説明

画像形成装置、画像形成方法およびプログラム

【課題】画質の低下を防ぎつつ、ユーザの希望する色への色修正を行うことのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録用紙に色剤を吐出することにより画像を形成する画像形成装置であって、対象領域および修正色を指示する色修正指示を受け付ける受付部101と、修正色と第1解像度の第1出力色とを対応付けた第1色変換テーブルと、修正色と第2解像度の第2出力色とを対応付けた第2色変換テーブルとを記憶する記憶部110と、修正色と第1解像度に基づいて、修正色に対応する色剤吐出量を特定する吐出量特定部102と、色剤吐出量が許容量より多い場合に、第2色変換テーブルを参照して修正色を第2出力色に変換する色変換部107と、第2出力色の色剤を用いて第2解像度で対象領域の出力画像を形成する画像形成部108とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フルカラー画像において、入力画像データの色と、当該入力画像データに基づいて、記録用紙に印刷された画像やモニタ画面等に表示された画像などの出力画像の色が異なるという問題があり、このような問題を解決するために種々の方法が提案されてきた。例えば、コンピュータシステムのOS(オペレーティングシステム)で提供されるカラーマッチング機能として、入力装置や出力装置の色特性を記述した色変換テーブルを用意し、画像データを入力装置の色変換テーブルを用いてデバイスに依存しない色表現座標系に変換し、さらに出力装置の色変換テーブルを用いて出力装置固有の座標系へ変換することにより、デバイス間の色特性の違いを吸収して、出力画像において、入力画像の色を再現するものが知られている。
【0003】
また、いわゆるデザイナや印刷業界では、人の目に頼った出力画像の色補正作業が行われている。この色補正作業においては、ユーザの操作により、デジタル処理化された画像データが入力装置を介してコンピュータに取り込まれる。そして、ユーザは、コンピュータ上で、アプリケーションソフトを用いて画像データの加工、編集を行い、編集後の画像データを出力装置から出力させる。出力された画像の最終仕上がりは、ユーザが実際に目で見て確認する。ユーザの希望の色の出力画像が得られるまで、以上の処理が繰り返される。このように、各デバイス間の色特性の違いに起因した色の違いを補正する処理は、画像データを扱う人間の経験とカンに頼るところが多い。また、色補正作業においては、所望の色になるまで色補正と印刷、確認を繰り返す必要がある。このため、統一された色変換のルールを確立することが難しい。このような問題を解決するため、例えば、特許文献1には、色補正を行う場合に、GUI(Graphical User Interface)により、ユーザにより希望された色から補正すべき補正量を求め、該補正量により画像データではなく色変換用テーブルを修正する方法が開示されている。この方法では、GUI手段を用いるためユーザは直感的な操作で、指定した色をどのような色に補正したいのかを指定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように、ユーザの希望に沿って修正された色変換テーブルを用いる場合であっても、ユーザが指定した色で印刷した場合に、記録モード、記録用紙、使用されるインクなどの条件によっては、記録用紙へのインクの付着量が過多となってしまい、滲みとなって画像劣化に繋がってしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画質の低下を防ぎつつ、ユーザの希望する色への色修正を行うことのできる画像形成装置、画像形成方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像データに基づいて、記録用紙に色剤を吐出することにより画像を形成する画像形成装置であって、ユーザから、画像データの一部または全部の領域である対象領域および前記対象領域の修正色を指示する色修正指示を受け付ける受付手段と、前記修正色と、当該画像形成装置が所定の第1解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第1出力色とを対応付けた第1色変換テーブルと、前記修正色と、当該画像形成装置が前記第1解像度よりも高解像度な第2解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第2出力色とを対応付けた第2色変換テーブルとを記憶する記憶手段と、前記修正色と前記第1解像度に基づいて、前記修正色に対応する前記第1出力色の出力画像を形成するときに要する、前記記録用紙の単位面積当たりの色剤吐出量を特定する吐出量特定手段と、前記色剤吐出量と予め設定された許容量とを比較し、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第1出力色に変換し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第2出力色に変換する色変換手段と、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1出力色の色剤を用いて前記第1解像度で前記対象領域の出力画像を形成し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2出力色の色剤を用いて前記第2解像度で前記対象領域の出力画像を形成する画像形成手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、画像データに基づいて、記録用紙に色剤を吐出することにより画像を形成する画像形成装置で実行される画像形成方法であって、前記画像形成装置は、ユーザから指定される修正色と、当該画像形成装置が所定の第1解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第1出力色とを対応付けた第1色変換テーブルと、前記修正色と、当該画像形成装置が前記第1解像度よりも高解像度な第2解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第2出力色とを対応付けた第2色変換テーブルとを記憶する記憶手段を備え、受付手段が、ユーザから、画像データの一部または全部の領域である対象領域および前記対象領域の修正色を指示する色修正指示を受け付ける受付ステップと、吐出量特定手段が、前記修正色と前記第1解像度に基づいて、前記修正色に対応する前記第1出力色の出力画像を形成するときに要する、前記記録用紙の単位面積当たりの色剤吐出量を特定する吐出量特定ステップと、色変換手段が、前記色剤吐出量と所定の許容量とを比較し、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第1出力色に変換し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第2出力色に変換する色変換ステップと、画像形成手段が、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1出力色の色剤を用いて前記第1解像度で前記対象領域の出力画像を形成し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2出力色の色剤を用いて前記第2解像度で前記対象領域の出力画像を形成する画像形成ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ユーザから指定される修正色と、画像形成装置が所定の第1解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第1出力色とを対応付けた第1色変換テーブルと、前記修正色と、前記画像形成装置が前記第1解像度よりも高解像度な第2解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第2出力色とを対応付けた第2色変換テーブルとを記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、ユーザから、画像データの一部または全部の領域である対象領域および前記対象領域の修正色を指示する色修正指示を受け付ける受付手段と、前記修正色と前記第1解像度に基づいて、前記画像形成装置が前記修正色に対応する前記第1出力色の出力画像を形成するときに要する、記録用紙の単位面積当たりの色剤吐出量を特定する吐出量特定手段と、前記色剤吐出量と予め設定された許容量とを比較し、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第1出力色に変換し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第2出力色に変換する色変換手段と、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1出力色の色剤を用いて前記第1解像度で前記対象領域の出力画像を形成し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2出力色の色剤を用いて前記第2解像度で前記対象領域の出力画像を形成する画像形成手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1解像度において、ユーザにより指定された修正色に色修正して画像を形成するのに要する色剤吐出量が予め設定された許容量を超える場合には、画像形成時の解像度を第1解像度より高い第2解像度に変更し、変更後の第2解像度において修正色の画像を形成するので、インク滲みなどの画像劣化を防ぎつつ、ユーザの希望する色の画像を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、画像形成装置1の処理部100の主要な機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1色変換テーブル111のデータ構成を示す図である。
【図3】図3は、第2色変換テーブル112のデータ構成を示す図である。
【図4−1】図4−1は、許容量を説明するための図である。
【図4−2】図4−2は、許容量を説明するための図である。
【図5】図5は、許容量テーブル記憶部120が記憶する第1許容量テーブル121のデータ構成を模式的に示す図である。
【図6】図6は、画像形成装置1による画像形成処理を示すフローチャートである。
【図7】図7は、画像形成装置1による画像形成処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、画像形成装置1による画像形成処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、画像形成装置1のハードウェアの要部構成の斜視図である。
【図11】図11は、図10に示す画像形成装置1の側面図である。
【図12】図12は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置50の処理部300のブロック図である。
【図13】図13は、第3の実施の形態にかかる画像形成システム60の概略構成図である。
【図14】図14は、プリンタ80の処理部800のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態にかかる画像形成装置1は、外部から入力された画像データや、外部から入力され、後述のハードディスクドライブ(HDD)に格納された画像データなど画像形成(印刷)の対象となる画像データに対し、所定の色変換を施す。そして、画像形成装置1は、色変換後の画像データに従い、インクジェット方式で色剤を吐出することにより記録用紙に画像を形成する。色剤は、具体的には、複数色のインクであり、本実施の形態においては、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のインクである。さらに、本実施の形態にかかる画像形成装置1は、画像を形成する際に、ユーザからの指示にしたがい、画像データ中の所定の色をユーザの希望する色に修正する。以下、具体的な構成について説明する。
【0013】
図1は、画像形成装置1の処理部100の主要な機能構成を示すブロック図である。処理部100は、受付部101と、色変換テーブル記憶部110と、吐出量特定部102と、設定情報特定部103と、許容量テーブル記憶部120と、許容量決定部104と、印刷モード決定部105と、通知部106と、色変換部107と、画像形成部108とを備えている。
【0014】
受付部101は、画像形成装置1の入力装置200からユーザによって入力された各種指示を受け付ける。ユーザから入力される指示としては、画像データに対する印刷指示、印刷時の色修正指示などがある。なお、本画像形成装置1は、sRGB、Adobe(登録商標)RGBなど複数のプロファイル(種類)の色変換を行うことが可能であり、印刷指示には、ユーザにより指定された色変換のプロファイルを示す色変換情報が含まれている。
【0015】
色修正指示は、印刷対象となる画像データの一部または全部の領域の修正を指示する情報である。色修正指示には、ユーザが希望する修正後の色である修正色を示す情報と、修正色への色修正を反映させる対象領域を示す情報とが含まれている。対象領域は、画像データ中の一部の領域であってもよく、また画像データ全体であってもよい。
【0016】
ユーザは、画像形成装置1に設けられたユーザインターフェースを利用して、修正色および対象領域を指定することができる。具体的には、ユーザは、キーボードやタッチパネルなどの入力装置200を用いて、デバイスに依存しない色空間の色を示す数値を修正色として直接入力する。デバイスに依存しない色空間としては、CIE−L*a*b*色空間などがある。
【0017】
なお、ユーザが修正色を指定する他の例としては、ユーザは、入力装置200を用いて、色見本帳やDIC(登録商標)チップにおけるカラーナンバーを修正色として入力してもよい。また、他の例としては、ユーザは、印刷された複数の色見本パッチの中から所望のパッチを選択し、入力装置200を用いて、選択したパッチの色識別番号を修正色として入力してもよい。また、他の例としては、ユーザは、画像形成装置1に予め設定された肌、空、草、顔、などの物体から所望の物体を選択してもよい。この場合には、画像形成装置1において、選択された物体に対応付けて記憶されている色が修正色として指定される。
【0018】
また、対象領域を指定する際には、ユーザは、画像形成装置1に設けられたモニタ202に、印刷対象となる画像データを表示させる。そして、ユーザは、ポインティングデバイスなどの入力装置200を用いて、画像データ中の希望する領域を対象領域として選択する。他の例としては、ユーザは、文字、写真、線画、図形など画像データを構成するオブジェクトを対象領域として選択してもよい。また、他の例としては、ユーザは、画像データ中の任意の色の領域を対象領域として選択してもよい。また、これらの方法を組み合わせて対象領域を指定してもよい。以上のようなユーザからの入力により対象領域および修正色が指定されると、受付部101は、ユーザにより指定された対象領域と、修正色を含む色修正指示を受け付ける。
【0019】
色変換テーブル記憶部110は、3つの色変換テーブル111〜113を記憶している。画像形成装置1は、3つの印刷モードを有しており、3つの色変換テーブル111〜113は、各印刷モードに対応している。ここで、印刷モードについて説明する。印刷モードとは、画像形成装置1が記録用紙にインク(色剤)を吐出して出力画像を形成(印刷)するときの設定に関するモードである。印刷モード毎に、画像形成時の色変換の設定や解像度の設定が異なっている。
【0020】
第1印刷モードは、自然画等を印象よく表現するために、画像の全体的なバランスを重視した画像を形成するモードであり、画像形成時の解像度は、通常の解像度である第1解像度に設定されている。第2印刷モードおよび第3印刷モードは、いずれも印刷対象となる画像データに対し、測色的に忠実な色再現を優先した画像を形成するモードである。画像形成時の解像度は、第2印刷モードでは第1解像度に設定されているのに対し、第3印刷モードでは第1解像度よりも高解像度な第2解像度に設定されている。なお、第1解像度および第2解像度は、画像形成装置1に予め設定された値であるが、これらの値は、画像形成装置1への設定時に画像形成装置1において用いられる記録用紙の種類やインクの種類に応じて決定されるのが望ましい。
【0021】
第1印刷モードは、受付部101が印刷指示のみを受け付け、色修正指示を受け付けない場合に設定される通常の印刷モードである。第1印刷モードでは、画像データの色値の色変換が行われ、色変換後のデータに基づいて、画像が形成される。第2印刷モードおよび第3印刷モードは、受付部101が印刷指示とともに色修正指示を受け付けた場合に設定される印刷モードである。第2印刷モードおよび第3印刷モードでは、色修正指示に示される対象領域については、画像データの対象領域の色値ではなく、色修正指示に示される修正色に対する色変換が行われ、色変換後のデータに基づいて、画像データに対応する画像が形成される。
【0022】
図2は、第1色変換テーブル111のデータ構成を示す図である。第1色変換テーブル111において、入力色と、出力色とが対応付けられている。入力色とは、画像データの色値である。出力色とは、入力色に対する色変換後の色値である。本画像形成装置1は、複数のプロファイルの色変換を行うことが可能であり、これに対応し、第1色変換テーブル111においては、1つの入力色に対し、種類の異なる複数のプロファイルそれぞれに対応付けられた複数の出力色が対応付けられている。第1色変換テーブル111は、第1印刷モードに対応するテーブルである。すなわち、第1色変換テーブル111に記憶されている出力色は、入力色に対し、上述のように全体的なバランスを重視した、第1解像度の画像を形成するような色変換を施して得られる色値である。
【0023】
図3は、第2色変換テーブル112のデータ構成を示す図である。第2色変換テーブル112において、色修正指示に示される修正色と、出力色と、インク(色剤)吐出量とが対応付けられている。さらに、第2色変換テーブル112においては、1つの修正色に、種類の異なる複数のプロファイルそれぞれに対応付けられた複数の出力色と、複数の出力色それぞれに対応付けられた複数のインク吐出量とが対応付けられている。第2色変換テーブル112の出力色は、修正色に対する色変換後の色値である。
【0024】
第2色変換テーブル112は、第2印刷モードに対応するテーブルである。すなわち、第2色変換テーブル112に記憶される出力色は、修正色に対し、上述のように測色的に忠実な色再現を優先した、第1解像度の画像を形成するような色変換を施して得られる色値である。
【0025】
インク吐出量とは、画像形成装置1が出力画像を形成するときに要する各色のインクの量の合計値である。本実施の形態においては、記録用紙の単位面積当たりのインクの量の合計値をインク吐出量とする。インク吐出量は、出力色と解像度とに基づいて定まる値である。第2色変換テーブル112に記憶されるインク吐出量は、第1解像度と、対応する出力色に基づいて決定された値である。
【0026】
第3色変換テーブル113のデータ構成は、第2色変換テーブル112と同様である。すなわち、第3色変換テーブル113においては、修正色と、出力色と、インク吐出量とが対応付けられている。さらに、第3色変換テーブル113においては、1つの修正色に、種類の異なる複数のプロファイルそれぞれに対応付けられた複数の出力色と、複数の出力色それぞれに対応付けられた複数のインク吐出量が対応付けられている。
【0027】
第3色変換テーブル113は、第3印刷モードに対応するテーブルである。すなわち、第3色変換テーブル113に記憶される出力色は、修正色に対し、上述のように測色的に忠実な色再現を優先した、第2解像度の画像を形成するような色変換を施して得られる色値である。第3色変換テーブル113に記憶されるインク吐出量は、第2解像度と、対応する出力色に基づいて決定された値である。
【0028】
出力色およびインク吐出量は、画像形成時の解像度に依存する値である。したがって、解像度の異なる第2印刷モードと第3印刷モードにおいては、同一の色変換を施す場合であっても、修正色に対し、同等の色合いを再現するための出力色やインク吐出量は必ずしも同一値になるとは限らない。そこで、本実施の形態においては、上記のように第2印刷モードおよび第3印刷モードそれぞれに対応する第2色変換テーブル112および第3色変換テーブル113をそれぞれ別個に設けることとする。
【0029】
なお、本実施の形態においては、色変換テーブル111〜113は、出力色として、RGB値を記憶しているが、他の例としては、色変換テーブル111〜113は、出力色として、RGB値に変えて、当該RGB値を色変換した後のCMYK値を記憶してもよい。
【0030】
吐出量特定部102は、受付部101が画像データとプロファイルを指定した印刷指示を受け付け、さらに印刷指示において指定された画像データに対する色修正指示を受け付けると、色修正指示に示される修正色を特定する。そして、吐出量特定部102は、第1解像度と色修正指示に示される修正色に基づいて、第1解像度で修正色に対応する出力色の出力画像を形成するときに要するインク吐出量を特定する。具体的には、吐出量特定部102は、第1解像度におけるインク吐出量が記憶されている第2色変換テーブル112を参照し、修正色に対応付けられている複数のインク吐出量の中から、印刷指示に示されるプロファイルに対応付けられているインク吐出量を特定する。
【0031】
また、吐出量特定部102は、第2解像度と修正色に基づいて、第2解像度で修正色に対応する出力色の画像を形成するときに要するインク吐出量を特定する。具体的には、吐出量特定部102は、第2解像度におけるインク吐出量が記憶されている第3色変換テーブル113を参照し、修正色に対応付けられている複数のインク吐出量の中から、印刷指示に示されるプロファイルに対応付けられているインク吐出量を特定する。設定情報特定部103は、画像形成装置1のプリンタドライバに設定されている情報から記録用紙の種類およびインクの種類を設定情報として特定する。
【0032】
許容量テーブル記憶部120は、第1許容量テーブル121および第2許容量テーブル122を記憶している。各許容量テーブル121,122には、許容量が記憶されている。ここで、許容量とは、記録用紙の単位面積当たりに吐出可能な各色のインクの総量である。
【0033】
図4−1および図4−2は、許容量を説明するための図である。図4−1は、インクが付着した記録用紙を用紙の上面から見た図である。図4−2は、インクが付着した記録用紙の断面図である。図4−1に示すように、600dpiで画像を形成した場合と、1200dpiで画像を形成した場合とでは、記録用紙に吐出させるインク滴のサイズ(ドットサイズ)および記録用紙の同一面積に付着するインク量が異なる。1200dpiの解像度におけるインク滴510のサイズは、600dpiの解像度におけるインク滴500のサイズに比べて小さい。さらに、図4−2に示すように、1200dpiの解像度におけるインク滴510の記録用紙の厚み方向への浸透面積は、600dpiの解像度におけるインク滴500の記録用紙の厚み方向への浸透面積に比べて小さい。以上のことから、記録用紙の同一面積を満たす場合に必要なインク吐出量は、高解像度になるほど少なくてすむことがわかる。すなわち、解像度を高くすることにより、より少ないインク量で画像を形成することができる。
【0034】
さらに、インク吐出量が多く、記録用紙へのインクの付着量が過多になると、記録用紙に滲みが生じ、画像劣化が問題となる。許容量は、画像劣化がなく良好な画像を形成することのできるインク吐出量の最大値である。許容量は、画像形成時の解像度、記録用紙の種類およびインクの種類によって定まる値である。
【0035】
第1許容量テーブル121および第2許容量テーブル122は、それぞれ第1解像度および第2解像度に対応するテーブルであり、各許容量テーブル121,122には、各解像度における許容量が記憶されている。図5は、許容量テーブル記憶部120が記憶する第1許容量テーブル121のデータ構成を模式的に示す図である。第1許容量テーブル121において、記録用紙の種類とインクの種類の組み合わせと許容量とが対応付けられている。第2許容量テーブル122のデータ構成は、第1許容量テーブル121のデータ構成と同様である。
【0036】
許容量決定部104は、許容量テーブル記憶部120に記憶されている第1許容量テーブル121を参照し、設定情報特定部103により特定された設定情報に示される記録用紙の種類とインクの種類の組み合わせに対応付けられている許容量を特定する。許容量決定部104は、同様に、第2許容量テーブル122を参照し、許容量を特定する。なお、第1許容量テーブル121を参照して特定した許容量は、第1解像度における許容量であり、第2許容量テーブル122を参照して特定した許容量は、第2解像度における許容量である。
【0037】
このように、許容量テーブル記憶部120には、解像度毎に設定情報に適した許容量が予め記憶されているので、許容量決定部104は、許容量テーブル記憶部120を参照することにより、画像形成時の解像度や記録用紙の種類、インクの種類といった画像形成装置1の設定に適した許容量を特定することができる。
【0038】
印刷モード決定部105は、受付部101が印刷指示を受け付けると、印刷対象となる画像データの印刷モードを決定する。印刷モード決定部105は、受付部101が色修正指示を受け付けない場合には、第1印刷モードに設定する。印刷モード決定部105は、受付部101が色修正指示を受け付けた場合には、吐出量特定部102により特定されたインク吐出量と許容量決定部104により決定された第1解像度または第2解像度における許容量とを比較し、比較結果に応じて印刷モードを決定する。通知部106は、印刷モード決定部105からの指示にしたがい、適宜モニタ202を介してユーザに通知すべき情報を出力する。
【0039】
色変換部107は、色変換テーブル記憶部110に記憶されている色変換テーブル111〜113から、印刷モード決定部105により決定された印刷モードに対応する色変換テーブルを特定する。色変換部107は、第1印刷モードに設定されている場合には、第1色変換テーブル111を参照し、画像データの色値を出力色に色変換する。色変換部107は、第2印刷モードまたは第3印刷モードに設定されている場合には、それぞれ第2色変換テーブル112または第3色変換テーブル113を参照し、色修正指示に示される修正色を、印刷指示に示されるプロファイルに対応付けられた出力色に色変換する。
【0040】
画像形成部108は、色変換部107による色変換後の出力色を用いて、印刷モード決定部105により決定され、設定された印刷モードにおいて出力画像を形成する。具体的には、画像形成部108は、第1印刷モードに設定されている場合には、画像データから得られた出力色のインクを記録用紙に吐出することにより、画像データに対応する第1解像度の画像を形成する。画像形成部108は、第2印刷モードに設定されている場合には、色変換部107により色修正指示に示される修正色から得られた出力色のインクを記録用紙に吐出することにより、画像データの対象領域に対応する第1解像度の画像を形成する。画像形成部108は、第3印刷モードに設定されている場合には、色変換部107により修正色から得られた出力色のインクを用いて、画像データの対象領域に対応する第2解像度の画像を形成する。
【0041】
図6〜図8は、画像形成装置1による画像形成処理を示すフローチャートである。まず、受付部101は、画像データとプロファイルを指定した印刷指示を受け付ける(ステップS100)。ここで、プロファイルを指定する情報は、色変換情報に対応する。
【0042】
受付部101が印刷指示とともに色修正指示を受け付けなかった場合には(ステップS101,No)、印刷モード決定部105は、画像データのすべての領域の印刷モードを第1印刷モードに決定する(ステップS102)。次に、色変換部107は、第1印刷モードに対応する第1色変換テーブル111を参照し、画像データの各色値、すなわち入力色を、印刷指示に示されるプロファイルに対応付けられている出力色に色変換する(ステップS103)。次に、画像形成部108は、色変換部107により得られた出力色のインクを用いて、画像データに対応する第1解像度の画像を形成する(ステップS104)。以上で、色修正指示がない場合の画像形成処理が完了する。
【0043】
一方、ステップS101において、受付部101が色修正指示を受け付けた場合には(ステップS101,Yes)、設定情報特定部103は、設定情報を特定する(ステップS110)。次に、許容量決定部104は、許容量テーブル記憶部120に記憶されている第1許容量テーブル121および第2許容量テーブル122を参照し、設定情報特定部103により特定された設定情報、すなわち記録用紙の種類およびインクの種類に対応付けられている許容量を特定する(ステップS111)。すなわち、許容量決定部104は、第1解像度における許容量および第2解像度における許容量を特定する。
【0044】
そして、色修正指示に示されるすべての対象領域に対する印刷モードが決定されるまで、以下の処理が繰り返される(ステップS112)。すなわち、すべての対象領域に対する印刷モードが決定されていない場合には(ステップS112,No)、まず吐出量特定部102は、色修正指示に示される修正色および印刷指示に示されるプロファイルと、第1解像度に基づいて、第1解像度におけるインク吐出量を特定する(ステップS113)。具体的には、吐出量特定部102は、第1解像度におけるインク吐出量が記憶された第2色変換テーブル112を参照し、色修正指示に示される修正色に対応付けられている複数のインク吐出量のうち、印刷指示に示されるプロファイルに対応付けられているインク吐出量を特定する。
【0045】
次に、印刷モード決定部105は、許容量決定部104により決定された第1解像度における許容量と、吐出量特定部102により特定された第1解像度におけるインク吐出量とを比較する。インク吐出量が許容量以下である場合には(ステップS114,Yes)、印刷モード決定部105は、対象領域の印刷モードを第1解像度の第2印刷モードに決定し(ステップS115)、ステップS112に進む。このように、吐出量特定部102により特定された第1解像度におけるインク吐出量が第1解像度における許容量以下である場合には、印刷モード決定部105は、第1解像度で画像形成を行う第2印刷モードを、対象領域に対する印刷モードとして決定する。
【0046】
一方、ステップS114において、第1解像度におけるインク吐出量が第1解像度における許容量より多い場合には(ステップS114,No)、吐出量特定部102は、色修正指示に示される修正色および印刷指示に示されるプロファイルと、第2解像度に基づいて、第2解像度におけるインク吐出量を特定する(ステップS120)。具体的には、吐出量特定部102は、第2解像度におけるインク吐出量が記憶された第3色変換テーブル113を参照し、色修正指示に示される修正色に対応付けられている複数のインク吐出量のうち、印刷指示に示されるプロファイルに対応付けられているインク吐出量を特定する。
【0047】
次に、印刷モード決定部105は、許容量決定部104により決定された第2解像度における許容量と、吐出量特定部102により特定された第2解像度におけるインク吐出量とを比較する。第2解像度におけるインク吐出量が第2解像度における許容量以下である場合には(ステップS121,Yes)、印刷モード決定部105は、対象領域の印刷モードを第3印刷モードに決定し(ステップS122)、ステップS112に進む。このように、吐出量特定部102により特定された第2解像度におけるインク吐出量が第2解像度における許容量以下である場合には、印刷モード決定部105は、第2解像度で画像形成を行う第3印刷モードを、対象領域に対する印刷モードとして決定する。
【0048】
第3印刷モードは、第2印刷モードよりも高解像度に設定されている。このため、同一の修正色に対応する出力色の画像を形成するのに要するインク吐出量は少なくて済む。したがって、第2印刷モードにおいてはインク吐出量が許容量を超えてしまう場合であっても、より高解像度な第3印刷モードにおいてはインク吐出量が許容量以下に抑えられる場合がある。本実施の形態にかかる印刷モード決定部105は、このような場合には、より解像度の高い第3印刷モードに設定する。
【0049】
インク吐出量が許容量を超える場合には、インク吐出量が許容量以下となるように画像を修正することも考えられる。しかし、画像を修正した場合には、ユーザにより指定された修正色と異なる色に色変換される場合があり、これではユーザにより指定された修正色で画像を形成するという本来の目的を達成することができない。これに対し、本実施の形態にかかる画像形成装置1においては、第1解像度において許容量を超える場合であっても、第2解像度においては許容量以下となる場合には、より高解像度な第2解像度の第3印刷モードに設定することにより、インク吐出量を少なくすることで画像の劣化を防ぎつつ、ユーザの希望通りの修正色の画像を形成することができる。
【0050】
ステップS121において、インク吐出量が許容量より多い場合には(ステップS121,No)、通知部106は、ユーザに対し修正色での印刷ができないことを通知する(ステップS130)。具体的には、モニタ202に修正色での印刷ができない旨の通知画面を表示させる。
【0051】
これに対し、ユーザからの入力に従い、受付部101が、修正色と異なる色での印刷を許可し、かつ色修正指示に示される修正色に近い色での印刷を行う旨の指示を受付けた場合には(ステップS131,Yes、ステップS132,Yes)、印刷モード決定部105は、対象領域の印刷モードを第3印刷モードに決定し(ステップS133)、ステップS112に進む。これにより、画像形成装置1は、インク吐出量は第2解像度での許容量を超えるものの、比較的修正色に近い出力色の出力画像を形成することができる。
【0052】
また、ユーザからの入力に従い、受付部101が、修正色と異なる色での印刷を許可し、かつ色修正指示に示される修正色に近い色への色修正を行わない旨の指示を受付けた場合には(ステップS131,Yes、ステップS132,No)、印刷モード決定部105は、対象領域の印刷モードを第1印刷モードに決定する(ステップS134)。これにより、画像形成装置1は、修正色を反映することはできないものの、画像品質を損なうことなく、自然な色変換を行った出力画像を形成することができる。
【0053】
また、ステップS131において、ユーザから修正色と異なる色での印刷の許可を受け付けない場合には(ステップS131,No)、画像形成装置1は、画像形成処理、すなわち印刷を中止し(ステップS135)、処理が終了する。なお、画像形成に用いる記録用紙やインクの種類を変更することにより、許容量以下のインク吐出量で修正色の出力画像を形成することができる場合には、通知部106により、その旨をユーザに通知することとしてもよい。
【0054】
ステップS112において、色修正指示に示されるすべての対象領域に対し、印刷モードが決定されると(ステップS112,Yes)、次に、印刷モード決定部105は、色修正指示のない領域の印刷モードを第1印刷モードに決定する(ステップS140)。次に、色変換部107は、色変換テーブル記憶部110に記憶されている色変換テーブル111〜113から、画像データの各領域に対して設定された印刷モードに対応する色変換テーブルを特定し、特定した色変換テーブルを参照し、各領域の色値または修正色の色値を、印刷指示に示されるプロファイルに対応付けられている出力値に色変換する(ステップS141)。
【0055】
具体的には、色変換部107は、色修正指示のない領域については、第1印刷モードの第1色変換テーブル111を参照し、画像データの色値である入力色に対応付けられている出力色に色変換する。色変換部107は、色修正指示にかかる対象領域のうち、第2印刷モードに設定された領域については、第2色変換テーブル112を参照し、修正色に対応付けられている出力色に色変換する。色変換部107は、色修正指示にかかる領域のうち、第3印刷モードに設定された領域については、第3色変換テーブル113を参照し、修正色に対応付けられている出力色に色変換する。色変換部107は、色修正指示にかかる領域のうち、第1印刷モードに設定された領域については、第1色変換テーブル111を参照し、画像データの入力色に対応付けられている出力色に色変換する。
【0056】
次に、画像形成部108は、以上の処理により決定された印刷モードで画像を形成する(ステップS142)。具体的には、画像形成部108は、第1印刷モード、第2印刷モードに設定されている領域については、第1解像度で、色変換部107により得られた出力色に対応する各色のインクを記録用紙に吐出し、画像データに対応する出力画像を形成する。画像形成部108は、第3印刷モードに設定されている領域については、第2解像度で、色変換部107により得られた出力色に対応するインクを記録用紙に吐出し、画像データに対応する出力画像を形成する。以上で、画像形成装置1による画像形成処理が完了する。
【0057】
以上のように、本実施の形態にかかる画像形成装置1においては、所定の対象領域に対し修正色への色修正指示を受け付け、第1解像度において修正色に色修正を行った場合に、画像形成時のインク吐出量が許容量を超える場合には、対象領域については第1解像度に比べて高解像度な第2解像度で画像を形成する。これにより、インク滲みなどの画像劣化を防ぎつつ、ユーザの希望する色の画像を形成することができる。また、画像データ全体ではなく、対象領域単位で解像度を変更することができるので、出力画像の画質の低下を防ぐことができる。
【0058】
なお、本実施の形態の画像形成処理においては、色修正指示を受付けた場合には、色修正指示に示されるすべての対象領域の印刷モードを決定した後に、色変換および画像形成処理を行ったが、これにかえて、印刷モードを決定する度に、対象領域単位で色変換や画像形成処理を行ってもよい。
【0059】
図9は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置1としての複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。本図に示すように、画像形成装置1は、コントローラ210とエンジン部(Engine)260とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ210は、画像形成装置1全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部260は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部260には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0060】
コントローラ210は、CPU211と、ノースブリッジ(NB)213と、システムメモリ(MEM−P)212と、サウスブリッジ(SB)214と、ローカルメモリ(MEM−C)217と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)216と、ハードディスクドライブ(HDD)218とを有し、ノースブリッジ(NB)213とASIC216との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス215で接続した構成となる。また、MEM−P12は、ROM(Read Only Memory)212aと、RAM(Random Access Memory) 212bとをさらに有する。
【0061】
CPU211は、複合機の全体制御をおこなうものであり、NB213、MEM−P212およびSB214からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0062】
NB213は、CPU211とMEM−P212、SB214、AGPバス215とを接続するためのブリッジであり、MEM−P212に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0063】
MEM−P212は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM212aとRAM212bとからなる。ROM212aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM212bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。RAM212bには、色修正のためのテーブル(第1〜第3色変換テーブル111〜113、第1、第2許容量テーブル121、122)がテンポラリに読み込まれる。
【0064】
SB214は、NB213とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB214は、PCIバスを介してNB213と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0065】
ASIC216は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP215、PCIバス、HDD218およびMEM−C217をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC216は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC216の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C217を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部260との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC216には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)230、USB(Universal Serial Bus)240、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース250が接続される。モニタ202はASIC216に直接接続されている。
【0066】
MEM−C217は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD218は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDD218には、さらに、色修正のためのテーブル(第1〜第3色変換テーブル111〜113、第1、第2許容量テーブル121、122)が記憶されている。
【0067】
AGP215は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P212に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0068】
図10は、本実施の形態にかかる画像形成装置1の画像形成にかかるハードウェアの要部構成の斜視図である。図11は、図10に示す画像形成装置1の側面図である。画像形成装置1は、画像形成装置1の本体の内部に、主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる印刷ヘッド、印刷ヘッドにインクを供給するサブタンク等で構成される印字機構部2を収納し、画像形成装置1の本体の下部には、前方側から多数枚の記録用紙3を積載可能な給紙カセット4(あるいは給紙トレイでも適用可能)を抜き差し自在に装着することができ、また、記録用紙3を手差しで給紙するための手差しトレイ5を開倒することができ、給紙カセット4あるいは手差しトレイ5から給送される記録用紙3を取り込み、印字機構部2により所要の画像を印字した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0069】
印字機構部2は、主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図11で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなる印刷ヘッド14を複数のインク吐出口を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ13には印刷ヘッド14に各色のインクを供給するためのサブタンク15が装着されている。
【0070】
サブタンク15は、上方に大気と連通する大気口、下方にインクジェットヘッドにインクを供給する供給口を、内部にインク残量を検知するセンサと、インクが充填された多孔質体と、を有して構成されており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドに供給されるインクをわずかな負圧に維持している。本実施の形態におけるサブタンク15の容量は、プリンタの高速化に伴うキャリッジ13の軽量化のため、必要最小限の大きさになっている。したがって、サブタンク15の中のインクが少なくなるとインクを補給しなければならないこととなる。
【0071】
印刷ヘッド14として、ここでは各色の印刷ヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の印刷ヘッドでもよい。さらに、印刷ヘッド14として用いるインクジェットヘッドは、その吐出機構として、圧電素子などの電気機械変換素子で液室壁面を形成する振動板を介してインクを加圧するピエゾ型、通電により発熱する発熱体を備える膜沸騰式を利用するサーマル型、あるいは、インク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型などが適用可能である。なお、本実施の形態ではピエゾ型インクジェットヘッドを用いることとする。
【0072】
ここで、図10に示すように、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0073】
一方、給紙カセット4にセットした記録用紙3を印刷ヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から記録用紙3を分離給装する給紙ローラ21およびフリクションパッド22と、記録用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された記録用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25および搬送ローラ24からの記録用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0074】
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された記録用紙3を印刷ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、記録用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32を設け、さらに記録用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とを配設している。
【0075】
記録用紙3に像を記録する時には、キャリッジ13を移動させながら印字信号に応じて印刷ヘッド14を駆動することにより、停止している記録用紙3にインクを吐出して1行分を往路で記録し、記録用紙3を所定量搬送した後、次の行の記録を復路で行う(以下、双方向印刷という)。
【0076】
そして、記録終了信号、または、記録用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受信することで、記録動作を終了させ、記録用紙3を排紙する。なお、記録用紙3への記録は往復路のいずれか一方向で行うことも可能である(以下、片方向印刷という)。
【0077】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、印刷ヘッド14の吐出不良の回復、サブタンク15にインクを供給するメインのインクタンク等で構成される回復装置37を配置している。回復装置37は、キャッピング手段と、吸引手段と、クリーニング手段と、インク補給手段と、を有して構成されている。キャリッジ13は、印字待機中はこの回復装置37側に移動され、キャッピング手段により印刷ヘッド14をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0078】
また、吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段により印刷ヘッド14の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、クリーニング手段により吐出口面に付着したインクやゴミ等が除去され、吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、インクジェット記録装置本体下部に設置された廃インク溜(図示せず)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0079】
また、サブタンク15内にインクが無くなった場合には、インクの補給はキャリッジ13が所定の位置に来た時に回復装置37により行われる。イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色別のインクタンクを備えた回復装置37は、Y、M、C、Kの各色毎のサブタンク15とチューブ等を介して直結されており、常に一定の水圧がかけられている。また、回復装置37にはインク供給ノズルとバルブとが備え付けられており、インク供給の必要が生じた際に、バルブが開いてインク供給ノズルよりインクが流れ出るように構成されており、サブタンク15へのインクの供給が可能になる。
【0080】
なお、本実施の形態の画像形成装置1で実行される画像形成プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の画像形成装置1で実行される画像形成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0081】
さらに、本実施の形態の画像形成装置1で実行される画像形成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成装置1で実行される画像形成プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0082】
本実施の形態の画像形成装置1で実行される画像形成プログラムは、上述した各部(受付部、吐出量特定部、設定情報特定部、許容量決定部、印刷モード決定部、通知部、色変換部、画像形成部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、受付部、吐出量特定部、設定情報特定部、許容量決定部、印刷モード決定部、通知部、色変換部、画像形成部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0083】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置1を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0084】
本実施の形態におけるインク吐出量は、出力色と解像度に基づいて、一意に定まる値であり、インク吐出量は、予め定められた関係式を用いることにより、出力色と解像度から算出することができる。そこで、第1の変更例としては、吐出量特定部102は、第1解像度におけるインク吐出量を特定する場合に、第2色変換テーブル112を参照することにより、修正色に対応する第1解像度の出力色を特定し、特定した出力色と第1解像度から、関係式によりインク吐出量を算出することとしてもよい。この場合、第1色変換テーブル112は、インク吐出量を記憶しなくてもよい。
【0085】
吐出量特定部102は、第2解像度におけるインク吐出量を特定する場合にも、同様に、第3色変換テーブル113を参照することにより、修正色に対応する第2解像度の出力色を特定し、特定した出力色と第2解像度から、関係式によりインク吐出量を算出することとしてもよい。この場合、第3色変換テーブル113は、インク吐出量を記憶しなくてもよい。
【0086】
また、本実施の形態にかかる色変換テーブル記憶部110に記憶されている第2色変換テーブル112においては、修正色と、複数のプロファイルそれぞれに対応する複数の出力色と、複数のインク吐出量とが対応付けて記憶されているが、第2の変更例としては、第2色変換テーブル112においては、修正色と、複数のプロファイルそれぞれに対応する複数の出力色のみが対応付けて記憶され、画像形成装置は、第2色変換テーブル112を記憶する色変換テーブル記憶部110とは別に、第1解像度における出力色とインク吐出量とを対応付けて記憶する吐出量テーブルを記憶する吐出量テーブル記憶部をさらに備えてもよい。この場合、吐出量特定部102は、第2色変換テーブル112を参照し、修正色に対応する出力色を特定し、さらに第1解像度における吐出量テーブルを参照し、特定した出力色に対応するインク吐出量を特定すればよい。
【0087】
第3色変換テーブル113についても同様である。すなわち、第3色変換テーブル113においては、修正色と、複数のプロファイルそれぞれに対応する複数の出力色のみが対応付けて記憶され、画像形成装置は、第3色変換テーブル113を記憶する色変換テーブル記憶部110とは別に、第2解像度における出力色とインク吐出量とを対応付けて記憶する吐出量テーブルを記憶する吐出量テーブル記憶部をさらに備えてもよい。この場合には、吐出量特定部102は、第3色変換テーブル113を参照し、修正色に対応する出力色を特定し、第2解像度における吐出量テーブルを参照し、特定した出力色に対応するインク吐出量を特定すればよい。
【0088】
また、本実施の形態にかかる色変換テーブル記憶部110は、1つの入力色に対し複数のプロファイルに対応する複数の出力色が対応付けられた第1色変換テーブル111を記憶しているが、他の例としては、色変換テーブル記憶部110は、1つの入力色に対し1つの出力色が対応付けられたテーブルをプロファイル毎に複数記憶してもよい。第2、3色変換テーブル112、113についても同様である。このように、色変換テーブル111〜113を参照することにより、入力色または修正色とプロファイルから一意に出力色を特定できればよく、色変換テーブル111〜113のデータ構成は実施の形態に限定されるものではない。
【0089】
本実施の形態にかかる画像形成装置1は、複数種類のプロファイルでの色変換が可能であるが、これにかえて、画像形成装置1は、一のプロファイルでの色変換のみを行うこととしてもよい。この場合には、第1色変換テーブル111においては、一の入力色に対し、一の出力色が対応付けられていればよい。また、第2,3色変換テーブル112,113においては、一の修正色に対し、一の出力色および一のインク吐出量が対応付けられていればよい。この場合には、ユーザによるプロファイルの指定は不要であり、色変換テーブル111〜113を参照することにより、入力色または修正色に基づいて、一意に出力色が特定される。
【0090】
本実施の形態の変更例としては、設定情報特定部103は、プリンタドライバの設定情報にかえて、画像形成装置1本体から設定情報を取得してもよい。また、画像形成装置1は記録用紙の種類を判定するセンサを備え、設定情報特定部103は、センサの判定結果から記録用紙の種類を特定してもよい。
【0091】
また、本実施の形態においては、許容量決定部104は、記録用紙の種類およびインクの種類に基づいて、許容量を決定することとしたが、設定情報は、実施の形態に限定されるものではない。例えば、許容量決定部104は、記録用紙の種類のみに基づいて、許容量を決定することとしてもよく、インクの種類のみに基づいて、許容量を決定することとしてもよい。また、許容量決定部104は、これ以外の設定情報に基づいて許容量を決定してもよい。インクの許容量は、記録用紙の種類およびインクの種類の他、画像形成装置1の記録ヘッドのスキャン速度やスキャン回数、画像形成時に吐出させるインク滴の配置や配置順序、隣接するインク滴が重なるまでの時間等に応じて異なる。そこで、許容量決定部104は、これらの条件を加味して許容量を決定してもよい。
【0092】
また、本実施の形態の変更例としては、許容量決定部104は、許容量テーブル記憶部120に記憶されている許容量テーブル121,122を参照するのにかえて、設定情報に基づいて、予め設定された設定情報と許容量の関係式を用いて、許容量を算出することとしてもよい。
【0093】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態にかかる画像形成装置50においては、設定情報に基づいて、第2解像度とする解像度を決定する。図12は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置50の処理部300のブロック図である。処理部300は、第1の実施の形態にかかる処理部100の機能構成に加えて、解像度決定部330をさらに備えている。また、色変換テーブル記憶部310は、複数の第3色変換テーブル313a,313b,313c・・・を記憶している。各第3色変換テーブルは、いずれも第1解像度よりも高く、互いに異なる解像度における色変換テーブルである。許容量テーブル記憶部320は、複数の第2許容量テーブル322a,322b,322c・・・を記憶している。各第2許容量テーブルは、いずれも第1解像度よりも高く、互いに異なる解像度における許容量テーブルである。
【0094】
解像度決定部330は、設定情報特定部103により特定された設定情報に基づいて、第2解像度とする解像度の値を決定する。これにしたがい、吐出量特定部302は、色変換テーブル記憶部310に記憶されている複数の第3色変換テーブル313a,313b,313c・・・の中から、解像度決定部330により決定された第2解像度に対応する第3色変換テーブルを、吐出量を特定する際に参照すべき色変換テーブルとして特定し、特定した色変換テーブルを参照して、インク吐出量を特定する。また、色変換部307も同様に、色変換テーブル記憶部310に記憶されている複数の第3色変換テーブル313a,313b,313c・・・の中から、解像度決定部330により決定された第2解像度に対応する第3色変換テーブルを、色変換の際に参照すべき色変換テーブルとして特定し、特定した色変換テーブルを参照して、色変換を行う。また、画像形成部308は、第3印刷モードに設定されている場合には、解像度決定部330により決定された解像度で画像を形成する。
【0095】
また、許容量決定部304は、許容量テーブル記憶部320に記憶されている複数の第2許容量テーブル322a,322b,322c・・・の中から、解像度決定部330により決定された第2解像度に対応する第2許容量テーブルを、許容量を決定する際に参照すべき許容量テーブルとして特定し、特定した許容量テーブルを参照して、許容量を特定する。
【0096】
このように、第2の実施の形態にかかる画像形成装置50においては、画像形成装置50の設定情報に適した解像度を第2解像度として設定することができるので、インク滲みが生じることなく、良好な状態に修正色を再現した画像を形成することができる。
【0097】
なお、画像形成装置50のこれ以外の構成および処理は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置1の構成および処理と同様である。
【0098】
(第3の実施の形態)
図13は、第3の実施の形態にかかる画像形成システム360の概略構成図である。画像形成システム360は、PC70と、画像形成装置としてのプリンタ80とを備えている。PC70とプリンタ80とはネットワークを介して接続している。PC70は、画像データを保持するHDD73と、プログラムを実行可能なオペレーティングシステムを内蔵し、画像データをHDD73から読み出しおよび書き込み、かつデータに対する演算を行う中央演算処理装置(CPU)71と、演算に必要なデータを保持する記憶媒体(メモリ)72と、外部装置との間で通信およびデータの送受信を行うインターフェース装置(I/F)74と、ユーザインターフェースとして機能する入力装置75およびモニタ76とを備えている。
【0099】
画像形成システム360においては、ユーザは、PC70において色修正指示を入力する。入力された色修正指示は、ネットワークを介してプリンタ80に送信される。プリンタ80においては、ネットワークを介して受信した色修正指示にしたがい、画像形成処理を行う。
【0100】
図14は、プリンタ80の処理部800のブロック図である。処理部800は、第1の実施の形態にかかる受付部101および通知部106に変えて、通信部801を備えている。通信部801は、ネットワークを介してPC70から印刷指示や色修正指示を受信する。通信部801はまた印刷モード決定部105からの指示にしたがい、ネットワークを介してPC70にてユーザに通知すべき情報を送信する。
【0101】
このように、画像形成システム60においては、PC70においてユーザから入力された情報にしたがい、プリンタ80において、適切な色修正を行った画像を形成する。
【0102】
なお、これ以外のプリンタ80の構成および処理は、他の実施の形態にかかる画像形成装置の構成および処理と同様である。
【符号の説明】
【0103】
1 画像形成装置
100 処理部
101 受付部
102 吐出量特定部
103 設定情報特定部
104 許容量決定部
105 印刷モード決定部
106 通知部
107 色変換部
108 画像形成部
110 色変換テーブル記憶部
120 許容量テーブル記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特許第4347435号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて、記録用紙に色剤を吐出することにより画像を形成する画像形成装置であって、
ユーザから、画像データの一部または全部の領域である対象領域および前記対象領域の修正色を指示する色修正指示を受け付ける受付手段と、
前記修正色と、当該画像形成装置が所定の第1解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第1出力色とを対応付けた第1色変換テーブルと、前記修正色と、当該画像形成装置が前記第1解像度よりも高解像度な第2解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第2出力色とを対応付けた第2色変換テーブルとを記憶する記憶手段と、
前記修正色と前記第1解像度に基づいて、前記修正色に対応する前記第1出力色の出力画像を形成するときに要する、前記記録用紙の単位面積当たりの色剤吐出量を特定する吐出量特定手段と、
前記色剤吐出量と予め設定された許容量とを比較し、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第1出力色に変換し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第2出力色に変換する色変換手段と、
前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1出力色の色剤を用いて前記第1解像度で前記対象領域の出力画像を形成し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2出力色の色剤を用いて前記第2解像度で前記対象領域の出力画像を形成する画像形成手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、複数の色変換の種類それぞれに対応する複数の前記第1色変換テーブルおよび複数の前記第2色変換テーブルを記憶し、
前記受付手段は、前記色変換の種類を指定する色変換情報をさらに受け付け、
前記色変換手段は、前記色変換情報に示される種類に対応する前記第1色変換テーブルおよび前記色変換情報に示される種類に対応する前記第2色変換テーブルを参照することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記第1解像度よりも高解像度であって、かつ互いに異なる複数の前記第2解像度それぞれにおいて、前記修正色の出力画像を形成するときに利用する前記第2出力色と前記修正色とを対応付けた複数の色変換テーブルを前記第2色変換テーブルとして記憶し、
当該画像形成装置に設定された情報から、当該画像形成装置が使用する前記色剤の種類および当該画像形成装置が出力画像を形成する前記記録用紙の種類のうち少なくとも一方の設定情報を特定する設定情報特定手段と、
前記設定情報特定手段により特定された前記設定情報に基づいて、前記第2解像度とする解像度を決定する解像度決定手段と
をさらに備え、
前記色変換手段は、前記解像度決定手段により決定された前記第2解像度において前記修正色の出力画像を形成するときに利用する前記第2出力色と前記修正色とを対応付けた前記第2色変換テーブルを参照して、前記修正色を前記第2出力色に変換し、
前記画像形成手段は、前記解像度決定手段により決定された前記第2解像度で前記対象領域の前記出力画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1色変換テーブルは、前記修正色と、前記第1出力色と、当該第1出力色で前記第1解像度の画像を形成するのに要する前記色剤吐出量とを対応付け、
前記吐出量特定手段は、前記第1色変換テーブルを参照し、前記修正色に対応付けられている前記色剤吐出量を特定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吐出量特定手段は、前記第1色変換テーブルを参照し、前記修正色に対応付けられている前記第1出力色を特定し、予め設定されている前記第1出力色、前記解像度および前記色剤吐出量の関係式を用いて、特定した前記第1出力色と、前記第1解像度から前記色剤吐出量を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
当該画像形成装置に設定された情報から、当該画像形成装置が使用する前記色剤の種類および当該画像形成装置が出力画像を形成する前記記録用紙の種類のうち少なくとも一方を特定する設定情報特定手段と、
前記設定情報特定手段により特定された前記設定情報に基づいて、前記許容量を決定する許容量決定手段と
をさらに備え、
前記色変換手段は、前記許容量決定手段により決定された前記許容量と、前記色剤吐出量とを比較することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記受付手段は、前記画像データのうち所定の領域または所定のオブジェクトを前記対象領域とする前記色修正指示を受け付けることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記受付手段は、前記画像形成手段の特性に依存しない色空間における色を前記修正色とする前記色修正指示を受け付けることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像データに基づいて、記録用紙に色剤を吐出することにより画像を形成する画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、ユーザから指定される修正色と、当該画像形成装置が所定の第1解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第1出力色とを対応付けた第1色変換テーブルと、前記修正色と、当該画像形成装置が前記第1解像度よりも高解像度な第2解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第2出力色とを対応付けた第2色変換テーブルとを記憶する記憶手段を備え、
受付手段が、ユーザから、画像データの一部または全部の領域である対象領域および前記対象領域の修正色を指示する色修正指示を受け付ける受付ステップと、
吐出量特定手段が、前記修正色と前記第1解像度に基づいて、前記修正色に対応する前記第1出力色の出力画像を形成するときに要する、前記記録用紙の単位面積当たりの色剤吐出量を特定する吐出量特定ステップと、
色変換手段が、前記色剤吐出量と所定の許容量とを比較し、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第1出力色に変換し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第2出力色に変換する色変換ステップと、
画像形成手段が、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1出力色の色剤を用いて前記第1解像度で前記対象領域の出力画像を形成し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2出力色の色剤を用いて前記第2解像度で前記対象領域の出力画像を形成する画像形成ステップと
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
ユーザから指定される修正色と、画像形成装置が所定の第1解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第1出力色とを対応付けた第1色変換テーブルと、前記修正色と、前記画像形成装置が前記第1解像度よりも高解像度な第2解像度で前記修正色の出力画像を形成するときに利用する第2出力色とを対応付けた第2色変換テーブルとを記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、
ユーザから、画像データの一部または全部の領域である対象領域および前記対象領域の修正色を指示する色修正指示を受け付ける受付手段と、
前記修正色と前記第1解像度に基づいて、前記画像形成装置が前記修正色に対応する前記第1出力色の出力画像を形成するときに要する、記録用紙の単位面積当たりの色剤吐出量を特定する吐出量特定手段と、
前記色剤吐出量と予め設定された許容量とを比較し、前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第1出力色に変換し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2色変換テーブルを参照して前記修正色を前記第2出力色に変換する色変換手段と、
前記色剤吐出量が前記許容量以下である場合に、前記第1出力色の色剤を用いて前記第1解像度で前記対象領域の出力画像を形成し、前記色剤吐出量が前記許容量より多い場合に、前記第2出力色の色剤を用いて前記第2解像度で前記対象領域の出力画像を形成する画像形成手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−27984(P2013−27984A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163685(P2011−163685)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】