説明

画像形成装置、画像読取装置

【課題】簡素な構成や処理で、複写や読取が制限されている原稿に対する複写又は読取の制限に係る高度な制御が可能な画像形成装置及び画像読取装置を提案する。
【解決手段】原稿画像データにおけるR,G,B各色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データの有無を検出するR色ドットパターン検出部341、G色ドットパターン検出部342及びB色ドットパターン検出部343と、各検出部341〜343の各検出結果から原稿上の複写禁止用ドットパターンの有無及び色を判定するドットパターン色判定部344と、前記ドットパターンの色と複写動作に係る制限内容との対応関係を示すテーブルを予め記憶する制限内容テーブル記憶部35と、ドットパターン色判定部344の判定結果と前記テーブルとに基づき現在の複写機の設定状況がその色に対応する制限内容に該当するか否かを判断し、該当するとき複写動作を禁止する画像形成制御部36とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機や複合機等の画像形成装置及び画像読取装置の技術分野に属し、特に、原稿の複写や読取を禁止するためのパターンが形成されている場合の処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば企業等の機密情報を含んだ資料のデータ等、秘密状態にしておく必要のある秘密文書の複写や複製、或いは複写物の利用を防止又は抑止する技術が種々提案されている。その技術の一つとして、或るスクリーン線数で形成された背景部と、線数(網点の密度)が前記スクリーン線数より高いスクリーン線数で形成された潜像部とを有する地紋を原稿画像に埋め込む地紋印刷技術がある。
【0003】
この地紋印刷技術を用いて作成された原稿画像が複写されると、その複写物には、前記原稿画像の前記潜像部に対応する領域が白抜き状態となることで、例えば「複写禁止」などの模様が視覚的に浮かび上がって見えるようになっている(例えば下記特許文献1参照)。これにより、原稿の複写を心理的に規制させたり抑制させたりすることができる。
【0004】
しかしながら、下記特許文献1の技術では、原稿の複写を心理的に規制させたり抑制させたりすることができるに止まり、不正な複写行為自体までを食い止めることはできない。
【0005】
このような不正な複写行為を規制することを目的として、下記特許文献2には、原稿の画像を読取り、該読取動作により得られた画像データに含まれる背景画像に埋め込まれた特殊ドットパターンを検出し、検出した特殊ドットパターンと予め記憶している特殊ドットパターンとを比較して、両者が一致すると用紙への画像形成動作を禁止する技術が提案されている。
【0006】
しかしながら、下記特許文献2では、予め定められた特殊ドットパターンが存在するか否かによって、用紙への画像形成動作を禁止する制御と許可する制御とを切替えるのみであるため、例えば、特殊ドットパターンが検出された場合であっても所定のユーザには複写を許可したり、例えばカラーコピー及びモノクロコピーのうちモノクロコピーのみ複写を許可するなどのように限られた機能の利用を許可したり、或いは、高解像度のスキャン及び低解像度のスキャンのうち低解像度のスキャンのみ読取りを許可したりするなどの高度な制御はできない。
【0007】
この点に関し、下記特許文献3には、「原稿ごとに特定ユーザにはコピーを許可させたり、所定の日時を過ぎたらコピーを許可させる、といった高度なコピー制御動作を行なわせることができない([0011])」、「複製禁止情報とは、プリント出力を指示した文書を複写機(複合機3を含む)で複製させないようする(複製を禁止する)ことを示す情報である。条件情報とは、プリント出力を指示した文書を複製可能とする条件を示す情報であり、たとえば、暗証番号、複製を許可するユーザID番号(たとえば社員番号など)、複製禁止を解除する日時、複製を許可する複写機の機械番号、などを含んでいる([0032])」、「複製禁止情報や条件情報を符号化したコードデータに対応する複数種類のドットパターンで表されたパターン画像を格納するパターン画像格納部516を有する([0048])」、「“通常コピーモード”においては、画像読取部10により読み取った原稿画像に禁複製コードを示すパターン画像が含まれている場合、それを複製禁止情報検出部22が検知することで複製動作を禁止することができる。一方、禁複製コードを示すパターン画像が含まれていない場合には、読み取った画像を用紙上にプリント出力することができる、通常の複製動作が可能である([0102])」,「条件コピーモード”においては、画像読取部10により読み取った原稿画像に条件コードを示すパターン画像が含まれている場合、それを条件情報検出部24が検知することで、予め登録されている所定条件に合致する場合に限って複製動作を許容することができる。一方、条件コードを示すパターン画像が含まれていない場合には、読み取った画像を用紙上にプリント出力することができるので、通常の複製動作が可能である([0110])」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−197297号公報
【特許文献2】特開2004−274092号公報
【特許文献3】特開2003−280469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献3のように、前記複製禁止情報や条件情報を始めとする種々の情報を、複数のパターン画像を用いて表す場合、その検出対象となるパターン画像の数に応じてパターン画像の情報を予め保持しておく必要があり、その保持のために比較的大きな記憶容量をもつメモリが必要となる。また、原稿に形成されているパターン画像の情報を他のパターン画像と誤って読み取るのを防止又は回避するために、パターン画像の形状を精細に解析するための複雑な処理を要し、処理回路の増大や処理時間の増加を招来する。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡素な構成や処理で、複写や読取が制限されている原稿に対する複写又は読取の制限に係る高度な制御が可能な画像形成装置及び画像読取装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部の読取動作により得られた画像データに基づき記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像読取部の読取動作により得られた画像データに基づき、前記原稿に形成されている予め定められた複写禁止用ドットパターンを検出するとともに、前記複写禁止用ドットパターンを検出した場合に該複写禁止用ドットパターンの色を検出する検出部と、前記複写禁止用ドットパターンの色と、前記画像読取部による読取動作及び前記画像形成部による画像形成動作に係る制限内容との対応関係を予め記憶する記憶部と、前記検出部により複写禁止用ドットパターン及びその色が検出されると、該複写禁止用ドットパターンの色に対応する制限内容を前記記憶部から読み出し、当該画像形成装置の現在の設定状況がその制限内容に該当するときには、前記画像読取部の読取動作及び前記画像形成部の画像形成動作のうち少なくとも前記画像形成動作を禁止し、当該画像形成装置の現在の設定状況が前記制限内容に該当しないときには、前記画像読取部及び前記画像形成部に対して読取動作及び画像形成動作を許可する制御部とを備える画像形成装置である。
【0012】
この発明によれば、複写禁止用ドットパターンの色と、前記画像読取部による読取動作及び前記画像形成部による画像形成動作に係る制限内容とを予め対応付けておき、複写禁止用ドットパターン及びその色が検出された場合に、当該画像形成装置の現在の設定状況が該複写禁止用ドットパターンの色に対応する制限内容に該当するときには、前記画像読取部の読取動作及び前記画像形成部の画像形成動作のうち少なくとも前記画像形成動作を禁止し、該当しないときには、前記画像読取部及び前記画像形成部に対して読取動作及び画像形成動作を許可する構成を採用したので、画像形成装置が検出できる複写禁止用ドットパターンの色の数だけ制限内容の異なる複写制御を行うことができる。
【0013】
また、複写禁止用ドットパターンの色を利用して制限内容の異なる複写制御を行うようにしたので、従来のように制限内容に応じて複写禁止用ドットパターンを設定する必要はなく、1つの複写禁止用ドットパターンで、制限内容の異なる複写制御を行うことが可能となる。
【0014】
これにより、複写禁止用ドットパターンを記憶するためのメモリとして、複数の複写禁止用ドットパターンを記憶する必要のある従来の構成よりも記憶容量の小さいメモリで済むとともに、従来のように複数の複写禁止用ドットパターン同士を識別するための処理が不要となり、その識別のために処理回路が大規模化したり処理時間が増加したりすることなく、制限内容の異なる複写動作に係る制御を簡素な構成や処理で実現することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記画像読取部による読取動作及び前記画像形成部による画像形成動作に係る制限内容を前記複写禁止用ドットパターンの色と対応させて前記記憶部に記憶させる指示を入力するための入力操作部を備え、前記記憶部は、前記入力操作部により前記指示が入力されると、該指示に係る制限内容と前記複写禁止用ドットパターンの色との対応関係を記憶するものである。
【0016】
この発明によれば、ユーザが、前記画像読取部による読取動作及び前記画像形成部による画像形成動作に係る制限内容を、前記複写禁止用ドットパターンの色と対応付けて画像形成装置に記憶させることができる。これにより、ユーザは、複写動作に関して任意の制限態様を設定することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記画像読取部は、前記原稿の画像を予め定められた表色系に用いられる複数の色成分の画像データとして読み取るものであり、前記検出部は、前記画像読取部の読取動作により得られた画像データに基づき前記表色系に用いられる各色成分の前記複写禁止用ドットパターンに係る画像データの有無をそれぞれ検出するとともに、複写禁止用ドットパターンに係る画像データを検出した色成分の組み合わせパターンに基づいて、前記原稿に形成されている前記複写禁止用ドットパターンの色を検出するものである。
【0018】
この発明によれば、簡素な構成や処理で前記複写禁止用ドットパターンの色を検出することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部による途中までの読取動作により得られた画像データに基づき、前記原稿に形成されている予め定められた読取禁止用ドットパターンを検出するとともに、前記読取禁止用ドットパターンを検出した場合に該読取禁止用ドットパターンの色を検出する検出部と、前記読取禁止用ドットパターンの色と、前記画像読取部による読取動作に係る制限内容との対応関係を予め記憶する記憶部と、前記検出部により読取禁止用ドットパターン及びその色が検出されると、該読取禁止用ドットパターンの色に対応する制限内容を前記記憶部から読み出し、当該画像読取装置の現在の設定状況がその制限内容に該当するときには、当該原稿全体に対する前記画像読取部の読取動作を禁止し、当該画像読取装置の現在の設定状況が前記制限内容に該当しないときには、当該原稿全体に対する前記画像読取部の読取動作を許可する制御部とを備える画像読取装置である。
【0020】
この発明によれば、読取禁止用ドットパターンの色と、前記画像読取部による読取動作に係る制限内容とを予め対応付けておき、読取禁止用ドットパターン及びその色が検出された場合に、当該画像読取装置の現在の設定状況が該読取禁止用ドットパターンの色に対応する制限内容に該当するときには、前記画像読取部の読取動作を禁止し、該当しないときには、前記画像読取部に対して読取動作を許可する構成を採用したので、画像読取装置が検出できる読取禁止用ドットパターンの色の数だけ制限内容の異なる読取制御を行うことができる。
【0021】
また、読取禁止用ドットパターンの色を利用して制限内容の異なる読取制御を行うようにしたので、従来のように制限内容に応じて読取禁止用ドットパターンを設定する必要はなく、1つの読取禁止用ドットパターンで、制限内容の異なる読取制御を行うことが可能となる。
【0022】
これにより、読取禁止用ドットパターンを記憶するためのメモリとして、複数の読取禁止用ドットパターンを記憶する必要のある従来の構成よりも記憶容量の小さいメモリで済むとともに、従来のように複数の複写禁止用ドットパターン同士を識別するための処理が不要となり、その識別のために処理回路が大規模化したり処理時間が増加したりすることなく、制限内容の異なる読取制御を簡素な構成で実現することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像読取装置において、前記画像読取部による読取動作に係る制限内容を前記読取禁止用ドットパターンの色と対応させて前記記憶部に記憶させる指示を入力するための入力操作部を備え、前記記憶部は、前記入力操作部により前記指示が入力されると、該指示に係る制限内容と前記読取禁止用ドットパターンの色との対応関係を記憶するものである。
【0024】
この発明によれば、ユーザが、前記画像読取部による読取動作に係る制限内容を、前記読取禁止用ドットパターンの色と対応付けて画像読取装置に記憶させることができる。これにより、ユーザは、読取動作に関して任意の制限態様を設定することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の画像読取装置において、前記画像読取部は、前記原稿の画像を予め定められた表色系に用いられる複数の色成分の画像データとして読み取るものであり、前記検出部は、前記画像読取部による途中までの読取動作により得られた画像データに基づき前記表色系に用いられる各色成分の前記読取禁止用ドットパターンに係る画像データの有無をそれぞれ検出するとともに、読取禁止用ドットパターンに係る画像データを検出した色成分の組み合わせパターンに基づいて、前記原稿に形成されている前記読取禁止用ドットパターンの色を検出するものである。
【0026】
この発明によれば、簡素な構成や処理で前記読取禁止用ドットパターンの色を検出することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、簡素な構成や処理で、複写や読取が制限されている原稿に対する複写又は読取の制限に係る高度な制御が可能な画像形成装置及び画像読取装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態における複写機の概略構成図である。
【図2】複写機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】地紋の一例を示す図である。
【図4】地紋を形成するための潜像部及び背景部を形成するドットパターンを示す図である。
【図5】原稿に形成されている複写禁止用ドットパターンの色と、該複写禁止用ドットパターンをR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に分けて読み取った場合に、前記各色成分の画像データの有無との関係を示した図である。
【図6】各色成分の複写禁止用ドットパターンの有無と、該複写禁止用ドットパターンの色との関係を示すテーブルを示す図である。
【図7】複写禁止用ドットパターンの色と、複写動作に係る制限内容との対応関係を示す制限内容テーブルの一例を示す図である。
【図8】複写機における一連の複写動作を示すフローチャートである。
【図9】複写禁止用ドットパターンの色に対応付ける制限内容をユーザが設定できる機能を有する変形形態[1]の構成を示す図である。
【図10】複写禁止用ドットパターンの色に対応付ける制限内容をユーザが設定するための制限内容設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る画像形成装置の一例としての複写機について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態における複写機の概略構成図である。
【0030】
図1に示すように、複写機1は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の各色別に画像形成部2M、2C、2Y、2K(これらを纏めて画像形成部2という)が本体内に並設されている。
【0031】
画像形成部2は、用紙に対するカラー画像の形成(印刷)を行うものであり、画像形成部2M、2C、2Y及び2Kは、それぞれ、例えばアモルファスシリコンからなる感光体ドラム3、この感光体ドラム3の周囲に配設された帯電部4、露光部5、現像部6及び感光体クリーニング部7を備えている。
【0032】
帯電部4は、感光体ドラム3の表面全体を均一に所定電位に帯電させるものである。露光部5は、後述の画像データ記憶部40(図2参照)等から送信されてきた画像データに基づき生成されたレーザービーム(LED光)を感光体ドラム3の表面に照射し、該感光体ドラム3の表面上に静電潜像を形成するものである。
【0033】
現像部6は、感光体ドラム3に形成された静電潜像に対してトナー供給部61から供給されるトナー(現像剤の一例)を付着させることで、トナー像として静電潜像を顕在化させるものである。感光体クリーニング部7は、後述する中間ベルト10へのトナー画像の一次転写終了後、中間ベルト10に転写されずに感光体ドラム3の表面に残ったトナーを除去するものである。
【0034】
画像形成部2M〜2Kの下方には、感光体ドラム3の表面に顕在化したトナー像の中間転写(一次転写)を行うための中間転写ローラ9(一次転写ローラ)及び中間ベルト(中間転写ベルト)10が配設されている。中間ベルト10は、所定のベルト体からなり、各感光体ドラム3と対向配置された中間転写ローラ9によって感光体ドラム3に押圧された状態で、駆動ローラ11〜13によって無端回転するように構成されている。
【0035】
感光体ドラム3上に形成される各色のトナー像は、無端回転される中間ベルト10上に、それぞれタイミングを合わせて、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの順に転写されて重ね合わされる。これにより中間ベルト10上にC、M、Y、Kの4色からなるカラー画像が形成される。
【0036】
駆動ローラ13と対向する位置には、中間ベルト10を介して2次転写ローラ14が設けられている。2次転写ローラ14は、後述の制御部33(図2参照)からの転写バイアスによって中間ベルト10上のカラー画像を用紙へ転写するものである。
【0037】
また、複写機1は、画像形成部2C,2M,2Y,2Kへ向けて給紙を行う給紙部15を備えている。給紙部15は、各サイズの用紙を収納する給紙カセット151、用紙が搬送される経路である搬送路152、及び、搬送路152中の用紙の搬送を行う搬送ローラ153等を備え、給紙カセット151から1枚ずつ取り出された用紙を画像形成部2C,2M,2Y,2K、すなわち2次転写ローラ14の位置へ向けて搬送する。なお、給紙部15は、2次転写処理された用紙を定着部16へ搬送し、この定着処理された用紙を複写機本体上部の用紙排出トレイ17へ排出する。
【0038】
搬送路152における2次転写ローラ14より下流側の適所には、定着部16が設けられている。定着部16は、用紙に転写されたトナー像を定着させるものである。定着部16は、ヒートローラ161及び圧ローラ162からなり、ヒートローラ161の熱によって用紙上のトナーを溶かし、圧ローラ162によって圧力をかけてトナーを用紙上に定着させる。
【0039】
また、複写機1は、除電クリーニング18を備えている。除電クリーニング18は、中間ベルト10上のトナー(残留トナー)を除去(回収)するものである。除電クリーニング18は、図略のクリーニング電極及びクリーニングブラシ(回転ブラシ)からなり、クリーニング電極によってトナーの帯電電荷と逆極性のクリーニングバイアスをクリーニングブラシに印加し、これによる静電気力によって中間ベルト10上のトナーをクリーニングブラシに移動させることでトナー除去を行う。
【0040】
複写機本体の上部には、原稿読取部20と原稿給送部24とが設けられている。原稿読取部20は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ部21と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台22及び原稿読取スリット23とを備える。
【0041】
CCDは、例えば複数の光電変換素子が主走査方向に配列されてなる光電変換素子列が副走査方向に例えば3列並べられ、1列にはR(赤)のフィルタが配設され、他の1列にはG(緑)のフィルタが配設され、他の1列にはB(青)のフィルタが配設された構成を有するラインセンサである。なお、以下の説明においては、R(赤)、G(緑)、B(青)のフィルタがそれぞれ配設された副走査方向に並ぶ3つの光電変換素子を1つの画素というものとする。このとき、1つの画素から、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分の画像データがそれぞれ出力される。
【0042】
スキャナ部21は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台22に載置された原稿を読み取るときは、原稿台22に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを制御部33(図2参照)へ出力する。また、原稿給送部24により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット23と対向する位置に移動され、原稿読取スリット23を介して原稿給送部24による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部33へ出力する。
【0043】
原稿給送部24は、原稿を載置するための原稿載置部25と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部26と、原稿載置部25に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット23に対向する位置へ搬送し、原稿排出部26へ排出するための給紙ローラや搬送ローラ(図示せず)等からなる原稿搬送機構27を備える。原稿搬送機構27は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット23と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図示せず)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット23を介してスキャナ部21から読取可能にしている。
【0044】
また、原稿給送部24は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部24の前面側を上方に移動させて原稿台22の上面を開放することにより、原稿台22の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
【0045】
図2は、複写機1の電気的な構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、複写機1は、ネットワークI/F(インターフェース)部30、画像データ記憶部40、ユーザインターフェース部50、記録部60、クリーニング部70及び制御部33を備えている。
【0046】
ネットワークI/F部30は、LAN等のネットワークを介して接続されたPC等の情報処理装置(外部装置)との間における種々のデータの送受信を制御するものである。画像データ記憶部40は、ネットワークI/F部30を介してPC等から送信されてきた画像データを一時的に記憶するものである。
【0047】
ユーザインターフェース部50は、複写機1のフロント部に設けられ、ユーザによる各種指示入力が行われる入力キーとして機能したり、所定の情報を表示したりするものである。
【0048】
記録部60は、上記画像形成部2、転写部61、定着部16及び給紙部9を備え、画像データ記憶部40に記憶されるなどした画像データに基づいて用紙に対する画像印刷を行うものである。転写部61は、上述の中間ベルト10、駆動ローラ11〜13及び2次転写ローラ14等を備えてなり、中間ベルト10を介して感光体ドラム3上のトナー像を用紙に転写するものである。
【0049】
クリーニング部70は上記除電クリーニング18からなるものである(感光体クリーニング部7も含む)。
【0050】
制御部33は、各種制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、データを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)、及び上記制御プログラム等をROMから読み出して実行するマイクロコンピュータなどからなり、上記各機能部に対する各種制御信号の送受信を行い、複写機1全体の動作制御を司るものである。
【0051】
また、制御部33は、ドットパターン処理部34と、制限内容テーブル記憶部35と、画像形成制御部36とを備える。
【0052】
ドットパターン処理部34は、画像の背景領域に形成された複写禁止用ドットパターンの有無及び複写禁止用ドットパターンを検出した場合にその色を検出するものであり、R色ドットパターン検出部341と、G色ドットパターン検出部342と、B色ドットパターン検出部343と、ドットパターン色判定部344とを備える。
【0053】
複写禁止用ドットパターンは、当該パターンを含む原稿の画像に対する読取動作により得られた画像データの中に当該パターンが存在することが検出された場合に、所定の条件下における複写動作(用紙への画像形成動作)の実施を禁止させるためのパターンである。なお、本実施形態においては、前記複写禁止用ドットパターンは、以下に説明する地紋に含まれる態様で形成されているものとする。
【0054】
図3(a),(b)は、地紋の一例を示す図である。地紋は、図3(a),(b)に示すように、異なるスクリーン線数で形成される潜像部54,56及び背景部55,57を有してなる。
【0055】
図4に示すように、潜像部54,56を形成するスクリーン線数(図4(a)参照)は、背景部55,57を形成するスクリーン線数(図4(b)参照)より線数(網点の密度)が高く、背景部55,57は、当該複合機1を含む一般的な複写機であれば読取動作で解像される程度のサイズ(径)のドットで形成されている一方、潜像部54,56は、当該複写機1を含む一般的な複写機では読取動作で解像されない程度のサイズ(径)のドットで形成されている。
【0056】
したがって、この地紋が形成された原稿に対する読取動作が行われると、複写物には、通常、原稿のうち潜像部54,56の領域に相当する部分が白抜き状態となって視覚的に所定の模様が浮かび上がって見えるようになっている。
【0057】
地紋は、網点のサイズ、密度、スクリーン線数及び網点角度を含むパラメータの1又は複数が画像領域の画像と異なる網点で構成されたものである。複写禁止用ドットパターンは、網点のサイズ、密度、スクリーン線数及び網点角度を含むパラメータの1又は複数が画像領域の画像や当該複写禁止用ドットパターン以外の部分の地紋と異なる網点で構成されたものである。
【0058】
R色ドットパターン検出部341は、スキャナ部21から出力されるR(赤),G(緑),B(青)の各色成分の原稿画像データのうちR(赤)成分の原稿画像データに複写禁止用ドットパターンの画像データが含まれているか否か(R(赤)成分の複写禁止用ドットパターンの画像データが存在するか否か)を検出するものである。
【0059】
すなわち、R色ドットパターン検出部341は、R色の複写禁止用ドットパターンの画像データについての基準データを予め記憶しており、スキャナ部21から受信したR(赤)色成分の原稿画像データの中に前記基準データと一致する画像データが存在するか否かを検出する。前記基準データは、網点のサイズ、密度、スクリーン線数及び網点角度等からなる各パラメータがそれぞれ予め定められた値に設定されたものである。
【0060】
G色ドットパターン検出部342は、スキャナ部21から出力されるR(赤),G(緑),B(青)の各色成分の原稿画像データのうちG(緑)の原稿画像データに所定の複写禁止用ドットパターンデータが含まれているか否か(G(緑)成分の複写禁止用ドットパターンの画像データが存在するか否か)を検出するものである。
【0061】
すなわち、G色ドットパターン検出部342は、前述したR色ドットパターン検出部341による検出方法と同様、例えば、G色の複写禁止用ドットパターンの画像データについての基準データを予め記憶しており、スキャナ部21から受信したG(緑)色成分の原稿画像データの中に前記基準データと一致する画像データが存在するか否かを検出する。前記基準データは、網点のサイズ、密度、スクリーン線数及び網点角度等からなる各パラメータがそれぞれ予め定められた値に設定されたものである。
【0062】
B色ドットパターン検出部343は、スキャナ部21から出力されるR(赤),G(緑),B(青)の各色成分の原稿画像データのうちB(青)の原稿画像データに所定の複写禁止用ドットパターンデータが含まれているか否か(B(青)成分の複写禁止用ドットパターンの画像データが存在するか否か)を検出するものである。
【0063】
すなわち、B色ドットパターン検出部343は、前述したR色ドットパターン検出部341及びG色ドットパターン検出部342による検出方法と同様、B色の複写禁止用ドットパターンの画像データについての基準データを予め記憶しており、スキャナ部21から受信したB(青)色成分の原稿画像データの中に前記基準データと一致する画像データが存在するか否かを検出する。前記基準データは、網点のサイズ、密度、スクリーン線数及び網点角度等からなる各パラメータがそれぞれ予め定められた値に設定されたものである。
【0064】
ところで、図5に示すように、原稿に形成されている複写禁止用ドットパターンの色が例えばK(黒)である場合には、R(赤)、G(緑)、B(青)の複写禁止用ドットパターンの画像データは、いずれも画素値が小さくなる。また、原稿に形成されている複写禁止用ドットパターンの色が例えばR(赤)である場合、R(赤)の画像データのみ画素値が相対的に大きくなり、G(緑)、B(青)の各画像データは画素値が相対的に小さくなる。また、原稿に形成されている複写禁止用ドットパターンの色が例えばC(シアン)である場合、G(緑)、B(青)の各画像データは相対的に大きくなり、R(赤)の画像データは相対的に小さくなる。
【0065】
このように、R(赤),G(緑)、B(青)の各色成分の複写禁止用ドットパターンの各画像データが示す画素値の大小の組み合わせパターンが、原稿に形成される複写禁止用ドットパターンの色の種類に固有のものとなり、前記組み合わせパターンの形態と、原稿に形成されている複写禁止用ドットパターンの色とが対応する。
【0066】
ここで、本実施形態においては、原稿の用紙は白色であるものとする。この場合、例えばR色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データが示す画素値が大きく、該画像データの画素値が、画像の存在しない白色の背景部分を読み取ったR(赤)の光電変換素子の画像データの画素値と近似すると、着目している画像データが、前記複写禁止用ドットパターンの画像データであるのか、白色の背景部分を示す画像データであるのかが区別できない。
【0067】
すなわち、R色ドットパターン検出部341は、R色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データが示す画素値が大きく、該画像データの画素値が、画像の存在しない白色の背景部分を読み取ったR(赤)の光電変換素子の画像データの画素値と近似する場合には、スキャナ部21から受信したR(赤)の原稿画像データから複写禁止用ドットパターンの画像データを検出することができない。これは、G色ドットパターン検出部342及びB色ドットパターン検出部343についても同様である。
【0068】
そこで、本実施形態では、R色ドットパターン検出部341は、白色の背景部分を示す画像データの画素値と近似する画像データを除く、画素値の比較的小さいR(赤)の画像データを用いて(画素値が比較的小さいR(赤)の画像データを対象として)、R色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データの検出処理を行う。
【0069】
すなわち、R色ドットパターン検出部341は、スキャナ部21から受信したR(赤)色成分の原稿画像データの中に、比較的画素値の小さい画像データであって且つ前記基準データと一致する画像データが存在するか否かを検出する。
【0070】
そして、R色ドットパターン検出部341は、スキャナ部21から受信したR(赤)色成分の原稿画像データの中に、比較的画素値の小さい画像データであって且つ前記基準データと一致する画像データが存在することを検出した場合には、R色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データを検出した旨を示す検出結果をドットパターン色判定部344に通知する一方、それ以外の場合には、スキャナ部21から受信したR(赤)色成分の原稿画像データの中に、比較的画素値の小さい画像データであって且つ前記基準データと一致する画像データが存在することを検出しなかった場合には、R色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データを検出しなかった旨を示す検出結果をドットパターン色判定部344に通知する。G色ドットパターン検出部342及びB色ドットパターン検出部343も、R色ドットパターン検出部341と同様の処理を実施する。
【0071】
ドットパターン色判定部344は、R色ドットパターン検出部341、G色ドットパターン検出部342及びB色ドットパターン検出部343による各検出結果に基づき、原稿における複写禁止用ドットパターンの有無や複写禁止用ドットパターンの色を判定するものである。
【0072】
図6は、R色ドットパターン検出部341,G色ドットパターン検出部342及びB色ドットパターン検出部343による各色成分の複写禁止用ドットパターンデータの有無に係る検出結果と、該複写禁止用ドットパターンの色との関係を示すテーブルを表した図である。なお、図6では、各色成分において、当該色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データが検出された場合を丸印で表す一方、当該色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データが検出されない場合を「×」印で表している。
【0073】
なお、ここでは、原稿に形成される複写禁止用ドットパターンに用いられ得る色として、K(黒)、R(赤)、G(緑)、B(青)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の計7色を想定している。
【0074】
ドットパターン色判定部344は、図6に示すようなテーブルを予め記憶している。そして、ドットパターン色判定部344は、前記R色ドットパターン検出部341、G色ドットパターン検出部342及びB色ドットパターン検出部343による各検出結果とそのテーブルとに基づき、複写禁止用ドットパターンの有無及び複写禁止用ドットパターンを検出した場合にそのドットパターンの色を検出し、原稿上における複写禁止用ドットパターンの有無を示す第1検出結果情報と、複写禁止用ドットパターンを検出した場合にそのドットパターンの色を示す第2検出結果情報とを画像形成制御部36に出力する。
【0075】
例えば、ドットパターン色判定部344は、前記R色ドットパターン検出部341、G色ドットパターン検出部342及びB色ドットパターン検出部343によりR(赤)、G(緑)及びB(青)の各色成分とも複写禁止用ドットパターンの画像データが検出された場合には、図6に示すテーブルに基づき、原稿に複写禁止用ドットパターンが形成されているものと判断し、その旨を示す情報を前記第1検出結果情報として出力するとともに、原稿に形成されている複写禁止用ドットパターンの色が黒色であると判断し、その旨を示す情報を前記第2検出結果情報として出力する。
【0076】
また、ドットパターン色判定部344は、前記R色ドットパターン検出部341、G色ドットパターン検出部342及びB色ドットパターン検出部343によりR(赤)、G(緑)及びB(青)の各色成分のうち、R(赤)、G(緑)の色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データのみが検出された場合には、原稿に複写禁止用ドットパターンが形成されているものと判断し、その旨を示す情報を前記第1検出結果情報として出力するとともに、原稿に形成されている複写禁止用ドットパターンの色が青色であるものと判断し、その旨を示す情報を前記第2検出結果情報として出力する。
【0077】
また、ドットパターン色判定部344は、R(赤)、G(緑)及びB(青)の各色成分とも複写禁止用ドットパターンの画像データが検出されなかった場合には、原稿には複写禁止用ドットパターンが形成されていないものと判断し、その旨を示す情報を前記第1検出結果情報及び第2検出結果情報として出力する。
【0078】
制限内容テーブル記憶部35は、前記複写禁止用ドットパターンの色と、前記複写動作に係る制限内容との対応関係を示す制限内容テーブルを記憶するものである。該テーブルの一例を図7に示す。
【0079】
図7に示す制限内容テーブルにおいては、例えば前記複写禁止用ドットパターンの色がK(黒)色の場合には全ての出力を禁止するという制限内容が、R(赤)の場合にはカラーコピー及びモノクロコピーを禁止するという制限内容が、G(緑)の場合にはカラーコピーを禁止するという制限内容が、B(青)の場合にはコピー及びスキャン(読取動作)を禁止するという制限内容が、C(シアン)の場合には特定の日時以降の出力を禁止するという制限内容が、M(マゼンタ)の場合には特定のユーザ以外のユーザの出力を禁止するという制限内容がそれぞれ設定されている。
【0080】
画像形成制御部36は、前記ドットパターン処理部34から受信した前記第1及び2検出結果情報と、前記制限内容テーブル記憶部35に記憶された制限内容テーブルとに基づき、画像形成部2の画像形成動作を制御するものである。
【0081】
例えば、前記ドットパターン処理部34から受信した前記第1検出結果情報が、複写禁止用ドットパターンが検出されなかったことを示す情報である場合には、画像形成制御部36は、画像形成動作の実施を前記画像形成部2に指示する。
【0082】
また、前記ドットパターン処理部34から受信した前記第1検出結果情報が、複写禁止用ドットパターンが検出されたことを示す情報である場合であり、且つ、前記第2検出結果情報が、前記複写禁止用ドットパターンの色がG(緑)であることを示す情報である場合には、画像形成制御部36は、前記制限内容テーブル記憶部35を参照してカラーコピーを禁止する制限内容を示す色の複写禁止用ドットパターンが原稿に付加されていることを認識する。
【0083】
そして、画像形成制御部36は、当該複写機1の現在の設定状況が、G(緑)成分の複写禁止用ドットパターンに対応する制限内容に該当するか否か、すなわち、現在、当該原稿に対する指示がカラーコピーの実行指示であるか否かを判断し、そうであるときには、該カラーコピーの実行指示を前記画像形成部2に出力せず(該カラーコピーの実行を禁止し)、一方、例えばモノクロコピーの実行指示などの他の指示がなされているときには、その指示に基づく画像形成動作の実施を前記画像形成部2に指示(許可)する。
【0084】
図8は、複写機1における一連の複写動作を示すフローチャートである。
【0085】
図8に示すように、或る原稿に対する複写動作の実行指示がユーザインターフェース部50を用いて行われると(ステップ♯1でYES)、原稿読取部20は、読取動作を実行する(ステップ♯2)。
【0086】
次に、ドットパターン処理部34は、前記原稿読取部20の読取動作で得られた画像データに基づき、複写禁止用ドットパターンの有無と色とを検出する検出処理を実施する(ステップ♯3)。なお、この検出処理は、前述したように、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分の画像データに基づき、前記各色成分の複写禁止用ドットパターンの画像データの有無を前記ドットパターン処理部34が判断し、複写禁止用ドットパターンの画像データが検出された色成分の組み合わせと図6に示すテーブルとに基づき、前記ドットパターン処理部34が複写禁止用ドットパターンの色を判定する処理である。
【0087】
そして、画像形成制御部36は、前記ドットパターン処理部34により複写禁止用ドットパターンが検出されなかった場合には(ステップ♯4でNO)、ステップ♯1で指示された複写動作の内容にしたがって画像形成部2に画像形成動作を実行させる(ステップ♯8)。
【0088】
一方、画像形成制御部36は、前記ドットパターン処理部34により複写禁止用ドットパターンが検出された場合には(ステップ♯4でYES)、該複写禁止用ドットパターンの色に対応する制限内容を、前記制限内容テーブル記憶部35に記憶されているテーブルを参照して認識し(ステップ♯5)、現在の複写機1の設定状況がその制限内容に該当するか否かを判断する(ステップ♯6)。
【0089】
画像形成制御部36は、現在の複写機1の設定状況が前記制限内容に該当すると判断した場合には(ステップ♯6でYES)、該画像形成動作の実行指示を前記画像形成部2に出力せず、現在の複写機1の設定状況では当該原稿に対する複写動作が禁止されている旨の報知を行う一方(ステップ♯7)、現在の複写機1の設定状況が前記制限内容に該当しないと判断した場合には(ステップ♯6でNO)、ステップ♯1で指示された複写動作の内容にしたがって画像形成部2に画像形成動作を実行させる(ステップ♯8)。
【0090】
以上のように、本実施形態の複写機1は、複写禁止用ドットパターンの色と複写動作に関する制限内容との対応関係を予め記憶しておくとともに、原稿に複写禁止用ドットパターンが付加されている場合に該複写禁止用ドットパターンの色を検出する機能を搭載し、複写禁止用ドットパターンの色を検出すると、現在の複写機1の設定状況(原稿の複写動作に係る指示内容)が、その色に対応する制限内容に該当するか否かを判断し、該当する場合には複写動作を禁止する構成を採用したので、複写機1が検出できる複写禁止用ドットパターンの色の数だけ制限内容の異なる複写動作の制限態様を設けることができ、従来に比してより高度な複写制御を行うことができる。
【0091】
また、複写禁止用ドットパターンの色を利用して制限内容の異なる複写制御を行うようにしたので、従来のように制限内容に応じて複写禁止用ドットパターンを設定する必要がなく、1つの複写禁止用ドットパターンで、制限内容の異なる複写制御を行うことが可能となる。
【0092】
これにより、複写禁止用ドットパターンを記憶するためのメモリとして、複数の複写禁止用ドットパターンを記憶する必要のある従来の構成よりも記憶容量の小さいメモリで済むとともに、従来のように複数の複写禁止用ドットパターン同士を識別するための処理が不要となり、その識別のために処理回路が大規模化したり処理時間が増加したりすることなく、制限内容の異なる複写動作に係る制御を簡素な構成や処理で実現することができる。
【0093】
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて次のような変形形態も採用可能である。
【0094】
[1]前記実施形態では、予め対応付けられた、複写禁止用ドットパターンの色と複写動作に関する制限内容との対応関係を示す前記制限内容テーブルを制限内容テーブル記憶部35に予め記憶しておき、該制限内容テーブルと検出した複写禁止用ドットパターンの色とに基づき複写動作に係る制御を実施するようにしたが、この形態に限定されず、例えば、次のように、前記複写禁止用ドットパターンの色に対応付ける制限内容をユーザが設定できるようにしてもよい。
【0095】
図9は、前記複写禁止用ドットパターンの色に対応付ける制限内容をユーザが設定する入力を行うための入力操作部を、複写機1とは別の装置に搭載した形態を示す図であり、本実施形態では、前記別の装置の一例として、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)100が採用されている。
【0096】
図9に示すように、複写機1はPC100と通信可能に接続されている。PC100は、図示しないが、前記ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びマイクロコンピュータなどからなる制御部104を搭載する装置本体101と、前記制御部104からの指示にしたがって所定の画面を表示するディスプレイ102と、前記制御部104に各種の指示を入力したり情報を入力したりするためのマウスやキーボード等の入力操作部103とを備えて構成されているものである。
【0097】
このPC100において、前記制御部104に、前記複写禁止用ドットパターンの色と制限内容とをユーザが設定する入力を行うための制限内容設定画面を前記ディスプレイ102に表示したり、該画面に表示された入力項目についての入力値を複写機1の制御部33に記憶させたりするプログラム(ドライバ)が格納されている。
【0098】
図10は、該プログラムによりPC100のディスプレイ102に表示される前記制限内容設定画面の一例である。なお、ここでは、複写機1は、用紙に画像を形成する際に、複写禁止用ドットパターンを含む地紋を形成する機能を搭載し、且つ前記制限内容設定画面において、その地紋に関する設定も行えるようになっていることを前提とする。
【0099】
図10に示す制限内容設定画面200は、前記地紋として採用する文字、その文字のサイズ、フォント、角度やスタイル等を設定するためのボックス群201と、出力物(複写物)に設定したい制限内容を選択するためのボックス202と、ボックス202で選択された制限内容に対応させる対象の色(複写禁止用ドットパターンの色)を表示するウィンドウ203と、ボックス群201,ボックス202,ウィンドウ203により設定された内容で、前記複写禁止用ドットパターンを含む地紋を用紙に出力した際のイメージ画像を表示するイメージ画像表示部204とを有する。
【0100】
この制限内容設定画面200で入力された入力値のうちボックス202及びウィンドウ203で入力された入力値は、入力値情報として複写機1に送信され、複写機1の制御部33はその入力値情報を受信すると、該入力値を前記制限内容テーブル記憶部35のテーブルに格納する。これ以降、画像形成制御部36は、該テーブルを参照して、図8に示すフローチャートのステップ♯6、♯7の処理を実施する。
【0101】
このように、前記複写禁止用ドットパターンの色に対応付ける制限内容をユーザが設定できるようにすることで、複写動作に係る任意の制限態様を設定することができる。
【0102】
なお、ここでは、前記複写禁止用ドットパターンの色に対応付ける制限内容を、PC100により設定する形態を説明したが、前記制限内容を設定する機能を複写機1自体に搭載するようにしてもよい。また、前記複写禁止用ドットパターンの色に対応付ける制限内容をユーザが設定する入力をPC100により行う前記実施形態においては、PC100と複写機1とが本件の画像形成装置に含まれるとして考えるとよい。
【0103】
また、ここでは、前記複写禁止用ドットパターンの色に対応付ける制限内容を設定する形態を説明したが、各制限内容に対応付ける複写禁止用ドットパターンの色を設定する形態でもよい。
【0104】
[2]前記第1の実施形態においては、ドットパターン処理部34が、R色ドットパターン検出部341とG色ドットパターン検出部342とB色ドットパターン検出部343とを備え、前記各検出部341〜343が、前述の複写禁止用ドットパターンの検出処理及び該複写禁止用ドットパターンの色を検出する色検出処理を同時並行的に行う構成を採用したが、この形態に限らず、次のような構成も採用可能である。
【0105】
すなわち、前記ドットパターン処理部34がR色ドットパターン検出部341とG色ドットパターン検出部342とB色ドットパターン検出部343とを備えるのではなく、これらの検出部341〜343と略同一の機能を有する検出部を1つだけ備え、該検出部がR(赤)成分、G(緑)成分及びB(青)成分の画像データをスキャナ部21から順番に取り込んで、当該色成分の画像データに対する複写禁止用ドットパターンの画像データの検出処理及び前記色検出処理を、取り込んだ画像データに係る色の順番に実行するものとしてもよい。
【0106】
この場合、ドットパターン処理部34には検出部が1つで済むから、回路規模を前記第1の実施形態に比して小さくすることができる。
【0107】
[3]本件の適用対象は、複写機に限定されず、読取機能のみを備えたスキャナ等の画像読取装置も含み、この画像読取装置における原稿全体に対する読取動作を禁止する形態も想定される。
【0108】
この場合、画像読取装置は、原稿における読取禁止用ドットパターンの有無や読取禁止用ドットパターンの色を検出する処理を行うための画像データを得るべく、原稿に対する読取動作を途中まで実施する。
【0109】
そして、画像読取装置は、図示しないが、その読取動作で得られた各色成分の画像データに、それぞれ読取禁止用ドットパターンが含まれているか否かを検出するR色パターン検出部、G色パターン検出部及びB色パターン検出部と、前記各検出部の検出結果に基づき、原稿上における読取禁止用ドットパターンの有無及びその色を検出するドットパターン色判定部と、読取禁止用ドットパターンの色と複写動作に関する制限内容との対応関係を予め記憶する制限内容テーブル記憶部と、前記ドットパターン色判定部の判定情報と前記制限内容テーブル記憶部に記憶された制限内容テーブルとに基づき、現在の画像読取装置の設定状況(原稿の読取動作に係る指示内容)が、その色に対応する制限内容に該当するか否かを判断し、該当する場合には図略の読取部による読取動作を禁止し、該当しない場合には、中断していた読取動作を前記読取部に再開させる読取制御部とを備える。
【0110】
これにより、画像読取装置が検出できる読取禁止用ドットパターンの色の数だけ制限内容の異なる読取動作の制限態様を設けることができ、従来に比してより高度な読取制御を行うことができるとともに、読取禁止用ドットパターンの色を利用して制限内容の異なる読取制御を行うようにしたので、制限内容の異なる読取動作に係る制御を簡素な構成や処理で実現することができる。
【0111】
なお、この技術思想を、前記第1の実施形態における複写機1の読取動作に適用してもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 複写機
2 画像形成部
33 制御部
34 ドットパターン処理部
341 R色ドットパターン検出部
342 G色ドットパターン検出部
343 B色ドットパターン検出部
344 ドットパターン色判定部
35 制限内容テーブル記憶部
36 画像形成制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部の読取動作により得られた画像データに基づき記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像読取部の読取動作により得られた画像データに基づき、前記原稿に形成されている予め定められた複写禁止用ドットパターンを検出するとともに、前記複写禁止用ドットパターンを検出した場合に該複写禁止用ドットパターンの色を検出する検出部と、
前記複写禁止用ドットパターンの色と、前記画像読取部による読取動作及び前記画像形成部による画像形成動作に係る制限内容との対応関係を予め記憶する記憶部と、
前記検出部により複写禁止用ドットパターン及びその色が検出されると、該複写禁止用ドットパターンの色に対応する制限内容を前記記憶部から読み出し、当該画像形成装置の現在の設定状況がその制限内容に該当するときには、前記画像読取部の読取動作及び前記画像形成部の画像形成動作のうち少なくとも前記画像形成動作を禁止し、当該画像形成装置の現在の設定状況が前記制限内容に該当しないときには、前記画像読取部及び前記画像形成部に対して読取動作及び画像形成動作を許可する制御部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記画像読取部による読取動作及び前記画像形成部による画像形成動作に係る制限内容を前記複写禁止用ドットパターンの色と対応させて前記記憶部に記憶させる指示を入力するための入力操作部を備え、
前記記憶部は、前記入力操作部により前記指示が入力されると、該指示に係る制限内容と前記複写禁止用ドットパターンの色との対応関係を記憶する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像読取部は、前記原稿の画像を予め定められた表色系に用いられる複数の色成分の画像データとして読み取るものであり、
前記検出部は、前記画像読取部の読取動作により得られた画像データに基づき前記表色系に用いられる各色成分の前記複写禁止用ドットパターンに係る画像データの有無をそれぞれ検出するとともに、複写禁止用ドットパターンに係る画像データを検出した色成分の組み合わせパターンに基づいて、前記原稿に形成されている前記複写禁止用ドットパターンの色を検出する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部による途中までの読取動作により得られた画像データに基づき、前記原稿に形成されている予め定められた読取禁止用ドットパターンを検出するとともに、前記読取禁止用ドットパターンを検出した場合に該読取禁止用ドットパターンの色を検出する検出部と、
前記読取禁止用ドットパターンの色と、前記画像読取部による読取動作に係る制限内容との対応関係を予め記憶する記憶部と、
前記検出部により読取禁止用ドットパターン及びその色が検出されると、該読取禁止用ドットパターンの色に対応する制限内容を前記記憶部から読み出し、当該画像読取装置の現在の設定状況がその制限内容に該当するときには、当該原稿全体に対する前記画像読取部の読取動作を禁止し、当該画像読取装置の現在の設定状況が前記制限内容に該当しないときには、当該原稿全体に対する前記画像読取部の読取動作を許可する制御部と
を備える画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取部による読取動作に係る制限内容を前記読取禁止用ドットパターンの色と対応させて前記記憶部に記憶させる指示を入力するための入力操作部を備え、
前記記憶部は、前記入力操作部により前記指示が入力されると、該指示に係る制限内容と前記読取禁止用ドットパターンの色との対応関係を記憶する請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記画像読取部は、前記原稿の画像を予め定められた表色系に用いられる複数の色成分の画像データとして読み取るものであり、
前記検出部は、前記画像読取部による途中までの読取動作により得られた画像データに基づき前記表色系に用いられる各色成分の前記読取禁止用ドットパターンに係る画像データの有無をそれぞれ検出するとともに、読取禁止用ドットパターンに係る画像データを検出した色成分の組み合わせパターンに基づいて、前記原稿に形成されている前記読取禁止用ドットパターンの色を検出する請求項4又は5に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−178021(P2010−178021A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17941(P2009−17941)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】