画像形成装置および画像形成装置の設定方法
【課題】プラットフォーム構想の設計をコストアップせずに実現する画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数種類から選択され、画像形成装置本体に装着される装着体と、前記装着体に備えられ、装着体の動作を検出する検出部と、前記装着体を制御する制御部と、前記検出部の出力によって装着体の種類を識別する識別部と、前記識別結果に対応して前記制御部を設定する設定部とを備え、前記制御部は、前記設定に応じて装着体の制御を変更する。
【解決手段】複数種類から選択され、画像形成装置本体に装着される装着体と、前記装着体に備えられ、装着体の動作を検出する検出部と、前記装着体を制御する制御部と、前記検出部の出力によって装着体の種類を識別する識別部と、前記識別結果に対応して前記制御部を設定する設定部とを備え、前記制御部は、前記設定に応じて装着体の制御を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットフォーム構想の設計を実現する画像形成装置および画像形成装置の設定方法に関する。特に画像形成装置に装着される定着ユニットに対応して制御部を設定する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラットフォーム構想とは、基本構成が同一で、ユーザオプションまたは仕様変更に対応して、部分的なユニット変更や部品の仕様変更により、印字スピードや精細度等選択可能な機能または仕様を変更可能にするものである。例えば、特許文献1はシフト機構の種類を判定し、この判定に応じてシフト処理を変更する本体ユニットを備えた画像形成装置を開示している。
【特許文献1】特開2002−128376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の画像形成装置によれば、シフト機構の種類に応じてシフト動作の制御を変更することができ、そのため後処理装置側のシフト制御を変更せずに、シフト操作が可能になる。しかしながら、特許文献1ではシフト機構の種類を判別するために種類検知用端子を備える必要があり、また本体ユニット側にも上記種類検知用端子に接続できる端子を備えなければならなかった。
本発明は上記問題点に鑑み、プラットフォーム構想の設計をコストアップせずに実現する画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の画像形成装置は、複数種類から選択され、画像形成装置本体に装着可能な一つのユニットと、前記ユニットを画像形成装置本体に装着するための装着部とを備えた画像形成装置において、前記ユニットは、対象物の加熱もしくは保温を行うためのヒーターと、対象物の温度を検出して検出した状態に応じた信号を出力する温度検出センサとを有し、その種類ごとに加熱の目標温度が異なり、前記温度検出センサは、その出力によってユニットの種類が識別できるようにその出力特性がユニット種類ごとに異なるものであり、前記本体は、装着されたユニットの種類を温度検出センサの出力から識別する識別部と、識別されたユニットの種類に応じて温度検出センサの出力に基づきヒーターへの通電を制御する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置により、本発明の初期の効果を得るものである。
【0005】
前記ユニットが、前記用紙を挟んで搬送する一対の定着ローラを有し、形成された画像を用紙に定着させる定着ユニットであってもよい。
【0006】
また、前記ユニットが、それが本体に装着されたときに、初めて装着されたか否かを制御部に判断させるための初期装着判別手段をさらに有し、前記制御部は、当該ユニットが初めて装着されたと判断したとき、ヒーターへの通電を制御する前にユニットの種類を識別してもよい。
【0007】
また、前記識別部は、前記温度検出センサの出力と予め定められた閾値を比較する電圧
比較部を備え、電圧比較部による比較の結果に基づいてユニットの種類を識別してもよい。
あるいは、本体の雰囲気温度を検出する機内温度検出センサをさらに備え、前記制御部は、ユニットが装着されたときに検出された機内温度が所定温度以下の場合に装着されたユニットの種類を識別し、識別結果を得た後にヒーターへの通電を制御してもよい。
【0008】
あるいはまた、前記制御部が、ヒーターへの通電をオンあるいはオフするものであり、前記通電がオフされてからの時刻を計時するオフ時間計時部をさらに備え、前記制御部は、前記通電がオフされてから所定時間が経過した後に装着されたユニットの種類を識別し、識別結果を得た後にヒーターへの通電を制御してもよい。
【0009】
また、本発明の画像形成装置において、前記制御部が、ヒーターへの通電をオンあるいはオフするものであり、ヒーターの通電時間を計時する通電時間計時部をさらに備え、前記制御部が、計時された通電時間と各種類のユニットに対して予め定められた通電時間とを比較することにより、本体に装着されるべき種類のユニットか装着されたか否かを判定するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の画像形成装置において、前記制御部が、本体に装着されるべきでない種類のユニットが装着されたと判定した場合に、警告を発する警告手段をさらに備えることが望ましい。
さらに、前記識別部は、前記温度検出センサの出力と予め定められた閾値を比較する電圧比較部を備え、電圧比較部による比較の結果に基づいてユニットの種類を識別してもよい。
【0011】
また本発明は別の局面では、対象物の加熱もしくは保温を行うためのヒーターと、対象物の温度を検出して検出した状態に応じた信号を出力する温度検出センサとを有し、前記加熱の目標温度が互いに異なる複数種類のユニットから選択された一つのユニットが本体に装着されたときに、装着されたユニットの種類を温度検出センサの出力から識別し、識別されたユニットの種類に応じて温度検出センサの出力に基づきヒーターへの通電を制御する方法であって、前記複数種類のユニットは、その出力によってユニットの種類が識別できるようにその出力特性が種類ごとに異なる温度検出センサを有することを特徴とする装着ユニットの識別方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置は、装着体の動作を検出する検出部の出力によって装着体を識別し、その識別結果に対応して制御部を設定するので、プラットフォーム構想の設計を実現することができる。また本発明に使用される検出部は、画像形成装置に本来備えられ、制御部が装着体の動作を検出するために使用されているものである。従って装着体の種類を識別するための専用の部品を必要とせず、コストアップしない。
【0013】
また本発明の画像形成装置は、定着ユニットに備えられた定着温度検出部の検出出力により、定着ユニットの種類を識別し、その識別結果に対応して制御部を設定するので、プラットフォーム構想の設計を実現することができる。また定着ユニットにその種類を識別するための専用の部品および画像形成装置本体へ知らせるための専用の部品を備える必要がなく、コストアップしない。
特に、本発明は、前記装着体が定着ユニットである場合に、高速印字で長寿命の定着ユニットと、低速印字で、短寿命の定着ユニットをプラットフォーム構想の下に使用することができる。
【0014】
また本発明の画像形成装置は、前記識別部が前記検出部または定着温度検出部の検出出力と閾値を比較する電圧比較部であるので、定着ユニットの種類を容易に識別することができる。
また本発明の画像形成装置は、初期通電時、機内温度が所定温度以下の場合または通電オフから所定時間経過後、設定手段により制御部を設定するので、同じ設定条件により制御部を設定することができる。
【0015】
また本発明の画像形成装置は、定着ユニットのヒーターの通電時間と、当該定着ユニットに設定された通電時間とを比較する通電時間比較部を更に備え、前記通電時間比較部が画像形成装置本体に適合する定着ユニットか否か判定するので、高速印字画像形成装置に低速印字で短寿命の定着ユニットが装着された場合、または低速印字画像形成装置に高速印字で長寿命の定着ユニットが装着された場合のように、誤装着を検知することができる。
また本発明の画像形成装置は、前記通電時間比較部の比較結果により、画像形成装置本体に適合しない定着ユニットであると判定された場合、警告を発するので、誤装着をユーザに知らせることができる。
【0016】
また、前記ユニットが、温度検出センサの出力に含まれる当該センサの周囲温度による誤差を補正するために前記周囲温度に応じた信号を出力する補正用センサをさらに有し、前記識別部が、前記温度検出センサの出力と補正用センサの出力からユニットの種類を識別し、前記制御部が、温度検出センサの出力と補正用センサの出力とに基づいてヒーターへの通電を制御し、前記ユニットが、前記温度検出センサの周囲温度が所定範囲にあるときにその出力によってユニットの種類が識別可能であるようにその出力特性が種類ごとに異なる温度検出センサを有し、前記識別部は、補正用センサが前記所定範囲の周囲温度に対応する信号を出力するときにユニットの種類を識別するものであってもよい。
【0017】
このようにすれば、ユニットの種類を確実に識別することができる。前記温度検出センサは、画像形成装置に本来備えられ、加熱部の温度を検出して、検出した温度に応じて制御部がヒーターの通電を制御するために使用されているものである。従ってユニットの種類を識別するために専用の部品を必要とすることなく、コストアップを招来しない。
また、前記所定範囲の周囲温度は、前記ヒーターへの通電によって上昇する前記定着ローラの周囲温度が所定温度以下の範囲であってもよい。
【0018】
さらにまた、前記温度検出センサが非接触型の温度センサであってもよく、さらに、前記温度検出センサが、前記補正用センサと共にユニット化された非接触型の温度センサであってもよい。
【0019】
定着部の温度を示す検出信号は、制御温度付近の感度を高めることが好ましい。このため、制御目標温度が異なる定着ユニット間では、それぞれの制御目標温度に応じて互いに出力特性の異なるセンサが用いられる。したがって、定着部の温度範囲が所定の範囲、たとえば室温の範囲にあるときの検出信号が定着ユニットの種類によって異なることを利用して定着ユニットの種類を識別することが可能である。しかし、検出信号は、定着部の温度によっても変わる。従って、識別時には、定着部の温度を考慮する必要がある。この発明によれば、補正信号によって間接的に定着部の温度が所定の範囲にあるか否かを判断し、その判断結果に応じて識別の可否を決定することによって正確な識別を行うことができる。
【0020】
このような手法は、定着ユニットに限られるものではなく、前記温度検出センサ、補正用センサ、識別部を備えるユニットに適用可能である。
【0021】
また、前記対象物が、第1および第2の定着ローラからなる前記一対の定着ローラであり、前記ヒーターが第1の定着ローラを加熱する第1のヒーターと第2の定着ローラを加熱する第2のヒーターからなり、前記温度検出センサが、第1の定着ローラの温度を検出する第1の温度検出センサと第2の定着ローラの温度を検出する第2の温度検出センサからなり、前記識別部が、装着された定着ユニットの種類を第1の温度検出センサの出力から識別し、前記制御部が、識別されたユニットの種類に応じて第1の温度検出センサの出力に基づき第1のヒーターによる加熱を制御し、第2の温度検出センサの出力に基づき第2のヒーターによる加熱を制御してもよい。
【0022】
あるいは、前記定着ユニットが、加熱用の第1のヒーターならびに温度検出用の第1の温度検出センサを有する第1の定着ローラと、加熱用の第2のヒーターを選択的に有し、かつ、温度検知用の第2の温度検出センサを選択的に有する第2の定着ローラとを含んでなり、前記識別部が、装着された定着ユニットが第2の温度検出センサを有するか否かによってユニットの種類を識別し、前記制御部は、定着ユニットが第2の温度検出センサを有さないと識別された場合に第1の温度検出センサを用いて第1のヒーターによる加熱を制御し、第2のヒーターによる加熱を行わないように制御してもよい。
【0023】
さらに、前記制御部が、各種類の定着ユニットについて各定着ローラを加熱する目標温度を予め格納するデータテーブルを有し、前記データテーブルに特定のデータが格納された定着ローラについてはその定着ローラの加熱を行わないように制御してもよい。
【0024】
また、指示に応じて前記温度検出センサにより検出された定着ローラの温度を表示する表示部をさらに備え、前記制御部が、前記データテーブルに特定のデータが格納された定着ローラについてはその定着ローラの温度表示を行わないように制御してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、画像形成装置本体に装着される装着体の動作を検出する検出部の出力によって装着体を識別し、その識別結果に対応して制御部を設定する画像形成装置である。特に本発明は画像形成装置の種類、機能、オプションに応じて変更される装着体に利用することができる。ここで画像形成装置は、コピー機能、スキャナ機能および必要に応じて、FAX機能、画像処理機能を備えるいわゆるデジタル型複合機である。あるいはコピー専用機、プリンタ専用機あるいはFAX専用機であってもよい。また装着体は定着ユニット、感光体、給紙機構、トナーボックス、自動紙送り機構などがある。
【0026】
以下の実施例1および2は、画像形成装置に高速印字で長寿命の第1の定着ユニットと、低速印字で短寿命の第2の定着ユニットを装着する場合について説明する。以下の説明において、第1の定着ユニットおよび第2の定着ユニットが請求項に言う複数の装着体に相当し、サーミスタが請求項に言う検出部あるいは定着温度検出部に相当し、制御部(CPU)が請求項に言う制御部に相当する。
(実施例1)
図1は、本発明の概略構成の説明図であり、定着ユニット1と、画像形成装置本体に備えられた制御基板2を示す。画像形成装置本体はその他の構成部分を備えるが、図1では省略している。ここで定着ユニット1aはpタイプサーミスタを備え、定着ユニット1bはwタイプサーミスタを備える。定着ユニット1aが高速印字長寿命タイプ、定着ユニット1bが低速印字短寿命タイプである。
【0027】
定着ユニット1aは、内部にヒーターを有するヒートローラ11と、このヒートローラ11に対向して用紙を挟みつける加圧ローラ12を備える。ヒートローラ11の近傍にヒートローラ11の温度を検出するpタイプサーミスタ13pが設置される。ヒートローラ11および加圧ローラ12は、請求項にいう定着ローラである。定着ユニット1aが画像形成装置本体に装着されると、サーミスタ13pの出力は、インターフェース回路14を介して画像形成装置本体の制御基板2に出力される。制御基板2はA/D変換部21を搭載し、上記インターフェース回路14の出力を受け、デジタル信号に変換する。このデジタル信号は制御部(CPU)22に出力され、制御部22は制御信号を出力する。
この制御信号は、サーミスタの出力に応じてヒートローラ11が所定温度になるようヒーターの通電時間を制御する信号である。制御信号はヒーター制御部23を介して定着ユニット1のヒーターに供給され、ヒーターの通電時間を制御する。
定着ユニット1bもヒートローラ11および加圧ローラ12を備え、wタイプサーミスタ13wがヒートローラ11の温度を検出する。定着ユニット1bが画像形成装置本体に装着されると、wタイプサーミスタ13wの出力はインターフェース回路14を介し、図1に点線の接続線で示すように、制御基板2に出力される。この定着ユニット1bは、ヒーター制御部を備えないタイプであるので、制御部22はサーミスタ13wの出力によりヒートローラ11の温度を監視するだけである。
【0028】
上記サーミスタ13pおよびサーミスタ13wと、インターフェース回路14は、図2に示すように接続される。ヒートローラ11の近傍に取り付けられたサーミスタ13pまたはサーミスタ13wは一端がアースに接続され、他端は電源端子31とアース間に直列接続した抵抗R1とR2の接続点32に接続される。接続点32はさらに図1のA/D変換部21の入力に接続される。
このサーミスタ13pおよびサーミスタ13wの温度特性は、図3に示す通りである。図3(a)に示す表は、pタイプサーミスタ13pの温度と、抵抗値と、接続点32の電圧の関係を示す。この図3(a)の関係をグラフに示したものが、図4の特性p2である。なお、pタイプサーミスタ13pを備えるインターフェース回路14の抵抗R1は15kΩ、抵抗R2は100kΩ、電源電圧は3.3Vである。
同様に、図3(b)に示す表は、wタイプサーミスタの温度と、抵抗値と、接続点32の電圧の関係を示す。この図3(b)の関係をグラフに示したものが、図4の特性w1である。なお、wタイプサーミスタを備えるインターフェース回路14の抵抗R1は2.5kΩ、抵抗R2は100kΩ、電源電圧は3.3Vである。
図4に示すように、画像形成装置の機内温度が室温を含む0〜50℃の範囲で、接続点電圧が3Vより高い場合は、wタイプサーミスタを備える低速印字で短寿命タイプの定着ユニット1bであると、識別することができる。また接続点電圧が3Vより低い場合は、pタイプサーミスタを備える高速印字で長寿命タイプの定着ユニット1aであると、識別することができる。
【0029】
以上のように、高速印字で長寿命の定着ユニット1aと、低速印字で短寿命の定着ユニット1bが存在し、製造時あるいはメンテナンス時に、この2つの定着ユニットのいずれかが画像形成装置本体に装着される。本発明は定着ユニット1aと定着ユニット2bに、画像形成装置本体に知らせるための信号端子や凹凸を必要としない。また画像形成装置本体にも定着ユニットの種類を識別するための信号端子や凹凸を必要としない。
【0030】
本発明は、このように定着ユニット及び画像形成装置本体に、その種類を表示するための信号端子や凹凸を必要とせずに、定着ユニットに備えられたサーミスタを使用して定着ユニットの種類を検出する。即ち、定着ユニットが画像形成装置本体に装着され、定着ユニットが動作を開始すると、サーミスタから出力が得られる。この検出出力により、定着ユニット1aではヒーターの通電時間を制御する。定着ユニット1bではサーミスタの検
出出力によりヒートローラ11の温度を監視する。
ここで制御部22は所定の閾値を保有しており、サーミスタからの出力電圧がこの閾値以上か、または以下かによって、定着ユニットの種類を識別する。つまりこの実施例1では閾値を3Vに設定すると、図4に示すように、機内温度が0〜50℃のとき、3V以上の電圧が得られた場合は、wタイプサーミスタであると判定し、低速印字で短寿命の定着ユニット1bが装着されたことを識別する。一方、3V以下の電圧が得られた場合は、pタイプサーミスタであると判定し、高速印字で長寿命の定着ユニット1aが装着されたことを識別する。
【0031】
前記識別結果が定着ユニット1aである場合は、制御部22は高速印字で長寿命の定着制御を行うようヒーターの通電時間制御パラメータを設定する。この設定により、制御部22はサーミスタの検出出力に応じて、高速印字で長寿命の定着ユニット1aとして、ヒーターの通電時間の制御するため制御信号をヒーター制御部23を介して定着ユニットのヒーターに供給する。
また定着ユニット1bの装着を識別した場合は、制御部22は、低速印字で短寿命の定着ユニット1bに対応した定着制御を行うようヒートローラ11の温度を監視するためのパラメータを設定する。これにより制御部22は低速印字で短寿命の定着ユニット1bとして、サーミスタ13wの検出出力を監視する。
このようにして検出部の検出出力により制御部を自動的に定着ユニット1a用または定着ユニット1b用として設定する。
【0032】
(実施例2)
実施例2は図5に示すように、pタイプサーミスタ13pを備え、インターフェース回路がない定着ユニット1c、またはwタイプサーミスタ13wを備え、第1インターフェース回路15を備える定着ユニット1dを、画像形成装置本体に装着する画像形成装置である。この実施例2では、定着ユニット1cが高速印字で、長寿命タイプであり、定着ユニット1dが低速印字で、短寿命タイプである。この実施例2では画像形成装置本体の制御基板2aに第2インターフェース回路24を有する。
【0033】
第1インターフェース回路15と、第2インターフェース回路24の接続回路は図6に示すとおりである。図6において、サーミスタ13wはヒートローラ11の近傍に取り付けられ、ヒートローラ11の温度を検出するセンサである。サーミスタ13wは、第1インターフェース回路15を構成する抵抗R21に接続される。第1インターフェース回路15の出力は、第2インターフェース回路24を構成する抵抗R1と抵抗R2の接続点33に接続される。第2インターフェース回路24は、抵抗R1と抵抗R2を直列接続し、その一端が電源に接続され、他端がアースに接続される。接続点33は、図5のA/D変換部21に接続される。
定着ユニット1cは、第1インターフェース回路がないので、pタイプサーミスタ13pが直接第2インターフェース回路24の接続点33に接続される。
【0034】
定着ユニット1cに備えられたpタイプサーミスタ13pは、第2インターフェース回路24の抵抗R1が5kΩ、抵抗R2が100kΩで、電圧が3.3Vの場合、温度変化に対するpタイプサーミスタ13pの抵抗値変化と、接続点33の電圧変化は図7(a)の表の通りである。
また定着ユニット1dに備えられたwタイプサーミスタ13wは、抵抗R21が43kΩ、抵抗R1が5kΩ、抵抗R2が30kΩで、電圧が3.3Vの場合、温度変化に対するwタイプサーミスタ13wの抵抗値変化と、接続点33の電圧変化は図7(a)の表の通りである。
図7(a)の表と、図7(b)の表の変化の様子を図8のグラフに曲線p2とw1で示す。この実施例2の場合も機内温度が0〜50℃の場合、制御部22は閾値を3Vに設定すると、サーミスタ13の出力が閾値以上か、以下かにより、高速印字で、長寿命の定着ユニット1cと、低速印字で、短寿命の定着ユニット1dを識別できる。
図7、図8と、実施例1の図3、図4が異なる点は、実施例1では閾値(3V)以上の場合、wタイプサーミスタ13wであるのに対して、実施例2ではpタイプサーミスタ13pである。同様に閾値以下の場合、実施例1ではpタイプサーミスタ13pであるのに対して、実施例2ではwタイプサーミスタ13wである。
【0035】
上記識別結果が定着ユニット1cである場合は、制御部22は高速印字で長寿命の定着制御を行うようヒーターの通電時間制御パラメータを設定する。この設定により、制御部22はサーミスタ13pの検出出力に応じて、高速印字で長寿命の定着ユニット1aとして、ヒーターの通電時間の制御するため制御信号をヒーター制御部23を介して定着ユニットのヒーターに供給する。
また定着ユニット1dの装着を識別した場合は、制御部22は、低速印字で短寿命の定着ユニット1bに対応した定着制御を行うようヒートローラ11の温度を監視するためのパラメータを設定する。これにより制御部22は低速印字で短寿命の定着ユニット1bとして、サーミスタ13wの検出出力を監視する。
このようにして検出部の検出出力により制御部を自動的に定着ユニット1cまたは定着ユニット1d用として設定する。
【0036】
(フローチャート)
次に実施例1および実施例2において、定着ユニットを識別するフローチャートを図9により説明する。最初のステップS1は、サーミスタによる定着ユニットの識別を実施するか否かである。識別を実施する場合は次のステップS2に進む。識別を実施しない場合は、このフローチャートは終りである。このサーミスタによる定着ユニットの識別を実施するか否かの詳細は、図10により説明する。
ステップS2では、サーミスタの抵抗値変化を電圧変化により検出する。次にステップS3では、その検出電圧が閾値電圧(3V)以上かどうか判定する。
実施例1の場合は、図4に示すように閾値電圧以上であれば、wタイプサーミスタであることを検知し、画像形成装置本体に装着された定着ユニットは低速印字で長寿命の定着ユニット1aであると識別する。この識別結果に従い、ステップS4で、制御部22は定着ユニット1aに対応した定着制御を設定する。また閾値電圧以下であれば、pタイプサーミスタであることを検知し、画像形成装置本体の装着された定着ユニットは高速印字で短寿命の定着ユニット1bであると識別する。この識別結果に従い、ステップS5で、制御部22は定着ユニット1bに対応した定着制御を設定する。
実施例2の場合は、上記ステップS3において、閾値電圧以下どうか判定され、閾値電圧以下であれば、wタイプサーミスタであることを検知する。また閾値電圧以上であれば、pタイプサーミスタであることを検知する。これ以降のステップS4、S5は実施例1と同様である。
【0037】
以上のように、定着ユニットに備えられたサーミスタの出力を使用して定着ユニットの種類を識別することができ、そしてその識別結果に応じて制御部の定着制御を設定するので、プラットフォーム構想の設計を実現することができる。また定着ユニットが画像形成装置本体に装着されたとき、定着ユニットの種類を識別して、制御部を自動的に設定するので、製造時またはメンテナンス時の設定作業をなくすことができる。
【0038】
前記ステップS1において、サーミスタによる定着ユニットの識別を実施するか否か決めるが、その詳細は図10の通りである。初めのステップS11は、定着ユニットが初期装着か否か判定するステップである。この初期装着の判定手段および方法は図11により後述する。初期装着であれば、前記ステップS2に進む。もし初期装着でない場合は、ステップS12に進み、機内温度が所定温度以下か否か判定する。機内温度は制御部22を搭載する制御基板2に搭載されたサーミスタにより検出する。機内温度が所定温度(例えば、25℃)、つまり室温以下である場合、前記ステップS2に進む。
初期装着でなく、機内温度が所定温度以上の場合とは、例えば画像形成装置が稼動状態の場合である。稼動状態の直後にメンテナンスするとき、修理するときに、新たに定着ユニットを交換した場合、その定着ユニットのタイプを識別するために本発明が使用される。
【0039】
前記ステップS12において、機内温度が所定温度以上の場合はステップS13で、ヒーターへの通電オフから所定時間以上経過したか判定する。所定時間はヒーターへの通電オフからヒートローラ11が所定温度以下になると予想される時間であり、例えば1時間程度である。所定時間に達したら、前記ステップS2に進む。
ここでは所定時間の経過により、機内温度が所定温度以下になる温度を想定しているが、機内温度をサーミスタによって検出し、その検出出力によって制御してもよい。
【0040】
図11は、前記ステップS11で、定着ユニットが新品か、旧品かを判定する手段および方法を説明する図である。定着ユニットは、新品判定用ヒューズ41を内蔵する。新品判定用ヒューズ41は、例えば定着ユニット1の回路基板に搭載し、制御基板2と接続するヒューズ端子41a、41bを備える。制御基板2は新旧品判別回路42を備え、上記ヒューズ端子41a、41bと接続するための新旧品判別端子42a、42bを有する。新旧判別回路42は制御部22により新品判定用ヒューズ41を溶断する電源電圧(24V)または新品判定用ヒューズ41を溶断しない電圧Vccを印加するよう制御される。
画像形成装置に定着ユニットを装着すると、ヒューズ端子41a、41bと新旧品判別端子42a、42bが接続される。この状態で、画像形成装置の電源スイッチをオンにすると、制御部22は新旧判別回路42を介して新品判定用ヒューズ41に電圧Vccを印加する。この電圧印加によって、制御部22が新旧判別端子42a、42bに電圧Vccを検出した場合は、これを新品の定着ユニットと判定する。そして、この判定後、制御部22は新旧判別回路42を介して電源電圧(24V)を印加し、新品判定用ヒューズ41を溶断する。
上記画像形成装置の電源スイッチをオンにして、新品判定用ヒューズ41に新旧判別回路42を介して電圧Vccを印加したとき, 制御部22が新旧判別端子42a、42bに電圧Vccを検出できない場合は、定着ユニットを旧品と判定する。
以上のように、本発明は初期装着時、機内温度が所定温度以下の場合または通電オフから所定時間経過後のように、定着ユニットの検出タイミングを一定にし、検出条件を同じにするので、誤検出しない。
【0041】
(誤装着の判定)
図9のフローチャートにより、サーミスタがpタイプか、wタイプかを検知し、その検知により、定着ユニットの種類を識別し、その種類の定着ユニットに合った定着制御が行われるように制御部を設定する。しかしながら、低速印字画像形成装置に、高速印字で長寿命の定着ユニットが装着された場合、または高速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着された場合のように、誤装着を次のようにして判定する。
図12(a)は低速印字画像形成装置に、高速印字で長寿命の定着ユニットが装着された場合に、これを判定するための説明図である。図12(a)において、低速印字画像形成装置は待機状態のときヒートローラ11を150℃に制御するよう設定されているので、特性w1から分かるようにwタイプサーミスタの出力電圧が1.8Vになるよう制御する。しかしながら、ここでは低速印字画像形成装置に、高速印字で長寿命の定着ユニットが装着されているために、pタイプサーミスタによる制御が行われる。従って図12(a)の特性p2に示すように、実際には120℃にしかならない。この場合、定着ユニットのヒーターの通電時間が短くなっているので、通電時間が短いことを検知すると、低速印字画像形成装置に、高速印字で長寿命の定着ユニットが装着されたことを判定することができる。
【0042】
図12(b)は逆に、高速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着されたことを判定する説明図である。図12(b)において、画像形成装置は待機状態のときヒートローラ11を150℃に制御するよう設定されているので、特性p2から分かるようにpタイプサーミスタの出力電圧が1.3Vになるよう制御する。しかしながら、ここでは高速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着されているために、wタイプサーミスタによる制御が行われる。従って図12(a)の特性w1に示すように、実際には175℃くらいまで上がる。この場合、定着ユニットのヒーターの通電時間が長くなっているので、通電時間が長いことを検知すると、高速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着されたことを判定することができる。
【0043】
図12に説明したことを基にして、図13(a)のフローチャートにより、低速印字画像形成装置に高速印字で、長寿命の定着ユニットが装着された場合を判定する。図13(a)のステップS21で、ヒータランプのオン時間を計測する。このオン時間計測は図14により後述する。次にステップS22では、オン時間Aは当該定着ユニットに設定された通電時間B1より長いか否か判定し、短い場合は装着された定着ユニットが適合していないと判定し、次のステップS23で、異常表示するとともに画像形成装置の動作を停止し、このフローを終了する。異常表示は、例えば「定着ユニットを低速機用に交換してください」である。ステップS22でオン時間Aが当該定着ユニットに設定された通電時間B1より長い場合、低速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着された場合であり、正しい装着であるので、そのまま終了する。
図13(b)は、高速印字画像形成装置に低速印字で、短寿命の定着ユニットが装着された場合を判定するフローチャートである。図13(a)との相違点は、オン時間Aが当該定着ユニットに設定された通電時間B1より長いか否か判定し、長い場合は装着された定着ユニットが適合していないと判定する点である。その他は同じである。
【0044】
図14は、ヒータランプのオン時間を計測するフローチャートである。最初のステップS41は、カウンタAをリセットして、その計数値を0にする。次に画像形成装置の電源投入からヒータランプがオン状態になるまでの時間0.1秒経過するまで待つ(ステップ
S42)。0.1秒が経過すると、次のステップS43に進み、ヒータランプがオンにな
っているか確認する。ヒータランプがオンになっていれば、次のステップS44でカウンタAをカウントアップする。ヒータランプがオンになっていない場合はステップS44の処理を行わずに、ステップS45に進む。ステップS44のカウントアップは10秒間続けられ、10秒経過すると、このフローは終了する。10秒間はカウントAが適当な値をカウントするために設定された時間である。このカウントによりオン時間Aを計測する。もしこの計測中に画像形成装置が印字動作を開始したらこの計測は中止し、待機状態になるのを待つ。
【0045】
≪変形例≫
実施例1、実施例2は、装着体が定着ユニットであり、定着ユニットの種類をヒートローラ11の温度検出用サーミスタの検出出力により識別するものであるが、定着ユニットの種類を画像形成装置本体側から識別するための他の出力信号がある場合は、その出力信号に代えてもよい。実施例は2種類の定着ユニットを識別する場合を説明したが、2種類以上であってもよい。
【0046】
(実施例3)
以下の実施例においては、画像形成装置に高速印字で長寿命の第1の定着ユニットと、低速印字で短寿命の第2の定着ユニットの2種類を有する定着ユニットのうち、一方のユニットが画像形成装置本体に装着される場合を例にして説明する。以下の説明において、第1の定着ユニットおよび第2の定着ユニットが請求項に言う複数のユニットに相当し、CPUが請求項に言う制御部および識別部に対応する。
【0047】
≪温度検出センサおよび制御部の構成≫
図15は、この実施例の概略構成の説明図であり、定着ユニット1と、画像形成装置本体に備えられた制御基板2を示す図である。制御基板2は、制御部および識別部としての機能を実現するCPU22、CPUが実行するプログラムやデータテーブルを記憶するROMおよび/または不揮発性メモリ、ワークエリアを提供するRAM、アナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換器21、外部からの信号が入力される入力回路、装置を制御する信号などを出力し各負荷を駆動するための出力回路を有する。画像形成装置本体はその他の構成部分を備えるが、図15では省略している。
【0048】
ここで定着ユニット1aは、その出力特性がpタイプの温度検出センサ13pおよび補正用センサ17aを備え、定着ユニット1bはその出力特性がpタイプと異なるwタイプの温度検出センサ13wおよび補正用センサ17bを備える。補正用センサ17aおよび17bの出力特性は、いずれもpタイプである。pタイプの温度検出センサ13pが装着された定着ユニット1aは目標温度が高い高速印字長寿命タイプのユニットであり、wタイプの温度検出センサ13wが装着された定着ユニット1bは目標温度が低い低速印字短寿命タイプのユニットである。
【0049】
定着ユニット1aは、内部にヒーター19を有するヒートローラ11と、このヒートローラ11に対向して配置され、ヒートローラ11との接触部(ニップ部)を通過する用紙をヒートローラ11に押圧する加圧ローラ12を備える。ヒートローラ11の近傍にヒートローラ11の温度を検出するpタイプの温度検出センサ13pが設置される。さらに、温度検出センサ13pの近傍に、周囲の温度を検出する補正用センサ17aが配置される。
【0050】
定着ユニット1aが画像形成装置本体に装着されると、温度検出センサ13pからの検出信号31は、インターフェース回路14を介して画像形成装置本体の制御基板2へ入力される。また、補正用センサ17aからの補正信号33は、インターフェース回路14を介して画像形成装置本体の制御基板2へ入力される。制御基板2はA/D変換部21を搭載し、上記インターフェース回路14からの検出信号31および補正信号33を受け、それぞれの信号を周期的にサンプリングして、各信号の大きさに対応するデジタルデータに変換する。このデジタルデータは必要に応じてCPU22に参照され、CPU22が実行する処理に用いられる。
【0051】
CPU22は、周期的に入力される前記デジタルデータに基づいて、前記検出信号と前記補正信号に対応するヒートローラ11の表面温度を取得する。この場合、識別部25は、後述する手法によって温度検出センサがpタイプのセンサ13pであることを認識し、その出力特性に応じた変換を行ってヒートローラ11の表面温度を取得する。そして、取得された温度を目標とする制御温度と比較して、ヒーター19への通電を制御するためのヒーター制御信号35を出力する。即ち、このヒーター制御信号35は、温度検出センサ13pからの検出信号31と補正用センサ17aからの補正信号33とに基づいて、ヒートローラ11の表面を目標制御温度にするようにヒーター19の通電時間を制御する信号である。
【0052】
前記ヒーター制御信号35はヒーター19の通電をオン/オフするヒーター制御部23へ入力される。ヒーター制御部23は、入力されたヒーター制御信号35に従ってヒートローラ11内のヒーター19の通電をオン/オフし、ヒーター19の通電時間を制御する。
一方、定着ユニット1bもヒートローラ11および加圧ローラ12を備えている。そして、wタイプの温度検出センサ13wによってヒートローラ11の表面温度を検出する。
【0053】
定着ユニット1aに代えて1bが画像形成装置本体に装着された場合について説明すると、wタイプセンサ13wからの検出信号37と、補正用センサ17bからの補正信号39が、インターフェース回路14を介して、図15に点線の接続線で示すように制御基板2へ入力される。入力された検出信号37と補正信号39とは、A/D変換部21によってそれぞれ周期的にサンプリングされたデジタルデータに変換されてCPU22の処理に用いるように提供される。
【0054】
CPU22は、周期的に入力される前記デジタルデータに基づいて、前記検出信号と前記補正信号に対応するヒートローラ11の表面温度を取得する。この場合、CPU22は、後述する手法によって温度検出センサがwタイプのセンサ13wであることを認識し、その出力特性に応じた変換を行ってヒートローラ11の表面温度を取得する。そして、取得された温度を目標とする制御温度と比較して、ヒーター19への通電を制御するためのヒーター制御信号35を出力する。
【0055】
≪非接触サーミスタの構成と特性≫
図16は、この実施例における温度検出センサおよび補正用センサの一例としての非接触サーミスタの構造を模式的に示す説明図である。図16に示すように、非接触サーミスタユニット41は、その内部に温度検出センサとしての温度検出サーミスタ13と補正用センサとしての補正用サーミスタ17とが配置されている。
【0056】
非接触サーミスタユニット41は、測定対象であるヒートローラ11の表面と所定の間隔を保ち、ケース表面の窓部43がヒートローラ11に対向するように配置される。検出対象であるヒートローラ11とサーミスタユニット41に温度差があると、温度差に応じた赤外線がヒートローラ11の表面から放射され、窓部43を透過してサーミスタユニット41内の赤外線吸収フィルム45に到達する。赤外線吸収フィルム45は、到達した赤外線のエネルギーを熱に変換する。変換された熱によって赤外線吸収フィルム45の温度が上昇する。窓部43と反対側の赤外線フィルム45面上には温度検出サーミスタ13が配置され、赤外線フィルム45の温度を検出する。また、補正用サーミスタ17は、サーミスタユニット41自身の温度、即ち周囲温度を検出する。
【0057】
図17は、サーミスタユニット41の温度検出サーミスタ13と補正用サーミスタ17とを含むブリッジ回路に電圧を印加して検出温度に応じた電圧を得る温度検出回路を示す回路図である。図17に示すように、温度検出サーミスタ13の一端が接地され、他端が、インターフェース回路14内のプルアップ抵抗R1を介して5Vの定電圧電源51に接続されている。さらに、他端には、検出信号31をA/D変換器21へ入力するための信号線が接続されている。さらにまた、他端には抵抗R2の一端が接続され、R2の他端は接地されており温度検出サーミスタ13と並列接続の関係にある。
【0058】
また、図17において、補正用サーミスタ17の一端が接地され、他端がインターフェース回路14内のプルアップ抵抗R3を介して低電圧電源51に接続されている。さらにまた、他端には抵抗R4の一端が接続され、R4の他端は接地されており補正用サーミスタ17と並列接続の関係にある。さらに、他端には、補正信号33をA/D変換器21へ入力するための信号線が接続されている。
【0059】
また、図17において、温度検出サーミスタ13と補正用サーミスタ17の温度特性は、ともにpタイプである。このとき、定着部の目標の制御温度は180℃である。プルアップ抵抗R1とR3の抵抗値は、共に33kΩである。抵抗R2およびR4の抵抗値は、共に190kΩである。
【0060】
表1は、pタイプの温度検出サーミスタ13の温度特性、即ち各温度に対する抵抗値の特性と、検出信号31の電圧の一例を示す表である。補正用サーミスタ17もpタイプであり、その回路のプルアップ抵抗R3と並列抵抗R4とは、温度検出サーミスタ回路のプルアップ抵抗R1と並列抵抗R2とにそれぞれ等しいので、各温度に対する補正信号33の電圧は、表1に示す検出信号31の電圧に等しい。
【0061】
【表1】
【0062】
表2は、上述のサーミスタユニット41を用いた場合に、検出信号31と補正信号3
3との各電圧に対するヒートローラ11の表面温度を示す表である。表2に示すように、検出信号37と補正信号39の電圧からヒートローラ11の表面温度が決まる。従って、制御基板2上の図示しないROMに表2の内容をデータテーブルとして保持しておき、CPU22が当該テーブルを参照できるようにしておけば、CPU22は、検出信号37と補正信号39に対応するデジタルデータを取得して前記データテーブルを参照し、ヒートローラ11の表面温度を求めることができる。
【0063】
【表2】
【0064】
また、表3は、wタイプの温度検出サーミスタの温度特性の一例を示す表である。
【表3】
【0065】
表4は、wタイプのサーミスタユニット41における各検出信号37と補正信号39の電圧とに対するヒートローラ11の表面温度を示す表である。定着部の目標の制御温度は165℃である。
【0066】
【表4】
【0067】
温度検出サーミスタ13がpタイプか、wタイプかを識別できれば、CPU22は、識別結果に応じた、前記データテーブルを参照して各検出信号37と補正信号39との電圧からヒートローラ11の表面温度を求めることができる。
【0068】
≪サーミスタ特性の識別手法≫
前述のように画像形成装置の製造工程において、あるいは市場におけるメンテナンスにおいて新たな定着ユニットを画像形成装置に装着した場合、作業者は、識別ようの特別なモードで画像形成装置を動作させる。当該モード内において、CPU22は、定着部の温度制御を行う前に定着ユニットの種類を識別する。識別が終了したら、作業者は識別用のモードを解除する。その後の通常動作において、CPU22は、識別された種類に応じて定着部の温度制御を行う。
【0069】
前記モード中で、CPU22の行う処理の詳細は以下のようなものである。
図18は、pタイプの温度検出サーミスタ13pと、wタイプの温度検出サーミスタ13wの各温度に対する検出信号37の特性を示すグラフである。
【0070】
図18に示すように、定着部の温度が室温を含む43℃以下の範囲で、検出信号31の電圧が閾値電圧Vs(3.5V)以上の場合、CPU22は、定着ユニットに、pタイプサーミスタ13pが装着されていると判断することができる。従って、その定着ユニットは、高速印字で長寿命タイプのユニット1aであると識別できる。しかし、検出信号31の電圧が閾値電圧Vsより低い場合については、その定着ユニットに、wタイプサーミスタ13wが装着されていると一概に判断することはできない。定着部が既に通電されて温まった状態であり、その温度が43℃を超えている状態ではpタイプサーミスタ13が装着された定着ユニット1aからも、閾値電圧Vsより低い検出電圧が得られるからである。
【0071】
そこで、CPU22は、補正用サーミスタ17からの補正信号33を参照する。補正用サーミスタは、定着部の周囲の環境温度を測定するものであるから、定着部が既に通電され温まった状態にあれば、周囲の環境温度もある程度上昇している。従って、補正信号33について予め定着部に通電がされず冷えた状態にあると判断する環境温度の範囲、即ち補正信号39の範囲を定めておく。そして、CPU22は、補正信号が当該範囲にある場合にのみ定着ユニットの種類を識別する。
【0072】
図18で、Teで示す温度範囲が定着ユニットの種類を識別可能な補正信号33の温度範囲である。このようにすれば、定着部が冷えた状態にあるときに限って識別を行うことができるので、正確に定着部の種類を識別することができ、その識別結果に基づいて定着部の温度制御を行うことができる。
【0073】
なお、定着部が通電により温まってから、その周囲の温度が上昇するまでにはわずかな時間遅れがある。それを見込んで、補正信号に係る前記温度範囲Teの上限は、閾値電圧Vsよりも余裕を持たせて低く設定している。これによって、前記の時間遅れがあっても定着部が通電により温まっていることを正確に判断できるようにしている。
【0074】
識別を行う場合の多くは、新たに装着された定着ユニットは通電されておらず、冷えた状態にあると考えられる。しかし、たとえば、その定着ユニットが直前まで他の装置に装着されて通電されていた場合など、すでに定着装置が通電され定着部の温度が上昇している可能性もある。この実施例においては、識別の信頼性を向上させるために補正信号39を参照するが、その結果、補正信号が前述した所定の範囲になかったとき、CPU22は次のように処理を行う。まず、定着部の温度を識別できない状態である旨を画像形成装置の図示しない表示部に表示する。それに応じて、作業者は、手動で定着ユニットの種類を設定するか、あるいは定着ユニットが冷えるまで待った後に再度識別を行わせる。
【0075】
以上のように、高速印字で長寿命の定着ユニット1aと、低速印字で短寿命の定着ユニット1bが存在し、製造時あるいはメンテナンス時に、この2つの定着ユニットのいずれかが画像形成装置本体に装着される。この実施例は定着ユニット1aと定着ユニット2bに、画像形成装置本体に知らせるための信号端子や凹凸を必要としない。また画像形成装置本体にも定着ユニットの種類を識別するための信号端子や凹凸を必要としない。
【0076】
この実施例は、このように定着ユニット及び画像形成装置本体に、その種類を表示するための信号端子や凹凸を必要とせずに、定着ユニットに備えられたサーミスタを使用して定着ユニットの種類を正確に検出する。即ち、定着ユニットが画像形成装置本体に装着され、定着ユニットが動作を開始すると、温度検出用サーミスタ13から検出信号31が得られ、補正用サーミスタ17から補正信号33が得られる。これらの信号に基づいて、CPU22は、ヒーター19をオン/オフさせてヒートローラ11の表面温度を目標制御温度にすべく制御するのであるが、さらに検出31信号と補正信号33とを用いて定着ユニットの種類を識別するものである。
【0077】
前記識別結果が定着ユニット1aである場合は、CPU22はpタイプの温度検出サーミスタ13pに対応する温度特性データを参照する。また、高速印字で長寿命の定着制御を行うようヒーターの通電時間制御パラメータを設定する。この設定により、CPU22は温度検出サーミスタ13からの検出信号31に応じて、高速印字で長寿命の定着ユニット1aとして、ヒーターの通電時間の制御するため制御信号をヒーター制御部23を介して定着ユニットのヒーターに供給する。
【0078】
また定着ユニット1bの装着を識別した場合は、CPU22は、wタイプの温度検出サーミスタ13wに対応する温度特性データを参照する。また、低速印字で短寿命の定着ユニット1bに対応した定着制御を行うようヒートローラの温度を監視するためのパラメータを設定する。これによりCPU22は低速印字で短寿命の定着ユニット1bとして、温度検出サーミスタ13wの検出出力を監視する。
【0079】
このようにして温度検出センサの検出出力により制御部を自動的に定着ユニット1a用または定着ユニット1b用として設定する。
【0080】
≪フローチャート≫
図19は、この実施例において、CPU22が定着ユニットの種類を識別する処理の手順を示すフローチャートである。図9に沿ってCPU22の処理を説明する。識別用の特別なモードに切り換えられたら、CPU22は、装着された定着ユニットからの補正信号33を参照する(ステップS51)。そして、参照した補正信号33の電圧が、予め定められた範囲にあるか否かを判断する(ステップS53)。前記範囲は、図18のTeで示す温度範囲に対応した電圧であり、定着部が通電されず、冷えた状態であって定着部の温度が35℃以下の状態に対応して定められた範囲である。即ち、検出信号31によって定着ユニットの種類を識別できる状態にあることを示す範囲である。
【0081】
補正信号33の電圧が所定の範囲内にない場合、CPU22は、図示しない表示部にその旨を表示させ(ステップS55)、作業者に手動で種類を設定するか、あるいは定着ユニットが冷えるまで待つように報知する。
【0082】
一方、補正信号33の電圧が所定の範囲内にあった場合、CPU22は、検出信号31を参照し(ステップS57)、検出信号31の電圧を予め定められた閾値電圧Vsと比較する(ステップS59)。前記比較の結果、検出信号31の電圧が閾値電圧Vs以上の場合、CPU22は、装着された定着ユニットにpタイプのサーミスタが装着されていると判断する。従って、前記定着ユニットは、高速印字長寿命タイプのユニットであると識別する。一例では、このタイプの定着ユニットは、目標の制御温度が180℃であり、CPU22は、前記目標制御温度に対応したヒーター19への通電制御を行う(ステップS63)。
【0083】
一方、前記ステップS9で、検出信号31の電圧が閾値電圧Vs未満の場合、CPU22は、装着された定着ユニットにwタイプのサーミスタが装着されていると判断する。従って、前記定着ユニットは、低速印字短寿命タイプのユニットであると識別する。一例では、このタイプの定着ユニットは、目標の制御温度が165℃であり、CPU22は、前記目標制御温度に対応したヒーター19への通電制御を行う(ステップS61)。
【0084】
以上のように、定着ユニットに備えられたサーミスタの出力を使用して定着ユニットの種類を識別することができ、そしてその識別結果に応じて制御部の定着制御を設定することができる。また定着ユニットが画像形成装置本体に装着されたとき、定着ユニットの種類を識別して、制御部を自動的に設定するので、製造時またはメンテナンス時の設定作業を効率化することができる。
【0085】
≪変形例≫
前述の実施例3は、対象のユニットが定着ユニットであり、定着ユニットの種類をヒートローラ11の温度検出用サーミスタの検出出力により識別するものであるが、この発明は、定着ユニットに限定されない。定着ユニット以外であっても、種類に応じて特性の異なる温度検出用センサと種類にかかわらず特性が同じ補正用センサが備えられたユニットに適用可能である。
【0086】
(実施例4)
図1の定着ユニットは、ヒートローラ11のみにヒーターが内蔵され、かつサーミスタ13w(あるいは13p)が設けられたものであるが、この実施例においては、ヒートローラ11と加圧ローラ12とにそれぞれヒーターが内蔵され、かつサーミスタ13w、61がそれぞれに設けられた例を示す。図20は、この実施例に係る定着ユニットの概略構成の説明図である。図20に示すように、定着ユニット1(w1)のヒートローラ11には、ヒーター19(HL1)が内蔵され、サーミスタ13wがその表面に当接してヒートローラ11の温度を検出している。また、当該ユニットの加圧ローラ12には、ヒーター63(HL2)が内蔵され、サーミスタ61がその表面に当接して加圧ローラ12の温度を検出している。
【0087】
ヒーター制御部23は、ヒーター19とヒーター63への通電を独立して制御することができる。前記通電制御は、CPU22の指示に基づいて行われる。
CPU22は、サーミスタ13wからの信号AD1に基づいてヒートローラ11の表面温度を得、得られた表面温度に基づいてヒーター制御部23を介しヒーター19の通電時間を制御する。また、CPU22は、サーミスタ61からの信号AD2に基づいて加圧ローラ12の表面温度を得、得られた表面温度に基づいてヒーター制御部23を介しヒーター63の通電時間を制御する。
【0088】
また、図20で、本体制御基板2は、バックアップメモリ65を有する。バックアップメモリ65には、温度検出センサの信号から温度を得るためのデータが予め格納されたデータテーブルが格納されている。さらに、各種類の定着ユニットに対する、目標の制御温度が予め格納されている。図23は、バックアップメモリ65に格納された目標制御温度の一例を示す説明図である。図23に示すように、定着UN1に対して、ヒートローラ11と加圧ローラ12とに対するそれぞれの目標制御温度が格納されている。一方、定着UN2に対しては、ヒートローラ11に対する目標制御温度のみが格納されている。加圧ローラ12の目標制御温度に対応する格納エリアには予め定められた所定の値、例えば0xffが格納されている。この所定の値は、加圧ローラ12の温度検知が行われないことを示すものである。
【0089】
また、画像形成装置は、操作パネル表示部67を有している。操作パネル表示部67は、請求項にいう表示部に相当する。操作パネル表示部67には、ユーザあるいはサービスエンジニアの指示に応じて、検出された定着ユニットの温度が表示される。表示される温度は、CPU22がサーミスタ13wあるいは61からの信号を温度に変換して得られるものである。CPU22は、サーミスタ13wあるいは61からの信号を温度に変換する際に、バックアップメモリ65に格納されたデータテーブルを参照する。図24は、操作パネル表示部67に表示されるデータの内容の一例を示す説明図である。さらに、操作パネル表示部は、操作者が画像形成装置に対する指示を入力する入力手段を有している。
【0090】
定着ユニット2(p2)は、定着ユニット1(w1)と種類の異なるユニットである。定着ユニットUN2は、図1の定着ユニット1bに対応する。即ち、ヒートローラ11のみにヒーターが内蔵され、ヒートローラ11の表面にwタイプのサーミスタ13pが当接している。加圧ローラ12は、ヒーターを内蔵していない。また、その表面にサーミスタが設けられていない。これは、定着UN2では、加圧ローラ12にヒーターおよびサーミスタが設けられていないことに対応している。
【0091】
CPU22は、装着された定着ユニットがUN1か、UN2かを次のように識別する。第1の識別方法は、ヒートローラ11の温度を検出するサーミスタの特性の違いに基づいて定着ユニットの種類を識別するものである。その詳細は、実施例1に述べたとおりである。
【0092】
第2の識別方法は、加圧ローラ12の温度を検知するサーミスタの有無によって定着ユニットの種類を識別するものである。画像形成装置に定着ユニット2(p2)が装着された場合、信号AD2の先にサーミスタがないため、信号AD2の入力電圧は、インターフェース回路14の抵抗R1、R2の分圧比で決まる(図2参照)。一方、定着ユニット1(w1)が装着された場合、信号AD2の電圧は、インターフェース回路14の抵抗R1、R2とサーミスタ61との分圧比で決まる。したがって、CPU22は、信号AD2の電圧の相違を判断し、装着された定着ユニットがUN1かUN2かを識別することができる。
【0093】
図21は、CPU22が実行する前述の温度制御の制御手順を示すフローチャートである。図21に示すように、CPU22は、電源投入後、装着された定着ユニットの種類がUN1か、UN2かを判断する(ステップS61)。図21では、ヒートローラ11に当接するサーミスタの特性の違いに基づいて、定着ユニットの種類を識別しているが、前述のように加圧ローラ12に当接するサーミスタの有無に基づいて識別してもよい。識別の結果、定着UN1が装着されていると判断した場合、CPU22は、信号AD1に基づいてヒートローラ11の温度を得、ヒーター19(HL1)の通電を制御する(ステップS63)。このとき、サーミスタはwタイプであるとして温度を得る。また、信号AD2に基づいて加圧ローラ12の温度を得、ヒーター61(HL2)の通電を制御する(ステップS65)。
【0094】
一方、定着UN2が装着されていると判断した場合、CPU22は、信号AD1に基づいてヒートローラ11の温度を得、ヒーター19(HL1)の通電を制御する(ステップS67)。このとき、サーミスタはpタイプであるとして温度を得る。ヒーター61(HL2)への通電は行わない。これは、図23に示すデータテーブルで、定着UN2の加圧ローラ12の目標制御温度の格納エリアに所定の値(0xff)が格納されているからである。
【0095】
また、図22は、CPU22が実行する温度表示の制御手順を示すフローチャートである。図21に示すように、CPU22は、温度表示の要求を受けたとき、装着された定着ユニットの識別結果を参照する(ステップS71)。その結果、定着UN1が装着されている場合、CPU22は、信号AD1に基づいて得られたヒートローラ11の温度と信号AD2に基づいて得られた加圧ローラ12の温度とを操作パネル表示部67に表示させる(ステップS73、S75)。
【0096】
一方、定着UN2が装着されている場合、CPU22は、信号AD1に基づいて得られたヒートローラ11の温度を操作パネル表示部67に表示させる(ステップS77)。加圧ローラ12の温度は表示しない。これは、図23のデータテーブルで、定着UN2の加圧ローラ12の目標制御温度の格納エリアに所定の値(0xff)が格納されているからである。
【0097】
図26は、図23に示す目標制御温度の格納データと、装着された定着ユニットの種類によって定着ユニットの温度制御がどうなるかを示す説明図である。図26(a)は、定着ユニット1(w1)(w1)用のヒートローラ11と加圧ローラ12の目標制御温度が、いずれも180℃に予め設定されている。また、定着ユニット3(w3)(w2)用のヒートローラ11、加圧ローラ12、外部加熱ヒーター69の目標制御温度は未定であり、未対応を示す所定の値0xffがそれぞれ格納されている。ただし、定着ユニット3(w3)(w2)が装着されることを想定し、その目標制御温度の格納エリアは予約されている。
【0098】
この画像形成装置に、図20の定着ユニット1(w1)(w1)と図25の定着ユニット3(w3)(w2)がそれぞれ装着された場合、そのときの温度制御を示している。図26(b)は、図26(a)の画像形成装置に定着ユニット3(w3)(w2)が装着されたときの目標制御温度が後日設定された状態を示している。そして、その画像形成装置に定着ユニット1(w1)(w1)、定着ユニット3(w3)(w2)が装着された場合の温度制御を示している。前記格納データの設定は、例えば、メンテナンス用の自己診断モードを実行して操作パネル表示部67を用いて設定することができる。図26(c)は、図26(b)の設定値が、当初から格納されている場合を示している。
【0099】
図26(a)の画像形成装置に定着ユニット1(w1)が装着された場合、ヒートローラ11と加圧ローラ12はいずれもその目標制御温度を180℃として制御される。一方、図26(a)の画像形成装置に定着ユニット1(w1)が装着された場合、ヒートローラ11と加圧ローラ12のいずれに対しても温度制御が行われない。したがって、定着制御は全く行われない。CPU22は、定着制御が全く行われない場合、操作パネル表示部67にその旨を表示する。
【0100】
その後、定着ユニット3用の目標制御温度が設定されると、図26(b)の状態になる。図26(b)の画像形成装置に画像形成装置に定着ユニット1(w1)が装着された場合、図26(a)と同様、ヒートローラ11と加圧ローラ12はいずれもその目標制御温度を180℃として制御される。一方、図26(a)の画像形成装置に定着ユニット1(w1)が装着された場合、ヒートローラ11、加圧ローラ12および外部加熱ヒーター69はいずれもその目標制御温度を190℃として制御される。
【0101】
≪変形例≫
図25は、図20の変形例として、定着ユニットが、ヒートローラ11の表面を加熱する外部加熱ヒーター69を有する場合を示す概略構成の説明図である。外部加熱ヒーター69への通電制御は、サーミスタ13pによる温度検知に基づいて行われる。この場合でも、CPU22は、ヒートローラ11の温度を検知するサーミスタの特性の相違を検知して、装着された定着ユニットの種類を識別することができる。あるいは、加圧ローラ12の温度を検知するサーミスタの有無に基づいて装着された定着ユニットの種類を検知することができる。
【0102】
最後に、前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得ることは明らかである。そのような変形例は、この発明の特徴及び範囲に属さないと解釈されるべきものではない。この発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更とが含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】実施例1の構成を説明する図である。
【図2】実施例1のインターフェース回路構成図である。
【図3】実施例1のサーミスタの特性表である。
【図4】実施例1のサーミスタの特性図である。
【図5】実施例2の構成を説明する図である。
【図6】実施例2のインターフェース回路構成図である。
【図7】実施例2のサーミスタの特性表である。
【図8】実施例2のサーミスタの特性図である。
【図9】実施例1および実施例2のフローチャート図である。
【図10】サーミスタの判定を実施するか否か決めるフローチャート図である。
【図11】定着ユニットが新品か、旧品かを判定する説明図である。
【図12】誤装着を説明するための図である。
【図13】誤装着を判定するフローチャート図である。
【図14】ヒータランプのオン時間を計測するフローチャート図である。
【図15】実施例3の概略構成の説明図である。
【図16】実施例3における温度検出センサおよび補正用センサの一例としての非接触サーミスタの構造を模式的に示す説明図である。
【図17】この発明の実施の形態における、サーミスタユニット41の温度検出サーミスタ13と補正用サーミスタ17とを含むブリッジ回路に電圧を印加して検出温度に応じた電圧を得る温度検出回路を示す回路図である。
【図18】この発明の実施の形態におけるpタイプの温度検出サーミスタと、wタイプの温度検出サーミスタの各温度に対する検出信号37の特性を示すグラフである。
【図19】この発明の実施の形態において、CPU22が定着ユニットの種類を識別する処理の手順を示すフローチャートである。(実施例3)
【図20】実施例4に係る定着ユニットの概略構成の説明図である。
【図21】CPU22が実行する前述の温度制御の制御手順を示すフローチャートである。(実施例4)
【図22】CPU22が実行する温度表示の制御手順を示すフローチャートである。(実施例4)
【図23】図20のバックアップメモリ65に格納された目標制御温度の一例を示す説明図である。
【図24】図20の操作パネル表示部67に表示されるデータの内容の一例を示す説明図である。
【図25】図20の変形例として、定着ユニットが、ヒートローラ11の表面を加熱する外部加熱ヒーター69を有する場合の概略構成の説明図である。
【図26】図23に示す目標制御温度の格納データと、装着された定着ユニットの種類によって定着ユニットの温度制御がどうなるかを示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1、1a、1b 定着ユニット
2 制御基板
11 ヒートローラ
12 加圧ローラ
13、61 サーミスタ
13p pタイプの温度特性を有するサーミスタ
13w wタイプの温度特性を有するサーミスタ
14 インターフェース回路
15 第1インターフェース回路
17、17a、17b 補正用サーミスタ
19、63 ヒーター
21 A/D変換器
22 制御部、CPU
23 ヒーター制御部
24 第2インターフェース回路
31、37 検出信号
33、39 補正信号
35 ヒーター制御信号
41 非接触サーミスタユニット
43 窓部
45 赤外線吸収フィルム
51 定電圧電源
65 バックアップメモリ
67 操作パネル表示部
69 外部加熱ヒーター
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットフォーム構想の設計を実現する画像形成装置および画像形成装置の設定方法に関する。特に画像形成装置に装着される定着ユニットに対応して制御部を設定する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラットフォーム構想とは、基本構成が同一で、ユーザオプションまたは仕様変更に対応して、部分的なユニット変更や部品の仕様変更により、印字スピードや精細度等選択可能な機能または仕様を変更可能にするものである。例えば、特許文献1はシフト機構の種類を判定し、この判定に応じてシフト処理を変更する本体ユニットを備えた画像形成装置を開示している。
【特許文献1】特開2002−128376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の画像形成装置によれば、シフト機構の種類に応じてシフト動作の制御を変更することができ、そのため後処理装置側のシフト制御を変更せずに、シフト操作が可能になる。しかしながら、特許文献1ではシフト機構の種類を判別するために種類検知用端子を備える必要があり、また本体ユニット側にも上記種類検知用端子に接続できる端子を備えなければならなかった。
本発明は上記問題点に鑑み、プラットフォーム構想の設計をコストアップせずに実現する画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の画像形成装置は、複数種類から選択され、画像形成装置本体に装着可能な一つのユニットと、前記ユニットを画像形成装置本体に装着するための装着部とを備えた画像形成装置において、前記ユニットは、対象物の加熱もしくは保温を行うためのヒーターと、対象物の温度を検出して検出した状態に応じた信号を出力する温度検出センサとを有し、その種類ごとに加熱の目標温度が異なり、前記温度検出センサは、その出力によってユニットの種類が識別できるようにその出力特性がユニット種類ごとに異なるものであり、前記本体は、装着されたユニットの種類を温度検出センサの出力から識別する識別部と、識別されたユニットの種類に応じて温度検出センサの出力に基づきヒーターへの通電を制御する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置により、本発明の初期の効果を得るものである。
【0005】
前記ユニットが、前記用紙を挟んで搬送する一対の定着ローラを有し、形成された画像を用紙に定着させる定着ユニットであってもよい。
【0006】
また、前記ユニットが、それが本体に装着されたときに、初めて装着されたか否かを制御部に判断させるための初期装着判別手段をさらに有し、前記制御部は、当該ユニットが初めて装着されたと判断したとき、ヒーターへの通電を制御する前にユニットの種類を識別してもよい。
【0007】
また、前記識別部は、前記温度検出センサの出力と予め定められた閾値を比較する電圧
比較部を備え、電圧比較部による比較の結果に基づいてユニットの種類を識別してもよい。
あるいは、本体の雰囲気温度を検出する機内温度検出センサをさらに備え、前記制御部は、ユニットが装着されたときに検出された機内温度が所定温度以下の場合に装着されたユニットの種類を識別し、識別結果を得た後にヒーターへの通電を制御してもよい。
【0008】
あるいはまた、前記制御部が、ヒーターへの通電をオンあるいはオフするものであり、前記通電がオフされてからの時刻を計時するオフ時間計時部をさらに備え、前記制御部は、前記通電がオフされてから所定時間が経過した後に装着されたユニットの種類を識別し、識別結果を得た後にヒーターへの通電を制御してもよい。
【0009】
また、本発明の画像形成装置において、前記制御部が、ヒーターへの通電をオンあるいはオフするものであり、ヒーターの通電時間を計時する通電時間計時部をさらに備え、前記制御部が、計時された通電時間と各種類のユニットに対して予め定められた通電時間とを比較することにより、本体に装着されるべき種類のユニットか装着されたか否かを判定するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の画像形成装置において、前記制御部が、本体に装着されるべきでない種類のユニットが装着されたと判定した場合に、警告を発する警告手段をさらに備えることが望ましい。
さらに、前記識別部は、前記温度検出センサの出力と予め定められた閾値を比較する電圧比較部を備え、電圧比較部による比較の結果に基づいてユニットの種類を識別してもよい。
【0011】
また本発明は別の局面では、対象物の加熱もしくは保温を行うためのヒーターと、対象物の温度を検出して検出した状態に応じた信号を出力する温度検出センサとを有し、前記加熱の目標温度が互いに異なる複数種類のユニットから選択された一つのユニットが本体に装着されたときに、装着されたユニットの種類を温度検出センサの出力から識別し、識別されたユニットの種類に応じて温度検出センサの出力に基づきヒーターへの通電を制御する方法であって、前記複数種類のユニットは、その出力によってユニットの種類が識別できるようにその出力特性が種類ごとに異なる温度検出センサを有することを特徴とする装着ユニットの識別方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置は、装着体の動作を検出する検出部の出力によって装着体を識別し、その識別結果に対応して制御部を設定するので、プラットフォーム構想の設計を実現することができる。また本発明に使用される検出部は、画像形成装置に本来備えられ、制御部が装着体の動作を検出するために使用されているものである。従って装着体の種類を識別するための専用の部品を必要とせず、コストアップしない。
【0013】
また本発明の画像形成装置は、定着ユニットに備えられた定着温度検出部の検出出力により、定着ユニットの種類を識別し、その識別結果に対応して制御部を設定するので、プラットフォーム構想の設計を実現することができる。また定着ユニットにその種類を識別するための専用の部品および画像形成装置本体へ知らせるための専用の部品を備える必要がなく、コストアップしない。
特に、本発明は、前記装着体が定着ユニットである場合に、高速印字で長寿命の定着ユニットと、低速印字で、短寿命の定着ユニットをプラットフォーム構想の下に使用することができる。
【0014】
また本発明の画像形成装置は、前記識別部が前記検出部または定着温度検出部の検出出力と閾値を比較する電圧比較部であるので、定着ユニットの種類を容易に識別することができる。
また本発明の画像形成装置は、初期通電時、機内温度が所定温度以下の場合または通電オフから所定時間経過後、設定手段により制御部を設定するので、同じ設定条件により制御部を設定することができる。
【0015】
また本発明の画像形成装置は、定着ユニットのヒーターの通電時間と、当該定着ユニットに設定された通電時間とを比較する通電時間比較部を更に備え、前記通電時間比較部が画像形成装置本体に適合する定着ユニットか否か判定するので、高速印字画像形成装置に低速印字で短寿命の定着ユニットが装着された場合、または低速印字画像形成装置に高速印字で長寿命の定着ユニットが装着された場合のように、誤装着を検知することができる。
また本発明の画像形成装置は、前記通電時間比較部の比較結果により、画像形成装置本体に適合しない定着ユニットであると判定された場合、警告を発するので、誤装着をユーザに知らせることができる。
【0016】
また、前記ユニットが、温度検出センサの出力に含まれる当該センサの周囲温度による誤差を補正するために前記周囲温度に応じた信号を出力する補正用センサをさらに有し、前記識別部が、前記温度検出センサの出力と補正用センサの出力からユニットの種類を識別し、前記制御部が、温度検出センサの出力と補正用センサの出力とに基づいてヒーターへの通電を制御し、前記ユニットが、前記温度検出センサの周囲温度が所定範囲にあるときにその出力によってユニットの種類が識別可能であるようにその出力特性が種類ごとに異なる温度検出センサを有し、前記識別部は、補正用センサが前記所定範囲の周囲温度に対応する信号を出力するときにユニットの種類を識別するものであってもよい。
【0017】
このようにすれば、ユニットの種類を確実に識別することができる。前記温度検出センサは、画像形成装置に本来備えられ、加熱部の温度を検出して、検出した温度に応じて制御部がヒーターの通電を制御するために使用されているものである。従ってユニットの種類を識別するために専用の部品を必要とすることなく、コストアップを招来しない。
また、前記所定範囲の周囲温度は、前記ヒーターへの通電によって上昇する前記定着ローラの周囲温度が所定温度以下の範囲であってもよい。
【0018】
さらにまた、前記温度検出センサが非接触型の温度センサであってもよく、さらに、前記温度検出センサが、前記補正用センサと共にユニット化された非接触型の温度センサであってもよい。
【0019】
定着部の温度を示す検出信号は、制御温度付近の感度を高めることが好ましい。このため、制御目標温度が異なる定着ユニット間では、それぞれの制御目標温度に応じて互いに出力特性の異なるセンサが用いられる。したがって、定着部の温度範囲が所定の範囲、たとえば室温の範囲にあるときの検出信号が定着ユニットの種類によって異なることを利用して定着ユニットの種類を識別することが可能である。しかし、検出信号は、定着部の温度によっても変わる。従って、識別時には、定着部の温度を考慮する必要がある。この発明によれば、補正信号によって間接的に定着部の温度が所定の範囲にあるか否かを判断し、その判断結果に応じて識別の可否を決定することによって正確な識別を行うことができる。
【0020】
このような手法は、定着ユニットに限られるものではなく、前記温度検出センサ、補正用センサ、識別部を備えるユニットに適用可能である。
【0021】
また、前記対象物が、第1および第2の定着ローラからなる前記一対の定着ローラであり、前記ヒーターが第1の定着ローラを加熱する第1のヒーターと第2の定着ローラを加熱する第2のヒーターからなり、前記温度検出センサが、第1の定着ローラの温度を検出する第1の温度検出センサと第2の定着ローラの温度を検出する第2の温度検出センサからなり、前記識別部が、装着された定着ユニットの種類を第1の温度検出センサの出力から識別し、前記制御部が、識別されたユニットの種類に応じて第1の温度検出センサの出力に基づき第1のヒーターによる加熱を制御し、第2の温度検出センサの出力に基づき第2のヒーターによる加熱を制御してもよい。
【0022】
あるいは、前記定着ユニットが、加熱用の第1のヒーターならびに温度検出用の第1の温度検出センサを有する第1の定着ローラと、加熱用の第2のヒーターを選択的に有し、かつ、温度検知用の第2の温度検出センサを選択的に有する第2の定着ローラとを含んでなり、前記識別部が、装着された定着ユニットが第2の温度検出センサを有するか否かによってユニットの種類を識別し、前記制御部は、定着ユニットが第2の温度検出センサを有さないと識別された場合に第1の温度検出センサを用いて第1のヒーターによる加熱を制御し、第2のヒーターによる加熱を行わないように制御してもよい。
【0023】
さらに、前記制御部が、各種類の定着ユニットについて各定着ローラを加熱する目標温度を予め格納するデータテーブルを有し、前記データテーブルに特定のデータが格納された定着ローラについてはその定着ローラの加熱を行わないように制御してもよい。
【0024】
また、指示に応じて前記温度検出センサにより検出された定着ローラの温度を表示する表示部をさらに備え、前記制御部が、前記データテーブルに特定のデータが格納された定着ローラについてはその定着ローラの温度表示を行わないように制御してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、画像形成装置本体に装着される装着体の動作を検出する検出部の出力によって装着体を識別し、その識別結果に対応して制御部を設定する画像形成装置である。特に本発明は画像形成装置の種類、機能、オプションに応じて変更される装着体に利用することができる。ここで画像形成装置は、コピー機能、スキャナ機能および必要に応じて、FAX機能、画像処理機能を備えるいわゆるデジタル型複合機である。あるいはコピー専用機、プリンタ専用機あるいはFAX専用機であってもよい。また装着体は定着ユニット、感光体、給紙機構、トナーボックス、自動紙送り機構などがある。
【0026】
以下の実施例1および2は、画像形成装置に高速印字で長寿命の第1の定着ユニットと、低速印字で短寿命の第2の定着ユニットを装着する場合について説明する。以下の説明において、第1の定着ユニットおよび第2の定着ユニットが請求項に言う複数の装着体に相当し、サーミスタが請求項に言う検出部あるいは定着温度検出部に相当し、制御部(CPU)が請求項に言う制御部に相当する。
(実施例1)
図1は、本発明の概略構成の説明図であり、定着ユニット1と、画像形成装置本体に備えられた制御基板2を示す。画像形成装置本体はその他の構成部分を備えるが、図1では省略している。ここで定着ユニット1aはpタイプサーミスタを備え、定着ユニット1bはwタイプサーミスタを備える。定着ユニット1aが高速印字長寿命タイプ、定着ユニット1bが低速印字短寿命タイプである。
【0027】
定着ユニット1aは、内部にヒーターを有するヒートローラ11と、このヒートローラ11に対向して用紙を挟みつける加圧ローラ12を備える。ヒートローラ11の近傍にヒートローラ11の温度を検出するpタイプサーミスタ13pが設置される。ヒートローラ11および加圧ローラ12は、請求項にいう定着ローラである。定着ユニット1aが画像形成装置本体に装着されると、サーミスタ13pの出力は、インターフェース回路14を介して画像形成装置本体の制御基板2に出力される。制御基板2はA/D変換部21を搭載し、上記インターフェース回路14の出力を受け、デジタル信号に変換する。このデジタル信号は制御部(CPU)22に出力され、制御部22は制御信号を出力する。
この制御信号は、サーミスタの出力に応じてヒートローラ11が所定温度になるようヒーターの通電時間を制御する信号である。制御信号はヒーター制御部23を介して定着ユニット1のヒーターに供給され、ヒーターの通電時間を制御する。
定着ユニット1bもヒートローラ11および加圧ローラ12を備え、wタイプサーミスタ13wがヒートローラ11の温度を検出する。定着ユニット1bが画像形成装置本体に装着されると、wタイプサーミスタ13wの出力はインターフェース回路14を介し、図1に点線の接続線で示すように、制御基板2に出力される。この定着ユニット1bは、ヒーター制御部を備えないタイプであるので、制御部22はサーミスタ13wの出力によりヒートローラ11の温度を監視するだけである。
【0028】
上記サーミスタ13pおよびサーミスタ13wと、インターフェース回路14は、図2に示すように接続される。ヒートローラ11の近傍に取り付けられたサーミスタ13pまたはサーミスタ13wは一端がアースに接続され、他端は電源端子31とアース間に直列接続した抵抗R1とR2の接続点32に接続される。接続点32はさらに図1のA/D変換部21の入力に接続される。
このサーミスタ13pおよびサーミスタ13wの温度特性は、図3に示す通りである。図3(a)に示す表は、pタイプサーミスタ13pの温度と、抵抗値と、接続点32の電圧の関係を示す。この図3(a)の関係をグラフに示したものが、図4の特性p2である。なお、pタイプサーミスタ13pを備えるインターフェース回路14の抵抗R1は15kΩ、抵抗R2は100kΩ、電源電圧は3.3Vである。
同様に、図3(b)に示す表は、wタイプサーミスタの温度と、抵抗値と、接続点32の電圧の関係を示す。この図3(b)の関係をグラフに示したものが、図4の特性w1である。なお、wタイプサーミスタを備えるインターフェース回路14の抵抗R1は2.5kΩ、抵抗R2は100kΩ、電源電圧は3.3Vである。
図4に示すように、画像形成装置の機内温度が室温を含む0〜50℃の範囲で、接続点電圧が3Vより高い場合は、wタイプサーミスタを備える低速印字で短寿命タイプの定着ユニット1bであると、識別することができる。また接続点電圧が3Vより低い場合は、pタイプサーミスタを備える高速印字で長寿命タイプの定着ユニット1aであると、識別することができる。
【0029】
以上のように、高速印字で長寿命の定着ユニット1aと、低速印字で短寿命の定着ユニット1bが存在し、製造時あるいはメンテナンス時に、この2つの定着ユニットのいずれかが画像形成装置本体に装着される。本発明は定着ユニット1aと定着ユニット2bに、画像形成装置本体に知らせるための信号端子や凹凸を必要としない。また画像形成装置本体にも定着ユニットの種類を識別するための信号端子や凹凸を必要としない。
【0030】
本発明は、このように定着ユニット及び画像形成装置本体に、その種類を表示するための信号端子や凹凸を必要とせずに、定着ユニットに備えられたサーミスタを使用して定着ユニットの種類を検出する。即ち、定着ユニットが画像形成装置本体に装着され、定着ユニットが動作を開始すると、サーミスタから出力が得られる。この検出出力により、定着ユニット1aではヒーターの通電時間を制御する。定着ユニット1bではサーミスタの検
出出力によりヒートローラ11の温度を監視する。
ここで制御部22は所定の閾値を保有しており、サーミスタからの出力電圧がこの閾値以上か、または以下かによって、定着ユニットの種類を識別する。つまりこの実施例1では閾値を3Vに設定すると、図4に示すように、機内温度が0〜50℃のとき、3V以上の電圧が得られた場合は、wタイプサーミスタであると判定し、低速印字で短寿命の定着ユニット1bが装着されたことを識別する。一方、3V以下の電圧が得られた場合は、pタイプサーミスタであると判定し、高速印字で長寿命の定着ユニット1aが装着されたことを識別する。
【0031】
前記識別結果が定着ユニット1aである場合は、制御部22は高速印字で長寿命の定着制御を行うようヒーターの通電時間制御パラメータを設定する。この設定により、制御部22はサーミスタの検出出力に応じて、高速印字で長寿命の定着ユニット1aとして、ヒーターの通電時間の制御するため制御信号をヒーター制御部23を介して定着ユニットのヒーターに供給する。
また定着ユニット1bの装着を識別した場合は、制御部22は、低速印字で短寿命の定着ユニット1bに対応した定着制御を行うようヒートローラ11の温度を監視するためのパラメータを設定する。これにより制御部22は低速印字で短寿命の定着ユニット1bとして、サーミスタ13wの検出出力を監視する。
このようにして検出部の検出出力により制御部を自動的に定着ユニット1a用または定着ユニット1b用として設定する。
【0032】
(実施例2)
実施例2は図5に示すように、pタイプサーミスタ13pを備え、インターフェース回路がない定着ユニット1c、またはwタイプサーミスタ13wを備え、第1インターフェース回路15を備える定着ユニット1dを、画像形成装置本体に装着する画像形成装置である。この実施例2では、定着ユニット1cが高速印字で、長寿命タイプであり、定着ユニット1dが低速印字で、短寿命タイプである。この実施例2では画像形成装置本体の制御基板2aに第2インターフェース回路24を有する。
【0033】
第1インターフェース回路15と、第2インターフェース回路24の接続回路は図6に示すとおりである。図6において、サーミスタ13wはヒートローラ11の近傍に取り付けられ、ヒートローラ11の温度を検出するセンサである。サーミスタ13wは、第1インターフェース回路15を構成する抵抗R21に接続される。第1インターフェース回路15の出力は、第2インターフェース回路24を構成する抵抗R1と抵抗R2の接続点33に接続される。第2インターフェース回路24は、抵抗R1と抵抗R2を直列接続し、その一端が電源に接続され、他端がアースに接続される。接続点33は、図5のA/D変換部21に接続される。
定着ユニット1cは、第1インターフェース回路がないので、pタイプサーミスタ13pが直接第2インターフェース回路24の接続点33に接続される。
【0034】
定着ユニット1cに備えられたpタイプサーミスタ13pは、第2インターフェース回路24の抵抗R1が5kΩ、抵抗R2が100kΩで、電圧が3.3Vの場合、温度変化に対するpタイプサーミスタ13pの抵抗値変化と、接続点33の電圧変化は図7(a)の表の通りである。
また定着ユニット1dに備えられたwタイプサーミスタ13wは、抵抗R21が43kΩ、抵抗R1が5kΩ、抵抗R2が30kΩで、電圧が3.3Vの場合、温度変化に対するwタイプサーミスタ13wの抵抗値変化と、接続点33の電圧変化は図7(a)の表の通りである。
図7(a)の表と、図7(b)の表の変化の様子を図8のグラフに曲線p2とw1で示す。この実施例2の場合も機内温度が0〜50℃の場合、制御部22は閾値を3Vに設定すると、サーミスタ13の出力が閾値以上か、以下かにより、高速印字で、長寿命の定着ユニット1cと、低速印字で、短寿命の定着ユニット1dを識別できる。
図7、図8と、実施例1の図3、図4が異なる点は、実施例1では閾値(3V)以上の場合、wタイプサーミスタ13wであるのに対して、実施例2ではpタイプサーミスタ13pである。同様に閾値以下の場合、実施例1ではpタイプサーミスタ13pであるのに対して、実施例2ではwタイプサーミスタ13wである。
【0035】
上記識別結果が定着ユニット1cである場合は、制御部22は高速印字で長寿命の定着制御を行うようヒーターの通電時間制御パラメータを設定する。この設定により、制御部22はサーミスタ13pの検出出力に応じて、高速印字で長寿命の定着ユニット1aとして、ヒーターの通電時間の制御するため制御信号をヒーター制御部23を介して定着ユニットのヒーターに供給する。
また定着ユニット1dの装着を識別した場合は、制御部22は、低速印字で短寿命の定着ユニット1bに対応した定着制御を行うようヒートローラ11の温度を監視するためのパラメータを設定する。これにより制御部22は低速印字で短寿命の定着ユニット1bとして、サーミスタ13wの検出出力を監視する。
このようにして検出部の検出出力により制御部を自動的に定着ユニット1cまたは定着ユニット1d用として設定する。
【0036】
(フローチャート)
次に実施例1および実施例2において、定着ユニットを識別するフローチャートを図9により説明する。最初のステップS1は、サーミスタによる定着ユニットの識別を実施するか否かである。識別を実施する場合は次のステップS2に進む。識別を実施しない場合は、このフローチャートは終りである。このサーミスタによる定着ユニットの識別を実施するか否かの詳細は、図10により説明する。
ステップS2では、サーミスタの抵抗値変化を電圧変化により検出する。次にステップS3では、その検出電圧が閾値電圧(3V)以上かどうか判定する。
実施例1の場合は、図4に示すように閾値電圧以上であれば、wタイプサーミスタであることを検知し、画像形成装置本体に装着された定着ユニットは低速印字で長寿命の定着ユニット1aであると識別する。この識別結果に従い、ステップS4で、制御部22は定着ユニット1aに対応した定着制御を設定する。また閾値電圧以下であれば、pタイプサーミスタであることを検知し、画像形成装置本体の装着された定着ユニットは高速印字で短寿命の定着ユニット1bであると識別する。この識別結果に従い、ステップS5で、制御部22は定着ユニット1bに対応した定着制御を設定する。
実施例2の場合は、上記ステップS3において、閾値電圧以下どうか判定され、閾値電圧以下であれば、wタイプサーミスタであることを検知する。また閾値電圧以上であれば、pタイプサーミスタであることを検知する。これ以降のステップS4、S5は実施例1と同様である。
【0037】
以上のように、定着ユニットに備えられたサーミスタの出力を使用して定着ユニットの種類を識別することができ、そしてその識別結果に応じて制御部の定着制御を設定するので、プラットフォーム構想の設計を実現することができる。また定着ユニットが画像形成装置本体に装着されたとき、定着ユニットの種類を識別して、制御部を自動的に設定するので、製造時またはメンテナンス時の設定作業をなくすことができる。
【0038】
前記ステップS1において、サーミスタによる定着ユニットの識別を実施するか否か決めるが、その詳細は図10の通りである。初めのステップS11は、定着ユニットが初期装着か否か判定するステップである。この初期装着の判定手段および方法は図11により後述する。初期装着であれば、前記ステップS2に進む。もし初期装着でない場合は、ステップS12に進み、機内温度が所定温度以下か否か判定する。機内温度は制御部22を搭載する制御基板2に搭載されたサーミスタにより検出する。機内温度が所定温度(例えば、25℃)、つまり室温以下である場合、前記ステップS2に進む。
初期装着でなく、機内温度が所定温度以上の場合とは、例えば画像形成装置が稼動状態の場合である。稼動状態の直後にメンテナンスするとき、修理するときに、新たに定着ユニットを交換した場合、その定着ユニットのタイプを識別するために本発明が使用される。
【0039】
前記ステップS12において、機内温度が所定温度以上の場合はステップS13で、ヒーターへの通電オフから所定時間以上経過したか判定する。所定時間はヒーターへの通電オフからヒートローラ11が所定温度以下になると予想される時間であり、例えば1時間程度である。所定時間に達したら、前記ステップS2に進む。
ここでは所定時間の経過により、機内温度が所定温度以下になる温度を想定しているが、機内温度をサーミスタによって検出し、その検出出力によって制御してもよい。
【0040】
図11は、前記ステップS11で、定着ユニットが新品か、旧品かを判定する手段および方法を説明する図である。定着ユニットは、新品判定用ヒューズ41を内蔵する。新品判定用ヒューズ41は、例えば定着ユニット1の回路基板に搭載し、制御基板2と接続するヒューズ端子41a、41bを備える。制御基板2は新旧品判別回路42を備え、上記ヒューズ端子41a、41bと接続するための新旧品判別端子42a、42bを有する。新旧判別回路42は制御部22により新品判定用ヒューズ41を溶断する電源電圧(24V)または新品判定用ヒューズ41を溶断しない電圧Vccを印加するよう制御される。
画像形成装置に定着ユニットを装着すると、ヒューズ端子41a、41bと新旧品判別端子42a、42bが接続される。この状態で、画像形成装置の電源スイッチをオンにすると、制御部22は新旧判別回路42を介して新品判定用ヒューズ41に電圧Vccを印加する。この電圧印加によって、制御部22が新旧判別端子42a、42bに電圧Vccを検出した場合は、これを新品の定着ユニットと判定する。そして、この判定後、制御部22は新旧判別回路42を介して電源電圧(24V)を印加し、新品判定用ヒューズ41を溶断する。
上記画像形成装置の電源スイッチをオンにして、新品判定用ヒューズ41に新旧判別回路42を介して電圧Vccを印加したとき, 制御部22が新旧判別端子42a、42bに電圧Vccを検出できない場合は、定着ユニットを旧品と判定する。
以上のように、本発明は初期装着時、機内温度が所定温度以下の場合または通電オフから所定時間経過後のように、定着ユニットの検出タイミングを一定にし、検出条件を同じにするので、誤検出しない。
【0041】
(誤装着の判定)
図9のフローチャートにより、サーミスタがpタイプか、wタイプかを検知し、その検知により、定着ユニットの種類を識別し、その種類の定着ユニットに合った定着制御が行われるように制御部を設定する。しかしながら、低速印字画像形成装置に、高速印字で長寿命の定着ユニットが装着された場合、または高速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着された場合のように、誤装着を次のようにして判定する。
図12(a)は低速印字画像形成装置に、高速印字で長寿命の定着ユニットが装着された場合に、これを判定するための説明図である。図12(a)において、低速印字画像形成装置は待機状態のときヒートローラ11を150℃に制御するよう設定されているので、特性w1から分かるようにwタイプサーミスタの出力電圧が1.8Vになるよう制御する。しかしながら、ここでは低速印字画像形成装置に、高速印字で長寿命の定着ユニットが装着されているために、pタイプサーミスタによる制御が行われる。従って図12(a)の特性p2に示すように、実際には120℃にしかならない。この場合、定着ユニットのヒーターの通電時間が短くなっているので、通電時間が短いことを検知すると、低速印字画像形成装置に、高速印字で長寿命の定着ユニットが装着されたことを判定することができる。
【0042】
図12(b)は逆に、高速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着されたことを判定する説明図である。図12(b)において、画像形成装置は待機状態のときヒートローラ11を150℃に制御するよう設定されているので、特性p2から分かるようにpタイプサーミスタの出力電圧が1.3Vになるよう制御する。しかしながら、ここでは高速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着されているために、wタイプサーミスタによる制御が行われる。従って図12(a)の特性w1に示すように、実際には175℃くらいまで上がる。この場合、定着ユニットのヒーターの通電時間が長くなっているので、通電時間が長いことを検知すると、高速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着されたことを判定することができる。
【0043】
図12に説明したことを基にして、図13(a)のフローチャートにより、低速印字画像形成装置に高速印字で、長寿命の定着ユニットが装着された場合を判定する。図13(a)のステップS21で、ヒータランプのオン時間を計測する。このオン時間計測は図14により後述する。次にステップS22では、オン時間Aは当該定着ユニットに設定された通電時間B1より長いか否か判定し、短い場合は装着された定着ユニットが適合していないと判定し、次のステップS23で、異常表示するとともに画像形成装置の動作を停止し、このフローを終了する。異常表示は、例えば「定着ユニットを低速機用に交換してください」である。ステップS22でオン時間Aが当該定着ユニットに設定された通電時間B1より長い場合、低速印字画像形成装置に、低速印字で短寿命の定着ユニットが装着された場合であり、正しい装着であるので、そのまま終了する。
図13(b)は、高速印字画像形成装置に低速印字で、短寿命の定着ユニットが装着された場合を判定するフローチャートである。図13(a)との相違点は、オン時間Aが当該定着ユニットに設定された通電時間B1より長いか否か判定し、長い場合は装着された定着ユニットが適合していないと判定する点である。その他は同じである。
【0044】
図14は、ヒータランプのオン時間を計測するフローチャートである。最初のステップS41は、カウンタAをリセットして、その計数値を0にする。次に画像形成装置の電源投入からヒータランプがオン状態になるまでの時間0.1秒経過するまで待つ(ステップ
S42)。0.1秒が経過すると、次のステップS43に進み、ヒータランプがオンにな
っているか確認する。ヒータランプがオンになっていれば、次のステップS44でカウンタAをカウントアップする。ヒータランプがオンになっていない場合はステップS44の処理を行わずに、ステップS45に進む。ステップS44のカウントアップは10秒間続けられ、10秒経過すると、このフローは終了する。10秒間はカウントAが適当な値をカウントするために設定された時間である。このカウントによりオン時間Aを計測する。もしこの計測中に画像形成装置が印字動作を開始したらこの計測は中止し、待機状態になるのを待つ。
【0045】
≪変形例≫
実施例1、実施例2は、装着体が定着ユニットであり、定着ユニットの種類をヒートローラ11の温度検出用サーミスタの検出出力により識別するものであるが、定着ユニットの種類を画像形成装置本体側から識別するための他の出力信号がある場合は、その出力信号に代えてもよい。実施例は2種類の定着ユニットを識別する場合を説明したが、2種類以上であってもよい。
【0046】
(実施例3)
以下の実施例においては、画像形成装置に高速印字で長寿命の第1の定着ユニットと、低速印字で短寿命の第2の定着ユニットの2種類を有する定着ユニットのうち、一方のユニットが画像形成装置本体に装着される場合を例にして説明する。以下の説明において、第1の定着ユニットおよび第2の定着ユニットが請求項に言う複数のユニットに相当し、CPUが請求項に言う制御部および識別部に対応する。
【0047】
≪温度検出センサおよび制御部の構成≫
図15は、この実施例の概略構成の説明図であり、定着ユニット1と、画像形成装置本体に備えられた制御基板2を示す図である。制御基板2は、制御部および識別部としての機能を実現するCPU22、CPUが実行するプログラムやデータテーブルを記憶するROMおよび/または不揮発性メモリ、ワークエリアを提供するRAM、アナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換器21、外部からの信号が入力される入力回路、装置を制御する信号などを出力し各負荷を駆動するための出力回路を有する。画像形成装置本体はその他の構成部分を備えるが、図15では省略している。
【0048】
ここで定着ユニット1aは、その出力特性がpタイプの温度検出センサ13pおよび補正用センサ17aを備え、定着ユニット1bはその出力特性がpタイプと異なるwタイプの温度検出センサ13wおよび補正用センサ17bを備える。補正用センサ17aおよび17bの出力特性は、いずれもpタイプである。pタイプの温度検出センサ13pが装着された定着ユニット1aは目標温度が高い高速印字長寿命タイプのユニットであり、wタイプの温度検出センサ13wが装着された定着ユニット1bは目標温度が低い低速印字短寿命タイプのユニットである。
【0049】
定着ユニット1aは、内部にヒーター19を有するヒートローラ11と、このヒートローラ11に対向して配置され、ヒートローラ11との接触部(ニップ部)を通過する用紙をヒートローラ11に押圧する加圧ローラ12を備える。ヒートローラ11の近傍にヒートローラ11の温度を検出するpタイプの温度検出センサ13pが設置される。さらに、温度検出センサ13pの近傍に、周囲の温度を検出する補正用センサ17aが配置される。
【0050】
定着ユニット1aが画像形成装置本体に装着されると、温度検出センサ13pからの検出信号31は、インターフェース回路14を介して画像形成装置本体の制御基板2へ入力される。また、補正用センサ17aからの補正信号33は、インターフェース回路14を介して画像形成装置本体の制御基板2へ入力される。制御基板2はA/D変換部21を搭載し、上記インターフェース回路14からの検出信号31および補正信号33を受け、それぞれの信号を周期的にサンプリングして、各信号の大きさに対応するデジタルデータに変換する。このデジタルデータは必要に応じてCPU22に参照され、CPU22が実行する処理に用いられる。
【0051】
CPU22は、周期的に入力される前記デジタルデータに基づいて、前記検出信号と前記補正信号に対応するヒートローラ11の表面温度を取得する。この場合、識別部25は、後述する手法によって温度検出センサがpタイプのセンサ13pであることを認識し、その出力特性に応じた変換を行ってヒートローラ11の表面温度を取得する。そして、取得された温度を目標とする制御温度と比較して、ヒーター19への通電を制御するためのヒーター制御信号35を出力する。即ち、このヒーター制御信号35は、温度検出センサ13pからの検出信号31と補正用センサ17aからの補正信号33とに基づいて、ヒートローラ11の表面を目標制御温度にするようにヒーター19の通電時間を制御する信号である。
【0052】
前記ヒーター制御信号35はヒーター19の通電をオン/オフするヒーター制御部23へ入力される。ヒーター制御部23は、入力されたヒーター制御信号35に従ってヒートローラ11内のヒーター19の通電をオン/オフし、ヒーター19の通電時間を制御する。
一方、定着ユニット1bもヒートローラ11および加圧ローラ12を備えている。そして、wタイプの温度検出センサ13wによってヒートローラ11の表面温度を検出する。
【0053】
定着ユニット1aに代えて1bが画像形成装置本体に装着された場合について説明すると、wタイプセンサ13wからの検出信号37と、補正用センサ17bからの補正信号39が、インターフェース回路14を介して、図15に点線の接続線で示すように制御基板2へ入力される。入力された検出信号37と補正信号39とは、A/D変換部21によってそれぞれ周期的にサンプリングされたデジタルデータに変換されてCPU22の処理に用いるように提供される。
【0054】
CPU22は、周期的に入力される前記デジタルデータに基づいて、前記検出信号と前記補正信号に対応するヒートローラ11の表面温度を取得する。この場合、CPU22は、後述する手法によって温度検出センサがwタイプのセンサ13wであることを認識し、その出力特性に応じた変換を行ってヒートローラ11の表面温度を取得する。そして、取得された温度を目標とする制御温度と比較して、ヒーター19への通電を制御するためのヒーター制御信号35を出力する。
【0055】
≪非接触サーミスタの構成と特性≫
図16は、この実施例における温度検出センサおよび補正用センサの一例としての非接触サーミスタの構造を模式的に示す説明図である。図16に示すように、非接触サーミスタユニット41は、その内部に温度検出センサとしての温度検出サーミスタ13と補正用センサとしての補正用サーミスタ17とが配置されている。
【0056】
非接触サーミスタユニット41は、測定対象であるヒートローラ11の表面と所定の間隔を保ち、ケース表面の窓部43がヒートローラ11に対向するように配置される。検出対象であるヒートローラ11とサーミスタユニット41に温度差があると、温度差に応じた赤外線がヒートローラ11の表面から放射され、窓部43を透過してサーミスタユニット41内の赤外線吸収フィルム45に到達する。赤外線吸収フィルム45は、到達した赤外線のエネルギーを熱に変換する。変換された熱によって赤外線吸収フィルム45の温度が上昇する。窓部43と反対側の赤外線フィルム45面上には温度検出サーミスタ13が配置され、赤外線フィルム45の温度を検出する。また、補正用サーミスタ17は、サーミスタユニット41自身の温度、即ち周囲温度を検出する。
【0057】
図17は、サーミスタユニット41の温度検出サーミスタ13と補正用サーミスタ17とを含むブリッジ回路に電圧を印加して検出温度に応じた電圧を得る温度検出回路を示す回路図である。図17に示すように、温度検出サーミスタ13の一端が接地され、他端が、インターフェース回路14内のプルアップ抵抗R1を介して5Vの定電圧電源51に接続されている。さらに、他端には、検出信号31をA/D変換器21へ入力するための信号線が接続されている。さらにまた、他端には抵抗R2の一端が接続され、R2の他端は接地されており温度検出サーミスタ13と並列接続の関係にある。
【0058】
また、図17において、補正用サーミスタ17の一端が接地され、他端がインターフェース回路14内のプルアップ抵抗R3を介して低電圧電源51に接続されている。さらにまた、他端には抵抗R4の一端が接続され、R4の他端は接地されており補正用サーミスタ17と並列接続の関係にある。さらに、他端には、補正信号33をA/D変換器21へ入力するための信号線が接続されている。
【0059】
また、図17において、温度検出サーミスタ13と補正用サーミスタ17の温度特性は、ともにpタイプである。このとき、定着部の目標の制御温度は180℃である。プルアップ抵抗R1とR3の抵抗値は、共に33kΩである。抵抗R2およびR4の抵抗値は、共に190kΩである。
【0060】
表1は、pタイプの温度検出サーミスタ13の温度特性、即ち各温度に対する抵抗値の特性と、検出信号31の電圧の一例を示す表である。補正用サーミスタ17もpタイプであり、その回路のプルアップ抵抗R3と並列抵抗R4とは、温度検出サーミスタ回路のプルアップ抵抗R1と並列抵抗R2とにそれぞれ等しいので、各温度に対する補正信号33の電圧は、表1に示す検出信号31の電圧に等しい。
【0061】
【表1】
【0062】
表2は、上述のサーミスタユニット41を用いた場合に、検出信号31と補正信号3
3との各電圧に対するヒートローラ11の表面温度を示す表である。表2に示すように、検出信号37と補正信号39の電圧からヒートローラ11の表面温度が決まる。従って、制御基板2上の図示しないROMに表2の内容をデータテーブルとして保持しておき、CPU22が当該テーブルを参照できるようにしておけば、CPU22は、検出信号37と補正信号39に対応するデジタルデータを取得して前記データテーブルを参照し、ヒートローラ11の表面温度を求めることができる。
【0063】
【表2】
【0064】
また、表3は、wタイプの温度検出サーミスタの温度特性の一例を示す表である。
【表3】
【0065】
表4は、wタイプのサーミスタユニット41における各検出信号37と補正信号39の電圧とに対するヒートローラ11の表面温度を示す表である。定着部の目標の制御温度は165℃である。
【0066】
【表4】
【0067】
温度検出サーミスタ13がpタイプか、wタイプかを識別できれば、CPU22は、識別結果に応じた、前記データテーブルを参照して各検出信号37と補正信号39との電圧からヒートローラ11の表面温度を求めることができる。
【0068】
≪サーミスタ特性の識別手法≫
前述のように画像形成装置の製造工程において、あるいは市場におけるメンテナンスにおいて新たな定着ユニットを画像形成装置に装着した場合、作業者は、識別ようの特別なモードで画像形成装置を動作させる。当該モード内において、CPU22は、定着部の温度制御を行う前に定着ユニットの種類を識別する。識別が終了したら、作業者は識別用のモードを解除する。その後の通常動作において、CPU22は、識別された種類に応じて定着部の温度制御を行う。
【0069】
前記モード中で、CPU22の行う処理の詳細は以下のようなものである。
図18は、pタイプの温度検出サーミスタ13pと、wタイプの温度検出サーミスタ13wの各温度に対する検出信号37の特性を示すグラフである。
【0070】
図18に示すように、定着部の温度が室温を含む43℃以下の範囲で、検出信号31の電圧が閾値電圧Vs(3.5V)以上の場合、CPU22は、定着ユニットに、pタイプサーミスタ13pが装着されていると判断することができる。従って、その定着ユニットは、高速印字で長寿命タイプのユニット1aであると識別できる。しかし、検出信号31の電圧が閾値電圧Vsより低い場合については、その定着ユニットに、wタイプサーミスタ13wが装着されていると一概に判断することはできない。定着部が既に通電されて温まった状態であり、その温度が43℃を超えている状態ではpタイプサーミスタ13が装着された定着ユニット1aからも、閾値電圧Vsより低い検出電圧が得られるからである。
【0071】
そこで、CPU22は、補正用サーミスタ17からの補正信号33を参照する。補正用サーミスタは、定着部の周囲の環境温度を測定するものであるから、定着部が既に通電され温まった状態にあれば、周囲の環境温度もある程度上昇している。従って、補正信号33について予め定着部に通電がされず冷えた状態にあると判断する環境温度の範囲、即ち補正信号39の範囲を定めておく。そして、CPU22は、補正信号が当該範囲にある場合にのみ定着ユニットの種類を識別する。
【0072】
図18で、Teで示す温度範囲が定着ユニットの種類を識別可能な補正信号33の温度範囲である。このようにすれば、定着部が冷えた状態にあるときに限って識別を行うことができるので、正確に定着部の種類を識別することができ、その識別結果に基づいて定着部の温度制御を行うことができる。
【0073】
なお、定着部が通電により温まってから、その周囲の温度が上昇するまでにはわずかな時間遅れがある。それを見込んで、補正信号に係る前記温度範囲Teの上限は、閾値電圧Vsよりも余裕を持たせて低く設定している。これによって、前記の時間遅れがあっても定着部が通電により温まっていることを正確に判断できるようにしている。
【0074】
識別を行う場合の多くは、新たに装着された定着ユニットは通電されておらず、冷えた状態にあると考えられる。しかし、たとえば、その定着ユニットが直前まで他の装置に装着されて通電されていた場合など、すでに定着装置が通電され定着部の温度が上昇している可能性もある。この実施例においては、識別の信頼性を向上させるために補正信号39を参照するが、その結果、補正信号が前述した所定の範囲になかったとき、CPU22は次のように処理を行う。まず、定着部の温度を識別できない状態である旨を画像形成装置の図示しない表示部に表示する。それに応じて、作業者は、手動で定着ユニットの種類を設定するか、あるいは定着ユニットが冷えるまで待った後に再度識別を行わせる。
【0075】
以上のように、高速印字で長寿命の定着ユニット1aと、低速印字で短寿命の定着ユニット1bが存在し、製造時あるいはメンテナンス時に、この2つの定着ユニットのいずれかが画像形成装置本体に装着される。この実施例は定着ユニット1aと定着ユニット2bに、画像形成装置本体に知らせるための信号端子や凹凸を必要としない。また画像形成装置本体にも定着ユニットの種類を識別するための信号端子や凹凸を必要としない。
【0076】
この実施例は、このように定着ユニット及び画像形成装置本体に、その種類を表示するための信号端子や凹凸を必要とせずに、定着ユニットに備えられたサーミスタを使用して定着ユニットの種類を正確に検出する。即ち、定着ユニットが画像形成装置本体に装着され、定着ユニットが動作を開始すると、温度検出用サーミスタ13から検出信号31が得られ、補正用サーミスタ17から補正信号33が得られる。これらの信号に基づいて、CPU22は、ヒーター19をオン/オフさせてヒートローラ11の表面温度を目標制御温度にすべく制御するのであるが、さらに検出31信号と補正信号33とを用いて定着ユニットの種類を識別するものである。
【0077】
前記識別結果が定着ユニット1aである場合は、CPU22はpタイプの温度検出サーミスタ13pに対応する温度特性データを参照する。また、高速印字で長寿命の定着制御を行うようヒーターの通電時間制御パラメータを設定する。この設定により、CPU22は温度検出サーミスタ13からの検出信号31に応じて、高速印字で長寿命の定着ユニット1aとして、ヒーターの通電時間の制御するため制御信号をヒーター制御部23を介して定着ユニットのヒーターに供給する。
【0078】
また定着ユニット1bの装着を識別した場合は、CPU22は、wタイプの温度検出サーミスタ13wに対応する温度特性データを参照する。また、低速印字で短寿命の定着ユニット1bに対応した定着制御を行うようヒートローラの温度を監視するためのパラメータを設定する。これによりCPU22は低速印字で短寿命の定着ユニット1bとして、温度検出サーミスタ13wの検出出力を監視する。
【0079】
このようにして温度検出センサの検出出力により制御部を自動的に定着ユニット1a用または定着ユニット1b用として設定する。
【0080】
≪フローチャート≫
図19は、この実施例において、CPU22が定着ユニットの種類を識別する処理の手順を示すフローチャートである。図9に沿ってCPU22の処理を説明する。識別用の特別なモードに切り換えられたら、CPU22は、装着された定着ユニットからの補正信号33を参照する(ステップS51)。そして、参照した補正信号33の電圧が、予め定められた範囲にあるか否かを判断する(ステップS53)。前記範囲は、図18のTeで示す温度範囲に対応した電圧であり、定着部が通電されず、冷えた状態であって定着部の温度が35℃以下の状態に対応して定められた範囲である。即ち、検出信号31によって定着ユニットの種類を識別できる状態にあることを示す範囲である。
【0081】
補正信号33の電圧が所定の範囲内にない場合、CPU22は、図示しない表示部にその旨を表示させ(ステップS55)、作業者に手動で種類を設定するか、あるいは定着ユニットが冷えるまで待つように報知する。
【0082】
一方、補正信号33の電圧が所定の範囲内にあった場合、CPU22は、検出信号31を参照し(ステップS57)、検出信号31の電圧を予め定められた閾値電圧Vsと比較する(ステップS59)。前記比較の結果、検出信号31の電圧が閾値電圧Vs以上の場合、CPU22は、装着された定着ユニットにpタイプのサーミスタが装着されていると判断する。従って、前記定着ユニットは、高速印字長寿命タイプのユニットであると識別する。一例では、このタイプの定着ユニットは、目標の制御温度が180℃であり、CPU22は、前記目標制御温度に対応したヒーター19への通電制御を行う(ステップS63)。
【0083】
一方、前記ステップS9で、検出信号31の電圧が閾値電圧Vs未満の場合、CPU22は、装着された定着ユニットにwタイプのサーミスタが装着されていると判断する。従って、前記定着ユニットは、低速印字短寿命タイプのユニットであると識別する。一例では、このタイプの定着ユニットは、目標の制御温度が165℃であり、CPU22は、前記目標制御温度に対応したヒーター19への通電制御を行う(ステップS61)。
【0084】
以上のように、定着ユニットに備えられたサーミスタの出力を使用して定着ユニットの種類を識別することができ、そしてその識別結果に応じて制御部の定着制御を設定することができる。また定着ユニットが画像形成装置本体に装着されたとき、定着ユニットの種類を識別して、制御部を自動的に設定するので、製造時またはメンテナンス時の設定作業を効率化することができる。
【0085】
≪変形例≫
前述の実施例3は、対象のユニットが定着ユニットであり、定着ユニットの種類をヒートローラ11の温度検出用サーミスタの検出出力により識別するものであるが、この発明は、定着ユニットに限定されない。定着ユニット以外であっても、種類に応じて特性の異なる温度検出用センサと種類にかかわらず特性が同じ補正用センサが備えられたユニットに適用可能である。
【0086】
(実施例4)
図1の定着ユニットは、ヒートローラ11のみにヒーターが内蔵され、かつサーミスタ13w(あるいは13p)が設けられたものであるが、この実施例においては、ヒートローラ11と加圧ローラ12とにそれぞれヒーターが内蔵され、かつサーミスタ13w、61がそれぞれに設けられた例を示す。図20は、この実施例に係る定着ユニットの概略構成の説明図である。図20に示すように、定着ユニット1(w1)のヒートローラ11には、ヒーター19(HL1)が内蔵され、サーミスタ13wがその表面に当接してヒートローラ11の温度を検出している。また、当該ユニットの加圧ローラ12には、ヒーター63(HL2)が内蔵され、サーミスタ61がその表面に当接して加圧ローラ12の温度を検出している。
【0087】
ヒーター制御部23は、ヒーター19とヒーター63への通電を独立して制御することができる。前記通電制御は、CPU22の指示に基づいて行われる。
CPU22は、サーミスタ13wからの信号AD1に基づいてヒートローラ11の表面温度を得、得られた表面温度に基づいてヒーター制御部23を介しヒーター19の通電時間を制御する。また、CPU22は、サーミスタ61からの信号AD2に基づいて加圧ローラ12の表面温度を得、得られた表面温度に基づいてヒーター制御部23を介しヒーター63の通電時間を制御する。
【0088】
また、図20で、本体制御基板2は、バックアップメモリ65を有する。バックアップメモリ65には、温度検出センサの信号から温度を得るためのデータが予め格納されたデータテーブルが格納されている。さらに、各種類の定着ユニットに対する、目標の制御温度が予め格納されている。図23は、バックアップメモリ65に格納された目標制御温度の一例を示す説明図である。図23に示すように、定着UN1に対して、ヒートローラ11と加圧ローラ12とに対するそれぞれの目標制御温度が格納されている。一方、定着UN2に対しては、ヒートローラ11に対する目標制御温度のみが格納されている。加圧ローラ12の目標制御温度に対応する格納エリアには予め定められた所定の値、例えば0xffが格納されている。この所定の値は、加圧ローラ12の温度検知が行われないことを示すものである。
【0089】
また、画像形成装置は、操作パネル表示部67を有している。操作パネル表示部67は、請求項にいう表示部に相当する。操作パネル表示部67には、ユーザあるいはサービスエンジニアの指示に応じて、検出された定着ユニットの温度が表示される。表示される温度は、CPU22がサーミスタ13wあるいは61からの信号を温度に変換して得られるものである。CPU22は、サーミスタ13wあるいは61からの信号を温度に変換する際に、バックアップメモリ65に格納されたデータテーブルを参照する。図24は、操作パネル表示部67に表示されるデータの内容の一例を示す説明図である。さらに、操作パネル表示部は、操作者が画像形成装置に対する指示を入力する入力手段を有している。
【0090】
定着ユニット2(p2)は、定着ユニット1(w1)と種類の異なるユニットである。定着ユニットUN2は、図1の定着ユニット1bに対応する。即ち、ヒートローラ11のみにヒーターが内蔵され、ヒートローラ11の表面にwタイプのサーミスタ13pが当接している。加圧ローラ12は、ヒーターを内蔵していない。また、その表面にサーミスタが設けられていない。これは、定着UN2では、加圧ローラ12にヒーターおよびサーミスタが設けられていないことに対応している。
【0091】
CPU22は、装着された定着ユニットがUN1か、UN2かを次のように識別する。第1の識別方法は、ヒートローラ11の温度を検出するサーミスタの特性の違いに基づいて定着ユニットの種類を識別するものである。その詳細は、実施例1に述べたとおりである。
【0092】
第2の識別方法は、加圧ローラ12の温度を検知するサーミスタの有無によって定着ユニットの種類を識別するものである。画像形成装置に定着ユニット2(p2)が装着された場合、信号AD2の先にサーミスタがないため、信号AD2の入力電圧は、インターフェース回路14の抵抗R1、R2の分圧比で決まる(図2参照)。一方、定着ユニット1(w1)が装着された場合、信号AD2の電圧は、インターフェース回路14の抵抗R1、R2とサーミスタ61との分圧比で決まる。したがって、CPU22は、信号AD2の電圧の相違を判断し、装着された定着ユニットがUN1かUN2かを識別することができる。
【0093】
図21は、CPU22が実行する前述の温度制御の制御手順を示すフローチャートである。図21に示すように、CPU22は、電源投入後、装着された定着ユニットの種類がUN1か、UN2かを判断する(ステップS61)。図21では、ヒートローラ11に当接するサーミスタの特性の違いに基づいて、定着ユニットの種類を識別しているが、前述のように加圧ローラ12に当接するサーミスタの有無に基づいて識別してもよい。識別の結果、定着UN1が装着されていると判断した場合、CPU22は、信号AD1に基づいてヒートローラ11の温度を得、ヒーター19(HL1)の通電を制御する(ステップS63)。このとき、サーミスタはwタイプであるとして温度を得る。また、信号AD2に基づいて加圧ローラ12の温度を得、ヒーター61(HL2)の通電を制御する(ステップS65)。
【0094】
一方、定着UN2が装着されていると判断した場合、CPU22は、信号AD1に基づいてヒートローラ11の温度を得、ヒーター19(HL1)の通電を制御する(ステップS67)。このとき、サーミスタはpタイプであるとして温度を得る。ヒーター61(HL2)への通電は行わない。これは、図23に示すデータテーブルで、定着UN2の加圧ローラ12の目標制御温度の格納エリアに所定の値(0xff)が格納されているからである。
【0095】
また、図22は、CPU22が実行する温度表示の制御手順を示すフローチャートである。図21に示すように、CPU22は、温度表示の要求を受けたとき、装着された定着ユニットの識別結果を参照する(ステップS71)。その結果、定着UN1が装着されている場合、CPU22は、信号AD1に基づいて得られたヒートローラ11の温度と信号AD2に基づいて得られた加圧ローラ12の温度とを操作パネル表示部67に表示させる(ステップS73、S75)。
【0096】
一方、定着UN2が装着されている場合、CPU22は、信号AD1に基づいて得られたヒートローラ11の温度を操作パネル表示部67に表示させる(ステップS77)。加圧ローラ12の温度は表示しない。これは、図23のデータテーブルで、定着UN2の加圧ローラ12の目標制御温度の格納エリアに所定の値(0xff)が格納されているからである。
【0097】
図26は、図23に示す目標制御温度の格納データと、装着された定着ユニットの種類によって定着ユニットの温度制御がどうなるかを示す説明図である。図26(a)は、定着ユニット1(w1)(w1)用のヒートローラ11と加圧ローラ12の目標制御温度が、いずれも180℃に予め設定されている。また、定着ユニット3(w3)(w2)用のヒートローラ11、加圧ローラ12、外部加熱ヒーター69の目標制御温度は未定であり、未対応を示す所定の値0xffがそれぞれ格納されている。ただし、定着ユニット3(w3)(w2)が装着されることを想定し、その目標制御温度の格納エリアは予約されている。
【0098】
この画像形成装置に、図20の定着ユニット1(w1)(w1)と図25の定着ユニット3(w3)(w2)がそれぞれ装着された場合、そのときの温度制御を示している。図26(b)は、図26(a)の画像形成装置に定着ユニット3(w3)(w2)が装着されたときの目標制御温度が後日設定された状態を示している。そして、その画像形成装置に定着ユニット1(w1)(w1)、定着ユニット3(w3)(w2)が装着された場合の温度制御を示している。前記格納データの設定は、例えば、メンテナンス用の自己診断モードを実行して操作パネル表示部67を用いて設定することができる。図26(c)は、図26(b)の設定値が、当初から格納されている場合を示している。
【0099】
図26(a)の画像形成装置に定着ユニット1(w1)が装着された場合、ヒートローラ11と加圧ローラ12はいずれもその目標制御温度を180℃として制御される。一方、図26(a)の画像形成装置に定着ユニット1(w1)が装着された場合、ヒートローラ11と加圧ローラ12のいずれに対しても温度制御が行われない。したがって、定着制御は全く行われない。CPU22は、定着制御が全く行われない場合、操作パネル表示部67にその旨を表示する。
【0100】
その後、定着ユニット3用の目標制御温度が設定されると、図26(b)の状態になる。図26(b)の画像形成装置に画像形成装置に定着ユニット1(w1)が装着された場合、図26(a)と同様、ヒートローラ11と加圧ローラ12はいずれもその目標制御温度を180℃として制御される。一方、図26(a)の画像形成装置に定着ユニット1(w1)が装着された場合、ヒートローラ11、加圧ローラ12および外部加熱ヒーター69はいずれもその目標制御温度を190℃として制御される。
【0101】
≪変形例≫
図25は、図20の変形例として、定着ユニットが、ヒートローラ11の表面を加熱する外部加熱ヒーター69を有する場合を示す概略構成の説明図である。外部加熱ヒーター69への通電制御は、サーミスタ13pによる温度検知に基づいて行われる。この場合でも、CPU22は、ヒートローラ11の温度を検知するサーミスタの特性の相違を検知して、装着された定着ユニットの種類を識別することができる。あるいは、加圧ローラ12の温度を検知するサーミスタの有無に基づいて装着された定着ユニットの種類を検知することができる。
【0102】
最後に、前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得ることは明らかである。そのような変形例は、この発明の特徴及び範囲に属さないと解釈されるべきものではない。この発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更とが含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】実施例1の構成を説明する図である。
【図2】実施例1のインターフェース回路構成図である。
【図3】実施例1のサーミスタの特性表である。
【図4】実施例1のサーミスタの特性図である。
【図5】実施例2の構成を説明する図である。
【図6】実施例2のインターフェース回路構成図である。
【図7】実施例2のサーミスタの特性表である。
【図8】実施例2のサーミスタの特性図である。
【図9】実施例1および実施例2のフローチャート図である。
【図10】サーミスタの判定を実施するか否か決めるフローチャート図である。
【図11】定着ユニットが新品か、旧品かを判定する説明図である。
【図12】誤装着を説明するための図である。
【図13】誤装着を判定するフローチャート図である。
【図14】ヒータランプのオン時間を計測するフローチャート図である。
【図15】実施例3の概略構成の説明図である。
【図16】実施例3における温度検出センサおよび補正用センサの一例としての非接触サーミスタの構造を模式的に示す説明図である。
【図17】この発明の実施の形態における、サーミスタユニット41の温度検出サーミスタ13と補正用サーミスタ17とを含むブリッジ回路に電圧を印加して検出温度に応じた電圧を得る温度検出回路を示す回路図である。
【図18】この発明の実施の形態におけるpタイプの温度検出サーミスタと、wタイプの温度検出サーミスタの各温度に対する検出信号37の特性を示すグラフである。
【図19】この発明の実施の形態において、CPU22が定着ユニットの種類を識別する処理の手順を示すフローチャートである。(実施例3)
【図20】実施例4に係る定着ユニットの概略構成の説明図である。
【図21】CPU22が実行する前述の温度制御の制御手順を示すフローチャートである。(実施例4)
【図22】CPU22が実行する温度表示の制御手順を示すフローチャートである。(実施例4)
【図23】図20のバックアップメモリ65に格納された目標制御温度の一例を示す説明図である。
【図24】図20の操作パネル表示部67に表示されるデータの内容の一例を示す説明図である。
【図25】図20の変形例として、定着ユニットが、ヒートローラ11の表面を加熱する外部加熱ヒーター69を有する場合の概略構成の説明図である。
【図26】図23に示す目標制御温度の格納データと、装着された定着ユニットの種類によって定着ユニットの温度制御がどうなるかを示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1、1a、1b 定着ユニット
2 制御基板
11 ヒートローラ
12 加圧ローラ
13、61 サーミスタ
13p pタイプの温度特性を有するサーミスタ
13w wタイプの温度特性を有するサーミスタ
14 インターフェース回路
15 第1インターフェース回路
17、17a、17b 補正用サーミスタ
19、63 ヒーター
21 A/D変換器
22 制御部、CPU
23 ヒーター制御部
24 第2インターフェース回路
31、37 検出信号
33、39 補正信号
35 ヒーター制御信号
41 非接触サーミスタユニット
43 窓部
45 赤外線吸収フィルム
51 定電圧電源
65 バックアップメモリ
67 操作パネル表示部
69 外部加熱ヒーター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類から選択され、画像形成装置本体に装着可能な一つのユニットと、前記ユニットを画像形成装置本体に装着するための装着部とを備えた画像形成装置において、
前記ユニットは、対象物の加熱もしくは保温を行うためのヒーターと、対象物の温度を検出して検出した状態に応じた信号を出力する温度検出センサとを有し、その種類ごとに加熱の目標温度が異なり、
前記温度検出センサは、その出力によってユニットの種類が識別できるようにその出力特性がユニット種類ごとに異なるものであり、
前記本体は、装着されたユニットの種類を温度検出センサの出力から識別する識別部と、
識別されたユニットの種類に応じて温度検出センサの出力に基づきヒーターへの通電を制御する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ユニットが、前記用紙を挟んで搬送する一対の定着ローラを有し、形成された画像を用紙に定着させる定着ユニットである請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ユニットは、それが本体に装着されたときに、初めて装着されたか否かを制御部に判断させるための初期装着判別手段をさらに有し、
前記制御部は、当該ユニットが初めて装着されたと判断したとき、ヒーターへの通電を制御する前にユニットの種類を識別する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
本体の雰囲気温度を検出する機内温度検出センサをさらに備え、
前記制御部は、ユニットが装着されたときに検出された機内温度が所定温度以下の場合に装着されたユニットの種類を識別し、
識別結果を得た後にヒーターへの通電を制御する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部が、ヒーターへの通電をオンあるいはオフするものであり、
前記通電がオフされてからの時刻を計時するオフ時間計時部をさらに備え、
前記制御部は、前記通電がオフされてから所定時間が経過した後に装着されたユニットの種類を識別し、
識別結果を得た後にヒーターへの通電を制御する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部が、ヒーターへの通電をオンあるいはオフするものであり、
ヒーターの通電時間を計時する通電時間計時部をさらに備え、
前記制御部が、計時された通電時間と各種類のユニットに対して予め定められた通電時間とを比較することにより、本体に装着されるべき種類のユニットか装着されたか否かを判定する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部が、本体に装着されるべきでない種類のユニットが装着されたと判定した場合に、警告を発する警告手段をさらに備える請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記識別部は、前記温度検出センサの出力と予め定められた閾値を比較する電圧比較部を備え、電圧比較部による比較の結果に基づいてユニットの種類を識別する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ユニットが、温度検出センサの出力に含まれる当該センサの周囲温度による誤差を補正するために前記周囲温度に応じた信号を出力する補正用センサをさらに有し、
前記識別部が、前記温度検出センサの出力と補正用センサの出力からユニットの種類を識別し、
前記制御部が、温度検出センサの出力と補正用センサの出力とに基づいてヒーターへの通電を制御し、
前記ユニットが、前記温度検出センサの周囲温度が所定範囲にあるときにその出力によってユニットの種類が識別可能であるようにその出力特性が種類ごとに異なる温度検出センサを有し、
前記識別部は、補正用センサが前記所定範囲の周囲温度に対応する信号を出力するときにユニットの種類を識別する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記所定範囲の周囲温度は、前記ヒーターへの通電によって上昇する前記定着ローラの周囲温度が所定温度以下の範囲である請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記温度検出センサが非接触型の温度センサである請求項9記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記温度検出センサが、前記補正用センサと共にユニット化された非接触型の温度センサである請求項9記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記対象物が、第1および第2の定着ローラからなる前記一対の定着ローラであり、
前記ヒーターが第1の定着ローラを加熱する第1のヒーターと第2の定着ローラを加熱する第2のヒーターからなり、
前記温度検出センサが、第1の定着ローラの温度を検出する第1の温度検出センサと第2の定着ローラの温度を検出する第2の温度検出センサからなり、
前記識別部が、装着された定着ユニットの種類を第1の温度検出センサの出力から識別し、
前記制御部が、識別されたユニットの種類に応じて第1の温度検出センサの出力に基づき第1のヒーターによる加熱を制御し、第2の温度検出センサの出力に基づき第2のヒーターによる加熱を制御する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記定着ユニットが、加熱用の第1のヒーターならびに温度検出用の第1の温度検出センサを有する第1の定着ローラと、加熱用の第2のヒーターを選択的に有し、かつ、温度検知用の第2の温度検出センサを選択的に有する第2の定着ローラとを含んでなり、
前記識別部が、装着された定着ユニットが第2の温度検出センサを有するか否かによってユニットの種類を識別し、
前記制御部は、定着ユニットが第2の温度検出センサを有さないと識別された場合に第1の温度検出センサを用いて第1のヒーターによる加熱を制御し、第2のヒーターによる加熱を行わないように制御する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部が、各種類の定着ユニットについて各定着ローラを加熱する目標温度を予め格納するデータテーブルを有し、前記データテーブルに特定のデータが格納された定着ローラについてはその定着ローラの加熱を行わないように制御する請求項13または14記載の画像形成装置。
【請求項16】
指示に応じて前記温度検出センサにより検出された定着ローラの温度を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部が、前記データテーブルに特定のデータが格納された定着ローラについてはその定着ローラの温度表示を行わないように制御する請求項15記載の画像形成装置。
【請求項17】
対象物の加熱もしくは保温を行うためのヒーターと、対象物の温度を検出して検出した状態に応じた信号を出力する温度検出センサとを有し、前記加熱の目標温度が互いに異なる複数種類のユニットから選択された一つのユニットが本体に装着されたときに、装着されたユニットの種類を温度検出センサの出力から識別し、
識別されたユニットの種類に応じて温度検出センサの出力に基づきヒーターへの通電を制御する方法であって、
前記複数種類のユニットは、その出力によってユニットの種類が識別できるようにその出力特性が種類ごとに異なる温度検出センサを有することを特徴とする装着ユニットの識別方法。
【請求項1】
複数種類から選択され、画像形成装置本体に装着可能な一つのユニットと、前記ユニットを画像形成装置本体に装着するための装着部とを備えた画像形成装置において、
前記ユニットは、対象物の加熱もしくは保温を行うためのヒーターと、対象物の温度を検出して検出した状態に応じた信号を出力する温度検出センサとを有し、その種類ごとに加熱の目標温度が異なり、
前記温度検出センサは、その出力によってユニットの種類が識別できるようにその出力特性がユニット種類ごとに異なるものであり、
前記本体は、装着されたユニットの種類を温度検出センサの出力から識別する識別部と、
識別されたユニットの種類に応じて温度検出センサの出力に基づきヒーターへの通電を制御する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ユニットが、前記用紙を挟んで搬送する一対の定着ローラを有し、形成された画像を用紙に定着させる定着ユニットである請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ユニットは、それが本体に装着されたときに、初めて装着されたか否かを制御部に判断させるための初期装着判別手段をさらに有し、
前記制御部は、当該ユニットが初めて装着されたと判断したとき、ヒーターへの通電を制御する前にユニットの種類を識別する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
本体の雰囲気温度を検出する機内温度検出センサをさらに備え、
前記制御部は、ユニットが装着されたときに検出された機内温度が所定温度以下の場合に装着されたユニットの種類を識別し、
識別結果を得た後にヒーターへの通電を制御する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部が、ヒーターへの通電をオンあるいはオフするものであり、
前記通電がオフされてからの時刻を計時するオフ時間計時部をさらに備え、
前記制御部は、前記通電がオフされてから所定時間が経過した後に装着されたユニットの種類を識別し、
識別結果を得た後にヒーターへの通電を制御する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部が、ヒーターへの通電をオンあるいはオフするものであり、
ヒーターの通電時間を計時する通電時間計時部をさらに備え、
前記制御部が、計時された通電時間と各種類のユニットに対して予め定められた通電時間とを比較することにより、本体に装着されるべき種類のユニットか装着されたか否かを判定する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部が、本体に装着されるべきでない種類のユニットが装着されたと判定した場合に、警告を発する警告手段をさらに備える請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記識別部は、前記温度検出センサの出力と予め定められた閾値を比較する電圧比較部を備え、電圧比較部による比較の結果に基づいてユニットの種類を識別する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ユニットが、温度検出センサの出力に含まれる当該センサの周囲温度による誤差を補正するために前記周囲温度に応じた信号を出力する補正用センサをさらに有し、
前記識別部が、前記温度検出センサの出力と補正用センサの出力からユニットの種類を識別し、
前記制御部が、温度検出センサの出力と補正用センサの出力とに基づいてヒーターへの通電を制御し、
前記ユニットが、前記温度検出センサの周囲温度が所定範囲にあるときにその出力によってユニットの種類が識別可能であるようにその出力特性が種類ごとに異なる温度検出センサを有し、
前記識別部は、補正用センサが前記所定範囲の周囲温度に対応する信号を出力するときにユニットの種類を識別する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記所定範囲の周囲温度は、前記ヒーターへの通電によって上昇する前記定着ローラの周囲温度が所定温度以下の範囲である請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記温度検出センサが非接触型の温度センサである請求項9記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記温度検出センサが、前記補正用センサと共にユニット化された非接触型の温度センサである請求項9記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記対象物が、第1および第2の定着ローラからなる前記一対の定着ローラであり、
前記ヒーターが第1の定着ローラを加熱する第1のヒーターと第2の定着ローラを加熱する第2のヒーターからなり、
前記温度検出センサが、第1の定着ローラの温度を検出する第1の温度検出センサと第2の定着ローラの温度を検出する第2の温度検出センサからなり、
前記識別部が、装着された定着ユニットの種類を第1の温度検出センサの出力から識別し、
前記制御部が、識別されたユニットの種類に応じて第1の温度検出センサの出力に基づき第1のヒーターによる加熱を制御し、第2の温度検出センサの出力に基づき第2のヒーターによる加熱を制御する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記定着ユニットが、加熱用の第1のヒーターならびに温度検出用の第1の温度検出センサを有する第1の定着ローラと、加熱用の第2のヒーターを選択的に有し、かつ、温度検知用の第2の温度検出センサを選択的に有する第2の定着ローラとを含んでなり、
前記識別部が、装着された定着ユニットが第2の温度検出センサを有するか否かによってユニットの種類を識別し、
前記制御部は、定着ユニットが第2の温度検出センサを有さないと識別された場合に第1の温度検出センサを用いて第1のヒーターによる加熱を制御し、第2のヒーターによる加熱を行わないように制御する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部が、各種類の定着ユニットについて各定着ローラを加熱する目標温度を予め格納するデータテーブルを有し、前記データテーブルに特定のデータが格納された定着ローラについてはその定着ローラの加熱を行わないように制御する請求項13または14記載の画像形成装置。
【請求項16】
指示に応じて前記温度検出センサにより検出された定着ローラの温度を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部が、前記データテーブルに特定のデータが格納された定着ローラについてはその定着ローラの温度表示を行わないように制御する請求項15記載の画像形成装置。
【請求項17】
対象物の加熱もしくは保温を行うためのヒーターと、対象物の温度を検出して検出した状態に応じた信号を出力する温度検出センサとを有し、前記加熱の目標温度が互いに異なる複数種類のユニットから選択された一つのユニットが本体に装着されたときに、装着されたユニットの種類を温度検出センサの出力から識別し、
識別されたユニットの種類に応じて温度検出センサの出力に基づきヒーターへの通電を制御する方法であって、
前記複数種類のユニットは、その出力によってユニットの種類が識別できるようにその出力特性が種類ごとに異なる温度検出センサを有することを特徴とする装着ユニットの識別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2007−188032(P2007−188032A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131639(P2006−131639)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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