説明

画像形成装置および予測プログラム

【課題】
良好な印刷品質を確保した印刷出力に用いる消耗品の交換時期を的確に予測できるようにした画像形成装置および予測プログラムを提供する。
【解決手段】
交換時期分析部19によって、印刷環境の環境データに基づいて消耗品の設定情報を決定し、当該設定情報に基づいて消耗品を設定した場合における当該消耗品の交換時期を予測する予測式を作成する。作成した予測式を実行することによって消耗品の交換時期を算出する。さらに、印刷状況に応じて次回の調整時期を決定することで印刷状況に応じた消耗品の最適な交換時期を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等による印刷処理は、当該印刷処理過程において各種構成部品を稼動させ、所定の印刷材料を用いて行われる。これらの構成部品、印刷材料のなかには使用状態が進むことにより交換・補充等が必要となる消耗品が存在する。この消耗品として、例えば感光体やトナー、転写機構、定着機構などがある。
【0003】
これらの消耗品は、その機能や用途の違いから、使用できる印刷枚数(印刷回数)や経過時間等の寿命が異なっており、印刷処理機能の停止等を防止するために消耗品の交換が必要な時期を正確に予測することが必要となる。
【0004】
特許文献1に開示された従来技術では、画像形成信号に基づくトナーの消費量の推定値を、検査用トナー像の光学濃度により検出されたトナー量により検証して、無用なトナーの補給を求めるといった事態やトナー切れに至る事態を防止することを可能としている。
【0005】
このような技術を用いて、消耗品の寿命を正確に予測し、装置の利便性を向上させているが、この寿命は使用環境により大きく変化するものである。
【0006】
特許文献2では、色味安定化制御の動作を決定する各パラメータをセットで変更するように制御することでより、その状況変化に合致した最適な画像安定化を達成することを可能にした技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−123820号公報
【特許文献2】特開2003−228201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、良好な印刷品質を確保した印刷出力に用いる消耗品の交換時期を的確に予測できるようにした画像形成装置および予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、印刷環境における環境データを検出する検出手段と、前記検出手段によって検出した環境データに基づいて印刷出力に用いる各消耗品の設定情報を調整する設定情報調整手段と、前記設定情報調整手段により調整した設定情報に基づいて印刷出力することによって、前記消耗品の交換が必要となる交換時期を予測する予測式を作成する予測式作成手段と、前記予測式作成手段によって作成した予測式により前記消耗品の交換時期を予測する交換時期予測手段とを具備する。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記設定情報調整手段により調整した設定情報に基づいて行われる印刷出力にかかる印刷履歴を記憶する印刷履歴記憶手段と、前記印刷履歴記憶手段によって記憶された印刷履歴を元に、前記設定情報調整手段によって行われる前記設定情報の調整時期を決定する決定手段とを具備する。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記設定情報調整手段により前記設定情報の調整を行う調整条件を管理する調整条件管理手段を具備し、前記決定手段は、前記印刷履歴記憶手段によって記憶された印刷履歴が、前記調整条件管理手段で管理する前記調整条件を満たすときを前記調整時期と決定する。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1または2の発明において、前記消耗品の交換を検知する検知手段を具備し、前記設定情報調整手段は、前記検知手段によって消耗品の交換を検知すると、前記検出手段によって検出した環境データに基づいて当該消耗品の設定情報を調整する。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項2または3の発明において、前記調整条件管理手段は、前記印刷履歴記憶手段によって記憶される印刷履歴および前記検出手段によって検出される環境データに基づく調整条件を管理し、前記決定手段は、前記調整条件管理手段によって管理された調整条件に対する前記印刷履歴および前記環境データの少なくとも一方を満たすときを前記調整時期と決定する。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項3の発明において、前記調整条件管理手段は、前記印刷履歴管理手段によって管理する印刷履歴に基づく前記印刷出力の実施状況に応じた調整条件を管理する。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記調整条件管理手段は、前記印刷履歴管理手段によって管理する印刷履歴による平均印刷枚数に基づく調整条件を管理する。
【0016】
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかの発明において、前記各消耗品の総使用可能量に対する実残量を計測する計測手段と、前記印刷履歴管理手段によって管理する印刷履歴に基づいて前記消耗品の残使用可能量を計算する残使用可能量計算手段と、前記計測手段によって計測した実残量と前記残使用可能量計算手段によって計算した残使用可能量とを比較し、その差分を算出する差分算出手段とを具備し、前記予測式作成手段は、前記差分算出手段により差分が算出された場合、当該差分により導出された係数および補正項からなる予測式を作成する。
【0017】
また、請求項9の発明は、コンピュータを、印刷環境における環境データに基づいて印刷出力に用いる各消耗品の設定情報を調整する設定情報調整手段、前記設定情報調整手段により調整した設定情報に基づく印刷出力により前記消耗品の交換が必要となる交換時期を予測する予測式を作成する予測式作成手段、前記予測式作成手段によって作成した予測式により前記消耗品の交換時期を予測する交換時期予測手段として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1によれば、良好な印刷品質を確保した印刷出力に用いる消耗品の交換時期を的確に予測できるようになるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項2によれば、印刷状況に応じた最適な時期に設定情報の調整が可能となり、また消耗品の交換時期を的確に予測できるようになるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項3によれば、印刷履歴に基づく調整条件によって設定情報の調整が可能となり、また消耗品の交換時期を的確に予測できるようになるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項4によれば、新たな消耗品へと交換されることにより当該消耗品に応じた設定情報へと調整され、当該設定情報に基づく印刷出力による該消耗品の交換時期を的確に予測できるようになるという効果を奏する。
【0022】
また、請求項5によれば、印刷環境に応じた調整条件により消耗品の設定情報の調整を行うことができ、最適な印刷環境を提供するとともに、当該印刷環境に基づく消耗品の交換時期を的確に予測できるようになるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項6によれば、印刷出力の実施状況に応じた最適なタイミングで設定情報の調整が可能になるという効果を奏する。
【0024】
また、請求項7によれば、一日当りまたは単位時間あたりの平均印刷枚数に基づく最適なタイミングで消耗品の設定情報の調整が可能になるという効果を奏する。
【0025】
また、請求項8によれば、より正確な使用量に基づいて消耗品の交換時期を予測できるようになるという効果を奏する。
【0026】
また、請求項9によれば、良好な印刷品質を確保した印刷出力に用いる消耗品の交換時期を的確に予測できるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置および予測プログラムを適用して構成した画像形成装置の構成を示す図の一例。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置に消耗品ユニットが装着された際の詳細な処理の流れを示すフローチャート。
【図3】本発明の実施の形態における画像形成装置に消耗品ユニットが装着された際の詳細な処理の流れを示す他のフローチャート。
【図4】調整条件の一例を示す図。
【図5】調整条件を適用する処理の流れを示すフローチャート。
【図6】本発明の実施の形態における画像形成装置が消耗品設定情報の調整時期となった場合の詳細な処理の流れを示すフローチャート。
【図7】本発明の実施の形態における画像形成装置が消耗品設定情報の調整条件となった場合の詳細な処理の流れを示すフローチャート。
【図8】本発明の実施の形態における画像形成装置によって行われる印刷処理おける消耗品の消耗状態を示すグラフ
【図9】本発明の実施の形態における画像形成装置および予測プログラムを適用して構成した画像形成装置の構成を示す図の一例。
【図10】本発明の実施の形態における画像形成装置により行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態における画像形成装置が消耗品設定情報の調整タイミングとなった場合の詳細な処理の流れを示すフローチャート。
【図12】調整条件の一例を示す図。
【図13】印刷履歴の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係わる画像形成装置および予測プログラムの一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置および予測プログラムを適用して構成した画像形成装置の構成を示す図の一例である。
【0030】
図1において、本画像形成装置は、印刷要求された印刷データに対して印刷制御を行うコントローラ10、コントローラ10により印刷制御された印刷データを印刷出力するエンジン20により構成される。
【0031】
コントローラ10は、CPU11、RAM12、ROM13、表示部14、記憶部15、計時部16、システム制御部17、エンジンインターフェース部18、交換時期分析部19を具備して構成され、エンジン20は、CPU21、RAM22、ROM23、エンジン制御部24、環境センサー25−1、濃度センサー25−2、帯電制御部26、帯電ユニット26A、露光制御部27、露光ユニット27A、現像機制御部28、現像ユニット28A、トナーカートリッジ28B、転写機制御部29、転写ユニット29A、定着機制御部30、定着ユニット30Aを具備して構成される。
【0032】
コントローラ10が印刷データの印刷要求を通信インターフェース(図示せず)等を介して受信すると、システム制御部17における印刷制御処理に基づいてCPU11は、RAM12を作業領域としてROM13に記憶する印刷処理プログラムを実行し、エンジン20による印刷出力処理形式の印刷データを生成する。生成した印刷データをエンジンインターフェース18を介してエンジン20に印刷指示を行う。
【0033】
印刷指示によりエンジン20では、エンジン制御部24がエンジンインターフェース18により印刷指示された印刷データを受信し、エンジン制御部24からの指示に基づいてCPU21がRAM22を作業領域としてROM23に記憶された処理プログラムを実行することで画像展開、変換、階調表現処理等が行われる。
【0034】
エンジン制御部24では、帯電制御部26、露光制御部27、現像機制御部28、転写機制御部29、定着機制御部30を制御することにより印刷指示された印刷データに応じた印刷出力処理が行われる。
【0035】
帯電制御部26では、帯電設定情報を元に帯電ユニット26Aを制御することで感光体ドラムに対して電荷を帯電させ、露光制御部27は、露光設定情報を元に露光ユニット27Aを制御することでレーザーを印刷データに基づいて照射することで感光体ドラムに帯電させた電荷を除去する露光処理を行う。現像機制御部28は、現像設定情報を元に現像ユニット28Aを制御することで露光制御部27により露光処理が行われた感光体ドラムに対して印刷材料であるトナーをトナーカートリッジ28Bより付着させ、転写機制御部29は、転写設定情報を元に転写ユニット29Aを制御することで感光体ドラムに付着したトナーをプラスの電荷を与えた印刷媒体に転写する。そして、定着器制御部30は、定着設定情報を元に定着ユニット30Aを制御することで熱を加えて印刷媒体に転写したトナーを定着させる。
【0036】
そして、この印刷媒体を用紙搬送路を搬送することで排紙トレーに排紙し、印刷出力が行われる。
【0037】
このときの帯電ユニット26A、露光ユニット27A、現像ユニット28A、トナーカートリッジ28B、転写ユニット29A、定着ユニット30Aが消耗品の一例であって、これらの消耗品の使用形態を設定した情報である帯電設定情報、露光設定情報、現像設定情報、転写設定情報、定着設定情報を総称して、「消耗品設定情報」と示す。
【0038】
このようにして印刷出力が行われると、印刷出力された印刷枚数および当該印刷出力に用いた消耗品設定情報を印刷履歴として記憶部15に記憶する。
【0039】
このような印刷処理が行われる際に用いられる消耗品が新たに装着されると、各消耗品に対する制御部(帯電制御部26、露光制御部27、現像機制御部28、転写機制御部29、定着機制御部30)がこれを検知してエンジン制御部24へとその旨を通知する。
【0040】
通知を受けたエンジン制御部24では、コントローラ10のエンジンインターフェース部18を介して交換時期分析部19に検知通知を行う。
【0041】
そして、交換時期分析部19では、この消耗品の装着の検知通知とともに環境センサー25−1により検出された温度・湿度等の環境情報を受信すると、この環境情報に基づいて装着された消耗品の利用形態を設定した消耗品設定情報を決定する。
【0042】
この消耗品設定情報は、各消耗品を用いた処理の際に参照される当該消耗品の使用形態を示す情報であり、例えば消耗品が帯電ユニットである場合には当該帯電ユニットの消耗品設定情報である帯電設定情報によって示された電荷の帯電量、帯電面積等の情報であり、消耗品がトナーカートリッジ28Bである場合には当該トナーカートリッジにより転写されるトナー濃度の情報であり、消耗品が現像ユニットである場合には階調表現再現性に関する情報である。
【0043】
この消耗品設定情報を決定する処理は、温度、湿度等の環境情報に基づいて行われる処理であって、例えば温度や湿度の情報に対応して予め定めた消耗品設定情報とする処理である。
【0044】
このようにして、消耗品設定情報を決定すると、さらに、交換時期分析部109では、当該消耗品設定情報の決定前に設定されていた消耗品設定情報とともに、上記の決定処理により決定した消耗品設定情報を消耗品に対する調整履歴として記憶部15に記憶する。
【0045】
また、この交換時期分析部109では、この消耗品設定情報をエンジン20を構成する各制御部(帯電制御部26、露光制御部27、現像機制御部28、転写機制御部29、定着機制御部30)に設定する。
【0046】
続いて、交換時期分析部19では、決定した消耗品設定情報に基づいて消耗品を使用した場合における当該消耗品の交換時期を予測する予測式を作成する。この予測式の作成手順およびその一例を図8を用いて以下で説明する。
【0047】
交換時期分析部19によって消耗品の交換時期を予測する予測式が作成されると、この予測式を用いて消耗品の交換時期を予測する処理を行い、予測した交換時期の情報を記憶部15へと記憶保存する。
【0048】
そして、次回の消耗品設定情報の調整時期(以下、調整タイミング」ともいう)を、現時点から一定の稼働時間を経過したとき、または所定の調整条件、例えば図4に示すような調整条件を満たしたときと決定する。この次回の調整タイミングの情報も記憶部15へと記憶保存する。
【0049】
図4に示す調整条件は、主条件と2つの従条件により構成されており、従条件を満たし、かつ従条件のいずれかを満たすことにより調整条件を満たすこととなる。
【0050】
従条件には、その従条件を満たすことにより次回の調整タイミングを決定するための項目が指定されている。図4に示す例では、主条件として「印刷枚数が1000枚に達したこと」が示されており、1つ目の従条件として「印刷環境の平均温度が20度以上の場合、次の調整時期までの最低間隔を2日とする」が示されており、2つ目の従条件として「印刷環境の平均温度が20度未満の場合、次の調整時期までの最低間隔を1日とする」が示されている。
【0051】
すなわち、主条件に示された印刷枚数が1000枚に達した場合に、従条件により示す印刷環境の平均温度が20度以上であるとき、次回の調整タイミングを現在の日付から2日後とすることが示されている。また、主条件に示された印刷枚数が1000枚に達した場合に、従条件により示す印刷環境の平均温度が20度未満であるとき、次回の調整タイミングを現在の日付から1日後とすることが示されている。
【0052】
このようにして、次回の調整タイミングを決定する。
【0053】
次に、図8を用いて上記に示す予測式の作成手順およびその一例を示す。
【0054】
図8は、本発明の実施の形態における画像形成装置によって行われる印刷処理おける消耗品の消耗状態を示すグラフである。
【0055】
図8に示すグラフは、記憶部15に記憶された印刷履歴の情報に基づいて作成され、横軸に印刷枚数、印刷回数等の消耗品の寿命を示しており、縦軸に当該消耗品の残使用可能割合を示している。
【0056】
縦軸に示す消耗品の残使用可能割合は、交換時期分析部19が、印刷履歴として管理された印刷された総印刷枚数および消耗品設定情報により算出した消耗品の使用量と消耗品の総使用可能量とから算出される割合である。
【0057】
この図8では、未使用の消耗品が装着された状態における縦軸の残使用可能量の割合を「100%」とし、消耗品の寿命により交換が必要であるとされる残使用可能量の割合を「0(ゼロ)%」とした状態を示している。
【0058】
さらに、次回の消耗品設定情報の調整タイミングとして算出された状態を「P1 調整タイミング1」、「P2 調整タイミング2」、「P3 調整タイミング3」に示している。
【0059】
この「P1 調整タイミング1」は、印刷出力後の合計印刷枚数が「c1」であり、この合計印刷枚数「c1」を印刷出力した時点における消耗品の残使用可能割合が「p3」であることを示している。また、「P2 調整タイミング2」は、印刷出力後の合計印刷枚数が「c2」であり、この合計印刷枚数「c2」を印刷出力した時点における消耗品の残使用可能割合が「p2」であることを示している。さらに、「P3 調整タイミング3」は、印刷出力後の合計印刷枚数が「c3」であり、この合計印刷枚数「c3」を印刷出力した時点における消耗品の残使用可能割合が「p1」であることを示している。
【0060】
そして、「P1 調整タイミング1」と未使用の消耗品を装着した状態「P0 消耗品使用開始時」とを結んだ直線により消耗品の残使用可能割合が「0%」となる点を「L0 寿命0」とする。この「L0 寿命0」が「P0 消耗品使用開始時」〜「P1 調整タイミング1」における消耗品の交換時期である。
【0061】
また、「P1 調整タイミング1」の時点において次回の調整タイミングとして決定された「P2 調整タイミング2」と「P1 調整タイミング1」とを結んだ直線により消耗品の残使用可能割合が「0%」となる点を「L1 寿命1」とし、この「L1 寿命1」が「P1 調整タイミング1」〜「P2 調整タイミング2」における消耗品の交換時期である。
【0062】
さらに、「P2 調整タイミング2」の時点において次回の調整タイミングとして決定された「P3 調整タイミング3」と「P2 調整タイミング2」とを結んだ直線により消耗品の残使用可能割合が「0%」となる点を「L2 寿命2」とし、この「L2 寿命2」が「P2 調整タイミング2」〜「P3 調整タイミング3」における消耗品の交換時期である。
【0063】
この図8に示すグラフに基づいて算出した消耗品の予測式の一例を以下に示す。
【0064】
図8に示すグラフにおける縦軸の消耗品残量を「v」とし、横軸の印刷枚数を「c」とした場合に、調整タイミング間には一次関数の関係を有する。これは、調整タイミング同士を直線で結ぶことによるものであって、調整タイミングの回数が多くなればなるほど、調整タイミング間の間隔が短くなることを意味する。
【0065】
そして、任意の調整タイミング「n」とその調整タイミング「n」の次の調整タイミング「n+1」との区間において以下の(数式1)の関係が成立する。
【0066】
【数1】

【0067】
ただし、この係数「αn」は、以下の(数式2)により求められる。ちなみにこの係数「αn」は図8のグラフの調整タイミング「n」と「n+1」の間における直線の変化率を示す。
【0068】
【数2】

【0069】
この(数式2)は、調整タイミング「Pn」における使用環境である温度「t」と湿度「h」によって定まることを示している。すなわち、温度および湿度が変化することにより「αn」で表される変化率が変更される。
【0070】
また、(数式1)は、調整タイミング「Pn」における印刷枚数「cn」と残量「vn」で決定する。
【0071】
さらに、消耗品の残割合を示す縦軸の切片を表す「Vn」は、以下の(数式3)によって表すことができ、また、印刷可能枚数を示す横軸の切片を表す「Ln」は、以下の(数式4)によって表すことができる。
【0072】
【数3】

【0073】
【数4】

【0074】
この(数式4)は、調整タイミング「Pn」における消耗品交換時期を示している。
【0075】
また、ユーザーの使用状況の違いによる影響を考慮する必要がある。
【0076】
例えば、画像中心の文書を印刷する場合と文字中心の文書を印刷する場合とを比べると、画像中心の文書を印刷する場合の方が単位枚数あたりの消費トナー量が多いことから、ユーザーを示すパラメータ「u」を用いて、下記の(数式5)のように表現される。
【0077】
【数5】

【0078】
また、装置固有の機構特性により、計算した残量データとセンサー等により検出した実績値との差を「Δ(デルタ)」とすると、この差分「Δ(デルタ)」は、以下の(数式6)のように表される。
【0079】
【数6】

【0080】
この(数式6)は、使用環境である温度「t」、湿度「h」、ユーザーの使用状況「u」の関数として表される。
【0081】
この場合、消耗品残量「v」と印刷枚数「c」の関係である(数式1)は、以下の(数式7)のように表される。
【0082】
【数7】

【0083】
このような予測式が作成される。
【0084】
さらに、調整タイミング「P(n+1)」における印刷枚数「c(n+1)」、即ち「Pn」における次回調整実施タイミングは、温度「t」、湿度「h」などの使用環境およびユーザーの使用状況「u」の関数として、以下の(数式8)のように表される。
【0085】
【数8】

【0086】
このような計算式を用いて調整タイミングを算出することも可能である。
【0087】
続いて、消耗品の交換時期を算出する処理の流れを説明する。
【0088】
図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置に消耗品ユニットが装着された際の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。
【0089】
図2において、消耗品ユニットが装置に搭載、装着されると(201)、処理が開始され、装着された消耗品ユニットにおける消耗品設定情報(印刷パラメータ)を初期化し(202)、また、消耗品の交換時期を予測する予測式に設定された当該消耗品に基づく係数や補正項をも初期化する(203)。
【0090】
なお、消耗品設定情報の初期化処理の一例として、画像形成装置のROM等により予め記憶された当該消耗品ユニットにおける消耗品設定情報の初期値へと変更する処理があり、また、予測式の係数や補正項を初期化処理の一例として、予め指定された係数や補正項からなる予測式へ変更する処理がある。
【0091】
次に、消耗品ユニットの初期動作を実行する(204)。この動作として、例えば消耗品ユニットがトナーカートリッジである場合においては、画像形成装置内にトナーを充填する作業がこれに該当し、また、消耗品ユニットが現像ユニットである場合においては、帯電、露光、現像の各機構を動作させて印刷出力処理を実行可能にするという動作がこれに該当する。
【0092】
このようにして、初期動作が完了すると、続いて、温湿度センサー等により構成される環境センサーにより温度、湿度の環境情報を検出する(205)。検出した環境情報に基づく消耗品設定情報を決定して、消耗品ユニットにおける消耗品設定情報を更新する(206)。
【0093】
このときの消耗品設定情報の決定処理は、環境情報に基づく消耗品設定情報とする処理であって、例えば検出した温度や湿度の範囲ごとに記憶する消耗品設定情報に基づいて決定する。
【0094】
このようにして消耗品設定情報が決定すると、この消耗品設定情報に基づいて消耗品が使用(印刷準備や印刷出力等)された場合における消耗品の交換時期を予測する予測式を構成する係数、補正項を決定する(207)。
【0095】
この係数の一例として、上記の(数式2)に示す「αn」であり、補正項の一例として、上記の(数式7)に示す「Δ」である。
【0096】
続いて、上記の係数、補正項に基づく予測式を実行することにより消耗品ユニットにおける交換時期を計算して予測し(208)、この交換時期を保存する(209)。
【0097】
そして、次回の消耗品設定情報の調整タイミングを、現時点から一定の稼働時間を経過したときと決定する(210)。このときの消耗品設定情報の調整により消耗品ユニットがトナーカートリッジである場合には、トナー濃度の調整が行われ、現像ユニットである場合には、階調表現再現性の調整が行われる。
【0098】
図6は、本発明の実施の形態における画像形成装置が消耗品設定情報の調整時期となった場合の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。
【0099】
図8において、所定の消耗品設定情報の調整時期Pnとなると、図6に示す処理が開始される。
【0100】
まず、設定されている消耗品設定情報を保存する(601)。次に、温湿度センサー等により構成される環境センサーにより温度、湿度の環境情報を検出する(602)。
【0101】
そして、検出した環境情報に基づいて消耗品設定情報を決定し、消耗品ユニットにおける消耗品設定情報を更新する(603)。
【0102】
このようにして更新した消耗品設定情報に基づいて、画像形成装置のエンジンの調整処理を行う(604)。
【0103】
このエンジンの調整処理として、トナーの印刷濃度の調整や階調表現再現における調整を行う。さらに、現像機の帯電量を消耗品設定情報に基づいて帯電させることとする調整を行うほか、当該消耗品設定情報で設定された転写電圧や定着器の温度設定に基づいて設定できるように調整する。
【0104】
次に、エンジンの調整処理を行った消耗品設定情報に基づいて消耗品が使用(印刷準備や印刷出力等)された場合における消耗品の交換時期を予測する予測式を構成する係数、補正項を算出して決定する(605)。
【0105】
続いて、上記の係数、補正項に基づく予測式を実行することにより消耗品ユニットにおける交換時期を計算して予測し(606)、この交換時期を保存する(607)。
【0106】
さらに、次回の消耗品設定情報の調整時期を決定する(608)。
【0107】
図3は、本発明の実施の形態における画像形成装置に消耗品ユニットが装着された際の詳細な処理の流れを示す他のフローチャートである。
【0108】
図3に示すフローチャートは、図2にフローチャートと類似し、図2では、現時点からの一定の稼働時間を経過することにより次回の消耗品設定情報の調整時期を決定しているが、図3に示す例では、所定の調整条件を満たすことにより次回の消耗品設定情報の調整時期を決定する処理である。
【0109】
図3において、消耗品ユニットが装置に搭載、装着されると(301)、処理が開始され、装着された消耗品ユニットにおける消耗品設定情報(印刷パラメータ)を初期化し(302)、また、消耗品の交換時期を予測する予測式に設定された当該消耗品に基づく係数や補正項をも初期化する(303)。
【0110】
なお、消耗品設定情報の初期化処理の一例として、画像形成装置のROM等により予め記憶された当該消耗品ユニットにおける消耗品設定情報の初期値へと変更する処理があり、また、予測式の係数や補正項を初期化処理の一例として、予め指定された係数や補正項からなる予測式へ変更する処理がある。
【0111】
次に、消耗品ユニットの初期動作を実行する(304)。この動作として、例えば消耗品ユニットがトナーカートリッジである場合においては、画像形成装置内にトナーを充填する作業がこれに該当し、また、消耗品ユニットが現像ユニットである場合においては、帯電、露光、現像の各機構を動作させて印刷出力処理を実行可能にするという動作がこれに該当する。
【0112】
このようにして、初期動作が完了すると、続いて、温湿度センサー等により構成される環境センサーにより温度、湿度の環境情報を検出する(305)。そして、検出した環境情報に即した消耗品設定情報を決定して、消耗品ユニットにおける消耗品設定情報を更新する(306)。
【0113】
このときの消耗品設定情報の決定処理は、環境情報に基づく消耗品設定情報とする処理であって、例えば検出した温度や湿度の範囲ごとに記憶する消耗品設定情報に基づいて決定する。
【0114】
このようにして消耗品設定情報が決定すると、この消耗品設定情報に基づいて消耗品が使用(印刷準備や印刷出力等)された場合における消耗品の交換時期を予測する予測式を構成する係数、補正項を算出して決定する(307)。
【0115】
続いて、上記の係数、補正項に基づく予測式を実行することにより消耗品ユニットにおける交換時期を計算して予測し(308)、この交換時期を保存する(309)。
【0116】
そして、次回の消耗品設定情報の調整タイミングを図4に示すような調整条件を満たしたときと決定する(310)。
【0117】
図4は、調整条件の一例を示す図である。
【0118】
図4に示す例では、主条件のほかに2つの従条件が示されており、これらの条件の関係は図5に示すフローチャートにより示される流れによって適用される。
【0119】
主条件が「印刷枚数が1000枚に達した」ことを要件としており、また1つ目の従条件として「印刷環境の平均温度が20度以上の場合、次の調整時期までの最低間隔を2日とする」ことを要件としており、2つ目の従条件として「印刷環境の平均温度が20度以上の場合、次の調整時期までの最低間隔を1日とする」ことを要件としている。
【0120】
なお、従条件の間には優劣はないが、これに限られず、従条件間に優先度を設けてその優先度の高い従条件から条件判断を行うような構成であってもよい。
【0121】
すなわち、図5において、主条件が成立したかを判断し(501)、主条件が成立していない場合(501でNO)には調整条件を満たさないとして消耗品設定情報の調整時期の決定を行わない。また、主条件が成立している場合(501でYES)には、続いて従条件の成立の有無を判断する。
【0122】
従条件1が成立したかを判断し(502)、従条件1が成立していない場合(502でNO)には、続いて従条件2が成立したかを判断し(503)、従条件2が成立していない場合(503でNO)には、主条件が成立していない場合と同様に、消耗品設定情報の調整時期の決定を行わない。
【0123】
それに対して、従条件1が成立したかの判断(502)若しくは従条件2が成立したかの判断(503)において、いずれか一方の従条件が成立した場合には、消耗品設定情報を決定する処理を行う。
【0124】
図7は、本発明の実施の形態における画像形成装置が消耗品設定情報の調整条件となった場合の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。
【0125】
図7において、図3に示すような処理による消耗品設定情報の調整条件を満たすと処理が開始される。
【0126】
まず、設定されている消耗品設定情報を保存する(701)。次に、温湿度センサー等により構成される環境センサーにより温度、湿度の環境情報を検出する(702)。
【0127】
そして、検出した環境情報に即した消耗品設定情報を決定して、消耗品ユニットにおける消耗品設定情報を更新する(703)。
【0128】
このときの消耗品設定情報の決定処理は、環境情報に基づく消耗品設定情報とする処理であって、例えば検出した温度や湿度の範囲ごとに記憶する消耗品設定情報に基づいて決定する。
【0129】
このようにして更新した消耗品設定情報に基づいて、画像形成装置のエンジンの調整処理を行う(704)。このエンジンの調整処理として、トナーの印刷濃度の調整や階調表現再現における調整を行う。さらに、現像機の帯電量を消耗品設定情報に基づいて帯電させることとする調整を行うほか、当該消耗品設定情報で設定された転写電圧や定着器の温度設定に基づいて設定できるように調整する。
【0130】
次に、エンジンの調整処理を行った消耗品設定情報に基づいて消耗品が使用(印刷準備や印刷出力等)された場合における消耗品の交換時期を予測する予測式を構成する係数、補正項を算出して決定する(705)。
【0131】
続いて、上記の係数、補正項に基づく予測式を実行することにより消耗品ユニットにおける交換時期を計算して予測し(706)、この交換時期を保存する(707)。
【0132】
そして、次回の消耗品設定情報の調整条件を決定する(708)。
【実施例2】
【0133】
上記の実施例1では、消耗品の残使用可能割合を消耗品設定情報に基づく印刷状態から算出する構成であるが、本実施例2では、消耗品の残使用可能量をセンサー等によって実測して残使用可能割合を算出する例を示す。
【0134】
図9は、本発明の実施の形態における画像形成装置および予測プログラムを適用して構成した画像形成装置の構成を示す図の一例である。
【0135】
図9において、本画像形成装置は、印刷要求された印刷データに対して印刷制御を行うコントローラ10、コントローラ10により印刷制御された印刷データを印刷出力するエンジン20により構成される。
【0136】
コントローラ10は、CPU11、RAM12、ROM13、表示部14、記憶部15、計時部16、システム制御部17、エンジンインターフェース部18、交換時期分析部19を具備して構成され、エンジン20は、CPU21、RAM22、ROM23、エンジン制御部24、環境センサー25−1、濃度センサー25−2、帯電制御部26、帯電ユニット26A、露光制御部27、露光ユニット27A、現像機制御部28、現像ユニット28A、トナーカートリッジ28B、転写機制御部29、転写ユニット29A、定着機制御部30、定着ユニット30A、残使用可能量計測部31を具備して構成される。
【0137】
コントローラ10が印刷データの印刷要求を通信インターフェース(図示せず)等を介して受信すると、システム制御部17における印刷制御処理に基づいてCPU11は、RAM12を作業領域としてROM13に記憶する印刷処理プログラムを実行し、エンジン20による印刷出力処理形式の印刷データを生成する。生成した印刷データをエンジンインターフェース18を介してエンジン20に印刷指示を行う。
【0138】
印刷指示によりエンジン20では、エンジン制御部24がエンジンインターフェース18により印刷指示された印刷データを受信し、エンジン制御部24からの指示に基づいてCPU21がRAM22を作業領域としてROM23に記憶された処理プログラムを実行することで画像展開、変換、階調表現処理等が行われる。
【0139】
エンジン制御部24では、帯電制御部26、露光制御部27、現像機制御部28、転写機制御部29、定着機制御部30を制御することにより印刷指示された印刷データに応じた印刷出力処理が行われる。
【0140】
帯電制御部26では、帯電設定情報を元に帯電ユニット26Aを制御することで感光体ドラムに対して電荷を帯電させ、露光制御部27は、露光設定情報を元に露光ユニット27Aを制御することでレーザーを印刷データに基づいて照射することで感光体ドラムに帯電させた電荷を除去する露光処理を行う。現像機制御部28は、現像設定情報を元に現像ユニット28Aを制御することで露光制御部27により露光処理が行われた感光体ドラムに対して印刷材料であるトナーをトナーカートリッジ28Bより付着させ、転写機制御部29は、転写設定情報を元に転写ユニット29Aを制御することで感光体ドラムに付着したトナーをプラスの電荷を与えた印刷媒体に転写する。そして、定着器制御部30は、定着設定情報を元に定着ユニット30Aを制御することで熱を加えて印刷媒体に転写したトナーを定着させる。
【0141】
そして、この印刷媒体を用紙搬送路を搬送することで排紙トレーに排紙し、印刷出力が行われる。
【0142】
このときの帯電ユニット26A、露光ユニット27A、現像ユニット28A、トナーカートリッジ28B、転写ユニット29A、定着ユニット30Aが消耗品の一例であって、これらの消耗品の利用形態を設定した情報である帯電設定情報、露光設定情報、現像設定情報、転写設定情報、定着設定情報を総称して、「消耗品設定情報」と示す。
【0143】
このようにして印刷出力が行われると、印刷出力された印刷枚数および当該印刷出力に用いた消耗品設定情報を印刷履歴として記憶部15に記憶する。
【0144】
このような印刷処理が行われる際に用いられる消耗品が新たに装着されると、各消耗品に対する制御部(帯電制御部26、露光制御部27、現像機制御部28、転写機制御部29、定着機制御部30)がこれを検知してエンジン制御部24へとその旨を通知する。
【0145】
通知を受けたエンジン制御部24では、コントローラ10のエンジンインターフェース部18を介して交換時期分析部19に検知通知を行う。
【0146】
そして、交換時期分析部19では、この消耗品の装着の検知通知とともに環境センサー25−1により検出された温度・湿度等の環境情報を受信すると、この環境情報に基づいて装着された消耗品の利用形態を設定した消耗品設定情報を決定する。
【0147】
この消耗品設定情報は、各消耗品を用いた処理の際に参照される当該消耗品の使用形態を示す情報であり、例えば消耗品が帯電ユニットである場合には当該帯電ユニットの消耗品設定情報である帯電設定情報によって示された電荷の帯電量、帯電面積等の情報であり、消耗品がトナーカートリッジ28Bである場合には当該トナーカートリッジにより転写されるトナー濃度の情報であり、消耗品が現像ユニットである場合には階調表現再現性に関する情報である。
【0148】
この消耗品設定情報を決定する処理は、温度、湿度等の環境情報に基づいて行われる処理であって、例えば温度や湿度の情報に対応して予め定めた消耗品設定情報とする処理である。
【0149】
このようにして、消耗品設定情報を決定すると、さらに、交換時期分析部109では、当該消耗品設定情報の決定前に設定されていた消耗品設定情報とともに、上記の決定処理により決定した消耗品設定情報を消耗品に対する調整履歴として記憶部15に記憶する。
【0150】
また、この交換時期分析部109では、この消耗品設定情報をエンジン20を構成する各制御部(帯電制御部26、露光制御部27、現像機制御部28、転写機制御部29、定着機制御部30)に設定する。
【0151】
続いて、交換時期分析部19では、決定した消耗品設定情報に基づいて消耗品を使用した場合における当該消耗品の交換時期を予測する予測式を作成する。この予測式の作成手順およびその一例は、上記の実施例1で示すものと同様である。
【0152】
交換時期分析部19によって消耗品の交換時期を予測する予測式が作成されると、この交換時期分析部19は、記憶部15で記憶する印刷履歴を元に残使用可能量を算出する。続いて、残使用可能量計測部31で計測した消耗品の残使用可能量(実残量)をエンジン制御部24から取得し、取得した残使用可能量(実残量)と算出した残使用可能量とを比較してその差分を算出する。
【0153】
算出した差分が「0(ゼロ)」である場合、記憶部15で記憶する印刷履歴に基づいて消耗品の交換時期を予測する予測式を作成する。また、算出した差分が「0(ゼロ)」でない場合には、記憶部15で記憶する印刷履歴に基づいて作成した消耗品の交換時期を予測する予測式にこの差分を補正する係数、補正項を付加することにより当該差分を考慮した予測式を作成する。
【0154】
このようにして作成した予測式を用いて消耗品の交換時期を予測する処理を行い、予測した交換時期の情報を記憶部15へと記憶保存する。
【0155】
そして、次回の消耗品設定情報の調整タイミングを、現時点から一定の稼働時間を経過したとき、または所定の調整条件、例えば図4に示すような調整条件を満たしたときと決定する。この次回の調整タイミングの情報も記憶部15へと記憶保存する。
【0156】
図10は、本発明の実施の形態における画像形成装置により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0157】
図10において、消耗品ユニットが装置に搭載、装着されると(201)、処理が開始され、装着された消耗品ユニットにおける消耗品設定情報(印刷パラメータ)を初期化し(202)、また、消耗品の交換時期を予測する予測式に設定された当該消耗品に基づく係数や補正項をも初期化する(203)。
【0158】
なお、消耗品設定情報の初期化処理の一例として、画像形成装置のROM等により予め記憶された当該消耗品ユニットにおける消耗品設定情報の初期値へと変更する処理があり、また、予測式の係数や補正項を初期化処理の一例として、予め指定された係数や補正項からなる予測式へ変更する処理がある。
【0159】
次に、消耗品ユニットの初期動作を実行する(204)。この動作として、例えば消耗品ユニットがトナーカートリッジである場合においては、画像形成装置内にトナーを充填する作業がこれに該当し、また、消耗品ユニットが現像ユニットである場合においては、帯電、露光、現像の各機構を動作させて印刷出力処理を実行可能にするという動作がこれに該当する。
【0160】
このようにして、初期動作が完了すると、続いて、温湿度センサー等により構成される環境センサーにより温度、湿度の環境情報を検出する(205)。検出した環境情報に基づく消耗品設定情報を決定して、消耗品ユニットにおける消耗品設定情報を更新する(206)。
【0161】
このときの消耗品設定情報の決定処理は、環境情報に基づく消耗品設定情報とする処理であって、例えば検出した温度や湿度の範囲ごとに記憶する消耗品設定情報に基づいて決定する。
【0162】
このようにして消耗品設定情報が決定すると、印刷出力における印刷履歴から消耗品の残使用可能量を算出し、続いて、センサー等により消耗品の残使用可能量(実残量)を計測する(1001)。消耗品がトナーである場合には、トナー残量を計測する。
【0163】
この残使用可能量(実残量)を計測した後に、この残使用可能量(実残量)と算出した残使用可能量とを比較してその差分を算出する。差分がある場合にはその差分を考慮して、消耗品設定情報に基づいて消耗品が使用(印刷準備や印刷出力等)された場合における消耗品の交換時期を予測する予測式を構成する係数、補正項を決定する(207)。
【0164】
続いて、上記の係数、補正項に基づく予測式を実行することにより消耗品ユニットにおける交換時期を計算して予測し(208)、この交換時期を保存する(209)。
【0165】
そして、次回の消耗品設定情報の調整タイミングを決定する(210)。
【0166】
図11は、本発明の実施の形態における画像形成装置が消耗品設定情報の調整時期となった場合の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。
【0167】
図8において、所定の消耗品設定情報の調整時期Pnとなると、図11に示す処理が開始される。
【0168】
まず、設定されている消耗品設定情報を保存する(1101)。次に、温湿度センサー等により構成される環境センサーにより温度、湿度の環境情報を検出する(1102)。
【0169】
そして、検出した環境情報に基づいて消耗品設定情報を決定し、消耗品ユニットにおける消耗品設定情報を更新する(1103)。
【0170】
このようにして更新した消耗品設定情報に基づいて、画像形成装置のエンジンの調整処理を行う(1104)。
【0171】
このエンジンの調整処理として、トナーの印刷濃度の調整や階調表現再現における調整を行う。さらに、現像機の帯電量を消耗品設定情報に基づいて帯電させることとする調整を行うほか、当該消耗品設定情報で設定された転写電圧や定着器の温度設定に基づいて設定できるように調整する。
【0172】
次に、センサー等により消耗品の残使用可能量(実残量)を計測し(1105)、この残使用可能量(実残量)と算出した残使用可能量とを比較してその差分を算出する。差分がある場合にはその差分を考慮して、消耗品設定情報に基づいて消耗品が使用(印刷準備や印刷出力等)された場合における消耗品の交換時期を予測する予測式を構成する係数、補正項を決定する(1106)。
【0173】
続いて、上記の係数、補正項に基づく予測式を実行することにより消耗品ユニットにおける交換時期を計算して予測し(1107)、この交換時期を保存する(1108)。
【0174】
さらに、次回の消耗品設定情報の調整時期を決定する(1109)。
【実施例3】
【0175】
以上の実施例1および実施例2では、予測式を作成して消耗品の交換時期を算出するような構成としているが、本実施例3では、印刷出力における消耗品の使用形態に基づく最適な交換時期を算出する。
【0176】
図1に示す記憶部15には、図13に示すような印刷履歴が記憶された状態にある。
【0177】
図13は、3つの画像形成装置それぞれにおける印刷履歴を示しており、各印刷履歴は、[一日あたりの印刷枚数]項目1301、[累積印刷枚数]項目1302、[該当日までの平均印刷枚数]項目1303により構成される。
【0178】
図13(a)は、一般的な印刷出力により記録された印刷履歴を示し、図13(b)は、図13(a)に示す印刷履歴に比べて一日当りの印刷枚数が比較的少ない印刷履歴を示し、図13(c)は、一日当りの印刷枚数が日によってバラツキのある印刷履歴を示している。
【0179】
このような印刷履歴からなる場合には、図1および図9に示す記憶部15に、印刷履歴により示される印刷形態に対する調整条件を記憶保存する。例えば、図12に示す調整条件では、主条件として「前回の調整実施からの印刷枚数が、プリンタの平均印刷枚数の10倍を上回ったこと」が示され、従条件が設けられていないような調整条件を示している。
【0180】
すなわち、図13に示す3つの印刷履歴に示す平均印刷枚数に応じて消耗品設定情報の調整タイミングが決定される。
【0181】
以上に示す実施の形態は、本発明の実施の一形態であって、これらの実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0182】
なお、本発明は、通信機能を備えた画像形成システムで上述の動作を実行させ、あるいは上述の手段を構成させるためのプログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをコンピュータにインストールし、これを実行させることにより、上述の処理を実行する画像形成システムを構成することも可能である。画像形成システムを構成するコンピュータは、システムバスを介してCPU(Central Processor Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクが接続されている。CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているプログラムに従い、RAMを作業領域にして処理を行う。
【0183】
また、プログラムを供給するための媒体は、通信媒体(通信回線、通信システムのように一時的または流動的にプログラムを保持する媒体)でもよい。例えば、通信ネットワークの電子掲示板(BBS:Bulletin Board Service)に該プログラムを掲示し、これを通信回線を介して配信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0184】
10 コントローラ10
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 表示部
15 記憶部
16 計時部
17 システム制御部
18 エンジンインターフェース部
19 交換時期分析部
20 エンジン
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 エンジン制御部
25−1 環境センサー
25−2 濃度センサー
26 帯電制御部
26A 帯電ユニット
27 露光制御部
27A 露光ユニット
28 現像機制御部
28A 現像ユニット
28B トナーカートリッジ
29 転写機制御部
29A 転写ユニット
30 定着機制御部
30A 定着ユニット
31 残使用可能量計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷環境における環境データを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出した環境データに基づいて印刷出力に用いる各消耗品の設定情報を調整する設定情報調整手段と、
前記設定情報調整手段により調整した設定情報に基づいて印刷出力することによって、前記消耗品の交換が必要となる交換時期を予測する予測式を作成する予測式作成手段と、
前記予測式作成手段によって作成した予測式により前記消耗品の交換時期を予測する交換時期予測手段と
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記設定情報調整手段により調整した設定情報に基づいて行われる印刷出力にかかる印刷履歴を記憶する印刷履歴記憶手段と、
前記印刷履歴記憶手段によって記憶された印刷履歴を元に、前記設定情報調整手段によって行われる前記設定情報の調整時期を決定する決定手段と
を具備する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定情報調整手段により前記設定情報の調整を行う調整条件を管理する調整条件管理手段
を具備し、
前記決定手段は、
前記印刷履歴記憶手段によって記憶された印刷履歴が、前記調整条件管理手段で管理する前記調整条件を満たすときを前記調整時期と決定する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記消耗品の交換を検知する検知手段
を具備し、
前記設定情報調整手段は、
前記検知手段によって消耗品の交換を検知すると、前記検出手段によって検出した環境データに基づいて当該消耗品の設定情報を調整する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記調整条件管理手段は、
前記印刷履歴記憶手段によって記憶される印刷履歴および前記検出手段によって検出される環境データに基づく調整条件を管理し、
前記決定手段は、
前記調整条件管理手段によって管理された調整条件に対する前記印刷履歴および前記環境データの少なくとも一方を満たすときを前記調整時期と決定する請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記調整条件管理手段は、
前記印刷履歴管理手段によって管理する印刷履歴に基づく前記印刷出力の実施状況に応じた調整条件を管理する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記調整条件管理手段は、
前記印刷履歴管理手段によって管理する印刷履歴による平均印刷枚数に基づく調整条件を管理する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記各消耗品の総使用可能量に対する実残量を計測する計測手段と、
前記印刷履歴管理手段によって管理する印刷履歴に基づいて前記消耗品の残使用可能量を計算する残使用可能量計算手段と、
前記計測手段によって計測した実残量と前記残使用可能量計算手段によって計算した残使用可能量とを比較し、その差分を算出する差分算出手段と
を具備し、
前記予測式作成手段は、
前記差分算出手段により差分が算出された場合、当該差分により導出された係数および補正項からなる予測式を作成する請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
コンピュータを、
印刷環境における環境データに基づいて印刷出力に用いる各消耗品の設定情報を調整する設定情報調整手段、
前記設定情報調整手段により調整した設定情報に基づく印刷出力により前記消耗品の交換が必要となる交換時期を予測する予測式を作成する予測式作成手段、
前記予測式作成手段によって作成した予測式により前記消耗品の交換時期を予測する交換時期予測手段
として機能させる予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−211147(P2010−211147A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59835(P2009−59835)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】