説明

画像形成装置および原稿給送装置

【課題】 胴内排紙型の画像形成装置や、原稿給紙トレーの下方に原稿排出トレーを配置した原稿給送装置において、排出された用紙、原稿の視認性を向上させる。
【解決手段】 用紙排出部、または原稿排出部に人体検知センサを設け、操作者の手の接近を検知する。用紙、原稿が積載されている時に操作者の手を検知した場合、胴内排紙部上方の画像読み取り部や、原稿給紙トレーを持ち上げ、積載された用紙、原稿の視認性を向上させ、取り出し作業性を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複写機、プリンタ等の画像形成装置、および、原稿給送装置に関するものであり、特に、装置から排出された出力紙を、画像形成部と画像読み取り部との間に設けられた出力紙積載部に積載する、いわゆる胴内排紙型の画像形成装置、および、画像読み取り後に排出された原稿を、原稿給紙トレーの下方に配置された原稿排出部に積載する原稿給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、図7に示すように、出力紙積載部104をプリンタ部101と画像読み取り部102の間に設けた、いわゆる胴内排紙型のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、同様に原稿自動給送装置200についても、画像読み取り後に排出される原稿の積載部201を、原稿給紙トレー202の下方に備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このような画像形成装置および原稿給送装置は、図8に示すように、本体外部に出力紙積載部301,302を設けた画像形成装置および原稿給送装置に対して、占有面積を大幅に縮小できるという利点がある。
【特許文献1】特開2003−118918(第4頁、図1)
【特許文献2】特開2003−333277(第8頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出力紙積載部104,201を本体内部に備えた場合、特に出力紙のサイズが小さい場合に、排出された出力紙の視認性が悪いという問題点がある。この問題を解決するには、出力紙を取り出すための開口部を大きくすれば良い。しかし、例えば図7に示した画像形成装置において、開口部を大きくした場合、プリンタ部101の上部に備えられた操作パネル103や画像読み取り部102の位置が高くなり、操作性が悪くなってしまう。同様に、原稿給送装置200の開口部を大きくすると、原稿給紙トレー202の位置が高くなってしまい、原稿をセットする際の操作性が悪くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の画像形成装置は、排出用紙積載部の開口部を拡大可能な開閉手段を備え、排出用紙積載部に対する人体の接近を検出可能な人体検知手段を備え、排出用紙積載部に人体が接近したことを人体検知手段が検知すると、開閉手段が、排出用紙積載部の開口部を拡大させることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明の画像形成装置は、排出用紙積載部に出力紙検知手段を備え、排出用紙積載部に人体が接近したことを人体検知手段が検知した場合でも、排出用紙積載部に出力紙が積載されていない場合には排出用紙積載部の開口部は拡大されない。
【0008】
同様に、排出用紙積載部に人体が接近したことを人体検知手段が検知した場合でも、画像形成部または画像読み取り部が動作中の場合には、排出用紙積載部の開口部は拡大されない。
【0009】
また、本発明の原稿給送装置は、排出原稿積載部の開口部を可能な開閉手段を備え、排出原稿積載部に対する人体の接近を検出可能な人体検知手段を備え、排出原稿積載部に人体が接近したことを人体検知手段が検知すると、開閉手段が、排出原稿積載部の開口部を拡大させることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の原稿給送装置は、排出原稿積載部に原稿検知手段を備え、排原稿積載部に人体が接近したことを人体検知手段が検知した場合でも、排出原稿積載部に原稿が積載されていない場合には排出原稿積載部の開口部は拡大されない。
【0011】
同様に、排出原稿積載部に人体が接近したことを人体検知手段が検知した場合でも、画像形成部または画像読み取り部が動作中の場合には、排出原稿積載部の開口部は拡大されない。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置は、排出用紙積載部を本体内部に設けた画像形成装置の特長である、占有面積の大幅な削減を達成しつつ、排出用紙積載部の視認性が向上し、出力紙を取り出す際の作業性が向上している。また、開口部が拡大するのは、出力紙の取り出し作業時のみであるため、通常時の操作パネルや画像読み取り部の位置が高くなることは無く、操作性が損なわれることは無い。
【0013】
また、本発明の原稿給送装置は、排出原稿積載部を原稿積載部の下方に設けた原稿給送装置の特長である、占有面積の大幅な削減を達成しつつ、排出原稿積載部の視認性が向上し、排出原稿を取り出す際の作業性が向上している。また、開口部が拡大するのは、排出原稿の取り出し時のみであるため、通常時の原稿給紙トレーの位置が高くなることは無く、原稿セットの作業性が損なわれることは無い。
【0014】
さらに、本発明の画像形成装置および原稿給送装置は、出力紙が積載された状態で、画像形成部および画像読み取り部が停止中の場合のみ、開口部を拡大させるため、開口部拡大動作が、画像形成動作や画像読み取り動作等、その他の動作に影響を与えることは無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0016】
図1に、本実施例の画像読み取り装置100を示す。
【0017】
この画像形成装置100は、公知の電子写真方式のプリンタ部101の上部に画像読み取り部102が配置されており、その間に出力紙積載部104を備えている。プリンタ部101と、画像読み取り部102および操作パネル103によって、出力紙積載部104の開口部105が形成されており、積載された出力紙の取り出し作業は、開口部105を通して行われる。さらに、開口部105の中には人体検知センサ106が備えられている。人体検知センサ106には、公知の超音波式センサ、赤外反射式センサ等が用いられる。この人体検知センサ106は、開口部105の図3に示す範囲109に人体が接近するとそれを検出するため、実質的に、ユーザーが出力紙積載部104に積載された出力紙を取り出すために、開口部105に手を入れようとしたときに検知される。
【0018】
プリンタ部101には、開閉手段108が備えられており、出力紙積載部104に出力紙が積載されているときに人体検知センサ106が開口部105に対する人体の接近を検出すると、図2に示すように、画像読み取り部102と操作パネル103が開閉手段108により開かれ、開口部105が拡大する。これにより、出力紙積載部104の視認性が向上し、小サイズの出力紙の取り出しや、複数ジョブの出力紙の中から特定の出力紙を選び出す際の作業性が向上する。
【0019】
以下に、図5のフローチャートに沿って、本実施例の画像形成装置の動作について説明する。
【0020】
人体検知センサ106が出力紙積載部に対する人体の接近を検知すると(501)、出力紙検知センサ107の出力に基づき、出力紙積載部104内の出力紙の有無が判定される(502)。出力紙が積載されている場合、画像形成部が動作中か否かの判定が行われる(503)。画像形成部が動作中の場合、画像読み取り部を上昇させる動作は、画像形成に影響を与えるため行われない。画像形成部が停止中の場合、画像読み取り部の動作が判定される(505)。画像読み取り部が動作中の場合も、画像読み取り部を上昇させる動作は、画像読み取りに影響を与えるため行われない。画像読み取り部が停止中の場合、開閉手段108が動作し、画像読み取り部が上昇し、開口部105が拡大される(507)。画像読み取り部は、人体検知センサ106が人体を検知している間、上昇位置に保持され、人体が検知されなくなると、開閉手段108が動作して下降し、通常の動作位置に復帰する(509)。
【0021】
かくして、出力紙積載部から出力紙を取り出す際に、画像読み取り部が上昇し、プリンタ部と画像読み取り部の間の開口部が拡大するため、出力紙積載部の視認性が向上し、出力紙の取り出し作業性が向上する。また、プリンタ部、画像読み取り部の動作中には、画像読み取り部は上昇しないため、その動作に対して振動等の悪影響を与えることは無い。
【実施例2】
【0022】
図1に、本実施例の原稿給送装置を示す。
【0023】
この原稿給送装置200は、画像読み取り装置102の上に搭載されており、原稿給紙トレー202に積載されたシート原稿を、画像読み取り装置102の読み取り部(図示せず)に給送し、原稿給紙トレー202の下方に設けられた出力紙積載部201に排出する。出力紙積載部201と、その上方に配置された原稿給紙トレー202によって、出力紙積載部201の開口部203が形成されており、画像読み取り後の原稿の取り出し作業は、この開口部203を通して行われる。さらに、開口部203の中には人体検知センサ204が備えられている。人体検知センサ204には、公知の超音波式センサ、赤外反射式センサ等が用いられる。この人体検知センサ204は、開口部203の図2に示す検知範囲207に人体が接近するとそれを検出するため、実質的に、ユーザーが出力紙積載部201に排出、積載された画像読み取り後のシート原稿を取り出すために、開口部203に手を入れようとしたときに検知される。
【0024】
原稿給送装置200は、開閉手段206を備えており、出力紙積載部201に出力紙が積載されているときに人体検知センサ204が開口部203に対する人体の接近を検出すると、図4に示すように、原稿給紙トレー202が開閉手段206により開かれ、開口部203が拡大する。これにより、出力紙積載部201の視認性が向上し、出力紙を取り出す際の作業性が向上する。
【0025】
以下に、図6のフローチャートに沿って、本実施例の画像形成装置の動作について説明する。
【0026】
人体検知センサ204が出力紙積載部201に対する人体の接近を検知すると(601)、原稿検知センサ204の出力に基づき、出力紙積載部201内の原稿の有無が判定される(602)。原稿が積載されている場合、プリンタ部101が動作中か否かの判定が行われる(603)。プリンタ部が動作中の場合、原稿給紙トレー202を上昇させる動作は、画像形成に影響を与えるため行われない。プリンタ部101が停止中の場合、画像読み取り部102の動作が判定される(605)。画像読み取り部102が動作中の場合も、原稿給紙トレー202を上昇させる動作は、画像読み取りに影響を与えるため行われない。画像読み取り部102が停止中の場合、開閉手段206が動作して原稿給紙トレー202が上昇し、開口部203が拡大される(607)。原稿給紙トレー202は、人体検知センサ204が人体を検知している間、上昇位置に保持され、人体が検知されなくなると、開閉手段206が動作して下降し、通常の動作位置に復帰する(609)。
【0027】
かくして、出力紙積載部201から原稿を取り出す際に、原稿給紙トレー202が上昇し、開口部203が拡大するため、出力紙積載部201の視認性が向上し原稿の取り出し作業性が向上する。また、プリンタ部101、画像読み取り部102の動作中には、原稿給紙トレー202は上昇しないため、その動作に対して振動等の悪影響を与えることは無い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の画像形成装置および原稿給送装置の斜視図である。
【図2】本発明の画像形成装置の、開閉手段動作状態を示す図である。
【図3】本発明の画像形成装置および原稿給送装置の人体検知センサの検知範囲を示す図である。
【図4】本発明の原稿給送装置の、開閉手段動作状態を示す図である。
【図5】実施例1の画像形成装置の制御を示すフローチャートである。
【図6】実施例2の原稿給送装置の制御を示すフローチャートである。
【図7】従来の画像形成装置および原稿給送装置の斜視図である。
【図8】従来の画像形成装置および原稿給送装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
100 画像形成装置
101 プリンタ部
102 画像読み取り部
103 操作パネル
104 出力紙積載部
105 開口部
106 人体検知センサ
107 出力紙検知センサ
108 開閉手段
200 原稿給送装置
201 出力紙積載部
202 原稿給紙トレー
203 開口部
204 人体検知センサ
205 原稿検知センサ
206 開閉手段
301 出力紙積載トレー
302 原稿積載トレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部の上方に画像読み取り部を配置し、
作像された記録紙を排出、積載する、用紙排出部を前記画像形成部と前記画像読み取り部の間に配置した画像形成装置であり、
前記画像形成部と前記画像読み取り部との間には、前記用紙排出部に積載された用紙を取り出し可能な開口部が形成され、
前記開口部を拡大可能な開閉手段を備え、
前記用紙排出部に対する人体の接近を検出可能な人体検知手段を備え
前記用紙排出部に人体が接近したことを前記人体検知手段が検知すると、
前記開閉手段が、前記開口部を拡大させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙排出部に排出用紙検知手段を備え、
前記排出用紙検知手段が排出用紙を検出していないときは、
前記用紙排出部に人体が接近したことを前記人体検知手段が検知しても、
前記開閉手段が、前記開口部を拡大させない
ことを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成部が画像形成動作中の場合には、
前記用紙排出部に人体が接近したことを前記人体検知手段が検知しても、
前記開閉手段が、前記用紙排出部の開口部を拡大させない
ことを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像読み取り部が画像読み取り動作中の場合には、
前記用紙排出部に人体が接近したことを前記人体検知手段が検知しても、
前記開閉手段が、前記用紙排出部の開口部を拡大させない
ことを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像読み取り前の原稿を積載する原稿積載部の下方に、画像読み取り後の原稿を排出、積載する原稿排出部を備える原稿給送装置であり、
前記原稿積載部と前記原稿排出部の間には、前記原稿排出部に積載された原稿を取り出し可能な開口部が形成され、
前記開口部の開口を拡大可能な開閉手段を備え、
前記原稿排出部に対する人体の接近を検出可能な人体検知手段を備え
前記原稿排出部に人体が接近したことを前記人体検知手段が検知すると、
前記開閉手段が、前記原稿排出部の開口部を拡大させる
ことを特徴とする原稿給送装置。
【請求項6】
前記原稿排出部に排出原稿検知手段を備え、
前記排出原稿検知手段が排出原稿を検出していないときは、
前記原稿排出部に人体が接近したことを前記人体検知手段が検知しても、
前記開閉手段が、前記開口部を拡大させない
ことを特徴とする、請求項5記載の原稿給送装置。
【請求項7】
画像形成装置上に搭載され、
前記画像形成装置の画像形成部が画像形成動作中の場合には、
前記原稿排出部に人体が接近したことを前記人体検知手段が検知しても、
前記開閉手段が、前記開口部を拡大させない
ことを特徴とする、請求項5記載の原稿給送装置。
【請求項8】
画像形成装置上に搭載され、
前記画像形成装置の画像読み取り部が画像読み取り動作中の場合には、
前記原稿排出部に人体が接近したことを前記人体検知手段が検知しても、
前記開閉手段が、前記開口部を拡大させない
ことを特徴とする、請求項5記載の原稿給送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−121572(P2006−121572A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309499(P2004−309499)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】