ2=L1:L2の関係となる位置である。
【0047】
又は、シャッタ7の支点部7aの位置は、好ましくは、以下のような簡易な手法で決定してもよい。すなわち、シャッタ7の支点部7aの位置は、複数のセンサの中のプリンタ100本体の両側面から最も近い位置に設けられた2つのセンサをそれぞれ一端側のセンサ(ここでは、第1のセンサ12)及び他端側のセンサ(ここでは、第2のセンサ13)とする場合に、第1のセンサ12と第2のセンサ13との間の位置で、かつ、シャッタ7の回動方向(図8に示す矢印AR2方向)における第1のセンサ12の最大長さW2と第2のセンサ13の最大長さW1との比に対応した位置にしてもよい。この手法は、W1:W2=L1:L2の関係となるため、この手法によっても、θ1:θ2=L1:L2の関係を満たす。この手法は、特に、センサの数が2つより多い場合に、好ましい。
【0048】
<シャッタ機構の動作>
以下、図2を参照して、シャッタ機構の動作につき説明する。プリンタ100は、電源が投入されると、図示せぬ制御部の制御に基づいて、以下の動作を行う。
【0049】
すなわち、プリンタ100は、まず、図示せぬ駆動系によって図1に示す矢印R1方向に転写ベルト2を走行させて、この回動に合わせて、色ずれ検出用のパターン像及び濃度検出用のパターン像を転写ベルト2上に転写する。
【0050】
次に、プリンタ100は、ソレノイド11を通電して、シャッタ7を図4に示す矢印AR2方向に回動させる。このとき、シャッタ7は、支点部7aを中心にして一端側の部分(すなわち、第1のセンサ12と対向するフィルム9が存在する部分)と他端側の部分(すなわち、第2のセンサ13と対向するブレード10が存在する部分)とに分断され、一端側の部分と他端側の部分とが、それぞれ、円弧を描くように動く。
【0051】
シャッタ7が回動すると、フィルム9が、センサ12の表面を擦るとともに、ブレード10が、センサ13を覆うセンサカバー14の表面を擦る。これによって、センサ12及びセンサカバー14の表面が、清掃される。
なお、シャッタ7は、センサ12,13の表面と平行な面内を回動する。そのため、シャッタ7に設けられたフィルム9及びブレード10は、センサ12及びセンサカバー14の全表面に対して、均一の押圧力で接触する。これにより、フィルム9及びブレード10は、センサ12及びセンサカバー14の全表面を斑(むら)なく清掃できる。
【0052】
シャッタ7は、端部7b(図6参照)がブラケット17のリミッタ部17aに当接することによって、停止する。
このとき、シャッタ7に設けられたフィルム9は、図4に示すように、第1のセンサ12の表面を通り過ぎて、ガイドプレート16の上で停止する。一方、シャッタ7に設けられたブレード10は、図5に示すように、センサカバー14の端部14aの上で静止する。
【0053】
プリンタ100は、この状態で、第1のセンサ12及び第2のセンサ13によって、転写ベルト2上に転写された色ずれ検出用のパターン像及び濃度検出用のパターン像を読み取る。
【0054】
プリンタ100は、読み取りが完了すると、ソレノイド11の通電を切断する。このとき、シャッタ7は、トーションバネ15の付勢力によって、図2に示す矢印AR1方向に回動する。そして、シャッタ7は、端部7c(図6参照)がブラケット17のリミッタ部17bに当接することによって、停止する。
このとき、シャッタ7は、図2に示すように、第1のセンサ12の表面を覆うとともに、センサカバー14の表面を覆う。以後、シャッタ7は、第1のセンサ12及びセンサカバー14の表面を覆って、トナーが第1のセンサ12及びセンサカバー14の上に落下して集積するのを防止する。
【0055】
以下、図13乃至図15を参照して、本実施形態1に係るシャッタ機構105の効果につき、シャッタ機構105と例えば以下の構成の比較例としてのシャッタ機構106(図14(a)参照)とを対比させることによって、説明する。なお、ここでは、比較例としてのシャッタ機構106は、本実施形態1に係るシャッタ7と同様の形状でかつシャッタ7と同様の位置に第1の清掃手段(フィルム9)及び第2の清掃手段(ブレード10)を備えたシャッタ70を有する構成になっているものとする。ただし、比較例のシャッタ70は、本実施形態1のシャッタ7と異なり、フィルム9及びブレード10と対向するセンサ12,13の短手方向へ直線移動する構成となっている。
【0056】
図13乃至図15は、それぞれ、実施形態1に係るシャッタ機構の効果の説明図である。図13は、本実施形態1に係るシャッタ機構105のシャッタ7の移動量を模式的に示している。なお、図13(a)は、上方から見たシャッタ7の模式的な構成を示しており、また、図13(b)は、そのシャッタ7の移動面積S1と清掃の対象であるセンサ12,13の位置とを重ねた状態を示している。図13(a)では、図13(b)に示すシャッタ7の移動面積S1が明確になるように、シャッタ7を模式的に線として表している。一方、図14は、比較例として、シャッタ70をセンサ12,13の短手方向へ移動させる場合のシャッタ機構106のシャッタ70の移動量を模式的に示している。なお、図14(a)は、上方から見たシャッタ7の模式的な構成を示しており、また、図14(b)は、そのシャッタ70の移動面積S2と清掃の対象であるセンサ12,13の位置とを重ねた状態を示している。図14(a)では、図14(b)に示すシャッタ70の移動面積S2が明確になるように、シャッタ70を模式的に線として表している。また、図15は、図13(b)に示す本実施形態1のシャッタ7の移動面積S1と図14(b)に示す比較例のシャッタ70の移動面積S2とを重ねた状態を示している。
【0057】
ここでは、本実施形態1のシャッタ7及び比較例のシャッタ70は、以下のように構成されているものとして説明する。なお、ここでは、シャッタ7及びシャッタ70は、ともに、単一のソレノイド11(図3参照)によって、駆動されるものとする。
【0058】
すなわち、本実施形態1のシャッタ7及び比較例のシャッタ70は、ともに、図13(a)及び図14(a)に示すように、X軸方向の長さが第1のセンサ12の外端と第2のセンサ13の外端とを繋ぐ長さ(X1+L1+L2+X2)となっており、また、第1の清掃手段(フィルム9)が第1のセンサ12と対向する位置に設けられており、さらに、第2の清掃手段(ブレード10)が第2のセンサ13と対向する位置に設けられている。
【0059】
シャッタ7及びシャッタ70は、ともに、第2のセンサ13から支点部7a(ただし、図4(b)では、実在せず)の中心までの距離がL1となっており、支点部7aの中心から第1のセンサ12までの距離がL2となっている。したがって、第2のセンサ13から第1のセンサ12までの距離は、(L1+L2)となっている。
【0060】
なお、第2のセンサ13は、図13(b)、図14(b)、及び、図15に示すように、X軸方向の長さがX1となっており、Y軸方向の長さがW1となっている。また、第1のセンサ12は、X軸方向の長さがX2となっており、Y軸方向の長さがW2となっている。
【0061】
第2のセンサ13は、複数のレンズ131を有している。複数のレンズ131は、それぞれ、第2のセンサ13の発光部及び受光部に対応しており、第2のセンサ13のY軸方向の長さW1における中央付近に一列に並べて設けられている。
同様に、第1のセンサ12も、複数のレンズ121を有している。複数のレンズ121は、それぞれ、第1のセンサ12の発光部及び受光部に対応しており、第1のセンサ12のY軸方向の長さW2における中央付近に一列に並べて設けられている。
【0062】
本実施形態1のシャッタ7は、支点部7aを中心にして、回動する。図13(b)に、シャッタ7の移動量を、移動面積S1として示す。
これに対して、比較例のシャッタ70は、センサ12,13の短手方向(すなわち、図14(b)に示すY軸方向)に、直線移動する。図14(b)に、比較例のシャッタ70の移動量を、移動面積S2として示す。
【0063】
本実施形態1のシャッタ7及び比較例のシャッタ70は、ともに、清掃の対象であるセンサ12,13の清掃面積の総和が同じ((W1×L1)+(W2×L2))となっている。
【0064】
本実施形態1のシャッタ7の移動面積S1は、図13(b)に示すように、S1=(S11+S12)となっている。なお、S11は、シャッタ7の第2のセンサ13に対向する部分の外端から支点部7aの中心までの部分の移動面積であり、また、S12は、シャッタ7の支点部7aの中心から第2のセンサ13に対向する部分の外端までの部分の移動面積である。このシャッタ7の移動面積S1は、シャッタ7の回転角度θ1,θ2(図8参照)と支点部7aの位置との関係から決定される。なお、支点部7aの位置は、前記した通り、θ1:θ2=L1:L2の関係となる位置であることが好ましい。ここでは、支点部7aの位置は、第1のセンサ12のY軸方向の長さW2と第2のセンサ13のY軸方向の長さW1との比に対応した位置であるものとする。
【0065】
一方、比較例のシャッタ70の移動面積S2は、図14(b)に示すように、S2=(L1+L2+X1+X2)×W2となっている。すなわち、シャッタ70の移動面積S2は、第2のセンサ13から第1のセンサ12までの距離(L1+L2)と第2のセンサ13のX軸方向の長さX1と第1のセンサ12のX軸方向の長さX2とを足した値である(L1+L2+X1+X2)に、第1のセンサ12及び第2のセンサ13のY軸方向の最大幅(ここでは、第1のセンサ12のY軸方向の幅W2)を掛けた面積となっている。このシャッタ70の移動面積S2は、シャッタ70のX軸方向の幅(X1+L1+L2+X2)とY軸方向の移動距離との関係から決定される。
【0066】
本実施形態1のシャッタ7の移動面積S1と比較例のシャッタ70の移動面積S2は、図15に示すように、S1<S2となることが明確である。
したがって、本実施形態1に係るシャッタ機構105は、比較例のシャッタ機構106(図14参照)と比べて、シャッタ7の移動量を低減できる。
【0067】
また、本実施形態1に係るシャッタ機構105は、以下に説明するように、ソレノイド11を支点部7aの近傍に設けることにより、比較例のシャッタ機構106と比べて、ソレノイド11の稼動量を低減できる。
【0068】
すなわち、比較例のシャッタ機構106は、ソレノイド11がシャッタ70をY軸方向に直線移動させる。シャッタ機構106は、第1のセンサ12及び第2のセンサ13の清掃領域分だけ比較例のシャッタ70を移動させる必要がある。そのため、シャッタ機構106におけるソレノイド11の稼動量は、第1のセンサ12及び第2のセンサ13のY軸方向の最大幅(すなわち、第1のセンサ12のY軸方向の幅W2)分となる。
【0069】
一方、本実施形態1に係るシャッタ機構105は、ソレノイド11が支点部7aを中心にしてシャッタ7を回動させる。シャッタ機構105は、ソレノイド11の位置が回動の中心である支点部7aに近くなるほど、ソレノイド11の稼動量が小さくなる。そのため、シャッタ機構105におけるソレノイド11の稼動量は、ソレノイド11の位置を支点部7aに近づけることにより、シャッタ機構106におけるソレノイド11の稼動量(すなわち、第1のセンサ12のY軸方向の幅W2分)よりも小さくできる。
本実施形態1では、ソレノイド11は、図5に示すように、支点部7aの近傍に設けられており、ピン18を介して支点部7aの近傍に設けられた溝部7dと係止する構成となっている。そのため、本実施形態1に係るシャッタ機構105は、ソレノイド11の稼動量がシャッタ機構106におけるソレノイド11の稼動量(すなわち、第1のセンサ12のY軸方向の幅W2分)よりも小さくなっている。
【0070】
以上の通り、本実施形態1に係るシャッタ機構105によれば、シャッタ7は、2つのセンサ(ここでは、第1のセンサ12及び第2のセンサ13)の間の位置に、支点部7aを備えている。この支点部7aは、シャッタ7を一点で軸支している。シャッタ7は、その支点部7aを中心にして、複数のセンサ(ここでは、第1のセンサ12及び第2のセンサ13)の表面と転写ベルト2の表面との間の空間内を回動する。このような構成において、シャッタ7は、支点部7aを中心にして一端側の部分(すなわち、第1のセンサ12と対向するフィルム9が存在する部分)と他端側の部分(すなわち、第2のセンサ13と対向するブレード10が存在する部分)とに分断され、一端側の部分と他端側の部分とが、それぞれ、円弧を描くように動く。このとき、一端側の部分は、第1のセンサ12の幅W2分だけ動き、また、他端側の部分は、第2のセンサ13の幅W1分だけ動く。そのため、第1のセンサ12と第2のセンサ13との間には、シャッタ7が描く円弧から外れた部分(すなわち、シャッタ7で覆われない部分)が出現する。したがって、本実施形態1に係るシャッタ機構105によれば、シャッタ7の移動量を低減できる。そのため、装置内の必要な空間を低減でき、これによって、装置の小型化が可能になる。
【0071】
また、本実施形態1に係るシャッタ機構105によれば、シャッタ7を一点で軸支すればよいため、シャッタ7を移動自在に支持する機構を簡素化することができる。そのため、これによっても、装置の小型化が可能になる。
【0072】
また、本実施形態1に係るシャッタ機構105によれば、支点部7aが第1のセンサ12及び第2のセンサ13の表面に対して垂直方向になるように設けられているため、シャッタ7を第1のセンサ12及び第2のセンサ13の表面に沿って回動させることができ、これによって、第1のセンサ12及び第2のセンサ13の表面を安定して清掃できる。
【0073】
[実施形態2]
本実施形態2に係るシャッタ機構105aは、複数の清掃手段が読み取り方向の異なる複数の読取部を清掃できる構成となっている。
【0074】
以下、図9乃至図12を参照して、本実施形態2に係る画像形成装置のシャッタ機構105aの構成につき説明する。なお、図9は、実施形態2に係るシャッタ機構の閉鎖状態における構成を示す斜視図である。また、図10は、実施形態2に係るシャッタ機構の開放状態における構成を示す斜視図である。図11は、実施形態2に係るシャッタ機構の主要部の分解図であり、図12は、その主要部の動作を示す平面図である。
【0075】
図9乃至図12(特に、図11)に示すように、本実施形態2に係るシャッタ機構105aは、実施形態1に係るシャッタ機構105の第2のセンサ13の代わりに、センサ基板24を有している。このセンサ基板24は、1乃至複数のセンサ(図示せず)が読取部として搭載された構成要素である。
【0076】
このセンサ基板24は、センサカバー25が1乃至複数のセンサの表面を覆うように搭載されている。このセンサ基板24は、1乃至複数のセンサを保護するための部材であり、透明なプラスチック等の素材によって構成されている。
センサ基板24は、1乃至複数のセンサがシャッタ23の先端と対向するように、垂直に立位された状態で、ブラケット26に固着された状態で取り付けられている。これにより、センサカバー25は、後記する清掃部材21cと対向する位置に、清掃部材部21cと接触するように、ブラケット26に固着された状態で取り付けられる。
【0077】
シャッタ23は、先端に、スライダ21が取り付けられている。このスライダ21は、シャッタ23の先端方向又は逆方向(図12に示す矢印AR4方向)に、スライド移動する構成要素である。スライダ21は、図11(b)に示すように、一対の溝部21a,21bが、後端(すなわち、シャッタ23の先端に取り付けられる側の端部)の両側に設けられている。スライダ21は、ガイド部23a(図11参照)が溝部21a,21bの中に嵌め込まれるように、シャッタ23の先端に取り付けられる。なお、ガイド部23aは、シャッタ23の先端の両側に設けられた一対乃至複数対(図示例では、二対)の突起である。スライダ21の溝部21a,21b及びシャッタ23の先端のガイド部23aは、互いが嵌め合わされるように、図12に示す矢印AR4方向に沿って平行に設けられている。スライダ21は、スライダ21の溝部21a,21bとシャッタ23の先端のガイド部23aが互いに嵌め合うことによって、シャッタ23の先端方向及び逆方向の双方向(図12に示す矢印AR4方向)に、自在にスライド移動する。
【0078】
なお、前記した通り、センサ基板24は、1乃至複数のセンサがシャッタ23の先端と対向するように、垂直に立位された状態で、ブラケット26に固着された状態で取り付けられている。したがって、スライダ21は、センサ基板24と対向するように、シャッタ23の先端を双方向にスライド移動する。
【0079】
スライダ21は、内部に圧縮バネ22を封止した状態で、シャッタ23の先端に取り付けられている。そのため、スライダ21は、圧縮バネ22の付勢力によってシャッタ23の先端側に常に付勢されている。
【0080】
スライダ21は、先端に、清掃部材21cが取り付けられている。清掃部材21cは、センサ基板24に搭載された1乃至複数のセンサの表面を清掃するための部材である。清掃部材21cは、フィルム9やブレード10と同様に、弾性を有するポリエステル等の部材や弾性を有するシリコンゴム等の部材等によって構成されている。清掃部材21cは、センサカバー25と対向するように、シャッタ23の回動面とは角度を有して設けられている。
本実施形態2に係るシャッタ機構105aは、スライダ21の清掃部材21cがセンサ基板24に搭載された1乃至複数のセンサの表面(ここでは、センサの表面を覆うセンサカバー25の表面)を擦ることによって、センサ基板24に設けられた1乃至複数のセンサの表面を清掃する。
【0081】
以下、本実施形態2に係るシャッタ機構105aの動作につき説明する。なお、ここでは、実施形態1のシャッタ機構105と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1のシャッタ機構105と同様の動作については、前記した実施形態1に係るシャッタ機構105動作をこの実施形態2に係るシャッタ機構105aに読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
【0082】
プリンタ100は、電源が投入されると、実施形態1の場合と同樣に、まず、図示せぬ駆動系によって図1に示す矢印R1方向に転写ベルト2を走行させて、この回動に合わせて、色ずれ検出用のパターン像及び濃度検出用のパターン像を転写ベルト2上に転写する。次に、プリンタ100は、ソレノイド11を通電して、シャッタ機構105aのシャッタ23を矢印AR2方向(図4参照)に回動させる。シャッタ23は、端部7b(図6参照)がブラケット17のリミッタ部17aに当接することによって、停止する。
【0083】
スライダ21は、当初、センサカバー25と当接する位置に停止しているが、シャッタ23の回動にしたがって、図12に示す矢印AR4に沿って、シャッタ23の先端方向に、スライド移動する。そして、スライダ21は、センサカバー25の表面の端部又はその表面を通り過ぎた位置で停止する。その結果、スライダ21の先端に設けられた清掃部材部9が、センサカバー25の表面を擦る。このとき、清掃部材9は、圧縮バネ22によって発生する付勢力によって、適度な力でセンサカバー25の表面を擦る。そのため、シャッタ機構105aは、センサカバー25の表面を清掃できる。
【0084】
プリンタ100は、ソレノイド11の通電が切断されると、清掃部材部9がトーションバネ15(図2参照)の付勢力によってセンサカバー25と当接する位置に戻されて、その位置で停止する。これにより、シャッタ105aは、センサ基板24に搭載されているセンサの表面を遮蔽するとともに、第1のセンサ12の表面も遮蔽する。
なお、第1のセンサ12に対するシャッタ23の動作は、実施形態1のシャッタ7と同様である。
【0085】
以上の通り、本実施形態2のシャッタ機構105aによれば、実施形態1のシャッタ機構105と同様に、シャッタ23が支点部7aを中心にして回動するため、比較例のシャッタ機構106(図14参照)と比べて、シャッタ23の移動量を低減できる。そのため、装置内の必要な空間を低減でき、これによって、装置の小型化が可能になる。
また、本実施形態2に係るシャッタ機構105aによれば、実施形態1のシャッタ機構105と同様に、シャッタ23を一点で軸支すればよいため、シャッタ23を移動自在に支持する機構を簡素化することができる。そのため、これによっても、装置の小型化が可能になる。
また、本実施形態2のシャッタ機構105aによれば、実施形態1のシャッタ機構105と同様に、支点部7aが第1のセンサ12の表面に対して垂直方向になるように設けられているため、第1のセンサ12の表面を安定して清掃できる。
さらに、本実施形態2のシャッタ機構105aによれば、第1のセンサ12の表面とセンサ基板24の表面(ここでは、センサカバー25の表面)のように、読み取り方向の異なる複数の読取部を同時に清掃できる。
【0086】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、本発明は、プリンタに限らず、複写機、FAX、MFP等の画像形成装置に用いることができる。なお、「MFP」とは、Multi Function Printer(又はProduct)の略称で、プリンタにファクシミリ機能やスキャナ機能、コピー機能等を付加した装置である。
【符号の説明】
【0087】
1 センサユニット
2 転写ベルト(像担持体)
3 給紙部
3a 用紙カセット
4 用紙走行路(走行路)
4a,4b,4c,4d 用紙搬送部
5 画像形成部
6 定着部
7,23 シャッタ(遮蔽部)
7a 支点部
7b,7c 端部
7d 溝部
8,17,26 ブラケット
8a ポスト
9 フィルム(第1の清掃手段)
10 ブレード(第2の清掃手段)
11 ソレノイド(駆動手段)
12,13 センサ
12a,13a 稜線
14,25 センサカバー
14a 端部
15 トーションバネ
16 ガイドプレート
17a,17b リミッタ部
18 ピン
19 ベースプレート
21 スライダ
21a,21b 溝部
21c 清掃部材
22 圧縮バネ
23a ガイド部
24 センサ基板
100 画像形成装置(プリンタ、複写機、FAX、MFP等)
105,105a シャッタ機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を担持する現像剤像担持体と、
それぞれが前記現像剤担持体の表面と対向して設けられ、かつ、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤像を読み取る、複数の読取部と、
複数の前記読取部の表面と前記現像剤担持体の表面との間の空間内に設けられ、かつ、複数の前記読取部の中のいずれか2つの読取部の間の位置に、自身を一点で軸支する支点部を備え、当該支点部を中心にして、当該空間内で回動することにより、複数の前記読取部を遮蔽又は開放のいずれか一方の状態にする遮蔽部と、
前記遮蔽部を回動させる駆動手段と、
それぞれが複数の前記読取部の各々の表面と対向するように前記遮蔽部に設けられ、かつ、前記遮蔽部の回動にしたがって、それぞれが対向する前記読取部の表面と接触することにより、複数の前記読取部の表面から付着物を除去する、複数の清掃手段とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記遮蔽部の前記支点部は、
複数の前記読取部の中の装置本体の両側面から最も近い位置に設けられた2つを、それぞれ、一端側の読取部及び他端側の読取部とする場合に、
前記一端側の読取部と前記他端側の読取部との間の位置で、かつ、前記遮蔽部の回動方向における前記一端側の読取部の最大長さと前記他端側の読取部の最大長さとの比に対応した位置に、設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、
前記駆動手段によって回動させられる前記遮蔽部の回動量は、前記一端側の読取部に対向する前記清掃手段の移動量が前記遮蔽部の回動方向における前記一端側の読取部の最大長さとなる量で、かつ、前記他端側の読取部に対向する前記清掃手段の移動量が前記遮蔽部の回動方向における前記他端側の読取部の最大長さとなる量に、設定されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記読取部は、前記現像剤像を光学的に読み取る
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記読取部は、受光部である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、
前記支点部は、前記読取部の前記遮蔽部に対向する面に対して、垂直方向に、前記遮蔽部を支持している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像形成装置において、
複数の前記清掃手段は、読み取り方向の異なる複数の前記読取部を清掃可能である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
複数の前記清掃手段の少なくとも一つは、立位状態に配置された前記読取部の表面と対向するように、前記遮蔽部の先端にスライド自在に設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
さらに、スライド自在な前記清掃手段を、立位状態に配置された前記読取部の方向に付勢する付勢部材を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
現像剤像を現像剤担持体の表面に形成する機能を有する画像形成装置に用いるシャッタ機構において、
それぞれが前記現像剤担持体の表面と対向して設けられ、かつ、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤像を読み取る、複数の読取部と、
複数の前記読取部の表面と前記現像剤担持体の表面との間の空間内に設けられ、かつ、複数の前記読取部の中のいずれか2つの読取部の間の位置に、自身を一点で軸支する支点部を備え、当該支点部を中心にして、当該空間内で回動することにより、複数の前記読取部を遮蔽又は開放のいずれか一方の状態にする遮蔽部と、
前記遮蔽部を回動させる駆動手段と、
それぞれが複数の前記読取部の各々の表面と対向するように前記遮蔽部に設けられ、かつ、前記遮蔽部の回動にしたがって、それぞれが対向する前記読取部の表面と接触することにより、複数の前記読取部の表面から付着物を除去する、複数の清掃手段とを有する
ことを特徴とするシャッタ機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−186143(P2010−186143A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31533(P2009−31533)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】