説明

画像形成装置および画像形成装置の制御方法およびプログラムおよび記憶媒体

【課題】ユーザが積極的に省エネモードを活用するように心理的に仕向けることができる画像形成装置を提供すること目的とする。
【解決手段】1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置であって、消費電力を測定する消費電力測定手段を備え、前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、前記消費電力測定手段の測定値を所定周期でサンプリングして記録するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置およびその制御方法、および、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、複合機、および、ファクシミリ装置など、少なくとも画像形成機能を備える画像形成装置では、省電力のために省エネモードを備え、待機中の電力消費量を削減できるようにしている。
【0003】
また、通常動作モード(非省エネモード中の動作モードをいう(以下同じ))と省エネモード中とで、消費電力の違いをユーザに提示できるようにしたものとしては、特許文献1に開示されているものなどが提案されている。
【特許文献1】特開2003−309684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、省エネモードを備えた画像形成装置では、省エネモード中にユーザ操作が要求された場合、省エネモードから通常動作モードに復帰するまでに15秒程度の時間を要するため、ユーザは、その間、作業を行うことができず、待機する必要がある。
【0005】
このように、通常動作モードに復帰するまでの待機時間が比較的長い時間要するため、ユーザによっては、省エネモード機能を無効にして、自分の操作要求に対する画像形成装置の動作レスポンスが最短になるように、動作を設定するという事態を生じている。
【0006】
この場合、画像形成装置がせっかく備えている省エネモードが有効活用されず、省エネ効果を得られないという不具合を生じる。
【0007】
なお、特許文献1に開示されたものでは、目安の電力基準値をもとに動作モード毎の消費電力量を統計、また動作時間の統計を表示または出力などしていたが、消費電力は、装置の稼働状況によって変動するので、正確な情報をユーザに提示することができず、却って、ユーザの不信感を誘導するという不具合を生じていた。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、ユーザが積極的に省エネモードを活用するように心理的に仕向けることができる画像形成装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置であって、消費電力を測定する消費電力測定手段を備え、前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、前記消費電力測定手段の測定値を所定周期でサンプリングして記録するようにしたものである。
【0010】
また、1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置であって、消費電力を測定する消費電力測定手段を備え、前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、前記消費電力測定手段の測定値を所定周期でサンプリングして記録し、前記記録したサンプリング値に基づいて所定態様の統計情報を作成し、当該統計情報を出力するようにしたものである。
【0011】
また、前記消費電力測定手段は、交流消費電力と、各直流系統毎の直流消費電力を測定するとともに、前記サンプリング値には、前記交流消費電力と各直流系統毎の直流消費電力のサンプリング値が含まれるようにしたものである。
【0012】
また、前記消費電力測定手段は、交流消費電力と、各直流系統毎の直流消費電力を測定するとともに、前記サンプリング値には、前記交流消費電力、各直流系統毎の直流消費電力、および、各直流系統毎の電力効率のサンプリング値が含まれるようにしたものである。
【0013】
また、さらに、電力課金情報を記憶する課金情報記憶手段を備え、前記統計情報には、前記省エネモードにおける消費電力の削減量と、当該削減量と前記電力課金情報に基づいて定まる電力コスト削減量を含むようにしたものである。
【0014】
また、さらに、炭酸ガス−電力換算情報を記憶する換算情報記憶手段を備え、前記統計情報には、前記省エネモードにおける消費電力の削減量と、当該削減量と前記炭酸ガス−電力換算情報に基づいて定まる炭酸ガス削減量を含むようにしたものである。
【0015】
また、1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置の制御方法であって、消費電力を測定する消費電力測定手段を備え、前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、前記消費電力測定手段の測定値を所定周期でサンプリングして記録するようにしたものである。
【0016】
また、1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置の制御方法であって、消費電力を測定する消費電力測定手段を備え、前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、前記消費電力測定手段の測定値を所定周期でサンプリングして記録し、前記記録したサンプリング値に基づいて所定態様の統計情報を作成し、当該統計情報を出力するようにしたものである。
【0017】
また、さらに、電力課金情報を記憶するとともに、前記統計情報には、前記省エネモードにおける消費電力の削減量と、当該削減量と前記電力課金情報に基づいて定まる電力コスト削減量を含むようにしたものである。
【0018】
また、さらに、炭酸ガス−電力換算情報を記憶するとともに、前記統計情報には、前記省エネモードにおける消費電力の削減量と、当該削減量と前記炭酸ガス−電力換算情報に基づいて定まる炭酸ガス削減量を含むようにしたものである。
【0019】
また、1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置に実装するプログラムであって、前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、装置の消費電力の測定値を所定周期でサンプリングして記録することを特徴とするプログラムである。
【0020】
また、1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置に実装するプログラムあって、前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、装置の消費電力の測定値を所定周期でサンプリングして記録し、前記記録したサンプリング値に基づいて所定態様の統計情報を作成し、当該統計情報を出力することを特徴とするプログラムである。
【0021】
また、請求項11または請求項12に記載のプログラムを格納した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0022】
したがって、本発明によれば、動作モード毎の消費電力を実測して、ユーザに提示することができるので、装置の稼働状況に応じた、信頼性の高い消費電力量をユーザに提示することができ、ユーザに省エネ効果を認識させることができ、その結果、ユーザが省エネモードを積極的に使用するように誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施例にかかる画像形成装置の一例を示している。この画像形成装置、複写機能、画像読取機能、プリンタ機能、ネットワークプリンタ機能、スキャン・ツー・イーメール機能などを備えている。
【0025】
同図において、この画像形成装置は、装置の動作制御などを行うシステム管理部US、画像読取機能および画像形成機能などを実現するためのエンジンユニットUE、および、システム管理部USおよびエンジンユニットUEに電力を供給するための電源ユニットUPの3つのユニットから構成されている。
【0026】
システム管理部USにおいて、システム制御部1は、この画像形成装置の各部の動作を制御するためのものである、操作表示部2は、ユーザがこの画像形成装置を操作するためのものであり、各種の操作キーおよび表示装置などからなり、バッテリ3は、システム制御部1が備える内蔵メモリ(図示略)および時計回路(図示略)を、主電源がオフにされている状態でも駆動するためのものである。
【0027】
磁気ディスク装置4は、例えば、システム制御部1が実行する各種プログラムや、消費電力履歴情報テーブル(後述)などの各種サンプリングデータなどを記憶するためのものであり、ホストインタフェース回路5は、パーソナルコンピュータ装置などの外部ホスト装置へ接続し、外部ホスト装置との間で、印刷ジョブ情報などの各種データをやりとりするためのものであり、ネットワーク通信部6は、例えば、ローカルエリアネットワークなどのネットワークへ接続し、ネットワークを介し、他の端末装置との間で種々の情報をやりとりするためのものである。
【0028】
エンジンユニットUEにおいて、エンジン制御部7は、このエンジンユニットUEの動作を制御するとともに、システム制御部1と種々の情報をやりとりし、動作モードや動作タイミングなどを制御する。
【0029】
原稿読込部8は、スキャナ機能を実現するためものであり、自動原稿搬送ユニット9は、原稿読込部8に読取原稿を1枚ずつ給紙するためのものである。
【0030】
書込部10は、例えば、レーザビームなどを用いて画像形成駆動部12の感光体ユニット(図示略)に静電潜像を書き込むためのものであり、給紙トレイ11は、画像形成駆動部12に原稿用紙を1枚ずつ給紙するためのものであり、画像形成駆動部12は、静電写真プロセスを用い、感光体ユニットに書き込まれた静電潜像をトナー現像し、そのトナー像を記録紙に転写した後に、記録紙上に熱定着するためのものであり、ヒータ駆動部14は、画像形成駆動部12の定着ヒータを駆動するためのものである。また、このヒータ駆動部14は、エンジン制御部7により動作制御される。
【0031】
電源ユニットUPにおいて、商用電源は、交流電力検出部15を介し、直流電源ユニット16,17に供給されるとともに、ヒータ駆動部14を介して、画像形成駆動部12に供給される。
【0032】
交流電力検出部15は、装置で消費される商用電源の電力を検出するためのものであり、その検出値SD1は、システム制御部1に出力される。この交流電力検出部15は、より詳細には、電圧検出部と、電流検出部に分かれる。電圧と電流の2つの値を読み取り、掛け算した結果を消費電力とし、記録する。なお、記録する際、掛け算結果のみでなく、電圧と電流の元データもそのまま記録しても良い。また、電圧の具体的な検出は一般的な商用電源のL(ライン)とN(ニュートラル)を全波整流し、それをトランスなどで低圧化して、その数値をA/D変換で読み取る方法でも良い。電流の具体的な検出は、L(ライン)に流れる電流値を磁束に変換し、それを電圧に変換して、A/D変換で読みってもよいし、電流値検出抵抗を挿入して読み取っても良い。また、流れる電流により温度が変化する素子を挿入して、読み取る方法でも良い。
【0033】
直流電源ユニット16は、入力される商用電源に基づいて、エンジンユニットUEのロジック回路用の直流電源VC1(例えば、5ボルト)と、エンジンユニットUEに必要な駆動部用の直流電源VD1(例えば、24ボルト)を形成するものであり、直流電源VC1,VD1は、それぞれエンジンユニットUEの必要な箇所に供給される。また、この直流電源ユニット16の動作は、システム制御部1から出力される信号SS1に基づいて制御される。
【0034】
直流電源ユニット17は、入力される商用電源に基づいて、システム管理部USのロジック回路用の直流電源VC2(例えば、5ボルト)と、システム管理部USに必要な駆動部用の直流電源VD2(例えば、12ボルト)を形成するものであり、直流電源VC2,VD2は、それぞれシステム管理部USの必要な箇所に供給される。また、この直流電源ユニット17は、主電源スイッチ(図示略)がオン投入されている場合には、常時、動作する。
【0035】
以上の構成で、本実施例の動作について、図2を参照しながら、次に説明する。
【0036】
(1)起動時
まず、主電源スイッチがONにされると、電源ユニット部に商用電源が入力し、直流電源ユニット17がまず立ち上がり、電源をシステム管理部USに供給する。
【0037】
システム制御部1のCPU(中央処理装置;図示略)が、ブート用メモリの初期プログラムを読み込み、そして磁気ディスク装置4に格納された制御用プログラムを読み出し、画像形成装置全体の起動が開始する。
【0038】
そして、システム制御部1は直流電源ユニット16をオンして、エンジンユニット部UEに電源を供給する。同時に交流電力検出部15のデータを読み込み、システム制御部1のメモリに消費電力のデータと時刻を記録する。また、動作モードは立ち上がりモードとする。
【0039】
以降、一定周期で消費電力のデータを交流電力検出部15から読み込み、メモリに記録する。本実施例では、例えば、1秒周期でデータの読み込みと記録を行う。
【0040】
また、記録したデータ量が一定以上に達すると、メモリ内のデータを磁気ディスク装置4に書き込むとともに、その書き込んだデータはメモリから消去する。
【0041】
ここで、記録の周期は1秒ではなく、もっと短い周期、例えば0.1秒単位でも良いし、長い周期、例えば3秒周期でも良い。ただし、周期をあまり短くしても、システム制御部の処理負担が大きくなり、また、消費するメモリ量および磁気ディスク装置4に必要な記憶容量が増大するし、それに関わらず周期を短くして精度を上げるメリットがあまりない。
【0042】
逆に周期を長くしすぎるとシステム制御部1の処理負担が小さくなり、消費するメモリ量および磁気ディスク装置4に必要な記憶容量が小さくなるが、把握した消費電力と、実消費電力の誤差が大きくなる可能性がある。なお、一定周期でデータを読み込み、ある回数に達するとデータを平均化して、メモリ、あるいは磁気ディスク装置4に記録する方法を取っても良い。
【0043】
さて、消費電力データの記録を開始してから、システム制御部1はエンジン制御部7に指令を与え、エンジン制御部7とつながる原稿読込部8、自動搬送ユニット9、書込部10、給紙トレイ11、画像形成駆動部12、および、後処理周辺機13のイニシャル動作を行わせる。また、ヒータ駆動部14を駆動して、画像形成駆動部12の定着ヒータの温度を上昇させる。
【0044】
イニシャル動作を行い、定着ヒータがコピー可能な目標温度に到達すると、システム制御部1はモードが「立ち上がり」から「スタンバイモード」に切り替わったことを認識し、「スタンバイモード」とその切り替わり時刻を記録する。また、交流電力検出部15のデータは「立ち上がり」モードと同じく1秒周期で読み込みと記録を行う。スタンバイモードのまま、他の動作モードに切り替わるまで、その状態を維持する。
【0045】
(2)コピー出力モード
原稿読取部8のコンタクトガラスに原稿を置く、あるいは自動原稿搬送ユニット9に原稿を置いて、操作表示部2のコピースタートボタン(図示しない)を押下すると、システム制御部1はコピースタートを検知し、エンジン制御部7に指令を与える。
【0046】
その結果として、エンジン制御部7は原稿読込部8を動作させ、読み取った原稿のデータをシステム制御部1に送り、メモリ、あるいは磁気ディスク装置4に保存させる。
【0047】
次に、メモリあるいは磁気ディスク装置4のデータを書込部10に送り、画像形成駆動部12を駆動して、印字が行われる。
【0048】
システム制御部1は、コピースタートと同時に、モードが「コピーモード」に切り替わったことを認識し、「コピーモード」とその切り替わり時刻を記録する。また、交流電力検出部15のデータは「スタンバイモード」と同じく1秒周期で読み込みと記録を行う。
【0049】
コピーが完了すると、モードはスタンバイモードに切り替わる。以降の処理は、起動時に「立ち上がり」→「スタンバイモード」に切り替わったときと同様である。
【0050】
(3)プリント出力モード
ネットワーク通信部6やホストインタフェース回路5などのインターフェースから、プリント指示と印刷データを受信すると、システム制御部1はエンジン制御部7に指令を与える。
【0051】
その結果として、エンジン制御部7は印字データを書込部10に送り、画像形成駆動部12を駆動して、印字を行わせる。システム制御部1は、プリント指示のデータ受信と同時に、モードを「プリントモード」に切り替え、「プリントモード」とその切り替わり時刻を記録する。
【0052】
また、交流電力検出部15のデータは「スタンバイモード」と同じく1秒周期で読み込みと記録を行う。プリントが完了すると、モードはスタンバイモードに切り替わる。以降の処理は、起動時に「立ち上がり」→「スタンバイモード」に切り替わったときと同様である。
【0053】
(4)スキャンモード
ユーザがコンタクトガラスに原稿を置く、あるいは自動原稿搬送部に原稿を置いて、操作表示部2をスキャンモードに設定し、スタートボタン(図示しない)を押下すると、システム制御部1はスキャンスタートを検知し、エンジン制御部7に指令を与える。
【0054】
その結果として、エンジン制御部7は原稿読込部8を動作させ、読み取った原稿のデータを逐次システム制御部1に送り、メモリ、あるいは磁気ディスク装置4に保存させる。システム制御部1は、前記スタートを押されたのを検知すると同時に、モードが「スキャンモード」に切り替わったことを認識し、「スキャンモード」とその切り替わり時刻を記録する。
【0055】
また、交流電力検出部15のデータは「スタンバイモード」と同じく1秒周期で読み込みと記録を行う。スキャンが完了すると、モードはスタンバイモードに切り替わる。以降の処理は、起動時に「立ち上がり」→「スタンバイモード」に切り替わったときと同様である。
【0056】
なお、スキャンの開始は操作表示部2のスタートボタンを押す以外に、ネットワーク通信部6を通じて、パソコン上から開始指示を送ることもできる。その場合も、処理は同様である。
【0057】
(5)省エネモードA(低電力モード)
画像形成駆動部12には、図示していない定着ユニットが実装されており(内部に定着ヒータを搭載)、スタンバイモードでは、コピーをすぐ実行可能な温度に保つ制御を行っている。
【0058】
例えば、スタンバイモードでは170℃の温度を維持するよう制御を行ったりしている。この温度を維持するため、画像形成装置は大きな電力を消費しているため、画像形成装置をあまり使わない場合は、コピー、プリントをすぐ実行可能な温度から数十℃下げておくと、電力の節約を図ることができる。
【0059】
このように定着ユニットの温度をある程度下げたり、また操作表示部2のバックライトを消灯したり、画像形成装置内のあるモータを停止させておくなどで電力節減を図るモードがある。その1つが低電力モードである。
【0060】
低電力モードは、画像形成装置の操作部で、一定時間画像形成装置を使用しないと自動的に移行するよう設定を行うことができる(移行までの時間や、移行許可の有無を設定できる)。
【0061】
システム制御部1は、低電力モードに移行すると、モードが「低電力モード」に切り替わったことを認識し、「低電力モード」とその切り替わり時刻を記録する。
【0062】
また、交流電力検出部15のデータは「スタンバイモード」と同じく1秒周期で読み込みと記録を行う。画像形成装置の何らかの操作が行われたり、ホストインタフェース回路5およびネットワーク通信部6から指示を受信すると、低電力モードを解除する。
【0063】
以降の処理は、上述の(1)〜(4)と同じである。なお、低電力モードを解除してから、定着ユニットの温度がコピーをすぐ実行可能な一定温度に達するまでは、「立ち上がりモード」の扱いとなる。
【0064】
(6)省エネモードB(スリープモード)
低電力モードより大幅に消費電力を下げるモードである。
【0065】
すなわち、本実施例では、スリープモードでは定着ユニットの温度維持制御を行わず、また直流電源ユニット16もオフし、直流電源ユニット17のみONにし、操作表示部2も消灯させた状態である。
【0066】
直流電源ユニット17のみONしておくことで、システム管理部USのみ動作しており、ホストインタフェース回路5およびネットワーク通信部6から印刷指示などのデータ受信があったとき、スリープモードをただちに解除し、画像形成装置を立ち上げてプリント開始を行ったり、あるいは画像形成装置の内部データを送れという指示を受信したとき、システム制御部1で管理しているデータをホストインタフェース回路5およびネットワーク通信部6を介して送信する。
【0067】
スリープモードの移行は低電力モードと同じように、操作表示部2で移行時間と移行有無を設定可能である。また、操作表示部2に設けられるサブ電源キー(図示略)を押下することでも、スリープモードに移行可能である。
【0068】
システム制御部1は、スリープモードに移行させると、モードが「スリープモード」に切り替わったことを認識し、「スリープモード」とその切り替わり時刻を記録する。また、交流電力検出部15のデータは「スタンバイモード」と同じく1秒周期で読み込みと記録を行う。
【0069】
スリープモードの解除方法は、ホストインタフェース回路5およびネットワーク通信部6から指示を受信するか、あるいは、上述した電源サブキーを押下するかである。スリープモードを解除後の処理は、上述の(1)〜(4)と同じである。なお、スリープモードを解除してから、定着ユニットの温度がコピーをすぐ実行可能な一定温度に達するまでは、「立ち上がりモード」の扱いとなる。
【0070】
(7)省エネモードC(オフモード)
ホストインタフェース回路5およびネットワーク通信部6からデータ受信待ちをしない省エネモードである。すなわち、本実施例のオフモードでは、定着ユニットの温度維持制御を行わず、また、直流電源ユニット16もオフし、直流電源ユニット17のみONにした状態である。更にシステム管理部USでも稼動しているデバイスはシステム制御部1のごく一部のみにとどめている。こうすることで、大幅な電力削減を図っている。
【0071】
オフモードの移行は低電力モード、スリープモードと同じように、操作表示部2で移行時間と移行有無を設定する。また、上述したサブ電源キーを押下することでも、オフモードに移行可能である(この場合、LANなどのインターフェースが無効時。インターフェース機能が有効時はオフモードではなく、スリープモードに移行する)。
【0072】
システム制御部1は、オフモードに移行すると、モードが「オフモード」に切り替わったことを認識し、「オフモード」とその切り替わり時刻を記録する。また、交流電力検出部15の読み取り機能も非稼動状態となるため、消費電力の検出は実施しない。
【0073】
ただし、オフモードの消費電力は定着ヒータも完全消灯しており、モータやファンなどの駆動もないため、消費電力はほぼ一定のため、事前にメモリに記録させておくテーブルデータを用いることで充分代用できる。
【0074】
例えば、オフモード時の消費電力は10Wである。オフモード移行と、その切り替わり時刻のみ記録し、システム制御部は前述のとおり、システム制御部の一部の機能のみ動作させ、その他機能のほとんどを非稼動状態に移行させる(電力を消費しない状態に移行させる)。
【0075】
オフモードの解除方法は、上述した電源サブキーを押下することである。
【0076】
電源サブキーが押され、オフモードが解除された後の処理は、上述した主電源スイッチON後の動作フローと同様である。そのため、オフモードを解除してから、定着ユニットの温度がコピーをすぐ実行可能な一定温度に達するまでは、「立ち上がりモード」の扱いとなる。
【0077】
(8)プリント出力 + スキャンモード
本実施例の画像形成装置は、プリント出力時に、スキャン動作の並行動作を行うことが出来る。
【0078】
なお、ここでいうプリント出力は、コピー出力モードで、原稿読み込みが終了してコピー印字動作のみを行っていた場合も同様である。逆に、スキャン動作中に、ホストインタフェース回路5およびネットワーク通信部6を介して、プリント出力を行わせた場合も同様である。
【0079】
プリント出力時には、システム制御部で「プリントモード」であることを認識し、「プリントモード」と、その切り替わり時刻を記録し、また1秒周期で消費電力の検出と記録を行う。
【0080】
そのときに、スキャン動作を並行動作させた場合、並行動作中は、並行動作前と並行動作中の電力の差分を、スキャンモードの消費電力とし、並行動作前の電力相当分はプリントモードの消費電力として、記録する。
【0081】
図2では、先にプリント出力モードが動作し、プリント継続中にスキャナ動作が発生している。図のようにスキャン動作発生前後の電力差分を算出することで、プリント出力の消費電力と、スキャンの消費電力とを分けることができ、記録時もプリントの消費電力と、スキャンの消費電力をそれぞれ個別に記録する。
【0082】
また、図2では、プリント出力とスキャンが並行動作するが、途中でプリント出力が先に終了している。この時点でプリント出力の消費電力の記録は終了し、以降はスキャンのみの消費電力とする。
【0083】
また、図2の前半では立ち上がり、スタンバイ、コピー時の消費電力の遷移も示している。画像形成装置は一定周期で消費電力を記録しているが、電力値を縦軸、時間を横軸にして、電力をプロットすると、図2のようなグラフになる。
【0084】
さて、本実施例では、交流電力検出部15で検出した電力値を、図3(a)に示すような消費電力履歴情報テーブルに格納する。この消費電力履歴情報テーブルは、この画像形成装置の時系列の動作モード毎に作成される複数の消費電力履歴情報を記憶したものである。
【0085】
消費電力履歴情報は、例えば、同図(b)に示すように、動作モード情報、測定開始時刻をあらわす時刻情報、サンプリング周期(オプション)、および、複数の電力サンプリング値からなる。
【0086】
ここで、電力サンプリング値は、交流電力検出部15で検出した電力値をそのまま用いても良いし、同図(c)に示すように、交流電力検出部15で検出した電圧値、電流値、および、算出した電力値を用いるようにしても良い。
【0087】
また、サンプリング周期は、例えば、1秒間に固定されるが、動作モード毎に異なるサンプリング周期を設定することもできる。その場合、消費電力履歴情報のサンプリング周期には、設定されたサンプリング周期をあらわす値を格納する。また、サンプリング周期が固定の場合は、このサンプリング周期の値は参照されないので、例えば、無効値を設定しても良い。
【0088】
図4は、消費電力履歴情報のサンプリングに関する処理の一例を示している。
【0089】
まず、主電源スイッチがオンされると(処理101)、所定の起動処理が実行され(処理102)、上述したように各部の初期化処理が開始される(処理103)。
【0090】
ここで、動作モードとして立上りモードを設定し(処理104)、消費電力履歴情報に動作モードと時刻を記録する(処理105)。この後は、初期処理が終了するまで、消費電力を1秒周期でサンプリングし、電力サンプリング値として、消費電力履歴情報に順次記録する(処理106、判断107のNOループ)。
【0091】
初期処理が終了し、判断107の結果がYESになると、動作モードとしてスタンバイモードを設定し(処理108)、消費電力履歴情報に動作モードと時刻を記録する(処理109)。この後は、モード変更を検出するまで、消費電力を1秒周期でサンプリングし、電力サンプリング値として、消費電力履歴情報に順次記録する(処理110、判断111のNOループ)。
【0092】
この後、モード変更を検出し、判断111の結果がYESになると、動作モードとして変更後の動作モードを設定し(処理112)、消費電力履歴情報に動作モードと時刻を記録する(処理113)。この後は、再度、モード変更を検出するまで、消費電力を1秒周期でサンプリングし、電力サンプリング値として、消費電力履歴情報に順次記録する(処理114、判断115のNOループ)。
【0093】
そして、モード変更を検出して、判断115の結果がYESになると、処理112へ戻り、それ以降の処理を繰り返し実行する。
【0094】
次に、このようにして記録した消費電力履歴情報のデータをどのように活用するかについて説明する。
【0095】
まず、検出する電力量の精度は、例えば、図5に示すように、小数点第一位で四捨五入した値を適用することができる。また、同一モード中の積算電力量の精度は、小数点第一位で四捨五入した値を適用することができる。
【0096】
そして、操作表示部2からユーザが表示設定を行うことで、時間別の消費電力の統計情報を作成し、図6(a)のような統計情報を表示させる。なお、同図記載の消費電力は上述したような積算電力表示であるが、平均電力を表示させてもよい。
【0097】
また、同図(b)のように、1日単位の動作モード別に、消費電力をまとめた統計情報を表示させてもよい。同図の消費電力は積算電力である。また、省エネモードの効果を確認するため、スタンバイモードの消費電力の検出値を参照して、低電力モード、スリープモードの効果量を計算させ表示させることが効果的である。
【0098】
ここで、効果量の計算方法は、その日のスタンバイモードの平均電力を求め、この数値から、もし、低電力モードとスリープモードがそれぞれスタンバイモードだった場合、消費せざるを得なかった電力を計算する。したがって、次のように、低電力モードとスリープモードの各々の検出した消費電力の差分を引けば、効果量を算出できる。
スタンバイモードの平均電力:800Wh/h÷2時間=400Wh
低電力モードの効果量:5時間×400Wh/h−600Wh/h=1400Wh/h
スリープモードの効果量:3時間×400Wh/h−120Wh/h=1080Wh/h
【0099】
ところで、例えば、その日のスタンバイモードの動作時間が、10分以下などあまりに短い場合は、効果量の参照データとして使うには、ばらつきが大きく不適切の場合がある。そこで、10分以下などの場合は、あらかじめテーブルデータとしてスタンバイモードの平均電力を記憶させておき、その日のスタンバイモードの動作時間が10分より短い場合は、テーブルデータの平均電力を参照データとして、効果量の算出に使っても良い。
【0100】
また、スリープモードではなく、オフモードに移行する画像形成装置でも同様であり、その場合の表示例を図6(c)に示す。
【0101】
また、統計データの加工例を次に示す。なお、以下の説明では、消費電力の加工例であるが、電力料金を算出、あるいはCO2を算出して、グラフ表示しても良い(後述)。
【0102】
例1)週単位の電力を加工した例を図7(a),(b)に示す。この場合、省エネ(低電力、スリープ、オフ)モードが未使用時どうなるか、スタンバイモードの推測電力に置き換え、「省エネモード未使用時」の電力も並置してもよい。
【0103】
例2)日単位の電力を加工した例を図8(a),(b)に示す。この場合、省エネ(低電力、スリープ、オフ)モードが未使用時どうなるか、スタンバイモードの推測電力に置き換え、「省エネモード未使用時」の電力も並置してもよい。
【0104】
例3)1ヶ月の電力の積算値を求めた例を図9,10に示す。省エネ(低電力、スリープ、オフ)モードが未使用時どうなるか、スタンバイモードの推測電力に置き換え、「省エネモード未使用時」の電力も並置してもよい。
【0105】
例4)1日の電力遷移図を加工した例を図11に示す。この場合、1日、あるいはある指定時間範囲(例えば午後1時から2時までなど)の電力遷移図を加工し、表示できても良い。
【0106】
ところで、省エネモードの効果をユーザに知らしめるためには、例えば、省エネ効果、すなわち、省エネモードを使用したために削減できた料金(コスト)、および、省エネモードを使用したために削減できた電力に対応して削減できた炭酸ガス量(CO2重量)を表示することが効果的である。
【0107】
そこで、例えば、図12に示すような電力コスト設定画面を表示して、ユーザに電力コストを設定入力させる。また、図13(a)に示すようなCO2排出係数の設定画面を表示して、ユーザにCO2排出係数(炭酸ガス量−電力換算値)を設定入力させる。
【0108】
そして、図14(a),(b)に示すように、消費電力の履歴表示に、電力コスト削減量、CO2排出量、および、CO2削減量を併記するようにする。
【0109】
ここで、電力コストの算出は、次の式を用いることができる。
【0110】
{(料金単価×1ヶ月の使用電力量)×(燃料調整費×1ヶ月の使用電力量)}×(1+消費税)
【0111】
また、上述したように表示させた統計情報と同様の内容を、操作表示部2の設定でプリント出力、あるいは、ホストインタフェース回路5およびネットワーク通信部6を介して、パソコンなどから統計情報のプリント出力を指示し、用紙に印字させるようにしてもよい。
【0112】
また、ホストインタフェース回路5およびネットワーク通信部6を経由して、パソコンなどから指示を与えると、画像形成装置の統計情報をパソコンなどに読み出したり、または単位時間ごとの消費電力データを直接取り出し、パソコン画面上などに時系列で消費電力の遷移グラフを表示させるようにすることもできる。
【0113】
また、図13(b),(c)に示すように、ユーザに保存期間または保存量を設定させ、その保存期間または保存量を超えた時点で、磁気ディスク装置4に記憶した消費電力履歴情報テーブルをクリアするように設定することもできる。
【0114】
このようにして、本実施例では、消費電力を一定周期でモニタしつつ、動作モード履歴を残しているので、動作モード毎の消費電力は目安の値ではなく、実際の消費電力を把握できるので、信頼性の高い電力データを使用者に提供できる。
【0115】
また、動作モード毎の動作時間、実消費電力を一覧表示させる機能があるので、使用者が画像形成装置をどの程度有効に活用しているか、特に省エネモードを有効に活用できているかを確認することができ、使用者の省エネ意識を高めることができる。
【0116】
また、動作モード毎の動作時間、実消費電力を紙にプリントアウトする機能があるので、使用者が画像形成装置をどの程度有効に活用しているか、特に省エネモードを有効に活用できているかを、管理・把握でき、使用者の省エネ意識を高めることができる。
【0117】
また、動作モード毎の動作時間、実消費電力、そして時間順の消費電力のデータを、ホストインタフェース回路5およびネットワーク通信部6などを介してパソコンなどに取り込める機能があるので、使用者が画像形成装置の使用状況と、電力遷移を管理・把握することができ、省エネ効果の確認、省エネ意識の向上を図ることができる。
【0118】
また、検出手段は装置のAC部にあるため、画像形成装置全体の電力を検出することができる。
【0119】
また、電圧と電流をそれぞれ検出しているので、電力だけでなく、電圧・電流を表示、出力、データ送信することができ、電圧の安定供給状況、電流の遷移状況も使用者が確認することができる。
【0120】
図15は、本発明の他の実施例にかかる画像形成装置の一例を示している。この画像形成装置、複写機能、画像読取機能、プリンタ機能、ネットワークプリンタ機能、スキャン・ツー・イーメール機能などを備えている。なお、同図において、図1と同一部分、および、相当する部分には、同一符号を付している。
【0121】
同図において、この画像形成装置は、装置の動作制御などを行うシステム管理部US、画像読取機能および画像形成機能などを実現するためのエンジンユニットUE、および、システム管理部USおよびエンジンユニットUEに電力を供給するための電源ユニットUPの3つのユニットから構成されている。
【0122】
システム管理部USにおいて、システム制御部1は、この画像形成装置の各部の動作を制御するためのものである、操作表示部2は、ユーザがこの画像形成装置を操作するためのものであり、各種の操作キーおよび表示装置などからなり、バッテリ3は、システム制御部1が備える内蔵メモリ(図示略)および時計回路(図示略)を、主電源がオフにされている状態でも駆動するためのものである。
【0123】
磁気ディスク装置4は、例えば、システム制御部1が実行する各種プログラムや、消費電力履歴情報テーブル(後述)などの各種サンプリングデータなどを記憶するためのものであり、ホストインタフェース回路5は、パーソナルコンピュータ装置などの外部ホスト装置へ接続し、外部ホスト装置との間で、印刷ジョブ情報などの各種データをやりとりするためのものであり、ネットワーク通信部6は、例えば、ローカルエリアネットワークなどのネットワークへ接続し、ネットワークを介し、他の端末装置との間で種々の情報をやりとりするためのものである。
【0124】
エンジンユニットUEにおいて、エンジン制御部7は、このエンジンユニットUEの動作を制御するとともに、システム制御部1と種々の情報をやりとりし、動作モードや動作タイミングなどを制御する。
【0125】
原稿読込部8は、スキャナ機能を実現するためものであり、自動原稿搬送ユニット9は、原稿読込部8に読取原稿を1枚ずつ給紙するためのものである。
【0126】
書込部10は、例えば、レーザビームなどを用いて画像形成駆動部12の感光体ユニット(図示略)に静電潜像を書き込むためのものであり、給紙トレイ11は、画像形成駆動部12に原稿用紙を1枚ずつ給紙するためのものであり、画像形成駆動部12は、静電写真プロセスを用い、感光体ユニットに書き込まれた静電潜像をトナー現像し、そのトナー像を記録紙に転写した後に、記録紙上に熱定着するためのものであり、ヒータ駆動部14は、画像形成駆動部12の定着ヒータを駆動するためのものである。また、このヒータ駆動部14は、エンジン制御部7により動作制御される。
【0127】
電源ユニットUPにおいて、商用電源は、交流電力検出部20を介し、ヒータ駆動部14へ加えられているとともに、交流電力検出部21を介して、直流電源ユニット16,17へ加えられている。
【0128】
交流電力検出部20は、画像形成駆動部12の定着ヒータで消費される商用電源の電力を検出するためのものであり、その検出値SD1は、システム制御部1に出力される。交流電力検出部21は、直流電源ユニット16,17で消費される商用電源の電力を検出するためのものであり、その検出値SD2は、システム制御部1に出力される。
【0129】
直流電源ユニット16は、入力される商用電源に基づいて、エンジンユニットUEのロジック回路用の直流電源VC1(例えば、5ボルト)と、エンジンユニットUEに必要な駆動部用の直流電源VD1(例えば、24ボルト)を形成するものであり、直流電源VC1,VD1は、それぞれ、直流電力検出部22,23を介し、エンジンユニットUEの必要な箇所に供給される。また、この直流電源ユニット16の動作は、システム制御部1から出力される信号SS1に基づいて制御される。
【0130】
直流電力検出部22,23は、直流電源VC1,VD1の電圧値および電流値を検出するものであり、その検出値SD3,SD4は、システム制御部1に出力されている。
【0131】
直流電源ユニット17は、入力される商用電源に基づいて、システム管理部USのロジック回路用の直流電源VC2(例えば、5ボルト)と、システム管理部USに必要な駆動部用の直流電源VD2(例えば、12ボルト)を形成するものであり、直流電源VC2,VD2は、それぞれ、直流電力検出部24,25を介し、システム管理部USの必要な箇所に供給される。また、この直流電源ユニット17は、主電源スイッチ(図示略)がオン投入されている場合には、常時、動作する。
【0132】
直流電力検出部24,25は、直流電源VC2,VD2の電圧値および電流値を検出するものであり、その検出値SD5,SD6は、システム制御部1に出力されている。
【0133】
また、交流電力検出部20,21は、より詳細には、電圧検出部と、電流検出部に分かれる。電圧と電流の2つの値を読み取り、掛け算した結果を消費電力とし、記録する。なお、記録する際、掛け算結果のみでなく、電圧と電流の元データもそのまま記録しても良い。
【0134】
そして、本実施例では、消費電力履歴情報テーブルの消費電力履歴情報における電力サンプリング値として、検出値SD1,SD2,SD3,SD4,SD5,SD6を1つのまとまりとして記録する。
【0135】
また、本実施例では、直流電源ユニット16,17について、入力側(一次側)の電力値と、出力側(二次側)の電力値をサンプリングしているので、直流電圧への変換効率を算出することができる。
【0136】
そのため、例えば、図16(a),(b)に示すように、統計情報を表示する際、直流電源の変換効率を併記することができる。
【0137】
ここで、一般的に直流電源の変換効率は、高負荷のときに高い変換効率を持たせ、低負荷のときは低い変換効率となる。よって、図16(a),(b)の一例では、画像形成装置の駆動部位が大きいとき、つまり、消費電力が大きい時のコピーやプリントモード時は高い変換効率の80%となり、これに対し、スタンバイモードや低電力モード時は、低い変換効率の50%となる。
【0138】
なお、スリープモード時は直流電源16をオフして、直流電源17からシステム管理部USに通常どおり電力を供給しているので、比較的高い変換効率の70%となっている。
【0139】
また、直流電源を本実施例のように2つ設けている理由は、スリープモード時など2つの直流電源のうち一方をオフする省エネモード時に、高い変換効率を出し、直流電源のロスを低減するためである。その効果が、図16(b)で見て取れる。
【0140】
なお、直流電源出力側の電圧・電流の検出は、電力料金などに直接関係してこないため、測定は1秒周期毎でなく、10秒など長い周期や、モードが切り替わって一定時間経過後の1回のみなどのサイクルで検出値を読み出し、記録することでも用途的に充分である。また、データ記憶容量や、システム制御部の処理能力に充分余裕がある場合は、もちろん1秒周期などで、直流電源の出力部の数値を検出しても良い。
【0141】
このようにして、本実施例では、直流電源の出力電力を検出することで、直流電源の変換効率、ロスを把握することができ、その画像形成装置の直流電源の有効活用度を知ることができ、使用者の省エネ意識の向上を図ることができる。
【0142】
また、直流電源の出力部の検出手段を、電圧と電流の2つとすることで、誤差の少ない出力電力を把握できる。
【0143】
ところで、上述した実施例では、複写機能、画像読取機能、プリンタ機能、ネットワークプリンタ機能、スキャン・ツー・イーメール機能などを備えたいわゆる複合機の画像形成装置について本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、少なくとも省エネモードを備えた画像形成装置であれば、それ以外の構成を備える装置についても同様にして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の一実施例にかかる画像形成装置の一例を示したブロック図。
【図2】画像形成装置の動作について説明するためのタイムチャート。
【図3】消費電力履歴情報テーブル、消費電力履歴情報、および、電力サンプリング値の一例を示した概略図。
【図4】消費電力履歴情報のサンプリングに関する処理の一例を示したフローチャート。
【図5】コピー動作時の消費電力量の一例を示した概略図。
【図6】消費電力履歴表示の一例を示した概略図。
【図7】表示例を示した概略図。
【図8】統計表示例を示した概略図。
【図9】積算値の表示例を示した概略図。
【図10】積算値の表示例の他の表示形態の一例を示した概略図。
【図11】グラフ表示例を示した概略図。
【図12】電力コスト設定画面の一例を示した概略図。
【図13】CO2排出係数の設定画面、保存期間の設定画面、および、保存量の設定画面の一例を示した概略図。
【図14】消費電力履歴表示の他の例を示した概略図。
【図15】本発明の他の実施例にかかる画像形成装置の一例を示したブロック図。
【図16】統計情報の他の表示例を示した概略図。
【符号の説明】
【0145】
US システム管理部
UE エンジンユニット
UP 電源ユニット
1 システム制御部
2 操作表示部
4 磁気ディスク装置
5 ホストインタフェース回路
6 ネットワーク通信部
7 エンジン制御部
12 画像形成駆動部
14 ヒータ駆動部
15,20,21 交流電力検出部
22,23,24,25 直流電力検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置であって、
消費電力を測定する消費電力測定手段を備え、
前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、前記消費電力測定手段の測定値を所定周期でサンプリングして記録することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置であって、
消費電力を測定する消費電力測定手段を備え、
前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、前記消費電力測定手段の測定値を所定周期でサンプリングして記録し、
前記記録したサンプリング値に基づいて所定態様の統計情報を作成し、当該統計情報を出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記消費電力測定手段は、交流消費電力と、各直流系統毎の直流消費電力を測定するとともに、
前記サンプリング値には、前記交流消費電力と各直流系統毎の直流消費電力のサンプリング値が含まれることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記消費電力測定手段は、交流消費電力と、各直流系統毎の直流消費電力を測定するとともに、
前記サンプリング値には、前記交流消費電力、各直流系統毎の直流消費電力、および、各直流系統毎の電力効率のサンプリング値が含まれることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
さらに、電力課金情報を記憶する課金情報記憶手段を備え、
前記統計情報には、前記省エネモードにおける消費電力の削減量と、当該削減量と前記電力課金情報に基づいて定まる電力コスト削減量を含むことを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
さらに、炭酸ガス−電力換算情報を記憶する換算情報記憶手段を備え、
前記統計情報には、前記省エネモードにおける消費電力の削減量と、当該削減量と前記炭酸ガス−電力換算情報に基づいて定まる炭酸ガス削減量を含むことを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置の制御方法であって、
消費電力を測定する消費電力測定手段を備え、
前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、前記消費電力測定手段の測定値を所定周期でサンプリングして記録することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項8】
1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置の制御方法であって、
消費電力を測定する消費電力測定手段を備え、
前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、前記消費電力測定手段の測定値を所定周期でサンプリングして記録し、
前記記録したサンプリング値に基づいて所定態様の統計情報を作成し、当該統計情報を出力することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
さらに、電力課金情報を記憶するとともに、
前記統計情報には、前記省エネモードにおける消費電力の削減量と、当該削減量と前記電力課金情報に基づいて定まる電力コスト削減量を含むことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
さらに、炭酸ガス−電力換算情報を記憶するとともに、
前記統計情報には、前記省エネモードにおける消費電力の削減量と、当該削減量と前記炭酸ガス−電力換算情報に基づいて定まる炭酸ガス削減量を含むことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置に実装するプログラムであって、
前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、装置の消費電力の測定値を所定周期でサンプリングして記録することを特徴とするプログラム。
【請求項12】
1つ以上の装置機能を備えるとともに、動作待機中の待機モード、および、省エネモードを備えた画像形成装置に実装するプログラムあって、
前記装置機能をおのおの実行中の動作別モード、待機モード、および、省エネモードのそれぞれにおいて、装置の消費電力の測定値を所定周期でサンプリングして記録し、
前記記録したサンプリング値に基づいて所定態様の統計情報を作成し、当該統計情報を出力することを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載のプログラムを格納した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−295433(P2007−295433A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122970(P2006−122970)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】