画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム
【課題】エッジを検出して書き込み露光量を下げるエッジ補正処理を行う場合に、色の違うエッジが隣接している領域で白抜けが発生することを抑えることが可能な画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手段と、前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手段と、前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手段と、を有し、前記変換手段は、前記判定手段による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する。
【解決手段】色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手段と、前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手段と、前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手段と、を有し、前記変換手段は、前記判定手段による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置では、画像のエッジ部を検出し、エッジ部の書き込み露光量を下げることにより、エッジ部のトナー付着量を最適にする技術が既に知られている。従来の画像形成装置では、この技術により、現像のエッジ効果により文字や線画のエッジ部にトナーが過度に付着し、トナーが周辺に飛散して画質劣化(文字や線画の太りや地汚れ)を起こすことを防止し、さらにトナー消費量の増加を抑制する。
【0003】
例えば特許文献1には、画像のエッジ部を検出し、エッジ部で所定値以上の画素値を有する場合には、所定量だけ小さい書き込み値(露光量)に変換する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の特許技術では、エッジ部でそれぞれの色版について書き込み露光量を下げるエッジ補正処理が行われるため、例えば色の違うエッジが隣接している画像等ではエッジ境界に白抜けが発生しやすくなる。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべく成されたものであり、エッジを検出して書き込み露光量を下げるエッジ補正処理を行う場合に、色の違うエッジが隣接している領域で白抜けが発生することを抑えることが可能な画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成すべく以下の如き構成を採用した。
【0007】
本発明は、画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置であって、色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手段と、前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手段と、前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手段と、を有し、前記変換手段は、前記判定手段による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する。
【0008】
本発明は、画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置による画像形成方法であって、色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手順と、前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手順と、前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手順と、を有し、前記変換手順は、前記判定手順による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する。
【0009】
本発明は、画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、前記画像形成装置に、色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出ステップと、前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換ステップと、前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定ステップと、を実行させ、前記変換ステップは、前記判定ステップにおける判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エッジを検出して書き込み露光量を下げるエッジ補正処理を行う場合に、色の違うエッジが隣接している領域で白抜けが発生することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図2】第一の実施形態の画像処理装置を説明する図である。
【図3】第一の実施形態のエッジ検出部を説明する図である。
【図4】第一の実施形態のプロッタ制御装置を説明する図である。
【図5】第一の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【図6】第一の実施形態のLD書き込み値の制御を説明する図である。
【図7】第一の実施形態のLD書き込み値への変換テーブルを説明する図である。
【図8】第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第一の図である。
【図9】第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第二の図である。
【図10】第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第三の図である。
【図11】第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第四の図である。
【図12】白抜けが発生する場合を説明する図である。
【図13】第二の実施形態の変換テーブルを説明する図である。
【図14】第二の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【図15】第二の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する図である。
【図16】第三の実施形態の変換テーブルを説明する図である。
【図17】第三の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【図18】第三の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する図である。
【図19】K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしない場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【0013】
本実施形態の画像形成装置100は、外部IF(インターフェイス)装置110、CPU(Central Processing Unit)120、メモリ装置130、ROM140、画像処理装置150、プロッタ制御装置160、プロッタ170を有する。
【0014】
外部IF装置110は、画像形成装置100をコンピュータ101とネットワークを介して接続されてする。本実施形態の画像形成装置100は、コンピュータ101からの印刷画像データが入力される。
【0015】
CPU120は、画像形成装置100全体の制御を行う。メモリ装置130は、CPU120が画像形成装置100の制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶するためなどに使用される揮発性メモリである。ROM140は、CPU120が画像形成装置100の制御を行う際のプログラムなどを格納するメモリである。
【0016】
画像処理装置150は、画像形成装置100に入力された印刷画像データに対して各種画像処理を施し、プロッタ170の出力階調数のCMYK画像データとエッジ領域データを生成する。本実施形態のプロッタ170の出力階調数は2bitとした。画像処理装置150により生成されたCMYK各色の1ページ分の画像データとエッジ領域データは、メモリ装置130に記憶される。
【0017】
プロッタ制御装置160は、メモリ装置130に記憶されたCMYK各色の画像データとエッジ領域データとを受け取り、レーザビームの露光量に相当する信号に変換し、プロッタ170に送る。以下の説明では、レーザビームの露光量に相当する信号の値をLD(Laser Diode)書き込み値と呼ぶ。本実施形態では、LD書き込み値は6bitとした。プロッタ170は、LD書き込み値に基づいたレーザビームによる露光を行い、その後、現像、転写、定着を行って、出力用紙上に画像を形成する。また本実施形態は、読取り装置(スキャナ)が搭載された画像形成装置にも適用できる。
【0018】
次に図2を参照して本実施形態の画像形成装置100の画像処理装置150について説明する。図2は、第一の実施形態の画像処理装置を説明する図である。
【0019】
本実施形態の画像処理装置150は、色変換部151、γ補正部152、ディザ処理部153、エッジ検出部154を有する。
【0020】
色変換部151は、入力されたRGB(又はCMYK)の印刷画像データをLUT(Look Up Table)等を用いてプロッタ170の色再現特性に合わせたCMYK各色8bitのデータに変換する。γ補正部152は、出力画像の階調特性を調整するためにCMYKの色毎に一次元のLUT変換を行う。ディザ処理153は、CMYK各色8bitのデータをプロッタ170の出力階調数に変換する。エッジ検出部154は、色変換後のCMYK画像データに対してエッジ領域か否かを画素毎に判定し、エッジ領域データとして出力する。
【0021】
以下に図3を参照して本実施形態のエッジ検出部154について説明する。図3は、第一の実施形態のエッジ検出部を説明する図である。
【0022】
本実施形態のエッジ検出部154では、例えば図3(a)〜(d)に示す4つの5×5画素のエッジ検出フィルタを用いても良い。エッジ検出部154は、色変換後のCMYK画像データからエッジ検出フィルタにより各画素のエッジ量を算出する。以下の説明では、エッジ量の算出対象の画素を注目画素と呼ぶ。
【0023】
本実施形態において、例えばエッジ量をedge_iとする(iはC/M/Y/Kのいずれか)。エッジ検出部154は、edge_iが所定閾値thr以上のとき、その画素をエッジ領域、thr未満のとき非エッジ領域と判定する。例えば5×5画素のエッジ検出フィルタでは、エッジ境界から2画素幅のエッジを検出することができる。本実施形態のエッジ検出部154は、注目画素がエッジ領域であるか否かを示すデータをエッジ領域データとして出力する。尚エッジの検出方法は、図3に示すエッジ検出フィルタを用いる方法に限らず、パターンマッチングによる方法など、他の公知の方法を用いることが可能である。
【0024】
次に図4を参照して本実施形態のプロッタ制御装置160について説明する。図4は、第一の実施形態のプロッタ制御装置を説明する図である。
【0025】
本実施形態のプロッタ制御装置160は、隣接エッジ判定部161、LD書き込み値変換部162を有する。
【0026】
隣接エッジ判定部161は、CMYK全版のエッジ領域データを参照して、各版が非エッジ領域、エッジ領域であり且つ隣接エッジあり、エッジ領域であり隣接エッジなし、のいずれかであるかを判定し、判定結果をLD書き込み値変換部162へ送る。非エッジ領域とは、エッジ領域でないことを示す。エッジ領域であり且つ隣接エッジありとは、エッジ領域内で他の色版のエッジ領域が隣接していることを示す。エッジ領域であり隣接エッジなしとは、エッジ領域内で、他の色版のエッジ領域が隣接していないことを示す。隣接エッジ判定部161の詳細は後述する。
【0027】
LD書き込み値変換部162では変換テーブルにしたがって、画像処理後データをLD書き込み値に変換する。以下の説明では、LD書き込み値を変換することをエッジ補正と呼ぶ。尚変換テーブルでは、隣接エッジ判定部161の判定結果に対応したLD書き込み値が格納されたものである。変換テーブルの詳細は後述する。
【0028】
以下に図5を参照して本実施形態の隣接エッジ判定部161の処理について説明する。図5は、第一の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【0029】
本実施形態の隣接エッジ判定部161は、処理対象の版の注目画素がエッジ領域であるか否かをエッジ領域データから判定する(ステップS501)。ステップS501において、注目画素がエッジ領域でない場合、隣接エッジ判定部161はこの注目画素を非エッジ領域と判定する(ステップS502)。ステップS501において注目画素がエッジ領域である場合、隣接エッジ判定部161は、注目画素を中心とする5×5画素領域内に、他の版のエッジ領域画素が存在するかをエッジ領域データから判定する(ステップS503)。
【0030】
ステップS503において5×5画素領域内に他の版のエッジ領域である画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素をエッジ領域であり且つ隣接エッジありと判定する(ステップS504)。他の版のエッジ領域画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素をエッジ領域であり隣接エッジなしと判定する(ステップS505)。
【0031】
次にLD書き込み値変換部162について説明する。本実施形態のプロッタ170において、レーザビームの露光量はプロッタ制御装置160から出力されるLD書き込み値に従う。LD書き込み値は、LD書き込み値変換部162により制御される。本実施形態では、LD書き込み値は6bitであるので、レーザビームの露光量は6bit(64段階)で制御可能である。
【0032】
以下に図6を参照して本実施形態のLD書き込み値の制御について説明する。図6は、第一の実施形態のLD書き込み値の制御を説明する図である。図6では、パルス幅変調をする場合のレーザビームによる露光を概念的に示している。図6の例では、各画素が(LD書き込み値)/63の幅で露光される。またLD書き込み値が0のときはレーザ点灯オフで露光されず、LD書き込み値が63のときは1画素幅分のレーザ点灯がされるものとした。
【0033】
次に図7を参照してLD書き込み値への変換テーブルについて説明する。図7は、第一の実施形態のLD書き込み値への変換テーブルを説明する図である。
【0034】
本実施形態の変換デーブル70は、例えばLD書き込み値変換部162に格納されている。変換テーブル70は、画像データの画素値と、画素値に対応するLD書き込み値とが対応付けられている。さらに変換テーブル70における画素値に対応するLD書き込み値は、対象の画素が含まれる領域によって設定されている。
【0035】
プロッタ制御装置160に入力される画像処理後の画像データの画素値は00b/01b/10b/11bの2bit(4値)であり、それぞれドットオフ、1/3ドット、2/3ドット、フルドットを意味する。01b(1/3ドット)と10b(2/3ドット)は、11b(フルドット)に対してそれぞれ1/3、2/3の大きさのドットである。
【0036】
本実施形態のLD書き込み値変換部162は、非エッジ領域では、図7に示す変換テーブル70を参照し、画素値4値について、ドットオフ、1/3ドット、2/3ドット、フルドットとなるようにLD書き込み値を変換する。
【0037】
つまり本実施形態のLD書き込み値変換部162は、ドットオフを示す画素値00bのLD書き込み値を0とし、1/3ドットを示す画素値01bのLD書き込み値を21とし、1/2ドットを示す画素値10bのLD書き込み値を42とし、フルドットを示す画素値11bのLD書き込み値を63とする。すなわちLD書き込み値変換部162は、非エッジ領域の画像データについては、4値の各画像データに対してLD書き込み値の6bit(0〜63)を均等(0/21/42/63)に割り当てるように変換する。
【0038】
尚LD書き込み値は必ずしも上記値であるとは限らず、形成されるドットの大きさが適切になるようにLD書き込み値を実験的に決めても良い。
【0039】
また本実施形態では、エッジ領域であり隣接エッジなしの画像データについては、エッジ部に過度にトナーが付着するのを防止するため、画素値11b(フルドット)のLD書き込み値を小さくする。変換テーブル70では、エッジ領域であり隣接エッジなしの場合のLD書き込み値を50とした。尚このLD書き込み値も、エッジ部のトナー付着量が最適になるように実験的に決められれば良い。
【0040】
さらに本実施形態では、エッジ領域であり且つ隣接エッジありの場合、画素値11b(フルドット)のLD書き込み値を非エッジ領域LD書き込み値63とエッジ領域であり隣接エッジなしの場合のLD書き込み値50の中間レベルである57にとした。
【0041】
以下に具体例を参照して本実施形態のプロッタ制御装置160の処理を説明する。
【0042】
図8は、第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第一の図である。図8(a)は、画像80を示しており、図8(b)はシアン画像の画素値を示しており、図8(c)はシアン画像と重畳されるマゼンタ画像の画素値を示している。
【0043】
図8(a)に示す画像80は、境界Eにより領域81と領域82と分かれている。領域81はシアンの画像であり、領域82はブルーの画像である。したがって、領域81の画像はシアン版のみで形成された画像であり、領域82の画像は、シアン版とマゼンタ版が重畳されて形成された画像である。
【0044】
したがってシアン版の画素値は、図8(b)に示すように画像位置P1から画像位置P2までフルドットを示す11bである。またマゼンタ版の画素値は、図8(c)に示すように境界Eから画像位置P1までがフルドットを示す11bとなる。尚図8(a)において、紙面上の画像位置P1の左側は領域81の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P1は白画素との境界ではない。画像位置P2についても同様に、紙面上の画像位置P2の右側は領域82の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P2は白画素との境界ではない。
【0045】
この画像80について、本実施形態のプロッタ制御装置160は、隣接エッジ判定部161による判定を行う。
【0046】
隣接エッジ判定部161は、画像80におけるシアン版についてはエッジ領域なしと判定する。また隣接エッジ判定部161は、マゼンタ版についてはエッジ境界Eから2画素幅の画像位置P3から画像位置P4をエッジ領域S10と判定する。さらに隣接エッジ判定部161は、エッジ領域S10内には他の版のエッジ領域である画素が存在しないため、エッジ領域S10は隣接エッジなしと判定する。
【0047】
続いて図9を参照して図8の画像80に対するLD書き込み値変換部162の処理を説明する。図9は、第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第二の図である。
【0048】
図9(a)は画像80を示しており、図9(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図9(c)はマゼンタの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0049】
シアン版はエッジ領域なしである。すなわちエッジ領域S10において非エッジ領域である。よって図9(b)に示すように、LD書き込み値変換部162は、変換テーブル70にしたがって画素値11bに対応するLD書き込み値を63とする。
【0050】
マゼンタ版は、エッジ領域S10において隣接エッジなしである。よって図9(c)に示すように、LD書き込み値変換部162は、変換テーブル70にしたがって、エッジ領域S10内における領域S11において、画素値11bに対応するLD書き込み値をとする。領域S11は、マゼンタ側のエッジである。
【0051】
図10は、第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第三の図である。図10(a)は、画像90を示しており、図10(b)はシアン画像の画素値を示しており、図10(c)はマゼンタ画像の画素値を示している。
【0052】
図10(a)に示す画像90は、境界E1により領域91と領域92と分かれている。領域91はシアンの画像であり、領域92はマゼンタの画像である。したがって領域91の画像はシアン版のみで形成された画像であり、領域92の画像はマゼンタ版のみで形成された画像である。
【0053】
よってシアン版の画素値は、図10(b)に示すよう画像位置P5から境界E1までフルドットを示す11bである。またマゼンタ版の画素値は、図10(c)に示すように境界E1から画像位置P6までがフルドットを示す11bとなる。尚図10(a)において、紙面上の画像位置P5の左側は領域91の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P5は白画素との境界ではない。画像位置P6についても同様に、紙面上の画像位置P6の右側は領域92の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P6は白画素との境界ではない。
【0054】
この画像90について、本実施形態のプロッタ制御装置160は、隣接エッジ判定部161による判定を行う。
【0055】
隣接エッジ判定部161は、画像90におけるシアン版についてはエッジ境界E1から2画素幅の画像位置P7から画像位置P8をエッジ領域S12と判定する。また隣接エッジ判定部161は、マゼンタ版についてもエッジ境界E1から2画素幅の画像位置P6から画像位置P7をエッジ領域S12と判定する。
【0056】
さらに隣接エッジ判定部161は、エッジ領域S12内に、シアン版のエッジ領域とマゼンタ版のエッジ領域の両方が含まれると判定する。すなわちシアン版については、エッジ領域S12内にマゼンタ版のエッジ領域である画素が存在するため、エッジ領域S12は隣接エッジあり、と判定される。またマゼンタ版についても同様に、エッジ領域S12内にシアン版のエッジ領域である画素が存在するため、エッジ領域S12は隣接エッジあり、と判定される。
【0057】
続いて図11を参照して画像90に対するLD書き込み値変換部162の処理を説明する。図11は、第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第四の図である。
【0058】
図11(a)は画像90を示しており、図11(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図11(c)はマゼンタの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0059】
シアン版はエッジ領域S12において隣接エッジありと判定されている。よって図11(b)に示すように、LD書き込み値変換部162は、変換テーブル70にしたがって、エッジ領域S12内における領域S13において、画素値11bに対応するLD書き込み値を57に設定する。領域S13は、シアン側のエッジである。
【0060】
マゼンタ版も同様に、エッジ領域S10において隣接エッジありである。よって図11(c)に示すように、LD書き込み値変換部162は、変換テーブル70にしたがって、エッジ領域S12内における領域S14において、画素値11bに対応するLD書き込み値を57に設定する。領域S14は、マゼンタ側のエッジである。
【0061】
本実施形態では、以上のようにエッジ領域内に他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合には、エッジ領域内に他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合よりもLD書き込み値を大きくする。
【0062】
本実施形態では、この構成により、色の違うエッジが隣接する領域でもエッジ境界で白抜けが発生するのを防止することができる。
【0063】
また例えば1ページ中に図9(a)の画像80と図11(a)の画像90が混在していても、それぞれに最適な補正量でエッジ補正を行うため、エッジ部のトナーが過度に付着することを防止しつつ、エッジ境界で白抜けが発生するのを防止することができる。
【0064】
以下に図12を参照して白抜け発生の防止について説明する。図12は、白抜けが発生する場合を説明する図である。
【0065】
図12(a)は、図11(a)と同様の画像90を示しており、図12(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図12(c)はマゼンタの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0066】
図12では、エッジ領域に隣接エッジがある場合のLD書き込み値を、エッジ領内に隣接エッジがない場合(図9参照)と同様のLD書き込み値とした例を示している。
【0067】
したがって図12(b),(c)では、シアン版のエッジとマゼンタ版のエッジとが含まれるエッジ領域12内において、エッジ領域で隣接エッジなしのときと同様の処理を行う。
【0068】
図12(b)のシアン版のエッジ領域S13A及び図12(c)のマゼンタ版のエッジ領域S14Aでは、LD書き込み値は50である。
【0069】
この場合、このようにエッジ補正を行うことで、エッジ領域S12ではLD書き込み値がフルドットを示す63よりも小さい値の50に変換される。よってエッジ部の露光量が弱くなり、トナーが過度に付着することを防止できる。
【0070】
しかしながらこのエッジ補正により、シアンとマゼンタの両方のトナー付着量が少なくなるため、余分なトナーの付着がなくなり、エッジの周辺にトナーが広がってエッジが太る現象が抑えられる。ことが抑えられる。このためシアン版とマゼンタ版との間に位置ずれが生じた場合には、エッジ境界で白抜けが発生しやすくなる。
【0071】
版の位置ずれは、プロッタ170における画像データの書き込みの際に生じるものであり、エッジ補正を行わなくても発生する場合がある。また図12に示すエッジ補正が行われた場合には、エッジ部のトナー付着量が低減されるために、エッジ補正が行われない場合に比べて版の位置ずれの量が同じであっても白抜けが見えやすくなる。
【0072】
本実施形態では、以上の事情を鑑みて考えられたものであり、エッジ領域に隣接エッジが存在する場合には、エッジ補正におけるLD書き込み値を、エッジ領域に隣接エッジがない場合よりも大きく設定した。尚エッジ領域に隣接エッジが存在する場合のLD書き込み値は、隣接する異なる色版の間に白抜きが発生しない程度にエッジの周辺でトナーが広がるような値とすることが好ましい。
【0073】
本実施形態では、このように構成することで、エッジ領域で隣接エッジがある場合に、エッジ部のトナーの付着量が従来と比べて僅かに増えるため、過度にトナーが付着量するのをある程度防止しつつ、各色版の位置ずれによるエッジ境界で白抜けの発生を防止することができる。
【0074】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、エッジ補正を行う際に補正する画素幅を狭くする点が第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0075】
図13は、第二の実施形態の変換テーブルを説明する図である。
【0076】
本実施形態では、エッジ境界から1画素目の領域をエッジ領域1とし、エッジ境界から2画素目の領域をエッジ領域2とした場合に、非エッジ領域のLD書き込み値とエッジ領域2で隣接エッジありのLD書き込み値とを同様の値とした。また本実施形態では、エッジ領域1で隣接エッジありの場合のLD書き込み値と、エッジ領域1及び2で隣接エッジなしの場合のLD書き込み値と、を同様の値とした。
【0077】
図13に示す変換テーブル71は、非エッジ領域では、変換テーブル70と同じように、4値の画素値に対してLD書き込み値の6bit(0〜63)を均等(0/21/42/63)に割り当てるように変換する。
【0078】
また隣接エッジなしの場合、つまりエッジ領域1で隣接エッジなしの場合又はエッジ領域2で隣接エッジなしの場合では、変換テーブル70のエッジ領域と同じように、画素値11b(フルドット)のLD書き込み値を50とする。これは隣接エッジなしの場合には2画素幅でエッジ補正をすることを意味する。
【0079】
隣接エッジありの場合には、エッジ境界から1画素目、つまりエッジ領域1で隣接エッジありの場合のエッジ補正をし、エッジ境界から2画素目、つまりエッジ領域2で隣接エッジありでは非エッジ領域の場合と同じ補正を行う。これは隣接エッジありの場合には1画素幅でエッジ補正をすることを意味する。
【0080】
本実施形態において、例えば図9に示す画像80を適用した場合、領域81,82のシアン画像は非エッジ領域、領域82のマゼンタ画像はエッジ境界から1画素目はエッジ領域1で隣接エッジなし、エッジ境界から2画素目はエッジ領域2で隣接エッジなし、と判定される。よって、シアン版とマゼンタ版のLD書き込み値は、図9(b),(c)のようになり、2画素幅でエッジ補正され、エッジ部のトナーが過度に付着することを防止できる。
【0081】
ここで、以下に図14を参照して本実施形態の隣接エッジ判定部161の動作を説明する。図14は、第二の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【0082】
本実施形態において、隣接エッジ判定部161は、処理対象の版の注目画素がエッジ領域1に含まれるか否かを判定する(ステップS1401)。尚エッジ領域1とは、エッジ境界から1画素目の領域である。ステップS1401において、注目画素がエッジ領域1である場合、隣接エッジ判定部161は、5×5画素内に他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在するか否かを判断する(ステップS1402)。
【0083】
ステップS1402において他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域1を隣接エッジありと判定する(ステップS1403)。ステップS1402において他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域1を隣接エッジなしと判定する(ステップS1404)。
【0084】
ステップS1401において、注目画素がエッジ領域1に含まれない場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素がエッジ領域2に含まれるか否かを判定する(ステップS1405)。尚エッジ領域2とは、エッジ境界から2画素目の領域である。ステップS1405において、注目画素がエッジ領域2である場合、隣接エッジ判定部161は、5×5画素内に他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在するか否かを判断する(ステップS1406)。
【0085】
ステップS1406において他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域2を隣接エッジありと判定する(ステップS1407)。ステップS1406において他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域2を隣接エッジなしと判定する(ステップS1408)。
【0086】
ステップS1405において、注目画素がエッジ領域2に含まれない場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素を非エッジ領域と判定する(テップS1409)。
【0087】
以下に、注目画素がエッジ領域1又はエッジ領域2のいずれに含まれるかを判定する処理の詳細を説明する。
【0088】
エッジ検出154で算出されるエッジ量edge_iは、注目画素がエッジ境界から1画素目に位置するときの方がエッジ境界から2画素目に位置するときよりも大きい値となる。したがって本実施形態では、エッジ境界から1画素目を判定するための閾値thr1とエッジ境界から2画素目を判定するための閾値thr2をthr1>thr2となるように予め設定した。そして本実施形態では、注目画素のエッジ量edge_iが閾値thr1以上のとき、注目画素はエッジ領域1に含まれるものと判定し、注目画素のエッジ量edge_iが閾値thr1未満かつ閾値thr2以上のとき注目画素はエッジ領域2に含まれるものと判定する。また注目画素のエッジ量edge_iが閾値thr2未満のとき、注目画素は非エッジ領域に含まれると判定する。
【0089】
以下に図15を参照して本実施形態のLD書き込み値変換部162の処理を説明する。図15は、第二の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する図である。
【0090】
図15(a)は画像90を示しており、図15(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図15(c)はマゼンタの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0091】
シアン版はエッジ領域S12において、エッジ領域1にはマゼンタ版のエッジ領域に含まれる画素が存在するため、隣接エッジありと判定される。またエッジ領域2でも同様に、隣接エッジありと判定される。
【0092】
したがってLD書き込み値変換部172は、図15(b)に示すように、シアン版の画像位置P9からエッジ境界E1までのエッジ領域1に該当する領域S21では、変換テーブル71を参照してLD書き込み値を50とする。そしてLD書き込み値変換部172は、シアン版の画像位置P7から画像位置P9までのエッジ領域2に該当する領域S22では、変換テーブル71を参照してLD書き込み値を63とする。
【0093】
マゼンタ版も同様に、エッジ領域1でもエッジ領域2でも、シアン版のエッジ領域に含まれる画素が存在するため、隣接エッジありと判定される。
【0094】
したがってLD書き込み値変換部172は、図15(c)に示すように、マゼンタ版のエッジ境界E1から画像位置P10までのエッジ領域1に該当する領域S23では、変換テーブル71を参照してLD書き込み値を50とする。そしてLD書き込み値変換部172は、マゼンタ版の画像位置P10から画像位置P8までのエッジ領域2に該当する領域S24では、変換テーブル71を参照してLD書き込み値を63とする。
【0095】
以上のように本実施形態では、エッジ境界の両側でエッジ補正を行う際に、LD書き込み値を非エッジ領域よりも小さくする画素幅を狭くする。このため本実施形態によれば、エッジ領域で隣接エッジがある場合に、エッジ部に過度にトナーが付着量するのをある程度防止しつつ、各色版の位置ずれによるエッジ境界で白抜けの発生を防止することができる。
【0096】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、K版との隣接エッジを考慮した点が第一の実施形態と相違する。よって以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0097】
図16は、第三の実施形態の変換テーブルを説明する図である。
【0098】
本実施形態の変換テーブル72は、エッジ領域において、K版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、エッジ領域でK版の隣接エッジありとされる。本実施形態の変換テーブル72では、エッジ領域でK版の隣接エッジありの場合のLD書き込み値は、非エッジ領域と同様の値とした。
【0099】
またエッジ領域において、K版のエッジ領域に含まれる画素が存在せず、且つK版以外の他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、エッジ領域でK版以外の隣接エッジありとされる。この場合のLD書き込み値は57とした。
【0100】
またエッジ領域において、K版を含む他の版のエッジ領域に含まれる画素が含まれない場合、エッジ領域で隣接エッジなしとされる。この場合LD書き込み値は、K版以外の隣接エッジありの場合よりも小さい50とした。
【0101】
すなわち本実施形態では、エッジ領域でありK版の隣接エッジありの場合には、非エッジ領域と同様に、LD書き込み値をフルドットと同じ値とし、エッジ補正を行わない。
【0102】
図16に示す変換テーブル72は、非エッジ領域の場合及びエッジ領域でK版の隣接エッジがある場合では、変換テーブル70と同じように、4値の画素値に対してLD書き込み値の6bit(0〜63)を均等(0/21/42/63)に割り当てるように変換する。
【0103】
ここで、以下に図17を参照して本実施形態の隣接エッジ判定部161の動作を説明する。図17は、第三の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。尚図17は、K版以外のC版、M版、Y版の隣接エッジの判定の処理を示している。
【0104】
本実施形態において、隣接エッジ判定部161は、処理対象の版の注目画素がエッジ領域に含まれるか否かを判定する(ステップS1701)。ステップS1701において、注目画素がエッジ領域である場合、隣接エッジ判定部161は、5×5画素内にK版のエッジ領域に含まれる画素が存在するか否かを判断する(ステップS1702)。
【0105】
ステップS1702においてK版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域をK版の隣接エッジありと判定する(ステップS1703)。ステップS1702においてK版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、5×5画素内にK版以外の版のエッジ領域に含まれる画素が存在するか否かを判断する(ステップS1704)。
【0106】
ステップS1704において5×5画素内にK版以外の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域をK版以外の隣接エッジありと判定する(ステップS1705)。ステップS1704において5×5画素内にK版以外の版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域を隣接エッジなしと判定する(ステップS1706)。
【0107】
ステップS1701において、注目画素がエッジ領域に含まれない場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素を非エッジ領域と判定する(テップS1707)。
【0108】
また本実施形態では、K版におけるエッジ領域の画素値は、予め設定されたLD書き込み値に変換されるものとした。
【0109】
以下に図18を参照して本実施形態のLD書き込み値変換部162の処理を説明する。図18は、第三の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する図である。
【0110】
図18(a)は画像95を示しており、図18(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図18(c)はブラックの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0111】
図18(a)に示す画像95は、エッジ境界E10を境に領域96と領域97とに分かれており、領域96はシアン版により形成された画像であり、領域97はK版により形成された画像である。
【0112】
シアン版はエッジ領域S30において、エッジ領域にはK版のエッジ領域に含まれる画素が存在するため、K版の隣接エッジありと判定される。
【0113】
したがってLD書き込み値変換部162は、図18(b)に示すように、シアン版の画像位置P20からエッジ境界E10までのエッジ領域内の領域S21では、変換テーブル72を参照してLD書き込み値を63とする。
【0114】
また本実施形態では、K版のエッジ領域では、LD書き込み値は常に50とされるものとした。したがってLD書き込み値変換部162は、図18(c)に示すように、K版のエッジ領域内のエッジ境界E10から画像位置P23までの領域S31では、LD書き込み値を63とする。
【0115】
尚図18(a)において、紙面上の画像位置P20の左側は領域96の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P20は白画素との境界ではない。画像位置P21についても同様に、紙面上の画像位置P21の右側は領域97の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P21は白画素との境界ではない。
【0116】
本実施形態では、以上のように、K版の場合には隣接エッジあり/なしの区別を付けず、常に一定のエッジ補正を行うことで、エッジ部のトナーが過度に付着することを防止することができる。また本実施形態では、K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしないことで、黒と他の色が隣接するエッジ境界で白抜けが発生するのを防止することができる。
【0117】
尚本実施形態では、K版の場合には隣接エッジあり/なしの区別を付けず、常に一定のLD書き込み値を設定するものとしたが、さらにK版の場合には隣接エッジあり/なしの区別を付けず、所定の画素幅において常に一定のLD書き込み値を設定しても良い。
【0118】
さらに本実施形態では、K版に対して優先的にエッジ補正することで、K版のトナーが周辺に飛散することによる黒文字の太りを防止することができ、黒文字を多く含んだ文書を印刷する際に画質の劣化を防止できる。
【0119】
図19は、K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしない場合を示す図である。図19(a)は、画像95を示しており、図19(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図19(c)はブラックの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0120】
図19に示す例では、図19(b)に示すように、K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしない。また図19(b)に示すようにK版の隣接エッジにもエッジ補正をしない。
【0121】
この場合、K版のトナーが周辺に飛散することによる黒文字の太り等が発生して画質の劣化に繋がる。本実施形態では、K版に対して優先的に一定のエッジ補正を行うことで、黒文字の太り等の発生を抑制する。
【0122】
また本実施形態では、例えば画像形成装置100の印刷モード(一般文書、写真文書などの文書種類)等に応じて、第一の実施形態と第三の実施形態の構成を切り替えることも可能である。
【0123】
また第二の実施形態に対しても同様に、K版の場合には隣接エッジあり/なしの区別を付けず、常に一定の画素幅(2画素幅)でエッジ補正を行い、K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしないことで、第三の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0124】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0125】
100 画像形成装置
150 画像処理装置
160 プロッタ制御装置
161 隣接エッジ判定部
162 LD書き込み値変換部
170 プロッタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】
【特許文献1】特開平11−034401号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置では、画像のエッジ部を検出し、エッジ部の書き込み露光量を下げることにより、エッジ部のトナー付着量を最適にする技術が既に知られている。従来の画像形成装置では、この技術により、現像のエッジ効果により文字や線画のエッジ部にトナーが過度に付着し、トナーが周辺に飛散して画質劣化(文字や線画の太りや地汚れ)を起こすことを防止し、さらにトナー消費量の増加を抑制する。
【0003】
例えば特許文献1には、画像のエッジ部を検出し、エッジ部で所定値以上の画素値を有する場合には、所定量だけ小さい書き込み値(露光量)に変換する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の特許技術では、エッジ部でそれぞれの色版について書き込み露光量を下げるエッジ補正処理が行われるため、例えば色の違うエッジが隣接している画像等ではエッジ境界に白抜けが発生しやすくなる。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべく成されたものであり、エッジを検出して書き込み露光量を下げるエッジ補正処理を行う場合に、色の違うエッジが隣接している領域で白抜けが発生することを抑えることが可能な画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成すべく以下の如き構成を採用した。
【0007】
本発明は、画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置であって、色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手段と、前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手段と、前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手段と、を有し、前記変換手段は、前記判定手段による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する。
【0008】
本発明は、画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置による画像形成方法であって、色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手順と、前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手順と、前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手順と、を有し、前記変換手順は、前記判定手順による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する。
【0009】
本発明は、画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、前記画像形成装置に、色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出ステップと、前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換ステップと、前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定ステップと、を実行させ、前記変換ステップは、前記判定ステップにおける判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エッジを検出して書き込み露光量を下げるエッジ補正処理を行う場合に、色の違うエッジが隣接している領域で白抜けが発生することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図2】第一の実施形態の画像処理装置を説明する図である。
【図3】第一の実施形態のエッジ検出部を説明する図である。
【図4】第一の実施形態のプロッタ制御装置を説明する図である。
【図5】第一の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【図6】第一の実施形態のLD書き込み値の制御を説明する図である。
【図7】第一の実施形態のLD書き込み値への変換テーブルを説明する図である。
【図8】第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第一の図である。
【図9】第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第二の図である。
【図10】第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第三の図である。
【図11】第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第四の図である。
【図12】白抜けが発生する場合を説明する図である。
【図13】第二の実施形態の変換テーブルを説明する図である。
【図14】第二の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【図15】第二の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する図である。
【図16】第三の実施形態の変換テーブルを説明する図である。
【図17】第三の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【図18】第三の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する図である。
【図19】K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしない場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【0013】
本実施形態の画像形成装置100は、外部IF(インターフェイス)装置110、CPU(Central Processing Unit)120、メモリ装置130、ROM140、画像処理装置150、プロッタ制御装置160、プロッタ170を有する。
【0014】
外部IF装置110は、画像形成装置100をコンピュータ101とネットワークを介して接続されてする。本実施形態の画像形成装置100は、コンピュータ101からの印刷画像データが入力される。
【0015】
CPU120は、画像形成装置100全体の制御を行う。メモリ装置130は、CPU120が画像形成装置100の制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶するためなどに使用される揮発性メモリである。ROM140は、CPU120が画像形成装置100の制御を行う際のプログラムなどを格納するメモリである。
【0016】
画像処理装置150は、画像形成装置100に入力された印刷画像データに対して各種画像処理を施し、プロッタ170の出力階調数のCMYK画像データとエッジ領域データを生成する。本実施形態のプロッタ170の出力階調数は2bitとした。画像処理装置150により生成されたCMYK各色の1ページ分の画像データとエッジ領域データは、メモリ装置130に記憶される。
【0017】
プロッタ制御装置160は、メモリ装置130に記憶されたCMYK各色の画像データとエッジ領域データとを受け取り、レーザビームの露光量に相当する信号に変換し、プロッタ170に送る。以下の説明では、レーザビームの露光量に相当する信号の値をLD(Laser Diode)書き込み値と呼ぶ。本実施形態では、LD書き込み値は6bitとした。プロッタ170は、LD書き込み値に基づいたレーザビームによる露光を行い、その後、現像、転写、定着を行って、出力用紙上に画像を形成する。また本実施形態は、読取り装置(スキャナ)が搭載された画像形成装置にも適用できる。
【0018】
次に図2を参照して本実施形態の画像形成装置100の画像処理装置150について説明する。図2は、第一の実施形態の画像処理装置を説明する図である。
【0019】
本実施形態の画像処理装置150は、色変換部151、γ補正部152、ディザ処理部153、エッジ検出部154を有する。
【0020】
色変換部151は、入力されたRGB(又はCMYK)の印刷画像データをLUT(Look Up Table)等を用いてプロッタ170の色再現特性に合わせたCMYK各色8bitのデータに変換する。γ補正部152は、出力画像の階調特性を調整するためにCMYKの色毎に一次元のLUT変換を行う。ディザ処理153は、CMYK各色8bitのデータをプロッタ170の出力階調数に変換する。エッジ検出部154は、色変換後のCMYK画像データに対してエッジ領域か否かを画素毎に判定し、エッジ領域データとして出力する。
【0021】
以下に図3を参照して本実施形態のエッジ検出部154について説明する。図3は、第一の実施形態のエッジ検出部を説明する図である。
【0022】
本実施形態のエッジ検出部154では、例えば図3(a)〜(d)に示す4つの5×5画素のエッジ検出フィルタを用いても良い。エッジ検出部154は、色変換後のCMYK画像データからエッジ検出フィルタにより各画素のエッジ量を算出する。以下の説明では、エッジ量の算出対象の画素を注目画素と呼ぶ。
【0023】
本実施形態において、例えばエッジ量をedge_iとする(iはC/M/Y/Kのいずれか)。エッジ検出部154は、edge_iが所定閾値thr以上のとき、その画素をエッジ領域、thr未満のとき非エッジ領域と判定する。例えば5×5画素のエッジ検出フィルタでは、エッジ境界から2画素幅のエッジを検出することができる。本実施形態のエッジ検出部154は、注目画素がエッジ領域であるか否かを示すデータをエッジ領域データとして出力する。尚エッジの検出方法は、図3に示すエッジ検出フィルタを用いる方法に限らず、パターンマッチングによる方法など、他の公知の方法を用いることが可能である。
【0024】
次に図4を参照して本実施形態のプロッタ制御装置160について説明する。図4は、第一の実施形態のプロッタ制御装置を説明する図である。
【0025】
本実施形態のプロッタ制御装置160は、隣接エッジ判定部161、LD書き込み値変換部162を有する。
【0026】
隣接エッジ判定部161は、CMYK全版のエッジ領域データを参照して、各版が非エッジ領域、エッジ領域であり且つ隣接エッジあり、エッジ領域であり隣接エッジなし、のいずれかであるかを判定し、判定結果をLD書き込み値変換部162へ送る。非エッジ領域とは、エッジ領域でないことを示す。エッジ領域であり且つ隣接エッジありとは、エッジ領域内で他の色版のエッジ領域が隣接していることを示す。エッジ領域であり隣接エッジなしとは、エッジ領域内で、他の色版のエッジ領域が隣接していないことを示す。隣接エッジ判定部161の詳細は後述する。
【0027】
LD書き込み値変換部162では変換テーブルにしたがって、画像処理後データをLD書き込み値に変換する。以下の説明では、LD書き込み値を変換することをエッジ補正と呼ぶ。尚変換テーブルでは、隣接エッジ判定部161の判定結果に対応したLD書き込み値が格納されたものである。変換テーブルの詳細は後述する。
【0028】
以下に図5を参照して本実施形態の隣接エッジ判定部161の処理について説明する。図5は、第一の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【0029】
本実施形態の隣接エッジ判定部161は、処理対象の版の注目画素がエッジ領域であるか否かをエッジ領域データから判定する(ステップS501)。ステップS501において、注目画素がエッジ領域でない場合、隣接エッジ判定部161はこの注目画素を非エッジ領域と判定する(ステップS502)。ステップS501において注目画素がエッジ領域である場合、隣接エッジ判定部161は、注目画素を中心とする5×5画素領域内に、他の版のエッジ領域画素が存在するかをエッジ領域データから判定する(ステップS503)。
【0030】
ステップS503において5×5画素領域内に他の版のエッジ領域である画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素をエッジ領域であり且つ隣接エッジありと判定する(ステップS504)。他の版のエッジ領域画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素をエッジ領域であり隣接エッジなしと判定する(ステップS505)。
【0031】
次にLD書き込み値変換部162について説明する。本実施形態のプロッタ170において、レーザビームの露光量はプロッタ制御装置160から出力されるLD書き込み値に従う。LD書き込み値は、LD書き込み値変換部162により制御される。本実施形態では、LD書き込み値は6bitであるので、レーザビームの露光量は6bit(64段階)で制御可能である。
【0032】
以下に図6を参照して本実施形態のLD書き込み値の制御について説明する。図6は、第一の実施形態のLD書き込み値の制御を説明する図である。図6では、パルス幅変調をする場合のレーザビームによる露光を概念的に示している。図6の例では、各画素が(LD書き込み値)/63の幅で露光される。またLD書き込み値が0のときはレーザ点灯オフで露光されず、LD書き込み値が63のときは1画素幅分のレーザ点灯がされるものとした。
【0033】
次に図7を参照してLD書き込み値への変換テーブルについて説明する。図7は、第一の実施形態のLD書き込み値への変換テーブルを説明する図である。
【0034】
本実施形態の変換デーブル70は、例えばLD書き込み値変換部162に格納されている。変換テーブル70は、画像データの画素値と、画素値に対応するLD書き込み値とが対応付けられている。さらに変換テーブル70における画素値に対応するLD書き込み値は、対象の画素が含まれる領域によって設定されている。
【0035】
プロッタ制御装置160に入力される画像処理後の画像データの画素値は00b/01b/10b/11bの2bit(4値)であり、それぞれドットオフ、1/3ドット、2/3ドット、フルドットを意味する。01b(1/3ドット)と10b(2/3ドット)は、11b(フルドット)に対してそれぞれ1/3、2/3の大きさのドットである。
【0036】
本実施形態のLD書き込み値変換部162は、非エッジ領域では、図7に示す変換テーブル70を参照し、画素値4値について、ドットオフ、1/3ドット、2/3ドット、フルドットとなるようにLD書き込み値を変換する。
【0037】
つまり本実施形態のLD書き込み値変換部162は、ドットオフを示す画素値00bのLD書き込み値を0とし、1/3ドットを示す画素値01bのLD書き込み値を21とし、1/2ドットを示す画素値10bのLD書き込み値を42とし、フルドットを示す画素値11bのLD書き込み値を63とする。すなわちLD書き込み値変換部162は、非エッジ領域の画像データについては、4値の各画像データに対してLD書き込み値の6bit(0〜63)を均等(0/21/42/63)に割り当てるように変換する。
【0038】
尚LD書き込み値は必ずしも上記値であるとは限らず、形成されるドットの大きさが適切になるようにLD書き込み値を実験的に決めても良い。
【0039】
また本実施形態では、エッジ領域であり隣接エッジなしの画像データについては、エッジ部に過度にトナーが付着するのを防止するため、画素値11b(フルドット)のLD書き込み値を小さくする。変換テーブル70では、エッジ領域であり隣接エッジなしの場合のLD書き込み値を50とした。尚このLD書き込み値も、エッジ部のトナー付着量が最適になるように実験的に決められれば良い。
【0040】
さらに本実施形態では、エッジ領域であり且つ隣接エッジありの場合、画素値11b(フルドット)のLD書き込み値を非エッジ領域LD書き込み値63とエッジ領域であり隣接エッジなしの場合のLD書き込み値50の中間レベルである57にとした。
【0041】
以下に具体例を参照して本実施形態のプロッタ制御装置160の処理を説明する。
【0042】
図8は、第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第一の図である。図8(a)は、画像80を示しており、図8(b)はシアン画像の画素値を示しており、図8(c)はシアン画像と重畳されるマゼンタ画像の画素値を示している。
【0043】
図8(a)に示す画像80は、境界Eにより領域81と領域82と分かれている。領域81はシアンの画像であり、領域82はブルーの画像である。したがって、領域81の画像はシアン版のみで形成された画像であり、領域82の画像は、シアン版とマゼンタ版が重畳されて形成された画像である。
【0044】
したがってシアン版の画素値は、図8(b)に示すように画像位置P1から画像位置P2までフルドットを示す11bである。またマゼンタ版の画素値は、図8(c)に示すように境界Eから画像位置P1までがフルドットを示す11bとなる。尚図8(a)において、紙面上の画像位置P1の左側は領域81の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P1は白画素との境界ではない。画像位置P2についても同様に、紙面上の画像位置P2の右側は領域82の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P2は白画素との境界ではない。
【0045】
この画像80について、本実施形態のプロッタ制御装置160は、隣接エッジ判定部161による判定を行う。
【0046】
隣接エッジ判定部161は、画像80におけるシアン版についてはエッジ領域なしと判定する。また隣接エッジ判定部161は、マゼンタ版についてはエッジ境界Eから2画素幅の画像位置P3から画像位置P4をエッジ領域S10と判定する。さらに隣接エッジ判定部161は、エッジ領域S10内には他の版のエッジ領域である画素が存在しないため、エッジ領域S10は隣接エッジなしと判定する。
【0047】
続いて図9を参照して図8の画像80に対するLD書き込み値変換部162の処理を説明する。図9は、第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第二の図である。
【0048】
図9(a)は画像80を示しており、図9(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図9(c)はマゼンタの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0049】
シアン版はエッジ領域なしである。すなわちエッジ領域S10において非エッジ領域である。よって図9(b)に示すように、LD書き込み値変換部162は、変換テーブル70にしたがって画素値11bに対応するLD書き込み値を63とする。
【0050】
マゼンタ版は、エッジ領域S10において隣接エッジなしである。よって図9(c)に示すように、LD書き込み値変換部162は、変換テーブル70にしたがって、エッジ領域S10内における領域S11において、画素値11bに対応するLD書き込み値をとする。領域S11は、マゼンタ側のエッジである。
【0051】
図10は、第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第三の図である。図10(a)は、画像90を示しており、図10(b)はシアン画像の画素値を示しており、図10(c)はマゼンタ画像の画素値を示している。
【0052】
図10(a)に示す画像90は、境界E1により領域91と領域92と分かれている。領域91はシアンの画像であり、領域92はマゼンタの画像である。したがって領域91の画像はシアン版のみで形成された画像であり、領域92の画像はマゼンタ版のみで形成された画像である。
【0053】
よってシアン版の画素値は、図10(b)に示すよう画像位置P5から境界E1までフルドットを示す11bである。またマゼンタ版の画素値は、図10(c)に示すように境界E1から画像位置P6までがフルドットを示す11bとなる。尚図10(a)において、紙面上の画像位置P5の左側は領域91の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P5は白画素との境界ではない。画像位置P6についても同様に、紙面上の画像位置P6の右側は領域92の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P6は白画素との境界ではない。
【0054】
この画像90について、本実施形態のプロッタ制御装置160は、隣接エッジ判定部161による判定を行う。
【0055】
隣接エッジ判定部161は、画像90におけるシアン版についてはエッジ境界E1から2画素幅の画像位置P7から画像位置P8をエッジ領域S12と判定する。また隣接エッジ判定部161は、マゼンタ版についてもエッジ境界E1から2画素幅の画像位置P6から画像位置P7をエッジ領域S12と判定する。
【0056】
さらに隣接エッジ判定部161は、エッジ領域S12内に、シアン版のエッジ領域とマゼンタ版のエッジ領域の両方が含まれると判定する。すなわちシアン版については、エッジ領域S12内にマゼンタ版のエッジ領域である画素が存在するため、エッジ領域S12は隣接エッジあり、と判定される。またマゼンタ版についても同様に、エッジ領域S12内にシアン版のエッジ領域である画素が存在するため、エッジ領域S12は隣接エッジあり、と判定される。
【0057】
続いて図11を参照して画像90に対するLD書き込み値変換部162の処理を説明する。図11は、第一の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する第四の図である。
【0058】
図11(a)は画像90を示しており、図11(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図11(c)はマゼンタの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0059】
シアン版はエッジ領域S12において隣接エッジありと判定されている。よって図11(b)に示すように、LD書き込み値変換部162は、変換テーブル70にしたがって、エッジ領域S12内における領域S13において、画素値11bに対応するLD書き込み値を57に設定する。領域S13は、シアン側のエッジである。
【0060】
マゼンタ版も同様に、エッジ領域S10において隣接エッジありである。よって図11(c)に示すように、LD書き込み値変換部162は、変換テーブル70にしたがって、エッジ領域S12内における領域S14において、画素値11bに対応するLD書き込み値を57に設定する。領域S14は、マゼンタ側のエッジである。
【0061】
本実施形態では、以上のようにエッジ領域内に他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合には、エッジ領域内に他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合よりもLD書き込み値を大きくする。
【0062】
本実施形態では、この構成により、色の違うエッジが隣接する領域でもエッジ境界で白抜けが発生するのを防止することができる。
【0063】
また例えば1ページ中に図9(a)の画像80と図11(a)の画像90が混在していても、それぞれに最適な補正量でエッジ補正を行うため、エッジ部のトナーが過度に付着することを防止しつつ、エッジ境界で白抜けが発生するのを防止することができる。
【0064】
以下に図12を参照して白抜け発生の防止について説明する。図12は、白抜けが発生する場合を説明する図である。
【0065】
図12(a)は、図11(a)と同様の画像90を示しており、図12(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図12(c)はマゼンタの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0066】
図12では、エッジ領域に隣接エッジがある場合のLD書き込み値を、エッジ領内に隣接エッジがない場合(図9参照)と同様のLD書き込み値とした例を示している。
【0067】
したがって図12(b),(c)では、シアン版のエッジとマゼンタ版のエッジとが含まれるエッジ領域12内において、エッジ領域で隣接エッジなしのときと同様の処理を行う。
【0068】
図12(b)のシアン版のエッジ領域S13A及び図12(c)のマゼンタ版のエッジ領域S14Aでは、LD書き込み値は50である。
【0069】
この場合、このようにエッジ補正を行うことで、エッジ領域S12ではLD書き込み値がフルドットを示す63よりも小さい値の50に変換される。よってエッジ部の露光量が弱くなり、トナーが過度に付着することを防止できる。
【0070】
しかしながらこのエッジ補正により、シアンとマゼンタの両方のトナー付着量が少なくなるため、余分なトナーの付着がなくなり、エッジの周辺にトナーが広がってエッジが太る現象が抑えられる。ことが抑えられる。このためシアン版とマゼンタ版との間に位置ずれが生じた場合には、エッジ境界で白抜けが発生しやすくなる。
【0071】
版の位置ずれは、プロッタ170における画像データの書き込みの際に生じるものであり、エッジ補正を行わなくても発生する場合がある。また図12に示すエッジ補正が行われた場合には、エッジ部のトナー付着量が低減されるために、エッジ補正が行われない場合に比べて版の位置ずれの量が同じであっても白抜けが見えやすくなる。
【0072】
本実施形態では、以上の事情を鑑みて考えられたものであり、エッジ領域に隣接エッジが存在する場合には、エッジ補正におけるLD書き込み値を、エッジ領域に隣接エッジがない場合よりも大きく設定した。尚エッジ領域に隣接エッジが存在する場合のLD書き込み値は、隣接する異なる色版の間に白抜きが発生しない程度にエッジの周辺でトナーが広がるような値とすることが好ましい。
【0073】
本実施形態では、このように構成することで、エッジ領域で隣接エッジがある場合に、エッジ部のトナーの付着量が従来と比べて僅かに増えるため、過度にトナーが付着量するのをある程度防止しつつ、各色版の位置ずれによるエッジ境界で白抜けの発生を防止することができる。
【0074】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、エッジ補正を行う際に補正する画素幅を狭くする点が第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0075】
図13は、第二の実施形態の変換テーブルを説明する図である。
【0076】
本実施形態では、エッジ境界から1画素目の領域をエッジ領域1とし、エッジ境界から2画素目の領域をエッジ領域2とした場合に、非エッジ領域のLD書き込み値とエッジ領域2で隣接エッジありのLD書き込み値とを同様の値とした。また本実施形態では、エッジ領域1で隣接エッジありの場合のLD書き込み値と、エッジ領域1及び2で隣接エッジなしの場合のLD書き込み値と、を同様の値とした。
【0077】
図13に示す変換テーブル71は、非エッジ領域では、変換テーブル70と同じように、4値の画素値に対してLD書き込み値の6bit(0〜63)を均等(0/21/42/63)に割り当てるように変換する。
【0078】
また隣接エッジなしの場合、つまりエッジ領域1で隣接エッジなしの場合又はエッジ領域2で隣接エッジなしの場合では、変換テーブル70のエッジ領域と同じように、画素値11b(フルドット)のLD書き込み値を50とする。これは隣接エッジなしの場合には2画素幅でエッジ補正をすることを意味する。
【0079】
隣接エッジありの場合には、エッジ境界から1画素目、つまりエッジ領域1で隣接エッジありの場合のエッジ補正をし、エッジ境界から2画素目、つまりエッジ領域2で隣接エッジありでは非エッジ領域の場合と同じ補正を行う。これは隣接エッジありの場合には1画素幅でエッジ補正をすることを意味する。
【0080】
本実施形態において、例えば図9に示す画像80を適用した場合、領域81,82のシアン画像は非エッジ領域、領域82のマゼンタ画像はエッジ境界から1画素目はエッジ領域1で隣接エッジなし、エッジ境界から2画素目はエッジ領域2で隣接エッジなし、と判定される。よって、シアン版とマゼンタ版のLD書き込み値は、図9(b),(c)のようになり、2画素幅でエッジ補正され、エッジ部のトナーが過度に付着することを防止できる。
【0081】
ここで、以下に図14を参照して本実施形態の隣接エッジ判定部161の動作を説明する。図14は、第二の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。
【0082】
本実施形態において、隣接エッジ判定部161は、処理対象の版の注目画素がエッジ領域1に含まれるか否かを判定する(ステップS1401)。尚エッジ領域1とは、エッジ境界から1画素目の領域である。ステップS1401において、注目画素がエッジ領域1である場合、隣接エッジ判定部161は、5×5画素内に他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在するか否かを判断する(ステップS1402)。
【0083】
ステップS1402において他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域1を隣接エッジありと判定する(ステップS1403)。ステップS1402において他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域1を隣接エッジなしと判定する(ステップS1404)。
【0084】
ステップS1401において、注目画素がエッジ領域1に含まれない場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素がエッジ領域2に含まれるか否かを判定する(ステップS1405)。尚エッジ領域2とは、エッジ境界から2画素目の領域である。ステップS1405において、注目画素がエッジ領域2である場合、隣接エッジ判定部161は、5×5画素内に他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在するか否かを判断する(ステップS1406)。
【0085】
ステップS1406において他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域2を隣接エッジありと判定する(ステップS1407)。ステップS1406において他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域2を隣接エッジなしと判定する(ステップS1408)。
【0086】
ステップS1405において、注目画素がエッジ領域2に含まれない場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素を非エッジ領域と判定する(テップS1409)。
【0087】
以下に、注目画素がエッジ領域1又はエッジ領域2のいずれに含まれるかを判定する処理の詳細を説明する。
【0088】
エッジ検出154で算出されるエッジ量edge_iは、注目画素がエッジ境界から1画素目に位置するときの方がエッジ境界から2画素目に位置するときよりも大きい値となる。したがって本実施形態では、エッジ境界から1画素目を判定するための閾値thr1とエッジ境界から2画素目を判定するための閾値thr2をthr1>thr2となるように予め設定した。そして本実施形態では、注目画素のエッジ量edge_iが閾値thr1以上のとき、注目画素はエッジ領域1に含まれるものと判定し、注目画素のエッジ量edge_iが閾値thr1未満かつ閾値thr2以上のとき注目画素はエッジ領域2に含まれるものと判定する。また注目画素のエッジ量edge_iが閾値thr2未満のとき、注目画素は非エッジ領域に含まれると判定する。
【0089】
以下に図15を参照して本実施形態のLD書き込み値変換部162の処理を説明する。図15は、第二の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する図である。
【0090】
図15(a)は画像90を示しており、図15(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図15(c)はマゼンタの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0091】
シアン版はエッジ領域S12において、エッジ領域1にはマゼンタ版のエッジ領域に含まれる画素が存在するため、隣接エッジありと判定される。またエッジ領域2でも同様に、隣接エッジありと判定される。
【0092】
したがってLD書き込み値変換部172は、図15(b)に示すように、シアン版の画像位置P9からエッジ境界E1までのエッジ領域1に該当する領域S21では、変換テーブル71を参照してLD書き込み値を50とする。そしてLD書き込み値変換部172は、シアン版の画像位置P7から画像位置P9までのエッジ領域2に該当する領域S22では、変換テーブル71を参照してLD書き込み値を63とする。
【0093】
マゼンタ版も同様に、エッジ領域1でもエッジ領域2でも、シアン版のエッジ領域に含まれる画素が存在するため、隣接エッジありと判定される。
【0094】
したがってLD書き込み値変換部172は、図15(c)に示すように、マゼンタ版のエッジ境界E1から画像位置P10までのエッジ領域1に該当する領域S23では、変換テーブル71を参照してLD書き込み値を50とする。そしてLD書き込み値変換部172は、マゼンタ版の画像位置P10から画像位置P8までのエッジ領域2に該当する領域S24では、変換テーブル71を参照してLD書き込み値を63とする。
【0095】
以上のように本実施形態では、エッジ境界の両側でエッジ補正を行う際に、LD書き込み値を非エッジ領域よりも小さくする画素幅を狭くする。このため本実施形態によれば、エッジ領域で隣接エッジがある場合に、エッジ部に過度にトナーが付着量するのをある程度防止しつつ、各色版の位置ずれによるエッジ境界で白抜けの発生を防止することができる。
【0096】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、K版との隣接エッジを考慮した点が第一の実施形態と相違する。よって以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0097】
図16は、第三の実施形態の変換テーブルを説明する図である。
【0098】
本実施形態の変換テーブル72は、エッジ領域において、K版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、エッジ領域でK版の隣接エッジありとされる。本実施形態の変換テーブル72では、エッジ領域でK版の隣接エッジありの場合のLD書き込み値は、非エッジ領域と同様の値とした。
【0099】
またエッジ領域において、K版のエッジ領域に含まれる画素が存在せず、且つK版以外の他の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、エッジ領域でK版以外の隣接エッジありとされる。この場合のLD書き込み値は57とした。
【0100】
またエッジ領域において、K版を含む他の版のエッジ領域に含まれる画素が含まれない場合、エッジ領域で隣接エッジなしとされる。この場合LD書き込み値は、K版以外の隣接エッジありの場合よりも小さい50とした。
【0101】
すなわち本実施形態では、エッジ領域でありK版の隣接エッジありの場合には、非エッジ領域と同様に、LD書き込み値をフルドットと同じ値とし、エッジ補正を行わない。
【0102】
図16に示す変換テーブル72は、非エッジ領域の場合及びエッジ領域でK版の隣接エッジがある場合では、変換テーブル70と同じように、4値の画素値に対してLD書き込み値の6bit(0〜63)を均等(0/21/42/63)に割り当てるように変換する。
【0103】
ここで、以下に図17を参照して本実施形態の隣接エッジ判定部161の動作を説明する。図17は、第三の実施形態の隣接エッジ判定部の処理を説明するフローチャートである。尚図17は、K版以外のC版、M版、Y版の隣接エッジの判定の処理を示している。
【0104】
本実施形態において、隣接エッジ判定部161は、処理対象の版の注目画素がエッジ領域に含まれるか否かを判定する(ステップS1701)。ステップS1701において、注目画素がエッジ領域である場合、隣接エッジ判定部161は、5×5画素内にK版のエッジ領域に含まれる画素が存在するか否かを判断する(ステップS1702)。
【0105】
ステップS1702においてK版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域をK版の隣接エッジありと判定する(ステップS1703)。ステップS1702においてK版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、5×5画素内にK版以外の版のエッジ領域に含まれる画素が存在するか否かを判断する(ステップS1704)。
【0106】
ステップS1704において5×5画素内にK版以外の版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域をK版以外の隣接エッジありと判定する(ステップS1705)。ステップS1704において5×5画素内にK版以外の版のエッジ領域に含まれる画素が存在しない場合、隣接エッジ判定部161は、エッジ領域を隣接エッジなしと判定する(ステップS1706)。
【0107】
ステップS1701において、注目画素がエッジ領域に含まれない場合、隣接エッジ判定部161は、この注目画素を非エッジ領域と判定する(テップS1707)。
【0108】
また本実施形態では、K版におけるエッジ領域の画素値は、予め設定されたLD書き込み値に変換されるものとした。
【0109】
以下に図18を参照して本実施形態のLD書き込み値変換部162の処理を説明する。図18は、第三の実施形態のプロッタ制御装置の処理を説明する図である。
【0110】
図18(a)は画像95を示しており、図18(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図18(c)はブラックの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0111】
図18(a)に示す画像95は、エッジ境界E10を境に領域96と領域97とに分かれており、領域96はシアン版により形成された画像であり、領域97はK版により形成された画像である。
【0112】
シアン版はエッジ領域S30において、エッジ領域にはK版のエッジ領域に含まれる画素が存在するため、K版の隣接エッジありと判定される。
【0113】
したがってLD書き込み値変換部162は、図18(b)に示すように、シアン版の画像位置P20からエッジ境界E10までのエッジ領域内の領域S21では、変換テーブル72を参照してLD書き込み値を63とする。
【0114】
また本実施形態では、K版のエッジ領域では、LD書き込み値は常に50とされるものとした。したがってLD書き込み値変換部162は、図18(c)に示すように、K版のエッジ領域内のエッジ境界E10から画像位置P23までの領域S31では、LD書き込み値を63とする。
【0115】
尚図18(a)において、紙面上の画像位置P20の左側は領域96の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P20は白画素との境界ではない。画像位置P21についても同様に、紙面上の画像位置P21の右側は領域97の画素値と同じ画素値が続くものであり、画像位置P21は白画素との境界ではない。
【0116】
本実施形態では、以上のように、K版の場合には隣接エッジあり/なしの区別を付けず、常に一定のエッジ補正を行うことで、エッジ部のトナーが過度に付着することを防止することができる。また本実施形態では、K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしないことで、黒と他の色が隣接するエッジ境界で白抜けが発生するのを防止することができる。
【0117】
尚本実施形態では、K版の場合には隣接エッジあり/なしの区別を付けず、常に一定のLD書き込み値を設定するものとしたが、さらにK版の場合には隣接エッジあり/なしの区別を付けず、所定の画素幅において常に一定のLD書き込み値を設定しても良い。
【0118】
さらに本実施形態では、K版に対して優先的にエッジ補正することで、K版のトナーが周辺に飛散することによる黒文字の太りを防止することができ、黒文字を多く含んだ文書を印刷する際に画質の劣化を防止できる。
【0119】
図19は、K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしない場合を示す図である。図19(a)は、画像95を示しており、図19(b)はシアン版の画素値に対応するLD書き込み値を示しており、図19(c)はブラックの画素値に対応するLD書き込み値を示している。
【0120】
図19に示す例では、図19(b)に示すように、K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしない。また図19(b)に示すようにK版の隣接エッジにもエッジ補正をしない。
【0121】
この場合、K版のトナーが周辺に飛散することによる黒文字の太り等が発生して画質の劣化に繋がる。本実施形態では、K版に対して優先的に一定のエッジ補正を行うことで、黒文字の太り等の発生を抑制する。
【0122】
また本実施形態では、例えば画像形成装置100の印刷モード(一般文書、写真文書などの文書種類)等に応じて、第一の実施形態と第三の実施形態の構成を切り替えることも可能である。
【0123】
また第二の実施形態に対しても同様に、K版の場合には隣接エッジあり/なしの区別を付けず、常に一定の画素幅(2画素幅)でエッジ補正を行い、K版のエッジ領域と隣接するC,M,Y版の場合にはエッジ補正をしないことで、第三の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0124】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0125】
100 画像形成装置
150 画像処理装置
160 プロッタ制御装置
161 隣接エッジ判定部
162 LD書き込み値変換部
170 プロッタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】
【特許文献1】特開平11−034401号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置であって、
色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手段と、
前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手段と、
前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記変換手段は、
前記判定手段による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記注目画素周辺の所定領域内に、前記注目画素の色以外の色版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合に、前記エッジ領域が異なる色の色版のエッジ領域と隣接すると判定する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記変換手段は、
前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接するとき、前記エッジ領域内の前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接しないときの値よりも大きくする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記変換手段は、
前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接するとき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を小さくする画素の幅を前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接しないときよりも狭くする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記変換手段は、
前記エッジ領域の色がK版のとき、前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かに関わらず、前記エッジ領域内の前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を所定値下げる請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記変換手段は、
前記エッジ領域の色がK版のとき、前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かに関わらず、前記エッジ領域内の前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を所定値下げる画素幅を一定とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置による画像形成方法であって、
色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手順と、
前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手順と、
前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手順と、を有し、
前記変換手順は、
前記判定手順による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する画像形成方法。
【請求項8】
画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置に、
色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出ステップと、
前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換ステップと、
前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定ステップと、を実行させ、
前記変換ステップは、
前記判定ステップにおける判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する画像形成プログラム。
【請求項1】
画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置であって、
色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手段と、
前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手段と、
前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記変換手段は、
前記判定手段による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記注目画素周辺の所定領域内に、前記注目画素の色以外の色版のエッジ領域に含まれる画素が存在する場合に、前記エッジ領域が異なる色の色版のエッジ領域と隣接すると判定する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記変換手段は、
前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接するとき、前記エッジ領域内の前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接しないときの値よりも大きくする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記変換手段は、
前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接するとき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を小さくする画素の幅を前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接しないときよりも狭くする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記変換手段は、
前記エッジ領域の色がK版のとき、前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かに関わらず、前記エッジ領域内の前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を所定値下げる請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記変換手段は、
前記エッジ領域の色がK版のとき、前記エッジ領域が前記異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かに関わらず、前記エッジ領域内の前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を所定値下げる画素幅を一定とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置による画像形成方法であって、
色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出手順と、
前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換手順と、
前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定手順と、を有し、
前記変換手順は、
前記判定手順による判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する画像形成方法。
【請求項8】
画像データに基づきレーザビームを露光して色版毎の画像を形成する画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置に、
色版毎に前記画像データからエッジ領域を検出する検出ステップと、
前記エッジ領域内の画素値を前記レーザビームの露光量に相当する信号の値に変換する変換ステップと、
前記エッジ領域が、前記エッジ領域内の注目画素の色と異なる色の色版のエッジ領域と隣接するか否かを判定する判定ステップと、を実行させ、
前記変換ステップは、
前記判定ステップにおける判定結果に基づき、前記レーザビームの露光量に相当する信号の値を設定する画像形成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−106263(P2013−106263A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249874(P2011−249874)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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