説明

画像形成装置システム、画像形成装置、プリントデータ送信制御プログラム

【課題】エラーによりプリントが中断した場合であっても、当該中断したプリントを即座に開始することができるようにする。
【解決手段】複合機11Aにおいて、プリント部106でのプリントが中断すると、制御部100が、当該プリントが中断されたプリントデータをデータ送信部1003から別の複合機11Bに送信させる。複合機11Bにおいて、当該プリントデータをデータ受信部1104が受信すると、プリント部116がプリントする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置システム、画像形成装置、プリントデータ送信制御プログラムに関し、特に、エラーによるプリント中断時におけるプリント処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、プリントジョブの実行中に、紙詰まり等のエラーでプリントが中断すると、このエラーが解除されるまで後続のプリントジョブを実行できないため、中断したプリントジョブのキャンセル等が必要になる。しかし、プリントジョブをキャンセルしてしまうと、このキャンセルしたプリントジョブを、再度画像形成装置に送信しなければプリントを再開できない。そのため、特許文献1に示されるように、エラーが発生したプリントジョブを画像形成装置内の記憶装置に保存しておき、ユーザが所望のタイミングでプリントを再開できるようにした画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開2003−305928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に示された画像形成装置の場合、プリント中断の要因となったエラーが当該画像形成装置で解消されない限り、中断しているプリントジョブを再開することができないため、当該画像形成装置でエラーが解消するまで、現在中断しているプリントによるプリント物を得ることができない。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、エラーによりプリントが中断した場合であっても、当該中断したプリントを即座に開始できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の発明は、複数の画像形成装置がネットワーク接続されてなる画像形成システムであって、
前記複数の画像形成装置のうちの第1画像形成装置は、プリントの対象となるプリントデータを取得するプリントデータ取得手段と、プリントデータ取得手段によって取得されたプリントデータをプリントするプリント手段と、前記複数の画像形成装置のうちの第2画像形成装置にプリントデータを送信するデータ送信手段と、前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータを前記データ送信手段から前記第2画像形成装置に送信させる制御手段とを備え、
前記第2画像形成装置は、前記第1画像形成装置のデータ送信手段から受信したプリントデータを受信するデータ受信手段と、このデータ受信手段によって受信されたプリントデータをプリントする第2プリント手段とを備えるものである。
【0006】
この構成では、第1画像形成装置において、プリント手段でのプリントが中断すると、制御手段が、当該プリントが中断されたプリントデータをデータ送信手段から第2画像形成装置に送信させる。そして、第2画像形成装置では、データ受信手段が第1画像形成装置のデータ送信手段から上記プリントデータを受信すると、第2プリント手段が当該プリントデータをプリントする。これにより、第1画像形成装置において紙詰まり等のエラーを要因としてプリントを即座に再開できない場合であっても、これとは異なる別の第2画像形成装置において、当該中断したプリントを即座に開始できる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムであって、前記第1画像形成装置の制御手段は、予め定められた時間が経過しても前記プリントが再開しない場合に、前記プリントが中断されたプリントデータの前記データ送信手段による前記第2画像形成装置への送信を許可するものである。
【0008】
この構成によれば、予め定められた時間が経過してもプリントが再開しない場合に、プリントが中断されているプリントデータが第2画像形成装置に送信されるので、プリントが中断してから比較的早期に第1画像形成装置でプリントを再開できる場合は、操作者がわざわざ別の画像形成装置(第2画像形成装置)の位置まで移動しなくても、第1画像形成装置で残りのプリントを行うことができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成システムであって、前記第1画像形成装置は、前記プリントが中断されたプリントデータの送信先となる画像形成装置を特定する指示を操作者から受け付ける送信先受付手段を備え、前記制御手段は、前記送信先受付手段で受け付けられた指示に基づく画像形成装置を前記第2画像形成装置として、前記データ送信手段から前記プリントが中断されたプリントデータを送信させるものである。
【0010】
この構成では、操作者から指示された画像形成装置を上記第2画像形成装置として、プリントが中断されたプリントデータが送信されるので、操作者は、所望の画像形成装置で当該プリントデータのプリントを行うことができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成システムであって、前記第1画像形成装置は、前記プリントが中断されたプリントデータの送信先となり得る第2画像形成装置を複数検出する送信先検出手段を備え、前記制御手段は、当該送信先検出手段によって検出された複数の第2画像形成装置に対して前記データ送信手段から前記プリントが中断されたプリントデータを送信させるものである。
【0012】
この構成では、第1画像形成装置の制御手段が、送信先検出手段が検出した複数の画像形成装置に対して、プリントが中断されたプリントデータをデータ送信手段から送信させるので、操作者は、プリントが中断されたプリントデータの送信先となる複数の画像形成装置の中から、所望の画像形成装置を選択して、或いは、いずれの画像形成装置によっても、当該プリントデータのプリントを行うことができる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成システムであって、前記第1画像形成装置は、操作者に対するメッセージを報知する報知手段を備え、前記制御手段は、前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータ固有の識別情報と、前記データ送信手段によって当該プリントデータの送信先となる第2画像形成装置を示す送信先特定情報とを前記報知手段に報知させ、
前記第2画像形成装置は、前記プリントが中断されたプリントデータ固有の識別情報の入力を操作者から受け付ける識別情報受付手段と、この識別情報受付手段に受け付けられた前記識別情報が示すプリントデータを、前記第2プリント手段にプリントさせる第2制御手段とを備えるものである。
【0014】
この構成では、第1画像形成装置においては、プリント手段でプリントが中断したとき、制御手段が、当該プリントが中断されたプリントデータ固有の識別情報と、当該プリントデータの送信先となる第2画像形成装置を示す送信先特定情報とを、報知手段により操作者に対して報知させ、第2画像形成装置においては、識別情報受付手段に操作者から識別情報が入力されると、第2制御手段が、この識別情報が示すプリントデータを第2プリント手段にプリントさせる。これにより、操作者が、第2画像形成装置に識別情報を入力した場合に、上記プリントが中断されたプリントデータを第2画像形成装置でプリント可能となるので、操作者がプリントのタイミングを所望のタイミングに調整でき、また、操作者が予期しないタイミングでプリントされてしまうことがないので、プリントデータの秘匿性を確保することができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成システムであって、前記第2画像形成装置は、原稿画像を読み取る原稿読取手段と、この原稿読取手段によって読み取られた原稿画像が、前記データ受信手段によって受信されたプリントデータに含まれているか否かを判定する判定手段と、当該判定手段によって、前記原稿読取手段によって読み取られた原稿画像が含まれていると判定されたプリントデータを、前記第2プリント手段にプリントさせる第3制御手段とを備えるものである。
【0016】
この構成では、第2画像形成装置において、原稿読取手段によって読み取られた原稿画像が、データ受信手段によって受信されたプリントデータに含まれていると判定手段で判定された場合に、第3制御手段が当該プリントデータを第2プリント手段にプリントさせるので、操作者は、第2画像形成装置において識別情報を入力する操作等をしなくても、原稿読取手段に原稿を読み取らせるだけで、プリントの対象とするプリントデータを特定することができる。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成システムであって、前記第2画像形成装置は、操作者からキーワードの入力を受け付けるキーワード受付手段と、このキーワード受付手段によって受け付けられたキーワードが、前記データ受信手段によって受信されたプリントデータに含まれているか否かを判定するキーワード判定手段と、当該キーワード判定手段によって、前記データ受信手段によって受信されたプリントデータが含まれていると判定されたプリントデータを、前記第2プリント手段にプリントさせる第4制御手段とを備えるものである。
【0018】
この構成では、第2画像形成装置において、操作者が、プリントデータに含まれていると想定される文字や記号等のキーワードをキーワード受付手段に入力し、受信したプリントデータに当該キーワードが含まれていることがキーワード判定手段によって判定された場合に、第4制御手段が、当該キーワードを含むプリントデータを第2プリント手段にプリントさせる。これにより、操作者は、プリントデータを特定するための識別情報や、プリントデータがプリントされた原稿を取得していなくても、第2画像形成装置において簡単な操作でプリントデータを特定して、プリントを行うことができる。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成システムであって、前記第1画像形成装置が備える報知手段は、前記ネットワークを介して前記操作者所有の通信情報機器に対して前記識別情報及び送信先情報を送信するものである。
【0020】
この構成では、第1画像形成装置の報知手段が、操作者所有の通信情報機器に対して、プリントデータを示す識別情報と、当該プリントデータが送信された画像形成装置を示す送信先情報とを送信するので、操作者は、第1及び第2画像形成装置から離れた位置にいたとしても、通信情報機器を持参していれば、上記識別情報及び送信先情報を得て、当該識別情報が示すプリントデータのプリントを、当該プリントデータの送信先とされた第2画像形成装置で行うことができる。
【0021】
また、請求項9に記載の発明は、他の画像形成装置とネットワーク接続された画像形成装置であって、
プリントの対象となるプリントデータを取得するプリントデータ取得手段と、
前記プリントデータ取得手段によって取得されたプリントデータをプリントするプリント手段と、
前記他の画像形成装置にプリントデータを送信するデータ送信手段と、
前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータを前記データ送信手段から前記他の画像形成装置に送信させる制御手段と
を備えたものである。
【0022】
また、請求項10に記載の発明は、他の画像形成装置とネットワーク接続された画像形成装置であって、
他の画像形成装置においてプリントが中断されたプリントデータ、及び当該プリントデータ固有の識別情報を、当該他の画像形成装置からネットワークを介して受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段によって受信されたプリントデータをプリントする第2プリント手段と、
前記識別情報の入力を操作者から受け付ける識別情報受付手段と、
前記識別情報受付手段に受け付けられた前記識別情報が示すプリントデータを、前記第2プリント手段にプリントさせる第2制御手段と
を備えたものである。
【0023】
また、請求項11に記載の発明は、プリントの対象となるプリントデータを取得するプリントデータ取得手段と、当該プリントデータ取得手段によって取得されたプリントデータをプリントするプリント手段とを備え、他の画像形成装置とネットワーク接続されている画像形成装置を、
前記他の画像形成装置にプリントデータを送信するデータ送信手段と、
前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータを前記データ送信手段から前記他の画像形成装置に送信させる制御手段と
を備えるものとして機能させるプリントデータ送信制御プログラムである。
【0024】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画出力制御プログラムであって、他の画像形成装置とネットワーク接続されている画像形成装置を、
前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータに固有の識別情報を付与する識別情報付与手段と、
操作者所有の情報通信機器に対して送信する情報送信手段とを備え、
前記識別情報付与手段によって前記プリントデータに前記識別情報が付与されたとき、前記制御手段が、当該識別情報と、前記データ送信手段による当該プリントデータの送信先とされる他の画像形成装置を特定する送信先特定情報とを、前記情報送信手段から操作者所有の情報通信機器に送信させるものとして機能させるものである。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、第1画像形成装置においてエラーによりプリントが中断した場合であっても、これとは異なる別の第2画像形成装置において、当該中断したプリントを即座に開始できる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、プリントが中断しても比較的早期に第1画像形成装置でプリントを再開できる場合は、操作者がわざわざ別の画像形成装置(第2画像形成装置)の位置まで移動しなくても、第1画像形成装置で残りのプリントを行うことができる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、操作者は、プリントが中断されたプリントデータのプリントを所望の画像形成装置において行うことができる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、操作者は、プリントが中断されたプリントデータの送信先となる複数の画像形成装置の中から、所望の画像形成装置を選択して、或いは、いずれの画像形成装置によっても、当該プリントデータのプリントを行うことができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、操作者が、第2画像形成装置に識別情報を入力した場合に、上記プリントが中断されたプリントデータを第2画像形成装置でプリント可能となるので、操作者がプリントのタイミングを所望のタイミングに調整でき、また、操作者が予期しないタイミングでプリントされてしまうことがないので、プリントデータの秘匿性を確保することができる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、操作者は、第2画像形成装置において識別情報を入力する操作等をしなくても、原稿読取手段に原稿を読み取らせるだけで、プリントの対象とするプリントデータを特定することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、操作者は、プリントデータを特定するための識別情報や、プリントデータがプリントされた原稿を取得していなくても、第2画像形成装置において、簡単な操作でプリントデータを特定して、プリントを行うことができる。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、操作者は、第1及び第2画像形成装置から離れた位置にいたとしても、通信情報機器により上記識別情報及び送信先情報を得て、当該識別情報が示すプリントデータのプリントを、当該プリントデータの送信先とされた第2画像形成装置で行うことができる。
【0033】
請求項9及び請求項11に記載の発明によれば、当該画像形成装置において、エラーによりプリントが中断した場合であっても、これとは異なる別の画像形成装置で、当該中断したプリントを即座に開始することが可能になる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、操作者が識別情報を入力した場合に、上記プリントが中断されたプリントデータをプリント可能となるので、操作者がプリントのタイミングを所望のタイミングに調整でき、また、操作者が予期しないタイミングでプリントされてしまうことがないので、プリントデータの秘匿性を確保することができる。
【0035】
請求項12に記載の発明によれば、操作者は、画像形成装置から離れた位置にいたとしても、通信情報機器により上記識別情報及び送信先情報を得て、当該識別情報が示すプリントデータのプリントを、当該プリントデータの送信先とされた画像形成装置で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成システムについて図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成図である。画像形成システム1は、複数の複合機11A,11B…がLAN(Local Area Network)等のネットワークで接続されてなる。複合機11A,11Bは、プリンタ、コピー機等の複数機能を兼ね備えた画像形成装置である。また、画像形成システム1のネットワークには、パーソナルコンピュータ(PC)12、プリンタサーバ13が接続され、ルータ20及びインターネットを介して、電話会社14及びプロバイダ15が接続されている。
【0037】
パーソナルコンピュータ12は、複合機11A、11Bに対して、プリントを行わせるデータ(以下、プリントデータという)を、プリンタサーバ13を介して送信する。なお、図1ではネットワーク接続されるパーソナルコンピュータ12を1台のみ示しているが、当該パーソナルコンピュータの台数は特に制限されない。プリンタサーバ13は、複合機11A,11B…を、ネットワーク上の複数のパーソナルコンピュータで共有可能とするものであり、各パーソナルコンピュータからのプリント要求を受け付け、管理対象となっている複合機11A,11B…を使って順次プリントさせる。
【0038】
また、電話会社14は、PHS(Personal Handyphone System)又は携帯電話等の情報通信機器(以下、単に携帯電話16という)に対して音声通話サービスを提供すると共に、プロバイダとして、携帯電話16にデータ送受信を可能にするためのインターネット接続サービスを提供する。なお、電話会社14自身がインターネット接続サービスを行わなくてもよく、他のプロバイダ団体のサービスを介してインターネット接続を可能にするものであってもよい。なお、携帯電話16は、通常の音声通話機能に加えて、データ送受信機能を備えている。プロバイダ15は、PDA(Personal Digital Assistance)17や、外部のパーソナルコンピュータ18に対してデータ送受信を可能にするためのインターネット接続サービスを提供するものである。
【0039】
複合機11A(第1画像形成装置)を説明する。複合機11Aは、制御部100と、原稿読取部103と、操作部104と、プリント部106と、表示部107と、メモリ108と、HDD109とを備えている。
【0040】
制御部100は、複合機11Aの全体的な動作の制御を司るものであり、複合機11Aに備えられる各部を制御する。制御部100は、コピー動作に伴うプリントや、PC12から受信したプリントデータのプリントが、紙詰まり等のエラーを要因として中断された場合に、プリントデータを複合機11B等の他の複合機に送信するために必要な一連の制御を行う。また、制御部100は、その一部が、送信先検出部1001、データ受信部1002、データ送信部1003、メール送信部1004として機能する。
【0041】
制御部100(制御手段)は、(1)図略のROM等の記憶部に記憶されているプリントデータ送信制御プログラムに従って動作することにより、これら送信先検出部1001、データ受信部1002、データ送信部1003、メール送信部1004として機能するものであってもよいし、(2)制御部100内又は外に、回路で構成された送信先検出部1001、データ受信部1002、データ送信部1003、メール送信部1004を備えるものであってもよい。制御部100は、上記プリントデータ送信制御プログラムに従って動作することにより、後述の図2以降に示すプリントデータ送信処理を実行する。
【0042】
送信先検出部1001(送信先検出手段)は、上記プリントデータの送信制御を行う場合に、プリントデータを送信可能な複合機を検出するものである。データ受信部1002は、プリンタサーバ13からプリントデータを受信するものである。なお、本実施形態では、プリンタサーバ13を介してPC12から複合機11Aがプリントデータを受信する構成を採っているが、プリンタサーバ13を介さず、PC12からデータ受信部1002が直接プリントデータを受信する構成でも構わない。
【0043】
データ送信部1003(データ送信手段)は、プリントが中断した場合にプリントデータを他の複合機11B等に送信したり、この送信対象となるプリントデータを特定するために当該プリントデータに付加された識別情報を他の複合機11B等に送信する等の処理を行う。メール送信部1004は、電子メール形式で、携帯電話16、PDA17、外部PC1に上記プリントデータを特定するための識別情報を送信する処理を行う。
【0044】
原稿読取部103(プリントデータ取得手段)は、CCD等を有する小型撮像装置等からなり、コピーの対象となる原稿上の画像を読み取るものである。操作部104(送信先受付手段)は、操作者から各種指示の入力を受け付けるものであり、本実施形態では、プリント中断時に、当該プリントが中断されたプリントデータの送信先とする複合機を指定する指示を操作者から受け付ける。また、操作部104は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示装置(報知手段)を備え、制御部100の制御により、操作者に対する各種メッセージが表示装置に表示される。
【0045】
プリント部106(プリント手段)は、電子写真方式等の画像形成機構であり、原稿読取部103で読み取られた原稿画像や、PC12から送信されてきたプリントデータを記録紙にプリントする。
【0046】
メモリ108は、RAM等からなり、制御部100によるデータ処理の作業領域として用いられる。メモリ108には、例えば、制御部100により、プリントデータがプリント部106でプリント可能となるようにビットマップ展開されたデータが一時的に記憶される。
【0047】
HDD109(記憶手段)は、原稿読取部103によって読み取られた原稿画像のデータを一時記憶し、また、PC12から送信されてきたプリントデータを一時的に記憶する。本実施形態では、制御部100は、プリント部106によるプリントがエラーにより中断された場合、当該プリントが中断されたプリントデータを、HDD109に記憶させたままとし、当該プリントデータを保護するようになっている。
【0048】
複合機11B(第2画像形成装置)を説明する。複合機11Bは、複合機11Aと同様の構成であるが、本実施形態では、複合機11Bを、複合機11Aにおけるプリント中断時に、複合機11Aからプリントデータを受信してプリントする複合機と位置付けるため、このプリントデータの受信及び当該プリントデータのプリントに必要となる構成を中心に説明する。
【0049】
制御部110(第2制御手段、第3制御手段、第1制御手段)は、複合機11Bの全体的な動作の制御を司るものであり、複合機11Bに備えられる各部を制御する。
【0050】
また、制御部110は、その一部が、判定部1101、キーワード判定部1102、データ送信部1103、データ受信部1104として機能する。
【0051】
判定部1101(判定手段)は、原稿読取部113によって読み取られた原稿画像が、複合機11Aから受信したプリントデータの中に含まれるか否かを判定する。例えば、判定部1101は、原稿読取部113によって読み取られた原稿画像のデータをOCR(Optical Character Reader)機能により文字や記号のキャラクタデータに変換し、この変換されたキャラクタデータが複合機11Aから受信したプリントデータの中に含まれるか否かを判定する。
【0052】
キーワード判定部1102(キーワード判定手段)は、操作部114に操作者から入力された文字又は記号等のキーワードがプリントデータの中に含まれるか否かを判定する。なお、操作部114(識別情報受付手段、キーワード受付手段)は、その一部をなす表示部に、キーボード等が表示され、タッチセンサ機能により当該キーボードから文字や記号等が入力できるようになっている。
【0053】
データ送信部1103は、操作部114に、操作者からプリントデータを示す識別情報が入力された場合に、複合機11Aに対して、当該識別情報が示すプリントデータの送信要求を送信する。
【0054】
データ受信部1104(データ受信手段)は、複合機11Aから、上記プリントが中断されたプリントデータ及びこれに付随する識別情報を受信したり、自らがプリントデータのプリントを行う複合機となる旨の指示を受信する。
【0055】
制御部110は、(1)図略のROM等の記憶部に記憶されているデータ送受信制御プログラムに従って動作することにより、これら判定部1101、キーワード判定部1102、データ送信部1103、データ受信部1104として機能するものであってもよいし、(2)制御部110内又は外に、回路で構成された判定部1101、キーワード判定部1102、データ送信部1103、データ受信部1104を備えるものであってもよい。制御部110は、上記データ送受信制御プログラムに従って動作することにより、後述の図2以降に示すデータ送受信処理を実行する。
【0056】
原稿読取部113(原稿読取手段)は、CCD等を有する小型撮像装置等からなり、コピーの対象となる原稿上の画像を読み取るものであるが、複合機11Bでは、プリントの対象となるプリントデータを特定するために、原稿読取部113で読み取られた原稿画像のデータが、制御部110内の判定部1101に送出されるようになっている。
【0057】
操作部114は、操作者から各種指示の入力を受け付けるものであり、複合機11Bでは、プリントさせたいプリントデータを特定するための識別情報や、プリントデータに含まれているか否かが判別されるキーワード等の入力を、操作者から受け付けるようになっている。操作部114は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示装置を備え、この表示装置には、制御部110の制御により、操作者に対する各種メッセージが表示される。
【0058】
プリント部116(第2プリント手段)は、電子写真方式等の画像形成機構であり、制御部110による制御で、原稿読取部113で読み取られた原稿画像や、PC12から送信されてきたプリントデータ、更に、データ受信部1104が複合機11Aから受信したプリントデータ等を記録紙にプリントする。
【0059】
メモリ118は、制御部110によるデータ処理の作業領域として用いられるもので、例えば、プリントデータがプリント部116でプリント可能となるようにビットマップ展開されたデータが一時的に記憶される。
【0060】
HDD119は、原稿読取部113によって読み取られた原稿画像のデータを記憶し、また、複合機11Aから受信したプリントデータを一時的に記憶する。
【0061】
次に、画像形成システム1によるプリント中断時の処理を説明する。図2は、画像形成システム1の複合機11Aにおけるプリント中断時の処理を示すフローチャート、図3は、画像形成システム1の複合機11Bにおけるプリント中断時の処理を示すフローチャートである。
【0062】
図2を参照して、複合機11Aにおいてコピー動作時にプリントが中断した場合の処理を説明する。複合機11Aで原稿読取部103によりN枚の原稿を読み取って、1部(部数)プリントする場合を例にして説明する。原稿読取部103及びプリント部106により当該コピー動作が行われると(S1,S2)、プリントが1枚行われる度に、制御部100は、当該1枚分のプリントが正常に終了したか、紙詰まり等のエラーにより中断したかを判断する(S3,S4)。制御部100は、正常に1枚分のプリントが終了した場合(S3でYES)、残り枚数を示すカウンタの値Nを1減算し(S15)、減算後の値がN=0でなければ(S16でNO)、処理をS1に戻す。N=0であれば(S16でYES)、制御部100は処理を終了させる。
【0063】
上記1枚分のプリント中に、紙詰まり等のエラーでプリントが中断した場合は(S4でYES)、制御部100は、紙詰まりが生じていても続行可能な原稿読取部103による原稿読取動作をそのまま続行させ、全ての原稿を読み終えた後にプリントを中断させる(S5)。ここで、制御部100は、内蔵のタイマ(図略)により時間計測を開始し、予め定められている時間内(例えば、3分以内等)に紙詰まりが解消されれば(S6でYES)、処理をS2に戻し、残り枚数分のプリントをプリント部106に行わせる。
【0064】
一方、上記予め定められている時間内に紙詰まりが解消されない場合(S6でNO)、制御部100は、HDD109に一時的にスプールされているプリントデータ(原稿読取部103で読み取られた原稿画像のデータ)を、HDD109から消去せずに、そのまま保護してHDD109に記憶させておく(S7)。
【0065】
そして、制御部100は、上記HDD109に保護したプリントデータに、当該プリントデータを特定するための識別情報(例えば、通し番号、ID番号等)を付与し、この識別情報を、当該プリントデータと関連付けてHDD109に記憶させておく(S8)。この識別情報は、プリントが中断された各プリントデータにそれぞれ固有のものとされる。
【0066】
続いて、送信先検出部1001は、複合機11Aとネットワーク接続されている複合機11B…の中から、複合機11Aでのプリント中断中に、当該プリントが中断しているプリントデータのプリントを実行可能な複合機がネットワーク上に存在するか否か検出する(S9)。例えば、送信先検出部1001は、(1)プリンタサーバ13に、現在ネットワーク接続されており、かつ稼働中の複合機が存在するかを問い合わせたり、或いは、(2)ネットワークを介して複合機11Aに接続されている他の複合機を直接検出する。
【0067】
プリント可能な他の複合機がネットワーク上に存在しない場合(S9でNO)、制御部100は、複合機11Aで紙詰まりが解消されるまでプリントの再開を待機させ(S13)、紙詰まりが解消されれば(S13でYES)、プリント部106に、HDD109に保護されているプリントデータのプリントを再開させる(S14)。
【0068】
また、プリント可能な他の複合機がネットワーク上に存在する場合(S9でYES)、制御部100は、検出されたプリント可能な複合機と(いずれの複合機でプリントが可能であるかの情報)、上記S8で付与されたプリントデータの識別情報とを、操作部104の表示装置に表示させ、操作者に対して報知する(S10)。この表示後、表示されている複合機に対して、当該プリント中断されているプリントデータを送信させる旨の指示が、操作者から操作部104に入力された場合は(S11でYES)、制御部100は、上記プリント可能な他の複合機に対して、データ送信部1003から、HDD109に保護されているプリントデータ及びこのプリントデータに付与されている識別情報を送信させる(S12)。
【0069】
なお、S11において、操作者からデータ送信指示の入力が操作部104に受け付けられかった場合は(S11でNO)、制御部100は、処理をS13に移す。
【0070】
続いて、図3を参照して、複合機11Aから上記プリントデータを受信する複合機11Bにおける処理を説明する。複合機11Aにおいて、操作者からのデータ送信指示が操作部104に受け付けられ(S11)、データ送信部1003からプリントデータが複合機11Bに送信されると(S12)、当該プリントデータのプリントが可能であるとして検出された複合機11Bは、データ受信部1104により、当該プリントデータ及びこれに付随する識別情報を受信する(S21)。そして、操作部114に、操作者から、プリントしたいプリントデータを特定するための識別情報が入力されると(S22でYES)、制御部110は、入力された識別情報が、複合機11Aから受信した識別情報と一致するか否かを判断する(S23)。識別情報が一致した場合(S23でYES)、制御部110は、プリント部116に、データ受信部1104が受信したプリントデータをプリントさせる(S24)。
【0071】
識別情報が一致しない場合(S23でNO)、制御部110は、プリントデータのプリントをプリント部116に行わせることなく、処理を終了する。なお、複合機11Aから、データ受信部1104が複数のプリントデータ及びこれらに付随する各識別情報を受信している場合は、制御部110は、操作部114に入力された識別情報に一致する識別情報を有するプリントデータをHDD119から検出し、検出されたプリントデータをプリント部116にプリントさせる。
【0072】
また、上記S22において、操作者から、操作部114に識別情報が入力されない場合は(S22でNO)、制御部110は、受信したプリントデータのプリント等を行わせることなく、複合機11Bに通常動作(上記受信したプリントデータのプリント等とは無関係の通常のコピー動作やプリント動作)を行わせる(S25)。
【0073】
複合機11Aにおいてコピー動作時にプリントが中断した場合の処理の第2実施形態を説明する。図4は、複合機11Aにおけるプリント中断時の処理の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、図4では、図2に示した処理と同様の処理は同符号を付して説明を省略する。
【0074】
上記図2に示した複合機11Aによる処理の第1実施形態では、送信先検出部1001が、複合機11Aでプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータをプリントすることが可能な複合機を送信先検出部1001が検出し、検出した複合機に対して当該プリントデータを送信するようにしていたが、第2実施形態では、当該検出は行わず、予め操作者によって指定されている複合機と、上記プリントデータに付与された識別情報とを操作部104の表示装置に表示させ(S31)、操作者により操作部104にプリントデータ送信指示が入力された場合に(S11でYES)、既に指定されている上記複合機に対して、制御部100が、データ送信部1003からプリントデータ及び識別情報を送信する(S32)。この場合、プリントデータの送信先とする複合機の指定は、操作部104に入力される操作者からの指示に基づくものとすればよい。
【0075】
また、上記第1及び第2実施形態では、S11において、操作者から、プリントデータの送信指示が操作部104に入力された場合にのみ、複合機11Aから複合機11Bに対してプリントデータを送信するようにしていたが、S11の処理を行わず、制御部100が、データ送信部1003から、プリント可能な複合機に対して、又は指定されている複合機に対して、自動的にプリントデータを送信するようにしてもよい。
【0076】
続いて、複合機11Aから上記プリントデータを受信する複合機11Bにおける処理の第2実施形態を説明する。図5は、複合機11Bにおけるプリント中断時の処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【0077】
上記図3に示した複合機11Bによる処理の第1実施形態では、複合機11Bにおいて、複合機11Aから受信したプリントデータのプリントを行う場合は、複合機11Bの操作部114に操作者から識別情報が入力され、この識別情報と、受信したプリントデータに付随する識別情報が一致した場合にプリントを行うようにしていたが(図3のS23)、第2実施形態では、上記プリントデータに基づいて複合機11Aで既にプリントが終了している記録紙を、複合機11Bの原稿読取部113に原稿として読み取らせると(S41で「読取」)、原稿読取部113で読み取られた原稿画像のデータを、判定部1101が、OCR機能により文字や記号のキャラクタデータに変換し(S43)、この変換されたキャラクタデータが、複合機11Aから受信した上記プリントデータの中に含まれるか否かを判定する(S44)。判定部1101によって、上記変換された文字等が、受信したプリントデータの中に含まれていると判定された場合には(S44でYES)、制御部110が、プリント部116に、上記プリントデータのプリントを行わせる(S24)。
【0078】
このようにすれば、操作者は、複合機11Bの操作部114に識別情報を入力する操作等をしなくても、原稿読取部113に原稿を読み取らせるだけで、プリントするプリントデータを特定して、複合機11Bでプリントを行うことができる。なお、S41において、操作者により操作部114に識別情報が入力された場合はS23の処理とされ、原稿読取及び識別情報入力のいずれもなかった場合は、S25の処理とされる。
【0079】
続いて、上記複合機11Bの処理の第3実施形態を説明する。図6は、複合機11Bにおけるプリント中断時の処理の第3実施形態を示すフローチャートである。なお、図6では、図5に示した処理と同様の処理は、同符号を付して説明を省略する。
【0080】
この第3実施形態では、複合機11Bの操作部114に、操作者が、複合機11Bで受信されたプリントデータの中に含まれていると想定する文字や記号等のキーワードを操作部114に入力すると(S51で「キーワード」)、キーワード判定部1102が、入力されたキーワードが、複合機11Aから受信したプリントデータの中に含まれるか否かを判定し(S52)、上記入力されたキーワードが、受信したプリントデータの中に含まれていると判定した場合に(S52でYES)、制御部110が、プリント部116に、上記プリントデータのプリントを行わせる(S24)。このようにすれば、操作者は、プリントデータを特定するための識別情報や、プリントデータがプリントされた記録紙を取得していなくても、複合機11Bにおいて、簡単な操作でプリントデータを特定して、複合機11Aでプリント中断したプリントデータのプリントを行うことができる。
【0081】
上記図5及び図6に示した第2及び第3実施形態では、受信したプリントデータの中に、OCR処理されたキャラクタが含まれるか、操作部114に入力されたキーワードが含まれるかの判定を行っているが、例えば、複合機11Bが、複合機11Aから受信した制御言語によるプリントデータを、文字や記号を示すキャラクタコードに一旦変換し、この変換後のキャラクタコード群の中に、判定部1101でOCR処理されたキャラクタコードが存在するか否かで判定する。
【0082】
なお、上記図5及び図6に示した第2及び第3実施形態では、受信したプリントデータの中に、OCR処理されたキャラクタが含まれるか、操作部114に入力されたキーワードが含まれるかと共に、操作部114に入力された識別情報が一致するかに基づいても、プリントデータを特定できるようになっているが、この識別情報に基づくプリントデータの特定を行わず、OCR処理されたキャラクタが含まれるか、操作部114に入力されたキーワードが含まれるかの処理だけで、プリントの対象とするプリントデータを特定するようにしてもよい。
【0083】
次に、画像形成システム1によるプリント中断時の処理について、更に他の実施形態を説明する。図7は、この場合における複合機11Aの処理を示すフローチャート、図8は、この場合における複合機11Bの処理を示すフローチャートである。なお、図2乃至図5で示した処理と同様の処理は同符号を付して説明を省略する。
【0084】
図2乃至図5に示した各実施形態では、複合機11Aは、複合機11Bに対するプリントデータの送信指示が操作部104に入力された場合に、複合機11Bに対してプリントデータを送信していたが(又は自動的に複合機11Bにプリントデータを送信していたが)、図7及び図8に示す本実施形態では、プリントデータの送信先となる複合機11Bの操作部114に、プリントデータを特定する識別情報が操作者から入力された場合に(S71でYES)、複合機11Bの制御部110が、データ送信部1103から、複合機11Aに対して、当該識別情報が示すプリントデータの送信を要求する(S72)。複合機11Aでは、この送信要求を複合機11Bから受けた場合(S61でYES)、制御部100が、当該送信を要求してきた複合機11Bに対して、データ送信部1003から、上記識別情報が示すプリントデータを送信する(S62)。複合機11Bでは、上記送信要求に応答したプリントデータを複合機11Aから受信すると(S73でYES)、制御部110が、当該受信したプリントデータを、プリント部116にプリントさせる(S24)。なお、複合機11Bから、複合機11Aに対してプリントデータの送信要求がない場合は(S61でNO)、複合機11Aにおいては、紙詰まりが解消するまでプリントを待機させ(S13)、紙詰まり解消後に(S13でYES)、プリントを再開する(S14)。
【0085】
これによれば、操作者が、送信先とされる複合機11Bに識別情報を入力するまでは、当初コピー動作を行っていた複合機11A以外の複合機にプリントデータが送信されることがなく、しかも、複合機11Bに操作者が識別情報を入力した時点では、複合機11Bの位置には既に操作者がいることになるので、複合機11Bでプリントアウトされるプリント物の秘匿性を保守することができる。
【0086】
次に、複合機11Aによる処理の第3実施形態について説明する。図9は、複合機11Aによる処理の第3実施形態を示すフローチャートである。この場合において、プリントデータの送信先とされる複合機11Bによる処理は、図8に示した処理と同様である。なお、図9では、図2、図4及び図7で示した処理と同様の処理は、同符号を付して説明を省略する。
【0087】
この第3実施形態では、複合機11Aにおいて、送信先検出部1001によって、プリントテータのプリントが可能な複合機11Bが検出された場合には(S9でYES)、制御部100は、メール送信部105から、上記検出された複合機と、プリントが中断しているプリントデータに付随する識別情報とを、操作者所有の携帯電話16、PDA17又は外部PC18等の情報通信機器に対して、電子メール形式で送信させる(S81)。
【0088】
操作者が、携帯電話16、PDA17又は外部PC18等で受信した電子メールの内容を見て、プリントデータの送信先とされる複合機11B、及びプリントデータの識別情報を取得すると、操作者は、送信先とされる複合機11Bの操作部114に、取得した識別情報を入力する。複合機11Bの操作部114に操作者から識別情報が入力されると(S71)、制御部110が、データ送信部1103から、複合機11Bに対して、入力された識別情報が示すプリントデータの送信を要求する(S72)。複合機11Aは、複合機11Bからのプリントデータの送信要求を受けて(S61でYES)、複合機11Bにプリントデータを送信する(S62)。
【0089】
これによれば、操作者は、複合機11A、11Bから離れた位置にいたとしても、携帯電話16等の上記通信情報機器を持参している限り、送信先となる複合機の情報と、プリントデータの識別情報とを得て、当該識別情報が示すプリントデータのプリントを、当該プリントデータの送信先とされた複合機11Bで行うことができる。
【0090】
なお、第3実施形態では、複合機11Aが、複合機11Bからプリントデータの送信要求を受けた場合に、複合機11Bにプリントデータを送信するようにしているが、プリント可能な複合機、又は操作者により既に指定されている複合機に対して、自動的にプリントデータを送信するようにしてもよい。
【0091】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、複合機11Aの処理において、紙詰まり等のエラーが所定時間内に解消しない場合に(S6でNO)、複合機11Bにプリントデータを送信するための処理を行うようになっているが(S7以降)、このS6の処理を行わず、紙詰まり等のエラーによりプリント中断すれば直ちにS7以降の処理を行うようにしてもよい。
【0092】
また、上述した複合機11Aによる処理の各記実施形態においては、S9でプリント可能な他の複合機が複数検出されている場合や、操作者によりプリントデータの送信先として複数の複合機が指定されている場合には、制御部100が、操作部104の表示装置に、検出された全ての複合機を表示させ、(1)操作者からのデータ送信指示に基づいて、全ての複合機に対してプリントデータを送信してもよいし、(2)操作者によって選択された複合機に対してのみプリントデータを送信するようにしてもよい。
【0093】
また、上記複合機11Aによる処理の各実施形態において、複合機11Bに対して送信するプリントデータは、(1)HDD109に保護されている全ページ分のプリントデータ全てとしてもよいし、(2)既に複合機11Aでプリントを終了しているページ分のプリントデータを除いたプリントデータのみとしてもよい。
【0094】
また、上記各実施形態では、複合機11A,11Bの処理は、複合機11Aでコピー動作を行う場合を例にして説明したが、ネットワーク上のPC12からデータ受信部1002が受信したプリントデータをプリントする場合にも適用可能である。この場合、複合機11Aのデータ受信部1002(プリントデータ取得手段)がPC12から受信したプリントデータに基づいて、プリント部106でプリントが1枚ずつ行われる度に、S2〜S4で示した処理を行うようにする。
【0095】
また、上記各実施形態では、複合機11Aにおいてプリントが中断した場合に、当該中断したプリントの対象となっているプリントデータを複合機11Bに対して送信するものとしているが、このプリントデータを受信した複合機11Bにおいてもプリントが中断した場合には、複合機11Bが更に他の複合機に対してプリントデータを送信するようにしてもよい。この場合、複合機11Bにおけるプリントデータ送信処理は、複合機11Aによる場合と同様であり、制御部110は、複合機11Aから受信したプリントデータのプリントが紙詰まり等のエラーを要因として複合機11Bで中断された場合、当該プリントデータをHDD119に記憶させたままで保護し、データ送信部1103から当該プリントデータを更に他の複合機に送信するようにする。
【0096】
また、上記実施形態では、画像形成システム1を構成する画像形成装置を、複合機として説明しているが、これは複合機に限定されず、コピー機やプリンタ等の他の画像形成装置であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システム1の構成図である。
【図2】画像形成システム1によるプリント中断時の処理を示す図であり、複合機11Aにおけるプリント中断時の処理を示すフローチャートである。
【図3】画像形成システムによるプリント中断時の処理を示す図であり、複合機11Bにおけるプリント中断時の処理を示すフローチャートである。
【図4】複合機11Aにおけるプリント中断時の処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図5】複合機11Bにおけるプリント中断時の処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図6】複合機11Bにおけるプリント中断時の処理の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図7】画像形成システム1によるプリント中断時の処理の更に他の実施形態を示す図であり、複合機11Aの処理を示すフローチャートである。
【図8】画像形成システム1によるプリント中断時の処理の更に他の実施形態を示す図であり、複合機11Bの処理を示すフローチャートである。
【図9】複合機11Aによる処理の第3実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成システム
11A,11B 複合機
100 制御部
1001 送信先検出部
1002 データ受信部
1003 データ送信部
1004 メール送信部
103 原稿読取部
104 操作部
105 メール送信部
106 プリント部
107 表示部
108 メモリ
11B 複合機
110 制御部
1101 判定部
1102 キーワード判定部
1103 データ送信部
1104 データ受信部
113 原稿読取部
114 操作部
116 プリント部
118 メモリ
12 パーソナルコンピュータ
16 携帯電話
17 PDA
18 外部パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成装置がネットワーク接続されてなる画像形成システムであって、
前記複数の画像形成装置のうちの第1画像形成装置は、プリントの対象となるプリントデータを取得するプリントデータ取得手段と、プリントデータ取得手段によって取得されたプリントデータをプリントするプリント手段と、前記複数の画像形成装置のうちの第2画像形成装置にプリントデータを送信するデータ送信手段と、前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータを前記データ送信手段から前記第2画像形成装置に送信させる制御手段とを備え、
前記第2画像形成装置は、前記第1画像形成装置のデータ送信手段から受信したプリントデータを受信するデータ受信手段と、このデータ受信手段によって受信されたプリントデータをプリントする第2プリント手段とを備える画像形成システム。
【請求項2】
前記第1画像形成装置の制御手段は、予め定められた時間が経過しても前記プリントが再開しない場合に、前記プリントが中断されたプリントデータの前記データ送信手段による前記第2画像形成装置への送信を許可する請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1画像形成装置は、前記プリントが中断されたプリントデータの送信先となる画像形成装置を特定する指示を操作者から受け付ける送信先受付手段を備え、前記制御手段は、前記送信先受付手段で受け付けられた指示に基づく画像形成装置を前記第2画像形成装置として、前記データ送信手段から前記プリントが中断されたプリントデータを送信させる請求項1又は請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1画像形成装置は、前記プリントが中断されたプリントデータの送信先となり得る第2画像形成装置を複数検出する送信先検出手段を備え、前記制御手段は、当該送信先検出手段によって検出された複数の第2画像形成装置に対して前記データ送信手段から前記プリントが中断されたプリントデータを送信させる請求項1又は請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第1画像形成装置は、操作者に対するメッセージを報知する報知手段を備え、前記制御手段は、前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータ固有の識別情報と、前記データ送信手段によって当該プリントデータの送信先となる第2画像形成装置を示す送信先特定情報とを前記報知手段に報知させ、
前記第2画像形成装置は、前記プリントが中断されたプリントデータ固有の識別情報の入力を操作者から受け付ける識別情報受付手段と、この識別情報受付手段に受け付けられた前記識別情報が示すプリントデータを、前記第2プリント手段にプリントさせる第2制御手段とを備える請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第2画像形成装置は、原稿画像を読み取る原稿読取手段と、この原稿読取手段によって読み取られた原稿画像が、前記データ受信手段によって受信されたプリントデータに含まれているか否かを判定する判定手段と、当該判定手段によって、前記原稿読取手段によって読み取られた原稿画像が含まれていると判定されたプリントデータを、前記第2プリント手段にプリントさせる第3制御手段とを備える請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第2画像形成装置は、操作者からキーワードの入力を受け付けるキーワード受付手段と、このキーワード受付手段によって受け付けられたキーワードが、前記データ受信手段によって受信されたプリントデータに含まれているか否かを判定するキーワード判定手段と、当該キーワード判定手段によって、前記データ受信手段によって受信されたプリントデータが含まれていると判定されたプリントデータを、前記第2プリント手段にプリントさせる第4制御手段とを備える請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記第1画像形成装置が備える報知手段は、前記ネットワークを介して前記操作者所有の通信情報機器に対して前記識別情報及び送信先情報を送信する請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項9】
他の画像形成装置とネットワーク接続された画像形成装置であって、
プリントの対象となるプリントデータを取得するプリントデータ取得手段と、
前記プリントデータ取得手段によって取得されたプリントデータをプリントするプリント手段と、
前記他の画像形成装置にプリントデータを送信するデータ送信手段と、
前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータを前記データ送信手段から前記他の画像形成装置に送信させる制御手段と
を備えた画像形成装置。
【請求項10】
他の画像形成装置とネットワーク接続された画像形成装置であって、
他の画像形成装置においてプリントが中断されたプリントデータ、及び当該プリントデータ固有の識別情報を、当該他の画像形成装置からネットワークを介して受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段によって受信されたプリントデータをプリントする第2プリント手段と、
前記識別情報の入力を操作者から受け付ける識別情報受付手段と、
前記識別情報受付手段に受け付けられた前記識別情報が示すプリントデータを、前記第2プリント手段にプリントさせる第2制御手段と
を備えた画像形成装置。
【請求項11】
プリントの対象となるプリントデータを取得するプリントデータ取得手段と、当該プリントデータ取得手段によって取得されたプリントデータをプリントするプリント手段とを備え、他の画像形成装置とネットワーク接続されている画像形成装置を、
前記他の画像形成装置にプリントデータを送信するデータ送信手段と、
前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータを前記データ送信手段から前記他の画像形成装置に送信させる制御手段と
を備えるものとして機能させるプリントデータ送信制御プログラム。
【請求項12】
他の画像形成装置とネットワーク接続されている画像形成装置を、
前記プリント手段によるプリントが中断したとき、当該プリントが中断されたプリントデータに固有の識別情報を付与する識別情報付与手段と、
操作者所有の情報通信機器に対して送信する情報送信手段とを備え、
前記識別情報付与手段によって前記プリントデータに前記識別情報が付与されたとき、前記制御手段が、当該識別情報と、前記データ送信手段による当該プリントデータの送信先とされる他の画像形成装置を特定する送信先特定情報とを、前記情報送信手段から操作者所有の情報通信機器に送信させるものとして機能させる請求項11に記載のプリントデータ送信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−226291(P2007−226291A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43492(P2006−43492)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】