説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】 ページ単位の圧縮を行わずにパフォーマンスを向上させるセキュアードプリント機能を実現する。
【解決手段】 ページを分割してなるバンド単位に圧縮し、バンド間にCOMMENTマーカー・セグメントを付加し、また適切なBIHを生成してページ先頭に付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバンド単位で画像を符号化するような画像形成装置、特にJIBG符号化を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機のデジタル化に伴い、複写機のスキャナやプリンタを使用してファクシミリ送受信を行う機能や、PDL(Page DescriptionLanguage)プリントを行う機能等、複数の機能を合わせ持つ複合機が実用化されてきている。このような複合機は、複写機能、ファクシミリ機能、PDLプリント機能等の単機能だけではなく、例えば、PDL展開画像をファクシミリ送信するといった複数の機能を複合した機能を実行可能に構成されている。更に、このような複合機は、複合機をLAN(ローカルエリアネットワーク)経由で接続することによって、コンピュータ装置等でも複合機の機能を利用するように構成されている。
【0003】
また、このような複合機では,複写機能とPDLプリント機能、ファクシミリプリント機能等に対して、プリンタ部分の制御プログラムを共通化し、また、複写機能とファクシミリ読み取り機能、スキャナ機能等に対して、リーダ部分の制御プログラムを共通化して、各種機能を実現する制御プログラム容量を削減し、所望の機能を経済性良く、また、簡略に実現することができる。
【0004】
更に、このような複合機では画像データを蓄積する大容量のハードディスクや半導体メモリ等の画像記憶部を具備し、この画像記憶部に対して、スキャナによる読み取り画像データやPDLの展開画像データ,ファクシミリ受信文書データ等を入力する画像入力ジョブと,画像記憶部に蓄積された画像データをプリントアウトしたり、ファクシミリ送信したり、ネットワークを介してコンピュータ装置へ画像転送したりするために読み出す画像出力ジョブとを組み合わせて実行することにより所望の機能を提供することができる。
【0005】
また、画像データを蓄積する大容量のハードディスクの一部を利用して画像データを一時保管し、所望のタイミングで画像データを読み出すボックス機能を実現することも可能である。このボックス機能を実現するためにハードディスクの固定エリアに例えば100個のボックスを用意し、ユーザは複合機に接続されたコンピュータから画像データを取り込む際にボックス番号を指定することにより、対応するボックスに画像データを保存することが可能になっている(例えば特許文献1)。
【0006】
この時、ハードディスクの容量を削減するために、圧縮装置により展開画像データは一旦圧縮された後、ハードディスクに格納され、印刷時にはプリンタエンジンに同期して伸長された後、プリンタエンジンに送信される。
【0007】
ここで圧縮/伸長装置における圧縮/伸長手段としては様々な方法が適用可能である。いまプリンタエンジンがモノクロ画像を印字するものであり2値のドットパターンデータを扱う2値プリンタエンジンであれば、この圧縮/伸長手段として2値データを圧縮/伸長可能な手段を適用できる。
【0008】
このような2値データ圧縮/伸長手段のうち、標準化されている方式の一つとしてJBIG(Joint Bi-level Image Expert Group)方式がある。このJBIG方式は、算術符号化を採用し、MMR方式よりも符号化効率が高く、特にコンピュータで生成された画像データにおいてその傾向が顕著であることが知られている。このように、JBIGの理論は十分に確立され、標準化もなされているが、実際に復号器や伸長器を製品化する際には、実に多様なハードウエア構成が考えられるため、現在、どのような構成が適しているか様々な検討がなされている。例えば、このJBIG圧縮方式で圧縮されてハードディスクに格納されたデータをホストコンピュータから市販されているViewerを用いることによって圧縮データを直接閲覧することが知られている。
【特許文献1】特開2001−282477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先に説明した、本発明の基礎となる構成では、PDLの展開画像データやスキャナデータを、1ページを分割して成るバンド単位で処理する方法が主流となっている。例えばメモリブッファを2つ用意して、一方ではバンド単位で展開されたデータを格納し、また一方ではバンド単位で格納されている画像データを読み出して圧縮するようにして、バッファを交互に使用することによりパフォーマンスの向上を図っている。したがって、この場合、バンド単位で圧縮した画像データはバンド単位で完全に符号が終了していることになる。
【0010】
しかしながら、先に述べたボックス機能により格納した圧縮データを市販のViewerを用いてホストコンピュータから閲覧しようとする時には、1ページの連続したJBIG符号になっていないと閲覧することができない。しかし、JBIG方式での符号はByte単位で符号が生成されるのが特徴である。したがって、圧縮・伸長装置を制御するDMAC部が32bit単位でのデータ転送にしか対応していないような場合では、JBIG符号の終端を示す終端コードの後に必要のないデータも含めて転送してしまうことになり、バンド単位で圧縮した符号データを連結して1ページの連続した圧縮符号にすることは、そのままでは不可能である。
【0011】
したがって、従来ではボックス機能によってハードディスクに画像データを圧縮して格納する時には、バンド単位で処理せずにページ単位での処理を行っていた。しかし、この方法では1ページもの長い時間、圧縮・伸長装置をそのジョブに独占されてしまうことになり他の用途による圧縮・伸長処理は一切行う事ができなかった。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、バンド単位で圧縮されてボックス格納された画像データをホストコンピュータ上で閲覧可能にする画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明の画像形成装置は、ページを分割して成るバンド単位で画像を形成して出力する画像形成装置であって、画像データをバンド単位で符号化する符号化手段と、該符号化手段によって符号化された画像データを格納する格納手段と、該格納手段に格納する時にバンド単位で符号化された画像データの終端コードを検出する検出手段と、該検出手段によって検出された終端コードのすぐ後に次のバンドと符号を連結するための符号を付加する第1付加手段と、該第1付加手段によってバンド単位で符号化されたデータを連結して1ページの連続した符号化データとし、1ページの符号化データに見合ったヘッダ部(BIH)を生成する生成手段と、該生成手段によって生成されたヘッダ部(BIH)を前記1ページの画像データの先頭に付加する第2付加手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記符号化手段は、JBIG方式であることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために請求項3記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記格納手段は、ハードディスク(HD)であることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために請求項4記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記第1付加手段によって付加される符号は、JBIG方式におけるCOMMENTマーカ・セグメントであることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために請求項5記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記第1付加手段は、前記バンド単位で符号化された符号が32bitバウンダリに整合するように付加することを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するために請求項6記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記第1付加手段と前記第2付加手段によって1ページの連続した符号化データに連結された画像データを接続された情報処理装置に記憶されたアプリケーションから閲覧することができることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するために本発明の画像形成方法は、ページを分割して成るバンド単位で画像を形成して出力する画像形成装置であって、画像データをバンド単位で符号化する符号化ステップと、該符号化ステップによって符号化された画像データを格納する格納ステップと、該格納ステップに格納する時にバンド単位で符号化された画像データの終端コードを検出する検出ステップと、該検出ステップによって検出された終端コードのすぐ後に次のバンドと符号を連結するための符号を付加する第1付加ステップと、該第1付加ステップによってバンド単位で符号化されたデータを連結して1ページの連続した符号化データとし、1ページの符号化データに見合ったヘッダ部(BIH)を生成する生成ステップと、該生成ステップによって生成されたヘッダ部(BIH)を前記1ページの画像データの先頭に付加する第2付加ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、JBIG方式によってボックスにバンド単位で圧縮された画像データに対しても、バンド間の符号の終端コードの直後にCOMMENTマーカー・セグメントを付加し、また、適切なBIHを生成してページの先頭に付加することにより、ホストコンピュータ上において、市販のViewerを用いることで上記画像データを閲覧することが可能になる。この発明により、従来のようにページ単位で圧縮処理を行う必要がなくなりパフォーマンスの向上を見込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図2に、本発明の実施形態のシステム概観図を示す。202〜204はホストコンピュータであり、いわゆるDTP(Desk Top Publishing:デスクトップパブリッシング)を実行するアプリケーションソフトウェアを動作させ、各種文書/図形が作成/編集される。205はMFP(Multi Function peripheral:マルチファンクション周辺機器)であり、機能としてはプリント機能、スキャナ機能、FAX機能等を有している。201はLAN(Local Area Network)であり、ホストコンピュータ202〜204とMFP205を接続して、ホストコンピュータ上で作成された文書等をLAN201を介してMFP205に印刷出力させたり、MFP205のスキャナで読み込んだ画像データをホストコンピュータ202〜204に転送したりすることができる。
【0022】
図3は、本実施の形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。同図は、MFP205の機能ブロック図を示している。その中で、301はコンピュータI/Fであり、外部装置であるホストコンピュータ202〜204と後述するコア部310との間のインターフェースとして機能し、ホストコンピュータ202〜204と1対1のローカルインターフェースを介して接続しても、ネットワークを介して接続してもよい。
【0023】
302はスキャナ部であり、原稿の画像を読み取り、読み取った原稿画像に応じた画像データをIP部303に転送する。IP部303は画像処理部であり様々な画像処理を施すことができる。
【0024】
304はFAX部であり、電話回線を介して受信した圧縮画像データを伸長して、伸長されたデータをコア部310に転送し、また、コア部310で圧縮された画像データを電話回線を介して送信する。送受信する画像データは、ストレージ部312に一時的に保存することができる。
【0025】
305は操作部インターフェースであり、操作部306とコア部310とを制御するインターフェース部であり、操作部306は様々なユーザインターフェースを備えており、操作することによってMFP205を所望の動作をさせることができる。
【0026】
307はフィニッシャであり、後述するプリンタエンジン309から出力されたシートがフィニッシャに入ってきてサンプルトレイがジョブの種類や排出されるシートの枚数に応じて切り替えて排出される。
【0027】
308はエンジンインターフェース部であり、コア部310から転送されてきたビデオデータからレーザビームを駆動し、プリンタエンジン309との制御をする。
【0028】
309はプリンタエンジンであり、コア部310から転送されてきた画像データに応じた画像を記録媒体である記録紙上に記録する。
【0029】
310はコア部であり、コンピュータI/F部301、IP部303、FAX部304、操作部I/F部305、フィニッシャ307、エンジンI/F部308、ハードディスク311のそれぞれの間のデータの流れを制御するものであり、いわば交通整理の役割を担っており、MFP205における各種機能に応じてバスの切り替えを行うところである。コア部310には、不図示の圧縮・伸長回路、メモリコントローラ、回転器、描画処理を行うレンダラー回路等が含まれている。
【0030】
312はストレージ部であり、ハードディスク311が接続されている。ストレージ部312はコア部310で圧縮された画像データを検索するためのID(識別子)番号と共にハードディスク311に記憶させる。また,ストレージ部312はコア部310を介して転送されたコードデータに基づいて、ハードディスク311に記憶されている圧縮データを検索し、該検索された圧縮画像データを読み出してコア部310へ転送する。コア部310は圧縮画像データを伸長して各制御部へ転送する。
【0031】
図4は、本実施の形態に係るJBIG符号化の1バンドあたりのデータ構成図であり、ITU―T T.85の符号データの構造を示す。同図のBIE400はJBIG符号データの最上位の構造であり、2値画像の実態と呼ばれる。一つの画像データは一つ以上のBIE400から構成される。T.85では1ページあたり1つのBIEが存在する。2値画像ヘッダ(BIH401)と2値画像データ(BID402)から構成される。
【0032】
2値画像データ(BID402)は、SDE404とフローティング・マーカー・セグメント403の連結で構成される。フローティング・マーカー・セグメント403は図6に示すようなCOMMENTマーカー・セグメントの他、ATMOVEマーカー・セグメント、NEWLENマーカー・セグメント等がある。SDE404はPSCD(保護されたストライプ符号化データ)405に、ESCバイト406とSDNORMバイト(またはSDRSTバイト)407を付加したものである。このESCバイト406とSDNORMバイト(またはSDRSTバイト)407を終端コードと呼ぶ。SDE404が、SDNORMによって終端される時は、現ストライプの処理終了時での圧縮・伸長回路内のUpdate RAMの内容が保持され次のストライプの処理に引き続き使われる。また、SDE404が、SDRSTによって終端される時には、現ストライプの処理終了時のUpdate RAMの内容はリセットされ次のストライプの処理は初期状態から開始されることになる。本発明では、画像データをバンド単位で圧縮・伸長処理を行うが、一つのバンドを1ページとして扱うため終端コードは常にSDRST(FF03h)を使用する。また、PSCD405はSCD(ストライプ符号化データ)の中のFFhバイトをFFh+00hに置き換えたものである。この1バイトの00hはスタッフ・バイトと呼ばれ、FFhが符号か、データかを区別するために付加するものである。復号化時にはこのFFhの後の00hは廃棄する。
【0033】
図5は、JBIG符号における2値画像ヘッダ(BIH)の詳細データ構成を示す図である。BIHはBIEに含まれる画像データの属性を格納する。図5において、DL500は、最初に伝送されるレイヤを意味するパラメータでありフィールドとしては1バイト確保されている。なお、FAXのようなシングル・レイヤ・シーケンシャルのアプリケーションでは0固定となっている。またD501はビットプレーンの数を表すパラメータで、FAX用JBIGでは1固定となっている。503、512〜515、520はJBIG符号としては意味のない、使用されないエリアである。また、XD504は水平方向の画像サイズ、YD505は垂直方向の画像サイズを示している。Lo506は、解像度が最も低いレイヤのストライプ幅、Mx507は、AT画素に許される最大水平方向のオフセット値を示し、My508は、AT画素に許される最大垂直方向のオフセット値を示し、この値は0固定である。Order509は、512〜519のビットから構成される順序に関する情報が格納されるエリアである。また、Options510は、JBIG符号化方式のオプションが示されるエリアであり、520〜527までのビットの集まりを示す。そして、DPTABLE511は、DPTABLE用に使用されるが、シングル・レイヤ・シーケンシャルのアプリケーションでは何も示さない。つまり、データサイズとしては0である。
【0034】
BIHは401は、以上の20バイトにより示されるが、ここで、Order509及びOptions510の詳細情報に関して説明する。図5のHITOLO516は、階層の伝送順序指示であり、階層構造を持たないシングル・レイヤ・シーケンシャルのアプリケーションでは使用されない。
【0035】
SEQ517はプログレッシブ符号化かシーケンシャル符号化かを識別するために使用され、シングル・レイヤ・シーケンシャルのアプリケーションでは使用されない。ILEAVE518は、ILEAVE(インタリーブ)を示し、ビットプレーン伝送順序を指示する。これもシングル・レイヤ・シーケンシャルのアプリケーションでは使用されない。SMID519は、ストライプ伝送順序を指示するものであるが、シングル・レイヤ・シーケンシャルのアプリケーションでは使用されない。
【0036】
LRLTWO521は、符号化・復号化時に使用されるテンプレートの参照ライン数の選択を行うパラメータエリアであり、そこに‘0’が示されると3ライン参照であり、‘1’が示されると2ライン参照となる。VLENGTH522は、画像の副走査方向の可変長サイズを可能とするか否かのパラメータである。
【0037】
また、TPDON523は、階層的符号化でのTypical Predictionを行うか否かの指示パラメータである。これは、階層構造を持たないシングル・レイヤ・シーケンシャルのアプリケーションでは使用されない。TPBON524は、ベースレイヤ符号化のTypical Predictionを行うか否かの指示パラメータである。ON(1)が設定されていればTP機能ありで、OFF(0)の場合はTP機能なしを示す。なお、DPON525、DPPRIV526、DPLAST527も、階層構造を持たないシングル・レイヤ・シーケンシャルのアプリケーションでは使用されない。
【0038】
図6はフローティング・マーカー・セグメント403のうちCOMMENTマーカー・セグメントの詳細データ構成を示す図である。COMMENTマーカー・セグメントはBIE400中にコメントを挿入するために使用される。Lcはコメントの長さをバイトで表したものであり、この後のLcバイトはコメントである。すなわちCOMMENT・マーカー・セグメントの長さは6+Lcバイトである。
【0039】
次に図1のフローチャートを参照することによって、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御動作を示す。まず最初に、ホストコンピュータ202〜204で作成された文書をMFP205内のハードディスク311にボックス格納を行う、もしくはMFP205の操作部306上で操作することにより原稿をスキャナ部302で読み取り、読み取ったデータをボックス格納する場合を考えてみる。まずステップ(S101)において、特にMFP205内のハードディスク311にボックス格納しないで印刷、もしくはコピー等を行う場合は、ステップ(S103)に進み、通常通りにバンド単位で所望の処理を行うことになる。この場合はバンド単位で一旦MFP205内のメモリに画像データを圧縮して1ページ分スプールする。その後、今度はバンド単位で伸長してプリンタエンジンに画像データを転送を行う。また、ステップ(S101)において、ホストコンピュータ上で作成した文書、もしくはスキャンする原稿をMFP205内のハードディスク311にボックス格納する場合も、やはりバンド単位でスキャンデータもしくは展開データを圧縮して一旦MFP205内のメモリに格納することになる(ステップS102)。
【0040】
ここで、ステップS103と処理が異なり、ボックス格納が指示された場合は、ページにおける最終バンドを除く各バンドにおけるJBIG符号の終端コード(ここではFF03h)の検出を行う(ステップS104)。ステップS104において、ページにおける最終バンドを除く各バンドの終端コードを検出したら、ステップS105に進み、JBIGの符号が32bitバウンダリに整合させるために必要なバイト数を算出して、それに見合うCOMMENTマーカー・セグメントを生成する。生成されたCOMMENTマーカー・セグメントは検出された各バンドの終端コードのすぐ直後に付加される(ステップS105)。この時のメモリ上での実際の処理を示す図が図7及び図8である。図7はステップS102において、3つのバンド、圧縮BAND A701、圧縮BAND B702、圧縮BAND C703が圧縮されてメモリに格納されている様子を示している。JBIGの符号はByte単位で生成されており、各バンドともESCバイト406とSDRSTバイト407の終端コードで符号が終端されている。本発明の実施の形態における、MFP205のシステムでは、符号・復号回路のDMAC部は32bit単位での転送をサポートしているが、このままの圧縮データをバンド単位でハードディスク311に格納した場合、ホストコンピュータより市販のViewerを用いて閲覧する時には、32bit単位での転送になってしまうため、圧縮BAND A701では1バイトの00hが、圧縮BAND B702では3バイトの00hがゴミデータとして一緒に転送されてしまい、ホストコンピュータ上ではバンド間の切れ目で正常に伸長することができずに閲覧することが不可能になってしまう。そこで、本発明ではステップS104においてページの最終バンドを除く各バンドの終端コードを検出して、ステップS105において、適切なCOMMENTマーカー・セグメントを生成して各バンドの終端コードの直後に付加することで、32bitバウンダリに整合している。その様子を図8に示す。圧縮BAND A801では、図8に示すような3バイトのコメントを生成し、COMMENTマーカー・セグメントとしては9バイトのフローティング・マーカー・セグメントを生成して終端コードの直後に付加している。また、圧縮BAND B802では、同様に1バイトのコメントを生成し、COMMENTマーカー・セグメントとしては7バイトのフローティング・マーカーを生成して終端コードの直後に付加して32bitバウンダリに整合している。この処理によって、メモリ空間上ではリニアにマッピングはされていないが、ホストコンピュータ202〜204に転送する時には、連続した1ページのJBIG符号として仮想的に連結することが可能である。
【0041】
図1のフローチャートに戻って、上記の処理を先頭バンドから順に、最終バンドの一つ前のバンドまで行う(ステップS106)。最終バンドは符号を連結する必要がないので上記処理を行う必要はない。最終バンドの一つ前のバンドまでのCOMMENTマーカー・セグメントを付加したらステップS107に進む。ステップS107で、バンド単位で圧縮した符号データを1ページの連続した符号にするために、適切なBIH401を生成する。20バイトのBIH401は、図4に示すようにBIDより前に付加しなくてはならないため、ホストコンピュータ202〜204に転送する時には、先頭バンドの圧縮データより先に転送してやる必要がある。
【0042】
適切なBIH401を生成したらハードディスク311に格納する(ステップS108)。以上のような処理を文書もしくは原稿の全ページに対して行う(ステップS109)。
【0043】
ボックス機能によるMFP205内のハードディスク311に格納した圧縮データをホストコンピュータ202〜204上のViewerで閲覧する時のGUIの一例を図9に示す。ハードディスク311は例えば100個ぐらいのボックスに区切られており、ユーザが個人的に使用することが可能である。市販のJBIG Viewerを用いることによってボックス内の文書一覧901から所望の文書を選択することによって、ホストコンピュータ上で伸長して文書を閲覧することができる。また、例えばプリントボタン902を選択すれば印刷を行えたり、複製したり、消去したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置のシステム外観図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【図4】JBIGのデータ構造を示す図である。
【図5】JBIGのBIHの詳細構成を示す図である。
【図6】JBIGのCOMMENTマーカ・セグメントの詳細構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るメモリマップである。
【図8】本発明の実施の形態に係るメモリマップである。
【図9】図1の動作の実行時に使用される実施の形態に係るホストコンピュータの操作部の画面の表示の例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
201 LAN(Local Area Network)
202〜104 ホストコンピュータ
205 MFP(Multi Function Peripheral)
301 コンピュータI/F部
302 スキャナ部
303 IP部
304 FAX部
305 操作部I/F
306 操作部
307 フィニッシャ
308 エンジンI/F部
309 プリンタエンジン
310 コア部
311 ハードディスク
312 ストレージ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページを分割して成るバンド単位で画像を形成して出力する画像形成装置であって、
画像データをバンド単位で符号化する符号化手段と、
該符号化手段によって符号化された画像データを格納する格納手段と、
該格納手段に格納する時にバンド単位で符号化された画像データの終端コードを検出する検出手段と、
該検出手段によって検出された終端コードのすぐ後に次のバンドと符号を連結するための符号を付加する第1付加手段と、
該第1付加手段によってバンド単位で符号化されたデータを連結して1ページの連続した符号化データとし、1ページの符号化データに見合ったヘッダ部(BIH)を生成する生成手段と、
該生成手段によって生成されたヘッダ部(BIH)を前記1ページの画像データの先頭に付加する第2付加手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記符号化手段は、JBIG方式であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記格納手段は、ハードディスクであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1付加手段によって付加される符号は、JBIG方式におけるCOMMENTマーカ・セグメントであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1付加手段は、前記バンド単位で符号化された符号が32bitバウンダリに整合するように付加することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1付加手段と前記第2付加手段によって1ページの連続した符号化データに連結された画像データを接続された情報処理装置に記憶されたアプリケーションから閲覧することができることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
ページを分割して成るバンド単位で画像を形成して出力する画像形成装置における画像形成方法であって、
画像データをバンド単位で符号化する符号化ステップと、
該符号化ステップによって符号化された画像データを格納する格納ステップと、
該格納ステップに格納する時にバンド単位で符号化された画像データの終端コードを検出する検出ステップと、
該検出ステップによって検出された終端コードのすぐ後に次のバンドと符号を連結するための符号を付加する第1付加ステップと、
該第1付加ステップによってバンド単位で符号化されたデータを連結して1ページの連続した符号化データとし、1ページの符号化データに見合ったヘッダ部(BIH)を生成する生成ステップと、
該生成ステップによって生成されたヘッダ部(BIH)を前記1ページの画像データの先頭に付加する第2付加ステップと、
を含むことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−50401(P2006−50401A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230689(P2004−230689)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】