画像形成装置、及び制御プログラム
【課題】現像装置の現像剤量の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持する。
【解決手段】画像形成装置1は、現像器20内のキャリア及びトナーを含む現像剤のトナー濃度の検出を、現像器20内をスクリューオーガ22,23により攪拌されつつ搬送されて検出領域を通過する現像剤を検出して行うトナー濃度センサ26が出力する検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、現像剤のトナー濃度を制御するトナー供給制御部44と、前記最大値、最小値及び振幅値のうちトナー供給制御部44が現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、予め設定した処理を実行する補正部45と、有する。
【解決手段】画像形成装置1は、現像器20内のキャリア及びトナーを含む現像剤のトナー濃度の検出を、現像器20内をスクリューオーガ22,23により攪拌されつつ搬送されて検出領域を通過する現像剤を検出して行うトナー濃度センサ26が出力する検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、現像剤のトナー濃度を制御するトナー供給制御部44と、前記最大値、最小値及び振幅値のうちトナー供給制御部44が現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、予め設定した処理を実行する補正部45と、有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像装置に取り付けたトナー濃度センサの出力の最大値を基に、現像装置内の現像剤のトナー濃度を制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−219437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、現像装置の現像剤量の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、現像装置内のキャリア及びトナーを含む現像剤を搬送する搬送部と、前記搬送部を搬送される現像剤の特性値を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御する制御手段と、前記最大値、最小値及び振幅値のうち前記制御手段が前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、予め設定した処理を実行する実行手段と、を有する画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1の記載において、前記制御手段は、前記最大値、最小値及び振幅値の何れかと予め設定した第1の値との比較結果を基に、トナー収容部内から前記現像装置内にトナーを供給する制御を行い、前記実行手段は、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた前記最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記予め設定した第1の値を補正する画像形成装置である。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2の記載において、前記実行手段は、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値と前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記第1の値との関係を示すテーブル又は予め決められている演算式により、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記予め設定した第1の値を補正する画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れか1項の記載において、前記実行手段は、前記制御手段が前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値が予め設定した第2の値に達した場合、前記現像装置へのキャリアの補充に結びつく報知を行う画像形成装置である。
請求項5に係る発明は、現像装置内のキャリア及びトナーを含む現像剤のトナー濃度の検出を、前記現像装置内を搬送部により搬送されて検出領域を通過する前記現像剤の特性値を検出して行う検出手段が出力する検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御する制御ステップと、前記最大値、最小値及び振幅値のうち前記制御ステップで前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、実行手段に予め設定した処理を実行させる実行ステップと、をコンピュータに実行させるコンピュータに読取可能な制御プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、5に係る発明によれば、現像装置の現像剤量の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持できる。
請求項2に係る発明によれば、検出手段が出力する検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値と予め設定した第1の値とを比較してトナー収容部内から現像装置内にトナーを供給する制御を行う場合でも、現像装置の現像剤量の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持できる。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、テーブル又は演算式を用いることで、このような構成でない場合と比較して、現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は第1の値を容易に補正できる。
請求項4に係る発明によれば、報知によりキャリアが現像装置に補充されることで、現像装置の現像剤量の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図2】現像器の構成を示す斜視図である。
【図3】現像器の構成を示す平面図である。
【図4】第1スクリューオーガの回転中のトナー濃度センサの検出値(電圧値)の変化を示す特性図である。
【図5】現像器ハウジング内におけるパドル部の移動に伴う現像剤の想定される移動の様子を示す図である。
【図6】制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】トナー供給制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】補正部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】補正用テーブルの一例を示す図である。
【図10】現像器内の現像剤量と、トナー濃度センサの検出値の最大値、最小値及び振幅値との関係を示す特性図である。
【図11】本実施形態に変形例における補正用テーブルの一例を示す図である。
【図12】第2の実施形態における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図13】報知制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、画像形成装置である。
図1は、画像形成装置1の構成の一例を示す。
図1に示すように、画像形成装置1は、用紙搬送路上100を搬送される印刷媒体である印刷用紙に画像を形成する。
【0013】
そのため、画像形成装置1は、トナーカートリッジ(トナーボトル)2、感光体(像保持体)3、帯電器4、レーザ露光器5、現像器20、転写ローラ6、感光体クリーナ7、定着装置8、及び制御部40を有している。画像形成装置1では、感光体3の周囲であって図1に示す矢印A方向(感光体3の回転方法)に、帯電器4、レーザ露光器5、現像器20、転写ローラ6、及び感光体クリーナ7がその順番で配置されている。
【0014】
帯電器4は、感光体3を帯電させ、レーザ露光器5は、例えば半導体レーザから出射された露光ビームを感光体3に照射して感光体3上に静電潜像を書込む。
現像器20は、トナー及びキャリアを含む現像剤が収容されて感光体3上の静電潜像をトナーにより可視像化する。すなわち、現像器20は、収容されている現像剤を現像ロール(現像剤担持体)21の表面に供給し現像ロール21と感光体3との間の領域に運び、現像剤中のトナーを感光体3の表面の潜像に静電的に付着させることでこの潜像を現像する。
【0015】
また、現像器20は、図1の矢印Bのように、トナーカートリッジ2に収容されているトナーがトナー供給路9を介して供給される。そして、現像器20は、現像剤の透磁率を検出することによりトナー濃度を検出するトナー濃度センサ(ATC(Auto Toner-concentration Control)センサ)48を備えており、トナー濃度センサ48の検出結果を基に必要に応じてトナーカートリッジ2に収容されているトナーが供給されて、トナー濃度が目標の濃度に維持される。
【0016】
この現像器20の構成及び動作については後で詳述する。
転写ロール6は、現像器20の現像により得られたトナー像を用紙搬送路上100を搬送されてきた印刷用紙上に転写する。
定着装置8は、印刷用紙上に転写されたトナー像を加熱及び加圧して溶融し印刷用紙上に定着させる。
【0017】
感光体クリーナ7は、感光体3上の残留トナーを除去する。
制御部40は、外部装置(例えばサーバ)や画像読み取り装置10からの入力画像データを基に各部を制御する。
以上のような構成により、画像形成装置10では、入力画像データに基づく制御部40による制御により、感光体3は、帯電器4によって表面が帯電された後、レーザ露光器5からの露光ビームの照射により表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器20によってトナー像として現像される。感光体3上に形成されたトナー像は、転写ロール6により、用紙搬送ロール10等により用紙搬送路100上を搬送されてきた印刷用紙上に転写され、その後、定着装置8により印刷用紙上に定着される。
【0018】
次に、本実施形態の現像器20の構成及び動作の一例を説明する。
図2及び図3は、現像器20の構成を示す。図2は斜視図であり、図3は平面図である。
図2及び図3に示すように、現像器20は、現像ロール21、第1及び第2スクリューオーガ22,23、並びに現像剤搬送用パドル24を現像器ハウジング25内に有している。また、現像器20には、現像器ハウジング25にトナー濃度センサ26が取り付けられている。
【0019】
現像ロール21、第1及び第2スクリューオーガ22,23、並びに現像剤搬送用パドル24は、各機能に応じた外周形状を有した長尺の棒状体をなしている。
第1及び第2スクリューオーガ22,23は、現像器ハウジング25においてトナーの供給側に配置されている。ここで、第1及び第2スクリューオーガ22,23は、現像器ハウジング25内に形成された仕切り壁25aを介して併設されている。そして、仕切り壁25aには、その長手方向の両端部に開口部25b,25cが形成されている。
【0020】
この第1及び第2スクリューオーガ22,23は、図示しない駆動モータによって回転駆動される回転軸22a,23aと、これら回転軸22a,23aの長手方向に渡って螺旋状に形成された搬送羽根22b,23bとを有している。
また、第1スクリューオーガ22には、軸方向におけるトナー濃度センサ26の対向部位(センサ面側)に軸方向に延びる平板形状のパドル部22cが設けられている。後で詳述するが、本実施形態では、パドル部22cの移動により現像器ハウジング25内を移動する現像剤をトナー濃度センサ26による検出対象とし、トナー濃度を検出している。すなわち、パドル部22cは、トナー濃度センサ26のセンサ面側(検出領域)に現像剤を集めるように機能する。
【0021】
以上のような構成により、第1及び第2スクリューオーガ22,23は、現像剤を攪拌しつつ搬送し、該第1及び第2スクリューオーガ22,23の端部に搬送した現像剤を仕切り壁25aの両端に設けられている開口部25b,25cを介して互いに受渡し、現像剤を攪拌しつつ循環搬送する。
現像剤搬送用パドル24は、第1及び第2スクリューオーガ22,23から搬送されてきた現像剤を現像ロール21の背面側で再度攪拌する。
【0022】
現像ロール21は、現像器ハウジング25にトナー排出口で感光体3ドラム16の対向(接触)するように配設されている。現像ロール21は、回転に伴って現像剤を感光体3と対向(接触)する現像領域へと搬送し、感光体3上に形成された静電潜像をトナーで現像する。
このような構成における現像器20内のトナー濃度の検出は次のようになる。
【0023】
図4は、第1スクリューオーガ22の回転中のトナー濃度センサ26の検出値(電圧値)の変化を示す。また、図5は、現像器ハウジング25内におけるパドル部22cの移動に伴う現像剤の想定される移動の様子を示す。
図4に示すように、トナー濃度センサ26の検出値は、最大値(図4の示すC部)と最小値(図4の示すD部)とをほぼ維持しつつ変動する、すなわちある振幅を維持して変動する。これは、パドル部22cによってトナー濃度センサ26のセンサ面側を通過する現像剤の周期に、トナー濃度センサ26の検出値が同期して変動していると考えられる。
【0024】
つまり、図5(a)に示すように、第1スクリューオーガ22の回転方向においてトナー濃度センサ26の手前直近にパドル部22cが位置したとき、トナー濃度センサ26が検出する現像剤100の現像密度が最大になったため、トナー濃度センサ26の検出値が最大値になっていると考えられる。一方、図5(b)に示すように、第1スクリューオーガ22の回転方向においてトナー濃度センサ26前をパドル部22cが通過した直後に、トナー濃度センサ26が検出する現像剤100の現像密度が最小になったため、トナー濃度センサ26の検出値が最小値になっていると考えられる。
【0025】
画像形成装置1では、このようなトナー濃度センサ26の検出値が予め設定したしきい値(トナー供給判定用しきい値)を下回らないように、トナーカートリッジ2からのトナー供給制御を行い、現像器20内のトナー濃度を目標のトナー濃度に維持している。例えば、トナーの重量比率(トナー/(トナー+キャリア))で8%のトナー濃度になるように、しきい値を設定している。すなわち、しきい値は目標値として設定されている。
【0026】
ところで、印刷を重ねていったとき等に現像器20内の現像剤が減少してしまうことがある。例えば、画像形成時にキャリアが現像器20外に排出されて現像剤が減少してしまうからである。
しかし、現像剤量が減ってしまうとトナー濃度センサ26の検出値そのものも変動してしまうため、前記予め設定したしきい値を基準にし、トナー濃度センサ26の検出値を基にトナー供給制御をしてしまうと、現像器20内での実際のトナー濃度が高くなりすぎてしまう恐れがある。
【0027】
これに対して、本実施形態では、以下のような構成及び処理により、現像器20内の現像剤の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持可能にしている。
図6は、制御部40の構成の一例を示す。
図6に示すように、制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41、プログラム等記憶部42、一時記憶部43、トナー供給制御部44、及び補正部45を有している。
【0028】
プログラム等記憶部42は、電源OFF時にもデータを保持可能な記憶部である。プログラム等記憶部42には、CPU41が各種の処理に使用するプログラム42aや固定データ等が記憶されている。プログラム等記憶部42の好適な例としては、ROM(Read-Only Memory)が挙げられる。また、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性記憶部も挙げられるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0029】
プログラム42aは、制御部40の出荷時当初からプログラム等記憶部42に記憶されているものとすることもできるが、出荷後に使用者等の作業によりCD−ROM等の記憶媒体から読み込まれてプログラム等記憶部42に記憶されたものとすることもできる。
一時記憶部43は、データが書き込み可能となっておりデータを一時的に保持する記憶部である。一時記憶部43の好適な例としては、RAM(Random Access Memory)があるが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0030】
この一時記憶部43には、補正用テーブル43aが記憶されている。補正用テーブル43aが記憶されるものとして、EEPROM等の不揮発性記憶部も挙げられるが、これに限定されないことは言うまでもない。
CPU41は、プログラム等記憶部42からプログラム42a等を必要に応じて一時記憶部43に読み出して各種の処理を行う。
【0031】
トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値を基に、トナーカートリッジ2から現像器20にトナーを供給するトナー供給制御を行う。例えば、トナー供給制御部44は、CPU41の演算機能によりCPU41の機能として実現される。
図7は、トナー供給制御部44による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、先ずステップS1において、トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値の最大値を取得する。例えば、トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値の最大値を1つ取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の(複数の振幅中の)最大値を複数個得てその平均値を取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の(複数の振幅中の)最大値のうちの何れか1つの値(例えば、最小値、最大値、又は中間値)を取得したりする。
【0032】
続くステップS2において、トナー供給制御部44は、前記ステップS1で取得したトナー濃度センサ26の検出値の最大値が予め設定したトナー供給判定用しきい値よりも小さいか否かを判定する。ここで、トナー供給判定用しきい値は、実験値、経験値、又は理論値を基に設定されている。本実施形態では、トナー供給判定用しきい値は、トナーの重量比率(トナー/(トナー+キャリア))で8%のトナー濃度になるように当初設定されている。
【0033】
トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値の最大値がトナー供給判定用しきい値よりも小さいと判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の最大値<トナー供給判定用しきい値)、ステップS3に進む。また、トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値の最大値がトナー供給判定用しきい値以上であると判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の最大値≧トナー供給判定用しきい値)、該図7に示す処理を終了する。
【0034】
ステップS3では、トナー供給制御部44は、トナー供給制御を実施する。例えば、トナー供給制御部44は、トナー供給路9に配置されているトナー搬送部11を駆動して、予め設定されている量のトナーをトナーカートリッジ2から現像器20に供給する。そして、トナー供給制御部44は、該図7に示す処理を終了する。
補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値を基にトナー供給判定用しきい値を補正する。例えば、補正部45は、CPU41の演算機能によりCPU41の機能として実現される。
【0035】
図8は、補正部45による処理手順の一例を示すフローチャートである。この図8に示す処理は、図7に示すトナー供給制御部44による処理と並列に行われる(割り込み処理により行われる)。
図8に示すように、先ずステップS21において、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を取得する。例えば、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を1つ取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を複数個得てその平均値を取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の複数の振幅値のうちの何れか1つの値(例えば、最小値、最大値、又は中間値)を取得したりする。
【0036】
続くステップS22において、補正部45は、前記ステップS21で取得したトナー濃度センサ26の検出値の振幅値に応じてトナー供給判定用しきい値を補正する。具体的には、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値とトナー供給判定用しきい値との関係を示す補正用テーブル43aを参照して、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値に対応するトナー供給判定用しきい値を取得する。
【0037】
図9は、補正用テーブル43aの一例を示す。
図9に示すように、補正用テーブル43aでは、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が大きいほどトナー供給判定用しきい値が小さくなる。
補正部45は、このような補正用テーブル43aを用いてトナー供給判定用しきい値を補正する。そして、補正部45は、図9に示す処理を終了する。
【0038】
以上のような構成及び処理により、画像形成装置1は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値に応じてトナー供給判定用しきい値を設定(補正)する(図8及び図9)。そして、画像形成装置1は、そのように設定されるトナー供給判定用しきい値よりもトナー濃度センサ26の検出値の最大値が小さくなるとトナー供給制御を実施して、現像器20内のトナー濃度が目標のトナー濃度に維持されるようにしている(図7)。
【0039】
ここで、図10は、現像器20内の現像剤量と、トナー濃度センサ26の検出値の最大値、最小値及び振幅値との関係を示す。
図10に示すように、現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の最大値との間に相関があり、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の最大値が減少する傾向を示す。例えば、図10に示すように、ある現像剤量をカートリッジ装着時の量としたとき、その量が減少してしまうとトナー濃度センサ26の検出値の最大値も減少していくことになる。
【0040】
このような関係からも、現像剤量が減っているような場合に、補正することなく維持したトナー供給判定用しきい値を基準にし、トナー濃度センサ26の検出値の最大値を基にトナー供給制御を行ってしまうと、トナー濃度センサ26の検出値の最大値がトナー供給判定用しきい値に達するまでトナーを供給するため、結果的に、現像器20内での実際のトナー濃度が高くなりすぎてしまう恐れがあることがわかる。
【0041】
一方、図10に示すように、現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の振幅値との間にも相関があり、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の振幅値が増加する傾向を示す。また、図10に示すように、現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の最小値との間にも相関があり、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の最小値が減少する傾向を示す。
【0042】
本実施形態では、このような現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の振幅値との間の相関関係、すなわち、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の振幅値が増加するような関係を画像形成装置1の処理に適用している。つまり、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が大きいほど現像剤量が減少しているとの予測の下、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が大きいほどトナー供給判定用しきい値を小さくする補正をしている。
【0043】
これにより、本実施形態では、現像剤量とともに減少しているトナー濃度センサ26の検出値の最大値を用いても高い精度でトナー濃度を判定している。すなわち、本実施形態では、現像器20内の現像剤の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持可能にしている。
なお、第1の実施形態では、トナー濃度センサ26は、例えば、検出手段を実現している。また、トナー供給制御部44は、例えば、制御手段を実現している。また、補正部45は、例えば、実行手段を実現している。
(第1の実施形態の変形例)
なお、前述の第1の実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0044】
すなわち、第1の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を基にトナー供給判定用しきい値を補正しても良い。
この場合、前記ステップS21として、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を取得する。例えば、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を1つ取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の(複数の振幅中の)最小値を複数個得てその平均値を取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の(複数の振幅中の)最小値のうちの何れか1つの値(例えば、最小値、最大値、又は中間値)を取得したりする。
【0045】
そして、前記ステップS22として、補正部45は、前記ステップS21で取得したトナー濃度センサ26の検出値の最小値に応じてトナー供給判定用しきい値を補正する。具体的には、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値とトナー供給判定用しきい値との関係を示す補正用テーブル43aを参照して、トナー濃度センサ26の検出値の最小値に対応するトナー供給判定用しきい値を取得する。
【0046】
図11は、補正用テーブル43aの一例を示す。
図11に示すように、補正用テーブル43aでは、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が小さいほどトナー供給判定用しきい値が小さくなる。
補正部45は、このような補正用テーブル43aを用いてトナー供給判定用しきい値を補正する。
【0047】
以上のように、本実施形態では、図10に示すような、現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の最小値との間の相関関係、すなわち、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の最小値が減少するような関係を画像形成装置1の処理に適用している。つまり、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が小さいほど現像剤量が減少しているとの予測の下、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が小さいほどトナー供給判定用しきい値を小さくする補正をしている。
【0048】
これにより、本実施形態では、現像剤量とともに減少しているトナー濃度センサ26の検出値の最大値を用いても高い精度でトナー濃度を判定している。すなわち、本実施形態では、現像器20内の現像剤の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持可能にしている。
また、本実施形態では、図9及び図11に示す例に限定されるものではなく、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている演算式によりトナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値からトナー供給判定用しきい値を算出しても良い。また、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値に応じた補正値を算出して、その補正値で当初のトナー供給判定用しきい値に対する加算や減算等の演算を行うことで、トナー供給判定用しきい値を補正しても良い。
【0049】
また、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値を基に、トナー供給判定用しきい値と比較されるトナー濃度センサ26の検出値の最大値を補正しても良い。すなわち例えば、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値とトナー濃度センサ26の検出値の最大値との関係を示す補正テーブルを用いたり、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている演算式を用いたり、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値に応じた補正値でトナー濃度センサ26の検出値の最大値に対する加算や減算等の演算を行ったりすることで、トナー濃度センサ26の検出値の最大値を補正しても良い。
【0050】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値を基に使用者に対する報知を行う。
図12は、第2の実施形態における制御部40の構成の一例を示す。
図12に示すように、制御部40は報知制御部46を有している。
報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値を基に使用者に対する報知を行う。例えば、報知制御部46は、CPU41の演算機能によりCPU41の機能として実現される。
【0051】
図13は、報知制御部46による処理手順の一例を示すフローチャートである。この図13に示す処理は、図7に示すトナー供給制御部44による処理と並列に行われる(割り込み処理により行われる)。
図13に示すように、先ずステップS41において、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を取得する。例えば、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を1つ取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を複数個得てその平均値を取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の複数の振幅値のうちの何れか1つの値(例えば、最小値、最大値、又は中間値)を取得したりする。
【0052】
続くステップS42において、報知制御部46は、前記ステップS41で取得したトナー濃度センサ26の検出値の振幅値が予め設定した報知判定用しきい値よりも大きいか否かを判定する。ここで、報知判定用しきい値は、実験値、経験値、又は理論値を基に設定されている。例えば、報知判定用しきい値は、トナー濃度の許容限界値に対応し設定されている。
【0053】
報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が報知判定用しきい値よりも大きいと判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の振幅値>報知判定用しきい値)、ステップS43に進む。また、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が報知判定用しきい値以下であると判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の振幅値≦報知判定用しきい値)、該図13に示す処理を終了する。
【0054】
ステップS43では、報知制御部46は、表示部や音声出力部等で構成されている報知部12を制御してオプションカートリッジを交換するように報知する。そして、報知制御部46は、該図13に示す処理を終了する。
ここで、オプションカートリッジとは、キャリアのみが収容されているカートリッジ、又はキャリアとトナーとが含まれているカートリッジである。
【0055】
例えば、通常のトナーカートリッジ(トナーだけのカートリッジ)2とオプションカートリッジとは、それぞれが区別できるよう予め設定されており、画像形成装置1は、前記報知(例えばエラーメッセージ)に対応しオプションカートリッジが装着されたとき、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が予め設定された値になるまでオプションカートリッジから現像器20への供給動作を行う。また、画像形成装置1は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が予め設定された値に予め設定された期間維持されるようにオプションカートリッジから現像器20への供給動作を続けるようにしても良い。
【0056】
また、画像形成装置1は、前記報知とは全く関係のないタイミングでオプションカートリッジが装着されたときには、通常のトナーカートリッジ2を装着するように報知しても良い。
以上のような構成及び処理により、画像形成装置1は、予め設定される報知判定用しきい値よりもトナー濃度センサ26の検出値の最大値が小さくなるとトナー供給制御を実施して、現像器20内のトナー濃度が目標のトナー濃度に維持されるようにしている(図7)。そして、画像形成装置1は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が報知判定用しきい値よりも大きくなったとき、表示部や音声出力部を制御してオプションカートリッジを交換するように報知している(図13)。
なお、第2の実施形態では、報知制御部46は、例えば、実行手段を実現している。
【0057】
(本実施形態の変形例)
なお、前述の実施形態に限定されないことは言うまでもない。
すなわち、第2の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を基に使用者に対する報知を行っても良い。
この場合、前記ステップS41として、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を取得する。
【0058】
そして、前記ステップS42として、報知制御部46は、前記ステップS41で取得したトナー濃度センサ26の検出値の最小値が予め設定した報知判定用しきい値よりも小さいか否かを判定する。ここで、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が報知判定用しきい値よりも小さいと判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の最小値<報知判定用しきい値)、前記ステップS43に進む。また、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が報知判定用しきい値以上であると判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の最小値≧報知判定用しきい値)、図13に示す処理を終了する。
【0059】
このような場合に対応して、第2の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が予め設定された値になるまでオプションカートリッジから現像器20への供給動作を行うようにしても良い。また、第2の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が予め設定された値に予め設定された期間維持されるようにオプションカートリッジから現像器20への供給動作を続けるようにしても良い。
【0060】
また、本実施形態では、好適にはトナー濃度センサ26の検出値の最大値を基にトナー供給制御しトナー濃度を制御するが、これに限定されるものではない。すなわち、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値又は振幅値を基に、トナー供給制御しトナー濃度を制御しても良い。また、この場合、トナー濃度センサ26の検出値の最大値、最小値及び最大値のうちトナー濃度制御に用いていない値を基に、トナー供給判定用しきい値の補正(図8)や報知制御(図13)を行う。
【0061】
また、本実施形態では、トナー濃度センサ48は透磁率を検出したが、センサが検出する特性値はこれに限られず、トナー濃度が検出できればよく、特性値の例として、誘電率、電気抵抗、比重などが挙げられる。
また、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最大値、最小値及び振幅値のうちの2つの値を基にトナー供給制御しトナー濃度を制御しても良い。この場合、例えば、本実施形態では、その2つの値に基づくトナー供給判定結果の信頼度が高い方を選択し、その選択した基にトナー供給制御しても良い。
【0062】
また、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最大値、最小値及び振幅値のうちトナー濃度を制御するのに用いていない2つの値を基に、トナー供給判定用しきい値の補正(図8)や報知制御(図13)を行っても良い。この場合、例えば、本実施形態では、その2つの値の信頼度が高い方を選択し、その選択した値を基に、トナー供給判定用しきい値の補正(図8)や報知制御(図13)を行っても良い。
また、本実施形態は、前述のようなモノクロ画像形成装置に適用されることに限定されるものではなく、カラー画像形成装置にも適用しても良い。
また、本実施形態では、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置、2 トナーカートリッジ、26 トナー濃度センサ、40 制御部、44 トナー供給制御部、45 補正部、46 報知制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像装置に取り付けたトナー濃度センサの出力の最大値を基に、現像装置内の現像剤のトナー濃度を制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−219437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、現像装置の現像剤量の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、現像装置内のキャリア及びトナーを含む現像剤を搬送する搬送部と、前記搬送部を搬送される現像剤の特性値を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御する制御手段と、前記最大値、最小値及び振幅値のうち前記制御手段が前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、予め設定した処理を実行する実行手段と、を有する画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1の記載において、前記制御手段は、前記最大値、最小値及び振幅値の何れかと予め設定した第1の値との比較結果を基に、トナー収容部内から前記現像装置内にトナーを供給する制御を行い、前記実行手段は、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた前記最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記予め設定した第1の値を補正する画像形成装置である。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2の記載において、前記実行手段は、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値と前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記第1の値との関係を示すテーブル又は予め決められている演算式により、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記予め設定した第1の値を補正する画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れか1項の記載において、前記実行手段は、前記制御手段が前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値が予め設定した第2の値に達した場合、前記現像装置へのキャリアの補充に結びつく報知を行う画像形成装置である。
請求項5に係る発明は、現像装置内のキャリア及びトナーを含む現像剤のトナー濃度の検出を、前記現像装置内を搬送部により搬送されて検出領域を通過する前記現像剤の特性値を検出して行う検出手段が出力する検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御する制御ステップと、前記最大値、最小値及び振幅値のうち前記制御ステップで前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、実行手段に予め設定した処理を実行させる実行ステップと、をコンピュータに実行させるコンピュータに読取可能な制御プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、5に係る発明によれば、現像装置の現像剤量の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持できる。
請求項2に係る発明によれば、検出手段が出力する検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値と予め設定した第1の値とを比較してトナー収容部内から現像装置内にトナーを供給する制御を行う場合でも、現像装置の現像剤量の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持できる。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、テーブル又は演算式を用いることで、このような構成でない場合と比較して、現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は第1の値を容易に補正できる。
請求項4に係る発明によれば、報知によりキャリアが現像装置に補充されることで、現像装置の現像剤量の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図2】現像器の構成を示す斜視図である。
【図3】現像器の構成を示す平面図である。
【図4】第1スクリューオーガの回転中のトナー濃度センサの検出値(電圧値)の変化を示す特性図である。
【図5】現像器ハウジング内におけるパドル部の移動に伴う現像剤の想定される移動の様子を示す図である。
【図6】制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】トナー供給制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】補正部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】補正用テーブルの一例を示す図である。
【図10】現像器内の現像剤量と、トナー濃度センサの検出値の最大値、最小値及び振幅値との関係を示す特性図である。
【図11】本実施形態に変形例における補正用テーブルの一例を示す図である。
【図12】第2の実施形態における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図13】報知制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、画像形成装置である。
図1は、画像形成装置1の構成の一例を示す。
図1に示すように、画像形成装置1は、用紙搬送路上100を搬送される印刷媒体である印刷用紙に画像を形成する。
【0013】
そのため、画像形成装置1は、トナーカートリッジ(トナーボトル)2、感光体(像保持体)3、帯電器4、レーザ露光器5、現像器20、転写ローラ6、感光体クリーナ7、定着装置8、及び制御部40を有している。画像形成装置1では、感光体3の周囲であって図1に示す矢印A方向(感光体3の回転方法)に、帯電器4、レーザ露光器5、現像器20、転写ローラ6、及び感光体クリーナ7がその順番で配置されている。
【0014】
帯電器4は、感光体3を帯電させ、レーザ露光器5は、例えば半導体レーザから出射された露光ビームを感光体3に照射して感光体3上に静電潜像を書込む。
現像器20は、トナー及びキャリアを含む現像剤が収容されて感光体3上の静電潜像をトナーにより可視像化する。すなわち、現像器20は、収容されている現像剤を現像ロール(現像剤担持体)21の表面に供給し現像ロール21と感光体3との間の領域に運び、現像剤中のトナーを感光体3の表面の潜像に静電的に付着させることでこの潜像を現像する。
【0015】
また、現像器20は、図1の矢印Bのように、トナーカートリッジ2に収容されているトナーがトナー供給路9を介して供給される。そして、現像器20は、現像剤の透磁率を検出することによりトナー濃度を検出するトナー濃度センサ(ATC(Auto Toner-concentration Control)センサ)48を備えており、トナー濃度センサ48の検出結果を基に必要に応じてトナーカートリッジ2に収容されているトナーが供給されて、トナー濃度が目標の濃度に維持される。
【0016】
この現像器20の構成及び動作については後で詳述する。
転写ロール6は、現像器20の現像により得られたトナー像を用紙搬送路上100を搬送されてきた印刷用紙上に転写する。
定着装置8は、印刷用紙上に転写されたトナー像を加熱及び加圧して溶融し印刷用紙上に定着させる。
【0017】
感光体クリーナ7は、感光体3上の残留トナーを除去する。
制御部40は、外部装置(例えばサーバ)や画像読み取り装置10からの入力画像データを基に各部を制御する。
以上のような構成により、画像形成装置10では、入力画像データに基づく制御部40による制御により、感光体3は、帯電器4によって表面が帯電された後、レーザ露光器5からの露光ビームの照射により表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器20によってトナー像として現像される。感光体3上に形成されたトナー像は、転写ロール6により、用紙搬送ロール10等により用紙搬送路100上を搬送されてきた印刷用紙上に転写され、その後、定着装置8により印刷用紙上に定着される。
【0018】
次に、本実施形態の現像器20の構成及び動作の一例を説明する。
図2及び図3は、現像器20の構成を示す。図2は斜視図であり、図3は平面図である。
図2及び図3に示すように、現像器20は、現像ロール21、第1及び第2スクリューオーガ22,23、並びに現像剤搬送用パドル24を現像器ハウジング25内に有している。また、現像器20には、現像器ハウジング25にトナー濃度センサ26が取り付けられている。
【0019】
現像ロール21、第1及び第2スクリューオーガ22,23、並びに現像剤搬送用パドル24は、各機能に応じた外周形状を有した長尺の棒状体をなしている。
第1及び第2スクリューオーガ22,23は、現像器ハウジング25においてトナーの供給側に配置されている。ここで、第1及び第2スクリューオーガ22,23は、現像器ハウジング25内に形成された仕切り壁25aを介して併設されている。そして、仕切り壁25aには、その長手方向の両端部に開口部25b,25cが形成されている。
【0020】
この第1及び第2スクリューオーガ22,23は、図示しない駆動モータによって回転駆動される回転軸22a,23aと、これら回転軸22a,23aの長手方向に渡って螺旋状に形成された搬送羽根22b,23bとを有している。
また、第1スクリューオーガ22には、軸方向におけるトナー濃度センサ26の対向部位(センサ面側)に軸方向に延びる平板形状のパドル部22cが設けられている。後で詳述するが、本実施形態では、パドル部22cの移動により現像器ハウジング25内を移動する現像剤をトナー濃度センサ26による検出対象とし、トナー濃度を検出している。すなわち、パドル部22cは、トナー濃度センサ26のセンサ面側(検出領域)に現像剤を集めるように機能する。
【0021】
以上のような構成により、第1及び第2スクリューオーガ22,23は、現像剤を攪拌しつつ搬送し、該第1及び第2スクリューオーガ22,23の端部に搬送した現像剤を仕切り壁25aの両端に設けられている開口部25b,25cを介して互いに受渡し、現像剤を攪拌しつつ循環搬送する。
現像剤搬送用パドル24は、第1及び第2スクリューオーガ22,23から搬送されてきた現像剤を現像ロール21の背面側で再度攪拌する。
【0022】
現像ロール21は、現像器ハウジング25にトナー排出口で感光体3ドラム16の対向(接触)するように配設されている。現像ロール21は、回転に伴って現像剤を感光体3と対向(接触)する現像領域へと搬送し、感光体3上に形成された静電潜像をトナーで現像する。
このような構成における現像器20内のトナー濃度の検出は次のようになる。
【0023】
図4は、第1スクリューオーガ22の回転中のトナー濃度センサ26の検出値(電圧値)の変化を示す。また、図5は、現像器ハウジング25内におけるパドル部22cの移動に伴う現像剤の想定される移動の様子を示す。
図4に示すように、トナー濃度センサ26の検出値は、最大値(図4の示すC部)と最小値(図4の示すD部)とをほぼ維持しつつ変動する、すなわちある振幅を維持して変動する。これは、パドル部22cによってトナー濃度センサ26のセンサ面側を通過する現像剤の周期に、トナー濃度センサ26の検出値が同期して変動していると考えられる。
【0024】
つまり、図5(a)に示すように、第1スクリューオーガ22の回転方向においてトナー濃度センサ26の手前直近にパドル部22cが位置したとき、トナー濃度センサ26が検出する現像剤100の現像密度が最大になったため、トナー濃度センサ26の検出値が最大値になっていると考えられる。一方、図5(b)に示すように、第1スクリューオーガ22の回転方向においてトナー濃度センサ26前をパドル部22cが通過した直後に、トナー濃度センサ26が検出する現像剤100の現像密度が最小になったため、トナー濃度センサ26の検出値が最小値になっていると考えられる。
【0025】
画像形成装置1では、このようなトナー濃度センサ26の検出値が予め設定したしきい値(トナー供給判定用しきい値)を下回らないように、トナーカートリッジ2からのトナー供給制御を行い、現像器20内のトナー濃度を目標のトナー濃度に維持している。例えば、トナーの重量比率(トナー/(トナー+キャリア))で8%のトナー濃度になるように、しきい値を設定している。すなわち、しきい値は目標値として設定されている。
【0026】
ところで、印刷を重ねていったとき等に現像器20内の現像剤が減少してしまうことがある。例えば、画像形成時にキャリアが現像器20外に排出されて現像剤が減少してしまうからである。
しかし、現像剤量が減ってしまうとトナー濃度センサ26の検出値そのものも変動してしまうため、前記予め設定したしきい値を基準にし、トナー濃度センサ26の検出値を基にトナー供給制御をしてしまうと、現像器20内での実際のトナー濃度が高くなりすぎてしまう恐れがある。
【0027】
これに対して、本実施形態では、以下のような構成及び処理により、現像器20内の現像剤の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持可能にしている。
図6は、制御部40の構成の一例を示す。
図6に示すように、制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41、プログラム等記憶部42、一時記憶部43、トナー供給制御部44、及び補正部45を有している。
【0028】
プログラム等記憶部42は、電源OFF時にもデータを保持可能な記憶部である。プログラム等記憶部42には、CPU41が各種の処理に使用するプログラム42aや固定データ等が記憶されている。プログラム等記憶部42の好適な例としては、ROM(Read-Only Memory)が挙げられる。また、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性記憶部も挙げられるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0029】
プログラム42aは、制御部40の出荷時当初からプログラム等記憶部42に記憶されているものとすることもできるが、出荷後に使用者等の作業によりCD−ROM等の記憶媒体から読み込まれてプログラム等記憶部42に記憶されたものとすることもできる。
一時記憶部43は、データが書き込み可能となっておりデータを一時的に保持する記憶部である。一時記憶部43の好適な例としては、RAM(Random Access Memory)があるが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0030】
この一時記憶部43には、補正用テーブル43aが記憶されている。補正用テーブル43aが記憶されるものとして、EEPROM等の不揮発性記憶部も挙げられるが、これに限定されないことは言うまでもない。
CPU41は、プログラム等記憶部42からプログラム42a等を必要に応じて一時記憶部43に読み出して各種の処理を行う。
【0031】
トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値を基に、トナーカートリッジ2から現像器20にトナーを供給するトナー供給制御を行う。例えば、トナー供給制御部44は、CPU41の演算機能によりCPU41の機能として実現される。
図7は、トナー供給制御部44による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、先ずステップS1において、トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値の最大値を取得する。例えば、トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値の最大値を1つ取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の(複数の振幅中の)最大値を複数個得てその平均値を取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の(複数の振幅中の)最大値のうちの何れか1つの値(例えば、最小値、最大値、又は中間値)を取得したりする。
【0032】
続くステップS2において、トナー供給制御部44は、前記ステップS1で取得したトナー濃度センサ26の検出値の最大値が予め設定したトナー供給判定用しきい値よりも小さいか否かを判定する。ここで、トナー供給判定用しきい値は、実験値、経験値、又は理論値を基に設定されている。本実施形態では、トナー供給判定用しきい値は、トナーの重量比率(トナー/(トナー+キャリア))で8%のトナー濃度になるように当初設定されている。
【0033】
トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値の最大値がトナー供給判定用しきい値よりも小さいと判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の最大値<トナー供給判定用しきい値)、ステップS3に進む。また、トナー供給制御部44は、トナー濃度センサ26の検出値の最大値がトナー供給判定用しきい値以上であると判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の最大値≧トナー供給判定用しきい値)、該図7に示す処理を終了する。
【0034】
ステップS3では、トナー供給制御部44は、トナー供給制御を実施する。例えば、トナー供給制御部44は、トナー供給路9に配置されているトナー搬送部11を駆動して、予め設定されている量のトナーをトナーカートリッジ2から現像器20に供給する。そして、トナー供給制御部44は、該図7に示す処理を終了する。
補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値を基にトナー供給判定用しきい値を補正する。例えば、補正部45は、CPU41の演算機能によりCPU41の機能として実現される。
【0035】
図8は、補正部45による処理手順の一例を示すフローチャートである。この図8に示す処理は、図7に示すトナー供給制御部44による処理と並列に行われる(割り込み処理により行われる)。
図8に示すように、先ずステップS21において、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を取得する。例えば、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を1つ取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を複数個得てその平均値を取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の複数の振幅値のうちの何れか1つの値(例えば、最小値、最大値、又は中間値)を取得したりする。
【0036】
続くステップS22において、補正部45は、前記ステップS21で取得したトナー濃度センサ26の検出値の振幅値に応じてトナー供給判定用しきい値を補正する。具体的には、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値とトナー供給判定用しきい値との関係を示す補正用テーブル43aを参照して、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値に対応するトナー供給判定用しきい値を取得する。
【0037】
図9は、補正用テーブル43aの一例を示す。
図9に示すように、補正用テーブル43aでは、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が大きいほどトナー供給判定用しきい値が小さくなる。
補正部45は、このような補正用テーブル43aを用いてトナー供給判定用しきい値を補正する。そして、補正部45は、図9に示す処理を終了する。
【0038】
以上のような構成及び処理により、画像形成装置1は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値に応じてトナー供給判定用しきい値を設定(補正)する(図8及び図9)。そして、画像形成装置1は、そのように設定されるトナー供給判定用しきい値よりもトナー濃度センサ26の検出値の最大値が小さくなるとトナー供給制御を実施して、現像器20内のトナー濃度が目標のトナー濃度に維持されるようにしている(図7)。
【0039】
ここで、図10は、現像器20内の現像剤量と、トナー濃度センサ26の検出値の最大値、最小値及び振幅値との関係を示す。
図10に示すように、現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の最大値との間に相関があり、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の最大値が減少する傾向を示す。例えば、図10に示すように、ある現像剤量をカートリッジ装着時の量としたとき、その量が減少してしまうとトナー濃度センサ26の検出値の最大値も減少していくことになる。
【0040】
このような関係からも、現像剤量が減っているような場合に、補正することなく維持したトナー供給判定用しきい値を基準にし、トナー濃度センサ26の検出値の最大値を基にトナー供給制御を行ってしまうと、トナー濃度センサ26の検出値の最大値がトナー供給判定用しきい値に達するまでトナーを供給するため、結果的に、現像器20内での実際のトナー濃度が高くなりすぎてしまう恐れがあることがわかる。
【0041】
一方、図10に示すように、現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の振幅値との間にも相関があり、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の振幅値が増加する傾向を示す。また、図10に示すように、現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の最小値との間にも相関があり、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の最小値が減少する傾向を示す。
【0042】
本実施形態では、このような現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の振幅値との間の相関関係、すなわち、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の振幅値が増加するような関係を画像形成装置1の処理に適用している。つまり、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が大きいほど現像剤量が減少しているとの予測の下、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が大きいほどトナー供給判定用しきい値を小さくする補正をしている。
【0043】
これにより、本実施形態では、現像剤量とともに減少しているトナー濃度センサ26の検出値の最大値を用いても高い精度でトナー濃度を判定している。すなわち、本実施形態では、現像器20内の現像剤の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持可能にしている。
なお、第1の実施形態では、トナー濃度センサ26は、例えば、検出手段を実現している。また、トナー供給制御部44は、例えば、制御手段を実現している。また、補正部45は、例えば、実行手段を実現している。
(第1の実施形態の変形例)
なお、前述の第1の実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0044】
すなわち、第1の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を基にトナー供給判定用しきい値を補正しても良い。
この場合、前記ステップS21として、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を取得する。例えば、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を1つ取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の(複数の振幅中の)最小値を複数個得てその平均値を取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の(複数の振幅中の)最小値のうちの何れか1つの値(例えば、最小値、最大値、又は中間値)を取得したりする。
【0045】
そして、前記ステップS22として、補正部45は、前記ステップS21で取得したトナー濃度センサ26の検出値の最小値に応じてトナー供給判定用しきい値を補正する。具体的には、補正部45は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値とトナー供給判定用しきい値との関係を示す補正用テーブル43aを参照して、トナー濃度センサ26の検出値の最小値に対応するトナー供給判定用しきい値を取得する。
【0046】
図11は、補正用テーブル43aの一例を示す。
図11に示すように、補正用テーブル43aでは、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が小さいほどトナー供給判定用しきい値が小さくなる。
補正部45は、このような補正用テーブル43aを用いてトナー供給判定用しきい値を補正する。
【0047】
以上のように、本実施形態では、図10に示すような、現像剤量とトナー濃度センサ26の検出値の最小値との間の相関関係、すなわち、現像剤量が減少するとトナー濃度センサ26の検出値の最小値が減少するような関係を画像形成装置1の処理に適用している。つまり、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が小さいほど現像剤量が減少しているとの予測の下、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が小さいほどトナー供給判定用しきい値を小さくする補正をしている。
【0048】
これにより、本実施形態では、現像剤量とともに減少しているトナー濃度センサ26の検出値の最大値を用いても高い精度でトナー濃度を判定している。すなわち、本実施形態では、現像器20内の現像剤の変動にかかわらず現像剤のトナー濃度を維持可能にしている。
また、本実施形態では、図9及び図11に示す例に限定されるものではなく、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている演算式によりトナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値からトナー供給判定用しきい値を算出しても良い。また、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値に応じた補正値を算出して、その補正値で当初のトナー供給判定用しきい値に対する加算や減算等の演算を行うことで、トナー供給判定用しきい値を補正しても良い。
【0049】
また、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値を基に、トナー供給判定用しきい値と比較されるトナー濃度センサ26の検出値の最大値を補正しても良い。すなわち例えば、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値とトナー濃度センサ26の検出値の最大値との関係を示す補正テーブルを用いたり、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている演算式を用いたり、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値や最小値に応じた補正値でトナー濃度センサ26の検出値の最大値に対する加算や減算等の演算を行ったりすることで、トナー濃度センサ26の検出値の最大値を補正しても良い。
【0050】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値を基に使用者に対する報知を行う。
図12は、第2の実施形態における制御部40の構成の一例を示す。
図12に示すように、制御部40は報知制御部46を有している。
報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値を基に使用者に対する報知を行う。例えば、報知制御部46は、CPU41の演算機能によりCPU41の機能として実現される。
【0051】
図13は、報知制御部46による処理手順の一例を示すフローチャートである。この図13に示す処理は、図7に示すトナー供給制御部44による処理と並列に行われる(割り込み処理により行われる)。
図13に示すように、先ずステップS41において、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を取得する。例えば、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を1つ取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値を複数個得てその平均値を取得したり、トナー濃度センサ26の検出値の複数の振幅値のうちの何れか1つの値(例えば、最小値、最大値、又は中間値)を取得したりする。
【0052】
続くステップS42において、報知制御部46は、前記ステップS41で取得したトナー濃度センサ26の検出値の振幅値が予め設定した報知判定用しきい値よりも大きいか否かを判定する。ここで、報知判定用しきい値は、実験値、経験値、又は理論値を基に設定されている。例えば、報知判定用しきい値は、トナー濃度の許容限界値に対応し設定されている。
【0053】
報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が報知判定用しきい値よりも大きいと判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の振幅値>報知判定用しきい値)、ステップS43に進む。また、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が報知判定用しきい値以下であると判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の振幅値≦報知判定用しきい値)、該図13に示す処理を終了する。
【0054】
ステップS43では、報知制御部46は、表示部や音声出力部等で構成されている報知部12を制御してオプションカートリッジを交換するように報知する。そして、報知制御部46は、該図13に示す処理を終了する。
ここで、オプションカートリッジとは、キャリアのみが収容されているカートリッジ、又はキャリアとトナーとが含まれているカートリッジである。
【0055】
例えば、通常のトナーカートリッジ(トナーだけのカートリッジ)2とオプションカートリッジとは、それぞれが区別できるよう予め設定されており、画像形成装置1は、前記報知(例えばエラーメッセージ)に対応しオプションカートリッジが装着されたとき、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が予め設定された値になるまでオプションカートリッジから現像器20への供給動作を行う。また、画像形成装置1は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が予め設定された値に予め設定された期間維持されるようにオプションカートリッジから現像器20への供給動作を続けるようにしても良い。
【0056】
また、画像形成装置1は、前記報知とは全く関係のないタイミングでオプションカートリッジが装着されたときには、通常のトナーカートリッジ2を装着するように報知しても良い。
以上のような構成及び処理により、画像形成装置1は、予め設定される報知判定用しきい値よりもトナー濃度センサ26の検出値の最大値が小さくなるとトナー供給制御を実施して、現像器20内のトナー濃度が目標のトナー濃度に維持されるようにしている(図7)。そして、画像形成装置1は、トナー濃度センサ26の検出値の振幅値が報知判定用しきい値よりも大きくなったとき、表示部や音声出力部を制御してオプションカートリッジを交換するように報知している(図13)。
なお、第2の実施形態では、報知制御部46は、例えば、実行手段を実現している。
【0057】
(本実施形態の変形例)
なお、前述の実施形態に限定されないことは言うまでもない。
すなわち、第2の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を基に使用者に対する報知を行っても良い。
この場合、前記ステップS41として、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値を取得する。
【0058】
そして、前記ステップS42として、報知制御部46は、前記ステップS41で取得したトナー濃度センサ26の検出値の最小値が予め設定した報知判定用しきい値よりも小さいか否かを判定する。ここで、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が報知判定用しきい値よりも小さいと判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の最小値<報知判定用しきい値)、前記ステップS43に進む。また、報知制御部46は、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が報知判定用しきい値以上であると判定すると(トナー濃度センサ26の検出値の最小値≧報知判定用しきい値)、図13に示す処理を終了する。
【0059】
このような場合に対応して、第2の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が予め設定された値になるまでオプションカートリッジから現像器20への供給動作を行うようにしても良い。また、第2の実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値が予め設定された値に予め設定された期間維持されるようにオプションカートリッジから現像器20への供給動作を続けるようにしても良い。
【0060】
また、本実施形態では、好適にはトナー濃度センサ26の検出値の最大値を基にトナー供給制御しトナー濃度を制御するが、これに限定されるものではない。すなわち、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最小値又は振幅値を基に、トナー供給制御しトナー濃度を制御しても良い。また、この場合、トナー濃度センサ26の検出値の最大値、最小値及び最大値のうちトナー濃度制御に用いていない値を基に、トナー供給判定用しきい値の補正(図8)や報知制御(図13)を行う。
【0061】
また、本実施形態では、トナー濃度センサ48は透磁率を検出したが、センサが検出する特性値はこれに限られず、トナー濃度が検出できればよく、特性値の例として、誘電率、電気抵抗、比重などが挙げられる。
また、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最大値、最小値及び振幅値のうちの2つの値を基にトナー供給制御しトナー濃度を制御しても良い。この場合、例えば、本実施形態では、その2つの値に基づくトナー供給判定結果の信頼度が高い方を選択し、その選択した基にトナー供給制御しても良い。
【0062】
また、本実施形態では、トナー濃度センサ26の検出値の最大値、最小値及び振幅値のうちトナー濃度を制御するのに用いていない2つの値を基に、トナー供給判定用しきい値の補正(図8)や報知制御(図13)を行っても良い。この場合、例えば、本実施形態では、その2つの値の信頼度が高い方を選択し、その選択した値を基に、トナー供給判定用しきい値の補正(図8)や報知制御(図13)を行っても良い。
また、本実施形態は、前述のようなモノクロ画像形成装置に適用されることに限定されるものではなく、カラー画像形成装置にも適用しても良い。
また、本実施形態では、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置、2 トナーカートリッジ、26 トナー濃度センサ、40 制御部、44 トナー供給制御部、45 補正部、46 報知制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置内のキャリア及びトナーを含む現像剤を搬送する搬送部と、
前記搬送部を搬送される現像剤の特性値を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御する制御手段と、
前記最大値、最小値及び振幅値のうち前記制御手段が前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、予め設定した処理を実行する実行手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記最大値、最小値及び振幅値の何れかと予め設定した第1の値との比較結果を基に、トナー収容部内から前記現像装置内にトナーを供給する制御を行い、
前記実行手段は、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた前記最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記予め設定した第1の値を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記実行手段は、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値と前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記第1の値との関係を示すテーブル又は予め決められている演算式により、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記予め設定した第1の値を補正する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記実行手段は、前記制御手段が前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値が予め設定した第2の値に達した場合、前記現像装置へのキャリアの補充に結びつく報知を行う請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
現像装置内のキャリア及びトナーを含む現像剤のトナー濃度の検出を、前記現像装置内を搬送部により搬送されて検出領域を通過する前記現像剤の特性値を検出して行う検出手段が出力する検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御する制御ステップと、
前記最大値、最小値及び振幅値のうち前記制御ステップで前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、実行手段に予め設定した処理を実行させる実行ステップと、
をコンピュータに実行させるコンピュータに読取可能な制御プログラム。
【請求項1】
現像装置内のキャリア及びトナーを含む現像剤を搬送する搬送部と、
前記搬送部を搬送される現像剤の特性値を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御する制御手段と、
前記最大値、最小値及び振幅値のうち前記制御手段が前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、予め設定した処理を実行する実行手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記最大値、最小値及び振幅値の何れかと予め設定した第1の値との比較結果を基に、トナー収容部内から前記現像装置内にトナーを供給する制御を行い、
前記実行手段は、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた前記最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記予め設定した第1の値を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記実行手段は、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値と前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記第1の値との関係を示すテーブル又は予め決められている演算式により、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いた最大値、最小値及び振幅値の何れかの値又は前記予め設定した第1の値を補正する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記実行手段は、前記制御手段が前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値が予め設定した第2の値に達した場合、前記現像装置へのキャリアの補充に結びつく報知を行う請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
現像装置内のキャリア及びトナーを含む現像剤のトナー濃度の検出を、前記現像装置内を搬送部により搬送されて検出領域を通過する前記現像剤の特性値を検出して行う検出手段が出力する検出値の変動の最大値、最小値及び振幅値のうちの何れかの値を基に、前記現像剤のトナー濃度を制御する制御ステップと、
前記最大値、最小値及び振幅値のうち前記制御ステップで前記現像剤のトナー濃度を制御するのに用いていない値を基に、実行手段に予め設定した処理を実行させる実行ステップと、
をコンピュータに実行させるコンピュータに読取可能な制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−230247(P2012−230247A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98449(P2011−98449)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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