説明

画像形成装置、環境負荷低減方法、プログラム、記録媒体

【課題】画像形成装置の使用履歴を用いてサービス内容を制御する画像形成装置、環境負荷低減方法、プログラムおよび記録媒体を提供すること。
【解決手段】画像形成装置100は、印刷用紙に画像形成するための画像形成モードごとに割り当てられたポイントを格納するポイント格納手段116と、ユーザ指令された画像形成モードおよび画像印刷するページングデータ数を登録する一時記憶手段108と、画像形成モードに対応するポイントと、ページングデータ数とを使用して計算され、画像形成モードの省資源度合いに対応して高められる発生ポイントを計算するポイント計算手段102と、少なくとも発生ポイントをネットワークを介して送出するネットワークI/F手段130とを含んでいて、画像形成装置100のハードウェア機能の利用および環境負荷低減に対するインセンティブを高めている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成技術に関し、より詳細には、画像形成装置の使用履歴を用いてサービス内容を制御する画像形成装置、環境負荷低減方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、高機能化し、公衆電話網やISDNとは別にコネクションレス型接続により、インターネットなどのネットワークに接続されている。画像形成装置は、ネットワークを介して遠隔接続されたセンターなどに設置されたサーバなどの情報処理装置にアクセスし、その操作履歴のログ送信、データ検索、メール送信などを実行している。
【0003】
また、サーバは、画像形成装置から送信される装置情報などを取得して、装置環境の検査などを行うことも可能とされている。また、サーバは、画像形成装置での画像形成装置の利用履歴に応じて利用料金を計算したり、利用履歴によるポイント還元を行うことも知られている。
【0004】
例えば、特開2002−165045号公報(特許文献1)では、画像形成装置での画像形成実績に対応して配信依頼者に請求するべき配信費用を割引計算し、また画像形成装置による出力回数に応じて利用料金の割引計算を行う管理装置が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載された画像形成装置は、画像形成枚数を一定期間カウントして累積し、センターに送付することで、利用料金の積算およびポイントの累積を行うものである。
【0006】
また、特開2004−270022号公報(特許文献2)では、複写結果の良否に応じて課金を制御する画像形成装置が開示されている。
【0007】
さらに、特開2005−257995号公報(特許文献3)では、環境負荷を軽減して画像形成を行うために、サーバに対して画像形成モードに関連するデータを送付し、サーバが環境ポイントを計算して、環境ポイントに応じたサービスを還元するシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−165045号公報
【特許文献2】特開2004−270022号公報
【特許文献3】特開2005−257995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年の画像形成装置は、省資源化およびコスト削減などの観点から1枚のコピー用紙をできるだけ効率的に利用する方向にあり、両面印刷ばかりではなく、印刷用紙の片面または両面に偶数ページ分印刷する集約印刷モード、トナーセーブモード、縮小コピーモードなど種々の画像形成モードが利用可能とされている。
【0009】
画像形成装置の画像形成カウントは、例えば画像形成を行ったページに対応する画像データの数などをモニタすることによって異なる画像形成モードにも対応することが可能である。しかしながら、省資源化・低コスト化を達成するための各種画像モードは、現状ではデフォルト設定されていることが希である。このため、印刷用紙やトナーなどの消耗品の消費量を節約する他に、ユーザが省資源・低コスト対応の画像形成モードを使用するインセンティブを与えることで、省資源・低コスト対応モードの利用をさらに促進し、環境負荷をより積極的に低減することが好ましい。さらに、画像形成装置が実装する高機能な画像形成モードの利用を促進し、よりハードウェア機能の利用効率を高めることが必要とされていた。
【0010】
また、特許文献2に記載された画像形成装置では、画像形成モードではなく、複写結果の良否により、課金処理を変更するものであり、省資源・低コストを可能とする特定の画像形成モードを使用させることを促すものではない。
【0011】
さらに、特許文献3に記載されたシステムは、環境負荷軽減の程度に応じて消耗品デリバリーに対するサービスを行うものである。しかしながら、ページングデータの作像履歴と、画像形成モードに関連したポイントとを別に処理することが必要とされるので、印刷枚数をカウントするためのプログラムの他、集約印刷などの画像形成モードにより低下した印刷枚数を正確に画像形成装置の利用履歴に反映するため、さらに他の処理プログラムを必要とする。また、集約印刷を行う場合、例えば4in1で両面印刷を行う場合、1枚の印刷用紙に出力されるページングデータは8倍になるにも拘わらず、印刷用紙の枚数カウントでは、画像形成装置の使用履歴をユーザに対して還元するためのポイントが逆に減ってしまい、環境ポイントを追加したところで、結局ユーザに対し、機能利用を促すインセンティブとして充分なものということはできなかった。
【0012】
すなわち、本発明は、これまで画像形成装置の特定の画像形成モードを利用させることにより省資源化・低コスト化を促進することが可能な画像形成装置、環境負荷低減方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、画像形成装置が実装するハードウェア資源の効率的利用を可能とする画像形成装置、環境負荷低減方法、プログラム、および記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、省資源・低コストの画像形成モードの使用に応じて、ユーザに対してメリットを提供するため、画像形成装置の画像形成カウントではなく、特定の画像形成モードでの画像形成処理にポイントを割当てる。特定の画像形成モードでの画像形成が行われると、画像形成装置は、画像形成カウントの他、当該画像形成モードに割り当てたポイントを取得する。取得したポイントは、センターなどに設置されたサーバ装置に送付される。サーバは、送付されたポイントを画像形成装置などに対応して累積計算する。この結果、サーバは、画像形成したページングデータ数の他、特定の画像形成モードの利用履歴を統一的に管理して、環境負荷の削減を管理することが可能となる。
【0015】
画像形成装置のユーザは、定期的にサーバに累積された累積ポイントを参照し、累積ポイントに対応した消耗品サービス、例えば、トナー、印刷用紙のディスカウントなどを受けることができる。また、サーバは、累積ポイントに対応した消耗品サービスを提供した場合、累積ポイントから消耗品サービスに対して割り当てられたサービスポイントを減算して、以後の特定画像形成モードの利用をユーザに対して促すことにより、特定画像形成モードの利用に対するインセンティブを与える。
【0016】
本発明は、以上のように、省資源・低コスト化を可能とする画像形成モードの利用を促すインセンティブを提供することを可能とすることで、画像形成装置の利用による、環境負荷を効率的に低減させ、さらには画像形成装置のハードウェア機能の有効利用を可能とすることができる。
【0017】
すなわち、本発明によれば、印刷用紙に画像形成するための画像形成モードごとに割当てられたポイントを格納するポイント格納手段と、
ユーザ指令された画像形成モードおよび画像印刷するページングデータ数を登録する一時記憶手段と、
前記画像形成モードに対応する前記ポイントと、前記ページングデータ数とを使用して計算され、前記画像形成モードの省資源度合いに対応して高められる発生ポイントを計算するポイント計算手段と、
少なくとも前記発生ポイントをネットワークを介して送出するネットワークI/F手段と
を含む、画像形成装置が提供される。
【0018】
前記画像形成モードは、少なくとも、印刷用紙の同一面に複数のページ画像を形成する集約印刷、両面印刷、縮小印刷、または色剤セーブモードを含む省資源印刷設定を含むことができる。
【0019】
前記画像形成装置は、前記ネットワークを介して時系列的に発生した前記発生ポイントを累積した累積ポイントを要求し、前記累積ポイントの範囲で、消耗品ディスカウントサービスを選択する選択手段を含むことができる。
【0020】
前記画像形成装置は、時系列的に発生した前記発生ポイント、対応する前記画像形成モードおよび要求した前記消耗品ディスカウントサービスの割当てポイントを持続性記憶装置に履歴として登録する、履歴登録手段を含むことができる。
【0021】
前記画像形成装置は、省資源対応の前記画像形成モードの利用による低コスト化とランニングコスト低下とを並列的に提供することができる。
【0022】
本発明によれば、
画像形成装置が使用する画像形成モードに対応して消耗品をディスカウントする環境負荷低減方法であって、前記画像形成装置が、
前記画像形成装置の画像形成モードのデータおよび画像印刷するページングデータ数を受領し一時記憶手段に格納するステップと、
ポイント格納手段に格納され、前記画像形成モードに対応し、かつ前記画像形成モードが含む省資源度合いに対応して高くなるように設定されたポイントを読出すステップと、
前記画像形成モードに従って画像形成装置が画像形成を完了するステップと、
前記画像形成モードに対応する前記ポイントと、前記ページングデータ数とを使用して計算され、前記画像形成モードの省資源度合いに対応して高められる発生ポイントを計算するステップと、
少なくとも前記発生ポイントを前記ディスカウント選択の尺度として使用させるため、ネットワークを介して送出するステップと、
を実行する、装置実行可能な環状負荷低減方法が提供できる。
【0023】
さらに、本発明では、前記ネットワークを介して前記発生ポイントを現在の時点での累積ポイントおよび前記累積ポイントを上限として提供される消耗品ディスカウントサービスのサービスリストをダウンロードするステップと
前記サービスリストから消耗品ディスカウントサービスのサービス識別値を前記ネットワークを介して送信し、前記累積ポイントを選択した前記消耗品サービスステップと、
選択された前記サービス識別値に対応して前記累積ポイントを減少させ、前記消耗品ディスカウントサービスの適用範囲を削減するステップと
を実行することができる。
【0024】
本発明では、時系列的に発生した前記発生ポイント対応する前記画像形成モードおよび要求した前記消耗品ディスカウントサービスの割当てポイントを持続性記憶装置に履歴として登録するステップを実行することができる。
【0025】
本発明の前記環境負荷低減方法は、省資源対応の前記画像形成モードの利用による低コスト化とランニングコスト低下とを並列的に提供することができる。
【0026】
本発明では、上記いずれか1項に記載の各ステップを画像形成装置に実行させるための、装置実行可能なプログラムが提供できる。本発明では、請求項上記に記載のプログラムを記録した装置可読な記録媒体が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施形態をもって説明するが、本発明は実施形態に限定されるものではない。図1は、画像形成装置100のハードウェア構成の実施形態を示す。図1に示す画像形成装置100は、複数のハードウェアモジュールがバス138により相互接続されていて、画像読取り、画像形成、ファクシミリ送受信、ネットワーク通信などを実行する。画像形成装置100は、そのハードウェアモジュールとして、中央処理装置(CPU)102、NVRAM104、ROM106、RAM108を備えている。CPU102は、画像形成装置100全体の動作を管理しており、例えば、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、WINDOWS(登録商標)、VXWorksなどのオペレーティングシステムを動作させることができる。
【0028】
また、ROM106、NVRAM104は、画像形成装置100が初期設定の際などに使用するファームウェアやデータを登録していて、画像形成装置100が設定データに基づいて処理を行うことを可能とさせている。また、RAM108は、CPU102が各種のプログラムを実行する場合の実行空間を与える他、データなどのバッファメモリとしても機能する。なお、RAM108と同様の機能を有する専用バッファを各制御ユニットのマイクとプロセッサが提供することもできる。
【0029】
以下、一時記憶種手段として利用されるバッファメモリは、RAM108またはRAM108と等価な機能を有し、制御ユニットのマイクロプロセッサが管理するバッファメモリを総称するものとして説明する。画像形成装置100は、さらに、書込制御部110、書込み部112を実装している。書込み制御部110は、半導体レーザ、感光体ドラム、印字ノズルの駆動タイミングを制御する。書込み部112は、半導体レーザや印字ノズルを含んで構成されていて、書込み制御部110からの駆動信号に応答して画像を形成する。
【0030】
また、UI処理部114は、タッチパネル、液晶ディスプレイ、VGA規格により駆動されるディスプレイ装置、入力キーまたはキーボードなどを含み、ユーザインタフェースを提供する機能処理部である。画像形成装置100のユーザは、UI処理部114から画像形成指令、設定などを入力し、画像形成を指令する。また、ユーザは、サーバから送信された各種サービス情報を、タッチパネル、液晶ディスプレイ、ディスプレイ装置などの表示装置上で確認することができる。
【0031】
HDD装置116は、各種プログラム、画像データ、操作履歴などを格納しており、書換可能な持続性記憶装置として機能する。なお、本実施形態では、書換可能な持続性記憶装置には、NVRAM、ROMを含ませることもできる。
【0032】
画像形成装置100は、さらに、給排紙搬送制御部118を含んでいる。給排紙搬送制御部118は、駆動モータ、クラッチなどを制御して、感光体ドラムや印刷用紙にインクジェット方式により画像形成するため、印刷用紙を供給し、搬送し、画像形成装置100の外部へと排紙させている。
【0033】
画像形成装置100は、またフォントデータ格納部120を含んでおり、ラスタ画像と、フォントデータとを含んで構成される、PostScript(登録商標)などのページ記述言語(PDL)を使用した画像出力が可能とされている。画像形成装置100は、ラインCCDなどを含んで構成される原稿読取部122と、原稿読取部122が取得したデータに対してγ補正、シェーディング補正、レベル補正などの各種補正を行い、画像データを生成する画像処理部124とを含んでいる。画像処理部124が形成した画像データは、画像編集部126は、画像形成モードに対応してあえられるポイントを出力させる場合の画像データを生成し、編集する処理を実行する。また、画像用メモリ128は、例えばFIFOバッファなどとして構成され、専ら画像データの処理のために利用され、CPU102の実行空間を画像データが専有することによるメモリオーバーフローを防止し、また画像データの高速処理のために適切なアドレス構成を有するように設定されている。
【0034】
ネットワークI/F130は、画像形成装置100を、公衆電話網や、インターネットなどの外部ネットワーク134に接続する。ネットワークI/F130は、公衆電話網やISDNに接続するため、ITU−T勧告V.34などの規格のアナログモデム、V.90などの規格のモデム/DSUなどによりデジタル回線を使用して、コネクション型通信により外部ネットワーク134に接続し、センターに設置されたサーバ136との間で通信を可能とさせている。また、ネットワークI/F130は、いわゆるNICとして参照され、TCP/IPプロトコルを使用したコネクションレス型通信を使用して、センターに設置されたサーバ136との間で通信を行うことができる。また、RTC132は、計時処理部であり、ユーザによる画像形成操作に対応し、操作履歴、ポイント発生などを登録する場合のタイムスタンプを生成する。
【0035】
図2は、画像形成装置100が実行するポイント発生処理の実施形態のフローチャートである。図2に示した処理は、ステップS200で、画像形成装置100が電源オンされた時点から開始する。ステップS201では、画像形成装置100は、書換可能な持続性記憶装置からポイントデータを読込み、RAMにルックアップテーブルとして設定する。なお、ROM106やNVRAM104にすでにルックアップテーブルとして格納してある場合には、ステップS201は省略することができる。
【0036】
ステップS202では、画像形成装置100は、ユーザ操作に応じて使用者IDコード、画像形成モード、印刷部数などのデータをUI部を介して取得し、バッファメモリに格納する。使用者IDコードは、ユーザIDでも良いし、画像形成装置に固有に割り当てられたコードとされていてもよく、画像形成装置および当該画像形成装置に対する課金先を識別できる限り、いかなる値とすることができる。
【0037】
その後、ステップS203では、ユーザからの画像形成指令を受領して、バッファリングしたデータを使用して画像形成を実行する。なお、本実施形態の画像形成装置100は、画像形成処理が完了した後直ちにバッファメモリをクリアするのではなく、ステップS204でポイントを計算させるためにバッファリングしたデータを使用する。ステップS204では、バッファメモリから画像形成モードの設定を読出し、ルックアップテーブルを参照して各モードに割り当てられたポイントを取得して当該画像形成処理により発生した発生ポイントを計算する。発生ポイントは、本実施形態では、下記式(1)を使用して計算することができる。
【0038】
【数1】

上記式(1)中、mは、ユーザが指定したモードの種類であり、pは、モードmに設定されたポイント値であり、Nは、印刷条件で設定されたページング処理された画像データ単位でのページングデータ数(原稿枚数×印刷部数)である。すなわち、本実施形態では、ページングデータ数Nは、使用する用紙サイズにページング処理した画像データ数に対応するものであり、物理的に出力された印刷用紙の枚数ではない。
【0039】
ステップS205では、ステップS204で計算した発生ポイント、使用者IDコード使用日時、画像形成モード設定、ページングデータ数を持続性記憶装置に登録する。ステップS206では、少なくとも画像形成モード、印刷部数などを登録したバッファメモリの内容がクリアされ、ネットワークを介したデータ送信の状態に拘わらず、次の画像形成処理の指令の入力に対応することが可能とされる。ステップS208では、バッファメモリのクリア処理と並列して、HDD装置116にコピーされたデータが送信バッファにコピーされ、ステップS205で登録した発生ポイント、使用者IDコード、使用日時、画像形成モード設定、画像形成したページングデータ数Nをサーバに送信する。
【0040】
サーバ136では、送信された発生ポイントを、例えば使用者IDコードや装置識別値などに対応付けて積算し、累積ポイントとして管理する。この結果、画像形成装置100の消耗品デリバリーのために使用するデータが、冗長記録され、後の検査などに利用することができる。
【0041】
ステップS207では、次の画像形成指令があるか否かを判断し、次の画像形成指令がない場合(no)処理をステップS207で待機させる。また次の画像形成指令を受領した場合(yes)、画像形成装置100は、省エネモードなどからの復帰を行い、処理をステップS202に戻し、再度、ステップS202からステップS207の処理を繰り返す。
【0042】
図2に示した処理により、画像形成装置100は、ユーザが行った画像形成モードごとに対応した発生ポイントを生成させることができ、画像形成モードの利用履歴をポイントに反映させることができる。
【0043】
図3は、画像形成装置100が登録するルックアップテーブル(LUT)300の実施形態を示す。LUT300は、画像形成装置100のNVRAM104、ROM106またはHDD装置116に登録しておくことができる。画像形成装置100が処理をスタートさせる時点で、書換可能な持続性記憶装置からRAM108へとデータを読み込んで初期設定をおこなう。なお、ROM106またはNVRAM104が充分なアクセス速度を有する場合、RAM108内にLUTを構成するのではなく、NVRAM104やROM106内にファームウェアとしてLUT300を構成させておくこともできる。
【0044】
図3に示すように、LUT300は、画像形成モードを設定するフィールド302と、画像形成モードに対応して割り当てられたポイントを登録するフィールド304とを含んで構成される。なお、ポイントフィールド304に示された「p」は、設定ポイントの基準値であり、正の整数を有する。各画像形成モードに割り当てられるポイントは、トナー、インクおよび用紙の省資源に対応する毎に割当てポイントが高くなるように設定されている。また、印刷用紙1枚当たり、片面に1画像プリントする通常の片面印刷の場合には、ポイントp=0に設定されている。この場合、発生ポイントが0となり、印刷用紙の枚数に対応したチャージやサービスなどが行われる。
【0045】
一方、省資源対応を可能とする、例えば両面集約4in1の画像形成モードでは、8pポイントが与えられ、ページングデータ数Nで与えられるポイントを超えて高いポイントが発生される。また、ユーザがさらに、両面集約4in1モードに加え、
トナーセーブモードを指定した場合、合計のポイントは8.5pポイントとして計算され、上記式(1)に従って、省資源・低コストの画像形成モードの指定により、累積的に高ポイントを生成する。なお、本発明では、図3に示す画像形成モード以外にも、いかなる画像形成モードでもポイントを割り当てて登録することができる。
【0046】
図4は、センターに設置されたサーバ136が実行する処理の実施形態のフローチャートである。サーバの処理は、ステップS400から開始し、ステップS401で、画像形成装置100から使用者IDコード、装置識別値を含むポイント残高要求を受領する。ステップS402で、装置識別値を検索キーとして累積ポイントを取得し、要求元の画像形成装置100に累積ポイントをダウンロードさせることにより返す。
【0047】
画像形成装置100は、ユーザによる累積ポイントの確認後、ユーザがキー操作などにより指令するサービスメニュー照会要求を受領して、サーバ136に送信する。サーバ136は、その後ステップS403でサービスメニュー照会要求を受領し、サービスメニューリストを要求元の画像形成装置をダウンロードさせて返す。この段階で、画像形成装置100のユーザは、希望するサービスを指定すると、画像形成装置100は、サービス識別値をサーバ136に送信する。
【0048】
なお、画像形成装置100は、以後の確認などのため、サービス識別値の送信、サービス内容、タイムスタンプなどと共にログとして記録または出力させることもできる。また、画像形成装置100は、累積ポイントの確認、サービス識別値の設定などの処理については、ユーザに対してパスワードやユーザIDなどの入力を求め、パスワードおよびユーザIDが、システム管理者に一致した場合にのみ、サーバへのアクセスが許可してもよい。
【0049】
サーバ136は、ステップS404で画像形成装置100からのサービス識別値を取得すると、サーバ136が管理するポイントテーブルからサービス識別値を検索し、当該サービス識別値に割り当てられた割当てポイントを取得する。そして、ステップS405で割当てポイントが累積ポイント以下であるか否かを判断する。累積ポイントが割当てポイント未満の場合(no)、処理をステップS404に分岐させて再度の入力またはサービス要求終了を画像形成装置100に対して発行する。
【0050】
また、ステップS405で累積ポイントが割当てポイント以上である場合、ステップS406でサービス識別値に対応した割当てポイントを減算して累積ポイントの値を更新する。その後、ステップS407で割当てポイントおよびサービス識別値などを使用者IDまたは装置識別値について登録し、画像形成モードに対応付け、消耗品のディスカウント計算を実行させ、ステップS408で処理を終了させる。
【0051】
サーバ136からの通知を受領した例えは消耗品管理サーバは、サービス識別値で指定されるサービスの提供を担当者などに通知し、装置識別値について登録された累積ポイント数に応じて、消耗品チャージのディスカウント、カウント当たりのチャージの低下などが行われる。この結果、画像形成モードとして省資源・低コスト対応のモードを選択することが、さらに画像形成装置100のランニングコストの低下を提供することになるため、より効率的に環境負荷を低減させることが可能となる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像形成装置が省資源・低コストモードを使用した履歴によって画像形成装置の画像形成コストを、印刷用紙やトナーの消費量の削減を超えて低下させることが可能となり、ユーザに対して省資源・低コストモードを積極的に利用させるインセンティブを与えることができる。
【0053】
さらに、本実施形態によれば、画像形成装置に実装した高機能モードの利用性を、印刷コストの低下に関連付けて高めることができ、画像形成装置自体のハードウェア資源の有効利用も可能となる。
【0054】
本実施形態の上記機能は、アセンブラ、C、C++、Java(登録商標)、Java(登録商標)などのレガシープログラミング言語またはオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、プログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0055】
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成の実施形態を示した図。
【図2】画像形成装置が実行するポイント発生処理の実施形態のフローチャート。
【図3】画像形成装置が登録するルックアップテーブル(LUT)の実施形態を示した図。
【図4】センターに設置されたサーバ136が実行する処理の実施形態のフローチャート
【符号の説明】
【0057】
100…画像形成装置、102…CPU、104…NVRAM、106…ROM、108…RAM、110…書込制御部、112…書込み部、114…UI処理部、116…HDD装置、118…給排紙搬送制御部、120…フォントデータ格納部、122…原稿読取部、124…画像処理部、126…画像編集部、128…画像用メモリ、130…ネットワークI/F、RTC…実時間クロック、134…ネットワーク、136…サーバ、300…ルックアップテーブル、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙に画像形成するための画像形成モードごとに割り当てられたポイントを格納するポイント格納手段と、
ユーザ指令された画像形成モードおよび画像印刷するページングデータ数を登録する一時記憶手段と、
前記画像形成モードに対応する前記ポイントと、前記ページングデータ数とを使用して計算され、前記画像形成モードの省資源度合いに対応して高められる発生ポイントを計算するポイント計算手段と、
少なくとも前記発生ポイントをネットワークを介して送出するネットワークI/F手段と
を含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成モードは、少なくとも、印刷用紙の同一面に複数のページ画像を形成する集約印刷、両面印刷、縮小印刷、または色剤セーブモードを含む省資源印刷設定を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記ネットワークを介して時系列的に発生した前記発生ポイントを累積した累積ポイントを要求し、前記累積ポイントの範囲で、消耗品ディスカウントサービスを選択する選択手段を含む、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、時系列的に発生した前記発生ポイント、対応する前記画像形成モードおよび要求した前記消耗品ディスカウントサービスの割当てポイントを持続性記憶装置に履歴として登録する、履歴登録手段を含む、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
省資源対応の前記画像形成モードの利用による低コスト化とランニングコスト低下とを並列的に提供する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置が使用する画像形成モードに対応して消耗品をディスカウントする環境負荷低減方法であって、前記画像形成装置が、
前記画像形成装置の画像形成モードのデータおよび画像印刷するページングデータ数を受領し一時記憶手段に格納するステップと、
ポイント格納手段に格納され、前記画像形成モードに対応し、かつ前記画像形成モードが含む省資源度合いに対応して高くなるように設定されたポイントを読出すステップと、
前記画像形成モードに従って画像形成装置が画像形成を完了するステップと、
前記画像形成モードに対応する前記ポイントと、前記ページングデータ数とを使用して計算され、前記画像形成モードの省資源度合いに対応して高められる発生ポイントを計算するステップと、
少なくとも前記発生ポイントを前記ディスカウント選択の尺度として使用させるため、ネットワークを介して送出するステップと、
を実行する、装置実行可能な環状負荷低減方法。
【請求項7】
前記ネットワークを介して前記発生ポイントを現在の時点での累積ポイントおよび前記累積ポイントを上限として提供される消耗品ディスカウントサービスのサービスリストをダウンロードするステップと
前記サービスリストから消耗品ディスカウントサービスのサービス識別値を前記ネットワークを介して送信し、前記累積ポイントを選択した前記消耗品サービスステップと、
選択された前記サービス識別値に対応して前記累積ポイントを減少させ、前記消耗品ディスカウントサービスの適用範囲を削減するステップと
を実行する、請求項6に記載の環境負荷低減方法。
【請求項8】
時系列的に発生した前記発生ポイント対応する前記画像形成モードおよび要求した前記消耗品ディスカウントサービスの割当てポイントを持続性記憶装置に履歴として登録するステップを実行する、請求項6または7に記載の環境負荷低減方法。
【請求項9】
前記環境負荷低減方法は、省資源対応の前記画像形成モードの利用による低コスト化とランニングコスト低下とを並列的に提供する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の環境負荷低減方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の各ステップを画像形成装置に実行させるための、装置実行可能なプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録した装置可読な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−188741(P2009−188741A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26642(P2008−26642)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】