説明

画像形成装置及びプログラム

【解決課題】ノズルの目詰まりを防止する予備吐出を行う予備吐出領域において、各ノズルの吐出休止時に生じるインク液の増粘を抑制する。
【解決手段】記録領域における吐出後のタイミングから予備吐出領域の前端との間隔を休止時間と定め、各ノズル毎に記録領域における吐出量及び休止時間に対応させて予備吐出時に生じるインク液の増粘を抑制するために必要とする最小の予備吐出量に対して、予備吐出を行うタイミング(または、予備吐出を行う単位回数当たりの吐出量)を定めた予備吐出を行うための条件に基づいて予備吐出を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに係り、特に画像形成装置のノズル部の目詰り防止のための予備吐出時に発生するインク液の増粘を抑制する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、高画質化のために、水性顔料インクを高粘度化して使用する方向に向かっているが、高粘度の水性顔料インクは、溶媒の蒸発によりインクジェット記録装置のノズル部でインクが増粘し易いため、目詰まり防止のために、定期的に予備吐出を行わなければならない。しかし、ノズル毎に使用頻度や記録を行わない休止時間が異なるため、すべてのノズルで同じ吐出回数に基づいて予備吐出を行うと、無駄なインクを吐出してしまう虞がある。
【0003】
これらの課題を解決するために、複数のノズルの各々について、最大の吐出回数と各ノズルの画像形成時の吐出回数との差分回数を予備吐出時のノズルのインク吐出回数として予備吐出の制御を行うことで、予備吐出における吐出回数が各ノズルで等しく設定されているために、予備吐出に必要な吐出回数以上の予備吐出を行うために生じるインクの無駄な消費や、頻度に画像形成時に使用されるノズルとその他のノズルにおいてインクの蒸発による増粘を防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、記録ヘッドのノズル毎に記録画像データに応じてインクの空吐出時の吐出量の制御を行うことで、ノズルの使用部分と未使用部分との間で、ノズルの内部の濡れ性の相違や各ノズルの内部にインク吐出用の熱エネルギーを発生するための発熱抵抗素子の表面の酸化物皮膜の堆積量の相違をなくす技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、非記録時間が比較的短い場合や、記録時に吐出回数の少ないノズルが殆ど無い場合等、記録装置の使用状態によっては必要回数以上の予備吐出が行われる時もあり、その結果、記録以外に使用されるインク量が多くなるため、ランニングコストが増大し、記録ヘッドとインクタンクとが一体となったカートリッジ式のインクジェット記録装置の場合は、インクが無くなった時点でインクタンク及び記録ヘッドともども新たなものと交換しなければならず、このカートリッジの交換はランニングコストに影響を及ぼす。
【0006】
そこで、カラーあるいはブラックの記録ドット数、記録待機時間、あるいは記録ヘッド周囲の温度や湿度に基づいて最低限必要な予備吐出回数を予め定め、これらの予備吐出回数を用いることによって、不必要なインク消費を低減し効率的なインク使用を行う技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、従来、インク滴の吐出又は非吐出に応じてそのノズル開口についてフラッシング動作をオン・オフする場合、吐出したインク量については何等考慮しておらず、全く吐出していないノズル開口に対してのみフラッシング動作を行っているため、吐出したとしても吐出量が極少量であった場合、ノズル開口ではインクの増粘が進行する虞が生じ、走査単位毎にノズルからの吐出及び非吐出に応じて、ノズルのフラッシング量を設定し、設定した値に基づいて、フラッシングを行う技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
また、吐出エネルギーの発生源である吐出用ヒータがインクにさらされるため、インクや外部から進入した汚物が吐出用ヒータに付着した時には、各ノズル内の各吐出用ヒータに発生する各熱エネルギーがそれぞれ異なるものとなり、各ノズルに発生する吐出液滴径も異なるため、インクにさらされた吐出用ヒータに、印字時のヘッド駆動電圧よりも大なる所定のヘッド駆動電圧を印加することによって、吐出用ヒータの汚物を除去し、印字中のヘッド濃度のムラ変化を防止する技術が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【0009】
さらに、記録ヘッドの吐出用ヒータ表面上の付着物等によって、インクの吐出効率に変化が生じ印刷時に発生するムラを防止するため、インク中に発砲しない程度の熱エネルギーを与えるためのプレパルスとインク中に発砲を生ぜしめノズルよりインクを吐出させるメインパルスとのインターバルタイムを環境温度等の所定の条件において定め制御することで、記録ヘッドの吐出用ヒータに投入するエネルギーが同一であっても、より吐出量を大きくすることで印刷時のムラを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
【特許文献1】特開平05−338134号公報
【特許文献2】特開平06−305159号公報
【特許文献3】特許第3133869号公報
【特許文献4】特開2005−096281号公報
【特許文献5】特開平03−256749号公報
【特許文献6】特開第3165752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、高画質化のために、水性顔料インクを高粘度化して使用する方向に向かっており、高粘度の水性顔料インクは、溶媒の蒸発によりノズル部で増粘し易く、目詰まり防止のための予備吐出を行っている最中に、各ノズル部において予備吐出の吐出又は不吐出、あるいは吐出回数等の相違によって、インクの増粘が進行する虞が生じる。
【0011】
上記特許文献1乃至4に開示された技術は、予備吐出による無駄なインクを減らすために、使用頻度に応じて、ノズル毎に予備吐出回数の制御を行う技術であるが、予備吐出回数が少なく設定されたノズルでは、他のノズルが予備吐出を行っている場合は休止しており、休止している時間にインクの増粘が進行する虞が生じる。
【0012】
また、特許文献5及び6に開示された技術は、吐出用ヒータに付着する付着物の除去を行う技術であるが、上記と同様に、予備吐出時に生じるノズル部のインクの増粘についての記載はなく、不吐出時におけるインクの増粘が進行する虞が生じる。
【0013】
本発明は、上記問題を解決するために成されたもので、ノズルの目詰まりを防止する予備吐出時において、ノズル部に生じるインク液の増粘進行を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液滴を吐出するノズルを複数備えた吐出手段と、画像形成領域の後に液滴の吐出を休止する休止期間を介存させて設定された予備吐出領域内において最後に液滴を吐出するタイミングと、前記予備吐出領域の後に設定された画像形成領域の開始位置との間の間隔が、前記画像形成領域において液滴の増粘を原因として生じる液滴の着弾位置ずれを防止することが可能な液滴吐出間隔の最大値以下となるように、前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の吐出回数に基づいて各ノズル毎の予備吐出の開始タイミングを決定するタイミング決定手段と、前記画像形成領域において画像データに基づいた液滴が各ノズルから吐出されると共に、前記予備吐出領域において前記タイミング決定手段で決定された予備吐出の開始タイミングで前記吐出回数に応じた液滴の吐出が各ノズル毎に開始されるように前記吐出手段を制御する制御手段と、を含んで構成されている。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置であって、前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の吐出回数を、前記画像形成領域の全吐出量及び前記休止期間の長さに応じて定めたことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載の画像形成装置であって、前記予備吐出領域と前記予備吐出領域の後の画像形成領域とを隣接して設け、前記最後に液滴を吐出するタイミングを、前記予備吐出領域内で最後に吐出した液滴が、前記予備吐出領域と隣接した画像形成領域の開始位置と最も近い位置に着弾するタイミングとすることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記吐出手段が設けられている環境の温度及び湿度の少なくとも一方の物理量を検出する検出手段を更に備え、前記タイミング決定手段は、前記物理量及び前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の吐出回数に基づいて各ノズル毎の予備吐出の開始タイミングを決定することを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記制御手段は、前記予備吐出領域内において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量または単位時間当たりの吐出回数が、前記画像形成領域において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量または単位時間当たりの吐出回数以上となるように前記吐出手段を制御することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、液滴を吐出するノズルを複数備えた吐出手段と、予備吐出領域内において前記吐出手段から吐出される全吐出量が、前記予備吐出領域の後に設定された画像形成領域において液滴の増粘を原因として生じる液滴の着弾位置ずれを防止することが可能な最小吐出量以上でかつ該最小吐出量より所定量多い量以下となるように、各ノズル毎に前記予備吐出領域における単位回数当たりの吐出量を決定する吐出量決定手段と、前記画像形成領域において画像データに基づいた液滴が各ノズルから吐出されると共に、前記予備吐出領域において前記吐出量決定手段で決定された吐出量の液滴が各ノズルから吐出されるように前記吐出手段を制御する制御手段と、を含んで構成されている。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6記載の画像形成装置であって、前記吐出量決定手段は、予め定めた吐出回数に基づいて各ノズル毎に単位回数当たりの吐出量を決定することを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項6記載の画像形成装置であって、前記予備吐出領域を画像形成領域の後に液滴の吐出を休止する休止期間を介存させて設定し、前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量を、前記画像形成領域の全吐出量及び前記休止期間の長さに応じて定めたことを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項6〜請求項8の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記吐出手段が設けられている環境の温度及び湿度の少なくとも一方の物理量を検出する検出手段を更に備え、前記吐出量決定手段は、前記物理量に基づいて前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量を決定することを特徴とする。
【0023】
請求項10の発明は、請求項6〜請求項9の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記吐出量決定手段は、前記予備吐出領域内において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量が、前記画像形成領域において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量以上となるように決定することを特徴とする。
【0024】
請求項11の発明は、請求項6〜請求項10の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記制御手段は、前記予備吐出領域内において各ノズルから吐出する液滴の単位時間当たりの吐出回数が、前記画像形成領域において各ノズルから吐出する液滴の単位時間当たりの吐出回数以上となるように前記吐出手段を制御することを特徴とする。
【0025】
請求項12の発明のプログラムは、コンピュータを、画像形成領域の後に液滴の吐出を休止する休止期間を介存させて設定された予備吐出領域内において最後に液滴を吐出するタイミングと、前記予備吐出領域の後に設定された画像形成領域の開始位置との間の間隔が、前記画像形成領域において液滴の増粘を原因として生じる液滴の着弾位置ずれを防止することが可能な液滴吐出間隔の最大値以下となるように、前記予備吐出領域において液滴を吐出する各ノズルから吐出する液滴の吐出回数に基づいて各ノズル毎の予備吐出の開始タイミングを決定するタイミング決定手段と、前記画像形成領域において画像データに基づいた液滴が各ノズルから吐出されると共に、前記予備吐出領域において前記タイミング決定手段で決定された予備吐出の開始タイミングで前記吐出回数に応じた液滴の吐出が各ノズル毎に開始されるように制御する制御手段と、して機能させるためのプログラムである。
【0026】
請求項13の発明のプログラは、コンピュータを、予備吐出領域内において液滴を吐出する各ノズルから吐出される全吐出量が、前記予備吐出領域の後に設定された画像形成領域において液滴の増粘を原因として生じる液滴の着弾位置ずれを防止することが可能な最小吐出量以上でかつ該最小吐出量より所定量多い量以下となるように、各ノズル毎に前記予備吐出領域における単位回数当たりの吐出量を決定する吐出量決定手段と、前記画像形成領域において画像データに基づいた液滴が各ノズルから吐出されると共に、前記予備吐出領域において前記吐出量決定手段で決定された吐出量の液滴が各ノズルから吐出されるように制御する制御手段と、して機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、各ノズル毎の予備吐出を行う開始タイミングを制御することによって、予備吐出時のノズル部に生じる液滴の増粘を抑制することができる、という効果を奏する。
【0028】
請求項2に係る発明によれば、予備吐出時における必要以上の吐出回数を低減できる、という効果を奏する。
【0029】
請求項3に係る発明によれば、ノズル部が外気に触れる時間をより短縮することが可能となり、液滴の蒸発に起因する液滴の増粘をより確実に抑制することができる、という効果を奏する。
【0030】
請求項4に係る発明によれば、液滴の増粘の進行速度に影響を与える温度及び湿度を考慮することで、予備吐出中に生じる液滴の増粘をより精度良く抑制することが可能となる、という効果を奏する。
【0031】
請求項5に係る発明によれば、画像形成装置における印刷周期の短縮化、すなわち印刷速度を向上することができる、という効果を奏する。
【0032】
請求項6に係る発明によれば、各ノズル毎に予備吐出領域における単位回数当たりの吐出量を制御することで、予備吐出中に生じる液滴の増粘の進行を抑制することが可能となる、という効果を奏する。
【0033】
請求項7に係る発明によれば、予備吐出時の画像形成装置の処理負荷軽減及び処理速度の向上を計ることが可能となる、という効果を奏する。
【0034】
請求項8に係る発明によれば、予備吐出時における必要以上の液滴の吐出量を低減することができる、という効果を奏する。
【0035】
請求項9に係る発明によれば、液滴の増粘の進行速度に影響を与える温度及び湿度を考慮することで、予備吐出中に生じる液滴の増粘をより精度良く抑制することが可能となる、という効果を奏する。
【0036】
請求項10に係る発明によれば、印刷周期の短縮化、すなわち印刷速度を向上することができる、という効果を奏する。
【0037】
請求項11に係る発明によれば、画像形成装置における印刷速度を向上することができる、という効果を奏する。
【0038】
請求項12に係る発明によれば、各ノズル毎の予備吐出を行う開始タイミングを制御することによって、予備吐出時のノズル部に生じる液滴の増粘を抑制するプログラムを提供することが可能となる、という効果を奏する。
【0039】
請求項13に係る発明によれば、各ノズル毎に予備吐出領域における単位回数当たりの吐出量を制御することで、予備吐出中に生じる液滴の増粘の進行を抑制するプログラムを提供することが可能となる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について詳細に説明する。なお、本第1実施形態は、本発明を画像形成装置としてのインクジェットプリンタを適用したものである。
【0041】
図1は、本第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図を示す図である。
【0042】
図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、記録用紙Pを送り出す用紙供給部12と、記録用紙Pの姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴を吐出して記録用紙Pに画像形成する記録ヘッド部16及び記録ヘッド部16のメンテナンスを行うメンテナンス部18を備えた記録部20と、記録部20で画像形成された記録用紙Pを排出する排出部22とから基本的に構成されている。
【0043】
用紙供給部12は、記録用紙Pが収容される給紙部24と、給紙部24から1枚ずつ取り出してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。レジ調整部14は、ループ形成部28と、記録用紙Pの姿勢を制御するガイド部材30とを有しており、記録用紙Pは、この部分を通過することによって、その弾性を利用してスキューが矯正されるとともに、搬送タイミングが制御されて記録部20に供給される。そして、排出部22は、記録部20で画像が形成された記録用紙Pを、排紙ベルト32を介して排紙部34に排出する。
【0044】
記録ヘッド部16とメンテナンス部18との間には、記録用紙Pが搬送される用紙搬送路36が設けられている(用紙搬送方向を矢印PFで示す。)。用紙搬送路36は、スターホイール38と搬送ロール40とを有し、このスターホイール38と搬送ロール40とで記録用紙Pを挟持しつつ連続的に(停止することなく)搬送する。そして、この記録用紙Pに対して、記録ヘッド部16からインク滴が吐出され、記録用紙Pに画像が形成される。メンテナンス部18は、インクジェット記録ユニット42に対して対向配置されるメンテナンス装置44を有しており、インク液を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッド46に対するキャピングやワイピング、更には、予備吐出やバキューム等の処理を行う。
【0045】
各インクジェット記録ユニット42は、用紙搬送路36を連続的に搬送される記録用紙Pに対し、各記録ヘッド46からインク滴を吐出することで、記録用紙P上に画像が記録される。なおインクジェット記録ユニット42は、フルカラーの画像を記録するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対して、少なくとも各1ユニット配置されている。
【0046】
また、各インクジェット記録ユニット42は、自身の環境温度を検出する温度センサ48が設けられ、さらに、インクジェットプリンタ10は、インクジェット記録ユニット42近辺の環境湿度を検出する湿度センサ50が設けられている。
【0047】
続いて、上述のように構成された本第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10の制御系の構成について説明する。図2は、本第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10の制御系の構成を示すブロック図である。
【0048】
本第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10は、一次記憶媒体であるRAM、書込み可能な記憶媒体であるROM(例えば、EEPROM等)及びCPUを備えたコンピュータで構成された制御コントローラ100が駆動IC102を制御することによって、各記録ヘッド46からのインクの吐出を動作させるドライバ104を駆動することで、各記録ヘッド46からインク滴を吐出する。
【0049】
駆動IC102は、シフトレジスタ106と、ラッチ回路108と、シフトレジスタ110A〜110Pと、セレクタ112と、レベルシフタ114と、を備えており、制御コントローラ100から出力されたクロック信号及び駆動波形選択信号がシフトレジスタ106に入力され、ラッチ信号がラッチ回路108に入力される。
【0050】
各シフトレジスタ110A〜110Pには、波形発生回路116によって発生された駆動波形が入力される。波形発生回路116は、例えば、16種類の駆動波形を発生し、発生した各駆動波形を各シフトレジスタ110A〜110Pに格納する。16種類の駆動波形は、本第1実施形態では、第1〜第4駆動波形として予め定めた第1〜第4大滴波形を割り当て、第5〜第8駆動波形として予め定めた第1〜第4中滴波形を割り当て、第9〜第12駆動波形として予め定めた第1〜第4小滴波形を割り当てる。
【0051】
そして、ノズル毎の画像形成時の吐出量及び画像形成終了後から予備吐出を開始するまでの休止時間等に応じて大滴波形、中滴波形、及び小滴波形の各々について各4種類の中から駆動波形を選択して、ノズル毎にインク液の増粘を抑制するための予備吐出のために利用し、残りの波形を予備とする。
【0052】
セレクタ112、及びレベルシフタ114は、それぞれ各圧電素子120を駆動するドライバ104毎に設けられており、セレクタ112には、16種類の駆動波形を選択する4ビットのデータが吐出周期毎にシフトレジスタ110A〜110Pから入力され、セレクタ112によって選択された駆動波形がレベルシフタ114によって電圧が所定電圧に上げられてドライバ104に出力される。ドライバ114は、3つのスイッチング素子118A、118B、118C(118)を介してそれぞれ接地、電圧HV1、電圧HV2に接続されており、これらのスイッチング素子118A、118B、118Cのオン・オフにより駆動波形を圧電素子120に印加する。
【0053】
また、制御コントローラ100には、各記録ヘッド46の環境温度を検出する温度センサ48及び各記録ヘッド46近辺の環境湿度を検出する湿度センサ50が接続されており、制御コントローラ100は、温度センサ48及び湿度センサ50の検出結果を取得して、波形選択やインク供給等を制御する。
【0054】
本第1実施形態では、0(GND)、電圧HV2、電圧HV1(HV2>HV1)の3種を用いてデジタルの駆動波形を生成する。また、本第1実施形態では、この3値のデジタル駆動波形を用いて3種類の滴量のインク滴を吐出する。以下では、3種類のインク滴は、滴量の多い順に大滴、中滴、小滴と称する。
【0055】
図3は、本第1実施形態で適用した圧電素子120に印加する駆動波形の一例を示しており、図3(A)は、大滴の駆動波形を示す一例を示し、図3(B)は、中滴の駆動波形を示す一例を示し、図3(C)は、小滴の駆動波形を示す一例を示しており、さらに図3(D)は、吐出しないノズルに微振動を与えてインクの増粘を抑制するための駆動波形である予備波形を示している。
【0056】
下記表1には、上記駆動波形により吐出されるインク滴の滴体積と滴速との例を示している。インク滴の滴下速度である滴速は、インク滴の大きさの種類を示す大滴、中滴、小滴等の滴種間の着弾位置を揃える為に、全ての滴種で例えば10m/secになるように設定している。また、滴体積は、記録データの階調に応じて使い分ける滴種で異なっており、大滴は例えば10pl、中滴は例えば6pl、小滴は例えば2.5plに設定されている。
【0057】
【表1】

【0058】
これらの駆動波形は、所定の電位を基準として、電圧が下がるとインク液が貯留された圧力室(図示しない)が膨張し、電圧が上がると圧力室が収縮し、この圧力室の膨張及び収縮によって圧力室の容積を増減させて記録ヘッド46からインク滴が吐出される。
【0059】
図4(A)は、ある水性顔料インクを用いた場合において、画像形成後にインク滴の吐出を休止する休止時間(詳細は後述する)と休止時間後に最初に吐出するインク滴の滴速との関係を示したものである。休止時間には圧電素子120に所定の電圧を印加することによって予備波形を与えている。休止時間が長くなると、ノズル部のインク滴が溶媒の蒸発によりインク液の増粘が進行し、滴速が遅くなる。また、図4(A)においては、連続印刷時の滴速(基準速度)は、例えば10m/secであり、滴体積が小さくなるほどインク液の増粘による影響を受けやすく、滴速の低下が大きくなる。
【0060】
図4(B)は、図示したように吐出周波数を例えば18kHz、印刷方向解像度を例えば1200dpi、スキャン速度を例えば381mm/sec、紙間距離を例えば1.0mm、及び基準速度を例えば10.0m/secの条件で印刷する場合の、滴速と記録用紙P上での理想の着弾位置からのインク滴の着弾位置ずれ量との関係を示したものであり、インク滴の滴速が遅くなることによって、着弾位置ずれ量が増加している。
【0061】
図5は、図4(A)と図4(B)との関係から、休止時間と休止時間後に最初に吐出するインク滴の着弾位置ずれ量との関係を示したものである。休止時間が長くなると、滴速が遅くなり、着弾位置ずれ量は増加する。例えば、滴種が小滴の場合、休止時間が例えば0.6secならば着弾位置ずれ量は例えば10μmであり、印刷方向解像度が例えば1200dpiの場合、印刷方向のドットピッチは例えば21μmであり、着弾位置ずれ量が例えば10μmならば半ピッチずれることになり、滴体積が小さくなるほど、着弾位置ずれ量が大きくなる。
【0062】
図6は記録ヘッド46と記録用紙Pとを相対的にスキャンさせ印刷する時の各パラメータの関係を示したものである。
【0063】
本第1実施形態では、各パラメータに関して、滴速をVd(m/sec)、記録用紙Pと記録ヘッド46との間の紙間距離をd(m)、印刷方向解像度をn(dpi)、吐出周波数をf(kHz)、吐出周期をT0(μsec)=1000/f、及びスキャン速度をVs(m/sec)=25.4×f÷nとして定義している。
【0064】
また、本第1実施形態では、上記各パラメータの値として、例えば紙間距離をd(m)=0.001、スキャン方向解像度をn(dpi)=1200、吐出周波数をf(kHz)=18.0、吐出周期をT0(μsec)=1000/f=55.6、及びスキャン速度をVs=(m/sec)=25.4×f÷n=0.381の値を設定する。
【0065】
さらに、連続印刷時の滴速(基準速度)Vdに対して、インク液の増粘による滴速差がΔVd(m/sec)であるとすると、記録ヘッド46から吐出され記録用紙Pに着弾するまでの着弾時間差はΔT(sec)={d/(Vd±ΔVd)}−{d/Vd}であり、記録用紙P上における理想の着弾位置からの着弾位置ずれ量は、ΔL=Vs×ΔTとして定義している。
【0066】
図7には、記録ヘッド46(例えばA4長手幅)が4色分(YMCK)設置されており、それらの記録ヘッド46に対向した記録用紙搬送ベルト(図示しない)上には、記録用紙Pが存在する記録領域と記録用紙Pが存在せず、ノズル部の目詰まり防止のために予備吐出を行う予備吐出領域があり、その領域間にはマージン領域が存在する。
【0067】
予備吐出領域では、用紙搬送ベルト上に直接インク滴が吐出され、予備吐出を行った後、用紙搬送ベルト上に吐出したインク滴をクリーナー(図示しない)で清掃する。なお、予備吐出領域における予備吐出の吐出間隔は、記録領域での吐出間隔と同じで例えば21μm(1200dpi)であり、予備吐出領域では、YMCKの4色のインクが用紙搬送ベルト上の同じ位置に着弾される。
【0068】
下記表2は、従来の記録領域、予備吐出領域及びマージン領域について例示しており、この例において水性顔料インクでは、ある予備吐出後の記録領域で全く吐出されなかったノズルをリフレッシュするために大滴10plで500pulseの予備吐出を必要としている。この例では、A4の印刷周期が0.604secであり、印刷速度は99.3ppmである。
【0069】
【表2】

【0070】
図8(A)は、予備吐出領域において予備吐出に必要とする吐出量の分類方法の一例を示している。必要予備吐出量をW(pl)、記録領域の吐出量をV(pl)、及び休止時間をt(sec)として、図8(A)中に示した点線の領域のように分類し、各点線領域での最悪条件を黒丸で示している。この最悪条件とは、各点線領域中で最もVが小さくtが大きい条件である。
【0071】
例えば、記録領域の吐出量Vが1000〜3000(pl)の間の値を示し、休止時間tが0.2〜0.4の間の値を示す場合には、最悪条件として、記録領域の吐出量Vを1000(pl)、休止時間tを0.4(sec)とする。
【0072】
図8(B)は、前述の図8(A)に示す各点線領域において、最悪条件下において必要予備吐出量Wを求める実験(詳細は後述する)を行い、それによって求めた各点線領域における必要予備吐出量Wを示している。例えば、記録領域の吐出量Vが1000〜3000(pl)の間の値を示し、休止時間tが0.2〜0.4の間の値を示す場合には、必要予備吐出量Wは2500(pl)となる。
【0073】
図9は、上記必要予備吐出量Wを求めるための実験シーケンスを示す。まず、基準とする記録領域での吐出量と予備吐出領域での吐出量とで標準的な印刷周期を数周期実行して定常状態を作り、その後、パラメータ実験を行う。
【0074】
このパラメータ実験は、図9中のパラメータ実験領域において行い、使用するパラメータは、必要予備吐出量W(pl)、記録領域の吐出量V(pl)、及び休止時間t(sec)であり、必要予備吐出量W(pl)を定めるための特性値は、滴種が小滴の場合における理想の着弾位置からの着弾位置ずれ量である。前述したように最悪条件にVとtとを設定し、Wを変更させることで実験を行う。
【0075】
パラメータ実験領域における予備吐出の終了後、休止時間による影響を受けやすい小滴を吐出させ、その着弾位置ずれ量が、予め定めた規定範囲内であれば、最低予備吐出量をその最悪条件での必要予備吐出量Wとして求める。着弾位置ずれ量は、目標とする画質から設定され、印刷方向の画像ピッチの半分とすることができ、例えば、印刷方向(スキャン方向)の画像ピッチが21μmの場合、その半分の10.5μmとする。
【0076】
図10〜図12において、記録領域における吐出量及び休止時間に応じた予備吐出時の予備吐出パルスの設定方法を示す。
【0077】
図10は、記録領域の吐出量V及び休止時間tに応じて求めた予備吐出量Wが設定されており、前述した図8(B)に示される記録領域の吐出量V、休止時間t及び必要予備吐出量Wに対応している。なお、本第1実施形態では、各ノズル毎の滴種は大滴として統一している。
【0078】
図11に示すように休止時間は、画像を形成する記録領域で最後にインク滴を吐出するタイミングと予備吐出領域における予備吐出を開始するタイミングとの間の間隔を示している。
【0079】
図12は、予備吐出パルスの配置に関する一例を示しており、図12(A)は、従来、ノズル毎に異なる予備吐出パルスを予備吐出領域の前端を基準として定めて吐出しており、吐出数の少ないノズルではインク液の増粘が進行し、従来のインクでは、このような吐出数の少ない場合においても、インク液の増粘による画質には影響なかったが、近年の高粘度顔料インクでは影響が大きくなっている。
【0080】
そのため、図12(B)に示すように、本第1実施形態では、予備吐出領域において最後にインク滴を吐出するタイミングと予備吐出領域後の記録領域の開始位置との間の僅かなタイミング差によるインク液の増粘を防止するため、予備吐出領域と隣接した記録領域の開始位置と最も近い位置、すなわち予備吐出領域の後端を基準にして各ノズルの予備吐出パルスを設定することで、ノズル部が外気に触れる時間をより短縮し、インク液の蒸発に起因するインクの増粘をより確実に抑制している。
【0081】
従って、図10に示す記録領域の全吐出量及び休止時間に対応させた予備吐出量に対して、予備吐出領域の後端、すなわち予備吐出領域で最後にインク滴を吐出するタイミングを基準にして、予備吐出数を定めており、これらの図10に示す予備吐出を行うための条件である予備吐出条件は、前述のROM等の記憶媒体に記憶されている。
【0082】
さらに、予備吐出中に生じるインク液の増粘をより精度良く抑制するために、温度及び湿度により異なるインク液の増粘の進行速度を考慮して上記実験を行い、温度及び湿度に対応した図10に示す予備吐出条件をROMに記憶させることも可能である。
【0083】
上記のように予備吐出パルスの設定を行うことによって、画像形成時の全吐出量、並びに休止時間の長さに応じて吐出回数を定めているため、予備吐出時における必要以上の吐出回数を低減できる。
【0084】
次に、本第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10における制御コントローラ100で行われる処理の一例を示すフローチャートを図13に示す。
【0085】
ステップ100では、温度センサ48で計測した各記録ヘッド46の環境温度を制御コントローラ100のRAMへ記憶し、次のステップ102では、湿度センサ50で計測した記録ヘッド46近辺の環境湿度をRAMへ記憶する。
【0086】
次のステップ104では、予備吐出を行う処理対象のノズルを選択し、次のステップ106では、ステップ104で選択したノズルの記録領域における画像記録時の全吐出量を画像データに基づいて計測し、次のステップ108では、選択したノズルの休止時間を算出する。
【0087】
休止時間の算出方法としては、例えば、ステップ104において選択したノズルの画素データに‘1’(記録領域における記録データあり、すなわちインク滴の吐出あり。)が全て無くなった時点を休止時間の開始タイミングとし、残りの画素データ‘0’ (記録領域における記録データなし、すなわちインク滴の吐出なし。)の数に相当する時間を記録領域における休止時間とする。
【0088】
一方、記録領域と予備吐出領域との間にマージンを設定した場合には、各記録ヘッド46がマージンを通過するのに要する時間(例えば、マージンの長さをスキャン速度Vsで除算した値)をROMへ予め記憶しておき、このROMから取得した時間を、前述の記録領域における休止時間に加えた時間を休止時間とする。
【0089】
次のステップ110では、ステップ100及びステップ102でRAMへ記憶した記録ヘッド46の温度及び湿度を読出して、温度及び湿度、並びにステップ106及びステップ108で算出したノズルの記録領域の全吐出量、及びステップ108で算出した休止時間に該当するROMに予め記憶した予備吐出条件である予備吐出滴種、予備吐出数、及び予備吐出周波数を取得する。
【0090】
ステップ112で、全ノズルに対して予備吐出条件を取得した場合には、ステップ114へ進み、予備吐出条件を取得していないノズルが存在する場合には、再度ステップ104に戻り、予備吐出条件を取得していないノズルに対してステップ104〜ステップ112の処理を実行する。
【0091】
ステップ114では、ステップ110で取得した予備吐出条件に基づいて、予備吐出を実施する。予備吐出を行う際に、図12(B)で示すように、温度、湿度、記録領域の吐出量、及び休止時間に応じて予備吐出領域における各ノズル毎に予備吐出を開始するタイミングがそれぞれ相違する場合が存在するため、開始タイミングとしては、例えば、記録ヘッド46が予備吐出領域を通過する時間を設計値として予めROMへ記憶させ、該通過する時間から、予備吐出時に吐出する各インク滴の吐出間隔に予備吐出数を乗じ、乗じた値からスキャン速度Vsで除算した値を減算することで、予備吐出領域の前端から予備吐出を開始するタイミングを算出する。
【0092】
上記タイミングが算出された後、ステップ110で取得した予備吐出条件に基づいて、ノズル毎にインク液の予備吐出滴種に応じた駆動波形を選択し、上記の算出されたタイミングで予備吐出を制御する。
【0093】
これによって、予備吐出を実施する予備吐出領域の最後に吐出されるインク滴を基準として、予備吐出数を予め定めて予備吐出が行われるので、予備吐出時のノズル部に生じるインク液の増粘を抑制することが可能となる。
【0094】
すなわち、予備吐出領域において最後に吐出したインク滴が、予備吐出領域と隣接した画像形成領域の開始位置と最も近い位置に着弾するタイミングとなる。
【0095】
上記では、予備吐出パルスの設定に関して、図12(B)に示すように予備吐出領域の後端を予備吐出の終了タイミングとしてこの後端を基準にして予備吐出を開始するタイミングを定める例について説明したが、予備吐出領域の後端を基準とせず、予備吐出領域内の後端以外の位置を基準にして予備吐出を開始するタイミングを定めても良い。
【0096】
この場合には、予備吐出領域内の最後にインク滴を吐出するタイミングと予備吐出領域の後に設定された記録領域の開始位置との間の間隔が、記録領域におけるインク滴の着弾位置ずれを防止することが可能な間隔の最大値以下となるように、予備吐出領域内において最後にインク滴を吐出するタイミングを定め、このタイミングを基準とし、予め定めた予備吐出回数に基づいて各ノズル毎に予備吐出を行う開始タイミングを定める。
【0097】
この場合、例えば、記録ヘッド46が予備吐出領域の前端から予備吐出領域内の最後にインク滴を吐出するタイミング迄の所定の時間を設計値として予めROMへ記憶させ、この所定の時間から、予備吐出時に吐出する各インク滴の吐出間隔に予備吐出数を乗じた積をスキャン速度Vsで除算した商を減算することで、予備吐出領域の前端を基準とした予備吐出を開始するタイミングを算出する。
【0098】
これによって、休止時間に生じるインク液の増粘、及び予備吐出領域内において最後に液滴を吐出するタイミングと予備吐出領域の後に設定された画像形成領域の開始位置との間で生じるインク液の増粘の進行を抑制することが可能となる。
【0099】
さらに上記では、温度及び湿度をパラメータの1つとして、予備吐出を開始するタイミングを定めた例について説明したが、温度及び湿度のいずれか一方を用いて予備吐出を開始するタイミングを定めても良く、温度及び湿度をパラメータに含めずに予備吐出を開始するタイミングを定めても良い。
【0100】
[第2実施形態]
上記第1実施形態においては、予備吐出領域においてインク液の増粘を抑制する際に、記録領域の吐出量及び休止時間に応じて予備吐出量及び予備吐出数を設定することで、各ノズル毎に予備吐出の制御を行う例について説明したが、本第2実施形態は、異なる予備吐出滴種を設定することにより各ノズル毎に予備吐出を制御するようにしたものである。
【0101】
本第2実施形態のインクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタの制御系の構成に関しては、第1実施形態の図1及び図2と同一構成であるので説明は省略する。
【0102】
本第2実施形態で使用するパラメータは、第1実施形態と同様に、必要予備吐出量W(pl)、記録領域の吐出量V(pl)、及び休止時間t(sec)であり、必要予備吐出量W(pl)を定めるための特性値は、小滴の理想着弾位置からの着弾位置ずれ量である。また、最悪条件にVとtとを設定し、Wを変更させることで実験を行う。
【0103】
パラメータ実験領域における予備吐出の終了後、休止時間による影響を受け易い小滴を吐出させ、その着弾位置ずれ量が、予め定めた規定範囲内であれば、最低予備吐出量をその最悪条件での必要予備吐出量Wとして求める。
【0104】
以下、記録領域における吐出量及び休止時間に応じた予備吐出の設定方法を示す。本第2実施形態では、各ノズルの予備吐出数を同一回数として、異なる予備吐出滴種を設定することにより、予備吐出量を設定する。従って、各ノズルの予備吐出量の比は、設定された滴種の滴体積の比となる。
【0105】
図14は、前述の実験結果によって記録領域の吐出量V及び休止時間tに応じて求めた予備吐出量Wの設定を示したものであり、予備吐出量Wは、前述した図8(B)に示される記録領域の吐出量V、休止時間t、及び必要予備吐出量W以上の予備吐出量となるように設定されている。
【0106】
従って、図14に示す記録領域の吐出量及び休止時間に対応させた予備吐出量に対して予備吐出滴種が定められており、これらの図14に示す予備吐出を行うための条件である予備吐出条件は、第1実施形態で説明したのと同様に前述のROM等の記憶媒体に記憶されている。
【0107】
さらに、上記の第1実施形態で説明したように予備吐出中に生じるインク液の増粘をより精度良く抑制するために、温度及び湿度により異なるインク液の増粘の進行速度を考慮して上記実験を行い、温度及び湿度に対応した図14に示す予備吐出条件をROMに記憶させる。
【0108】
上記により、各ノズル毎に単位回数当たりの吐出量(予備吐出滴種)の設定を行うだけで、予備吐出回数の設定を行う必要がなくなるため、吐出処理に利用するデータの転送量を減らすことが可能となり、予備吐出時の画像形成装置の処理負荷軽減及び処理速度の向上を計ることが可能となる。
【0109】
さらに、各ノズル毎に画像形成時の吐出量及び休止時間の長さに応じて液滴の単位回数当たりの吐出量を定めているため、予備吐出時における必要以上の液滴の吐出量を低減することができる。
【0110】
次に、本第2実施形態に係るインクジェットプリンタにおける制御コントローラで行われる処理は、上記第1実施形態で説明した図13に示すフローチャートのステップ100〜ステップ112と同様であるため説明は省略するが、本第2実施形態では、ステップ114で、予備吐出開始タイミングを従来と同様に予備吐出領域の前端に定め、上記ROMに記憶された予備吐出条件である予備吐出滴種、予備吐出数、及び予備吐出周波数に基づいて予備吐出を制御する。
【0111】
これによって、ノズル毎に予備吐出を実施するインク液の予備吐出滴種を設定して予備吐出を行うので、予備吐出時のノズル部に生じるインク液の増粘を抑制することが可能となる。
【0112】
上記では、各ノズル毎の予備吐出回数を同一としたが、すべてのノズルに対して同一とする必要はなく、予備吐出領域内においてノズルから吐出される全吐出量が、予備吐出領域の後に設定された画像形成領域においてインク液の増粘を原因として生じるインク滴の着弾位置ずれを防止することが可能な最小吐出量以上で、かつ最小吐出量より所定量多い量以下、好ましくは最小吐出量となるように、各ノズル毎に予備吐出領域における単位回数当たりの吐出量(予備吐出滴種)を決定することによって、予備吐出中に生じるインク液の増粘の進行を抑制するように制御することも可能である。
【0113】
予備吐出領域内の全吐出量を上記の最小吐出量を超えた量とする場合には、インクの消費量を低減するに最小であることが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0114】
さらに上記では、温度及び湿度をパラメータの1つとして、予備吐出を開始するタイミングを定めた例について説明したが、第1実施形態と同様に温度及び湿度のいずれか一方を用いて予備吐出を開始するタイミングを定めても良く、温度及び湿度をパラメータに含めずに予備吐出を開始するタイミングを定めても良い。
【0115】
[第3実施形態]
本第3実施形態は、予備吐出領域におけるインク液の予備吐出滴種または吐出周波数を記録領域におけるインク液の滴種または吐出周波数よりも大なる滴量を設定することで、予備吐出時に生じるインク液の増粘の抑制を行うと共に、予備吐出に必要とする吐出量を速く吐出させ、予備吐出に要する時間を短縮化することを可能とするものである。
【0116】
本第3実施形態に係るインクジェットプリンタは、第1実施形態と同一構成であるので説明は省略する。
【0117】
本第3実施形態に係るインクジェットプリンタの制御系の構成に関しては、上記第1実施形態及び第2実施形態の図2に示すインクジェットプリンタの制御系の構成と同一であり、同一部分ついては、同一符号を用いて説明を省略し、第1実施形態及び第2実施形態と相違する部分について説明する。
【0118】
本第3実施形態では、各シフトレジスタ110A〜110Pに、波形発生回路116によって発生された駆動波形が入力され、波形発生回路116は、複数の駆動波形、例えば、16種類の駆動波形を発生し、発生した各駆動波形を各シフトレジスタ110A〜110Pに格納する。16種類の駆動波形は、本第3実施形態では、第1〜第3駆動波形として予め定めた第1〜第3大滴波形を割り当て、第4〜第6駆動波形として予め定めた第1〜第3中滴波形を割り当て、第7〜第9駆動波形として予め定めた第1〜第3小滴波形を割り当て、さらに本第3実施形態では、第10〜第12駆動波形として予め定めた第1〜第3極大滴波形を割り当てる。
【0119】
そして、ノズル毎の画像形成時の全吐出量及び画像形成終了後から予備吐出を開始するまでの休止時間等に応じて極大滴波形、大滴波形、中滴波形、及び小滴波形の各4種類の中から駆動波形を選択してノズル毎にインク液の増粘を抑制するために予備吐出に利用し、残りの波形を予備とする。
【0120】
以下では、4種類のインク滴は、滴量の多い順に極大滴、大滴、中滴、小滴と称する。
【0121】
また、セレクタ112、及びレベルシフタ114は、それぞれ各圧電素子120を駆動するドライバ104毎に設けられており、セレクタ112には、16種類の駆動波形を選択する4ビットのデータが吐出周期毎にシフトレジスタ110A〜110Pから入力され、セレクタ112によって選択された駆動波形がレベルシフタ114によって電圧が所定電圧に上げられてドライバ104に出力される。ドライバ114は、3つのスイッチング素子118A、118B、118C(118)を介してそれぞれ接地(GND)、電圧HV1、電圧HV2に接続されており、これらのスイッチング素子118A、118B、118Cのオン・オフにより駆動波形を圧電素子120に印加する。
【0122】
また、制御コントローラ100には、各記録ヘッド46の環境温度を検出する温度センサ48及び記録ヘッド46の環境湿度を検出する湿度センサ50が接続されており、制御コントローラ100は、温度センサ48及び湿度センサ50の検出結果を取得して、波形選択やインク供給等を制御する。
【0123】
本第3実施形態では、0(GND)、電圧HV2、電圧HV1(HV2>HV1)の3種を用いてデジタルの駆動波形を生成する。また、この3値のデジタル駆動波形を用いて4種類の滴量のインク滴を吐出する。 図15は、本第3実施形態で適用した圧電素子120に印加する駆動波形の一例を示しており、図15(A)は、極大滴の駆動波形を示す一例を示し、図15(B)は、大滴の駆動波形を示す一例を示し、図15(C)は、中滴の駆動波形を示す一例を示し、図15(D)は、小滴の駆動波形を示す一例を示しており、さらに図15(E)は、吐出しないノズルに微振動を与えてインクの増粘を抑制するための駆動波形である予備波形を示している。
【0124】
予備吐出時に要する時間の短縮化のために、予備吐出のインク液の予備吐出滴種の最大滴量及び吐出周波数を増加させ、下記表3に示すようにインク液の滴種が、大滴よりも滴量が多い極大滴を設定する。この極大滴は、記録領域における画像形成時に使用されないので、表3に示すように極大滴の滴速が他の滴種と同じである必要はない。
【0125】
【表3】

【0126】
図16に示すように、前述の実験結果によって記録領域の吐出量V及び休止時間tに応じて求めた予備吐出量Wが設定されており、前述した図8(B)に示される記録領域の吐出量V、休止時間t、及び必要予備吐出量W以上の予備吐出量となるように設定している。
【0127】
表3に示すように極大滴の滴量を16.0plとして、図16に示すように滴種を設定することで、図10に示される同等の予備吐出量を確保すると共に、予備吐出数を500pulseから310pulseに減らすことができ、予備吐出時間を短縮することができる。
【0128】
また、図16に示すように予備吐出周波数を24.0Hzとして高く設定することによって、予備吐出時間を短縮することができる。
【0129】
従って、図16に示す記録領域の吐出量及び休止時間に対応させた予備吐出量及び予備吐出滴種に対して予備吐出数を定めており、これらの図16に示す予備吐出を行うための条件である予備吐出条件が、前述のROM等の記憶媒体に記憶されており、さらに、インクは、温度及び湿度の少なくとも一方に応じて粘度が変化する為、温度及び湿度の少なくとも一方を考慮して上記実験を行い、温度及び湿度に対応した図16に示す予備吐出条件をROMに記憶させても良い。
【0130】
本第3実施形態に係るインクジェットプリンタにおける制御コントローラで行われる処理は、上記実施形態1及び実施形態2で説明した図13に示すフローチャートのステップ100〜ステップ112と同様であるため説明は省略するが、ステップ114では、予備吐出を開始するタイミングは、上記第1実施形態または第2実施形態に記載したタイミングで良いが、滴量については上記第1実施形態及び第2実施形態に追加して予備吐出滴種に極大滴がROMへ設定されており、ノズル毎にインク液の予備吐出滴種に応じた駆動波形を選択し、予備吐出を制御する。
【0131】
これらをまとめると下記表4に示されるように、表2の印刷周期0.604secに対して、印刷周期を0.590に短縮することができる。これにより印刷速度を99.3ppmから101.8ppmに印刷速度を速くすることができる。
【0132】
【表4】

【0133】
このような印刷速度の向上は、例えば、予備吐出に費やす時間が高速化に影響を与えるFWAヘッドを用いた高速インクジェット等の画像形成装置に対して有効である。
【0134】
上記により、予備吐出領域における各ノズルから吐出するインク滴の単位回数当たりの吐出量である予備吐出滴種及び単位時間当たりの予備吐出回数である吐出周波数を、記録領域におけるインク液の滴種及び吐出周波数よりも大として設定することで、予備吐出時のノズル部に生じるインク液の増粘を抑制すると共に、予備吐出に必要とする吐出量を速く吐出することで、予備吐出に要する時間を短縮化することが可能となり、印刷周期の短縮化、すなわち印刷速度の向上を計ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の実施形態に係る発明のインクジェットプリンタを示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1及び第2実施形態に係るインクジェットプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1及び第2実施形態に係る駆動波形の種類についての一例を示すグラフ図である。
【図4】図4(A)は、水性顔料インクを用いた場合における休止時間と休止時間後に最初に吐出するインク滴の滴下速度との関係を示したグラフ図であり、図4(B)は、所定条件における滴下速度と記録用紙上での理想の着弾位置からのインク滴の着弾位置ずれ量との関係を示したグラフ図である。
【図5】図4(A)と図4(B)との関係から、休止時間と休止時間後に最初に吐出するインク滴の着弾位置ずれ量との関係を示したグラフ図である。
【図6】記録ヘッドと記録用紙とを相対的にスキャンさせることで印刷する際の各パラメータの関係を示した説明図である。
【図7】記録ヘッド(A4長手幅)に対向した記録用紙搬送ベルト上に用紙に記録を行う記録領域及び予備吐出を行う予備吐出領域を表す図である。
【図8】図8(A)は、予備吐出領域において予備吐出に必要とする吐出量の分類方法の一例を示すグラフ図であり、図8(B)は、図8(A)に示す各点線領域において、最悪条件下における実験結果に基づいて必要予備吐出量を示すグラフ図である。
【図9】必要予備吐出量を求めるために行った実験の流れを示すシーケンス図である。
【図10】記録領域における吐出量及び休止時間に応じた予備吐出時の予備吐出量に対して、予備吐出パルスを設定した状態を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る休止時間の定義について説明するための構成図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る予備吐出を行うタイミングについて説明するための構成図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタにおける予備吐出を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】記録領域における吐出量及び休止時間に応じた予備吐出時の予備吐出量に対して、予備吐出滴種を設定した状態を示す図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る駆動波形の種類についての一例を示すグラフ図である。
【図16】記録領域における吐出量及び休止時間に応じた予備吐出時の予備吐出量に対して、記録領域の滴種より予備吐出滴種を大として設定し、さらに予備吐出数を少なく設定した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
10 インクジェットプリンタ
12 用紙供給部
14 記録ヘッド部
18 メンテナンス部
20 記録部
22 排出部
24 給紙部
26 搬送装置
28 ループ形成部
30 ガイド部材
32 排紙ベルト
34 排紙部
36 用紙搬送路
38 スターホイール
40 搬送ロール
42 インクジェット記録ユニット
44 メンテナンス装置
46 記録ヘッド
48 温度センサ
50 湿度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを複数備えた吐出手段と、
画像形成領域の後に液滴の吐出を休止する休止期間を介存させて設定された予備吐出領域内において最後に液滴を吐出するタイミングと、前記予備吐出領域の後に設定された画像形成領域の開始位置との間の間隔が、前記画像形成領域において液滴の増粘を原因として生じる液滴の着弾位置ずれを防止することが可能な液滴吐出間隔の最大値以下となるように、前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の吐出回数に基づいて各ノズル毎の予備吐出の開始タイミングを決定するタイミング決定手段と、
前記画像形成領域において画像データに基づいた液滴が各ノズルから吐出されると共に、前記予備吐出領域において前記タイミング決定手段で決定された予備吐出の開始タイミングで前記吐出回数に応じた液滴の吐出が各ノズル毎に開始されるように前記吐出手段を制御する制御手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の吐出回数を、前記画像形成領域の全吐出量及び前記休止期間の長さに応じて定めた請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記予備吐出領域と前記予備吐出領域の後の画像形成領域とを隣接して設け、前記最後に液滴を吐出するタイミングを、前記予備吐出領域内で最後に吐出した液滴が、前記予備吐出領域と隣接した画像形成領域の開始位置と最も近い位置に着弾するタイミングとした請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吐出手段が設けられている環境の温度及び湿度の少なくとも一方の物理量を検出する検出手段を更に備え、
前記タイミング決定手段は、前記物理量及び前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の吐出回数に基づいて各ノズル毎の予備吐出の開始タイミングを決定する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記予備吐出領域内において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量または単位時間当たりの吐出回数が、前記画像形成領域において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量または単位時間当たりの吐出回数以上となるように前記吐出手段を制御する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
液滴を吐出するノズルを複数備えた吐出手段と、
予備吐出領域内において前記吐出手段から吐出される全吐出量が、前記予備吐出領域の後に設定された画像形成領域において液滴の増粘を原因として生じる液滴の着弾位置ずれを防止することが可能な最小吐出量以上でかつ該最小吐出量より所定量多い量以下となるように、各ノズル毎に前記予備吐出領域における単位回数当たりの吐出量を決定する吐出量決定手段と、
前記画像形成領域において画像データに基づいた液滴が各ノズルから吐出されると共に、前記予備吐出領域において前記吐出量決定手段で決定された吐出量の液滴が各ノズルから吐出されるように前記吐出手段を制御する制御手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項7】
前記吐出量決定手段は、予め定めた吐出回数に基づいて各ノズル毎に単位回数当たりの吐出量を決定する請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記予備吐出領域を画像形成領域の後に液滴の吐出を休止する休止期間を介存させて設定し、前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量を、前記画像形成領域の全吐出量及び前記休止期間の長さに応じて定めた請求項6記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記吐出手段が設けられている環境の温度及び湿度の少なくとも一方の物理量を検出する検出手段を更に備え、
前記吐出量決定手段は、前記物理量に基づいて前記予備吐出領域において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量を決定する請求項6〜請求項8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記吐出量決定手段は、前記予備吐出領域内において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量が、前記画像形成領域において各ノズルから吐出する液滴の単位回数当たりの吐出量以上となるように決定する請求項6〜請求項9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記予備吐出領域内において各ノズルから吐出する液滴の単位時間当たりの吐出回数が、前記画像形成領域において各ノズルから吐出する液滴の単位時間当たりの吐出回数以上となるように前記吐出手段を制御する請求項6〜請求項10の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
コンピュータを、
画像形成領域の後に液滴の吐出を休止する休止期間を介存させて設定された予備吐出領域内において最後に液滴を吐出するタイミングと、前記予備吐出領域の後に設定された画像形成領域の開始位置との間の間隔が、前記画像形成領域において液滴の増粘を原因として生じる液滴の着弾位置ずれを防止することが可能な液滴吐出間隔の最大値以下となるように、前記予備吐出領域において液滴を吐出する各ノズルから吐出する液滴の吐出回数に基づいて各ノズル毎の予備吐出の開始タイミングを決定するタイミング決定手段と、
前記画像形成領域において画像データに基づいた液滴が各ノズルから吐出されると共に、前記予備吐出領域において前記タイミング決定手段で決定された予備吐出の開始タイミングで前記吐出回数に応じた液滴の吐出が各ノズル毎に開始されるように制御する制御手段と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
予備吐出領域内において液滴を吐出する各ノズルから吐出される全吐出量が、前記予備吐出領域の後に設定された画像形成領域において液滴の増粘を原因として生じる液滴の着弾位置ずれを防止することが可能な最小吐出量以上でかつ該最小吐出量より所定量多い量以下となるように、各ノズル毎に前記予備吐出領域における単位回数当たりの吐出量を決定する吐出量決定手段と、
前記画像形成領域において画像データに基づいた液滴が各ノズルから吐出されると共に、前記予備吐出領域において前記吐出量決定手段で決定された吐出量の液滴が各ノズルから吐出されるように制御する制御手段と、
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−265057(P2008−265057A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108473(P2007−108473)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】