説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】 ヘッダ情報が付加されたデータの処理を良好に行うことができ、特に転送指示情報を含むヘッダ情報が付加されたデータの転送処理を良好に行うことのできる画像形成装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】 コンピュータ装置3−1〜3−n等を有するネットワーク5に接続され、少なくとも前記コンピュータ装置等とデータの送受信を行うデータ送受信部と、受信したデータに付加されたヘッダ情報を認識するヘッダ情報認識/処理部16と、ヘッダ情報に基づきデータの各種制御を行うジョブ制御部17と、データの出力を行う出力処理部18とを備え、前記ヘッダ情報認識/処理部16で認識したヘッダ情報内に前記データの転送指示情報がある場合には、前記ジョブ制御部17において前記転送指示情報をヘッダ部とし、それ以外のデータをデータ部として分割し、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて、前記データ部を転送する画像形成装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に画像形成装置に送信されるデータをそのデータに付加された情報に基づいた円滑な処理を可能とした画像形成装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや、プリンタを含む複数の機能を有するデジタル複合機(以下、総称して画像形成装置という)等は、企業等においてはネットワークを介して複数のコンピュータ装置(例えばPC)、あるいは他の画像形成装置に接続され、使用されている。
【0003】
ところで、このような使用が行われている画像形成装置には、様々なデータが送られており、画像形成装置ではそれらのデータを、データに付加された情報(ヘッダ情報)に基づいて、印字出力を行ったり、転送処理を行ったりしている。このように、受信した種々のデータを処理するものは、特許公報にも多く紹介されており、例えば、下記特許文献1(特開2001−125850号公報)にも紹介されている。
【0004】
下記特許文献1に記載の通信装置は、電子メールを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された電子メールに付加された情報に基づいて、前記電子メールの文書フォームを変換する変換手段を有する。
【0005】
また、印刷機能を有する通信装置において、電子メールを受信する受信手段と、電子メールの転送先と電子メールのヘッダ部分のデータとを対応づける条件を格納する格納手段と、受信した電子メールのヘッダ部分と前記格納手段に格納されている条件に基づいて、受信した電子メールを他の通信装置へ転送するか印刷出力するかを判定する判定手段と、前記受信した電子メールを所定の文書フォームに整形し、更に、必要に応じて転送先の装置に出力可能なデータに変換する変換手段と、前記判定手段による判定に応じて、前記変換手段により変換されたデータを前記印刷機能により印刷する印刷手段と、前記判定手段による判定に応じて、前記変換手段により変換されたデータを転送先に転送する転送手段とを備え、前記受信した電子メールが電子メールで転送される場合には、前記受信した電子メールの文書フォームを変換すること無く転送し、前記印刷手段により印刷する場合には、前記変換手段により変換されたデータを印刷させるように制御する制御手段を有する通信装置を提供する。
【0006】
すなわち、下記特許文献1の通信装置によれば、格納手段に格納された条件に基づいて受信した電子メールの以降の処理を判定し、必要に応じて文書フォームを変更することが可能な通信装置について開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−125850号公報(段落[0007]〜[0008])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の通信装置において、予めデータ内に転送指示情報が付加された、例えば画像データ等を受信した場合、その転送指示情報に従って転送が行われたデータに前記転送指示情報が残ったまま転送が行われるため、転送先のコンピュータ装置、あるいは画像形成装置等が、その転送指示情報を実行してしまう可能性があり、その場合、転送先が、前記コンピュータ装置、あるいは画像形成装置自身のため、データの送受信を繰り返すいわゆる無限ループ状態に陥る可能性がある。これにより、コンピュータ装置あるいは画像形成装置がビジー状態に陥り、他の処理に支障を来たす可能性があった。
【0009】
本発明者は上記問題点に鑑み、データの転送処理を円滑に行うことのできる画像形成装置を種々検討した結果、データ転送を行う際には、データ転送を行う前にそのデータのヘッダ情報内の転送指示情報を削除したのちにデータの転送を行うようになせば、上述のような問題は発生しないことに気づき、本発明に至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、ヘッダ情報が付加されたデータの処理を良好に行うことのできる画像形成装置を提供することであり、特に転送指示情報を含むヘッダ情報が付加されたデータの転送処理を良好に行うことのできる画像形成装置を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、ヘッダ情報が付加されたデータの処理を良好に行うことができ、特に転送指示情報を含むヘッダ情報が付加されたデータの転送処理を良好に行うことのできる画像形成装置を実現するプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の画像形成装置は、複数のコンピュータ装置等を有するネットワークに接続し得る画像形成装置であって、少なくとも、
前記ネットワークを介して前記コンピュータ装置等とデータの送受信を行うデータ送受信部と、
前記受信手段で受信したデータに付加されたヘッダ情報を認識するヘッダ情報認識/処理部と、
前記ヘッダ情報に基づき、前記データの各種制御を行うジョブ制御部と、
前記ジョブ制御部からの出力指示に従ってデータの出力を行う出力処理部と、
を備え、
前記ヘッダ情報認識/処理部で認識したヘッダ情報内に前記データの転送指示情報がある場合には、前記ジョブ制御部において前記転送指示情報をヘッダ部とし、それ以外のデータをデータ部として分割し、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて、前記データ部を転送することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置に係り、前記出力処理部は、前記ヘッダ情報認識/処理部で認識したヘッダ情報内に、前記転送指示情報に加えて印刷指示情報がある場合には、前記データ部の転送を行うと共に前記データの印字出力を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置に係り、前記ジョブ制御部は、前記ヘッダ情報認識/処理部で認識した情報内に、前記データの文書フォームの変換指示情報がある場合には、前記データの文書フォームの変換を行ったのち、前記データ部の転送を行うようになしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置に係り、前記ヘッダ情報認識/処理部で認識したヘッダ情報内に前記データの転送指示情報が複数個ある場合には、前記ヘッダ情報内の先頭に位置する転送指示情報をヘッダ部とし、それ以外のデータをデータ部として分割し、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて、前記データ部を転送することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置に係り、前記転送指示情報内の転送先がコンピュータ装置である場合には、データに付加されたヘッダ情報をすべて削除したのち、転送を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項6に記載のプログラムは、複数のコンピュータ装置等を有するネットワークに接続し得る画像形成装置を構成するコンピュータに、少なくとも、
前記ネットワークを介して前記コンピュータ装置等とデータの送受信を行わせる処理と、
受信したデータに付加されたヘッダ情報を認識する処理と、
前記ヘッダ情報に基づき、前記データの各種制御を行わせる処理と、
前記制御により、データの出力を行わせる処理と、を実行させ、
前記認識したヘッダ情報内に前記データの転送指示情報がある場合には、前記転送指示情報をヘッダ部とし、それ以外のデータをデータ部として分割する処理と、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて、前記データ部を転送する処理を実行させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のプログラムに係り、前記コンピュータに、前記データに付加されたヘッダ情報内に、前記転送指示情報に加えて印刷指示情報がある場合は、前記データ部を転送する処理と共に印刷処理を実行させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のプログラムに係り、前記コンピュータに、前記データに付加されたヘッダ情報内に、前記データの文書フォームの変換指示情報がある場合は、前記データ部の転送処理と共に前記データの文書フォームの変換処理を実行させることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項6に記載のプログラムに係り、前記コンピュータに、前記ヘッダ情報内に前記データの転送指示情報が複数個ある場合には、前記ヘッダ情報内の先頭に位置する転送指示情報をヘッダ部とし、それ以外のデータをデータ部として分割する処理と、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて、前記データ部を転送する処理を実行させることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項6に記載のプログラムに係り、前記コンピュータに、前記転送指示情報内の転送先がコンピュータ装置である場合には、データに付加されたヘッダ情報をすべて削除する処理と、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて転送する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1によれば、受信したデータ内の転送指示情報をヘッダ部とし、前記ヘッダ部以外のデータをデータ部として分割し、データ部のみを転送することにより画像形成装置が受信したデータのヘッダ情報内に転送指示情報が削除されずに残ることによるデータ転送の無限ループの発生を未然に防ぐことができるようになる。また、データ転送を良好に行えるようになることにより、タンデム印刷が可能となる。
【0023】
請求項2によれば、画像形成装置の受信したデータが、データ転送と印字出力の両方を行いたいような場合に、両方の処理を並行して行うことができるようになり、ネットワークに接続されたコンピュータ装置を利用するユーザの手間を省略することができるようになる。
【0024】
請求項3によれば、例えば一般に画像形成装置に送信されるデータはPDL(ページ記述言語)形式であるが、データ転送時には前記PDLにより印刷を行った後の形式(画像データ等)に変換して転送するなど、ネットワーク間のデータのやりとりをより円滑に行うことができるようになる。
【0025】
請求項4によれば、データの転送を画像形成装置を介して複数台の他の画像形成装置に送信したい場合であっても、転送されるごとに、転送を行った画像形成装置が行った処理に該当する転送指示情報のみがヘッダ部として分割され、転送先の画像形成装置には前記ヘッダ部のないデータ部が送信されるようになるので、同様の処理を転送される画像形成装置ごとに行えば、複数の画像形成装置に順次転送を行うことができるようになる。
【0026】
請求項5によれば、画像形成装置からコンピュータ装置(例えばPC)に送信する際には、受信したデータに付加されたヘッダ情報を削除することにより、コンピュータ装置が印刷指示情報を受け取ったりすることがなく、良好なデータ転送を行うことができるようになる。
【0027】
請求項6〜10によれば、前記請求項1〜5に記載の画像形成装置を実現させるプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための画像形成装置を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の画像形成装置が接続されているネットワーク環境の一例を示す概略説明図、図2は、本発明の画像形成装置の各構成を示すブロック図、図3は、本発明の一実施例に係る画像形成装置にデータを送信する際のコンピュータ装置側の処理を説明するフローチャート、図4は、本発明の一実施例に係る画像形成装置が所定のデータを受信した際の画像形成装置側の処理を説明するフローチャート、図5は、本発明の一実施例に係る画像形成装置がデータの転送を行う際の処理を示すフローチャート、図6は、本発明の一実施例に係る画像形成装置に送信されるデータの一例を分かりやすく説明した図であり、図6(a)は画像形成装置が受信したデータを示す図、図6(b)は画像形成装置で所定の処理を行ったデータを示す図、図6(c)は画像形成装置で処理されたのち、他の画像形成装置等に転送されるときのデータを示す図、図7は、画像形成装置に送信されるデータに付加されたヘッダ情報の構成例を示す図、図9(a)は、第1実施例の転送先の一例を分かりやすく示した図である。
【0030】
本発明の一実施例の画像形成装置1は、図1に示すように、複数のコンピュータ装置(PC)3−1、3−2、・・・、3−n、他の画像形成装置2−1、2−2、・・・、2−n、及びプリンタ4−1等がLAN(Local Area Network)等を介して接続されたネットワーク環境内に接続されており、コンピュータ装置等から種々のデータが送られ、そのデータごとに処理が行われる。
【0031】
本発明の画像形成装置の基本的な構造を図2を参照して説明する。ただし、本実施例の画像形成装置は、プリンタ機能、複写機能、ファクシミリ機能等を有するMFP(Multi Function Printer)として説明するが、これに限らず、例えばプリンタ機能単独の装置においても適応可能であることは言うまでもない。
本発明の画像形成装置1は、各種ホストインタフェース11と、操作部12と、スキャナ部13と、ファクシミリ部14と、外部メモリインタフェース15と、ヘッダ情報認識/処理部16と、ジョブ制御部17と、出力処理部18と、印刷部19と、内部メモリ20と、情報記憶部24とからなる。
【0032】
前記各種ホストインタフェース11、スキャナ部13、ファクシミリ部14、及び外部メモリインタフェース15は、画像処理装置1のデータ送受信部であり、ネットワーク5を介して接続された複数のコンピュータ装置3−1、・・・、3−nから送信される出力データを受信する各種ホストインタフェース11と、データの読み取り等を行うスキャナ部13と、FAXの送受信を公衆電話回線22を介して行うファクシミリ部14と、半導体メモリ、あるいはFD等の種々の外部メモリ23とのデータの受け渡しを行う外部メモリインタフェース15からなる。
【0033】
操作部12は、画像形成装置1の種々の設定を行ったり、画像形成装置1の状態を確認したりする部分であり、タッチパネル式の操作が可能となっている。また、より操作しやすくするために、別途表示パネル26を設けるようにしても良い。
【0034】
ヘッダ情報認識/処理部16は、前記種々のデータ入力手段から受信されるデータのヘッダ情報を認識し、所定の処理を行う部分であり、その詳細な説明は以下に詳細に述べ、ここでは省略する。
【0035】
ジョブ制御部17は、前記ヘッダ情報認識/処理部16で認識した各種指示情報を基に、受信したデータを制御するものである。また、情報記憶部24は、前記ジョブ制御部17での制御を行うに際して、予め操作部12等により設定された事項などを記憶したり、受信データの記憶を行ったりする部分である。
【0036】
出力処理部18は、前記ヘッダ情報認識/処理部16、あるいはジョブ制御部17で認識された様々な出力形式にあわせて、各データを、各種ホストインタフェース11、ファクシミリ部14、外部メモリインタフェース15、印刷部19、及び内部メモリ20等に送信する部分である。また、印刷部19は受信したデータを印字出力する部分であり、印字出力は、データを一時的に内部メモリ20にスプールし、印字出力の速度にあわせて順次印刷するようになっている。
【0037】
次に、本発明の画像形成装置の各処理を図3〜図6を用いて説明する。
先ず、本発明の画像形成装置にデータを送信するコンピュータ装置側での基本的な処理を図3を用いて説明する。
コンピュータ装置3−1、・・・、3−nが画像形成装置1に送信する印刷データを作成し(ステップS01)、送信を行おうとすると、送信を行う前に、その作成したデータを他の画像形成装置2−1、・・・、2−nあるいは他のコンピュータ装置3−1、・・・、3−n等に転送するか否かを設定する(ステップS02)。ステップS02において、転送を行わない場合はそのまま画像形成装置1に出力データとして送信し(ステップS04)、転送を行う場合は、転送を行う旨を示す転送情報のヘッダを作成し、作成したデータに付加したのち(ステップS03)、画像形成装置1に送信する(ステップS04)。
【0038】
ただし、上記図3で示したコンピュータ装置側での各工程は、コンピュータ装置3−1、・・・、3−nで行われる処理の一例を示したものであり、例えば、転送を2回以上行いたい場合や、印字出力を行わずに転送のみを行う場合、あるいは、印字出力を複数の画像形成装置1、2−1、・・・、2−nを用いて行いたい場合など種々のケースが考えられるが、そのような場合については、複数のヘッダ情報を付加するようにすればよい。そこで、以下にはコンピュータ装置から送られてくるデータの内容に則して処理を行う画像形成装置1について説明する。
【0039】
図4は、本発明の一実施例に係る画像形成装置が所定のデータを受信した際の画像形成装置側の処理を説明するフローチャートである。
画像形成装置1において出力データ等のジョブ(図6(a)参照)を受信すると、ジョブ制御部内のヘッダ情報の数をカウントするヘッダカウンタをゼロに設定する(ステップS11)。次に、受信したデータのヘッダ情報をヘッダ情報認識/処理部16において認識し、そのジョブの先頭が転送情報ヘッダであるか否かを認識する(ステップS12)。このとき、ジョブの先頭が転送情報ヘッダではない場合は、通常印刷を行った後(ステップS13)、処理を終了する。
【0040】
ステップS12において、ジョブの先頭が転送情報ヘッダであると認識した場合は、前記ジョブの先頭の転送情報ヘッダを分離し、ジョブをヘッダ部とデータ部とに分離する(ステップS14、図6(b)参照)。その際、前記ヘッダカウンタの数値に1を加え(ステップS15)、次にそのカウンタの数値が1であるか否かを認識する(ステップS16)。ここでカウンタの値が1であると、前記ステップS14で分割したデータ部(図6(c)参照)を、同じくステップS14で分割したヘッダ部の情報に基づいて転送する(ステップS17)。
【0041】
次に、前記ジョブを同時に印刷するか否かを判断する(ステップS18)。具体的にはヘッダ情報認識/処理部16でヘッダ情報を認識し、その中に印刷指示情報があるか否かを判別することによって行い、印刷指示情報がヘッダ情報内にない場合はそのまま処理を終了し、印刷指示情報がある場合には、前記ステップS14で分割したデータ部のデータの先頭をジョブの先頭としたのち(ステップS19)、ステップS12に戻る。このようにすると、例えば図6(a)に示すようにN個のヘッダ情報が付加されたジョブを受信沙汰場合でも、ステップS12〜S16、及びステップS19が繰り返されることにより、ジョブに付加されたヘッダ情報を分解し、印刷データのみになったところでステップS13に送られるようになり、データ転送と同時に印字出力を行うことができるようになる。
【0042】
前記ステップS17で行われるデータ転送処理工程を、図5を参照して以下に示す。
前記ステップS16でヘッダカウンタの数値が1であった場合、ステップS17において転送処理が開始される。この転送処理は、先ずヘッダ部の情報から転送先情報を割り出し、その転送先がコンピュータ装置(PC)であるか否かを判別する(ステップS21)。ここで転送先がコンピュータ装置(PC)でない場合は、分離したヘッダ部で指定された条件(例えば、宛先情報、転送方法など)で転送を行った後(ステップS23)に終了し、転送先がコンピュータ装置(PC)である場合は、印刷指示情報等のヘッダ情報は不要のため、転送するデータからヘッダ情報をすべて削除し(ステップS22)たのち、分離したヘッダ部で指定された条件(例えば、宛先情報、転送方法など)で転送を行った後(ステップS23)に終了する。このとき、コンピュータ装置(PC)から画像形成装置1に送信されたデータがPDL等、画像形成装置特有のデータ形式である場合には、他のコンピュータ装置(PC)に送信する際に、画像データ等に変換した状態で転送することもでき、その場合もヘッダ情報内に文書フォームを変更する変換指示情報を付加することにより実現可能である。
【0043】
なお、図6(a)に示すようなデータのヘッダ情報は、図7に示すような複数のパラメータから構成されており、アドレスごとの転送指示情報や、印刷指示情報に従い、ジョブ制御部17で出力制御が行われるようになっている。
【0044】
上述のような画像形成装置1と同様の転送処理を実行可能な画像処理装置がネットワーク内に複数存在する場合、図6(a)のようなデータがコンピュータ装置(PC)から画像形成装置(MFP1)に送信されると、図9(a)に示すように、転送先ごとに転送処理がなされ、それぞれの画像形成装置(MFP1〜3)で印刷が行われるようになせば、タンデム印刷が可能となる。
【実施例2】
【0045】
次に本発明の他の実施例に係る画像処理装置を説明する。ただし、画像形成装置の基本的な構成は上述の一実施例に係る画像形成装置と同様であるため、その説明を省略する、
図8は、本発明の他の実施例に係る画像形成装置が所定のデータを受信した際の画像形成装置側の処理を説明するフローチャート、図9(b)は、第2実施例の転送先の一例を分かりやすく示した図である。
【0046】
本実施例では、図9(b)に示すように、コンピュータ装置(PC)から送信されたデータを一度に複数の画像形成装置(MFP)等に送信する場合の各処理について述べ、以下には図8を参照して説明する。
【0047】
画像形成装置1がジョブを受信すると、先ずそのジョブの先頭が転送情報ヘッダであるか否かを判断する(ステップS31)。ジョブの先頭が転送情報ヘッダではない場合は、印刷を行うか否かを判断し(ステップS35)、印刷しない場合はそのまま処理を終了し、印刷を行う場合は、印刷を行った後(ステップS36)、処理を終了する。
【0048】
上記ステップS31において、ジョブの先頭が転送情報ヘッダである場合は、そのジョブの先頭の転送情報をヘッダ部としてヘッダ部とデータ部とに分割し(ステップS32)、ジョブ内の印刷データを前記ステップS32で分解したヘッダ部に記載の情報に基づき転送する(ステップS33)。
【0049】
次に前記ステップS32で分割したデータ部の先頭をジョブの先頭とし(ステップS34)、前記ステップS31に戻し、ヘッダ部の転送指示情報がなくなるまでステップS31〜S34の処理を繰り返す。そして、ジョブの先頭が転送指示情報ヘッダではなくなると(ステップS31)、印刷を行うか否かを判断し(ステップS35)、印刷しない場合はそのまま処理を終了し、印刷を行う場合は、印刷を行った後(ステップS36)、処理を終了する。
【0050】
上述の処理を行うことにより、本発明の画像形成装置1は、複数の転送先に同時にデータ転送が可能となり、更に、転送するデータは印刷データであるため、送信した他の画像形成装置でデータ転送の無限ループが発生する危険性はない。
【0051】
ちなみに、転送した他の画像形成装置から、更にデータ転送を行いたい場合は、転送するデータを印刷データではなく、一部のヘッダ情報を残したデータとして転送を行えば、転送先の画像形成装置からのデータ転送も行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置が接続されているネットワーク環境の一例を示す概略説明図、
【図2】図2は、本発明の画像形成装置の各構成を示すブロック図、
【図3】図3は、本発明の一実施例に係る画像形成装置にデータを送信する際のコンピュータ装置側の処理を説明するフローチャート、
【図4】図4は、本発明の一実施例に係る画像形成装置が所定のデータを受信した際の画像形成装置側の処理を説明するフローチャート、
【図5】図5は、本発明の一実施例に係る画像形成装置がデータの転送を行う際の処理を示すフローチャート、
【図6】図6は、本発明の一実施例に係る画像形成装置に送信されるデータの一例を分かりやすく説明した図であり、図6(a)は画像形成装置が受信したデータを示す図、図6(b)は画像形成装置で所定の処理を行ったデータを示す図、図6(c)は画像形成装置で処理されたのち、他の画像形成装置等に転送されるときのデータを示す図、
【図7】図7は、画像形成装置に送信されるデータに付加されたヘッダ情報の構成例を示す図、
【図8】図8は、本発明の他の実施例に係る画像形成装置が所定のデータを受信した際の画像形成装置側の処理を説明するフローチャート、
【図9】図9は、本発明の転送状況を判りやすく示した図であり、図9(a)は、第1実施例の転送先の一例を分かりやすく示した図、図9(b)は、第2実施例の転送先の一例を分かりやすく示した図。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成装置
2−1〜2−n (他の)画像形成装置
3−1〜3−n コンピュータ装置(PC)
4−1 プリンタ
5 ネットワーク(LAN)
11 各種ホストインタフェース
12 操作部
13 スキャナ部
14 ファクシミリ部
15 外部メモリインタフェース
16 ヘッダ情報認識/処理部
17 ジョブ制御部
18 出力処理部
19 印刷部
20 内部メモリ
22 公衆電話回線
23 外部メモリ
24 情報記憶部
26 表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンピュータ装置等を有するネットワークに接続し得る画像形成装置であって、少なくとも、
前記ネットワークを介して前記コンピュータ装置等とデータの送受信を行うデータ送受信部と、
前記受信手段で受信したデータに付加されたヘッダ情報を認識するヘッダ情報認識/処理部と、
前記ヘッダ情報に基づき、前記データの各種制御を行うジョブ制御部と、
前記ジョブ制御部からの出力指示に従ってデータの出力を行う出力処理部と、
を備え、
前記ヘッダ情報認識/処理部で認識したヘッダ情報内に前記データの転送指示情報がある場合には、前記ジョブ制御部において前記転送指示情報をヘッダ部とし、それ以外のデータをデータ部として分割し、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて、前記データ部を転送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記出力処理部は、前記ヘッダ情報認識/処理部で認識したヘッダ情報内に、前記転送指示情報に加えて印刷指示情報がある場合には、前記データ部の転送を行うと共に前記データの印字出力を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジョブ制御部は、前記ヘッダ情報認識/処理部で認識した情報内に、前記データの文書フォームの変換指示情報がある場合には、前記データの文書フォームの変換を行ったのち、前記データ部の転送を行うようになしたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ヘッダ情報認識/処理部で認識したヘッダ情報内に前記データの転送指示情報が複数個ある場合には、前記ヘッダ情報内の先頭に位置する転送指示情報をヘッダ部とし、それ以外のデータをデータ部として分割し、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて、前記データ部を転送することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転送指示情報内の転送先がコンピュータ装置である場合には、データに付加されたヘッダ情報をすべて削除したのち、転送を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数のコンピュータ装置等を有するネットワークに接続し得る画像形成装置を構成するコンピュータに、少なくとも、
前記ネットワークを介して前記コンピュータ装置等とデータの送受信を行わせる処理と、
受信したデータに付加されたヘッダ情報を認識する処理と、
前記ヘッダ情報に基づき、前記データの各種制御を行わせる処理と、
前記制御により、データの出力を行わせる処理と、を実行させ、
前記認識したヘッダ情報内に前記データの転送指示情報がある場合には、前記転送指示情報をヘッダ部とし、それ以外のデータをデータ部として分割する処理と、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて、前記データ部を転送する処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータに、前記データに付加されたヘッダ情報内に、前記転送指示情報に加えて印刷指示情報がある場合は、前記データ部を転送する処理と共に印刷処理を実行させることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、前記データに付加されたヘッダ情報内に、前記データの文書フォームの変換指示情報がある場合は、前記データ部の転送処理と共に前記データの文書フォームの変換処理を実行させることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、前記ヘッダ情報内に前記データの転送指示情報が複数個ある場合には、前記ヘッダ情報内の先頭に位置する転送指示情報をヘッダ部とし、それ以外のデータをデータ部として分割する処理と、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて、前記データ部を転送する処理を実行させることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、前記転送指示情報内の転送先がコンピュータ装置である場合には、データに付加されたヘッダ情報をすべて削除する処理と、前記ヘッダ部の転送指示情報に基づいて転送する処理を実行させることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−5556(P2006−5556A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178421(P2004−178421)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】